以下、本発明の実施の形態について、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。なお、実施の形態では、後述する油圧ショベル1の走行方向を前,後方向とし、油圧ショベル1の走行方向と直交する方向を左,右方向として説明する。
図中、建設機械を代表する油圧ショベル1は、前,後方向に自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3の前側に設けられた作業装置4とを含んで構成されている。下部走行体2と上部旋回体3とは、油圧ショベル1の車体を構成している。油圧ショベル1は、下部走行体2によって作業現場を走行し、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4を用いて土砂の掘削作業等を行う。
上部旋回体3は、ベースとなる車体フレームとしての旋回フレーム5と、旋回フレーム5上に搭載されたキャブ6、カウンタウエイト7、作動油タンク8、燃料タンク9、エンジン10、熱交換装置11、排気後処理装置12、建屋カバー13を含んで構成されている。
キャブ6は、旋回フレーム5の左,右方向の一側となる左側に設けられている。キャブ6は、前面6A、後面6B、左側面6C、右側面6D、および上面6Eによって囲まれた箱状に形成され、左側面6Cには、開閉可能なドア6Fが設けられている。キャブ6は、オペレータが搭乗する運転室を画成し、キャブ6の内部には、運転席、各種操作レバー等(いずれも図示せず)が設けられている。
カウンタウエイト7は、旋回フレーム5の後端に設けられている。カウンタウエイト7は、作業装置4との重量バランスをとる重量物として形成されている。カウンタウエイト7は、左,右方向の両側を前側に向けて湾曲させた円弧状の外周面7Aを有している。これにより、下部走行体2上で上部旋回体3が旋回動作を行ったときに、上部旋回体3の旋回半径が小さくなるように形成されている。
カウンタウエイト7は、左,右方向の中央に位置する中央ウエイト部7Bと、中央ウエイト部7Bの左側から前方に延びた左側方ウエイト部7Cと、中央ウエイト部7Bの右側から前方に延びた右側方ウエイト部7Dとにより構成されている。左側方ウエイト部7Cは、中央ウエイト部7Bよりも低い高さ寸法、例えば、旋回フレーム5の左サイドフレーム5Aと同等の高さ寸法もって形成されている。一方、右側方ウエイト部7Dも、左側方ウエイト部7Cと同等の高さ寸法をもって形成されている。これにより、カウンタウエイト7の左側には、中央ウエイト部7Bと左側方ウエイト部7Cとの高さ寸法の差によって、後述の左側面カバー14を配置するためのスペースが形成されている。一方、カウンタウエイト7の右側には、中央ウエイト部7Bと右側方ウエイト部7Dとの高さ寸法の差によって、後述の右側面カバー15を配置するためのスペースが形成されている。
作動油タンク8は、作業装置4の右側に位置して旋回フレーム5の前,後方向の中間位置に設けられている。作動油タンク8は、上,下方向に長尺な直方体状のタンクとして形成され、作動油タンク8の内部には、油圧アクチュエータに供給される作動油が貯留されている。
燃料タンク9は、作動油タンク8の右側に隣接して旋回フレーム5上に配設されている。燃料タンク9は、上,下方向に長尺な直方体状のタンクとして形成され、燃料タンク9の内部には、エンジン10に供給される燃料が貯留されている。
エンジン10は、キャブ6の後側、即ちキャブ6とカウンタウエイト7との間に位置して旋回フレーム5上に設けられている。エンジン10は、左,右方向に延びる横置き状態で配置されている。エンジン10の左側には、冷却ファン10Aが設けられ、エンジン10の右側には、油圧ポンプ(図示せず)が取付けられている。冷却ファン10Aは、エンジン10によって駆動されることにより、後述の熱交換装置11に冷却風を供給する。油圧ポンプは、エンジン10によって駆動されることにより、作動油タンク8内の作動油を加圧し、この圧油をコントロールバルブ(図示せず)を介して油圧アクチュエータに供給する。
熱交換装置11は、エンジン10の左側に位置して旋回フレーム5上に搭載されている。熱交換装置11は、旋回フレーム5上に立設された支持枠体11Aを有し、この支持枠体11Aには、ラジエータ、オイルクーラ等が支持されている。熱交換装置11は、冷却ファン10Aによって機械室17内に供給される冷却風の流れ方向に対し、冷却ファン10Aよりも上流側に配置されている。熱交換装置11のラジエータは、機械室17内に供給された冷却風によってエンジン冷却水を冷却することにより、エンジン10を冷却する。オイルクーラは、各種の油圧アクチュエータから作動油タンク8に戻る戻り油(作動油)を冷却風によって冷却する。
排気後処理装置12は、エンジン10の右側に並んで設けられている。排気後処理装置12は、エンジン10の右側に設けられた油圧ポンプの上方に架台(いずれも図示せず)を介して支持されている。排気後処理装置12は、エンジン10の排気管10Bに接続され、エンジン10から排出される排気ガス中の有害物質を除去する。排気後処理装置12は、酸化触媒、選択還元触媒、粒子状物質除去フィルタ等を含んで構成されている。酸化触媒は、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去する。選択還元触媒は、窒素酸化物(NOx)をアンモニアによって選択的に還元反応させ、窒素と水とに分解する。粒子状物質除去フィルタは、粒子状物質(PM)を捕捉して除去する。排気後処理装置12に対しては、油圧ショベル1の稼働時間に応じて定期的なメンテナンス作業が行われる。
建屋カバー13は、キャブ6とカウンタウエイト7との間に位置して旋回フレーム5上に設けられている。建屋カバー13は、旋回フレーム5上に機械室17を形成し、機械室17内には、エンジン10、油圧ポンプ、熱交換装置11、排気後処理装置12等の搭載機器が収容されている。ここで、建屋カバー13は、左,右方向の左側に位置する左側面カバー14と、左,右方向の右側に位置する右側面カバー15と、左,右方向の中間部に位置する上面カバー16と、後述の開閉カバー21とを含んで構成されている。
建屋カバー13の左側面カバー14は、カウンタウエイト7を構成する左側方ウエイト部7Cの上方に配置され、機械室17を左側方から覆っている。左側面カバー14は、左側方ウエイト部7Cから上方に立上がる左側面板14Aと、左側面板14Aの上端から水平方向に張出す左上面板14Bとを有している。左側面板14Aは、旋回フレーム5上に配設されたサポート部材にヒンジ部材(いずれも図示せず)を介して取付けられ、機械室17の左側方を開,閉する。左側面板14Aには吸気口14Cが設けられ、冷却ファン10Aが回転することにより、外気が冷却風となって吸気口14Cを通じて建屋カバー13内(機械室17)に供給される。
建屋カバー13の右側面カバー15は、カウンタウエイト7を構成する右側方ウエイト部7Dの上方に配置され、機械室17を右側方から覆っている。右側面カバー15は、右側方ウエイト部7Dから上方に立上がる右側面板15Aと、右側面板15Aの上端から水平方向に張出す右上面板15Bとを有している。右側面板15Aは、旋回フレーム5上に配設されたサポート部材にヒンジ(いずれも図示せず)を介して取付けられ、機械室17の右側方を開,閉する。右上面板15Bには排気口15Cが設けられ、冷却ファン10Aによって建屋カバー13内に供給された冷却風は、排気口15Cを通じて建屋カバー13の外部に排出される。
上面カバー16は、左側面カバー14の左上面板14Bと右側面カバー15の右上面板15Bとの間を左,右方向に延びて設けられている。上面カバー16は、左上面板14Bおよび右上面板15Bと同一平面を形成している。
機械室17は、旋回フレーム5上に設けられた建屋カバー13の内部に形成されている。機械室17内には、エンジン10、油圧ポンプ、熱交換装置11、排気後処理装置12等の搭載機器が収容されている。機械室17内には、左,右方向に離間して第1の仕切り部材18と第2の仕切り部材19とが設けられている。
第1の支持部材としての第1の仕切り部材18は、熱交換装置11とエンジン10との間を仕切るように機械室17内に設けられている。図8に示すように、第1の仕切り部材18は、上,下方向に延びる板状に形成され、例えば熱交換装置11の支持枠体11Aに固定されている。第1の仕切り部材18は、後述するエンジン上部カバー22が機械室17を覆った状態で、熱交換装置11とエンジン10との間を仕切る。これにより、冷却ファン10Aによって機械室17内に供給された冷却風が、熱交換装置11側に回り込むのを、第1の仕切り部材18によって阻止することができる。
第2の支持部材としての第2の仕切り部材19は、エンジン10と油圧ポンプ(図示せず)との間を仕切るように機械室17内に設けられている。図10に示すように、第2の仕切り部材19は、エンジン10と油圧ポンプとの境界位置に配置され、旋回フレーム5と後述する後処理装置上部カバー23との間を上,下方向に延びている。第2の仕切り部材19と第1の仕切り部材18とは、左,右方向に離間して機械室17内に配置されている。第2の仕切り部材19は、後処理装置上部カバー23が機械室17を覆った状態で、機械室17内をエンジン10が配置されたエンジン室と、油圧ポンプが配置されたポンプ室とに仕切る。これにより、油圧ポンプの周囲で作動油の漏れが生じた場合に、漏れ出た作動油がエンジン10側に飛散するのを、第2の仕切り部材19によって阻止することができる。
ここで、図4に示すように、カウンタウエイト7の中央ウエイト部7Bと、左側面カバー14の左上面板14Bと、右側面カバー15の右上面板15Bと、上面カバー16とによって囲まれた範囲が、メンテナンス用開口20として形成されている。このメンテナンス用開口20は、開閉カバー21によって開,閉される。機械室17に収容されたエンジン10、熱交換装置11、排気後処理装置12等の搭載機器に対するメンテナンス作業を行うときに、作業者は、メンテナンス用開口20を通じて機械室17内の搭載機器にアクセスする。
次に、左側面カバー14、右側面カバー15および上面カバー16と共に建屋カバー13を構成する開閉カバー21について説明する。
開閉カバー21は、左側面カバー14と右側面カバー15との間(建屋カバー13の左,右方向の中間部)に設けられ、機械室17(メンテナンス用開口20)を開,閉可能に覆っている。開閉カバー21は、エンジン10の上側に配置されたエンジン上部カバー22と、エンジン上部カバー22の右側に隣接して排気後処理装置12の上側に配置された後処理装置上部カバー23との2つのカバーに分割されている。図2に示すように、後処理装置上部カバー23は、キャブ6の右側面6Dよりも右側(左,右方向の他側)に配置されている。
エンジン上部カバー22は、左側面カバー14の右側に隣接し、機械室17のうちエンジン10の上側を開,閉可能に覆っている。図3および図8に示すように、エンジン上部カバー22は、エンジン10を上方から覆う上面部22Aと、上面部22Aの後端22Bからカウンタウエイト7(中央ウエイト部7B)に向けて延びた後面部22Cとにより構成されている。ここで、後面部22Cの下端(自由端22G)には、後述のラッチ取付部材30に対応する台形状の切欠部22Dが形成されている。また、後面部22Cのうち切欠部22Dの上側には、機械室17側に凹む凹陥部22Eが形成されている。
エンジン上部カバー22を構成する上面部22Aの前端22Fは、ヒンジ部材24を用いて上面カバー16に取付けられている。エンジン上部カバー22は、上面部22Aの前側(ヒンジ部材24)が回動支点となり、後面部22Cの下端が自由端22Gとなって前,後方向に回動変位する。これにより、エンジン上部カバー22は、ヒンジ部材24を回動支点として、機械室17を覆った覆い位置(図3の位置)と、機械室17を開放した開位置(図8の位置)との間で開,閉される。
後処理装置上部カバー23は、エンジン上部カバー22の右側に隣接し、機械室17のうち排気後処理装置12の上側を開,閉可能に覆っている。後処理装置上部カバー23は、排気後処理装置12を上方から覆う上面部23Aと、上面部23Aの後端23Bからカウンタウエイト7(中央ウエイト部7B)に向けて延びた後面部23Cとにより構成されている。
後処理装置上部カバー23を構成する上面部23Aの前端23Dは、ヒンジ部材25を用いて上面カバー16に取付けられている。後処理装置上部カバー23は、上面部23Aの前側(ヒンジ部材25)が回動支点となり、後面部23Cの下端が自由端23Eとなって前,後方向に回動変位する。これにより、後処理装置上部カバー23は、ヒンジ部材25を回動支点として、機械室17を覆った覆い位置(図3の位置)と、上面部23Aが鉛直方向よりも前側に傾斜した状態で機械室17を開放したカバー前傾位置(図8の位置)との間で開,閉される。
ここで、図2および図5に示すように、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23とを覆い位置とした状態で、エンジン上部カバー22の右端部22Hに隣合う後処理装置上部カバー23の左端部23Fは、エンジン上部カバー22の右端部22Hの上側に重なるように構成されている。後処理装置上部カバー23の左端部23Fには、上面部23Aから後面部23Cに亘って弾性部材26が取付けられている。これにより、後処理装置上部カバー23の左端部23Fをエンジン上部カバー22の右端部22Hに当接させたときの衝撃が緩和されると共に、後処理装置上部カバー23の左端部23Fとエンジン上部カバー22の右端部22Hとの間の隙間がシールされている。
後処理装置上部カバー23は、キャブ6の右側面6Dよりも右側に配置されている。即ち、図7に示すように、キャブ6の右側面6Dと後処理装置上部カバー23の左端部23Fとの間には、左,右方向の間隔Lが保たれている。これにより、後処理装置上部カバー23の自由端23Eを、ヒンジ部材25を回動支点として前方に回動させたとしても、後処理装置上部カバー23がキャブ6の後面6Bに干渉することがない。従って、後処理装置上部カバー23を、上面部23Aが鉛直方向よりも前側に傾斜したカバー前傾位置まで回動させることにより、上面部23Aの後端23Bをキャブ6の後面6Bよりも前方に移動させることができる。このため、図7および図8に示すように、エンジン上部カバー22が開位置を保持し、後処理装置上部カバー23がカバー前傾位置(開位置)を保持した状態では、後処理装置上部カバー23がエンジン上部カバー22よりも前側に配置される。これにより、排気後処理装置12の周囲に大きなメンテナンス用の作業スペースを確保することができ、排気後処理装置12に対するメンテナンスの作業性を向上させることができる。
カバー連結装置27は、機械室17内に位置して開閉カバー21のエンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23との間に設けられている。カバー連結装置27は、開閉カバー21を、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23とが連結された連結状態(図3の状態)と、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23との連結状態が解除された連結解除状態(図7,図8の状態)とに切換える。図3および図5に示すように、カバー連結装置27は、エンジン上部カバー22に取付けられたフック27Aと、後処理装置上部カバー23に取付けられたラッチ27Bとを有している。
カバー連結装置27のフック27Aは、エンジン上部カバー22を構成する後面部22Cのうち機械室17側となる内側面で、かつ右端部22Hに近い位置に取付けられている。一方、カバー連結装置27のラッチ27Bは、後処理装置上部カバー23を構成する後面部23Cのうち機械室17側となる内側面で、かつ左端部23Fに近い位置に取付けられている。ラッチ27Bは、レバー27Cを操作することにより、フック27Aに対して係合、離脱する。カバー連結装置27は、ラッチ27Bをフック27Aに係合させることにより、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23とを一体的に連結し、ラッチ27Bをフック27Aから離脱させることにより、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23との連結状態を解除する。
施錠装置28は、機械室17の外側に位置してエンジン上部カバー22とカウンタウエイト7との間に設けられている。施錠装置28は、エンジン上部カバー22および後処理装置上部カバー23が機械室17を覆った状態で、エンジン上部カバー22をカウンタウエイト7に対して施錠している。図6に示すように、施錠装置28は、エンジン上部カバー22に設けられたストライカ29と、カウンタウエイト7に設けられたラッチ取付部材30と、ラッチ取付部材30に回動可能に取付けられたラッチ31とにより構成されている。
ストライカ29は、エンジン上部カバー22を構成する後面部22Cの凹陥部22Eに取付けられている。ストライカ29は、平板状の取付板29Aと、取付板29Aの下側に位置して取付板29Aから後方に突出した位置に配設された係合ピン29Bと、取付板29Aの上側に設けられた円形状のシリンダ挿通孔29Cとを有している。
ラッチ取付部材30は、カウンタウエイト7を構成する中央ウエイト部7Bの上面に設けられている。ラッチ取付部材30は、エンジン上部カバー22(後面部22C)の下端に形成された切欠部22Dに対応する台形状に形成されている。ラッチ31は、ラッチ取付部材30に取付けられている。ラッチ31は、ラッチ取付部材30に前,後方向に回動可能に取付けられた取付部31Aと、取付部31Aに伸縮自在に取付けられた可動部31Bと、可動部31Bの先端に回動可能に取付けられた係合レバー31Cと、係合レバー31Cの基端に形成された溝部31Dと、係合レバー31Cの中間部に設けられたキーシリンダ31Eとを有している。
エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23とが機械室17を覆った状態で、施錠装置28は、ラッチ31を構成する係合レバー31Cの溝部31Dを、ストライカ29の係合ピン29Bに係合させる。この状態で、係合レバー31Cの先端側をストライカ29に向けて回動させて立ち上げる。これにより、ラッチ31のキーシリンダ31Eが、ストライカ29のシリンダ挿通孔29Cに挿通される。この状態で、キーシリンダ31Eにキー(図示せず)を差し込んで回すことにより、エンジン上部カバー22を、機械室17を覆った状態でカウンタウエイト7に対して施錠することができる。この場合、エンジン上部カバー22には、カバー連結装置27によって後処理装置上部カバー23が連結されているので、施錠装置28によってエンジン上部カバー22施錠することにより、後処理装置上部カバー23も、機械室17を覆った状態でカウンタウエイト7に対して施錠することができる。
次に、機械室17内に設けられた第1の仕切り部材18とエンジン上部カバー22との間に設けられた第1のステー32、および第1のステーガイド34について説明する。
第1のステー32は、エンジン上部カバー22の上面部22Aに回動可能に取付けられている。図11に示すように、第1のステー32は、1本の棒状体によって形成されている。第1のステー32の一端側は、軸方向に対して直角に折曲げられた基端32Aとなり、この基端32Aは、エンジン上部カバー22(上面部22A)の機械室17側となる内側面に固定されたL字型のブラケット33に、回動可能に取付けられている。一方、第1のステー32の他端(先端)側は、軸方向に対して直角に折曲げられた自由端32Bとなり、この自由端32Bは、第1のステーガイド34のガイド溝34Dに係合している。
第1のステーガイド34は、機械室17内に設けられた第1の仕切り部材18に取付けられている。第1のステーガイド34は、第1の仕切り部材18に溶接等の手段を用いて固定された前板34Aおよび後板34Bと、これら前板34A,後板34B間を連結して前,後方向に延びた連結板34Cとにより構成されている。連結板34Cには、前,後方向に延びるガイド溝34Dが形成され、このガイド溝34Dには、第1のステー32の自由端32Bが摺動可能に係合している。ここで、ガイド溝34Dの前端側には、ガイド溝34Dから上方に立上る覆い位置保持部34Eが設けられ、ガイド溝34Dの後端側には、ガイド溝34Dから下方に延びる開位置保持部34Fが設けられている。
従って、第1のステー32の自由端32Bは、エンジン上部カバー22の開,閉動作に伴ってガイド溝34D内を前,後方向に移動する。そして、図3に示すように、エンジン上部カバー22が機械室17を覆ったときには、第1のステー32の自由端32Bは、ガイド溝34Dの覆い位置保持部34Eに係合する。一方、図8および図9に示すように、エンジン上部カバー22が機械室17を開放したときには、第1のステー32の自由端32Bは、ガイド溝34Dの開位置保持部34Fに係合する。
次に、機械室17内に設けられた第2の仕切り部材19と後処理装置上部カバー23との間に設けられた第2のステー35、および第2のステーガイド37について説明する。
第2のステー35は、後処理装置上部カバー23の上面部23Aに回動可能に取付けられている。図12に示すように、第2のステー35は、1本の棒状体によって形成されている。第2のステー35の一端側は、軸方向に対して直角に折曲げられた基端35Aとなり、この基端35Aは、後処理装置上部カバー23(上面部23A)の機械室17側となる内側面に固定されたL字型のブラケット36に、回動可能に取付けられている。一方、第2のステー35の他端(先端)側は、軸方向に対して直角に折曲げられた自由端35Bとなり、この自由端35Bは、第2のステーガイド37のガイド溝37Dに係合している。
第2のステーガイド37は、機械室17内に設けられた第2の仕切り部材19に取付けられている。第2のステーガイド37は、第2の仕切り部材19に溶接等の手段を用いて固定された前板37Aおよび後板37Bと、これら前板37A,後板37B間を連結して前,後方向に延びた連結板37Cとにより構成されている。連結板37Cには、前,後方向に延びるガイド溝37Dが形成され、このガイド溝37Dには、第2のステー35の自由端35Bが摺動可能に係合している。ここで、ガイド溝37Dの前端側には、ガイド溝37Dから上方に立上る覆い位置保持部37Eが設けられ、ガイド溝37Dの後端側には、ガイド溝34Dから下方に延びるカバー前傾位置保持部37Fが設けられている。
従って、第2のステー35の自由端35Bは、後処理装置上部カバー23の開,閉動作に伴ってガイド溝37D内を前,後方向に移動する。そして、図3に示すように、後処理装置上部カバー23が機械室17を覆ったときには、第2のステー35の自由端35Bは、ガイド溝37Dの覆い位置保持部37Eに係合する。一方、図8および図10に示すように、後処理装置上部カバー23が、その上面部23Aを鉛直方向よりも前側に傾斜させたカバー前傾位置まで回動して機械室17を開放したときには、第2のステー35の自由端35Bは、ガイド溝37Dのカバー前傾位置保持部37Fに係合する。
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、油圧ショベル1の動作について説明する。
オペレータは、キャブ6に搭乗して運転席に座る。この状態で、エンジン10を始動させて走行用の操作レバーを操作することにより、下部走行体2によって油圧ショベル1を前進または後退させることができる。また、オペレータが作業用の操作レバーを操作することにより、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4を用いて土砂の掘削作業等を行うことができる。
ここで、油圧ショベル1に搭載されたエンジン10、排気後処理装置12等の搭載機器に対するメンテナンスを行わないときには、建屋カバー13の開閉カバー21は、図3に示すように、機械室17を覆った覆い位置を保持する。この場合、開閉カバー21は、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23とに分割され、これらエンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23とは、機械室17側に配置されたカバー連結装置27によって一体的に連結されている。そして、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23とが機械室17を覆った状態で、エンジン上部カバー22は、施錠装置28を用いてカウンタウエイト7に対して施錠されている。
このように、施錠装置28を用いてエンジン上部カバー22のみを施錠することにより、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23とを、機械室17を覆った状態(図3の状態)に保持することができる。この場合、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23とは、機械室17側に配置されたカバー連結装置27によって連結されている。従って、開閉カバー21の外側からカバー連結装置27が操作されるのを防止でき、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23との連結状態が不用意に解除されてしまうのを防止することができる。
ここで、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23とが機械室17を覆った状態で、後処理装置上部カバー23の左端部23Fは、エンジン上部カバー22の右端部22Hの上側に重なり、後処理装置上部カバー23の左端部23Fには、上面部23Aから後面部23Cに亘って弾性部材26が取付けられている(図5参照)。これにより、後処理装置上部カバー23の左端部23Fをエンジン上部カバー22の右端部22Hに当接させたときの衝撃を緩和することができる。また、後処理装置上部カバー23の左端部23Fとエンジン上部カバー22の右端部22Hとの間の隙間をシールすることができ、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23との境界部分から、機械室17内に雨水等が浸入するのを防止することができる。
次に、油圧ショベル1に搭載されたエンジン10、排気後処理装置12等の搭載機器に対するメンテナンスを行う場合について説明する。
搭載機器に対するメンテナンスを行うときには、作業者は、施錠装置28を解錠操作し、カウンタウエイト7に対するエンジン上部カバー22の施錠状態を解除する。即ち、ラッチ31のキーシリンダ31Eにキーを差込んで解錠し、係合レバー31Cの先端側をストライカ29から離れる方向に回動させる。これにより、ラッチ31のキーシリンダ31Eが、ストライカ29のシリンダ挿通孔29Cから離脱すると共に、係合レバー31Cの溝部31Dが、ストライカ29の係合ピン29Bから離脱し、エンジン上部カバー22がカウンタウエイト7に対して移動可能となる。
施錠装置28を解錠した後には、作業者は、エンジン上部カバー22の自由端22Gを、ヒンジ部材24を回動支点として前方上向きに回動させると共に、後処理装置上部カバー23の自由端23Eを、ヒンジ部材25を回動支点として前方上向きに回動させる。このように、エンジン上部カバー22は、上面部22Aの前側(ヒンジ部材24)が回動支点となり、後面部22Cの下端が自由端22Gとなって前,後方向に回動変位する。また、後処理装置上部カバー23は、上面部23Aの前側(ヒンジ部材25)が回動支点となり、後面部23Cの下端が自由端23Eとなって前,後方向に回動変位する。従って、作業者は、エンジン上部カバー22および後処理装置上部カバー23を移動させる作業を、建屋カバー13に上ることなく、地上から行うことができるので、その作業性を向上させることができる。
そして、エンジン上部カバー22が、機械室17を開放する位置(図8の位置)まで回動したときには、第1のステー32の自由端32Bが、第1のステーガイド34に設けられたガイド溝34Dの開位置保持部34Fに係合する。これにより、エンジン上部カバー22は、キャブ6の後面6Bに干渉しない範囲で機械室17を開放した位置を保持する。このとき、後処理装置上部カバー23は、カバー連結装置27によってエンジン上部カバー22に連結されている。従って、後処理装置上部カバー23は、ヒンジ部材25を支点としてエンジン上部カバー22と同じ角度だけ回動した位置を保持し、第2のステー35の自由端35Bは、第2のステーガイド37に設けられたガイド溝37Dの長さ方向の中間位置に係合している。
この状態で、作業者は、カバー連結装置27を操作し、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23との連結状態を解除する。これにより、エンジン上部カバー22が、機械室17を開放した位置に保持されたまま、後処理装置上部カバー23の自由端23Eは、ヒンジ部材25を支点としてさらに前方上向きに回動する。そして、後処理装置上部カバー23は、その上面部23Aが鉛直方向よりも前側に傾斜し、上面部23Aの後端23Bがキャブ6の後面6Bよりも前方に移動したカバー前傾位置に達する。このとき、第2のステー35の自由端35Bが、第2のステーガイド37に設けられたガイド溝37Dのカバー前傾位置保持部37Fに係合する。
このように、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23とが、機械室17を開放した位置を保持した状態で、作業者は、メンテナンス用開口20を通じてエンジン10、排気後処理装置12等の搭載機器にアクセスし、これらに対するメンテナンスを行う。この場合、後処理装置上部カバー23は、キャブ6の右側面6Dよりも右側に配置されているので、図7および図8に示すカバー前傾位置まで回動することができる。従って、エンジン上部カバー22が開位置を保持し、後処理装置上部カバー23がカバー前傾位置(開位置)を保持した状態では、後処理装置上部カバー23がエンジン上部カバー22よりも前側に配置され、排気後処理装置12の周囲には、大きなメンテナンス用の作業スペースを確保することができる。この結果、作業者は、排気後処理装置12に対してのクレーンを用いた着脱作業やメンテナンス作業を、機械室17内に形成された大きな作業スペース内で効率良く行うことができ、メンテナンスの作業性を向上させることができる。
エンジン10、排気後処理装置12等に対するメンテナンスが終了すると、作業者は、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23とを、機械室17を覆う覆い位置(図3の位置)へと回動させる。この場合には、第2のステー35の自由端35Bを、第2のステーガイド37(ガイド溝37D)のカバー前傾位置保持部37Fから離脱させ、ヒンジ部材25を支点として、後処理装置上部カバー23の自由端23Eを後方下向きに回動させる。そして、後処理装置上部カバー23の後面部23Cが、エンジン上部カバー22の後面部22Cと左,右方向に並んだ状態で、後処理装置上部カバー23とエンジン上部カバー22とを、カバー連結装置27によって一体的に連結する。
次に、作業者は、第1のステー32の自由端32Bを、第1のステーガイド34(ガイド溝34D)の開位置保持部34Fから離脱させる。そして、カバー連結装置27によってエンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23とが連結された状態で、エンジン上部カバー22の自由端22Gと後処理装置上部カバー23の自由端23Eとを、それぞれヒンジ部材24,25を支点として同時に後方下向きに回動させる。
これにより、エンジン上部カバー22および後処理装置上部カバー23によって機械室17が覆われる。この状態で、作業者は、施錠装置28のラッチ31を構成する係合レバー31Cの溝部31Dを、ストライカ29の係合ピン29Bに係合させる。そして、係合レバー31Cの先端側をストライカ29に向けて回動させ、ラッチ31のキーシリンダ31Eをストライカ29のシリンダ挿通孔29Cに挿通した状態で、キーシリンダ31Eにキーを差し込んで回す。これにより、カバー連結装置27によって連結されたエンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23とを、機械室17を覆った状態でカウンタウエイト7に対して施錠することができる。
かくして、実施の形態によれば、油圧ショベル1の上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム5と、左,右方向の一側(左側)に位置して旋回フレーム5の前側に設けられたキャブ6と、キャブ6の後側に位置して旋回フレーム5に設けられたエンジン10と、エンジン10に対し左,右方向に並んで設けられた排気後処理装置12と、エンジン10および排気後処理装置12を収容した機械室17を覆う建屋カバー13とを有している。建屋カバー13は、機械室17を側方から覆う左側面カバー14、右側面カバー15と、左,右方向の中間部に位置して機械室17を開,閉可能に覆う開閉カバー21とを備えている。
開閉カバー21は、エンジン10の上側に設けられ、前側が回動支点となって後側が前,後方向に回動可能な自由端22Gとなったエンジン上部カバー22と、排気後処理装置12の上側に設けられ、前側が回動支点となって後側が前,後方向に回動可能な自由端23Eとなった後処理装置上部カバー23とに分割され、後処理装置上部カバー23は、キャブ6よりも左,右方向の他側(右側)に配置されている。
これにより、作業者は、建屋カバー13上に上がる必要がなく、地上からエンジン上部カバー22や後処理装置上部カバー23を開,閉することができる。このため、機械室17に収容されたエンジン10、排気後処理装置12等に対するメンテナンスを行うときの作業性を向上させることができる。
実施の形態によれば、開閉カバー21には、機械室17側に位置してエンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23とを連結する連結状態とエンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23との連結状態を解除する連結解除状態とに切換えられるカバー連結装置27が設けられ、エンジン上部カバー22とカウンタウエイト7との間には、エンジン上部カバー22および後処理装置上部カバー23が機械室17を覆った状態でエンジン上部カバー22を施錠する施錠装置28が設けられている。
これにより、カウンタウエイト7に対してエンジン上部カバー22を施錠装置28によって施錠するだけで、後処理装置上部カバー23をエンジン上部カバー22と同時に施錠することができる。カバー連結装置27は、機械室17側に設けられているので、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23とが機械室17を覆った状態では、開閉カバー21の外側からカバー連結装置27が操作されるのを防止できる。この結果、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23との連結状態が不用意に解除されてしまうのを防止することができる。
実施の形態によれば、エンジン上部カバー22には、基端32A側がエンジン上部カバー22に回動可能に取付けられ先端側が自由端32Bとなった第1のステー32が設けられ、機械室17内に設けられた第1の仕切り部材18には、エンジン上部カバー22が機械室17を覆ったときに第1のステー32の自由端32Bが係合する覆い位置保持部34Eと、エンジン上部カバー22が機械室17を開放したときに第1のステー32の自由端32Bが係合する開位置保持部34Fとを有する第1のステーガイド34が設けられている。また、後処理装置上部カバー23には、基端35A側が後処理装置上部カバー23に回動可能に取付けられ先端側が自由端35Bとなった第2のステー35が設けられ、機械室17内に設けられた第2の仕切り部材19には、後処理装置上部カバー23が機械室17を覆ったときに第2のステー35の自由端35Bが係合する覆い位置保持部37Eと、後処理装置上部カバー23の上面部23Aが鉛直方向よりも前側に傾斜したときに第2のステー35の自由端35Bが係合するカバー前傾位置保持部37Fとを有する第2のステーガイド37が設けられている。
これにより、第1のステー32の自由端32Bが、第1のステーガイド34の開位置保持部34Fに係合した状態で、エンジン上部カバー22は、キャブ6の後面6Bに干渉しない範囲で機械室17を開放した位置を保持する。この状態で、カバー連結装置27を操作することにより、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23との連結状態を解除することができる。また、第2のステー35の自由端35Bが、第2のステーガイド37のカバー前傾位置保持部37Fに係合した状態で、後処理装置上部カバー23は、上面部23Aが鉛直方向よりも前側に傾斜した前傾位置で機械室17を開放する。これにより、排気後処理装置12の周囲に大きなメンテナンス用の作業スペースを確保し、作業性を向上させることができる。
実施の形態によれば、後処理装置上部カバー23のうちエンジン上部カバー22に隣合う左端部23Fは、エンジン上部カバー22および後処理装置上部カバー23が機械室17を覆ったときにエンジン上部カバー22の右端部22Hの上側に重なる構成としている。これにより、後処理装置上部カバー23の左端部23Fをエンジン上部カバー22の右端部22Hに当接させたときの衝撃を緩和することができる。また、後処理装置上部カバー23の左端部23Fとエンジン上部カバー22の右端部22Hとの間の隙間をシールし、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23との境界部分から、機械室17内に雨水等が浸入するのを防止することができる。
なお、実施の形態では、建屋カバー13を構成する上面カバー16とエンジン上部カバー22の前端22Fとの間を、1個のヒンジ部材24を用いて回動可能に連結し、上面カバー16と後処理装置上部カバー23の前端23Dとの間を、1個のヒンジ部材25を用いて回動可能に連結した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、上面カバー16とエンジン上部カバー22との間、および上面カバー16と後処理装置上部カバー23との間を、それぞれ2個以上のヒンジ部材を用いて連結してもよい。
また、実施の形態では、第1のステーガイド34を介して第1のステー32を支持する第1の支持部材として、熱交換装置11とエンジン10との間を仕切るように機械室17内に設けられた第1の仕切り部材18を用いている。一方、第2のステーガイド37を介して第2のステー35を支持する第2の支持部材として、エンジン10と油圧ポンプとの間を仕切るように機械室17内に設けられた第2の仕切り部材19を用いている。しかし、本発明はこれに限らず、例えば建屋カバー13を支持するサポート部材の一部を、第1,第2の支持部材として利用してもよい。
また、実施の形態では、エンジン上部カバー22と後処理装置上部カバー23との間を、1個のカバー連結装置27を用いて連結した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、2個以上のカバー連結装置を用いる構成としてもよい。
さらに、実施の形態では、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、ホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。