JP7078815B2 - X線撮影方法およびx線撮影装置 - Google Patents

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本発明は、材料科学や生命科学などの分野においてサンプルの形状や性質を調べることのできる、透過型のX線顕微鏡として好適なX線撮影方法およびX線撮影装置に係り、とくに多波長同時X線撮影や高速X線撮影が可能なX線撮影方法およびX線撮影装置に関する。
X線は、新規材料開発における材料評価や、細胞から個体スケールの生命現象の解析などに貢献している。X線光源の進歩も目覚ましく、大型施設であるX線自由電子レーザのような短パルス、高強度かつ制御性の高いX線による解析が、一研究室レベルで行うことができるようになってきている。波長1~10nm程度の軟X線や波長0.01nm~1nm程度の硬X線など、波長の短い「X線」を用いて顕微を行う場合、波長の長い「可視光」を用いる場合に比べて高い空間分解能が得られる。さらに、軟X線や硬X線が原子に対して特徴的な吸収-散乱特性をもつことを利用することにおり、原子分布やその電子状態の可視化も可能である。X線を用いて結像顕微鏡を構成すれば、可視光同様、二次元の像が得られる(例えば、特許文献1参照。)。
図20は、従来から用いられているX線撮影装置101(X線顕微鏡)の概略構成を示す説明図である。符号20はX線源、3は試料、50は検出器を示し、大きくX線源20および集光光学系121よりなる照明光学系102と、結像光学系104より構成されている。集光光学系121を構成する集光素子22として、たとえば回転楕円体ミラー60が用いられ、結像光学素子41としてたとえばウォルター型斜入射ミラー61が用いられる。X線領域では可視光用のレンズを用いることはできない。ウォルター型斜入射ミラー61であるウォルターミラーは全反射を利用した結像素子であり、図に示すように回転双曲面610と回転楕円面611の二枚のミラーによって構成され、輪帯状の特徴的な形状を持つ。
ところで、このようなX線撮影装置を用いて動的な現象、又はあるエネルギーに特異な吸収を示す空間像(スペクトラルイメージング)を取得しようとする場合、従来の手法としては、ポンプ、プローブ法とよばれる繰り返しによる取得や、X線光源からあるエネルギーを切り出す分光器の切り替えを複数回繰り返すことによる観察が行われている。しかしながら、このような従来の手法では、たとえば一度きりしか生じない非反復的な現象の場合には不可能であり、高価・希少なサンプルの破壊検査には不適であるという問題があった。さらに、計測に多大な時間が要するという研究開発上の致命的な問題や、光源の不安定さによるデータのばらつきといった問題も存在していた。
特開平6-347600号公報
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、動的な現象、又はスペクトラルイメージングをごく短時間で効率的、且つ安定的に取得することができ、一度きりしか生じない非反復的な現象の場合や、高価・希少なサンプルの破壊検査においても好適に用いることのできるX線撮影方法、X線撮影装置を提供する点にある。
本発明者はかかる現況に鑑み、鋭意検討した結果、波長の短いX線の場合、結像光学素子の小さな開口数を用いても、実用的に十分な空間分解能を実現できると想定し、結像光学素子の出口開口を分割して複数の像を得ることを着想した。このように開口を分割すると一つの像を与える開口の大きさが小さくなるため、開口を分割しない場合に比べて得られる像の空間分解能は低下してしまうが、X線であれば、上記のとおり各像につき十分な空間分解能が得られる可能性がある。
この想定のもと、図8および表1に示すように、結像光学素子として波長4nmの軟X線の利用を想定したウォルターミラーを設計し、このウォルターミラーにおいて開口を図9のような部分開口に設定した場合の結像分解能を検証した結果、レイリー分解能の基準で100nmとなり、小さな開口にもかかわらず標準的な可視光顕微鏡の結像分解能を上回っていることが確認できた。
Figure 0007078815000001
そして、この開口分割による複数の像を取得(検出)する具体的手法として、本発明者は、結像光学素子の下流側に、上記分割された各出口領域から出射される光を反射して他の領域から出射された光と別の位置に結像させる分離光学面を設けることを考案し、本発明を完成するに至った。分離光学面としては、たとえば平面ミラーを用いることができる。十分平坦に研磨された平面ミラーを用いれば、既存の結像系に対して、波面収差を与えて像を劣化させることもない。これにより、同一試料の同一またはほぼ同一の像を、同時またはほぼ同時に複数取得(検出)することが可能となる。
すなわち本発明は、以下の発明を包含する。
(1) 結像光学系として、結像光学素子を設けるとともに、該結像光学素子の下流側に、該結像光学素子の出口のうち一部の領域から出射された光を反射して他の領域から出射された光とは別の位置に結像させる分離光学面を、単または複数設け、これにより試料のX線像を2以上の位置で得ることを特徴とする、X線撮影方法。
(2) 前記結像光学素子がウォルター型斜入射ミラーである、(1)記載のX線撮影方法。
(3) 前記分離光学面が平面ミラー部である、(1)又は(2)記載のX線撮影方法。
(4) 前記一部の領域が、前記結像光学素子の出口を、素子中心軸を中心とした周方向に沿って複数の領域に分割した分割領域のうちの一つである、(1)~(3)のいずれかに記載のX線撮影方法。
(5) 前記分割領域を3つ以上設け、そのうち2つ以上の分割領域をそれぞれ前記一部の領域として、各領域から出射された光を反射して他の領域から出射された光とは別の位置に結像させる、ミラー面が互いに異なる方向を向いた前記を2つ以上設けた、(4)記載のX線撮影方法。
(6) 照明光学系に、前記一部の領域から出射される光の波長が、他の少なくとも1つの領域からの光の波長とは異なる波長となるように異波長のX線を生成する異波長生成部を設け、これにより前記2以上の位置で同じ試料の異なる波長によるX線像を同時に得る、(1)~(5)の何れかに記載のX線撮影方法。
(7) 照明光学系に、前記一部の領域から出射される光が、他の少なくとも1つの領域からの光よりも遅延するように時間遅延部を設け、これにより前記2以上の位置で試料の時間のずれたX線像を得る、(1)~(5)の何れかに記載のX線撮影方法。
(8) 結像光学系として、結像光学素子を設けるとともに、該結像光学素子の下流側に、該結像光学素子の出口のうち一部の領域から出射された光を反射して他の領域から出射された光とは別の位置に結像させる分離光学面を、単または複数設け、これにより試料のX線像を2以上の位置で得ることを特徴とする、X線撮影装置。
(9) 前記結像光学素子がウォルター型斜入射ミラーである、(8)記載のX線撮影装置。
(10) 前記分離光学面が平面ミラー部である、(8)又は(9)記載のX線撮影装置。
(11) 前記一部の領域が、前記結像光学素子の出口を、素子中心軸を中心とした周方向に沿って複数の領域に分割した分割領域のうちの一つである、(8)~(10)のいずれかに記載のX線撮影装置。
(12) 前記分割領域を3つ以上設け、そのうち2つ以上の分割領域をそれぞれ前記一部の領域として、各領域から出射された光を反射して他の領域から出射された光とは別の位置に結像させる、ミラー面が互いに異なる方向を向いた前記分離光学面を2つ以上設けた、(11)記載のX線撮影装置。
(13) 前記2つ以上の分離光学面を外周面若しくは内周面に有する、角錐ミラーまたは角錐台ミラーを中心軸が素子中心軸に一致するように同軸に設けてなる、(12)記載のX線撮影装置。
(14) 照明光学系に、前記一部の領域から出射される光の波長が、他の少なくとも1つの領域からの光の波長とは異なる波長となるように異波長のX線を生成する異波長生成部を設け、これにより前記2以上の位置で同じ試料の異なる波長によるX線像を同時に得る、(8)~(13)の何れかに記載のX線撮影装置。
(15) 前記異波長生成部が、バンドパスフィルタ、または分光器よりなる(14)記載のX線撮影装置。
(16) 照明光学系に、前記一部の領域から出射される光が、他の少なくとも1つの領域からの光よりも遅延するように時間遅延光学系を設け、これにより前記2以上の位置で試料の時間のずれたX線像を得る、(8)~(13)の何れかに記載のX線撮影装置。
以上にしてなる本願発明に係るX線撮影方法およびX線撮影装置によれば、動的な現象、又はスペクトラルイメージングをごく短時間で効率的、且つ安定的に取得することができ、X線領域でのマルチスペクトラルイメージングや高速度イメージングへの道を開く手法として革新的である。特に、一度きりしか生じない非反復的な現象の場合や、高価・希少なサンプルの破壊検査においても好適に用いることができる。このように、本発明は、これまで取得できなかった情報をごく短時間で取得し、基礎研究から製品開発まで幅広く研究開発を加速させることが可能となり、大型なX線施設はもちろん、研究室レベルで多様なX線解析を行うためのツールとして広く利用されることが期待される。
(a),(b)は本発明にかかるX線撮影装置の代表的な実施形態を示す説明図、(c)、(d)はミラー回転軸に沿った縦方向に分割された部分曲面ミラーで構成された変形例の出口開口を示す説明図。 平面ミラーで外側に反射させる変形例を示す説明図。 複数の分離光学面を用いて開口を3つ以上に分割した変形例を示す説明図。 出口の分割領域をすべて分離光学面により反射させ、素子中心軸上に結像される光を無くすようにした変形例を示す説明図。 角錐台ミラーを設けた変形例を示す説明図。 (a)、(b)は、それぞれマルチスペクトラルイメージングを実現するX線撮影装置の例を示す説明図。 高速度イメージングを実現するX線撮影装置の例を示す説明図。 ウォルターミラーの設計案の一例を示す説明図。 同じくウォルターミラーの設計案の一例を示す説明図。 試料上のある点からの光の伝搬の様子を光線追跡結果に基づいて示した図。 試料上のある点からの光の伝搬の様子を光線追跡結果に基づいて示した図。 軟X線を対象とした本発明の実装案を示す説明図。 同じく軟X線を対象とした本発明の他の実装案を示す説明図。 試料として設定した元画像を示す図。 図12の実装案において平面ミラーによる反射されて結像した像と反射されずに素子中心軸上の位置で結像した像を示す図。 図13の実装案において平面ミラーによる反射されて結像した像と反射されずに素子中心軸上の位置で結像した像を示す図。 ウォルターミラーの設計案の他の例を示す説明図。 硬X線を対象とした本発明の実装案を示す説明図。 図18の実装案において平面ミラーによる反射されて結像した像と反射されずに素子中心軸上の位置で結像した像を示す図。 従来のX線撮影装置を示す説明図。
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
本発明にかかるX線撮影装置1は、図1(a),(b)に示すように、X線源20、およびこれを資料3に集光する集光光学系21を有する照明光学系2と、結像光学素子41を有する結像光学系4と、検出器50とを備え、とくに結像光学系4として、結像光学素子41の下流側に、結像光学素子41の出口41cのうち一部の領域R1から出射された光を反射して他の領域R01から出射された光とは別の位置に結像させる分離光学面42を設けるとともに、この分離光学面42を通じて結像されるX線像を検出する検出器51を設け、これにより試料3のX線像を2以上の位置(図1の例では検出器50、51の二つの位置)で得ることを特徴とする、透過型のX線顕微鏡として好適なX線撮影装置である。
従来からのX線撮影装置においては、図20に示すように、結像光学素子41の出口(開口)から出射されたX線は下流遠方の光軸上に一つの像を形成し、該位置に設けられる検出器50により検出される。これに対し、本発明では、図1に示すように出口41c開口から出射したX線の一部の光路を、開口下流に設置した分離光学面42によりそらすことで、本来の結像位置(検出器50の位置)とは別の位置(検出器51の位置)に像を生成する。各検出器50、51で得られる像は、互いに同じ試料の同じタイミングの像である。
このように本発明は、結像光学素子41の出口41cを領域分割し、同時利用することで一度に複数のX線像を取得できるX線撮影装置である。これにより同じ試料の同じタイミングのX線像を2以上の位置で検出でき、X線領域でのマルチスペクトラルイメージングや高速度イメージングを実現できる手法として革新的なものである。
X線源20としては、軟X線や硬X線が好適に用いられる。照明光学系2、集光光学系21、結像光学素子41についても、従来からの透過型のX線撮影装置(X線顕微鏡)において公知の光学系を用いることができる。とくに結像光学素子41については、ウォルター型斜入射ミラー61が好ましい。ウォルター型斜入射ミラーは他に比べて開口の大きなものを容易に設計できるため、開口分割する本発明に特に適している。フレネルゾーンプレートやAdvanced Kirkpatrick Baezミラーを用いることもできる。
図1(a),(b)の代表的なウォルター型斜入射ミラー61は全周にわたる筒状のウォルターミラーであるが、図中(c)、(d)に示すようにミラー回転軸に沿った縦方向に分割された部分曲面ミラー(半割状のウォルター型斜入射ミラー61A、より小さく分割されたウォルター型斜入射ミラー61B、61C)で構成されたものを単または同軸の異なる角度領域に複数配置したものでも勿論よい。
分離光学面42としては、本例ではウォルター型斜入射ミラー61の下流側の出口41cの開口領域R1に対応する位置に、平面ミラー部7を有する平面ミラー70が配置されている。なお、平面ミラー部に限定されず、回折格子などで構成することもできる。
領域R1以外の領域R01から出た光は、ウォルター型斜入射ミラー61のミラー回転軸である素子中心軸a上の位置(検出器50の位置)に結像し、検出器50で検出される。領域R1から出た光は、平面ミラー部7に反射して、異なる位置(検出器51の位置)に結像し、検出器51により検出される。すなわち、結像光学素子41(ウォルター型斜入射ミラー61)の出口開口が領域R1、R01に分割され、各領域から出た光のうち領域R1からの光を分離光学面42(平面ミラー部7)で反射させて分離し、異なる位置で結像させることにより、同一試料3の同一タイミングの像が異なる位置で取得(検出)される。
平面ミラー70は、内側に平面ミラー部7を配して出口領域R1から出た光を内側に反射させ、素子中心軸a上の位置(検出部50の位置)とは異なる位置(検出部51の位置)に結像させ、検出器51にて検出するように構成されている。ここで、「内側に反射させ」とは、反射する方向が入射方向に比べて素子中心軸aにより近づく方向となる場合をいう。
このように平面ミラー70は、結像光学素子の下流側の領域R1に対応する位置に配置するだけでよく、簡易な構造で且つアライメントの精度も不要であるため、きわめて低コストで実現することができ、取扱い性も良好である。本例では平面ミラー70により内側に反射させているが、図2に示すように、平面ミラー70を配置して外側に反射させることで、同じく素子中心軸a上の位置とは異なる位置(検出器51の位置)に結像させることも勿論できる。「外側に反射させる」とは、入射方向が反射する方向に比べて素子中心軸aにより近づく方向となる場合をいう。図示しないが、内側でも外側でもない、素子中心軸を中心とした円周方向に反射させることでもよい。
また、図3に示すように、複数の分離光学面42を用いて開口を3つ以上(本例では出口領域R1、R2、R05、R06)に分割し、そのうち2つ以上の分割領域(R1、R2)の各領域から出射された光を対応する分離光学面42、42によりそれぞれ別の方向に反射させ、他の領域(R05、R06)から出射された光とは別の各位置(検出器51、52の各位置)にそれぞれ結像させるものも好ましい実施形態である。これにより、3つ以上の像を同時に取得することができる。たとえば図9のように1開口あたりの円周方向角度幅を12度とすれば、360°÷12°=30となり、30枚の同時撮影が可能である。ここで、各分離光学面42はいずれも光を内側に反射させる平面ミラー70が設けられているが、一部または全部を光を外側に反射させる平面ミラーとしてもよい。
このように平面ミラー70を複数設けるだけで、3つ以上の多数の像が得られるにもかかわらず、このような平面ミラー70はアライメント精度も不要であり、アライメントシステムの部品数を少なくすることができる。また、結像光学素子41として図1(a),(b)に示すような筒状のウォルターミラーを用いても各平面ミラー70の簡易なアライメントにより正確な位置にそれぞれ反射・結像させることができる。
また、図4に示すように、出口の分割領域(R3、R4)をすべて分離光学面42により反射させ、素子中心軸a上に結像される光を無くすようにしても勿論よい。図中(b)は領域を2つ(R3、R4)に分けた例であるが、(c)に示すように4つ(R5~R8)に分けたり、その他の数に分けてもよい。また、この場合、図5に示すように外周面に複数の平面ミラー部7を備えた角錐台ミラー71を設けて各平面ミラー部7により各領域からの光を外側に反射させることも好ましい実施形態である。これによれば、平面ミラーを複数設ける場合に比べて部品点数を少なくすることができる。
角錐台ミラー71の代わりに角錐ミラーを用いてもよい。また、外周面ではなく内周面に同様の複数の平面ミラー部7を備える、内周面が角錐台面形状の筒状ミラーを用いて各領域からの光を内側に反射させるものでもよい。角錐台ミラー71はその中心軸が素子中心軸aに一致するように同軸に設けられているが、これに何ら限定されない。
以上の説明では、出口の分割領域から出た光を分離光学面42で一度反射させて結像させているが、当該光の光路上に複数の分離光学面42をおいて複数回反射させたうえで結像させるように構成してもよい。
図6(a)は、マルチスペクトラルイメージングを実現するX線撮影装置の例を示している。具体的には、照明光学系2に、上記分離光学面42によって反射される一部の領域の光の波長が、他の少なくとも1つの領域からの光の波長とは異なる波長となるように異波長のX線を生成する異波長生成部23が設け、これにより2以上の位置(検出器51、52の位置)で同じ試料の異なる波長によるX線像を同時に得ることができるものである。サンプルの破壊的な検査や、時間によって変化するサンプルを観察する際に大きなアドバンテージを示す。
異波長生成部23は、固体フィルタや分光器を用いて異なる波長の照明光を生成し、各開口に与えるものである。放射光のような白色光源や、高次高調波のようなマルチスペクトル光源の利用を想定している。本例では、異波長生成部23として、バンドパスフィルタ63を用いる例を示している。本発明ではシングルショットでの撮影が実現可能であるため、時間の同時性が担保されたスペクトラルイメージが取得可能となる。
すなわち、バンドパスフィルタ63により波長を変えた光を2つ、異なる方向から試料3に同時に入射させ、透過した光を上記結像光学素子41および分離光学面42を通じて互いに異なる位置に結像させ、各位置の検出器で違う波長の情報「像」を検出するものである。たとえば波長が2nmの光と4nmの光を同時に入射して2nmの像と4nmの像がとれる。物質は波長により吸収係数が異なる。吸収係数による観察像の違いから、物質の詳細が判明する。
従来は、波長を振って像を得るため、得られる像は互いにタイミングが異なる像となる。これに対し、本発明では同時に各波長の光の像を取得できる。分割する数により多くの波長の像を同時に取得できることになる。高次高調波、放射光などのX線光源は多波長のX線を放射するので、本例のようにフィルタを通して複数の波長の光を得ることができる。
また、図6(b)は、上記異波長生成部23として、バンドパスフィルタ63の代わりに、回折格子64にてエネルギーごとに異なる角度にX線が出射され、ミラーアレイ65と回転楕円体ミラー62により観察対象(試料3)へと異なる角度で照射する例である。
図7は、高速度イメージングを実現するX線撮影装置の例を示している。具体的には、照明光学系2に、一部の領域から出射される光が、他の少なくとも1つの領域からの光よりも遅延するように時間遅延光学系24を設け、これにより2以上の位置(本例では検出器51、52の位置)で試料の時間のずれたX線像を得るものである。本手法を用いると、X線自由電子レーザー(FEL)や高次高調波のようなパルス光源を用いて、従来の電気式高速度カメラでは撮影ができないピコ秒、フェムト秒といった高速度領域のダイナミクスを、空間像として捉えることが初めてできるようになる。撮影の時間分解能は、前半の照明光学系2の構成により自由に調整可能であり、ユーザーが観たい現象に適した条件で撮影することが可能である。本手法では、従来方法でされている機械的・電気的な動作を一切排除し、完全なるシングルショットでの撮影が実現できる。
また、図6と図7の装置構成を組み合わせることにより、ダイナミクスを動画として取得しながら、多波長での観察を同時に実現することも可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施の例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
(光線追跡シミュレーション)
上述の実施形態のX線撮影装置の設計が実際に可能であることを確かめるために、光線追跡シミュレーションを行った。図10(a),(b)、図11(a),(b)は,それぞれ図1、図2、図4(c)、図5の例において、試料3上のある点からの光の伝搬の様子を光線追跡結果に基づいて示した図である。格子模様の箇所がウォルター型斜入射ミラー61を示し、その下流側の濃い黒の線分が平面ミラー部7を示し、灰色が光線を示している。
試料位置から伝搬した光線が、平面ミラー部によって分割され、分割されたそれぞれの光線群がそれぞれ別の位置に結像していることが分かる。ここでは、表示のために実際上用いることが不可能な形状設計のウォルターミラーを用いている。実際に本発明のX線撮影装置に用いるウォルターミラーはより倍率が大きく、光線のミラーへの斜入射角がより小さい。
(光線追跡による結像シミュレーション)
(軟X線を対象とした具体的な設計案)
次に、図12~図16は、軟X線を対象とした本発明の具体的な実装案を示すために、実際の利用を想定したX線撮影装置を設計し、さらに光線追跡による結像シミュレーションを行った結果を示す。設計は、波長4nm、すなわちフォトンエネルギ310eVの軟X線の利用を想定した。ウォルターミラーの設計は図8、図9および表1で示したものと同一である。
図12は、図1の例を実現する具体的なX線撮影装置の寸法図であり、図13は、図2の例を実現するX線撮影装置の寸法図である。ともに一枚の平面ミラーを挿入し、開口を二つに分割した場合を示している。
図15は、図12のシステムを用いて平面ミラーにより反射されて結像した像(平面ミラー反射あり)と、平面ミラーによって反射されずに素子中心軸上の位置で結像した像(平面ミラー反射なし)をそれぞれ示す。また、図16は、図13のシステムを用いて平面ミラーにより反射されて結像した像(平面ミラー反射あり)と、平面ミラーによって反射されずに素子中心軸上の位置で結像した像(平面ミラー反射なし)をそれぞれ示す。図14は試料として設定した元画像を示す。
いずれの像も、反射の有無で像の向きが反転していることを除けば、平面ミラー反射のあり/なしで、同一の像が得られていることが分かる。平面ミラーを用いて開口分割を行うことで波面収差による像の劣化を引き起こすことなく複数の像を得ることができることが分かる。
(硬X線を対象とした具体的な設計案)
次に、図17~図19は、硬X線を対象とした本発明の具体的な実装案を示すために、実際の利用を想定したX線撮影装置を設計し、さらに光線追跡による結像シミュレーションを行った結果を示す。設計は、波長0.12nm、すなわちフォトンエネルギ10keVの硬X線の利用を想定した。ウォルターミラーの設計を図17および表2に示す。
Figure 0007078815000002
X線を斜入射ミラーで反射させる際、波長が短いほど浅い角度でミラーに入射させなければ十分な反射率を得ることができない。波長の短い硬X線を用いた場合、軟X線を対象とする場合に比べて斜入射角を浅く設計しなければならない。そのためウォルターミラーはより細長く、開口分割用の平面ミラーはより素子中心軸方向に長く設計される。ここで反射面の材質を軟X線用ウォルターミラーに用いたニッケルではなくルテニウムとしているが、これはルテニウムの方が硬X線領域における反射率が高いためである。一方で、硬X線を用いた場合軟X線より波長が短いため空間分解能は向上する。
図18は、図1の例を実現する具体的なX線撮影装置の寸法図であり、一枚の平面ミラーを挿入し、開口を二つに分割した場合を示している。図19は、図18のシステムを用いて平面ミラーによる反射されて結像した像(平面ミラー反射あり)と、平面ミラーによって反射されずに素子中心軸上の位置で結像した像(平面ミラー反射なし)をそれぞれ示す。反射の有無で像の向きが反転していることを除けば、平面ミラー反射のあり/なしで、同一の像が得られていることが分かる。軟X線の場合と同様、平面ミラーを用いて開口分割を行うことで波面収差による像の劣化を引き起こすことなく複数の像を得ることができることが分かる。
1、1A-1G X線撮影装置
2 照明光学系
3 試料
4 結像光学系
7 平面ミラー部
20 X線源
21 集光光学系
22 集光素子
23 異波長生成部
24 時間遅延光学系
41 結像光学素子
41c 出口
42 分離光学面
50、51、52 検出器
60 回転楕円体ミラー
61、61A、61B ウォルター型斜入射ミラー
62 回転楕円体ミラー
63 バンドパスフィルタ
64 回折格子
65 ミラーアレイ
70 平面ミラー
71 角錐台ミラー
101 X線撮影装置
102 照明光学系
104 結像光学系
121 集光光学系
610 回転双曲面
611 回転楕円面

Claims (16)

  1. 結像光学系として、
    結像光学素子を設けるとともに、
    該結像光学素子の下流側に、該結像光学素子の出口のうち一部の領域から出射された光を反射して他の領域から出射された光とは別の位置に結像させる分離光学面を、単または複数設け、
    これにより試料のX線像を2以上の位置で得ることを特徴とする、
    X線撮影方法。
  2. 前記結像光学素子がウォルター型斜入射ミラーである、請求項1記載のX線撮影方法。
  3. 前記分離光学面が平面ミラー部である、請求項1又は2記載のX線撮影方法。
  4. 前記一部の領域が、前記結像光学素子の出口を、素子中心軸を中心とした周方向に沿って複数の領域に分割した分割領域のうちの一つである、
    請求項1~3の何れか1項に記載のX線撮影方法。
  5. 前記分割領域を3つ以上設け、
    そのうち2つ以上の分割領域をそれぞれ前記一部の領域として、各領域から出射された光を反射して他の領域から出射された光とは別の位置に結像させる、ミラー面が互いに異なる方向を向いた前記を2つ以上設けた、
    請求項4記載のX線撮影方法。
  6. 照明光学系に、前記一部の領域から出射される光の波長が、他の少なくとも1つの領域からの光の波長とは異なる波長となるように異波長のX線を生成する異波長生成部を設け、
    これにより前記2以上の位置で同じ試料の異なる波長によるX線像を同時に得る、
    請求項1~5の何れか1項に記載のX線撮影方法。
  7. 照明光学系に、前記一部の領域から出射される光が、他の少なくとも1つの領域からの光よりも遅延するように時間遅延部を設け、
    これにより前記2以上の位置で試料の時間のずれたX線像を得る、
    請求項1~5の何れか1項に記載のX線撮影方法。
  8. 結像光学系として、
    結像光学素子を設けるとともに、
    該結像光学素子の下流側に、該結像光学素子の出口のうち一部の領域から出射された光を反射して他の領域から出射された光とは別の位置に結像させる分離光学面を、単または複数設け、
    これにより試料のX線像を2以上の位置で得ることを特徴とする、
    X線撮影装置。
  9. 前記結像光学素子がウォルター型斜入射ミラーである、請求項8記載のX線撮影装置。
  10. 前記分離光学面が平面ミラー部である、請求項8又は9記載のX線撮影装置。
  11. 前記一部の領域が、前記結像光学素子の出口を、素子中心軸を中心とした周方向に沿って複数の領域に分割した分割領域のうちの一つである、
    請求項8~10の何れか1項に記載のX線撮影装置。
  12. 前記分割領域を3つ以上設け、
    そのうち2つ以上の分割領域をそれぞれ前記一部の領域として、各領域から出射された光を反射して他の領域から出射された光とは別の位置に結像させる、ミラー面が互いに異なる方向を向いた前記分離光学面を2つ以上設けた、
    請求項11記載のX線撮影装置。
  13. 前記2つ以上の分離光学面を外周面若しくは内周面に有する、角錐ミラーまたは角錐台ミラーを中心軸が素子中心軸に一致するように同軸に設けてなる、請求項12記載のX線撮影装置。
  14. 照明光学系に、前記一部の領域から出射される光の波長が、他の少なくとも1つの領域からの光の波長とは異なる波長となるように異波長のX線を生成する異波長生成部を設け、
    これにより前記2以上の位置で同じ試料の異なる波長によるX線像を同時に得る、
    請求項8~13の何れか1項に記載のX線撮影装置。
  15. 前記異波長生成部が、バンドパスフィルタ、または分光器よりなる請求項14記載のX線撮影装置。
  16. 照明光学系に、前記一部の領域から出射される光が、他の少なくとも1つの領域からの光よりも遅延するように時間遅延光学系を設け、
    これにより前記2以上の位置で試料の時間のずれたX線像を得る、
    請求項8~13の何れか1項に記載のX線撮影装置。
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