JP7078923B2 - 噴流旋回方式脱ガス装置及びガスノズル - Google Patents
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Description
また、溶湯中には大気中の水素分圧に応じて水素ガスが吸収される。液相への水素溶解度は高いが、固相での水素溶解度は極めて低い。このため、溶湯中に吸収された水素のうちで凝固時に溶解限度を超えた水素は、分子状の水素ガスとして溶湯中に放出されて気泡となる。その結果、鋳造した製品内にピンホールが発生して機械的性質や耐圧性を阻害する。
泡のサイズを小さくするためには、回転数を速めてガス泡を裁断する必要があるが、回転を速めると、水素ガスの除去には貢献するが、溶湯上部面に必要以上の渦ができ、溶湯炉壁面から空気を取り込んでしまい、正常なアルミまでも酸化を増やし、アルミ縣濁物が増え、撤去しなければならず、歩留りが悪くなるという懸念がある。
また、特許文献1に示された装置よりも、気泡サイズ・気泡発生数の制御が容易、短時間に気泡と溶湯を接触可能、溶湯表面に乱流を発生させないという効果をそなえた装置を得ることを目的としている。
この請求項1の発明によれば、回転部分がなく簡単な装置で、溶湯炉内の水素ガスや脱滓を除去できる。また、従来の回転攪拌式脱ガス装置に比べ、設置が容易で、作業性が良いという効果がある。
請求項3に記載の発明は、噴流式ガスノズルの両端から不活性ガスを供給するようにしたことに特徴がある。このようにすることで、請求項2に記載のものよりもさらに万遍なく気泡を生成でき、効率よく水素ガスや脱滓を除去できる。
請求項4に記載の発明は、アルミニウム溶湯炉の底面から50~150mmを隔てて噴流式ガスノズルを設置するようにしたことに特徴がある。このようにすることで、溶湯炉内で窒素ガスの対流が効率よく行われ、水素ガスや脱滓を確実に除去できる。
請求項5に記載の発明は、噴流式ガスノズルに設けた不活性ガス噴出口の大きさは、0.2mm程度としたことに特徴がある。このようにすることで、溶湯炉内で不活性ガスの対流が効率よく行われ、水素ガスや脱滓を確実に除去できる。
請求項6に記載の発明は、不活性ガスの発生制御は、パルス制御装置によりパルス方式で制御するようにしたことに特徴がある。このようにすることで、ガスの発生・制御が容易で、調整の自由度がある。また、ガスの導入圧力とパルス幅とスピードの調整で不活性ガス気泡の粒径が自由に変えられるという効果がある。
請求項7に記載の発明は、溶湯中の不活性ガス供給管の途中に、溶湯の熱を利用して不活性ガスを温める熱吸収装置を設けたことに特徴がある。このようにすることで、溶湯の熱を利用して不活性ガスを温めることができ、別に不活性ガスを温める装置を設けずに済む。不活性ガスを温めることで、不活性ガスの純度が高くなり、溶湯の酸化を抑え、水素ガスや脱滓を確実に除去できる。
請求項8に記載の発明は、不活性ガスとして、窒素あるいはアルゴンを用いることを特徴とするものである。不活性ガスとして、窒素あるいはアルゴンを用いることで、非常に効率よく水素ガスや脱滓を除去できる。
請求項10に記載の発明は、請求項9の記載に加え、ガスノズルは、アルミニウム溶湯炉の底面から所定距離を隔てて設置されるようにしたものである。
また、効率の良い噴流式ガスノズルを得ることができる。
図1は本発明の噴流旋回方式脱ガス装置全体の構成を示す概略構成図で、1は電源、2はコンプレッサー内蔵の窒素ガス発生装置、3は酸素除去触媒、4はタッチパネル4a、高速電磁弁4bを備えたパルス制御装置、5はアルミニウム溶湯炉、6は噴流式ガスノズル、7は窒素供給管、8はアルミニウム溶湯、9は窒素ガス気泡である。
窒素ガス発生装置2で発生した窒素は、改質装置である酸素除去触媒3を経由して、パルス制御装置4からパルス状に窒素ガスが放出され、窒素供給管7を経由して溶湯炉5の底部付近に設置された噴流式ガスノズル6から噴出し、水素ガスや脱滓を溶湯炉5上部へ移動させ除去する。
なお、実施の形態1の装置は、ガス供給がパルス方式であり、ガス供給時に瞬時に供給口から各ノズル口に伝達される。また、ガス圧縮量を最小限に抑えることにより、順次送られるパルス供給ガスが正確にノズル部より排出され、細かい泡とその泡の量を間欠的に発生させ続けることが可能となっている。
また、噴流式ガスノズル6の形状の平面図を示す図3に示すが、この噴流式ガスノズル6に設けるガス噴出口6aの大きさは、0.2mm程度が望ましい。
図5は本発明の実施の形態2に示す噴流式ガスノズル60の平面図である。この噴流式ガスノズル60は、ノズルの1本のパイプが渦巻き状に形成され、渦巻き状パイプの1箇所の窒素供給口60aから窒素ガスが供給され、パイプに形成されたガス噴出口60bから窒素ガスの気泡が放出される。なお、図5では、パイプに形成したガス噴出口60bはその一部を表示している。
この実施の形態2に示す渦巻き状の噴流式ガスノズル60も、溶湯炉5の底面との間に一定の距離50~150mmを保って配置される。
なお、この図6ではノズルの構成の概略を示しており、パイプの太さを省略し、またパイプに形成するガス噴出口も省略している。
この実施の形態2の変形例1に示す渦巻き状の噴流式ガスノズル61も、溶湯炉5の底面との間に一定の距離50~150mmを保って配置される。
なお、この図6ではノズルの構成の概略を示しており、パイプの太さを省略し、またパイプに形成するガス噴出口も省略している。
この実施の形態2の変形例2に示す渦巻き状の噴流式ガスノズル62も、溶湯炉5の底面との間に一定の距離50~150mmを保って配置される。
図8は本発明の実施の形態3の溶湯炉及び脱ガス装置を示す側面図であり、図2に示す実施の形態1との違いは、溶湯8中の窒素ガス供給管7の途中に、窒素ガスを温める熱吸収装置11を設けた点である。この熱吸収装置11は約600度の溶湯の熱を利用して効率よく窒素ガスを温めることができる。この熱吸収装置11を設けることにより、供給する窒素の純度をさらに高めることができる。
この熱吸収装置11は、例えば窒素供給管7の一部を複数回屈曲させて表面積を拡げる、あるいは窒素供給管7の一部を複数本に分岐することにより表面積を拡げるなどの構成を取ることにより、効率的に溶湯8中の熱を窒素ガスに伝達することができる。
また、上記実施の形態1から実施の形態3では、不活性ガスの例として窒素を取り上げて説明しているが、アルゴンを用いても同様な効果を得ることができる。
2:窒素ガス発生装置
3:酸素除去触媒
4:パルス制御装置、4a:タッチパネル、4b:高速電磁弁
5:アルミニウム溶湯炉
6:噴流式ガスノズル、6a:ガス噴出口
7:窒素ガス供給管
8:溶湯
9:窒素ガス気泡
10:脱滓
11:熱吸収装置
60:噴流式ガスノズル、60a:窒素供給口、60b:ガス噴出口
61:噴流式ガスノズル、61a:外側の窒素供給口、61b:内側の窒素供給口
62:噴流式ガスノズル、62a:外側の供給口、62b:内側の供給口、62c:一方のパイプ62c、62d:もう一方のパイプ
Claims (10)
- アルミニウム溶湯炉内に発生する水素ガスや脱滓を除去する装置において、前記アルミニウム溶湯炉の底面及び内周面から所定距離を隔てて設置した噴流式ガスノズルと、この噴流式ガスノズルに不活性ガスを供給する不活性ガス供給管と、この不活性ガス供給管に不活性ガスを送出する不活性ガス発生装置とを備え、
前記不活性ガス供給管は、前記アルミニウム溶湯炉の内周面に沿って設けられ、
前記噴流式ガスノズルから不活性ガスを噴出させて、前記溶湯炉内の溶融アルミニウム及びバブル状の不活性ガスの対流を起こさせ前記水素ガスや脱滓を溶湯上部に浮上させて除去するようにしたことを特徴とする噴流旋回方式脱ガス装置。 - 前記噴流式ガスノズルの形状は、一筆書き状で、その両端はガスの入口あるいは出口となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の噴流旋回方式脱ガス装置。
- 前記噴流式ガスノズルの両端から不活性ガスを供給するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の噴流旋回方式脱ガス装置。
- アルミニウム溶湯炉の底面から50~150mmを隔てて噴流式ガスノズルを設置するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の噴流旋回方式脱ガス装置。
- 噴流式ガスノズルに設けた不活性ガス噴出口の大きさは、0.2mm程度としたことを特徴とする請求項1に記載の噴流旋回方式脱ガス装置。
- 前記噴流式ガスノズルへの不活性ガスの供給は、パルス制御装置によるパルス制御された不活性ガスであることを特徴とする請求項1に記載の噴流旋回方式脱ガス装置。
- 前記溶湯中の前記不活性ガス供給管の途中に、前記溶湯の熱を利用して不活性ガスを温める熱吸収装置を設けたことを特徴とする請求項1に記載の噴流旋回方式脱ガス装置。
- 前記不活性ガスは、窒素あるいはアルゴンであることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の噴流旋回方式脱ガス装置。
- アルミニウム溶湯炉内に発生する水素ガスや脱滓を除去する装置に使用される噴流式ガスノズルであって、前記噴流式ガスノズルは、一筆書き状で、その両端はガスの入口あるいは出口となるように構成され、前記アルミニウム溶湯炉の内周面に沿って設けられる不活性ガス供給管と接続し、内周面から所定距離を隔てて設けられることを特徴とする噴流式ガスノズル。
- アルミニウム溶湯炉内に発生する水素ガスや脱滓を除去する装置に使用される噴流式ガスノズルであって、前記噴流式ガスノズルは、アルミニウム溶湯炉の底面から所定距離を隔てて設置されていることを特徴とする請求項9に記載の噴流式ガスノズル。
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