JP7073927B2 - 鋳片の連続未凝固鍛造方法 - Google Patents

鋳片の連続未凝固鍛造方法 Download PDF

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本発明は、連続鋳造中の凝固末端付近における鋳片を圧下して中心偏析とセンターポロシティを低減するための、鋳片の連続未凝固鍛造装置及び連続未凝固鍛造方法に関するものである。
連続鋳造方法によってスラブやブルームなどの鋳片を鋳造する場合に、鋳片の中心部にリンやマンガン等の成分が偏析する、いわゆる中心偏析が発生することがある。また、鋳片中心部にはセンターポロシティと呼ばれる空孔が発生する。
連続鋳造中の凝固末期において、溶鋼の凝固収縮に伴って未凝固溶鋼が最終凝固部の凝固完了点に向かって流動する。溶鋼流動に際して、固液界面の不純物濃化溶鋼が最終凝固部に集積する。これが中心偏析の原因となる。
鋳片の厚み中心部の凝固組織を等軸晶組織とし、偏析の生成を防止する方法が知られている。連続鋳造中の鋳片に電磁攪拌で流動を生じさせる方法が一般的である。また、特許文献1には、未凝固部を含む鋳片の短辺面側に配置した打撃振動装置により、未凝固部を含む鋳片の短辺面を連続して打撃することで鋳片に振動を付与し、未凝固溶鋼が振動することにより、最終凝固部の近傍およびその上流側の柱状晶を効果的に剪断して最終凝固部の近傍に沈殿させることにより、多くの等軸晶を生成する方法が開示されている。ただし、鋳片短辺に打撃振動を与えるだけでは、板幅方向に等軸晶生成率の不均一が発生し、安定的に中心偏析の生成を防止するには不十分であった。
上記のように、凝固末期に鋳片の凝固収縮に応じて濃化溶鋼が流動することが中心偏析の原因である。従って、中心偏析を軽減するためには、最終凝固部付近において、溶鋼の凝固収縮量に見合った分だけ凝固シェルを圧下することにより、最終凝固部付近の溶鋼流動を抑えることが有効となる。このような考え方に基づき、連続鋳造末期の凝固完了前においてサポートロールによって鋳片を圧下する軽圧下技術が用いられている(例えば特許文献2)。
連続鋳造中の凝固完了前に鋳片を圧下するに際し、ロール圧下に替えて、あるいはロール圧下に加えて、金型を用いて鋳片を鍛圧する方法が知られている。
特許文献3には、未凝固状態の鋼鋳片を、鋳片の固相率が0.5よりピンチロールで軽圧下を開始し、鋳片の固相率が0.9よりクレーターエンドの上流側位置で鍛圧装置を用いて強圧下を開始する鋼鋳片の連続鋳造方法が開示されている。特許文献4には、鋳片を圧下するうえで好適な金型(アンビル)の形状が開示されている。
特許文献5には、連続鋳造用の鋳型から引き抜いた鋳片を連続的に鍛圧加工するに当たり、中心部の固相率が0.5~0.9を示す範囲内で、δ:鍛圧加工による総圧下量、d:鍛圧位置における未凝固厚みとして、δ/d≧0.5を満足する圧下を施す連続鋳造における鋳片の連続鍛圧方法が開示されている。特許文献6では、特許文献5の発明を実施するに際して、ブルームの先端から約10mまでに相当する鍛圧開始初期には、ブルームの中心部の固相率が0.75を示す位置で鍛圧し、鍛圧開始初期を経過した後には、固相率が0.5を示す位置で鍛圧する発明が開示されている。
特開2002-273554号公報 特公昭62-34460号公報 特開2001-18043号公報 特開平2-200360号公報 特開昭63-183765号公報 特開平8-155618号公報
連続鋳造中の凝固末端付近における鋳片を圧下して中心偏析とセンターポロシティを低減するに際して、従来知られている、鍛造装置あるいは鍛造装置と圧下ロールの組み合わせで圧下を行った場合、中心負偏析が発生し、材質劣化の原因となる。
本発明は、連続鋳造中の凝固末端付近における鋳片を、鍛造装置又は鍛造装置と圧下ロールの組み合わせで圧下を行うに際し、中心偏析とセンターポロシティを十分に低減することのできる、鋳片の連続未凝固鍛造装置及び連続未凝固鍛造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)連続鋳造中の中心凝固開始位置から中心凝固終了位置の間の位置である凝固末端付近における鋳片を、対向する2面から挟む一対の往復動式の金型により圧下する鍛造装置を、鋳造方向に少なくとも二対配置し、鋳造方向上流側を第一鍛造装置、下流側を第二鍛造装置とし、第一鍛造装置は金型で鋳片を圧下する速度0.3mm/秒以上で鋳片を10mm以上圧下することができ、第二鍛造装置は鋳片を20mm以上圧下することができる連続未凝固鍛造装置を用いた鋳片の連続未凝固鍛造方法であって、
内部溶鋼の中心固相率が0.1~0.5の段階で前記第一鍛造装置による圧下であって圧下量5mm以上の圧下を開始し、圧下される鋳片部位は前記第一鍛造装置による1回又は2回の圧下で合計10mm以上の圧下を行い、前記第一鍛造装置の金型で鋳片を圧下する速度は0.3mm/秒以上とし、
該鋳片の中心固相率が0.6~0.9の範囲内で前記第二鍛造装置による最終の圧下を終了し、圧下される鋳片部位は前記第二鍛造装置による圧下で20mm以上の圧下を行うことを特徴とする鋳片の連続未凝固鍛造方法
(2)前記鍛造装置を上流側の第一鍛造装置のみの一対とし、前記第一鍛造装置の鋳造方向下流側に前記第二鍛造装置に代えて圧下ロールを供え、前記圧下ロールによって鋳片を20mm以上圧下することができ
該鋳片の中心固相率が0.6~0.9の範囲内で前記圧下ロールによる最終の圧下を終了し、圧下される鋳片部位は前記圧下ロールによる圧下で20mm以上の圧下を行うことを特徴とする上記(1)に記載の鋳片の連続未凝固鍛造方法
連続鋳造中の凝固末端付近における鋳片を、第一鍛造装置と第二鍛造装置を用いた二段の鍛造を行うことにより、連続鋳造鋳片の中心偏析とセンターポロシティを十分に低減することができる。
本発明の連続未凝固鍛造装置を用いる連続鋳造装置を示す概略図である。 本発明の連続未凝固鍛造装置を示す概略図である。 本発明の鍛造装置による圧下状況を示す図であり、(A)は前回圧下からの鋳片移動量Sが最小、(B)はSが最大の場合を示す。 第一段鍛造を行う位置の中心固相率と製造状況を示す概念図であり、鍛造時の中心固相率が(A)は0.1~0.5、(B)は0.5~0.9の場合であり、添え字-1は鍛造前、添え字-2は鍛造直後、添え字-3は凝固後の鋳片厚み中央部を示す断面図である。 第二段鍛造を行う位置の中心固相率と製造状況を示す概念図であり、鍛造時の中心固相率が(A)は0.9以下、(B)は0.9~1.0の場合であり、添え字-1はは鍛造直後、添え字-2は凝固後の鋳片厚み中央部を示す断面図である。
連続鋳造中の未凝固鋳片を金型で鍛造する際の鋳片内の挙動を評価するため、連続鋳造オフライン試験を行った。鋳型内に溶鋼を満たし、鋳型と接する溶鋼部分に凝固シェルを形成し、その後、凝固シェルとその内部の溶鋼を鋳型の下部に引き出し、引き続き水噴霧冷却を行って凝固を進行させた。鋳片中央部に熱電対を挿入して厚み中心部の温度を計測し、計測結果から厚み中心部の固相率(以下「中心固相率」ともいう。)を評価した。鋳片中心部の固相率が所定の固相率に至ったところで、鋳片の両側から金型を用いて、所定の圧下速度、所定の圧下量で鋳片を鍛造した。その後凝固を完了し、鋳片断面の観察を行い、鋳片厚み中心部における結晶組織の評価を行った。
その結果、特定の条件で鍛造を行ったとき、鋳片厚み中心部に微細な等軸晶が多数形成されることが明らかとなった。即ち、中心固相率が0.1~0.5の段階で、圧下の圧下速度は0.3mm/秒以上、圧下量5mm以上の圧下を行ったとき、鋳片厚み中心部に微細な等軸晶が形成された。中心固相率が0.1以上の領域では、図4(A-1)に示すように、鋳片の厚み両方向から凝固が進行して、厚み中心部において両方向からのデンドライト先端が重なっている状況にある。このような状況において鋳片の鍛造を行うと、図4(A-2)に示すように、物理的にデンドライト31が破壊されると考えられる。デンドライト31は弱いところから破壊されるため、デンドライト先端が破壊され、微細等軸晶32が生成する。中心固相率が0.1以上で、圧下の圧下速度は0.3mm/秒以上、圧下量5mm以上の圧下を行ったときに、このような効果が十分に発揮されるものと推定できる。圧下速度が遅すぎると、デンドライトを十分に破砕することができない。また、圧下量が少なすぎても、デンドライトを十分に破砕することができない。
一方、中心固相率が0.5を超えた状態においては、図4(B-1)に示すように、そのような中心固相率ではすでに厚み中心部のデンドライト31がネットワークを形成しており、鍛造を行った場合、図4(B-2)に示すように、デンドライトネットワークが押しつぶされるだけになり、微細な等軸晶の生成には至らないものと推定できる。実際、中心固相率が0.5~0.9で鍛造を行った後、後述の二段目の鍛造を行い、鋳造後の鋳片を観察したところ、図4(B-3)に示すように、鋳片厚み中心部に負偏析帯35とスポット正偏析36が観察された。一段目の鍛造で上流に濃縮した濃化溶鋼が不規則に凝固し、スポット偏析を形成したものと推定できる。
そこで、本発明では、一段目の鍛造を上記微細な等軸晶を生成できる条件で実施した上で、二段目の鍛造を行うこととすれば、二段目の鍛造によって、一段目の鍛造で破砕した微細等軸晶と液相が同時に流動し、クレーターエンド付近で生成したセンターポロシティに充填されるのではないかと着想した。
そこで、図1に示すような実際の連続鋳造装置を用い、二段鍛造試験を実施した。鋳型4で浸漬ノズル6から溶鋼が供給されて鋳片3が形成され、サポートロール5に支持されつつ鋳片3が引き抜かれる。凝固の進行に伴い、鋳片の表面側が固相部11、その内側が固液共存層12、中心側が液相部13を形成し、固相部11と固液共存層12の境界が固相線14、固液共存層12と液相部13の境界が液相線15と呼ばれる。鋳片の表裏面側の液相線15が交わった点が中心凝固開始位置16であり、中心固相率=0.0で、ここから下流側22で中心固相率が上昇を始める。下流側22に向かうに従って中心固相率が上昇し、鋳片の表裏面側の固相線14が交わった点が中心凝固終了位置17であり、ここにおいて中心固相率が1.0となる。連続鋳造中の凝固末端付近(中心凝固開始位置16から中心凝固終了位置17の間の位置)に、第一鍛造装置1A、第二鍛造装置1Bを配置した。第一段の鍛造(第一鍛造装置1A)は、中心固相率が0.1~0.5の段階で、圧下の圧下速度は0.3mm/秒以上、圧下量5mm以上の圧下を行った。
次いで、第一段鍛造の鋳造方向下流側で第二段鍛造(第二鍛造装置1B)を行った。その結果、第二段の鍛造として20mm以上の圧下を行い、中心固相率が0.6~0.9の範囲内で圧下を終了する(図5(A-1))ことにより、図4(A-3)、図5(A-2)に示すように、鋳片の中心偏析、センターポロシティともに大幅に低減することが明らかとなった。中心固相率が0.6未満で第二段の鍛造を終了したのでは、センターポロシティを十分に低減することができない。一方、中心固相率が0.9を超える部分で鍛造を終了した場合(図5(B-1))、図5(B-2)に示すように、厚み中心部における鋳片の母材成分自体が不均一になり、局所的にスポット偏析を形成する傾向が見られた。中心固相率が0.9を超える部分で鍛造を終了した場合、鋳片厚み中心部の濃化溶鋼が搾り出され、鋳片上流側に濃化溶鋼が溜まっていき、凝固シェルに巻き込まれたことが原因と考えられる。また、第二段鍛造の圧下量が20mm未満の場合、ポロシティの低減効果が小さかった。二段目の圧下は微細等軸晶と液相を同時に流動させ、高固相率で発生し易いポロシティに充填させるものである。二段目の圧下量が少なすぎると、ポロシティへの微細等軸晶と液相との充填が不十分になるものと推定される。
本発明は、図2に示すように、第一鍛造装置1Aによって一段目の圧下を行った後、一段目の圧下の下流側で第二鍛造装置1Bによって二段目の圧下を行う。その結果、二段目の圧下の前段階で鋳片厚み中心部には微細等軸晶と液相が混在した状況となっている。凝固末期において濃化溶鋼のみが流動すると、スポット偏析(マクロ偏析)が形成する可能性がある。それに対して本発明のように、凝固末期の圧下において、液相と固相(特に、微細な等軸晶)とが同時に流動すれば、偏析は生成しない。
本発明は、一段目の圧下を圧下速度0.3mm/秒以上の条件で鍛造によって行うものである。一段目の圧下を圧下ロールによって行おうとすると、圧下速度は鋳造速度に依存し圧下速度0.3mm/秒以上を実現することができないので、本発明の特徴である、デンドライトの破砕と微細等軸晶の生成を行うことができない。
本発明は、一段目の圧下と二段目の圧下を行い、即ち二段階で圧下を行うことが特徴である。一段のみの圧下で、デンドライトの破砕とポロシティへの充填をともに行おうとすると、一度に入る歪が大きすぎるので、鋳片の表面及び内部に割れが発生し易くなり、好ましくない。また、一段の金型で、少しずつ鋳片を送り多段圧下する場合、鋳片と金型の接触長が短くなるため、内部への歪が入りにくく、デンドライトを破砕できない(通常、接触長/板厚が大きいほど内部への歪が入りやすい。)。
本発明では、第一段鍛造において、圧下量を5mm以上の圧下を1回の圧下で行うことが好ましい。さらに、本発明では、圧下される鋳片部位は第一鍛造装置による1回又は2回の圧下で合計圧下量δが10mm以上の圧下を行うと好ましい。1回で10mmの圧下を行った部位は、圧下量5mm以上の条件を満足している。また、2回で10mmの圧下を行った部位は、1回の圧下での圧下量が最低でも5mmあるので、同じく圧下量5mm以上の条件を満足している。なお、第一段鍛造で2回の圧下が行われる鋳片部位においては、2回の圧下のうち、5mm以上の圧下が行われる位置において、中心固相率が0.1~0.5の範囲内であることが好ましい。
図2、図3について説明する。図2は、第一鍛造装置1Aと第二鍛造装置1Bによって、鋳片3を圧下した直後の状況を示している。図3は、第一鍛造装置1Aと第二鍛造装置1Bのいずれかによって圧下を行う直前の状況であり、鋳片表面としては、今回圧下前表面25と今回圧下後表面26を表示している。
本発明の鍛造装置1に用いる金型2の鋳片に接する側の形状としては、図2、図3に示すように、鋳造方向上流側21に傾斜部7、下流側22に鋳片表面と平行な平行部8を有する形状を用いることができる。ここで、傾斜部7が鋳片表面となす角度をθ、平行部8の長さをLとする。連続鋳造中に鋳片が鋳造速度Vで下流側22に移動しており、金型2によって時間ピッチkで圧下量δの圧下を行う。時間ピッチkでの鋳片の移動量Sは、S=k×Vで表される。移動量Sが小さいと、鋳片の同一箇所が、傾斜部7によって何回も圧下を受けることとなる。傾斜部7によって3回以上の圧下が行われる部位においては、合計圧下量δを10mmとしたとしても、1回当たりの圧下量を確実に5mm以上とすることができない。移動量S(=k・V)を
S≧δ/tanθ (1-A)
とすることにより、鋳片3のいずれの部位においても、第一鍛造装置1Aによる圧下を1回又は2回の範囲内に抑えることができる。図3(A)は、S=δ/tanθであって最小の移動量の場合を図示している。
一方、鋳片3のいずれの部位においても確実に圧下量δとするためには、
S≦L (1-B)
であることが必要である。図3(B)は、S=Lであって最大の移動量の場合を図示している。(1-A)式と(1-B)式が同時に成立するためには、
δ/tanθ≦L (1-C)
の条件が必要となる。
第一鍛造装置1Aによる合計圧下量δは、20mm以下であると好ましい。一段目の圧下はデンドライト先端を破砕するが、圧下量が大きすぎると液相の流動も生じる。低固相率での急激な溶鋼流動はメニスカスの流動を生じさせ、パウダーの巻き込み等の材質劣化を引き起こすことがある。また、鋳片の表面及び内部に割れが発生し易くなる。一段目の合計圧下量δが20mm以下であれば、このような状況が生じることなく、良好な品質を確保することができる。
前記説明したように、二段目以降の鍛造では、一段目で破砕した微細等軸晶と液相が同時に流動し、ポロシティに充填される。また、加圧圧力が高いため高固相率まで流動し、固液共存体(微細等軸晶+液相)が効果的に充填され、ポロシティを低減する。二段目の圧下の圧下量は、30mm以下とすると好ましい。付与される歪量が大きすぎず、鋳片の表面及び内部に割れを防止し、デンドライト樹間の濃化溶鋼の押し出しを防ぎ、負偏析が発生しない。
二段目以降の圧下では、圧下速度の下限を特に定める必要はない。一方、二段目であっても圧下速度が速いほど高固相率で抵抗の大きい位置のポロシティまで(微細等軸晶+液相)を充填できるため、圧下速度が速いほど好ましく、即ち、鍛造のほうが好ましい。他方、圧下速度が遅くても本発明の効果をそれなりに発揮することができるので、二段目の圧下をロール圧下とすることも可能である。この場合、鍛造装置を上流側の第一鍛造装置のみの一対とし、第一鍛造装置の鋳造方向下流側に第二鍛造装置に代えて圧下ロールを供え、圧下ロールによって鋳片を20mm以上圧下することとなる。
本発明の鋳片の連続未凝固鍛造装置及び連続未凝固鍛造方法は、鋳造対象として、スラブ、ブルームのいずれにも対応することができる。ブルームにおいて好ましく用いることができる。また、鍛造装置の金型による圧下範囲は、鋳片幅方向の全幅とすることができる一方、鋳片幅方向のうちで未凝固部が存在する範囲のみを圧下することとしても良い。二段目の圧下を圧下ロールによって行う場合には、圧下ロールとして、鋳片幅方向にロール径が一定であるフラットロールを用いてもよく、あるいは、鋳片幅方向で未凝固部が存在する範囲でロール径が大きくなる凸型ロールを用いることとしても良い。
図1に示す構成の連続鋳造装置を用いて、C含有量が0.45~0.47質量%の炭素鋼を、断面形状が厚さ300mm、幅450mmのブルームに鋳造するに際し、本発明を適用した。鋳造速度は0.8m/分とし、鋳型直下の位置からメニスカスからの距離が10mの位置までの間の鋳片を比水量0.5リットル/kg-鋼の条件で二次冷却した。
対向する2面から挟む一対の往復動式の金型2により圧下する鍛造装置1を、鋳造方向に二対配置し、鋳造方向上流側21を第一鍛造装置1A、下流側22を第二鍛造装置1Bとし、未凝固部を含む位置のブルームの長辺面を圧下した。鍛造装置1の金型2の鋳片に接する側の形状としては、図2に示すように、鋳造方向上流側21に傾斜部7、下流側22に鋳片表面と平行な平行部8を有する形状を用いた。第一鍛造装置1A、第二鍛造装置1Bいずれも、金型2の傾斜部7の角度θ=30°、平行部8の長さL=500mmとした。連続鋳造中に鋳片3が鋳造速度Vで下流側22に移動しており、金型2によって時間ピッチkで圧下量δの圧下を行う。移動量S(=k・V)として、下記(1)式の範囲内となるように、時間ピッチkを選択した。
δ/tanθ≦S≦L (1)
これにより、鋳片3のいずれの部位においても、第一鍛造装置1Aによる圧下を1回又は2回の範囲内に抑えることができる。また、圧下量δを10mm以上とすることにより、鋳片3のいずれの部位においても、1回当たりの圧下量を5mm以上とすることができる。圧下速度は150mm/secとした。
鋳造温度を種々変更して圧下を行う中心固相率を変化させ試験した。「中心固相率」は、通常の凝固伝熱解析方法を用いて計算した。その際、鋳造中に鋳型内の溶鋼にFeSを添加し、その鋳片サンプルの横断面をサルファプリントして未凝固部の厚さを調査し、計算および実測値が良く一致することを確認した。
鋳造した鋳片の品質については、下記に示すマクロ偏析によって中心偏析の評価を行い、ポロシティサイズによってセンターポロシティの評価を行った。また表面割れの評価も行った。
マクロ偏析:鋳造末期の鋳片より、鋳造方向と垂直な面の鋳片サンプルを採取し、ピクリン酸で腐食してマクロ偏析を調査した。円相当径で3mm以上の偏析粒が発生した場合は「スポット偏析」を「×」、円相当径で3mm以上の偏析粒は無くなったが1.5mm以上の偏析粒が発生した場合は「○」、そうでない場合は「◎」とした。
ポロシティサイズ:鋳造末期の鋳片より、鋳造方向と垂直な面の鋳片サンプルを採取し、板厚1/2部をX線で調査した。円相当径で3mm以上のポロシティが発生した場合は「ポロシティ」を「×」、円相当径で3mm以上のポロシティは無くなったが1.5mm以上のポロシティが発生した場合は「○」、そうでない場合は「◎」とした。
表面割れ:鋳造末期の鋳片より、鋳造長1m以上鋳片の広幅の面を観察した。10mm以上の割れが発生した場合は「割れ」が「×」、10mm以上の割れは発生しなかったが5mm以上の割れが発生した場合は「○」、そうでない場合は「◎」とした。
Figure 0007073927000001
結果を表1に示す。本発明範囲から外れる数値に下線を付し、あるいは*を付している。
本発明例No.1~9、参考例10~13は本発明の鋳片の連続未凝固鍛造装置を用いて鋳造を行っており、いずれも良好な結果を得ることができた。特に本発明例No.1~9は、第一鍛造装置、第二鍛造装置ともに圧下条件が本発明の好適範囲に入っており、スポット偏析、センターポロシティ、割れのいずれも発生せず、特に良好な結果を得ることができた。鋳片厚み中心部には微細等軸晶帯が観察された。
参考例No.10は、第一鍛造装置の圧下開始中心固相率が0.05であって本発明の好適範囲を下限に外れているため、第一鍛造装置の圧下量を25mmと多めの圧下とした。その結果、円相当径で3mm以上のスポット偏析、センターポロシティの発生は防止できたものの、1.5mm以上の比較的に小さいスポット偏析が散見され、表面割れ及び内部割れも比較的に小さいものが散見された。
参考例No.11は、第一鍛造装置の圧下開始中心固相率が本発明の好適範囲を上限に外れている。その結果、スポット偏析、センターポロシティとして小さなものが散見されたほか、中心負偏析帯が発生した。第一段の圧下開始中心固相率が高すぎたため、デンドライトが十分に破砕されず、デンドライト樹間の濃化溶鋼を押しだし、中心負偏析を発生させるとともに、押し出された濃化溶鋼がスポット偏析を発生させたものと推定できる。また、圧下終了後の高固相率時に発生したポロシティには、第一段鍛圧でデンドライトのネットワークが十分に破砕されていないため溶鋼が十分に流入できず、小さなポロシティが残ったものと考えられる。しかし、後述する比較例と比べれば、圧下効果は明確に認められた。
参考例No.12および13は、第二鍛造装置の圧下開始中心固相率が本発明の好適範囲を上限に外れている。その結果、センターポロシティと表面割れに小さなものが散見された。第二段の圧下が完全凝固した後に行われているため、微細等軸晶と溶鋼が十分に流入できず、小さなポロシティが残ったものと考えられる。
比較例No.1は第一鍛造装置の圧下開始中心固相率が本発明の好適範囲を上限に外れているほか、第二鍛造装置の圧下量が不足していて、本発明に係る鍛造装置の要件を利用しなかったものである。その結果、小さなスポット偏析が散見されたほか、センターポロシティおよび中心負偏析帯が発生した。第二段圧下終了後の高固相率時に発生したポロシティには、微細等軸晶および溶鋼が十分に流入できず、ポロシティが残ったものと考えられる。
比較例No.2は、第一鍛造装置の圧下量も第二鍛造装置の圧下量も不足し、本発明に係る鍛造装置の要件を利用しなかったものであったほか、第二鍛造装置の圧下終了中心固相率が本発明の好適範囲を下限に外れていたものである。その結果、スポット偏析及びセンターポロシティの発生が見られた。第一鍛造装置、第二鍛造装置ともに圧下量が不足し、かつ、第二鍛造装置の圧下終了が早すぎたため、微細等軸晶と液相がポロシティ部に流入せず、センターポロシティが残存したものと推定できる。
比較例No.3は、第一鍛造装置で圧下を行わず、第二鍛造装置でのみ圧下した。その結果、スポット偏析が生成し、小さなセンターポロシティが散見されたほか、中心負偏析が生成した。第一鍛造装置で圧下を行わなかったために微細な等軸晶が生成せず、液相のみが流動したために、デンドライト樹間の濃化溶鋼を押しだし、中心負偏析を発生させるとともに、押し出された濃化溶鋼がスポット偏析を発生させたものと推定できる。また、圧下終了後の高固相率時に発生したポロシティには、第一段鍛圧でデンドライトのネットワークが破砕されていないため溶鋼が十分に流入できず、小さなポロシティが残ったものと考えられる。
比較例No.4は、第一鍛造装置、第二鍛造装置で圧下を行わなかった。その結果、中心偏析が生成し、センターポロシティが発生した。第一鍛造装置で圧下を行わなかったために微細な等軸晶が生成せず中心偏析を発生させるとともに、第二鍛造装置でも圧下を行わなかったためセンターポロシティも抑制できなかったと考えられる。
1 鍛造装置
1A 第一鍛造装置
1B 第二鍛造装置
2 金型
3 鋳片
4 鋳型
5 サポートロール
6 浸漬ノズル
7 傾斜部
8 平行部
11 固相部
12 固液共存層
13 液相部
14 固相線
15 液相線
16 中心凝固開始位置
17 中心凝固終了位置
21 上流側
22 下流側
23 鋳造方向
24 鍛造
25 今回圧下前表面
26 今回圧下後表面
31 デンドライト
32 微細等軸晶
33 柱状晶
34 微細等軸晶帯
35 負偏析帯
36 スポット正偏析

Claims (2)

  1. 連続鋳造中の中心凝固開始位置から中心凝固終了位置の間の位置である凝固末端付近における鋳片を、対向する2面から挟む一対の往復動式の金型により圧下する鍛造装置を、鋳造方向に少なくとも二対配置し、鋳造方向上流側を第一鍛造装置、下流側を第二鍛造装置とし、第一鍛造装置は金型で鋳片を圧下する速度0.3mm/秒以上で鋳片を10mm以上圧下することができ、第二鍛造装置は鋳片を20mm以上圧下することができる連続未凝固鍛造装置を用いた鋳片の連続未凝固鍛造方法であって、
    内部溶鋼の中心固相率が0.1~0.5の段階で前記第一鍛造装置による圧下であって圧下量5mm以上の圧下を開始し、圧下される鋳片部位は前記第一鍛造装置による1回又は2回の圧下で合計10mm以上の圧下を行い、前記第一鍛造装置の金型で鋳片を圧下する速度は0.3mm/秒以上とし、
    該鋳片の中心固相率が0.6~0.9の範囲内で前記第二鍛造装置による最終の圧下を終了し、圧下される鋳片部位は前記第二鍛造装置による圧下で20mm以上の圧下を行うことを特徴とする鋳片の連続未凝固鍛造方法
  2. 前記鍛造装置を上流側の第一鍛造装置のみの一対とし、前記第一鍛造装置の鋳造方向下流側に前記第二鍛造装置に代えて圧下ロールを供え、前記圧下ロールによって鋳片を20mm以上圧下することができ
    該鋳片の中心固相率が0.6~0.9の範囲内で前記圧下ロールによる最終の圧下を終了し、圧下される鋳片部位は前記圧下ロールによる圧下で20mm以上の圧下を行うことを特徴とする請求項1に記載の鋳片の連続未凝固鍛造方法
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