JP7079302B2 - 食用ガエルの餌を養殖するための飼育水の循環システム - Google Patents

食用ガエルの餌を養殖するための飼育水の循環システム Download PDF

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Description

本発明は、食用ガエルの餌を養殖するための飼育水の循環システムに関し、特に、食用ガエルを人工養殖する際に、食用ガエルの餌の給餌方法及びその製造方法と飼育水の細菌の除菌やウイルス対策することにより両生類に感染する病原菌を除菌する飼育水の生成方法と養殖施設のシステムを図った食用ガエルの餌を養殖するための飼育水の循環システムに関する。
わが国で養殖されている主な魚は、マグロ、ブリ、マダイ、サケ、ウナギ、アナゴ等の肉食性が強い魚である。肉食性が強い魚に適する養魚用の配合飼料には、主要栄養素としてタンパク質を多く含む魚粉が平均して55%配合されている。
この魚粉は、水揚げされた魚を大きな釜で煮熟したあとに圧搾機で脂と水を分離し、乾燥して出来たものである。フィッシュミールとも呼ばれる。水分を10%以下に乾燥したものが常温で流通されている。
各原料の栄養価や消化性に問題がなければ、肉食系養魚は飼料成分として、タンパク質50%前後、脂質10~15%及び糖質10%前後を要求する。ブタ、ウシ及びニワトリのタンパク質要求量は、飼料の24~10%の範囲にあることから、肉食系養魚のそれはかなり高いことになる。
成長段階によってタンパク質要求量は変化し、稚魚、若魚そして成魚に成長する間に、50%~45%程度に減少する。この高いタンパク質要求性が、飼料原料の利用を大きく制限している。
肉食系養魚は多不飽和脂肪酸を必要とする。なかでも、海産魚類は高度不飽和脂肪酸のドコサヘキサエン酸(DHA)やイコサペンタエン酸(EPA)を必須栄養素とする。魚油にはDHA・EPAが多く含まれている。
養殖用の配合飼料の主原料である魚粉は大半を輸入に頼っているが、魚粉は魚類養殖だけでなく養豚・養鶏用等の畜産飼料としても利用されており、魚類養殖や畜産業が世界的に盛んになっている中、魚粉の需要は世界的に増大し、価格も上昇を続けている。
近年の魚粉輸入価格の動向をみると、平成16(2004)年に平均76円/kgであったものが平成25(2013)年には154円/kgと約2倍になり、過去最高の水準に達している。
このため、国では平成22(2010)年度から漁業者と国が一定の割合であらかじめ積立てを行い、配合飼料価格が一定以上上昇した際にその積立金から補填金を交付する「漁業経営セーフティーネット構築事業」を実施している。
平成26(2014)年3月末で加入率は64%、加人件数は749件となっており、配合飼料価格が高騰した平成25(2013)年に購入した配合飼料1トン当たり4~6月期3,550円、7~9月期11,610円、10~12月期11,560円をそれぞれ補填している。
また、本事業では養殖業者の負担に対応した補填となるよう補填基準を見直すなど情勢に応じた柔軟な対応をとっている。
魚粉は需要の増大だけでなく、資源変動の大きいカタクチイワシ等の多獲性浮魚類を原料としているため資源変動による生産量の増減が激しく、価格の動向を一層不安定なものとしている。一方で、養殖大国となった中国が南米から200万トン近くの魚粉(フィッシュミール)を輸入するようになり、世界的な魚粉魚油の需給バランスが大きく変わってきている。
魚粉の原料となるカタクチイワシ等が乱獲されて水産資源が減少し、生物多様性が損なわれてしまう環境問題や、魚粉を用いて養殖魚を成長させる過程でヒトが摂取可能な動物性タンパク質が10分の1程度に減少してしまう食糧問題も生じているといえる。
増え続ける世界人口に対して、限られた耕地面積での農業生産の拡大は限界が見られ、健康食品としての魚が大きく注目され魚食の増大が世界的に進みつつある。
このように、明日の食料を支える貴重なタンパク質生産として養殖産業への急速な展開が魚粉魚油の奪い合いと言う事態を招いていることも事実である。
ちなみに、魚粉類の需給動向について言うと、世界全体での魚粉類の供給(生産)量は、エルニーニョ現象の影響等、年ごとの変動を伴いながらも、基本的には原料魚の資源量減少を反映して2000年の699万トンから2007年の562万トンへと減少傾向にある。一方、需要面では、養殖漁業で拡大している。
国際連合食糧農業機関(FAO)によると、世界の魚介類需要量は2013~2015年平均1.5億トンで、2025年には1.8億トン近くに達する見込みである。このうち天然の魚介類は年9,000万トン程度で一定に推移するため拡大は見込めず、今後の魚介類需要を満たせるかは水産養殖にかかっている。
また、世界第1位の魚粉生産量を誇るペルーでは資源保護と価格安定を目的に漁獲調整をしており、魚粉の増産は期待できない。
養魚飼料原料は、カタクチイワシなどの魚を乾燥して粉砕した魚粉が使われてきたが、魚粉の供給不足が懸念されており、2025年に120万~160万トンの魚粉代替飼料原料が必要といわれている。
このような環境問題や食糧問題に即した持続可能な養殖を実現させるためには、飼料代を低減させるためにも、養魚用の配合飼料の原料として、飼料の配合設計として魚粉に代わる原料が求められる。
そこで、本発明者は、特許文献1に開示されるような、食用ガエル粉(ブルフロッグミール)、食用ガエルの卵の卵細胞及び/又は食用ガエル油(ブルフロッグオイル)を主体とした配合飼料の原料、その製造方法、その原料を用いて製造される配合飼料を提案している。
この特許文献1によれば、魚粉の材料となる、メロードやサバや片口イワシよりも多くの良質のタンパク質に優れている配合飼料の原料、その製造方法、その原料を用いて製造される配合飼料を提供することができる。
ところで、ここで用いられる食用ガエルの中でも代表的なウシガエルは、環境の変化に強く、かなりの繁殖力がある。その為、人工的な養殖も比較的簡単に行うことができる。日本でもわずか24匹のウシガエルが、大正7年(1918年)から昭和5年(1930年)までの12年間で約52万匹に増えた事実があり、驚異の繁殖力である。
当時、生きた魚や昆虫を食す蛙に与える餌料の確保は養殖上最も難題であった。2個の夜間電灯で昆虫をおびき寄せ、蛙に補食させた。虫が少ないときは雑魚を投与した。
その後、水産試験場で死んだ魚や蚕さなぎを餌とする方法が考案されると、飼育を希望する農家が多く現れた。
各地に副業養蛙組合(ようあくみあい)が誕生し、子蛙の生産・購入・飼養委託・販売が行われた。気になる利益は、成蛙252貫(3150匹)で630円、ここからオタマジャクシの仕入代、餌料代を差し引いて、352円余の利益があるとされた。これは、昭和5年(1930年)のことであり、これを当時の米の生産額から換算すると、食用蛙36匹と米1俵の売上げ代金がほぼ同じこととなる。
また、蛙料理の宣伝も養蛙組合の大切な業務の一つであった。この時期各地で試食会が開かれている。当時はまだスッポン料理のような嗜好料理の性格が強かったため、大衆料理として定着を図るため、三重県の旧多度村はじめ三重県内7カ所の料理屋に格安で蛙を卸すことが始められた。
しかし、蛙食の習慣は魚介類や鶏肉に事欠かなかった日本では、政府の思惑と裏腹に伸びなかったのと、養殖管理が不完全だったせいもあって蛙の逃亡が後を断たず、養殖から身を引く業者が多かった。
大正から昭和の初めにかけては農家の副業として養殖が奨励され、肉モモの缶詰が米国本土やハワイへ輸出された。しかし、第二次世界大戦が始まると輸出停止となった。
戦後、食用目的で北米からウシガエルを輸入しており、休耕田を利用した養殖が盛んに行われていた。そして、輸出商品としても再開される。
昭和24年~26年(1949年~1951年)には、冷凍マグロに次いで3番目に多い輸出量となり注目を浴びた。当時、年間3億円近くの外資を稼ぐ貴重な輸出品となった。
しかし、昭和44年に米国でウシガエルの肉モモの中に農薬であるBHCが残留していることが問題となり、このことが社会問題となり輸出は廃止となった。
食用ガエルの養殖においては、昭和13年(1938年)7月の大雨で、鎌倉の養蛙場のウシガエルの多くが逃亡した。この養蛙場のすぐ横には、砂押川と言う川が流れているので、その川を経て、日本各地へ散って行ったと言われている。
また、養蛙場はここだけでなく、しかも、その大雨の時に逃げ出したのはウシガエルだけではなく、昭和5年(1930年)頃、エサとしてアメリカザリガニが持ち込まれており、そのアメリカザリガニも昭和13年(1938年)の大雨で逃げ出し、管理体制が不十分であった。
このような養殖管理体制の杜撰さが要因にもなり、現在、日本では、ウシガエルは自然界において他のカエル類等の生態系に影響を与えるものとして外来生物法により特定外来生物に指定されている。
そして、その養殖等(飼養・保管・運搬等)については、環境大臣の許可を受けた場合等を除き禁止されている。
特願2017-225197
しかしながら、このような食用ガエルの養殖の現場においては、以下のような問題があった。
1.安全性における問題
食用ガエルを養殖する場合、特に、アフリカツメガエル及びアメリカウシガエルの人工養殖には、カエルツボカビ症やラナウィルス症に注意する必要がある。
カエルツボカビ症は、アフリカツメガエルが宿主であり無症状である。アフリカ起源のカエルの病気で、輸入したカエルから日本に入ってきた。両生類の新興感染症で、ツボカビ門に属する。ツボカビ類は土壌や淡水中に生息し、両生類の皮膚に寄生するカビで、感染すると死に至る。世界規模で両生類減少の原因となっている。水を媒介に強い感染力で広まる。雨と川の多い日本ではその感染を食い止めることができない。一方、感染しても専門機関で治療はできる。人や魚類、哺乳類、鳥類、爬虫類には感染しない。なお、アメリカウシガエルはカエルツボカビ症に対して抵抗性がある。
また、ラナウィルス症は、主に魚類、両生類、爬虫類に感染するが、人間には感染しない。ラナウィルス症の主な症状として、手足が出始めたオタマジャクシに感染し、出血で腹が赤くなる。カエルの死因として、カエルツボカビ症を上回ったと言われている。
感染経路としては、カエルツボカビ症及びラナウィルス症の遊走子が飼育槽から外部に飼育水が流出することにより、他の両生類や魚類に感染する。
従って、カエルツボカビ症及びラナウィルス症が発生しないようにするには、飼育の段階で、飼育水を細菌除菌する必要がある。
2.供給量及び価格における問題
一般に、孵化は1週間で行われる。しかし、自然界での養殖は成長するまでには、多くの天敵が生息しており生残率が低く量産体制は困難であるため養殖施設での生産が必要である。
日本では5月~9月に寒天質に包まれた6,000~40,000個の卵を産む。幼生(オタマジャクシ)の状態で越冬し、翌年の夏に変態して幼体になる。幼体は水場をつたい、他の水場へ移動する。冬期の成体は水底の泥土に半ば潜り込み冬眠する。その冬眠過程があると成長期間が長くなるので生産性が上がらないという問題がある。孵化から成体までの生残率の改善や冬眠期間を無くして成長過程期間を短縮する必要が求められる。
また、食用ガエルが養殖後に食材や実験材料として取引される際、1匹当りの価格が、2,000円~3,000円と高値であるという問題がある。このため、食用ガエルを飼育するための餌の飼育及び給餌方法によって餌代金のコストダウンが必要である。
従って、本発明の目的は、食用ガエルを人工養殖する際に、安全性が高く、供給量を増やし、コストダウンを図ることができる食用ガエルの餌を養殖するための飼育水の循環システム、食用ガエルの餌の給餌方法及び食用ガエルの餌の製造方法を提供することにある。
本発明は、上記の目的を達成するために、地下淡水を貯水する地下淡水貯水槽と、前記地下淡水貯水槽に貯水されている地下淡水にオゾンを発生させて除菌を行うオゾン発生装置と、前記地下淡水貯水槽に貯水されている地下淡水にナノバブルを発生させて溶存酸素濃度を高くさせるナノバブル発生装置と、両生類又は淡水魚の幼生又は幼魚からなる食用ガエルの餌と、前記地下淡水貯水槽で生成されるオゾンナノバブル水を前記食用ガエルの餌の飼育水として用いる食用ガエルの餌の飼育槽と、前記食用ガエルの餌の飼育槽で用いられた飼育水を濾過し浄化する浄化槽と、前記濾過し浄化した飼育水を貯水する浄化済貯水槽と、を備え、前記浄化された飼育水を前記地下淡水貯水槽に送水して前記オゾン発生装置及びナノバブル発生装置を作動させてオゾンナノバブル水を生成し設備内で循環させることを特徴とする食用ガエルの餌を養殖するための飼育水の循環システムを提供する。
前記オゾンナノバブル水は、水温が13℃~20℃であることを特徴とする。
前記循環システムにおいて、飼育水であるナノ次亜塩素酸水を略5μ程度のドライミストで噴霧して濡れることもなく加湿と同時に空気中の病原菌や細菌又ウイルスを除菌することを特徴とする。
本発明のナノ次亜塩素酸水は、溶存酸素濃度が高く、細菌を除菌する飼育水(13℃~28℃)であり、孵化率及び幼生時の生残率を高め、食用ガエル及び魚介類成長過程を短縮すると同時に食用ガエルの冬眠期間を無くすことができる。
また、本発明のナノ次亜塩素酸水は、一室型電解槽内で30℃~70℃で電解することで一層の除菌作用が高めることにより、安全な飼育水として外部に排水することができる。
地下淡水のナノオゾンバブル水は、孵化率・幼魚・幼生(オタマジャクシ)の生残率・成長期間の短縮に効果がある。また、ナノ次亜塩素酸水は孵化率・幼魚・幼生(オタマジャクシ)の生残率・成長期間の短縮に効果がある。従って、ナノオゾンバブル水及びナノ次亜塩素酸水は、魚類や食用ガエルの飼育の成長期間を早め且つ除菌効果により生残率の高い飼育をすることができる。これらの飼育水で飼育された食用ガエルの餌類を完全養殖にすることにより、代替魚粉となる食用ガエルの養殖コストを大幅にコストダウンできる効果がある。
本発明の実施の形態に係る食用ガエル及び食用ガエルの餌類の養殖設備の全体構成図である。 浄化槽の概略構成図である。 浄化済水槽の概略構成図である。 1室型電解槽及び微酸性電解水貯水槽の概略構成図である。 希釈電解水貯水槽の概略構成図である。 本発明の他の実施の形態に係る遮光型養殖場の概略構成図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る食用ガエルを養殖するための飼育水の循環システム、食用ガエルの餌を養殖するための飼育水の循環システム、食用ガエルの餌の給餌方法及び食用ガエルの餌の製造方法、を詳細に説明する。
なお、カエルが冬眠をしない条件として、13℃~28℃の温度を保つ必要がある。特に、熱帯の地域で生まれたカエルは冬眠をしない。逆にさせようとすると死亡することがある。冬でも13℃~28℃に水温を保ち、餌の摂取量を管理すれば冬眠しなくなる。カエルは湿度の管理が重要であり、湿度の少ないところにいると、皮膚から酸素を得ることができなくなる。20℃以下になると、カエルの活動量が低下し、内臓の働きなどが弱まると言われ、冬眠をしない方が長生きする傾向があると言われている。カエルの体が全体に入れる水深が必要であり、カエルは水を飲まないので頻繁に霧状の水浴で湿度調節を必要とする。以下、そのための養殖設備について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る食用ガエル及び食用ガエルの餌類の養殖設備の全体構成図である。
図において、水槽1と水槽2は、食用ガエルの餌類の孵化と飼育をする水槽であり、水槽3と水槽4は、食用ガエルの幼生(オタマジャクシ)及び食用ガエルの変態後を養殖する水槽である。
排出菅5は、水槽1~水槽2のそれぞれから排出される飼育水を排出する管であり、調整バブル6は、排出管5を通る水流の方向や圧力等を調整する調整バルブである。
浄化槽7は、排出菅5を介して移水されてきた使用済の飼育水を浄化する水槽であり、浄化済水槽8は、浄化槽7で濾過した綺麗で安全な上澄みの飼育水を一時的に貯水する水槽である。
一室型電解槽9は、陽極と陰極が隔膜で仕切られていない一室型の電解槽であり、微酸性電解水(次亜塩素酸水=HCLO)を生成する。微酸性電解水貯水槽10は、一室型電解槽9で生成された微酸性電解水を貯水する水槽である。
希釈電解水貯水槽12は、微酸性電解水貯水槽10から送水された微酸性電解水に希釈水11を加えて貯水する水槽である。
また、地下淡水貯水槽25は、浄化された飼育水と地下淡水14を貯水する水槽である。
オゾン発生装置26は、浄化された飼育水と地下淡水貯水槽25に貯水された水に対してオゾンを発生させる装置である。
以下、図2~図4を参照して、各設備の構成等について詳細に説明する。
図2は、浄化槽7の概略構成図である。
図に示すように、浄化槽7は、使用済み飼育水を綺麗で安全な排出水にするための槽である。
浄化槽7は、嫌気ろ床槽29と接触ばっ気槽18とから構成される。
嫌気ろ床槽29は、嫌気ろ床槽第1室16と嫌気ろ床槽第2室17とからなり、嫌気ろ床槽第1室16では、ろ材28が浮遊物をとり除き、酸素を必要としない嫌気性微生物が水の中の汚れ(有機物)を分解し浄化する。第1室16から嫌気ろ床槽第2室17に汚水が移って、さらに同様の手順で浄化する。
接触ばっ気槽18は、液体と空気を接触させてばっ気し、接触材30の好気性微生物により汚水循環接触させて浄化する。即ち、ブロア31により液体と空気を接触させて、接触材30に付着する生物膜(好気性微生物)を利用し、汚水をばっ気しながら接触材30に循環接触させて、汚水中の有機物をさらに浄化する。
沈殿槽19は、浄化した処理水に含まれる固形物を沈殿させ、きれいな上澄み飼育水を注入管15から浄化済水槽8に排出する。
図3は、浄化済水槽8の概略構成図である。
図に示すように、浄化槽7の注入管15から排出された飼育水は、浄化済水槽8に注ぎ込まれ、オゾン発生装置26で発生させたオゾンによって飼育水を綺麗で安全な水とし、全体の3%~5%を排水管32から排出する。残りは、不純物除去フィルター20でフィルターにかけられ次工程の水槽(一室型電解槽9や地下淡水貯水槽25)に送水される。
図4は、一室型電解槽9と微酸性電解水貯水槽10の概略構成図である。
図に示すように、一室型電解槽9内には、陰極21と陽極22と潜水ヒーター23とが設けられている。陽極22と陰極21は隔膜で仕切られていない一室型の電解槽である。この一室型電解槽9に、浄化済水槽8の浄化水と13℃~20℃の地下淡水14を注入し、これに2%~6%の塩酸水を投入し、一室型電解槽9内の地下淡水14を潜水ヒーター23で30℃~70℃まで加温して、一室型電解槽9内の微酸性電解水の病原菌及び細菌並びにウイルスの除去作用を高める。これにより一段と除菌力が高いpH5.0~6.5の微酸性、有効塩素濃度10~80ppmの微酸性電解水(次亜塩素酸水)を生成することが可能となる。
微酸性電解水貯水槽10内には、潜水ヒーター23と不純物除去フィルター23とが設けられている。一室型電解槽9で生成された微酸性電解水が注入管15から微酸性電解水貯水槽10内にそそがれ、潜水ヒーター23で加温・保温されつつ一室型電解槽9との間で循環され、電解を繰り返して電解品質を上げる。また、ナノバブル発生装置13で50ミクロン以下の超微細なナノレベルの気泡を発生させて微酸性電解水に溶け込ませ電解水の溶存酸素濃度を高める。そして、不純物除去フィルター23で微酸性電解水に含まれる不純物を除去し、希釈電解水貯水槽12へ送水する。なお、この生成した微酸性電解水は、飲料水にも使用できる基準値水である。
図5は、希釈電解水貯水槽12の概略構成図である。
微酸性電解水貯水槽10から注入管15を通じて希釈電解水貯水槽12に送水された微酸性電解水は、微酸性電解水貯水槽10の潜水ヒーター23で水温が30℃~70℃になっているので、希釈水(地下淡水)11を加えることにより、その水温を13℃~28℃まで下げる。なお、希釈水(地下淡水)11は、オゾン発生装置26で発生させたオゾンによって綺麗で安全な水である。
また、ナノバブル発生装置13でナノレベルの気泡を発生させて電解水の溶存酸素濃度を高めるとともに安全で除菌作用に優れたナノ次亜塩素酸水(ナノHCLO)を生成し飼育水として使用する。生成されたナノ次亜塩素酸水は、送水管34を通して飼育水槽3,4へ送水する。
ナノ次亜塩素酸水は、無菌状態であり、また溶存酸素濃度が高く、食用ガエルの1匹当りが産卵する最大40,000個の孵化率を高める。また、水温が13℃~28℃で維持されるので、幼生(オタマジャクシ)~成体まで冬眠期間を必要としない。ナノ次亜塩素酸水は、ナノバブルであるため溶存酸素濃度が高く幼生(オタマジャクシ)~成体までの生残率や成長期間を短縮できる。
このため、従来にない増産体制を可能にすることができる。また、次亜塩素酸水自体は、細菌やウイルスだけでなく、真菌(しんきん)、つまりカビに対しても強い除菌効果を発揮する。これにより、単に、食用ガエルだけでなく、両生類への感染の要因となる病原菌、又はそれらの遊走子をも除菌することができる。
そして、水槽3と水槽4で使用された飼育水は、排出菅5のバブル6を閉め、排出菅5を通り(図1では下方向)、浄化槽7へ移水する。浄化槽7で浄化された飼育水は浄化済水槽8の排水管32から排出される。
なお、図1に戻り地下淡水貯水槽25について説明すると、地下淡水貯水槽25には地下淡水14と浄化済水槽8で浄化された水が送入され、送入された水は潜水ヒーター23で13℃~20℃に維持され、ナノバブル発生装置13とオゾン発生装置26により、ナノオゾンバブル水が生成される。
ナノオゾンバブル水は、酸素濃度が高く殺菌作用のある飼育水として生成されるもので、水槽1と水槽2における飼育水となる。
水槽1と水槽2で使用された飼育水は、排出菅5のバブル6を閉め、排出菅5を通り(図1では上方向)、浄化槽7へ移水する。浄化槽7で浄化された飼育水は浄化済水槽8の排水管32から排出される。
以上の構成に基づいて、「食用ガエル」を養殖する飼育水と、「食用ガエルの餌」を養殖するための飼育水の生成方法を説明する。
<食用ガエルを養殖する飼育水の生成方法>
食用ガエルを養殖する飼育水は、
1.一室型電解槽9に地下淡水14と塩酸水を注入し、潜水ヒーター23で加温して微酸性電解水にする。
2.この微酸性電解水を微酸性電解貯水槽10に貯えつつ一室型電解槽9と循環させる。
3.一室型電解槽9で生成され微酸性電解貯水槽10に貯えられた微酸性電解水は、不純物除去フィルター20を通して希釈電解水貯水槽12に送水する。
4.希釈電解水貯水槽12で希釈水11で水温を下げ、かつ、ナノバブル発生装置13を設けてナノ次亜塩素酸水(HCLO)を生成し、溶存酸素濃度が高く又細菌を除菌する飼育水を生成する。
5.生成したナノ次亜塩素酸水を送水菅34から食用ガエルの飼育槽3,4に送水する。
6.使用した飼育水は、排水菅5を通して浄化槽7に送水し濾過する。
7.濾過した綺麗で安全な上澄みを浄化済貯水槽8に送水し、オゾン発生装置26でその送水内細菌を除菌してから全体の3%~5%を排水管32から排水する。
8.残りは、一室型電解槽9へ送水して循環させる。
<食用ガエルの餌を養殖する飼育水の生成方法>
食用ガエルの餌を養殖するための飼育水は、
1.地下淡水貯水槽25を設置し、ここに地下淡水(13℃~20℃)を注入する。
2.水温が10℃以下の場合は、潜水ヒーター23で加温する。
3.その地下淡水貯水槽25にナノバブル発生装置13とオゾンバブル発生装置26を設置し、溶存酸素濃度が高く殺菌作用のあるナノオゾンバブル水を生成する。
4.生成したナノオゾンバブル水を地下淡水送水菅27を通して餌用の飼育槽1,2に送水する。
5.使用済み飼育水は、排水菅5を通して浄化槽7へ送入して濾過し、綺麗な上澄み水を浄化済貯水槽8に送入しオゾン発生装置26で細菌を殺菌する。
6.その全体の3%~5%を排出し、残りは不純物除去フィルター20を通して地下淡水貯水槽25へ送入する。
7.以降、3~6のステップを循環させる。
上記では、食用ガエルの養殖用の飼育水と食用ガエルの餌を養殖するための飼育水の生成方法について別々に述べたが、基本的にどちらの飼育水でも養殖できる。
しかしながら、食用ガエルの飼育水は、細菌の除菌やウイルス対策に必要なナノ次亜塩素酸水が望ましい。
また、ナノ次亜塩素酸水及びナノオゾンバブル水は、酸素ナノバブル水と同様の効果がある。特に、酸素ナノバブル水の環境で育てた魚の体長が大きくなり、養殖魚が出荷サイズに成長するまでの期間が短くなるといったことが確かめられている。酸素ナノバブル水に含まれる酸素の量は通常の場合の約5倍であり、その結果、魚が活性化して餌をたくさん食べるようになり成長が促進される。ナノ次亜塩素酸水及びナノオゾンバブル水は、成長を促進するだけなく細菌の除去及びウイルス対策に効果的であり完全養殖の生残率をより一層高める。また排水に関しても綺麗で安全な飼育水が排出できる。
次に、食用ガエルの飼育に必要な餌の給餌方法及び製造方法について述べる。
食用ガエルを水産養殖魚への代替飼料原料にするためには、餌を完全養殖し稚魚の仕入を無くし、食用ガエルの餌を同一場所内で飼育する。食用ガエル及び食用ガエルの餌類が、産卵~幼生(オタマジャクシ)~幼若体~亜成体~成体までの完全養殖である。餌は、食用ガエルのオタマジャクシとフナを用いる。カエルの給餌方法として、カエルの大小混ぜることにより、大きいカエルが小さなカエルを食べる共食い給餌方法をとる。
ヤマアカガエルは800個~3,000個を産卵し、ウシガエルは最大40,000個を産卵する。このような産卵数の多い両生類を、自然産卵又は人工産卵し孵化させる。そして、孵化して1ヶ月~2ヶ月程度の幼生時(オタマジャクシ)を、食用ガエルの3ヶ月以上の幼生時(オタマジャクシ)及び幼若体並びに亜成体(成体)の餌として生きている状態の生き餌(共食い)又は解凍冷凍生餌(共食い)で給餌する。なお、ここで「生き餌」とは、生きたままの状態の餌を言い、「生餌」とは、生きてはいないが未だ原形を留めている状態の餌を言うものとする。
また、フナは、平野部の湖・沼・池や、それに連なる細流、河川の中流域から汽水域にかけて生息する。底生・浮遊性の動植物を幅広く摂食している。冬季には湖沼や河川の深所に潜んでいる。
3~7月頃には、水温17~20℃の浅い所に移動し、早朝に水草や浮遊物に卵を産み付ける。1尾の産卵数は体の大きさで甚だしく相違があるが、通常の大きさのものでは40,000個~90,000個を産卵する。産卵は、自然産卵又は人工産卵とする。産着卵の直径は1~1.7ミリメートルぐらいで、緑色みを帯びている。水温15~20℃で5~10日で孵化する。
孵化したフナの仔魚(しぎょ)は全長3.5~5.5ミリメートル程度である。仔魚は、しばらくは水草や浮遊物に頭部をつけて懸垂し、水面付近にとどまる。一般に雌雄とも2年で全長8~20センチメートルに達し成熟する。飼育条件下での成熟は全長4~5センチメートルの1歳魚でもみられることがある。
孵化させて幼魚まで飼育し、食用ガエルの幼生時(オタマジャクシ)及び変態後の幼若成及び亜成体並びに成体に生き餌又は冷凍生餌で給餌する。
なお、例えば、淡水魚と食用ガエルを同時又は産卵時期をずらして孵化させて、孵化後1ヶ月~3ヶ月の淡水魚を餌として給餌するようにしてもよい。また、食用ガエルの成体に淡水魚又はオタマジャクシを餌として給餌する。
餌の製造方法としては、例えば、食用ガエルの幼生(オタマジャクシ)~幼若成~亜成体~成体までの餌として、ウシガエルの幼生(オタマジャクシ)5cm~15cmサイズとフナの幼魚又は成魚とを混ぜ合わせて、蒸気で煮て、スクリュープレスで圧搾してから、ディスクドライヤで乾燥させてから、粉砕機で粉末にして振るいをかけて、代替魚粉原料とし、認可された飼料添加物を配合し、代替魚粉になる配合飼料を製造する。
また、このウシガエルの幼生(オタマジャクシ)5cm~15cmサイズを蒸気で煮て、スクリュープレスで圧搾してから、ディスクドライヤで乾燥させてから、粉砕機で粉末にして振るいをかけて、代替魚粉原料とし、認可された飼料添加物を配合し、代替魚粉になる配合飼料を製造する。
また、このウシガエルの幼生(オタマジャクシ)5cm~15cmサイズと食用ガエルの成体を蒸気で煮て、スクリュープレスで圧搾してから、ディスクドライヤで乾燥させてから、粉砕機で粉末にして振るいをかけて、代替魚粉原料とし、認可された飼料添加物を配合し、代替魚粉になる配合飼料を製造する。
これにより、2025年には最大160万トンの魚粉が世界的に不足するという問題が、食用ガエルによって解決できる。また、魚原料に依存している缶詰の代替魚原料にもなる。
図6は、本発明の他の実施の形態に係る遮光型養殖場の概略構成図である。
図に示すように、養殖場内を遮光し、養殖場内の天井部位にドライミスト(5μ程度)噴射装置35を設置し、ナノ次亜塩素酸水(HCLO)で噴霧し、濡れることもなく加湿と同時に、空中の細菌や真菌やSARSウイルスを失活させるようにしてもよい。
1 水槽
2 水槽
3 水槽
4 水槽
5 排水管
6 調整バブル
7 浄化槽
8 浄化済水槽
9 一室型電解槽
10 微酸性電解水貯水槽
11 希釈水(地下淡水)
12 希釈電解水貯水槽
13 ナノバブル発生装置
14 地下淡水
15 注入菅
16 嫌気ろ床槽第1室
17 嫌気ろ床槽第2室
18 接触ばっ気槽
19 沈殿槽
20 不純物除去フィルター
21 -極
22 +極
23 潜水ヒーター
24 希釈水送水管
25 地下淡水貯水槽
26 オゾン発生装置
27 淡水送水管
28 ろ材
29 嫌気ろ床槽
30 接触材
31 ブロア
32 排水管
33 微酸性電解水
34 各水槽送入菅
35 ドライミスト噴射装置
36 ドライミスト5μ

Claims (3)

  1. 地下淡水を貯水する地下淡水貯水槽と、
    前記地下淡水貯水槽に貯水されている地下淡水にオゾンを発生させて除菌を行うオゾン発生装置と、
    前記地下淡水貯水槽に貯水されている地下淡水にナノバブルを発生させて溶存酸素濃度を高くさせるナノバブル発生装置と、
    両生類又は淡水魚の幼生又は幼魚からなる食用ガエルの餌と、
    前記地下淡水貯水槽で生成されるオゾンナノバブル水を前記食用ガエルの餌の飼育水として用いる食用ガエルの餌の飼育槽と、
    前記食用ガエルの餌の飼育槽で用いられた飼育水を濾過し浄化する浄化槽と、
    前記濾過し浄化した飼育水を貯水する浄化済貯水槽と、
    を備え、
    前記浄化された飼育水を前記地下淡水貯水槽に送水して前記オゾン発生装置及びナノバブル発生装置を作動させてオゾンナノバブル水を生成し設備内で循環させることを特徴とする食用ガエルの餌を養殖するための飼育水の循環システム。
  2. 前記オゾンナノバブル水は、水温が13℃~20℃であることを特徴とする請求項1に記載の食用ガエルの餌を養殖するための飼育水の循環システム。
  3. 前記循環システムにおいて、飼育水であるナノ次亜塩素酸水を略5μ程度のドライミストで噴霧して濡れることもなく加湿と同時に空気中の病原菌や細菌又ウイルスを除菌することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の食用ガエルの餌を養殖するための飼育水の循環システム。
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