JP7084768B2 - 緊張材及び緊張材の製造方法 - Google Patents
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Description
FRPを主材料とする緊張材をくさびによって定着するときには、繊維の束であるロッド状のFRP部材にくさびが強く押し付けられる。これにより繊維に大きな曲率の曲げ変形が生じたり、側方から作用する押圧力の急変部が生じたりして、ロッド状のFRP部材が、その引張強度より大幅に小さい引張力で破断することがある。このため、くさびを用いた定着手段では、くさびの傾斜角を小さく抑えたり、くさびとFRP部材との間に応力の集中を緩和する部材を介挿したりする等の対応が必要となっている。
また、帯状となった本体部は構造部材に貼り付けることができるとともに、コンクリート等に埋め込んで使用することもできる。
一方、端部材は金属からなる板状の部材であり、簡単かつ安価で製作することができるとともに、引張手段と確実に連結することができる。したがって構造部材の製作・補強等を安価に行うことが可能となる。
なお、上記帯状の部材は、帯状に織られた又は編まれたままのもの、繊維間に合成樹脂が含浸されたもの、表面に樹脂等のコーティングが施されたもの、合成樹脂等の薄い部材で被覆されたもの等を含むものである。
図1は、本発明の一実施形態である緊張材の概略側面図及び概略平面図である。
この緊張材1は、アラミド繊維と合成樹脂とを主材料とする帯状の本体部2と、この本体部の端部に接合された鋼板からなる端部材3とで主要部が構成されている。
織り方は、模紗織り、ラッセル織りなどとすることができ、たて糸として用いるアラミド繊維の束が表面に凹凸を形成するものとなっている。
図2(a)は、本発明に係る緊張材を用い、プレテンション方式でプレストレスが導入されたコンクリート部材の製造方法を示す概略図である。
緊張材1は、図2(a)に示すようにコンクリート部材の製作ヤードに所定の間隔をおいて設置された2つのアンカーブロック11,11間に張架される。そして、所定の緊張力が導入された状態でアンカーブロック11,11に定着される。この張架された緊張材1が貫通するように型枠12が組み立てられ、帯状の緊張材1を埋め込むようにコンクリートが打設される。
コンクリートが硬化した後、アンカーブロック11,11の定着部で緊張力を解放するとともに、型枠12を撤去する。そして、コンクリート部材の端部で緊張材1を切断してプレテンション方式のプレストレストコンクリート部材とするものである。
緊張材の端部材3を鋼棒14と接続するための接続部材13は、鋼からなる部材であって、箱状部13aと、この箱状部13aから本体部2の軸線方向に突き出した板状部13bとを有するものである。板状部13bにはボルト孔が形成されており、板状部13bと端部材3とは緊張材1の軸線方向に配列し、双方の両側に添接板15を当接して接合される。添接板15には端部材3のボルト孔及び板状部13bのボルト孔に対応する位置に貫通孔が設けられており、添接板15と端部材3を貫通するボルト16及び添接板15と板状部13bを貫通するボルト17を締め付けて接合することができる。一方、箱状部13aの板状部が突き出した位置の反対側には貫通孔が形成されており、鋼棒14はこの貫通孔に挿通し、ねじり合わされたナット18を箱状部13aに係止することによって接続される。
アラミド繊維を織った帯状の部材22は、図3(a)に示すように平滑な面を有する製作台19上に載せ置き、この上でエポキシ樹脂を含浸させる。エポキシ樹脂は、未硬化の状態でアラミド繊維のそれぞれの間に入り込み、すべての繊維と密着して固めることができる程度に流動性の良好なものを用いる。そして、帯状の部材22の上面にはアラミド繊維を束ねた紐状体の織り目による凸部22aが多数生じているが、これらの凸部22aにもエポキシ樹脂が含浸された状態で、凸部22aの形状が残留する量に含浸量を調整する。つまり、表面に形成されている凹部に液状のエポキシ樹脂が溜まらない状態で、凸部22aと凹部とが生じる程度に含浸させる。この状態でエポキシ樹脂を硬化させることにより、下面は平坦な製作台19の上面に沿って平滑となり、上面にはアラミド繊維の束の織り目による凹凸が生じた帯状体21を形成することができる。
なお、このように帯状体21を製作するための製作台19の上面は、帯状の部材の端部が載せ置かれる位置19aに、端部材3の厚さ及び切削された曲面31に対応して膨らんだ部分を有するものが望ましい。
この緊張材4の本体部5は、第1部分5aの一端に端部材6が接合され、他端に第2部分5bの一端が接続されている。第1部分5aと第2部分5bとの接続は、第2部分5bを構成する2つの帯状体51,51を貼り合わせるときに、第1部分5aの他端を挟み込んで接着したものである。挟み込まれる第1部分5aの端部は、端部材6と同様に端縁に向かって厚さが徐々に減少するように形成されており、第2部分5bの端部はなだらかな曲面を形成して第1部分5aの端部の外面に貼り付けられている。
この接続構造では、板状となった端部材7が両面に凸部7aを有している。そして、鋼棒41に装着された鋼プレート42と上記凸部7aとに一対の接続部材43の両端部が係止され、双方が接合されるものとなっている。接続部材43は緊張材の軸線方向における両端部にかぎ型に曲折された係止部43aを有するものであり、これらの係止部43aが端部材7の凸部7a及び鋼プレート42に係止される。一対の接続部材43はボルト44によって連結され、接続部材43と凸部7a及び接続部材43と鋼プレート42との係止が外れないように拘束するものとなっている。
本発明に係る緊張材8は、図5(a)に示すようにコンクリート部材61又は木部材の表面に沿うように配置し、これらの構造部材の補強等を行うために使用することもできる。本使用例では、コンクリート部材61に固定されたボルト62によって端部材10を該コンクリート部材61に定着している。ボルト62は、コンクリート部材61に穴を切削し、挿入されたボルト62と穴の内面との間に合成樹脂63、モルタル等を充填して固定されたものである。また、補強しようとする構造部材が木部材であるときには、端部材を木部材にねじ込んだビス又はラグスクリュー等によって定着することができる。また、木部材を貫通するボルトを用いることもできる。
図6(a)は本発明に係る緊張材と同様に用いることができる緊張材を参考として示すものであり、この緊張材81は、1枚の帯状体82aを本体部82としたものであり、端部材83は2枚の鋼板を重ね合わせたものを用いている。この端部材83は、本体部82を構成する帯状体82aの端部を2枚の鋼板の一端が挟み込むように接合されたものである。帯状体82aを挟み込んだ先端部83aは、互いの間隔を徐々に拡大するように曲げ加工がされている。これにより本体部82である帯状体82aと鋼板とは徐々に離隔するものとなっており、帯状体82aに作用する引張力が急変するのを緩和するものとなっている。また、2枚の鋼板の他端付近は互いに接合され、2枚を貫通するようにボルト孔83bが形成されている。これらのボルト孔に挿通されるボルト等により接続部材と連結し、図1に示す緊張材と同様に緊張力を導入して使用することができるものである。
11:アンカーブロック, 12:型枠, 13:接続部材, 13a:接続部材の箱状部, 13b:接続部材の板状部, 14:鋼棒, 15:添接板, 16,17:ボルト, 18:ナット, 19:製作台, 19a:帯状の部材の端部が載せ置かれる位置,
21:本体部を構成する帯状体, 22:織られた帯状の部材, 22a:帯状の部材の凸部,
31:端部材に形成された曲面, 32:ボルト孔,
41:鋼棒, 42:鋼プレート, 43:接続部材, 43a:接続部材の係止部,
44:ボルト,
51:本体部を構成する帯状体,
61:コンクリート部材, 62:ボルト, 63:充填された合成樹脂,
71:木部材, 72:木部材に設けられたスリット, 73:固定用ピン,
81:緊張材, 82:緊張材の本体部, 82a:帯状体, 83:端部材, 83a:端部材の先端部, 83b:ボルト孔, 84:緊張材, 85:緊張材の本体部,
85a:帯状体, 86:端部材,
91a:端部が平坦な帯状体, 91b:端部が曲面となった帯状体
Claims (5)
- 非金属繊維を糸状又はひも状にして織られた帯状の部材又は編まれた帯状の部材を、引張力を負担する部材として用いた本体部と、
前記本体部の端部に接着された金属からなる板状の端部材と、を有し、
前記端部材は、引張力を付与する引張手段と接続するための孔、凹部又は凸部を有するものであり、
該端部材は、前記帯状の部材に接着された先端部が、端縁に向かって徐々に厚さが減少するものであることを特徴とする緊張材。 - 前記本体部は、複数の前記帯状の部材を重ね合わせて貼り合わされたものであり、
前記端部材は、重ね合わせて接着された前記帯状の部材の間に一部が挟み込まれた状態で接着されていることを特徴とする請求項1に記載の緊張材。 - 前記本体部は、前記帯状の部材の繊維間に合成樹脂が含浸された帯状体を重ね合わせて貼り合わされたものであり、
複数の前記帯状体の最外層に、一方の面が凹凸を有し、他方の面が平滑となった帯状体を用い、
該帯状体は、前記凹凸を有する面を外側にして貼り合わされていることを特徴とする請求項2に記載の緊張材。 - 前記本体部は、前記端部材が一端に接着された第1部分と、
前記第1部分の他端に接続された第2部分と、を有し、
前記第1部分と第2部分とのいずれか一方の重ね合わされた複数の帯状の部材の間に、他方の端部を挟み込んで接着されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の緊張材。 - 非金属繊維を糸状又はひも状にして帯状に織り、又は帯状に編み、
織られた帯状の部材又は編まれた帯状の部材を、平滑な上面を有する製作台の上に敷き載せ、
液状となった合成樹脂を、前記帯状の部材の織り目又は編み目による凹凸が残留する程度まで含浸させ、
前記合成樹脂が硬化して形成された帯状体の凹凸が残留している面を外側に露出して複数の帯状体を重ねて貼り合わせ、
重ね合わせた前記帯状体の端部に、金属からなる端部材を挟み込んで接着することを特徴とする緊張材の製造方法。
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