以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
第1実施形態について説明する。図1に示される複数の車両100は、隊列走行を行うことのできる車両として構成されている。「隊列走行」とは、先頭車両に対し、1台又は複数台の車両を後方から自動的に追従させることにより、複数台の車両を、隊列を組んだ状態で走行させることである。本実施形態では、それぞれの車両100は電動車両として構成されているのであるが、内燃機関を有する車両として構成されていてもよい。
図1では、5台の車両100が隊列を組んで走行している状態が、上面視で模式的に示されている。図1では、それぞれの車両100に対し、先頭から順に符号101、102、103、104、105が付されている。以下の説明においては、符号101が付された先頭の車両100のことを、「車両101」と表記することがある。同様に、2番目以降の各車両100のことを、「車両102」や「車両103」等のように表記することがある。尚、隊列走行を行う車両100の台数は、5台よりも少なくてもよく、5台よりも多くてもよい。
図1に示される制御装置10は、隊列走行を行う複数の車両100のそれぞれを制御するための装置である。本実施形態における制御装置10は、不図示の建物の屋内に設置されている。つまり、隊列に含まれるそれぞれの車両100とは異なる位置に設置されている。制御装置10は、隊列に含まれる車両100のうちの1台と広域無線通信を行うことにより、車両101等による隊列走行を制御する。制御装置10によって行われる制御には、広域無線通信の対象となる車両100の切り換えや、隊列における車両101等の走行位置の切り換えなどが含まれる。制御装置10の構成や、制御装置10によって行われる制御の具体的な内容については後に説明する。
制御装置10と車両100との間の広域無線通信は、通信網20及び基地局40を介して行われる。通信網20は、全国に張り巡らされた有線の通信網であって、基地局40や後述の管理装置30と共に、通信会社が管理する設備である。この通信会社は、携帯電話等による広域の無線通信サービスを提供する会社である。
基地局40は、上記の広域無線通信を実現するためのアンテナ等を備えた設備である。基地局40は複数設けられており、それぞれが上記の通信網20に接続されている。それぞれの基地局40は、少なくとも車両100が走行する道路を、通信可能な範囲としてカバーするように、道路周辺の建物の屋上等に設置されている。
管理装置30は、上記の通信会社によって設置されたサーバーである。管理装置30は、通信網20を介して制御装置10に接続されている。また、管理装置30は、通信網20及び基地局40を介して、車両100との間で広域無線通信を行うことも可能となっている。管理装置30は、上記の広域無線通信サービスを提供するにあたり、車両100の外部通信装置170(図2を参照)にして割り当てられる識別情報の管理を行うためのサーバーである。管理装置30によって行われる処理の内容については後に説明する。
図1に示される車両センタ50は、制御装置10と同様に、不図示の建物の屋内に設置されたサーバー(つまり「外部サーバー」)である。車両センタ50は、通信網20を介して基地局40に接続されている。車両センタ50は、これらを介して車両100と広域無線通信を行うことにより、車両100との間で情報(後述の合流情報)の送受信を行うことができる。
尚、制御装置10が有する機能の一部又は全部を、車両センタ50が有しているような態様であってもよい。つまり、制御装置10が、車両センタ50の一部として構成されているような態様であってもよい。同様に、制御装置10又は車両センタ50が、管理装置30の一部として構成されているような態様であってもよい。
図2を参照しながら、車両100の構成について説明する。本実施形態では、隊列に含まれる全ての車両100の構成が互いに同一となっている。車両100は、車両制御装置150と、ナビゲーションシステム151と、周辺検知センサ152と、走行装置153と、報知装置154と、車々間通信装置160と、外部通信装置170と、を備えている。
車両制御装置150は、車両100の全体の動作を統括制御するための装置である。車両制御装置150は、CPU、ROM、RAM等を有するコンピュータシステムとして構成されている。車両100は、運転者の操作によることなく、制動や操舵などの運転操作を自動的に行うことのできる車両、すなわち自動運転を行うことのできる車両として構成されている。車両制御装置150は、車両100の全体の動作を統括制御することにより、主に自動運転を実現するために必要な処理を行うものである。
ナビゲーションシステム151は、GPSによって車両100の現在位置を取得し、これに基づいて目的地までの走行経路を取得するためのシステムである。車両制御装置150は、ナビゲーションシステム151によって取得された走行経路に沿って車両100が目的地まで走行するように、車両100に自動運転を行わせる。
尚、隊列に含まれる全ての車両100が同じ目的地まで隊列走行を行う場合には、そのうちの1台(例えば先頭の車両101)のみに、ナビゲーションシステム151が搭載されている態様であってもよい。
周辺検知センサ152は、車両100の周囲の状況を検知するためのセンサである。周辺検知センサ152は、例えば車載カメラやレーダーである。周辺検知センサ152によって、車両100が走行している車線の境界を検知したり、走路上に存在する障害物(例えば他の車両)の存在を検知したりすることができる。周辺検知センサ152によって検知された周囲の状況は、車両制御装置150に送信される。これにより、車両制御装置150は、車両100が車線の境界をはみ出てしまうことや、車両100が障害物に衝突してしまうことを防止することができる。また、周辺検知センサ152よれば、前方を走行する車両100との間の車間距離を検知することもできる。
走行装置153は、車両100を走行させるための装置である。走行装置153には、車両100の駆動力を生じさせるためのモーターや、車両100の制動を行うための電動ブレーキや、車両100の操舵を行うための電動操舵装置、が含まれる。車両制御装置150は、走行装置153に含まれる上記の各装置を制御することで、車両100による自動運転を実現する。
報知装置154は、車両100の走行状況(例えば、現在走行中の位置等)を、車両100の乗員に報知するための装置である。報知装置154は、例えばタッチパネル画面である。尚、車両100が貨物運搬用の車両として構成されており、車両100に乗車する乗員が存在しないような場合には、報知装置154は備えられていなくてもよい。
車々間通信装置160は、車両100が、隊列に含まれる他の車両100との間で無線通信を行うための装置である。隊列走行中におけるそれぞれの車両100は、車々間通信装置160によって互いに無線通信を行うことにより、周囲の道路状況を共有したり、制動等のタイミングを調節するための制御信号の送受信を行ったりしている。このような無線通信のことを、以下では「車々間通信」とも表記する。車々間通信は、例えば無線LANのように比較的狭い範囲で行われる無線通信である。
外部通信装置170は、上記の通信会社によって提供される広域無線通信サービスを利用して、外部(例えば管理装置30や制御装置10、管理センタ50等)との広域無線通信を行うための装置である。このような広域無線通信のことを、上記の車々間通信と区別するために、以下では「外部通信」とも表記する。
外部通信は、通信会社から付与された固有の識別情報に基づいて行われる。「識別情報」とは、通信会社との回線契約に基づいて予め付与されるものであって、携帯電話においてはSIMカードやeSIMに記録される情報である。複数台の車両100が同時に外部通信を行うためには、台数分の識別情報を通信会社から予め付与してもらい、それぞれの車両100の外部通信装置170に、個別の識別情報を予め割り当てておく必要がある。
本実施形態では、外部通信装置170は、隊列に含まれる全ての車両100に備えられている。このような態様に代えて、隊列に含まれる一部の車両100には外部通信装置170が備えられていない態様としてもよい。
本実施形態では、予め通信会社から付与される識別情報の数が、隊列に含まれる車両100の数よりも少なくなっている。このため、隊列において同時に外部通信を行い得る車両100の数は、隊列に含まれる車両100の数よりも常に少なくなっている。
このような構成においては、通信会社との間で行う回線契約の数(つまり、付与される識別情報の数)が、隊列に含まれる車両100の数よりも少なくなる。このため、全ての車両100に個別の識別情報を割り当てた場合に比べて、外部通信に伴う通信コストを抑制することができる。
図1に示される例では、隊列の先頭位置を走行する車両101の外部通信装置170にのみ識別情報が割り当てられており、他の車両102等の外部通信装置170には識別情報が割り当てられていない。このため、制御装置10や管理装置30との間で直接外部通信を行うことができるのは、識別情報が割り当てられた車両101のみとなっている。
外部通信装置170に識別情報が割り当てられていない車両102等は、制御装置10や管理装置30との外部通信を直接は行うことができない。しかしながら、車両102等は、外部通信可能な車両101との間で車々間通信を行うことにより、車両101を介して、制御装置10や管理装置30との通信を行うことができる。つまり、車両101が所謂「テザリング」を行うことにより、車両102等も、制御装置10や管理装置30との通信を行うことが可能となる。
制御装置10は、それぞれの外部通信装置170に対する識別情報の割り当てを管理する処理を行っている。後に説明するように、制御装置10は、特定の車両100の外部通信装置170に割り当てられていた識別情報を、他の車両100の外部通信装置170に割り当てなおす処理を行うことがある。
外部通信装置170に対する識別情報の割り当てについて、図3を参照しながら説明する。図3(A)の表は、左欄に示されるIDと、右欄に示される識別情報と、の対応関係を示している。「ID」とは、各車両100に搭載された外部通信装置170のそれぞれに対して、予め個別に設定された固有の番号である。本実施形態では、車両101に搭載された外部通信装置170にはIDとして「01」が設定されており、車両102に搭載された外部通信装置170にはIDとして「02」が設定されており、車両103に搭載された外部通信装置170にはIDとして「03」が設定されている。図3に示される対応関係は管理装置30において記憶されている。
管理装置30に記憶されている対応関係が図3(A)の例のようになっているときには、車両101に搭載された外部通信装置170(ID=01)に、識別情報として「AAAAA」が割り当てられている。一方、その他の車両102等に搭載された外部通信装置170には、識別情報が割り当てられていない。このため、図1に示される例と同様に、車両101のみが外部通信を行うことが可能となっている。
管理装置30に記憶されている対応関係が図3(A)の例から変化すると、それぞれの外部通信装置170に対する識別情報の割り当てが変化する。換言すれば、管理装置30は、記憶されている対応関係を変化させることで、それぞれの外部通信装置170に対する識別情報の割り当てを変更することが可能となっている。
図3(B)には、変更された対応関係の例が示されている。対応関係が図3(B)の例のようになっているときには、車両102に搭載された外部通信装置170(ID=02)に、識別情報として「AAAAA」が割り当てられている。一方、その他の車両101や車両103等に搭載された外部通信装置170には、識別情報が割り当てられていない。このため、車両102のみが外部通信を行うことが可能となっている。
管理装置30は、記憶されている対応関係を図3(A)から図3(B)へと変化させることにより、識別情報の割り当て先を車両101から車両102へと変更している。その結果、外部通信を行う車両100が、車両101から車両102へと変更されている。管理装置30によるこのような変更は、制御装置10(具体的には後述の割当部12)から送信される要求に応じて行われる。
尚、以上に説明した例においては、識別情報とIDとの対応関係、すなわち、識別情報と外部通信装置170との対応関係が管理装置30によって常に管理されており、この対応関係を変化させることで、識別情報の割り当て先が変更される。
このような態様に代えて、識別情報とIDとの対応関係が管理装置30によっては管理されない態様であってもよい。例えば、特定の外部通信装置170に対する「AAAAA」という識別情報の割り当てを、管理装置30を介することなく制御装置10が直接行うこととしてもよい。また、「AAAAA」という識別情報が、制御装置10からの制御信号に基づいて車両101から車両102へと直接受け渡され、これにより識別情報の割り当て先が変更されるような態様であってもよい。
識別情報の割り当て先を変更するために、制御装置10によって行われる処理の概要について、図4を参照しながら説明する。尚、図1に示されるように、制御装置10は機能的な制御ブロックとして、判定部11と割当部12とを備えている。判定部11及び割当部12のそれぞれの機能についても、以下において合わせて説明する。
図4(A)に示されるのは、図1の例と同様に、5台の車両100が隊列を組んで走行している状態である。このとき、外部通信装置170に識別情報が割り当てられているのは、隊列において最も前方側の位置(つまり先頭)を走行している車両101のみとなっている。その後方側の車両102等は、車々間通信によって必要な情報を車両101から入手しながら、車両101に追従し走行している。
図4(B)に示されるのは、隊列の走行中において信号SGが赤に変わったことに伴い、車両103、104、105の3台が停止している状態である。このとき、前方を走行していた車両101、102の2台は、信号SGが赤に変わる前に信号SGを通過していたので、車両103等が停止した後においても引き続き走行している。このため、図4(B)の状態においては、隊列が2つのグループに分かれてしまっている。
前方側のグループ(車両101、102)では、車両101の外部通信装置170に識別情報が割り当てられている。このため、当該グループでは車両101によって外部通信を行うことが可能となっている。一方、後方側のグループ(車両103、104、105)では、いずれの車両100の外部通信装置170にも識別情報が割り当てられていない。このため、当該グループでは外部通信を行うことができなくなっている。以下では、隊列の分離に伴って外部通信ができなくなるグループのことを「第1グループ」とも称する。また、隊列のうちもう一方のグループのことを「第2グループ」とも称する。第1グループは、図4(B)の例に示されるように複数台の車両100からなるグループであってもよいが、一台のみの車両100からなるグループであってもよい。第2グループについても同様である。
図4(B)の状態の後、第1グループと第2グループとの間の距離が、車々間通信を行い得る距離よりも大きくなってしまうと、両グループの間で通信を行うことができなくなる。その結果、第1グループと第2グループとが再び合流して元の隊列に戻ることが難しくなってしまう。
そこで、本実施形態に係る制御装置10は、第1グループが第2グループとの間の車々間通信を行えなくなる状況であると判定された場合に、第1グループに属する車両100の外部通信装置170に識別情報を割り当てて、当該車両100に外部通信を行わせる処理を行うように構成されている。
制御装置10が備える判定部11は、隊列において、1台又は複数台の車両100からなる第1グループが、それ以外の車両からなる第2グループとの間の車々間通信を行えなくなる状況であるか否かを判定する部分である。つまり、図4(B)のように、第1グループが、第2グループとの間の車々間通信を行えなくなる状況であるか否かは、判定部11によって判定される。
制御装置10が備える割当部12は、第1グループが第2グループとの間の車々間通信を行えなくなる状況であると(判定部11によって)判定された場合に、第1グループに属する車両100の外部通信装置170に識別情報を割り当てて、当該車両100に外部通信を行わせる部分である。
図4(B)の状況において、割当部12は、車両101の外部通信装置170に割り当てられていた識別情報を、車両103の外部通信装置170に割り当てる処理を行う。当該処理が行われると、車両101は外部通信を行うことができなくなる。それに先立ち、車両101の車両制御装置150は、車両101を含む第2グループの各車両100を路肩に停車させると共に、その停車位置を車両センタ50に送信する。図4(C)には、車両101、102が上記のように路肩に停車した状態が示されている。
車両センタ50に送信される情報は、上記のように第2グループの停車位置を示すものであるから、第1グループと第2グループとが再び合流するために必要な情報ということができる。このような情報のことを、以下では「合流情報」とも称する。車両101による合流情報の送信は、上記のような識別情報の割り当てが行われるよりも前、すなわち、車両101が外部通信を行えなくなるよりも前に行われる。車両センタ50に送信された合流情報は、車両センタ50によって一時的に保管される。
割当部12によって上記のような識別情報の割り当てが行われると、第1グループの車両103は外部通信を行うことができるようになる。車両103は、車両101から送信されていた合流情報を、外部通信によって車両センタ50から取得する。車両103の車両制御装置150は、合流情報に示される位置、すなわち第2グループが停車している位置まで、第1グループの各車両100を走行させる。
第1グループの各車両100が、第2グループの停車位置の近傍まで到達すると、第1グループと第2グループとを再び合流させる処理が行われる。図4(D)に示されるように、第2グループの車両101、102は、路肩から発進して再び走路上を走行し始める。第1グループの車両103、104、105は、第1グループに後方側から接近し、第1グループに後方側から追従する。
合流が完了した後は、割当部12は、車両103の外部通信装置170に割り当てられていた識別情報を、車両101の外部通信装置170に割り当てる処理を行う。これにより、先頭の車両101が再び外部通信を行うようになり、隊列は図4(A)の状態に戻ることとなる。尚、上記のような合流が行われた後、車両101とは異なる車両100が隊列の先頭となる場合には、当該車両100の外部通信装置170に識別情報が割り当てられる。合流後は車両103が隊列の先頭を走行する場合には、識別情報を割り当てなおす処理は不要である。
尚、図4(A)や図4(D)の状態において外部通信装置170に識別情報が割り当てられるのは、本実施形態では隊列の先頭の車両101となるように設定されている。このような態様に換えて、隊列の先頭以外の車両100(例えば先頭から2番目の車両102)の外部通信装置170に識別情報が割り当てられることとしてもよい。
また、図4(C)の状態において、第1グループのうち外部通信装置170に識別情報が割り当てられるのは、本実施形態では、第1グループの先頭の車両103となるように設定されている。このような態様に換えて、第1グループの先頭以外の車両100(例えば先頭から2番目の車両104)の外部通信装置170に識別情報が割り当てられることとしてもよい。
以上に説明したような制御を実現するために、制御装置10によって実行される処理の流れについて、図5を参照しながら説明する。図5に示される一連の処理は、所定の制御周期が経過する毎に、制御装置10によって繰り返し実行されるものである。
当該処理の最初のステップS01では、隊列に含まれる各車両100同士の車間距離を取得する処理が行われる。それぞれの車両100は、周辺検知センサ152によって、その前方にある車両100との間の車間距離を取得することが可能となっている。ステップS01では、各車両100から上記の車間距離が個別に取得される。尚、隊列の先頭を走行している車両100からは車間距離は取得されない。
ステップS01に続くステップS02では、隊列における車々間通信が正常に行われているか否かが判定される。当該判定は判定部11によって行われる。本実施形態では、一部の車両100において車々間通信に異常が生じると、その旨を示す情報が車両制御装置150から制御装置10へと送信されるように構成されている。隊列における車々間通信が正常に行われている場合にはステップS03に移行する。
ステップS03では、ステップS01で取得された車間距離のそれぞれが、所定距離よりも大きいか否かが判定される。当該判定は判定部11によって行われる。上記の「所定距離」は、車々間通信を安定して行い得るような車間距離の上限として、予め設定された閾値である。全ての車間距離がこの所定距離以下となっていた場合には、図5に示される一連の処理を終了する。
ステップS02において、車々間通信に異常が生じていると判定された場合には、ステップS04に移行する。また、ステップS03において、いずれかの車間距離が所定距離よりも大きくなった場合にも、ステップS04に移行する
ステップS02からステップS04に移行するのは、例えば、隊列の一部における車間距離が測定し得ないほどに大きくなったこと等により、現時点で既に車々間通信ができなくなっている状況である。また、ステップS03からステップS04に移行するのは、隊列の一部における車間距離が大きくなったことにより、その後において車々間通信ができなくなる可能性が高い状況である。
先に述べたように、判定部11は、1台又は複数台の車両100からなる第1グループが、それ以外の車両100からなる第2グループとの間の車々間通信を行えなくなる状況であるか否かを判定する処理を行う部分である。上記における「車々間通信を行えなくなる状況」とは、車々間通信が既にできなくなっている状況(ステップS02からステップS04へと移行する場合)、又は、今後、車々間通信ができなくなる可能性が高い状況(ステップS03からステップS04へと移行する場合)、のことである。本実施形態では、上記いずれの状況のときにも、「車々間通信を行えなくなる状況」であると判定される。
上記のような態様に換えて、判定部11が、隊列に含まれる車両100同士の間に何らかの障害物が介在する場合に、第1グループが第2グループとの間の車々間通信を行えなくなる状況であると判定することとしてもよい。上記の「障害物」としては、例えば隊列に含まれない他の車両や、他の車両から路上に落下した積載物等が挙げられる。このような障害物が車両100同士の間に介在すると、電波の透過率が低下し、車々間通信が阻害される恐れがあるからである。
また、上記のような態様に換えて、ステップS02の処理のみが行われ、ステップS03の処理の処理が行われないこととしてもよい。この場合、車々間通信が既にできなくなっている状況のときにのみステップS04へと移行することとなる。
また、ステップS03の処理のみが行われ、ステップS02の処理の処理が行われないこととしてもよい。この場合、今後、車々間通信ができなくなる可能性が高い状況のときにのみステップS04へと移行することとなる。
ステップS04に移行した場合には、隊列に含まれる複数の車両100は、外部通信を行うことのできなくなる第1グループ(図4(B)の例では車両103、104、105)と、外部通信を引き続き行うことのできる第2グループ(図4(B)の例では車両101、102)と、に分かれている。ステップS04では、第2グループの各車両100を、路肩等の安全な場所に停車させる処理が行われる。
ステップS04に続くステップS05では、第2グループに属する車両100のうち、外部通信が可能な車両100に、合流情報を送信させる処理が行われる。合流情報は、当該車両100の車両制御装置150から、外部通信によって車両センタ50へと送信され、車両センタ50において一時的に保管される。
ステップS05の処理は、ステップS04の処理が完了した後、つまり第2グループの各車両100が路肩等に停車した後に行われる。ただし、ステップS04の処理が完了するよりも前に停車位置が予測できる場合には、その時点でステップS05に移行し、停車前に合流情報の送信が行われることとしてもよい。
ステップS05に続くステップS06では、第2グループに属する車両100(図4の例では車両101)の外部通信装置170に割り当てられていた識別情報を、第1グループに属する車両100(図4の例では車両103)の外部通信装置170に割り当てる処理が行われる。当該処理は、制御装置10の割当部12によって行われる。当該処理が行われた後は、第2グループに属する車両100はいずれも外部通信を行うことができなくなる。しかしながら、これらの車両100は路肩に停止しているか、停止するための処理を行っているところであるから、外部通信が行えなくなっていても問題はない。一方、第1グループに属する車両100は、ステップS06の処理が行われた以降においては外部通信を行うことが可能となる。
ステップS06に続くステップS07では、第1グループに属する車両100に、外部通信によって車両センタ50から合流情報を取得させる処理が行われる。当該合流情報は、ステップS05において、第2グループに属する車両100から車両センタ50に送信され保管されていたものである。
ステップS07に続くステップS08では、第1グループを第2グループに合流させる処理が行われる。ここでは先ず、合流情報に含まれる停車位置に向かって、第1グループに属する各車両100を走行させる。具体的には、合流情報に含まれる停車位置が目的地となるように隊列の走行経路を設定し、当該走行経路に沿って、第1グループに属する各車両100を走行させる。その後、第1グループの各車両100が、第2グループの停車位置の近傍まで到達すると、それまで停車していた第2グループ発進させて、両グループを再び合流させる。
ステップS08に続くステップS09では、第1グループに属する車両100(図4の例では車両103)の外部通信装置170に割り当てられていた識別情報を、第2グループに属する車両100(図4の例では車両101)の外部通信装置170に割り当てる処理が行われる。当該処理は、制御装置10の割当部12によって行われる。これにより、先頭の車両101が再び外部通信を行うようになり、隊列は当初の状態に戻ることとなる。
以上に説明したように、本実施形態に係る制御装置10では、第1グループが第2グループとの間の車々間通信を行えなくなる状況であると、判定部11によって判定された場合には、割当部12が、第1グループに属する車両100の外部通信装置に識別情報を割り当てて、当該車両100に外部通信を行わせる処理を行う。これにより、隊列が分離された場合であっても、必要な外部通信を行い、各グループを再合流させることが可能となる。
本実施形態における判定部11は、隊列に含まれる車両100同士の車間距離が、一部において所定距離よりも大きくなった場合に、第1グループが第2グループとの間の車々間通信を行えなくなる状況であると判定する(図5のステップS03)。これにより、車々間通信を行えなくなる状況であるか否かの判定を正確に行うことができる。尚、上記の所定距離としては、車々間通信を「安定して」行い得るような車間距離の上限が設定されてもよいのであるが、他の距離が設定されてもよい。例えば、車々間通信が可能な車間距離の限界よりも大きな距離が、所定距離として設定されてもよい。
本実施形態における割当部12は、第2グループに属する車両100の外部通信装置170に割り当てられていた識別情報を、第1グループに属する車両100の外部通信装置170に割り当てる処理を行う(図5のステップS06)。これにより、通信会社から予め付与された識別情報の数が一つだけの場合であっても、当該識別情報を適切に使いまわすことで、分離後の再合流などを行うことが可能となる。
また、割当部12による識別情報の割り当てが行われるときには、第1グループと第2グループとが再び合流するために必要な情報である合流情報を、外部通信によって、第2グループに属する車両100から予め、外部サーバーである車両センタ50に送信させる処理が行われる。また、割当部12による識別情報の割り当てが行われた後は、合流情報を、外部通信によって、外部サーバーである車両センタ50から第1グループに属する車両100に取得させる処理が行われる。制御装置10によってこのような処理が行われる結果、第1グループと第2グループとの間で直接通信を行うことができない場合であっても、車両センタ50を介して合流情報を第1グループへと受け渡すことができ、第1グループの各車両100を適切な合流地点に向かって走行させることができる。
以上のような態様に換えて、割当部12による識別情報の割り当てが行われるときに、第1グループと第2グループとが再び合流するために必要な情報である合流情報を、車々間通信によって、第2グループに属する車両100から第1グループに属する車両100へと直接送信させることとしてもよい。例えば、図5のステップS03からステップS04へと移行した時点において、車々間通信が未だ途絶えていないような場合には、ステップS05における合流情報の送信を、第2グループに属する車両100から第1グループに属する車両へと、車々間通信によって直接行わせることができる。この場合、ステップS05における合流情報の送信と、ステップS07における合流情報の取得とが、同時に行われることとなる。この場合、ステップS06における識別情報の割り当ては、合流情報の送受信よりも前又は後に行われればよい。
上記のような車々間通信による合流情報の送受信は、車々間通信が可能となっている期間において、所定の周期が経過する毎に繰り返し行われることとしてもよい。
車々間通信による合流情報の送受信を行う前に、車々間通信を行うことができなくなっている場合には、上記のように車両センタ50を介して合流情報を送受信することとすればよい。これにより、車両センタ50の処理負荷や必要な情報記憶量を低減することが可能となる。
識別情報とIDとの対応関係が管理装置30によっては管理されない場合の例について、図6を参照しながら説明する。この例では、実際に外部通信を行っているか否かに拘らず、それぞれの外部通信装置170に予め識別情報が記憶されている。外部通信装置170による外部通信を行う際には、その外部通信装置170に記憶されている識別情報をアクティブなものとし、当該識別情報に基づいた外部通信を開始させる。従って、この例においては、上記のように記憶された識別情報をアクティブなものとすることが、識別情報を割り当てて外部通信を行わせることに該当する。識別情報をアクティブなものとする処理は、制御装置10からそれぞれの車両制御装置150に向けて送信される信号に基づいて、車両制御装置150によって実行される。尚、識別情報を「アクティブ」なものとするとは、当該識別情報に基づいた外部通信が禁止されている状態から、当該識別情報に基づいた外部通信を許容する状態へと切り換えることを意味する。
図6(A)に示される例では、先頭の走行位置を走行する車両101の外部通信装置170に、識別情報としてS1が記憶されている。また、2番目以降の走行位置を走行する4台の車両(102、103、104、105)のそれぞれの外部通信装置170には、共通の識別情報としてS2が記憶されている。このように、それぞれの外部通信装置170に識別情報を記憶させておく処理は、制御装置10によって予め行われている。尚、上記における「走行位置」とは、複数の車両100が隊列を組んで一列に並んで走行しているときにおいて、前から何番目を走行しているのかを示すものである。以下の説明においても同様の意味で「走行位置」の語を用いる。
図6(A)の例では、車両101の外部通信装置170に記憶された識別情報であるS1のみがアクティブとなっており、これに基づいて車両101のみが外部通信を行っている。その他の車両102等の外部通信装置170に記憶された識別情報であるS2は、いずれもアクティブにはなっていない。尚、図6(A)においてS2が括弧書きで示されているのは、S2がアクティブにはなっていないことを示している。後述の図6(B)や図6(C)でも同様である。
図6(A)の状態から、外部通信を行う車両100を切り換える際には、制御装置10は、車両101による外部通信を停止させて(つまり、S1をアクティブではない状態にして)、他の車両102等のうちいずれかの外部通信装置170に記憶された識別情報(S2)をアクティブにする。
このように、上記の例における制御装置10は、外部通信装置170を備えた車両100のうち、外部通信を行っていないそれぞれの車両(102、103、104、105)の外部通信装置170に対し、共通の識別情報を記憶させておく予め処理を行っている。このような態様であれば、識別情報とIDとの対応関係が管理装置30によって管理されない状況であっても、識別情報の割り当てを制御装置10によって変更することができる。
図6(B)に示される例では、先頭の走行位置を走行する車両101の外部通信装置170に、識別情報としてS1が記憶されている。また、先頭から4番目の走行位置を走行する車両104の外部通信装置170に、識別情報としてS2が記憶されている。
先頭から2番目の走行位置を走行する車両102の外部通信装置170、及び、先頭から3番目の走行位置を走行する車両103の外部通信装置170には、共通の識別情報としてS3が記憶されている。最も後方の走行位置を走行する車両105の外部通信装置170には、識別情報としてS4が記憶されている。
図6(B)の例では、車両101の外部通信装置170に記憶された識別情報であるS1と、車両104の外部通信装置170に記憶された識別情報であるS2と、がアクティブとなっている。このため、車両101及び車両104のそれぞれが外部通信を行っている。その他の識別情報であるS3、S4は、いずれもアクティブとはなっていない。
図6(B)の状態から、外部通信を行う車両100を切り換える際には、制御装置10は、車両101又は車両102による外部通信を停止させて(つまり、S1又はS2をアクティブではない状態にして)、車両102又は車両103等のうちいずれかの外部通信装置170に記憶された識別情報(S3)をアクティブにする。尚、車両105の外部通信装置170に記憶された識別情報であるS4は、上記の後において更に識別情報の切り換えが必要となった際にアクティブにされるものであり、予備として記憶されているものである。
図6(C)には、互いに独立に走行する2つの隊列(隊列1及び隊列2)が示されている。隊列1には、これまでの例と同様に、5台の車両100(101、102、103、104、105)が含まれている。各車両100の外部通信装置170には、識別情報として、先頭から順にS1、S3、S4、S5、S6がそれぞれ記憶されている。これら識別情報の中ではS1のみがアクティブとなっており、S3、S4、S5、S6はいずれもアクティブとはなっていない。このため、隊列1に含まれる車両100の中では、車両101のみがS1に基づいて外部通信を行っており、他の車両100は外部通信を行っていない。
隊列2には、5台の車両100(111、112、113、114、115)が含まれている。各車両100の外部通信装置170には、識別情報として、先頭から順にS2、S3、S4、S5、S6がそれぞれ記憶されている。これら識別情報の中ではS2のみがアクティブとなっており、S3、S4、S5、S6はいずれもアクティブとはなっていない。このため、隊列2に含まれる車両100の中では、車両121のみがS2に基づいて外部通信を行っており、他の車両100は外部通信を行っていない。
隊列1において、外部通信を行う車両100を切り換える際には、制御装置10は、車両101による外部通信を停止させて(つまり、S1をアクティブではない状態にして)、他の車両102等のうちいずれかの外部通信装置170に記憶された識別情報(S3等)をアクティブにする。
同様に、隊列2において、外部通信を行う車両100を切り換える際には、制御装置10は、車両111による外部通信を停止させて(つまり、S2をアクティブではない状態にして)、他の車両112等のうちいずれかの外部通信装置170に記憶された識別情報(S3等)をアクティブにする。
図6(C)の例では、アクティブになっていない識別情報(例えばS3)が、隊列1と隊列2との間で共有されている。このため、それぞれの隊列において上記のように識別情報の割り当てが切り換えられる際には、同じ識別情報が、隊列1及び隊列2の両方で同時にアクティブとはならないように留意する必要がある。同一の識別情報が同時にアクティブとされることを防止するためには、各隊列の制御装置10が、識別情報(S3等)が他の隊列においてアクティブとされているか否かを、管理装置30に対して予め問い合わせることとすればよい。又は、上記の問い合わせを、車々間通信により他の車両100に対して行うこととしてもよい。
隊列の分離は、上記のように隊列に含まれる車両100の一部が信号SGで停止することによって生じるのであるが、他の原因で生じることもある。例えば、隊列に含まれる一部の車両100の目的地が、他の車両100の目的地とは異なる場合には、走行中において意図的に2つのグループに分かれることとなる。この場合、判定部11による判定は、車間距離に基づくのではなく、2つのグループに分離する分岐点に近づいたか否かに基づいて行われることとすればよい。
このように、分離後の再合流が予定されていないような場合には、分離後のそれぞれのグループが外部通信を行うことができるように、割当部12による識別情報の割り当てが行われることとすればよい。
例えば、図6(B)の状態から、車両103、104、105からなる第1グループと、車両101、102からなる第2グループに分かれる場合には、割当部12は、車両101の外部通信装置170に割り当てられた識別情報S1がアクティブな状態を維持しながら、車両103の外部通信装置170に割り当てられた識別情報S2をアクティブにすればよい。これにより、第1グループに属する車両100が、分離後において外部通信を行えなくなってしまうような事態を防止することができる。
また、図6(B)の状態から、車両103、104、105からなるグループと、車両101、102からなるグループに分かれる場合には、車両104に割り当てられている識別情報S2をアクティブではない状態とし、車両103に割り当てられている識別情報をアクティブにする処理が行われてもよい。これにより、分離後に先頭となる車両101及び車両103のそれぞれに、外部通信を行わせることが可能となる。
識別情報をアクティブにする方法としては、例えば識別情報を、車々間通信を介して他の車両100から取得して、これを外部通信装置170に記憶してもよい。予め識別情報を外部通信装置170に記憶させておき、外部通信装置170の通信機能をOFFからONに切り替えることにより、識別情報をアクティブにしてもよい。識別情報は管理装置30や制御装置10に予め保管しておき、それを取得することとしてもよい。識別情報を取得する際、これを購入することとしてもよい。
第2実施形態について、図7を参照しながら説明する。本実施形態では、制御装置10が建物の屋内に設置されているのではなく、隊列に含まれる複数の車両100のうちの1台に設置されている。図7に示される例では、隊列の先頭を走行する車両101に制御装置10が搭載されている。このような態様に換えて、隊列の先頭以外を走行する車両102等のいずれかに、制御装置10が搭載されている態様としてもよい。
制御装置10は、車々間通信によってそれぞれの車両100の車両制御装置150と通信を行うと共に、外部通信によって管理装置30とも通信を行う。制御装置10によって行われる具体的な処理は、第1実施形態において説明した処理と同様である。このような態様でも、第1実施形態や第2実施形態において説明したものと同様の効果を奏する。
第3実施形態について説明する。図8に示されるように、本実施形態では、隊列に含まれる車両100の台数分だけ制御装置10が用意されており、これらが、隊列に含まれるそれぞれの車両100に設置されている。図8においては、車両101に設置された制御装置10が制御装置10Aとして示されている。同様に、車両102に設置された制御装置10が制御装置10Bとして示されており、車両103に設置された制御装置10が制御装置10Cとして示されており、車両104に設置された制御装置10が制御装置10Dとして示されており、車両105に設置された制御装置10が制御装置10Eとして示されている。
本実施形態では、以上のような5つの制御装置10が、必要に応じて互いに必要な情報を車々間通信で共有しながらも、各車両100において個別に処理を行うように構成されている。制御装置10は、第1実施形態で説明したものと同様の処理を行うことができる。
本実施形態の制御装置10によって実行される処理の具体的な例について、図9を参照しながら説明する。図9に示される一連の処理は、所定の制御周期が経過する毎に、それぞれの制御装置10によって繰り返し実行されるものである。
当該処理の最初のステップS11では、自車両の前後の車間距離を取得する処理が行われる。ここでいう「自車両」とは、図9の処理を行っている制御装置10が搭載された車両100のことである。つまり、制御装置10から見て、自らが搭載された車両100のことである。以下の説明においても、上記と同じ意味で「自車両」の語を用いる。尚、上記における「自車両の前後の車間距離」には、隊列以外の周囲の車両との間の車間距離は含まれない。
ステップS11に続くステップS12では、自車両による車々間通信が正常に行われているか否かが判定される。当該判定は判定部11によって行われる。車々間通信が正常に行われている場合にはステップS13に移行する。
ステップS13では、ステップS11で取得された車間距離が、所定距離よりも大きいか否かが判定される。当該判定は判定部11によって行われる。上記の「所定距離」は、車々間通信を安定して行い得るような車間距離の上限として、予め設定された閾値である。自車両の前後の車間距離がこの所定距離以下となっていた場合には、図9に示される一連の処理を終了する。
ステップS12において、車々間通信に異常が生じていると判定された場合には、ステップS14に移行する。また、ステップS13において、前後いずれかの車間距離が所定距離よりも大きくなった場合にも、ステップS14に移行する。
ステップS12からステップS14に移行するのは、例えば、自車両の前後の車間距離が測定し得ないほどに大きくなったこと等により、現時点で既に車々間通信ができなくなっている状況である。また、ステップS13からステップS14に移行するのは、自車両の前後の車間距離が大きくなったことにより、その後において車々間通信ができなくなる可能性が高い状況である。
上記のような態様に換えて、ステップS12の処理のみが行われ、ステップS13の処理の処理が行われないこととしてもよい。この場合、車々間通信が既にできなくなっている状況のときにのみステップS14へと移行することとなる。
また、ステップS13の処理のみが行われ、ステップS12の処理の処理が行われないこととしてもよい。この場合、今後、車々間通信ができなくなる可能性が高い状況のときにのみステップS14へと移行することとなる。
ステップS14に移行した場合には、隊列に含まれる複数の車両100は、外部通信を行うことのできなくなる第1グループと、外部通信を引き続き行うことのできる第2グループと、に分かれている。ただし、この時点では、自車両がいずれのグループに属するのかは不明である。
ステップS14では、自車両による外部通信が正常に行えているか否かが判定される。ここでいう「外部通信」は、自車両に搭載された外部通信装置170によるものに限られず、同じグループに属する他の車両100に搭載された外部通信装置170によるもの(つまりテザリングによるもの)であってもよい。自車両による外部通信が正常に行えている場合には、ステップS15に移行する。ステップS15に移行した場合には、自車両は第2グループに属しているということになる。
ステップS15では、自車両の外部通信装置170に識別情報が割り当てられているか否かが判定される。換言すれば、第2グループの外部通信が、自車両の外部通信装置170によって行われているか否かが判定される。自車両の外部通信装置170に識別情報が割り当てられておらず、第2グループの外部通信が他の車両100を介して行われている場合には、図9に示される一連の処理を終了する。自車両の外部通信装置170に識別情報が割り当てられている場合にはステップS16に移行する。
ステップS16では、自車両と共に、同じ第2グループに属している他の全ての車両100を路肩等に停車させる処理が行われる。当該処理は、自車両の車両制御装置150を介して行われる。このとき、自車両が第2グループの先頭以外の位置を走行している場合には、先頭を走行している車両100の車両制御装置150に当該処理を行わせることとしてもよい。
ステップS16に続くステップS17では、第2グループの停車予定位置を示す情報である合流情報を、自車両から車両センタ50に送信する処理が行われる。第1実施形態の場合と同様に、当該処理は、第2グループの各車両100が路肩等に停車した後に行われるのであるが、停車が完了するよりも前の時点で行われることとしてもよい。
ステップS17に続くステップS18では、自車両の外部通信装置170に割り当てられている識別情報を、他の車両100の外部通信装置170に譲渡する処理が行われる。当該処理は、自車両の外部通信装置170に割り当てられている識別情報を、第1グループを走行する特定の車両100(例えば先頭を走行している車両100)に割り当てなおすよう、管理装置30に要求を送信する処理である。この要求に管理装置30が応えて、図3を参照しながら説明した対応関係を変更すれば、以降は自車両による外部通信、すなわち第2グループによる外部通信はできなくなる。
その後、停車中の第2グループに第1グループが接近し、両グループ間の車々間通信ができるようになると、ステップS19に移行する。ステップS19では、第2グループに属している他の全ての車両100を路肩等から発進させ、両グループを再び合流させる処理が行われる。ステップS16の場合と同様に、当該処理は、自車両の車両制御装置150を介して行われる。このとき、自車両が第2グループの先頭以外の位置を走行している場合には、先頭を走行している車両100の車両制御装置150に当該処理を行わせることとしてもよい。
ステップS19に続くステップS20では、自車両の外部通信装置170に識別情報を割り当てなおすよう、管理装置30に要求を送信する処理が行われる。この要求に管理装置30が応えて、図3を参照しながら説明した対応関係を再び変更すれば、隊列が分離する前と同様に、自車両の外部通信装置170による外部通信を行えるようになる。尚、合流後において、自車両が隊列の先頭以外の位置を走行している場合には、ステップS20の処理は行わないこととしてもよい。
尚、この例では、隊列の先頭を走行する車両100が外部通信を行うこととしているが、外部通信を行う車両100の位置は先頭以外の所定位置であってもよい。この場合、ステップS20の処理は、合流後において自車両が上記所定位置を走行している場合にのみ行われることとなる。
ステップS14において、自車両による外部通信が正常に行えていない場合には、ステップS21に移行する。ステップS21に移行した場合には、自車両は第1グループに属しているということになる。
ステップS21では、自車両が、第1グループにおける特定位置を走行しているか否かが判定される。ここでいる「特定位置」とは、上記の所定位置と同様に、外部通信を担当する車両100の走行位置として予め設定されている走行位置である。本実施形態では、特定位置としてグループの先頭位置が設定されているのであるが、それ以外の位置が特定位置として設定されていてもよい。自車両が特定位置以外の走行位置を走行している場合には、図9に示される一連の処理を終了する。自車両が特定位置を走行している場合にはステップS22に移行する。
ステップS22では、自車両の外部通信装置170に識別情報を割り当てる処理が行われる。当該処理は、制御装置10が能動的に行うものではなく、ステップS18における要求に管理装置30が応えて、ステップ図3の対応関係を変更する結果として行われるものである。ステップS18の処理が行われた後は、以降は自車両による外部通信、すなわち第1グループによる外部通信を行えるようになる。
ステップS22に続くステップS23では、合流情報を、外部通信によって、外部サーバーである車両センタ50から自車両(つまり第1グループに属する車両100)に取得させる処理が行われる。これにより、自車両の車両制御装置150に、第2グループが停車している位置を把握させることができる。
以降は、第1グループの各車両100を第2グループの停車位置に向けて走行させる処理が行われる。停車中の第2グループに第1グループが接近した後は、両グループを再び合流させる処理が行われる。ステップS16の場合と同様に、これらの処理は、自車両の車両制御装置150を介して行われる。このとき、自車両が第1グループの先頭以外の位置を走行している場合には、先頭を走行している車両100の車両制御装置150に当該処理を行わせることとしてもよい。
ステップS24に続くステップS25では、自車両の外部通信装置170に割り当てられている識別情報を、他の車両100の外部通信装置170に譲渡する処理が行われる。当該処理は、自車両の外部通信装置170に割り当てられている識別情報を、隊列に含まれる特定位置の車両100(例えば先頭を走行している車両100)に割り当てなおすよう、管理装置30に要求を送信する処理である。この要求に管理装置30が応えて、図3を参照しながら説明した対応関係を変更すれば、隊列が分離する前と同様に、自車両の外部通信装置170による外部通信を行えるようになる。合流後、自車両が隊列の特定位置を走行しているような場合には、ステップS25の処理は行われなくてもよい。
以上の例では、隊列の先頭を走行する車両100が外部通信を行うこととしている。このため、自車両が第2グループの先頭の場合、ステップS20で合流後に再度先頭になるという前提で、識別情報の要求を行うこととしている。このような態様に換えて、合流後は第1グループの方が先頭になるように合流することとしてもよい。その場合、識別情報を要求するステップS20の処理は行われなくてもよい。同様の理由で、自車両が第1グループ先頭を走行しており、合流後は第1グループの方が先頭となる場合には、識別情報を譲渡するステップS25の処理は行われなくてもよい。
図10には、車両100、管理装置30、及び車両センタ50のそれぞれによって実行される処理の流れが示されている。同図の最も左側に示されているのは、それまで外部通信を行っていた車両100、即ち、第2グループの車両100に設置された制御装置10によって実行される処理の流れである。同図の左から2番目に示されているのは、管理装置30によって実行される処理の流れである。同図の左から3番目に示されているのは、車両センタ50によって実行される処理の流れである。同図の最も右側に示されているのは、それまで外部通信を行っていなかった車両100、即ち第1グループの車両100に設置された制御装置10によって実行される処理の流れである。図10に示されるのは、図9のステップS14の後に行われる処理の一部である。図9の処理と同一の処理には、図10においても同一の符号(S16等)が付されている。
ステップS17において、第2グループの車両100から合流情報が送信されると、車両センタ50は、ステップS41においてこれを受信する。車両センタ50は、自らが備える不図示の記憶装置に、受信した合流情報を一時的に保管する。
ステップS18において、第2グループの車両100から識別情報の譲渡を要求する処理が行われると、管理装置30は、これに応えて図3の対応関係を変更する処理を行う(ステップS31)。具体的には、第2グループの車両100の外部通信装置170に割り当てられていた識別情報が、第1グループの車両100の外部通信装置170に割り当てられるように、図3の対応関係を変更する処理を行う。
割当先の車両100が不明な場合には、第2グループの任意の車両100の外部通信装置170に識別情報を割り当てた後、必要に応じて第2グループの他の車両100(例えば、その後の外部通信によって判明した先頭車両)の外部通信装置170に識別情報を割り当てなおすこととすればよい。
ステップS31の処理により、第2グループが外部通信を行えるようになると、車両センタ50は、第2グループの車両100からの要求に応じて、保管していた合流情報を当該車両100に送信する(ステップS42)。
その後、第2グループの車両100に搭載された制御装置10は、ステップS23において当該合流情報を受信し、合流情報に基づいて第1グループに合流するための処理を行う。
このように、制御装置10が隊列の各車両100に搭載されているような態様であっても、第1実施形態と同様の処理を行い、第1実施形態で説明したものと同様の効果を奏することができる。
本実施形態でも、割当部12による識別情報の割り当てが行われるときに、第1グループと第2グループとが再び合流するために必要な情報である合流情報を、車々間通信によって、第2グループに属する車両100から第1グループに属する車両100へと直接送信させることとしてもよい。例えば、図9のステップS13からステップS14へと移行した時点において、車々間通信が未だ途絶えていないような場合には、ステップS17における合流情報の送信を、第2グループに属する車両100から第1グループに属する車両へと、車々間通信によって直接行わせることができる。この場合、ステップS17における合流情報の送信と、ステップS23における合流情報の取得とが、同時に行われることとなる。この場合、ステップS18やステップS22における識別情報の割り当ては、合流情報の送受信よりも前又は後に行われればよい。
上記のような車々間通信による合流情報の送受信は、車々間通信が可能となっている期間において、所定の周期が経過する毎に繰り返し行われることとしてもよい。
車々間通信による合流情報の送受信を行う前に、車々間通信を行うことができなくなっている場合には、上記のように車両センタ50を介して合流情報を送受信することとすればよい。これにより、車両センタ50の処理負荷や必要な情報記憶量を低減することが可能となる。
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。