JP2020038153A - 放射線画像生成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】格子の周期的構造の周期よりも細かい構造を解像することができる技術において、広い撮影視野を得る。【解決手段】格子部2は、互いに間隔を置いて配置された複数の格子要素211を有するG1格子21を備える。複数の格子要素211は、放射線7の強度が集中する集中部71を、G1格子21と検出器3との間に形成するG1周期構造を有する。集中部71は、G1周期構造の周期方向に沿って周期的に形成されている。複数の格子要素211におけるG1周期構造の延長方向は、放射線7の放射方向に対して傾斜する方向とされている。複数の格子要素211におけるG1周期構造の周期方向は、放射線7の放射方向に対して交差する方向とされている。検出器3は、格子部2を通過した放射線7を検出する。試料並進部4は、G1周期構造における周期方向に沿う方向に、かつ、集中部71を通過するように、試料を並進させる。【選択図】図1

Description

本発明は、被写体を透過した放射線、例えばX線における波としての性質を利用して被写体の構造を観察するための技術に関するものである。
透過力が高い放射線、例えばX線は、物体内部を透視するためのプローブとして、医用画像診断、非破壊検査、セキュリティチェック、X線顕微鏡などにおいて、広く利用されている。X線透視画像のコントラストは、X線減衰率の違いによっており、X線を強く吸収する物体はX線の影として描出される。
X線吸収能は、原子番号が大きい元素を多く含むほど強くなる。逆に原子番号が小さい元素から成る物質についてはコントラストがつきにくいことも指摘でき、これが従来のX線透視画像の原理的欠点でもある。したがって、生体軟部組織や有機材料などに対しては、十分な感度を得ることができない。
一方、X線における波としての性質を利用すれば、一般的な従来のX線透視画像に比べて最高で約3桁の高感度化を実現できる。以降、これをX線位相コントラスト法と称する。この技術を、X線をあまり吸収しない軽元素からなる物質(生体軟部組織や有機材料など)の観察に適用すれば、従来法では難しかった検査が可能となるため、その実用化が期待される。以下では、主にX線を例として説明するが、X線以外の放射線、例えば中性子線にも同様の処理を適用できる。
X線位相コントラスト法を利用した高感度撮像法を実現するアプローチとして、透過格子を用いる方法が知られている(下記特許文献1及び2参照)。これは、X線が照射されている透過格子がX線検出器上で形成する強度パターンが、同じX線で照射されている被写体における僅かなX線の屈折や散乱によって変化する現象を通じ、被写体の構造を表すコントラストを得る方法である。この方法では、従来の透視画像に対応する吸収画像と、被写体によるX線の屈折の大小を示す屈折画像と、被写体による散乱の大小を示す散乱画像とを一般的に生成することができる。使用する透過格子の格子周期が微細な場合は、格子による干渉効果(言い換えれば回折効果)による分数Talbot効果を考慮して、上記強度パターンが高いコントラストで現れる位置に検出器が配置される。また、上記強度パターンが直接検出器で解像できないほど細かくなる場合は、その位置にもう一枚の透過格子を配置し、モアレを生成させることにより強度パターンの変化を可視化できる。なお、以降、最初の透過格子をG1格子あるいは単にG1、第二の透過格子をG2格子あるいは単にG2と称する。G1とG2からなる構成はTalbot干渉計と呼ばれる。
Talbot干渉計を動作させるには、G1に照射する放射線の空間的可干渉距離が、G1周期(G1における周期的構造の周期)と同等かそれ以上であることが望ましい。これは、放射線の波が揃っていることを要求するものであり、たとえばX線では、シンクロトロン放射光やマイクロフォーカスX線源を使うことにより満たされる。特に、マイクロフォーカスX線源は実験室で使用できる線源であるので、実用性を考える際には特筆される点である。
検出器で解像されて記録された強度パターンあるいはモアレ画像を直接利用することは稀であり、記録された画像をコンピュータにより所定の手順で処理し、吸収画像、屈折画像、および、散乱画像などを生成し、利用することができる。この目的のために、縞走査法が一般的に使用されている。縞走査法とは、いずれかの格子をその周期方向に並進させ、複数の強度パターンあるいはモアレ画像を撮影し、画像演算を行う方法である。より具体的には、いずれかの格子をその周期dの1/Mだけ並進させて撮影し、これをM回繰り返して得られたM枚の画像を用いて画像演算を行う。Mは3以上の整数である。
ところで、Talbot干渉計を用いる従来の装置では、縞走査法を用いた場合であっても、得られる画像の空間分解能が、用いられるG1格子のパターン周期により制限される。これは、少なくとも格子の一周期分の積分値として、検出器における画素値が与えられるため、本質的に格子周期より細かい構造を可視化することができないからである。すなわち、従来の装置では、格子パターンの周期よりも細かい構造を解像することは難しいという問題があった。
格子の周期構造を微細化することは、空間分解能の向上のために効果的である。しかしながら、格子としては、撮影視野に対応する広い面積で、より高いアスペクト比を持つ構造を形成する必要があり、そのような微細周期を持つ実用的な格子を製作することは、決して容易なものではない。
格子周期よりも細かい解像度を実現する方法として、下記非特許文献1〜3に記載の技術が存在する。非特許文献1は、高分解能画像検出器により、G1格子の自己像の直接解像を行うものである。非特許文献2は、拡大投影下でTalbot干渉計を使用するものである。非特許文献3は、X線結像素子を用いたX線顕微鏡との融合により微細構造の解像を行おうとするものである。
しかしながら、これら非特許文献1〜3の技術では、撮影視野が狭いという問題がある。したがって、2次元方向に広い試料を解像するためには、試料を、格子周期に比較してかなり長い距離にわたって高精度で移動させなければならず、このため、装置の製造コストや保守コストが増大してしまう。
国際公開WO2004/058070号公報 米国特許第5812629号公報
"X-Ray Phase Imaging with Single Phase Grating" (Y. Takeda et al., Jpn. J. Appl. Phys. 46 (2007) L89-L91) "High-resolution differential phase contrast imaging using a magnifying projection geometry with a microfocus x-ray source" (M. Engelhardt et al, Appl. Phys. Lett. 90 (2007) 224101) "Differential Phase X-ray Imaging Microscopy with X-ray Talbot Interferometer"(Y. Takeda et al., Appl. Phys. Express 1 (2008) 117002)
本発明者らは、非矩形の断面形状(例えばパラボラ面)を有する周期構造を持つ格子を用いると、格子周期よりも細かい解像度を実現できることを見出した(国際特許出願番号PCT/JP2018/008907号)。このような非矩形の断面形状を作成する場合、通常は基板に塗布したレジストに対してリソグラフィ技術を用いることになる。リソグラフィ技術を用いて非矩形の断面形状(例えばパラボラ面)を形成する場合、基板面に沿って断面形状を形成する必要がある。つまり、リソグラフィ技術は、露光方向(基板法線方向)に交差する方向においては、マスク構造をデザインすることにより任意の形状を転写することができるが、露光に沿った方向(すなわちレジストの厚さ方向)においては曲線構造を制御して形成することはできない。すると、このような格子を用いる場合、X線を基板に沿った方向に照射して初めて、非矩形の断面形状(例えばパラボラ面)を持つ格子として使用できる。すなわち、その際の撮影視野の一方向は、基板に塗布したレジストの厚さ(例えば200μm)によって制約されることになる。
本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、格子の周期的構造の周期よりも細かい構造を解像することができる技術において、広い撮影視野を得ることが可能な技術を提供することである。
本発明は、以下の項目に記載の発明として表現することができる。
(項目1)
格子部を用いて、試料による放射線の屈折、散乱、及び/又は吸収を表す画像を生成するための装置であって、
線源と、格子部と、検出器と、試料並進部とを備えており、
前記線源は、前記格子部に向けて放射線を照射する構成となっており、
前記格子部は、互いに間隔を置いて配置された複数の格子要素を有するG1格子を備えており、
前記複数の格子要素は、前記放射線の強度が集中する集中部を、前記G1格子と前記検出器との間に形成するG1周期構造を有しており、
前記集中部は、前記G1周期構造の周期方向に沿って周期的に形成されており、
前記複数の格子要素における前記G1周期構造の延長方向は、前記放射線の放射方向に対して傾斜する方向とされており、
前記複数の格子要素における前記G1周期構造の周期方向は、前記放射線の放射方向に対して交差する方向とされており、
前記複数の格子要素は、前記G1周期構造と直交する方向に配列構造を有しており、
前記検出器は、前記格子部を通過した前記放射線を検出する構成となっており、
前記試料並進部は、前記G1周期構造における前記周期方向に沿う方向に、かつ、前記集中部を通過するように、前記試料を並進させる構成となっている
放射線画像生成装置。
(項目2)
前記複数の格子要素における前記G1周期構造は、前記周期方向に沿う断面の形状が、非矩形形状に形成されている
項目1に記載の放射線画像生成装置。
(項目3)
前記非矩形形状とは、略放物線形状である
項目2に記載の放射線画像生成装置。
(項目4)
前記非矩形形状とは、略三角波形状である
項目2に記載の放射線画像生成装置。
(項目5)
前記格子部は、G2格子をさらに備えており、
前記G2格子は、G2周期構造を備えており、
前記G2周期構造は、前記G1格子を通過した前記放射線により形成された前記G1格子の自己像が前記G2格子の位置において有する周期とほぼ同じ周期を有しており、
前記検出器は、前記G2格子を通して前記自己像を検出する構成となっている
項目1〜4のいずれか1項に記載の放射線画像生成装置。
(項目6)
前記格子要素は、間隔を置いて平面上に配列されており、
前記格子要素の配列構造は、下記式(1)を満たしている
項目1〜5のいずれか1項に記載の放射線画像生成装置。
ここで、
h:前記格子要素の前記平面からの高さ、
L:前記格子要素どうしの配列間隔、
a:前記G1周期構造の前記平面に沿った深さ、
θ:前記放射線の放射方向に対する、前記前記平面の傾斜角
である。
本発明によれば、格子の周期的構造の周期よりも細かい構造を解像することができる。また、本発明によれば、格子要素の数を増やすことにより、広い撮影視野を容易に提供することができる。
本発明の一実施形態に係る放射線画像生成装置の概略的な構成を示すための説明図である。 図1の装置において用いられるG1格子の構成を説明するための説明図である。 複数の格子要素を放射線の放射方向から見た場合の概略的な説明図である。 G1周期構造により生成されるTalbotカーペットを説明するための説明図である。 強度が集中する集中部71(黒矢印)において、図4のTalbotカーペットを、G1周期構造の周期方向で切断したときの放射線強度を示すグラフであって、縦軸は周期方向での距離、横軸は放射線強度である。 図2に相当する説明図である。 図1の装置を用いた放射線画像生成方法の概略を示すフローチャートである。 図7の画像生成方法における縞走査と試料走査の手順を説明するための説明図であって、横軸は格子の移動距離、縦軸は試料の移動距離である。 図7の画像生成方法における縞走査と試料走査の手順を説明するための説明図である。 図7の画像生成方法における画像構成の手順を説明するための説明図である。 図1の放射線画像生成装置に用いられるG2格子の一例を説明するための説明図である。
(本実施形態の構成)
以下、本発明の一実施形態に係る放射線画像生成装置(以下単に「装置」と略称することがある)を、添付の図面を参照しながら説明する。この装置は、格子を用いて、試料による放射線の屈折、散乱、及び/又は吸収を表す画像を生成するための装置である。この装置は、試料として、生体、又は、生体以外の物体のいずれかを対象とするものである。また、この装置は、医療用又は非医療用の用途において用いることができるものである。非医療用の用途としては、例えば、食品、工業部品、あるいは工業製品の検査用途を例示することができるが、これらに制約されるものではない。
本実施形態の装置は、線源1と、格子部2と、検出器3と、試料並進部4とを基本的な要素として備えている(図1参照)。さらに、本実施形態の装置は、格子並進部5を追加的に備えている。
(線源)
線源1は、格子部2に向けて放射線7を照射する構成となっている。本実施形態の線源1としては、格子部2のG1格子21が明瞭な自己像を生成するに足るだけの空間的可干渉距離を有する放射線を発生するものとされている。これは、放射線の波が揃っていることを要求するものであり、たとえば放射線としてX線を用いる場合では、線源1として、シンクロトロン放射光源やマイクロフォーカスX線源を使うことができる。以下では、マイクロフォーカスX線源を線源1として用いた例を説明する。
(格子部)
格子部2は、G1格子21とG2格子22とを備えている。すなわち、本実施形態の格子部2は、いわゆるTalbot干渉計を構成するものとなっているが、その限りではない。
G1格子21は、間隔を置いて配置された複数の格子要素211を有している(図2〜図4参照)。複数の格子要素211は、放射線7の強度が集中する集中部71(図4及び図5参照)を、G1格子21と検出器3との間に形成するG1周期構造を有している。より詳しくは、線源1から見て、G1格子21の背後であって、G2格子22のかなり手前に集中部71を形成できるようになっている。
本例の格子要素211は、LIGAプロセスのようなリソグラフィ技術を用いて、基板212上に形成されている。より具体的には、本実施形態のG1周期構造は、複数の溝214(図3及び図4参照)により構成されている。複数の格子要素211におけるG1周期構造の延長方向(つまり、格子要素211の高さ方向であり、言い換えれば、格子作製時に行ったリソグラフィの露光方向)100は、放射線7の放射方向200に対して傾斜する方向とされている(図2参照)。
また、集中部71は、G1周期構造の周期方向300(図3参照)に沿って周期的に形成されている。G1周期構造の周期方向における集中部71の幅は、G1周期構造の周期の1/2以下とされている(図4参照)。
複数の格子要素211におけるG1周期構造の周期方向は、放射線7の放射方向200に対して交差(具体的には直交)する方向とされている(図2参照)。また、複数の格子要素211は、G1周期構造と直交する方向に配列された構造を有している(図2及び図3参照)。
本例の格子要素211に形成されたG1周期構造における、周期方向に沿う断面の形状は、非矩形形状、より具体的にはパラボラ形状に形成されている(図3及び図4参照)。つまり、各格子要素211は、図4において紙面の奥行き方向に延長された一次元のパラボラ面が複数個並べて形成された構成となっている。図4において、このパラボラの開口部は放射線7の放射方向において下流側に向けられているが、上流側を向いていてもよい。さらには、最終的にパラボラ形状の波面を放射線に生成するものであれば、単純なパラボラ形状以外の形状であってもよい。
本実施形態における複数の格子要素211は、G1周期構造と直交する平面上(つまり基板212上)に配列されている(図2参照)。この配列構造について、図6をさらに参照しながら、以下において説明する。
格子要素211の配列構造は、本例では、下記式(1)を満たすように設計されている。
ここで、
h:格子要素の、平面(基板)からの高さ、
L:格子要素どうしの配列間隔、
a:G1周期構造の、平面(基板)に沿った深さ、
θ:放射線の放射方向に対する、平面(基板)の傾斜角
である。
G2格子22は、G1格子21を通過した放射線7により形成されたG1格子21の自己像がG2格子22の位置において有する周期とほぼ同じG2周期構造を備えている。本例のG2格子22は、格子並進部5により、後述のように移動可能とされている。G2格子22は、G1格子21の基板212と同じ方向に傾斜している。
(検出器)
検出器3は、格子部2を通過した放射線7を、モアレ画像として検出する構成となっている。より詳しくは、本例の検出器3は、G2格子22を通して、G1格子21の自己像をモアレ画像として検出する構成となっている。検出器3の検出面は、G1格子21の基板212と同じ方向に傾斜している。シンチレータでX線を光に変換して撮影する方式の検出器の場合は、シンチレータがG1格子21の基板212と同じ方向に傾斜している。なお、検出器3の画素サイズは、G2格子22の周期とほぼ同等であるとする。さらに、検出器3は、G2格子22の並進に伴って得られるk枚のモアレ画像(ここでkは3以上の整数)を用いて、縞走査法における通常の位相イメージングの処理を行い、所望の放射線画像を生成できるようになっている。このような検出器3としては、従来と同様のものを用いることができるので、これ以上詳しい説明は省略する。
(試料並進部)
試料並進部4は、G1格子21のG1周期構造における周期の方向(図2において紙面の奥行き方向)に沿う方向(つまり平行な方向)に、かつ、集中部71を通過するように、試料10を並進させる構成となっている。この実施形態の試料並進部4は、試料10を、試料10におけるG1格子の自己像の周期d'の1/N(ここでNは2以上の整数)のステップずつ並進させることができるようになっている。ここで、周期d'は、線源1からのコーンビームを使用することを考慮すると、G1格子周期d(図3参照)よりは、幾何学的拡大率に応じて、やや大きな値となる。試料並進部4としては、特に制約されないが、所定ステップごとに試料を並進させることができる直動機構あるいはピエゾ素子を用いることができる。
試料10は、G1格子21の基板212と平行な方向に傾斜させられており(図1参照)、試料並進部4は、図1の紙面に垂直な方向に試料10を並進させるように構成されている。
(格子並進部)
格子並進部5は、G2格子22を、G2周期構造における周期の方向に沿って、G2周期構造の周期に対する1/k(ここでkは3以上の整数)のステップずつ移動させる構成となっている。格子並進部5としては、特に制約されないが、所定ステップごとに格子を並進させることができる直動機構あるいはピエゾ素子を用いることができる。
(放射線画像生成方法の原理的説明)
以下においては、本実施形態における放射線画像生成の原理を説明する。具体的な画像生成の手法については後述する。
G1格子21の下流では、この格子を透過した様々な回折波が干渉しあうことにより、G1格子21のパターン形状(すなわちG1周期構造)に依存して特徴的な強度パターンが現れ、このパターンは、G1格子21からの距離に応じて変化する。その変化の様子を表すものをこの明細書ではTalbotカーペット72と称する。図4には、G1格子21を矩形のπ/2位相格子とした場合に、この格子が作るTalbotカーペット72を示した。この図は、平行なX線ビームが照射されているという近似のもとで計算したものであり、横軸のmとG1格子21からの距離zは、
の関係がある。なお、この式において、dはG1格子21のG1周期構造における周期、λはX線の波長である。
G2格子22は、通常、mが半整数(例えば0.5)となる位置(例えば図2中、白矢印で示す位置)に置かれる。なお、図2のTalbotカーペットの実際の寸法は、周期dが数μmのときに、m=0.5に対応する距離が数十cmであり、実際は極めて横に長い図形を比率を変えて表示したものである。
本例では、G2格子22の背後に置かれる検出器3でモアレ画像を記録する。G1格子21及びG2格子22の一方を並進させながら、複数のモアレ画像を計測し、コンピュータ演算処理を施すことにより、吸収画像、屈折画像、および散乱画像を生成できる(縞走査法)。
Talbot干渉計を用いた従来の撮影では、試料10がG1格子21に対してX線源1の側に置かれ、位相イメージングの空間分解能は、線源1のフォーカスサイズや検出器3の解像度に依存するが、それらが理想的であったとしても、G1格子21の周期の2倍で決まる限界を超えることができない。この限界を超えてさらに高い空間分解能を実現するため、試料10を配置する位置を定め、さらに試料10を格子周期よりも細かく移動させて複数の画像を取得する方法を以下に記述する。
(本実施形態の放射線画像生成方法)
図7をさらに参照して、前記した装置を用いた放射線画像生成方法を説明する。
(図7のステップSA−1)
まず、試料10を、G1格子21とG2格子22の間の、集中部71が形成されるべき位置又はその近傍に配置する。たとえば、図4の例では、図中黒矢印で示す位置(m≒0.2)に配置する。ここで、試料10を配置する位置としては、集中部71の大きさ(G1格子の周期方向における大きさ)が小さくなる位置であることが好ましい。また、本実施形態では、試料10を、基板212の傾斜方向と平行となる方向に傾斜して配置した(図1参照)。このため、本実施形態によれば、基板212の傾斜に応じて傾斜する焦点面(焦点の集合)に試料を配置して並進させることができるという利点がある。
(図7のステップSA−2)
ついで、従来と同様の、縞走査法による撮影を行う。具体的には、格子並進部5により、例えば図4中白矢印で示す位置(m≒0.5)に配置されたG2格子22を並進させ、G1格子21に対して相対的に移動させる。ここで、G2格子22の移動ステップは、G2格子22の格子周期の1/k(ただしkは3以上の整数)とされている。一方、検出器3は、G2格子22が1ステップ移動するごとに、線源1から照射された放射線のモアレ画像を取得する。このようにして撮影されたモアレ画像を用いて、従来と同様に、放射線画像を生成することができる。
格子並進のステップと撮影タイミングとの関係を図8に示した。図8において横軸は格子並進距離、縦軸は試料並進距離(後述)、黒丸は撮影タイミングを示す。この例では、k=5とされているが、これに制約されるものではない。
(図7のステップSA−3〜SA−4)
ついで、本実施形態では、試料並進部4により、試料10を、G1格子の格子周期の1/N(ただしNは2以上の整数)のステップごとに移動させる。試料並進距離が1周期に満たないとき、前記のステップSA−2に戻り、縞走査法のための撮影を再度行う。すなわち、図8に示されるように、縞走査法による撮影→試料並進→縞走査法による撮影→…という手順を繰り返す。図8の例では、N=3とされているが、これに制約されるものではない。
試料10の並進と撮影タイミングとの関係を、図9を参照しながらさらに説明する。この試料10の内部には、微小な構造11〜13が存在すると仮定する。また、この例では、放射線7の集中部71が、G1格子21の周期方向(図9において上下方向)において5周期分描かれている。まず、試料10の初期位置(図9(a))において、縞走査法のための撮影を行う。ここで、試料10内の構造11に着目すると、構造11には放射線が照射されないので、検出器3によって撮影されたモアレ画像には、構造11の影響(例えば吸収、屈折、散乱)が表れない。したがって、構造11の情報はモアレ画像に含まれない。ついで、試料10を1ステップだけ移動させる(図9(b))。すると、集中部71において構造11に放射線が照射される。すると、検出器3によって撮影されたモアレ画像に、構造11の影響が表れることとなり、その結果、構造11を解像することができる。構造12についても同様である。さらに試料10を移動させた状態を図9(c)に示す。
このように、本実施形態によれば、試料10を並進させることにより、G1格子21の周期よりも小さい構造を解像することができるという利点がある。
(図7のステップSA−5)
試料並進が1周期に至ったとき、検出器3により得られたモアレ画像を用いて、高分解能の画像を構成する。この構成の手法を、図10を参照して説明する。この図10では、検出器3における2次元の画素位置を(m,n)で表し、試料並進のステップ数をpで表す。そして、特定のステップpにおける画素値を(m,n,p)とする。ここでp=1,2,…Nである。そして、それぞれの位置pにおいて縞走査法を行うことにより、N枚の画像が、吸収画像、屈折画像、散乱画像として得られる。それぞれの画像における画素値(m,n,p)を並べるように、あるいは必要な演算処理(デコンボリューションなど)を用いることによって、新しい高分解画像を得ることができる。
ここで、本実施形態においては、複数の格子要素211を、図2及び図3に示されるように傾斜して配置したので、それぞれの格子要素211に形成されたG1周期構造を放射線7が通過する。したがって、実効的には、放射線画像を生成するための視野を、格子要素211が1枚の場合に比較して拡大することができる。平面方向に大きな基板を用いれば、多数の格子要素211を形成できるので、大きな視野を確保することができる。
また、本実施形態のG1格子によれば、格子要素211におけるG1周期構造の、周期方向に沿う断面の形状を、非矩形形状、より具体的にはパラボラ状に形成している。このため、本実施形態では、図4及び図5に示されるように、集中部71において、放射線強度を強く(つまり、狭い半値幅で)集中させることができる。
ここで、本実施形態のG2格子22としては、図11に示されるように、放射線遮蔽部221に対して、放射線透過部222を相対的に狭めた構造を用いることが好ましい。放射線透過部222の幅は、集中部71の幅とほぼ同じとされる。このように構成すると、試料10における一層微細な構造を解像することが可能になるという利点がある。図4及び図5は、放射線7の空間的干渉性が完全であるとして計算した結果得られたものであるが、放射線7の空間的干渉性がそれより適度に低くなると、G1格子から離れるほどTalbotカーペットはぼやけてくる。すなわち、試料を配置する集中部71の広がりには変化が少ない一方で、G2格子22を配置する白矢印位置の集中部71は広がるように放射線7の空間的干渉性を調整することが可能である。これにより、G2格子22について、放射線遮蔽部221に対して放射線透過部222が相対的に狭いという、一般的には製作が難しい構造ではなく、放射線遮蔽部221と放射線透過部222がほぼ等しい構造を採用できる。放射線遮蔽部221と放射線透過部222がほぼ等しいTalbot干渉計構造は、一般的に用いられているものなので、このようにすれば、格子の製作コストを低減することができるという利点もある。
また、本実施形態では、前記した式(1)を満たすように各部の位置関係を設定したので、G1周期構造の不要な重なりや隙間を抑制することができる。具体的には、式(1)の条件を満たす場合、図2に符号211aで示す部分の周期構造は、符号211bで示す部分の周期構造を補っていると解釈できる。したがって、理想的には、得られる視野内において、周期構造の不要な重なりや隙間の無い構造を実現することができる。
なお、前記実施形態および実施例の記載は単なる一例に過ぎず、本発明に必須の構成を示したものではない。各部の構成は、本発明の趣旨を達成できるものであれば、上記に限らない。
例えば、前記実施形態では、線源1としてX線源を用いたが、試料に対して透過性のある他の放射線、例えば中性子線源を用いることができる。もちろん、この場合、検出器としては、用いる放射線を検出できるものが用いられる。格子についても、用いる放射線の位相を変化させる材料、および、強度を減衰させる材料を使ったものが用いられる。
また、前記した実施形態では、G1周期構造の、周期方向に沿う断面の形状を略パラボラ形状としたが、略三角波形状、正弦波形状、円形状(楕円形状を含む)など、他の非矩形の形状とすることも可能である。また、この断面形状を矩形状とすることも可能である。さらに言えば、G1格子として、位相型や振幅型を問わず、どのような周期構造を持つものを使うとしても、少なくともその周期の1/2以下の空間分解能を達成できるので、本発明による効果は常に得られる。
前記した実施形態において、線源1としてコーンビームを用いた場合には、図1において角度αで示したように、放射線の放射方向が広がる。したがって、放射線の照射位置の各所において前記した式(1)が成り立つように設計することが好ましい。このような構成は、例えば、リソグラフィにおけるパターン形状を工夫することにより、容易に実現できる。
また、コーンビームを用いる場合は、ビームの広がりに応じて湾曲された格子形状を用いることも可能である。
さらに、本実施形態において三次元解像を行う場合は、回転機構(図示せず)を用いて軸10A(図1参照)を中心として試料10を回転させながら、上記実施例の撮影手順を繰り返すことにより、ラミノグラフィを実施することができる。軸10Aは試料10と一緒に並進するように構成される。ラミノグラフィ画像再構成技術自体は従来から知られているので、これについての詳しい説明は省略する。
1 線源
2 格子部
21 G1格子
211 格子要素
212 基板(平面)
214 溝
22 G2格子
221 放射線遮蔽部
222 放射線透過部
3 検出器
4 試料並進部
5 格子並進部
7 放射線
71 集中部
72 Talbotカーペット
10 試料
10A 回転軸
11〜13 試料内の構造
100 G1周期構造の延長方向
200 放射線の放射方向
300 G1周期構造の周期方向

Claims (6)

  1. 格子部を用いて、試料による放射線の屈折、散乱、及び/又は吸収を表す画像を生成するための装置であって、
    線源と、格子部と、検出器と、試料並進部とを備えており、
    前記線源は、前記格子部に向けて放射線を照射する構成となっており、
    前記格子部は、互いに間隔を置いて配置された複数の格子要素を有するG1格子を備えており、
    前記複数の格子要素は、前記放射線の強度が集中する集中部を、前記G1格子と前記検出器との間に形成するG1周期構造を有しており、
    前記集中部は、前記G1周期構造の周期方向に沿って周期的に形成されており、
    前記複数の格子要素における前記G1周期構造の延長方向は、前記放射線の放射方向に対して傾斜する方向とされており、
    前記複数の格子要素における前記G1周期構造の周期方向は、前記放射線の放射方向に対して交差する方向とされており、
    前記複数の格子要素は、前記G1周期構造と直交する方向に配列構造を有しており、
    前記検出器は、前記格子部を通過した前記放射線を検出する構成となっており、
    前記試料並進部は、前記G1周期構造における前記周期方向に沿う方向に、かつ、前記集中部を通過するように、前記試料を並進させる構成となっている
    放射線画像生成装置。
  2. 前記複数の格子要素における前記G1周期構造は、前記周期方向に沿う断面の形状が、非矩形形状に形成されている
    請求項1に記載の放射線画像生成装置。
  3. 前記非矩形形状とは、略放物線形状である
    請求項2に記載の放射線画像生成装置。
  4. 前記非矩形形状とは、略三角波形状である
    請求項2に記載の放射線画像生成装置。
  5. 前記格子部は、G2格子をさらに備えており、
    前記G2格子は、G2周期構造を備えており、
    前記G2周期構造は、前記G1格子を通過した前記放射線により形成された前記G1格子の自己像が前記G2格子の位置において有する周期とほぼ同じ周期を有しており、
    前記検出器は、前記G2格子を通して前記自己像を検出する構成となっている
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線画像生成装置。
  6. 前記格子要素は、間隔を置いて平面上に配列されており、
    前記格子要素の配列構造は、下記式(1)を満たしている
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射線画像生成装置。
    ここで、
    h:前記格子要素の前記平面からの高さ、
    L:前記格子要素どうしの配列間隔、
    a:前記G1周期構造の前記平面に沿った深さ、
    θ:前記放射線の放射方向に対する、前記前記平面の傾斜角
    である。
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