JP7074010B2 - 電極の製造方法及び蓄電デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
このような小型化・軽量化の要求を満足するために、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池が開発されている。また、高エネルギー密度特性及び高出力特性を必要とする用途に対応する蓄電デバイスとして、リチウムイオンキャパシタが知られている。更に、リチウムより低コストで資源的に豊富なナトリウムを用いたナトリウムイオン型の電池やキャパシタも知られている。
1.電極の製造方法
(1-1)ドープ工程
本開示の電極の製造方法は、例えば、アルカリ金属を活物質にドープするドープ工程を備える。なお、本開示において、アルカリ金属のドープとは、アルカリ金属を、金属、イオン、化合物等の各種の状態で吸蔵、インターカレーション、挿入、担持、または合金化された状態とすることを総称するものである。ドープ工程により、(a)成分を製造することができる。
負極活物質は特に限定されない。負極活物質として、例えば、複合炭素材料等の炭素材料が挙げられる。複合炭素材料として、例えば、黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、黒鉛粒子等をピッチや樹脂の炭化物で被覆した複合炭素材料が挙げられる。負極活物質として、例えば、リチウムと合金化が可能なSi、Sn等の金属若しくは半金属又はこれらの酸化物を含む材料等が挙げられる。
正極活物質、及び負極活物質のいずれにおいても、単一の物質から成るものであってもよいし、2種以上の物質を混合して成るものであってもよい。
例えば、ドープ工程の前に、減圧工程を行ってもよい。また、ドープ工程と同時に減圧工程を行ってもよい。減圧工程とは、少なくとも活物質を含む混合液(以下では減圧工程用混合液とする)を、減圧された状態に置く工程である。
減圧工程用混合液に含まれる溶媒(以下では減圧工程溶媒とする)として、例えば、アルカリ金属イオン伝導性を有する溶媒が挙げられる。減圧工程溶媒は、ドープ工程溶媒と同じ溶媒であってもよいし、異なる溶媒であってもよい。
電極材料は、(a)~(c)成分を含む。(a)成分は、例えば、ドープ工程により製造することができる。ドープ工程の前、またはドープ工程と同時に減圧工程を行ってもよい。(b)成分は、ドープ工程溶媒であってもよいし、他の溶媒であってもよい。
ポリアミド系繊維の平均繊維長は100μm以上5000μm以下の範囲が好ましい。ポリアミド系繊維の平均繊維長がこの範囲内である場合、特に膜厚の大きい電極の抵抗を下げることができると同時に、電極から発生するガスの量を一層抑制でき、蓄電デバイスのサイクル特性を一層向上させることができる。
(1-4)電極材料を用いた電極の製造
本開示の電極の製造方法では、「電極材料の製造」の項に記載した方法により電極材料を製造し、その電極材料を用いて電極を製造することができる。
本開示の蓄電デバイス製造方法は、正極、負極、及び電解質を備える蓄電デバイスの製造方法であって、前記「電極の製造方法」の項において説明した電極の製造方法により前記負極を製造する。
(3-1)製造装置1の構成
図1に基づき、製造装置1の構成を説明する。製造装置1は、アルカリ金属がドープされた活物質の製造に使用することができる。製造装置1は混練混合機である。製造装置1は、本体部3と、フード5と、減圧ユニット7と、容器9と、支持台11と、ブレード13と、を備える。
フード5は、上側張出部3Aの下面に取り付けられている。フード5は、下方が開口した中空円筒形状の部材である。フード5の側面に、減圧ユニット7が取り付けられている。減圧ユニット7は、ダイヤフラムポンプ15と、真空配管17と、真空ゲージ19と、を備える。真空配管17の一方の端はフード5に接続しており、反対側の端はダイヤフラムポンプ15に接続している。減圧ユニット7は、ダイヤフラムポンプ15を用いて、フード5及び容器9の内部を減圧することができる。真空ゲージ19は真空配管17のうち、フード5側の部分に取り付けられている。真空ゲージ19は、フード5及び容器9の内部の圧力を表示する。
(i)ドープ活物質Aの製造
6時間真空乾燥させたハードカーボン粉150gと、電解液64gと、リチウム金属片3.89gとを混合して混合液を調製した。ハードカーボン粉は負極活物質に対応する。ハードカーボン粉の50%体積累積径D50は20μmであった。
基本的にはドープ活物質Aの製造方法と同様にして、ドープ活物質Bを製造した。ただし、リチウム金属片の量を1.95gとした。
基本的にはドープ活物質Aの製造方法と同様にして、ドープ活物質Cを製造した。ただし、ハードカーボン粉の代わりに、シリコン系活物質を同量用いた。また、リチウム金属片の量を18.64gとした。シリコン系活物質は負極活物質に対応する。シリコン系活物質の組成は、SiOx(0<x≦2)であった。シリコン系活物質の50%体積累積径D50は5μmであった。
基本的にはドープ活物質Cの製造方法と同様にして、ドープ活物質Dを製造した。ただし、リチウム金属片の量を9.32gとした。
(実施例1)
100質量部のドープ活物質Aに、5質量部のアセチレンブラックを加えた。次に、0.2質量部のアラミド繊維をさらに加えた。アラミド繊維はアミド系繊維に対応する。アラミド繊維は、加える前に予め6時間真空乾燥させておいた。アラミド繊維の平均繊維長は13μmであった。アラミド繊維の平均繊維径は2μmであった。
基本的には実施例1と同様にして実施例3の電極を製造した。ただし、アラミド繊維の添加量は、100質量部のドープ活物質Aに対し、20質量部とした。
基本的には実施例1と同様にして実施例4の電極を製造した。ただし、ドープ活物質Aの代わりに、ドープ活物質Bを同量使用した。また、アラミド繊維の添加量は、100質量部のドープ活物質Bに対し、2質量部とした。
100質量部のドープ活物質Bに、5質量部のアセチレンブラックを加えた。次に、2質量部のアラミド繊維をさらに加えた。アラミド繊維は、加える前に予め6時間真空乾燥させておいた。アラミド繊維の平均繊維長は13μmであった。アラミド繊維の平均繊維径は2μmであった。
第1ロール103には帯状の集電体113が巻き回されている。集電体113は、複数の孔が形成された銅箔から成る。集電体113は多孔質集電体に対応する。集電体113は、第1ロール103から引き出され、ガイド111によって進行方向を変えられ、回転濾過体105に架け渡され、第2ロール107に巻き取られている。
基本的には実施例1と同様にして比較例1の電極を製造した。ただし、アラミド繊維を添加しなかった。
基本的には実施例1と同様にして比較例2の電極を製造した。ただし、ドープ活物質Aの代わりに、アルカリ金属がドープされていないシリコン系活物質を同量使用した。また、アラミド繊維の添加量は、100質量部の活物質に対し、2質量部とした。アルカリ金属がドープされていないシリコン系活物質の組成は、SiOx(0<x≦2)であった。アルカリ金属がドープされていないシリコン系活物質の50%体積累積径D50は5μmであった。
基本的には実施例1と同様にして比較例3の電極を製造した。ただし、アラミド繊維の代わりに、ポリフッ化ビニリデンを添加した。また、ポリフッ化ビニリデンの添加量は、100質量部のドープ活物質Aに対し、5質量部とした。ポリフッ化ビニリデンの50%体積累積径D50は150μmであった。
基本的には実施例1と同様にして比較例4の電極を製造した。ただし、アラミド繊維の代わりに、カーボンファイバーを添加した。また、カーボンファイバーの添加量は、100質量部のドープ活物質Aに対し、2質量部とした。カーボンファイバーの平均繊維長は7umであった。カーボンファイバーの平均繊維径は1.5μmであった。
(実施例6)
基本的には実施例1と同様にして実施例6の電極を製造した。ただし、ドープ活物質Aの代わりにドープ活物質Cを同量使用した。また、アラミド繊維の添加量は、100質量部のドープ活物質Cに対し、0.5質量部とした。
基本的には実施例2と同様にして実施例7の電極を製造した。ただし、ドープ活物質Aの代わりにドープ活物質Cを同量使用した。また、アラミド繊維の添加量は、100質量部のドープ活物質Cに対し、5質量部とした。
基本的には実施例3と同様にして実施例8の電極を製造した。ただし、ドープ活物質Aの代わりにドープ活物質Cを同量使用した。
基本的には実施例4と同様にして実施例9の電極を製造した。ただし、ドープ活物質Aの代わりにドープ活物質Dを同量使用した。また、アラミド繊維の添加量は、100質量部のドープ活物質Dに対し、5質量部とした。
基本的には実施例5と同様にして実施例10の電極を製造した。ただし、ドープ活物質Bの代わりにドープ活物質Cを同量使用した。また、アラミド繊維の添加量は、100質量部のドープ活物質Cに対し、5質量部とした。
基本的には実施例6と同様にして比較例5の電極を製造した。ただし、アラミド繊維を添加しなかった。
基本的には実施例6と同様にして比較例6の電極を製造した。ただし、ドープ活物質Cの代わりに、アルカリ金属がドープされていないシリコン系活物質を同量使用した。また、アラミド繊維の添加量は、100質量部の活物質に対し、2質量部とした。アルカリ金属がドープされていないシリコン系活物質の組成は、SiOx(0<x≦2)であった。アルカリ金属がドープされていないシリコン系活物質の50%体積累積径D50は5μmであった。
基本的には実施例6と同様にして比較例7の電極を製造した。ただし、アラミド繊維の代わりにポリフッ化ビニリデンを添加した。また、ポリフッ化ビニリデンの添加量は、100質量部のドープ活物質Cに対し、5質量部とした。
基本的には実施例6と同様にして比較例8の電極を製造した。ただし、アラミド繊維の代わりにカーボンファイバーを添加した。また、カーボンファイバーの添加量は、100質量部のドープ活物質Cに対し、2質量部とした。カーボンファイバーの平均繊維長は1.5mmであった。カーボンファイバーの平均繊維径は7μmであった。
(i)正極電極の作製
アルミニウム箔から成る正極集電体を用意した。正極集電体の厚みは12μmであった。正極集電体の開口率は0%であった。正極集電体の両面に、それぞれ正極下塗り層を形成した。正極下塗り層の上に、さらに正極活物質層を形成した。ロールプレスした正極活物質層の厚みは67μmであった。正極活物質層は、コバルト酸リチウム、アセチレンブラック、及びポリフッ化ビニリデンを、質量比で100:3:3の比率で含んでいた。以上の工程により、正極電極が完成した。
実施例1~10及び比較例1~8の電極のそれぞれについて、以下のようにして発電要素を作製した。まず、実施例1~10及び比較例1~8の電極から、それぞれ、直径15mmの円形の負極サンプルを切り出した。また、前記(i)で作成した正極電極から直径15mmの円形の正極サンプルを切り出した。負極サンプルと、セパレータと、正極サンプルとをこの順に積層して発電要素を作製した。セパレータはポリプロピレン(PP)製微多孔膜であった。セパレータの厚さは25μmであった。
両端に電極を備えた放出ガス圧力測定セル(EL-CELL社製、ECC-Press-DL)内に発電要素を配置した。なお、セル内に発電要素を配置する際に、セル内に電解液を100μL注液した。電解液は、濃度1MのLiPF6を含む。LiPF6はアルカリ金属塩に対応する。電解液の溶媒は、EC(エチレンカーボネート)と、PC(プロピレンカーボネート)とを、体積比で5:5となるように含む。
式(1) E=(C2/C1)×100
充放電効率Eは、クーロン効率とも呼ばれる。充放電効率Eが大きいほど、充電エネルギーを効率的に放電に利用することができる。充放電効率Eの測定結果を表1における「初期性能」のうち「クーロン効率」の列に示す。
製造直後における発電要素の体積V0を測定した。次に、初回充放電を行ってから、発電要素の体積V1を測定した。以下の基準により、初回充放電後のガス発生量を評価した。
B:(V1-V0)/V0の値が0.05%以上、0.1%未満である。
C:(V1-V0)/V0の値が0.1%以上、0.3%未満である。
初回充放電後のガス発生量の評価結果を表1における「初期性能」のうち「ガス発生量」の列に示す。
(v)耐久性試験後ガス発生量
次に、発電要素を、5Aの定電流で4.3Vになるまで充電した。その後、4.3Vの定電圧を印可する定電流―定電圧充電を30分間行った。次に、10Aの定電流でセル電圧が3.0Vになるまで放電した。以上のサイクルを200サイクル繰り返した。
A:(V200-V0)/V0の値が0.05%未満である。
B:(V200-V0)/V0の値が0.05%以上、0.1%未満である。
D:(V200-V0)/V0の値が0.3%以上である。
耐久性試験後のガス発生量の評価結果を表1における「耐久性」のうち「ガス発生量」の列に示す。
200サイクルの後、発電要素を、1Aの定電流でセル電圧が4.3Vになるまで充電した。その後、4.3Vの定電圧を印可する定電流―定電圧充電を30分間行った。その後、1Aの定電流でセル電圧が2.0Vになるまで放電した。以上のサイクルを繰り返すサイクル試験を行った。200サイクル後にセル容量を測定し、2回目の放電におけるセル容量を200サイクル後の放電容量C3とした。200サイクル後容量維持率K(%)を、下記式(2)に基づき算出した。
式(2)におけるC2は初期放電容量である。200サイクル後容量維持率Kの測定結果を表1における「耐久性」のうち「容量維持率」の列に示す。
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
Claims (8)
- (a)アルカリ金属がドープされた活物質、(b)溶媒、並びに(c)ポリアミド系繊維及びポリイミド系繊維から選ばれる少なくとも一種を含む電極材料を用いて前記(a)成分を含む電極を製造する電極の製造方法。
- 請求項1に記載の電極の製造方法であって、
前記電極材料を集電体に塗布する電極の製造方法。 - 請求項2に記載の電極の製造方法であって、
前記集電体が多孔質集電体である電極の製造方法。 - 請求項3に記載の電極の製造方法であって、
前記多孔質集電体に塗布された前記電極材料に含まれる前記(b)成分を、前記多孔質集電体を透過させることによって分離する電極の製造方法。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の電極の製造方法であって、
アルカリ金属供給源及び溶媒の存在下、少なくとも活物質を含む不定形の集合体を混練、攪拌、又は混合して、前記(a)成分を製造する電極の製造方法。 - 請求項1~5のいずれか1項に記載の電極の製造方法であって、
前記(a)成分及び前記(c)成分を混合する工程を含む方法で前記電極材料を製造する電極の製造方法。 - 請求項1~6のいずれか1項に記載の電極の製造方法であって、
前記電極材料は、100質量部の前記(a)成分に対し、0.2質量部以上20質量部以下の前記(c)成分を含む電極の製造方法。 - 正極、負極、及び電解質を備える蓄電デバイスの製造方法であって、
請求項1~7のいずれか1項に記載の電極の製造方法により前記負極を製造する蓄電デバイスの製造方法。
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