JP7082519B2 - 食用油の脱水方法 - Google Patents

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Description

本発明は、食用油の脱水方法に関する。詳しくは、香気成分を可及的に残存させつつ、食用油から短時間で水分を除去するための、効率的な方法に関する。
食用油には、例えば、植物油、動物油、魚油等がある。
そのうち植物油は、一般に、必要に応じて粉砕した植物の果実、種子等から、擂潰、圧搾、抽出等の手段により搾油されたうえ、濾過、遠心分離等の手段によって精製されて、生産される。
食用油、特に植物油は、それぞれ独特の風味(香気)を有する。この風味が、各植物油の価値を決める重要な要素であり、搾油、精製等の工程では、油の風味が損なわれないよう、細心の注意をもって加工されている。
植物油の中でも、近年特に、オリーブオイル市場が劇的に成長している。オリーブオイルへの関心の高まりは、その独特な豊かな風味と健康上の利点とに起因する。
オリーブオイルは、オリーブの果実を搾油して粗オイルを得たうえ、粗オイルを精製して生産される。
搾油直後の粗オイルは、オイル分の他に、果肉等に由来するペースト、植物の生体に由来する植物水等を含むので、粗オイルから、加圧又は遠心分離によってペーストを分離した後、更に水分が分離されて、製品となる。
オリーブオイルの生産に際して、ペースト分離後の粗オイルから水分を分離するための方法として、種々の方法が知られている。例えば、静置法、遠心分離法、蒸留法、分離膜法、シノレア法等が挙げられる。
しかし、これらの方法は、いずれも、十分に満足できる結果をもたらすものではない。
例えば、静置法は長期間(例えば数時間)を要すため生産効率が低い。遠心分離法は水分分離の効率が不足である。蒸留法によると、オイルの香気成分が損なわれる。分離膜法は、膜が詰まり易く、水分分離の効率も高くない。また、シノレア法によると、高品質の油が得られるが、効率が悪く、コスト高になる。
本発明らは、このような従来の技術の欠点を解消して、香気成分を可及的に残存させつつ、短時間で食用油から水分を除去することができる、効率的な食用油の脱水方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題点を解消するために鋭意検討を進め、本発明を完成させた。
本発明は以下のとおりである。
[1]正浸透プロセスによって脱水を行うことを特徴とする、食用油の脱水方法。
[2]前記食用油が、オリーブオイル、なたね油、ごま油、ひまわり油、及び大豆油より成る群から選択される、[1]に記載の脱水方法。
[3]前記食用類がオリーブオイルである、[1]に記載の脱水方法。
[4]前記正浸透プロセスに用いる正浸透膜が、支持層上に半透膜層を有する積層体である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の脱水方法。
[5]前記正浸透プロセスに用いる誘導溶液が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩より成る群から選択される塩の水溶液である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の脱水方法。
本発明の方法によると、食用油を脱水する際の香気成分の損失を最小限にして、香気成分量に優れる脱水食用油製品を、高い効率で製造することができる。
本発明の脱水方法に用いる正浸透膜モジュールの一例を示す断面図である。 本発明の脱水方法に用いられる脱水装置の一例の概念図である。 比較例3で用いた加熱減圧脱水装置の一例の概念図である。
《食用油の脱水方法》
以下、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。
本発明は、正浸透プロセスによって脱水を行うことを特徴とする、食用油の脱水方法に関する。
本発明では、正浸透プロセスの処理液として食用油を適用して、該食用油の脱水を行う。
正浸透プロセスにおいては、処理液と誘導溶液とを、正浸透膜を介して接触させ、濃度が相対的に低い処理液から、濃度が相対的に高い誘導溶液に、両液の浸透圧差を駆動源として水が移動する。本発明で用いられる食用油中の水分は、数千ppm以上数万ppm以下である。食用油の脱水に正浸透プロセスを採用すると、食用油のように水分率の低い溶液を処理液とした場合でも、誘導溶液との浸透圧差があれば、水の移動が起こり、処理液の脱水が可能となる。
更に、正浸透プロセスによると、脱水工程における加熱が不要なので、加熱による香気成分の劣化、損失等が高度に抑制された脱水が可能になる。
〈食用油〉
本発明において用いられる食用油には特に制限はなく、例えば、植物油、動物油、魚油等に適用することができる。しかし、本発明によると、香気成分の損失が極めて高度に抑制されるから、香気に特徴のある植物油、例えば、オリーブオイル、なたね油、ごま油、ひまわり油、大豆油等に対して、本発明の方法を好ましく適用することができる。
本発明における香気成分とは、消費者が味覚として感じる食品の香りを発現する成分のことをいう。
食用油の香気成分としては、例えばオリーブオイルの場合、主なものとして、アセトアルデヒド、ブタナール、ヘキサナール等のアルデヒド;メチルブテノール、ペンテノール、ヘキサノール、ヘキセノール、オクタノール等のアルコール;メチルエチルケトン、1-ペンテン―3-オン等のケトン;等が知られている。
〈正浸透膜〉
本発明における正浸透プロセスに使用される正浸透膜としては、半透膜の性質を有する膜であれば、制限なく適用することが可能である。しかしながら本発明における正浸透膜としては、十分に高い膜強度を確保するため、例えば、支持層上に半透膜層を有する積層体であることができる。
(支持層)
正浸透膜における支持層としては、不織布、多孔性膜等から成るものを使用することができる。
不織布の素材としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等が挙げられる。
多孔性膜の素材としては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、酢酸セルロース等が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも1種を主成分とすることが好ましく、より好ましくはポリスルホン及びポリエーテルスルホンから選ばれる少なくとも1種を主成分とすることであり、更に好ましくはポリエーテルスルホンから成るものである。
(半透膜層)
半透膜層としては、例えば、酢酸セルロース、ポリアミド、ポリビニルアルコール/ポリピペラジンアミド複合膜、スルホン化ポリエーテルスルホン、ポリピペラジンアミド、ポリイミド等から成る膜が好適に用いられる。
これらのうち、食用油の脱水効率、支持層上への形成の容易性等を考慮すると、ポリアミドから成る半透膜層が好適である。半透膜層を構成するポリアミドは、例えば、多官能性酸ハライドと多官能性芳香族アミンとの界面重合により形成されることができる。
多官能性芳香族酸ハライドとは、一分子中に2個以上の酸ハライド基を有する芳香族酸ハライド化合物である。具体的には、例えば、トリメシン酸ハライド、トリメリット酸ハライド、イソフタル酸ハライド、テレフタル酸ハライド、ピロメリット酸ハライド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ハライド、ビフェニルジカルボン酸ハライド、ナフタレンジカルボン酸ハライド、ピリジンジカルボン酸ハライド、ベンゼンジスルホン酸ハライド等を挙げることができ、これらのうちの1種、又は2種以上の混合物を用いることができる。本発明においては、特にトリメシン酸クロリド単独、又はトリメシン酸クロリドとイソフタル酸クロリドとの混合物、若しくはトリメシン酸クロリドとテレフタル酸クロリドとの混合物が好ましく用いられる。
多官能性芳香族アミンとは、一分子中に2個以上のアミノ基を有する芳香族アミノ化合物である。具体的には、例えば、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルアミン、3,5-ジアミノ安息香酸、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、1,3,5,-トリアミノベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン等を挙げることができ、これらのうちの1種、又は2種以上の混合物を用いることができる。本発明においては、特に、m-フェニレンジアミン及びp-フェニレンジアミンから選ばれる1種以上が好適に用いられる。
正浸透膜の形状としては、例えば、平膜、中空糸膜等が可能である。
平膜状の正浸透膜としては、例えば、平膜状の支持層と、該支持層の片面又は両面上の半透膜層との積層体が好ましい。
中空糸状の正浸透膜としては、例えば、中空糸状の支持層と、該支持層の外表面若しくは内表面、又はこれらの双方の面上の半透膜層とを有する中空糸状の積層体が好ましい。
(正浸透膜モジュール)
本発明における正浸透プロセスは、正浸透膜をモジュール化したうえで適用することが便利である。
モジュールの形態としては、正浸透膜が平膜状である場合には、例えば、プリーツ型モジュール、スパイラル型モジュール等であることができ、正浸透膜が中空糸状である場合には、例えば、該中空糸状の正浸透膜の糸束を円筒に充填した中空糸膜モジュール等であることができる。
本発明の脱水方法は、中空糸状の正浸透膜の糸束を円筒に充填した中空糸膜モジュールである正浸透膜モジュールを用いて行われることが好ましい。
以下、正浸透膜モジュールが中空糸膜モジュールである場合を例として、その構成について詳細に説明する。
本発明における中空糸膜モジュールである正浸透膜モジュールの構成の一例を図1に示す。
正浸透膜モジュール1は、筒状体に複数の中空糸状の正浸透膜4から成る中空糸糸束を充填し、前記中空糸糸束の両端を接着剤固定部5、6で筒に固定した構造を有している。前記筒状体は、その側面にシェル側導管2、3を有し、ヘッダー7、8により密閉されている。ここで接着剤固定部5、6は、それぞれ、中空糸の孔を閉塞しないように固化されている。
ヘッダー7、8は、それぞれ、中空糸状の正浸透膜4の内側(中空部)に連通し、外側には連通しないコア側導管9、10を有する。これらの導管により、中空糸状の正浸透膜4の内側に液を導入し、又内側からは液を取り出すことができる。
シェル側導管2、3は、それぞれ、中空糸状の正浸透膜4の外側に連通し、内側には連通していない。これらの導管により、中空糸状の正浸透膜4の外側に液を導入し、又は外側から液を取り出すことができる。
正浸透膜モジュール1は、複数の中空糸状の正浸透膜4で構成される中空糸糸束を有する。中空糸糸束の合計膜面積は、0.001m以上であることが好ましく、0.001m以上1,000m以下であることが、実用的な見地からより好ましい。更に好ましくは0.1m以上100m以下である。
正浸透膜モジュール15の透水量は、大きければ大きいほど好ましい。しかしながら、本発明の脱水方法によって正浸透膜を透過する水分量は比較的少量のため、透水量は200kg/(m×hr)以下で充分である。
本明細書における正浸透膜モジュール15の透水量とは、処理液として純水を用い、誘導溶液として3.5重量%食塩水を用い、正浸透膜を挟んで処理液と誘導溶液とを配置したときに、両液の浸透圧差によって処理液から誘導溶液に移動する水の量を、正浸透膜の単位面積当たり、及び単位時間当たりに割り付けた量を意味しており、下記数式(1)により定義される。
F=L/(M×H) (1)
ここで、Fは透水量(kg/(m×h))、Lは透過した水の量(kg)、Mは正浸透膜の表面積(m)、Hは時間(h)である。
正浸透膜モジュール1は、中空糸状の支持層の表面に形成された半透膜層が、例えば、ガイドロールとの接触、モジュール形成時のハンドリング等によって損傷されることを避けるため、先ず中空糸状の支持層をモジュール化した後に、該中空糸状の支持層の表面に半透膜層を形成することによって製造されることが好ましい。
〈誘導溶液〉
誘導溶液とは、処理液と比較して高い浸透圧を示し、正浸透膜を介して処理液から水を移動させて取り込む機能を有する溶液を指す。この誘導溶液は、誘導溶質を高濃度で含有することにより、高い浸透圧を発現する。溶媒は、膜を透過する物質と同じであることが好ましく、食用油の脱水の場合、典型的には水である。
前記誘導溶質としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、糖、モノアルコール、グリコール、水溶性重合体等が挙げられる。これらの具体例としては、
アルカリ金属塩として、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等を;
アルカリ土類金属塩として、例えば、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等を;
アンモニウム塩として、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等を;
糖として、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖等の一般的な糖類の他、オリゴ糖、希少糖等の特殊な糖類等を;
モノアルコールとして、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等を;
グリコールとして、例えば、エチレングルコール、プロピレングリコール等を;
水溶性重合体として、例えば、ポリエチレンオキシド、プロピレンオキシド等、及びこれらの共重合体等を、
それぞれ挙げることができる。
本発明における誘導溶液としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩より成る群から選択される塩の水溶液が好ましく、より好ましくはアルカリ土類金属塩の水溶液であり、特に塩化マグネシウムの水溶液が好ましい。
誘導溶液中の誘導溶質の濃度は、溶質が溶解する限り、かつ、本発明の効果を奏する限りで任意である。例えば、5重量%以上80重量%以下であることができ、10重量%以上75重量%以下が好ましく、15重量%以上60重量%以下がより好ましく、20重量%以上50重量%以下が更に好ましい。
〈食用油の脱水方法の一形態〉
本発明の食用油の脱水方法の一形態につき、図2を用いて説明する。
図2は、本発明の食用油の脱水方法に好適に用いられる脱水装置の一例である。図2の脱水装置は、処理液タンク11と、正浸透膜モジュール15と、誘導溶液タンク16と、これらを連結する送液配管12、13、17、18と、送液ポンプ14、19とを有する。
処理液タンク11には、処理液(脱水すべき食用油、例えば、ペースト除去後の粗オイル)が充填される。処理液は、送液ポンプ14により送液配管12を通って正浸透膜モジュール15に入り、該正浸透膜モジュール15を通過した後、送液配管13を通って処理液タンク11に戻る。
誘導溶液タンク16には、誘導溶液が充填される。誘導溶液は、送液ポンプ19により送液配管18を通って正浸透膜モジュール15に入り、該正浸透膜モジュール15を通過した後、送液配管18を通って誘導溶液タンク16に戻る。
正浸透膜モジュール15は、例えば、中空糸状の正浸透膜の糸束を円筒に充填した中空糸膜モジュールであってよく、具体的には例えば図1に示した正浸透膜モジュールであってよい。
処理液は、コア側導管(図1における符号9及び10)を介して中空糸側を構成する中空糸の内側を通り、誘導溶液はシェル側導管(図1における符号2及び3)を介して中空糸の外側を通る。このときに処理液と誘導溶液とは、中空糸状の正浸透膜の壁を介して接するが、両者が直接交わることはない。そして、処理液と誘導溶液とが正浸透膜の壁を介して接したときに、処理液中の水が正浸透膜を通って誘導溶液側に移動して、処理液である粗オイルが脱水される。
処理液及び誘導溶液のうちの少なくとも一方は、系内を循環させる運転により脱水を行ってもよいし、ワンパス運転により脱水してもよい。

正浸透膜を介して誘導溶液に移動した水は、該誘導溶液から適宜の方法により回収されてよい。回収された水、若しくは水回収後の誘導溶液、又はこれらの双方は、適宜に再利用してよい。
本発明の方法に使用される脱水装置の材質は、脱水工程中に、食用油の香気成分の吸着、透過等が起こり難く、該香気成分の雰囲気中への蒸散等による逸失が起こり難い材質であることが好ましい。脱水装置は、例えば、ぺルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系材料;これらを内部にコーティングした金属等から構成されることが好ましい。
本発明の正浸透プロセスを用いる脱水方法では、系外部から印加することが必要な圧力は、処理液及び誘導溶液を送液するための圧力のみである。従って、本発明の方法は、逆浸透プロセスを用いる脱水方法のように高い操作圧力でろ過する必要がないから、処理液中の成分が膜表面へ吸着することによる目詰まり(ファウリング)が小さく、膜の寿命が長い。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。しかし、本発明は実施例によって限定されるものではない。
[実験方法]
(正浸透膜モジュールの作製)
ポリエーテルスルホン(BASF社製、商品名「Ultrason」)をN-メチル-2-ピロリドン(和光純薬(株)製)に溶解して、20重量%の中空糸紡糸原液を調製した。二重紡口を装備した湿式中空糸紡糸機に上記の原液を充填し、水を満たした凝固槽中に押し出し、相分離により中空糸を形成した。得られた中空糸は、巻き取り機に巻き取った。得られた中空糸の外径は1.0mm、内径は0.7mm、内表面の微細孔の径は0.05μm、透水性能は1,020kg/m/hr/100kPaであった。
この中空糸を支持層として用いた。
上記中空糸状の支持層1,750本を束ねた糸束を、5.5cm径、50cm長の円筒状プラスチックハウジングに充填し、両端部を接着剤で固定することにより、図1に示した構造を有する、有効膜内表面積1.65mの中空糸状支持層のモジュールを作製した。
5L容器に、m-フェニレンジアミン100g及びラウリル硫酸ナトリウム8gを入れ、さらに純水4,892gを加えて溶解し、界面重合に用いる第1溶液を5kg調製した。
別の5L容器に、トリメシン酸クロリド8gを入れ、n-ヘキサン3,992gを加えて溶解し、界面重合に用いる第2溶液4kgを調製した。
上記で製造した中空糸状支持層のモジュールのコア側(中空糸の内側)に第1溶液を充填し、30分静置した後に液を抜いて、中空糸の内側に第1溶液の薄い液膜を形成した。この状態で、第2溶液をコア側に1.75L/分の流量で3分間送液し、界面重合を行った。重合温度は25℃とした。
次いで、中空糸支持膜モジュールのコア側に50℃の窒素を30分流してn-ヘキサンを蒸散除去した。更に、シェル側及びコア側の双方を純水にて洗浄することにより、中空糸膜モジュールである正浸透膜モジュールを作製した。
この正浸透膜モジュールの透水量は、処理液として純水を用い、誘導溶液として3.5重量%食塩水を用いた場合、10.12kg/(m×hr)であった。
(処理液(オリーブオイルの粗オイル)の調製)
熟成度4~5度のPICUAL種オリーブ果実約100kgを収穫し、葉、枝、小石等の異物を分別除去した後、水洗浄を行った。水洗浄後のオリーブ果実を、ミクログレーター(形式MR-120、有限会社セイケンエンジニアリング製)で破砕し、シードバルバー(形式200、有限会社セイケンエンジニアリング製)に通して種子を分離して、果肉ペーストを作製した。これに適量の水を追加して、マラキシング装置で練りこみを行い、更に縦型連続遠心分離機(形式V800-TP、ハインケル製)で搾り滓を分離することにより、水分を含有するオリーブオイルの粗オイル29kgを得た。
得られた粗オイルについて、下記の方法で測定した水分率は、4,300ppmであった。
(水分率の測定)
1mLのシリンジでオリーブオイル又は粗オイル約0.5mLを取り、カールフィッシャー水分測定装置(形式CA-200、(株)三菱化学アナリテック製)に約0.1mL注入し、水分率を測定した。
(香気成分の維持率の分析)
測定サンプルとしては、上記で得られた粗オイル、及びそれを脱水処理した精製オイルを用い、両サンプル中の香気成分の量を比較した。具体的には、以下の操作を行った。
各サンプル1mLを、容量20mLのヘッドスペースボトル(Agilent社製)に入れ、窒素パージし、80℃にて1時間加熱した。加熱後の気相部分について、SUPELCO社製のSPMEファイバーを用いて15分間の固相マイクロ抽出(SPME:Solid Phase Micro Extraction)を行った。得られた気相抽出物を、GC/MS装置(Agilent社製、型番HP6890/5973)によるGC/MS分析に供した。
本開示においては、上記の気相抽出物中に存在する全有機成分を香気成分として、その定量を行い、脱水前の粗オイル中の香気成分のうち、脱水後の精製オイルに残存した割合(重量%)を調べ、これを香気成分の維持率とした。
[実施例1]
正浸透プロセスは、図2に示した正浸透脱水装置を用いて行った。図2における正浸透膜モジュール15は、図1に示した構造を有する中空糸膜モジュールである。
処理液タンク11に水分を含有するオリーブオイルの粗オイル5Lを入れ、誘導溶液タンク16に、濃度35重量%の塩化マグネシウム水溶液10Lを入れた。
誘導溶液である塩化マグネシウム水溶液を、送液ポンプ19により送液配管17を通して3.1L/分の流速で正浸透膜モジュール15のシェル側に送液した。正浸透膜モジュール15を出た塩化マグネシウム水溶液は、送液配管18を通って誘導溶液タンク16に戻して循環使用した。
処理液であるオリーブオイルを、送液ポンプ14により送液配管12を通して1.6L/分の流速で正浸透膜モジュール15のコア側に送液した。正浸透膜モジュール15を出たオリーブオイルは、送液配管13を通って処理液タンク11に戻して循環させた。
これらの操作により、処理液タンク11中のオリーブオイルの粗オイルの脱水を行った。
循環開始から、0.5時間及び1時間後に、処理液であるオリーブオイルをそれぞれサンプリングして、上記方法によって水分率及び香気成分維持率を測定した。結果を表1に示す。
[比較例1]
比較例1では、静置法による脱水を行った。
水分を含有するオリーブオイルの粗オイル5Lを、遮光ガラス容器中に密封して静置した。静置を続けると、水分と油分が分離し、水分は次第に沈降して上層は透明なオイル層となった。12時間後、オイル層をサンプリングして、水分率及び香気成分維持率を測定した結果を表1に示す。
[比較例2]
比較例2では、遠心分離法による脱水を行った。
水分を含有するオリーブオイルの粗オイル5Lにつき、横型遠心分離機(形式JMP-630S、松本機械販売(株)製)を用いて、1,200rpmで1時間、遠心分離による脱水を行い、処理後のオリーブオイルの水分率及び香気成分維持率を測定した。結果を表1に示す。
[比較例3]
比較例3では、図3に示す加熱減圧脱水装置を用いて、蒸留法による加熱減圧脱水を行った。
水分を含有するオリーブオイルの粗オイル5kgをナス型フラスコに充填し、温度80℃のウォーターバス中、圧力15mmHgにて1時間加熱減圧下に置き、水分を留去した。
水分留去後のオリーブオイルの水分率及び香気成分維持率を測定した。結果を表1に示す。
[比較例4]
比較例4では、逆浸透プロセスによる脱水を行った。
ポリスルホンから成る支持層上にポリアミド系重合体層を有する逆浸透膜(日東電工(株)製、品番「NTR-759HR」)を用い、3.0MPaの操作圧力で、水分を含有するオリーブオイルの粗オイル5Lを、1.6L/minの流速で1時間循環させて脱水し、水分率及び香気成分維持率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0007082519000001
表1から分かるように、静置法により脱水した比較例1の場合は、水分率が800ppmになるまで12時間を要した。遠心分離法により脱水した比較例2の場合は、1時間で1,270ppmまでしか水分率を低下させることができなかった。蒸留法による比較例3では、1時間で水分率450ppmまで低下させることができたが、香気成分維持率がわずか31重量%であり、オリーブオイルの風味が大幅に損なわれた。更に、逆浸透プロセスによる比較例4では、1時間の処理によっては1,020ppmまでしか水分率を低下させることができなかった。
これらに対して、本発明の正浸透プロセスを用いる脱水方法による実施例1では、0.5時間の処理で水分率520ppm、1時間の処理で水分率400ppmまで脱水され、香気成分維持率もそれぞれ94重量%及び92重量%であり、オリーブオイルの風味が保たれていた。
本発明の正浸透膜を用いる脱水方法は、香気成分を含有する食用油、特に植物油の脱水に好適に適用することができる。特に、オリーブオイルを脱水する過程において、香気成分の損失を最小限にし、香気成分量の多い脱水オリーブオイルを高効率で製造することができる。
1 正浸透膜モジュール
2、3 シェル側導管
4 中空糸状の正浸透膜
5、6 接着剤固定部
7、8 ヘッダー
9,10 コア側導管
11 処理液タンク
12、13 送液配管
14 送液ポンプ
15 正浸透膜モジュール
16 誘導溶液タンク
17、18 送液配管
19 送液ポンプ

Claims (5)

  1. 正浸透プロセスによって脱水を行う、食用油の脱水方法であって、
    前記正浸透プロセスに用いる正浸透膜が、ポリスルホン及びポリエーテルスルホンから選ばれる少なくとも1種を主成分とする支持層上に、半透膜層を有する積層体であり、
    前記正浸透プロセスに用いる誘導溶液が、アルカリ土類金属塩の水溶液である、
    食用油の脱水方法。
  2. 前記食用油が、オリーブオイル、なたね油、ごま油、ひまわり油、及び大豆油より成る群から選択される、請求項1に記載の脱水方法。
  3. 前記食用油がオリーブオイルである、請求項1に記載の脱水方法。
  4. 前記正浸透プロセスに用いる正浸透膜における半透膜層が、ポリアミドから成る膜である、請求項1~3のいずれか一項に記載の脱水方法。
  5. 前記正浸透プロセスに用いる誘導溶液が、塩化マグネシウムの水溶液である、請求項1~4のいずれか一項に記載の脱水方法。
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