JP7083983B2 - ポリエチレン製フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
超高分子量ポリエチレンフィルムを溶融延伸する方法では、原反フィルムを作製した後に分子鎖絡み合いを利用して融点以上で溶融延伸することでフィルム材を得ることができる。例えば、溶融二軸延伸では、溶融状態で延伸を行うため、絡み合いを応力の伝達点として利用し、縦横二軸方向への均質な延伸を行うことができる。従って、膜面内で均一に分子鎖を配向させることができ、高強度のフィルム材に加工することができる。
また、有機溶剤を超高分子量ポリエチレン原料と混練することによって溶融粘度を低下させ、超高分子量ポリエチレンを製膜しやすくする前処理工程を経ずに、超高分子量ポリエチレンの延伸膜が得られる。このため、超高分子量ポリエチレンのフィルム製造にあたって、有機溶剤を一切用いることがなく、製造コストの観点からも優れている。
しかしながら、延伸用のポリエチレン製フィルム原反は、プレス法、あるいはプレス法とロール法との組み合わせにより作製しており、プレス法を用いる場合、得られるフィルム原反のサイズが限定され、生産性の観点から、改良が望まれている。
<1> 粘度平均分子量が100万~1500万である超高分子量ポリエチレン原料パウダーを、一対のロール間を通過させてフィルム状に成形する第1のロール処理工程と、
前記第1のロール処理工程で成形されたフィルム状ポリエチレン成形体を、さらに、一対のロール間を通過させてポリエチレン製フィルムを得る第2のロール処理工程と、を含み、
前記粘度平均分子量が100万~1500万である超高分子量ポリエチレン原料パウダーの融点をA℃とし、第1のロール処理工程に用いる一対のロールの温度をT1℃とし、第2のロール処理工程に用いる一対のロールの温度をT2℃としたとき、A、T1及びT2が、下記式(1)及び式(2)を満たすポリエチレン製フィルムの製造方法。
A≦T1<A+30 式(1)
T1-10≦T2<T1+60 式(2)
<3> 前記第2のロール処理工程における一対のロール間への、前記第1のロール処理工程で成形されたフィルム状ポリエチレン成形体の挿入方向が、前記フィルム状ポリエチレン成形体の長手方向に対し、15°~90°の角度をなす<1>記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
<4> 付加的ロール処理工程をさらに含み、
付加的ロール処理工程に用いる一対のロールの温度をT3℃としたとき、T1及びT3が下記式(3)を満たす<1>~<3>のいずれか1つに記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
T1-10≦T3<T1+60 式(3)
<5> 前記付加的ロール処理工程を、複数回含む<4>に記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
<7> 前記得られたポリエチレン製フィルムを延伸する工程が、前記ポリエチレン製フィルムの融点以上で行われる工程を含む<6>に記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
<8> 前記得られたポリエチレン製フィルムを延伸する工程が、前記ポリエチレン製フィルムの融点以上の温度条件下、ポリエチレン製フィルムをx軸及びy軸に二軸延伸する工程を含む<6>又は<7>に記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
<9> 前記ポリエチレン製フィルムの融点以上の温度条件下、ポリエチレン製フィルムをx軸及びy軸に二軸延伸する工程が、膜厚0.1μm~100μmのポリエチレン製薄膜を得る工程である<8>に記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
<10> 前記ポリエチレン製フィルムの融点以上の温度条件下、ポリエチレン製フィルムをx軸及びy軸に二軸延伸する工程が、開孔部を有するポリエチレン製多孔膜を得る工程である<8>に記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
<11> 前記ポリエチレン製フィルムの融点以上の温度条件下、ポリエチレン製フィルムをx軸及びy軸に二軸延伸する工程の後に、さらに、二軸延伸したポリエチレン製フィルムを、x軸及びy軸の少なくとも一方の軸に沿って収縮する工程を含む<8>~<10>のいずれか1つに記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
<15> 前記ポリエチレン製フィルムの融点以上の温度条件下、ポリエチレン製フィルムをx軸及びy軸に二軸延伸する工程、前記二軸延伸したポリエチレン製フィルムを、x軸及びy軸の少なくとも一方の軸に沿って収縮する工程、前記ポリエチレン製フィルムの融点以下の温度まで降温する工程、及び前記ポリエチレン製フィルムを、前記ポリエチレン製フィルムの融点以下の温度で熱処理する工程から選ばれる少なくとも1つの工程を、任意の順で複数回行なう<8>~<14>のいずれか1つに記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
なお、本開示の製造方法により得られるポリエチレン製フィルムに、UHMW-PEが含まれていることを確かめるには、トリクロロベンゼンやテトラクロロベンゼンを溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による分子量分布の検定が有効である。GPC測定は、既述の特許文献3に記載された方法で行うことができる。
また、本開示の製造方法により得られるポリエチレン製フィルムを構成するUHMW-PEの粘度平均分子量を確かめるには、デカリン溶媒(135℃)中における極限粘度の測定が有効である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
さらに、本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
また、「置換基」の表記は、特に断りのない限り、無置換のもの、置換基を更に有するものを包含する意味で用いられ、例えば「アルキル基」と表記した場合、無置換のアルキル基と置換基を更に有するアルキル基の双方を包含する意味で用いられる。その他の置換基についても同様である。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書における室温とは、20℃を意味する。
本明細書における1のロール処理工程で成形されたフィルム状ポリエチレン成形体の長手方向とは、前記成形体の搬送方向と平行な方向を指す。従って、第2のロール処理工程における一対のロール間への挿入方向が前記成形体の長手方向と平行であるとは、搬送方向に、そのまま第2のロール処理工程における一対のロール間へ挿入されることを指し、この場合、第1のロール処理工程における一対のロールの軸方向と、第2のロール処理工程における一対のロールの軸方向は平行である。
本開示のポリエチレン製フィルムの製造方法は、粘度平均分子量が100万~1500万である超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)原料パウダーを、一対のロール間を通過させてフィルム状に成形する第1のロール処理工程と、前記第1ロール工程で成形されたフィルム状ポリエチレン成形体を、さらに、一対のロール間を通過させてポリエチレン製フィルムを得る第2のロール処理工程と、を含み、前記粘度平均分子量が100万~1500万である超高分子量ポリエチレン原料パウダーの融点をA℃とし、第1のロール処理工程に用いる一対のロールの温度をT1℃とし、第2のロール処理工程に用いる一対のロールの温度をT2℃としたとき、A、T1及びT2が、下記式(1)及び式(2)を満たすポリエチレン製フィルムの製造方法。
A≦T1<A+30 式(1)
T1-10≦T2<T1+60 式(2)
本開示の製造方法では、UHMW-PE原料パウダーを、一対のロール間を通過させてフィルム状に成形する第1のロール処理工程を行なう。第1のロール処理工程では、ロール温度(T1℃)は、式(1)に記載の条件、即ち、UHMW-PE原料パウダーの融点(A℃)以上であり、且つ、融点+30(A+30)℃未満の範囲とされる。原料パウダーが一対のロール間を通過する際に、原料パウダーの融点以上で加熱溶融されたパウダーは、見かけ上は均一なフィルム状ポリエチレン成形体に成形される(以下、第1のロール処理工程により得られたフィルム状ポリエチレン成形体(フィルム原反)を「フィルム状成形体」と称することがある)。
本発明者らの検討によれば、フィルム状に成形されたUHMW-PEは、ロール間を通過する際に、所望されない分子配向が生じる可能性があること、原料パウダーの粒子間のうち、十分に融着される箇所と、原料パウダーの粒子間の接触面積が十分ではなく、均一に融着されない箇所が混在する可能性があることが判明した。
ここで、原料パウダーが融着して形成されたフィルム状成形体の内部で、分子配向が生じた領域、融着が十分ではない領域等が存在することがある。このような領域を有するフィルム状成形体を延伸すると、原料パウダー間が十分に融着されない領域が裂け目となり、特に、二軸延伸においては所望されない裂け目が形成され、延伸過程でフィルムが破断しやすくなるという問題がある。また、分子配向が生じる領域では、延伸過程で分子配向に平行な方向にフィルムが収縮しやすく、延伸が均一に行なえない可能性がある。
そこで、本発明では、得られたフィルム状成形体を、第2のロール処理工程に付すこととした。第2のロールの温度(T2℃)は、式(2)で示される条件、即ち、第1のロール処理工程におけるロール温度(T1℃)よりも10℃低い温度以上であり、且つ、第1のロールの温度+60(T1+60)℃未満の範囲で行なわれる。
本開示の製造方法では、第1のロール処理工程及び第2のロール処理工程におけるロール幅を大きくすることにより、延伸に供することができるフィルムを大面積化することが容易にできる。
本開示の製造方法に用いられる超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)は、粘度平均分子量(Mv)が100万~1500万の粉末状ポリエチレン原料であり、Mvとしては、120万~600万のポリエチレンがより好ましい。なお、前記粘度平均分子量は、デカリン溶媒(135℃)中において測定した値であり、極限粘度([η])は、5dl/g~55dl/gが好ましく、8dl/g~40dl/gがより好ましく、10dl/g~30dl/gが更に好ましい。
超高分子量ポリエチレンにおいては、上記の粘度平均分子量と極限粘度は、例えば、特開2005-314544号公報及び特開2005-313391号公報に記載されるように、下記式で表される関係にあることが知られている。
Mv=5.37×104[η]1.49
上記式を用いて、測定した極限粘度から粘度平均分子量を求めることができる。本明細書における粘度平均分子量は、上記の如くして求めた値を採用している。
分子量を測定しようとするUHMW-PE原料パウダーを溶融プレス成形によりフィルム状に成形して、ASTM D 1430-65T法に規定するダンベル型の試験片を作製する。得られたダンベル型試験片を複数用意し、それぞれに異なる荷重を負荷し、150℃に加熱したグリコール浴に浸漬する。負荷した荷重により試験片が伸びるので、600%の伸びをおこすために必要な時間を測定する。対数座標軸上に、前記で得られた伸びに要する時間を、試験片に負荷された引張応力(荷重を試験片の断面積で割った値)に対してプロットする。プロットした値には直線性が見られ、このグラフより、10分の伸び時間に必要な降伏値と称する応力(N/mm2)が求められる。本発明に使用される超高分子量ポリエチレンでは、降伏値は0.05N/mm2~1.5N/mm2の範囲であることが好ましい。例えば、超高分子量ポリエチレン(PE-UHMW)Hostalene GUR カタログ(Hoechst Aktiengesellschaft, August 1993)等の文献によれば、降伏値と前記粘度法により測定された粘度平均分子量は相関するため、降伏値測定法により分子量を検知しうる。
また、本開示の製造方法に用いられる超高分子量ポリエチレン原料パウダーの粒径としては、体積平均粒径(D50)で、2000μm以下が好ましく、1μm~2000μmがより好ましく、10μ m~1000μmが更に好ましい。
UHMW-PEは公知の触媒を用いて重合された重合体であればよいが、チーグラー触媒やメタロセン触媒を用いて重合された粉末状のポリエチレンが好適に用いられる。
一般に、チーグラー系触媒で合成されたポリエチレンの分子量分布は、メタロセン系触媒で合成されたポリエチレンのそれよりも広く、Mw/Mnは前者の方が大きいことが知られている。ここで、Mw及びMnは、それぞれ、重量平均分子量及び数平均分子量であり、GPC測定によって求めることができる。
また、原料パウダーとして用いられるUHMW-PEは、結晶化度が高く強度等の物性に優れる点で、エチレンのみを構成単位とすることが望ましい。しかし、エチレンから誘導される構成単位を含む重合体もしくは共重合体であってもよい。UHMW-PEが共重合体である場合、エチレン構成単位とともに共重合体を構成する構成単位としては、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、及び4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン及びその誘導体を挙げることができる。すなわち、明細書におけるUHMW-PEの名称には、エチレンとα-オレフィンの共重合体も含まれる。従って、UHMW-PEには、直鎖状低密度ポリエチレンや低密度ポリエチレン等の長鎖分岐を含むポリエチレンも含まれる。
ロール成形に用いるロールの形状としては、回転可能な形状であれば特に制限はなく、例えば、円筒体、円柱体のほか、回転可能な無限ベルト体等も挙げられる。なかでも、得られるフィルム状成形体の均一性の観点からは、断面が真円の円筒体が好ましい。
ロールの材質としては、UHMW-PE原料パウダーを好適にフィルム状に成形できれば特に制限はなく、ステンレス鋼、クロムモリブデン鋼等の金属ロール、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂ロール、ポリイミド樹脂ロール等が挙げられる。これらの中でも、より好適に、粉末状のUHMW-PEパウダーをフィルム状成形体に成形し得る点で、ステンレス鋼等の金属ロールが好ましい。
金属ロールとしては、表面が平滑な研磨された金属ロールを用いることが、得られるフィルム状成形体の均一性の観点から好ましい。金属ロールとてしは、入手容易性、耐久性の観点からステンレス製ロール、クロムモリブデン鋼製ロール等を挙げることができ、ステンレス製ロールがより好ましい。
図1に示すように、一対の研磨されたステンレス製ロール12Aを並列配置したロール成形機を用いてフィルム状成形体14を調製することができる。まず、一対のロール間の距離を調整し、UHMW-PE原料パウダーを一対の平行なロールの間に配置し、ロールを回転させることで、フィルム状成形体を調製する。
第1のロール処理工程における一対のロール同士の間隙としては、得られるフィルム状成形体の所望の厚みなどにより適宜選択できる。なかでも、フィルム状成形体の均一性及び強度がより良好であると言う観点から、0.001mm~10mmが好ましく、0.005mm~1mmがより好ましく、0.005mm~0.5mmが更に好ましい。
一対のロール12Aは、長さ方向に平行に配列される。ロール12A同士の間隙を一定として並列に配置することで、均一な厚みのフィルム状成形体が得られる。なお、一対のロールは、目的に応じて、平行に配置されるのみならず、1つのロールの軸方向に対し、他のロールの軸方向が、±3°程度以内であれば僅かな傾きを持って配置されてもよい。
なお、UHMW-PEパウダー又はUHMW-PE原料パウダーの融点とは、ポリエチレン製フィルムを形成する材料となるパウダー状のUHMW-PE原料の融点を指す。原料パウダーの融点以上においては、UHMW-PEが溶融状態にあるため、原料パウダー間の融着が期待される。しかしながら、ロール温度が高くなり過ぎるとUHMW-PE原料パウダーがロール表面に貼り付いてしまい、均一なフィルム状成形体が得られない。
既述の他の成分の1種あるいは2種以上を、効果を損なわない範囲で、目的に応じてUHMW-PE原料パウダーに含有させることができる。
他の成分のうち、酸化防止剤としては、BASF製、Irganox1076(商品名)等のフェノール系酸化防止剤、旭電化工業製アデカスタブHP-10(商品名)等のリン系酸化防止剤、あるいは、硫黄系酸化防止剤等が好適に用いられる。
他の成分をUHMW-PE原料パウダーに含有させる方法としては、そのまま、原料と混合する方法のほか、これら配合剤を他の溶剤に分散あるいは溶解させたのち、これを原料に混合あるいは噴霧し、溶剤のみを揮発除去する方法、超高分子量ポリエチレン原料を溶融させた状態で配合剤を混練りする方法、などの公知の添加法が挙げられる。
本明細書におけるDSCの昇温測定は、50℃から180℃まで昇温速度10℃/minにて昇温してDSC測定(測定装置:パーキンエルマー製ダイアモンドDSC)を行った結果を採用している。この際、試料(原料パウダー、フィルム状成形体又はフィルム)約5mgをアルミパンに封入してDSC測定に供した。温度及び熱量は標準物質(インジウム及びスズ)で校正した。
ロール成形の詳細は、特許文献3に記載されている。第1のロール処理工程におけるロールの温度条件を、上記式(1)を満たす範囲に制御した上で、特許文献3を本開示の第1のロール処理工程に適用することができる。
工程IIでは、前記工程Iで得られたポリエチレン製のフィルム状成形体を、式(2)に規定する温度条件下、さらに、別の一対のロール間を通過させる。これにより、第1のロール処理工程でフィルム状成形体に導入された分子配向が緩和して、延伸工程に付することができる均質なポリエチレン製フィルムが得られる。
工程IIにおいては、所定の温度に保持された、第2の一対のロール間をフィルム状成形体が通過することで、UHMW-PE原料パウダー間の融着性が向上して一体化される。このため、UHMW-PEの特性が十分に発現される高強度なポリエチレン製フィルムが得られる。
なお、第1のロール処理工程におけるロールと、第2のロール処理工程におけるロールとは、互いに同じであっても異なっていてもよい。なかでも、双方のロールがステンレス製ロールであることが、より良好な品質のポリエチレン製フィルムを形成し得る観点から好ましい。
例えば、第1のロール処理工程におけるロール温度が145℃であった場合、第2のロール処理工程におけるロール温度は、135℃以上205℃未満とすることができ、140℃~200℃の範囲が好ましく、140℃~180℃の範囲がより好ましい。
第2のロール処理工程におけるロール温度は、式(2)で規定する範囲で適宜選択することができる。一般に、第1のロール処理工程を経て得られたフィルム状成形体の融点は、UHMW-PE原料パウダーの融点よりも低いため、該フィルム状成形体はT1より低い温度であっても溶融状態となり得る。したがって、この温度で第2のロール処理を行っても、原料パウダー間の融着性が向上し、第1のロール処理工程で導入された分子配向を緩和させることができる。すなわち、T2はT1よりも低い温度に設定することが可能である。
まず、図1に示すように、第1のロール処理工程に用いる一対のロール12Aのロール間に、UHMW-PE原料パウダー10が供給される。図1は、第1のロール処理工程に用いるロール12Aから排出されたフィルム状ポリエチレン成形体14の長手方向(図1中、白抜き矢印で示す)と、第2のロール処理工程に用いる一対のロール12Bのロール間隙への挿入方向を平行とした場合の一実施形態を示す概略図である。フィルム状ポリエチレン成形体14が第2のロール処理工程により一対のロール12B間を通過することで、ポリエチレン製フィルム16が得られる。
図1に示す態様では、第1のロール処理工程を経て得られたフィルム状成形体14を裁断刃18で裁断して得た裁断片を、第2のロール処理工程における一対のロール12B間に供給している。本実施形態では、第1のロール処理工程におけるロールの回転速度と、第2のロール処理工程におけるロールの回転速度とを、それぞれ独立に選択することができる。
なお、ロール12Aとロール12Bは、必ずしも同一平面上(高さ)に設置されていなくてもよく、図4のように、第1のロール処理工程で調製されたポリエチレン製フィルムの搬送を水平方向から鉛直方向に変換する機構を介して、第2のロール処理工程に付してもよい。この際、ポリエチレン製フィルムの搬送方向を変換する機構は、ローラーであってもよいし、滑車でもあっても良く、その他の機構であってもよい。
第2のロール処理工程における、フィルム状ポリエチレン成形体の挿入方向を、該成形体の長手方向と15°~90°の角度とすることで、得られるポリエチレン製フィルムにおける分子の配向性が緩和され、より均一な構造となり、より延伸しやすいポリエチレン製フィルムを得ることができる。
切り出したフィルム状成形体14を90°回転させ、第1のロール処理工程におけるフィルム状成形体の長手方向(第1のロール処理工程における搬送方向)に対して90°回転させた状態でロール12Bのロール間に挿入し、第2のロール処理工程を行う態様が記載されている。図5に示すように、第2のロール処理工程における一対のロール12B間の間隙への挿入方向は、第1のロール処理工程におけるロール12Aから排出されたフィルム状ポリエチレン成形体の長手方向と直交する角度で行われる。
図6に示す態様によれば、第1のロール処理工程と第2のロール処理工程とを連続的に行うことができ、工業的に有利である。
第2のロール処理工程におけるロール12Bによる処理方法は、図1~図6に示す方法には限定されない。
従って、本開示の製造方法により得られたポリエチレン製フィルムは、引張り破断強度及び引き裂き強度が高く、薄膜又は開孔膜を形成する延伸工程に供することができるため、その応用範囲は広い。
さらに、本開示の製造方法では、フィルム状成形体の搬送速度、ロール処理におけるロール幅などを制御することで、大面積のポリエチレン製フィルムを効率よく製造することができる。
より具体的には、前記第2のロール処理工程で得られたポリエチレン製フィルムを、前記フィルム状成形体の長手方向に対し、0°~90°の角度で挿入し、一対のロール間を通過させる付加的ロール処理工程をさらに含み、付加的ロール処理工程に用いる一対のロールの温度をT3℃としたとき、T1及びT3が下記式(3)を満たすことが好ましい。
T1-10≦T3<T1+60 式(3)
付加的ロール処理工程は任意の工程であり、付加的ロール処理工程を含むことで、ポリエチレン製フィルムにおけるポリエチレン原料パウダー間の融着性がより向上するとともに、第1及び第2のロール処理工程で導入された分子配向がより緩和されることにより、その後の二軸延伸処理がより効率的に行えることが期待される。
例えば、付加的ロール処理工程におけるロール温度は、式(3)に規定する温度の範囲内であれば、適否変更してもよい。また、前記第2のロール処理工程で得られたポリエチレン製フィルムの付加的ロール処理におけるロール間への挿入角度は、前記フィルム状成形体の長手方向に対し、0°~90°の角度であれば、適宜変更してもよい。
UHMW-PE原料パウダーの分子量が高く、ロール処理によって融着しにくい原料パウダーであっても、既述のようにロール処理工程を繰り返し行うことにより、均質性に非常に優れ、高倍率延伸が可能なポリエチレン製フィルムを成形することができる。
前記得られたポリエチレン製フィルムを延伸する工程(工程III)は、一軸延伸であってもよいし、二軸延伸であってもよい。
延伸温度は、ポリエチレン製フィルムの融点以上で行われることが好ましい。ポリエチレン製フィルムの融点は、既述の方法で測定することができる。
融点以上で延伸することにより、高倍率までの延伸が可能となり、高強度化に有利である。
延伸温度の上限には特に制限はないが、延伸する工程においてフィルムの強度が低下することを抑制する観点から、180℃以下の温度で行われることが好ましい。
二軸延伸は、まず、一方向(x軸)に延伸し、次いで該方向と垂直方向(y軸)に延伸する逐次二軸延伸でもよいが、x軸及びy軸方向(縦横)同時に延伸する同時二軸延伸が好ましい。
二軸延伸処理における温度条件は、フィルムを形成するUHMW-PE原料パウダーの粘度平均分子量(Mv)や共重合組成により適宜選択すればよい。例えば、UHMW-PEの粘度平均分子量が100万近傍であると、融点近傍の136℃~145℃程度が好ましいが、分子量が大きくなるにつれて、成形フィルムの熱特性が変わるために、より高い温度条件における二軸延伸処理が可能となる。
二軸延伸における延伸倍率は、x軸方向、y軸方向ともに、延伸前の長さの2倍~50倍が好ましく、5倍~20倍がより好ましい。x軸方向とy軸方向の延伸倍率は同じでも異なってもよい。
延伸速度としては、1mm/min~1000mm/minの範囲であることが好ましく、より好ましくは、10mm/min~500mm/minの範囲である。
また、二軸延伸処理の前に、二軸延伸する温度で一定時間保持する保持工程を含んでいてもよい。この際、温度保持する時間は好ましくは1分から180分、より好ましくは1分から10分である。
即ち、工程IIを経て得られたポリエチレン製フィルムが高強度であるために、膜厚0.1μm~100μmとなる高倍率で延伸処理しても、所望されない裂け目又は破断が生じることなく、薄膜を形成できる。薄膜の膜厚は、0.1μm~50μmがより好ましく、0.1μm~20μmがさらに好ましい。工程III-2で得られる薄膜は、原料であるUHMW-PEの物性に起因して、引き裂き強度及び引張り強度が高いという特徴を有する。
後述するように、工程III-3は、再延伸(工程VI)を経て行われることが、多孔膜の均一性の観点から好ましい。
工程IVは、工程III-1において二軸延伸を行った後すぐに収縮処理を行ってもよいし、二軸延伸を行った後、収縮処理を行う温度に一定時間(例えば、1~10分程度)保持した後に収縮処理を行ってもよい。収縮処理の温度は、80℃~180℃が好ましく、120℃~165℃がより好ましく、136℃~165℃がさらに好ましく、140~155℃が特に好ましい。なお、この温度範囲内であれば収縮処理中に温度を変動させてもよい。
x、y両軸に沿って収縮処理を行う場合は、まず、一方向に収縮させ、次いで該方向と垂直方向に収縮させてもよいが、x軸及びy軸方向同時に収縮させることが好ましい。
収縮率は、x軸方向、y軸方向ともに、収縮後の長さが、収縮前の長さ(二軸延伸後の長さ)の5%~95%になるようにすることが好ましく、20%~75%になるようにすることがより好ましい。x軸方向とy軸方向の収縮率は同じでも異なってもよい。
例えば、工程III-1においては、二軸延伸処理したフィルムを、該延伸倍率を保持したまま、即ち、延伸したサイズを維持したままで、ポリエチレン製フィルムの融点よりも低い温度、具体的には例えば室温以上、且つ、融点以下の温度範囲まで降温される。降温されたポリエチレン製フィルムは、降温された温度において、1分間~180分間保持されることが好ましい。
降温後の保持温度は、60℃~150℃がより好ましく、80℃~140℃がさらに好ましい。
また、降温速度は、1℃/min~1000℃/minであることが好ましい。このように、一定のサイズを維持したまま降温処理することで、二軸延伸工程で形成されたフィルムの微細構造、例えば、ポリエチレン製フィルムにおける結晶構造(ラメラ構造)を確定(結晶化)し、固定化することができると考えられる。
工程VIでは、好ましくは、ポリエチレン製フィルムを、140℃以下の温度範囲、好ましくは室温~130℃の温度範囲に維持しながら、再度延伸することで、開孔処理を施すことができる。
この際、工程Vを実施してラメラ構造を確定(結晶化)させ、その後再延伸する工程VIを行うことで、形成されたラメラ結晶間が剥離して開孔が起こり、得られるポリエチレン製フィルムに気体を透過させたり、液体を透過させたりすることができる、均一で微細な開孔部を形成することができる。
本発明における工程VIでは、既述のように、ポリエチレン製フィルムを再延伸することによって開孔処理を行う。この際、本開示の製造方法により得られる多孔膜は、工程VIにおいて、再延伸条件の調整を行うことで、細孔サイズ、貫通性などを制御することができる。工程VIにおけるポリエチレン製フィルムの開孔は、従来行われてきた、予め含浸しておいた溶媒の除去による開孔や無機添加物の除去による開孔とは本質的に異なり、得られた多孔膜は、溶剤や無機添加剤の残存による変質や不均一性などの問題が生じず、さらに、環境負荷も極めて低いという利点を有する。
また、再延伸による開孔処理(工程VI)の後に、熱処理(工程VII)を行うことにより、工程VIにおいて形成された多孔膜の開孔構造がより安定化する。
それぞれの工程は、2回以上繰り返し実施してもよく、その順番や回数も任意である。繰り返し実施する際は、一旦温度を融点以下あるいは結晶化温度以下に下げてから行ってもよいし、温度を下げずに、例えば工程III又は工程VIにおける延伸温度又は開孔処理温度あるいは工程VIIにおける熱処理温度に保持して行ってもよい。
本開示の製造方法において、上記の各種処理工程を施した後、得られたポリエチレン製フィルムは、最終的には室温で取り出して様々な用途に使用する。
原料として、粉末状UHMW-PE(Ticona社製のホスタレンGUR4150(商品名:Mv=7.3×106)を準備した。DSC測定によって得られた融点(A)は140℃であった。
(第1のロール処理工程)
直径100mm、幅150mmの、一対の研磨されたステンレス鋼製ロールを並列配置したロール成形機を用いて、フィルム状成形体の作製を行った。具体的には、2つのロール間の距離を500μmに調整した。以下、図0を参照して説明する。図1に示すように、UHMW-PE原料パウダー10を2本の平行なロール12Aの間に置いた。ロール12Aの回転と共に、UHMW-PE原料パウダーをフィルム状成形体14に成形した。ロールの温度(T1)は、145℃とした。また、ロールの回転速度は1rpmとした。
第1のロール処理工程により、厚さ1000μmのUHMW-PEのフィルム状成形体14を得た。フィルム状成形体は厚み及び表面の外観は、見かけ上、均一であった。
得られたフィルム状成形体14を、図1に示すように、裁断刃18により幅100mm、長さ100mmに切り出した。これを、一対のロール12B間を通過させることで、第2のロール処理工程を行い、実施例1のポリエチレン製フィルム16を得た。
実施例1の製造方法では、第1のロール処理工程で得られたフィルム状成形体14の長手方向と、第2のロール処理工程における一対のロール12B間へのフィルム状成形体14の挿入方向が平行になるようにフィルム状成形体14が供給されている。
第2のロール処理工程におけるロール12Bは、第1のロール処理工程におけるロール12Aと同様のものを用いた。第2のロール処理工程におけるロール温度(T2)は、150℃とした。また、ロールの回転速度は1rpmとした。
第2のロール処理工程により、厚さ1000μmのポリエチレン製フィルム16を得た。調製したポリエチレン製フィルム16の厚み及び表面の外観は、見かけ上、均一であった。
実施例1と同様にして、T1=145℃として第1のロール処理工程を行ってフィルム状成形体を得た。得られたフィルム状成形体に対し、第2のロール処理工程を行わず、得られたフィルム状成形体を比較例1のポリエチレン製フィルムとした。
第1のロール処理工程におけるロール温度T1を135℃とした以外は、実施例1と同様にして、第1のロール処理工程によってフィルム状ポリエチレン成形体の調製を試みた。しかしながら、直径1cmの穴が開いた成形体しか得られなかった。このことから、式(1)に規定される範囲外、即ち、T1がA℃未満の温度でロール処理しても、延伸に供することのできるフィルム状成形体は得られないことがわかった。
第1のロール処理工程におけるロール温度T1を180℃とした以外は、実施例1と同様にして、第1のロール処理工程によってフィルム状ポリエチレン成形体の調製を試みた。しかしながら、原料パウダーがロール表面に貼り付いてしまい、フィルム状成形体は得られなかった。したがって、式(1)の範囲外であるT1がA+30℃以上の温度でロール処理しても、フィルム状成形体は得られないことがかわかる。
実施例1と同様にして、フィルム状成形体14を得た後、図5に示すように、フィルム状成形体14を、裁断刃18により幅100mm、長さ100mmに切り出した。これを、フィルム状成形体14の長手方向に対して90°回転させて、フィルム状成形体14の長手方向と直交する方向から挿入して一対のロール12B間を通過させることで、第2のロール処理工程を実施し、実施例2のポリエチレン製フィルムを得た。
実施例2の製造方法では、第1のロール処理工程で得られたフィルム状成形体14の長手方向と、第2のロール処理工程における一対のロール12B間へのフィルム状成形体の挿入方向は直交するように配置されている。
第2のロール処理工程におけるロールは、第1のロール処理工程におけるロールと同様のものを用いた。第2のロール処理工程におけるロール温度(T2)は、150℃とした。また、ロールの回転速度は1rpmとした。
第1のロール処理工程におけるロール温度T1を、実施例2と同様にT1=145℃で第1のロール処理工程を行ってフィルム状成形体を調製した。その後、第2のロール処理工程におけるロール温度T2を130℃として第2のロール処理工程を行った。第2のロール処理工程により、厚さ1000μmのポリエチレン製フィルムを得た。調製したポリエチレン製フィルムの厚み及び表面の外観は、見かけ上、均一であった。
第1のロール処理工程におけるロール温度T1を、実施例2と同様にT1=145℃で第1のロール処理工程を行ってフィルム状成形体を調製した。その後、第2のロール処理工程におけるロール温度T2を210℃として第2のロール処理工程を行った。しかしながら、フィルム状成形体が第2のロール処理工程におけるロール表面に貼り付いてしまい、ポリエチレン製フィルムは得られなかった。したがって、T1+60℃以上の温度で第2のロール処理工程を行っても、延伸に供することのできるポリエチレン製フィルムは得られないことがかわかる。
(溶融プレスフィルムの調製)
実施例1と同じUHMW-PE原料パウダーを用いて、特許文献1の記載に準拠して、180℃で溶融プレス成形を行い、厚み300μmの溶融プレスフィルムを調製した。得られた溶融プレスフィルムを、対照例のポリエチレン製フィルムとした。
各実施例及び比較例で得られたフィルム状ポリエチレン成形体及びポリエチレン製フィルムの性能評価を以下のようにして実施した。なお、比較例2-1、2-2及び3-2では、均一なフィルム状成形体あるいはポリエチレン製フィルムは得られなかったため、以下の評価は実施しなかった。
比較例1のフィルム状ポリエチレン成形体、実施例1~実施例2及び比較例3-2の
ポリエチレン製フィルムから、初期長25mm×25mmの正方形に切り出し、エアーチャック機能を装備した平面拡張延伸装置(アイランド工業製)にセットし、熱風を吹き付けることにより加熱した。150℃で5分間保持後、延伸温度150℃、延伸速度20mm/minで溶融二軸延伸膜を作製した。延伸倍率は、5倍×5倍に設定した。
対照例の溶融プレスフィルムも、同様にして溶融二軸延伸を実施した。
その結果、比較例1のフィルム状成形体及び比較例3-1のポリエチレン製フィルムは、5倍×5倍まで延伸できず、原反であるフィルム状ポリエチレン成形体の長手方向に対して平行方向に裂け目が発生した。したがって、比較例1の結果より、第2のロール処理工程を行わない場合、高倍率の延伸に供することのできるフィルム状成形体は得られないことがかわかる。また、比較例3-1の結果より、第2のロール処理工程を行った場合であっても、第2のロール処理工程のロール温度T2を、温度条件が式(2)の範囲外であるT1-10℃未満として調製したポリエチレン製フィルムについては、高倍率まで二軸延伸できないことがわかった。
一方、実施例1及び実施例2のポリエチレン製フィルムは、5倍×5倍まで延伸可能であった。また、対照例としての溶融プレスフィルムも、5倍×5倍まで延伸可能であった。
実施例1~実施例2のポリエチレン製フィルムを5×5倍に延伸した二軸延伸フィルムについて、引張試験に供する直線部分の初期長12mm、幅3mmのダンベル片を、フィルム状ポリエチレン成形体の長手方向に対して平行方向及び垂直方向に沿って切り出した。これらの試験片に対して、ORIENTEC社製テンシロン万能試験機RTC-1325Aを用いて、試験速度20mm/min.及び室温において引張試験を行った。記録された応力チャートの最大応力をフィルム断面積で割った値を引張り破断強度とした。この際、フィルム物性の異方性を確認するため、フィルム状ポリエチレン成形体の長手方向に対して平行方向及び垂直方向のそれぞれの方向に引っ張った際の破断強度(引張破断強度)を比較した。なお、以下の図8~図10において、フィルム状ポリエチレン成形体の長手方向に対して平行方向を符号(//)で示し、垂直方向を符号(⊥)で示す。
図8は、実施例1、実施例2のポリエチレン製フィルムの引張り破断強度の測定結果を示すグラフである。図8の結果より、実施例1及び実施例2の二軸延伸フィルムは、どちらの方向にも同程度の強度を示すことがわかる。これにより、第2のロール処理工程を施すことにより、二軸延伸フィルムの物性が均質化することが確かめられた。
比較例1のフィルム状成形体、実施例1~実施例2のポリエチレン製フィルム、及び、これらを5倍×5倍まで溶融二軸延伸して得られた二軸延伸フィルム、及び、比較例2の溶融プレスフィルムを5×5倍に溶融二軸延伸した二軸延伸フィルムの引き裂き強度を評価した。
縦40mm横12.5mmの試験片をフィルム状ポリエチレン成形体の長手方向に対して平行方向及び垂直方向に沿って切り出し、中央部分に縦20mmの切り込みを入れ、残りの20mmを上下に引張って試験片を引き裂いた際の最大応力記録し、これをフィルム厚みで除した値を引き裂き強度とした。この測定にも、ORIENTEC社製テンシロン万能試験機RTC-1325Aを用い、試験速度100mm/min.及び室温で引き裂き試験を行った。
この際、フィルム物性の異方性を確認するため、フィルム状ポリエチレン成形体の長手方向に対して平行方向(//)及び垂直方向(⊥)のそれぞれの方向に沿って切り込みを入れて試験片を引き裂いた際の引き裂き強度を比較した。
図9は、比較例1、実施例1、及び実施例2で得たフィルム状ポリエチレン成形体及びポリエチレン製フィルムの引き裂き強度の測定結果を示すグラフである。図9より、比較例1のフィルム状成形体は物性の異方性が著しく、かつ、引き裂き強度の値も低いことがわかった。一方、実施例1及び実施例2のポリエチレン製フィルムでは異方性が改善するとともに引き裂き強度が向上しており、実施例2のフィルムではその効果が特に著しかった。
図10は、実施例1、及び実施例2で得たポリエチレン製フィルムを、5倍×5倍の延伸倍率で溶融二軸延伸して得たポリエチレン製フィルムの引き裂き破断試験の結果を示すグラフである。なお、対照例として、溶融プレスフィルムを二軸延伸した5倍×5倍の延伸倍率で溶融二軸延伸して得たポリエチレン製フィルムの引き裂き破断試験の結果を併記した。
図10より、実施例1及び実施例2のポリエチレン製フィルムでは異方性が改善され、特に、実施例2では異方性がほとんどなく、また、引き裂き強度の値も、対照例である溶融プレスフィルムを二軸延伸した場合と同等であり、均質なポリエチレン製フィルムが得られていることがわかる。
比較例1のフィルム状成形体及び実施例1~実施例2のポリエチレン製フィルムに対して、DSC測定を行った。DSC測定は、Perkin Elmer 社製 Diamond DSC を用いて窒素雰囲気下、30℃~180℃の温度範囲で、昇温速度10℃/min.試料重量約4mgの条件で行なった。なお、標準物質としてインジウムとスズを用いて、温度及び熱量補正を行なった
図11A及び図11Bは、実施例1、実施例2及び比較例1で得たポリエチレン製フィルム及びフィルム状成形体のDSC測定結果を示すグラフである。なお、図11Aが全体図であり、図11Bは140℃~155℃の温度範囲を拡大したものである。比較例1のフィルム状成形体では145℃付近に伸び切り鎖結晶の融解に起因する第2ピークが観察されているが、実施例1及び実施例2のポリエチレン製フィルムでは、このピークが消失していることがわかる。これは、実施例1及び実施例2においては、第1のロール処理工程で得られたフィルム状成形体(比較例1)の第2ピークの終点の温度近傍で第2のロール処理を行ったことにより、伸びきり鎖が緩和したためである。このことは、第2のロール処理工程を前記フィルム状成形体の融点以上で施すことにより、第1のロール処理工程で導入された分子配向を消去できることを意味している。
比較例1のフィルム状成形体及び実施例1~実施例2のポリエチレン製フィルムの分子配向状態を調査するため、広角X線回折(WAXD)像を記録した。Rigaku社製、X線発生装置(MicroMaX007/HF)を用い、多層膜ミラーで集光した高輝度X線を試料表面から垂直に照射し、浜松ホトニクス製イメージインテンシファイアー(V7739)とCCD(C4742-98)を組み合わせた検知システムを用いてWAXD像を得た。
図12は、比較例1のフィルム状成形体及び実施例1~実施例2のポリエチレン製フィルムのWAXD像である。なお、第1のロール処理工程におけるフィルム状成形体の長手方向は横方向である。比較例1のフィルム状成形体では、長手方向(横方向)と垂直方向にアーク状の結晶反射(斜方晶(110)反射)が集中しており、分子鎖が長手方向と平行方向に配向していることがわかる。これに対して、実施例1のポリエチレン製フィルムでは、このような配向が弱くなっている。さらに、実施例2では、円環状の結晶反射が確認でき、第1のロール処理工程で導入された分子配向が、第2のロール処理工程によって完全に消去できることがわかる。
比較例1のフィルム状成形体及び実施例1~実施例2のポリエチレン製フィルムの表面に対して、SEM観察を行った。SEM測定は、日立ハイテクノロジーズ社製、S-4800形電解放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて行った。加速電圧2.0kV、エミッション電圧10μAの条件にて行った。
図13は、比較例1のフィルム状成形体及び実施例1~実施例2のポリエチレン製フィルムの表面を撮影したSEM像である。なお、これらSEM像の写真の横方向が第1のロール処理工程におけるフィルム状ポリエチレン成形体の長手方向である。図13より、比較例1のフィルム状ポリエチレン成形体においては、UHMW-PE原料パウダーが引き伸ばされ、かつ、パウダー間に空隙が多いことがわかる。一方、第2のロール処理工程を経た実施例1及び実施例2のポリエチレン製フィルムでは、このような原料パウダーの変形がなく、かつ、パウダー間の空隙も少ない。したがって、第2のロール処理工程を施すことにより、より一体化され、延伸に適したポリエチレン製フィルムが得られることがわかる。
(第3のロール処理工程)
原料として、粉末状UHMW-PE(三井化学製ハイゼックスミリオン340M(商品名:Mv=3.5×106))を準備した。
実施例2と同様にしてポリエチレン製フィルムを調製した。得られたポリエチレン製フィルムに対して、さらに、150℃、1rpmの条件で第3のロール処理工程を実施した。この際、第1のロール処理工程におけるフィルム状成形体の長手方向に対して平行に、一対のロール間に挿入してロール間を通過させた。このように、直前のロール処理工程におけるフィルム状成形体の長手方向に対して直交する方向に、再びポリエチレン製フィルムをロール間に挿入してロール処理する付加的ロール処理工程を、150℃、1rpmの条件でさらに5回繰り返した。この場合、第1のロール処理工程におけるフィルム状成形体の長手方向は、連続するロール処理工程間で常に直交することとなる。最終的に得られたポリエチレン製フィルムの厚みは500μmであった。
得られた厚み500μmのポリエチレン製フィルムを初期長65mm×65mmに切り出し、エアーチャック機能と応力検知機を装備した図14に示す大型二軸延伸機にセットし、熱風を吹き付けて加熱した。なお、図14に示す大型二軸延伸機については、国際出願番号:PCT/JP2017/.39436号明細書に詳細に記載されている。なお、以下の二軸延伸装置10における符号は、図14に係る符号である。
二軸延伸装置10は、図14に示すように、井桁状に配置され、井桁の中央部が方形状の延伸対象物であるポリエステル製フィルム18の設置場所であるX方向バー12及びY方向バー14と、前記X方向バー14と前記Y方向バー14との交差部に設けられ、前記X方向バー14及び前記Y方向バー16の長手方向に移動可能に取り付けられ、前記フィルム18の角部を把持可能な交差部チャック20と、前記X方向バー12及び前記Y方向バー14の長手方向中央部に取り付けられ、前記フィルム18の外縁の中央部を把持可能な基部24Aと把持部24Bとを有する中央部チャック24と、前記交差部チャック20と前記中央部チャック24との間に設けられ、前記X方向バー12及び前記Y方向バー14の長手方向に移動可能に取り付けられ、前記フィルム18の外縁の中央部と角部との間を把持可能な移動チャック26、28と、前記X方向バー12及び前記Y方向バー14を長手方向と直交する方向に移動させる第1駆動手段(図示せず)と、前記第1駆動手段と同期して、前記移動チャック26、28を前記X方向バー12及び前記Y方向バー14の長手方向へ、前記X方向バー及び前記Y方向バーより遅い速度で移動させる第2駆動手段(図示せず)と、を有する。
交差部チャック20は、基部20Aと把持部20Bとを有しており、基部20AがX方向バー12及びY方向バー14にベアリングを介してそれぞれ取り付けられている。このため、交差部チャック20は、X方向バー12及びY方向バー14の長手方向に移動可能とされている。
二軸延伸装置10によってフィルム18を延伸する場合、まず、初期位置に配置されている交差部チャック20の把持面20C、中央部チャック24の把持面24C、及び移動チャック26、28の把持面26C、28Cによって、フィルム18の外縁をそれぞれ把持して延伸する。
中央部チャック24の把持部24Bは、空気圧により基部24Aに対して回動可能とされている。把持部24Bにはシリンダーが設けられており、シリンダーには、図1に示す一対の供給チューブ23の一端部が接続されている。供給チューブ23の他端部は、図示しないコンプレッサーやボンベに接続されており、供給チューブ23を通じてシリンダー内に圧縮空気が供給される。
X方向バー12に載置されている中央部チャック24、及びY方向バー14に載置されている中央部チャック24には、それぞれ連結シャフト25Aを介して応力検出センサ25が取り付けられている。応力検出センサ25はロードセルであり、中央部チャック24に生じる引張応力、すなわちフィルム18に生じる引張応力を検出する。
二軸延伸装置10は、第1駆動手段における第1移動バー46と、第2駆動手段における第2移動バー66を有しており、図示されない駆動手段であるバー駆動ベルト、第2チャック駆動ベルト、及び第1チャック駆動ベルトが、同時に駆動され、且つ、第2チャック駆動ベルトがバー駆動ベルトより遅い速度で、第1チャック駆動ベルトが第2チャック駆動ベルトより遅い速度でそれぞれ回転することにより、第2移動バー66がY方向バー14より遅い速度で、第1移動バー46が第2移動バー66より遅い速度でそれぞれ移動して延伸を行う。
二軸延伸装置10では、各チャック20、24、26、28の把持面20C、24C、26C、28Cはフィルム18の最外縁より内側を把持可能とされているため、フィルム18の最外縁に、フィルム18の中心部分より厚さが厚く、かつ各チャック20、24、26、28間の形状が円弧状あるいは直線状とされた額縁部18Aを形成することができる。このため、フィルム18の最外縁の強度を保つことができ、延伸時において最外縁が裂けることを抑制することができる。また、フィルム18の最外縁が把持面20C、24C、26C、28Cからすり抜けること(いわゆるチャック抜け)を抑制することができる。
また、中央部16に設置されたフィルム18の下面に備えられた、図示されないヒーターで暖めた空気を送風機によって孔から吹き出す加熱装置によりことで、熱風を吹き付けることで、ポリエステル製フィルム18の温度が調整される。ヒーターの加熱量や送風機での送風量を制御することで、フィルム18に吹き付ける熱風の温度や風量が調整可能である。
この溶融二軸延伸膜に対して、実施例1と同様にSEM観察を行った。図15(a)は、実施例3で調製したポリエチレン製薄膜の表面のSEM像である。また、溶融二軸延伸膜の膜厚を測定するために、液体窒素中でこの膜をへき開し、膜断面のSEM観察を行った。結果を図15(b)に示す。
図15(a)から、フィブリル状の伸び切り鎖結晶が多数存在していることがわかる。また、図15(b)から、2μmの均一な厚みを有する薄膜が得られていることが確認できた。このように、2μmまで薄膜化されているにも拘わらず、ポリエチレン製薄膜には孔が形成されておらず、ロール処理工程を複数回施すことにより、極めて均質な薄膜が得られることがわかった。
得られた薄膜から、実施例1と同様にダンベル型試験片を切り出し、破断強度を測定した。その結果、第1のロール処理工程におけるフィルム状成形体の長手方向に引張試験した場合と平行方向に引張試験した場合のどちらの場合も、135MPaの極めて高い破断強度が得られた。
(薄膜の調整)
実施例3と同様に溶融二軸延伸を9.4倍×9.4倍(610mm×610mm)まで行い、その後、室温まで降温して二軸延伸膜を取り出した。実施例3と同様のSEM観察から求めた膜厚は6μmであった。
得られた薄膜から、実施例1と同様にダンベル型試験片を切り出し、破断強度を測定した。その結果、第1のロール処理工程におけるフィルム状成形体の長手方向に引張試験した場合と平行方向に引張試験した場合のどちらの場合も、95MPaの高い破断強度が得られた。
(多孔膜の調製)
実施例3と同様に溶融二軸延伸を8倍×8倍(520mm×520mm)まで行い、その後、155℃の温度を保持したまま、5倍×5倍(325mm×325mm)まで収縮させた。この延伸倍率を保持したまま、120℃まで降温して5分間保持した後、延伸速度180 mm/minで再び9.4倍×9.4倍(610mm×610mm)まで固相二軸延伸した。実施例3と同様のSEM観察から求めた膜厚は8μmであった。
得られたポリエチレン製多孔膜のSEM観察を実施例1と同様に行った。結果を図16に示す。図16では、円形で数十nm直径の円形細孔が無数に観察されるとともに、それらを保持する骨格相であるフィブリル状の伸び切り鎖結晶も観察されている。
(溶融プレスフィルムの調製)
実施例3と同じUHMW-PE原料パウダーを用いて、特許文献1に準拠して、200℃で溶融プレスを行い、厚み300μmの溶融プレス成形フィルムを調製した。
実施例4の薄膜、実施例5の多孔膜及び対照例の溶融プレスフィルムのバリア性及び透過性を評価するため、ツクバリカセイキ製K-315N-01型の膜拡散測定装置を用いて、気体透過係数の測定を室温で行った。透過気体には窒素を採用し、透過装置にグラフテック製データロガーGL20を接続し、低圧側及び高圧側の電圧(1V=1.6MPa)、透過時間を記録し、以下の式(4)及び式(5)によって気体透過係数ρを求めた。なお、試料片は直径30mmの円形に切り出した。
ρ = Q×L 式(5)
Q:気体透過度 [mol/(m2・s・Pa)]
ρ:気体透過係数 [mol・m/(m2・s・Pa)]
V:セル低圧側容積 [L]
A:透過面積 [m2]
T:試験温度 [K]
P:供給気体差圧 [Pa]
dp/dt:単位時間(t)における低圧側の圧力(p)変化 [Pa/s]
L:試料厚 [m]
また、実施例5で得たポリエチレン製多孔膜は、実施例4及び対照例のポリエチレン製フィルムに比較して10倍以上の気体透過係数を示しており、貫通孔を数多く有していることが確かめられた。
12A 第1のロール処理工程におけるロール
12B 第2のロール処理工程におけるロール
14 フィルム状ポリエチレン成形体(フィルム状成形体)
16 ポリエチレン製フィルム
Claims (12)
- 粘度平均分子量が100万~1500万である超高分子量ポリエチレン原料パウダーを、一対のロール間を通過させてフィルム状に成形する第1のロール処理工程と、
前記第1のロール処理工程で成形されたフィルム状ポリエチレン成形体を、さらに、一対のロール間を通過させてポリエチレン製フィルムを得る第2のロール処理工程と、
得られた前記ポリエチレン製フィルムを、前記ポリエチレン製フィルムの融点以上の温度条件下、x軸及びy軸に溶融二軸延伸し、膜厚0.1μm~50μmのポリエチレン製薄膜を得る工程と、を含み、
前記粘度平均分子量が100万~1500万である超高分子量ポリエチレン原料パウダーの融点をA℃とし、第1のロール処理工程に用いる一対のロールの温度をT1℃とし、第2のロール処理工程に用いる一対のロールの温度をT2℃としたとき、A、T1及びT2が、下記式(1)及び式(2)を満たすポリエチレン製フィルムの製造方法。
A≦T1<A+30 式(1)
T1-10≦T2<T1+60 式(2) - 前記第2のロール処理工程における一対のロール間への、前記第1のロール処理工程で成形されたフィルム状ポリエチレン成形体の挿入方向が、前記フィルム状ポリエチレン成形体の長手方向と平行である請求項1に記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
- 前記第2のロール処理工程における一対のロール間への、前記第1のロール処理工程で成形されたフィルム状ポリエチレン成形体の挿入方向が、前記フィルム状ポリエチレン成形体の長手方向に対し、15°~90°の角度をなす請求項1に記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
- 前記第2のロール処理工程で得られたポリエチレン製フィルムを、前記フィルム状ポリエチレン成形体の長手方向に対し、0°~90°の角度で、一対のロール間を通過させる付加的ロール処理工程をさらに含み、
付加的ロール処理工程に用いる一対のロールの温度をT3℃としたとき、T1及びT3が下記式(3)を満たす請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
T1-10≦T3<T1+60 式(3) - 前記付加的ロール処理工程を、複数回含む請求項4に記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
- 前記ポリエチレン製フィルムの融点以上の温度条件下、ポリエチレン製フィルムをx軸及びy軸に溶融二軸延伸し、膜厚0.1μm~50μmのポリエチレン製薄膜を得る工程が、膜厚0.1μm~20μmのポリエチレン製薄膜を得る工程である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
- 前記ポリエチレン製フィルムの融点以上の温度条件下、ポリエチレン製フィルムをx軸及びy軸に溶融二軸延伸し、膜厚0.1μm~50μmのポリエチレン製薄膜を得る工程が、開孔部を有するポリエチレン製多孔膜を得る工程である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
- 前記ポリエチレン製フィルムの融点以上の温度条件下、ポリエチレン製フィルムをx軸及びy軸に溶融二軸延伸し、膜厚0.1μm~50μmのポリエチレン製薄膜を得る工程の後に、さらに、二軸延伸したポリエチレン製フィルムを、x軸及びy軸の少なくとも一方の軸に沿って収縮する工程を含む請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
- 前記ポリエチレン製フィルムの融点以上の温度条件下、ポリエチレン製フィルムをx軸及びy軸に溶融二軸延伸し、膜厚0.1μm~50μmのポリエチレン製薄膜を得る工程、又は、溶融二軸延伸したポリエチレン製フィルムを、x軸及びy軸の少なくとも一方の軸に沿って収縮する工程の後に、さらに、ポリエチレン製フィルムの温度を、前記ポリエチレン製フィルムの融点以下の温度まで降温する工程を含む請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
- 前記ポリエチレン製フィルムの融点以上の温度条件下、ポリエチレン製フィルムをx軸及びy軸に溶融二軸延伸し、膜厚0.1μm~50μmのポリエチレン製薄膜を得る工程、溶融二軸延伸したポリエチレン製フィルムを、x軸及びy軸の少なくとも一方の軸に沿って収縮する工程、又は、前記ポリエチレン製フィルムの温度を、前記ポリエチレン製フィルムの融点以下の温度まで降温する工程から選ばれる少なくとも1つの工程の後に、さらに、前記ポリエチレン製フィルムを、x軸及びy軸の少なくとも一方の軸に沿って再延伸して開孔部を有するポリエチレン製多孔膜を得る工程を含む請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
- 前記ポリエチレン製フィルムの融点以上の温度条件下、ポリエチレン製フィルムをx軸及びy軸に溶融二軸延伸し、膜厚0.1μm~50μmのポリエチレン製薄膜を得る工程、前記溶融二軸延伸したポリエチレン製フィルムを、x軸及びy軸の少なくとも一方の軸に沿って収縮する工程、前記ポリエチレン製フィルムの融点以下の温度まで降温する工程、及び、前記ポリエチレン製フィルムを、x軸及びy軸の少なくとも一方の軸に沿って再延伸して開孔部を有するポリエチレン製多孔膜を得る工程から選ばれる少なくとも1つの工程の後に、さらに、前記ポリエチレン製フィルムを、前記ポリエチレン製フィルムの融点以下の温度で熱処理する工程を含む請求項1~請求項10のいずれか1項に記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
- 前記ポリエチレン製フィルムの融点以上の温度条件下、ポリエチレン製フィルムをx軸及びy軸に溶融二軸延伸し、膜厚0.1μm~50μmのポリエチレン製薄膜を得る工程、前記溶融二軸延伸したポリエチレン製フィルムを、x軸及びy軸の少なくとも一方の軸に沿って収縮する工程、前記ポリエチレン製フィルムの融点以下の温度まで降温する工程、及び前記ポリエチレン製フィルムを、前記ポリエチレン製フィルムの融点以下の温度で熱処理する工程から選ばれる少なくとも1つの工程を、任意の順で複数回行なう請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のポリエチレン製フィルムの製造方法。
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