以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態において、熱源機10が、特許請求の範囲に記載の「熱源部」に対応する。また、放熱機20が、特許請求の範囲に記載の「放熱部」に対応する。さらに、熱交換器103が、特許請求の範囲に記載の「第1熱交換器」に対応する。さらに、熱交換器301が、特許請求の範囲に記載の「第2熱交換器」に対応する。さらに、往き管108が、特許請求の範囲に記載の「管路」に対応する。さらに、出口温度センサ111が、特許請求の範囲に記載の「熱源部出口温度センサ」に対応する。さらに、入口温度センサ112が、特許請求の範囲に記載の「熱源部入口温度センサ」および「循環液温度センサ」に対応する。さらに、貯水タンク120が、特許請求の範囲に記載の「タンク」に対応する。さらに、入口温度センサ306が、特許請求の範囲に記載の「放熱部入口温度センサ」に対応する。さらに、制御部401と制御部501とにより、特許請求の範囲に記載の「制御部」が構成される。さらに、放熱機入口温度、熱源機出口温度および熱源機入口温度が、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「放熱部入口温度」、「熱源部出口温度」および「熱源部入口温度」に対応する。
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
図1は、CO2供給装置1が設置された栽培室2を模式的に示す図である。
CO2供給装置1は、温室、ビニールハウス等の栽培室2に設置され、栽培室2内で育成される農作物等の植物にCO2(二酸化炭素)を供給し、植物の光合成を促進させる。CO2供給装置1は、燃焼式の熱源機10と、空冷式の放熱機20とを備える。熱源機10は栽培室2内に設置され、放熱機20は栽培室2の外、即ち屋外に設置される。熱源機10は、植物の近傍へと延びる供給ダクト212を有し、この供給ダクト212により、植物の近くにCO2が導かれる。なお、図1の例では、栽培室2は、植物が栽培される部屋と熱源機10が設置される部屋とに区切られていない。しかしながら、栽培室2は、上記2つの部屋に区切られていてもよい。この場合、熱源機10が設置された部屋から植物が栽培される部屋へと供給ダクト212が延びることになる。
図2は、CO2供給装置1の構成を示す図である。
熱源機10は、熱源機本体11と、ダクトユニット12とを含む。
熱源機本体11には、筐体100内に缶体101が配置される。缶体101内には、燃焼器102と熱交換器103が収容される。燃焼器102には、供給管104が接続される。供給管104は、缶体101および筐体100の外に出て、燃料、たとえば灯油が貯留された燃料タンク(図示せず)に繋がる。供給管104には、供給ポンプ105が設けられる。また、燃焼器102には、気化ヒータ106とイグナイタ107が設けられる。
熱交換器103は、燃焼器102の後段(下方)に設けられる。熱交換器103には、往き管108と戻り管109が接続される。往き管108と戻り管109は、缶体101および筐体100の外に出て放熱機20側へと延びる。戻り管109には、循環ポンプ110が設けられる。
往き管108および戻り管109には、缶体101の外側の位置に、それぞれ、出口温度センサ111および入口温度センサ112が配置される。出口温度センサ111は、熱交換器103から往き管108へ流出した水の温度を検出する。入口温度センサ112は、戻り管109から熱交換器103へ流入する水の温度を検出する。出口温度センサ111および入口温度センサ112は、水に接触することで水の温度を直接的に検出するものであってもよいし、管の表面に接触することで水の温度を間接的に検出するものであってもよい。
往き管108には、缶体101の外側の位置に、流量センサ113が配置される。流量センサ113は、往き管108を流れる水の流量、即ち、熱交換器103と、往き管108と、放熱機20側の熱交換器301と、戻り管109との間で循環する水の流量を検出する。
缶体101には、その上端の給気口101aに燃焼ファン114が連結される。燃焼ファン114は、ケーシング115と、ケーシング115内に配置されるファン116と、ファン116を回転させるモータ117とを含む。ケーシング115には、外部に繋がる給気ダクト118が接続される。
缶体101には、その下端の排気口101bに排気ダクト119が連結される。排気ダクト119は、筐体100内の下部で折り返された後に上方へと延び、その排気口119aが筐体100の上面から突出する。
ダクトユニット12は、ダクトフード211と供給ダクト212を含む。ダクトフード211は、熱源機本体11の筐体100の上部に被せられ、上方に向かうに従って体積が小さくなるテーパー形状を有する。ダクトフード211の上端部に供給ダクト212が連結される。供給ダクト212は、その途中部位に供給ファン213を備える。供給ファン213は、ファン214と、ファン214を回転させるモータ215とを含む。また、供給ダクト212には、栽培室2内の植物に対応する位置に複数の放出口216が形成される。供給ダクト212の放出口216と離れた位置には、植物の周囲のCO2濃度を検出するためのCO2濃度センサ217が配置される。
放熱機20は、筐体300内に、熱交換器301と、熱交換器301を冷却するための冷却ファン302を備える。熱交換器301には、熱源機10側から延びる往き管108と戻り管109が接続される。冷却ファン302は、ケーシング303と、ケーシング303内に配置されるファン304と、ファン304を回転させるモータ305とを含む。
往き管108には、熱交換器301の近傍位置に、入口温度センサ306が配置される。入口温度センサ306は、往き管108から熱交換器301へ流入する水の温度を検出する。入口温度センサ306は、水に接触することで水の温度を直接的に検出するものであってもよいし、管の表面に接触することで水の温度を間接的に検出するものであってもよい。
筐体300には、雰囲気温度センサ307が配置される。雰囲気温度センサ307は、放熱機20の周囲の温度を雰囲気温度として検出する。
CO2供給装置1は、CO2供給運転を行う。CO2供給運転では、熱源機10において、燃焼ファン114が動作し、給気ダクト118を通じて外部から取り込まれた空気が、缶体101内の燃焼器102に供給される。燃焼器102には、供給ポンプ105の動作によって、燃料タンクから供給管104を通じて燃料が供給される。供給された燃料が気化ヒータ106により気化され、イグナイタ107による点火が行われると、燃焼器102が着火して燃焼する。燃焼器102の燃焼により、CO2を含む高温の燃焼ガスが発生する。
燃焼ガスは、缶体101内を下方へ流れ、熱交換器103を通過する。循環ポンプ110が動作し、熱交換器103と、往き管108と、放熱機20側の熱交換器301と、戻り管109との間で水が循環する。熱交換器103を通過する燃焼ガスと熱交換器103内を流れる水との間で熱交換が行われ、燃焼ガスが冷却される。冷却された燃焼ガスは、排気ダクト119内を流れて、排気口119aからダクトフード211内へ排出される。
ダクトフード211内へ排出された燃焼ガスは、供給ダクト212に流入し、放出口216から植物の周囲に放出される。これにより、燃焼ガスに含まれるCO2が植物に供給される。この際、供給ダクト212で供給ファン213が動作するため、ダクトフード211内に排出された燃焼ガスが供給ダクト212内に取り込まれやすくなり、放出口216から放出されやすくなる。
なお、栽培室2には、複数の畝が設けられ、各畝に植物が植えられ得る。よって、各畝の植物にCO2が行き渡るよう、供給ダクト212は、複数のダクトに分岐し、分岐したダクトが各畝に配置されるとよい。この場合、供給ファン213は、供給ダクト212における分岐位置よりも上流側(ダクトフード211側)に設けられ、分岐したダクトに放出口216が形成される。
放熱機20では、燃焼ガスとの熱交換で温まり往き管108を流れてきた水が熱交換器301へ流入する。冷却ファン302が動作し、冷却風が熱交換器301に送られる。熱交換器301内を流れる水と冷却風との間で熱交換が行われ、水が冷却される。冷却された水は、戻り管109を通って熱源機10へと戻る。
このように、CO2供給装置1では、熱源機10内で冷却された燃焼ガス、即ち、CO2が栽培室2内に放出されるため、栽培室2内が高温になりにくい。
図3は、CO2供給装置1の構成を示すブロック図である。
熱源機10は、図2の構成の他、制御部401と、記憶部402と、燃焼ファン駆動部403と、供給ポンプ駆動部404と、ヒータ駆動部405と、イグナイタ駆動部406と、循環ポンプ駆動部407と、供給ファン駆動部408と、通信部409とを備える。
制御部401は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備える。制御部401には、出口温度センサ111および入口温度センサ112で検出された温度に基づく温度信号が入力され、流量センサ113で検出された流量に基づく流量信号が入力され、CO2濃度センサ217で検出されたCO2濃度に基づく濃度信号が入力される。制御部401は、記憶部402に記憶されたプログラムに従って、燃焼ファン駆動部403、供給ポンプ駆動部404、ヒータ駆動部405、イグナイタ駆動部406、循環ポンプ駆動部407、供給ファン駆動部408および通信部409を制御する。記憶部402は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部401の制御プログラムを記憶し、また、制御部401の制御処理の際にワーク領域として利用される。
燃焼ファン駆動部403は、制御部401からの制御信号に従って、燃焼ファン114(モータ117)を駆動する。供給ポンプ駆動部404は、制御部401からの制御信号に従って、供給ポンプ105を駆動する。ヒータ駆動部405は、制御部401からの制御信号に従って、気化ヒータ106を駆動する。イグナイタ駆動部406は、制御部401からの制御信号に従って、イグナイタ107を駆動する。循環ポンプ駆動部407は、制御部401からの制御信号に従って、循環ポンプ110を駆動する。供給ファン駆動部408は、制御部401からの制御信号に従って、供給ファン213(モータ215)を駆動する。通信部409は、放熱機20の通信部505との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。
放熱機20は、図2の構成の他、制御部501と、記憶部502と、ファン駆動部503と、回転数センサ504と、通信部505とを備える。
制御部501は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備える。制御部501には、回転数センサ504が検出した冷却ファン302の回転数に基づく回転数信号が入力され、入口温度センサ306および雰囲気温度センサ307で検出された温度に基づく温度信号が入力される。制御部501は、記憶部502に記憶されたプログラムに従って、ファン駆動部503および通信部505を制御する。記憶部502は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部501の制御プログラムを記憶し、また、制御部501の制御処理の際にワーク領域として利用される。
ファン駆動部503は、制御部501からの制御信号に従って、冷却ファン302(モータ305)を駆動する。たとえば、ファン駆動部503は、回転数センサ504で検出された回転数に基づいてモータ305に供給する電流を調整する。通信部505は、熱源機10の通信部409との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。
CO2供給装置1では、熱源機10の制御部401と放熱機20の制御部501が協働してCO2供給運転に係る制御処理を実行する。このため、制御部401と制御部501は、CO2供給運転に関して、1つの制御部を構成するということができる。
図4は、制御部401による熱源機10側でのCO2供給運転に係る制御処理を示すフローチャートである。図5は、制御部501による放熱機20側でのCO2供給運転に係る制御処理を示すフローチャートである。
CO2供給装置1に設けられた運転開始ボタン(図示せず)が操作されることにより、CO2供給運転が開始される。
図4を参照して、熱源機10では、制御部401は、燃焼ファン114および循環ポンプ110を作動させる(S101)。さらに、制御部401は、供給ポンプ105、気化ヒータ106およびイグナイタ107の作動により燃焼器102を着火させて燃焼させるとともに、供給ファン213を作動させる(S102)。上述の通り、熱源機本体11内でCO2を含む燃焼ガスが発生し、その燃焼ガスが冷却された後に供給ダクト212から栽培室2内に放出され、栽培室2内の植物にCO2が供給される。
制御部401は、CO2濃度センサ217で検出されたCO2濃度を取得する(S103)。そして、制御部401は、検出CO2濃度に基づく比例制御を行って燃焼器102の燃焼量を調整する(S104)。具体的には、制御部401は、燃焼器102に要求される要求燃焼量を算出し、燃焼量が要求燃焼量となるように、燃焼空気の供給量(燃焼ファン114の回転数)と燃料の供給量(供給ポンプ105の回転数)を調整する。要求燃焼量は、以下の算出式1により算出できる。
要求燃焼量[kW]=(目標CO2濃度[ppm]-検出CO2濃度[ppm])×施設内設定体積[m3]×A …算出式1
ここで、施設内設定体積は、栽培室2の体積であり、Aは、実験により予め定められ係数である。算出式1、施設内設定体積および係数Aは、記憶部402に記憶される。
次に、制御部401は、入口温度センサ112で検出された熱源機入口温度を取得し(S105)、取得した熱源機入口温度が第1温度を超えたか否かを判定する(S106)。第1温度は、熱交換器103を流れる水により燃焼ガスの最低限の冷却が行える温度であり、たとえば、67℃程度の温度とされる。
後述する放熱機20側での制御処理、即ち、冷却ファン302の回転数制御により、燃焼器102の燃焼量に見合う放熱機20の出力(冷却能力)が得られている場合、熱交換器301を通過する水が十分に冷却されるため、熱源機入口温度は第1温度を超えない。
熱源機入口温度が第1温度を超えなければ(S106:NO)、制御部401は、休止時刻となるか終了操作がなされない限り(S107:NO→S108:NO)、検出CO2濃度の検出(S103)と燃焼量の調整(S104)を繰り返す。
夏場の非常に気温が高い状況下において大きな燃焼量が必要になった場合など、冷却ファン302を最大の回転数で回転させても、その燃焼量に見合う放熱機20の出力が得られなくなった場合は、熱交換器301を通過する水が十分に冷却されず、熱源機入口温度が徐々に上昇し、やがて第1温度を超える。
熱源機入口温度が第1温度を超えた場合(S106:YES)、制御部401は、燃焼器102および供給ファン213を停止させる(S109)。燃焼ファン114および循環ポンプ110は、継続して動作する。燃焼ファン114からの風が熱交換器103に当てられる。また、放熱機20側では、冷却ファン302が動作を継続している。
2つの熱交換器103、301の間を循環する水(以下、「循環水」という)は、熱交換器301のみならず、燃焼ファン114の風により熱交換器103においても冷却されるので、その温度が低下しやすくなる。また、供給ファン213は停止しているので、供給ダクト212の放出口216から積極的に空気が排出されず、植物の周囲のCO2が希釈されにくい。
制御部401は、定期的に熱源機入口温度を取得し、熱源機入口温度が、第1温度より低い第2温度以下、たとえば、53℃程度の温度以下に低下すると(S110:YES)、再び、燃焼器102を着火させるとともに、供給ファン213を作動させる(S102)。
栽培室2内の植物は、正午頃になると、葉に十分な養分が蓄えられるため、一旦、光合成を行わなくなる。また、植物は、夜間にも光合成を行わない。よって、正午頃に休止時刻と再開時刻が設定されるとともに、夕方と朝方にそれぞれ休止時刻と再開時刻が設定される。
制御部401は、S107で休止時刻になったと判定すると(S107:YES)、燃焼器102および供給ファン213を停止させる(S111)。また、このとき、熱源機入口温度が第2温度以下でなければ(S112:NO)、制御部401は、熱源機入口温度が第2温度以下になるのを待って(S112:YES)、燃焼ファン114および循環ポンプ110を停止させる。これにより、循環水が十分に冷却された状態から運転を再開できる。
その後、再開時刻になると(S114:YES)、制御部401は、再び、燃焼ファン114および循環ポンプ110を作動させる(S101)。さらに、制御部401は、再び、燃焼器102を着火させるとともに、供給ファン213を作動させる(S102)。
植物の採集(収穫)が終わるなど、栽培室2内へのCO2を供給する必要がなくなると、CO2供給装置1に設けられた運転停止ボタン(図示せず)による終了操作がなされる。
制御部401は、S108で終了操作がなされたと判定すると(S108:YES)、燃焼ファン114、循環ポンプ110、燃焼器102および供給ファン213を停止させる(S115)。これにより、熱源機10側でのCO2供給運転が終了する。
なお、図4には示されていないが、S109の処理により燃焼器102および供給ファン213が停止している間およびS111、S113の処理により燃焼ファン114、循環ポンプ110、燃焼器102および供給ファン213が停止している間に終了操作がなされた場合も、CO2供給運転が終了する。
次に、図5を参照して、CO2供給運転が開始されると、放熱機20では、制御部501が入口温度センサ306で検出された放熱機入口温度を監視し、放熱機入口温度が冷却ファン302による冷却を開始する開始温度(たとえば、40℃程度の温度)を超えたか否かを判定する(S201)。
冬場など気温が非常に低く、周囲の空気で熱交換器301が十分に冷却されるような場合などを除き、通常の場合は、運転開始後、しばらくすると、放熱機入口温度が開始温度を超える。制御部501は、放熱機入口温度が開始温度を超えたと判定すると(S201:YES)、冷却ファン302を作動させる(S202)。
次に、制御部501は、放熱機入口温度と雰囲気温度センサ307で検出された雰囲気温度を取得する(S203)。さらに、制御部501は、熱源機10の制御部401から送信された要求燃焼量を取得する(S204)。制御部401は、S104の燃焼器102の調整時に算出した要求燃焼量を、定期的、あるいは、制御部501の要求指令に応じて制御部501へ送信する。
制御部501は、放熱機入口温度、雰囲気温度および要求燃焼量を取得すると、冷却ファン302に要求される要求回転数を算出する(S205)。
ここで、放熱機20が要求される要求出力は、冷却ファン302の要求回転数、放熱機入口温度および雰囲気温度を用いて、以下の関係式1で表すことができる。なお、関係式1において、Bは、実験により予め定められる係数である。
要求出力[kW]=要求回転数[rpm]×(放熱機入口温度[℃]-雰囲気温度[℃])×B …関係式1
ゆえに、要求回転数は、以下の算出式2により求められることになる。
要求回転数[rpm]=要求出力[kW]/((放熱機入口温度[℃]-雰囲気温度[℃])×B) …算出式2
放熱機20の要求出力は、燃焼器102の要求燃焼量に見合った出力であり、要求燃焼量と等価(要求出力=要求燃焼量)となることが望ましい。こうなった場合、熱交換器103で循環水が奪う熱量と熱交換器301で循環水から奪われる熱量のバランスが保たれて、循環水の温度が上昇しにくくなる。
よって、上記算出式2は、以下の算出式3に置き換えられ、最終的に、この算出式3により、要求回転数が算出される。なお、算出式3および係数Bは、記憶部502に記憶される。
要求回転数[rpm]=要求燃焼量[kW]/((放熱機入口温度[℃]-雰囲気温度[℃])×B) …算出式3
このようにして、冷却ファン302の要求回転数が、要求出力(=要求燃焼量)、放熱機入口温度および雰囲気温度に基づいて求められる。
要求回転数が求められると、制御部501は、要求回転数となるように冷却ファン302の回転数を調整する(S206)。
制御部501は、冷却ファン302が動作している間、S203~S206の処理を繰り返す。これにより、CO2供給装置1では、熱源機10側で燃焼器102の燃焼量が変化しても、放熱機20側では、その時の燃焼量に見合った放熱機20の出力が得られる。よって、循環水の温度が上昇しにくくなるので、熱源機10側で熱源機入口温度が第1温度を超えてCO2供給運転が中断してしまう、ということが起こりにくくなる。また、冷却ファン302の回転数が無駄に高くならないので、放熱機20側での無駄な電力消費が生じにくくなる。
その後、終了操作に基づくCO2供給運転の終了が熱源機10の制御部401から知らされると(S207:YES)、制御部501は、冷却ファン302を停止させる(S208)。こうして、放熱機20側でのCO2供給運転が終了する。
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、以下の効果が奏され得る。
放熱機20に要求される要求出力は、上記関係式1のように、放熱機入口温度と雰囲気温度との温度差と、冷却ファン302に要求される要求回転数により定まる。本実施の形態のCO2供給装置1では、放熱機入口温度と雰囲気温度との温度差に基づいて、冷却ファン302の回転数が制御される。これにより、放熱機入口温度や雰囲気温度が変動しても、放熱機20の出力が要求出力に近づくように冷却ファン302を回転させることができる。よって、放熱機20側で循環水の冷却不足や過剰冷却が起きにくくなるので、運転停止を招きにくくなり、また、無駄な電力消費を招きにくくなる。
また、本実施の形態のCO2供給装置1では、CO2濃度センサ217で検出されたCO2濃度により定まる要求燃焼量となるように燃焼器102の燃焼量が調整され、要求燃焼量により定まる放熱機20の要求出力と放熱機入口温度と雰囲気温度との温度差とに基づいて、冷却ファン302の回転数が制御される。この構成によれば、熱源機10での燃焼量に見合う放熱機20の出力を得ることができるので、循環水の冷却不足や過剰冷却が一層起きにくくなる。
さらに、本実施の形態のCO2供給装置1では、放熱機入口温度が第1温度を超えたときに、燃焼器102が停止する。この構成によれば、燃焼ガスを熱交換器103により適正に冷却できなくなると燃焼器102が停止するので、高温の燃焼ガスが栽培室2内に供給されてしまうことを防止できる。
さらに、本実施の形態のCO2供給装置1では、放熱機入口温度が第1温度を超えることにより燃焼器102が停止したとき、燃焼ファン114が継続して動作する。この構成によれば、燃焼ファン114の風により熱交換器103を冷却できるので、循環水を素早く冷却することが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
<変更例1>
図6は、変更例に係る、制御部501による放熱機20側でのCO2供給運転に係る制御処理を示すフローチャートである。
本変更例では、冷却ファン302の要求回転数を算出する方法が、上記実施の形態と異なっている。図6の制御処理では、図5の制御処理のS203~S205の処理に替えて、S211~S213の処理が実行される。
図6を参照して、放熱機入口温度が開始温度を超えることにより(S201:YES)、冷却ファン302が作動すると(S202)、制御部501は、回転数センサ504で検出された冷却ファン302の回転数、即ち現在回転数を取得する(S211)。さらに、制御部501は、熱源機10の制御部401から送信された要求燃焼量、熱源機出口温度、熱源機入口温度および流量を取得する(S212)。制御部401は、S104の燃焼器102の調整時に算出した要求燃焼量を、定期的、あるいは、制御部501の要求指令に応じて制御部501へ送信する。また、制御部401は、要求燃焼量となるように燃焼器102を調整する前に出口温度センサ111、入口温度センサ112および流量センサ113で検出した現在の熱源機出口温度、熱源機入口温度および流量を、要求燃焼量とともに制御部501へ送信する。
制御部501は、現在回転数、要求燃焼量、熱源機出口温度、熱源機入口温度および流量を取得すると、冷却ファン302に要求される要求回転数を算出する(S213)。
上記実施の形態と同じように、熱交換器103で循環水が奪う熱量と熱交換器301で循環水から奪われる熱量のバランスが保たれるためには、以下の関係式2が成り立つことが望ましい。
要求回転数[rpm]/現在回転数[rpm]=要求燃焼量[kW]/現在燃焼量[kW]×C …関係式2
ここで、Cは、実験により予め定められる係数である。また、現在燃焼量は、以下の算出式4により求めることができる。なお、cは、水の比熱(4.18[kJ/kg/K])である。
現在燃焼量[kW]=c[kJ/kg/K]×(熱源機出口温度[℃]-熱源機入口温度[℃])×流量[kg/s] …算出式4
よって、要求回転数が、以下の算出式5により算出される。なお、算出式5および係数Cは、記憶部502に記憶される。
要求回転数[rpm]=現在回転数[rpm]×要求燃焼量[kW]/(c[kJ/kg/K]×(熱源機出口温度[℃]-熱源機入口温度[℃])×流量[kg/s]) …算出式5
このようにして、要求回転数と現在回転数との比率が要求燃焼量と現在燃焼量との比率に応じた比率となるような要求回転数が求められる。
要求回転数が求められると、制御部501は、要求回転数となるように冷却ファン302の回転数を調整する(S206)。制御部501は、冷却ファン302が動作している間、S211~S206の処理を繰り返し、CO2供給運転の終了が熱源機10の制御部401から知らされると(S207:YES)、冷却ファン302を停止させる(S208)。
本変更例の構成では、上記実施の形態と同様、熱源機10側で燃焼器102の燃焼量が変化しても、放熱機20側では、その時の燃焼量に見合った放熱機20の出力が得られる。これにより、循環水の温度が上昇しにくくなるので、熱源機10側で熱源機入口温度が第1温度を超えてCO2供給運転が中断してしまう、ということが起こりにくくなる。また、冷却ファン302の回転数が無駄に高くならないので、放熱機20側での無駄な電力消費が生じにくくなる。
<変更例2>
図7は、変更例2に係る、CO2供給装置1の構成を示す図である。
本変更例のCO2供給装置1では、往き管108の途中に貯水タンク120が設けられる。往き管108は、第1配管108aと第2配管108bとで構成される。第1配管108aは、熱交換器103と貯水タンク120の上部の流入口120aとの間を繋ぎ、第2配管108bは、貯水タンク120の底部の流出口120bと熱交換器301との間を繋ぐ。貯水タンク120には水が貯えられる。
このような構成とした場合、貯水タンク120内の水が温まるまで、長い間、冷たい循環水を熱交換器103に供給できるので、燃焼ガスの冷却効果を高めることができる。なお、貯水タンク120内の水は、夜間など運転休止時に行われる2つの熱交換器103、301での循環水の冷却によって冷却される。
なお、上記の例では、往き管108の途中に貯水タンク120が設けられたが、戻り管109の途中に貯水タンク120が設けられてもよい。
<その他の変更例>
上記実施の形態では、放熱機20の要求出力が要求燃焼量と等価(要求出力=要求燃焼量)となるように、冷却ファン302の要求回転数が決められた。しかしながら、冬場など栽培室2内の温度が低い場合に、冷却後の燃焼ガスの温度が高められるようにし、燃焼ガスで栽培室2内が温められるような構成とすることも考えられる。この場合、雰囲気温度センサ307で検出される雰囲気温度が低ければ、要求出力<要求燃焼量とする、即ち、上述した算出式3の要求燃焼量の値を小さくするようにすればよい。このようにすれば、冷却ファン302の要求回転数が小さくなって要求出力が小さくなるので、熱交換器103を流れる水の温度が高くなる。よって、冷却後の燃焼ガスの温度が高くなり、栽培室2内を温めることができるようになる。
また、上記実施の形態では、制御部401が、検出したCO2濃度を用いて、要求燃焼量を算出式1により求めた。しかしながら、要求燃焼量とCO2濃度とが対応付けられたルックアップテーブルが記憶部402に用意され、制御部401がルックアップテーブルにより要求燃焼量を求めるような構成が採られてもよい。
同様に、上記実施の形態では、制御部501が、要求燃焼量、放熱機入口温度および雰囲気温度を用いて、要求回転数を算出式3により求めた。しかしながら、要求燃焼量の場合と同様、要求回転数と、要求燃焼量、放熱機入口温度および雰囲気温度とが対応付けられたルックアップテーブルにより、制御部501が要求回転数を求めるような構成が採られてもよい。また、要求燃焼量は、CO2濃度により定められるため、上記ルックアップテーブルに替えて、要求回転数と、CO2濃度、放熱機入口温度および雰囲気温度とが対応付けられたルックアップテーブルが用いられてもよい。
さらに、上記実施の形態では、冷却ファン302の回転数を制御するため、回転数センサ504が設けられた。しかしながら、上記の構成に比べて回転数制御の精度はやや低下するものの、回転数センサ504を設けることなしに、冷却ファン302の回転数制御が行われてもよい。この場合、冷却ファン302の要求回転数とモータ305に供給する駆動電流値とが対応付けられたルックアップテーブルが用いられ得る。さらには、回転数センサ504が設けられない場合に、要求回転数の代わりとなる駆動電流値と、要求燃焼量(CO2濃度)、放熱機入口温度および雰囲気温度とが対応付けられたルックアップテーブルが用いられてもよい。
さらに、上記実施の形態では、熱源機10に流入する水の温度、即ち、熱源機入口温度が第1温度を超えると、燃焼器102が停止された。しかしながら、放熱機20による冷却不足が生じた場合は、熱源機10へ流入する水の温度だけでなく、熱源機10から流出する水の温度および放熱機20に流入する水の温度も上昇する。よって、熱源機出口温度または放熱機入口温度が、第1温度に相当する所定温度を超えたときに、燃焼器102が停止されてもよい。このように、燃焼器102を停止させるために検出される循環水の温度は、2つの熱交換器103、301を結ぶ循環路の何れの位置で検出されてもよい。
さらに、上記実施の形態では、供給ダクト212に供給ファン213が設けられた。しかしながら、供給ダクト212による供給経路が短く燃焼ガスが円滑に流れる場合などには、供給ファン213が設けられなくてもよい。
さらに、上記実施の形態において、往き管108の一部が、栽培室2内に隣接する作業者の休憩場所に導入されるようにし、休憩場所が暖められるようにしてもよい。また、往き管108の一部が、栽培室2の天井近傍に通されて屋根の融雪に利用されてもよい。さらに、CO2供給装置1は、往き管108から分岐して栽培室2内を通り往き管108へと戻る分岐管と、循環水を分岐管に通すか否かを切り替える切替弁とを備えるような構成とされてもよい。この場合、冬場など、栽培室2内の温度が低いときに、循環水が分岐管を流れるように切替弁が切り替えられる。このような構成とされると、冬場など、栽培室2内の温度が低くなったときに、栽培室2内を温めることができる。
さらに、上記実施の形態において、CO2供給運転の実行中、制御部501は、放熱機入口温度が、開始温度よりも低い温度に設定された休止温度(たとえば、35℃程度の温度)を下回ったときに、冷却ファン302を停止させるようにしてもよい。この場合、再び、放熱機入口温度が開始温度を超えると、制御部501は、冷却ファン302を動作させる。
さらに、上記実施の形態では、熱源機10に対して制御を行う制御部401と放熱機20に対して制御を行う制御部501の2つの制御部がCO2供給装置1に設けられ、これら2つの制御部401、501によりCO2供給運転が実行された。しかしながら、熱源機10と放熱機20の双方に対して制御を行う1つの制御部がCO2供給装置1に設けられ、この制御部によりCO2供給運転が実行されてもよい。この場合、制御部は、制御対象となる燃焼ファン114、循環ポンプ110等の負荷が多い熱源機10側に配置されることが望ましい。
さらに、上記実施の形態では、燃焼器102の燃料が灯油等の液体燃料であったが、プロパンガスなどの気体燃料であってもよい。
さらに、上記実施の形態では、2つの熱交換器103、301の間で循環する液体として水が用いられた。しかしながら、水以外の液体、たとえば、不凍液が用いられてもよい。
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。