JP7074015B2 - 探索装置 - Google Patents
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Description
本発明は、所定の条件を満たす変数(設計変数)の範囲を表す成立範囲を探索する探索装置に関する。
従来より、車両を始めとする構造物の設計段階において、各種性能条件及び/又は制約条件を満たす設計変数の値を探索する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
構造物の初期の設計段階においては、後の段階である詳細設計段階にて設計の自由度を確保するために、各種性能条件及び/又は制約条件を満たす設計変数の範囲を表す成立範囲を見出すことが重要となる。しかしながら、特許文献1に記載された装置(以下、「従来装置」と称呼する。)は、制約条件を満たす1点の最適解(設計変数の値)を探索する装置である。当該従来装置を用いた場合、詳細設計段階において作業者が構造物の設計を変更したいと考えたとしても、変更後の設計が各種性能条件及び/又は制約条件を満たすがどうかが分からないという問題がある。
一方で、近年、シミュレーション技術の開発が進んでいる。シミュレーション技術を用いて上記の成立範囲を探索することも考えられるが、現状においては効率的に探索を行うための指針がない。そのため、膨大な時間及びリソースが必要となる。従って、限られた時間及びリソースにより成立範囲を効率的に探索する技術が求められている。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的の一つは、各種性能条件及び/又は制約条件を満たす設計変数の範囲を表す成立範囲を効率的に探索することが可能な探索装置を提供することにある。
本発明の探索装置(以下、「本発明装置」と称呼される場合がある。)は、複数の設計変数と、前記複数の設計変数の少なくとも1つを入力値とし且つ前記入力値に応じて出力値を出力する少なくとも1つの評価関数とが定義され、前記評価関数の前記出力値に関して満たすべき所定の条件が設定されているとき、前記所定の条件を満たす前記設計変数の範囲を表す成立範囲を探索する装置(10)である。
本発明装置は、
前記評価関数のそれぞれにおいて前記所定の条件を違反する違反量(Ji(x))を定義し、全ての前記違反量を考慮した評価指標(J0(x))を最小化する第1関数((4)式)を計算することにより、前記成立範囲が存在するか否かを判定する第1計算手段(11、ステップ210、ステップ215)と、
前記第1計算手段により前記成立範囲が存在すると判定された場合(ステップ215:Yes)、前記複数の設計変数のうちの2又は3の変数により規定される空間である重要設計空間を設定する第2計算手段(11、ステップ225)と、
前記重要設計空間内における計算点のセットである探索用データセットに関して前記第1関数((5)式)を計算するとともに、前記計算点が前記成立範囲内であるか否かを判定する第3計算手段(11、ステップ235)と、
所定のモデルを用いて、前記重要設計空間内において次の計算点の候補となる計算候補点の前記第1関数の値の予測値及び当該予測値のばらつきを表す値を計算する第4計算手段(11、ステップ240)であって、前記所定のモデルは、前記探索用データセットに含まれる各計算点での前記第1関数の値が与えられたとき、前記第1関数の値が未計算である別の計算点での前記第1関数の値の予測値を計算し且つ当該予測値のばらつきを表す値を計算できるモデル(クリギングモデル、ガウシアンプロセス)である、第4計算手段と、
前記計算候補点での前記第1関数の値の前記予測値及び当該予測値のばらつきを表す値を変数として含み且つ前記計算候補点が前記成立範囲内になるか否かの確率を表す第2関数((6)式)を用いて、前記計算候補点の集合の中から次の計算点を選択し且つ当該次の計算点を前記探索用データセットに追加する処理を、所定の終了条件((8)式)が成立するまで繰り返し実行する第5計算手段(11、ステップ245、ステップ250、ステップ260)と、
前記重要設計空間内における前記成立範囲を示す情報を表示する表示手段(19、ステップ255)と、
を備える。
本発明装置は、
前記評価関数のそれぞれにおいて前記所定の条件を違反する違反量(Ji(x))を定義し、全ての前記違反量を考慮した評価指標(J0(x))を最小化する第1関数((4)式)を計算することにより、前記成立範囲が存在するか否かを判定する第1計算手段(11、ステップ210、ステップ215)と、
前記第1計算手段により前記成立範囲が存在すると判定された場合(ステップ215:Yes)、前記複数の設計変数のうちの2又は3の変数により規定される空間である重要設計空間を設定する第2計算手段(11、ステップ225)と、
前記重要設計空間内における計算点のセットである探索用データセットに関して前記第1関数((5)式)を計算するとともに、前記計算点が前記成立範囲内であるか否かを判定する第3計算手段(11、ステップ235)と、
所定のモデルを用いて、前記重要設計空間内において次の計算点の候補となる計算候補点の前記第1関数の値の予測値及び当該予測値のばらつきを表す値を計算する第4計算手段(11、ステップ240)であって、前記所定のモデルは、前記探索用データセットに含まれる各計算点での前記第1関数の値が与えられたとき、前記第1関数の値が未計算である別の計算点での前記第1関数の値の予測値を計算し且つ当該予測値のばらつきを表す値を計算できるモデル(クリギングモデル、ガウシアンプロセス)である、第4計算手段と、
前記計算候補点での前記第1関数の値の前記予測値及び当該予測値のばらつきを表す値を変数として含み且つ前記計算候補点が前記成立範囲内になるか否かの確率を表す第2関数((6)式)を用いて、前記計算候補点の集合の中から次の計算点を選択し且つ当該次の計算点を前記探索用データセットに追加する処理を、所定の終了条件((8)式)が成立するまで繰り返し実行する第5計算手段(11、ステップ245、ステップ250、ステップ260)と、
前記重要設計空間内における前記成立範囲を示す情報を表示する表示手段(19、ステップ255)と、
を備える。
本発明装置によれば、評価関数のそれぞれにおいて所定の条件を違反する違反量が定義され、全ての違反量を考慮した1つの評価指標が用いられる。従って、本発明装置は、複数の性能条件及び/又は制約条件が存在する場合でも、1つの評価指標を用いて、成立範囲が存在するか否かを容易に判定することができる。更に、複数の設計変数のうちの2又は3の変数により規定される重要設計空間が設定される。従って、本発明装置は、作業者が注目する設計空間(重要設計空間)内で成立範囲を効率的に探索することができる。加えて、本発明装置は、所定のモデルを用いて、重要設計空間内において第1関数の値が未計算である別の計算点(計算候補点)での第1関数の値の予測値を計算し且つ当該予測値のばらつきを表す値を計算する。そして、本発明装置は、これら予測値及び予測値のばらつきを表す値を変数として含み且つ計算候補点が成立範囲内になるか否かの確率を表す第2関数を用いて、次の計算点を選択する。このように、計算候補点が成立範囲内になるか否かの確率に応じて次の計算点が選択されるので、成立範囲を効率的に探索することができる。
なお、上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
<本実施装置の構成>
図1に示すように、探索装置10は、演算部11と、入力部12と、出力部13とを備える。演算部11は、CPU14と、RAM15と、ROM16と、ハードディスク(HDD)17と、I/Oインタフェース18とを備える。
図1に示すように、探索装置10は、演算部11と、入力部12と、出力部13とを備える。演算部11は、CPU14と、RAM15と、ROM16と、ハードディスク(HDD)17と、I/Oインタフェース18とを備える。
上記のROM16及び/又はHDD17には、成立範囲を探索する際に必要な各種データ(後述する「設計変数、評価関数及び数式等」のデータ)が予め格納されている。なお、各種データは、ネットワークを介して探索装置10に入力されてもよい。更に、ROM16には、CPU14が実行するインストラクション(プログラム、ルーチン)が格納されている。CPU14は、当該インストラクションを実行することにより以降で説明する各種機能を実現するようになっている。
演算部11は、I/Oインタフェース18を介して入力部12及び出力部13に接続されている。入力部12は、作業者からの各種要求を受け付ける装置であり、キーボード及びマウスを含む。従って、作業者は、入力部12を用いて、後述する図2のルーチンを実行する際に各種情報を入力することができる。出力部13は、作業者が視認可能な表示画面19を有する。
<本実施装置における探索処理の概要>
まず、本実施装置の作動の概要を説明する。対象となる構造物(例えば、車両)の設計段階において、複数の設計変数及び複数の評価関数が定義される。なお、評価関数は、少なくとも1つ定義されればよい。
まず、本実施装置の作動の概要を説明する。対象となる構造物(例えば、車両)の設計段階において、複数の設計変数及び複数の評価関数が定義される。なお、評価関数は、少なくとも1つ定義されればよい。
評価関数は、複数の設計変数の少なくとも1つを入力値とし且つ入力値に応じて出力値(応答値)を出力する。評価関数において、出力値に関して満たすべき所定の条件が設定されている。当該所定の条件は、対象となる構造物(車両)の性能条件又は制約条件に相当する条件である。例えば、評価関数のそれぞれにおいて、所定の条件として、上限値及び/又は下限値が設定される。
このような場合、全ての評価関数のそれぞれにおいて所定の条件が満たされる設計変数の範囲(即ち、成立範囲)を机上で検討することは困難である。これに対し、本実施装置は、評価関数のそれぞれにおいて所定の条件を違反する違反量を定義し、全ての違反量を考慮した1つの評価指標を用いることにより、評価関数のそれぞれにおいて所定の条件が満たされるか否かを容易に判定することができる。
ここで、あらゆる設計変数について上記の評価指標を計算すると、計算量が膨大となり、効率性の観点から適切ではない。従って、本実施装置においては、作業者が注目する設計空間(以下、「重要設計空間」と称呼する。)を設定する。重要設計空間は、複数の設計変数のうちの2又は3の変数により規定される空間である。本実施装置は、重要設計空間内で成立範囲を探索する。
更に、本実施装置は、重要設計空間内で成立範囲を探索する際に、アクティブ学習法を用いて、次の計算点を選択する。加えて、最低限の計算量で成立範囲を明確にするために、本実施装置は、予め決められた計算点の候補(以下、「計算候補点」と称呼する)の集合の中から、次の計算点を選択する。以上のような構成により、本実施装置は、成立範囲を効率的に探索することができる。
<探索処理の具体的な内容>
次に、本実施装置における探索処理の具体的な内容について説明する。
次に、本実施装置における探索処理の具体的な内容について説明する。
各評価関数fiに関しては、出力値に対して上限値及び下限値の制約(条件)が設定されている。ある設計変数xが与えられたとき、評価関数fiの上限値及び下限値に違反する違反量を以下の(1)式により定義する。
ここで、
は、評価関数fiの出力値に対する下限値を表す。
は、評価関数fiの出力値に対する上限値を表す。
は、正規化のために使用される所定の値である。
違反量Ji(x)が負の値である場合、設計変数xは、評価関数fiの制約を満たすことになる(即ち、評価関数fiの出力値が上限値と下限値との間にある。)。ここで、ある設計変数xが与えられたときに全ての評価関数fiの制約(上限値及び下限値)を満たすか否かを判定するための指標を以下の(2)式により定義する。
以降、J0(x)を「評価指標」と称呼する。評価指標J0(x)が負の値である場合、設計変数xは、全ての評価関数fiの制約(上限値及び下限値)を満たすことになる。
なお、(2)式のmax演算は、関数の不連続性を招く可能性がある。このような不連続性の問題を低減するために、評価指標として、以下の(3)式が用いられてもよい。
ここで、
は、違反量Ji(x)が寄与する度合いをコントロールするパラメータであり、正の定数である。
2.評価指標の最適化問題
次に、評価指標J0(x)を最小化する最適化問題を考える。この最適化問題を以下の(4)式により定義する。
ここで、
は、設計変数と対象となる評価関数との間の関係を記述する不等式制約であり、
は、設計変数と対象となる評価関数との間の関係を記述する等式制約である。
以降において、評価指標J0(x)を最小化する(4)式の関数を「第1関数」と称呼する場合がある。
次に、評価指標J0(x)を最小化する最適化問題を考える。この最適化問題を以下の(4)式により定義する。
以降において、評価指標J0(x)を最小化する(4)式の関数を「第1関数」と称呼する場合がある。
(4)式の第1関数を計算することにより、ある設計変数xが与えられたときに全ての評価関数fiの制約(上限値及び下限値)を満たすか否かを判定することができる。上述したように、評価指標J0(x)が負の値である場合、そのとき与えられた設計変数xは、全ての評価関数fiの制約(上限値及び下限値)を満たす、即ち、成立範囲内であることを意味する。従って、(4)式の第1関数を計算することにより、成立範囲が存在するかを判定することができる。
ここで、あらゆる設計変数について(4)式の第1関数を計算することを考える。この場合、計算量が膨大となり、効率性の観点から適切ではない。従って、上述したように、作業者が注目する設計空間(重要設計空間)を設定し、その重要設計空間内で成立範囲を探索する。このような重要設計空間内において評価指標J0(x)を最小化する最適化問題を以下の(5)式により定義する。
ここで、
は、重要設計空間として選択された設計変数のインデックスベクトルである。
は、重要設計空間の関心点として設定された変数xkの定数ベクトルである。なお、(5)式のy(a)=0は、成立範囲の境界を表す。
3.アクティブ学習法を用いた次の計算点の選択
次に、成立範囲を明確にするために必要な最小限の計算点を、アクティブ学習法を用いて自動的に選択する手法について説明する。
次に、成立範囲を明確にするために必要な最小限の計算点を、アクティブ学習法を用いて自動的に選択する手法について説明する。
本実施装置は、クリギングモデル(kriging model)を用いて、(5)式のy(a)の分布の予測を行う。クリギングモデルを用いることにより、重要設計空間において(5)式のy(a)の値が既知である計算点が与えられたときに、(5)式のy(a)の値が未計算である別の計算点でのy(a)の値の予測値を計算し、且つ、その予測値の不確実性(ばらつき)をも計算することができる。クリギングモデルは、公知のモデルであるため、詳細な説明は省略する。
更に、本実施装置は、EI(Expected Improvement)関数に基くアクティブ学習法を用いて、次の計算点を選択する。EI関数は公知であり、以下の(6)式で定義される。なお、EI関数は、「第2関数」と称呼される場合がある。
ここで、
は、正規累積分布関数(normal cumulative distribution function)であり、
は、正規確率密度関数(normal probability density function)である。
ypred(a)は、クリギングモデルにより求められた「(5)式のy(a)の予測値」である。更に、クリギングモデルを用いて、y(a)の予測値の平均二乗誤差(MSE:Mean Squared Error)s2(a)を求めることができる。従って、(6)式のs(a)は、y(a)の予測値のばらつきを表す値であり、上記のs2(a)から求めることができる。
ypred(a)は、クリギングモデルにより求められた「(5)式のy(a)の予測値」である。更に、クリギングモデルを用いて、y(a)の予測値の平均二乗誤差(MSE:Mean Squared Error)s2(a)を求めることができる。従って、(6)式のs(a)は、y(a)の予測値のばらつきを表す値であり、上記のs2(a)から求めることができる。
本実施装置は、以下の条件
の下において、計算点の候補(計算候補点)の集合の中から、「(6)式のEI関数が最大となる点」を次の計算点として選択する。次の計算点を
とすると、以下の(7)式により次の計算点を求めることができる。
ここで、d0は、現在の計算点から最も近い計算点までの最小距離である。(7)式において、Aは、既知の計算点の集合として、以下のように定義される。
ここで、
は、計算点の候補(計算候補点)の集合である。
(7)式による次の計算点の選択処理は、以下の(8)式の条件が成立するまで繰り返し実行される。
ここで、
は、予測の不確実性をコントロールするパラメータである。
以降において、(8)式は単に「終了条件」と称呼される場合がある。
以降において、(8)式は単に「終了条件」と称呼される場合がある。
<本実施装置の具体的作動>
本実施装置の具体的作動について説明する。演算部11のCPU14(単に「CPU」と称呼する。)は、図2により示した「探索ルーチン」を実行するようになっている。
本実施装置の具体的作動について説明する。演算部11のCPU14(単に「CPU」と称呼する。)は、図2により示した「探索ルーチン」を実行するようになっている。
本願の発明者は、多峰性を有する簡易な評価関数f1を用意した。評価関数f1は、2変数1応答の関数である。評価関数f1に対して2つの設計変数x1及びx2を入力すると、評価関数f1は、1つの応答値を出力する。設計変数x1及びx2のそれぞれに関して、上限値及び下限値が設定されている。更に、評価関数f1の応答値の上限値は所定の値(本例では「-4.0」)に設定されている。以降では、「評価関数f1の応答値が所定の値(-4.0)以下となる設計変数x1及びx2の範囲」を「成立範囲」として求める流れを図2の探索ルーチンを用いて説明する。
CPUは、ステップ200から図2のルーチンを開始して以下のステップ205及びステップ210の処理を順に行い、その後、ステップ215に進む。
ステップ205:CPUは、ROM16又はHDD17に予め格納されている初期データセットをRAM15に読み出す。初期データセットは、設計変数x1及びx2の組み合わせのデータセットである。なお、作業者が、入力部12を用いて、初期データセットを探索装置10に入力してもよい。以降において、第1軸を設計変数x1とし、第2軸を設計変数x2とする2次元空間において、設計変数x1及びx2の組み合わせにより規定される点を「設計点」と称呼する。
ステップ210:CPUは、初期データセットに含まれる各設計点に関して、評価指標J0(x)を最小化する最適化問題の計算を行う。即ち、CPUは、各設計点に関して、(4)式の計算を行う。
次に、CPUは、ステップ215に進むと、成立範囲が存在するか否かを判定する。具体的には、CPUは、初期データセットに含まれる設計点の中で、成立範囲内の設計点が存在するか否かを判定する。CPUは、(4)式により計算される値(評価指標J0(x)の最小値)が負の値である場合、成立範囲が存在すると判定する。
初期データセットに含まれる設計点の中で、成立範囲内の設計点が存在しない(即ち、(4)式により計算される値が負の値にならない)と仮定する。この場合、CPUは、ステップ215にて「No」と判定してステップ220に進む。このようにステップ215にて「No」と判定された場合、成立範囲自体が存在しない可能性が高い。即ち、当初の設計変数x1の条件(上限値及び下限値)、当初の設計変数x2の条件(上限値及び下限値)、及び、当初の評価関数f1の条件(上限値)下においては、成立範囲が存在しない可能性が高い。従って、作業者は、設計変数x1の条件、設計変数x2の条件、及び/又は、評価関数f1の条件を見直す必要がある。CPUは、ステップ220に進むと、各設計点に関して(4)式により計算される値を表示画面19に表示する。作業者は、表示画面19に表示された値を参考にして、設計変数x1の条件(上限値及び下限値)及び/又は設計変数x2の条件(上限値及び下限値)を変更してもよい。評価関数f1の条件及び/又は設計変数x2の条件を変更した場合、作業者は、その変更に合わせて、設計点(設計変数x1及びx2の組み合わせ)の新たなデータセットを用意して、当該新たなデータセットを探索装置10に入力する。従って、CPUは、設計点の新たなデータセットに関してステップ210及びステップ215の処理を順に実行する。更に、作業者は、評価関数f1の条件(上限値)を変更してもよい。この場合、CPUは、変更された評価関数f1の条件(上限値)下において、ステップ210及びステップ215の処理を順に実行する。
一方、初期データセットに含まれる設計点の中で、成立範囲内の設計点が存在する(即ち、(4)式により計算される値が負の値になる)と仮定する。この場合、CPUは、ステップ215にて「Yes」と判定して、以下のステップ225乃至ステップ245の処理を順に行い、その後、ステップ250に進む。
ステップ225:作業者は、入力部12を用いて、重要設計空間を設定する。具体的には、作業者は、複数の設計変数の中から、注目したい2又は3つの設計変数を選択する。重要設計空間は、作業者によって選択された設計変数により規定される2次元又は3次元の空間である。本例においては、作業者は設計変数x1及び設計変数x2を選択する。従って、重要設計空間は、設計変数x1及び設計変数x2により規定される2次元空間となる。
ステップ230:作業者は、入力部12を用いて、重要設計空間内で探索を行うためのデータセットを入力する。このデータセットを「探索用データセット」と称呼する。探索用データセットは、重要設計空間内における計算点(設計変数x1及び設計変数x2により規定される2次元空間上の点)のデータセットである。図3に示すように、探索用データセットに含まれる計算点は、設計変数x1の条件(上限値及び下限値)及び設計変数x2の条件(上限値及び下限値)を満たし、且つ、重要設計空間内において一様に(各計算点の間の距離が等間隔となるように)分布している。なお、探索用データセットは、図3の例に限定されず、対象となる設計変数及び/又は評価関数に応じて適宜設定されてよい。
ステップ235:CPUは、探索用データセットに関して、評価指標J0(x)を最小化する最適化問題の計算を行う。即ち、CPUは、探索用データセットの各計算点に関して、(5)式の計算を行う。更に、CPUは、探索用データセットの各計算点が成立範囲内であるか否かを判定する。(5)式のy(a)の値が負の値である場合、CPUは、その計算点が成立範囲内の点であると判定する。
ステップ240:CPUは、計算点の候補(計算候補点)の集合に関して、クリギングモデルを用いて、(5)式のy(a)の予測値ypred(a)、及び、その予測値のばらつきを表す値s(a)を計算する。なお、本例において、設計変数x1及びx2の各軸において所定の間隔で20水準とし、400の計算候補点を用意した。
ステップ245:CPUは、y(a)の予測値ypred(a)及びその予測値のばらつきを表す値s(a)を用いて、(7)式の計算を行い、次の計算点を選択する。即ち、CPUは、計算候補点の集合うち、EI関数が最大となる点を次の計算点として選択する。
次に、CPUは、ステップ250に進むと、終了条件が成立するか否かを判定する。具体的には、CPUは、(8)式の条件が成立するか否かを判定する。
(8)式の条件が成立しない場合、CPUは、そのステップ250にて「No」と判定してステップ260に進み、ステップ245にて求められた次の計算点を探索用データセットに追加する。次に、CPUは、ステップ235に戻り、追加された計算点に関して(5)式の計算を行い、その後、ステップ240乃至ステップ250の処理を順に実行する。CPUは、このような処理を終了条件が成立するまで繰り返し実行する。
一方、(8)式の条件が成立する場合、CPUは、ステップ250にて「Yes」と判定してステップ255に進み、重要設計空間内において成立範囲を示す情報を表示画面19に表示する。図4は、本例において表示画面19に表示された図である。CPUは、ステップ235にて計算されたy(a)の値が負の値となる計算点の範囲を実線で囲うことにより、重要設計空間における成立範囲を表示画面19に表示する。その後、CPUは、ステップ295に進んで本ルーチンを終了する。
本例において、本実施装置は、64回の計算で、正解と合致する成立範囲(図4に示す成立範囲)を求めることができた。従って、本実施装置は、全ての計算候補点(400個)を計算する場合に比べて、計算量を約84%削減することができた。以上のように、本実施装置は、評価関数f1の条件(上限値)を満たす設計変数x1及びx2の範囲(成立範囲)を効率的に探索することができた。
<車両モデルへの適用>
次に、本実施装置を車両モデルに適用した例について説明する。本願の発明者は、図5に示すサスペンションビームモデルを用意した。このモデルにおいて、以下の表1に示す設計変数を定義した。
次に、本実施装置を車両モデルに適用した例について説明する。本願の発明者は、図5に示すサスペンションビームモデルを用意した。このモデルにおいて、以下の表1に示す設計変数を定義した。
本実施装置を用いて、上述のサスペンションビームモデルに対して図2のルーチンを実行した。作業者は、ステップ225にて、設計変数Kx及び設計変数Kyを選択した。従って、重要設計空間は、設計変数Kx及び設計変数Kyにより規定される2次元空間となる。
更に、本例において、設計変数Kx及び設計変数Kyの各軸において所定の間隔で20水準とし、400の計算候補点を用意した。
図6は、ステップ255にて表示画面19に表示された図である。重要設計空間(設計変数Kx及び設計変数Kyにより規定される2次元空間)内の計算点のうち、成立範囲内の計算点は黒丸で表示され、成立範囲外の計算点は白丸で表示される。このように成立範囲を示す実線に代えて又は加えて、各計算点が成立範囲内にあるか否かを示す情報が、表示画面19上の図に表示されてもよい。
更に、図6に示すように、(5)式のy(a)の値の範囲毎に領域を区画し、領域ごとに異なる色が表示されてもよい。図6の例では、y(a)の値が小さくなるほど、色が薄くなる。これにより、作業者は、成立範囲外の空間において、どの計算点が評価関数の条件(上限値及び下限値)をどの程度満たしていないかも把握することができる。
なお、本実施装置は、61回の計算で、正解と合致する成立範囲(図6に示す成立範囲)を求めることができた。従って、本実施装置は、全ての計算候補点(400個)を計算する場合に比べて、計算量を約85%削減することができた。
なお、本実施装置は、ステップ255にて、図7に示す図を表示画面19に表示させてもよい。図7の例においては、各計算点においてどの評価関数が評価指標J0(x)に対して支配的であるか(即ち、評価指標J0(x)に対して最も寄与しているか)の情報が表示される。例えば、上向きの三角のマークにより示された計算点は、(2)式のmax演算により選択された違反量が評価関数J15の違反量であることを意味する。この構成によれば、重要設計空間内においてどの計算点でどの評価関数の制約に違反しているかを容易に把握することができる。
以上、実施形態の探索装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
ステップ240にて使用されるモデルは、クリギングモデルに限定されない。クリギングモデルの代替のモデルとして、「探索用データセットに含まれる各計算点での第1関数の値が与えられたとき、第1関数の値が未計算である別の計算点での第1関数の値の予測値を計算し且つ当該予測値のばらつきを表す値を計算できるモデル」が採用されてもよい。この場合でも、上述した本実施装置と同様の処理を行うことができる。例えば、ガウシアンプロセス(Gaussian Process)を用いて、y(a)の予測値及びその予測値のばらつきを表す値が計算されてもよい。
ステップ245にて次の計算点を選択するために用いられる関数は、EI関数に限定されない。EI関数の代替の関数として、「計算候補点での第1関数の値の予測値及び当該予測値のばらつきを表す値を変数として含み且つ計算候補点が成立範囲内になるか否かの確率を表す関数」が採用されてもよい。この場合でも、上述した本実施装置と同様の処理を行うことができる。例えば、(6)式の第1項の右側の正規累積分布関数に類似する関数が採用されてもよい。CPUは、当該関数の値が最大となるような計算候補点を次の計算点として選択すればよい。
ステップ225にて3つの設計変数が選択された場合、重要設計空間は3次元空間となる。この場合、ステップ255にて、3次元空間において成立範囲を示す空間が表示されてもよい。これによれば、作業者は、3次元空間において成立範囲を把握することができる。
構造物として車両モデルの例を説明したが、これに限定されず、例えば、本実施装置は、他の構造物の設計段階にも適用可能である。
10:探索装置、11:演算部、12:入力部、13:出力部、14:CPU、15:RAM、16:ROM、17:ハードディスク(HDD)、18:I/Oインタフェース、19:表示画面。
Claims (1)
- 複数の設計変数と、前記複数の設計変数の少なくとも1つを入力値とし且つ前記入力値に応じて出力値を出力する少なくとも1つの評価関数とが定義され、前記評価関数の前記出力値に関して満たすべき所定の条件が設定されているとき、前記所定の条件を満たす前記設計変数の範囲を表す成立範囲を探索する探索装置であって、
前記評価関数のそれぞれにおいて前記所定の条件を違反する違反量を定義し、全ての前記違反量を考慮した評価指標を最小化する第1関数を計算することにより、前記成立範囲が存在するか否かを判定する第1計算手段と、
前記第1計算手段により前記成立範囲が存在すると判定された場合、前記複数の設計変数のうちの2又は3の変数により規定される空間である重要設計空間を設定する第2計算手段と、
前記重要設計空間内における計算点のセットである探索用データセットに関して前記第1関数を計算するとともに、前記計算点が前記成立範囲内であるか否かを判定する第3計算手段と、
所定のモデルを用いて、前記重要設計空間内において次の計算点の候補となる計算候補点の前記第1関数の値の予測値及び当該予測値のばらつきを表す値を計算する第4計算手段であって、前記所定のモデルは、前記探索用データセットに含まれる各計算点での前記第1関数の値が与えられたとき、前記第1関数の値が未計算である別の計算点での前記第1関数の値の予測値を計算し且つ当該予測値のばらつきを表す値を計算できるモデルである、第4計算手段と、
前記計算候補点での前記第1関数の値の前記予測値及び当該予測値のばらつきを表す値を変数として含み且つ前記計算候補点が前記成立範囲内になるか否かの確率を表す第2関数を用いて、前記計算候補点の集合の中から次の計算点を選択し且つ当該次の計算点を前記探索用データセットに追加する処理を、所定の終了条件が成立するまで繰り返し実行する第5計算手段と、
前記重要設計空間内における前記成立範囲を示す情報を表示する表示手段と、
を備える探索装置。
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