JP2016509872A - 高エネルギにおけるx線位相コントラストイメージング及びctのための大視野格子干渉計 - Google Patents

高エネルギにおけるx線位相コントラストイメージング及びctのための大視野格子干渉計 Download PDF

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Abstract

本発明に基づくデバイス及び方法は、非常に高いX線エネルギまで対応する大視野タルボ−ロー位相コントラストCTシステムを提供する。このデバイスは、視射角に傾斜され、単一の基板上にタイリングされたマイクロ周期格子(micro-periodic gratings)を含み、大視野位相コントラストCTシステムを提供する。本発明は、大きい物体に対して、高いX線エネルギで位相コントラストトモグラフィ(PC−CT)を実行できるFOVがより大きいシステムに複数のGAIを結合する、簡潔で、経済的で、正確な方法を提供する。デバイス及び方法は、医療用X線イメージング、産業用非破壊テスト及び保安目的のスクリーニングに適用できる。【選択図】 図5

Description

政府の権利
本発明は、米国保健福祉省、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)による承認番号1R21EB012777−01A号に基づく国庫補助を受けて達成された。米国政府は、本発明について一定の権利を有する。
関連出願
本出願は、Dan Stutman及びMichael Finkenthalによって2013年1月31日に出願された米国特許出願番号第13/493,392号、発明の名称、「Differential Phase Contrast X-ray Imaging System and Components」、及び2014年2月6日に出願された米国特許出願第14/174,830号、発明の名称、「System and Method for Phase-Contrast X-ray Imaging」に関連し、2013年2月12日に出願された米国仮出願第61/763,683号、発明の名称、「High Energy X-Ray Phase Contrast CT Systems Using Tiled Glancing Incidence Gratings」の優先権を主張し、これらの全体は、引用によって本願に援用される。
本発明は、包括的には、医療用イメージングに関する。具体的には、本発明は、高エネルギX線を用いて大視野位相コントラストイメージング(large field-of-view phase contrast imaging)を提供するデバイスに関する。
タルボ−ロー干渉計(Talbot-Lau interferometer)は、「線源」、「ビームスプリッタ」及び「アナライザ」の3つのマイクロ周期格子(micro-period gratings)から構成される。線源及びアナライザは、吸収格子であり、通常、Auから形成され、ビームスプリッタは、薄い位相格子であり、通常、Si又はNiから形成される。人体の厚い部分の微分位相コントラスト(differential phase-contrast:DPC)イメージングを可能にするためには、干渉計は、高いエネルギで動作する必要がある。例えば、膝のX線DPCイメージングを行うことができ、このために、ラジオグラフィは、通常、60〜65kVp(40〜45keVの平均スペクトルエネルギ)で行われ、従来のCTは、80〜90kVp(55〜60keVの平均エネルギ)で行われる。
更に、干渉計は、許容できる線量で屈折イメージングを可能にするために、小さなX線角変化への感度が非常に高くなければならない。この感度は、フリンジコントラスト又は「鮮明度」Vと、角度分解能Wの2つのパラメータによって決定される。コントラストは、「明視野(bright-field)」及び「暗視野(dark-field)」の強度をそれぞれIBF及びIDFとして、V=(IBF−IDF)/(IBF+IDF)と定義され、Wは、干渉計周期と、格子間の距離との間の比によって表される。DPC画像の信号対雑音比(SN比)は、コントラストの向上によって急速に向上するため(例えば、DPC−CTにおいては、およそV)、医療用のDPCイメージングにおいては、高コントラスト(約20%以下の範囲)が必要とされる。また、軟組織のX線屈折角は、サブマイクロラジアンの規模であるため、高い角度分解能(W≦数μrad)が必要である。屈折角は、エネルギに対して約1/Eとして減少するので、大きなX線エネルギでは、高コントラスト及び角度分解能の要求がより重要となる。
体の大きな部分をDPCイメージングするためには、タルボ−ロー干渉計は、10μm以下の周期の格子を使用しながら、40keV以上の平均スペクトルエネルギで20%以上のコントラストを有する必要がある。しかしながら、従来の垂直入射タルボ−ロー干渉計では、数ミクロン周期の吸収格子の厚さが技術的に約100μmに制約されるので、これは不可能である。この制約を説明するために、図1Aでは、55keVの平均エネルギのために設計され、厚さ100μm、50%のデューティサイクルのAu格子を有する第1タルボ次数(m=1)、5μm周期干渉計の算出されたコントラストをプロットしている。また、2mmのAl、75μmのCu及び150mmの軟組織を透過した後の80kVpのW陽極管のスペクトルもプロットしている。最大コントラストは、低く、コントラスト曲線のチューブスペクトルへの重なりは不十分であり、スペクトル平均コントラストは、約6%に過ぎない。これに比べて、完全な吸収格子を有する干渉計の平均コントラストは、約32%となる。
視射角タルボ−ロー干渉計(glancing angle Talbot-Lau interferometer:GAI)は、高いX線エネルギで位相コントラストイメージングを可能にするデバイスであり、このデバイスでは、格子は、ビーム方向に対して約10〜30°の角度αで傾斜するバーを有する。格子を傾斜させることによって、有効吸収体厚が垂直入射値tからt/sin(α)に増加するという効果がある。X線吸収は、厚さに対して指数関数的に向上するため、これによって、既存の約100μmの厚さの格子を用いて、高エネルギで高コントラストを達成できる。
上述したようなGAIデバイスの主な制約は、図1Bに示すように、傾斜した格子の開口内の強いコリメーションによって格子バーへの方向垂直の視野が数十mm以下に制約されるという点である(口径食)。同時に、体の厚い部分又は手荷物検査等、より大きい物体のCTのためには、最大数十cmの視野(field of view:FOV)が必要とされる。更に、これまでの研究によって、位相コントラストトモグラフィ(phase-contrast tomography:PC−CT)のための最適な構成は、図1Bに示すようなCT軸に平行な格子バーであることが知られている。
したがって、効率的且つ正確に複数のGAI格子を結合して、大きい物体のDPC−CT及びイメージングが可能な大きいFOV干渉計システムを構成するデバイスが求められている。
上述した課題を解決するために、本発明に係る干渉計は、基板上にタイリング(tiled)された複数のマイクロ周期格子を有する。格子は、入射放射の方向に対して視射角だけ傾斜された吸収バーを含む。吸収バーは、入射X線と平行に整列され、格子は、格子バー方向に沿って固定の周期を有する。
本発明の実施形態では、干渉計デバイスは、大視野DPCイメージングシステムにおいて使用されるように構成される。基板は、単一のSiウェハ又はCウェハの形式の基板であってもよい。図2に示すように、複数のGAI格子をX線ビーム方向に従って回転させて基板上に「タイリング」することによって、大きい水平視野を達成することができる。また格子を垂直方向に積層することによって、DPC−CT又はDPCラジオグラフィにおける水平方向及び垂直方向の両方のFOVを大きくすることができる。また、格子の吸収バーは、ビーム方向に沿って約10°から約30°の角度で傾斜させる。
以上の包括的な説明及び以下の詳細な説明は、何れも、説明を目的とする例示的なものであり、特許請求される発明を制限するものではない。
本発明に基づく追加的な特徴、具体例及び実施形態は、以下の詳細な説明に示され、又は開示内容の実施によって明らかとなる。本発明の範囲及び境界は、特に、特許請求の範囲で示される要素及びこれらの組合せによって定義される。
添付の図面は、本明細書の一部を構成し、本発明の実施形態を例示し、詳細な記述と共に、本発明の原理を説明する。
55keVの平均エネルギのために設計され、厚さ100μm、50%のデューティサイクルのAu格子を有する第1タルボ次数(m=1)、5μm周期の従来の(垂直入射)干渉計の算出されたコントラスト(グレーの連続曲線)及び非常に厚い格子(∞)及び10°の角度で傾斜された同じ格子を有するGAI(600μm)のコントラストを示すグラフ図である。 GAI干渉計のための格子バーを示す図である。 本発明の実施形態に基づき、単一の基板上で入射X線に平行に向けられた複数の格子ブロックを有するタイリングされた視射角格子干渉計(GAI)を示す図である。 格子パターンが僅かにずれるように組み合わされたサブ格子の構成例を示す図である。 「タイリング」モードで動作するGAI干渉計によって取得されたモアレ縞及び高い縞コントラストを示す図である。 実施形態に基づく大きな四肢関節のための臨床用スキャナの具体例における3つのタイリングされたウェハを用いた大視野アナライザを示す図である。 実施形態に基づく大きな四肢関節のための臨床用スキャナの具体例におけるスキャナの側面図である。 実施形態に基づく大きな四肢関節のための臨床用スキャナの具体例におけるスキャナの平面図である。 本発明の実施形態に基づき、ビーム方向に沿って約10〜30°の角度αで傾斜されたバーを有する格子を用いる視射角タルボ−ロー干渉計を示す図である。 従来の干渉計による高エネルギにおけるコントラストを示す図である。 本発明の実施形態に基づく視射角干渉計による高エネルギにおけるコントラストの大きな向上を示す図である。 本発明の実施形態に基づき、20cmの水を通過したX線を用いて、80kVpにおいて、10μm周期、m=1干渉計によって、10°の入射角で得られたモアレ縞コントラストを示す図である。 本発明の実施形態に基づくタイリングがないGAI干渉計において生じる視野の口径食を示す図である。 本発明の実施形態に基づき、高エネルギにおいて、GAIによって取得された水中の小さい関節ファントムの画像を示す図である。 本発明の実施形態に基づき、80kVpのエネルギにおいて、GAIデバイスによって取得された厚さ約120mmの筋肉を有する子牛の脚の全体に埋め込まれている直径約40mmの子牛の骨の減衰CT画像を示す図である。 本発明の実施形態に基づき、80kVpのエネルギにおいて、GAIデバイスによって取得された厚さ約120mmの筋肉を有する子牛の脚の全体に埋め込まれている直径約40mmの子牛の骨のDPC画像を示す図である。 60kVp及び80kVpにおいて、5.4μm及び10μm視射角干渉計で取得された人間の指の関節のDPC−CT画像及び減衰CT画像を示す図である。
以下、本発明の例示的な実施形態を、添付の図面に示すその具体例と共に詳細に説明する。便宜上、全ての図面に亘って同じ又は同様の部分には、同じ参照符号を用いている。
本発明について包括的に示す数値範囲及びパラメータは、概数であるが、特定の具体例では、可能な限り詳細な数値を示す。但し、如何なる数値もそれぞれの検査測定における標準偏差から生じる必然的な誤差を含むことがある。更に、ここに開示する範囲は、その範囲に含まれるあらゆる全ての下位範囲を包含するものと解釈される。例えば、「10以下」の範囲は、最小値ゼロと最大値10の間のあらゆる全ての下位範囲を含むことができ、すなわち、0以上の最小値と、10以下の最大値とを有するあらゆる全ての下位範囲、例えば、1〜5等の範囲を含む。ある場合、パラメータについて述べる数値は、負の値を取ることができる。この場合、「10以下」の範囲の値は、例えば、−1、−2、−3、−10、−20、−30等の負の値も包含できる。
本発明に基づくデバイス及び方法は、非常に高いX線エネルギまで対応する大視野タルボ−ロー位相コントラストCTシステムを提供する。このデバイスは、視射角に傾斜され、単一の基板上にタイリングされたマイクロ周期格子(micro-periodic gratings)を含み、位相コントラストCTシステムに必要な大視野を提供する。本発明は、大きい物体に対して、高いX線エネルギで位相コントラストトモグラフィ(DPC−CT)を実行できるFOVがより大きいシステムに複数のGAIを結合する、簡潔で、経済的で、正確な方法を提供する。デバイス及び方法は、医療用X線イメージング、産業用非破壊テスト及び保安目的のスクリーニングに適用できる。
X線微分位相コントラスト(differential phase-contrast:DPC)又はタルボ−ロー干渉計による屈折に基づくイメージングは、従来の減衰に基づくイメージングと比べて軟組織のコントラスト及び空間分解能を向上させる新しい医療用イメージング方式となる可能性を有している。特に、近年の研究では、DPC−CTを用いることによって、他のイメージング方式では検出できない軟組織の小さな病変を検出できることが示唆されている。また、新しい骨イメージング方式も可能である。
本発明は、図2Aに示すように、入射方向に沿って視射角によって傾斜され、及び入射X線と平行に揃えられた吸収バーを有する複数の「タイリングされた(tiled:タイルのように貼り付けられた)」マイクロ周期格子の使用を含む。傾斜された格子のタイリングは、タルボ−ロー視射角干渉計(Glancing Angle Interferometer:GAI)における改善点(進歩)であり、これによって、簡単で経済的な手法で高エネルギX線によるDPC−CTのための大きなFOV干渉計システムを構築できる。
また、本発明は、図2に示すように、単一の基板上での複数のタイリングされたGAI格子の使用を含む。単一の基板を使用することによって、リソグラフィック製造プロセスを用いて、「サブ格子」又は格子ブロックが数nmの精度で予め整列されるので、干渉計の整列が著しく単純化され、多くの高価な微小位置決め段が不用になる。
図2Aは、本発明の実施形態に基づく単一の基板上の複数のタイリングされた視射角干渉計(GAI)格子を示している。図2Aに示すように、単一の基板又はウェハの上には、僅かに回転されたラインを有する複数の「サブ格子」又は格子ブロックが配置されている。全てのサブ格子は、等しい周期及び幅を有し、幅は、これらの口径食曲線(vignetting curve)のFWHM(例えば、10°の角度及び2mの長さを有する10μm周期格子の場合約10mm)以下である。回転角は、各サブ格子の中心光線方向に従う。これによって、入射X線からは、良好な近似によって光線方向に整列するコリメータのアレイが「見え」、この結果、口径食が最小になる。例えば、6インチのSiウェハは、10mmの幅、90mmの高さの12個のサブ格子を収容し、これによって、検出器において、20°の視射角で120mmの幅、30mmの高さのFOVが得られる。このようなウェハを複数個横に並べることによって、大きな物体の完全なコーンビームCTに十分な数十cmの幅の連続するFOVをカバーできる。
このソリューションの利点は、サブ格子がリソグラフィック製造プロセスによってナノメータ精度で整列するので、複雑で高価な位置決めシステムが不用になるという点である。
10μm周期、2mの長さの10視射角干渉計を横方向に移動させ、同時に格子を回転させることによって、本発明に基づく方法の機能を実験的に検証した。図3は、このセットアップによって得られたモアレ縞及びそのコントラストを示しており、これによって、格子が軸上位置から遠くに配置されている状態で、高い干渉計コントラストを得ることができることが確認された。更に、図4A〜図4Cに示すように、タイリングされた格子を垂直方向に積層して、大きな水平及び垂直FOV PC−CTシステムを形成してもよい。この結果、格子がタイリングされた視射角干渉計は、大きな四肢関節又は頭部等のCTのための高エネルギDPC−CTシステムの開発を可能にする。
図4A〜図4Cは、本発明に基づく四肢関節の臨床的評価に使用できるコーンビームGAI−CTスキャナ及びイメージャの具体例を示しており、図4Aは、3つのタイリングされたウェハを用いた、大視野アナライザ格子を示しており、図4B及び図4Cは、それぞれスキャナの側面図及び平面図を示している。
このシステムは、平均的な人間の膝に対して、55〜65keVの平均エネルギによる透過スペクトルに対応する75〜100kVpで動作できる。この範囲は、四肢の減衰CTに最適な範囲(80〜90kVp)を含む。臨床的に妥当なシステム長を有しながら、角感度を最大にするために、システムは、約12°の視射角において、第3タルボ次数(約1.5mの長さ)で動作する厚さ100μm、約5μmの等しい周期の格子を有する対称GAI設計を用いる。この第3タルボ次数によって、角感度及びコントラストの積、したがって、DPC−CTのSN比が最大になることが計算によって確認された。図1Aに示すエネルギの関数として算出された縞のコントラスト(600μmのマークが付された曲線)は、約30%の高いスペクトル平均コントラストを示している。
図4Aは、面積が大きなタイリングされた格子の設計を示している。12°で傾斜された10mm幅の10個のサブ格子で構成される100×100mmの格子アレイがそれぞれタイリングされた3個の6インチウェハを重ねることによって、幅30cm、高さ20mmのFOVが実現される。サブ格子は、図2Bに示すように、格子パターンが互いに僅かにずれるように組み合わせることができる。正確な位置決めのために、開口部を有する精密機械加工されたトレーにウェハを載置することができる。格子基板間の部分的な重複によって増加するビーム減衰は、僅かである。幾つかの具体例では、タイリングされた格子は、図2A及び図4Aに示すように、扇状の構成を有していてもよい。幾つかの具体例では、タイリングされたGAI格子を用いて、検出器において、広いFOV(例えば、30cm)を達成すると共に、タイリングされた複数列のGAIを垂直に積層することによって、高いFOVを実現する。これに代えて、一列のGAI格子によって物体(例えば、膝)を螺旋状にスキャンする「スロットスキャン」DPC−CTシステムを構築してもよい。
図4B及び図4Cは、それぞれ、スキャナ400の側面図及び平面図を示している。スキャナ400は、振動なしでタルボ−ロー干渉計を支持するように構成された第1のアーム405を含む。干渉計は、線源格子(source grating)G0 410と、位相格子(phase grating)G1 415と、アナライザ格子(analyzer grating)G2 420とを含む。第1のアーム405から独立した第2のアーム425は、X線管430及び検出器435を支持するように構成されている。第1のアーム405及び/又は第2のアーム425は、例えば、宇宙光学計器で使用されている当分野で周知の軽く、硬く、熱安定性を有するカーボンハニカムによって形成してもよい。スキャナ400は、サンプル435を巡ってスキャナ400を回転させる大口径ステッパステージ(stepper stage)に装着してもよい(詳細は図示せず)。
パルスX線による線源格子の加熱に起因するシステム又は背景の位相変動を排除するために、X線管430は、パルス管に代えて、DC管であってもよい。適切なX線管の具体例は、直流モードで、80kVpにおいて、最大約25mA提供し、デュアルスポット能力(IEC336規格で160μm/400μm)を有する、スイスのComet社製のMXR−160HP/11インダストリアルチューブ(industrial tube)である。このX線管は、敏感な干渉計と共に行われるスキャニングに適合する小型で、軽量で、振動がないX線源を提供する。また、当分野で周知の他の同様のタイプのX線源を用いてもよい。
検出器435は、テレダインダルサ社(Teledyne DALSA Inc.)が開発したパノラマ式イメージング用のARGUSモデル等の高効率、直接接続Csl/CCDであってもよい。この検出器は、一般的なCMOSフラットパネルに比べて、感度が約1桁高く、スロットスキャン臨床システムに好適な形状を有する。画素サイズは、27〜160μmの間で変更でき、取得時間は、0.125s以上である。また、当分野で周知の他の同様のタイプの検出器を用いてもよい。
ここ説明するタイリングされたGAI格子タルボ−ロー干渉計は、更なる変更を加えることなく、高エネルギのX線位相コントラストCTに直接的に適用できる。但し、特に、サブ格子寸法及び角度に関する設計を更に最適化して、このようなシステムを物理的に実証することができ、医療、保安及びNDT用途のためのプロトタイプを構築することができる。
更に、図5は、本発明に基づく、ビーム方向に沿って約10〜30°の角度αで傾斜されたバーを有する格子を用いる視射角タルボ−ロー干渉計を示している。格子を傾斜させることによって、有効アブソーバ厚が垂直入射値tからt/sin(α)まで大きくなる。X線吸収は、厚さに対して指数関数的に向上するので、これによって、既存の厚さ約100μmの格子を用いて、高エネルギで高いコントラストを実現できる。図1Aは、上述した干渉計について、100μmのAu格子を約10°の角度αで傾斜させた場合(600μmの有効厚)に算定されるコントラストによって、予想されるコントラストの向上を示している。コントラストは、高いエネルギにおいて大きく向上し、スペクトル平均コントラストは、約5倍も改善されている。
図5は、本発明の実施形態に基づく微分位相コントラストX線撮像システム500の具体例を示している。微分位相コントラストX線撮像システム500は、X線照射システム502と、X線照射システム502の光路506に配置されたビームスプリッタ104と、光路510に配置され、ビームスプリッタ504を通過したX線を検出するように構成された検出システム508とを含む。検出システム108は、X線検出コンポーネント512を含む。ビームスプリッタ504は、入射X線ビームを遮り、X線の干渉パターンを提供するように構成されたスプリッタ格子を含む。非制限的な具体例として、ビームスプリッタ504は、Si又はNiから形成された薄い位相格子であってもよい。
また、検出システム508は、X線検出コンポーネント512に達する前に、X線の干渉パターンの少なくとも一部を遮蔽するように構成されたアナライザ格子514を含む。アナライザ格子514は、縦方向(longitudinal dimension)と、縦方向に直交する横方向(lateral dimension)と、縦方向及び横方向に直交する横断方向(transverse dimension)とを有する。アナライザ格子514のパターンは、光学的に密な複数の領域を有し、これらの領域のそれぞれは、縦方向に沿って最も長い寸法を有し、横方向において互いに実質的に平行になるように離間され、これによって、隣り合う光学的に密な領域の間に、光学的に疎な領域が存在する。
光学的に密な領域のそれぞれは、横断方向に深さを有し、この深さは、縦方向の長さより短い。アナライザ格子514は、縦方向が入射X線に対して浅い角度αを形成するように構成されており、浅い角度αは、30°未満である。アナライザ格子514の縦方向は、浅い角度α(これを視射角(glancing angle)とも呼ぶ。)で傾斜されている点を除いて、実質的に光路510(例えば、光軸であってもよい。)に沿っている。
本発明の一実施形態では、光学的に密な領域のそれぞれは、横断方向における深さを有し、この深さは、縦方向の長さの少なくとも2分の1より小さい。一実施形態では、光学的に密な領域のそれぞれは、横断方向における深さを有し、この深さは、縦方向の長さの少なくとも10分の1より小さい。更なる実施形態では、光学的に密な領域のそれぞれは、横断方向における深さを有し、この深さは、縦方向の長さの少なくとも100分の1より小さい。
本発明の一実施形態では、浅い角度αは、25°より小さく、5°より大きい。他の実施形態では、浅い角度αは、15°より小さく、3°より大きい。本発明の実施形態は、医療用途に適する。約100μmを超えるAuアブソーバの厚さで数ミクロン周期格子を形成することは困難であるため、5〜25°の範囲の角度で格子を傾斜させて、200〜1000μmの有効Au厚を実現する。図1Aに示すように、この厚さによって、医療目的のための約40keV〜110keVの関心エネルギ範囲に亘って、人体の深層部への位相コントラストイメージングのための90%を超えるX線吸収(したがって、高い干渉計コントラスト)が可能となる。他の実施形態は、産業用又は非破壊試験(non-destructive testing:NDT)の用途に適用される。3〜15°の範囲の視射角及び400〜2000μmの範囲の有効Au厚を用いることによって、産業用NDT用途のための約100keV〜250keVの関心エネルギ範囲において、X線吸収及び干渉計コントラストが良好になる。
本発明の一実施形態では、スプリッタ格子504は、反射格子(図示せず)である。本発明の一実施形態では、スプリッタ格子504は、透過格子である。スプリッタ格子504が透過格子である実施形態では、スプリッタ格子は、上述したアナライザ格子514と同様に、縦方向と、縦方向に直交する横方向と、縦方向及び横方向に直交する横断方向とを有する。この実施形態のスプリッタ格子504は、光学的に密な複数の領域を有し、これらの領域のそれぞれは、縦方向に沿って最も長い寸法を有し、側方向において互いに実質的に平行になるように離間され、これによって、隣り合う光学的に密な領域の間に、光学的に疎な領域が存在する。光学的に密な領域のそれぞれは、横断方向に深さを有し、この深さは、縦方向の長さより小さい。スプリッタ格子514は、縦方向が入射X線に対して浅い角度αを形成するように構成されており、浅い角度αは、30°未満である。幾つかの実施形態では、スプリッタ格子504は、アナライザ格子514と同様に構成してもよく、アナライザ格子514に関して上述したように、光軸に沿って位置は異なるが、浅い角度αを形成するように配置してもよい。
ここで言うX線を「遮蔽する」とは、格子の光学的に疎な領域を通過するX線に対して十分な減衰を達成し、特定の用途のために有用なコントラストを実現することを意味する。ここでは、必ずしも完全に100%の減衰を必要としない。
本発明の幾つかの実施形態では、スプリッタ格子504及びアナライザ格子514は、タルボ−ロー条件に基づいて決定された距離だけ離間して配置される。幾つかの実施形態では、スプリッタ格子504及びアナライザ格子514は、タルボ−ロー条件に基づいて決定された格子パターンを有する。
本発明の幾つかの実施形態に基づくX線照射システム502は、X線源516と、X線源516及びビームスプリッタ104の間の光路に配置された線源格子518とを含むことができる。線源格子518は、図5に示すように、X線源516が空間的に広がるX線の線源であるとき、複数の実質的にコヒーレントなX線ビームを提供する。但し、本発明の広い概念は、図5に示す特定の実施形態に制限されない。X線照射システム502は、透過格子及び/又は反射格子の両方を含む1つ以上の格子及びミラーの組合せを含むことができる。非制限的な具体例として、線源格子518及びアナライザ格子514は、Auから形成された吸収格子であってもよい。
視射角設計の制約は、格子を傾斜させることによって、垂直方向の視野もsin(α)を係数として減少するという点である。すなわち、約70〜80mmの一般的な格子高さを仮定すると、達成可能な垂直視野は、10〜30°の角度において、約12〜40mmである。更に、全ての格子干渉計に共通の制約は、狭く(数μm)深い(約100μm)格子開口によって水平視野が減少するという点である(口径食)。視射角では、開口の有効深さが増加するため、この効果が顕著になる。
全ての格子周期が等しく、ビームスプリッタを線源とアナライザの間の中間の距離に配置した「対称」の干渉計セットアップを用いて例示的な実験を行ったところ、この構成は、所与の干渉計長さについて最大の角度分解能を提供した。2つの干渉計、すなわち、(1)厚さ100μm、全長1.6mのAu格子を有し、範囲40〜45keVの平均エネルギを有するスペクトルによって18〜30°の視射角で動作する5.4μm周期m=3干渉計と、(2)厚さ120μm、全長2mのAu格子を有し、範囲55〜58keVの平均エネルギを有するスペクトルによって10〜18°の視射角で動作する10μm周期m=1干渉計とを用いた。厚さ0.2〜0.5mm、直径70mmの直径を有するSiウェハにおいて、ドイツのマイクロワークス社(MicroWorks Inc.)製の格子を使用した。40〜58keVの平均エネルギを用いてX線スペクトルを取得するために、60〜80kVpでW陽極管(1mA/50μmスポット)を使用し、イメージングされるサンプルを厚さ70〜200mmの水槽に浸した。これらの条件は、比較的小さいテストサンプルを用いて、膝等の大きい関節のイメージングをシミュレートするためのものである(検出器サイズ及び1.7物体倍率によってサンプルにおける干渉計の視野は、25mmに制限される)。サンプルは、位相格子の後ろ約150mmの位置に配置した。
検出器として、厚さ150μm、42×42mmのCsI:Tlシンチレータを使用し、f/1中継レンズシステムを介して、36×36mmの64ビット冷却CCDで撮影した。サンプルにおけるX線撮像システムの空間分解能は、約75μmであった。レンズ結合検出器の効率が低く、X線管の電流が小さいので、十分な光子の静的情報を得るために、長い曝露(30〜40s)を行う必要があった。視射角干渉計による高エネルギにおけるコントラストの大幅な向上を図6A及び図6Bに示す。図6A及び図6Bは、垂直入射及び18°の入射において、5.4μm干渉計及び43keVの平均エネルギスペクトルによって取得されたモアレ縞コントラストを示している。垂直入射では、ビームスプリッタは、8.5μm厚のAu格子を用い、視射角による入射では、7μm厚のNi格子を用いた。これらの図からわかるように、視射角干渉計は、垂直入射干渉計の数倍のコントラストを有している。10°の入射において、10μm周期m=1干渉計を用いて80kVpで取得されたモアレコトンラストを示す図6Cの結果は、高エネルギDPCイメージングの効果をより顕著に示している。スペクトルは、2mmのAl、0.65μmのCu及び200mmの水でフィルタリングされ、約58keV平均エネルギが得られた。タルボ−ロー干渉法では、40〜60keVの範囲の平均エネルギは、AuのX線吸収が80keV未満と低いため、特に難しい。ここで、視射角セットアップによって、この難しい範囲でも30%より大きいコントラストを達成することができる。
図6A、図6B及び図6Cから、コントラストの増加と共に視射角の垂直視野が減少することがわかる。更に、80kVp/55keV及び10°の視射角において10μm干渉計によって得られた水平強度プロファイルをプロットした図7は、視射角において視野に口径食が生じることを示している。プロファイルのFWHMは、約18mmのみである。10°の角度の4.8μm周期、100μmの厚さのAu格子を有するm=3、長さ2mの干渉計の水平強度プロファイルによって示すように、より周期が短い/mが大きい干渉計では、FWHMが更に減少する。視射角干渉計のX線透過は、20%の範囲にあり、例えば、55keVの平均エネルギを有するスペクトルの場合、18°における5.4μm干渉計によるピーク透過は、約21%である。この実験より薄い格子基板を用いことによって、透過率を数パーセント高くすることができた。
本発明に基づく干渉計による、関節軟組織に類似する物質を区別する能力を評価するために、図8に示すように、同心円状の各層が、それぞれ関節滑液、軟骨、皮質及び小柱骨をシミュレートする水、PMMA、Al及びナイロンからなるファントム(人体模型)を使用した。上述したように、大きい関節をイメージングした際に得られるX線スペクトルをシミュレートするために、ファントムを厚い水槽に浸し、層間の隙間に水を満たした。
図8は、60kVp/43keVの平均エネルギで、30°の傾斜で、5.4μm周期干渉計を用いて取得したファントムのコーンビームCT画像を示している。データは、1°ステップで200個のCT角度、1角度あたり8位相ステップ、1ステップあたり30秒の曝露を用いて取得した。この結果は、高エネルギにおいて、軟組織に似た物質について、DPC−CTが優れた弁別能力を有していることを示している。例えば、DPC−CTは、PMMA(軟骨)を水から弁別するが、減衰CTでは、このような弁別はできない。また、ナイロン/水、及び特にナイロン/PMMAのコントラストもDPC−CTの方が優れている。更に、層間の薄い界面の細部についても、DPC−CTの方がコントラストが高い。また、200mmの水に浸されたファントムの80kVpのDPCによるX線写真は、減衰CTに比べて優れたコントラストを示しており、DPC画像では、PMMA層が弁別されているが、減衰CTでは、これは弁別されておらず、また、ナイロン/水のコントラストもDPCにおいて著しく向上している。
骨における強い小角散乱(USAXS)によって干渉計コントラストが実質的に損なわれ、骨が存在する箇所では、従来の干渉計では、DPC−CTが不可能になるので、医療DPC−CTにとって、骨は、主要な課題である。ここで、高エネルギにおける視射角干渉計の高いコントラストによって、骨が存在しても、位相コントラストイメージングが可能になる。これには、2つの理由がある。第1に、十分高いエネルギでは、骨による散乱が減少する。第2に、視射角干渉計は、初期のコントラストが十分高く、厚い骨の層を通過した後であっても、X線が十分なコヒーレント性を維持するため、位相コントラストイメージングが可能である。これらを例示するために、図9A及び図9Bは、厚さ約120mmの筋肉を有する子牛の脚の全体に埋め込まれている直径約40mmの子牛の骨の減衰CT画像及びDPC画像を示している。DPC画像は、詳細な骨構造及び皮質骨の骨膜層までも示しているが、これらは、減衰CT画像では弁別できない。
また、視射角干渉計は、エネルギが高いX線スペクトルで人間の関節の第1のDPC−CT画像を得ることができる。視野の制約のため、25mmのプラスチック製バイアルに浸された約23mmの直径の人間の指のPIP関節を用いた。バイアルには、組織を保存するために60%〜40%の水エタノール混合物を満たし、高エネルギの透過スペクトルを生成するためにこれを更に厚い水槽に浸した。CTパラメータは、関節ファントムの実験と同じに設定した。
図10は、60kVp及び80kVpにおいて、5.4μm及び10μm視射角干渉計で取得された関節のDPC−CT画像及び減衰CT画像を示している。DPC−CT画像は、雑音が多いものの、60kVp及び80kVpの両方において、軟組織コントラストを示しており、減衰CT画像は、何れのエネルギにおいても、軟組織コントラストを示していない。DPC−CTにおける軟組織コントラスト及び高空間分解能の組合せによって、屈筋腱(flexor tendon:FT)、掌側板(flexor tendon:FP)又は総指伸筋(extensor digitorum communis:EDC)等の解剖学的な細部をイメージングできる。
屈折角の減少によるエネルギの減少及び5.4μm干渉計に比べて10μm干渉計の角感度が低いことから予想されるように、80kVpのDPC画像の軟組織コントラストは、60kVpのDPC画像に比べて、若干低い。但し、周期がより大きい第1タルボ次数の干渉計を用いることによって、高エネルギで軟組織をイメージングできる。これは、周期が大きい格子は、より厚くすることができるため及び高kVpWチューブによって生成されるスペクトルが広いために最大干渉計コントラストが第1タルボ次数で得られるためである。
DPC−CTイメージの高周波雑音は、主にビームスプリッタ格子の不完全性に起因し、低周波雑音は、緩やかなシステム位相変化に起因すると考えられる。これらの作用は、長い曝露によって悪化し、CTスキャンの最初及び最後に特定された位相背景の減算が不正確になる。
上述した結果は、視射角格子干渉計が、40〜60keVの平均エネルギの難しい領域において、DPCイメージングのために好適なソリューションを提供することを示している。また、計算により、この設計は、80keVを超えるAu吸収の増加のために、最大150kVpまでの高い干渉計コントラストを提供することが示されている。更に、医療用途における利点として、DPCイメージングによる軟組織コントラストは、高エネルギにおいても、減衰CTイメージングより優れており、また、視射角干渉計によって、骨が存在する場合でも、DPCイメージングを行うことができる。
この視射角干渉計は、軟組織コントラストと高い空間分解能の組合せによって、人体の厚い部分の臨床用DPCイメージングに用いることができる。膝は、比較的長い時間固定でき、生理学的動きが問題となることが少ないため、臨床用DPCイメージングを検討する際、膝関節は、好適な部位となる。膝のためのDPC−CTシステムは、原理的に、従来のCTと同様のスペクトル及び被曝(それぞれ1スキャンあたり80〜90kVp及び数百mA・s未満)で動作する。
視射角干渉計は、高エネルギコントラストの問題を解決する。更に、視射角干渉計は、垂直視野が制限されているが、膝のCTの場合、関節空間を中心として、20〜25mmの垂直関心領域をイメージングすれば十分であるため、殆どの診断目的のために、このような制限は、問題とならない。但し、水平なFOVは、より大きい必要がある。一般的な膝の直径を約150mmとし、物体倍率を約1.5とすると、完全コーンビームCTのための検出器では、FOV≧220mmである必要である。しかしながら、図7に示すように、視射角干渉計の横方向の大きな口径食によって、単一の格子では、10〜20mm以上をカバーできない。
したがって、視射角DPC−CTシステムの設計の主な課題は、水平方向において大きなFOVをカバーするために、格子をどのように重ね合わせるか、すなわち「タイリング」するかということである。CT軸に直交するバーを有する格子をタイリングすることは、比較的容易である。しかしながら、DPC−CTでは、図5に示すように、格子バーがCT軸に平行な構成が望ましい。
図4は、単一の基板又はウェハ上に形成された、僅かに回転するラインを有する複数の「サブ格子」を含む、タイリングされた格子GAI干渉計の具体例を示している。全てのサブ格子は、等しい周期及び幅を有し、この幅は、サブ格子の口径食のFWHM(例えば、10°の角度の10μm周期の格子では、10mm)以下である。回転角は、各サブ格子の中心光線方向に従う。これによって、入射X線からは、良好な近似によって光線方向に整列するコリメータのアレイが「見え」、この結果、口径食が最小になる。例えば、6インチのSiウェハは、10mmの幅、90mmの高さの12個のサブ格子を収容し、これによって、検出器において、20°の視射角で120mmの幅、30mmの高さのFOVが得られる。このようなウェハを2つ並べることによって、完全なコーンビームCTに十分な240mm幅の連続するFOVをカバーできる。
上述した具体例の利点は、サブ格子がリソグラフィック製造プロセスによってナノメータ精度で整列するので、複雑で高価な位置決めシステムが不用になるという点である。
10μm周期の10視射角干渉計を横方向に移動させ、同時に格子を回転させることによって、上述した具体例の機能を実験的に検証した。図3は、このセットアップによって得られたモアレ縞を示しており、これによって、格子が軸上位置から遠くに配置されている状態で、高い干渉計コントラストを得ることができることが確認された。
このように、格子がタイリングされた視射角干渉計は、膝等のCTのための高エネルギDPCシステムの開発を可能にする。このようなシステムは、従来のCTシステムとは大きく異なる。例えば、タルボ−ロー干渉法において一般的な1.5〜1.7の物体倍率で高い空間分解能を達成するために、X線源は、100μm範囲のスポットサイズを有する場合がある。同時に、DPC−CT走査時間は、従来のCTより長くなる傾向があるので、干渉計減衰を補償する十分な強度を提供し及び長期間に亘って動作させる必要がある場合がある。このようなX線管としては、既存のX線管を使用し、臨床用のDPC−CTのために適応化することができる。例えば、蛋白質結晶構造解析のために開発されている微小焦点回転陽極型X線管(microfocus rotating anode tube)は、70μmのスポットサイズを有し、数kWのパワーで継続的に動作することができる。
低雑音、高効率及び高感度であり、且つ1つの方向に大きいFOVを有する検出器も必要である。このような検出器の具体例は、210mm幅のCCDに直接接続された高分解能シンチレータを有するダルサ社(DALSA)が開発したパノラマ式歯科イメージング用のARGUS X線CCDである。また、直接接続及び冷却CCDの感度の高さ及び雑音の少なさのために、許容可能なドーズ量で高い空間分解能を達成することができる。他の選択肢として、光子計数検出器(photon counting detector)を用いてもよい。
単一被曝位相回復法(single exposure phase-retrieval method)、例えば、当分野で周知の「インタレース走査」又はモアレ干渉法に関連してこのような高感度な検出器を用いることによって、従来のCTと同等なドーズ量で高分解能DPC−CTを行うことができると推定される。また、近年の分析は、DPC−CTが従来のCTより高いX線フラックスを要求しないことを示唆している。但し、格子において、強度が数分の一に減少するので、走査時間は、必然的に長くなる。したがって、ドーズ量及び走査時間を最小にするために、当分野で周知のモデルベースの統計的再構築(model-based statistical reconstruction)、スパースサンプリング(sparse sampling)又は圧縮センシング(compressed sensing)等、従来のCTのために開発された新たなイメージ再構築法をDPC−CTに試用及び適用することが重要である。
例示的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、ここに説明した実施形態を様々に変更できることは、当業者にとって明らかである。ここで使用した用語及び記述は、例示的なものであり、本発明を制限することを意図するものではない。例えば、具体例として方法について説明したが、この方法のステップは、例示したものとは異なる順序で実行してもよく、同時に実行してもよい。更に、詳細な説明及び特許請求の範囲で使用される「備える」、「有する」等の用語及びその活用形は、「含む」と同様に、包含的な意味で用いられる。また、項目の列挙、例えば、A及びBに関して用いられる「1つ以上」という表現は、Aのみ、Bのみ、又はA及びBの全てを意味する。特許請求の範囲及びその均等物によって定義される本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、これらの及びこの他の変形例を実施できることは、当業者にとって明らかである。
この明細書を検討し、この開示を実施することによって、当業者は、他の実施形態を想到することができる。本明細書及び具体例は、例示的なものにすぎず、本発明の範囲及び思想は、以下の特許請求の範囲に示されている。

Claims (5)

  1. 高エネルギX線システムにおいて入射X線を調整する干渉計デバイスにおいて、
    基板と、
    前記基板上に扇状にタイリングされた複数のマイクロ周期格子と、を備え、
    前記マイクロ周期格子は、入射X線の方向に対して視射角だけ傾斜された吸収バーを含み、前記吸収バーは、それらのビームコリメーション又は口径食幅以下の幅に亘って前記入射X線と平行にされている干渉計デバイス。
  2. 大視野(FOV)干渉計システムにおいて使用されるように構成されている請求項1記載の干渉計デバイス。
  3. 前記基板は、単一の基板を含む請求項1記載の干渉計デバイス。
  4. 前記マイクロ周期格子は、水平方向に扇状にタイリングされ、垂直方向に積層され、水平及び垂直大視野(FOV)微分位相コントラストトモグラフィ(DPC−CT)システムが形成される請求項1記載の干渉計デバイス。
  5. 前記マイクロ周期格子の吸収バーは、前記入射X線の伝播方向に対して約5°から約30°の角度で傾斜し、約5°から約15°の間の角度に亘って、それらの基板上で扇状に配置され、50乃至150kVpのエネルギのための大視野X線干渉計を形成する請求項1記載の干渉計デバイス。
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