JP7082525B2 - 混和材料組成物 - Google Patents
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Description
水硬性材料には、コンクリート等の品質を改善することを主な目的として、セメント・水・骨材以外の材料である混和材料が用いられている。特に、流動性や作業性等を向上させるために、混和材料の中でも添加剤が用いられるのが一般的であり、AE剤、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、流動化剤、高性能AE減水剤、収縮低減剤等の各種添加剤が用いられている。また、より優れた性能を発揮させることを目的として、これらの添加剤を複数混合して用いることも検討されている。
例えば、特許文献1、2には、収縮低減剤と高性能AE減水剤としてのポリカルボン酸系減水剤とを併用することが開示されている。
また、特許文献3、4には、収縮低減剤とスルホン酸系減水剤とを併用することが開示されている。
(i)該化合物を0.1%の固形分濃度で添加したJASS 5 M402準拠のモルタル組成物と、該化合物を含まないJASS 5 M402準拠のモルタルとの混練開始から10分後の15打フロー値の比:(該化合物含有モルタル組成物の15打フロー値)/(該化合物を含まないモルタルの15打フロー値)×100が120以下
(ii)該化合物を含まないJASS 5 M402準拠のモルタルに対する、該化合物を0.1%の固形分濃度で添加したJASS 5 M402準拠のモルタル組成物の混練開始から2時間後の15打フロー値の比と、混練開始から10分後の15打フロー値の比との比:(2時間後の15打フロー値の比)/(10分後の15打フロー値の比)×100が110以下
(I):
下記式(1);
(II):
下記式(3-1);
[V1-(OA1)r-]tY[-(B1O)s-W1]u (3-1)
(式(3-1)中、V1、W1は、同一又は異なって、水素原子又は炭素原子数1~30の炭化水素基を表す。OA1、B1Oは、同一又は異なって、炭素数2~18のオキシアルキレン基を表す。r、sは、それぞれ、OA1、B1Oの平均付加モル数を表し、r、sは、同一又は異なって、0~2000であり、r+s=1~2000である。Yは活性水素を有する化合物の残基を表す。t、uは、同一又は異なって、0~6である。ただし、t+uは1以上である。)で表されるポリエーテル化合物にエチレン性不飽和単量体をグラフト重合してなる重合体
(III):
エチレン性不飽和単量体成分由来の高分子鎖(A)と(ポリ)アルキレングリコール鎖(B)の末端とが結合部位(X)を介して結合した構造を有する(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体
(IV):
直鎖状又は分岐状ポリアルキレングリコール鎖の少なくとも2つの末端に、金属、金属化合物及び金属イオンの少なくとも1つに対して吸着能を示す有機残基が結合したポリアルキレングリコール化合物であって、
該有機残基は、カルボニル基、水酸基、アミノ基、チオール基、リン酸基、亜リン酸基及びシラン基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を有する化合物
(V):
ポリアミン化合物
(VI):
下記式(3-2);
[V2-(OA1)r’-]t’Y[-(B1O)s’-W2]u’ (3-2)
(式(3-2)中、V2、W2は、同一又は異なって、水素原子又は炭素原子数1~30の炭化水素基を表す。OA1、B1Oは、同一又は異なって、炭素数2~18のオキシアルキレン基を表す。r’、s’は、それぞれ、OA1、B1Oの平均付加モル数を表し、r’、s’は、同一又は異なって、0~500であり、r’+s’=1~500である。Yは、活性水素を有する化合物の残基を表す。t’、u’は、同一又は異なって、0~6である。ただし、t’+u’は1以上である。)で表されるポリエーテル化合物
上記リン酸系化合物(β)は、構造中に更に(ポリ)アルキレングリコール鎖を有することが好ましい。
本発明の混和材料組成物は、上記化合物(α)(以下、本発明の化合物(α)ともいう。)とリン酸系化合物(β)とを含むものである。これにより、上記混和材料組成物を水硬性材料に用いた場合に圧縮強度が向上する。
リン酸系化合物(β)が有するリン酸(塩)基及び/又はリン酸エステル基は、キレート能に優れ、水硬性材料への架橋がより充分なものとなり、硬化した水硬性材料組成物中に空隙が生じることを抑制できるため、圧縮強度が向上すると推定される。
本発明の混和材料組成物に含まれる化合物(α)の割合は、混和材料組成物100質量%に対して10~99.9質量%であることが好ましい。より好ましくは20~95質量%であり、更に好ましくは30~90質量%である。
(化合物(α))
本発明の化合物(α)は、上記(i)及び(ii)の条件を満たす化合物を含むことを特徴とする。上記(i)及び(ii)の条件は、化合物が有する、モルタル組成物のフロー値やフローの保持性を向上させる効果が高すぎないことを意味する。
本発明は、このような所定の分散性能を有す化合物と後述する特定の構造のリン酸系化合物(β)とを組み合わせた際に、混和材料組成物として有効であることを見出したものである。なお、JASS 5 M402準拠のモルタルとは、後述する実施例に記載のものである。
上記化合物(α)は、上記(i)及び(ii)の条件を満たす化合物を1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。また、上記(i)及び(ii)の条件を満たす化合物以外のその他の化合物を含んでいてもよい。
上記化合物(α)が後述する(VI)の化合物である場合、酸基を有しないものであることが好ましい。
該化合物のアルカリ溶液中での平均粒子直径は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
上記化合物(α)が後述する(VI)の化合物である場合、より好ましくは100~20000であり、更に好ましくは200~10000であり、特に好ましくは300~5000である。
化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、後述する実施例に記載の条件で測定することができる。
化合物の絶対分子量は、光散乱法により測定することができる。
上記化合物(α)が後述する(VI)の化合物である場合、毛細管張力の低減の観点からは30~55mN/mであることがより好ましく、更に好ましくは35~55mN/mであり、特に好ましくは40~55mN/mである。また、凍結融解抵抗性の低下抑制の観点からは、57~70mN/mであることがより好ましく、更に好ましくは60~70mN/mであり、特に好ましくは60~65mN/mである。
<表面張力測定条件>
試料溶液:該化合物(α)の5質量%水溶液
測定機器:動的表面張力計(SITAScience line t60(MESSTECHNIK社製))
<測定手順>
(1)25℃のイオン交換水200質量部を、長さ39mmのスターラーチップの入った300ml容のガラス製ビーカーに入れ、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、25℃の雰囲気下で調温した太平洋セメント社製普通ポルトランドセメント100質量部を投入する。投入後、回転数を700rpmとし、セメント粒子中の水溶性成分が水に充分に溶出するように30分間攪拌した後、10分間静置する。この上澄み液をろ紙(アドバンテック東洋社製、定量ろ紙5C)を用いて吸引濾過した後、さらにこのろ液を孔径0.45μmの水系フィルター(クロマトディスク25A、クラボウ社製、ジーエルサイエンス販売)でろ過してセメント上澄み水溶液を得る。調整したセメント上澄み液は、容器に入れ、窒素封入後、密栓し保管する。
(2)一方、表面張力を測定する化合物に25℃のイオン交換水を添加し、固形分濃度が15質量%の水溶液を調製する。この化合物を含む水溶液15質量部を、上記セメント上澄み液30質量部に添加し、充分に混合して5質量%の試料水溶液を調製する。試料水溶液は容器に入れ、窒素封入後、密栓し、20℃に調温する。
(3)表面張力を測定する化合物の固形分5質量%水溶液を調製し、20℃に調温後、動的表面張力計(SITAScience line t60(MESSTECHNIK社製))を使用して表面張力の測定を実施し、Frequency0.5Hzでの測定値を該当する化合物の表面張力とする。
(vi)該化合物を含まないJASS 5 M402準拠のモルタルに対する、該化合物を1.0%の固形分濃度で添加したJASS 5 M402準拠のモルタル組成物の混練開始から10分後の15打フロー値の比と、該化合物を含まないJASS 5 M402準拠のモルタルに対する、該化合物を0.1%の固形分濃度で添加したJASS 5 M402準拠のモルタル組成物の混練開始から10分後の15打フロー値の比との積:(該化合物1.0%含有モルタル組成物の15打フロー値の比)×(該化合物0.1%含有モルタル組成物の15打フロー値の比)が10,100以上
上記(vi)の条件は、化合物がモルタル組成物のフロー値を向上させる分散性能を有することを意味する。
上記(i)、(ii)及び(vi)におけるフロー値の測定は、実施例に記載の方法により行うことができる。
(I):
下記式(1);
(II):
下記式(3-1);
[V1-(OA1)r-]tY[-(B1O)s-W1]u (3-1)
(式(3-1)中、V1、W1は、同一又は異なって、水素原子又は炭素原子数1~30の炭化水素基を表す。OA1、B1Oは、同一又は異なって、炭素数2~18のオキシアルキレン基を表す。r、sは、それぞれ、OA1、B1Oの平均付加モル数を表し、r、sは、同一又は異なって、0~2000であり、r+s=1~2000である。Yは活性水素を有する化合物の残基を表す。t、uは、同一又は異なって、0~6である。ただし、t+uは1以上である。)で表されるポリエーテル化合物にエチレン性不飽和単量体をグラフト重合してなる重合体
(III):
エチレン性不飽和単量体成分由来の高分子鎖(A)と(ポリ)アルキレングリコール鎖(B)の末端とが結合部位(X)を介して結合した構造を有する(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体
(IV):
直鎖状又は分岐状ポリアルキレングリコール鎖の少なくとも2つの末端に、金属、金属化合物及び金属イオンの少なくとも1つに対して吸着能を示す有機残基が結合したポリアルキレングリコール化合物であって、
該有機残基は、カルボニル基、水酸基、アミノ基、チオール基、リン酸基、亜リン酸基及びシラン基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を有する化合物
(V):
ポリアミン化合物
(VI):
下記式(3-2);
[V2-(OA1)r’-]t’Y[-(B1O)s’-W2]u’ (3-2)
(式(3-2)中、V2、W2は、同一又は異なって、水素原子又は炭素原子数1~30の炭化水素基を表す。OA1、B1Oは、同一又は異なって、炭素数2~18のオキシアルキレン基を表す。r’、s’は、それぞれ、OA1、B1Oの平均付加モル数を表し、r’、s’は、同一又は異なって、0~500であり、r’+s’=1~500である。Yは、活性水素を有する化合物の残基を表す。t’、u’は、同一又は異なって、0~6である。ただし、t’+u’は1以上である。)で表されるポリエーテル化合物
<第1の好適な形態:(I)の化合物>
上記化合物(α)が、下記式(1);
第1の好適な形態の化合物は、上記式(1)で表される構造単位(I)、式(2)で表される構造単位(II)をそれぞれ1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
上記-(R4O)-で表されるオキシアルキレン基は、炭素数2~8のオキシアルキレン基が好ましく、より好ましくは、炭素数2~4のオキシアルキレン基である。
これらのオキシアルキレン基は、アルキレンオキシド付加物であり、このようなアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1-ブテンオキシド、2-ブテンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。より好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドであり、更に好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドである。
炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イソオクチル基、2,3,5-トリメチルヘキシル基、4-エチル-5-メチルオクチル基及び2-エチルヘキシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の直鎖または分岐鎖のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル等の環状のアルキル基;フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、o-,m-若しくはp-トリル基、2,3-若しくは2,4-キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニリル基、ベンズヒドリル基、トリチル基及びピレニル基等のアリール基などが挙げられる。これらの中でも、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が好ましい。
また不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸等が好適である。更に、不飽和カルボン酸エステルは、これらの不飽和カルボン酸のアルキルエステル等を用いることができる。
上記炭素数1~30の炭化水素基を有するアルコールやフェノール類としては、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルキルアルコール;ベンジルアルコール等のアリール基を有するアルコール;フェノール、パラメチルフェノール等のフェノール類等が好適であり、これらの中でも、メタノール、エタノール、ブタノール等の炭素数1~3のアルコールが好ましい。
アルキレンオキシドとしては、上記のものを用いることができる。
-(CH2)mCOOZ’基において、Z’は、水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アミン基又は炭化水素基を表す。ここで、一価金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。二価金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。なお、Z’が二価金属となるのは、R6~R8のいずれか2つ以上が-(CH2)mCOOZ’基であって、その中の2個の-COO-で無水物の形態をとる場合、又は、R6~R8のいずれか1つの-(CH2)mCOOZ’基とCOOZとで無水物の形態をとる場合である。
上記Z’が炭化水素基である場合、炭化水素基は、炭素数1~30のものが好ましい。より好ましくは炭素数1~20のものであり、更に好ましくは炭素数1~12のものである。炭素数1~30の炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、イソオクチル、2,3,5-トリメチルヘキシル、4-エチル-5-メチルオクチル及び2-エチルヘキシル、テトラデシル、オクタデシル、イコシル等の直鎖または分岐鎖のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル等の環状のアルキル基;フェニル、ベンジル、フェネチル、o-,m-若しくはp-トリル、2,3-若しくは2,4-キシリル、メシチル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ビフェニリル、ベンズヒドリル、トリチル及びピレニル等のアリール基等が挙げられる。
また、上記式(2)において、mは、0~2の整数であるが、好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
このような炭素数1~30の炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、イソオクチル、2,3,5-トリメチルヘキシル、4-エチル-5-メチルオクチル及び2-エチルヘキシル、テトラデシル、オクタデシル、イコシル等の直鎖、分岐鎖のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル等の環状のアルキル基;フェニル、ベンジル、フェネチル、o-,m-若しくはp-トリル、2,3-若しくは2,4-キシリル、メシチル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ビフェニリル、ベンズヒドリル、トリチル及びピレニル等のアリール基などが挙げられる。
これらのうち、セメント硬化体の分散性及び乾燥収縮の低減性を考慮すると、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルの炭素原子数1~3のアルキル基が好ましい。
上記不飽和ジカルボン酸系単量体としては、分子内に不飽和基を1つとカルボアニオンを形成しうる基を2つとを有する単量体であればよく、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸等や、それらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩等、それらの無水物、又は、ハーフエステルが好ましい。
その他の構造単位(III)を形成する単量体としては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレート類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類等の炭素原子数2~6のヒドロキシアルキル基を有する水酸基含有(メタ)アクリレート化合物類;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチルエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート化合物類;上述のような不飽和モノカルボン酸系単量体と炭素原子数1~30のアミンとのアミド類、(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2~18のグリコール又はこれらのグリコールの付加モル数2~500の(ポリ)アルキレングリコールとのジエステル類;マレアミド酸と炭素原子数2~18のグリコール又はこれらのグリコールの付加モル数2~500の(ポリ)アルキレングリコールとのハーフアミド類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2-(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、3-(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3-(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルスルホネート、3-(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルスルホフェニルエーテル、3-(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエート、4-(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2-メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、並びに、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩;スチレン、α-メチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、p-メチルスチレン等のビニル芳香族類;ヘキセン、ヘプテン、デセン等のα-オレフィン類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;アリルアルコール等のアリル類。
上記第1の好適な形態の化合物が、構造単位(III)を必須として有する形態もまた、本発明の好適な実施形態の1つであり、その場合、構造単位(III)の質量割合は、 1質量%以上であることが好ましい。
上記第1の好適な形態の化合物が、構造単位(III)を必須として有する場合、構造単位(III)のモル比は、2以上であることが好ましい。
単量体成分の重合方法は、特に制限されず、通常用いられるいずれの重合方法を用いてもよいが、重合は、溶媒中での重合や塊状重合等の方法により行なうことが好ましい。
溶媒中での重合は回分式でも連続式でも行なうことができ、その際使用される溶媒としては、水;メチルアルコール、エチルアルコール、2-プロパノール等の低級アルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n-ヘキサン等の芳香族あるいは脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物等が挙げられる。原料単量体及び得られる重合体の溶解性並びにこの重合体の使用時の簡便さを考慮すると、水及び/又は炭素原子数1~4の低級アルコールを用いることが好ましく、特に水及び/又はメチルアルコール、エチルアルコール、2-プロパノール等が好ましい。
その他の重合方法については、特表2007-529397号公報を参照することができる。
また、このようにして得られた重合体に、国際公開第2007/086507号に記載されているようなアミノ基及びイミノ基を有する化合物、及び/又はアミノ基、イミノ基及びアミド基を有する化合物がグラフト及び/又は架橋により結合された高分子骨格にアルキレンオキシドがさらに付加した構造を有するアルキレンオキシド変性水溶性重合体を含有してもよい。
上記化合物(α)が、下記式(3-1);
[V1-(OA1)r-]tY[-(B1O)s-W1]u (3-1)
(式(3-1)中、V1、W1は、同一又は異なって、水素原子又は炭素原子数1~30の炭化水素基を表す。OA1、B1Oは、同一又は異なって、炭素数2~18のオキシアルキレン基を表す。r、sは、それぞれ、OA1、B1Oの平均付加モル数を表し、r、sは、同一又は異なって、0~2000であり、r+s=1~2000である。Yは活性水素を有する化合物の残基を表す。t、uは、同一又は異なって、0~6である。ただし、t+uは1以上である。)で表されるポリエーテル化合物にエチレン性不飽和単量体をグラフト重合してなる重合体であることは、上記化合物(α)の第2の好適な形態である。
炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イソオクチル基、2,3,5-トリメチルヘキシル基、4-エチル-5-メチルオクチル基及び2-エチルヘキシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の直鎖または分岐鎖のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル等の環状のアルキル基;フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、o-,m-若しくはp-トリル基、2,3-若しくは2,4-キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニリル基、ベンズヒドリル基、トリチル基及びピレニル基等のアリール基などが挙げられる。これらの中でも、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が好ましい。
上記式(3-1)におけるr及びsは、OA1、B1Oの平均付加モル数を示す。r+sはグラフト重合体のグラフト率向上、セメント分散性能の向上、親水性の向上等の点から、25以上であることが好ましい。より好ましくは、40以上であり、更に好ましくは、50以上である。また、1000以下であることが好ましく、より好ましくは、500以下である。
上記式(3-1)における-(OA1)-及び-(B1O)-で表される基において、炭素数2~18のオキシアルキレン基は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。2種以上である場合、オキシアルキレン基の繰り返し形態は、ランダム、ブロック、交互等のいずれであってもよい。
また、上記式(3-1)における-(OA1)-及び-(B1O)-で表される基において、炭素数2~18のオキシアルキレン基の平均付加モル数におけるオキシエチレン基の平均付加モル数の割合が、50%以上であることが好ましい。より好ましくは、60%以上であり、更に好ましくは、70%以上であり、特に好ましくは、80%以上であり、最も好ましくは、90%以上である。
上記式(3-1)で表される化合物の重量平均分子量は、GPCにより、後述する実施例に記載の条件で測定することができる。
有機過酸化物の具体例やその他のグラフト重合の方法については、特開2002-293596号公報を参照することができる。
上記化合物(α)が、エチレン性不飽和単量体成分由来の高分子鎖(A)と(ポリ)アルキレングリコール鎖(B)の末端とが結合部位(X)を介して結合した構造を有する(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体であることは、上記化合物(α)の第3の好適な形態である。
上記第3の好適な形態の(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体は、このような構造的特徴を有する限り、共重合体全体としての構造は特に制限されないが、以下の(1)~(4)のいずれかの構造を有する共重合体であることが好ましい。
(1)直鎖状の高分子鎖(B)の一方の末端のみが不飽和アニオン系単量体を含むビニル系単量体成分由来の高分子鎖(A)の末端と結合部位(X)を介して結合した構造を有する共重合体。
(2)直鎖状の高分子鎖(B)の両方の末端が不飽和アニオン系単量体を含むビニル系単量体成分由来の高分子鎖(A)の末端と結合部位(X)を介して結合した構造を有する共重合体。
(3)不飽和アニオン系単量体を含むビニル系単量体成分由来の高分子鎖(A)と(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖(B)との結合部位(X)を介した結合を必須とする多分岐(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体であって、該多分岐(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体は、該高分子鎖(B)を多分岐構造の枝状部の一部又は全部とし、該枝状部を3つ以上有し、一部の枝状部の末端部位に該高分子鎖(A)を有する構造の共重合体。
(4)不飽和アニオン系単量体を含むビニル系単量体成分由来の高分子鎖(A)と(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖(B)との結合部位(X)を介した結合を必須とする多分岐(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体であって、該多分岐(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体は、該高分子鎖(B)を多分岐構造の枝状部の一部とし、該枝状部を3つ以上有し、すべての枝状部の末端部位に該高分子鎖(A)を有する構造の共重合体。
以下においては、上記(1)~(4)の構造を有する共重合体をそれぞれ(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体(1)~(4)と記載し、まず、これらの共重合体について説明し、次に、高分子鎖(A)、高分子鎖(B)、結合部位(X)、及び、分岐構造の枝分かれ部位を構成する活性水素を有する化合物の残基(Z)の具体的な構造について説明する。
(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体(1)は、直鎖状の(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖(B)の一方の末端のみが不飽和アニオン系単量体を含むビニル系単量体成分由来の高分子鎖(A)の末端と結合部位(X)を介して結合した構造を有する。
ここで、結合部位(X)を介して高分子鎖(B)と結合する高分子鎖(A)の末端は、高分子鎖(A)の主鎖末端であってもよく、高分子鎖(A)の主鎖の末端の原子に側鎖が結合している場合には、当該側鎖の末端に結合していてもよいが、主鎖末端であることが好ましい。この点は、後述する共重合体(2)~(4)についても同様である。
R9-(B)n1-X-A (4)
(式中、R9は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルケニル基又は炭素数6~20のアリール基を表す。(B)n1は、(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖を表し、Bは、同一又は異なって、炭素数2~18のオキシアルキレン基を表す。Xは、有機残基を表す。Aは、不飽和アニオン系単量体を含むビニル系単量体成分由来の高分子鎖を表す。n1は、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1~1000の数である。)で表される構造を有するものであることが好ましい。
(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体(2)は、直鎖状の(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖(B)の両方の末端が不飽和アニオン系単量体を含むビニル系単量体成分由来の高分子鎖(A)の末端と結合部位(X)を介して結合した構造を有する。
上記(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体(2)は、下記式(5);
A-X-(B)n2-X-A (5)
(式中、(B)n2は、(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖を表し、Bは、同一又は異なって、炭素数2~18のオキシアルキレン基を表す。Xは、同一又は異なって、有機残基を表す。Aは、同一又は異なって、不飽和アニオン系単量体を含むビニル系単量体成分由来の高分子鎖を表す。n2は、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1~1000の数である。)で表される構造を有するものであることが好ましい。
上記式(5)において、(B)n2で表される高分子鎖(B)と、Aで表される高分子鎖(A)とが、Xで表される結合部位(X)を介して結合している点は、上記共重合体(1)の場合と同様である。
(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体(3)は、不飽和アニオン系単量体を含むビニル系単量体成分由来の高分子鎖(A)と(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖(B)との結合部位(X)を介した結合を必須とする多分岐(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体であって、該多分岐(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体は、該高分子鎖(B)を多分岐構造の枝状部の一部又は全部とし、該枝状部を3つ以上有し、一部の枝状部の末端部位に該高分子鎖(A)を有する構造の多分岐(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体である。
上記(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体(3)は、下記式(6);
上記式(6)において、(B)n3で表される高分子鎖(B)と、Aで表される高分子鎖(A)とが、Xで表される結合部位(X)を介して結合している点は、上記共重合体(1)の場合と同様である。
以下、本明細書において、単に「枝状部」という場合には、上記高分子鎖(A)と高分子鎖(B)とが結合部位Xを介して結合した枝状部、及び、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルケニル基又は炭素数6~20のアリール基のいずれかと上記高分子鎖(B)とが結合した枝状部の両方をいうものとする。また、「高分子鎖(B)を枝状部の一部又は全部とする」とは、「枝状部」が高分子鎖(A)と高分子鎖(B)とが結合したものである場合、高分子鎖(B)は枝状部の一部となり、「枝状部」が水素原子と高分子鎖(B)とが結合したものである場合、高分子鎖(B)は枝状部の全部となることを表す。
上記枝状部の数の好ましい下限値としては5である。好ましい上限値としては20であり、より好ましくは13であり、さらに好ましくは7である。
また、上記枝状部の数は、活性水素を3個以上有する化合物中の活性水素数に等しいことが好ましい。すなわち、上記活性水素を3個以上有する化合物中の活性水素の全てに上記枝状部が結合した構造を有することが好適である。これによって、更に優れた収縮低減性能を発揮することが可能となる。
また上記式(8)は、活性水素を3個以上有する化合物の残基がソルビトール残基(多価アルコール残基、活性水素6個)であり、ソルビトールが有する活性水素全てに枝状部が結合し、6つの枝状部のうち、3つの枝状部の末端部位に不飽和アニオン系単量体単位による高分子鎖(A)を有する構造を模式的に示したものである。
(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体(4)は、不飽和アニオン系単量体を含むビニル系単量体成分由来の高分子鎖(A)と(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖(B)との結合部位(X)を介した結合を必須とする多分岐(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体であって、該多分岐(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体は、該高分子鎖(B)を多分岐構造の枝状部の一部とし、該枝状部を3つ以上有し、すべての枝状部の末端部位に該高分子鎖(A)を有する構造の多分岐(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体である。
上記(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体(4)は、下記式(9);
上記式(9)において、(B)n4で表される高分子鎖(B)と、Aで表される高分子鎖(A)とが、Xで表される結合部位(X)を介して結合している点は、上記共重合体(1)の場合と同様である。
また、高分子鎖(B)の全部の末端が不飽和アニオン系単量体を含むビニル系単量体成分由来の高分子鎖(A)の末端と結合部位(X)を介して結合を有するとは、全共重合体分子において実質的にすべての枝状部の末端部位に高分子鎖(A)が結合していること、高分子鎖(B)による枝状部の末端部位の全モル数に対して高分子鎖(A)のモル数の百分率が実質的に100モル%である共重合体を意味する。
ここで、例えば、上記枝状部の数が、上記活性水素を3個以上有する化合物中の活性水素数に等しい場合の構造を模式的に示すと、下記式(10)又は(11)のように表すことができる。
また上記式(11)は、活性水素を3個以上有する化合物の残基がソルビトール残基(多価アルコール残基、活性水素6個)であり、ソルビトールが有する活性水素全てに、(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖(B)と、結合部位(X)を介して不飽和アニオン系単量体単位による高分子鎖(A)とが結合した構造を模式的に示したものである。
上記第3の好適な形態において、不飽和アニオン系単量体を含むビニル系単量体成分由来の高分子鎖(A)は、不飽和アニオン系単量体を含むビニル系単量体成分が重合した構造を有する構成単位である。
また、上記不飽和アニオン系単量体を含むビニル系単量体成分が重合した構造を有する構成単位は、同じ構造の構成単位となるのであれば、他の単量体に由来する構成単位を変性したものであってもよい。
単量体(a)としては、例えば、下記式(12);
すなわち、単量体(a)は、C=C二重結合に結合した少なくとも一つのカルボキシル基又はその塩(-COOM1)を有する、不飽和カルボン酸系単量体である。
なお、上記単量体(a)由来の構成単位とは、重合反応によって上記式(12)で示される単量体(a)の重合性二重結合が開いた構造(二重結合(C=C)が、単結合(-C-C-)となった構造)に相当する。
上記式(12)で示される不飽和カルボン酸系単量体の具体例は、上述した式(2)で表される構造単位(II)を形成する単量体と同様である。中でも、重合性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの塩が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの塩が特に好ましい。
これらの不飽和アニオン系単量体は2種以上併用してもよい。
不飽和アニオン系単量体以外のビニル系単量体としては、上記第1の形態の化合物において、その他の構造単位(III)を形成する単量体の具体例として挙げられた化合物の他、メチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1~30のアルコールとのエステル類;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の各種(アルコキシ)(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1~30のアルコールとのジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1~30のアミンとのジアミド類;上記アルコールやアミンに炭素原子数2~18のアルキレンオキシドを1~500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸類とのジエステル類;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類;(メトキシ)ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、(メトキシ)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等のビニルエーテルあるいは(メタ)アリルエーテル類;(メトキシ)ポリエチレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテル等の3-メチル-3-ブテニルエーテル類が挙げられ、これらを1種又は2種以上含んでいてもよい。
ここで、上記第3の好適な形態の(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体が多分岐構造を有するものである場合、不飽和アニオン系単量体単位の平均導入モル数の値とは、枝状部1つに含まれる、不飽和アニオン系単量体単位の平均導入モル数を意味する。
上記平均導入モル数のより好ましい下限値としては2であり、更に好ましくは5である。好ましい上限値としては50であり、より好ましくは30であり、更に好ましくは20であり、特に好ましくは15であり、最も好ましくは10である。
上記平均導入モル数を1以上とすることにより、上記共重合体に不飽和アニオン系単量体単位による高分子鎖(A)に基づく性能を充分に発揮させることが可能となる。
また、上記平均導入モル数が50を超える場合には、分散性が発現することにより充分な収縮低減性を得るために必要な収縮低減剤を添加できなくなる。
(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖(B)は、炭素数2~18のアルキレンオキシドから構成される高分子鎖((ポリ)アルキレンオキシド)であることが好ましい。以下、(ポリ)アルキレングリコールをPAGともいう。
より好ましくは、炭素数2~8のアルキレンオキシドであり、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1-ブテンオキシド、2-ブテンオキシド、トリメチルエチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、テトラメチルエチレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、オクチレンオキシド等が挙げられる。また、ジペンタンエチレンオキシド、ジヘキサンエチレンオキシド等の脂肪族エポキシド;トリメチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オクチレンオキシド等の脂環エポキシド;スチレンオキシド、1,1-ジフェニルエチレンオキシド等の芳香族エポキシド等を用いることもできる。
上記炭素数3以上のオキシアルキレン基としては、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基、アルキルグリシジルエーテル残基等が挙げられる。中でも、製造の容易さからオキシプロピレン基、オキシブチレン基が好ましい。
上記炭素数3以上のオキシアルキレン基を導入する場合、その導入量としては、本発明のブロック共重合体における結合部位(X)が有する耐加水分解性を考慮して調整することが好ましく、例えば、(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖(B)に対して、導入量を50モル%以上とすることが好ましい。より好ましくは100モル%以上であり、更に好ましくは150モル%以上であり、特に好ましくは200モル%以上である。
オキシアルキレン基の平均付加モル数が1以上の数であると、上記共重合体に(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖(B)に基づく性能を充分に発揮させることが可能となる。
また、オキシアルキレン基の平均付加モル数が1000を超える場合には、上記共重合体を製造するために使用する原料化合物の粘性が増大したり、反応性が充分とはならない等、作業性の点で好適なものとはならないおそれがある。
上記平均付加モル数の下限値としては、より好ましくは10、さらに好ましくは20であり、さらにより好ましくは50であり、特に好ましくは75であり、特により好ましくは80であり、最も好ましくは100である。上限値としては、より好ましくは800であり、さらに好ましくは700であり、さらにより好ましくは600であり、特に好ましくは500であり、特により好ましくは300であり、最も好ましくは200である。
なお、上記アルキレンオキシドの平均繰り返し数(オキシアルキレン基の平均付加モル数)とは、枝状部1つにおいて付加しているアルキレンオキシドのモル数の平均値を意味する。
上記式(4)におけるR9や、上記式(6)におけるR10は、これらのいずれかであることが好ましい。
上記第3の好適な形態における(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体において、結合部位(X)は、高分子鎖(A)と高分子鎖(B)とを化学的に安定に結合し得る構造を有する部位であればその構造は特に限定されるものではない。
上記結合部位の好ましい構造としては、重合反応に用いられる連鎖移動剤となる構造に由来する有機残基が挙げられる。
結合部位(X)の例としては、(i)硫黄原子を含む結合部位、(ii)アゾ開始剤由来の結合部位、(iii)リン原子を含む残基由来の結合部位、(iv)その他の構造由来の結合部位等が挙げられる。
結合部位として複数箇所存在する有機残基の構造はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
上記硫黄原子を含む結合部位(X)としては、高分子鎖(B)の末端酸素原子とともにエステル結合を形成し、かつ、硫黄原子を含む構造と、高分子鎖(B)の末端酸素原子とともにエステル結合を形成せず、かつ、硫黄原子を含む構造とがある。
上記硫黄原子を含む結合部位(X)としては、例えば、下記式(13):
そのような構造は、後述するように(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖(B)の末端の水酸基をトシル化し、チオ酢酸によってチオアセチル化した後、加水分解して得られる末端のチオール基を連鎖移動剤として、ラジカル重合開始剤を用いて不飽和カルボン酸系単量体(a)をブロック重合させることにより形成することができる。
この場合、該結合部位は、(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖(B)の末端酸素原子と下記式(16):
アゾ開始剤由来の結合部位としては、アゾ基を含む重合開始剤(アゾ開始剤)に由来する部位であり、例えば、下記式(17)に示すようなアゾ開始剤に由来する構造が好ましい。
より好ましくは、下記式(18)で示されるアゾ開始剤が挙げられる。
リン原子を含む結合部位としては、例えば、下記式(21):
Y1は(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖(B)と結合する部位であり、Y1と結合する次亜リン酸(塩)のリン原子は、不飽和アニオン系単量体単位による高分子鎖(A)と結合する部位である。
これらの中でも、より好ましくは、炭素数2~18の2価の有機残基及びそれらの一部が水酸基で置換されたものであり、更に好ましくは、炭素数2~8の直鎖状又は分岐状アルキレン基及びそれらの一部が水酸基で置換されたものである。
その他の構造由来の結合部位の具体例としては、以下のような連鎖移動剤由来の結合部位が挙げられる。これらのうち、硫黄原子を有するものは、上記(i)硫黄原子を含む結合部位にも含まれる。
例えば、(ポリ)アルキレングリコールの末端の-OH基に、ハロゲン化亜鉛を用いて、チオ酢酸、チオ安息香酸などのチオカルボン酸を反応させた後、アルカリ加水分解を行うことにより、-OH基を-SH基に変換した化合物;(ポリ)アルキレングリコールとチオ酢酸との存在下、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)とトリフェニルホスフィンとを反応させた後、アルカリ加水分解を行うことにより、(ポリ)アルキレングリコールの末端の-OH基を-SH基に変換した化合物;(ポリ)アルキレングリコールの末端の-OH基に、臭化アリルなどのハロゲン化アリルをSN2反応させて(ポリ)アルキレングリコールの末端をアリル化した化合物;(ポリ)アルキレングリコールの末端にアリル基などの二重結合を有する化合物に、チオ酢酸、チオ安息香酸などのチオカルボン酸を付加させた後、アルカリ加水分解を行うことにより、-SH基に変換した化合物;
これらの化合物(連鎖移動剤)は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
結合部位(X)が硫黄原子を含む結合部位である場合、本発明における(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体全体のうち、硫黄原子の含有量が0.001質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、0.005質量%以上であり、更に好ましくは、0.01質量%以上である。また、硫黄原子の含有量が5質量%以下となることが好ましく、より好ましくは、3質量%以下であり、更に好ましくは、2質量%以下である。
硫黄原子の含有量は、PAGチオール化合物における硫黄原子の含有量、高分子鎖(A)におけるビニル系単量体単位のチオール基(SH)1個に対する個数の平均値から計算することができる。硫黄原子の含有量が上記範囲内であると、後述する製造方法によって上記第3の好適な形態における(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体をより効率的に製造することが可能となる。
ここにいう分解率とは、アルカリ水溶液中での加水分解率のことであり、加水分解率が10質量%以下であると、収縮低減剤としてより優れた性能を発揮するものとなる。
加水分解率を低くする点からは、結合部位(X)は、硫黄原子を有する非エステル結合であることが好ましい。
このように、結合部位(X)のうち、少なくとも1つが硫黄原子を有する非エステル結合であることは、本発明の好適な実施形態の1つである。
(1)共重合体の重量平均分子量(Mw)を後述するGPC測定条件によって測定し、反応前(分解前)分子量とする。
(2)共重合体をNaOH水溶液に溶解させ2質量%水溶液を作成する。その際、水溶液のpHが12.5となるように予めNaOH水溶液のpHを調整しておく。2質量%水溶液を15分間撹拌し、その後35%HCl水溶液にて中和を行いpHを5.0とする。
共重合体を取り出し、その重量平均分子量(Mw)を後述するGPC測定条件によって測定し、反応後(分解後)分子量とする。
(3)反応前後のGPCチャートから加水分解率を算出する。
上記式(22)~(25)の構造は、不飽和カルボン酸系単量体がアクリル酸又はメタクリル酸、(ポリ)アルキレングリコール鎖が(ポリ)エチレングリコール鎖、結合部位(X)が、チオ酢酸又はその金属塩に由来する硫黄原子を含む結合部位である構造であることが好ましい。
本明細書において、活性水素を有する化合物の残基とは、活性水素を有する化合物から活性水素を除いた構造を有する基を意味し、該活性水素とは、アルキレンオキシドが付加できる水素を意味する。このような活性水素を有する化合物の残基は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
なお、活性水素を有する化合物残基の構造としては、鎖状、分岐状、三次元状に架橋された構造のいずれであってもよい。
更に、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の2価以上のアミン化合物や、それらの1種又は2種以上を重合して得られるポリアミンであってもよい。このようなポリアミンは、通常、構造中に第3級アミノ基の他、活性水素原子をもつ第1級アミノ基や第2級アミノ基(イミノ基)を有することになる。
これらの中でも、上記多分岐(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体が奏する性能の観点から、エチレンイミンを重合して得られるポリエチレンイミンがより好適である。
これらの中でも、工業的な生産効率の観点から、より好ましくは、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタンである。
以下においては、まず、上記(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体(1)、(2)の製造方法について説明し、次に、上記(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体(3)、(4)の製造方法について説明する。
上記第3の好適な形態の(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体(1)、(2)の製造方法の一例として、チオ酢酸(又はその金属塩)に由来する硫黄原子を含む結合部位を有する共重合体を製造する場合について以下に説明する。
一方の末端又は両方の末端にチオール基を有する(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖(B)をPAG(ジ)チオール化合物ともいう。(ポリ)アルキレングリコールが(ポリ)エチレングリコールの場合は、PEG(ジ)チオール化合物ともいう。
トシル化工程では、末端にヒドロキシル基末端を有する(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖のヒドロキシル基末端とトシル化剤とを反応させてトシル基を生成し、トシル化(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖を得る。
上記トシル化工程において用いられるトシル化剤、反応条件としては、水酸基をトシル化できる限り特に限定されず、例えば、トシルクロライド(TsCl)をトシル化剤とし、ジクロロメタン(CH2Cl2)等を反応溶媒として用い、適宜反応条件を設定すればよい。
チオアセチル化工程では、トシル化工程によって得られた、ヒドロキシル基末端がトシル化された、末端にトシル基を有する(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖のトシル基とチオアセチル化剤とを反応させてチオアセチル基を生成し、チオアセチル化(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖を得る。
上記チオアセチル化工程において用いられるチオアセチル化剤、反応条件としては、トシル基をチオアセチル化できる限り特に限定されず、例えば、チオ酢酸カリウム(CH3COSK)をチオアセチル化剤とし、アセトニトリル(CH3CN)を反応溶媒として用い、適宜反応条件を設定すればよい。
加水分解工程では、チオアセチル化工程によって得られた、トシル基末端がチオアセチル化された、末端にチオアセチル基を有する(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖のチオアセチル基を加水分解してチオール基を生成し、(ジ)チオール化(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖を得る。例えば、下記式(26)、(27)で示すPAG(ジ)チオール化合物を得ることができる。
下記式(26)、(27)で示すPAG(ジ)チオール化合物は、それぞれ本発明に係る(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体(1)、(2)を生成する中間体として好ましいものである。
上記加水分解工程においても、チオアセチル基の加水分解が進行するように適宜反応条件を設定すればよい。
上述したように、上記PAG(ジ)チオール化合物は、連鎖移動剤としての機能を有するものであり、この化合物を連鎖移動剤として用いて、ビニル系単量体成分をラジカル重合することにより、上記第3の好適な形態の(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体(1)、(2)を簡便かつ効率的に、低コストで製造できる。
ビニル系単量体成分が含む不飽和アニオン系単量体中、高分子鎖(A)を形成する不飽和カルボン酸系単量体(単量体(a))が主体であることが好ましく、実質的にすべてが高分子鎖(A)を形成する不飽和カルボン酸系単量体であることが好ましい。
その一方で、重合反応をpH7以上で行うと、重合率が低下すると同時に、共重合性が充分とはならず、収縮低減剤としての性能を充分に発揮できないおそれがある。そのため、重合反応においては、酸性から中性(好ましくはpH6未満、より好ましくはpH5.5未満、更に好ましくはpH5未満)のpH領域で重合反応を行うことが好適である。
ここまで、硫黄原子を含む結合部位を有する共重合体を製造する場合の例について説明したが、結合部位としてその他の構造を有する共重合体を製造する方法について以下に説明する。
アゾ開始剤の末端が(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖(B)とエステル結合により予め結合した構造を有するものは、例えば、アゾ基の両末端にカルボキシル基を有するアゾ開始剤(V-501など、和光純薬工業株式会社製)と、(ポリ)アルキレングリコールとをエステル化することにより得ることもできる。エステル化の方法としては、加熱工程を行うとアゾ開始剤が分解するので、加熱工程を含まない製法が必要である。そのような製法としては、(1)アゾ開始剤に塩化チオニルを反応させて酸塩化物を合成した後、(ポリ)アルキレングリコールを反応させてアゾ開始剤を得る方法;(2)アゾ開始剤と(ポリ)アルキレングリコールとを、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)及び必要に応じて4-ジメチルアミノピリジンを用いて、脱水縮合することによりアゾ開始剤を得る方法;などが挙げられる。
上記化合物Cは、(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖(B)に、不飽和基を有する化合物を付加させる方法によって合成してもよい。付加の形態としてはエステル化、エーテル化、アミド化など、公知の方法を用いることができる。付加させる不飽和化合物は、アルキレンオキシドに付加できるものであれば良い。
精製溶媒は適宜選べばよいが、例えばTHF、アセトニトリル、クロロホルム、イソプロピルアルコール等が好ましい。
抽出溶媒は適宜選べばよいが、高極性溶媒として水、メタノール、アセトニトリル、ジオキサンなどを用いて行うことが好ましい。低極性溶媒としてジエチルエーテル、シクロヘキサン、クロロホルム、メチレンクロライドなどを用いて行うことが好ましい。
不飽和アニオン系単量体をラジカル重合させる工程は、PAGチオール化合物を連鎖移動剤として使用するブロック重合工程と同様にして行うことが出来るため、その詳細な説明は省略する。
上記第3の好適な形態に係る(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体(3)、(4)の製造方法は、多分岐(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖を得る工程(第1の工程)と多分岐(ポリ)アルキレングリコール系重合体における上記枝状部の末端部位の一部又は全部に、不飽和アニオン系単量体を含むビニル系単量体成分を重合する工程(第2の工程)とを含み、この順にこれらの工程を行うことで製造することができる。
上記第1の工程は、活性水素を3個以上有する化合物に(ポリ)アルキレングリコール系構成単位による高分子鎖(B)を付加することによって行うことができる。
第2の工程は、上述した本発明に係る(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体(1)、(2)の製造方法と同様の方法で行うことができる。
上記化合物(α)が、直鎖状又は分岐状ポリアルキレングリコール鎖の少なくとも2つの末端に、金属、金属化合物及び金属イオンの少なくとも1つに対して吸着能を示す有機残基が結合したポリアルキレングリコール化合物であって、上記有機残基は、カルボニル基、水酸基、アミノ基、チオール基、リン酸基、亜リン酸基及びシラン基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を有する化合物であることは、上記化合物(α)の第4の好適な形態である。
上記ポリアルキレングリコール鎖の少なくとも2つの末端の有機残基が同一の金属化合物粒子に吸着する形態についても同様である。
上記セメント組成物に含まれるセメント粒子は、アルミン酸三カルシウム(C3A:3CaO・Al2O3)、鉄アルミン酸四カルシウム(C4AF:4CaO・Al2O3・Fe2O3)、ケイ酸二カルシウム(C2S:2CaO・SiO2)及びケイ酸三カルシウム(C3S:3CaO・SiO2)等の金属化合物がモザイク状に集合したものであることが知られている。したがって、上記ポリアルキレングリコール鎖の少なくとも2つの末端の有機残基が、このような1つのセメント粒子に吸着する場合には、セメント粒子のモザイクを構成する金属化合物のうちの少なくとも2つに吸着することになる。
上記官能基は、孤立電子対を有する電子供与性基を有し、金属、金属化合物及び金属イオンの少なくとも1つと配位結合を形成することにより金属、金属化合物及び金属イオンの少なくとも1つに対して吸着することができる。
一つの有機残基に複数の電子供与性基を有する場合、有機残基は、複数の配位座によって、金属、金属化合物及び金属イオンの少なくとも1つと配位結合することができる。すなわち、上記有機残基は、キレート効果により、より強く金属、金属化合物及び金属イオンの少なくとも1つと結合することができるため、セメント添加剤のセメント分散性能低下抑制効果及び乾燥収縮低減性能により優れたものとなる。
有機残基含有ポリアルキレングリコール化合物と、金属、金属化合物又は金属イオンとを溶液中で分散させた後、ろ過を行うことにより、金属等と吸着した有機残基含有ポリアルキレングリコール化合物は、ろ別される。したがって、ろ液中の全有機炭素量の定量分析などを行い、ろ液に含まれる金属等と吸着していない有機残基含有ポリアルキレングリコール化合物を定量することにより、全有機残基含有ポリアルキレングリコール化合物に対する金属等と吸着した有機残基含有ポリアルキレングリコール化合物の割合を求めることができ、上記吸着能を確認することができる。
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリアミノトリエチルアミン、トリエチレンテトラミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ピリジルメチル)エチレンジアミン等のアミン類;エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、テトラエチレンペンタミンヘプタ酢酸、グリコールエーテルジアミンテトラ酢酸、ニトリロトリ酢酸、ニトリロトリプロピオン酸、エチレンジアミン-N-モノ酢酸、エチレンジアミン-N,N’-ジ酢酸、エチレンジアミン-N,N’-ジプロピオン酸、N-(2-ヒドロキシエチル)-エチレンジアミン-N,N’,N’-トリ酢酸、N,N’-ビス(2-ヒドロキシベンジル)-エチレンジアミン-N,N’-ジ酢酸、エチレンジアミン-N,N,N’,N’-テトラプロピオン酸、o,o’-ビス(2-アミノフェニル)エチレングリコール-N,N,N’,N’-テトラ酢酸、o,o-ビス(2-アミノエチル)エチレングリコール-N,N,N’,N’-テトラ酢酸、グリシン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン、trans-1,2-シクロヘキサンジアミン-N,N,N’,N’-テトラ酢酸、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン-N,N,N’,N’-テトラ酢酸、ジエチレントリアミン-N,N,N’,N’’,N’’-ペンタ酢酸、1,6-ヘキサメチレンジアミン-N,N,N’,N’-テトラ酢酸、イミノジ酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノジ酢酸、1,2-ジアミノプロパン-N,N,N’,N’-テトラ酢酸、トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-ヘキサ酢酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、アミノコハク酸等のアミノカルボン酸類;トリエタノールアミン等のヒドロキシアミン類;
ポリアルキレングリコールの末端に上記有機残基を導入するにあたっては、上記化合物を1種又は2種以上を用いることができる。また、これらの上記化合物の誘導体の中で、ポリアルキレングリコールや後述する変性ポリアルキレングリコール、片末端に有機残基が結合したポリアルキレングリコールと反応しうる官能基を有する化合物などを用いることもできる。
アミノカルボン酸類又はフェノール類由来の残基の中でも、アスパラギン酸、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-L-アラニン、3-ヒドロキシチラミン又はDL-アドレナリンをポリアルキレングリコール鎖末端に結合させて形成する残基がさらに好ましく、特に好ましくは、アスパラギン酸又は3-ヒドロキシチラミンをポリアルキレングリコール鎖末端に結合させて形成する残基である。
また、ポリアルキレングリコールの末端にアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等の反応性の官能基を導入した変性ポリアルキレングリコールと、有機残基を与える化合物又はその誘導体のカルボキシル基、水酸基、アミノ基等とをアミド結合、エステル結合、共有結合等させることにより、有機残基を導入することができる。これらについては、例えばポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ基とアスパラギン酸、3-ヒドロキシチラミン等のアミノ基とを反応させてこれらを結合させることが挙げられる。また、有機残基を与える化合物の水酸基、アミノ基等にアルキレンオキシドを付加して得られた片末端に有機残基が結合したポリアルキレングリコールの他の一の末端の水酸基に、必要に応じてアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等を導入し、さらにこれらの官能基に、新たに上記有機残基を与える化合物を反応させることにより、両末端に有機残基が結合したポリアルキレングリコールを得ることもできる。
R22R23NCH2CH2(OA2)n6CH2CH2R24R25 (30)
(式中、A2は、同一又は異なって、炭素数2~18のアルキレン基を表す。R22、R23、R24及びR25は、それぞれ独立に-CH2-PO(OM4 q2)2又は-R26を表す。R22、R23の少なくとも一方は、-CH2-PO(OM4 q2)2であり、R24、R25の少なくとも一方は、-CH2-PO(OM4)2である。R26は、水素原子又は不飽和若しくは飽和炭化水素残基を表す。M4は、同一又は異なって、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アミン及び/又は有機アミン残基を表す。q2は、Mが水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アミン及び/又は有機アミン残基のいずれかの場合は1であり、M4がアルカリ土類金属の場合は1/2である。n6は、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1~1000の数である。)
上記式(30)におけるR26は、好ましくは、炭素数1~15のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1~3のアルキル基である。
上記第4の好適な形態の有機残基含有ポリアルキレングリコール化合物が有するポリアルキレングリコール鎖は、炭素数2~18のオキシアルキレン基から構成される高分子鎖(ポリアルキレンオキシド)であることが好ましい。オキシアルキレン基の炭素数は、より好ましくは、2~8の範囲であり、更に好ましくは、2~4の範囲である。
また、ポリアルキレングリコール鎖を形成するポリアルキレングリコールの分散度としては特に限定されないが、例えば、1~100であることが好ましい。より好ましくは、1.1~10であり、更に好ましくは、1.1~3である。尚、本明細書中において、分散度とは、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)を意味する。
上記第4の好適な形態の有機残基含有ポリアルキレングリコール化合物において、ポリアルキレングリコール鎖を形成するポリアルキレングリコールの重量平均分子量は、GPCにより、後述する実施例に記載の条件で測定することができる。
上記化合物(α)が、ポリアミン化合物であることは、上記化合物(α)の第5の好適な形態である。
上記アミン類としては、例えば、エチレンイミンの重合によって得られるポリエチレンイミンなど、アルキレンイミン(例えば、エチレンイミン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン等)の重合または共重合によって得られるポリアルキレンイミン;上記したようなポリアルキレンイミン及び/又はエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどの(ポリ)アルキレンポリアミンと、硫酸、リン酸、アジピン酸などの多塩基酸との縮合によって得られるポリアミドポリアミン;ポリアルキレンイミン及び/又はアルキレンイミンと、尿素との反応によって得られるポリウレアポリアミン;アルキレンイミンと無水フタル酸などの酸無水物との共重合によって得られるポリアミドポリエステルポリアミン;及びアリルアミン、ジアリルアミン及び/又はその塩酸塩の重合によって得られるポリアリルアミン、ジアリルアミン及び/又はその塩酸塩と二酸化硫黄との共重合によって得られるポリジアリルアミン-二酸化硫黄共重合体、ジアリルアミン及び/又はその塩酸塩とマレイン酸との共重合によって得られるジアリルアミン-マレイン酸共重合体などが挙げられる。
上記ポリアミン誘導体としては、上記ポリアミンに、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシド、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、及びアクリルアミドなどのα,β-不飽和アミド化合物等を付加反応させた化合物などが挙げられる。
これらの中でも、ポリアルキレンイミン、ポリアミドポリアミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、エチレンジアミンとアジピン酸との縮合物、トリエチレンテトラミンとアジピン酸との縮合物、ジアリルアミン-マレイン酸共重合体が好ましく、ポリアルキレンイミン、ポリアミドポリアミン、ポリアリルアミンが特に好ましい。
未置換ポリアミン化合物の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、実施例に記載の測定条件で測定することができる。
上記酸基含有側鎖としては、特に制限されないが、カルボキシル基、スルホン酸基又はこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩を有する側鎖が挙げられる。
酸基含有側鎖は、アミノ基と反応する原子団にカルボキシル基、スルホン酸基又はこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が1つ又は複数結合した構造の酸基含有化合物をポリアミン化合物に反応させることで製造することができる。
アミノ基と反応する原子団(基)としては、例えば、ビニル基、アリル基等の炭素数2~20の不飽和炭化水素基;炭素数1~20の飽和炭化水素基にグリシジルエーテル基、エポキシ基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、アルデヒド基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子のいずれかが結合した基などが挙げられる。
炭化水素基含有側鎖は、アミノ基と反応する原子団に炭化水素基が結合した構造の化合物をポリアミン化合物に反応させることで形成することができる。
炭化水素基としては、炭素数1~30の炭化水素基が好ましく、直鎖状、分岐状、環状のいずれの構造のものであってもよい。より好ましくは、4~30の炭化水素基である。また、炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基又はアリール基が好ましい。
アミノ基と反応する原子団(基)としては、カルボキシル基、カルボン酸無水物由来の基;(メタ)アクリル酸由来の基;グリシジルエーテル基;エポキシ基;イソシアネート基;チオイソシアネート基;アルデヒド基;ヒドロキシ基;ハロゲン原子等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリル酸由来の基に炭化水素基が結合した構造の化合物とは、(メタ)アクリル酸エステルである。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1-ブテンオキシド、2-ブテンオキシド、トリメチルエチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、テトラメチルエチレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、オクチレンオキシド等の炭素数2~8のアルキレンオキシドが挙げられる。この中でも、炭素数2~4のアルキレンオキシドが好ましい。
アルキレンオキシドは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他の反応条件は、特許第4436921号公報や特開2008-230865号公報を参照することができる。
上記化合物(α)が、下記式(3-2);
[V2-(OA1)r’-]t’Y[-(B1O)s’-W2]u’ (3-2)
(式(3-2)中、V2、W2は、同一又は異なって、水素原子又は炭素原子数1~30の炭化水素基を表す。OA1、B1Oは、同一又は異なって、炭素数2~18のオキシアルキレン基を表す。r’、s’は、それぞれ、OA1、B1Oの平均付加モル数を表し、r’、s’は、同一又は異なって、0~500であり、r’+s’=1~500である。Yは、活性水素を有する化合物の残基を表す。t’、u’は、同一又は異なって、0~6である。ただし、t’+u’は1以上である。)で表されるポリエーテル化合物であることは、上記化合物(α)の第6の好適な形態である。
上記式(3-2)におけるYは、上記式(3-1)のYと同様である。
t’、u’は、同一又は異なって、0~6であり、好ましくは0~3であり、より好ましくは0~2である。
上記t’+u’=1のとき、式(3-2)で表されるポリエーテル化合物の片末端のV2又はW2は、炭素原子数1~30の炭化水素基であることが好ましい。
上記t’+u’が2~6のとき、V2、W2は、水素原子であることが好ましい。
上記(I)~(VI)以外の化合物であっても上記(i)及び(ii)の条件を満たすものであれば、上記化合物(α)として使用することができる。例えば、ビニル芳香族類、ジエン類又はα-オレフィン類と不飽和ジカルボン酸との共重合体にエステル化又はアミド化などによりポリオキシアルキレン鎖を導入した化合物が挙げられる。具体的には、スチレン/無水マレイン酸共重体;イソブチレン/無水マレイン酸共重合体又はオクタデセン/無水マレイン酸共重合体の無水マレイン酸にポリオキシアルキレン鎖を有するアミン(ジェファーミン;ハンツマン社製)を導入した化合物;特許第4717713号公報に記載のリン酸エステル系単量体を主な構成単位とするリン酸エステル重合体;などが挙げられる。
本発明の混和材料組成物に含まれるリン酸系化合物(β)は、構造中にリン酸(塩)基及び/又はリン酸エステル基を有するものである。
-OPO3M5 2 (31)
(式中、M5は、同一又は異なって、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、三価金属原子、有機アミン基、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。)で表される基であることが好ましい。
上記式(31)における一価金属原子、二価金属原子、有機アミン基は、上述した式(12)における一価金属原子、二価金属原子、有機アミン基の具体例と同様である。
置換基を有していてもよい炭化水素基としては特に制限されないが、例えば後述する芳香族アルコール類及びキノン類由来の基が挙げられる。後述するリン酸系化合物(β)の製造方法により、芳香族アルコール類及びキノン類を含む単量体成分、リン酸(塩)やポリリン酸(塩)等のリン酸化合物を用いて重縮合反応及びリン酸化反応を行い、リン酸系化合物(β)を製造した場合であって、芳香族アルコール類及び/又はキノン類2当量又は3当量に対してリン酸化合物1当量が反応し、ジエステル又はトリエステルが形成した場合、上記M5は芳香族アルコール類及びキノン類由来の基となる。
上記M5としては、水素原子、一価金属原子又は二価金属原子が好ましく、より好ましくは一価金属原子であり、更に好ましくはナトリウムである。
上記芳香族基は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン等の芳香族化合物由来の芳香環を有する基(芳香族化合物から水素原子を引き抜いて得られる基)であればよく、置換基を有していてもよい。
上記複素環式芳香族基は、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の複素環式芳香族化合物由来の複素環式芳香環を有する基(複素環式芳香族化合物から水素原子を引き抜いて得られる基)であればよく、置換基を有していてもよい。
リン酸系化合物(β)としては芳香族化合物由来の芳香環族基を有するものが好ましく、より好ましくはアリール基を有するものである。
上記Q1-OPO3M5 2、R27の結合位置及び結合数は特に制限されず、これらを複数有していてもよい。
上記リン酸化物として具体的にはフェノキシエタノールホスフェート、フェノキシジグリコールホスフェート、(メトキシフェノキシ)エタノールホスフェート、メチルフェノキシエタノールホスフェート、ビス(β-ヒドロキシエチル)ヒドロキノンエーテルホスフェート、ビス(β-ヒドロキシエチル)ヒドロキノンエーテルジホスフェート、及び、ノニルフェノールホスフェート等が挙げられる。
中でも好ましくは、フェノキシエタノールホスフェート、フェノキシジグリコールホスフェート、ビス(β-ヒドロキシエチル)ヒドロキノンエーテルジホスフェートであり、より好ましくは、フェノキシエタノールホスフェートである。
上記芳香族アルコール類及びキノン類のリン酸化には、リン酸(塩)やポリリン酸(塩)等のリン酸化合物を用いることが好ましい。
(ポリ)アルキレングリコール鎖におけるオキシアルキレン基は、上記式(1)における炭素数2~18のオキシアルキレン基と同様のものが挙げられ、最も好ましくはオキシエチレン基である。オキシアルキレン基の平均付加モル数は、1~300であることが好ましい。
(ポリ)アルキレングリコール鎖含有単量体として具体的には上述の芳香族アルコール;アニリン等の芳香族アミンにアルキレンオキシドを付加させた化合物が挙げられる。好ましくは、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ナフトール、及び、フルフリルアルコール等の芳香族アルコール類にアルキレンオキシドを付加させた化合物である。
上記(ポリ)アルキレングリコール鎖含有単量体由来の構造単位の中でも、下記式(33);
R28における炭素数1~30の炭化水素基は、上記式(1)のR5における炭素数1~30の炭化水素基と同様である。
R28としては水素原子が好ましい。
n7として好ましくは5~200であり、より好ましくは10~150であり、更に好ましくは12~120である。
その他の単量体としては、後述するアルデヒド化合物と反応可能な、フェノキシアルコール、フェノール、ナフトール、アニリン、ベンゼン-1,2-ジオール、ベンゼン-1,2,3-トリオール、2-ヒドロキシ安息香酸、2,3-ジヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシベンゼンスルホン酸、フタル酸、3-ヒドロキシフタル酸、1,2-ジヒドロキシナフタレン、及び2,3-ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
その他の単量体由来の構造単位の割合としては特に制限されないが、リン酸(塩)基及び/又はリン酸エステル基を有する構造単位及び(ポリ)アルキレングリコール鎖を有する構造単位の合計100モル%に対して0~50モル%であることが好ましい。より好ましくは0~40モル%であり、更に好ましくは0~30モル%であり、最も好ましくは0モル%である。
上記アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナール等の炭素数1~5のアルキル基とアルデヒド基とを有する化合物:グリオキシル酸、ベンズアルデヒド、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。好ましくはホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、パラホルムアルデヒドであり、最も好ましくはホルムアルデヒドである。
上記リン酸系化合物(β)において各単量体由来の構造単位がメチレン基により結合していることが好ましい。
本発明の混和材料組成物はまた、リン酸系化合物(β)として構造中に芳香族基又は複素環式芳香族基を有する化合物とこれらを有しない化合物とを含む形態であってもよい。
上記リン酸系化合物(β)における式(35)及び式(36)で表される単量体由来の構造単位の合計の割合として好ましくは、全構造単位100モル%に対して5~95モル%であり、より好ましくは10~90モル%である。
また、式(35)、式(36)及び式(37)で表される単量体由来の構造単位の割合(モル比)として好ましくは、式(35)/式(36)/式(37)=3~90/1~80/5~95であり、更に好ましくは3~80/1~60/5~96(ただし合計は100である)である。
上記単量体成分は、上記(ポリ)アルキレングリコール鎖含有単量体を含むことが好ましい。上記単量体成分はまた、上記その他の単量体を含んでいてもよい。
上記重縮合反応及びリン酸化反応における反応温度は、特に制限されないが、20~140 ℃であることが好ましい。より好ましくは100~120℃である。
上記重縮合反応及びリン酸化反応における反応系内の圧力は、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下のいずれであってもよい。反応系内の雰囲気としては、空気雰囲気でも不活性雰囲気でもどちらでもよい。
本発明の混和材料組成物は、セメント添加剤として好適に用いることができる。本発明の混和材料組成物を含むセメント添加剤は、水硬性材料の圧縮強度を向上させることができる。また、水硬性材料が乾燥するときに起こる収縮を低減する効果も有するため、硬化物のひび割れの低減や防止、充填性の向上、反りの防止、剥離の防止等を主目的として用いることができ、後述する水硬性材料に好適に用いることができる。
上記混和材料組成物は、化合物(α)、リン酸系化合物(β)の他、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。
その他の成分としては、特開2002-293596号公報に記載のものと同様のものを用いることができる。
本発明はまた、本発明の混和材料組成物に含まれる化合物(α)とリン酸系化合物(β)と水硬性材料とを含む水硬性材料組成物でもある。すなわち、本発明の水硬性材料組成物は、本発明の混和材料組成物と水硬性材料とを含むものである。
また、上記水硬性材料組成物は、更に水を含むものであることが好ましい。
(a)収縮低減剤及びリン酸系化合物(β)を水で希釈して、水硬性材料に混合して水硬性材料組成物を製造する方法
(b)収縮低減剤及びリン酸系化合物(β)を粉末状にした後、水硬性材料に混合し、得られた混合物に水を加えて水硬性材料組成物を製造する方法
(c)水硬性材料製造時に収縮低減剤及びリン酸系化合物(β)を添加し、収縮低減剤及びリン酸系化合物(β)が含まれる水硬性材料を製造した後、水を添加して水硬性材料組成物を製造する方法
(d)上記(c)の方法において、水硬性材料製造時の収縮低減剤の添加方法として、粉砕助剤または粉砕助剤と同時に収縮低減剤を添加する方法(水硬性材料がセメントの場合)
(e)水硬性材料を製造した後の運搬時に収縮低減剤及びリン酸系化合物(β)を含む水溶液を噴霧して、添加する方法
本発明の水硬性材料組成物がAE剤を含む場合、AE剤の含有量は、水硬性材料100質量部に対して、0.002質量部以上であることが好ましい。このような割合で含むことで、凍結融解抵抗性の向上等のAE剤の性能を効果的に発揮することができる。AE剤の含有量は、より好ましくは、水硬性材料100質量部に対して、0.0025質量部以上であり、更に好ましくは、0.003質量部以上であり、特に好ましくは、0.004質量部以上である。また、AE剤の含有量は、通常、水硬性材料100質量部に対して、0.1質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、0.05質量部以下であり、更に好ましくは、0.04質量部以下である。
このような、本発明の化合物(α)、水硬性材料及びAE剤を含む水硬性材料組成物であって、AE剤の含有量が水硬性材料100質量部に対して0.002質量部以上であり、化合物(α)とAE剤との質量比が99.98/0.02~80/20である水硬性材料組成物もまた、本発明の1つである。
これらのうち、樹脂石鹸、飽和又は不飽和脂肪酸またはその塩、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸塩)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステルまたはその塩、ポリオキシエチレンソルビタンオレエートが好ましく、樹脂石鹸、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸塩)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステルまたはその塩、ポリオキシエチレンソルビタンオレエートが特に好ましい。
本発明の水硬性材料組成物が消泡剤を含む場合、における化合物(α)と消泡剤との配合割合(化合物(α)の質量)/(消泡剤の質量)は、99.99/0.01~85/15であることが好ましい。このような配合比率であると、水硬性材料組成物が収縮低減性能と凍結融解抵抗性の両方に優れたものとなる。配合割合は、より好ましくは、99.98/0.02~90/10であり、更に好ましくは、99.96/0.04~90/10であり、特に好ましくは、99.95/0.05~95/5である。
このような化合物(α)と消泡剤とを所定の割合で含む水硬性材料用の組成物、すなわち、化合物(α)と消泡剤とを含む水硬性材料用組成物であって、水硬性材料用組成物における化合物(α)と消泡剤との配合割合(化合物(α)の質量)/(消泡剤の質量)は、99.99/0.01~85/15であり、セメントに対して該化合物(α)を0.7質量%添加したモルタル組成物のエアボイドアナライザーによる気泡間隔係数を350μm以下に調整できることを特徴とする水硬性材料用組成物もまた、本発明の1つである。
本発明の水硬性材料用組成物は、更にAE剤を含むことが好ましい。水硬性材料用組成物が消泡剤に加えてAE剤を含むと、該水硬性材料用組成物を水硬性材料に添加して得られる水硬性材料組成物が、より凍結融解抵抗性に優れたものとなる。本発明の水硬性材料用組成物がAE剤を含む場合、AE剤の含有量は、上述した水硬性材料組成物がAE剤を含む場合の含有量と同様であることが好ましい。
すなわち、本発明の水硬性材料用組成物が、更にAE剤を含み、該水硬性材料用組成物における化合物(α)とAE剤との配合割合(化合物(α)の質量)/(AE剤の質量)が、99.98/0.02~80/20であることは、本発明の水硬性材料用組成物の好適な形態の1つである。
(1)鉱油系消泡剤:燈油、流動パラフィン等。
(2)油脂系消泡剤:動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(3)脂肪酸系消泡剤:オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(4)脂肪酸エステル系消泡剤:グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等。
(5)オキシアルキレン系消泡剤:(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン-2-エチルヘキシルエーテル、炭素原子数12~14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール,3-メチル-1-ブチン-3-オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド;等。
(6)アルコール系消泡剤:オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等。
(7)アミド系消泡剤:アクリレートポリアミン等。
(8)リン酸エステル系消泡剤:リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等。
(9)金属石鹸系消泡剤:アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等。
(10)シリコーン系消泡剤:ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等。
本発明の水硬性材料用組成物がAE剤や消泡剤を含む場合、化合物(α)とそれらの剤との好ましい配合割合は、上記水硬性材料組成物における好ましい配合割合と同様である。
<分子量測定(GPC分析法)>
装置:Waters Alliance(2695)
解析ソフト:Waters社製、Empowerプロフェッショナル+GPCオプション
使用カラム:東ソー(株)製、TSKguardcolumnsα+TSKgelα5000+α4000+α3000
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters 2414)、多波長可視紫外(PDA)検出器(Waters 2996)
溶離液:水15076g、アセトニトリル3800gの混合溶媒にホウ酸93.98gと水酸化ナトリウムを30.4g溶解したもの
較正曲線作成用標準物質:ポリエチレングリコール(ピークトップ分子量(Mp)272500、219300、107000、50000、24000、12600、7100、4250、1470)
較正曲線:上記ポリエチレングリコールのMp値と溶出時間とを基礎にして3次式で作成した。
流量:1mL/分
カラム温度:40℃
測定時間:45分
試料液注入量:100μL
試料濃度:溶離液で1%に調整した。
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応容器に水87.9部を仕込み、撹拌下に、反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気化で80℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)120.1部、メタクリル酸4.4部、アクリル酸ヒドロキシプロピル6.6部、水34.7部、30%水酸化ナトリウム水溶液0.69部及び連鎖移動剤として3-メルカプトプロピオン酸1.1部を混合したモノマー水溶液を4時間かけて、ならびに、1.5%過硫酸アンモニウム42.0部を5時間かけて反応容器に滴下し、1.5%過硫酸アンモニウム水溶液滴下後、さらに1時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させ、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して重量平均分子量21000の重合体水溶液(化合物(α-1))を得た。
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応容器に水75.3部を仕込み、撹拌下に、反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気化で80℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)128.0部、メタクリル酸5.6部、水32.0部、30%水酸化ナトリウム水溶液0.43部及び連鎖移動剤として3-メルカプトプロピオン酸0.71部を混合したモノマー水溶液を4時間かけて、並びに、1.5%過硫酸アンモニウム42.0部を5時間かけて反応容器に滴下し、1.5%過硫酸アンモニウム水溶液滴下後、さらに1時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させ、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して重量平均分子量25000の重合体水溶液(化合物(α-2))を得た。
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応容器にポリリン酸33.8部を仕込み、90℃まで加熱した後、2-フェノキシエタノール57.5部を加え、90℃で1時間撹拌した。フェノキシポリエチレングリコール(エチレンオキシドの付加モル数100モル)520.0部、濃メタンスルホン酸39.8部、水34.7部、及びパラホルムアルデヒド14.8部を加えた後、105℃まで加熱して4時間撹拌した。冷却後、水715.0部を加え、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH6.8まで中和してリン酸系化合物(β-1)を得た。
下記の配合で、JASS 5 M402準拠のモルタルを調製し、下記15打フロー、0打フローの測定方法により、上記化合物(α-1)、(α-2)及び市販品である分子量1000のポリエチレングリコール(PEG1000)について、本発明における条件(i):(該化合物含有モルタル組成物の15打フロー値)/(該化合物を含まないモルタルの15打フロー値)×100、条件(ii):(2時間後の15打フロー値の比)/(10分後の15打フロー値の比)×100の値を測定した。結果を表1に示す。なお、JASS 5 M402準拠のモルタルに化合物(α-1)、(α-2)又はPEG1000を添加する場合には、水と化合物(α-1)、(α-2)又はPEG1000との合計が225gとなるように添加した。
普通ポルトランドセメント(JIS R 5210適合品) 450g
水(脱イオン水) 225g
ISO砂(セメント協会) 1350g
モルタル空気量が、化合物(α-1)、(α-2)及びPEG1000無添加(プレーン)±3%となるように消泡剤(マスターエア404(BASFジャパン社製))を添加した。
<モルタル組成物の混練>
モルタル組成物の混練はJIS R5201-1997附属書2の方法に従い、以下のとおり実施した。セメント100質量部に対して固形分0.1%又は1.0%となるように化合物(α-1)、(α-2)、PEG1000及び消泡剤を秤量して水で希釈したもの225gを練鉢に仕込み、これに普通ポルトランドセメント450gを入れ、直ちに低速(自転速度140±5rpm、公転速度62±10rpm)で始動させた。始動させてから30秒後にセメント強さ試験用標準砂(JIS R5201-1997附属書2の5.1.3に規定)1350gを30秒間かけて入れた。砂投入後、高速(自転速度285±10rpm、公転速度125±10rpm)にてさらに30秒間混練し、90秒間混練を休止した。休止の最初の15秒間に練鉢に付着したモルタルを掻落し、底に付着したモルタルを中央に集めた。休止後、再度高速で60秒間混練し、混練を終了した。
混練終了後、練鉢からモルタルを取り出し、空気量の測定をJIS A1174-1978の方法に従い行った。
さらに、混練から10分後に練鉢からモルタルを取り出し、以下に示すJIS R5201-1997の方法に従いモルタルフローの測定を行った。空気量及びモルタルフロー値の測定後のモルタルは容量1000mlのポリビーカーに入れ、乾燥を防ぐため濡れた雑巾で容器の上部を覆い保管した。また、混練開始から1時間毎にステンレス製の匙を使用してモルタル全体を10回程度撹拌した。
混練から2時間後、ステンレス製の匙を使用してモルタル全体を10回程度撹拌した後、15打フロー測定を行った。
モルタル組成物の0打フロー及び15打フロー測定は、JIS R5201-1997の方法に従い以下のようにして行った。
モルタルを、乾燥した布でよく拭ったフローテーブル上の中央の位置に置いたフローコーン(上部内径70±0.5mm、下部内径100±0.5mm、高さ60±0.5mm)に2回に分けて入れる。1/2の高さまで入れ、突き棒(直径20±1mm、長さ200mm)で全面を15回突いた後、フローコーンの上部までモルタルを入れ、突き棒で全面を15回突き、不足分があれば補い表面をならす。その後、フローコーンを真上に取り去り広がったモルタルの直径を測定し、0打フロー値とした。0打フロー測定後、フローテーブルに15秒間で15回の落下運動を与えた後、広がったモルタルの直径を測定し、15打フロー値とした。
直径の測定は、モルタルの広がった後の径の最大と認められる方向と、これに直角な方向とで行い、平均値を0打及び15打フロー値とした。
下記方法により、上記化合物(α-1)、(α-2)及びPEG1000について、圧縮強度の評価を行った。
(供試体の作成)
圧縮強度評価に使用する供試体(φ5×10cm)は、表2に示す所定量の添加剤を使用し、下記に示す配合、材料及び混練方法にて調整したモルタルを用いて作成した。
<モルタル配合>
普通ポルトランドセメント(JIS R 5210適合品) 720g
水(脱イオン水) 396g
細骨材(掛川産陸砂) 2056g
(水セメント比(W/C):55%)
所定の空気量(1.5±1%)及びスランプフロー(200±20mm)を得るために消泡剤(マスターエア404;BASFポゾリス)及び減水剤(リン酸系化合物(β-1)及びナフタレンスルホン酸系減水剤(マイティ150;花王))をそれぞれ使用した。
モルタルの混練はホバートミキサを使用し、以下のとおり実施した。セメント及び細骨材を練鉢に仕込み、直ちに低速(自転速度140±5rpm、公転速度62±10rpm)で始動させた。始動させてから20秒後にセメント100質量部に対して固形分1.0%となるように化合物(α-1)、(α-2)及びPEG1000、リン酸系化合物(β-1)又は所定量の減水剤および消泡剤を秤量して水で希釈したもの396gを10秒間かけて入れ、投入後さらに30秒間低速で混練し、60秒間混練を休止した。休止の最初の15秒間に練鉢に付着したモルタルを掻落し、底に付着したモルタルを中央に集めた。休止後、再度低速で120秒間混練し、混練を終了した。
混練終了後、練鉢からモルタルを取り出し、空気量の測定をJIS A1174-1978の方法に従い行った。また、スランプフロー値の測定をミニスランプコーン(上底φ5cm、下底φ10cm、高さ15cm)を使用して行った。所定の空気量及びスランプフローを達成していることを確認した後、供試体の型枠にモルタルを打設した。
混錬して得られたモルタルを流し込んだ型枠を20℃で保管し初期養生を行なった。1日後に脱型し、続いて20℃の静水中で6日間養生(水中養生)した後、圧縮強度の測定をJIS R5201附属書2の方法に従い実施した。結果を表3に示す。
Claims (2)
- 化合物(α)とリン酸系化合物(β)とを含み、
該リン酸系化合物(β)は、下記式(32);
該式(32)で表される構造単位と式(33)で表される構造単位とのモル比(式(32)/式(33))は、0.3~4であり、該その他の構造単位の割合が、該式(32)で表される構造単位及び該式(33)で表される構造単位の合計100モル%に対して0~30モル%であり、
該化合物(α)は、下記(I)~(V)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であって、下記(i)及び(ii)の条件を満たす化合物であることを特徴とする混和材料組成物。
(i)該化合物を0.1%の固形分濃度で添加したJASS 5 M402準拠のモルタル組成物と、該化合物を含まないJASS 5 M402準拠のモルタルとの混練開始から10分後の15打フロー値の比:(該化合物含有モルタル組成物の15打フロー値)/(該化合物を含まないモルタルの15打フロー値)×100が120以下
(ii)該化合物を含まないJASS 5 M402準拠のモルタルに対する、該化合物を0.1%の固形分濃度で添加したJASS 5 M402準拠のモルタル組成物の混練開始から2時間後の15打フロー値の比と、混練開始から10分後の15打フロー値の比との比:(2時間後の15打フロー値の比)/(10分後の15打フロー値の比)×100が110以下
(I):
下記式(1);
(II):
下記式(3-1);
[V 1 -(OA 1 ) r -] t Y[-(B 1 O) s -W 1 ] u (3-1)
(式(3-1)中、V 1 、W 1 は、同一又は異なって、水素原子又は炭素原子数1~30の炭化水素基を表す。OA 1 、B 1 Oは、同一又は異なって、炭素数2~18のオキシアルキレン基を表す。r、sは、それぞれ、OA 1 、B 1 Oの平均付加モル数を表し、r、sは、同一又は異なって、0~2000であり、r+s=1~2000である。Yは活性水素を有する化合物の残基を表す。t、uは、同一又は異なって、0~6である。ただし、t+uは1以上である。)で表されるポリエーテル化合物にエチレン性不飽和単量体をグラフト重合してなる重合体であって、該エチレン性不飽和単量体は、不飽和カルボン酸系単量体を含み、該ポリエーテル化合物と該不飽和カルボン酸系単量体と、該不飽和カルボン酸系単量体以外のエチレン性不飽和単量体とのモル比が、75~3/25~97/0~72である重合体
(III):
エチレン性不飽和単量体成分由来の高分子鎖(A)と(ポリ)アルキレングリコール鎖(B)の末端とが結合部位(X)を介して結合した構造を有し、該エチレン性不飽和単量体は、不飽和アニオン系単量体を含み、該高分子鎖(A)における不飽和アニオン系単量体単位の平均導入モル数が2~50である(ポリ)アルキレングリコール系ブロック共重合体
(IV):
直鎖状又は分岐状ポリアルキレングリコール鎖の少なくとも2つの末端に、金属、金属化合物及び金属イオンの少なくとも1つに対して吸着能を示す有機残基が結合したポリアルキレングリコール化合物であって、
該有機残基は、カルボキシル基、リン酸基及び亜リン酸基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を有するものであり、ポリアルキレングリコール鎖を形成するポリアルキレングリコールと有機残基を形成するために用いられる有機残基を与える化合物の質量割合が、ポリアルキレングリコール鎖を形成するポリアルキレングリコール/有機残基を形成するために用いられる有機残基を与える化合物=99~1/1~99である化合物
(V):
酸基含有側鎖を有するポリアミン化合物であって、該酸基含有側鎖を有するポリアミン化合物を形成するために用いられる未置換ポリアミン化合物と、酸基含有側鎖を形成するために用いられる酸基含有化合物との質量割合が、酸基含有側鎖を有するポリアミン化合物を形成するために用いられる未置換ポリアミン化合物/酸基含有側鎖を形成するために用いられる酸基含有化合物=99.9~50/0.1~50である化合物 - 請求項1に記載の化合物(α)とリン酸系化合物(β)と水硬性材料とを含むことを特徴とする水硬性材料組成物。
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