JP7078521B2 - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents

排ガス浄化用触媒 Download PDF

Info

Publication number
JP7078521B2
JP7078521B2 JP2018215029A JP2018215029A JP7078521B2 JP 7078521 B2 JP7078521 B2 JP 7078521B2 JP 2018215029 A JP2018215029 A JP 2018215029A JP 2018215029 A JP2018215029 A JP 2018215029A JP 7078521 B2 JP7078521 B2 JP 7078521B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
exhaust gas
mass
catalyst layer
upstream
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018215029A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019136695A (ja
Inventor
有希 永尾
春香 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Mining and Smelting Co Ltd filed Critical Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Publication of JP2019136695A publication Critical patent/JP2019136695A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7078521B2 publication Critical patent/JP7078521B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Description

本発明は、排ガス浄化用触媒に関する。
従来より一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)の3成分を浄化する排ガス浄化触媒が提案されている。これら3成分は主に貴金属によって浄化されるが、貴金属の性能を最大限活用するため、触媒層を上流側と下流側とで異なる触媒組成によって区画化した触媒が提案されている。
例えば、特許文献1には、上層及び下層の二層の触媒層をハニカムに担持された排ガス浄化用触媒であって、上層にPd及びPtを含み、下層にRhを含んでなるものが記載されており、上層の上流側と下流側とでPd及びPtの含有濃度がそれぞれ異なる排ガス浄化用触媒が記載されている。
また、特許文献2には、上層及び下層の二層の触媒層をハニカムに担持させた排ガス浄化用触媒であって、上層にPtとRhとを両者の質量比1で含有させて、下層にPdを含有させた排ガス浄化用触媒が記載されている。
特開2009-101252号公報 US5593647A
近年の傾向として、エンジン始動時から浄化性が発揮されることが求められており、低温での排ガス浄化触媒活性、つまりライトオフ性能がますます求められている。特に、コスト高に直結する貴金属の総量を抑制しながらライトオフ性能を効率よくさせることが益々求められている。
本発明者は、低温での排ガス浄化活性の高い触媒の配置について鋭意検討した。
その結果、触媒層を白金及びロジウムを有する上層とパラジウムを有する下層とで構成するとともに、前記上層及び下層にセリア-ジルコニア複合酸化物及びその他の貴金属担持担体を含有させ、前記下層において、上流側のパラジウム濃度を下流側よりも高めるとともに、前記上層においてロジウムを白金に対して一定比率で含有させることで、貴金属の総量を抑制しながら、低温での活性の高い触媒が得られることを見出した。
本発明は、第一触媒層と、
該第一触媒層上に形成された第二触媒層と、を備えた排ガス浄化用触媒であって、
前記第一触媒層は、排ガス流動方向の上流側に配置される上流側触媒部と、排ガス流動方向の下流側に配置される下流側触媒部と、を少なくとも備えており、
前記上流側触媒部、前記下流側触媒部及び前記第二触媒層のそれぞれは、酸素貯蔵成分と、酸素貯蔵成分以外の無機酸化物とを有し、該上流側触媒部、該下流側触媒部及び該第二触媒層のそれぞれにおける酸素貯蔵成分がセリア-ジルコニア複合酸化物を有し、
前記第一触媒層は、更に、前記酸素貯蔵成分及び前記無機酸化物中に含まれてなるパラジウムを有しており、
前記第一触媒層において、前記下流側触媒部におけるパラジウムの質量濃度に対する前記上流側触媒部におけるパラジウムの質量濃度が1を超え、
前記第二触媒層は、更に、前記酸素貯蔵成分及び前記無機酸化物中に含まれてなるロジウム及び白金を有しており、
前記第二触媒層における白金含有量に対するロジウム含有量が、質量比で1以上である、排ガス浄化用触媒を提供するものである。
本発明によれば、従来から貴金属の総量を増加させずに、低温での排ガス浄化性能を高めることができる排ガス浄化用触媒が提供される。
図1は、本発明の一実施形態である排ガス浄化用触媒の模式図を示す。 図2は、図1のI-I’線断面図を示す。 図3は、別の実施形態における図2相当図を表す。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。
本実施形態の排ガス浄化用触媒の例を図1及び図2に示す。図1に示すように、排ガス浄化用触媒10は、ケーシング20内に配置されて、排気ガスの流通経路に設置されている。図2に示すように、排ガス浄化用触媒10は、多孔質基材11と、該多孔質基材11表面に形成された第一触媒層12と、第一触媒層12における多孔質基材11とは反対側の表面に形成された第二触媒層13とを有する。第二触媒層13には、更に第一触媒層12と反対側の表面に別の層が形成されている場合があり、或いは、第二触媒層13が最外層である場合もある。なお、該多孔質基材11表面に第一触媒層12が形成されていることに替えて、多孔質基材11表面に別の層を介して第一触媒層12が形成された構成であっても構わない。別の層には、触媒活性成分が含まれていても、含まれていなくても構わない。
多孔質基材11の形状としては、ハニカム形状、DPF、GPF等が挙げられ、好ましくはハニカム、DPF又はGPFである。また、このような多孔質基材11の材質としては、例えば、アルミナ(Al)、ムライト(3Al-2SiO)、コージェライト(2MgO-2Al-5SiO)、チタン酸アルミニウム(AlTiO)、炭化ケイ素(SiC)等のセラミックスや、金属材料を挙げることができる。多孔質基材11とその表面に形成された二層以上の触媒層を有する排ガス浄化用触媒10を、触媒コンバーターとも呼ぶ。図1に記載する例では、多孔質基材11は、一方向に長い形状を有しており、その排ガス流動方向Xと長手方向が一致するように配置されている。なお図1においてRは、後述する上流側触媒部14及び下流側触媒部15との境界部分を示す。
第一触媒層12は、排ガス流動方向Xにおける上流側に位置する上流側触媒部14とそれよりも下流側に位置する下流側触媒部15とを有する。
第一触媒層12における上流側触媒部14及び下流側触媒部15、並びに第二触媒層13は、いずれも、酸素貯蔵成分(OSC材料ともいう、OSCはoxygen storage capacityの略)と、酸素貯蔵成分以外の無機酸化物を有している。上流側触媒部14及び下流側触媒部15、並びに第二触媒層13において、酸素貯蔵成分と酸素貯蔵成分以外の無機酸化物とは混合状態で存在していることが好ましい。上流側触媒部14、下流側触媒部15、及び第二触媒層13において、酸素貯蔵成分は同一組成のものであってもよく、異なる組成のものであってもよい。また上流側触媒部14、下流側触媒部15、及び第二触媒層13において、酸素貯蔵成分以外の無機酸化物は、同じ化合物であってもよく、異なる化合物であってもよい。
上流側触媒部14、下流側触媒部15、及び第二触媒層13のそれぞれにおいて、酸素貯蔵成分は、セリア-ジルコニア複合酸化物(以下、CeO-ZrOとも記載する)を有する。CeO-ZrOはCeOとZrOとの固溶体である。CeO及びZrOが固溶体となっていることは、X線回折装置(XRD)を用い、CeO-ZrOに由来する単相が形成されているか否かにより確認することができる。本明細書では、以下で述べる「セリウム以外の希土類元素の酸化物」が、CeO-ZrOに含有されてなるものも、セリア-ジルコニア複合酸化物という。
本発明の排ガス浄化用触媒は、上流側触媒部14、下流側触媒部15及び第二触媒層13の何れか一つ又は二つ以上において、CeO-ZrOに加えて、セリウム以外の希土類元素の酸化物を含有していてもよい。セリウム以外の希土類元素としては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)を挙げることができる。これらの酸化物は、プラセオジム(Pr)、テルビウム(Tb)のときを除いてセスキ酸化物(Ln23、Lnは希土類元素)である。酸化プラセオジムは通常Pr611であり、酸化テルビウムは通常Tb47である。希土類元素の酸化物は、上記2種以上の希土類元素の複合酸化物であってもよい。これら、セリウム以外の希土類元素の酸化物は、CeO-ZrOと固溶体を形成していてもよく、形成していなくてもよい。セリウム以外の希土類元素の酸化物がCeO-ZrOと固溶体を形成しているか否かは、上記と同様にX線回折装置(XRD)で確認できる。
上述したセリウム以外の希土類元素の酸化物は、多価状態を有する金属酸化物であって酸素を貯蔵する能力を有するものであればよく、例えば、上記で挙げた各種酸化物のほか、酸化鉄、酸化銅等が挙げられる。
本発明の排ガス浄化用触媒は、上流側触媒部14及び下流側触媒部15の両方が酸素貯蔵成分を含有することで、限られた容積の触媒の中で酸素貯蔵成分をバランスよく配置でき、圧力損失等の不具合なく排ガス性能を高めることができる。これに対し例えば上流側触媒部14及び下流側触媒部15の一方、例えば下流側触媒部15にCeO-ZrO等の酸素貯蔵成分がないという構成であると、その他の部位において酸素貯蔵成分の含有割合を極端に高める必要が生じ、その結果、貴金属の含有割合を低下させざるを得ずに排ガス浄化触媒性能が全体として低いものとなったり、或いは、圧力損失を大きくすることにつながってしまう。圧力損失が大きくなると、エンジンの出力低下につながる。このような不具合を避けるために、下流側触媒部15に酸素貯蔵成分を含有させず、その他の部位において酸素貯蔵成分を通常量とした場合は、触媒全体としてOSCが低下するので、酸素濃度に基づく劣化検知システムが正常に働かなくなってしまう。
OSCを発揮させて低温での排ガス浄化性能を高める点から、本発明の排ガス浄化用触媒において、上流側触媒部14中、CeOの量が、15質量%以上40質量%以下であることが好ましく、20質量%以上32質量%以下であることがより好ましい。また、上流側触媒部14中、ZrOの量が、20質量%以上50質量%以下であることが好ましく、27質量%以上44質量%以下であることがより好ましい。ここでいうCeO及びZrOの量は、CeO-ZrOに由来するCeO及びZrOの量を含む(以下で述べる下流側触媒部及び第二触媒層におけるCeO及びZrOの量について同様)。
また同様にOSCを発揮させて低温での排ガス浄化性能を高める点から、本発明の排ガス浄化用触媒において、上流側触媒部14中のCeOの量は、排ガス浄化用触媒の上流部の見かけ容積当たり、20g/L以上65g/L以下であることが好ましく、28g/L以上52g/L以下であることがより好ましい。また、上流側触媒部14中、ZrOの量が、25g/L以上90g/L以下であることが好ましく、38g/L以上70g/L以下であることがより好ましい。上流部の見かけ容積とは、多孔質基材11における、上流側触媒部14が塗工された部分(図1において符号V1で示す部分)の空孔部及び基材11の該部分の上に位置する触媒層を含む容積を指し、例えば、多孔質基材11における、排ガス流動方向Xにおいて上流側触媒部14が存在する部位の内容積として求められる。
OSCを発揮させて低温での排ガス浄化性能を高める点から、本発明の排ガス浄化用触媒において、下流側触媒部15中、CeOの量が、15質量%以上40質量%以下であることが好ましく、20質量%以上35質量%以下であることがより好ましい。また、下流側触媒部15中、ZrOの量が、20質量%以上60質量%以下であることが好ましく、27質量%以上47質量%以下であることがより好ましい。
同様にOSCを発揮させて低温での排ガス浄化性能を高める点から、本発明の排ガス浄化用触媒において、下流側触媒部15中のCeOの量は、排ガス浄化用触媒の下流部の見かけ容積当たり、20g/L以上75g/L以下であることが好ましく、28g/L以上56g/L以下であることがより好ましい。また、下流側触媒部15中のZrOの量が、30g/L以上95g/L以下であることが好ましく、38g/L以上76g/L以下であることがより好ましい。ここでいう下流部の見かけ容積は、多孔質基材11における、下流側触媒部15が塗工された部分(図1における符号V2で示す部分)の空孔部及び基材11の該部分の上に位置する触媒層を含む容積を指し、例えば、多孔質基材11における、排ガス流動方向Xにおいて下流側触媒部15が存在する部位の内容積として求められる。
更に熱的安定性を高める点から、上流側触媒部14がセリウム以外の希土類元素の酸化物を含有する場合、その量としては、上流側触媒部14中、20質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。また、下流側触媒部15が、セリウム以外の希土類元素の酸化物を含有する場合、その量としては、下流側触媒部15中、20質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
次いで、上流側触媒部14及び下流側触媒部15、並びに第二触媒層13に含まれる酸素貯蔵成分以外の無機酸化物としては、これら以外の金属酸化物が挙げられ、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、チタニア、アルミノシリケート類が挙げられる。酸素貯蔵成分以外の無機酸化物は多孔質体が好ましい。多孔質体としては、BET比表面積が30m/g~210m/gのものが挙げられる。
なお、ここでいう「酸素貯蔵成分以外の無機酸化物」は、酸素貯蔵成分を修飾ないし担持しているものを含む。例えば酸素貯蔵成分以外の無機酸化物として、アルミナ等の孔部の内表面や外表面に、微粒の酸化ランタン等、CeO等の酸素貯蔵成分が分散していてもよい。
また更に一層排ガス浄化性能を高める点から、本発明の排ガス浄化用触媒は、酸素貯蔵成分以外の無機酸化物の量が、上流側触媒部14中、10質量%以上30質量%以下であることが好ましく、13質量%以上26質量%以下であることがより好ましい。本発明の排ガス浄化用触媒は、酸素貯蔵成分以外の無機酸化物の量が、下流側触媒部15中、5.0質量%以上40質量%以下であることが好ましく、14質量%以上28質量%以下であることがより好ましい。
また、耐熱性の観点から、本発明の排ガス浄化用触媒は、上流側触媒部14、下流側触媒部15及び第二触媒層13の何れか一つ又は二つ以上において、アルカリ土類金属化合物を含有していてもよい。アルカリ土類金属としてはストロンチウム(Sr)及び/又はバリウム(Ba)が好ましく挙げられる。アルカリ土類金属化合物としては、炭酸塩、硫酸塩のほか、酸化物であってもよい。
更に一層排ガス浄化性能を高める点から、上流側触媒部14が、アルカリ土類金属化合物を含有する場合、その量としては、上流側触媒部14中、30質量%以下であることが好ましく、4.0質量%以上13質量%以下であることがより好ましい。また、下流側触媒部15が、アルカリ土類金属化合物を含有する場合、その量としては、下流側触媒部15中、30質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上13質量%以下であることがより好ましい。
第一触媒層12において、酸素貯蔵成分及び酸素貯蔵成分以外の無機酸化物を含む混合粉末、又はその焼結体中にパラジウムが含有されている。具体的には上流側触媒部14及び下流側触媒部15のうち、少なくとも上流側触媒部14において、酸素貯蔵成分及び酸素貯蔵成分以外の無機酸化物中にパラジウムが含有されており、好ましくは上流側触媒部14に加えて下流側触媒部15においても、酸素貯蔵成分及び酸素貯蔵成分以外の無機酸化物中にパラジウムが含有されている。上流側触媒部14或いは上流側触媒部14及び下流側触媒部15において、パラジウムは、酸素貯蔵成分及び酸素貯蔵成分以外の無機酸化物に担持されている。場合によっては更に上記アルカリ土類金属化合物がパラジウムを担持している。
本明細書中、「担持されている」とは、外表面又は細孔内表面に物理的又は化学的に吸着又は保持されている状態をいう。例えば、一の粒子が他の粒子を担持していることは、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した時の粒径の測定により確認できる。一の粒子の表面上に存在している粒子の平均粒径は当該一の粒子の平均粒径に対して、10%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることが特に好ましい。ここでいう平均粒径とは、SEMで観察した時の30個以上の粒子の粒径の平均値である。
本発明では、上流側触媒部14及び下流側触媒部15並びに第二触媒層13のいずれにも酸素貯蔵成分を含有させるとともに、上流側触媒部14におけるパラジウムの濃度は、下流側触媒部15におけるパラジウムの濃度よりも高い。本発明の構成によりCO、HC、NOのいずれについても低温での浄化性能を高めることができる。上流側触媒部14におけるパラジウムの質量濃度は、下流側触媒部15におけるパラジウムの質量濃度に対する比が1.5以上30以下であることがパラジウムを凝集させることなく低温での排ガス浄化性能を向上させる点で好ましく、4以上30以下であることがより好ましく、10以上30以下であることが更に好ましく、10以上20以下であることが特に好ましい。
更に、排ガス浄化性能の点及び、貴金属総量の抑制の点から、上流側触媒部14におけるパラジウムの質量濃度は、0.1質量%以上5.5質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以上2.5質量%以下であることが更に好ましい。同様の点から、下流側触媒部15におけるパラジウムの質量濃度は、0質量%であってもよいが、0.01質量%以上4.5質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上2.0質量%以下であることがより好ましい。
また同様に排ガス浄化性能を高める点から、本発明の排ガス浄化用触媒において、上流側触媒部14におけるパラジウムの量は、排ガス浄化用触媒の上流部の見かけ容積当たり、0.5g/L以上9.0g/L以下であることが好ましく、1.0g/L以上5.0g/L以下であることがより好ましい。また、下流側触媒部15におけるパラジウムの量は、排ガス浄化用触媒の下流部の見かけ容積当たり、0g/Lであってもよいが、0.05g/L以上8.0g/L以下であることが好ましく、0.1g/L以上3.0g/L以下であることがより好ましい。
貴金属量を抑制しながら排ガス浄化性能を高める観点から、上流側触媒部14と下流側触媒部15との質量比は、上流側触媒部14の100質量部に対して、下流側触媒部15が50質量部以上300質量部以下であることが好ましく、50質量部以上200質量部以下であることがより好ましく、75質量部以上200質量部以下であることが特に好ましい。
図2及び図3に示すように、排ガス浄化用触媒10では上流側触媒部14の高いパラジウム濃度によりガス流入当初にHC燃焼による触媒の温度が上昇するところ、上流側触媒部14と下流側触媒部15との間に、排ガス流動方向Xにおける隙間が存在しないように形成されていることが、排ガス浄化性能の発揮や、温度の伝導しやすさの点で好ましい。
更に上流側触媒部14(長さL1)と下流側触媒部15(長さL2)とは、その長さ比L1:L2が1:0.5以上3以下であることが低温での排ガス浄化性能を一層高めることができることが判った。好ましくは上流側触媒部14と下流側触媒部15とその長さ比が、L1:L2=1:0.5以上2以下であることがより好ましく、L1:L2が1:0.75以上2以下であることが更に好ましく、L1:L2が1:1.15以上2以下であることが特に好ましい。
図2に示すように、上流側触媒部14と下流側触媒部15とは、排ガス流動方向Xにおいて互いに重なった部分が存在しないように形成されていてもよく、図3に示すように、排ガス流動方向Xにおいて互いに重なった部分が存在するように形成されていてもよい。後者の場合であっても、上流側触媒部14の長さL1は、下流側触媒部15とオーバーラップした部分を含む長さであり、下流側触媒部15の長さL2も同様である。当該オーバーラップした部分の長さは、低温での触媒活性の観点から、排ガス流動方向における多孔質基材11(ハニカム)の全長の20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。なお、上流側触媒部14と下流側触媒部15との長さ比L1:L2が上流側触媒部14の表面に沿いガス流動方向Xと直交する方向において一定でない場合は、当該直交する方向に沿う任意の20箇所以上を測定した中での平均値をL2/L1とする(以下、後述する各長さ比率について同様)。なお、L1及びL2は、排ガス浄化用触媒における排ガス流動方向に沿う異なる多数(例えば10か所以上、好ましくは300か所以上)の位置における組成を分析し、各箇所におけるPd濃度に基づき特定することができる。各箇所におけるPd濃度は、例えば、蛍光X線分析(XRF)装置やICP発光分光分析(ICP-AES)装置により求めることができる。
また低温域での排ガス浄化性能を得る点から、図2に示すように第二触媒層13は、上流側触媒部14及び下流側触媒部15の両方における、多孔質基材11と反対側の表面に形成されていることが好ましい。第二触媒層13は、排ガス流動方向Xにおいて、下流側触媒部15の存在域における80%以上の部位に存在することが好ましく、90%以上の部位に存在することがより好ましく、下流側触媒部15の存在域における全域に存在していることが最も好ましい。また第二触媒層13は、排ガス流動方向Xにおいて、上流側触媒部14の存在域における80%以上の部位に存在することが好ましく、90%以上の部位に存在することがより好ましく、上流側触媒部14の存在域における全域に存在していることが最も好ましい。
上流側触媒部14における第二触媒層13に被覆される部分の面積の好ましい割合としては、排ガス流動方向Xにおける上流側触媒部14中の第二触媒層13に被覆される部分の好ましい割合として上記した割合と同様の割合が挙げられる。
下流側触媒部15における第二触媒層13に被覆される部分の面積の好ましい割合としては、排ガス流動方向Xにおける下流側触媒部15中の第二触媒層13に被覆される部分の好ましい割合として上記した割合と同様の割合が挙げられる。
排ガス流動方向Xにおいて、第二触媒層13は、下流側触媒部15よりも排ガス流動方向Xにおける下流側に延出していてもよく、延出していなくてもよい。第二触媒層13が下流側触媒部15よりも排ガス流動方向Xにおける下流側に延出している場合、その延出長さは、第一触媒層12の排ガス流動方向Xにおける全長に対して20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
同様に、排ガス流動方向Xにおいて、第二触媒層13は、上流側触媒部14よりも排ガス流動方向Xにおける上流側に延出していてもよく、延出していなくてもよい。第二触媒層13が上流側触媒部14よりも排ガス流動方向Xにおける上流側に延出している場合、その延出長さは、第一触媒層12の排ガス流動方向Xにおける全長に対して10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
第二触媒層13中、上流側触媒部14よりも排ガス流動方向Xにおける上流側に延出する部分の面積の第一触媒層12の面積に対する好ましい割合としては、排ガス流動方向Xにおける上流側触媒部14よりも排ガス流動方向Xにおける上流側に延出する部分の延出長さの第一触媒層12の全長に対する好ましい割合として上記した割合と同様の割合が挙げられる。
第二触媒層13中、下流側触媒部15よりも排ガス流動方向Xにおける下流側に延出する部分の面積の第一触媒層12の面積に対する好ましい割合としては、排ガス流動方向Xにおける下流側触媒部15よりも排ガス流動方向Xにおける下流側に延出する部分の延出長さの第一触媒層12の全長に対する好ましい割合として上記した割合と同様の割合が挙げられる。
上流側触媒部14の厚さと下流側触媒部15の厚さとの関係については、排ガス浄化用触媒の用途によるが、一般的に、背圧を下げる観点から上流側触媒部14の厚さに対して、上流側触媒部14と下流側触媒部15の厚さの差が±50%以内の範囲内であることが好ましく、±30%以内の範囲内であることがより好ましく、±10%以内の範囲内であることがさらに好ましく、上流側触媒部14の厚さと下流側触媒部15の厚さが略一致していることが特に好ましい。ここでいう略一致とは好ましくは、上流側触媒部14の厚さに対して下流側触媒部15の厚さが±5%以内である範囲をいう。なお、上流側触媒部14及び/又は下流側触媒部15の厚さが一定でない場合は、任意の10箇所以上の厚さの平均値とする(後述する第二触媒層13の厚さも同様)。なお、上流側触媒部14及び下流側触媒部15の厚さは、例えば、EDXを用いたライン分析により測定できる。この場合、排ガス浄化用触媒を基材ごと排ガス流動方向に直交する断面で切断し、樹脂で埋め込んだ断面についてEDXによるライン分析によりPdの分布を数値化(単位:cps)して得られるPd濃度のゆらぎ曲線に基づき上流側触媒部14及び下流側触媒部15の位置を特定して厚さを測定する。後述する第二触媒層13の厚さについてもPt、Rhの濃度分布について同様に測定することにより特定できる。
OSCを発揮しつつ低温での排ガス浄化性能を高める点から、本発明の排ガス浄化用触媒において、第二触媒層13中、CeOの量が、1.0質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。また、第二触媒層13中、ZrOの量が、30質量%以上60質量%以下であることが好ましく、36質量%以上62質量%以下であることがより好ましい。
更に熱的安定性を高める点から、第二触媒層13がセリウム以外の希土類元素の酸化物を含有する場合、その量としては、第二触媒層13中、35質量%以下であることが好ましく、5質量%以上16質量%以下であることがより好ましい。
また更に一層排ガス浄化性能を高める点から、本発明の排ガス浄化用触媒は、酸素貯蔵成分以外の無機酸化物の量が、第二触媒層13中、10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、20質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
更に一層排ガス浄化性能を高める点から、第二触媒層13が、アルカリ土類金属化合物を含有する場合、その量としては、第二触媒層13中、25質量%以下であることが好ましく、1質量%以上11質量%以下であることがより好ましい。
第二触媒層13において、酸素貯蔵成分及び酸素貯蔵成分以外の無機酸化物が、ロジウム及び白金を含有している。より具体的には、ロジウム及び白金は酸素貯蔵成分及び酸素貯蔵成分以外の無機酸化物それぞれに担持されている。なお、第二触媒層13において、ロジウム及び白金以外の貴金属、例えばパラジウムを更に含有させても良い。
下流側触媒部15に対する上流側触媒部14のパラジウムの質量濃度の比率が1を超えることを条件として、第二触媒層13におけるロジウムの含有量は、同層13における白金の含有量に対する比(質量比)が、1.5以上4.5以下であることが低温での排ガス浄化性能の点から好ましく、特に、NOx、CO、HCの浄化作用のバランスの良さの点から、2.0以上3.0以下であることが好ましい。
第二触媒層13において、ロジウム、白金、CeO、及び、ZrO、アルカリ土類金属化合物、セリウム以外の希土類元素の酸化物、酸素貯蔵成分以外の無機酸化物の各量は、排ガス流動方向Xの上流から下流にかけて一定であってもよく、上流側と下流側で異なる量であってもよい。上流から下流にかけて一定である場合、第二触媒層を排ガス流動方向Xに二等分したときに、第二触媒層の上流側の半分に含まれる量に対し、下流側の半分に含まれる量が±10%以下であることが好ましく5%以下であることがより好ましい。
第二触媒層13におけるロジウムの含有量は、0.05質量%以上2.0質量%以下であることがコスト低減、低温での排ガス浄化性能の点で好ましく、0.1質量%以上1.0質量%以下であることが更に一層好ましい。また、第二触媒層13における白金の含有量は、0.01質量%以上1.0質量%以下であることが低温での排ガス浄化性能の点で好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下であることが更に一層好ましい。
同様に排ガス浄化性能を高める点から、本発明の排ガス浄化用触媒において、第二触媒層13のロジウムの量は、排ガス浄化用触媒10における第二触媒層13の存在部分の見かけ容積当たり、0.05g/L以上1.0g/L以下であることが好ましく、0.10g/L以上0.60g/L以下であることがより好ましい。また、第二触媒層13の白金の量が、排ガス浄化用触媒10における第二触媒層13の存在部分の見かけ容積当たり、0.005g/L以上0.50g/L以下であることが好ましく、0.01g/L以上0.30g/L以下であることがより好ましい。排ガス浄化用触媒10における第二触媒層13の存在部分の見かけ容積とは、多孔質基材11における、第二触媒層13が塗工された部分の空孔部及び基材11の該部分の上に位置する触媒層を含む容積を指し、例えば、多孔質基材11における、排ガス流動方向Xにおいて第二触媒層13が存在する部位の内容積として求められる。仮に、排ガス流動方向Xにおいて第一触媒層及び第二触媒層の存在領域が一致する場合、図1のV1とV2とでそれぞれ示される領域の容積を合わせた容積である。
第一触媒層12の厚さと第二触媒層13の厚さの関係については、排ガス浄化用触媒の用途によるが、第一触媒層12の厚さを1とした際に第二触媒層13の厚さが0.1~2.0であることが好ましく、0.6~1.5であることがより好ましい。第一触媒層12の厚さを1とした際に第二触媒層13の厚さを0.1以上とすることで、熱による貴金属の凝集を防止することができる。また、第一触媒層12の厚さを1とした際に第二触媒層13の厚さを2.0以下とすることで、排気ガスの下層への拡散を十分なものとすることができる。ここで、上流側触媒部14の厚さと下流側触媒部15の厚さとが異なる場合は両者の平均値を第一触媒層12の厚さとする。
貴金属量を抑制しながら排ガス浄化性能を向上させる観点から、第一触媒層12と第二触媒層13との質量比は、第一触媒層12の100質量部に対して、第二触媒層13が20質量部以上60質量部以下であることが好ましく、30質量部以上55質量部以下であることがより好ましい。
排ガス浄化性能を高めながら貴金属量を抑制する点から、本発明の排ガス浄化用触媒において、第一触媒層12におけるパラジウムの含有量は、排ガス浄化用触媒10における第一触媒層12の存在部分の見かけ容積あたり、3g/L以下であることが好ましく、0.50g/L以上2.0g/L以下であることがより好ましい。排ガス浄化用触媒10における第一触媒層の存在部分の見かけ容積とは、多孔質基材11における、第一触媒層が塗工された部分の空孔部及び基材11の該部分の上に位置する触媒層を含む容積を指し、例えば、多孔質基材11における、排ガス流動方向Xにおいて第一触媒層が存在する部位の内容積として求められる。
また、本発明の排ガス浄化用触媒において、第二触媒層13における貴金属の含有量は、排ガス浄化用触媒10における第二触媒層13の存在部分の見かけ容積あたり、1.5g/L以下であることが好ましく、0.20g/L以上0.85g/L以下であることがより好ましい。
なお、本発明において、上述した各種成分のセリア及びジルコニア、酸素貯蔵成分以外の無機酸化物の含有量の測定方法としては、各触媒層をアルカリ溶解等で融解して得られる溶液中のセリウム、ジルコニウム、アルミニウム等各種金属の量をICP-AESで測定し、それを酸化物換算することにより求めることができる。セリウム以外の希土類元素の酸化物の量も同様にして求めることができる。また貴金属量は、金属及び酸化物のいずれの状態の貴金属をも含む量であり、例えば、触媒をアルカリ溶解等で溶解して得られる溶液中の貴金属の量をICP-AESで測定することにより測定できる。
本実施形態の排ガス浄化用触媒10の製造方法の例としては、以下の(1)ないし(2)の工程を有する方法を好適に挙げることができる。
(1)以下の(1-1)、(1-2)及び(1-3)を行う工程。(1-1)、(1-2)及び(1-3)はいずれの順序で行ってもよく、同時に行ってもよい。
(1-1)CeO-ZrOと、酸素貯蔵成分以外の無機酸化物とを含む担体、及び、パラジウム塩を含有する水溶液を混合して、上流側触媒部14用スラリーを調製する。
(1-2)CeO-ZrOと、酸素貯蔵成分以外の無機酸化物とを含む担体、及び、必要に応じてパラジウム塩を含有する水溶液を混合して、下流側触媒部15用スラリーを調製する。
(1-3)CeO-ZrOと、酸素貯蔵成分以外の無機酸化物とを含む担体、及び、ロジウム塩及び白金塩を含有する水溶液を混合して第二触媒層13用スラリーを調製する工程。
(2)多孔質基材11における一端側に上流側触媒部14用スラリー又は下流側触媒部15の一方を塗布後、焼成し、次いで、他端側に他方の触媒部用スラリーに塗布し、焼成することにより、上流側触媒部14及び下流側触媒部15からなる第一触媒層12を形成し、次いで、多孔質基材11における第一触媒層12の表面に、第二触媒層13用スラリーを塗布後、焼成する工程。
前記(1)の工程において、パラジウム塩、ロジウム塩及び白金塩としては例えばこれら金属の硝酸塩が挙げられる。
前記(1)において、上流側触媒部14用スラリー、下流側触媒部15用スラリーそれぞれの固形分濃度は、いずれも35質量%以上45質量%以下であることが、効率よく貴金属を担持させる点や排ガス浄化性能の点で好ましい。また第二触媒層13用スラリーの固形分濃度は、20質量%以上30質量%以下であることが同様の観点から好ましい。
本発明の排ガス浄化用触媒は、従来の排ガス浄化用触媒に比べて、貴金属総量を増加させずに低温でのNO、HC、CO浄化性能が向上することができる。従って、本発明の排ガス浄化用触媒は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなど化石燃料を動力源とする内燃機関の排ガス浄化触媒として、効率的にNO、HC、COの浄化が可能であり、高い排ガス浄化性能を発揮することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。なお、アルミナとしては、BET比表面積が100m/gのものを用いた。下記表1において、Frは上流側触媒部を、Rrは下流側触媒部を、それぞれ示す。また「Pd比率」は、下流側触媒部におけるパラジウムの質量濃度に対する前記上流側触媒部におけるパラジウムの質量濃度の比率を示す。「PGM比率」は第二触媒層における白金含有量に対するロジウム含有量の質量比を示す。
<実施例1>
〔上流側触媒部(Fr)の形成〕
オキシ硝酸ジルコニウム、硝酸セリウム、硝酸ランタン、硝酸ネオジムを含む水溶液に沈殿剤として水酸化ナトリウムをpHが12.0となる量で添加した。得られた沈殿物を濾過、洗浄し、十分に乾燥させた。乾燥物を、大気雰囲気下150℃で2.5時間焼成することにより、CeO-ZrOである下記組成の上流側触媒部用酸素貯蔵成分を得た。なお、上流側触媒部用酸素貯蔵成分中、CeO、La、Ndが及びZrOが固溶体を形成していることは上記方法にて確認した。
上流側触媒部用酸素貯蔵成分;CeO:30質量%、ZrO:58質量%、La:8質量%、Nd:4質量%
硝酸を水に加え、0.7質量%濃度の硝酸水溶液とした。この硝酸水溶液に、上流側触媒部用酸素貯蔵成分、アルミナ及び酢酸バリウムを加えて攪拌してスラリーを得た。このスラリーに対し、硝酸パラジウムの水溶液を添加し、上流側触媒部用スラリー(固形分量40質量%)を得た。このスラリーに、コージェライト製ハニカム状多孔質基材11(日本ガイシ社製)の一端側を浸漬させて、多孔質基材11にスラリーを塗工した。その後、多孔質基材11を450℃で2.5時間焼成して、厚さ56μmの上流側触媒部14を製造した。
上流側触媒部14における貴金属種及びその濃度は表1に示す通りであった。
上流側触媒部14の貴金属種以外の成分の含有量(排ガス浄化用触媒10の上流部の見かけ容積に対する量)を以下に示す。
アルミナ:38g/L
上流側触媒部用酸素貯蔵成分:105g/L
炭酸バリウム:7.0g/L
合計:150g/L
〔下流側触媒部(Rr)の形成〕
まず、上流側触媒部用として用いた酸素貯蔵成分と同じものを下流側触媒部用酸素貯蔵成分として用意した。
硝酸を水に加え、0.7質量%濃度の硝酸水溶液とした。この硝酸水溶液に、下流側触媒部用酸素貯蔵成分、アルミナ及び酢酸バリウムを加えて攪拌してスラリーを得た。このスラリーに対し、硝酸パラジウムの水溶液を添加し、下流側触媒部用スラリー(固形分量40質量%)を得た。このスラリーに、上流側触媒部を有する多孔質基材11の他端側を浸漬させて、多孔質基材11にスラリーを塗工した。その後、多孔質基材11を450℃で2.5時間焼成して、厚さ57μmの下流側触媒部15を製造した。上流側触媒部と下流側触媒部のガス流動方向における長さ比L1:L2は1:1.67であった。また上流側触媒部と下流側触媒部の質量比は、上流側触媒部と下流側触媒部のガス流動方向における長さ比と同じであった(実施例2~21も同様)。上流側触媒部と下流側触媒部は、排ガス流動方向Xにおいて隙間なく存在し、オーバーラップした部分の長さは、排ガス流動方向における多孔質基材11のL長全長の10%以下であった。上流側触媒部と下流側触媒部からなる第一触媒層の排ガス流動方向Xの長さは、多孔質基材11の排ガス流動方向X長さと同様であった。
下流側触媒部における貴金属種及びその濃度は表1に示す通りであった。
下流側触媒部の貴金属以外の成分の含有量(排ガス浄化用触媒10の下流部の見かけ容積に対する量)を以下に示す。
アルミナ:39g/L
下流側触媒部用酸素貯蔵成分:110g/L
炭酸バリウム:1.0g/L
合計:150g/L
〔第二触媒層の形成〕
オキシ硝酸ジルコニウム、硝酸セリウム、硝酸ランタン、硝酸ネオジムを含む水溶液に沈殿剤として水酸化ナトリウムをpHが12.0となる量で添加した。得られた沈殿物を濾過、洗浄し、十分に乾燥させた。乾燥物を、大気雰囲気下150℃で2.5時間焼成することにより下記成分を下記質量比で含有する第二触媒層用酸素貯蔵成分を得た。
第二触媒層用酸素貯蔵成分:CeO:15質量%、ZrO:73質量%、La:8質量%、Nd:4質量%
なお、第二触媒層用酸素貯蔵成分中、CeO、ZrO、La及びNdが固溶体を形成していることは上記方法にて確認した。
硝酸を水に加え、0.7質量%濃度の硝酸水溶液とした。この硝酸水溶液に、第二触媒層用酸素貯蔵成分、アルミナ及び酢酸バリウムを加えて攪拌してスラリーを得た。このスラリーに対し、硝酸白金及び硝酸ロジウムの水溶液を添加し、第二触媒層用スラリー(固形分量30質量%)を得た。このスラリーに、第一触媒層12が形成された多孔質基材11を浸漬させて多孔質基材11にスラリーを塗工した。その後、多孔質基材11を450℃で2.5時間焼成して、厚さ47μmの第二触媒層を製造し、これにより、実施例1の排ガス浄化用触媒を製造した。第二触媒層は第一触媒層の表面全域を被覆し、第二触媒層及び第一触媒層の面積は一致していた。
第二触媒層における貴金属種及びその濃度は表1に示す通りであった。
第二触媒層の貴金属以外の成分の含有量(多孔質基材11における、第二触媒層13が塗工された部分の容積に対する量)を以下に示す。
アルミナ:14g/L
第二触媒層用酸素貯蔵成分:44g/L
炭酸バリウム:2.0g/L
合計:60g/L
<実施例2~21、比較例1~4>
貴金属の量又は第一触媒層における上流側触媒部と下流側触媒部の長さ比を表1に示すように変更した。その点以外は、実施例1と同様にして、排ガス浄化用触媒を製造した。
<T50評価方法>
下記条件の耐久試験を行い、その耐久試験後の触媒について、下記方法にてT50を測定した。(耐久条件)
5~10万キロ走行を想定した劣化処理として、次のような耐久条件を課した。
・耐久用エンジン:乗用NA 2L ガソリンエンジン
・使用ガソリン:市販レギュラーガソリン
・耐久温度・時間:1000℃×40hrs+650℃×10hrs
・触媒前段空燃比変動:A/F=13.5(10sec)→14.6(20sec)→1
5.5(10sec)の繰り返し
(T50測定条件)
・評価エンジン:乗用NA 2L ガソリンエンジン
・使用ガソリン:認証試験用燃料
・触媒前段空燃比変動:A/F=14.6
・昇温速度:100℃/min
T50は、排ガス浄化用触媒に流入する評価用モデルガス温度を常温から漸次上昇させていき、HC浄化率が50%に達したときの装置入口のガス温度である。昇温時にHC、CO、NO浄化に関するライトオフ温度T50を測定した。T50の値としては、全炭化水素量の測定は堀場製作所社製のFID検出器を用い、CO/CO/NO/O濃度の測定は堀場製作所社製のPG-240を用いて行った。
Figure 0007078521000001
以上の通り、本発明の排ガス浄化用触媒は、第一触媒層(下層)において上流側触媒部の方が下流側触媒部に比べてパラジウムの濃度が高く、且つ第二触媒層(上層)において、ロジウムの方が白金よりも濃度が高く、しかも、第一触媒層における上流側及び下流側、並びに第二触媒層においていずれも酸素貯蔵成分を含有するという構成を有することで、Fr:Rr長さ比が同じ実施例1~18はCO、HC、NOのいずれのT50も比較例1~4を下回った。従って、本発明の排ガス浄化用触媒は、従来から貴金属の総量を増加させずに、低温での排ガス浄化性能を高めることができる。
10 排ガス浄化用触媒
12 第一触媒層
13 第二触媒層
14 上流側触媒部
15 下流側触媒部

Claims (6)

  1. 第一触媒層と、
    該第一触媒層上に形成された第二触媒層と、を備えた排ガス浄化用触媒であって、
    前記第一触媒層は、排ガス流動方向の上流側に配置される上流側触媒部と、排ガス流動方向の下流側に配置される下流側触媒部と、を少なくとも備えており、
    前記上流側触媒部、前記下流側触媒部及び前記第二触媒層のそれぞれは、酸素貯蔵成分と、酸素貯蔵成分以外の無機酸化物とを有し、該上流側触媒部、該下流側触媒部及び該第二触媒層のそれぞれにおける酸素貯蔵成分がセリア-ジルコニア複合酸化物を有し、
    前記第一触媒層は、更に、前記酸素貯蔵成分及び前記無機酸化物中に含まれてなるパラジウムを有しており、
    前記第一触媒層において、前記下流側触媒部におけるパラジウムの質量濃度に対する前記上流側触媒部におけるパラジウムの質量濃度が1を超え、
    前記第二触媒層は、更に、前記酸素貯蔵成分及び前記無機酸化物中に含まれてなるロジウム及び白金を有しており、
    前記第二触媒層における白金含有量に対するロジウム含有量が、質量比で1以上である、排ガス浄化用触媒。
  2. 前記第一触媒層の下流側触媒部におけるパラジウムの質量濃度に対する前記上流側触媒部におけるパラジウムの質量濃度が1.5以上30以下であり、
    前記第二触媒層における白金含有量に対するロジウム含有量が質量比で1.5以上4.5以下である、請求項1記載の排ガス浄化用触媒。
  3. 前記第二触媒層における白金含有量に対するロジウム含有量が質量比で2.0以上3.0以下である、請求項1又は2記載の排ガス浄化用触媒。
  4. 前記上流側触媒部及び前記下流側触媒部の排ガス流動方向における長さの比(前者:後者)が、1:0.5以上3以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  5. 前記上流側触媒部及び前記下流側触媒部の排ガス流動方向における長さの比(前者:後者)が、1:0.5以上2以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  6. 前記第一触媒層中に含まれるパラジウムの含有量は3g/L以下である、請求項1~5の何れか1項記載の排ガス浄化用触媒。
JP2018215029A 2018-02-13 2018-11-15 排ガス浄化用触媒 Active JP7078521B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018022916 2018-02-13
JP2018022916 2018-02-13

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019136695A JP2019136695A (ja) 2019-08-22
JP7078521B2 true JP7078521B2 (ja) 2022-05-31

Family

ID=67694836

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018215029A Active JP7078521B2 (ja) 2018-02-13 2018-11-15 排ガス浄化用触媒

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7078521B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7386651B2 (ja) * 2019-09-02 2023-11-27 株式会社キャタラー 排ガス浄化用触媒

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000157867A (ja) 1998-11-25 2000-06-13 Toyota Motor Corp 排ガス浄化用触媒
JP2005021793A (ja) 2003-07-01 2005-01-27 Mazda Motor Corp 排気ガス浄化用触媒
JP2012020276A (ja) 2010-01-04 2012-02-02 Toyota Motor Corp 排ガス浄化用触媒
JP2013220400A (ja) 2012-04-18 2013-10-28 Mazda Motor Corp 排気ガス浄化用触媒

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000157867A (ja) 1998-11-25 2000-06-13 Toyota Motor Corp 排ガス浄化用触媒
JP2005021793A (ja) 2003-07-01 2005-01-27 Mazda Motor Corp 排気ガス浄化用触媒
JP2012020276A (ja) 2010-01-04 2012-02-02 Toyota Motor Corp 排ガス浄化用触媒
JP2013220400A (ja) 2012-04-18 2013-10-28 Mazda Motor Corp 排気ガス浄化用触媒

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019136695A (ja) 2019-08-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7319971B2 (ja) 熱耐久性が改善されたガソリン排気ガス用途のためのtwc触媒
JP4648089B2 (ja) 排ガス浄化用触媒
JP7518763B2 (ja) 排気ガス浄化触媒
JP6889252B2 (ja) 排気ガス浄化用触媒およびそれを用いた排気ガス浄化方法
JP7248616B2 (ja) 排ガス浄化用触媒
US20210283582A1 (en) Catalytic articles
JP5876475B2 (ja) Rh負荷が低減されたNOx貯蔵触媒
US11141713B2 (en) Exhaust gas purification catalyst and exhaust gas purification method using the same
JP7078521B2 (ja) 排ガス浄化用触媒
JP2010227799A (ja) 排ガス浄化用触媒
JP6824467B2 (ja) 排ガス浄化用触媒
JP7466535B2 (ja) 排ガス浄化用触媒及び該排ガス浄化用触媒を用いた排ガス浄化システム
JP7173708B2 (ja) 排ガス浄化用触媒
JP6637643B1 (ja) 排ガス浄化用触媒
JP7226943B2 (ja) 排ガス浄化用触媒
JP7123698B2 (ja) 排ガス浄化用触媒
WO2022209154A1 (ja) 排ガス浄化用触媒及び排ガス浄化システム
WO2022209155A1 (ja) 排ガス浄化用触媒
JP6947954B1 (ja) 排ガス浄化用触媒
WO2023276793A1 (ja) 排ガス浄化用酸化触媒
CN118159362A (zh) 废气净化催化剂、废气的净化方法及废气净化催化剂的制造方法
WO2017130623A1 (ja) Pd担持Zr系複合酸化物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210827

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220512

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220517

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220519

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7078521

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150