JP7081797B2 - 分取用液体カラムクロマトグラフ装置、分取用液体カラムクロマトグラフ装置における到達時間測定方法及びカラムクロマトグラフによる分取方法 - Google Patents

分取用液体カラムクロマトグラフ装置、分取用液体カラムクロマトグラフ装置における到達時間測定方法及びカラムクロマトグラフによる分取方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7081797B2
JP7081797B2 JP2018072902A JP2018072902A JP7081797B2 JP 7081797 B2 JP7081797 B2 JP 7081797B2 JP 2018072902 A JP2018072902 A JP 2018072902A JP 2018072902 A JP2018072902 A JP 2018072902A JP 7081797 B2 JP7081797 B2 JP 7081797B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
sorting
time
column chromatograph
preparative
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018072902A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019184330A (ja
Inventor
喜八郎 大倉
Original Assignee
山善株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 山善株式会社 filed Critical 山善株式会社
Priority to JP2018072902A priority Critical patent/JP7081797B2/ja
Publication of JP2019184330A publication Critical patent/JP2019184330A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7081797B2 publication Critical patent/JP7081797B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)

Description

本発明は、分取用液体カラムクロマトグラフ装置、分取用液体カラムクロマトグラフ装置における到達時間測定方法及びカラムクロマトグラフによる分取方法に関する。
分取用液体クロマトグラフ装置は、相違する化合物のカラム充填剤中の通過速度の差異を利用したクロマトグラフの原理によって、複数の成分が混在している溶液中の各成分を分離するための装置である。近年はこのような分取用液体クロマトグラフにおいても、機能が高度化・自動化しており、効率よい分取を図るための試みが多くなされている。更に、分取にとどまらず、定性分析機能も備えた分取用液体クロマトグラフの検討も行われている。
このような分取用液体クロマトグラフ装置においては、カラムを通過した後の溶出液は一定時間ごとに分取される。このようなフラクション分離に際して、分取された各フラクション試験管中の成分がどのようなものであるかを、分離と同時に連続的に定性分析することで明らかにする試みを本発明者らは行っている(特許文献1等)。
特許文献1においては、分取用液体カラムクロマトグラフィにおいて、連続的にサンプルの定性分析を行うことによって、フラクションコレクターによって取得されたサンプルについて、分取フラクション試験管についての定性分析測定を行わなくても、分析データが得られる装置を開発した。
このような分取用液体クロマトグラフ装置においては、得られた定性分析データを実際に分取された試験管内部の組成と正確に一致させることが必要となるが、そのためには分取のタイミングを高精度で制御する必要があった。これが不正確であると、定性分析データと実際のサンプルとが一致しないので、分取フラクション試験管の組成と一致しなくなってしまう。
このような一致を図るための試みはこれまで充分になされていなかった。
また、一般に液体クロマトグラフで分取を行う場合、検出器における溶出液の検出後、溶出液が各フラクションに分取するための切替スイッチに到達するまでの時間を正確に知ることが重要となる。そして、正確なタイミングで切替スイッチをサンプル取得側に切り替えることが必要である。このタイミングが不正確であるとクロマトグラムが示すピークと分取フラクションとが一致せず、分取目的とするターゲット成分を正確に回収することができない。すなわち、連続的に測定している定性分析データとフラクション試験管の組成とを正確に一致させることができない。
特許文献2、3にはこのような分取開始時間を決定する手段が開示されている。しかし、特許文献2の方法は、液の流速等に基づいた理論計算によってディレータイムを算出するものである。しかし、実際には、装置間の個体差が存在したり、ポンプ性能が時間の経過とともに低下したり、測定時の温度・気圧等によって微妙に流出速度が変化したりする場合もあり、このような理論計算の値と、実際の到達時間とを高精度で一致させることは難しい。
特許文献3の方法は、分取したフラクションについて、それぞれLC分析を実行するものであることから、簡便な手法ではなく、時間もコストもかかってしまう。
更に、上述したように、連続的に測定した定性分析データを積分・平均することで、各フラクション試験管に含まれる成分を正確に知るためには、分取手段によるサンプル取得時間と、検出器(C)による検出時間との関係を正確に知る必要がある。ここでのずれがごくわずかの時間のずれであっても、フラクション試験管の取得時間と定性分析データの取得時間との関係にずれを生じると、上述した目的を好適に達成することができなくなってしまう。このような問題の改善に対応できるレベルでずれを低減させることについては充分な検討がなされていなかった。
特開2016-3954 特許第3268820号 国際公開2010-021008
本願は、上記の課題を解決するため、分取用液体カラムクロマトグラフ装置において、溶出液が検出器(C)で検出されてから分取手段(B)の切替スイッチに到達するまでの到達時間を正確に測定し、検出器(C)による検出と分取時間とを正確に一致させることができる分取用液体カラムクロマトグラフ装置を提供することを目的とする。
本発明は、カラムからの溶出液が流出する流路を切り替えるための切替スイッチを備えた分取手段(B)、溶出液の検出器(C)及び溶出液の分析手段(D)を備えた分取用液体カラムクロマトグラフ装置において、
サンプルが検出器(C)で検出されてから分取手段(B)の切替スイッチに到達するまでの到達時間を測定するための液中目印発生手段(X)を備え、
分取手段(B)は、前記切替スイッチ近傍の配管において、前記液中目印発生手段(X)によって発生させた液中目印の位置を読み取るための読み取り手段(Z)を備え
ることを特徴とする分取用液体カラムクロマトグラフ装置である。
上記液中目印発生手段(X)は、溶出液に気泡を発生させるものであることが好ましい。
上記液中目印発生手段(X)は、カラム装着部に装着可能な形状を有しており、前記到達時間の測定を行う際は、カラム(A)を液中目印発生手段(X)に替えて測定を行うものであることが好ましい。
本発明の分取用液体カラムクロマトグラフ装置は、更に、分析結果を表示する表示手段(E)、表示手段(E)及びデータ保管手段(G)を制御する演算制御手段(F)及びデータを保管するデータ保管手段(G)を備え、
データ保管手段(G)は、検出器(C)の連続的な測定結果、分析手段(D)の連続的な測定結果及び分取手段(B)の各フラクション取得時間を保管するものであることが好ましい。
表示手段(E)は、分析手段(D)の連続的な測定結果を分取手段(B)の各フラクション取得時間に応じて積分又は平均した結果を表示するものであることが好ましい。
本発明は、上述した分取用液体カラムクロマトグラフ装置において、
前記液中目印発生手段(X)が溶出液流路中に存在するような状態とし、
溶出液を流出させ、当初設定された切替時間に分取手段(B)の切替スイッチを切り替え、それと同時に送液ポンプを停止し、
その時点での液中目印の配管中の位置を確認することによって、前記到達時間の誤差を測定することを特徴とする分取用液体カラムクロマトグラフ装置における到達時間測定方法でもある。
本発明は、上述した分取用液体カラムクロマトグラフ装置を使用したクロマトグラフィ方法であって、
上記の方法によって、分取用液体カラムクロマトグラフ装置における到達時間を測定する工程(1)、
工程(1)によって測定された到達時間を利用して、分取手段(B)の切替スイッチの切替時間(i)、分析手段(D)の測定時間と測定結果との関係(ii)、及び、流出液の流速(iii)のうちの少なくとも1を補正する工程(2)
並びに
連続的に分析手段(D)によって定性分析を行いながらクロマトグラフィを行う工程(3)によってクロマトグラフィを行うものであり、
工程(2)による補正結果を反映させて工程(3)によって得られた定性分析結果を処理するものであることを特徴とするカラムクロマトグラフによる分取方法でもある。
本発明によると、溶出液が検出器(C)を通過してから分取手段(B)における切替スイッチに到達するまでの到達時間を正確に測定することができ、これによって分取手段(B)における分取時間を正確に制御することができるようになる。これによって、定性分析手段による定性分析データを、フラクションコレクタによって集められた試験管成分の定性分析データと高い精度で一致させることができる。
このため、上記試験管成分について、改めて定性分析を行う必要がなくなり、実験効率を大幅に向上させることができる。
本発明の分取用液体カラムクロマトグラフ装置の一例を示す模式図である。 本発明の分取用液体カラムクロマトグラフ装置の一例を示す模式図である。 本発明の分取用液体カラムクロマトグラフ装置の一例を示す模式図である。 分取手段(B)の切替スイッチの動作状態を示す模式図である。 到達時間測定時の切替スイッチの状態を示す模式図である。 切替スイッチ近傍の配管近傍に読み取り手段(Z)が存在する状態を示す模式図である。 本発明の分取用液体クロマトフラフ装置の画像表示装置における表示の一例において、定性分析データを表示した状態を示す図である。 本発明による到達時間の測定を行った場合に、分取が好適に行われることを示す図である。 本発明で使用する液中目印発生手段(X)の一例を示す模式図である。 本発明で使用する液中目印発生手段(X)の一例を示す模式図である。 本発明における到達時間測定を行った場合の、分析手段(D)による測定データの処理方法の一例を説明するための図である。 本発明における到達時間測定を行った場合の、分析手段(D)による測定データの処理方法の一例を説明するための図である。 本発明の分取用液体カラムクロマトグラフ装置において、サンプルが検出器(C)で検出されてから分取手段(B)の切替スイッチに到達するまでの到達時間を測定する際の検出器の測定結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の対象は、中圧カラムクロマトとも呼ばれる分取用カラムクロマトグラフ装置である。すなわち、分析用のクロマト装置ではなく、複数種の化合物が混在するサンプルを分離して取得するための装置である。
第1の本発明は、このようなサンプルの分離に際して、もっとも適切なタイミングで検出器(B)における切り替えスイッチの切替を行い、これによって、精密な分離を行うことができるものである。
第1の本発明の分取用カラムクロマトグラフ装置は、検出器(C)において、設定した閾値を超えるピークを検出した時間からディレイタイム経過時に自動的に分取手段(B)の切替スイッチの切替が行われるものである。このような第1の本発明の一例を図1に示した。
上記分取用カラムクロマトグラフ装置においては、UVセル等の検出器(C)から分取手段(B)の切替ノズルまでの間には、一般的には1~3ml程度のデッドボリュームが存在する。
従って、例えば、上記デッドボリュームが2mlであり、流量が20ml/分の場合は、
Td=(2/20)×60=6秒
のディレイタイム(Td)が存在する。
なお、本明細書においてディレイタイムとは、「検出器(C)で検出されてから分取手段(B)の切替スイッチに到達するまでの到達時間」を意味し、以下このような意味で使用する。
このようなディレイタイムは、流量が大きくなるほど短くなり、小さくなるほど長くなる。上記デッドボリュームが2mlの場合、流量が5ml/分では、
Td=(2/5)×60=24秒
という長いディレイタイムが存在する。そして、このディレイタイムを考慮して、分取手段(B)中の切替スイッチを切り替えて、サンプル取得を行う。
このように、検出器(C)から分取手段(B)の切替ノズルまでの間には、一般的には1~3ml程度のデッドボリュームが存在する。このため、検出器(C)でサンプルが検出された後、実際にサンプルが分取手段(B)の切替スイッチに到達するまでの時間を考慮して、切替スイッチの切替を行うことが好ましい。
第1の本発明においては、この点について検討を行い、検出器(C)において、閾値の設定を行い、当該閾値を超える検出値を検出すると、その時からディレイタイム経過後の時点で、切替スイッチを切り替えるものである。これによって、検出器(C)によって検出されたサンプルが分取手段(B)の切替ノズルに到達したときに正確に切替を行うことができるものである。
上記閾値の設定は、サンプルに応じて適宜行うことができ、目的とするサンプル化合物が溶出し始めたことが確認できるような検出値として設定することができる。検出器(C)として具体的に使用できるものについては、以下で詳述する。
本発明の分取用クロマトグラフィ装置は、各種の制御をコンピュータによって行うものであることが好ましい。よって、上述した切替スイッチの切替についても、コンピュータによって行うものであることが好ましい。すなわち、クロマトグラフによる分離を開始した後、検出器(C)の検出値が上記閾値を超えたことを検出した後、上述したディレイタイムに基づいて、分取手段(B)の切替スイッチを切り替えるべき時間を自動的に算出し、算出された切替時間に基づいて自動的に上記切替スイッチを切り替えることが好ましい。
以上のような構成によって、分取用クロマトグラフ装置において、切替時間を最適化するにあたっては、上記ディレイタイムを正確に測定する必要が生じる。すなわち、ディレイタイムの設定値が誤っていると、上述した第1の本発明の手法を最適に行うことが出来ないためである。
本発明者らは、この点についても検討を行い、精密に分取用クロマトグラフ装置におけるディレイタイムの正確な測定方法も完成させた。これを第2の本発明とする。
上述したように、検出器(C)から分取手段(B)の切替ノズルまでの間には、一般的には1~3ml程度のデッドボリュームが存在する。そして、このデッドボリュームと流量とからディレイタイムとが算出される。
一方、切替ノズル周辺の流路の内径は2mm程度であるため、20ml/分の流量の場合、1秒間に流路内をサンプルが移動する距離は、
(20/60)÷(0.1×0.1×π)=10.6(cm)
の長さになる。
つまり、フラクションコレクターの切替ノズル周辺では、前後10cmの距離を計測することは、±1秒未満の流量のズレを計測するのに相当する。
すなわち、液中目印発生手段(X)によって生じた液中目印について、切替ノズル近傍にて人間が容易に目視できるセンチメートル単位の計測を行うことで、0.1秒のディレイタイムの計測が可能となるのである。
更に、流量20ml/分のときに、0.1秒のずれに相当する溶媒の容量は、
(20/60)×0.1=0.03ml
となり、この量は、フラクションコレクターの試験管の容量(数十ml~)に対して、充分に小さい量となるため、精度の良いディレイタイム補正ができているのである。
以上のことから、以下で詳述するように、液中目印発生手段(X)によって目印を発生させ、これをフラクションコレクターの切替ノズル近傍にて観察することで、精度高く上記ディレイタイムの補正をすることができることを発明者らは見出した。これらの装置の制御が0.1~0.01秒刻みで行われていれば、目視観察した目印の位置に基づいて取得したディレイタイムを入力するだけで、正確な時間管理のもとでのサンプル取得を行うことができる。
また、装置の構成によっては、他にも複雑な制御を行うため、分取手段(B)の切替スイッチの切替時間の制御が1秒刻みでしか行えない場合もある。このような場合でも、検出器(C)や分析手段(D)による分析結果を有効に利用することができる。
例えば、1秒刻みで設定された切替時間に対して、分析手段(D)にて1秒間に10回の測定を行うように設定するのである(図11参照)。切替のタイミングは1秒刻みになるものの、検出器(C)及び分析手段(D)の測定値は0.1秒刻みで得られているので、分画試験管の分析においては、上記切替時間と正確に測定されたディレイタイムとの差異Tcを考慮し、Tcだけずらして測定データを採用すればよい。そうすれば、0.1秒以内の精度で試験管の内容物の分析が精度よく行えるのである。
更に、上記切替時間が1秒刻みで制御されており、分析手段(D)の測定も1秒程度の刻みで同程度の制御間隔であっても、各測定データをプロットすることによって、図12のように、上記切替時間と正確に測定されたディレイタイムとの差異Tcを考慮して補正した分析値を選ぶことによって、実質的に1秒の半分以内の誤差で、分析に用いる測定結果を選ぶこともできる。
また、このような本発明の態様を、「流量」の厳密な測定方法として把握することもできる、
すなわち、上述した「ディレイタイム」は、ディレイタイム自体によって補正を行うものであるが、本質的にこのような「ディレイタイム」が生じてしまうのは、溶出液の流量が厳密に制御されていないことに起因するものである。
従って、ポンプ流量制御値によるディレイタイムの高精度な補正も行うことができる。上述した方法で読み取ったディレイタイムをポンプ流量誤差に換算し、これによってポンプ流量の制御値を変更することによって、修正を行ってもよい。
また、流量計をポンプ後の流路内に組み込んで、ディレイタイムを変動させなくてもよいようにポンプ流量を設定値に自動制御することによって、補正を行うこともできる。
このような補正においては、ディレイタイムを変更しなくてもよいように、ポンプ流量で設定値を自動制御することで補正することもできる。
このような補正を行う場合には、
Td(秒)=[(デッドボリューム (ml))/(ポンプ流量(ml/分))]×60
の関係式に基づいて補正を行うことができる。
これによって、ポンプ流量の調整も含めた設定の調整によって、精密な分取カラムクロマトグラフィを行うことができるようになる。
以上のような作用により、ノズル周辺のミリ~センチ程度の値を目視観察することによって、「ディレイタイム」又は「デッドボリューム」を精密に測定することができ、サンプル取得時間を精密に制御でき、分析手段(D)による連続的な定性分析の測定結果とも、厳密に時間を一致させることができることを見出し、これによって本発明を完成した。
本発明はこのような精密な分取カラムクロマトグラフィを行うために必要とされる「ディレイタイム」の精密な測定を行うための方法である。なお、本発明においては「到達時間の測定」として記載しているが、上述した「デッドボリュームの測定」もこの「到達時間の測定」に包含されるものである。
なぜなら、「デッドボリューム(すなわち、検出器(C)から切替スイッチまでの配管体積)」が正確に測定できていれば、「ディレイタイム」はポンプ流量から簡単に算出できることから、これらは技術的に同一と見なすことができるためである。
以下、本発明による到達時間を測定するための分取用クロマトグラフィ装置について、詳細に説明する。
上述したように、本発明は、サンプルが検出器(C)で検出されてから分取手段(B)の切替スイッチに到達するまでの到達時間を正確に測定するための液中目印発生手段(X)を備える点に特徴を有するものである。
これによって、分析手段(D)による分析結果と分取手段(B)によって分取されたフラクション試験管の組成とを高い精度で一致させることができるようになる。
このため、分取後に得られたフラクション試験管について、再度定性分析を行わなくても高い精度で組成を知ることができるようになる。これによって、実験作業者の労力を大幅に低減することができ、実験の効率化に大きく寄与する。
上述した特許文献2,3又はその他の公知技術の方法によって、理論的にサンプルが検出器(C)で検出されてから分取手段(B)の切替スイッチに到達するまでの時間をある程度は予測することができる。
しかしながら、実際には装置間の個体差、長期使用によるポンプの能力変化、使用条件による流量のぶれなどが発生する。このような微妙な理論値からのずれを修正するためには、サンプルが検出器(C)で検出されてから分取手段(B)の切替スイッチに到達するまでの時間を定期的に精密に測定して、補正をかけることが求められる。
本発明においては、上記到達時間を正確に測定するために液中目印発生手段(X)を使用し、これによって発生させた液中目印を利用することに特徴を有する。そして、装置において設定した切替スイッチの切替時間が到達した時点で送液を止め、この状態で液中目印の位置を確認することによって、上記到達時間を正確に測定するものである。
この点について、図4,5の模式図を参照しつつより具体的に説明する。
図4,5は、分取手段(B)に備えられた切替スイッチを示す模式図である。図4は、分取手段(B)を用いた分取カラムクロマトグラフィ操作時の液の流れを示すものである。
分取用液体カラムクロマトグラフィにおいては、分取を開始した時点で、配管中は流出液で満たされている。そして、分離を開始してポンプによって流出液が流れ始めると、液は順次配管中を押し出されていく。このため、最初に流出し始める成分は、分離開始時において配管中に存在していた成分であることから、そのなかにサンプルが含まれていることはありえない。
このため、最初の溶出液は図4aの排出口より排出されている。そして、サンプルの溶出が開始した時点で、図4bのように切替スイッチをフラクションコレクタ側に切り替えてサンプル取得を開始する。その後、一定時間ごとに取得のための試験管を変えていき、これらの試験管毎に組成を確認して次の段階へと実験を進める。
このため、排出口からフラクションコレクタへの切替のタイミングがずれてしまうと、上述した精密な分取を行うことができなくなってしまう。更に、各フラクションの組成についての正確な定性分析データを得ることもできなくなる。
このような切替スイッチの切替は、一般には分取手段(B)の制御手段によって行うものであり、具体的にはコンピュータによって制御を行い、設定した切替時間が到達すれば自動的に切り替わるものである。
本発明の液中目印発生手段(X)を備えた分取用液体カラムクロマトグラフ装置を使用して、上記到達時間を測定する場合の模式図を図4に示した。
図4においては、液中目印発生手段(X)を送液ライン中に設け液中目印を発生させ、排出口側からフラクションコレクタへと切り替える時間において、送液を停止したときの状態を示す。
この時点で、切替時間と到達時間とが完全に一致していれば、上記液中目印は3つの管が交差する位置に存在する。しかし、ごくわずかでも切替時間と到達時間とがずれていれば、送液管の途中の位置に上記液中目印が存在した状態となる。この状態を図4a、bとして示した。図4aは切替時間が遅すぎるため液中目印が排出口の方に進んでしまっており、図4bは切替時間が早すぎるため液中目印がまだ切替スイッチに到達していない。
このような試験によって、装置で設定された切替時間と到達時間の差異を切替部から送液中の液中目印の位置から算出することができる。これは、液中目印の位置に基づいて、図5中に示した体積として値を得ることができる。この体積をそのまま利用してもよいし、この体積を液の移動時間に換算してもよい。
また図6は、前記切替スイッチ近傍の配管において、上記液中目印発生手段(X)よって発生させた液中目印の位置を読み取るための読み取り手段(Z)を備えるものを示した模式図である。このように読み取り手段(Z)を備えていると、ただちに図5に示したずれを得ることができる点で好ましい。
この目盛の単位は特に限定されるものではなく、長さ、容積、時間等の形で算出できれば、以降に詳述する換算を行うことによって、本発明での使用に適した値とすることができる。
このような到達時間の精密な測定は、特に、分離操作と同時に連続的な定性分析を行う場合において、特に好適な効果を奏する。更に、連続的な定性分析を行い、このようにして得られた定性分析データを積分又は平均する場合において、最も好適な効果を奏する。すなわち、フラクション試験管中のサンプルの組成を知るために積分・平均を行うにあたっては、積分・平均を行うべき時間範囲を正確に決定する必要がある。本発明の方法によって正確な到達時間を測定することで、この範囲を正確に決定することができる。
これによって、連続的な定性分析の結果を積分又は平均する際の時間範囲が、現実に取得した取得範囲と完全に一致することになる。これによって、高精度の分析結果が得られ、化学実験における作業の大幅な効率化を図ることができる。
このような液中目印発生手段(X)が発生させる液中目印は、液中目印が検出器(C)を通過した際に検出できるものであること、切替時間に送液を停止した時点で液中目印がどこに存在するのか確認できるものであれば特に限定されない。このような液中目印の位置の確認は、目視によって行えることが好ましいが、センサー等によって位置を確認するものであっても差し支えない。
具体的には例えば、気泡、着色等を挙げることができる。液中に気泡を意図的に発生させると、気泡と流出液とでは、その性質が大幅に異なることから、検出器(C)を通過する際、気泡の通過が明確に検出される。そして、スイッチが切り替わり、液の流れが停止した時、液中目印発生手段(X)によって発生した目印が停止した位置に基づいて、上記ずれを測定することができ、これによって補正を行うことができる。
上記液中目印発生手段(X)として気泡発生させる手段としては特に限定されるものではないが、図9に示したような構成のものとすることができる。
すなわち、六方弁31において、一方にシリンジ32を接続し、更に、ループを有するものとする。シリンジ32に空気を入れて、これを系中に導入する。
この状態で六方弁をポンプから検出器(C)へと流れる流路方向に接続すると、ループ中に詰められた成分が流されるようになる。
また、これとは別に、図10に示したように、カラム状の容器を用いる方法を使用することもできる。すなわち、流路を有する容器中に空気を入れた状態として、これをカラムのかわりに流路中に設置して使用するものであってもよい。
上記図10に示した気泡発生手段は、気泡を溜める空洞領域を下側にして通常用いる溶媒を入れたシリカ領域を形成させ、この状態で流路にセットして気泡を流路に入れることができる。(なお、この場合、ポンプから切替ノズルまでの間を溶媒で満たしてからポンプを一時停止して、この気泡発生手段を取り付けるものである)
上記液中目印として気泡を用いた場合、切替時間に送液を停止したとき、溶出液の先端に気泡が存在するようになるため、溶液の先端が配管内のどこに存在し、溶液が配管内のどこまで流出したかを容易に判別することができる。
液中目印発生手段(X)として着色を行う場合、基本的に、上述した気泡を形成する際の図9,10の装置を用いた同様の方法で行うことができる。
すなわち、図9の六方弁を用いた液中目印発生手段(X)において、シリンジから注入する空気のかわりに、着色した液体を注入することで同様の試験を行うことができる。
また、上記図10に示したカラム状の液中目印発生手段(X)によって、着色を行うこともできる。この場合、例えば、気泡を発生させる場合とは逆に、シリカ領域に着色液を溜めてから、溶媒を満たした流路内に取り付ければ、着色液の先端でディレイタイムの補正値を見極めることができる。
更に、図10のように、シリカ領域を上にして上部領域34に着色液を溜めて、下部領域35に気泡を溜めてから、前述の2例と同様に溶媒を満たした流路内に取り付ければ、気泡と着色液の両方の効果で人間も検出器(C)も検出しやすい形でディレイタイムの補正値を確認することができるのである。
更に、検出において、着色液の濃度は、検出器(C)において、急激な立ち上がりを生じるようなものであることが好ましい。
すなわち、着色濃度が希薄であったり、もともと着色が薄いものであったりすると、短時間でゆっくりと立ち上がることになるため、正確なディレイタイムが測定できなくなる場合がある。このような立ち上がりの状態を表す図を図13に示した。すなわち、急激に検出器(C)による分析値が高くなるため、サンプルが検出器を通過したと判断する時間の誤差を生じにくくなる。また、検出器の立ち上がりを検出する閾値を低く設定することで、誤差を極小にできる。
上記配管から観察されるずれは、基本的に「長さ」として測定されるが、これを時間に換算するには、例えば、以下のような方法を採用することができる。
上記装置で設定された切替時間と実際の到達時間との差は以下の(1)、(2)式で算出することができる。
切替スイッチから移動した溶液の容量:y(ml)は、チューブ内径:R(cm)、ズレ目盛り量:x(cm)とすると、
y=〔(πR)/4〕×x ・・・(1)
である
また、チューブ内の溶液の流速をFp(ml/min)とすると、上記(1)式を用いて
TD=(60×y)/Fp ・・・(2)
(TD:ずれ時間)
このような計算は手作業で行うものでもかまわないし、上記の各パラメータを入力することで、自動的に算出するプログラムによるものであってもかまわない。
よって、当該切替時間を正確に設定するか、上記精密に測定された到達時間と切替時間とのずれを考慮して、以下のデータ解析(例えば、分析手段(D)の測定結果の積分又は平均等)を行うことでができる。
また、本発明の分取用液体クロマトグラフ装置においては、装置を制御するために、分析結果を表示する表示手段(F)、表示手段を制御する演算制御手段(G)及びデータを保管するデータ保管手段(H)を有することが好ましい。更に、本発明の分取手段(B)は、切替スイッチを有するものであり、この切替スイッチは所定時間経過後に自動的に切り替えられるようなものである。
これらの(F)~(H)及び(B)中の切替スイッチの制御については、所定の目的を達成するための演算・制御・データ保管・表示等を行うことができるプログラムを保存したパーソナルコンピュータ等とすることができる。以下の説明では個別に詳述しないが、基本的には、パーソナルコンピュータ等を利用した制御を行うものである。
本発明の技術の本質は上述した通りのものである。続いて、本発明の分取用液体クロマトグラフ装置をより具体的な装置の構成という観点から説明する。
本発明の分取用液体クロマトグラフ装置をより具体的に示す模式図を図2,3に示した。以下模式図に沿って詳述する。
本発明の分取用液体クロマトグラフ装置は、カラムによって成分を分離するものであるが、本発明の主要部は、分離後の溶出液の分取・分析に関わるものである。よって、カラムについては、一般的に使用される任意のものを使用することができる。
本発明において、液中目印発生手段(X)を利用した上記到達時間の測定を行う場合、カラムを使用する必要はない。したがって、図2に示した模式図においてカラム又は液中目印発生手段(X)1として示した部位は、分離操作時においてはカラムを設置し、到達時間を測定する場合には液中目印発生手段(X)とするようにして、モードを切り替えることが好ましい。
より具体的には、例えば、カートリッジ型のカラムをカラム載置位置に嵌めこむことで設置するような方法を挙げることができる。そして、液中目印発生手段(X)も同様のサイズ・形状のものとして、これをカラムに替えて嵌めこむことで、上記到達時間を測定するモードに切り替えることができる。
なお、カラムと液中目印発生手段(X)の装置への設置は、上述した手法に限定されるものではなく、例えば、図2に示したように、カラム用の送液ラインと、液中目印発生手段(X)用の送液ラインとを別途に設け、液の流路を切り替える等、その他の手法によるものであってもよい。
本発明において、分取手段(B)は自由に開閉の調整が可能な切替スイッチが備わったものである。この切替スイッチとしては、周知のものを使用しコンピュータによって切替を行うことができる。すなわち、コンピュータより指示された時間がくれば、自動的に切り替わり、フラクションコレクタによってサンプルの取得が始まるものである。
なお、分取手段(B)の切替スイッチの制御は、以下で詳述する検出器(C)によるサンプルの検出を受けて、これに基づいて制御するものであることが好ましい。
すなわち、以下で詳述する検出器(C)により溶出液中に溶解した成分の有無を確認し、溶解成分が存在する溶出液のみをフラクションとして取得し、溶解成分が存在しない場合は廃棄するものであってもよい。このようなシステムとしては、公知のものを使用することができる。
本発明においては、カラム(A)を通過した溶出液は、分取手段(B)によって分取され、フラクション1,2,3・・・といった単一又は複数のフラクションとして試験管中に取得される。その際、フラクション1は流出開始0~10秒までのフラクション、フラクション2は流出開始1~2分までのフラクションといったように、それぞれを取得した流出時間と関連付けたり、フラクション1は流出開始0~5ml、フラクション2は流出開始5~10mlといった流出量と関連付けたりしたフラクションデータとし、これがデータ保管手段(H)に保管される。
そして、カラムを用いた分取作業時は、上述した測定した補正体積(または補正時間)を考慮して、フラクション試験管の取得を行う。
例えば、スイッチ切替時間として設定された設定時間が、実際のサンプル溶出開始時時間よりも0.1秒早い、ということであれば、(設定時間-0.1秒)からサンプルの取得を開始した、として定性分析結果のデータ処理を行えばよい。(遅い場合も同様である)
なお、このようなフラクションデータについて、図7にその一例を示す。図7の73は、フラクションの各試験管がどのような時間帯の成分を取得したものであるかを示すものである。
本発明の液体クロマトグラフ装置は、検出器(C)を備えるものである。すなわち、検出器(C)によって、溶出液中に溶解成分が存在するか否かを測定し、これによって溶解成分の溶出位置を確認しながら、クロマトグラフを行う。当該検出器(C)は、各種クロマトグラフ装置において汎用されているものを使用することができ、紫外線吸収、示差屈折率、蒸発散乱光、質量分析及び円偏光二色性からなる群より選択されるものを使用することができる。
なお、当該検出器(C)としての機能を以下で詳述する溶出液の分析手段(D)によって行ってもよいし、溶出液の分析手段(D)とは別に、検出器(C)を設けてもよい。なお、以下で詳述する分析手段(D)は、定性分析を行う手段であるから、目的化合物がどのような化合物であるかを明らかにできるような分析であることが必要であるが、上記検出器は、溶出成分の有無のみが確認できればよいから、このような目的に適した形での分析を行えばよい。
例えば、質量分析装置を検出器(C)及び分析手段(D)の双方の機能を兼ねたものとして使用する場合、トータルイオンモードによって液中に溶出成分の有無だけを確認してこれを検出器(C)のデータとして利用し、チャートとしてのデータを分析手段(D)のデータとして利用するものであってもよい。
上記検出器(C)によって行われた測定結果も、データ保管手段(H)に送られ、保管される。ここで保管されるデータは、溶出曲線と呼ばれるものであり、時間と溶出物の有無との関係を示すものである。図6は、表示手段(F)に表示された情報の一例である。検出器(C)によって測定された溶出曲線は、図7の72のような時間を横軸とした溶出曲線として示すことができる。
図6に示したように、検出器(C)によって得られた溶出曲線と分取手段(B)による各フラクション試験管の取得時間との関係を並列的に表示すると、フラクション試験管がいずれの溶出ピークに対応した成分であるかが、分かりやすくなる点で好ましい。
本発明の分取用液体クロマトグラフ装置は、表示手段(F)において上記検出器(C)による検出結果と分取手段(B)によるフラクションデータとを重ねて表示しながら行うものであることが好ましい。
本発明の分取用液体クロマトグラフ装置においては、分析手段(D)として、溶出液を連続的に定性分析するための少なくとも1の定性分析手段を備えるものである。すなわち、流出液について、連続的に定性分析を行い、得られたデータをデータ保管手段(H)において保存するものである。
上記分析手段(D)は、分離対象となる化合物を定性分析し、目的とする化合物が分離されていることを確認できるような分析手段であれば特に限定されず、例えば、紫外線吸収、質量分析、核磁気共鳴(NMR)を挙げることができる。これらの2以上を備えたものであってもよい。当該定性分析は、対象物が目的物であることと、観察者が望んでいる程度の純度で対象物が分離されていることが確認できるような程度の分析を行うことが必要である。これらのなかでも特に、質量分析によるものであることが特に好ましい。
例えば、紫外線吸収を行う場合であれば、単一波長の吸光度を測定するのではなく、幅広いレンジの波長での紫外線吸収を測定する。このようにすることで、吸収パターンを確認することで、目的とする化合物が所定のフラクション中に高濃度で存在するか否かを容易に判断することができる。
また、マススペクトルであれば、分子量の測定を行ったチャートを作成することが必要となる。これによって、上述した紫外線吸収と同様、対象となる物質が同定でき、不純物の存在についても確認することができる。
更に、近年は、NMRの分析手法が向上しており、各種のクロマトグラフにおいて検出手段としてNMRを接続する試みがなされている。これらの公知の手法を本発明にも適用し、分離後の溶出液に対してNMRの測定を連続的に行うものであってもよい。
なお、分析手段(D)による分析は、紫外線吸収等のように、分析によって分解を生じることのない分析手段の場合は、流出ライン上に設置し、分析を終えた流出液はそのままフラクション中に流入するようにすればよいし、質量分析等のように、分析によってサンプルが分解する分析方法の場合は、流出液の一部を測定ラインに導入し、連続的に測定すればよい。
これらの分析手段(D)を構成する分析装置は、それぞれが市販されているものであり、これらを分取用液体クロマトグラフ装置と組み合わせ、制御プログラムを保存したコンピュータを設けることで全体を一体化して使用することができる。
本発明の分取用液体クロマトグラフ装置は上述したような構成を有するものであるから、観察者は検出器(C)のデータ及びフラクションデータを参照しつつ、分析手段(D)によって得られた定性分析データが必要な位置を指定する。このようにして観察者が指定した定性分析データを表示手段(F)に表示する。
観察者がこのような位置指定を行うことで、簡便に目的とする定性分析データを得ることができ、分取型液体クロマトグラフ装置による分取の際の分析データの取得をきわめて効率よく、かつ、正確に行うことができる。
上記定性分析データは、一定間隔で連続的に測定がなされるものであることが好ましい。したがって、溶出液の組成変化に対応して徐々に変化するスペクトルとして測定がなされる。そして、本発明の測定装置においては、特定のフラクションに対応する積分値又は平均値を算出し、これをフラクションデータとすることが好ましい。
すなわち、上述したように、本発明においては各フラクションにおける試験管内部の成分が、どのような溶出時間に対応するものであるかを、厳密な修正を行った極めて正確なデータとして取得することができる。
このため、連続的に測定された定性分析データの、どのような範囲について積分又は平均を行ったときに、フラクションの試験管内のサンプルに対応した定性分析データが得られるか、極めて正確に知ることができる。このため、試験管内サンプルの定性分析を再度行うことなく、試験管内サンプルの定性分析データを自動的に取得することができる。
観察者による指示は、特に限定されず、例えば、検出器による測定結果の特定の点を指定すれば、その時点での分析手段(D)による分析結果を画面に表示することができる。これによって、フラクション試験管の内容物に対する定性分析を行わなくても、この内容物についての分析データを得ることができるものである。
このような状態を図7に示した。図7においては、作業者が特定のフラクション73を指定すると、これによって指定された範囲の積分値又は平均値が定性分析データ74として表示される。74においては、75において表示されたBのスペクトルピークとそのBの派生イオンスペクトルピークであるB’、及びCの分子イオンスペクトルピークが表示されている。これによって、作業者は、フラクション試験管の定性分析を行わなくても、自動的に得られた定性分析データとしてフラクション試験管の分析結果を得ることができる。
本発明は、上述したような液中目印発生手段(X)を備える分取用液体カラムクロマトグラフ装置を利用して、分取用液体カラムクロマトグラフ装置における到達時間測定を測定する方法でもある。このような方法は、上述した通りのものであり、このような到達時間測定を分取用液体カラムクロマトグラフ装置において行ったうえで液体カラムクロマトグラフを行うことで、上述した効果を得ることができる。
本発明は更に上述した分取用液体カラムクロマトグラフ装置を使用したクロマトグラフィ方法であって、上述した方法によって、分取用液体カラムクロマトグラフ装置における到達時間を測定する工程(1)、
工程(1)によって測定された到達時間を利用して、分取手段(B)の切替スイッチの切替時間(i)、分析手段(D)の測定時間と測定結果との関係(ii)、及び、流出液の流速(iii)のうちの少なくとも1を補正する工程(2)
並びに
連続的に分析手段(D)によって定性分析を行いながらクロマトグラフィを行う工程(3)によってクロマトグラフィを行うものであり、
工程(2)による補正結果を反映させて工程(3)によって得られた定性分析結果を処理するものであることを特徴とするカラムクロマトグラフによる分取方法でもある。
このようなカラムクロマトグラフによる分取方法の各工程は、上述した通りのものである。よって、このような手法に従ってカラムクロマトグラフによる分取を行うことができる。また、上述した工程(1)(2)と工程(3)とは、いずれを先に行うものであってもよい。すなわち、工程(1)(2)による補正を行った後で、工程(3)を行ってもよいし、工程(3)を行った後で、工程(1)(2)による補正を行ってもよい。
このようなクロマトグラフ方法によって、試験管の内容物とスペクトルとの対比をより正確に行うことができ、実験作業を大幅に効率化することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
(試験方法)
本実験においては、図1,2に示した概要を有し、図9で示されるように液中目印発生手段(X)(気泡発生手段)をカラムと検出器(C)との間に設置した装置を使用した。さらに、切替スイッチ近傍に目盛を設け、容易に目視による数値の読み取りができるようにした。
実験開始時においては、サンプルが検出器(C)で検出されてから分取手段(B)の切替スイッチに到達するまでの到達時間は、配管中の体積と流量から算出した理論値とした。
この状態で、図9に示した六方弁を利用してループ中に空気を導入し、その後、空気を押し出すようにして、液中に気泡を形成させ、ポンプによる送液を行った。なお、この到達時間測定試験においては、溶媒のみを送液する。
そして、初期設定の切替時間が到達したときに、スイッチを切り替え同時にポンプを停止して送液を停止した。
そのときの、気泡位置を読み取ることで、ずれを測定した、その結果、TD=16秒と算出された。
この点を確認した上で、2種の化合物を混合したサンプルについて、分取液体クロマトグラフィによる分離操作を行った。この試験においては、純粋な化合物2を取得する必要があるとの前提に基づいて試験を行う。
このような分取に際して、TD=0、8、16,24,32秒と設定し、この時間で分取手段(B)の切替スイッチを切り替えて、化合物1の溶出開始から一定時間ごとにフラクションサンプルを取得した。そして、検出器による溶出曲線の解析によって、化合物2が高純度で取得されると判断された試験管(図の記載では試験管12)を取得し、この試験管12について、質量分析を行った。
その結果、TD=0、8として分取を行った場合、フラクション中に化合物1,2が混在した状態のサンプルが得られてしまった。一方、上述した手法で算出したTD=16秒に基づいて補正を行って分取を行った場合、検出器の測定結果から予想された試験管12中に目的とする化合物2のみが存在し、化合物1が存在しないサンプルが得られた。
一方、TD=24秒、32秒の場合、化合物2のみを含むサンプルが得られているが、TD=16の場合よりも化合物のピーク強度が弱い。このため、取得時間が遅すぎて、ピーク位置より後のサンプルを取得したことになると推測される。
以上の実験結果からみて、本発明の方法によって検出器(C)で検出されてから分取手段(B)の切替スイッチに到達するまでの到達時間を正確に測定することによって、試験管の内容物とスペクトルとの対比をより正確に行えたことが明らかである。
本発明の分取用液体クロマトグラフ装置によって、正確に溶液の分取を開始することができるとともに併せて定性分析を行うことができる。これにより、各フラクションと定性分析により得られたデータを正確に対応させることができ、各フラクション内に得られた組成物を正確に反映した定性分析データを得ることができるものである。
1カラム又は液中目印発生手段
2フラクションコレクタ
3検出器
4定性分析手段
5制御装置
11溶離液
12インジェクタ
13ポンプ
14液体センサ
15排水管
17液中目印発生手段
31六方弁
32シリンジ
33切替弁
41閾値
71クロマトグラムから選択した定性分析データ取得範囲
72クロマトグラム
73定性分析データ取得範囲に対応するフラクション
74表示手段に表示された定性分析データ
75、76クロマトグラム
77~81マススペクトル
82平均スペクトル

Claims (7)

  1. カラムからの溶出液が流出する流路を切り替えるための切替スイッチを備えた分取手段(B)、溶出液の検出器(C)及び溶出液の分析手段(D)を備えた分取用液体カラムクロマトグラフ装置において、
    サンプルが検出器(C)で検出されてから分取手段(B)の切替スイッチに到達するまでの到達時間を測定するための液中目印発生手段(X)を備え、
    分取手段(B)は、前記切替スイッチ近傍の配管において、前記液中目印発生手段(X)によって発生させた液中目印の位置を読み取るための読み取り手段(Z)を備える
    ことを特徴とする分取用液体カラムクロマトグラフ装置。
  2. 液中目印発生手段(X)は、溶出液に気泡を発生させるものである請求項記載の分取用液体カラムクロマトグラフ装置。
  3. 液中目印発生手段(X)は、カラム装着部に装着可能な形状を有しており、前記到達時間の測定を行う際は、カラム(A)を液中目印発生手段(X)に替えて測定を行うものである請求項1又は2記載の分取用液体カラムクロマトグラフ装置。
  4. 更に、分析結果を表示する表示手段(E)、表示手段(E)及びデータ保管手段(G)を制御する演算制御手段(F)及びデータを保管するデータ保管手段(G)を備え、
    データ保管手段(G)は、検出器(C)の連続的な測定結果、分析手段(D)の連続的な測定結果及び分取手段(B)の各フラクション取得時間を保管するものである請求項1,2又は3記載の分取用液体カラムクロマトグラフ装置。
  5. 表示手段(E)は、分析手段(D)の連続的な測定結果を分取手段(B)の各フラクション取得時間に応じて積分又は平均した結果を表示するものである請求項1,2,3又は4記載の分取用液体カラムクロマトグラフ装置。
  6. 請求項1,2,3、4又は5の分取用液体カラムクロマトグラフ装置において、
    前記液中目印発生手段(X)が溶出液流路中に存在するような状態とし、溶出液を流出させ、当初設定された切替時間に分取手段(B)の切替スイッチを切り替え、それと同時に送液ポンプを停止し、
    その時点での液中目印の配管中の位置を確認することによって、前記到達時間の誤差を測定することを特徴とする分取用液体カラムクロマトグラフ装置における到達時間測定方法。
  7. 請求項1,2,3,4又は5記載の分取用液体カラムクロマトグラフ装置を使用したクロマトグラフィ方法であって、
    請求項記載の方法によって、分取用液体カラムクロマトグラフ装置における到達時間を測定する工程(1)、
    工程(1)によって測定された到達時間を利用して、分取手段(B)の切替スイッチの切替時間(i)、分析手段(D)の測定時間と測定結果との関係(ii)、及び、流出液の流速(iii)のうちの少なくとも1を補正する工程(2)
    並びに
    連続的に分析手段(D)によって定性分析を行いながらクロマトグラフィを行う工程(3)によってクロマトグラフィを行うものであり、
    工程(2)による補正結果を反映させて工程(3)によって得られた定性分析結果を処理するものであることを特徴とするカラムクロマトグラフによる分取方法。
JP2018072902A 2018-04-05 2018-04-05 分取用液体カラムクロマトグラフ装置、分取用液体カラムクロマトグラフ装置における到達時間測定方法及びカラムクロマトグラフによる分取方法 Active JP7081797B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018072902A JP7081797B2 (ja) 2018-04-05 2018-04-05 分取用液体カラムクロマトグラフ装置、分取用液体カラムクロマトグラフ装置における到達時間測定方法及びカラムクロマトグラフによる分取方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018072902A JP7081797B2 (ja) 2018-04-05 2018-04-05 分取用液体カラムクロマトグラフ装置、分取用液体カラムクロマトグラフ装置における到達時間測定方法及びカラムクロマトグラフによる分取方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019184330A JP2019184330A (ja) 2019-10-24
JP7081797B2 true JP7081797B2 (ja) 2022-06-07

Family

ID=68340722

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018072902A Active JP7081797B2 (ja) 2018-04-05 2018-04-05 分取用液体カラムクロマトグラフ装置、分取用液体カラムクロマトグラフ装置における到達時間測定方法及びカラムクロマトグラフによる分取方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7081797B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021110548A (ja) * 2020-01-06 2021-08-02 山善株式会社 分析装置及び分析装置の使用方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20040216510A1 (en) 2003-05-01 2004-11-04 Anthony Gilby Fraction collector for composition analysis
WO2010021008A1 (ja) 2008-08-19 2010-02-25 株式会社島津製作所 分取液体クロマトグラフ装置
JP2014102164A (ja) 2012-11-20 2014-06-05 Tosoh Corp 流量計を備えた液体クロマトグラフ装置および前記装置における流量補正方法
JP2016003954A (ja) 2014-06-17 2016-01-12 山善株式会社 分取用液体クロマトグラフ装置
US20160131617A1 (en) 2014-11-06 2016-05-12 Waters Technologies Corporation Liquid flow rate measurement device

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6106710A (en) * 1999-09-10 2000-08-22 Agilent Technologies, Inc. Fraction collection delay calibration for liquid chromatography

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20040216510A1 (en) 2003-05-01 2004-11-04 Anthony Gilby Fraction collector for composition analysis
JP2006525509A (ja) 2003-05-01 2006-11-09 ウオーターズ・インベストメンツ・リミテツド 組成分析のためのフラクションコレクター
WO2010021008A1 (ja) 2008-08-19 2010-02-25 株式会社島津製作所 分取液体クロマトグラフ装置
US20110184658A1 (en) 2008-08-19 2011-07-28 Shimadzu Corporation Preparative Liquid Chromatograph System
JP2014102164A (ja) 2012-11-20 2014-06-05 Tosoh Corp 流量計を備えた液体クロマトグラフ装置および前記装置における流量補正方法
JP2016003954A (ja) 2014-06-17 2016-01-12 山善株式会社 分取用液体クロマトグラフ装置
US20160131617A1 (en) 2014-11-06 2016-05-12 Waters Technologies Corporation Liquid flow rate measurement device

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019184330A (ja) 2019-10-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Barwick Sources of uncertainty in gas chromatography and high-performance liquid chromatography
US8775098B2 (en) Preparative liquid chromatograph system
JP5665863B2 (ja) 質量分析計の機能を点検するテスト方法および装置ならびに質量分析でのイオン収量変動の補償する方法および装置
US8343258B2 (en) Apparatus and method for controlling constant mass flow to gas chromatography column
CN104736989A (zh) 真空紫外吸收光谱系统和方法
GB2536749B (en) Liquid flow rate measurement device
US4650499A (en) Gas chromatographic apparatus and method
JP4861107B2 (ja) クロマトグラフ装置および分析方法
CN102590414B (zh) 利用气相色谱仪分析气相丙烯中痕量砷烷和磷烷含量的方法
US20160018370A1 (en) Preparative separation chromatograph system
CN106872595B (zh) 基于圆二色光谱技术的手性分子含量的测定方法
CN105092754A (zh) 一种利用hplc测定磺酸酯类基因毒性杂质的方法
CN105021719A (zh) 具有减少校准气体的使用的在线气相色谱仪操作
CN106770790A (zh) 一种基于hs‑gc/ms技术分析卷烟滤嘴爆珠中溶剂残留的方法
CN106053616A (zh) 制备分离色谱仪
JP7081797B2 (ja) 分取用液体カラムクロマトグラフ装置、分取用液体カラムクロマトグラフ装置における到達時間測定方法及びカラムクロマトグラフによる分取方法
JP6392001B2 (ja) 分取用液体クロマトグラフ装置
EP0840116A1 (en) Calibration method for a chromatography column
US3661527A (en) Method and apparatus for volatility and vapor pressures measurement and for distillation analysis
US10416135B2 (en) Preparative liquid chromatographic apparatus
JP2008196963A (ja) 液体クロマトグラム装置
JP2011033556A (ja) 液体クロマトグラフ装置
RU2468363C1 (ru) Потоковый хроматограф
CN104807914A (zh) 同时测定固体保健食品中非法添加的多种化学药物的方法
CN116068093B (zh) 一种在线固相萃取-高效液相色谱联用的检测系统及检测方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20190531

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210115

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211207

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220203

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220328

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220510

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220519

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7081797

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150