以下、図面に示す実施の形態により、本発明を詳細に説明する。
図1ないし図14の本発明の第1の実施の形態において、1は本発明のペット用冷房器本体で、このペット用冷房器1は、ペットが載って涼むことができる冷却できる板2、この冷却できる板2の下面に冷却面を密着させて冷却するペルチェ素子4、このペルチェ素子4の放熱面に密着してペルチェ素子の熱を放熱する放熱板3、この放熱板3の熱を空気中に放熱する放熱筒5から構成されている。
さらに、本体の台と冷却できる板の断熱を兼ねた台兼断熱材7と、ペルチェ素子4を駆動する電気の受け口となるスイッチボックス6と、電源8が主な構成要因である。
2は、冷却できる板で、この上にペットが寝そべってヒンヤリ感を感じながら涼むことができる。下面にペルチェ素子の吸熱面が圧着されていて、ペットが載らない時には気温より数℃低い温度を保ち、ペットが載るとペットの体熱を吸熱する。材質はアルミニウムで腐食を防止するためにメッキ処理やアルマイト処理をする。大きさは対象になるペットが寝そべることができる大きさであり厚さはペットが載っても撓まず変形しない厚さである。ハムスターやハリネズミなら2mm以上、小型のイヌ・ネコ・ウサギなどであれば3mm以上が望ましく、大きなペットであれば4mm以上が望ましい。
3は、放熱板であり、下からペルチェ素を挟み込む位置にある。ペルチェ素子の下面の放熱面に圧着している。放熱板の一方が冷却できる板2の外側まで延びてL字状に立ち上がって放熱筒5になっている。材質はメッキ処理したアルミニウム板を用いる。厚さは2mmから3mmである。
4は、ペルチェ素子であり、本発明のペルチェ素子取り付け手段によって、冷却できる板2と放熱板3によって挟まれて押し付けられて両面を圧着している。ペルチェ素子のリード線は図面では省略しているが、スイッチボックスまで伸ばしている。ペルチェ素子は40ワット級以上のものが望ましく、余計な熱の発生をさせないために9ボルト以下の低電圧で駆動する。ペルチェ素子の防水対策は重要である。
5は、放熱筒であり放熱板がL字型に立ち上がった部分である。本発明の第1の実施の形態の放熱筒は放熱区画15が6本なので、筒状の一部に形成した放熱板3と、放熱筒仕切り板14と、放熱筒外板16との組み合わせで放熱筒となる。
6は、スイッチボックスであり外部電源の受け口やスイッチ、表示ランプ、などが備わっている。スイッチボックスの場所は、ペットが悪戯しない場所に配置するのが良く、本発明の第1の実施の形態の場合は放熱筒の背面に設けてある。
7は、台兼断熱材であり、ペット用冷房器本体の台になり、冷却できる板の下面が空気に触れると冷却能率が劣化するので、冷却できる板下面の断熱の役割も兼ねる。材質は発泡スチロールあるいは発泡ウレタンなどの断熱材を使用して、外壁はステンレスのカバーを備えているが、材質形状を限定しない。
8は、電源であり、本発明の第1の実施の形態ではACアダプターを使用している。ACアダプターは市販のもので、電圧は5ボルトと3ボルトを使用しているが3.3ボルトでも良い。
次に、ペルチェ素子取り付け手段について詳しく説明する。
図11がペルチェ素子取り付け手段の説明図である。このペルチェ素子4の熱作用面40の外側部43よりも中央部に強い押しつけ力38が生じるように前記冷却できる板2と前記放熱板3を押し付けるペルチェ素子取り付け手段である。
ペルチェ素子4に対して、板状の放熱板の裏から放熱板を押し付けるので、ペルチェ素子を破損させるような力のかかり方が起きない。しかも、押しつけ力分布グラフ39のように、必要十分な押しつけ力を掛けることができる。さらに、発熱が最も高くなるペルチェ素子の中心部に必要十分な押しつけ力を掛けることができる。
なお、ペルチェ素子を挟み込むのは冷却できる板2と放熱板3であるが、撓むのはもっぱら放熱板3の方であることを前提にしている。その理由は、冷却できる板はペットが載ったり、時には人が踏みつけたりする可能性があるので、十分な厚さを備えているからであり、撓まないあるいは撓みにくい厚さにしてあるからである。
図12が第1の実施の形態のペルチェ素子取り付け手段である。構成は、放熱板3をペルチェ素子4に押し付ける押し付け片21と、押し付け片に撓む力で押しつけ力を加える押し付け弾性体22と、押し付け弾性体をペルチェ素子の方向に撓ませる押し付け弾性体牽引ボルト23と、押しつけ力調整ナット24である。
図13が第1の実施の形態全体の中のペルチェ素子取り付け手段の位置を説明している正面図の断面図である。
図14が第1の実施の形態全体の中のペルチェ素子取り付け手段の位置を説明している下面図である。押し付け弾性体は円盤状である。
第1の実施の形態のペルチェ素子取り付け手段の実施例の断面図は図7である。21は、押し付け片である。ペルチェ素子4の放熱面42の中心位置に向けて放熱板3を、ペルチェ素子に対して放熱板の裏から押しつける。押し付け片の材質は、温度の高い放熱板に強く押し付けても変形しない材質であってかつ断熱性の高い材質が望ましく、本発明の第1の実施の形態においては、塩ビ板あるいはアクリル板などの硬質の合成樹脂を使用している。
22は、押し付け弾性体である。バネ性の板で、撓む力で前記の押し付け片21を放熱板3に押し付ける。本発明の第1の実施の形態では4か所を押し付け弾性体牽引ボルトで支えている。材質はバネ性の高いステンレス板を使用している。
23は、押し付け弾性体牽引ボルトである。冷却できる板2側に固定されていて、放熱板3を突き抜けて、押し付け弾性体22も突き抜けていて、24の押し付け力調節ナットとの組み合わせで、押し付け弾性体をペルチェ素子側に引き寄せて撓ませている。本発明の第1の実施の形態では図のように、ペルチェ素子の四辺の近い位置に4本備えている。
24は押し付け力調節ナットである。4本の押し付け弾性体牽引ボルトと組み合わせて、押し付け弾性体22を押し付け片21の方向に撓ませて、押しつけ力を調整している。
なお、押し付け弾性体牽引ボルトは温度が低い冷却できる板2と温度が高い放熱板3及び押し付け弾性体22にまたがっているので、放熱側73の熱が冷却できる板に及ばないように断熱手段を設けている。以下に、押し付け弾性体牽引ボルト周辺の断熱手段を説明する。
図8は押し付け弾性体牽引ボルト周辺の拡大図である。押し付け弾性体牽引ボルト23の周辺部の断熱構造を拡大して説明している。放熱板3は温度が高く、押し付け弾性体も温度が高いので、押し付け弾性体牽引ボルトが前記2か所を突き抜ける場所で、断熱が必要であり、図8がその断熱構造である。29は断熱パイプであり本発明の第1の実施の形態では図より20パーセントほど長い弾性のあるシリコン樹脂のパイプを使用している。押し付け弾性体を撓ませて取り付けるときに隙間ができないようにしている。28は、断熱ブッシュである。強い力で押し付け弾性体を撓ませるので、強度が求められる。27は、断熱ワッシャである。26は、ワッシャであり、押し付け弾性体を強い力で撓ませるために断熱ブッシュなどを支えている。25はスプリングワッシャである。
ペルチェ素子取り付け手段は図のように撓む程度に薄い放熱板を放熱手段として使用できる。押しつけ力を調節は、放熱板が厚くあるいは剛性が高く撓みが少ない放熱板の場合には、押し付け片は図10よりもさらに小さくても良く、薄いあるいは銅板のように剛性が低く撓みやすい放熱板の場合は、押し付け片を大きくして、ペルチェ素子の熱作用面中心部に押しつけ力が集中しすぎないようにすると良い。熱作用面への放熱板のおしつけ力分布は、放熱板の厚さと、放熱板の撓み具合と、押し付け片が放熱板を押し付ける面積の広さで調整できる。
押しつけ力の調整は、押し付け弾性体22のバネの強さと、押し付け力調節ナット24の締め付け方、つまり押し付け弾性体を撓ませる量で調整する。
次に本発明の第1の実施の形態の放熱筒を、図6と図9で説明する。
5は、放熱筒であり、放熱板3の一部がL字状に立ち上がって構成されている。3は、放熱板であり放熱筒まで延びていて、ペルチェ素子の熱を放熱筒内に導いている。14は、放熱筒仕切り板であり、放熱筒の中を区切って複数の放熱区画を作っている。また、放熱板側に接していて、放熱板の熱を分散させる役割も担う。したがって熱伝導率の高い材料を使用すると良く本発明の第1の実施の形態では、アルミニウム板と銅板を用いている。15は、放熱区画であり本発明の第1の実施の形態では、6本の放熱区画を持っている。16は、放熱筒外板であり、放熱筒内の熱の分散を担っている。材質はメッキ処理・アルマイト処理をしたアルミニウ板を用いている。怖がるペットがいるので、光沢を少なくする方が良い。
50は、空気吸い込み口であり、冷却用の空気を吸い込む。吸い込む力は放熱区画内の暖まった空気が上昇する気流による。また、吸い込み口はペルチェ素子周辺に漂う暖かい空気を吸い込む方向にも開口していて、ペットの周りに暖かい空気が及ばないようにしている。51は、空気排出口であり、寝そべるペットより上に開口して、排出する暖かい空気がペットに当たらないように、ペットの上方に排出するように開口している。
図10で、本発明の第1の実施の形態の働きを説明する。
冷却できる板2を冷やしているペルチェ素子4が出す熱はペットの体熱とペルチェ素子の動作熱の合計の熱55である。この熱は放熱板3に移り温度の低い放熱筒5の先端に向けて移動しながら、放熱筒内の空気を温める。放熱筒内で熱を含んだ空気57は上昇して情報に吐き出される。この時の上昇気流で放熱筒下部に開口した空気吸い込み口から、空気52を吸い込む。併せて、熱気が溜まりやすい領域59に漂う暖かい空気53も吸い込む。このようにして、ペットの体熱を空気中に放熱して、冷却できる板のヒンヤリ感を持続させている。
次に、図15ないし図25の本発明の第2の実施の形態において、1Aは、本発明の第2の実施の形態のペット用冷房器本体である。
10は、冷却できる板の熱伝達促進板であり、ペルチェ素子の冷却面と冷却できる板の間に有って冷却できる板に張り付けられている、熱伝達促進板は冷却できる板よりも熱伝達率の高い材料を使用するのが望ましい。本実施例ではメッキ処理した銅板を用いている。冷却できる板に載ったペットの体熱を、最も温度か低いペルチェ素子の冷却面に早く大量に運ぶ役割を担う。また、大型のペット用冷房器は冷却できる板3が広くなるのでペルチェ素子に近い場所と遠い場所で温度差が大きくなるので、この温度差と温度ムラを少なくすることができる。
11は、放熱板の熱伝達促進板であり、ペルチェ素子の放熱面と放熱板の間に有って放熱板に張り付けられている。材質は放熱板よりも熱伝達率の高い材料を使用するのが望ましく本実施例では10と同じくメッキ処理した銅板を用いている。
5Aは放熱板の熱伝達促進板11を放熱筒まで延長させた放熱筒の熱伝達促進板を備えた放熱筒であり、ペルチェ素子の熱を、最も温度が低い放熱筒の空気排出口51付近まで早く大量に運ぶことができるので、放熱板及び放熱筒全体の温度を下げることができ、したがって、冷却できる板の冷却力を高めることができる。
冷却できる板の熱伝達促進板10と放熱板の熱伝達促進板11の形状と位置の例は図16ないし図19に破線で表している。又、図20は図17のローマ数字の1-1線に沿う断面図を用いて、請求項3の熱伝達促進板を表している。熱伝達促進板の形状と配置位置は、ペットの冷房器の大きさ、冷却できる板と放熱板の厚さ、材質などで調整する。
図21は図17のローマ数字の1-1線に沿う断面図を用いて、請求項4の熱伝達促進板を表している。
図22は図17のローマ数字の1-1線に沿う断面図であり、本発明の第2の実施の形態を説明している。
図23は本発明の第2の実施の形態のペルチェ素子取り付け手段拡大図である。基本的な構造は本発明の第1の実施の形態のペルチェ素子取り付け手段と同じである。差異は、ペルチェ素子4と冷却できる板2の間に冷却できる板に張り付けた冷却できる板の熱伝達促進板10があることと、ペルチェ素子と放熱板3の間に放熱板に張り付けた放熱板の熱伝達促進板があることである。放熱板の熱伝達促進板は放熱板に張り付いた状態で放熱筒に伸びている。
アルミニウム製の冷却できる板と放熱板それぞれに銅製の熱伝達促進板を張り付けた構造は、衝撃などの外部の力に強くかつ熱伝導率の高いアルミニウムの性質と、剛性は劣るがアルミニウムより高い熱伝導率の銅の性質を併せ持つ。
なお、この熱伝達促進板は冷却できる板あるいは放熱板の何れか一方に備える場合もある。
なお、冷却できる板と熱伝達促進板及び放熱板と熱伝達促進板の張り付け手段は図面では省略しているが、実施例では熱伝達性のグリースを主要部に施して、リベットあるいはボルトとナットで複数個所を圧着固定している。アルミニウム板と銅板相互の熱伝達を良くするためには、お互いを融着させることが望ましいが現在の技術では、安価に融着する技術は無い。また、冷却できる板や放熱板にステンレスを用いて熱伝達促進板に銅を用いるなど、金属の組み合わせは実施例に限らない。また、開発されている熱伝導性の高い新素材を熱伝達促進板、あるいは冷却できる板や放熱板に用いることも含む。
≪放熱筒≫
図24は、図22のローマ数字の1-1線に沿う断面図であり、放熱筒の中の放熱板の熱伝達促進板11を説明している。放熱筒の構造は本発明の第1の実施の形態と同じである。差異は、放熱板に張り付けた放熱板の熱伝達促進板11が放熱筒の中に備わっていることである。
構造によってはこの放熱筒外板が放熱板であったり熱伝達促進板であったりする場合もある。放熱筒内仕切り板14は、放熱筒の内部を煙突効果が高くなる放熱区画15に区切っている。放熱筒内仕切り板の材質は、放熱板と熱伝達促進板の熱を分散させる働きをさせるために、アルミニウムあるいは銅などの熱伝導率の高い材質を使用するのが望ましいが、樹脂製の板などでも一定の効果が得られる。
放熱筒は材質と放熱区画の太さがほぼ同じであれば、長さと放熱区画の本数で放熱力が変わるので、ペット用冷房器の大きさと放熱量に合わせて、放熱区画本数と長さを調節すると良い。したがって、長さや区画数に関しては図が限定しない。また、放熱筒内部の構造は、一部あるいは全部を一体成型する場合も含まれるので、図24の構造に限定しない。
請求項4記載の放熱筒は、請求項2記載の放熱筒に熱伝達促進板11を備えたことが特徴である。放熱筒内に伸びた熱伝達促進板の効果は、ペルチェ素子の熱を、放熱側の熱が最も低い場所である放熱筒の空気排出口の近くまで早く大量に運ぶことができることにある。ペルチェ素子の放熱面の周りに熱が留まることなく、熱の速やかな拡散効果が得られることが大きな特長である。
ここまでの説明が請求項1から請求項4までの実施例である。図25は、この実施例である本発明のペット用冷房器の最大の特長であるペットの体熱の吸熱から放熱の一連の熱の流れの仕組みを詳しく説明している。図10で説明した本発明の第1の実施の形態の放熱筒よりも、熱伝達促進板がある分放熱力が高くなるので改めて説明する。
ペルチェ素子4はスイッチBOX6とつながっていて、スイッチBOXに接続したACアダプター8で駆動される。ペットが載っていない時は、冷却できる板の全面が空気に触れているので、空気の熱を吸熱している。ペットが載るとペットの体温と冷却できる板の温度差でペットの体熱54が冷却できる板2に移動する吸熱が起きる。この吸熱でペットはヒンヤリ感を感じることができる。冷却できる板と冷却できる板の熱伝達促進板10に移動したペットの体熱は、熱伝達促進板の最も温度が低い場所であるペルチェ素子4のところまで引き寄せられて、ペルチェ素子に吸熱される。
ペルチェ素子は、吸熱したペットの体熱を放熱面から放熱する。この時の熱は吸熱したペットの体熱とペルチェ素子の動作熱の合計の熱55である。ペルチェ素子の放熱部分の温度が最も高いので、温度がより低い放熱筒5の空気排出口51付近に向けて放熱板の熱伝達促進板11と放熱板3を伝って、ペットの体熱とペルチェ素子の動作熱の合計の熱55が移動する。
放熱筒に移ったペットの体熱とペルチェ素子の動作熱の合計の熱は、放熱筒の構造物の中に拡散しながら空気52に移動する。熱を含んだ空気57は軽くなって放熱筒の中に上昇気流を作る。上昇気流は、放熱筒の上部の空気排出口51からペットに当たらないようにペットの上方に放出され、新たな空気52を空気吸い込み口50から吸い込む。この時同時に放熱板周辺に漂う暖かい空気53も一緒に吸い込むように空気吸い込み口が開いているので、ペットに暖かい空気が触れることを防ぐことができる。
本発明の主要な部品である冷却できる板2と放熱板3の材質にはメッキ処理をしたアルミニウム板を用いている。アルミニウムを用いている主な理由は、熱伝導率が高いことと強度が保てることである。しかし、アルミニウム製の板よりも熱伝導率が高い銅製の板の方が冷却力も放熱力も格段に良い。しかし、銅はアルミニウムより柔らかいために、ペットの予期しない動きなどの衝撃にも耐えられるような強度が保ちにくく、変形しやすいという弱点がある。そこで、メッキ処理をした銅板を放熱板の熱伝達促進板としてアルミニウムの放熱板のペルチェ素子側に張り付けて、熱伝達速度を速めている。冷却できる板にも冷却できる板の熱伝達促進板を冷却できる板のペルチェ素子側に張り付けて温度ムラを少なくしてペットの体熱を穏やかに吸熱できるようにしている。
以上の様に、放熱板と放熱板の熱伝達促進板と放熱筒がペルチェ素子の熱を効率よく排熱することができるので、強制冷却手段に頼ることなく、ペットが十分に満足する冷房器ができる。
なお、図と文で省略していることは、ペルチェ素子の冷却面と放熱面に塗布する熱伝導性のグリースあるいは貼り付けたり挟み込んだりする熱伝導性のシート、さらには、冷却できる板と熱伝達促進板の間や放熱板と熱伝達促進板の間など、熱の伝達部分に塗布する熱伝導性のグリースあるいは挟み込む熱伝導性のシートなどの熱伝導対策は、施すのが常識であるので実施例では施しており、図及び説明では、特に必要でないかぎりは省略している。また、断熱材は隙間なく施しているが図の説明上断熱材を省略している図もある。又、ペルチェ素子のリード線とスイッチボックスと電源も説明が必要なところ以外では省略している。
ここでは、表とグラフで本発明の効果を説明する。図26は、冷房器の温度を駆動電圧毎に測定した結果の表であり、A.従来のペルチェ素子取り付け手段のペット用冷房器、B.ペルチェ素子取り付け手段のペット用冷房器(請求項2の実施例1に該当)、C.ペルチェ素子取り付け手段と熱伝達促進板を備えたペット用冷房器(請求項4の実施例2に該当)それぞれの冷却できる板の温度を、駆動電圧別に測定したものである。この時の気温を30℃にしている。なお、このテスト条件は、冷却できる板が30℃の気温の影響を受けないように、冷却できる板全体を断熱材で覆って、冷却できる板の温度は、ペルチェ素子に最も近い場所の冷却できる板の温度を熱電対式の温度計で測定した数値である。放熱板の温度はペルチェ素子に近い放熱筒の根元の熱伝達促進板の湾曲部分を測定場所としている。
図27は、図26の表のグラフ化、ペルチェ素子取り付け手段の効果確認。のグラフであり、上の曲線の従来の技術では3ボルトの時に28.5℃で最も低く、1.5℃の冷却効果である。中の曲線のペルチェ素子取り付け手段の場合は5ボルトで駆動したときに21℃になり、9度の冷却効果があって、従来技術に比べて7.5℃も冷却能力が高いことが分かる。さらに、下の曲線の本発明の熱伝達促進板を備えた場合には、19.5℃まで下がり、10.5℃の冷却効果があって、従来技術に比べて9℃も冷却能力が高くなることが分かる。
図28は、図26の表のCのグラフであり、適切な駆動電圧を求めているグラフである。ペルチェ素子取り付け手段と熱伝達促進板を備えた本発明の第2の実施の形態のペット用冷房器の駆動電圧毎の温度特性を表したグラフであり、併せて放熱側の温度もグラフ化している。グラフから、適切な駆動電圧が5ボルトであることが分かる。温度が19.5℃まで下がり10.5℃の冷却力があって、しかも、放熱側の温度が44.5℃であり、安全な温度範囲である。ちなみに、9ボルトでは、放熱の温度が上がってしまい、放熱しきれないために、冷却側の温度も上がってしまう現象で、かえって効率が悪くなることが分かる。
以下は、請求項に記載されていないが第一第二の実施例で実施している重要な項目であるから、その項目を説明する。
(冷却できる板の温度と吸熱について)本発明のペット用冷房器にペットが喜んで載るのは、冷却できる板が程よくヒンヤリしていて心地よく涼めるからであり、しかもこのヒンヤリ感がいつまでも持続するからである。理想の冷却できる板の温度と吸熱条件は、ペットの体熱より少し低くい温度で、かつ、熱伝導率が高く吸熱力が強いことでる。温度が低く過ぎて冷た過ぎるとかえって不快でありペットが短時間しか載らず、長くはくつろがないことが実験で分かっている。
暑くて我慢できなくなった犬が玄関などの床に寝そべって暑さを凌ぐ行動や、ペットショップで売られるアルミニウムの板などの例から容易に推測できる通り、ペットは自分の体熱を吸熱してくれるところを求めてそこに寝そべって涼む。しかしアルミニウム板などは、ヒンヤリするがそのヒンヤリ感は長続きしない欠点があり、しばらくするとひんやり感が無くなってしまう。
ヒンヤリ感の持続は、程よい吸熱作用が持続することである。吸熱は、寝そべる場所の温度と体温の差と、寝そべる場所の熱伝導率と、そこの熱容量であり、温度はペットの体温に対しておよそ5℃~10℃程度低ければよく、低すぎると不快感が生ずる。
本発明のペット用冷房器の冷却できる板の温度はペットの体温から5℃~10℃低い状態で待機している。ペットが載ると、熱伝導率の高いアルミニウム製の冷却できる板がペットの体熱を吸熱する。この時ペットは心地よいヒンヤリ感を感じることができる。冷却できる板に移動したペットの体熱はペルチェ素子に集まり、排熱されるので、吸熱作用が持続する。したがって、ペットはいつまでもヒンヤリ感を感じることができて、好きなだけ涼むことができる。冷却できる板の役割は、冷たさより心地よいヒンヤリ感が持続することであり、冷却できる板に移ったペットの体熱を穏やかかつ速やかに吸熱し放熱側に移動させて、穏やかな吸熱力を保ち続けることである。
このヒンヤリ感の尺度は、人が手のひらを押し付けていると心地よくヒンヤリする程度で、そのまま押し付けていて3分ぐらいなら我慢できる程度の冷たさが、毛皮を着たペットたちにはちょうどよい。手のひらを押し付けていて1~2分程度で冷たすぎて不快を感じるようなら、ペットにとっても冷え過ぎである。
(ペルチェ素子の駆動電圧)ペルチェ素子を冷却手段として用いるペット用冷房器に於いて、ファンやモーターの強制冷却を必要としないペットの冷房器を実現させるために本発明が採った手段は、ペット用冷房器本体の中に強制冷却が必要になるほどの高温部を作らないことである。つまり、ペルチェ素子の放熱面の温度を、強制冷却しなければならないほどに高くしないことであり、そのための手段として、ペルチェ素子の定格の最大電圧の2分の1以下の電圧でペルチェ素子を駆動する電源手段を用いることである。
ペルチェ素子は、冷却面の温度と放熱面との温度差と駆動電圧は密接な関係にある。駆動する電圧によって放熱量が大きく変化する。定格電圧が12ボルトのペルチェ素子の場合であれば、8分の1程度の低電圧例えば1.5ポルトで駆動しても冷却面は少し冷えて、放熱面の温度が上がる。この時の冷却面の温度はハムスターやマウス程度の小さなペットであれば十分にヒンヤリ感を感じさせることができるし、放熱温度も強制冷却を必要としない程度に低い。ペルチェ素子の冷却面を気温より10℃程度低くすることと同時に発熱量も自然放熱ができる範囲の温度になるように、ペルチェ素子を駆動する電圧を低く設定することが本発明のペット用冷房器を実施する上で重要な要件になる。
図26ないし図28から、本発明のペット用冷房器の場合には5ボルト以下で駆動するのが、強制冷却無しで冷却できる最も合理的な電圧であることが分かる。このように、モーターとファンによる強制冷却を必要としないで自然放熱だけで運転できるのは、ペルチェ素子の冷却力を必要最小限にする駆動電圧と、ペルチェ素子の発熱量を極力少なくできる駆動電圧と、ペルチェ素子の発熱を効率よく放熱する放熱手段との釣り合いを電圧の設定で加減していることによる。
(衝撃吸収手段)本発明のペット用冷房器は、筐体を持たなくても良いことが特長であるので、冷却できる板や放熱筒に衝撃を受けた場合にペルチェ素子に衝撃が及ばないための衝撃吸収手段を備えている。衝撃吸収手段の主要な構成要素は図29で示している衝撃吸収スペーサー12であり、ペルチェ素子の取り付け部を囲む位置で冷却できる板と放熱板でこの衝撃吸収スペーサーを挟み込んで固定して、外部衝撃がペルチェ素子に伝わらない構造である。図30ないし図34及び図36で衝撃吸収スペーサー12の取り付け位置を説明している。図30は平面図で衝撃吸収スペーサーの取り付け位置を説明している。図32は右側面図で衝撃吸収スペーサーの位置を示している。図33は下面図で衝撃吸収スペーサーの位置を示している。
図34及び図36は衝撃吸収スペーサーとペルチェ素子の位置関係を説明する図であり、ペルチェ素子4を囲む位置に衝撃吸収スペーサー12があるのが分かる。実施例の場合は2つの衝撃吸収スペーサーを4か所の衝撃スペーサー固定部18で冷却できる板側と放熱板側をねじ止めで固定しているが、固定部の数は衝撃吸収スペーサーの長さによって3か所でも4か所でも良く、固定方法は接着でも良いしねじ止めと接着を併用しても良い。なお、衝撃吸収スペーサーの材質は断熱性があって強い力で締め付けても容易に変形しない材質が良く、本発明の実施の形態ではアクリル材を用いている。
(断熱対策)本発明のペット用冷房器の形の特長はペットが載る冷却できる板の高さが床から3~4センチ程度と低いことであり、ペットが違和感なく載って利用できる高さであることである。このために冷却できる板の下部に位置する熱交換部は図34あるいは図35の点線円の部分の様に、温度の低い冷却できる板あるいは冷却できる板の熱伝達促進板と、温度が高い放熱板あるいは放熱板の熱伝達促進板が相対面する場所で近いところではペルチェ素子の厚さの4ミリ程度しか離れていないために熱干渉が起きれば冷却力を著しく損なう。そのために熱干渉が起きる場所に断熱手段を施している。
冷却できる板と放熱板、あるいはそれぞれの熱伝達促進板が接近している場所、の断熱手段は、発泡スチロールやウレタンフォームやゴムや樹脂などの断熱材30を挟み込む方法、同じくウレタンフォームや樹脂製の断熱材などを充填し流し込む方法、断熱材で作ったスペーサーをはめ込む方法などである。断熱材の材質については、NASBISなどの新素材の断熱材や今後開発される断熱材も対象にする。
さらに、冷却できる板側と放熱板側との熱干渉を少なくする方法として、両者が相対対面する面積を少なくする対策を施している。
また、冷却できる板あるいは冷却できる板の熱伝達促進板の下面が空気に触れないように断熱処理をしているがこれは本ペット用冷房器の台の役割も兼ねて台兼断熱体7としている。
さらに、ペルチェ素子取り付け手段の押しつけ弾性体牽引ボルト周辺の断熱については先に述べたとおりである。
(密封と防水)ペルチェ素子の故障の原因に結露による内部腐食がある。本発明のペット用冷房器では結露防止のために、ペルチェ素子の周囲を断熱材と樹脂で密封して空気の流入を防いでいる。この密封構造は、ペットの尿などによるペルチェ素子の汚損も防止する効果がある。図36は図34のローマ数字の3-3断面図であり、ペルチェ素子4の周囲の防水の実施例を示している。図の様にペルチェ素子の周囲は断熱を兼ねた防水材が取り囲んでいるので、水分はもとより結露の元になる湿った空気が入り込むことを防いでいる。ペルチェ素子の周りの断熱材30は、ペルチェ素子と4本の押しつけ弾性体牽引ボルトの貫通部の断熱パイプの部分とペルチェ素子のリード線を通す部分を成形したものをペルチェ素子の周囲にはめ込んで組み立てても良く、あるいは断熱性の樹脂をペルチェ素子の周辺に充填して固めても良く、前記の成形した断熱材と樹脂の充填を組み合わせても良い。
(温度調節手段)ペルチェ素子はON/OFFを繰り返すと、そのたびに内部に熱衝撃が発生して、ペルチェ素子を劣化させる大きな原因になるので、サーミスタなどによってペルチェ素子の通電をON/OFFする温度調節手段を用いずに、連続通電をしている。駆動電圧を変化させることで温度調節手段としている。図37は本発明の第1の実施の形態のペルチェ素子の駆動方法の説明図である。駆動電圧の切り替えは手動で切り替える66方法を採用している。ACアダプターは、暑さに対してあらかじめ設定した電圧、例えば暑さの厳しい夏には5ボルトの高い方の電圧の電源65を接続して強冷房、暑さが和らぐ初夏晩夏には3ボルトの低い方の電圧の電源63を接続して弱冷房としている。
(長寿命化対策)ペルチェ素子を冷却手段に用いた冷房器はコンプレッサー型の冷房機に比べて寿命がかなり短い傾向にある。高温による劣化や結露による腐食が主な原因である。本発明のペット用冷房器はペルチェ素子の寿命を短くする複数の原因に対して、適切な対処手段を施すことによって、長寿命化を実現している。以下にその原因と対処手段を列記する。
(駆動電流のON/OFFで劣化が速まる)前述のとおり、温度調節のために通電をON/OFFすると、通電を止める度にペルチェ素子内部に熱の逆流・熱衝撃が起きることが原因の劣化。本発明のペット用冷房器では温度調節にON/OFFをしないで、前述の様に、ACアダプターで連続通電を行っている。
(高温による劣化)ペルチェ素子の放熱部が高温になればなるほどペルチェ素子の劣化が速まる。本発明のペット用冷房器では定格電圧の2分の1以下の低電圧で駆動して、放熱面を劣化が進むような高温にしないことで長寿命化を図っている。
(熱電半導体の発熱のばらつきによる劣化)ペルチェ素子を強い力で押し付けることはメーカーが推奨していることであり、強い力で押し付けて取り付けないとペルチェ素子の劣化が速まってしまう。この件はペルチェ素子のメーカーが詳しく解説しているので説明を割愛する。
以上、本発明のペット用冷房器には1.定格電圧の半分以下の電圧による連続通電。2.低電圧駆動。3.ペルチェ素子取り付け手段。4.結露防止。5.防水。6.衝撃吸収の6つの長寿命化対策を施している。
次に、図38ないし図42の本発明の第3の実施の形態において、1Bは、本発明の第3の実施の形態の、ハリネズミやラットなどの小型のペットのためのペット用冷房器本体である。吸熱する冷却できる板の面積が狭くなるので、吸熱量が少なく、放熱量も少なくなるので、シンプルな構造の放熱筒が備わることが特徴である。図38は本発明の第3の実施の形態の斜視図であり、図39は平面図であり、図40は図39のローマ数字の1-1線に沿う断面図であり、図41は図40のローマ数字の1-1線に沿う断面図である。図38ないし図42の本発明の異なる実施の形態において、前記本発明の第1と第2の実施の形態と主に異なる点は、放熱筒の形状である。5Bは、小型の放熱筒である。
放熱筒の長さも短くして第1および第2の実施例よりも簡単な構造の放熱筒にした例である。3は、放熱板であり、11は、放熱板の熱伝達促進板であり、放熱筒の中では温度が最も高く空気排出口付近で40℃前後である。14は放熱筒仕切り板であり、15の放熱区画を3区画構成している。16が放熱筒外板である。17が放熱筒カバーであり冷却できる板側に面している。この放熱筒カバーの役割は、ペットが暖かい熱伝達促進板に触れないようにするためと、図の様に放熱筒と同じく上下に空気取り入れ口50と空気排出口51を設けることで、もう一つの放熱区画を形成して熱伝達促進板側の上昇気流の冷却効果を高めるためである。したがって放熱筒カバーと熱伝達促進板の距離は、上昇気流が起きにくくなるほどに熱伝達促進板に接近しすぎない方が良い。
なお、放熱筒の構造は第1と第2の実施例では放熱区画が6本であるが、1本でも、2本以上の複数本でも良く、放熱筒内部の構造も、図42の様に一体成型される場合もあって、図に限定されない。上記の様に、ペットの体型や大きさなどに合わせて冷却できる板の大きさや形状や放熱筒の形状を変えると良い。なお、放熱筒の成形の為の放熱板と放熱板仕切り板や放熱筒カバーなどのリベットやボルトナットや溶接や接着などは図及び説明から省略している。
なお、放熱筒は1本でなく2本以上の場合もある。
次に、図43ないし図65に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当たって、前記本発明を実施するための第1ないし第3の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
(その他の放熱手段を用いたペット用冷房器)図43ないし図45のその他の実施の形態において、前記本発明の第1ないし第3の実施の形態と主に異なる点は、冷却手段を放熱筒以外の放熱手段にした場合のペット用冷房器であり、実施例をペルチェ素子取り付け手段周辺の断面図で説明している。図43は、本発明の第1の実施の形態の放熱手段に本発明の放熱筒以外の放熱手段を備える場合の実施例であり、放熱筒以外の放熱手段とは、延長した放熱板を水冷で冷やすとか、ヒートパイプで冷やすなどであり、既存の強制冷却の場合もありえる。図44は本発明の第2の実施の形態のペルチェ素子取り付け手段周辺であり、図43の説明と同様である。
図45は、第2の実施の形態の放熱筒の代わりにヒートパイプ70を用いたイメージ図である。ヒートパイプの吸熱部は銅製など変形しやすい材質と構造であるから、ペルチェ素子取り付け手段で取り付ければ、ヒートパイプの冷却力を十分に引き出すことができる。なお、図ではヒートパイプの吸熱部を空洞で表しているが、中の構造は省略している。
(温度調節手段)図46ないし図47の本発明の異なる実施の形態において、前記本発明の第1の実施の形態と主に異なる点は、温度調節手段である。図46は低い電圧の電源63、中位の電圧の電源64、高い電圧の電源65をあらかじめ用意して、切り替えを自動で行う実施例である。実施例1および2では図37で説明の通り、あらかじめ設定した冷房能力のACアダプターを手で交換していたが、図46は制御部61で弱・中・強あるいは温度を選択できるようにした異なる実施例である。冷却できる板2の温度センサー60の信号を制御部61が受けて、冷却できる板の温度が選択した温度よりも上がれば、高い電圧に切り替えて冷房力を強くして温度を下げるようにする。温度か下がれば、低い電圧に切り替えて冷房力を弱くして温度を上げる。なお電源は低い電圧の電源63と、高い電圧の電源65の二つだけでも良い。
図47は前記説明の図46の複数の電源を切り変える方法でなく、電圧を変えることができる電源である可変電圧電源62を用いた異なる実施例である。温度センサー60の信号を制御部61が受けて、制御部の信号で適正な電圧を可変電圧電源62が供給する。
(ペルチェ素子を駆動する電源について)ペルチェ素子は駆動する電圧の変化によって熱交換能力が大きく変化するので、温度コントロールには電圧が可変できる電源があると都合が良い。しかし、現在では、そのような電源は高額であり一般に普及していないので、今後普及すれば、好都合である。電源は、高低2種類あの電圧を供給できるものか、高中低3種類かそれ以上あるいは連続可変電圧を供給できるペルチェ素子用の駆動電源である。なお、温度コントロールの方法については、サーミスタなどを用いて通電をON/OFFする温度調節の方法を取らずに、連続して通電することが実施例の重要な要点であるので、温度センサーの位置や温度感知方法や電圧の切り替え方法などについては、図及び説明の方法に限らない。
(押しつけ力の支えに梁や筐体を利用)図48、図49の本発明の異なる実施の形態において、前記本発明の第1の実施の形態と主に異なる点は、ペルチェ素子取り付け手段の押しつけ力を得る手段つまり押し付け片21を押し付ける手段である。第1の実施例では押し付け弾性体を押し付け弾性体牽引ボルトで押し付け片側に撓ませて押しつけ力を得ていたが、図48のペルチェ素子取り付け手段では梁または筐体36を支えにして、押しつけ力調節ネジ35で押し付け片21に押しつけ力を加える方法である。図49は梁または筐体36を支えにして、押しつけ力調節ネジ35とコイルばね状の押し付け弾性体22aとで押し付け片21に押しつけ力を加える方法である。なお、図48、図49の梁または筐体36の形はイメージであり図が形を制限しない。
(ペルチェ素子取り付け手段のその他の実施例)図50ないし図53の本発明の異なる実施の形態において、前記本発明の第1の実施の形態と主に異なる点は、ペルチェ素子取り付け手段を本発明のペット用冷房器以外に使用する場合の実施例である。図50と図51は基板72に載ったCPUなどの冷却されるもの71とペルチェ素子取り付け手段の例である。図52は、冷却されるもの71をペルチェ素子取り付け手段で冷却する実施例であり、例えば冷却されるものが冷却できる容器の底などである。図53は冷却されるもの71が下になっている場合で、容器の蓋のなどに適用できる。また、容器の側面に設けるなど、タテになっても有効である。
(ヒートパイプとペルチェ素子取り付け手段)図54図55は、ペルチェ素子取り付け手段で、ペルチェ素子の放熱面にヒートパイプの吸熱部を圧着させた実施例のイメージ図である。ヒートパイプの吸熱部は銅製で中が中空であるために、従来技術では十分な押しつけ力でペルチェ素子に押し付けることができなかったが、ペルチェ素子取り付け手段を用いれば、この実施例の様に、ヒートパイプの強度が耐えられる圧着力の範囲で、ペルチェ素子に圧着することができる。図54は冷却されるものがCPUなどの場合で基板の上に載っている物をペルチェ素子で冷却することに応用できる。
(ペルチェ素子2枚重ね)図56の本発明のその他の実施の形態において、前記本発明の第1の実施の形態と異なる点は、ペルチェ素子を2枚重ねて放熱板のペルチェ素子取り付け手段で取り付けたことである。2枚重ねでも3枚重ねでもペルチェ素子取り付け手段の押し付ける効果は発揮できる。ただし、複数枚重ねた場合の放熱量はとても大きくなるので、放熱板の強制冷却が必要になる場合もある。
なお、図48ないし図56までの図の天地については逆さま、縦・斜めの場合も適用する。
(押し付け片の形状)図57、図58の本発明のその他の実施の形態において、前記本発明の第1の実施の形態と異なる点は、押しつけ片21の形状である。押し付け片の役割は、ペルチェ素子の放熱面の外側部よりも中央部に強い押しつけ力が生じるように押しつけ密着させることであるので、押し付け片が放熱板に接する部分の押しつけ面積は、放熱板が撓みにくく撓みが小さい場合には点でも良く、この場合の押し付け片の形状は図57の様に球でも良く尖った錐形でも良い。押し付け片が放熱板に接する面積が小さければ、押し付け弾性体に伝わる熱も少なくなる。押し付け片は、放熱板の撓みやすさに応じて押しつけ面積を大きくする必要がある。厚さが薄いとか銅製など撓みやすい材質の放熱板の場合には図58の様に押しつけ面積はペルチェ素子の放熱面よりわずかに小さい面積にして、押し付ける効果を出しながら、放熱面の外側部には強い押しつけ力が掛からない大きさにすると良い。押しつけ面積の形状は、ペルチェ素子の放熱面40の外側部43を破損する撓む力が掛からないで押しつけ力が加えられるように、真円や真円に近い形あるいは正方形が良い。押し付け片の厚さは押し付け弾性体の撓みしろ以上の寸法が目安になる。なお、ペルチェ素子の冷却面に接する冷却できる板あるいは素材は撓まない材質か撓まない厚さである。
(押し付け片の変形)押し付け片は、押し付け弾性体と一体あるいは放熱板と一体の構造であっても良い。放熱板の押し付け片が当たる部分に放熱板が凸状になっていて押し付け片に代わっても良い。あるいは、押し付け弾性体の押し付け片が当たる部分が凸状になっていて押しつけ片に代わっても良い。ただしこの場合は、押し付け弾性体に放熱板の熱が直接伝わるので、押し付け弾性体牽引ボルトと押し付け弾性体の間の断熱を強化する必要があり、押し付け弾性体に放熱手段を設けると良い。
(押し付け弾性体の反り)図59の本発明のその他の実施の形態において、前記本発明の第1の実施の形態と異なる点は、押し付け弾性体22Aである。押し付け弾性体は撓むことで押しつけ力を生じるが、図59の押し付け弾性体22Aの様に、あらかじめ反対に反らせた弾性体を用いても良く反りを戻す力を押しつけ力にする。この効果は、撓ませるために必要な撓みしろを設けなくてもよくなるので押し付け片の厚さを撓みしろ分だけ薄く作れることと、撓んで放熱板に接近することによる熱干渉を減少できることである。なお、押し付け弾性体の形状は円形や正方形などであるが、ペルチェ素子を破損しないように放熱板に押しつけ力が加わる形であれば、形は問わない。
(放熱板と冷却できる板の断熱対策)図60の本発明のその他の実施の形態において、前記本発明の第1の実施の形態と異なる点は、冷却できる板あるいは放熱板がペルチェ素子に密着する場所の形状である。第一の実施の形態では冷却できる板と放熱板の隙間はペルチェ素子の厚さに制約されるために、例えば4mm程度しか離れていないために4mm分の断熱材しか使えず、熱干渉が起きやすい。図60に示すように、冷却できる板2のペルチェ素子に密着する面に凸部37を設けることで凸部の厚みだけ、放熱板との隙間の寸法を広げることができる。同様に、放熱板3のペルチェ素子に密着する面に凸部37を設けることで凸部の厚みだけ、冷却できる板との隙間の寸法を広げることができる。冷却できる板と放熱板のどちらか一方でも、双方でもあれば断熱材の厚みを増やすことができるので、熱干渉を少なくする効果がある。なお、凸部は冷却できる板と放熱板それぞれに一体加工されたものでも、熱伝達の高い材質のものを密着させたものでも良い。
(放熱筒着脱型)図61ないし図62の本発明のその他の実施の形態において、前記本発明の第1の実施の形態と異なる点は、放熱筒部分が着脱できることである。輸送の際の便利さや、放熱力の選択ができる便利さがある。放熱筒着脱部75は熱伝導率が高い部材を密着させることで熱伝達ロスを少なくすることができるので、図では密着部に熱伝達促進板が互いに当たるようにしている。図61は放熱筒着脱部75が縦の場合で、図62は放熱筒着脱部75Aが横の場合の実施例であるが、説明用のイメージ図であるために、形状は図で制限しない。なお、スイッチBOXとペルチェ素子の間のコードにはコネクターを用いると良い。
(鍋型の冷却できる板)図63の本発明のその他の実施の形態において、前記本発明の第1の実施の形態と異なる点は、ペットが載る冷却できる板に囲い77が付いていることである。囲いは猫やその他のペットでも、図63の様に囲いのついた場所を好む性質があるので、このようなペットがリラックスして使用できるペットの冷房器として有効である。囲い77は冷却できる板と一体構造で縁が囲い状に立ち上がって形成されたものでも、冷却できる板に囲いが着脱できるものでも良い。
(覆いのある冷却できる板)図64の本発明のその他の実施の形態において、前記本発明の第1の実施の形態と異なる点は、冷却できる板がかまくら型の覆い78に覆われていることである。覆い78は冷却できる板あるいは台兼断熱材7部分に着脱式で取り付けられる方法が良く、材質は金属でも合成樹脂でも麦藁のような植物を編んだものでも効果がある。覆いは冷却できる板に載って涼むペットを覆う形で、うさぎは特に身体が覆われているとくつろげる性質があるので、涼むときにペットに安心感を与えることができる。覆いの形はかまぼこ型でも家の形でも良く、ペットを覆って安心感を与えることが目的であるから、覆いの形状と入口の方向や形は図が制限しない。覆いの効果は外気が遮断できるので熱効率がよくなり、覆いの中に冷気が溜まるという効果がある。
(放熱筒の延長パーツ)本発明のその他の実施の形態において、前記本発明の第1の実施の形態と異なる点は、図65の放熱筒延長部品76である。放熱筒は延長すると上昇気流が早くなるので吸い込む空気の量が増えて放熱力が増える。図65の様に放熱筒の上部に載せるあるいははめるなどの方法で取り付ければ良い。
(その他の素材)本発明のその他の実施の形態において、前記本発明の第1ないし第3の実施の形態と異なる点は、異なる素材を使用することである。本発明では熱伝導性の高い素材として、アルミニウムと銅を多用しているが、既に商業化が始まっているグラファイトシートなどの熱伝導率の高い新素材も使用できる。また、断熱材についても商品として利用できる「NASBIS」などの断熱性の高い素材も使用できる。もちろん、冷却できる板と放熱板にも銅や新素材を使用することも含む。
また、本発明の第1の実施の形態ではアルミニウム板と銅板の密着度を高めるために、リベットやボルトで圧着している。さらに、熱伝導性のグリースを塗布している場合もあるが、溶接による融着や、前記の新素材の場合の接着などの多様な密着手段がある。