JP7082853B2 - 距離計、距離測定方法、厚み計装置及び厚み測定方法 - Google Patents

距離計、距離測定方法、厚み計装置及び厚み測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、距離計、距離測定方法、厚み計装置及び厚み測定方法に関する。
従来、鋼材製品の厚みを測定する厚み計装置としては、γ線を使った厚み計装置やレーザー距離計を使った厚み計装置等が知られている。例えば、特許文献1には、レーザー距離計を採用した光学系の厚み計装置が開示されている。
特開2009-31120号公報
しかしながら、特許文献1に開示された厚み計装置は、レーザー距離計を用いたものであるため、水蒸気や霧等が製品や製品付近から発生する場合、水蒸気や霧等がレーザー光の通行の妨げとなり、場合により測定不可能となることがある。特に、鉄鋼製品の製造ラインでは、水蒸気や霧等が発生し易い環境となる。このため、このような環境下で厚み計装置を用いる場合、水蒸気や霧等によって通光に問題が生じるため、精度よく板厚を測定することが困難となる。また、γ線を用いた厚み計では、測定可能な板厚に限界があり、例えば厚みが50mm以上と厚い場合には測定することができない。また、このような環境下では、放射線の透過量が激減することから、測定に要する時間が長くなるといった問題や、測定精度が低くなり要求精度が得られないといった問題が生じる可能性がある。
また、厚み計装置以外として、例えば、測定対象までの距離を測定する距離計においても、上述の場合と同様に通光に問題がある環境下では、精度よく測定することが困難となる。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、通光に問題がある環境下でも精度よく、厚みまたは距離を測定することができる、距離計、距離測定方法、厚み計装置及び厚み測定方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、被測定物までの距離を測定する距離計であって、上記被測定物に電波を送信波として照射する送信アンテナと、上記送信波が上記被測定物で反射した受信波の中心経路を検出可能な受信アンテナと、上記受信波の中心経路と上記送信波の中心経路とから、上記送信波が反射された上記被測定物の座標である測定スポットを算出し、上記被測定物までの距離を算出する演算部と、を有する、距離計が提供される。
本発明の一態様によれば、被測定物までの距離を測定する距離測定方法であって、送信アンテナを用いて、上記被測定物に電波を送信波として照射し、受信アンテナを用いて、上記送信波が上記被測定物で反射した受信波の中心経路を検出し、上記受信波の中心経路と上記送信波の中心経路とから、上記送信波が反射された上記測定物の座標である測定スポットを算出し、上記被測定物までの距離を算出する、距離測定方法が提供される。
本発明の一態様によれば、被測定物の厚みを測定する厚み計装置であって、第1距離計と、第2距離計と、厚み演算部とを備え、上記第1距離計及び第2距離計は、上記の距離計であり、上記被測定物を上記厚みの方向に挟んで各距離計における測定方向が対向して設けられ、上記第1距離計から上記被測定物までの距離である第1距離及び上記第2距離計から上記被測定物までの距離である第2距離をそれぞれ測定し、上記厚み演算部は、上記第1距離と上記第2距離とに基づいて、上記被測定物の厚みを算出する、厚み計装置が提供される。
本発明の一態様によれば、被測定物の厚みを測定する厚み測定方法であって、上記の距離計であり、上記被測定物を上記厚みの方向に挟んで各距離計における測定方向が対向して設けられる上記第1距離計及び第2距離計を用いて、上記第1距離計から上記被測定物までの距離である第1距離及び上記第2距離計から上記被測定物までの距離である第2距離をそれぞれ測定し、上記第1距離と上記第2距離とに基づいて、上記被測定物の厚みを算出する、厚み測定方法が提供される。
本発明の一態様によれば、通光に問題がある環境下でも精度よく、厚みまたは距離を測定することができる、距離計、距離測定方法、厚み計装置及び厚み測定方法が提供される。
本発明の一実施形態に係る厚み計装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る厚み計装置を示す斜視図である。 第1距離計及び第2距離計を示す説明図である。 送信アンテナによる電波強度の分布の一例を示す説明図であり、(A)は誘電体レンズが設けられていない送信アンテナを示し、(B)は誘電体レンズが設けられた送信アンテナを示す。 誘電体レンズを有する送信アンテナと被測定物との配置の一例を示す説明図である。 受信アンテナの構成を示す構成図である。 演算部を示すシステム構成図である。 受信波のエネルギー分布の一例を示す模式図である。 厚み演算部を示すシステム構成図である。 本発明の一実施形態に係る厚み測定方法を示すフロー図である。 厚みの測定方法を示す説明図である。 変形例における距離計を示す斜視図である。
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するように、本発明の実施形態を例示して多くの特定の細部について説明する。しかしながら、かかる特定の細部の説明がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかである。また、図面は、簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
<厚み計装置>
図1~図9を参照して、本発明の一実施形態に係る厚み計装置1について説明する。厚み計装置1は、被測定物6の厚みである板厚を連続的に測定する装置であり、図1に示すように、フレーム2と、第1距離計3と、第2距離計4と、厚み演算部5と、を備える。
フレーム2は、図2に示すように、x軸方向からみてC型の形状を有し、移動する被測定物6を挟んで配される。なお、図面において、一例として、x軸、y軸及びz軸は互いに直交する軸であり、x軸及びy軸が水平方向に平行な軸、z軸が鉛直方向に平行な軸である。本実施形態において被測定物6は、x軸方向に搬送される鋼板である。
第1距離計3は、電波距離計であり、電波を用いて第1距離計3から被測定物6までの距離である第1距離Lを測定する。本実施形態では、第1距離計3は、電波としてマイクロ波を用いるが、ミリ波やサブミリ波を用いたものであってもよい。なお、水蒸気や霧等が発生し易い環境化における電波の透過性の観点からは、波長が1mm以上の電波とすることがより好ましい。第1距離計3は、図2及び図3に示すように、C型のフレーム2のz軸正方向側の先端に、測定方向がz軸に平行となるように設けられる。なお、後述するように、第1距離計3は、図3に示すように、送信アンテナ31と、受信アンテナ32とを有する。送信アンテナ31は、電波を照射する導波管を有するホーンアンテナであり、指向方向(照射方向)のアンテナ先端に誘電体レンズ311を有する。送信アンテナ31では、電波がホーン型のアンテナから誘電体レンズ311を通じて照射される。受信アンテナ32は、送信アンテナ31から照射された電波の反射波である受信波を受信するアンテナであり、受信部においてアンテナ素子が規則的に配列された平面の受信面を有するフェイズドアレイアンテナである。また、第1距離計3は、図3に示すように、y軸正方向に対して、受信アンテナ32と送信アンテナ31とが順に並んで設けられる。
第2距離計4は、第1距離計3と同様な、電波距離計であり、電波を用いて第2距離計4から被測定物6までの距離である第2距離Lを測定する。第2距離計4は、図2及び図3に示すように、C型のフレーム2のz軸正方向側の先端に、測定方向がz軸に平行となるように設けられる。また、第2距離計4は、第1距離計3と同様に、送信アンテナ41と、受信アンテナ42とを有する。つまり、送信アンテナ41は、送信アンテナ31と同様に、電波を照射するホーン型のアンテナであり、指向方向のアンテナ先端に誘電体レンズ311を有する。また、受信アンテナ42は、フェイズドアレイアンテナである。また、第2距離計4は、図3に示すように、y軸正方向に対して、送信アンテナ41と受信アンテナ42とが順に並んで設けられる。なお、第1距離計3と第2距離計4との離間距離をLa(例えば、約3000mm)とする。また、第1距離計3と第2距離計4とが対向する軸を、対向軸Cとする。
誘電体レンズ311,411は、送信アンテナ31,41のアンテナ先端の開口面を覆う凸状のレンズである。誘電体レンズ311,411は、ホーン型のアンテナから照射される電波の指向性を鋭くする。図4に、誘電体レンズが設けられていないホーン型の送信アンテナ31と、誘電体レンズ311が設けられたホーン型の送信アンテナ31とによる送信電波強度の分布7の一例を示す。図4(A)に示すように、誘電体レンズがない場合、指向方向(図4(A),(B)の横方向)に直交する方向に対する送信電波が拡がる範囲が大きくなる。これに対して、図4(B)に示すように、誘電体レンズがある場合、指向方向に直交する方向に対する送信電波が拡がる範囲が小さくなり、送信電波を絞ることができる。つまり、誘電体レンズ311,411を設けることにより、測定する範囲、即ち測定面において送信電波が照射される面積を小さくすることができる。このため、測定面の細かな凹凸による測定距離の違いを精度よく検出することができる。
また、図5には、誘電体レンズ311を採用した送信アンテナ31と、被測定物6との配置の一例を示す。図5に示すように、被測定物6が傾きや振動のない正常な状態で搬送された場合の位置である基準位置において、被測定物6の表面付近が誘電体レンズ311によって送信電波が収束する位置となるように、誘電体レンズ311が選択される。このような位置関係にある場合、被測定物6上において距離測定範囲が最小となり、精度よく厚みを測定することができる。
送信アンテナ31,41は、電波が被測定物6に照射される方向に指向方向が設定され、互いに対向する方向に設定されてもよい。また、送信アンテナ31,41は、被測定物6が基準位置において、送信アンテナ31の電波の中心経路が照射される被測定物6の表面の測定スポットが、送信アンテナ41での裏面の測定スポットの反対面に位置するように設けられることが好ましい。なお、送信アンテナ31,41の電波の指向方向は、被測定物6との距離等により、受信アンテナ32,42が最も電波を受信しやすい方向に設定することが好ましい。例えば、図3に示す例では、送信アンテナ31,41の電波の指向方向は、鉛直方向であるz軸に対してy軸正方向側及びy軸負方向側にそれぞれ一例として5度傾いた角度に設定される。
また、受信アンテナ32,42は、送信アンテナ31,41からそれぞれ照射された電波の受信波を検出できるように、受信面の面積や傾きが設定される。受信アンテナ32,42の受信面の面積や傾きは、被測定物6の測定範囲や測定精度の要求等によりそれぞれ設定される。例えば、図3に示す例では、受信アンテナ32,42の受信面の法線方向である指向方向は、送信アンテナ31,41の傾きと逆側に一例として5度傾いて設定される。
さらに、受信アンテナ32(42)は、図6に示すように、受信面321(421)と、重み係数付与部322(422)と、演算部323(423)と、出力回路324(424)とを有する。なお、以下では説明を簡単にするため、主に受信アンテナ32について説明するが、説明がない限り、受信アンテナ42についても受信アンテナ32と同様なものとする。受信アンテナ32は、受信波を受信面321の複数のアンテナ素子で受ける。そして、重み係数付与部322では、各アンテナ素子の出力に重みをかける。この際、この重み係数として複素関数を用い、受信アンテナ32からの出力を振幅要素と位相要素とに分解する。
演算部323は、図7に示すように、電波強度位相演算部325と、ピーク座標算出部326と、到来方向ベクトル演算部327と、測定点座標算出部328とを有する演算装置である。
電波強度位相演算部325は、重みがかけられた受信アンテナ32の各アンテナ素子の出力から、各出力における電波強度と位相とを検出する。なお、各出力は、重み係数付与部322によって、振幅要素と位相要素とに分解されている。そして、分解された要素のうち、振幅要素によって電波強度が定められ、位相要素によって受信電波の入射方向が定められる。
ピーク座標算出部326は、重みがかけられた受信アンテナ32の各アンテナ素子の出力から、アンテナ素子のピーク部の座標であるピーク部座標を算出する。なお、ピーク部は、受信アンテナ32において、各アンテナ素子の中で最大のエネルギー値(電波強度)を受信するアンテナ素子である。
到来方向ベクトル演算部327は、重みがかけられた各アンテナ素子の出力から、ピーク部における受信波の入射方向角であるピーク部入射方向角を演算し、さらにピーク部における受信波の到来方向のベクトルである到来方向ベクトルを演算する。
測定点座標算出部328は、算出されたピーク部座標と、到来方向ベクトルとから、送信波が反射された被測定物6の表面の空間座標、つまり表面の測定スポットである第1測定点座標(xfm,yfm,zfm)を算出する。
演算部423は、演算部323と同様な構成のものであり、送信波が照射された被測定物6の裏面の空間座標、つまり裏面の測定スポットである第2測定点座標(xbm,ybm,zbm)を算出する。つまり、演算部423は、演算部323と同様に、電波強度位相演算部425と、ピーク座標算出部426と、到来方向ベクトル演算部427と、測定点座標算出部428とを有する。電波強度位相演算部425では、重みがかけられた受信アンテナ42の各アンテナ素子の出力から、各出力における電波強度と位相とを検出する。ピーク座標算出部426は、受信アンテナ42のアンテナ素子のピーク部の座標であるピーク部空間座標を算出する。なお、ピーク部は、表面と同様に、受信アンテナ42の各アンテナ素子の中で最大のエネルギー値を受信するアンテナ素子である。到来方向ベクトル演算部427は、重みがかけられた各アンテナ素子の出力から、ピーク部における受信波の入射方向角であるピーク部入射方向角を演算し、ピーク部における受信波の到来方向のベクトルである到来方向ベクトルを演算する。測定点座標算出部428は、算出されたピーク部空間座標と、到来方向ベクトルとから、送信波が照射された被測定物6の裏面の空間座標である、第2測定点座標(xbm,ybm,zbm)を算出する。
出力回路324,424は、演算部323,423による演算結果を、厚み演算部5に出力するものである。出力回路324,424は、少なくとも、第1測定点座標、第2測定点座標、測定時間及びピーク部入射方向角を出力情報として厚み演算部5に出力する。また、出力情報には、ピーク部出力波形、ピーク部空間座標、電波エネルギー重心座標及び各アンテナ素子の電波強度が含まれていてもよい。なお、ピーク部出力波形は、ピーク部における出力波形を示す。また、電波エネルギー重心は、受信電波全体面の中の重心であり、電波エネルギー重心座標は、各アンテナ素子の受信する電波強度の平面アンテナの平面上の重心の座標を示す。さらに、各アンテナ素子の電波強度は、受信アンテナ32,42の各アンテナ素子の受信電波強度を示す。平面アンテナである受信アンテナ32,42では、受信波の空間的なエネルギー分布を測定することができる。図8には、受信アンテナ32による送信アンテナ31の受信波の測定結果の一例を示す。図8において、x’軸及びy’軸は受信アンテナ32の受信面321に平行な方向でありアンテナ素子が並ぶ方向に平行な方向となる。また、z’軸は、各アンテナ素子において受信された電波エネルギーの測定値を示す。図8に示すように、送信波とそのアンテナと受信波のエネルギーに応じて、エネルギー分布は山状となる。そして、エネルギー値が最も高くなる、つまり山の頂上に位置するアンテナ素子がピーク部となる。また、この山の形状から、エネルギー値の重心位置となるアンテナ素子の座標が、電波エネルギー重心座標となる。
厚み演算部5は、受信アンテナ32,42の出力情報から、被測定物6の厚みを演算する演算装置である。厚み演算部5は、図9に示すように、測定値DB51と、仮厚み算出部52と、傾斜演算部53と、平行度演算部54と、誤差判定部55と、厚み補正部58とを有する。
測定値DB51は、受信アンテナ32,42の出力回路324,424からそれぞれ出力された出力情報を記憶する。
仮厚み算出部52は、測定値DB51に記憶された出力情報から、被測定物6の仮の厚みである仮厚みを算出する。後述するように、被測定物6が基準位置からずれて配されている場合、対向軸方向の位置ズレや傾きから、仮厚みは被測定物6の正しい厚みと異なる可能性がある。
傾斜演算部53は、測定値DB51に記憶された出力情報から、被測定物6の表面及び裏面の傾きを演算する。
平行度演算部54は、傾斜演算部53で演算された被測定物6の表面及び裏面の傾きから、被測定物6の表面及び裏面の平行度を演算する。
誤差判定部55は、平行度演算部54の演算結果から、被測定物6の対向軸Cに対する傾きの有無を判定する。
厚み補正部56は、誤差判定部55にて、傾きがあると判定された場合、被測定物6の傾きに応じて、仮厚みを補正し、被測定物6の厚みを算出する。
なお、厚み演算部5による、被測定物6の厚みの算出方法については、後述の厚み測定方法にて詳細に説明する。
(厚みの測定方法)
次に、図10,11を参照して、厚み計装置1による厚みの測定方法について説明する。本実施形態では、厚みの測定に先立ち、第1距離計3及び第2距離計4の設置位置の調整及び距離計としての校正が行われる。第1距離計3及び第2距離計4の設置位置の調整では、各距離計の測定軸の位置ずれ及び角度ずれがないように調整が行われる。
そして、設置位置の調整が完了した後、図10に示す処理フローに従って、被測定物6の厚みの測定が行われる。厚みの測定は、自動で開始されてもよく、手動で開始されてもよい。本実施形態のように、被測定物6が移動する鋼板である場合には、鋼板の移動位置を測定する位置センサー(不図示)が厚み計装置1または厚み計装置1の搬送方向上流側に設けられ、この位置センサーによって鋼板が検出された後に、この検出信号を測定開始の信号として距離の測定が行われてもよい。
厚みの測定では、はじめに、第1距離計3及び第2距離計4を用いて、第1測定点座標及び第2測定点座標を測定する(S100)。ステップS100では、まず、送信アンテナ31,41から被測定物6に電波を照射し、それぞれの送信波(照射波)が反射した受信波(反射波)を受信アンテナ32,42で受信する。この際、受信アンテナ32,42では、受信面321,421の各アンテナ素子での受信結果から、ピーク部座標と到来方向ベクトルとが算出される。上述のように、各アンテナ素子での出力には、重み係数付与部322,422によって重みが付与される。そして、ピーク座標算出部326,426は、重みが付与された出力の振幅要素、即ち検出された二次元の電波強度から、受信アンテナ32,42のアンテナ素子においてそれぞれ最大のエネルギー値を受信する素子の座標をピーク部座標(xf0p,yf0p,zf0p),(xb0p,yb0p,zb0p)として算出する。また、到来方向ベクトル演算部327,427は、重みが付与された出力の位相要素から、算出されたピーク部のアンテナ素子におけるピーク部入射方向角を演算する。さらに、到来方向ベクトル演算部327,427は、各受信アンテナ32,42のピーク部での受信波のエネルギー値とピーク部入射方向角とから、到来方向ベクトルR(x,y,z),R(x,y,z)をそれぞれ演算する。次いで、測定点座標算出部328,428は、ピーク部座標と到来方向ベクトルとから、被測定物6の表面及び裏面における測定スポット(送信波が反射された測定箇所の座標)である第1測定点座標(xfm,yfm,zfm)及び第2測定点座標(xbm,ybm,zbm)をそれぞれ算出する。第1測定点座標(xfm,yfm,zfm)及び第2測定点座標(xbm,ybm,zbm)の具体的な算出方法の一例を、図11を用いて説明する。
図11には、一例として、被測定物6が基準位置となる場合と、被測定物6が基準位置からy-z平面内でx軸正方向側からみて左回りに5度傾いた状態となる場合とを示す。なお、図11には、送信波及び受信波の経路を示すが、これは、電波において進行方向に直交する面内で最もエネルギー値が高い個所となる中心の経路である中心経路を示すものである。また、図11において、点線で示された被測定物6及び受信波の経路が、基準位置となる場合を示し、実線で示された被測定物6及び受信波の経路が、傾いた状態となる場合を示す。なお、図11の被測定物6が傾いた状態では、受信アンテナ32,42同士が対向する中心軸である対向軸Cと被測定物6の厚み方向の中心との交点が基準位置と変わらないものとし、基準位置からこの交点を中心に傾いた状態とする。図11に示すように、基準位置と傾いた状態とを比べると、被測定物の傾きによって受信波の経路が大きく異なるものとなる。つまり、受信波の到来方向ベクトルを用いることで、被測定物の傾きを検出できるようになる。
図11の被測定物6が傾いた状態における、第1測定点座標(xfm,yfm,zfm)及び第2測定点座標(xbm,ybm,zbm)の算出方法について説明する。送信アンテナ31,41から送信波については、送信アンテナ31,41の送信部分の空間座標である発信部座標(xf0t,yf0t,zf0t),(xb0t,yb0t,zb0t)と、送信波の方向ベクトルである送信方向ベクトルI(x,y,z),I(x,y,z)とから、送信波の中心の経路である直線t,t(xyz空間での直線の式)がそれぞれ算出される。送信方向ベクトルI(x,y,z),I(x,y,z)は、予め決められる値であるため、事前に計算された値が用いられてもよく、測定点座標算出部328,428が送信アンテナ31,41の初期条件から計算をしてもよい。次に、ピーク座標算出部326,426によってピーク部座標(xf0p,yf0p,zf0p),(xb0p,yb0p,zb0p)が算出され、到来方向ベクトル演算部327,427によって到来方向ベクトルR(x,y,z),R(x,y,z)が演算される。さらに、測定点座標算出部328,428は、ピーク部座標(xf0p,yf0p,zf0p),(xb0p,yb0p,zb0p)と、到来方向ベクトルR(x,y,z),R(x,y,z)とから、受信波の中心の経路である直線p,p(xyz空間での直線の式)がそれぞれ算出される。その後、測定点座標算出部328,428は、直線tと直線pとから第1測定点座標(xfm,yfm,zfm)、直線tと直線pとから第2測定点座標(xbm,ybm,zbm)を算出する。第1測定点座標(xfm,yfm,zfm)及び第2測定点座標(xbm,ybm,zbm)は、送信波及び受信波の中心を示す直線の交点として求めてもよい。また、送信波及び受信波の中心を示す直線の最短距離の線分の式について、その中間点の空間座標を疑似交点(被測定物6上の反射点であり測定点)として求め、求められた疑似交点を第1測定点座標(xfm,yfm,zfm)及び第2測定点座標(xbm,ybm,zbm)としてもよい。なお、交点が求められない場合には、各直線について、距離σ以内で交点を探索して、最短距離の近点を交点の代用として擬似交点として解を求めてもよい。σの値は、測定の要求精度に応じた許容範囲内で決定される。また、距離σ以内でも交点が求められない場合には、測定不可としてもよい。
ステップS100では、演算部323,423が、受信波の二次元の電波強度と到来方向角とから求められる受信波の中心経路と、送信波の中心経路とから、第1距離計3及び第2距離計から被測定物6の表面及び裏面の測定スポットの座標(第1測定点座標及び第2測定点座標)が求められる。なお、測定スポットの座標の算出に際して、送信アンテナ31,41の座標や送信波の中心経路は予め決められたものであり、予め設定された値を用いるようにしてもよい。なお、ステップS100では、第1測定点座標及び第2測定点座標求められることで、第1距離計3及び第2距離計4から表面及び裏面の測定スポットまでの距離である第1距離L及び第2距離Lも求められる。具体的には、第1距離Lは、第1測定点座標のz座標と第1距離計3の設置位置のz座標との差分として求められ、第2距離Lは、第2測定点座標のz座標と受信アンテナ42の設置位置のz座標との差分として求められる。
ステップS100の後、算出された第1測定点座標(xfm,yfm,zfm)及び第2測定点座標(xbm,ybm,zbm)は、測定時間及びピーク部入射方向角と共に、測定値DB51へと出力され、出力情報として記憶される(S102)。
ステップS100,S102の工程は、被測定物6の搬送速度や目的とする厚みの測定精度に応じて、第1距離計3及び第2距離計4によって繰り返し行われる。例えば、10ms間隔で、第1測定点座標(xfm,yfm,zfm)及び第2測定点座標(xbm,ybm,zbm)の測定が行われてもよい。つまり、測定値DB51には、ステップS100,S102の工程が繰り返された回数に応じて、出力情報が複数記憶される。
ステップS102の後、仮厚み算出部52は、出力情報として記憶された第1測定点座標と第2測定点座標とから、仮厚みDを算出する(S104)。仮厚みDは、特定の第1測定点座標における、z軸方向での被測定物6の厚みを示す。つまり、仮厚みDは、図11に示す被測定物6が基準位置では、被測定物6の板厚方向の厚みd(板厚)と同じものとなる。一方、図11に示す被測定物6が傾いた状態では、被測定物6の板厚方向から傾いた方向での厚みを示し、実際の板厚よりも大きくなる。また、以下では、一例として、時間Tにおいて測定された第1測定点座標(xfmT,yfmT,zfmT)における、仮厚みを算出する場合について説明する。
ステップS104では、はじめに、測定値DB51に記憶された複数の第2測定点座標(xbm,ybm,zbm)(以下、「第2測定点座標群」とも称する。)から、第1測定点座標(xfmT,yfmT,zfmT)に対応した、被測定物6の裏面の座標である第3測定点座標(xbma,ybma,zbma)を決定する。
第3測定点座標の決定方法としては、まず、第2測定点座標群の中から、x-y座標系において、第1測定点座標(xfmT,yfmT,zfmT)と同じx,y座標のz軸と平行な直線と裏面との交叉する点か、その点に最も近い3点の第2測定点座標を選択する。この交叉する点のデータがある場合は、その座標、データがない場合は最も近い3点を含む平面と第一測定点のx,y座標(xfmT,yfmT)が同じ同平面状の点のz座標zbmaを求め、第三測定点座標とする。選択される複数の第2測定点座標は、3点以上であることが必要条件となる。座標(xfmT,yfmT)におけるz座標の推定は、例えば、選択された複数の第2測定点座標から内分、あるいは表面の測定点を通るz軸に平行な直線と裏面が交叉する点付近の測定点から交叉する点のx,y,z座標を平面近似、曲面近似などの近似手法で求めることで、第3測定点座標のz座標が求められてもよい。そして、第三測定点を求めるための最も近い測定点所定の距離範囲内にない場合には、測定不可として、第1の測定点座標(xfmT,yfmT,zfmT)の厚みの演算を終了する。一方、所定の範囲内にある場合には、第1の測定点座標(xfmT,yfmT,zfmT)の厚みの演算を継続する。
さらに、第3測定点座標の決定方法は、上記の方法に限定されない。第2測定点座標群の中に、第1測定点座標(xfmT,yfmT,zfmT)と、x座標及びy座標が同じものがある場合には、その第2測定点座標を第3測定点座標(xbma,ybma,zbma)として決定してもよい。また、例えば、第2測定点座標群の中に、x-y平面で第1測定点座標(xfmT,yfmT,zfmT)と十分に近いものがある場合には、その第2測定点座標を第3測定点座標(xbma,ybma,zbma)として決定してもよい。
第3測定点座標(xbma,ybma,zbma)が決定された後、第1測定点座標(xfmT,yfmT,zfmT)のz座標値と、第3測定点座標(xbma,ybma,zbma)のz座標値との差分となる距離(|zfmT-zbma|)が、仮厚みDとして算出される。
ステップS104の後、傾斜演算部53は、測定値DB51に記憶された出力情報から、被測定物6の表面及び裏面の傾きを演算する(S106)。具体的には、傾斜演算部53は、第1測定点座標(xfmT,yfmT,zfmT)及び第3測定点座標(xbma,ybma,zbma)におけるピーク部入射方向角から、被測定物6の表面及び裏面の傾きを演算する。例えば、図11に示す例では、送信アンテナ31,41による送信波の照射方向角をθf0,θb0とし、受信波のピーク部入射方向角をθfs,θbsとする。図11に示すように、被測定物6が基準位置である場合には、照射方向角θf0,θb0と、ピーク部入射方向角θfs,θbsとは、被測定物の表面と裏面が平行あるいは測定に影響を与えない程度の平行度である場合は、表面及び裏面でそれぞれ同じ角度となる。これに対して、被測定物6に傾きがある状態の場合には、傾きの分だけ、傾いている方向に応じてピーク部入射方向角θfs,θbsが、基準位置の場合よりも変化することになる。このため、予め設定される基準位置でのピーク部入射方向角θfs,θbsに対する、測定されるピーク部入射方向角θfs,θbsの変化量を計算することで、表面及び裏面での被測定物6の傾きが算出される。なお、図11では、被測定物6の法線方向が対向軸Cに平行なz軸に対してy軸方向にのみ傾いている場合を例示しているが、この例に限定されるものではない。被測定物6の法線方向は、z軸に対してx軸方向にのみ傾いていてもよく、z軸に対してx軸方向及びy軸方向の両方向、つまり3次元的に傾いていてもよい。このため、ピーク部入射方向角は、z軸に対してx軸方向及びy軸方向の少なくとも一方向への傾きを示す角度であればよく、ベクトルとして示されるものであってもよい。また、ステップS104にて第3測定点座標を求める際に複数の第2測定点座標を選択して用いた場合には、ステップS106においても、裏面の傾きを演算するにあたってこれらの複数の第2測定点座標を用いてもよい。この場合、ステップS104で選択された複数の第2測定点座標の到来方向ベクトルやピーク部入射方向角、第3測定点座標を用いて演算することで、第3測定点座標での到来方向角が求められる。
ステップS106の後、平行度演算部54は、傾斜演算部53で演算された被測定物6の表面及び裏面の傾きから、被測定物6の表面及び裏面の平行度を演算する(S108)。ステップS108では、被測定物6の表面及び裏面の傾きは、角度や傾斜方向の違いがどの程度であるかを示すものであり、これらの違いを定量的に示すことができるものであれば、どのような指標が用いられてもよい。例えば、図11に示すような傾きの場合、平行度は、表面のピーク部入射方向角θfsを裏面のピーク部入射方向角θbsで除した値であってもよい。なお、以下では、表面及び裏面の傾きが平行に近い場合(例えば、図11において平行度が1に近い値となる場合)を平行度が高いと表現し、表面及び裏面の傾きがそうでない場合(例えば、図11において平行度が1から離れた値となる場合)を平行度が低いと表現する。
ステップS108の後、誤差判定部55は、被測定物6の対向軸C方向に対する傾きの有無を判定する(S110)。ステップS110では、まず、ステップS108で算出された平行度が高いかどうかを判定する。この判断は、例えば、平行度の値が所定の範囲内にあるか否かを判断することで、判定することができる。この所定の範囲は、求められる厚みの測定精度等によって設定される範囲であり、平行度が高いと判断される範囲となる。そして、平行度が所定の範囲内になく、平行度が低いと判定される場合、測定ができないものと判断され、ステップS106で仮厚みを算出した測定点での厚みの測定を終了する。一方、平行度が所定の範囲内にあり、平行度が高いと判定される場合、誤差判定部55は、被測定物6の対向軸C方向に対する傾きの有無を判定する。この際、誤差判定部55は、ステップS106に算出された表面の傾きと裏面の傾きとから、被測定物6の傾きを算出する。この場合、例えば、表面の傾きまたは裏面の傾きを被測定物6の傾きとしてもよく、表面の傾きと裏面の傾きとの平均値を被測定物6の傾きとしてもよい。そして、誤差判定部55は、算出された被測定物6の傾きが、対向軸C方向に傾いているか否かを判定する。この場合、例えば、算出された被測定物6の傾きが、対向軸C方向と略平行となる範囲内の値である場合には傾きがないと判断し、対向軸C方向と略平行となる範囲を超える値である場合には傾きが有ると判断する。
ステップS110の判断の結果、被測定物6に傾きがある場合、厚み補正部56は、被測定物6の傾きに応じて、仮厚みDを補正し、被測定物6の厚みdを算出する(S112)。ステップS112では、被測定物6の傾きに応じて、仮厚みDを幾何学的な補正方法で補正することで、被測定物6を基準位置とした状態でのz軸方向の厚みを算出する。そして、算出された厚みが被測定物6の厚みdとして最終的に決定する(S114)。
一方、ステップS110の判断の結果、被測定物6に傾きがない場合、誤差判定部55は、ステップS104で算出された仮厚みDを、被測定物6の最終的な厚みdとして決定する(S114)。
ステップS108~S114の工程は、ステップS100,S102が繰り返し行われた回数に応じて、繰り返し行われる。これにより、被測定物6の搬送方向に対して、板厚の分布を連続的に測定することができる。
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態とともに種々の変形例を含む本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態には、本明細書に記載したこれらの変形例を単独または組み合わせて含む実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、上記実施形態では、第1距離計3及び第2距離計4がフレーム2に固定されるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。第1距離計3及び第2距離計4は、例えば、図12に示すような立体角スキャナ式の距離計であってもよい。図12には、第1距離計3’の変形例を示す。図12に示すように、第1距離計3’は、送信アンテナ31’と受信アンテナ32’とを有するアンテナ部33と、台部34と、第1移動手段35と、第2移動手段36とを備える。第1距離計3’において、送信アンテナ31は、上記実施形態における送信アンテナ31と同様なものである。また、受信アンテナ32’は、指向性と軸当方性の高いアンテナであり、例えば、導波管を有するホーンアンテナを用いることができる。また、第1距離計3’及び第2距離計4’を用いた厚み計装置1では、厚みが測定される被測定物6は、固定された状態もしくは極低速で移動する状態とする。
アンテナ部33は、ホーン型の送信アンテナ31及び受信アンテナ32’の開口方向がz軸方向に対して角度を変更できる機構を有し、傾きをもって設けられる。また、アンテナ部33は、台部34のz軸負方向側に設けられ、不図示の調整機構によって、z軸に平行な回転軸(例えば、台部34の中心軸)を中心に、台部34に対して回転可能に構成される。台部34は、第1移動手段35に接続され、さらに、第1移動手段35を介して第2移動手段に接続される。第1移動手段35は、例えばモータ等の駆動力を用いて、接続された台部34をx軸方向に移動させるものである。第1移動手段35は、z軸方向及びy軸方向の位置が固定され、x軸方向に自在に移動可能なものであれば、特に限定されない。第2移動手段36は、例えばモータ等の駆動力を用いて、第1移動手段35を接続された台部34ごとy軸方向に移動させるものである。第2移動手段36は、z軸方向及びx軸方向の位置が固定され、y軸方向に自在に移動可能なものであれば、特に限定されない。なお、図示しないが、第1距離計3’と同様な構成の距離計である第2距離計4’が、第1距離計3’と対向して、被測定物6の下面側(z軸負方向側)に設けられる。
このような、第1距離計3’では、台部34を固定させた状態で、アンテナ部33による電波の送受信を行う。そして、受信アンテナ32’にて受信された受信波のエネルギー値が、所定値以上か否かを判断し、所定値未満の場合にはアンテナ部33の首振り角度を変更して更に回転させ、電波の送受信を行う。例えば、最初は首振り角0°とし、反射波が不足なら次にθ°首振り角度を傾けて回転させる。θは、図12に示す通り、第1距離計3’の受発振方向の中心線と被測定物面に垂直な直線との角度である。一方、受信されたエネルギー値が所定位置以上の場合には、台部34が固定された位置での、アンテナ部33による電波の送受信を終了する。つまり、第1距離計3’では、所定値以上のエネルギー値の受信波を受信するまで、アンテナ部33の回転角度を変えて電波の送受信を行う。なお、判断されるエネルギー値の所定値とは、例えば、受信アンテナ32’にて受信される反射波のエネルギー値が最大付近程度と想定される値であり、ホーン型の受信アンテナ32’の開口方向が受信波の到来方向と平行となる状態で受信された際の値としてもよい。そして、エネルギー値が所定値以上となる場合における、送信波の入射方向角と受信波の到来方向角とから、上記実施形態と同様に第1測定点座標(xfm,yfm,zfm)を算出する。なお、本変形例では、アンテナ部33の回転角度に応じて、送信アンテナ31の位置や受信アンテナ32’の位置、送信波の指向方向等が変わるものとなる。このため、アンテナ部33の回転角度に応じて、これらの値の違いが考慮された上で、第1測定点座標の算出が行われる。このようにすることで、フェイズドアレイアンテナと同様に、被測定物6の表面に傾きがあった場合でも測定スポットの座標を測定することができる。また、上記の例に限らず、予め設定されたアンテナ部33の回転角度の異なる複数の回転位置にて電波の送受信を行い、最も受信波のエネルギー値が高い回転位置での測定結果から、第1測定点座標の算出を行ってもよい。
次いで、第1移動手段35及び第2移動手段36の少なくとも一方を用いて、台部34をx軸方向及びy軸方向の少なくとも一方向へ移動させ、移動させた位置にて、上記と同様な方法にて第1測定点座標を測定する。そして、この動作を繰り返すことで、被測定物6の表面における複数位置での第1測定点座標(第1測定点座標群)が測定される。また、第1距離計3’と同様な方法で、第2距離計4’でも、被測定物6の裏面における複数位置での第2測定点座標(第2測定点座標群)が測定される。
さらに、第1測定点座標群の各測定スポットについて、第2測定点座標群を用いて、上記実施形態と同様に被測定物6の厚みを演算する。本変形例では、垂直方向では受信できない電波もアンテナの指向方向を変えることで、受信することができるようになる。
なお、第1距離計3’及び第2距離計4’の調整機構による指向方向の変更方法は、指向方向を変更可能なものであればよく、アンテナ部33を台部34に対してz軸方向に平行な軸を中心に回転させる上記の例に限定されない。アンテナ部33が台部34に対して角度が変更できる機構をもっている方が好ましい。
また、第1距離計3’及び第2距離計4’での測定は、互いに複数位置で行う必要はない。例えば、第1距離計3’の測定箇所を1箇所として、第2距離計4’の測定箇所を第1距離計3’での測定箇所近傍の複数の箇所としてもよい。この場合、第2距離計4’での複数の測定結果から、第1距離計3’の1箇所の測定箇所における厚みが算出される。
また、アンテナ部33の受信アンテナは、ホーンアンテナに限らず、フェイズドアレイアンテナであってもよい。ここで、図8に示したように、受信波のエネルギー分布は例えば山状になる。そして、被測定物6の表面に凹凸がある場合や被測定物6が傾いている場合には、このエネルギー分布の山がアンテナ素子に対してずれることとなる。このずれが大きい場合、山のピーク(頂点)を、受信面321のアンテナ素子で受信できていないことがある。このような場合、アンテナ部33を回転させて様々な方向から電波を照射させて受信することで、被測定物6の表面に大きな凹凸がある場合や被測定物6が大きく傾いている場合でも、受信波の山のピークを受信面321で受信することができるようになる。このため、精度よく厚みを被測定物6の厚みを測定することができるようになる。また、上述のように、被測定物6の表面に大きな凹凸がある場合や被測定物6が大きく傾いている場合には、山のピークがずれるため、上記実施形態では受信面321の面積を大きくする必要が出てくる。しかし、第1距離計3’では、面積の小さな受信面321でも測定することができるようになるため、設備コストに低廉化や設備のミニマム化に寄与する。
さらに、第1距離計3’では、被測定物6は移動しない状態かあるいは極低速で移動する状態で厚みの測定が行われる。しかし、第1距離計3’は、第1移動手段35と第2移動手段36とを有しているため、これらの移動手段を用いてx軸方向及びy軸方向に移動して連続的に測定をすることができる。このため、このような第1距離計3’及び第2距離計47’を用いた厚み計装置1によれば、移動しない被測定物6に対しても、x軸方向及びy軸方向の少なくとも一方向における厚みのプロフィールを測定することができる。
また、上記実施形態では、第1距離計3及び第2距離計4の2台の距離計を用いて被測定物6の厚みを測定する厚み計装置について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、本発明は、被測定物6の厚みではなく、被測定物6までの距離を測定する距離計であってもよい。この場合、距離計は、上記実施形態における第1距離計3や第2距離計4、または上記変形例における第1距離計3’や第2距離計4’と同様な構成となる。このような距離計では、電波の送受信によって、距離計から被測定物6までの距離が測定される。この際、距離計では、上記実施形態と同様に、受信波の二次元の電波強度と到来方向とから、電磁波が反射された被測定物6の測定スポットである測定点座標が求められる。そして、距離計の座標からこの測定点座標までのz軸方向の距離が、測定される距離として求められる。なお、これらの演算は、第1距離計3や第2距離計4における演算部323,423にて行われ、測定点座標とは第1距離計3や第2距離計4における第1測定点座標や第2測定点座標に相当する。
さらに、上記実施形態では、被測定物6が移動する鋼板であるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。被測定物6は、電波を反射するものであれば他の材質であってもよい。また、被測定物6は、板状のものに限らず、一方向への厚みを測定するものであれば、他の形状であってもよい。
さらに、上記実施形態では、エネルギー値が最も高いピーク部の測定結果に基づいて、測定を行うとしたが、本発明はかかる例に限定されない。凹凸の少ない理想的な平面による電波の反射状況での測定が行われる場合には、受信波のピーク部座標と電波エネルギー重心座標とがほぼ同じ空間座標となる。しかし、外乱因子等によってピーク部座標と電波エネルギー重心座標とが異なる場合がある。このような場合には、ピーク部座標の代わりに電波エネルギー重心座標を用いて、厚みの算出が行われてもよい。
さらに、上記実施形態では、送信アンテナ31,41には、誘電体レンズ311,411が設けられるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、送信アンテナ31,41には、誘電体レンズ311,411が設けられなくてもよい。なお、上述のように、送信アンテナ31,41に誘電体レンズ311,411を設けることで、送信波の拡散角度が抑えられ、送信波の指向性を鋭くすることができるため、より高い精度で厚みを測定することができる。
さらに、上記実施形態において、厚み演算部5は、出力回路324,424から出力情報として各アンテナ素子の電波強度をさらに取得し、取得された各アンテナ素子の電波強度から受信波の対象性を判定してもよい。受信波の対象性の判定は、図8に示すような空間座標系において山の形状に対象性があるか否かを判定することで行うことができる。そして、判定の結果、受信波の対象性がない場合には、正しい距離が測定できないもの(測定不可)として、判定した測定タイミングでの厚みの算出を終了する。メインローブがマルチパス(本来のパス(経路)以外の反射物で反射したもの)によりアンテナ素子に進入する場合、サイドローブがマルチパスによりアンテナ素子に進入する場合には、本来測定としてあるべきパスではないため、距離が異なり、距離測定の外乱因子になる。その外乱因子が無視できないほどアンテナ素子に進入する場合には、山の対象性が崩れ、正しい距離を測定できなくなる確率が増加する。このため、対象性を判断することで、正しい距離が測定できているかを判断することができる。なお、上記の対象性の判定は、各アンテナの演算部323,423で行われてもよい。また、送信アンテナの種類によるややいびつな形状の場合は、その形状と反射波の形状を比較して正常かどうかを判定することも考えられる。さらに、厚み演算部5は、出力回路324,424から出力情報として各アンテナ素子の電波強度から、電波強度が所定の閾値に基づいて反射波を正しく検出できているか否かを判断してもよい。この場合、例えば、アンテナ素子の電波強度の最大値が、反射波を正常に検出できていると判断される閾値以上である場合には、反射波を正しく検出できていると判断される。一方、アンテナ素子の電波強度の最大値が、閾値未満である場合には、反射波を正しく検出できていないと判断される。この場合、測定不可として、厚みの算出をやめてもよい。
さらに、上記実施形態では、送信アンテナ31,41がホーンアンテナであるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、送信アンテナ31,41は、小さなアレイアンテナと誘電体レンズとを有する、送信用のアンテナであってもよい。
さらに、送信アンテナ31,41と受信アンテナ32,42の配置は、受信アンテナ32,42が受信波を受信可能であれば、図3の例に限らず、送信アンテナ31と受信アンテナ32または送信アンテナ41と受信アンテナ42が、x-y平面に平行な他の方向に並んで設けられてもよい。
また、上記実施形態では、ステップS110にて平行度が低い場合には、測定できないものと判断されるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。ステップS110にて平行度が低いと判断された場合、例えば、第1測定点座標を通るz軸に平行な直線と裏面との交点を第3測定点座標として、第1測定点座標と第3測定点座標のz座標から、厚みを算出してもよい。また、この場合において、表面が水平方向に対して傾きがある場合には、傾き角度補正をすることが好ましい。なお、第3測定点座標は、第2測定点座標群の中から第1測定点座標に一番近い点の座標を選ぶことで求めてもよい。また、第3測定点座標は、裏面とz軸の交叉点付近の裏面の測定点とその反射方向ベクトルとなる直線から平面近似あるいはその前後の点の反射方向ベクトルを使った曲面近似等の近似手法で交叉点のz軸の値が求められてもよい。
<実施形態の効果>
(1)本発明の一態様に係る距離計(例えば、第1距離計3、第2距離計4)は、被測定物6までの距離を測定する距離計であって、被測定物6に電波を送信波として照射する送信アンテナ(例えば、送信アンテナ31,41)と、送信波が被測定物6で反射した受信波の中心経路を検出可能な受信アンテナ(例えば、受信アンテナ32,42)と、受信波の中心経路と送信波の中心経路とから、送信波が反射された被測定物6の座標である測定スポット(例えば、第1測定点座標、第2測定点座標)を算出し、被測定物6までの距離を算出する演算部(323,423)と、を有する、距離計。
上記(1)の構成によれば、マイクロ波等の電波を用いて距離を測定するため、レーザー距離計等の光学センサーを使用した場合に通光に問題がある環境下においても、精度よく信頼性のある距離を測定することができる。また、電波を用いた距離計では、被測定物の傾きや形状により反射の方向が変化し、受信波の中心経路が変わることから、精度よく距離が測定できない場合がある。しかしながら、上記(1)の構成では、受信アンテナで検出される受信波の中心経路を用いて距離が測定される。そして、受信波の中心経路と送信波の中心経路を用いて測定スポット及び距離を算出する。このため、被測定物6の表面に傾きや凹凸がある場合でも、距離計から被測定物6までの正しい距離を測定することができる。
(2)(1)の構成において、受信アンテナは、受信波の二次元の電波強度と受信波の到来方向とを受信可能なフェイズドアレイアンテナであり、演算部は、受信アンテナで受信された二次元の電波強度と到来方向とに基づいて、受信波の中心経路を算出する。
上記(2)の構成によれば、複雑な機構を用いずとも、受信波の二次元の電波強度と受信波の到来方向とを測定することができ、簡易な装置構成で受信波の中心経路を簡便に求めることができる。
(3)上記(2)の構成において、演算部は、二次元の電波強度の対象性の有無を判断し、対象性がある場合には距離を算出し、対象性がない場合には測定不可として距離を算出しない。
(4)上記(2)の構成において、演算部は、前記二次元の電波強度が閾値以上であるか否かを判断し、二次元の電波強度が閾値以上である場合には距離を算出し、二次元の電波強度が閾値未満である場合には測定不可として距離を算出しない。
上記(3)や(4)の構成によれば、外乱因子等の影響によって測定ができない場合を、二次元の電波強度の対象性や電波強度から判断することができ、精度よく信頼性のある距離を測定することができるようになる。
(5)上記(1)の構成において、送信アンテナと受信アンテナとが設けられたアンテナ部(例えば、アンテナ部33)をさらに有し、アンテナ部には、送信アンテナ及び受信アンテナの指向方向を調整可能な調整機構が設けられ、演算部は、指向方向が異なる複数の測定結果に基づいて、受信波の到来方向を決定し、測定スポットを算出する。
上記(5)の構成によれば、受信アンテナに、フェイズドアレイアンテナ等を用いる必要がなくなり、ホーンアンテナ等を用いることができるようになる。
(6)上記(5)の構成において、距離の測定方向に直交する少なくとも一方向にアンテナ部を移動可能な移動手段(例えば、第1移動手段35、第2移動手段36)をさらに有する。
上記(6)の構成によれば、アンテナ部を移動させて複数の移動位置にて距離の測定を行うことができるようになり、移動方向に沿った被測定物6の一次元あるいは二次元での距離の分布を測定することができるようになる。
(7)上記(1)~(6)のいずれか1つの構成において、送信アンテナは、電波の照射方向の先端に誘電体レンズを有する。
電波を用いた距離計では、電波の拡がりにより測定範囲が広くなるが、その分測定精度が低下する。しかし、上記(7)の構成によれば、送信波の指向性を鋭くすることができ、測定精度を高めることができる。
(8)本発明の一態様に係る距離測定方法は、被測定物6までの距離を測定する距離測定方法であって、送信アンテナ(例えば、送信アンテナ31,41)を用いて、被測定物6に電波を送信波として照射し、受信アンテナ(例えば、受信アンテナ32,42)を用いて、送信波が被測定物6で反射した受信波の中心経路を検出し、受信波の中心経路と送信波の中心経路とから、送信波が反射された被測定物6の座標である測定スポットを算出し、被測定物6までの距離を算出する。
(9)本発明の一態様に係る厚み計装置は、被測定物6の厚みを測定する厚み計装置1であって、第1距離計3と、第2距離計4と、厚み演算部5とを備え、第1距離計3及び第2距離計4は、上記(1)~(7)のいずれか1つの構成の距離計であり、被測定物6を厚みの方向に挟んで各距離計における測定方向が対向して設けられ、第1距離計3から被測定物6までの距離である第1距離L及び第2距離計4から被測定物6までの距離である第2距離Lをそれぞれ測定し、厚み演算部5は、第1距離Lと第2距離Lとに基づいて、被測定物6の厚みを算出する。
上記(9)の構成によれば、第1距離計3及び第2距離計4によって、精度よく第1距離Lと第2距離Lとが測定されるため、厚みを精度よく算出することができる。
(10)上記(9)の構成において、被測定材の表面と裏面が略平行な面である場合には、厚み演算部5は、第1距離Lと第2距離Lとから、被測定物6の仮厚みを算出する仮厚み算出部52と、第1距離計3及び第2距離計4における受信波及び送信波の中心経路に基づいて仮厚みの傾きを補正することで被測定物6の厚みを算出する厚み補正部56とを有する。
上記(10)の構成によれば、例えば被測定物6が搬送される鋼板などのため、被測定物6自体に測定方向に対して傾きがある場合でも、被測定物6の厚みを精度よく測定することができる。
(11)上記(9)または(10)の構成において、第1距離計3は、第1距離Lを測定することで、第1距離計3での測定箇所の測定スポットである第1測定点座標を測定し、第2距離計4は、第1距離計3での測定箇所の近傍の複数の測定箇所における第2距離Lを測定することで、複数の測定箇所の測定スポットである第2測定点座標群を測定し、厚み演算部5は、第2測定点座標群に基づいて、第1測定点座標の裏側面におけるx,y座標が同じ座標である第3測定点座標を算出し、第1測定点座標から決定される第1距離と第3測定点座標から決定される第2距離とに基づいて、被測定物6の厚みを算出する。
上記(11)の構成によれば、第3測定点座標を求めることで、第1測定点座標の反対面側に位置する第2測定点座標が測定されていない場合でも、精度よく厚みを測定することができる。
(12)本発明の一態様に係る厚み測定方法は、被測定物6の厚みを測定する厚み測定方法であって、上記(8)の構成に記載の距離計であり、被測定物を厚みの方向に挟んで各距離計における測定方向が対向して設けられる第1距離3計及び第2距離計4を用いて、第1距離計3から被測定物6までの距離である第1距離L及び第2距離計4から被測定物6までの距離である第2距離Lをそれぞれ測定し、第1距離Lと第2距離Lとに基づいて、被測定物6の厚みを算出する。
1 厚み計装置
2 フレーム
3,3’ 第1距離計
31 送信アンテナ
311 誘電体レンズ
32,32’ 受信アンテナ
321 受信面
322 重み係数付与部
323 演算部
324 出力回路
325 電波強度位相演算部
326 ピーク座標算出部
327 到来方向ベクトル演算部
328 測定点座標算出部
33 アンテナ部
34 台部
35 第1移動手段
36 第2移動手段
4,4’ 第2距離計
41 送信アンテナ
411 誘電体レンズ
42受信アンテナ
421 受信面
422 重み係数付与部
423 演算部
424 出力回路
425 電波強度位相演算部
426 ピーク座標算出部
427 到来方向ベクトル演算部
428 測定点座標算出部
5 厚み演算部
51 測定値DB
52 仮厚み算出部
53 傾斜演算部
54 平行度演算部
55 誤差判定部
56 厚み補正部
6 被測定物

Claims (12)

  1. 被測定物までの距離を測定する距離計であって、
    前記被測定物に電波を送信波として照射する送信アンテナと、
    前記送信波が前記被測定物で反射した受信波の中心経路を検出可能な受信アンテナと、
    前記受信波の中心経路と前記送信波の中心経路とから、前記送信波が反射された前記被測定物の座標である測定スポットを算出し、前記被測定物までの距離を算出する演算部と、
    を有する、距離計。
  2. 前記受信アンテナは、前記受信波の二次元の電波強度と前記受信波の到来方向とを受信可能なフェイズドアレイアンテナであり、
    前記演算部は、前記受信アンテナで受信された前記二次元の電波強度と前記到来方向とに基づいて、前記受信波の中心経路を算出する、請求項1に記載の距離計。
  3. 前記演算部は、前記二次元の電波強度の対象性の有無を判断し、前記対象性がある場合には前記距離を算出し、前記対象性がない場合には測定不可として前記距離を算出しない、請求項2に記載の距離計。
  4. 前記演算部は、前記二次元の電波強度が閾値以上であるか否かを判断し、前記二次元の電波強度が閾値以上である場合には前記距離を算出し、前記二次元の電波強度が閾値未満である場合には測定不可として前記距離を算出しない、請求項2に記載の距離計。
  5. 前記送信アンテナと前記受信アンテナとが設けられたアンテナ部をさらに有し、
    前記アンテナ部には、前記送信アンテナ及び前記受信アンテナの指向方向を調整可能な調整機構が設けられ、
    前記演算部は、前記指向方向が異なる複数の測定結果に基づいて、前記受信波の到来方向を決定し、前記測定スポットを算出する、請求項1に記載の距離計。
  6. 前記距離の測定方向に直交する少なくとも一方向に前記アンテナ部を移動可能な移動手段をさらに有する、請求項5に記載の距離計。
  7. 前記送信アンテナは、前記電波の照射方向の先端に誘電体レンズを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の距離計。
  8. 被測定物までの距離を測定する距離測定方法であって、
    送信アンテナを用いて、前記被測定物に電波を送信波として照射し、
    受信アンテナを用いて、前記送信波が前記被測定物で反射した受信波の中心経路を検出し、
    前記受信波の中心経路と前記送信波の中心経路とから、前記送信波が反射された前記被測定物の座標である測定スポットを算出し、前記被測定物までの距離を算出する、
    距離測定方法。
  9. 被測定物の厚みを測定する厚み計装置であって、
    第1距離計と、第2距離計と、厚み演算部とを備え、
    前記第1距離計及び第2距離計は、請求項1~7のいずれか1項に記載の距離計であり、前記被測定物を前記厚みの方向に挟んで各距離計における測定方向が対向して設けられ、前記第1距離計から前記被測定物までの距離である第1距離及び前記第2距離計から前記被測定物までの距離である第2距離をそれぞれ測定し、
    前記厚み演算部は、前記第1距離と前記第2距離とに基づいて、前記被測定物の厚みを算出する、厚み計装置。
  10. 前記厚み演算部は、
    前記第1距離と前記第2距離とから、前記被測定物の仮厚みを算出する仮厚み算出部と、
    前記第1距離計及び前記第2距離計における前記受信波及び前記送信波の中心経路に基づいて前記仮厚みの傾きを補正することで前記被測定物の厚みを算出する厚み補正部とを有する、請求項9に記載の厚み計装置。
  11. 前記第1距離計は、前記第1距離を測定することで、前記第1距離計での測定箇所の測定スポットである第1測定点座標を測定し、
    前記第2距離計は、前記第1距離計での測定箇所の近傍の複数の測定箇所における前記第2距離を測定することで、前記複数の測定箇所の測定スポットである第2測定点座標群を測定し、
    前記厚み演算部は、前記第2測定点座標群に基づいて、前記第1測定点座標の裏側面における座標である第3測定点座標を算出し、前記第1測定点座標から決定される前記第1距離と前記第3測定点座標から決定される前記第2距離とに基づいて、前記被測定物の厚みを算出する、請求項9または10に記載の厚み計装置。
  12. 被測定物の厚みを測定する厚み測定方法であって、
    請求項8に記載の距離計であり、前記被測定物を前記厚みの方向に挟んで各距離計における測定方向が対向して設けられる第1距離計及び第2距離計を用いて、前記第1距離計から前記被測定物までの距離である第1距離及び前記第2距離計から前記被測定物までの距離である第2距離をそれぞれ測定し、
    前記第1距離と前記第2距離とに基づいて、前記被測定物の厚みを算出する、厚み測定方法。
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