JP7078789B2 - 鋳物製造用構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳物製造用構造体に関する。
鋳物の鋳造に用いられる鋳型は、典型的には、木型、金型又は砂型が用いられるところ、これらの鋳型について、成形性や形状保持性の向上、軽量化及び廃棄処理コストの低減等が望まれている。本出願人は、無機繊維、層状粘土鉱物及び該層状粘土鉱物以外の無機粒子を含有し、有機成分の含有量が所定量以下である鋳物製造用構造体を提案した(特許文献1)。
特開2019-93448号公報
特許文献1に記載の構造体は成形性や形状保持性が高いものであるが、鋳型製造時における構造体の加工・組み立て等の取り扱い性の向上、鋳込み時における構造体に含まれる有機材料由来の燃焼ガスに起因した鋳物のガス欠陥の低減、及び鋳物表面に生じる焼着の低減を兼ね備えることに関して改善の余地があった。
したがって、本発明は、取り扱い性の向上、ガス欠陥の低減、及び鋳物表面に生じる焼着の低減を兼ね備えた鋳物製造用構造体に関する。
本発明は、鋳物製造用構造体に関する。
一実施形態では、前記構造体は、有機成分を含有する。
一実施形態では、前記構造体は、前記有機成分の少なくとも一部が有機繊維である。
一実施形態では、前記構造体は、窒素雰囲気下、1000℃で30分間加熱したときの質量減少率が1質量%以上20質量%未満である。
一実施形態では、無機粒子を含有する。
一実施形態では、無機粒子として、層状粒子でない第1無機粒子と、層状粒子である第2無機粒子とを含む。
一実施形態では、無機粒子として、融点が1200℃以上である第1無機粒子と、融点が1200℃未満である第2無機粒子とを含む。
一実施形態では、JIS K7017に従って測定された最大曲げ応力が9MPa以上である。
一実施形態では、JIS K7017に従って測定された最大曲げ応力時の曲げひずみが0.6%以上である。
本発明によれば、取り扱い性に優れ、鋳物のガス欠陥及び鋳物表面に生じる焼着を低減することができる鋳物製造用構造体を提供できる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づいて説明する。
本発明の鋳物製造用構造体(以下、単に「構造体」ともいう。)は、鋳造に用いられる割型や鋳型として好適に用いられるものである。
本明細書において「鋳物製造用構造体」又は「構造体」は、文脈に応じて、鋳型の一部材を構成する部材、例えば割型と、鋳型そのものとを指す。
本明細書中の「質量%」は、特に断りのない限り、鋳物製造用構造体の全体質量に対する質量割合を表す。
以下の説明では、説明の便宜上、後述するコーティング等が施されていない鋳型の構成部材そのものである鋳物製造用構造体について説明する。なお、該構造体が複数の構成部材を有していたり、又は複数の層構造で形成されたりする場合には、以下の説明は、任意の構成部材又は層構造について適用される。
構造体は、有機成分として有機繊維を含むことが好ましい。有機繊維は、有機成分からなる繊維状物である。有機繊維は後述する無機繊維と比較して柔軟であるため、該繊維どうしの絡み合いや、構造体に含まれ得る他の材料との結合によって、構造体の靭性を高める機能を有する。
有機繊維は、好ましくは構造体の少なくとも表面に分散して存在し、より好ましくは構造体の表面及び内部に分散して存在する。
有機繊維が構造体の表面に分散して存在することにより、構造体表面に繊維のネットワークが形成されて、従来技術の構造体と比較して、構造体の強度及び靭性が飛躍的に向上し、衝撃、曲げ、亀裂発生による構造体の意図しない割れや破壊を防止することができる。それにより、構造体を所望の長さに切断加工する場合には、亀裂が発生したり亀裂が進展したりするなどの構造体の破壊を抑制でき、構造体の加工・組み立て時においても割れが生じにくくなる等の取り扱い性を向上することができる。
本明細書における「有機成分」とは、その分子構造に炭化水素原子団を有する天然物又は化合物を指す。したがって、炭素繊維などの炭素元素のみ又は炭素元素及び窒素元素で構成された材料は、本開示における有機成分及び有機成分を含む材料を構成しない。炭素繊維は、後述する無機成分に分類される。
構造体に有機成分が含まれているか否かは、固体NMRによって得られたC=C結合、C-H結合、C=O結合、O-H結合に相当するピークの有無に基づいて判定することができる。これらの結合のうち、C-H結合又はC=O結合が少なくとも存在していれば、測定対象の材料は有機成分を含むと判定する。
また、構造体に有機繊維が含まれているか否かは、前記固体NMRによる判定とともに、構造体の表面及び内部を顕微FT-IR及びマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、型番:VHX-500、本明細書のマイクロスコープは全てこれである。)によって観察して判定することができる。詳細には、顕微FT-IRにおいて有機物に由来する官能基がマッピングされる位置を確認し、当該位置において、マイクロスコープによって有機繊維が観察されれば、有機繊維が含まれていると判定する。
有機繊維のネットワークをより形成しやすくする観点から、構造体中の有機繊維を含む有機成分の含有量は、その総量として、5質量%超であることが好ましく、5.5質量%以上がより好ましく、6質量%以上であることがさらに好ましい。
上記と同様の観点から、構造体中の有機繊維の含有量は、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上である。
また、鋳込み時のガス発生量を低減させる観点から、有機繊維を含む有機成分の含有量は、その総量として、20質量%未満が好ましく、15質量%未満がより好ましく、13質量%未満であることがさらに好ましい。このような範囲であると、目的とする鋳物製品に流れ込むガスが減少し、鋳物の品質を向上できる。また、構造体由来の有機成分が熱分解した部分に溶融金属が固着してしまう等の焼着の不具合を抑制できる。更に、鋳込み時に溶湯を流し込む際に、発生ガスが逆流して、流し込み口端面からの溶融金属が吹き戻すことを抑制して、鋳込み作業の安全性を高めることができる。
上記と同様の観点から、構造体中の有機繊維の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2.5質量%以下である。
鋳物製造用構造体の有機成分の含有量は、鋳物製造用構造体から分析する場合、以下の手順で測定することができる。
前処理として、測定対象となる鋳物製造用構造体を粉砕・均一混合したサンプルに対して、FT-IR分析を行う。そして、C=C結合に由来するピークの検出強度を比較することで、構造体中に含まれる炭素繊維などの炭素のみから構成される無機成分の含有量を定量する。その後、前記サンプルを窒素雰囲気下、1300℃以上で加熱し、有機成分を炭化させるとともに質量減少量を測定する。続いて、炭化後のサンプルに対してFT-IR分析を行い、残存した炭素成分の含有量を定量する。最後に、炭化前サンプルの炭素成分の含有量から炭化後サンプルの炭素成分の含有量を差し引いた値と、質量減少量との合計値を算出し、この合計値を本開示における有機成分の含有量とする。
有機繊維は、天然繊維、合成繊維、再生繊維、半合成繊維及びリサイクル繊維などを含む。これらは一種を単独で又は二種以上組み合わせて用いることができる。
天然繊維としては、パルプ繊維、動物繊維などを含む。
パルプ繊維は、木材パルプ、非木材パルプなどを含む。
木材パルプは、針葉樹若しくは広葉樹を原料とした機械パルプ、並びに、針葉樹若しくは広葉樹を原料とした天然セルロース繊維等を含む。
非木材パルプは、コットンパルプ、リンターパルプ、麻、木綿、竹、わら、並びに、これらを原料とした天然セルロース繊維等を含む。
動物繊維は、羊毛、やぎ毛、カシミア及び羽毛などのタンパク質を主体とした繊維を含む。
合成繊維は、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリイミド樹脂、アラミド樹脂などの合成樹脂を含む繊維が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて一本の繊維を構成していてもよい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどが挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンナフタレートなどが挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂としては、例えば、ポリ乳酸、乳酸-ヒドロキシカルボン酸コポリマーなどが挙げられる。
ポリ(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
ポリビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリスチレンなどが挙げられる。
再生繊維としては、例えばキュプラ、レーヨン等が挙げられる。
半合成繊維としては、例えばアセテート繊維等が挙げられる。
リサイクル繊維としては、古紙、洋服等の繊維類を裁断、開繊したパルプ繊維等が挙げられる。
これらのうち、構造体の靭性を向上させて取り扱い性を高め、構造体製造時及び鋳造時における構造体表面の欠陥を低減しやすくする観点から、有機繊維としてパルプ繊維、並びにポリエステル樹脂を含む繊維及びアラミド樹脂を含む繊維のうち少なくとも一種を用いることが好ましい。
構造体の成形性を高めつつ、取り扱い性を向上する観点から、構造体は、有機繊維以外の他の有機成分を更に含むことが好ましい。
このような他の有機成分を含む材料としては、スターチ、熱硬化性樹脂、着色剤、熱膨張性粒子等が挙げられる。これらは一種を単独で又は二種以上組み合わせて用いることができる。
鋳造時における構造体の燃焼を抑制するとともに、構造体の形状保持性を高める観点から、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。
熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂などを含む。
フェノール樹脂は、ノボラックタイプ、レゾールタイプなどを含む。
変性フェノール樹脂は、フェノールに加えて、尿素、メラミン及びエポキシ等で変性させたものを含む。
これらは一種を単独で又は二種以上組み合わせて用いることができる。
これらのうち、鋳造時におけるガス発生を低減して、寸法安定性や表面平滑性が高い鋳物を得やすくする観点から、他の有機成分としてフェノール樹脂を用いることが好ましい。
構造体は、無機成分を更に含むことが好ましく、無機成分として無機粒子を更に含むことがより好ましい。無機成分を構造体中に含有させることによって、構造体の耐熱性を向上させて、鋳込み時の構造体の強度、寸法安定性及び形状維持性を高めることができる。
構造体に無機粒子を含む場合、無機粒子は構造体の表面に少なくとも存在することが好ましく、構造体の表面及び内部の双方に存在することがより好ましい。
無機粒子を含む場合、無機粒子は、その融点が好ましくは1200℃以上、更に好ましくは1500℃以上であるものを含む。このような融点を有する無機粒子を用いることによって、鋳込み時の高温条件下でも構造体の形状維持性に優れたものとなる。
無機粒子の融点は、現実的には2500℃以下であるものを含む。
無機粒子の融点が前述の範囲内であれば、鋳込みの際に鋳物製造用構造体が著しく溶解することなく、鋳物のガス欠陥や焼着の発生を抑制することができる。
無機粒子の融点は以下の方法で測定する。日鉄テクノロジー株式会社製の示差熱天秤-質量分析装置(TG-DTA/MS)を用いて、鋳物製造用構造体を窒素雰囲気下において30℃から20℃/分で1500℃まで昇温し30分間経過した後に20℃/分で30℃まで冷却することで測定する。測定結果より、鋳物製造用構造体に含有される無機成分の融点を判別する。
また、構造体は、アルミニウム、ジルコニウム、ケイ素及び鉄の元素から選ばれる元素の酸化物、炭化物及び窒化物から選ばれる一種又は二種以上を含むことが好ましい。すなわち、構造体は、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、窒化アルミニウム、ジルコニア、窒化ケイ素、及び炭化ケイ素から選ばれる化合物の一種又は二種以上を含むことが好ましい。
このような化合物が構造体中に含まれていることによって、鋳込み時の高温条件下でも構造体の耐熱性が向上して、構造体の形状維持性に優れたものとなる。
またこれらの化合物が構造体中に含まれていることは、構造体中に無機粒子が含まれていることを実質的に意味する。
構造体中に上述の化合物を含むことは、X線回折測定によって判定することができる。具体的な手順としては、測定対象の構造体を管球電圧30KV、管球電流15mL、ゴニオメーター走査角度5~70°、ゴニオメーター走査速度10°/分の条件で測定することによって、その有無及び種類を判定することができる。
上述した融点を具備し得る無機粒子に加えて、粘土鉱物を含み得る。粘土鉱物は、典型的には、融点が1200℃未満のものである。
このような融点を有する無機粒子を更に用いることで、溶融金属が流し込まれた際に粘土鉱物が溶融して、前述の無機粒子間を埋めて無機粒子どうしの分離を防ぐことができる。その結果、構造体の強度、形状を維持することができる。
無機粒子の形状は、それぞれ独立して、球状、多面体状、鱗状、層状、紡錘状、繊維状、不定形、又はそれらの組み合わせであり得る。
無機粒子は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
以下の説明では、構造体中に含まれ得る無機粒子として、第1無機粒子と、第2無機粒子との2種用いた場合を例にとり説明する。第1無機粒子及び第2無機粒子とは、所定の形状及び物性の少なくとも1つが互いに異なる。
一実施形態における第1無機粒子は、好ましくは層状粒子でない粒子(つまり層状以外の形状を有する粒子)である。また、一実施形態における第2無機粒子は、好ましくは層状粒子である。
別の実施形態における第1無機粒子は、その融点が好ましくは1200℃以上である。また、別の実施形態における第2無機粒子は、その融点が好ましくは1200℃未満である。
更に別の実施形態における第1無機粒子は、融点が好ましくは1200℃以上であり且つ層状粒子でない粒子であることがより好ましい。また、更に別の実施形態における第2無機粒子は、融点が好ましくは1200℃未満であり且つ層状粒子であることがより好ましい。このように、1つの粒子に複数の物性を具備し、各物性がそれぞれ異なる無機粒子を複数種用いることによって、構造体の強度及び取り扱い性を高めることができる。
以下の説明は、特に断りのない限り、上述した各実施形態における説明に適宜適用される。
第1無機粒子は、構造体の耐熱性を更に高める観点から、第1無機粒子として黒鉛、ムライト、黒曜石、ジルコニウム、シリカ、フライアッシュ及びアルミナのうち一種又は二種以上を用いることが好ましく、黒鉛及びムライトを少なくとも用いることがより好ましい。ムライトには、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素及び酸化鉄が含まれている。
一般的に、黒鉛は、鱗状黒鉛や土状黒鉛等のように天然に産出されるものと、石油コークス、カーボンブラック又はピッチ等を原料として人工的に製造される人造黒鉛とに分類される。これらの黒鉛のうち、構造体の成形性の向上の観点から、鱗状黒鉛を用いることが好ましい。
第1無機粒子の平均粒子径は、構造体の通気性を向上させて鋳物のガス欠陥を抑制する観点から、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。
また第1無機粒子の平均粒子径は、構造体が鋳込み時においても十分な熱間強度を維持する観点から、1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましい。
無機粒子の平均粒子径を上述の範囲とするためには、例えば原料として用いる無機粒子をふるい分けしたり、乾式粉砕や湿式粉砕等の公知の粉砕装置を用いて更に粉砕処理を施したりすることができる。
第1無機粒子の平均粒子径は、例えばレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA-950V2、株式会社堀場製作所製)を用いて粒子径分布を測定することで得ることができる。粒子径分布の測定は、アクセサリに乾式ユニットを用い、無機粒子が圧縮空気で分散された粉末状態の粒子径を測定する。測定条件は圧縮空気の圧力を0.20MPa、流量を320L/分とし、試料はレーザーの吸光度が95%~99%になるように投入量を調整し測定を行うことができる。得られた体積基準の粒子径分布から粒子径のメジアン値を算出し、これを平均粒子径として定義する。
無機粒子として第2無機粒子を含む場合、第2無機粒子は層状粘土鉱物であることが好ましい。つまり、構造体は、第2無機粒子として層状の粒子を含むことが好ましく、粘土鉱物の層状粒子を含むことがより好ましい。
層状粘土鉱物は水を含むことにより膨潤して増粘効果が得られるため、構造体の製造時に該構造体の各原料が均一に混合しやすくなる。また、乾燥時には、層状粘土鉱物はその単位結晶層間に存在していた水分子を失うことより、無機粒子及び有機繊維が密な構造を形成しながら固化することで、常温時の該構造体の強度が向上するとともに取り扱い性を向上することができ、且つ鋳物製造時の熱間強度を効果的に付与することができる。これに加えて、構造体の加工性及び形状保持性が維持されるとともに、製造された鋳物の表面平滑性が高く、ガス欠陥の発生率を低減させることができる。
構造体の耐熱性及び強度を兼ね備え、構造体の製造時、取り扱い時及び該構造体を用いた鋳込み時において、取り扱い性、寸法安定性及び形状維持性に優れた構造体とする観点から、無機粒子として、球状粒子と層状粒子とを組み合わせて用いることが好ましい。より詳細には、無機粒子として、球状粒子等の層状粒子でない第1無機粒子と、層状粒子である第2無機粒子としての層状粘土鉱物の粒子とを組み合わせて用いることが好ましい。
構造体中に球状粒子及び層状粒子が含まれることを確認するためには、構造体の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で粒子の形状を観察することにより判定することができる。
第2無機粒子として用いられ得る層状粘土鉱物は、主として、層状粘土鉱物が有機繊維や他の材料の間に介在することによって、構造体に成形性を付与し、更に常温強度及び熱間強度を向上させる機能を有する。
層状粘土鉱物としては、層状ケイ酸塩鉱物に代表される層状の構造を有する結晶性の無機化合物を用いることができる。層状粘土鉱物は、天然のものでもよく、人工的に製造されたものでもよい。
層状粘土鉱物の具体例としては、カオリナイト族、スメクタイト族及びマイカ族等に代表される粘土鉱物を挙げることができる。これら各種の層状粘土鉱物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
カオリナイト族の粘土鉱物としては、例えばカオリナイトが挙げられる。スメクタイト族の粘土鉱物としては、例えばモンモリロナイト、ベントナイト、サポナイト、ヘクトライト、パイデライト、スティブンサイト及びノントロナイト等が挙げられる。
マイカ族の粘土鉱物としては、例えばバーミキュライト、ハロイサイト及びテトラシリシックマイカ等が挙げられる。
この他に、層状複水酸化物であるハイドロタルサイト等を用いることもできる。
上述の層状粘土鉱物のうち、モンモリロナイトやベントナイトは、含水状態における各成分との粘結力が強く、構造体の製造時における成形時の形状付与性の観点から好適に用いられる。
また、鋳込み時の耐熱性の観点からは、カオリナイトやモンモリロナイトが好適に用いられる。
第2無機粒子の平均粒子径は、構造体の通気性を向上させて鋳物のガス欠陥を抑制する観点から、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。
構造体の強度、成形性及び保形性を向上させる観点から、第2無機粒子の平均粒子径は、500μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましい。
第2無機粒子として層状粘土鉱物を用いる場合、層状粘土鉱物の平均粒子径は上述の範囲とすることができる。
第2無機粒子の平均粒子径は、上述した第1無機粒子の平均粒子径の測定方法と同様の方法で測定することができる。
構造体は、鋳造時などの高温環境下での質量減少率が所定の範囲となっている。構造体の質量減少率は、鋳造時において、構造体中の有機成分に起因して発生するガス発生率と相関がある。具体的には、質量減少率が低いほど、ガス発生率が低くなる傾向にある。
したがって、質量減少率が少ないほど、構造体の熱間強度をより安定的に維持できるとともに、製造された鋳物の寸法精度の維持や、鋳込み中に発生したガスが鋳物製品中に混入してしまうガス欠陥の低減及び構造体の鋳物表面への焼着の低減に優れることを意味する。
詳細には、構造体は、窒素雰囲気下、1000℃で30分間加熱したときの質量減少率が、好ましくは20%未満、より好ましくは15質量%未満、更に好ましくは9質量%未満である。質量減少率がこの範囲であると、鋳込み時に高温の溶湯を流し込んだ際に発生するガス量が低減され、鋳物製品に流れ込むガスが減少するので、鋳物の品質が更に向上する。また、構造体由来の有機成分が熱分解した部分に溶融金属が固着してしまう等の焼着の不具合を抑制できる。更に、鋳込み時に溶湯を流し込む際に、発生ガスが逆流して、流し込み口端面からの溶融金属が吹き戻すことを抑制して、鋳込み作業の安全性を高めることができる。
また前記質量減少率は、ガス発生率の低減を効率的に達成するために低ければ低いほど好ましいが、有機繊維による構造体の靭性向上に伴う構造体の崩壊防止を十分に達成する観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%超である。
このような質量減少率を達成するためには、例えば有機繊維を含む有機成分や各無機粒子の含有量を上述の好適な範囲としたり、構造体の製造工程において成形後に熱処理を行い、ガス発生成分の除去処理を行ったりすればよい。
質量減少率は、熱重量測定装置(セイコーインスツルメンツ株式会社製、STA7200RV TG/DTA)を用いて、測定対象の鋳物製造用構造体を窒素雰囲気下で30℃から1000℃まで昇温速度20℃/分で加熱し、1000℃で30分間維持する。このとき、30℃における構造体の質量を基準(100%)として、1000℃における質量の変化を温度の関数として測定し、30℃における構造体の質量に対する1000℃における構造体の質量の百分率として質量減少率(%)を算出する。
構造体は、構造体が有する靭性の指標の一つとして測定される最大曲げ応力が、好ましくは9MPa以上、より好ましくは12MPa以上である。このような最大曲げ応力を有することによって、靭性が高い構造体となり、構造体の崩壊や割れ、亀裂の発生を防いで、構造体の取り扱い性、形状維持性及び寸法安定性を高めることができる。
また、構造体における最大曲げ応力は、構造体の取り扱い性及び鋳込み時の取り扱い性を両立して向上させる観点から、好ましくは50MPa以下、より好ましくは40MPa以下、更に好ましくは30MPa以下である。
また構造体は、構造体が有する靭性の指標の一つとして測定される最大曲げ応力時の曲げひずみ(以下、これを単に「曲げひずみ」ともいう。)が、好ましくは0.6%以上、より好ましくは0.65%以上である。このような曲げひずみを有することによって、靭性が高い構造体となり、構造体の崩壊や亀裂の発生を防いで、構造体の取り扱い性、形状維持性及び寸法安定性を高めることができる。
また、構造体における曲げひずみは、大きければ大きいほど好ましいが、現実的には、好ましくは8%以下、より好ましくは6%以下、更に好ましくは4%以下である。
構造体における曲げひずみ及び最大曲げ応力は、測定装置(株式会社島津製作所製、万能試験機AGX-plus)を用いて、JIS K7017の3点曲げ試験に準じて測定することができる。このとき、測定試料とする構造体は、縦60mm×横15mm×厚さ2mmを有する板状のサンプルを切り出して測定するものとする。
最大曲げ応力は、3点曲げ試験時にサンプルに付与されるモーメント(荷重と距離との積)をサンプルの断面係数で除して算出される物性値である。測定対象となる構造体の寸法により前記板状のサンプルを切り出すことができない場合、任意の寸法を有するサンプルを切り出して測定してもよい。
以上の構成を有する鋳物製造用構造体は、有機繊維を含有させることによって、有機繊維が有する適度な柔軟性や弾性によって、有機繊維どうし、あるいは有機繊維と他の材料との絡み合いや結合性を高めて、構造体の靭性を高めることができる。その結果、脆性破壊に対する抵抗性が向上して、構造体の製造時や、運搬、加工、組み立て等の取り扱い時、あるいは鋳込みの際の高温負荷時等の各場面において、構造体表面や内部の崩壊欠落や亀裂、割れの発生を抑制し、構造体の取り扱い性を高めることができる。また鋳込み時において、溶融金属を鋳型に流し込む際の流路となる注湯口の意図しない崩壊や破断を防ぐこともできる。特に、有機繊維が構造体の表面に存在することによって、有機繊維どうしが絡み合ってネットワークを形成して構造体を覆う網のような役割を担うので、構造体表面の崩壊欠落や亀裂、割れの発生を効果的に抑制することができる。
また構造体の製造時、運搬、加工、組み立て等の取り扱い時、あるいは鋳込み時に微小な亀裂や崩壊等の欠陥が意図せず発生してしまった場合でも、有機繊維のネットワークが存在するので、亀裂等の欠陥のさらなる進展を抑制することができ、構造体に高い形状保持性を発現することができる。
更に、無機粒子を構造体に含有させることによって、鋳造に耐えうる高い耐熱性を有するものとなる。無機粒子に関する好適な態様として、粘土鉱物以外の材料と、粘土鉱物とを組み合わせて用いることによって、構造体は、耐熱性に優れ、構造体に高い常温強度及び熱間強度を発現させつつ、有機繊維に起因する高い靭性に起因する構造体の優れた取り扱い性とを兼ね備えたものとなる。
これに加えて、構造体の質量減少率を特定の範囲に制御することによって、該構造体を鋳型として用いた鋳込み時において、構造体の鋳物表面への焼着や、ガス欠陥等といった鋳物欠陥を効果的に低減させることができる。その結果、寸法精度や表面平滑性に優れた鋳物を製造できるとともに、鋳物の製造コストを低減することができる。
構造体は、その加工時や組み立て時の取り扱い性の向上も要求されているところ、構造体の靭性が低い場合、構造体を所定の寸法に切断するといった加工時に、ひびや欠け、割れ等の欠陥部分が構造体に形成されやすい。このような欠陥部分が発生しやすい構造体は、これを鋳込みに使用した際に欠陥部分から構造体自体が崩壊したり、溶融金属が構造体外に漏れてしまったりする。その結果、このような構造体は、取り扱い性に劣り、それに伴う鋳造効率も劣るものとなる。
この点に関して、本開示の構造体は靭性に優れた構成を有しているので、本構造体をカッターなどで簡便に切断して寸法を調整して使用でき、また切断処理を行った場合でも、ひびや欠け、割れ等の欠陥部分が構造体に形成されにくい。更に、複数の構造体を連結したり、あるいは複数の構造体を用いて一つの鋳型に組み立てたりする際にも、ひびや欠け、割れ等の欠陥部分が各構造体に形成されにくい。その結果、本開示の構造体は、加工時や組み立て時の取り扱い性に優れる。
構造体の靭性を高めて、構造体表面の崩壊欠落や亀裂、割れの発生を一層効果的に抑制して、使用時の取り扱い性を向上する観点から、構造体は、有機繊維が構造体の表面に存在することが好ましく、また構造体表面の単位面積当たりの有機繊維の本数が所定の値以上であることが好ましい。
詳細には、構造体は、有機繊維が構造体の表面100mm当たり50本以上存在することが好ましく、70本以上存在することがより好ましく、100本以上存在することが更に好ましい。
また、構造体の表面100mm当たりに存在する有機繊維の本数は、300本以下が現実的である。
構造体表面に存在する有機繊維の本数は、まず構造体表面に存在する繊維状物について、上述した固体NMR,顕微FT-IR及びマイクロスコープを用いた方法で有機繊維であることを判定する。その後、有機繊維を含む構造体表面をマイクロスコープ又はSEMによって観察した繊維観察画像データを、画像処理ソフトウェア(三谷商事株式会社製、WinROOF、本明細書の画像処理ソフトウェアは全てこれである。)を用いて、100mm分の面積を1視野として、3視野以上測定したときの本数の算術平均値とすることができる。
有機繊維の本数の測定にあたり、測定対象となる面積は、100mmの面積を一度に観察してもよく、あるいは、例えば10mmの面積を10回観察する等のように、観察回数を複数回に分けて100mm分の面積を観察してもよい。
一本の繊維に複数の他の繊維や材料を接触させやすくして、繊維どうしの絡み合い性や他の材料との結合性を高めて、構造体の靭性を更に向上させ、構造体の取り扱い性を高める観点から、構造体表面に存在する有機繊維の平均繊維長L1は、好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは1mm以上である。
構造体の製造時における成形性の向上、並びに製造時及び鋳込み時における構造体の寸法均一性を向上させる観点から、構造体表面に存在する有機繊維の平均繊維長L1は、好ましくは7mm以下、より好ましくは5mm以下、更に好ましくは4mm以下である。
有機繊維の平均繊維長L1は、構造体表面をマイクロスコープ又はSEMによって観察した繊維観察画像データを、画像処理ソフトウェアを用いて、測定対象の繊維の一端から他端までの長さを50本の繊維を対象として測定した算術平均値を平均繊維長とすることができる。
繊維の表面積の増加に起因して他の繊維や材料との接触面積を増加させて、繊維どうしの絡み合い性や、他の材料との結合性を高めて、構造体の靭性を更に向上させ、構造体の取り扱い性を高める観点から、構造体表面に存在する有機繊維の平均繊維径D1は、好ましくは8μm以上、より好ましくは10μm以上である。
構造体の製造時における成形性の向上、並びに製造時及び鋳込み時における構造体の寸法均一性を向上させる観点から、構造体表面に存在する有機繊維の平均繊維径D1は、好ましくは40μm未満、より好ましくは35μm未満、更に好ましくは30μm以下である。
有機繊維の平均繊維径D1は、構造体表面をマイクロスコープ又はSEMによって観察した繊維観察画像データを、画像処理ソフトウェアを用いて、任意に選び出した50本の繊維を対象とし、測定対象の繊維の長さ方向に直交する長さを一本の繊維につき5箇所測定したときの算術平均値を平均繊維径とすることができる。
繊維どうしの絡み合い性や他の材料との結合性を高めて、構造体の剛性及び強度を一層向上させる観点から、構造体の表面に存在する有機繊維の平均繊維径(単位:mm)に対する平均繊維長(単位:mm)の比、すなわち、平均繊維長L1(単位:mm)を、平均繊維径D1(単位:μm)を1000で除した値で除したときの比である「1000×平均繊維長L1/平均繊維径D1」の比は、好ましくは10以上、より好ましくは30以上、更に好ましくは50以上、一層好ましくは100以上である。
構造体の製造時における成形性の向上、並びに製造時及び鋳込み時における構造体の寸法均一性を向上させる観点から、「1000×平均繊維長L1/平均繊維径D1」の比は、好ましくは260以下、更に好ましくは230以下である。
本発明の効果が奏される限りにおいて、鋳物製造用構造体は、無機繊維を更に含んでいてもよい。
無機繊維を含む場合、無機繊維は、主として製造時及び鋳造時において燃焼したりせずに構造体の形状を維持する機能を有する。
用いられ得る無機繊維は、人造鉱物繊維、セラミック繊維、並びに天然鉱物繊維などを含む。
人造鉱物繊維は、PAN系炭素繊維及びピッチ系炭素繊維などの炭素繊維、並びにロックウールなどを含む。
これらの無機繊維は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、鋳込み時の高温環境下において構造体の形状及び強度を維持させる観点から、炭素繊維を用いることが好ましい。
炭素繊維は、構造中に炭化水素原子団を有さず、且つ構造中に炭素二重結合を含む繊維である。炭素繊維は、典型的には、炭素元素のみから構成される。
構造体に無機繊維が含まれているか否かは、以下の方法で判定することができる。
まず構造体表面に存在する繊維状物を対象として、走査型電子顕微鏡(SEM)-エネルギー分散型X線分光(EDX)分析法又は顕微FT-IR分析を行うことにより元素マッピング及び元素分析を行う。これらの分析によって、繊維状物中の含有元素の種類、分子結合の種類及び量の分析を行う。これらの分析によって、C=C結合を含む繊維状物が観測され、且つ当該繊維状物が金属元素及び酸素元素を同時に含まないか、又はC-H結合、C=O結合、O-H結合を含まない繊維状物が観測された場合に、当該繊維状物を無機繊維であると判定する。
構造体が無機繊維を含む場合、鋳物製造用構造体の成形性及び均一性を向上させる観点から、無機繊維の平均繊維長は、0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましい。
また、無機繊維の平均繊維長は、構造体の成形性を向上させる観点から、15mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることが更に好ましい。
無機繊維の平均繊維長は、まず構造体表面に存在する繊維状物を対象として、上述した方法で、無機繊維である繊維状物を判定及び特定する。その後、無機繊維を対象として、マイクロスコープ又はSEMにより倍率50倍で顕微鏡観察を行った際の2次元画面から、任意に選び出した30本以上の繊維を対象に一端から他端までの長さを測定した算術平均値を平均繊維長とすることができる。
構造体が無機繊維を含む場合、鋳物製造用構造体の成形性及び均一性を向上させる観点から、無機繊維の平均繊維径は、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。
また、無機繊維の平均繊維径は、構造体の成形性の向上、並びに製造時及び鋳込み時における構造体の寸法均一性を向上させる観点から、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、15μm以下であることが更に好ましい。
無機繊維の平均繊維径は、上述した無機繊維の判定方法と同様に無機繊維の存在を判定したあと、任意に選び出した30本以上の無機繊維を対象に繊維の長さ方向に直交する長さを一本の繊維につき5箇所測定したときの算術平均値を平均繊維径とすることができる。
鋳物製造用構造体は、上述の成分に加えて、本発明の効果を損なわない限り、塗型剤をコーティングしてもよい。この場合、鋳物製造用構造体は、上述した構造体としての構成を有する基材部と、塗型剤等の塗工によって該基材部の表面に形成された表面層とを有する。
塗型剤は、焼着防止性、表面平滑性及び離型性の改善を目的とするものである。
塗型剤としては、例えば、耐火粒子を主原料とし、且つ有機成分として熱硬化性樹脂やシリコーン等を含む材料等といった、砂型鋳造やシェルモールド鋳造等で汎用的に用いられるものが挙げられる。
なお本開示の鋳物製造用構造体は、塗型剤の塗工によって表面層が形成されていない場合であっても、焼着防止性、表面平滑性及び離型性に優れたものである。
以下に、鋳物製造用構造体の製造方法を説明する。本製造方法は、有機繊維を含む有機成分と、必要に応じて無機粒子や無機繊維等の無機成分と分散媒とを混合して構造体前駆体を作製する工程と、前記構造体前駆体をプレス型で加熱押圧して、該構造体前駆体を固化させながら成形する工程に大別される。
以下の説明では、好適な態様として、有機繊維を含む有機成分と、無機粒子とを混合して構造体前駆体を作製する方法を例にとり説明する。
まず、有機繊維を含む有機成分と、無機粒子等の無機成分と、分散媒とを混合して構造体前駆体を作製する(混合工程)。
具体的には、有機成分としての有機繊維及び熱硬化性樹脂と、各種無機粒子と、分散媒とを均一に混合して、構造体前駆体を作製する。
構造体前駆体は、有機成分としての有機繊維及び熱硬化性樹脂と、各種無機粒子と、分散媒とを含有しており、ドウ状のものである。
ドウとは、流動性を有し、外力によって容易に変形可能でありながらも、混合した各種有機成分、各種無機成分及び分散媒が容易に分離することがない状態をいう。
各種有機成分、各種無機粒子及び分散媒の混合は、一括添加による混合であってもよく、任意の順序による順次添加による混合であってもよい。混合の均一性の観点から、各種有機成分及び各種無機粒子を予め乾式で混合したあと、分散媒を添加して混合することが好ましい。
構造体前駆体は、例えば人手や、公知の混練装置を用いて混練して作製することができる。
混練装置を用いる場合、ペーストやドウなど高粘度の攪拌に適した万能攪拌機、ニーダー又は加圧式ニーダー等が好ましい。
混練装置を用いる場合、例えば加圧型ニーダー(日本スピンドル製造株式会社製)を用いて、6.1rpm、30分間混練することで行うことができる。
分散媒としては、水、エタノール、メタノール等の溶剤又はこれらの混合系等の水系の分散媒が挙げられる。
各種材料の分散安定性及び取り扱い易さの向上の観点から、分散媒として水を用いることが好ましい。
水などの分散媒の添加量は、各種有機成分及び各種無機粒子からなる固形分混合物の合計100質量部に対して、10質量部以上70質量部以下であることが好ましい。
無機粒子として層状粘土鉱物を含む場合、層状粘土鉱物は、その乾燥状態では粒状又は粉状であるが、水と混合することによって、層状粘土鉱物の単位結晶層間に含まれる陽イオンと水和して、水分子が該層間に入り込む。
湿潤状態の層状粘土鉱物は、層状粘土鉱物における単位結晶層間の距離が水分子によって増加して膨潤し、粘性を有する流動体となる。
層状粘土鉱物の流動体は、流動性と粘性とを兼ね備えているので、有機繊維や無機粒子等の他の成分との間に容易に入り込むことができ、且つこれらを互いに結合するバインダのように機能させることができる。
構造体の製造時における成形性及び靭性を高めて、得られる構造体の取り扱い性を高め且つ構造体の欠陥を低減する観点から、構造体前駆体中の固形分含有量全体に対する有機繊維の含有量は、好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上である。
得られる構造体を用いて鋳込みしたときに、鋳込み時のガス発生を低減して鋳物の欠陥を低減する観点から、有機繊維の含有量は、好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
用いられる有機繊維の平均繊維長及び平均繊維径は、それぞれ上述した範囲のものを用いることができる。
構造体の製造時及び鋳込み時における形状保持性、表面平滑性及び離型性を良好にする観点から、構造体前駆体中の固形分含有量に対する第1無機粒子の含有量は、40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることが更に好ましい。
また、構造体前駆体中の固形分含有量に対する無機粒子の含有量は、構造体の靭性を効果的に発現させて、得られる構造体の取り扱い性を高める観点から、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることが更に好ましい。
用いられる第1無機粒子の平均粒子径は、上述した範囲のものを用いることができる。
構造体中に第2無機粒子を含む場合、構造体前駆体中の固形分含有量に対する第2無機粒子の含有量は、鋳物製造用構造体の成形性を良好にする観点から、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが一層好ましい。
また、得られる構造体を用いて鋳込みしたときに、鋳造時における構造体からのガス発生量を抑制し、鋳物のガス欠陥の発生率を低減させる観点から、構造体前駆体中の固形分含有量に対する第2無機粒子の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
第2無機粒子として層状粘土鉱物を用いる場合、層状粘土鉱物の含有量は上述の範囲とすることができる。
用いられる第2無機粒子の平均粒子径は、上述した範囲のものを用いることができる。
無機繊維は、構造体中に非含有、すなわち構造体中の無機繊維の含有量は0質量%であってもよく、構造体中に含有していてもよい。無機繊維を含む場合、構造体の製造時における成形性及び鋳込み時における形状保持性の向上の観点から、無機繊維の含有量は、0質量%超であり、20質量%以下であることが好ましく、16質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましく、3質量%以下であることが殊更好ましい。
無機繊維を複数種含む場合、無機繊維の含有量は合計量に基づく。
用いられる無機繊維の平均繊維長及び平均繊維径は、それぞれ上述した範囲のものを用いることができる。
無機繊維として炭素繊維を含む場合、構造体の製造時における成形性及び鋳込み時における形状保持性の向上の観点から、炭素繊維の含有量は、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。
また、炭素繊維の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、16質量%以下であることがより好ましい。
構造体の成形性を高める観点から、ドウ状の構造体前駆体を外力付与手段に供給して延伸し、シート形状としてもよい(延伸工程)。
外力付与手段としては、構造体前駆体をシート形状に延伸可能な構成であれば特に制限はなく、例えば、一対の延伸ロールとの間、又は延伸ロールと平板との間に構造体前駆体を供給して延伸することができる。
この工程の前後において、構造体前駆体は外力によって容易に変形可能な状態を維持している。
続いて、ドウ状又はシート状の構造体前駆体をプレス型によって加熱押圧して、該構造体前駆体を乾燥固化させながら目的とする鋳型の形状を有する構造体に成形する(成形工程)。これによって、構造体表面に少なくとも有機繊維が存在する構造体を得ることができる。
プレス型は、成形する鋳物製造用構造体の外形に対応した形状を有している。このプレス型で構造体前駆体を加熱押圧することによって、プレス型の形状を構造体前駆体に転写するとともに、構造体前駆体に含まれる水分を脱水して乾燥固化させながら、目的とする鋳型の形状を有する構造体に成形する。これとともに、有機成分として含まれ得る熱硬化性樹脂を硬化させる。
この工程を経た構造体は、外力によって容易に変形不能なものとなる。成形された構造体は、二個で一組の割型を組み合わせて鋳型となるように、外部に向けて開口するキャビティを有するように成形されてもよく、一体成形の構造体となっていてもよい。
加熱及び押圧によって構造体前駆体から水分を脱水することで、該前駆体に含まれる層状粘土鉱物は、その単位結晶層間に存在していた水等の分散媒分子を失う。分散媒分子を失うことによって、層状粘土鉱物は、有機繊維及び無機粒子等の無機成分とともに構造体の内部で密な構造を形成しながら収縮して固化する。
その結果、有機繊維、層状粘土鉱物及び他の無機粒子の間でせん断力が発生して、外力によって容易に変形しにくくなるとともに、構造体の形状保持性を効果的に発揮することができる。
なお、有機繊維の繊維長及び繊維径、各種無機粒子の粒径並びに必要に応じて含まれる無機繊維の繊維長及び繊維径は、構造体前駆体の作成から成形工程までの間に行われる混合、膨潤、乾燥及び加熱押圧を経ても、その繊維長及び繊維径並びに粒径が略変化しないものであるので、原材料として用いる各種繊維の繊維長及び繊維径並びに各種粒子の粒子径と、構造体に存在する各種繊維の繊維長及び繊維径並びに各種粒子の粒子径とは、略同じものである。
成形工程における加熱温度は、構造体前駆体からの水等の分散媒の除去を容易に行う観点から、70℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。
成形工程における加熱温度は、250℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましい。
成形工程における加熱時間は、製造効率の観点から、上述の加熱温度の範囲を条件として、1分以上とすることが好ましく、60分以下とすることが好ましい。
成形工程において付与される圧力は、構造体の成形性の向上の観点から、0.5MPa以上であることが好ましく、1MPa以上であることがより好ましい。
また構造体の成形性の向上の観点から、20MPa以下であることが好ましく、10MPa以下であることがより好ましい。
鋳物製造用構造体は、水等の分散媒に起因する蒸気による鋳物のガス欠陥を低減させる観点から、その水分量を5質量%以下としておくことが好ましく、3質量%以下としておくことがより好ましい。
鋳物製造用構造体における水分量は、上述の成形工程で調節してもよく、加熱押圧工程に加えて、更に乾燥工程を行うことによって調節してもよい。
乾燥工程を行う場合、公知の恒温槽や熱風乾燥装置等を用いることができる。
また乾燥工程における加熱温度及び加熱時間は、上述と同様に行うことができる。
二個で一組の割型からなる鋳物製造用構造体を組み合わせて鋳型とする場合、上述の方法に従って一組の割型となるように構造体を作製した後で、キャビティ側を内側となるように割型を更に接合させることによって目的とする鋳型を製造させることができる。
割型の接合方法としては、例えばネジやクリップ等の接合部材や、汎用接着剤、一組の割型を覆うような砂型などを用いて接合することができる。
鋳物製造用構造体の厚さは、目的とする鋳物の形状に応じて適宜設定することができるが、鋳込み時における十分な熱間強度及び形状保持性を得る観点から、少なくとも溶融金属と接する部分における厚さが、好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1mm以上である。
また構造体の取り扱い容易性の向上やガス発生量を低減する観点から、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。
構造体の厚さは、成形型の形状や圧力を適宜変更することによって調整することができる。
以上の工程を経て製造された鋳物製造用構造体は、有機繊維を含んでいるので、軽量でありながら靭性が高く、構造体の崩壊や亀裂、割れの発生を抑制でき、構造体の取り扱い性に優れるものとなる。また、鋳物製造用構造体に無機粒子を含むことによって、軽量で且つ所望の靭性を発現しながらも、耐熱性を高め、高い常温強度及び熱間強度と、高い形状保持性とを兼ね備えたものとなる。
また、構造体の鋳物表面への焼着や、ガス欠陥等といった鋳物欠陥を効果的に低減させることができる。その結果、寸法精度や表面平滑性に優れた鋳物を製造することができる。
寸法精度や表面平滑性に優れた鋳物を製造できることは、製造された鋳物を所望の形状や寸法精度にするための後処理を少なくすることができ、その結果、鋳物の製造コストを低減することができる。
鋳物製造用構造体を用いた鋳物の製造方法は、一般的な鋳造方法で行うことができる。すなわち、鋳物製造用構造体に形成した注湯口から溶融金属を注ぎ入れ、鋳込みを行う。そして、鋳込みを終えた後は、所定の温度まで冷却し、鋳物製造用構造体を取り除いて鋳物を露呈させる。その後、必要に応じて、鋳物にトリミング処理等の後処理を施してもよい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されず、各構成を適宜組み合わせることができる。
上述した各実施形態に関し、更に以下の鋳物製造用構造体を開示する。
<1>
有機成分を含有し、
前記有機成分の少なくとも一部が有機繊維であり、
窒素雰囲気下、1000℃で30分間加熱したときの質量減少率が1質量%以上20質量%未満であり、
以下の(1)、(2)及び(3)の少なくとも1つを満たす、鋳物製造用構造体。
(1)無機粒子を含み、該無機粒子として、層状粒子でない第1無機粒子と、層状粒子である第2無機粒子とを含む。
(2)無機粒子を含み、該無機粒子として、融点が1200℃以上である第1無機粒子と、融点が1200℃未満である第2無機粒子とを含む。
(3)JIS K7017に準じて測定された最大曲げ応力が9MPa以上であり且つ最大曲げ応力時の曲げひずみが0.6%以上である。
<2>
無機粒子を含み、該無機粒子として融点が1200℃以上、好ましくは1500℃以上であるものを含む、前記<1>に記載の鋳物製造用構造体。
<3>
無機粒子を含み、該無機粒子として融点が2500℃以下であるものを含む、前記<1>又は<2>に記載の鋳物製造用構造体。
<4>
前記質量減少率が、20%未満であり、好ましくは15質量%未満であり、より好ましくは9質量%未満である、前記<1>~<3>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<5>
前記質量減少率が、1質量%以上であり、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%超である、前記<1>~<4>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<6>
前記最大曲げ応力が、9MPa以上であり、好ましくは12MPa以上である、前記<1>~<5>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<7>
前記最大曲げ応力は、50MPa以下であり、好ましくは40MPa以下、より好ましくは30MPa以下である、前記<1>~<6>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<8>
最大曲げ応力時の前記曲げひずみが、0.6%以上であり、好ましくは0.65%以上である、前記<1>~<7>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<9>
最大曲げ応力時の前記曲げひずみは、好ましくは8%以下、より好ましくは6%以下、更に好ましくは4%以下である、前記<1>~<8>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<10>
無機粒子を含み、該無機粒子が酸化アルミニウム、二酸化ケイ素及び酸化鉄から選ばれる1種又は2種以上を含む、前記<1>~<9>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<11>
無機粒子を含み、該無機粒子が球状粒子及び層状粒子から選ばれる一種以上を含む、前記<1>~<10>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<12>
前記有機繊維が、前記鋳物製造用構造体の表面100mm当たり50本以上存在し、70本以上存在することが好ましく、100本以上存在することがより好ましい、前記<1>~<11>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<13>
前記有機繊維が構造体の表面100mm当たり300本以下存在する、前記<1>~<12>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<14>
前記表面に存在する前記有機繊維の平均繊維長L1が、0.5mm以上、より好ましくは1mm以上である、前記<12>又は<13>に記載の鋳物製造用構造体。
<15>
前記表面に存在する前記有機繊維の平均繊維長L1が、7mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下である、前記<12>~<14>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<16>
前記表面に存在する前記有機繊維の平均繊維径D1が40μm未満、好ましくは35μm未満、より好ましくは30μm以下である、前記<12>~<15>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<17>
前記表面に存在する有機繊維の平均繊維径D1は、8μm以上、好ましくは10μm以上である、前記<12>~<16>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<18>
前記表面に存在する前記有機繊維の平均繊維径に対する前記有機繊維の平均繊維長の比(1000×L1/D1)が、10以上、好ましくは30以上、より好ましくは50以上、更に好ましくは100以上である、前記<12>~<17>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<19>
前記比(1000×L1/D1)が、260以下、好ましくは230以下である、前記<12>~<18>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<20>
前記有機繊維以外の他の有機成分を更に含む、前記<1>~<19>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<21>
前記有機繊維が、パルプ繊維並びにポリエステル樹脂を含む繊維及びアラミド樹脂を含む繊維から選ばれる1又は複数を含む、前記<1>~<20>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<22>
前記鋳物製造用構造体中に含まれる無機繊維の含有量が、0質量%以上20質量%以下であり、好ましくは16質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である、前記<1>~<21>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<23>
前記鋳物製造用構造体中の有機成分の含有量は、5質量%超であり、5.5質量%以上であることが好ましく、6質量%以上であることがより好ましい、前記<1>~<22>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
<24>
前記鋳物製造用構造体中の有機成分の含有量は、20質量%未満であり、15質量%未満であることが好ましく、13質量%未満であることがより好ましい、前記<1>~<23>のいずれか一に記載の鋳物製造用構造体。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
有機成分として有機繊維(機械パルプ)及び熱硬化性樹脂(フェノール樹脂;レゾール)を用い、第1無機粒子としてムライト(球状、平均粒子径30μm)及び第2無機粒子として層状粘土鉱物粒子(モンモリロナイト;クニミネ工業株式会社製、クニピアF、平均粒子径145μm)を用いた。
これに加えて、無機繊維としてPAN系炭素繊維(三菱ケミカル株式会社製、パイロフィルTR03CM A4G)を用いた。
これらを以下の表1に示す割合で各材料を混合して構造体前駆体を作製し、上述の方法に従って鋳物製造用構造体を製造した。得られた鋳物製造用構造体の形状は厚さ2mmの平板状と、外径50mm、長さ300mm、肉厚2mmの円筒状の2種類を作成した。なお、平板状の鋳物製造用構造体を用いて、後述する最大曲げ応力及び最大曲げ応力時の曲げひずみ、質量減少率、構造体表面の平均繊維長、平均繊維径の各評価を行った。また、円筒状の鋳物製造用構造体を用いて、後述する構造体の取り扱い性、鋳込み、鋳込み後の鋳物表面の表面性の各評価を行った。
水の添加量は、混合物100質量部に対して50質量部とした。構造体前駆体の加熱温度及び加熱時間は140℃、10分間とし、成形工程における圧力は5MPaとした。
表中の「有機成分合計」は鋳物製造用構造体中の有機成分の含有量を示す。本実施例では、構造体に対してコーティング等の処理は行われておらず、表面層を有しない。
〔実施例2〕
有機繊維として、機械パルプに代えて、アラミド樹脂を含む繊維(東レ株式会社製、ケブラー(登録商標)カットファイバー、アラミド樹脂100質量%)を用い、無機繊維を使用しなかった以外は、以下の表1に示す割合で各材料を混合して、実施例1と同様に鋳物製造用構造体を製造した。
〔実施例3〕
有機繊維として、機械パルプに代えて、水中叩解処理してパルプ繊維を取り出した新聞古紙パルプを用いた以外は、以下の表1に示す割合で各材料を混合して、実施例1と同様に鋳物製造用構造体を製造した。
〔実施例4〕
有機成分として、有機繊維である機械パルプ及び熱硬化性樹脂(フェノール樹脂;レゾール)を用い、第1無機粒子として平均粒子径27μmの黒曜石(キンセイマテック株式会社製、多面体状、ナイスキャッチフラワー#330)を用いた。黒曜石には酸化アルミニウム、二酸化ケイ素及び酸化鉄が含まれていた。
これに加えて、無機繊維として、PAN系炭素繊維(三菱ケミカル株式会社製、パイロフィルTR03CM A4G)を用いた。
これ以外は、以下の表1に示す割合で各材料を混合して、実施例1と同様に鋳物製造用構造体を製造した。
〔実施例5〕
有機繊維として、機械パルプに代えて、ポリエステル樹脂を含む繊維(繊維直径11μm、繊維長5mm、ポリエステル樹脂100質量%)を用い、無機繊維を使用しなかった以外は、以下の表1に示す割合で各材料を混合して、実施例1と同様に鋳物製造用構造体を製造した。
〔実施例6〕
有機繊維として、機械パルプに代えて、ポリエステル樹脂を含む繊維(繊維直径11μm、繊維長5mm、ポリエステル樹脂100質量%)を用いた以外は、以下の表1に示す割合で各材料を混合して、実施例1と同様に鋳物製造用構造体を製造した。
〔比較例1〕
有機成分として有機繊維を使用しなかった以外は、以下の表1に示す割合で各材料を混合して、実施例1と同様に鋳物製造用構造体を製造した。
〔比較例2〕
有機成分として、機械パルプ及び新聞古紙パルプの組み合わせに代えて、新聞古紙パルプのみを用いた以外は、以下の表1に示す割合で各材料を混合して、実施例1と同様に鋳物製造用構造体を製造した。
〔最大曲げ応力及び最大曲げ応力時の曲げひずみの評価〕
実施例及び比較例の鋳物製造用構造体につき、上述の方法で板状の測定サンプルを取り出し、このサンプルに対して、JIS K7017の3点曲げ試験法に準じて、最大曲げ応力(MPa)及び最大曲げ応力時の曲げひずみ(%)を測定した。最大曲げ応力及び曲げひずみは鋳物製造用構造体の靭性の指標であり、最大曲げ応力及び曲げひずみの値が高ければ高いほど構造体の靭性が高く、構造体の取り扱い性が高いものである。結果を表1に示す。
〔質量減少率の評価〕
実施例及び比較例の鋳物製造用構造体における質量減少率の評価は、熱重量測定装置(セイコーインスツル株式会社製、STA7200RV TG/DTA)を用いて、各実施例及び各比較例の鋳物製造用構造体を窒素雰囲気下で30℃から1000℃まで昇温速度20℃/分で加熱し、その質量の変化を温度の関数として測定し、30℃時点での質量を基準とした質量減少率(%)を算出した。結果を表1に示す。
〔構造体表面の平均繊維長、平均繊維径の評価〕
実施例及び比較例の鋳物製造用構造体表面に存在する有機繊維の平均繊維長、平均繊維径の評価は、上述した方法で行った。結果を表1に示す。
〔構造体表面の繊維本数の評価〕
実施例及び比較例の鋳物製造用構造体表面に存在する有機繊維の繊維本数の評価は、上述した方法で行った。結果を表1に示す。
〔構造体の取り扱い性の評価〕
実施例及び比較例の鋳物製造用構造体における取り扱い性の評価は、以下の方法で行った。具体的には、刃厚1mm、縦挽き刃の手持ち鋸を用いて、構造体の端面から50mm離れた位置を切断し、切断を行った時に発生したひびや欠けの影響範囲長さ(mm)を切断端面から測定した。影響範囲長さが短いほど、構造体の取り扱い性が良好であることを意味する。結果を以下の表1に示す。
〔鋳込みの評価(吹き戻し高さ)〕
実施例及び各比較例の鋳物製造用構造体を鋳型として、この鋳型に鋳鉄を含む1350℃の溶融金属25kgを20秒で流し込み、鋳物を製造した。その際、溶融金属の流し込み口端面からの溶融金属の吹き戻し高さ(mm)を測定した。吹き戻し高さが低いほど、溶融金属を流し込んだ際に鋳物製造用構造体から発生するガスを抑制でき、鋳物のガス欠陥を低減できることを示すとともに、鋳込み作業の安全性が高くなることを意味する。結果を以下の表1に示す。
〔鋳物表面の表面性評価〕
実施例及び各比較例の鋳物製造用構造体を鋳型として、この鋳型に鋳鉄を含む1350℃の溶融金属を流し込み、鋳物を製造した。そのときに形成された焼着部分の面積比率を算出し、鋳物表面の表面性を評価した。
具体的には、鋳物製造用構造体と得られた鋳物との接触部分における鋳物の表面において、流し込んだ溶融金属が鋳物製造用構造体を破壊して固着したり、鋳砂由来の付着物を巻き込んで固着したりした部分を焼着部分として、その存在の有無及び範囲の判定を、目視で行った。
次いで、上述の方法で判定した焼着部分の範囲について、坪量が一定のシート材を各焼着部分の形状に合わせてカットし、カットされたシート材の質量の総和をシート材の坪量で除することによって、焼着部分の面積を算出した。
また、鋳物の表面積は、坪量が一定のシート材を用いて、鋳物表面を該シート材が互いに重ならないように被覆し、被覆するのに用いたシート材の質量をシート材の坪量で除することによって、鋳物の表面積を算出した。
そして、焼着部分の面積比率を、鋳物の表面積に対する焼着部分の面積の百分率(%)として算出した。
焼着部分の面積比率が低いほど、構造体の鋳物表面への焼着が低減されて、寸法精度や表面平滑性に優れた鋳物であることを意味する。結果を以下の表1に示す。
Figure 0007078789000001
表1に示すように、実施例の鋳物製造用構造体は、有機繊維を含む有機成分を所定量含有させることによって、比較例のものと比較して、最大曲げ応力及び曲げひずみが所定の値以上となり、構造体の靭性が向上していることに起因して、構造体の取り扱い性が向上していることが判る。また実施例の鋳物製造用構造体は、有機繊維を含む有機成分を所定量含有させることによって、構造体の質量減少率が所定の値以下となっているので、得られる鋳物のガス欠陥を効率的に低減できることも判る。また実施例の鋳物製造用構造体は、焼着部分の面積比率も比較例に比して同等以下となっているので、構造体の鋳物表面への焼着が効果的に低減され、寸法精度及び表面平滑性に優れた鋳物が得られることが判る。
したがって、本発明の鋳物製造用構造体は、取り扱い性に優れ、得られる鋳物のガス欠陥及び鋳物表面に生じる焼着を低減することができるものである。
特に、実施例1,3及び4の鋳物製造用構造体は、無機繊維を少量の有機繊維と一緒に配合することによって、ガス発生量を抑えつつ、曲げ応力を向上させることが可能となった。
また実施例5の鋳物製造用構造体は、有機繊維のみで曲げ特性を十分に満たしつつ、該構造体の製造コストを大きく抑えたものとなった。

Claims (6)

  1. 有機成分を含有し、
    前記有機成分の少なくとも一部がパルプ繊維、アラミド樹脂を含む繊維及びポリエステル樹脂を含む繊維から選ばれる1又は2以上を含む有機繊維であり、
    前記有機繊維を含む前記有機成分の含有量が、7.0質量%以上14.0質量%以下であり、
    窒素雰囲気下、1000℃で30分間加熱したときの質量減少率が1質量%以上9.69質量%以下であり、
    厚さが0.2mm以上10mm以下であり、
    以下の(1)、(2)及び(3)の少なくとも1つを満たす、鋳物製造用構造体。
    (1)無機粒子を含み、該無機粒子として、層状粒子でない第1無機粒子と、層状粒子である第2無機粒子とを含む。
    (2)無機粒子を含み、該無機粒子として、融点が1200℃以上である第1無機粒子と、融点が1200℃未満である第2無機粒子とを含む。
    (3)JIS K7017に準じて測定された最大曲げ応力が9MPa以上であり且つ最大曲げ応力時の曲げひずみが0.6%以上である。
  2. 無機粒子として融点が1200℃以上であるものを含む、請求項1に記載の鋳物製造用構造体。
  3. 最大曲げ応力時の曲げひずみが、0.65%以上である、請求項1又は2に記載の鋳物製造用構造体。
  4. 前記有機繊維が、前記鋳物製造用構造体の表面100mm当たり50本以上存在する、請求項1~のいずれか一項に記載の鋳物製造用構造体。
  5. 前記鋳物製造用構造体中に含まれる無機繊維の含有量が、0質量%以上20質量%以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の鋳物製造用構造体。
  6. 前記有機繊維の含有量が0.3質量%以上10質量%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の鋳物製造用構造体。
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