JP7083732B2 - 炭化タンタル被覆炭素材料及び半導体単結晶製造装置用部材 - Google Patents

炭化タンタル被覆炭素材料及び半導体単結晶製造装置用部材 Download PDF

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Description

本発明は、炭素基材表面に炭化タンタル膜を被覆した炭化タンタル被覆炭素材料、及び、この材料を用いた半導体単結晶製造装置用部材に関する。
炭化タンタルは、遷移金属炭化物の中で最も融点が高く(約3900℃)、化学的安定性、強度、靭性、耐食性にも優れている。このため、炭素基材表面に炭化タンタル膜を被覆した炭化タンタル被覆炭素材料は、Si(シリコン)、SiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)などの半導体単結晶製造装置に部材として用いられている。
SiCのバルク単結晶を製造する方法としては、昇華再結晶法(改良レーリー法)が広く知られている。昇華再結晶法では、ルツボ内部にSiC原料を充填し、その上部にSiC種結晶が配置される。また、SiC種結晶の周囲には筒状のガイド部材が設置される。SiC原料の加熱によって発生した昇華ガスは、ガイド部材の内壁に沿って上昇し、SiC種結晶でSiC単結晶が成長していく。
また、半導体デバイスなど用いられるSiC単結晶基板は、バルク単結晶から成るSiC基板上に、SiC単結晶をエピタキシャル成長させることによって、製造されている。SiC単結晶をエピタキシャル成長させる方法は、液相エピタキシー(LPE)法、気相エピタキシー(VPE)法、化学気相堆積(CVD)法などが知られている。通常、SiC単結晶をエピタキシャル成長させる方法は、CVD法である。CVD法によるエピタキシャル成長方法は、装置内のサセプタ上にSiC基板を載置し、1500℃以上の高温下で原料ガスを供給することで、SiC単結晶へ成長させている。
このようなSiC単結晶の製造方法において、より高品質な結晶を得るために、特許文献1には、黒鉛基材の内面を炭化タンタルで被覆したルツボを用いる方法が開示されている。また、特許文献2には、内壁を炭化タンタルで被覆したガイド部材を用いる方法が開示されている。
また、炭化タンタル被覆炭素材料における炭化タンタル被覆膜は、その配向性を制御することによって、特性の向上が試みられている。例えば、特許文献3では、炭化タンタルの(220)面を他の結晶面に対して特異的に発達させることによって耐食性や耐熱衝撃性の向上を図っている。
特開平11-116398号公報 特開2005-225710号公報 特開2008-308701号公報
金属炭化物は、その結晶面によって化学的活性(反応性)が異なることが知られている。炭化タンタルの(111)面、(220)面、(311)面、(222)面では、タンタル(Ta)と炭素(C)の原子密度が同等でないために、反応性が高くなると考えられる。
したがって、特許文献3に示されるような炭化タンタル被覆炭素材料を、半導体単結晶製造装置用部材として用いた場合には、炭化タンタル被覆膜の反応性が高いため、製品寿命が短くなることが懸念される。
そこで、本発明は、製品寿命の長い半導体単結晶製造装置用部材及び炭化タンタル被覆炭素材料を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明に係る炭化タンタル被覆炭素材料は、炭素基材表面の少なくとも一部を、炭化タンタルを主成分とした炭化タンタル被覆膜で被覆した炭化タンタル被覆炭素材料である。この炭化タンタル被覆炭素材料は、面外方向について(200)面に対応するX線回折線の強度が、他の結晶面に対応するX線回折線の強度よりも大きく、その強度比は全結晶面に対応するX線回折線の強度の和に対して60%以上であることを特徴とする。
このような構成によれば、炭化タンタル被覆炭素材料の製品寿命を長くすることができる。
本発明に係る炭化タンタル被覆炭素材料では、炭化タンタル被覆膜表面の算術平均粗さRaを3.5μm以下にするとよい。
本発明に係る炭化タンタル被覆炭素材料では、炭素基材表面の算術平均粗さRaを4.0μm以下にするとよい。
本発明に係る炭化タンタル被覆炭素材料では、炭化タンタル被覆膜中に含まれるタンタル原子数を、炭素原子数よりも多く、かつ炭素原子数の1.2倍以下にするとよい。
本発明に係る炭化タンタル被覆炭素材料では、炭化タンタル被覆膜は、塩素原子を0.01atm%以上、1.00atm%以下の原子濃度で含有するとよい。
本発明に係る半導体単結晶製造装置用部材は、炭化タンタル被覆炭素材料から構成される。この半導体単結晶製造装置用部材は、炭素基材表面の少なくとも一部を、炭化タンタルを主成分とした炭化タンタル被覆膜で被覆した部材であって、面外方向について(200)面に対応するX線回折線の強度が、他の結晶面に対応するX線回折線の強度よりも大きく、その強度比は全結晶面に対応するX線回折線の強度の和に対して60%以上であることを特徴とする。
このような構成によれば、炭化タンタル被覆炭素材料から構成される半導体単結晶製造装置用部材の製品寿命を長くすることができる。その結果、半導体単結晶の製造コストを低減することができる。
本発明に係る半導体単結晶製造装置用部材は、SiC単結晶の製造装置に用いられるとよい。
本発明に係る半導体単結晶製造装置用部材は、SiC単結晶を昇華再結晶法により製造するための装置に用いられるルツボ又はガイド部材であるとよい。
本発明に係る半導体単結晶製造装置用部材は、SiC単結晶を化学気相堆積法によりエピタキシャル成長させて製造するための装置に用いられるサセプタ又は内壁部材であってもよい。
本発明に係る半導体単結晶製造装置用部材は、炭化タンタル被覆膜表面にタンタル原子濃度の低い箇所を2箇所以上有していてもよい。
本発明に係る炭化タンタル被覆炭素材料の製造方法は、算術表面粗さRaが4.0μm以下である炭素基材を準備する工程と、炭化タンタル被覆膜で炭素基材の表面の少なくとも一部を被覆する工程とを備える。
このような構成によれば、炭素基材と炭化タンタル被覆膜との剥離強度を1MPa以上、かつ炭化タンタル被覆膜の(200)面に対応するX線回折線の強度比が、全体のX線回折線の強度和の60%以上である特徴を備えた、炭化タンタル被覆炭素材料を製造することができる。
本発明に係る炭化タンタル被覆炭素材料の製造方法では、準備する工程は、反応室内で炭素基材を支持する工程を有し、被覆する工程は、炭素原子を含む化合物及びハロゲン化タンタルを含む原料ガスを反応室内に供給する工程と、供給した原料ガスを熱CVD法で反応させて炭化タンタル被覆膜を形成する工程とを有するとよい。
本発明に係る炭化タンタル被覆炭素材料の製造方法では、炭素基材を、自転軸を中心に回転させながら炭化タンタル被覆膜を被覆するとよい。この方法において、自転軸を、公転軸を中心に公転させながら炭化タンタル皮膜を被覆してもよい。
本発明に係る炭化タンタル被覆炭素材料の製造方法では、原料ガスを供給する工程において、反応室内の温度を850℃以上、1200℃以下とするとよい。
本発明に係る炭化タンタル被覆炭素材料の製造方法では、原料ガスを供給する工程において、炭素原子を含む化合物をメタン(CH)とするとよく、ハロゲン化タンタルを五塩化タンタル(TaCl)とするとよい。そして、供給するメタンと五塩化タンタルの流量比を、2以上20以下とするとよい。
本発明に係る炭化タンタル被覆炭素材料の製造方法では、被覆する工程の後に、炭化タンタル被覆膜が形成された炭素基材をアニール処理する工程をさらに備えるとよい。
外熱型減圧CVD装置1の概略図を示す。 SiC単結晶を昇華再結晶法により成長させるための減圧加熱炉8の概略図を示す。 SiC単結晶をエピタキシャル成長させるためのCVD装置1の概略図を示す。 実施例1の炭化タンタル被覆膜のXRDパターンを示す。 実施例3の炭化タンタル被覆膜のXRDパターンを示す。 比較例1の炭化タンタル被覆膜のXRDパターンを示す。 比較例3の炭化タンタル被覆膜のXRDパターンを示す。 比較例4の炭化タンタル被覆膜のXRDパターンを示す。 炭素基材を自転させながら炭化タンタル被覆膜を形成する外熱型減圧CVD装置の構成を示す概略図である。 図10(a)は、炭素基材を自転及び公転させながら炭化タンタル被覆膜を形成する外熱型減圧CVD装置の構成を示す概略図である。図10(b)は、自転及び公転の様子を示す平面図である。
以下、本発明の実施形態について詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の炭化タンタル被覆炭素材料は、炭素基材と炭化タンタルを主成分とした炭化タンタル被覆膜から成り、炭素基材表面の少なくとも一部を炭化タンタル被覆膜で被覆したものである。
炭素基材4としては、等方性黒鉛、押出成形黒鉛、熱分解黒鉛、炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)などの炭素材料を用いることができる。その形状や特性は特に限定されず、用途などに応じた任意形状に加工して用いることができる。
炭化タンタルを主成分とした炭化タンタル被覆膜は、化学気相堆積(CVD)法、焼結法、炭化法などの方法により形成することができる。なかでも、CVD法は均一で緻密な膜を形成することができるため、炭化タンタル被覆膜の形成方法として好ましい。
さらに、CVD法には、熱CVD法や、光CVD法、プラズマCVD法などがあり、例えば熱CVD法を用いることができる。熱CVD法は、装置構成が比較的簡易で、プラズマによる損傷がないなどの利点がある。熱CVD法による炭化タンタル被覆膜の形成は、例えば、図1に示すような外熱型減圧CVD装置1を用いて行うことができる。
外熱型減圧CVD装置1では、ヒータ3、原料供給部6、排気部7などを備えた反応室2内で、炭素基材4は支持手段5によって支持される。そして、原料ガスとして、原料供給部6からメタン(CH)のような炭素原子を含む化合物と、五塩化タンタル(TaCl)のようなハロゲン化タンタルを供給する。ハロゲン化タンタルガスは、例えば、ハロゲン化タンタルを加熱気化させる方法、タンタル金属とハロゲンガスとを反応させる方法等により発生させることができる。続いて、原料供給部6から供給される原料ガスを900~1200℃、1~100Paの高温減圧下で熱CVD反応させ、炭素基材4上に炭化タンタル被覆膜を形成する。
炭化タンタル被覆膜は、炭化タンタルを主成分とするが、炭素、タンタル以外の原子を微少量含有していても構わない。具体的には、炭化タンタル被覆膜は、不純物元素やドーピング元素を1.0atm%以下含有していてもよい。
炭化タンタル被覆膜は、その用途や使用形態に応じて、炭素基材4表面の全部を被覆してもよいし、一部のみを被覆してもよい。また、炭化タンタル被覆膜は、複数回に分けて形成され、積層されていてもよい。1回目と2回目とで炭素基材4を支持する箇所を変えて成膜することにより、炭素基材4が露出した箇所やタンタル原子濃度の低い箇所を確実になくすことができるが、製造コストは増加する。
炭化タンタル被覆膜を形成するときに、炭素基材4を載置する位置がヒータ3の中心からずれていたり、ヒータ3が経時劣化などでその周方向の発熱分布が不均一になったりして、炭素基材4の表面温度が周方向に不均一になって成膜の不均一が生じることがある。この様な成膜量の分布を成膜中に平均化するために、炭素基材4をその自転軸を中心に自転させながら被覆してもよい。例えば、図9に示すように、鉛直軸を中心に支持手段5を回転させることが可能な構成とし、炭素基材4をその自転軸が支持手段5の回転軸と一致するように支持させる。そして、支持手段5を回転させながら炭化タンタル被覆膜を形成する。このようにすれば、炭素基材4の自転軸の周方向に均一な被覆膜を形成することができる。このように自転させながら被覆する手法は、炭素基材4の形状が回転体もしくは回転対称体のときに特に有効である。なお、炭素基材4が回転体もしくは回転対称体である場合には、炭素基材4の対称軸と自転軸とが一致するように配置することが好ましい。また更に、炭素基材4の形状や支持方法によって原料供給部6から噴出して排気部7で排出されるまでの反応室2内のガスの流れが異なる。このため、反応室2内に成膜物質の濃度分布が生じて、(自転によって成膜量を平均化しても)炭素基材4の成膜対象面の中に成膜しない位置が生じる事がある。そこで、炭素基材4の成膜対象面に余すところなく成膜物質が行き渡るようにするために、反応室2内の自転する炭素基材4に対するガスの流れを意図的に非対称(回転非対称または面非対称)としてもよい。これには、原料供給部6や排気部7を炭素基材4の自転軸の延長線上からずらした位置に設置するとよく、原料供給部6から噴出するガスが自転軸に対して傾斜θを持つ構成にしておき、角度θを調節してもよい。
また、炭素基材4をその自転軸を中心に自転させながら被覆する構成において、自転軸を別の公転軸を中心に公転させながら被覆膜を形成してもよい。例えば、図10(a)に示すように、鉛直軸を中心に回転可能な支持手段5を複数用意し、これらが共通の公転軸を中心に公転する構成としておき、炭素基材4を各支持手段5に支持させる。このようにして公転軌道上に自転する炭素基材4を複数配置し、図10(b)に示すようにそれぞれの炭素基材4を自転させつつ公転させながら炭化タンタル被覆膜を形成する。このようにすれば、各炭素基材に形成される被覆膜を均一に揃えることができる。このとき、炭素基材4の自転の回転速度が、公転の回転速度の整数倍ではない回転速度とするとよい(例えば、2.1倍、2.3倍など。)。このようにすると、炭素基材4の自転軸が1回公転して同じ公転角度位置になる毎に、炭素基材4の自転角度(要するに、ヒータ3に最接近する炭素基材の位置角度)を異ならせることができる。これにより、炭素基材4の成膜対称面における成膜の偏りを低減させることができる。ただし、自転の回転速度を公転の回転速度の非整数倍にする場合であっても、1回公転して炭素基材4の向きがちょうど180°ずれる回転比(例えば2.5倍)は2回公転すると炭素基材4の向きが元の位置(0°)に戻ってしまい、楕円形状の偏りが生じやすいので避ける方が好ましい。同様の理由で、1回公転したときの炭素基材4の向きが120°、90°、72°(または144°)、60°ずれる回転比も避ける方が好ましい。また、このとき、各炭素基材の成膜対称面に余すところなく成膜物質が行き渡るようにするべく、公転する炭素基材4に対するガスの流れを意図的に非対称としてもよい。これには、原料供給部6を公転軸に対してずらして、オフセットtを持つ構成にしておき、炭素基材4の形状や公転半径に応じて所望の被覆膜を形成するようにオフセットtを調整してもよい。また、公転軸や自転軸に対して傾斜を持たせてもよい。複数の炭素基材4のそれぞれ一部のみに被覆を施したい場合には、炭素基材4を自転させずに、公転のみを行って被覆することもできる。
本発明において、炭化タンタル被覆膜は、面外方向について(200)面に対応するX線回折線の強度が、他の結晶面に対応するX線回折線の強度よりも大きく、その強度比は全結晶面に対応するX線回折線の強度の和に対して60%以上である。
炭化タンタル被覆膜のX線回折線の強度は、X線回折装置(XRD)を用いた2θ/θ測定(アウトオブプレーン)によって、得られる。炭化タンタル結晶の(200)面に対応するピークは、2θ=40°付近に観測される。
この(200)面に対応するピーク強度が、他の結晶面に対応するピークよりも大きく、全結晶面に対応するピーク強度の和に対して60%以上の強度比であれば、炭化タンタル被覆炭素材料を用いた半導体単結晶製造装置用部材の製品寿命を長くすることができる。これは、炭化タンタルの(200)面では、炭素とタンタルの原子密度が同等であり、炭化タンタル被覆膜表面での反応性が低くなるためであると考えられる。
炭化タンタル被覆膜の(200)面に対応するX線回折線の強度や強度比は、種々の成膜条件によって決定される。熱CVD法を用いて炭化タンタル被覆膜を形成する場合は、反応室2内の反応温度を1000℃以上1200℃以下にすれば、(200)面に対応するX線回折線の強度が、他の結晶面に対応するX線回折線の強度よりも大きくなる傾向がある。また、成膜後に約2000~2500℃でアニール処理することによって(200)面に対応するX線回折線の強度が、他の結晶面に対応するX線回折線の強度よりも大きくなる傾向がある。さらに、反応室2内に供給される原料ガス(メタンと五塩化タンタル)の流量比が、(200)面に対応するX線回折線の強度に影響を与える。例えば、反応室2内に供給される原料ガスの流量比(CH/TaCl)を4.0~6.0とすると(200)面に対応するX線回折線の強度が大きくなる傾向がある。
炭素基材表面の算術平均粗さRaも、炭化タンタル被覆膜の(200)面に対応するX線回折線の強度や強度比に影響を与える。炭素基材表面の算術平均粗さRaは、その値が大きいほど、炭素基材4と炭化タンタル被覆膜との剥離強度が、大きくなる傾向があり好ましいが、一方で、(200)面に対応するX線回折線の強度比が小さくなる傾向がある。したがって、(200)面に対応するX線回折線の強度比の観点から、炭素基材表面の算術平均粗さRaは4.0μm以下であることが好ましい。
炭素基材4と炭化タンタル被覆膜との剥離強度及び炭化タンタル被覆膜の(200)面に対応するX線回折線の強度比をあわせて考慮すると、炭素基材4表面の算術平均粗さRaは、0.5μm以上4.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以上3.0μm以下であることがより好ましい。このようにすれば、炭素基材4と炭化タンタル被覆膜との剥離強度を1MPa以上で、炭化タンタル被覆膜の(200)面に対応するX線回折線の強度比を60%以上に容易にすることが可能である。
さらに、炭化タンタル被覆膜表面の算術平均粗さRaは3.5μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であることがより好ましい。炭化タンタル被覆膜表面の算術平均粗さRaの値が大きいと、半導体単結晶製造装置用部材としたときの製品寿命が短くなる場合がある。これは、炭化タンタル被覆膜表面の凹凸が少ない方が、表面積が小さく反応性が低いためであると考えられる。
成膜直後の炭化タンタル被覆膜表面の算術平均粗さRaは、炭素基材表面の算術平均粗さRaに応じて変動し、炭素基材表面の算術平均粗さRaよりもわずかに小さくなる傾向がある。炭化タンタル被覆膜表面の算術平均粗さRaは、研磨などを施すことによっても制御できるが、製造工程が増えるため、所望の炭化タンタル被覆膜表面の算術平均粗さRaに応じて、炭素基材4表面の算術平均粗さRaを選択することが好ましい。
上述したように、炭素基材4表面の算術平均粗さRaは、炭素基材4と炭化タンタル被覆膜との剥離強度に影響し、その値が小さすぎることは、好ましくない。そのため、炭化タンタル被覆膜表面の算術平均粗さRaは、炭素基材4表面の算術平均粗さRaに応じて、0.4μm以上であることが好ましく、0.8μm以上であることがより好ましい。
なお、ここでの算術平均粗さRaはJIS B 0633:2001(ISO 4288:1996)に基づいて測定した値である。
炭化タンタル被覆膜中に含まれるタンタル原子数は、炭素原子数よりも多く、炭素原子数の1.2倍以下であることが好ましく、1.05~1.15倍であることがより好ましい。すなわち、TaC(1.0<x≦1.2)で表される。
炭素原子数が多いと、炭化タンタル被覆膜中に炭素原子が多く存在することになる。炭素の方がタンタルよりも反応性が高いため、炭化タンタル被覆膜の反応性が高くなり、半導体単結晶製造装置用部材としたときの製品寿命が短くなってしまう。一方、タンタル原子数を多くすれば、炭素原子が減り、炭化タンタル被覆膜の反応性を低くすることができ、半導体単結晶製造装置用部材としたときの製品寿命も長くなる。
また、炭化タンタル被覆膜中に含まれる塩素原子の原子濃度が、0.01atm%以上1.00atm%以下であることが好ましく、0.02atm%以上0.06atm%以下であることがさらに好ましい。塩素原子の原子濃度が高すぎると炭化タンタル被覆膜の特性に影響を与えるため好ましくないが、ある程度塩素原子の原子濃度を含有させることによって、被覆膜中の鉄などの不純物金属濃度を低下させることが可能となる。
また、本発明の半導体単結晶製造装置用部材は、炭素基材4表面の少なくとも一部が、炭化タンタルを主成分とした炭化タンタル被覆膜で被覆した炭化タンタル被覆炭素材料から構成される。この炭化タンタル被覆膜は、面外方向について(200)面に対応するX線回折線の強度が、他の結晶面に対応するX線回折線の強度よりも大きく、その強度比は全結晶面に対応するX線回折線の強度の和に対して60%以上である。
このような半導体単結晶製造装置用部材であれば、半導体単結晶の成長過程において、部材に半導体単結晶が付着することを抑制し、製品寿命を長くすることができる。これは、炭化タンタルの(200)面では、炭素とタンタルの原子密度が同等であり、他の結晶面よりも反応性が低くなるためであると考えられ、この効果は成長させる半導体単結晶の種類や製造方法に限定されない。
一方で、炭化タンタルは、炭化ケイ素(SiC)への濡れ性が低く、部材の長寿命化が期待できることから、従来から、炭化タンタル被覆炭素材料は、SiC単結晶の製造装置用部材として用いられている。したがって、SiC単結晶を昇華再結晶法により製造するための装置に用いられるルツボ12やガイド部材9、SiC単結晶をCVD法によりエピタキシャル成長させて製造するための装置に用いられるサセプタ21や内壁部材18として特に有用である。
半導体単結晶製造装置用部材は、例えば、その部材形状に加工した炭素材料を炭素基材4として、その表面に炭化タンタルを主成分とした炭化タンタル被覆膜で被覆することによって得られる。必要に応じて、さらなる加工を施したり、他の材料などを組み合わせたりして用いてもよい。
炭化タンタル被覆膜を炭素基材4に被覆する際には、前述したような方法を用いることができ、例えば熱CVD法を用いることができる。
このとき、炭素基材4を支持するための支持手段5は、先端が尖った形状の支持部を有し、この支持部の先端で炭素基材4を2箇所以上で支持することが好ましく、3箇所で支持することがより好ましい。このようにすれば、支持部先端と、炭素基材4との接触面積を最小にすることができ、炭素基材4全面を炭化タンタル被覆膜で被覆する場合も1回の被覆工程で済み、製造コストを低減することができる。
しかしながら、このような支持箇所付近は、炭化タンタル被覆膜で被覆はされるもののタンタル原子濃度は低くなってしまう。このような箇所がルツボ12又はガイド部材9の内側にある場合、成長させるSiC単結晶の品質に影響を及ぼす懸念がある。そのため、このようなタンタル原子濃度の低い支持箇所をルツボ12又はガイド部材9の外側に設けることが好ましい。このようにすれば、成長させるSiC単結晶の品質に影響を与えない。
また、半導体単結晶製造装置用部材は複数回にわたって繰り返し用いられることから、炭化タンタル被覆膜の結晶性は、半導体単結晶の成長過程で変異しないことが好ましい。例えば、昇華再結晶法によりSiC単結晶を成長させる場合は、1.0×10Pa以下の不活性雰囲気下で2500℃に加熱した場合も、炭化タンタル被覆膜は、(200)面に対応するX線回折線の強度が、他の結晶面に対応するX線回折線の強度よりも大きく、その強度比は全結晶面に対応するX線回折線の強度の和に対して60%以上であることが好ましい。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〈実施例1〉
まず、等方性黒鉛を、円錐台筒形状(ガイド部材9)、有底円筒形状(ルツボ12)、円盤形状(サセプタ21)、及び円筒形状(内壁部材18)に加工し、それらを炭素基材4とした。これらの炭素基材4表面の算術平均粗さRaは、0.5μmとした。
次に、炭素基材4を外熱型減圧CVD装置1の反応室2内に載置した。炭素基材4は、先端が尖った形状の支持部を3つ有する支持手段5によって支持された。このとき、支持部の先端は、円錐台筒状の炭素基材4については外側表面、有底円筒形状については炭素基材4の外側表面、円盤形状については下側表面、円筒形状については外側表面に接触していた。
続いて、原料供給部6から、メタン(CH)ガスを0.5SLM、キャリヤーガスとして、アルゴン(Ar)ガスを1.5SLM、温度120~220℃に加熱して気化させた五塩化タンタル(TaCl)を0.1SLM供給し、気圧10~100Pa、反応室2内温度1100℃で反応させて、炭素基材4全面に膜厚30μmの炭化タンタル被覆膜を形成した。
反応室2から、炭化タンタル被覆膜で被覆された炭素基材4を取出し、炭化タンタル被覆炭素材料からなるルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を完成させた。
作製したルツボ12とガイド部材9について、XRD装置(株式会社リガク製RINT-2500VHF)を用いて、2θ/θ測定(アウトオブプレーン)を行った。その結果、炭化タンタル被覆膜の(200)面に対応するX線回折線の強度が、他の結晶面に対応するX線回折線の強度よりも大きく、その強度比は全結晶面に対応するX線回折線の強度の和に対して96.4%であることがわかった。
また、炭化タンタル被覆膜表面について、株式会社ミツトヨ製サーフテストSJ-210を用いて、算術平均粗さRaを測定した。この結果、炭化タンタル被覆膜表面の算術平均粗さRaは、0.4μmであった。
さらに、グロー放電質量分析法(GDMS)により、炭化タンタル被覆膜中の不純物濃度を評価した。その結果、炭化タンタル被覆膜中に塩素が0.050atm%、鉄が0.02atm%含有されていることがわかった。この分析は、V.G.Scientific社製VG9000、Element GD、Astrumを用いて行なった。なお、支持部先端と接触していた3箇所の周辺は、タンタル原子濃度が低くなっていることを確認した。
図2に示すような減圧加熱炉8内に作製したルツボ12とガイド部材9を設置して、昇華再結晶法によりSiC単結晶を成長させた。ルツボ12内にはSiC原料15を入れ、その上部には直径2インチのSiC種結晶16を設置した。減圧加熱炉8内にアルゴンガスを10~30slmで流入させ、気圧500~1000Pa、温度2000~2500℃とし、SiC原料15を昇華させて、SiC種結晶16上に厚さ5mmのSiC単結晶を成長させた。
SiC単結晶の製造を複数回繰り返して、ルツボ12とガイド部材9にSiC結晶が付着する回数を確認した。その結果、23回使用後にSiC結晶の付着が確認され、新しい部材に取り換える必要性が生じた。
図3に示すようなCVD装置17に、作製したサセプタ21と内壁部材18を設置して、CVD法によりSiC単結晶をエピタキシャル成長させた。サセプタ21上にバルク単結晶から基板形状に加工したSiC単結晶基板24を載置した。CVD装置内にモノシラン(SiH)を30sccm、プロパン(C)を70sccmで流入させ、気圧45Torr、温度1550℃とし、基板上にSiC単結晶をエピタキシャル成長させた。
SiC単結晶の製造を複数回繰り返して、サセプタ21と内壁部材18にSiC結晶が付着する回数を確認した。その結果、94回使用後にSiC結晶の付着が確認され、新しい部材に取り換える必要性が生じた。これらの条件及び結果を表1に示す。
〈実施例2〉
炭素基材4表面の算術平均粗さRaを1.0μmとした以外は、実施例1と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製し、その評価を行なった。その結果を表1に示す。
〈実施例3〉
炭素基材表面の算術平均粗さRaを2.0μmとした以外は、実施例1と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製し、その評価を行なった。その結果を表1に示す。
〈実施例4〉
炭素基材4表面の算術平均粗さRaを3.0μmとした以外は、実施例1と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製し、その評価を行なった。その結果を表1に示す。
〈実施例5〉
炭素基材4表面の算術平均粗さRaを4.0μmとした以外は、実施例1と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製し、その評価を行なった。その結果を表1に示す。
〈実施例6〉
まず、実施例3と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製した。これらのルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18の炭化タンタル被覆膜表面を荒らして、その算術平均粗さRaを3.8μmとした。評価は実施例1と同様に行なった。その結果を表1に示す。
〈実施例7〉
まず、実施例3と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製した。これらのルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18の炭化タンタル被覆膜表面を荒らして、その算術平均粗さRaを3.4μmとした。評価は実施例1と同様に行なった。その結果を表1に示す。
〈実施例8〉
まず、実施例3と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製した。これらのルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18の炭化タンタル被覆膜表面を荒らして、その算術平均粗さRaを2.8μmとした。評価は実施例1と同様に行なった。その結果を表1に示す。
〈実施例9〉
まず、実施例3と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製した。これらのルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18の炭化タンタル被覆膜表面を荒らして、その算術平均粗さRaを2.2μmとした。評価は実施例1と同様に行なった。その結果を表1に示す。
〈実施例10〉
まず、実施例3と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製した。その後、2500℃でアニール処理を行なった。評価は実施例1と同様に行なった。その結果を表1に示す。
実施例10の炭化タンタル被覆膜中の塩素原子の濃度は0.009atm%で、鉄原子の濃度は0.10atm%であり、実施例3と比較して鉄の含有量が多いことがわかった。
〈実施例11〉
炭化タンタル被覆膜の成膜温度を950℃とした以外は、実施例3と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製した。その後、2500℃でアニール処理を行なった。評価は実施例1と同様に行なった。その結果を表1に示す。
実施例11の炭化タンタル被覆膜は、アニール処理前は(220)面に対応するX線回折線の強度が、他の結晶面に対応するX線回折線の強度よりも大きかったが、アニール処理後には(200)面に対応するX線回折線の強度が、他の結晶面に対応するX線回折線の強度よりも大きくなり、その強度比は全結晶面に対応するX線回折線の強度の和に対して65.4%であった。また、アニール処理によって、炭化タンタル被覆膜中の塩素原子の濃度は0.009atm%で、鉄濃度は0.10atm%であり、実施例3と比較して鉄の含有量が多いことがわかった。
〈実施例12〉
炭化タンタル被覆膜の成膜回数を2回にした以外は、実施例3と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製し、その評価を行なった。その結果を表1に示す。
このとき、1回目と2回目とでは炭素基材4の支持箇所を変えて成膜を行った。1回目の成膜時に支持部先端と接触していた3箇所の周辺では、タンタル原子濃度は低くなっていなかった。また、2回目の成膜時に支持部先端と接触していた3箇所の周辺では、表面近傍のタンタル原子濃度は低くなっていたが、炭素基材4近傍の炭化タンタル被覆膜のタンタル原子濃度は低くなっていなかった。
〈実施例13〉
基材の回転対称軸を自転軸として基材を自転できる構成とし、自転軸の延長線上に原料供給部を配置した。そして、CH流量を0.2SLMかつ成膜温度を1200℃にして基材を自転させながら成膜した。それ以外は、実施例1と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製し、その評価を行なった。その結果を表1に示す。
〈実施例14〉
基材の回転対称軸を自転軸として自転させるようにした基材を2組用意した。それぞれの基材の自転軸が公転半径180mmの公転軌道上に互いの自転軸が公転軸に対して対称の位置になるように配置し、公転軸の延長線上に原料供給部を配置した。そして、CH流量を0.75SLMにして各基材を自転させつつ公転させながら成膜した。それ以外は、実施例1と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製し、その評価を行なった。その結果を表1に示す。
〈実施例15〉
基材の回転対称軸を自転軸として自転させるようにした基材を2組用意した。それぞれの基材の自転軸が公転半径180mmの公転軌道上に互いの自転軸が公転軸に対して対称の位置になるように配置し、公転軸の延長線上に原料供給部を配置した。そして、CH流量を1.0SLMにして各基材を自転させつつ公転させながら成膜した。それ以外は、実施例1と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製し、その評価を行なった。その結果を表1に示す。
〈実施例16〉
基材の回転対称軸を自転軸として自転させるようにした基材を2組用意した。それぞれの基材の自転軸が公転半径180mmの公転軌道上に互いの自転軸が公転軸に対して対称の位置になるように配置した。そして、CH流量を1.25SLMにして各基材を自転させつつ公転させながら成膜した。それ以外は、実施例1と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製し、その評価を行なった。その結果を表1に示す。
〈実施例17〉
基材の回転対称軸を自転軸として自転させるようにした基材を3組用意した。それぞれの基材の自転軸が公転半径180mmの公転軌道上に等間隔に(すなわち公転軸に対して120°間隔に)配置し、公転軸の延長線上に原料供給部を配置した。そして、CH流量を2.0SLMかつ成膜温度を850℃にして各基材を自転させつつ公転させながら成膜した。それ以外は、実施例1と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製し、その評価を行なった。その結果を表1に示す。
〈実施例18〉
基材の回転対称軸を自転軸として自転させるようにした基材を2組用意した。それぞれの基材の自転軸が公転半径180mmの公転軌道上に互いの自転軸が公転軸に対して対称の位置になるように配置し、原料供給部が公転軸に対して20°の角度をなしかつ原料供給部の噴出口が公転軸の延長線上に開口するように配置した。そして、CH流量を0.1SLMにして各基材を自転させつつ公転させながら成膜した。それ以外は、実施例1と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製し、その評価を行なった。その結果を表1に示す。
〈実施例19〉
基材の回転対称軸を自転軸として自転させるようにした基材を3組用意した。それぞれの基材の自転軸が公転半径180mmの公転軌道上に等間隔に(すなわち公転軸に対して120°間隔に)配置し、原料供給部が公転軸に対して20°の角度をなしかつ原料供給部の噴出口が公転軸の延長線上から180mm離れた位置に開口するように配置した。CH流量を4.0 SLMにして各基材を自転させつつ公転させながら成膜した。それ以外は、実施例1と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製し、その評価を行なった。その結果を表1に示す。
〈比較例1〉
炭素基材4表面の算術平均粗さRaを4.5μmとした以外は、実施例1と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製し、その評価を行なった。その結果を表1に示す。
〈比較例2〉
まず、比較例1と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製した。これらのルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、内壁部材18の炭化タンタル被覆膜表面を研磨して、その算術平均粗さRaを1.8μmとした。評価は実施例1と同様に行ない、その結果を表1に示す。
〈比較例3〉
CHガスの流量を5SLMとした以外は、実施例3と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製し、その評価を行なった。その結果を表1に示す。
〈比較例4〉
炭化タンタル被覆膜の成膜温度を950℃とした以外は、実施例3と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製し、その評価を行なった。その結果を表1に示す。
〈比較例5〉
炭化タンタル被覆膜の成膜温度を750℃とした以外は、実施例3と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製し、その評価を行なった。その結果を表1に示す。
〈比較例6〉
成膜時のCH流量を0.09SLMにした以外は、実施例3と同様の方法でルツボ12、ガイド部材9、サセプタ21、及び内壁部材18を作製し、その評価を行なった。その結果を表1に示す。
Figure 0007083732000001
実施例1から実施例12までの結果と、比較例1から比較例4までの結果とを比較すると、炭化タンタル被覆膜の(200)面に対応するX線回折線の強度が、他の結晶面に対応するX線回折線の強度よりも大きく、その強度が全結晶面に対応するX線回折線の強度の和に対して60%以上である場合、炭化タンタル被覆炭素材料の製品寿命が、長くなることが分かった。
実施例1から実施例5までの結果から、炭素基材4表面の算術平均粗さRaを4.0μm以下にすることによって、炭化タンタル被覆膜の(200)面に対応するX線回折線の強度が、全結晶面に対応するX線回折線の強度の和に対して60%以上になり、炭化タンタル被覆炭素材料の製品寿命が長くできることが分かった。
一方で、実施例1から実施例5までの結果から、炭素基材4表面の算術平均粗さRaが大きくなると、炭素基材4と炭化タンタル被覆膜との剥離強度も大きくなることが分かった。炭素基材4と炭化タンタル被覆膜との剥離強度が1MPaよりも小さい場合、被覆膜が剥離しやすく、炭化タンタル被覆炭素材料を半導体単結晶製造装置用部材として適用するには好ましくない。炭素基材4と炭化タンタル被覆膜との剥離強度が1MPa以上にするためには、炭素基材4表面の算術平均粗さRaを、0.4μm以上にすることが好ましく、0.8μm以上とすることがより好ましい。
実施例6から実施例9までの結果から、半導体単結晶製造装置に用いる炭化タンタル被覆炭素材料の製品寿命を長くするには、炭化タンタル被覆膜のRaが小さい方が好ましく、Raを3.5μm以下とするのがより好ましいといえる。
比較例1と、比較例2とを比較すると、炭化タンタル被覆膜の(200)面に対応するX線回折線の強度が同一の場合でも、タンタル被覆膜を研磨するなどして、炭化タンタル被覆膜の算術平均粗さRaを小さくすることで、製品寿命が長くなることが分かった。
実施例3と比較例4とを比較すると、炭化タンタルを炭素基材4に被覆する工程で、反応室2内の温度を1000℃よりも大きくすることによって、その上に被覆する、炭化タンタル結晶の(200)面に対応するX線回折線の強度が大きくなり、それに応じて、製品寿命が長くなることが分かった。また、実施例17と比較例5とを比較すると、メタンの五塩化タンタルに対する流量比を20倍に高めると、反応室2内の温度が850℃以上であれば(200)面のピーク強度を大きくできることが分かった。一方、反応温度を高くし過ぎると、炭化タンタルの結晶系が針状結晶に変化して、(200)面のピーク強度が低下するため、反応温度は1200℃以下とするのが好ましい。以上の結果から、炭化タンタル被覆炭素材料の製品寿命を向上させるためには、温度を850℃以上1200℃以下にするとよいことが分かった。
実施例11と比較例4とを比較すると、炭化タンタルを被覆した炭素基材4をアニール処理する工程で、アニール処理の温度を2500℃にすることによって、炭化タンタル結晶の(200)面に対応するX線回折線の強度が大きくなり、製品寿命が長くなることが分かった。
以上の結果から、炭化タンタル被覆炭素材料の製品寿命を向上させるためには、アニール処理の温度を2500℃にするとよいことが分かった。
実施例3と、比較例3とを比較すると、原料ガスに占める五塩化タンタルの割合が少ないと(200)面のピーク強度が低下する傾向があり、原料ガスにおけるメタンと五塩化タンタルの流量比(CH/TaCl)を5程度とするとよいことが分かった。また、実施例13~19及び比較例6の結果から、原料ガスにおけるメタンと五塩化タンタルの流量比(CH/TaCl)は2以上20以下とするとよいことが分かった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1 外熱型減圧CVD装置
2 反応室
3 ヒータ
4 炭素基材
5 支持手段
6 原料供給部
7 排気部
8 減圧加熱炉
9 ガイド部材
10 ガイド部材内側表面
11 ガイド部材外側表面
12 ルツボ
13 ルツボ内側表面
14 ルツボ外側表面
15 SiC原料
16 SiC種結晶
17 外熱型減圧CVD装置
18 内壁部材
19 内壁部材内側表面
20 内壁部材外側表面
21 サセプタ
22 サセプタ内側表面
23 サセプタ外側表面
24 SiC単結晶基板

Claims (9)

  1. 炭素基材表面の少なくとも一部を、炭化タンタルを主成分とした炭化タンタル被覆膜で被覆した炭化タンタル被覆炭素材料であって、
    炭化タンタル被覆膜は、面外方向について(200)面に対応するX線回折線の強度が、他の結晶面に対応するX線回折線の強度よりも大きく、その強度比は全結晶面に対応するX線回折線の強度の和に対して60%以上であり、
    前記炭化タンタル被覆膜表面の算術平均粗さRaが3.5μm以下であることを特徴とする炭化タンタル被覆炭素材料。
  2. 前記炭素基材表面の算術平均粗さRaが4.0μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の炭化タンタル被覆炭素材料。
  3. 前記炭化タンタル被覆膜中に含まれるタンタル原子数は、炭素原子数よりも多く、炭素原子数の1.2倍以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化タンタル被覆炭素材料。
  4. 前記炭化タンタル被覆膜は、塩素原子を0.01atm%以上1.00atm%以下の原子濃度で含有することを特徴とする請求項1に記載の炭化タンタル被覆炭素材料。
  5. 炭素基材表面の少なくとも一部を、炭化タンタルを主成分とした炭化タンタル被覆膜で被覆した炭化タンタル被覆炭素材料から構成される半導体単結晶製造装置用部材であって、
    前記炭化タンタル被覆膜は、面外方向について(200)面に対応するX線回折線の強度が、他の結晶面に対応するX線回折線の強度よりも大きく、その強度比は全結晶面に対応するX線回折線の強度の和に対して60%以上であり、
    前記炭化タンタル被覆膜表面の算術平均粗さRaが3.5μm以下であることを特徴とする半導体単結晶製造装置用部材。
  6. 前記半導体単結晶製造装置用部材は、SiC単結晶の製造装置に用いられることを特徴とする請求項に記載の半導体単結晶製造装置用部材。
  7. 前記半導体単結晶製造装置用部材は、SiC単結晶を昇華再結晶法により製造するための装置に用いられるルツボ又はガイド部材であることを特徴とする請求項に記載の半導体単結晶製造装置用部材。
  8. 前記半導体単結晶製造装置用部材は、SiC単結晶を化学気相堆積法によりエピタキシャル成長させて製造するための装置に用いられるサセプタ又は内壁部材であることを特徴とする請求項に記載の半導体単結晶製造装置用部材。
  9. 前記半導体単結晶製造装置用部材は、前記炭化タンタル被覆膜表面にタンタル原子濃度の低い箇所を2箇所以上有していることを特徴とする請求項6からの何れかに記載の半導体単結晶製造装置用部材。
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