JP7071570B2 - Mhc-iの発現を増加させるためのクルクフェノール化合物 - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C.119(e)に基づき、2013年11月20日に出願された米国特許出願第61/906,817号に対する優先権を主張するものであり、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
背景
本発明の実施形態は、細胞において、特に癌細胞等の異常細胞の表面上で、主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)抗原の発現を増加させ、それによって細胞の免疫原性を高めるためのクルクフェノール化合物の使用に関する。また、例えば、単独で、または他の治療と組み合わせて種々の癌を治療するための、関連する薬学的組成物及びその使用方法も含まれる。
主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)抗原は、体のほぼ全ての有核細胞に見られる。このクラスの主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子の主な機能は、細胞内タンパク質のペプチド断片を細胞傷害性Tリンパ球(CTL)にディスプレイする(または提示する)ことである。このディスプレイに基づいて、CTLは、健康な細胞を無視して、MHCと結合した外来性ペプチド、または他の癌抗原等の疾患に関連するペプチド(抗原)を含む異常なペプチドをディスプレイする細胞を攻撃する。よって、MHC-I分子の表面発現は、CTLに対する標的細胞の感受性を決定する上で非常に重要な役割を果たす。
多くの癌細胞は、下方制御されたMHC-Iの細胞表面発現を表示する(例えば、Wang et al.,JBC.283:3951-3959,2008;Chang et al.,Keio J.Med.52:220-9,2003;Zagzag et
al.,Lab Invest.85:328-41,2005;及びHewitt,Immunology.110:163-69,2003を参照のこと)。MHC-I発現の低下は、輸送体(例えば、TAP-1、TAP-2)、プロテアソーム成分(LMP)、ならびに抗原提示及びプロセシング経路に関与する他のアクセサリータンパク質等の複数の因子の下方制御に少なくとも部分的に起因し得る。この特徴は、癌細胞が免疫監視を逃れ、それによって、別様に細胞を排除するように設計された免疫活性に対する生存優位性を提供することを可能にし得る。
したがって、これら及び他の種類の異常細胞におけるMHCクラスIの発現を増加させ、それによって、免疫系がそのような細胞を破壊の標的とする能力を向上させることができる薬剤の必要性が当該技術分野に存在する。
Wang et al.,JBC.283:3951-3959,2008 Chang et al.,Keio J.Med.52:220-9,2003 Zagzag et al.,Lab Invest.85:328-41,2005 Hewitt,Immunology.110:163-69,2003
本発明の実施形態は、細胞をクルクフェノール化合物と接触させることを含む、細胞における主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)の表面発現を増加させるための方法を含む。ある特定の実施形態において、MHC-Iの表面発現は、未処理の対照細胞と比較して少なくとも約10%増加する。
ある特定の実施形態において、細胞(その未処理の状態にある)は、同じ細胞型の正常なまたは健康な細胞と比較した場合のMHC-Iの表面発現の低下及び任意選択的にTAP-1の発現の低下によって特徴付けられる。ある特定の実施形態において、細胞におけるMHC-Iの表面発現及び任意選択的にTAP-1の発現は、同じ細胞型の他の正常または健康な細胞のMHC-Iの表面発現及び任意選択的にTAP-1の発現のレベルの約10%以内まで増加する。
ある特定の実施形態において、細胞は癌細胞である。ある特定の実施形態において、癌細胞は転移性癌細胞である。ある特定の実施形態において、癌細胞は、乳癌細胞、子宮頸癌細胞、前立腺癌細胞、消化器癌細胞、肺癌細胞、卵巣癌細胞、精巣癌細胞、頭頸部癌細胞、膀胱癌細胞、腎癌細胞、扁平上皮癌、CNSまたは脳癌細胞、黒色腫細胞、非黒色腫癌細胞、甲状腺癌細胞、子宮内膜癌細胞、上皮性腫瘍細胞、骨癌細胞、及び造血器癌細胞のうちの1つ以上から選択される。ある特定の実施形態において、骨癌細胞は、骨肉腫、軟骨肉腫、またはユーイング肉腫ファミリー腫瘍(ESFT)の細胞である。ある特定の実施形態において、消化器癌細胞は、食道癌細胞、胃(stomach/gastric)癌細胞、膵臓癌細胞、肝癌細胞、胆嚢(胆道)癌細胞、小腸癌細胞、結腸直腸癌細胞、肛門もしくは直腸癌細胞、または消化管カルチノイドもしくは間質性腫瘍である。ある特定の実施形態において、肺癌細胞は、腺癌、肺扁平上皮癌、小細胞肺癌、または大細胞肺癌である。ある特定の実施形態において、黒色腫は、悪性黒子、悪性黒子由来黒色腫、表在拡大型黒色腫、末端黒子型黒色腫、粘膜黒色腫、結節性黒色腫、ポリープ状黒色腫、線維形成性黒色腫、無色毒性黒色腫、軟部組織黒色腫、またはブドウ膜黒色腫である。ある特定の実施形態において、造血器癌細胞は、リンパ腫細胞、白血病細胞、または多発性骨髄腫細胞である。
ある特定の実施形態において、細胞はインビトロである。
ある特定の実施形態において、細胞は、対象内に存在し、方法は、クルクフェノール化合物を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態において、対象は癌を有する。ある特定の実施形態において、癌は、同じ細胞型の非癌細胞と比較した場合に、MHC-Iの表面発現の低下及び任意選択的にTAP-1の発現の低下を示す癌細胞(未処理の状態にある)によって特徴付けられる。ある特定の実施形態において、癌細胞(複数可)は、転移性癌細胞を含む。ある特定の実施形態において、転移性癌細胞(未処理の状態にある)は、同じ細胞型の非癌細胞と比較して、または同じ細胞型の非転移性癌細胞と比較して、MHC-Iの表面発現の低下及び任意選択的にTAP-1の発現の低下を示す。
ある特定の実施形態において、癌細胞(複数可)におけるMHC-Iの表面発現及び任意選択的にTAP-1の発現は、対照細胞と比較して少なくとも約10%増加する。ある特定の実施形態において、MHC-Iの表面発現及び任意選択的にTAP-1の発現の増加は、癌細胞に対するCTL媒介性免疫応答を増加させる。
ある特定の実施形態において、癌は、乳癌、子宮頸癌、前立腺癌、消化器癌、肺癌、卵巣癌、精巣癌、頭頸部癌、膀胱癌、腎癌(例えば、腎細胞癌)、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、CNSまたは脳癌、黒色腫、非黒色腫癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、上皮性腫瘍、骨癌、及び造血器癌のうちの1つ以上から選択される。ある特定の実施形態において、肺癌は、骨肉腫、軟骨肉腫、またはユーイング肉腫ファミリー腫瘍(ESFT)である。ある特定の実施形態において、消化器癌は、食道癌、胃(stomach/gastric)癌、膵臓癌、肝癌、胆嚢(胆道)癌、小腸癌、結腸直腸癌、肛門もしくは直腸癌、または消化管カルチノイドもしくは間質性腫瘍である。ある特定の実施形態において、黒色腫は、悪性黒子、悪性黒子由来黒色腫、表在拡大型黒色腫、末端黒子型黒色腫、粘膜黒色腫、結節性黒色腫、ポリープ状黒色腫、線維形成性黒色腫、無色毒性黒色腫、軟部組織黒色腫、またはブドウ膜黒色腫である。ある特定の実施形態において、造血器癌は、リンパ腫、白血病、または多発性骨髄腫である。ある特定の実施形態において、リンパ腫は、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、マントル(mangle)細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、または非ホジキンリンパ腫である。ある特定の実施形態において、白血病は、慢性リンパ性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄球性白血病、急性骨髄性(myeloidもしくはmyelogenous)白血病、または慢性骨髄性白血病である。ある特定の実施形態において、脳癌は、神経膠腫、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、原発性CNSリンパ腫、神経芽細胞腫、原始神経外胚葉性腫瘍(髄芽腫)、または多形神経膠芽腫である。
いくつかの方法は、さらなる癌治療と組み合わせてクルクフェノール化合物を投与することを含む。ある特定の実施形態において、さらなる癌治療は、抗癌剤、放射線療法、外科手術、移植、光線力学的治療、対症ケア、及び抗生物質療法のうちの1つ以上から選択される。ある特定の実施形態において、抗癌剤は、小分子及び抗体から選択される。ある特定の実施形態において、小分子は、細胞毒性剤、化学療法剤、または抗血管新生剤である。ある特定の実施形態において、小分子細胞毒性剤、化学療法剤、または抗血管新生剤は、アルキル化剤、代謝拮抗薬、アントラサイクリン、抗腫瘍性抗生物質、白金、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、ビンカアルカロイド、及びタキサンのうちの1つ以上から選択される。
ある特定の実施形態において、小分子は、クロラムブシル、シクロホスファミド、シレンジタイド、ロムスチン(CCNU)、メルファラン、プロカルバジン、チオテパ、カルムスチン(BCNU)、エンザスタウリン、ブスルファン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ゲフィチニブ、エルロチニブイダルビシン、テモゾロミド、エピルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、テムシロリムス、エベロリムス、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、CT52923、パクリタキセル、イマチニブ、ダサチニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ、スニチニブ(sunitnib)、バタラニブ、ゲフィチニブ(geftinib)、エルロチニブ、AEE-788、ジクロロ酢酸塩(dichoroacetate)、タモキシフェン、ファスジル、SB-681323、セマクサニブ、ドネペジル(donepizil)、ガランタミン、メマンチン、リバスチグミン、タクリン、ラサギリン(rasigiline)、ナルトレキソン、ルビプロストン、サフィナミド、イストラデフィリン、ピマバンセリン、ピトリサント、イスラジピン、プリドピジン(ACR16)、テトラベナジン、ベキサロテン、グラチラマー酢酸塩(glatirimer acetate)、フィンゴリモド、及びミトキサントロン(それらの薬学的に許容される塩及び酸を含む)のうちの1つ以上から選択される。
ある特定の実施形態において、抗体は、3F8、8H9、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アラシズマブ(ペゴール)、アレムツズマブ、アルツモマブペンテート、アマツキシマブ、アナツモマブマフェナトクス(anatumomab mafenotox)、アポリズマブ、アルシツモマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベリムマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブ(メルタンシン)、ブレンツキシマブベドチン、カンツズマブ(メルタンシン)、カンツズマブ(ラブタンシン)、カプロマブ(ペンデチド)、カルルマブ、カツマキソマブ、セツキシマブ、シタツズマブ(ボガトクス)、シクスツムマブ、クリバツズマブ(テトラキセタン)、コナツムマブ、ダセツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、デツモマブ、ドロジツマブ、エクロメキシマブ、エドレコロマブ、エロツズマブ、エナバツズマブ、エンシツキシマブ、エプラツズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、ファルレツズマブ、FBTA05、フィギツムマブ、フランボツマブ、ガリキシマブ、ゲムツズマブ、ガニツマブ、ゲムツズマブ(オゾガマイシン)、ギレンツキシマブ、グレンバツムマブ(ベドチン)、イブリツモマブチウキセタン、イクルクマブ、イゴボマブ、インダツキシマブラブタンシン、インテツムマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ(MDX-101)、イラツムマブ、ラベツズマブ、レクサツムマブ、リンツズマブ、ロルボツズマブ(メルタンシン)、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、ミツモマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブ(パスドトクス)、ナコロマブ(タフェナトクス)、ナプツモマブ(エスタフェナトクス)、ナルナツマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、Neuradiab(登録商標)(放射性ヨードを含むまたは含まない)、NR-LU-10、オファツムマブ、オララツマブ、オナルツズマブ、オポルツズマブ(モナトクス)、オレゴボマブ、パニツムマブ、パトリツマブ、ペムツモマブ、パーツズマブ、プリツムマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラムシルマブ、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ、サマリズマブ、シブロツズマブ、シルツキシマブ、タバルマブ、タネズマブ、タプリツモマブ(パプトクス)、テナツモマブ、テプロツムマブ、TGN1412、チシリムマブ、トラスツズマブ、トレメリムマブ、チガツズマブ、TNX-650、トシツモマブ、TRBS07、ツコツズマブ(セルモロイキン)、ウブリツキシマブ、ウレルマブ、ベルツズマブ、ボロシキシマブ、ボツムマブ、及びザルツムマブ(それらの抗原結合断片を含む)のうちの1つ以上から選択される。
薬学的に許容される担体と、クルクフェノール化合物またはその薬学的に許容される塩とを含む、癌の治療に使用するための組成物もまた含まれる。ある特定の実施形態において、癌は、同じ細胞型の非癌細胞と比較した場合に、MHC-Iの表面発現の低下及び任意選択的にTAP-1の発現の低下を示す癌細胞(未処理の状態にある)によって特徴付けられる。
いくつかの実施形態は、薬学的に許容される担体と、抗癌剤と、クルクフェノール化合物またはその薬学的に許容される塩とを含む組成物(例えば、薬学的組成物)を含む。
特定の実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
細胞における主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)の表面発現を増加させるための方法であって、前記細胞をクルクフェノール化合物と接触させることを含む、前記方法。
(項目2)
MHC-Iの表面発現は、未処理の対照細胞と比較して少なくとも約10%増加する、項目1に記載の前記方法。
(項目3)
前記細胞(その未処理の状態にある)は、同じ細胞型の正常または他の健康な細胞と比較した場合のMHC-Iの表面発現の低下及び任意選択的にTAP-1の発現の低下によって特徴付けられる、項目1または2に記載の前記方法。
(項目4)
前記細胞におけるMHC-Iの表面発現及び任意選択的にTAP-1の発現は、前記同じ細胞型の前記他の正常または健康な細胞のMHC-Iの表面発現及び任意選択的にTAP-1の発現のレベルの約10%以内まで増加する、項目3に記載の前記方法。
(項目5)
前記細胞は、癌細胞である、項目1~4のいずれかに記載の前記方法。
(項目6)
前記癌細胞は、転移性癌細胞である、項目5に記載の前記方法。
(項目7)
前記癌細胞は、乳癌細胞、子宮頸癌細胞、前立腺癌細胞、消化器癌細胞、肺癌細胞、卵巣癌細胞、精巣癌細胞、頭頸部癌細胞、膀胱癌細胞、腎癌細胞、扁平上皮癌、CNSまたは脳癌細胞、黒色腫細胞、非黒色腫癌細胞、甲状腺癌細胞、子宮内膜癌細胞、上皮性腫瘍細胞、骨癌細胞、及び造血器癌細胞のうちの1つ以上から選択される、項目5または6に記載の前記方法。
(項目8)
前記骨癌細胞は、骨肉腫、軟骨肉腫、またはユーイング肉腫ファミリー腫瘍(ESFT)の細胞である、項目7に記載の前記方法。
(項目9)
前記消化器癌細胞は、食道癌細胞、胃(stomach/gastric)癌細胞、膵臓癌細胞、肝癌細胞、胆嚢(胆道)癌細胞、小腸癌細胞、結腸直腸癌細胞、肛門もしくは直腸癌細胞、または消化管カルチノイドもしくは間質性腫瘍である、項目7に記載の前記方法。
(項目10)
前記肺癌細胞は、腺癌、肺扁平上皮癌、小細胞肺癌、または大細胞肺癌である、項目7に記載の前記方法。
(項目11)
前記黒色腫は、悪性黒子、悪性黒子由来黒色腫、表在拡大型黒色腫、末端黒子型黒色腫、粘膜黒色腫、結節性黒色腫、ポリープ状黒色腫、線維形成性黒色腫、無色毒性黒色腫、軟部組織黒色腫、またはブドウ膜黒色腫である、項目7に記載の前記方法。
(項目12)
前記造血器癌細胞は、リンパ腫細胞、白血病細胞、または多発性骨髄腫細胞である、項目7に記載の前記方法。
(項目13)
前記細胞は、インビトロである、項目1~12のいずれかに記載の前記方法。
(項目14)
前記細胞は、対象内に存在し、前記方法は、前記クルクフェノール化合物を前記対象に投与することを含む、項目1~13のいずれかに記載の前記方法。
(項目15)
前記対象は、癌を有する、項目14に記載の前記方法。
(項目16)
前記癌は、前記同じ細胞型の非癌細胞と比較した場合に、MHC-Iの表面発現の低下及び任意選択的にTAP-1の発現の低下を示す癌細胞(未処理の状態にある)によって特徴付けられる、項目15に記載の前記方法。
(項目17)
前記癌細胞(複数可)は、転移性癌細胞を含む、項目15に記載の前記方法。
(項目18)
前記転移性癌細胞(未処理の状態にある)は、前記同じ細胞型の非癌細胞と比較して、または前記同じ細胞型の非転移性癌細胞と比較して、MHC-Iの表面発現の低下及び任意選択的にTAP-1の発現の低下を示す、項目17に記載の前記方法。
(項目19)
前記癌細胞(複数可)におけるMHC-Iの表面発現及び任意選択的にTAP-1の発現は、対照細胞と比較して少なくとも約10%増加する、項目16~18のいずれかに記載の前記方法。
(項目20)
MHC-Iの表面発現及び任意選択的にTAP-1の発現の増加は、前記癌細胞に対するCTL媒介性免疫応答を増加させる、項目19に記載の前記方法。
(項目21)
前記癌は、乳癌、子宮頸癌、前立腺癌、消化器癌、肺癌、卵巣癌、精巣癌、頭頸部癌、膀胱癌、腎癌(例えば、腎細胞癌)、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、CNSまたは脳癌、黒色腫、非黒色腫癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、上皮性腫瘍、骨癌、及び造血器癌のうちの1つ以上から選択される、項目15~20のいずれかに記載の前記方法。
(項目22)
前記肺癌は、骨肉腫、軟骨肉腫、またはユーイング肉腫ファミリー腫瘍(ESFT)である、項目21に記載の前記方法。
(項目23)
前記消化器癌は、食道癌、胃(stomach/gastric)癌、膵臓癌、肝癌、胆嚢(胆道)癌、小腸癌、結腸直腸癌、肛門もしくは直腸癌、または消化管カルチノイドもしくは間質性腫瘍である、項目21に記載の前記方法。
(項目24)
前記黒色腫は、悪性黒子、悪性黒子由来黒色腫、表在拡大型黒色腫、末端黒子型黒色腫、粘膜黒色腫、結節性黒色腫、ポリープ状黒色腫、線維形成性黒色腫、無色毒性黒色腫、軟部組織黒色腫、またはブドウ膜黒色腫である、項目21に記載の前記方法。
(項目25)
前記造血器癌は、リンパ腫、白血病、または多発性骨髄腫である、項目21に記載の前記方法。
(項目26)
前記リンパ腫は、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、マントル(mangle)細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、または非ホジキンリンパ腫である、項目25に記載の前記方法。
(項目27)
前記白血病は、慢性リンパ性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄球性白血病、急性骨髄性(myeloidもしくはmyelogenous)白血病、または慢性骨髄性白血病である、項目25に記載の前記方法。
(項目28)
前記脳癌は、神経膠腫、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、原発性CNSリンパ腫、神経芽細胞腫、原始神経外胚葉性腫瘍(髄芽腫)、または多形神経膠芽腫である、項目21に記載の前記方法。
(項目29)
さらなる癌治療と組み合わせて前記クルクフェノール化合物を投与することを含む、項目15~28のいずれかに記載の前記方法。
(項目30)
前記さらなる癌治療は、抗癌剤、放射線療法、外科手術、移植、光線力学的治療、対症ケア、及び抗生物質療法のうちの1つ以上から選択される、項目29に記載の前記方法。(項目31)
前記抗癌剤は、小分子及び抗体から選択される、項目30に記載の前記方法。
(項目32)
前記小分子は、細胞毒性剤、化学療法剤、または抗血管新生剤である、項目31に記載の前記方法。
(項目33)
前記小分子細胞毒性剤、化学療法剤、または抗血管新生剤は、アルキル化剤、代謝拮抗薬、アントラサイクリン、抗腫瘍性抗生物質、白金、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、ビンカアルカロイド、及びタキサンのうちの1つ以上から選択される、項目32に記載の前記方法。
(項目34)
前記小分子は、クロラムブシル、シクロホスファミド、シレンジタイド、ロムスチン(CCNU)、メルファラン、プロカルバジン、チオテパ、カルムスチン(BCNU)、エンザスタウリン、ブスルファン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ゲフィチニブ、エルロチニブイダルビシン、テモゾロミド、エピルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、テムシロリムス、エベロリムス、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、CT52923、パクリタキセル、イマチニブ、ダサチニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ、スニチニブ(sunitnib)、バタラニブ、ゲフィチニブ(geftinib)、エルロチニブ、AEE-788、ジクロロ酢酸塩(dichoroacetate)、タモキシフェン、ファスジル、SB-681323、セマクサニブ、ドネペジル(donepizil)、ガランタミン、メマンチン、リバスチグミン、タクリン、ラサギリン(rasigiline)、ナルトレキソン、ルビプロストン、サフィナミド、イストラデフィリン、ピマバンセリン、ピトリサント、イスラジピン、プリドピジン(ACR16)、テトラベナジン、ベキサロテン、グラチラマー酢酸塩(glatirimer acetate)、フィンゴリモド、及びミトキサントロン(それらの薬学的に許容される塩及び酸を含む)のうちの1つ以上から選択される、項目31に記載の前記方法。
(項目35)
前記抗体は、3F8、8H9、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アラシズマブ(ペゴール)、アレムツズマブ、アルツモマブペンテート、アマツキシマブ、アナツモマブマフェナトクス(anatumomab mafenotox)、アポリズマブ、アルシツモマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベリムマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブ(メルタンシン)、ブレンツキシマブベドチン、カンツズマブ(メルタンシン)、カンツズマブ(ラブタンシン)、カプロマブ(ペンデチド)、カルルマブ、カツマキソマブ、セツキシマブ、シタツズマブ(ボガトクス)、シクスツムマブ、クリバツズマブ(テトラキセタン)、コナツムマブ、ダセツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、デツモマブ、ドロジツマブ、エクロメキシマブ、エドレコロマブ、エロツズマブ、エナバツズマブ、エンシツキシマブ、エプラツズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、ファルレツズマブ、FBTA05、フィギツムマブ、フランボツマブ、ガリキシマブ、ゲムツズマブ、ガニツマブ、ゲムツズマブ(オゾガマイシン)、ギレンツキシマブ、グレンバツムマブ(ベドチン)、イブリツモマブチウキセタン、イクルクマブ、イゴボマブ、インダツキシマブラブタンシン、インテツムマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ(MDX-101)、イラツムマブ、ラベツズマブ、レクサツムマブ、リンツズマブ、ロルボツズマブ(メルタンシン)、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、ミツモマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブ(パスドトクス)、ナコロマブ(タフェナトクス)、ナプツモマブ(エスタフェナトクス)、ナルナツマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、Neuradiab(登録商標)(放射性ヨードを含むまたは含まない)、NR-LU-10、オファツムマブ、オララツマブ、オナルツズマブ、オポルツズマブ(モナトクス)、オレゴボマブ、パニツムマブ、パトリツマブ、ペムツモマブ、パーツズマブ、プリツムマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラムシルマブ、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ、サマリズマブ、シブロツズマブ、シルツキシマブ、タバルマブ、タネズマブ、タプリツモマブ(パプトクス)、テナツモマブ、テプロツムマブ、TGN1412、チシリムマブ、トラスツズマブ、トレメリムマブ、チガツズマブ、TNX-650、トシツモマブ、TRBS07、ツコツズマブ(セルモロイキン)、ウブリツキシマブ、ウレルマブ、ベルツズマブ、ボロシキシマブ、ボツムマブ、及びザルツムマブ(それらの抗原結合断片を含む)のうちの1つ以上から選択される、項目31に記載の前記方法。
(項目36)
前記クルクフェノール化合物は、式I-A、式I-B、式II、式III、式IV、及び式Vの化合物、またはそれらの混合物から選択される、項目1~35に記載のいずれかに記載の前記方法。
(項目37)
薬学的に許容される担体と、クルクフェノール化合物またはその薬学的に許容される塩と、を含む、癌の治療に使用するための組成物。
(項目38)
前記癌は、同じ細胞型の非癌細胞と比較した場合に、MHC-Iの表面発現の低下及び任意選択的にTAP-1の発現の低下を示す癌細胞(未処理の状態にある)によって特徴付けられる、項目37に記載の使用のための前記組成物。
(項目39)
前記クルクフェノール化合物は、式I-A、式I-B、式II、式III、式IV、及び式Vの化合物、またはそれらの混合物から選択される、項目38に記載の使用のための前記組成物。
(項目40)
薬学的に許容される担体と、抗癌剤と、クルクフェノール化合物またはその薬学的に許容される塩と、を含む、組成物。
(S)-(+)-クルクフェノール及び種々の他のクルクフェノール化合物の式を示す。 図2A~2Bは、クルクフェノールと種々のカルボン酸とのカップリングによって生成されるクルクフェノール化合物の式を示す。 図2A~2Bは、クルクフェノールと種々のカルボン酸とのカップリングによって生成されるクルクフェノール化合物の式を示す。 細胞傷害性Tリンパ球(CTL)による癌細胞上の主要関連抗原の認識を示す。 ペプチド/MHC-I複合体の形成におけるTAP-1の役割を強調したMHCクラスI抗原提示経路を示す。 癌細胞が細胞表面上のペプチド/MHC-I複合体のディスプレイを減少させる種々の機構を示しており、それによってTAP-1及びTAP-2輸送体タンパク質ならびにプロテアソーム複合体の下方制御を含むCTL媒介性免疫監視を逃れる。 TAP-1及びMHC-Iが、癌細胞株及び外科的に除去した腫瘍において頻繁に下方制御されることを示す。 TAP-1の下方制御が、疾患の進行及び転移と強く相関することを示す。 海洋性海綿動物抽出物1がMHC-I(7A)の表面発現及びTAP-1プロモーターの発現を増加させたことを示す(7B、EGFPによって示される)。 海洋性海綿動物抽出物3がMHC-I(8A)の表面発現及びTAP-1プロモーターの発現を増加させたことを示す(8B、EGFPによって示される)。 海洋性海綿動物抽出物5がMHC-I(9A)の表面発現及びTAP-1プロモーターの発現を増加させたことを示す(9B、EGFPによって示される)。 A9マウス腫瘍細胞モデルにおいて試験したクルクフェノール化合物の式を示す(実施例2を参照のこと)。 クルクフェノール化合物によるA9細胞におけるMHC-Iの発現の誘導を示す。 PIの排除及び無傷細胞の数によって測定される、A9細胞における細胞毒性試験の結果を示す。
本発明の実施形態は、クルクフェノール化合物がMHC-Iの細胞表面発現を増加させることができるという発見に関する。いくつかの場合において、クルクフェノール化合物は、MHC-I抗原提示経路の輸送体タンパク質であるTAP-1(抗原ペプチド輸送体1)の発現を増加させることによってこの効果を達成する。
MHC-I/ペプチド複合体の認識は、細胞のCTL媒介性免疫監視のために極めて重要である(図3を参照)。癌細胞等のある特定の異常細胞は、しばしば、TAP-1等の抗原提示経路の発現タンパク質を下方制御することにより、MHC-Iの細胞表面発現を下方制御することによって免疫監視を逃れるため(図4A~4B及び図5~6を参照)、クルクフェノール化合物は、MHC-Iの表面発現及びMHC-I/ペプチド抗原複合体の提示を回復することによって、これらの異常細胞に対するCTL媒介性免疫活性を向上させ得る。よって、クルクフェノール化合物は、多くの癌を含む、MHC-Iの表面発現及び/またはTAP-1の発現の低下に関連する疾患の治療において有用性を見出し得る。
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載するものと類似または同等の任意の方法及び材料を、本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料を記載する。本発明の目的のために、以下の用語を次のように定義する。
本明細書に引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
冠詞「a」及び「an」は、その冠詞の文法上の対象のうちの1つまたは1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書で使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素または1つより多くの要素を意味する。
「約」は、基準となる数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さと30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%だけ異なる数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さを意味する。
本明細書を通して、文脈上、別途要求されない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」という語は、記載されるステップもしくは要素、またはステップもしくは要素の群の包含を暗示するが、いずれか他のステップもしくは要素、またはステップもしくは要素の群の除外を暗示するものではない。「~からなる」は、「~からなる」という句の後に続くものを含み、それに限定されることを意味する。よって、「~からなる」という句は、列挙される要素は必要または必須であり、他の要素は存在しなくてもよいことを示す。「~から本質的になる」は、その句の後に列挙されるあらゆる要素を含み、列挙される要素に関して本開示中に特定される活性または作用に干渉しないかまたは寄与しない他の要素に限定されることを意味する。よって、「~から本質的になる」という句は、列挙される要素は必要または必須であるが、他の要素は任意選択的であり、列挙される要素の活性または作用に実質的に影響を及ぼすかどうかに依存して、存在してもしなくてもよいことを示す。
「調整(modulating)」及び「変化(altering)」という用語は、典型的には、対照と比較して統計的に有意なまたは生理学的に有意な量または程度における「増加」、「増強」、または「刺激」、及び「減少」または「軽減」を含む。「増加された」、「刺激された」、または「増強された」量は、典型的には「統計的に有意な」量であり、組成物なしで、または対照の組成物、試料、条件、もしくは被検体によって生成される量の1.1、1.2、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30倍またはそれ以上(例えば、500、1000倍)(これらの間の1を超える全ての整数及び小数点及び範囲(例えば、1.5、1.6、1.7、1.8等)を含む)の増加を含み得る。「減少された」または「軽減された」量は、典型的には「統計的に有意な」量であり、組成物なしで、または対照の組成物、試料、条件、もしくは被検体によって生成される量の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%(これらの間の全ての整数及び範囲を含む)の減少を含み得る。
「任意選択的」または「任意選択的に」は、続いて記載される事象または状況が起こってもまたは起こらなくてもよいことを意味し、その記載は、前記事象または状況が起こった場合、及び起こらなかった場合を含む。
「薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤」は、ヒトまたは家畜における使用に許容されるものとして米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)から認可されている任意のアジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、色素/着色料、風味増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張化剤、溶媒、または乳化剤を含むが、これらに限定されない。
「薬学的に許容される塩」は、酸付加塩及び塩基付加塩の両方を含む。
「薬学的に許容される酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的効果及び特性を保持し、生物学的にまたはその他の点において望ましくないものではない、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸と、限定されないが、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、樟脳酸、カンファー10スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸等の有機酸とから形成される、塩を指す。
「薬学的に許容される塩基付加塩」は、遊離酸の生物学的効果及び特性を保持し、生物学的にまたはその他の点において望ましくないものではない塩を指す。これらの塩は、無機塩基または有機塩基の遊離酸への付加から調製される。無機塩基に由来する塩は、限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩等を含む。好ましい無機塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマンガン塩である。有機塩基に由来する塩は、限定されないが、一級、二級、及び三級アミン、天然置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂等を含む。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、及びカフェインである。
しばしば、結晶化によってクルクフェノール化合物の溶媒和物が生成される。本明細書で使用される場合、「溶媒和物」という用語は、クルクフェノール化合物の1つ以上の分子と、溶媒の1つ以上の分子とを含む凝集体を指す。溶媒は、水であってもよく、その場合、溶媒和物は水和物であり得る。代替として、溶媒は、有機溶媒であってもよい。よって、クルクフェノール化合物は、一水和物、二水和物、半水和物、1.5水和物、三水和物、四水和物等を含む水和物として、また、対応する溶媒和形態として存在し得る。いくつかの場合において、クルクフェノール化合物は、真の溶媒和物であってもよく、他の場合において、化合物は、単に外部からの水を保持してもよいか、または水といくらかの外部からの溶媒との混合物であってもよい。
「薬学的組成物」は、クルクフェノール化合物と、哺乳動物、例えば、ヒトへの生物活性化合物の送達のために当該技術分野において一般的に許容されている媒体との製剤を指す。そのような媒体は、そのための全ての薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む。
クルクフェノール化合物、またはその薬学的に許容される塩は、1つ以上の不斉中心を含有してもよく、よって、絶対立体化学の観点から、(R)-もしくは(S)-として、またはアミノ酸の場合は(D)-もしくは(L)-として定義され得る、鏡像異性体、ジアステレオマー、及び他の立体異性形態を生じ得る。本発明は、全てのそのような可能な異性体、ならびにそれらのラセミ形態及び光学的に純粋な形態を含むことを意図する。光学活性な(+)及び(-)、(R)-及び(S)-、または(D)-及び(L)-異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を使用して調製されてもよいか、または、例えば、クロマトグラフィー及び分別再結晶等の従来の技術を使用して分割されてもよい。個々の鏡像異性体の調製/単離のための従来の技術は、好適な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または例えば、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用したラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割を含む。本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合または他の幾何学的非対称性の中心を含む場合、かつ別途指定されない限り、化合物は、E及びZ幾何異性体の両方を含むことが企図される。同様に、クルクフェノールの全ての互変異性体も含まれることが企図される。
「プロドラッグ」は、生理学的条件下で、または加溶媒分解によって生物活性化合物に変換され得るクルクフェノール化合物を示すことを意図する。よって、「プロドラッグ」という用語は、薬学的に許容されるクルクフェノールの代謝前駆体を指す。プロドラッグは、それを必要とする対象に投与されたときには不活性であり得るが、インビボで活性化合物に変換される。プロドラッグは、典型的には、例えば、血液中の加水分解によって、インビボで急速に変換されて親化合物を生じる。プロドラッグ化合物は、しばしば、哺乳動物において、溶解性、組織適合性、または遅延放出といった利点を提供する(Bundgard,H.,Design of Prodrugs(1985),pp.7-9,21-24(Elsevier,Amsterdam)を参照のこと)。プロドラッグについての考察は、Higuchi,T.,et al.,A.C.S.Symposium Series,Vol.14、及びBioreversible Carriers
s in Drug Design,Ed.Edward B.Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987に提供されている。
「プロドラッグ」という用語は、そのようなプロドラッグが哺乳類対象に投与されたときにインビボで活性化合物を放出する、任意の共有結合した担体も含むことを意図する。クルクフェノールのプロドラッグは、日常的な操作またはインビボのいずれかで、その修飾が切断されて親化合物になるように、化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製されてもよい。プロドラッグは、ヒドロキシ、アミノ、またはメルカプト基が、プロドラッグが哺乳類対象に投与されると切断して、それぞれ、遊離ヒドロキシ、遊離アミノ、または遊離メルカプト基を形成する任意の基に結合しているクルクフェノール化合物を含む。プロドラッグの例として、限定されないが、アルコールの酢酸、ギ酸、及び安息香酸誘導体、またはクルクフェノール中のアミン官能基のアミド誘導体等が挙げられる。
クルクフェノール化合物のインビボ代謝産物もまた含まれる。そのような産物は、主として酵素プロセスに起因して、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化等から生じ得る。したがって、本発明は、その代謝産物を生じるのに十分な期間本発明の化合物を哺乳動物に投与することを含むプロセスによって生成されるクルクフェノール化合物を含む。そのような産物は、典型的には、放射標識化合物を検出可能な用量でラット、マウス、モルモット、サル等の動物、またはヒトに投与し、代謝が起こるのに十分な時間をかけて尿、血液、または他の生体試料からその変換産物を単離することによって同定される。
組成物中の任意の所与のクルクフェノール化合物、またはクルクフェノール化合物の混合物の「純度」は、具体的に定義され得る。例えば、ある特定の組成物は、例えば、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定した場合、少なくとも80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%(これらの間の全ての小数点を含む)純粋なクルクフェノール化合物を含んでもよい。
「安定な化合物」及び「安定な構造」は、反応混合物から有用な程度の純度までの単離、及び有効な治療剤への製剤化に耐えられるほど十分に強い化合物を示すことを意図する。
「統計的に有意」とは、その結果が偶然に起こったものである可能性が低いことを意味する。統計的有意性は、当該技術分野で既知の任意の方法によって決定することができる。一般的に用いられる有意性の尺度はp値を含むが、これは、帰無仮説が真である場合に、観察される事象が起こるであろう頻度または確率である。得られたp値が有意水準より低い場合、帰無仮説が棄却される。単純な場合において、有意水準は0.05以下のp値で定義される。
「対象」は、本明細書で使用される場合、本明細書に記載の組成物で治療または診断することができる、症状を呈するかまたは症状を呈するリスクのある任意の動物を含む。好適な対象(患者)は、実験動物(マウス、ラット、ウサギ、もしくはモルモット等)、家畜、及び家庭動物またはペット(ネコもしくはイヌ等)を含む。非ヒト霊長類を含む哺乳動物、及び好ましくはヒト患者が含まれる。
「実質的に」または「本質的に」は、ほぼ全体的にまたは完全に、を意味し、例えば、ある所与の量の95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上を意味する。
「実質的に含まない」は、所与の量がほぼ完全にまたは完全に存在しないこと、例えば、ある所与の量の約10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%以下であることを指す。例えば、ある特定の組成物は、細胞タンパク質、膜、核酸、内毒素、または他の汚染物質を「実質的に含まない」場合がある。
「立体異性体」は、同じ結合によって結合した同じ原子から構成されているが、相互転換できない異なる三次元構造を有する化合物を指す。本発明は、種々の立体異性体及びその混合物を企図し、「鏡像異性体」を含むが、これは、その分子が互いの重ね合わせることができない鏡像である2つの立体異性体を指す。
「互変異性体」は、分子の1つの原子から同じ分子の別の原子へのプロトン移動を指す。本発明は、任意の前記化合物の互変異性体を含む。
「治療有効量」または「有効量」は、哺乳動物、好ましくはヒトに投与されたときに、1つ以上の細胞におけるMHC-Iの表面発現を増加させ、かつ/または本明細書に記載の任意の1つ以上の他の状態を治療するのに十分なクルクフェノール化合物の量を含む。「治療有効量」を構成するクルクフェノール化合物の量は、化合物、状態及びその重症度、投与様式、ならびに治療される哺乳動物の年齢に依存して変化するが、当業者が自身の知識及び本開示を考慮して通常通りに決定することができる。
「治療」または「治療すること」は、本明細書で使用される場合、症状または病態または状態に対する任意の望ましい効果を含み、治療されている疾患または状態の1つ以上の測定可能なマーカーにおけるわずかな変化または改善さえも含み得る。「治療」または「治療すること」は、必ずしも、疾患もしくは状態、またはその関連症状の完全な根絶もしくは治癒を示すものではない。この治療を受けている対象は、それを必要とする任意の対象である。臨床的改善の例示的マーカーは、当業者には明らかであろう。
方法及び薬学的組成物
本明細書に記載の方法及び組成物は、1つ以上のクルクフェノール化合物を用いるかまたは含む。「クルクフェノール化合物」の例として、クルクフェノール、ならびにその鏡像異性体、立体異性体、ジアステレオマー、及び他の立体異性形態、ラセミ体、互変異性体、代謝物、そして細胞におけるMHC-Iの表面発現を増加させることができるプロドラッグが挙げられる。酸付加塩及び塩基付加塩を含む上記の薬学的に許容される塩もまた含まれる。
クルクフェノールは、Didiscus属に属する異なる海洋性海綿動物から単離されたセスキテルペンフェノールである(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるEl
Sayed et al.,J Nat Prod.65:1547-53,2002を参照のこと)。これはまた、フェノール,2-(1,5-ジメチル-4-ヘキセニル)-5-メチル-,(S)-;フェノール,2-[(1S)-1,5-ジメチル-4-ヘキセニル]-5-メチル-(9CI);(+)-クルクフェノール;(S)-(+)-クルクフェノール;及び(S)-クルクフェノールとも称される。
ある特定の実施形態において、クルクフェノール化合物は、以下の式(I-A)を有する。
Figure 0007071570000001
いくつかの実施形態において、クルクフェノール化合物は、以下の式(I-B)を有する。
Figure 0007071570000002
いくつかの実施形態において、クルクフェノール化合物は、以下の式(II)を有し、PC-02-113とも称される。
Figure 0007071570000003
いくつかの実施形態において、クルクフェノール化合物は、以下の式(III)を有し、PC-02-114とも称される。
Figure 0007071570000004
いくつかの実施形態において、クルクフェノール化合物は、以下の式(IV)を有し、PC-02-116とも称される。
Figure 0007071570000005
いくつかの実施形態において、クルクフェノール化合物は、以下の式(V)を有し、PC-02-123とも称される。
Figure 0007071570000006
具体的な実施形態は、(S)-(+)-クルクフェノールまたはその類似体を用いる。例えば、ある特定の実施形態は、(S)-(+)-15-ヒドロキシクルクフェノール、(S)-(+)-12-ヒドロキシクルクフェノール、(S)-(+)-12,15-ジヒドロキシクルクフェノール、(S)-(+)-15-ヒドロキシクルクフェノール-12-アル、(S)-(+)-12-カルボキシ-10,11-ジヒドロクルクフェノール、(S)-(+)-12-ヒドロキシ-10,11-ジヒドロクルクフェノール、(S)-(+)-4-[1-(2-ヒドロキシ-4-メチル)フェニル)]ペンタン酸(11)、(S)-クルクフェノール-1αD-グルコピラノシド、(S)-(+)-4-ニトロクルクフェノール(14)、(S)-(+)-2-ニトロクルクフェノール、(S)-(+)-クルクフェノール-1-O-イソニコチネート(上記El Sayed et al.,2002を参照のこと)のうちの1つ以上を含む。図1は、(S)-(+)-クルクフェノール及び種々の他のクルクフェノール化合物の式を示す。図2A~2Bは、クルクフェノールを種々のカルボン酸とカップリングすることによって生成されるクルクフェノール化合物の式を示す。クルクフェノール化合物のさらなる例は、例えば、Gul et al.,Biochim Biophys Acta.1770:1513-1519,2007、Ono et al.,Chem.Pharm.Bull.49:1581-1585,2001、及びPlano et al.,Chem Biodivers.8:1098-1111,2011に記載されており、参照により、これらの全体が本明細書に組み込まれる。図10は、クルクフェノール及びその類似体を含む例示的クルクフェノール化合物の式を示す。ある特定の実施形態は、本明細書に記載のクルクフェノール化合物のうちのいずれの混合物を用いてもよい。
いくつかの実施形態において、クルクフェノール化合物(複数可)は、化学的に合成される。種々のクルクフェノール化合物の合成は、例えば、El Sayed et al.,2002(上記参照)、Gul et al.,2007(上記参照)、Ono et al.,2001(上記参照)、及びPlano et al.,2011(上記参照)に記載されている。
ある特定の実施形態において、クルクフェノール化合物(複数可)は、例えば、Didiscus、Myrmekioderma、Epipolapsis、Pseudopterogorgia、Elvira、またはLaisanthaea属の海洋性海綿動物抽出物または陸生植物抽出物から得られる。これらの海洋性海綿動物及び陸生植物の例示的な種は、Didiscus oxeata、Myrmekioderma styx、Pseudopterogorgia rigida、Elvira biflora、及びLaisanthaea podocephalaを含む。よって、ある特定の態様は、1つ以上のクルクフェノール化合物を含む海洋性海綿動物または陸生植物の抽出物(複数可)の投与を含む。いくつかの場合において、抽出物中のクルクフェノール化合物(複数可)の濃度は、約または少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である。
ある特定の実施形態は、細胞内におけるMHC-Iの発現を増加させ、それによって細胞の免疫原性、すなわち、(例えば、CTLとの相互作用を介して)免疫系が細胞を破壊の標的とする能力を高めるためにクルクフェノール化合物または同化合物を含む組成物を用いる。したがって、いくつかの実施形態は、細胞を1つ以上のクルクフェノール化合物または同化合物を含む組成物と接触させることを含む、細胞における主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)の表面発現を増加させるための方法に関する。いくつかの態様において、MHC-Iの表面発現は、未処理の対照細胞と比較して、約または少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、もしくは1000%、またはそれ以上増加する。
いくつかの態様において、クルクフェノール化合物(複数可)は、MHC-I抗原提示経路の輸送体タンパク質である抗原ペプチド輸送体1(TAP-1)の発現を増加させることによって、MHC-Iの表面発現を増加させる。したがって、ある特定の態様において、TAP-1の発現は、未処理の対照細胞と比較して、約または少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、もしくは1000%、またはそれ以上増加する。
ある特定の態様において、細胞は、同じ細胞型の非異常細胞または他の正常もしくは健康な細胞と比較した場合のMHC-Iの表面発現の低下によって特徴付けられる(異常)細胞(その未処理の状態にある)である。いくつかの態様において、異常細胞におけるMHC-Iの表面発現の低下は、TAP-1の発現の低下と関連しているか、またはそれによって引き起こされる。したがって、いくつかの態様において、細胞は、同じ細胞型の非異常細胞または他の正常もしくは健康な細胞と比較した場合のTAP-1の発現の低下によって特徴付けられる(異常)細胞(その未処理の状態にある)である。
いくつかの態様において、1つ以上のクルクフェノール化合物と接触させた後、処理細胞におけるMHC-Iの表面発現及び/またはTAP-1の発現は、同じ細胞型の他の正常または健康な細胞のMHC-Iの表面発現及び/またはTAP-1の発現に匹敵するレベルまで増加する。例えば、これらの及び関連する態様において、MHC-Iの表面発現及び/またはTAP-1の発現は、同じ細胞型の他の正常または健康な細胞のMHC-Iの表面発現のレベルの約50%、40%、30%、20%、10%、もしくは5%以内まで増加し得る。
ある特定の実施形態において、細胞は癌細胞である。具体的な実施形態において、癌細胞は、転移性または浸潤性癌細胞である。癌細胞の例として、乳癌細胞、子宮頸癌細胞、前立腺癌細胞、消化器癌細胞、肺癌細胞、卵巣癌細胞、精巣癌細胞、頭頸部癌細胞、膀胱癌細胞、腎癌細胞(例えば、腎細胞癌)、扁平上皮癌、CNSまたは脳癌細胞、黒色腫細胞、非黒色腫癌細胞、甲状腺癌細胞、子宮内膜癌細胞、上皮性腫瘍細胞、骨癌細胞、または造血器癌細胞が挙げられる。
例または原発性骨癌細胞は、骨肉腫、軟骨肉腫、及びユーイング肉腫ファミリー腫瘍(ESFT)の細胞を含む。胃癌細胞の例として、食道癌細胞、胃(stomach/gastric)癌細胞、膵臓癌細胞、肝癌細胞、胆嚢(胆道)癌細胞、小腸癌細胞、結腸直腸癌細胞、肛門または直腸癌細胞、及び消化管カルチノイドまたは間質性腫瘍が挙げられる。
肺癌細胞の例として、腺癌、肺扁平上皮癌、小細胞肺癌、及び大細胞肺癌が挙げられる。
CNSまたは脳癌細胞の特定の例として、神経膠腫、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、原発性CNSリンパ腫、神経芽細胞腫、及び原始神経外胚葉性腫瘍(髄芽腫)が挙げられる。いくつかの実施形態において、神経膠腫は、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、上衣腫、または脈絡叢乳頭腫である。いくつかの態様において、脳癌細胞は多形神経膠芽腫である。いくつかの実施形態において、多形神経膠芽腫は、巨細胞膠芽腫(giant cell gliobastoma)または神経膠肉腫である。特定の実施形態において、癌細胞は、CNSの転移性癌であり、例えば、脳に転移した癌細胞である。そのような癌細胞の例として、限定されないが、転移性乳癌細胞、転移性胚癌細胞、転移性泌尿生殖器癌細胞、転移性消化管癌細胞(例えば、結腸直腸癌細胞、膵癌)、骨肉腫、黒色腫、転移性頭頸部癌細胞、転移性前立腺癌細胞(例えば、前立腺腺癌)、及び転移性リンパ腫が挙げられる。
黒色腫細胞の例として、悪性黒子、悪性黒子由来黒色腫、表在拡大型黒色腫、末端黒子型黒色腫、粘膜黒色腫、結節性黒色腫、ポリープ状黒色腫、線維形成性黒色腫、無色毒性黒色腫、軟部組織黒色腫、及びブドウ膜黒色腫に由来するものが挙げられる。
造血器癌細胞の例として、リンパ腫細胞、白血病細胞、及び多発性骨髄腫細胞が挙げられる。いくつかの場合において、リンパ腫細胞は、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、マントル(mangle)細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、または非ホジキンリンパ腫である。特定の場合において、白血病細胞は、慢性リンパ性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄球性白血病、急性骨髄性(myeloidもしくはmyelogenous)白血病、または慢性骨髄性白血病である。
ある特定の実施形態において、細胞は、インビトロであり、例えば、細胞培養である。癌細胞または形質転換細胞を含む細胞を培養する方法は、当該技術分野で周知である(例えば、Animal Cell Culture(R.Freshney,ed.,1986);Freshney,R.I.(2005)Culture of Animal
Cells,a Manual of Basic Technique,5th Ed.Hoboken NJ,John Wiley&Sonsを参照のこと)。
ある特定の実施形態において、細胞は、対象内に存在し、方法は、クルクフェノール化合物または関連する組成物を対象に投与することを含む。投与の目的のために、クルクフェノール化合物は、未処理の化学物質として患者もしくは対象に投与されてもよいか、または薬学的組成物として製剤化されてもよい。薬学的組成物は、一般的に、クルクフェノール化合物と、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とを含む。クルクフェノール化合物は、典型的には、本明細書に記載されるように、対象となる特定の疾患または状態を治療するのに有効な量で、好ましくは、対象に容認できる毒性を伴って、組成物中に存在する。化合物(複数可)の活性は、例えば、後述する実施例に記載されるように、当業者によって決定され得る。適切な濃度及び投与量は、当業者によって容易に決定され得る。
クルクフェノール化合物または関連する組成物は、MHC-I分子の表面発現の増加の恩恵を受ける、対象における本質的に任意の疾患または他の状態を治療するための方法において使用され得る。特定の実施形態において、対象は癌を有し、方法は、1つ以上のクルクフェノール化合物を対象に投与することによって癌を治療することを含む。図5に例示するように、TAP-1は、癌細胞株及び外科的に除去した腫瘍において頻繁に下方制御される。いずれか1つの理論に拘束されることを望むものではないが、TAP-1の下方制御は、MHC-Iの表面発現の低下と関連しており、ひいては、CTL媒介性の癌細胞死滅の減少と関連していると考えられる。例えば、TAP-1の発現の回復によるMHC-Iの回復は、インビトロでのCTL媒介性の癌細胞死滅及びインビボでの腫瘍増殖の抑制を増大させることが示されている(例えば、Zhang et al.,2007,Lou et al.,2007,Lou et al.,2005,Alimonti
et al.,2000を参照のこと)。
したがって、いくつかの態様において、癌は、同じ細胞型の非癌細胞と比較した場合に、MHC-Iの表面発現の低下を示す癌細胞(未処理の状態にある)及び任意選択的にTAP-1の発現の低下を示す癌細胞(未処理の状態にある)によって特徴付けられる。特定の態様において、癌は、同じ細胞型の非癌細胞のMHC-Iの表面発現及び任意選択的にTAP-1の発現のレベルの約80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%以下を示す癌細胞によって特徴付けられる。
いくつかの態様において、対象は、転移性または浸潤性癌を有するかまたは有するリスクがある。図6に例示するように、TAP-1の下方制御は、疾患の進行及び転移と強く相関している。よって、いくつかの態様において、転移性癌は、同じ細胞型の非癌細胞と比較して、または同じ細胞型の非転移性癌細胞と比較して、MHC-Iの表面発現(未処理の状態にある)の低下及び任意選択的にTAP-1の発現(未処理の状態にある)の低下を示す癌細胞によって特徴付けられる。特定の態様において、癌は、同じ細胞型の非癌細胞または同じ細胞型の非転移性癌細胞のMHC-Iの表面発現及び任意選択的にTAP-1の発現のレベルの約80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%以下を示す転移性癌細胞によって特徴付けられる。
いくつかの態様において、クルクフェノール化合物の投与は、癌細胞(複数可)の約または少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%において、MHC-Iの表面発現及び任意選択的にTAP-1の発現を、対照細胞または対照細胞の集団の発現と比較して約または少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは100%、150%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、もしくは1000%、またはそれ以上増加させる。いくつかの場合において、対照細胞(複数可)は、例えば、いずれかの治療の前の未処理の状態に由来するか、または、例えば、一連の投与もしくは治療の後の1つ以上の初期処理の状態に由来する。
いくつかの場合において、クルクフェノール化合物投与は、癌細胞(複数可)の約または少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%において、MHC-Iの表面発現及び任意選択的にTAP-1の発現を、参照基準、例えば、健常な(非癌性)個体由来の同じ型の細胞における平均的なMHC-Iの表面発現またはTAP-1の発現の参照基準に匹敵するレベル(例えば、その50%、40%、30%、20%、10%、または5%以内)まで増加させる。
いくつかの実施形態において、MHC-Iの表面発現の増加及び任意選択的にTAP-1発現の増加は、癌細胞の免疫原性を高め、それによって癌細胞に対する免疫応答を増加させる。いくつかの場合において、免疫応答は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)媒介性免疫応答であり、例えば、CTLの活性化、クローン展開、及びCTLエフェクター機能の増大を含み得る。CTLエフェクター機能の例として、細胞毒パーフォリン、グランザイム、及びグラニュライシンの放出放出、CTL表面タンパク質FASリガンド(FasL)の発現増加が挙げられる。いくつかの場合において、癌細胞(複数可)におけるMHC-Iの表面発現の増加及び任意選択的にTAP-Iの発現の増加は、CTL媒介性の癌細胞(複数可)の破壊を増加させる。固形腫瘍では、1つ以上のクルクフェノール化合物の投与が、例えば、未処理の状態または初期処理の状態と比較して、約または少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%腫瘍増殖を低下させるかまたは腫瘍サイズを縮小することができる。
いくつかの実施形態において、対象は、乳癌、子宮頸癌、前立腺癌、消化器癌、肺癌、卵巣癌、精巣癌、頭頸部癌、膀胱癌、腎癌(例えば、腎細胞癌)、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、CNSまたは脳癌、黒色腫、非黒色腫癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、上皮性腫瘍、骨癌、または造血器癌のうちの1つ以上から選択される癌を有する。
肺癌の例として、腺癌、肺扁平上皮癌、小細胞肺癌、及び大細胞肺癌が挙げられる。
例または原発性骨癌は、骨肉腫、軟骨肉腫、及びユーイング肉腫ファミリー腫瘍(ESFT)を含む。
消化器癌の例として、食道癌、胃(stomach/gastric)癌、膵臓癌、肝癌、胆嚢(胆道)癌、小腸癌、結腸直腸癌、肛門もしくは直腸癌、及び消化管カルチノイドもしくは間質性腫瘍が挙げられる。
CNSまたは脳癌の例として、原発性脳癌及び転移性脳癌が挙げられる。脳癌の特定の例として、神経膠腫、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、原発性CNSリンパ腫、神経芽細胞腫、及び原始神経外胚葉性腫瘍(髄芽腫)が挙げられる。いくつかの実施形態において、神経膠腫は、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、上衣腫、または脈絡叢乳頭腫である。いくつかの態様において、対象は、多形神経膠芽腫を有する。具体的な態様において、多形神経膠芽腫は、巨細胞膠芽腫(giant cell gliobastoma)または神経膠肉腫である。特定の実施形態において、癌は、CNSの転移性癌であり、例えば、脳に転移した癌である。そのような癌の例として、限定されないが、乳癌、肺癌、泌尿生殖器癌、消化管癌(例えば、結腸直腸癌、膵癌)、骨肉腫、黒色腫、頭頸部癌、前立腺癌(例えば、前立腺腺癌)、及びリンパ腫が挙げられる。
黒色腫の例として、悪性黒子、悪性黒子由来黒色腫、表在拡大型黒色腫、末端黒子型黒色腫、粘膜黒色腫、結節性黒色腫、ポリープ状黒色腫、線維形成性黒色腫、無色毒性黒色腫、軟部組織黒色腫、及びブドウ膜黒色腫が挙げられる。
造血器癌の例として、リンパ腫、白血病、及び多発性骨髄腫が挙げられる。いくつかの場合において、リンパ腫は、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、マントル(mangle)細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、または非ホジキンリンパ腫である。特定の場合において、白血病は、慢性リンパ性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄球性白血病、急性骨髄性(myeloidもしくはmyelogenous)白血病、または慢性骨髄性白血病である。
癌を治療するためのクルクフェノール化合物の使用は、他の治療モダリティと組み合わせることができる。例えば、1つ以上のクルクフェノール化合物は、対症ケア、放射線療法、外科手術、移植、ホルモン療法、免疫療法、光線力学的治療、抗生物質療法、及び抗癌剤の投与(これらの任意の組み合わせを含む)を含む他の治療的介入の前、間、または後に対象に投与することができる。対症ケアは、脳浮腫、頭痛、認知障害、及び嘔吐症を軽減するための副腎皮質ステロイドの投与、ならびに発作を軽減するための抗痙攣薬の投与を含む。放射線療法は、全脳照射、分割放射線療法、及び従来の外科手術とさらに組み合わせることができる定位放射線照射等の放射線手術を含む。
抗癌剤の例として、当該技術分野で既知のものの中でも、とりわけ小分子及び治療用抗体が挙げられる。ある特定の実施形態において、小分子は、細胞傷害性剤、または化学療法剤、または血管新生阻害剤である。特定の例として、アルキル化剤、代謝拮抗薬、アントラサイクリン、抗腫瘍性抗生物質、白金、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、ビンカアルカロイド、及びタキサンが挙げられる。ある特定の実施形態において、小分子は、クロラムブシル、シクロホスファミド、シレンジタイド、ロムスチン(CCNU)、メルファラン、プロカルバジン、チオテパ、カルムスチン(BCNU)、エンザスタウリン、ブスルファン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ゲフィチニブ、エルロチニブイダルビシン、テモゾロミド、エピルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、テムシロリムス、エベロリムス、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、CT52923、パクリタキセル、イマチニブ、ダサチニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ、スニチニブ(sunitnib)、バタラニブ、ゲフィチニブ(geftinib)、エルロチニブ、AEE-788、ジクロロ酢酸塩(dichoroacetate)、タモキシフェン、ファスジル、SB-681323、セマクサニブ、ドネペジル(donepizil)、ガランタミン、メマンチン、リバスチグミン、タクリン、ラサギリン(rasigiline)、ナルトレキソン、ルビプロストン、サフィナミド、イストラデフィリン、ピマバンセリン、ピトリサント、イスラジピン、プリドピジン(ACR16)、テトラベナジン、ベキサロテン、グラチラマー酢酸塩(glatirimer acetate)、フィンゴリモド、及びミトキサントロン(それらの薬学的に許容される塩及び酸を含む)のうちの1つ以上から選択される。
ある特定の実施形態において、抗体は、3F8、8H9、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アラシズマブ(ペゴール)、アレムツズマブ、アルツモマブペンテート、アマツキシマブ、アナツモマブマフェナトクス(anatumomab mafenotox)、アポリズマブ、アルシツモマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベリムマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブ(メルタンシン)、ブレンツキシマブベドチン、カンツズマブ(メルタンシン)、カンツズマブ(ラブタンシン)、カプロマブ(ペンデチド)、カルルマブ、カツマキソマブ、セツキシマブ、シタツズマブ(ボガトクス)、シクスツムマブ、クリバツズマブ(テトラキセタン)、コナツムマブ、ダセツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、デツモマブ、ドロジツマブ、エクロメキシマブ、エドレコロマブ、エロツズマブ、エナバツズマブ、エンシツキシマブ、エプラツズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、ファルレツズマブ、FBTA05、フィギツムマブ、フランボツマブ、ガリキシマブ、ゲムツズマブ、ガニツマブ、ゲムツズマブ(オゾガマイシン)、ギレンツキシマブ、グレンバツムマブ(ベドチン)、イブリツモマブチウキセタン、イクルクマブ、イゴボマブ、インダツキシマブラブタンシン、インテツムマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ(MDX-101)、イラツムマブ、ラベツズマブ、レクサツムマブ、リンツズマブ、ロルボツズマブ(メルタンシン)、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、ミツモマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブ(パスドトクス)、ナコロマブ(タフェナトクス)、ナプツモマブ(エスタフェナトクス)、ナルナツマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、Neuradiab(登録商標)(放射性ヨードを含むまたは含まない)、NR-LU-10、オファツムマブ、オララツマブ、オナルツズマブ、オポルツズマブ(モナトクス)、オレゴボマブ、パニツムマブ、パトリツマブ、ペムツモマブ、パーツズマブ、プリツムマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラムシルマブ、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ、サマリズマブ、シブロツズマブ、シルツキシマブ、タバルマブ、タネズマブ、タプリツモマブ(パプトクス)、テナツモマブ、テプロツムマブ、TGN1412、チシリムマブ、トラスツズマブ、トレメリムマブ、チガツズマブ、TNX-650、トシツモマブ、TRBS07、ツコツズマブ(セルモロイキン)、ウブリツキシマブ、ウレルマブ、ベルツズマブ、ボロシキシマブ、ボツムマブ、及びザルツムマブ、(それらの抗原結合断片を含む)のうちの1つ以上から選択される。
上述のように、ある特定の実施形態は、本明細書に記載のクルクフェノール化合物と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を含む。そのような薬学的組成物はまた、本明細書に記載されるように、例えば、抗癌剤を含む1つ以上のさらなる薬剤を含むこともできる。
純粋な形態のまたは適切な薬学的組成物中のクルクフェノール化合物またはそれらの薬学的に許容される塩の投与は、同様の有用性を提供する薬剤の許容される投与様式のいずれかによって実行することができる。薬学的組成物は、クルクフェノール化合物を適切な薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせることによって調製することができ、錠剤、カプセル剤、散剤、粒剤、軟膏、液剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル、ミクロスフェア、及びエアロゾル等の固体、半固体、液体、または気体の形態の調製物に製剤化され得る。
そのような薬学的組成物の典型的な投与経路は、限定されないが、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、頬側、直腸内、膣内、及び鼻腔内を含む。本明細書で使用される非経口という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内への注射または注入法を含む。薬学的組成物は、その中に含有される活性成分が対象に組成物が投与されたときに生体利用可能となるように製剤化される。対象または患者に投与される組成物は、1つ以上の投薬単位の形態をとり、例えば、錠剤は単回投薬単位であってもよく、また、エアロゾル形態の本発明の化合物の容器は、複数の投薬単位を保持することができる。そのような投薬形態を調製する実際の方法は、当業者に既知であるかまたは明白であろう:例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition (Philadelphia College of Pharmacy and Science,2000を参照のこと。投与される組成物は、いずれにしても、本明細書に記載の教示に従って対象となる疾患または状態を治療するために、本明細書に記載の教示に従って対象となる疾患または状態を治療するために治療有効量のクルクフェノール化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する。
薬学的組成物は、固体または液体の形態であってもよい。一態様において、担体(複数可)は粒状であるため、組成物は、例えば、錠剤または散剤の形態である。担体(複数可)は液体であってもよく、組成物は、例えば、経口シロップ剤、注射液、または、例えば、吸入具による投与において有用であるエアロゾルである。
経口投与を対象とする場合、薬学的組成物は、好ましくは固体または液体のいずれかの形態であり、半固体、半液体、懸濁液、及びゲルの形態は、固体または液体のいずれかとして本明細書で考慮される形態の中に含まれる。
経口投与用の固体組成物として、薬学的組成物は、散剤、粒剤、圧縮錠、丸薬、カプセル剤、チューインガム、ウエハ等の形態に製剤化され得る。そのような固体組成物は、典型的には、1つ以上の不活性希釈剤または食用担体を含有する。さらに、次のうちの1つ以上が存在してもよい:結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、トラガントガムまたはゼラチン;賦形剤、例えば、デンプン、ラクトース、またはデキストリン、崩壊剤、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、Primogel、コーンスターチ等;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはSterotex;流動促進剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えば、ショ糖またはサッカリン;香味剤、例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ香料;及び着色剤。
薬学的組成物が、例えば、ゼラチンカプセル等のカプセル剤の形態である場合、上記の種類の材料に加えて、ポリエチレングリコールまたは油等の液体担体を含有してもよい。
薬学的組成物は、液体、例えば、エリキシル剤、シロップ剤、液剤、乳剤、または懸濁剤の形態であってもよい。液体は、2つの例として、経口投与のため、または注射による送達のためであり得る。経口投与を対象とする場合、好ましい組成物は、本発明の化合物に加えて、甘味剤、防腐剤、色素/着色料、及び風味増強剤のうちの1つ以上を含有する。注射による投与を対象とする組成物中には、界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定剤、及び等張化剤のうちの1つ以上が含まれてもよい。
液体薬学的組成物は、それらが液剤、懸濁剤、または他の類似形態であろうと、次のアジュバントのうちの1つ以上を含んでもよい:滅菌希釈液、例えば、注射用水、食塩水(好ましくは生理食塩水)、リンゲル液、等張食塩水、固定油、例えば、溶媒または懸濁媒として機能し得る合成モノグリセリドまたはジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸;緩衝剤、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩、塩化ナトリウムまたはブドウ糖等の浸透圧調整のための薬剤。非経口調製物は、アンプル、使い捨て注射器、またはガラスもしくはプラスチックでできた複数回用量用のバイアル中に封入することができる。生理食塩水は、好ましいアジュバントである。注射用の薬学的組成物は、滅菌されていることが好ましい。
非経口投与または経口投与のいずれかを対象とする液体の薬学的組成物は、好適な投与量が得られるように、ある量のクルクフェノール化合物を含有するべきである。
薬学的組成物は、局所投与を対象としてもよく、その場合、担体は、溶液基剤、エマルション基剤、軟膏基剤、またはゲル基剤を好適に含んでもよい。基剤は、例えば、次のうちの1つ以上を含んでもよい:ペトロラタム、ラノリン、ポリエチレングリコール、ミツロウ、鉱油、希釈剤、例えば、水及びアルコール等、ならびに乳化剤及び安定剤。増粘剤が、局所投与用の薬学的組成物中に存在してもよい。経皮投与を対象とする場合、組成物は、経皮パッチまたはイオン導入装置を含んでもよい。
薬学的組成物は、例えば、直腸内で溶解して薬物を放出する坐剤の形態の直腸内投与を対象としてもよい。直腸内投与用の組成物は、好適な非刺激性の賦形剤として油性基剤を含有してもよい。そのような基剤は、限定されないが、ラノリン、ココアバター、及びポリエチレングリコールを含む。
薬学的組成物は、固体または液体の投薬単位の物理的形態を変化させる種々の材料を含んでもよい。例えば、組成物は、活性成分の周囲にコーティングシェルを形成する材料を含んでもよい。コーティングシェルを形成する材料は、典型的には不活性であり、例えば、糖、シェラック、及び他の腸溶性コーティング剤から選択されてもよい。代替として、活性成分は、ゼラチンカプセルに入れられてもよい。
固体または液体形態の薬学的組成物は、本発明の化合物に結合し、それによって化合物の送達の補助となる薬剤を含んでもよい。この能力で作用し得る好適な薬剤は、モノクローナルもしくはポリクローナル抗体、タンパク質、またはリポソームを含む。
薬学的組成物は、エアロゾルとして投与することができる投薬単位からなってもよい。エアロゾルという用語は、コロイド性のものから加圧パッケージからなるシステムに至るまで様々なシステムを表すために使用される。送達は、液化ガスもしくは圧縮ガスによるか、活性成分を分注する好適なポンプシステムによってもよい。本発明の化合物のエアロゾルは、活性成分(複数可)を送達するために、単相、二相、または三相システムで送達されてもよい。エアロゾルの送達は、必要な容器、活性剤、バルブ、サブ容器等を含み、これらは一緒になってキットを形成し得る。当業者は、必要以上の実験を行わずに、好ましいエアロゾルを決定してもよい。
薬学的組成物は、医薬品分野で周知の方法によって調製されてもよい。例えば、注射によって投与されることが意図される薬学的組成物は、液剤を形成するように、本発明の化合物を滅菌蒸留水と組み合わせることによって調製することができる。均一な液剤または懸濁剤の形成を促進するために界面活性剤が添加されてもよい。界面活性剤は、水性送達系における化合物の溶解または均一な懸濁を促進するように、本発明の化合物と非共有結合的に相互作用する化合物である。
クルクフェノール化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩は、用いられる特異的な化合物の活性;化合物の代謝安定性及び作用の長さ;患者の年齢、体重、一般健康状態、性別、及び食生活;投与の様式及び期間;排泄速度;薬物の併用;特定の疾患または状態の重症度;ならびに治療を受けている対象を含む様々な要因に依存して、異なる治療有効量で投与される。
ある特定の実施形態において、クルクフェノール化合物の典型的な投与量は、約0.2mg/日~約2g/日、または約1mg~約1g/日、または約5mg~約500mg、または約10mg~約250mg/日であってもよく、治療を必要とする対象に投与される。
本明細書に記載の化合物及び組成物の投与頻度は、1日1回(QD)から1日2回(BID)または1日3回(TID)まで等異なってもよく、正確な投与頻度は、例えば、患者の状態、投与量等に伴って変化する。
また、クルクフェノール化合物は、1つ以上の他の治療剤もしくは生物活性剤、栄養補助食品、またはこれらの任意の組み合わせの投与と同時に、その前に、またはその後に投与されてもよい。そのような併用療法は、クルクフェノール化合物と1つ以上のさらなる活性薬剤とを含有する単一の薬学的製剤の投与、及び、クルクフェノール化合物と、独自の別個の薬学的製剤中の各活性薬剤との投与を含む。例えば、クルクフェノール化合物及び他の活性薬剤は、単一の投与組成物中で一緒に対象に投与することができるか、または各薬剤が別個の投与組成物中で投与される。別個の投与組成物が用いられる場合、クルクフェノール化合物及び1つ以上のさらなる活性薬剤は、本質的に同じ時間に、すなわち同時に、または別個に時間差で、すなわち逐次的に、投与することができる:併用療法は、これら全ての投与計画を含むと理解されたい。
本発明の記載において、示される式の置換基及び/または変数は、そのような組み合わせが安定なまたはある程度安定な化合物をもたらす場合にのみ許容されるということを理解されたい。
また、当業者は、本明細書に記載されるプロセスにおいて、中間化合物の官能基は、好適な保護基によって保護される必要があり得ることを理解するであろう。そのような官能基は、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト、及びカルボン酸を含む。ヒドロキシに好適な保護基は、トリアルキルシリルまたはジアリールアルキルシリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、またはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジル等を含む。アミノ、アミジノ及びグアニジノに好適な保護基は、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等を含む。メルカプトに好適な保護基は、-C(O)-R”(式中、R”は、アルキル、アリール、またはアリールアルキルである)、p-メトキシベンジル、トリチル等を含む。カルボン酸に好適な保護基は、アルキル、アリール、またはアリールアルキルエステルを含む。保護基は、当業者に既知であり、かつ本明細書に記載される標準的な技術に従って付加または除去され得る。保護基の使用は、Green,T.W.and P.G.M.Wutz,Protective Groups in Organic Synthesis(1999),3rd Ed.,Wileyに詳述されている。当業者には理解されるように、保護基はまた、Wang樹脂、Rink樹脂、または2-クロロトリチル-クロリド樹脂等のポリマー樹脂であってもよい。
また、当業者は、クルクフェノール化合物のそのような保護された誘導体は、それ自体では薬理活性を保持しない場合があるが、それらは哺乳動物に投与され得、その後、体内で代謝されて薬理学的に活性な本発明の化合物を形成することを理解するであろう。したがって、そのような誘導体は、「プロドラッグ」と記載されてもよい。本発明の化合物の全てのプロドラッグは、本発明の範囲内に含まれる。
さらに、遊離塩基または遊離酸の形態で存在する全てのクルクフェノール化合物は、当業者に既知の方法を用いて適切な無機または有機の塩基または酸で処理することによって、それらの薬学的に許容される塩に変換することができる。本発明の化合物の塩は、標準的な技術によってそれらの遊離塩基または遊離酸の形態に変換することができる。
実施例1
クルクフェノール含有抽出物は、TAP-1プロモーターの発現及びMHC-Iの表面発現を誘導する
LMD:TAPレポーター細胞においてTAP-1プロモーターの発現及びMHC-Iの表面発現を誘導する海洋性海綿動物抽出物を同定するために実験を行った。LMD:TAPレポーター細胞は、転移性TAP-1及びMHCクラスI欠損マウス前立腺癌細胞から由来され得、TAP-1プロモーターの制御下で高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)を発現するベクターを含有するように修飾した。
LMD:TAPレポーター細胞を海洋性海綿動物抽出物に曝露した。フローサイトメトリーを使用してTAP-1プロモーターでの(EGFPの発現)及びMHC-Iの細胞表面レベル(Mab染色)での発現を測定した。図7A及び7Bに示すように、抽出物1は、MHC-I(7A)の表面発現及びTAP-1プロモーターでの発現を増加させた(7B、EGFPによって示される)。図8A及び8Bに示すように、抽出物3は、MHC-I(8A)の表面発現及びTAP-1プロモーターでの発現を増加させた(8B、EGFPによって示される)。図9A及び9Bに示すように、抽出物5もまた、MHC-Iの表面発現(9A)及びTAP-1プロモーターでの発現を増加させた(9B、EGFPによって示される)。抽出物2についても同様の結果が示された。
抽出物1~3及び5を、精製した抽出物中にさらに分画し、化合物、ならびに最も高いパーセント活性及び最も低い毒性を有する濃度を同定するために、段階希釈によって試験した。画分1A-bと同定された比較的純粋な抽出物(0.018mg/mL)が、TAP-1プロモーターの活性及びMHC-Iの発現の両方を増加させる著しい能力(IFN-γ陽性対照と比較して110%の活性;%活性=x-μn/μp-μn、式中、xは平均GFP蛍光強度であり、μn及びμpは、DMSO陰性対照及びIFN-γ陽性対照の平均を表す)と、最小限の毒性(陰性DMSO対照の平均細胞数の最大20%未満の細胞数-3標準偏差)を示した。この抽出物中の活性化合物をクルクフェノールと同定した。
実施例2
クルクフェノール及び類似体は、肺腫瘍細胞におけるMHC-Iの発現を誘導する
クルクフェノール及び4つのクルクフェノール類似体(図10を参照)を合成し、TC1/A9マウス肺腫瘍細胞においてMHC-Iの発現を増加させる能力について調べた。ヨウ化プロピジウム(PI)の排除によっても毒性を測定した。
その結果を図11A及び11Bに示す。図11Aは、対照と比較してMHC-Iの発現を有意に増加させることによって、クルクフェノール及び類似体PC-02/113が最良の活性を有していたことを示す。図11Bは、PC-02/113が、活性と毒性の最良の組み合わせを示し、これらの化合物が許容レベルの毒性を有していたことも示している。
実施例3
マウス腫瘍モデルにおけるクルクフェノール化合物の試験
動物実験におけるさらなる試験のために化合物PC-02-113を選択する。この化合物を、マウスにおけるその最大耐量(MTD)について調べる。下の表E1に示すように単回腹腔内(IP)用量を投与し、その後、14日間の臨床観察を行う。
Figure 0007071570000007
下の表E2に示すように、この化合物を、A9腫瘍細胞を注入したマウスにおける抗腫瘍効果についても調べる。
Figure 0007071570000008
クルクフェノール化合物を、腹腔内(IP)注射により週3回(月曜、水曜、金曜)、4週間投与する。腫瘍を週3回測定する:4匹のマウス/群からの腫瘍を免疫組織化学(IHC)分析のために採取し、他の4匹のマウス/群からの腫瘍を腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)の分析のために採取する。リンパ節、肝臓、脳、副腎、脾臓、及び血液をマウスから採取し、試験終了時に分析する。

Claims (13)

  1. クルクフェノール化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、癌の治療における使用のための組成物であって、前記クルクフェノール化合物は、式IV
    Figure 0007071570000009

    の化合物である、組成物。
  2. 前記癌は、同じ細胞型の非癌細胞と比較し、MHC-Iの表面発現の低下及びTAP-1の発現の低下を示す癌細胞(未処理の状態にある)によって特徴付けられる、請求項に記載の使用のための組成物。
  3. 前記癌細胞(複数可)は、転移性癌細胞を含む、請求項1または2に記載の使用のための組成物。
  4. 前記転移性癌細胞(未処理の状態にある)は、同じ細胞型の非癌細胞と比較して、または同じ細胞型の非転移性癌細胞と比較して、MHC-Iの表面発現の低下及びTAP-1の発現の低下を示す、請求項に記載の使用のための組成物。
  5. 前記癌は、乳癌、子宮頸癌、前立腺癌、消化器癌、肺癌、卵巣癌、精巣癌、頭頸部癌、膀胱癌、腎癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、CNSまたは脳癌、黒色腫、非黒色腫癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、上皮性腫瘍、骨癌、及び造血器癌のうちの1つ以上から選択される、請求項1~のいずれかに記載の使用のための組成物。
  6. さらなる癌治療をさらに含む、請求項1~のいずれかに記載の使用のための組成物。
  7. 抗癌剤、放射線療法、外科手術、移植、光線力学的治療、対症ケア、及び抗生物質療法のうちの1つ以上から選択されるさらなる癌治療をさらに含む、請求項に記載の使用のための組成物。
  8. 前記さらなる癌治療は、小分子または抗体である、請求項に記載の使用のための組成物。
  9. 前記小分子は、細胞毒性小分子、化学療法小分子、または抗血管新生小分子である、請求項に記載の使用のための組成物。
  10. クルクフェノール化合物またはその薬学的に許容される塩と、抗癌剤とを含む組成物であって、前記クルクフェノール化合物は、式IV
    Figure 0007071570000010

    の化合物である、組成物。
  11. 前記さらなる癌治療は、小分子または抗体である、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記小分子は、細胞毒性小分子、化学療法小分子、または抗血管新生小分子である、請求項11に記載の組成物。
  13. クルクフェノール化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、細胞における主要組織適合性複合体クラスI(MHC-I)の表面発現を増大させるための組成物であって、前記組成物は前記細胞と接触させられることを特徴とし、
    前記クルクフェノール化合物は、式IV
    Figure 0007071570000011

    の化合物である、組成物。

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