JP7075087B2 - 燃料電池の製造方法 - Google Patents
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Description
被塗物の材質、形状や塗布する材料等は特に限定するものではないが、MEAのCCM( Catalyst coated membrane)式電解質膜・電極形成方法等に応用するために電解質膜に電極インクを直接スロットノズルにより塗布し電極を形成すると生産性の面で特に効果的である。
スロットノズルは生産スピードを上げるために効果的であるが加熱吸着ロール上に配置する「ONロール」では以下の問題があった。電極インクはカーボンに担持された白金と、アイオノマーと、水とアルコール系の溶媒等で構成されるため、加熱ロールを100℃程度以上にすると対面に電解質膜を介してある加熱していないスロットノズル先端は温度差で塗布された電極インクの水や溶媒蒸気等で結露が発生し塗布面に悪影響を与えていた。
それを防ぐためノズルを含めた装置を加熱する方法があるがスロットノズルの温度が高いとノズル先端が乾燥しやすく、ノズル開口部に皮張りが発生し電極インクの吐出が不安定になる傾向にあった。
また室温で真円度を数ミクロン以下に研磨装置で研磨した吸着ロールであっても加熱すると複雑な構造故ロールは大きくたわみ変形して真円度が極めて悪かった。
昨今の求められる電極触媒量はアノード極で平方センチメートル当たり0.15mg以下、カソード極で0.3mg以下と極めて少なく、白金触媒の比重は20以上あるため膜厚的には薄くなる。
また白金を担持するカーボンとの比率も白金:カーボンが5:5更には7:3となってきているのでアイオノマーを含めたドライ膜厚は実質1マイクロメートル以下と極めて薄く、固形分が10パーセントの場合ウエット膜厚でも10マイクロメートル以下と極めて薄い膜厚になる。
加熱吸着ロールが変形すると、液膜を介して接触するスリットノズルやスロットノズルあるいはスロットダイと呼ばれる方法で行うとノズル先端と電解質膜との距離が変化し距離が離れ過ぎる箇所が発生する課題があった。そのような現象が起きると電極インクの塗布量は極めて少ないため、電極インクを薄膜で塗布する関係からノズル先端と電解質膜の距離が離れた個所ではうろこ状のポーラスの塗布面になり均一な塗布を得ることは極めて困難であった。
その課題を解決するために本発明者等により発明された特開2010-149257ではアプリケーション温度に加熱した状態で吸着ロール表面を研磨し真円度を5ミクロン以下にできる方法として提案されている。しかしこの方法ではロール温度を変更するたびに研磨が必要とされ作業性が極めて悪かった。
また常温や冷却して吸着ロールを研磨したと推定さる特開2015-15258では電解質膜を吸着するロールを冷却して電極インクを電解質膜にスリットノズルで塗布し、ロールを回転移動して冷却ロールに吸着された電解質膜上の電極インクを後工程で熱風や赤外線で加熱する方法が提案されている。
しかしこの方法では塗布後、冷却から加熱乾燥までの時間、例えばナフィオン膜などは電解質膜の界面ではソルベントショック溶媒によるダメージがあることが予想できる。
また小径ロール例えば直径200ミリメートル以下の室温での真円度も研磨装置で研磨することにより数ミクロン以下に抑えることができる。一方内部構造がシンプルな小径ロールは加熱しても真円度を数ミクロン以下にできるので2次電池の電極の圧着ロールとして使用されている。
そのためこれらの小径ロールを活用して直径が200ミリメートル以上の大径加熱吸着ロールまたは250ミリメートル以上の加熱ロールと組み合わせ、ONロールまたはOFFロール上にスロットノズルを設置して電解質膜とスロットノズル先端の距離を高精度に保持しながら電極インクをパターンコーティングできるようにする。
電解質膜は通常キャスティング工法で製造されるため支持基材のバックシートがあるため片方の電極形成のための塗布は電解質膜を変形させることなくスプレイでもスロットノズルでも塗布できる。しかし電解質膜は25ミクロン以下更には15ミクロン以下と薄くまた引っ張ると伸びがあり、上記のごとく空気中の水分で簡単に変形する極めてデリケートな基材もあるため反対面の電極形成は極めて難しく、また電解質膜の両サイドに電極形成された電解質膜を巻き取ることは極めて難しかった。
より具体的にはロール・ツー・ロール(Roll to Roll)の電解質膜に直接電極インクを塗布し高性能の膜・電極アッセンブリーを製造し、ひいては高性能の燃料電池を製造することにある。
前記小径ロール上と加熱吸着ロールに前記電解質膜が接するまでとの間でスロットノズルをもって電極インクを塗布する工程とからなることを特徴とする燃料電池の膜・電極アッセンブリーの製造方法を提供する。
例えば2~30層の電極インクの薄膜積層もできる。加熱吸着ドラムなどとの組み合わせで1層当たりの塗布量を少なくできるが、更に1層当たりの塗布量を少なくするには例えば白金触媒担持のカーボンと、電解質溶液と、アルコール系溶媒、あるいは水とアルコールからなる電極インクの固形分量を重量比で10%以下例えば3%以下にすることさえできる。
2,12,32,42,302 電解質膜
3,13,33,43 スロットノズル
4,14,14´,34,34´,44 小径ローラー
5,25,35,45,55 電解質膜巻き出し装置
6,26,36,46,56 電解質膜巻き取り装置
7,17 CCM
10,20,30,40,50 ニップロール
38,138,148,248,348 電極保護基材(通気性基材)
39,49,59 電極保護基材 巻き出し装置
101,201 電極保護基材巻き取り装置
102,202 バックシート巻き取り装置
203 スプレイ塗布ヘッド
205 電極
305 第一の電極
305´ 第二の電極
Claims (8)
- 燃料電池の製造方法であって、燃料電池用の長尺の電解質膜を連続的または間欠的に移動して電解質膜の少なくとも片側に電極インクをスロットノズルで塗布し電極を形成する方法であって、電極インクを塗布した電解質膜を加熱し吸着する加熱吸着ロールを設ける工程と、前記加熱吸着ロールの上流に加熱吸着ロールに近接して前記加熱吸着ロールより小径の少なくとも一つのロールを設ける工程と、前記小径ロール上と加熱吸着ロールに前記電解質膜が接するまでとの間でスロットノズルをもって電極インクを塗布する工程とから膜・電極アッセンブリーを製造してなる燃料電池の製造方法。
- 前記加熱吸着ロールが加熱ロールであって、前記電解質膜に20乃至80ニュートンの張力をかけながら移動することを特徴とする請求項1の燃料電池の製造方法。
- 前記加熱吸着ロールが加熱吸着ベルトであることを特徴とする請求項1の燃料電池の製造方法。
- 前記小径ロールの前後の電解質膜に20乃至80ニュートンの張力をかけ、前記小径ロールの前後のオフロール上で電極インクを塗布することを特徴とする請求項1乃至3の燃料電池の製造方法。
- 前記スロットノズルがエアアシストスロットノズルまたはミスト噴出スリットノズルであって電解質膜とノズルヘッドの距離を0乃至10ミリメートルに設定することを特徴とする請求項1の燃料電池の製造方法。
- 前記加熱吸着ロールまたは加熱ロールの真円度が±50マイクロメートル以下であって、前記加熱吸着ロールまたは加熱ロールに電解質膜が接触する直前のオフロール上で電極インクを塗布することを特徴とする請求項1または2の燃料電池の製造方法。
- 前記電解質膜の両面に所望するパターンの電極が形成され、前記電極が加熱吸着ロール上で吸引されないように、巻き取りの際、電極どうしが接触することがないように少なくとも一つの保護基材を介在させ、該保護基材は通気性を持つことを特徴とする請求項1または5の燃料電池の製造方法。
- 張力をかけたバックシート付電解質膜が加熱吸着ロールに接するまでの間にアノード極インクをスロットノズルで塗布し乾燥し、次いでカソード極インクを粒子または繊維状にして塗布するにあたり、反転した電極面を通気性基材と接触させ、加熱吸着ロール上で前記通気性基材を介して電解質膜を吸引し、前記電解質膜に積層されているバックシートを剥離する工程と、アノード極の反対側にカソード極の触媒を含む電極を形成することを特徴とする燃料電池の製造方法。
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