JP7067800B2 - 神経障害性疼痛マーカー及びその使用 - Google Patents

神経障害性疼痛マーカー及びその使用 Download PDF

Info

Publication number
JP7067800B2
JP7067800B2 JP2019512547A JP2019512547A JP7067800B2 JP 7067800 B2 JP7067800 B2 JP 7067800B2 JP 2019512547 A JP2019512547 A JP 2019512547A JP 2019512547 A JP2019512547 A JP 2019512547A JP 7067800 B2 JP7067800 B2 JP 7067800B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dorsal root
root ganglion
antibody
patient
tissue
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019512547A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2018190365A1 (ja
Inventor
潤一 吉良
敬之 藤井
今日子 飯沼
亮 山▲崎▼
大介 土本
雄作 中別府
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyushu University NUC
Original Assignee
Kyushu University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyushu University NUC filed Critical Kyushu University NUC
Publication of JPWO2018190365A1 publication Critical patent/JPWO2018190365A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7067800B2 publication Critical patent/JP7067800B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Description

本発明は、神経障害性疼痛マーカー及びその使用に関する。より具体的には、神経障害性疼痛マーカー、神経障害性疼痛の検出方法、及び、神経障害性疼痛の診断キットに関する。本願は、2017年4月12日に米国に仮出願された仮出願第62/484,406号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
神経障害性疼痛(neuropathic pain)は、国際疼痛学会(IASP:International Association for the Study of Pain)により、「体性感覚神経系の病変や疾患によって生じる痛み」と定義される様々な病態を含む難治性疼痛の一つである(例えば、非特許文献1を参照。)。
末梢神経の神経線維は、髄鞘の有無、直径、伝導速度等により、Aα線維、Aβ線維、Aδ線維、B線維、C線維に分類される。一般に、直径が太い神経線維の方が伝導速度が速く、また、有髄である神経線維の方が伝導速度が速い傾向にある。これらの神経線維のうち、Aα線維、Aβ線維、Aδ線維、B線維は有髄線維であり、C線維は無髄線維である。
神経障害性疼痛は主にAδ線維とC線維の障害により生じると考えられている。部位のはっきりする鋭い痛みは小径有髄線維であるAδ線維が担っており、鈍く遅い痛みは無髄線維であるC線維が担っている。
しかしながら、一般的な末梢神経障害の検査である神経伝導検査では、大径有髄線維であるAβ線維が検査される。このため、神経障害性疼痛の患者に一般的な末梢神経障害の検査を行っても異常を検出することができない。その結果、神経障害性疼痛の患者の多くが原因不明又は心因性と判断され、診断にまで至っていないのが現状である。
Baron R., et al., Neuropathic pain: diagnosis, pathophysiological mechanisms, and treatment., Lancet Neurol., vol. 9 (8), 807-819, 2010.
このような背景のもと、本発明は、神経障害性疼痛を検出する技術を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を含む。
[1]神経障害性疼痛マーカーとしての小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体の使用。
[2]前記自己抗体が抗Plexin D1抗体である、[1]に記載の使用。
[3]神経障害性疼痛の検出方法であって、患者由来の血液試料中の、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体を検出することを備え、前記自己抗体が検出されることが、前記患者が神経障害性疼痛に罹患していることを示す、方法。
[4]小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体を検出することが、ヒト又は非ヒト動物由来の後根神経節組織又は脊髄後角組織に患者由来の血液試料を接触させ、前記後根神経節組織又は前記脊髄後角組織に結合したヒトIgG抗体を検出することと、前記後根神経節組織又は前記脊髄後角組織における有髄後根神経節ニューロン又はその神経線維を検出することと、を含み、前記ヒトIgG抗体が前記有髄後根神経節ニューロン以外のニューロンに結合したことが、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体が検出されたことを示す、[3]に記載の方法。
[5]有髄後根神経節ニューロンを検出することが、前記後根神経節組織を抗S100β抗体で免疫染色することを含み、前記抗S100β抗体で免疫染色されたニューロンが有髄後根神経節ニューロンである、[4]に記載の方法。
[6]小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体を検出することが、ヒト又は非ヒト動物由来の後根神経節組織又は脊髄後角組織に患者由来の血液試料を接触させ、前記後根神経節組織又は前記脊髄後角組織に結合したヒトIgG抗体を検出することと、前記後根神経節組織又は前記脊髄後角組織における無髄後根神経節ニューロン又はその神経線維を検出することと、を含み、前記ヒトIgG抗体が前記無髄後根神経節ニューロンに結合したことが、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体が検出されたことを示す、[3]に記載の方法。
[7]無髄後根神経節ニューロンを検出することが、前記後根神経節組織にイソレクチンB4を接触させることを含み、前記イソレクチンB4が結合したニューロンが無髄後根神経節ニューロンである、[6]に記載の方法。
[8]前記ヒトIgG抗体がIgG2抗体である、[3]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9]前記自己抗体が抗Plexin D1抗体である、[3]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10]神経障害性疼痛の検出方法であって、Plexin D1を発現するヒト細胞又は非ヒト動物細胞に患者由来の血液試料を接触させ、前記細胞に結合したヒトIgG抗体を検出することを含み、検出された前記ヒトIgG抗体の量が、Plexin D1を発現しない細胞に前記血液試料を接触させた場合に、当該細胞に結合するヒトIgG抗体の量と比較して多いことが、前記患者が神経障害性疼痛に罹患していることを示す、方法。
[11]抗ヒトIgG抗体と、有髄後根神経節ニューロンの検出薬又は無髄後根神経節ニューロンの検出薬と、を備える、神経障害性疼痛の診断キット。
[12]前記抗ヒトIgG抗体が、抗ヒトIgG2抗体である、[11]に記載の診断キット。
[13]前記有髄後根神経節ニューロンの検出薬が、抗S100β抗体である、[11]又は[12]に記載の診断キット。
[14]前記無髄後根神経節ニューロンの検出薬が、イソレクチンB4である、[11]~[13]のいずれかに記載の診断キット。
[15]抗ヒトIgG抗体と、Plexin D1タンパク質と、を備える、神経障害性疼痛の診断キット。
[16]前記抗ヒトIgG抗体が、抗ヒトIgG2抗体である、[15]に記載の診断キット。
本発明により、神経障害性疼痛を検出する技術を提供することができる。
(a)~(f)は、実験例2の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 (a)~(d)は、実験例2の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 (a)~(d)は、実験例3の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 (a)~(c)は、実験例4における、患者血清とイソレクチンB4との二重染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 (a)~(c)は、実験例4における、患者血清と抗CGRP抗体との二重染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 (a)~(c)は、実験例4における、患者血清と抗S100β抗体との二重染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 (a)~(c)は、実験例4における、患者血清と抗TRPV1抗体との二重染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 (a)~(c)は、実験例4における、患者血清と抗P2X3抗体との二重染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 (a)~(c)は、実験例5における、患者血清と抗CGRP抗体との二重染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 (a)~(c)は、実験例5における、患者血清とイソレクチンB4との二重染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 (a)~(c)は、実験例5における、患者血清と抗PKCγ抗体との二重染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 (a)は、実験例6の結果を示す光学顕微鏡写真である。(b)及び(c)は、実験例6の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 (a)~(c)は、実験例6における、患者血清と抗TH抗体との二重染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 (a)~(c)は、実験例6における、患者血清と抗VIP抗体との二重染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 (a)及び(c)は、実験例7におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。(b)は、実験例7におけるSDS-PAGE及び銀染色の結果を示す写真である。 (a)~(c)は、実験例8の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 (a)は、実験例9における定量的リアルタイムPCRの結果を示すグラフである。(b)は、実験例9におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 (a)~(c)は、実験例9の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 (a)は、実験例9の結果を示す光学顕微鏡写真である。(b)及び(c)は、実験例9の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。(d)は、(a)~(c)の写真をマージしたものである。 (a)及び(b)は、実験例10の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。(c)は、(a)及び(b)の結果を数値化したグラフである。 (a)~(f)は、実験例11の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 (a)~(d)は、実験例12におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 実験例13におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。
[神経障害性疼痛マーカー]
1実施形態において、本発明は、神経障害性疼痛マーカーを提供する。実施例において後述するように、発明者らは、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体が神経障害性疼痛のマーカーであることを明らかにした。したがって、患者血清中に、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体が検出されることは、当該患者が神経障害性疼痛を有することを示す。
従来、神経障害性疼痛を検出することは困難であった。これに対し、本実施形態のマーカーにより、神経障害性疼痛を容易に検出することができる。
本実施形態は、神経障害性疼痛マーカーとしての小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体の使用を提供するものであるということもできる。あるいは、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体を、神経障害性疼痛マーカーとして使用する方法を提供するものであるということもできる。
小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体は、抗Plexin D1抗体であってもよいし、抗Plexin D1抗体以外の小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体であってもよい。実施例において後述するように、発明者らは、神経障害性疼痛を有する患者の血清中に、抗Plexin D1抗体が存在することを明らかにした。しかしながら、小型無髄後根神経節ニューロンに対する全ての自己抗体がPlexinD1だけを認識しているわけではないと推定される。
なお、ヒトPlexin D1タンパク質のRefSeqIDはNP_055918であり、マウスPlexin D1タンパク質のRefSeqIDはNP_080652である。
患者由来の血液試料中の抗Plexin D1抗体は、例えば、ラテラルフローイムノアッセイ法、ELISA法、ウエスタンブロッティング法等により検出してもよい。例えば、Plexin D1タンパク質を固定した固相に、患者由来の血液試料を反応させた後、Plexin D1タンパク質に結合した自己抗体を抗ヒトIgG抗体で検出する方法等が挙げられる。
Plexin D1は、従来、神経発生のガイダンス因子、免疫細胞の分化や活性化に関わるセマフォリンの受容体等として知られていた分子である。従来、Plexin D1と痛みとの関係は報告されていない。
患者の血清中に存在する抗PlexinD1抗体、又は、抗原未同定の、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体の存在が検出されることは、当該患者が神経障害性疼痛を有することを示す。すなわち、患者の血清中に存在する抗PlexinD1抗体、又は、抗原未同定の、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体を検出することにより、従来原因不明と診断されていた神経障害性疼痛を診断することが可能となる。
本実施形態は、患者が神経障害性疼痛に罹患しているか否かを診断するためのデータ収集方法であって、患者の血清中に存在する抗PlexinD1抗体、又は、抗原未同定の、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体の存在を検出することを含む方法であるということもできる。なお、データ収集方法は、医師が患者の状態を判断する工程を含まない。
患者の血清中に、抗小型無髄後根神経節ニューロン抗体が検出された場合、small fiber neuropathy(小径線維ニューロパチー)であると診断することができる。小径線維ニューロパチーは免疫療法により治療することができる。
したがって、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体の存在を指標とすることにより、神経障害性疼痛の治療に対する免疫療法の適応を速やかに判断することが可能となり、神経障害性疼痛の早期診断・早期治療が可能となる。
Plexin D1に対する自己抗体陽性、又は、抗原未同定の、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体陽性の神経障害性疼痛の患者は、他の原因による神経障害性疼痛患者と異なり、治療が可能である。
これらの患者の神経障害性疼痛は、副腎皮質ステロイド薬の投与、免疫抑制剤の投与、大量免疫グロブリン療法、血漿交換療法等の免疫療法により治療することができる。また、対症療法として、小径無髄線維を標的とする、SCN9A阻害剤、SCN10A阻害剤、P2X3受容体アンタゴニスト等の鎮痛剤を投与することが効果的である。
[神経障害性疼痛の検出方法]
(第1実施形態)
1実施形態において、本発明は、神経障害性疼痛の検出方法であって、患者由来の血液試料中の、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体を検出することを備え、前記自己抗体が検出されることが、前記患者が神経障害性疼痛に罹患していることを示す方法を提供する。以下、本実施形態の方法を、蛍光間接抗体法(tissue-based indirect immunofluorescence assay、IFA)という場合がある。
第1実施形態の方法は、患者が神経障害性疼痛に罹患しているか否かを診断するためのデータ収集方法であるということもできる。なお、データ収集方法は、医師が患者の状態を判断する工程を含まない。
本実施形態の方法において、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体を検出することは、ヒト又は非ヒト動物由来の後根神経節組織又は脊髄後角組織に患者由来の血液試料を接触させ、前記後根神経節組織又は前記脊髄後角組織に結合したヒトIgG抗体を検出することと、前記後根神経節組織又は前記脊髄後角組織における有髄後根神経節ニューロン又はその神経線維を検出することと、を含み、前記ヒトIgG抗体が前記有髄後根神経節ニューロン以外のニューロンに結合したことが、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体が検出されたことを示すものであってもよい。
第1実施形態の方法によれば、後根神経節組織又は前記脊髄後角組織に反応する自己抗体を検出するため、抗原未同定の、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体を検出することができる。
非ヒト動物としては、特に限定されず、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、サル、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマ等が挙げられる。
実施例において後述するように、発明者らは、神経障害性疼痛を有する患者由来の血清を、ヒト後根神経節の組織切片、ヒト脊髄後角の組織切片、マウス後根神経節の組織切片、マウス脊髄後角の組織切片等と反応させて、その結合を検出することにより、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体を検出できることを明らかにした。
また、有髄後根神経節ニューロンを検出することが、前記後根神経節組織を抗S100β抗体で免疫染色することを含み、前記抗S100β抗体で免疫染色されたニューロンを有髄後根神経節ニューロンであると判断してもよい。実施例において後述するように、発明者らは、神経障害性疼痛を有する患者由来の自己抗体が、抗S100β抗体とは共局在しないことを明らかにした。
本実施形態の方法において、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体を検出することは、ヒト又は非ヒト動物由来の後根神経節組織又は脊髄後角組織に患者由来の血液試料を接触させ、前記後根神経節組織又は前記脊髄後角組織に結合したヒトIgG抗体を検出することと、前記後根神経節組織又は前記脊髄後角組織における無髄後根神経節ニューロン又はその神経線維を検出することと、を含み、前記ヒトIgG抗体が前記無髄後根神経節ニューロンに結合したことが、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体が検出されたことを示すものであってもよい。
非ヒト動物については上述したものと同様である。また、無髄後根神経節ニューロンを検出することが、前記後根神経節組織にイソレクチンB4を接触させることを含み、前記イソレクチンB4が結合したニューロンが無髄後根神経節ニューロンであると判断してもよい。実施例において後述するように、発明者らは、神経障害性疼痛を有する患者由来の自己抗体が、イソレクチンB4と共局在することを明らかにした。
本実施形態の方法において、患者由来の血液試料に含まれる、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体は、IgG2抗体であってもよい。実施例において後述するように、発明者らは、神経障害性疼痛を有する患者由来の自己抗体のIgGサブクラスがIgG2であることを明らかにした。
本実施形態の方法において、患者由来の血液試料に含まれる、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体は、抗Plexin D1抗体であってもよい。実施例において後述するように、発明者らは、神経障害性疼痛を有する患者由来の自己抗体が抗Plexin D1抗体であることを明らかにした。
(第2実施形態)
1実施形態において、本発明は、神経障害性疼痛の検出方法であって、Plexin D1を発現するヒト細胞又は非ヒト動物細胞に患者由来の血液試料を接触させ、前記細胞に結合したヒトIgG抗体を検出することを含み、検出された前記ヒトIgG抗体の量が、Plexin D1を発現しない細胞に前記血液試料を接触させた場合に、当該細胞に結合するヒトIgG抗体の量と比較して多いことが、前記患者が神経障害性疼痛に罹患していることを示す方法を提供する。
第2実施形態の方法は、患者が神経障害性疼痛に罹患しているか否かを診断するためのデータ収集方法であるということもできる。なお、データ収集方法は、医師が患者の状態を判断する工程を含まない。
第2実施形態の方法は、第1実施形態の方法と比較して、自己抗体の抗原がPlexin D1タンパク質に限定されている点において主に異なる。
非ヒト動物については上述したものと同様である。Plexin D1を発現する細胞は、本来Plexin D1を発現する細胞であってもよいし、Plexin D1の発現ベクターを導入した結果、Plexin D1を発現するようになった細胞であってもよい。例えば、実施例において後述するように、HeLa細胞をPlexin D1を発現する細胞として用いることができる。
また、Plexin D1を発現しない細胞は、本来Plexin D1を発現しない細胞であってもよいし、Plexin D1タンパク質をコードする遺伝子である、PLXND1遺伝子が破壊された細胞であってもよいし、Plexin D1の発現量が低下した細胞であってもよい。具体的には、例えば、実施例において後述するように、PLXND1遺伝子に対するsiRNAを導入したHeLa細胞をPlexin D1を発現しない細胞として用いることができる。
第2実施形態の方法において、患者由来の血液試料に含まれる自己抗体は、IgG2抗体であってもよい。
[神経障害性疼痛の診断キット]
(第1実施形態)
1実施形態において、本発明は、抗ヒトIgG抗体と、有髄後根神経節ニューロンの検出薬又は無髄後根神経節ニューロンの検出薬と、を備える、神経障害性疼痛の診断キットを提供する。
本実施形態のキットは、上述した第1実施形態の神経障害性疼痛の検出方法に好適に用いることができる。具体的には、ヒト又は非ヒト動物由来の後根神経節組織又は脊髄後角組織に患者由来の血液試料を接触させた後、抗ヒトIgG抗体により患者由来のIgG抗体を検出すればよい。抗ヒトIgG抗体が、抗ヒトIgG2抗体であってもよい。
また、有髄後根神経節ニューロンの検出薬又は無髄後根神経節ニューロンの検出薬により、患者由来のIgG抗体が有髄後根神経節ニューロンに結合したか、無髄後根神経節ニューロンに結合したかを判断することができる。有髄後根神経節ニューロンの検出薬としては、抗S100β抗体が挙げられる。また、無髄後根神経節ニューロンの検出薬としては、イソレクチンB4が挙げられる。
小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体が検出された場合、当該患者は神経障害性疼痛患者であると判断することができる。
(第2実施形態)
1実施形態において、本発明は、抗ヒトIgG抗体と、Plexin D1タンパク質と、を備える、神経障害性疼痛の診断キットを提供する。
本実施形態のキットによれば、例えば、ラテラルフローイムノアッセイ法、ELISA法、ウエスタンブロッティング法等により、患者由来の血液試料中に、Plexin D1タンパク質に対する自己抗体が存在するか否かを容易に検出することができる。
より具体的には、例えば、Plexin D1タンパク質を固定した固相に、患者由来の血液試料を反応させた後、Plexin D1タンパク質に結合した自己抗体を抗ヒトIgG抗体で検出することにより、自己抗体の存在を検出することができる。
本実施形態のキットにおいて、Plexin D1タンパク質としては、Plexin D1タンパク質の全長を用いてもよいし、Plexin D1タンパク質の細胞外ドメインを用いてもよいし、自己抗体の検出に有効なPlexin D1タンパク質のエピトープ部を特定し、より短い部分ペプチドを用いてもよい。Plexin D1タンパク質としては、例えば、実施例において後述する組換えヒトPlexin D1タンパク質(型式「4160-PD」、R&Dシステムズ社、アミノ酸配列を配列番号8に示す。)等を用いることができる。
Plexin D1タンパク質に対する自己抗体が検出された場合、当該患者は神経障害性疼痛患者であると判断することができる。上記の抗ヒトIgG抗体は、抗ヒトIgG2抗体であってもよい。
[その他の実施形態]
1実施形態において、本発明は、患者の神経障害性疼痛の診断及び治療を行う方法であって、前記患者から血液試料を採取することと、前記血液試料中に小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体が存在するか否かを検出することと、前記自己抗体が存在した場合に、前記患者は神経障害性疼痛であると診断することと、神経障害性疼痛であると診断された場合に、前記患者に、有効量の、副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制剤、SCN9A阻害剤、SCN10A阻害剤、P2X3受容体アンタゴニストからなる群より選択される薬物を投与するか、又は、大量免疫グロブリン療法若しくは血漿交換療法を実施することを含む、方法を提供する。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実験例1]
(血液試料の採取)
神経障害性疼痛を有する患者から血液試料を採取した。神経障害性疼痛を有する患者としては、国際疼痛学会が提唱する神経障害性疼痛の診断基準(Finnerup N. B., et al., Neuropathic pain: an updated grading system for research and clinical practice., Pain, vol. 157 (8), 1599-1606, 2016.)において、probable及びdefiniteの基準を満たす110名の患者を対象とした。
神経障害性疼痛を有する患者の内訳は、アトピー性脊髄炎患者22名、視神経脊髄炎(NMOSD)患者17名、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)患者15名、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)患者14名、脊髄根末梢神経炎を有するシェーグレン症候群患者10名、神経サルコイドーシス患者10名、チャーグストラウス患者6名、脊髄炎と末梢神経炎を有する全身性エリテマトーデス(SLE)患者4名、神経ベーチェット病(nBD)患者3名、肢端紅痛症患者2名、薬物誘導性ニューロパチー患者2名、ビタミン欠乏性ニューロパチー患者2名、抗SGPG抗体陽性ニューロパチー患者1名、ギラン・バレー症候群患者1名、クリオグロブリン血症患者1名であった。
また、対照として、健常人及び神経障害性疼痛のない患者(合計50名)からも血液試料を採取した。50名の内訳は、健常人20名、神経変性疾患患者20名(うち、6名は筋萎縮性側索硬化症であり、4名は多系統萎縮症であり、3名は脊髄小脳変性症であり、2名はパーキンソン病であり、2名は正常圧水頭症であり、1名はアルツハイマー病であり、1名は認知症であり、1名は大脳皮質基底核変性症であった。)、コラーゲン血管疾患患者10名(うち、4名が全身性エリテマトーデスであり、4名がベーチェット病であり、2名がシェーグレン症候群であった。)であった。
[実験例2]
(後根神経節ニューロンに対する自己抗体の検出)
マウス後根神経節(Dorsal root ganglion、DRG)の組織切片及びマウス脊髄(spinal cord、SC)の組織切片を用いて、実験例1で採取した血液試料中の、後根神経節ニューロンに対する自己抗体を検出した。
《組織切片の調製》
8~10週齢の雄のC57BL/6マウスに麻酔をかけた。続いて、リン酸緩衝生理食塩水(Phosphate buffered saline、PBS)で潅流した。続いて、4%のパラホルムアルデヒドで潅流固定を行った。続いて、腰髄レベル(L4-L6)の脊髄と後根神経節を摘出し、各組織を10%のホルムアルデヒドで固定した。続いて、各組織をパラフィン包埋し、4μm厚の組織切片を作製し、スライドガラスに張り付けた。
《血液試料との反応》
調製した組織切片をキシレンに5分間浸漬することを3回繰り返し、脱パラフィンした。続いて、組織切片を100%のエタノールに5分間浸漬することを2回繰り返し、水和させた。続いて、抗原賦活化処理を行った。具体的には、組織切片をクエン酸バッファー(pH6.0)中で120℃、10分間煮沸し、室温で15分かけて徐冷し、PBSで5分間の洗浄を2回行った。
続いて、組織切片に10%ヤギ血清/PBSを接触させて室温で30分間静置し、ブロッキングした。続いて、組織切片に、1次抗体として60倍希釈した血液試料(血清)を接触させて37℃で1時間静置し、抗原抗体反応を行った。続いて、PBSで5分間の洗浄を2回行った。
続いて、組織切片に500倍希釈した2次抗体(Alexa488標識抗ヒトIgG抗体、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を接触させて室温で1時間静置し、抗原抗体反応を行った。続いて、PBSで5分間の洗浄を2回行った。
続いて、組織切片を封入し、共焦点レーザ顕微鏡(型式「LSM510」、カールツァイス社)で観察した。その結果、健常者由来の血清には、マウス後根神経節の組織切片やマウス脊髄の組織切片に反応する自己抗体がほとんど存在しないことが明らかとなった。
一方、神経障害性疼痛を有する110名の患者由来の血清のうち、11名の患者由来の血清が、マウス後根神経節の組織切片の小型無髄後根神経節ニューロン及び脊髄後角に存在するその神経終末に反応する自己抗体を含んでいたことが明らかとなった。
図1(a)は、対照血清を反応させたマウス後根神経節の組織切片の結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは50μmを示す。また、図1(b)~(f)は、神経障害性疼痛を有する患者(それぞれ、症例1~5)由来の血清を反応させたマウス後根神経節の組織切片のうち、自己抗体が検出された代表的な結果を示す蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは50μmを示す。
また、図2(a)は、図1(a)と同じ健常者由来の血清を反応させたマウス脊髄の組織切片の結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは50μmを示す。図2(b)は図2(a)と同じ試料を高倍率で撮影した蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは50μmを示す。
また、図2(c)は、図1(f)と同じ患者(症例5)由来の血清を反応させたマウス脊髄の組織切片の結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは50μmを示す。図2(d)は図2(c)と同じ試料を高倍率で撮影した蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは50μmを示す。
以下、本実験例の方法を蛍光間接抗体法(tissue-based indirect immunofluorescence assay、IFA)という場合がある。
下記表1に結果をまとめた。表1中、「NeP」は神経障害性疼痛を表し、「NS」は有意差がないことを表し、「IFA」は蛍光間接抗体法を表す。連続変数の比較にはマン・ホイットニーのU検定を用いた。また、NePを有する患者と有しない患者の間のカテゴリー間の変数の比較にはカイ二乗検定を用い、カイ二乗検定を適用できない場合にはフィッシャーの正確確率検定を用いた。
Figure 0007067800000001
また、下記表2に、マウス後根神経節の組織切片に反応する自己抗体を含んでいた11名の患者の臨床的特徴を示す。
Figure 0007067800000002
[実験例3]
(後根神経節ニューロンに対する自己抗体のサブクラスの検討)
実験例2において検出された、マウス後根神経節の組織切片に反応する自己抗体を含んでいた11名の患者由来の血清について、自己抗体のIgGサブクラスを検討した。
具体的には、2次抗体反応において、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4にそれぞれ特異的なFITC標識マウスモノクローナル抗体(シグマアルドリッチ社)を、それぞれ50倍希釈して反応させた点以外は実験例2と同様の蛍光間接抗体法を行った。
図3(a)~(d)は、それぞれ、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4である自己抗体を検出した代表的な結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは50μmを示す。その結果、11名の患者由来の血清全てにおいて、自己抗体のIgGサブクラスがIgG2であることが明らかとなった。
[実験例4]
(自己抗体が反応する後根神経節ニューロンのサブタイプの検討)
実験例2において検出された、マウス後根神経節の組織切片に反応する11名の患者由来の自己抗体について、小型無髄後根神経節ニューロン(無髄C線維型後根神経節ニューロン)に選択的に結合するか否かを検討した。
《イソレクチンB4との二重染色》
1次抗体反応において、60倍希釈した患者血清に加え、非ペプチド性C線維型後根神経節ニューロンのマーカーであるイソレクチンB4(Isolectin GS-IB From Griffonia simplicifolia、 Alexa Fluor 594 Conjugate、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を500倍希釈して反応させた点以外は実験例2と同様の蛍光間接抗体法を行った。
図4(a)は、神経障害性疼痛を有する患者由来の血清を反応させたマウス後根神経節の組織切片の結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図4(b)は、図4(a)と同一の視野において、イソレクチンB4(IB4)の結合を検出した結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図4(c)は、図4(a)及び図4(b)の写真をマージしたものである。スケールバーは50μmを示す。その結果、患者由来の自己抗体は、イソレクチンB4と共局在したことが明らかとなった。
《抗CGRP抗体との二重染色》
1次抗体反応において、60倍希釈した患者血清に加え、ペプチド性C線維型後根神経節ニューロンのマーカーであるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide、CGRP)に対する抗体(ウサギポリクローナル抗体、矢内原研究所)を500倍希釈して反応させた点以外は実験例2と同様の蛍光間接抗体法を行った。
図5(a)は、神経障害性疼痛を有する患者由来の血清を反応させたマウス後根神経節の組織切片の結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図5(b)は、図5(a)と同一の視野において、抗CGRP抗体の結合を検出した結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図5(c)は、図5(a)及び図5(b)の写真をマージしたものである。スケールバーは50μmを示す。その結果、患者由来の自己抗体は、CGRPと一部のみ共局在したことが明らかとなった。
《抗S100β抗体との二重染色》
1次抗体反応において、60倍希釈した患者血清に加え、有髄神経線維である、Aβ線維型後根神経節ニューロン及びAδ線維型後根神経節ニューロン、並びにサテライトグリア細胞のマーカーであるS100βに対する抗体(ウサギポリクローナル抗体、アブカム社)を500倍希釈して反応させた点以外は実験例2と同様の蛍光間接抗体法を行った。
図6(a)は、神経障害性疼痛を有する患者由来の血清を反応させたマウス後根神経節の組織切片の結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図6(b)は、図6(a)と同一の視野において、抗S100β抗体の結合を検出した結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図6(c)は、図6(a)及び図6(b)の写真をマージしたものである。スケールバーは50μmを示す。その結果、患者由来の自己抗体は、S100βと共局在しないことが明らかとなった。
《抗TRPV1抗体との二重染色》
以上の結果から、神経障害性疼痛を有する患者由来の自己抗体は、小型無髄後根神経節ニューロンに特異的に結合することが明らかとなった。
そこで、1次抗体反応において、60倍希釈した患者血清に加え、痛みの知覚に関与することが知られているtransient receptor potential vanilloid 1(TRPV1)に対する抗体(ウサギポリクローナル抗体)を1,000倍希釈して反応させた点以外は実験例2と同様の蛍光間接抗体法を行った。
図7(a)は、神経障害性疼痛を有する患者由来の血清を反応させたマウス後根神経節の組織切片の結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図7(b)は、図7(a)と同一の視野において、抗TRPV1抗体の結合を検出した結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図7(c)は、図7(a)及び図7(b)の写真をマージしたものである。スケールバーは50μmを示す。その結果、患者由来の自己抗体の一部は、TRPV1陽性の後根神経節ニューロンと反応したことが明らかとなった。この結果は、患者由来の自己抗体が、神経障害性疼痛と関連することを更に支持するものである。
《抗P2X3抗体との二重染色》
1次抗体反応において、60倍希釈した患者血清に加え、痛みの知覚に関与することが知られているP2X purinoceptor 3(P2X3)に対する抗体(ウサギポリクローナル抗体、アブカム社)を500倍希釈して反応させた点以外は実験例2と同様の蛍光間接抗体法を行った。
図8(a)は、神経障害性疼痛を有する患者由来の血清を反応させたマウス後根神経節の組織切片の結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図8(b)は、図8(a)と同一の視野において、抗P2X3抗体の結合を検出した結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図8(c)は、図8(a)及び図8(b)の写真をマージしたものである。スケールバーは50μmを示す。その結果、患者由来の自己抗体は、主にP2X3陽性後根神経節ニューロンと反応したことが明らかとなった。この結果は、患者由来の自己抗体が、神経障害性疼痛と関連することを更に支持するものである。
[実験例5]
(背側脊髄の組織切片に対する自己抗体の反応性の検討)
実験例2において検出された、マウス後根神経節の組織切片に反応する11名の患者由来の自己抗体について、マウス背側脊髄の組織切片への反応性を検討した。
《抗CGRP抗体との二重染色》
1次抗体反応において、60倍希釈した患者血清に加え、ペプチド性C線維型後根神経節ニューロンのマーカーであるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide、CGRP)に対する抗体(ウサギポリクローナル抗体、矢内原研究所)を500倍希釈して反応させた点以外は実験例2と同様の蛍光間接抗体法を行った。
図9(a)は、神経障害性疼痛を有する患者由来の血清を反応させたマウス背側脊髄の組織切片の結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図4(b)は、図4(a)と同一の視野において、抗CGRP抗体の結合を検出した結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図4(c)は、図4(a)及び図4(b)の写真をマージしたものである。スケールバーは50μmを示す。その結果、患者由来の自己抗体の一部は、脊髄後角第I層及び第IIo層に位置するCGRP陽性の軸索末端と反応したことが明らかとなった。
《イソレクチンB4との二重染色》
1次抗体反応において、60倍希釈した患者血清に加え、非ペプチド性C線維型後根神経節ニューロンのマーカーであるイソレクチンB4(Isolectin GS-IB From Griffonia simplicifolia、 Alexa Fluor 594 Conjugate、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を500倍希釈して反応させた点以外は実験例2と同様の蛍光間接抗体法を行った。
図10(a)は、神経障害性疼痛を有する患者由来の血清を反応させたマウス背側脊髄の組織切片の結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図10(b)は、図10(a)と同一の視野において、イソレクチンB4の結合を検出した結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図10(c)は、図10(a)及び図10(b)の写真をマージしたものである。スケールバーは50μmを示す。その結果、患者由来の自己抗体の多くは、脊髄後角第IIi層に位置するイソレクチンB4染色性の軸索末端と反応したことが明らかとなった。
《抗PKCγ抗体との二重染色》
1次抗体反応において、60倍希釈した患者血清に加え、抗PKCγ抗体(ウサギポリクローナル抗体、サンタクルーズ社)を500倍希釈して反応させた点以外は実験例2と同様の蛍光間接抗体法を行った。
図11(a)は、神経障害性疼痛を有する患者由来の血清を反応させたマウス背側脊髄の組織切片の結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図11(b)は、図11(a)と同一の視野において、抗PKCγ抗体の結合を検出した結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図11(c)は、図11(a)及び図11(b)の写真をマージしたものである。スケールバーは50μmを示す。
その結果、患者由来の自己抗体の大部分は、腹部側の脊髄後角第IIi層及び脊髄後角第III層に位置するPKCγ陽性のバンドとは重複せず、より背側に反応したことが明らかとなった。
以上の結果は、患者由来の自己抗体の結合が、C線維型求心性神経の軸索末端が位置する脊髄後角第I層及び第IIo層に限られていることを示す。
[実験例6]
(自己抗体の節後自律神経C線維への反応性の検討)
実験例2において検出された、マウス後根神経節の組織切片に反応する11名の患者由来の自己抗体について、節後自律神経C線維への反応性を検討した。
自律神経C線維は真皮(皮膚の内層)に存在し、一般的な神経線維マーカーであるprotein gene product 9.5(PGP9.5)と類似の分布パターンを示す。
まず、患者由来の自己抗体の後足足底の皮膚における結合パターンを検討した。図12(a)は、マウスの後足足底の皮膚の組織切片のヘマトキシリン・エオジン染色の結果を示す光学顕微鏡写真である。スケールバーは50μmを示す。図12(a)中、「dermis」は真皮を示し、「epidermis」は表皮を示す。
図12(b)は、対照血清の免疫染色の結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。1次抗体反応において、60倍希釈した対照血清に加え、抗PGP9.5抗体(ウサギポリクローナル抗体、アブカム社)を500倍希釈して反応させた点以外は実験例2と同様の蛍光間接抗体法を行った。また、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)で核を染色した。スケールバーは50μmを示す。また、左下の枠内に矢印部分の拡大写真を示す。その結果、対照血清はマウス皮膚と反応性を示さなかった。
図12(c)は、患者由来の自己抗体の免疫染色の結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。1次抗体反応において、60倍希釈した患者血清に加え、抗PGP9.5抗体(ウサギポリクローナル抗体、アブカム社)を500倍希釈して反応させた点以外は実験例2と同様の蛍光間接抗体法を行った。また、DAPIで核を染色した。スケールバーは50μmを示す。また、左下の枠内に矢印部分の拡大写真を示す。その結果、患者由来の自己抗体は、表皮及びPGP9.5陽性の皮膚神経線維に結合したことが明らかとなった。
《抗TH抗体との二重染色》
続いて、マウスの後足足底の皮膚の組織切片に対し、患者由来の自己抗体が結合する自律神経線維を同定するために、交感神経のマーカーであるチロシンヒドロキシラーゼ(TH)に対する抗体との二重染色を行った。
1次抗体反応において、60倍希釈した患者血清に加え、抗TH抗体(ウサギポリクローナル抗体、アブカム社)を500倍希釈して反応させた点以外は実験例2と同様の蛍光間接抗体法を行った。また、DAPIで核を染色した。
図13(a)は、神経障害性疼痛を有する患者由来の血清を反応させたマウスの後足足底の皮膚の組織切片の結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図13(b)は、図13(a)と同一の視野において、抗TH抗体の結合を検出した結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図13(c)は、図13(a)及び図13(b)の写真をマージしたものである。スケールバーは50μmを示す。その結果、患者由来の自己抗体は、TH陽性の神経線維を染色しないことが明らかとなった。
《抗VIP抗体との二重染色》
続いて、マウスの後足足底の皮膚の組織切片に対し、副交感神経のマーカーであるvasoactive intestinal peptide(VIP)に対する抗体との二重染色を行った。
1次抗体反応において、60倍希釈した患者血清に加え、抗VIP抗体(ウサギポリクローナル抗体、イムノスター社)を500倍希釈して反応させた点以外は実験例2と同様の蛍光間接抗体法を行った。また、DAPIで核を染色した。
図14(a)は、神経障害性疼痛を有する患者由来の血清を反応させたマウスの後足足底の皮膚の組織切片の結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図14(b)は、図14(a)と同一の視野において、抗VIP抗体の結合を検出した結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図14(c)は、図14(a)及び図14(b)の写真をマージしたものである。スケールバーは50μmを示す。その結果、患者由来の自己抗体は、VIP陽性の神経線維と共局在したことが明らかとなった。
以上の結果から、神経障害性疼痛を有する患者由来の自己抗体が、節後自律神経である副交感神経C線維にも反応することが明らかとなった。
[実験例7]
(自己抗体が反応するタンパク質の同定)
10~12週齢の雄のC57BL/6マウスの腰椎後根神経節を採取し、直ちに液体窒素中で凍結した。続いて、凍結した組織を、TritonX-100を終濃度1%となるように添加したRIPAバッファー(ナカライテスク社)中でホモジナイズした。続いて、4℃で10,000×g、30分間遠心して上清を回収し、マウス後根神経節由来タンパク質抽出液とした。
続いて、マウス後根神経節由来タンパク質抽出液をウエスタンブロッティングに供し、マウス後根神経節の組織切片に反応する患者由来自己抗体で検出した結果、11名の患者のうち10名の患者由来自己抗体で共通の免疫反応性を有するバンドが検出された。当該バンドの分子量は約220kDaであった。一方、神経障害性疼痛を有しない患者由来血清及び健常人由来血清で検出した結果、免疫反応性を有するバンドは検出されなかった。
図15(a)はウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。図15(a)中、「IFA positive」は蛍光間接抗体法の結果陽性であったことを表し、「IFA negative」は蛍光間接抗体法の結果陰性であったことを表し、「NeP Pt.1、2、5、6、9、11」は、それぞれ、神経障害性疼痛を有する患者1、2、5、6、9、11を表し、「HC」は健常人を表す。また、線で囲んだバンドは11名の患者のうち10名の患者由来自己抗体で共通に検出されたバンドである。
《免疫沈降、ポリアクリルアミドゲル電気泳動及び銀染色》
患者血清から、Protein G HP SpinTrap(GEヘルスケアバイオサイエンス社)を用いてIgGサブクラス全4種類の血清IgGを精製した。
また、1mg/mLに希釈したマウス後根神経節由来タンパク質抽出液300μLと、0.1mgのFG beads-Protein G beads(多摩川精機)を4℃で15分間インキュベーションした。続いて、磁気分離を行い、タンパク質抽出液中の非特異的なProtein G吸着物を除去し、粗精製した。
続いて、粗精製したタンパク質抽出液300μLに血清IgG 3μgを加え、4℃で1時間インキュベーションし抗原抗体反応を起こさせた。
続いて、0.1mgのFG beads-Protein G beads(多摩川精機)に上記のタンパク質-血清IgG反応液240μLを添加し、分散させた。続いて、ローテーターで攪拌しながら4℃で2時間インキュベーションし、ビーズとIgGとの結合反応を行った。
続いて、磁気分離を行い、上清を除去した後に、200μLの150mM KClバッファー(150mM KCl、20mM HEPES-NaOH、1mM MgCl、0.2mM CaCl、0.2mM EDTA、10%(v/v)グリセロール、0.1%NP-40、0.2mM PMSF)で計3回ビーズを洗浄した。
続いて、40μLの1×Dye(4×Dye:0.25M Tris-HCl、8%SDS、40%グリセロール、20%2-メルカプトエタノール、0.002%BPB)を加えて分散させた後に、98℃で5分間インキュベーションした。
続いて、室温で磁気分離を行い、上清を回収し目的タンパク質を含む試料とした。続いて、免疫沈降で得られた自己抗原タンパク質試料をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)に供し、銀染色を行って自己抗原タンパク質を含むバンドを確認して切り出し、LC-MS/MSによる解析を行った。
図15(b)はSDS-PAGE及び銀染色の結果を示す写真である。図15(b)中、レーン1は分子量マーカーであり、レーン2はマウス後根神経節由来タンパク質抽出液であり、レーン3は陰性対照の免疫沈降試料であり、レーン4は自己抗原タンパク質を含む免疫沈降試料である。矢印は、220kDaより少し大きな自己抗原タンパク質のバンドを示す。
図15(c)は図15(b)と同様の試料をウエスタンブロッティングに供し、患者由来自己抗体で検出した結果を示す写真である。図15(c)中、レーン1は分子量マーカーであり、レーン2はマウス後根神経節由来タンパク質抽出液であり、レーン3は陰性対照の免疫沈降試料であり、レーン4は自己抗原タンパク質を含む免疫沈降試料である。矢印は、220kDaより少し大きな自己抗原タンパク質のバンドを示す。
続いて、LC-MS/MSによる解析結果を解析ソフトで解析し、自己抗原候補タンパク質を同定した。その結果、「RTITVAGERF」(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチド断片が検出された。このペプチド断片は、plexin D1タンパク質のアミノ酸配列の第1087~1096番目のアミノ酸と一致した。
Plexin D1は約212kDaの理論的分子量を有する。これは、ウエスタンブロッティングにより検出されたバンドの分子量とほぼ一致した。Plexin D1は、神経組織における最も分子量の大きい糖タンパク質の1つである。しかしながら、ヒト後根神経節及び脊髄におけるPlexin D1の発現は報告されていない。
[実験例8]
(ヒト後根神経節及び脊髄の組織切片におけるPlexin D1の発現の検討)
死亡したドナー由来のヒト腰椎後根神経節及び脊髄の組織切片を調製した。続いて、各組織切片を免疫染色し、蛍光顕微鏡(型式「BZ-X700」、キーエンス社)で観察した。
図16(a)は、ヒト後根神経節の組織切片を抗ヒトPlexin D1抗体(ヤギポリクローナル抗体、R&Dシステムズ社)で染色した結果を示す蛍光顕微鏡写真である。
図16(b)は、図16(a)と同一の視野において、有髄線維である、Aβ線維型後根神経節ニューロン及びAδ線維型後根神経節ニューロンのマーカーである、neurofilament heavy chain(NFH)に対する抗体(抗ヒトリン酸化NFH抗体、型式「SMI31」、マウスモノクローナル抗体、Covance社;及び、抗ヒト非リン酸化NFH抗体、型式「SMI32」、マウスモノクローナル抗体、Covance社)で染色した結果を示す蛍光顕微鏡写真である。また、DAPIで核を染色した。
図16(c)は、図16(a)及び図16(b)の写真をマージしたものである。スケールバーは50μmを示す。
図16(d)は、ヒト脊髄の組織切片を抗ヒトPlexin D1抗体(ヤギポリクローナル抗体、R&Dシステムズ社)で染色した結果を示す蛍光顕微鏡写真である。
図16(e)は、図16(d)と同一の視野において、抗ヒトNFH抗体(抗ヒトリン酸化NFH抗体、型式「SMI31」、マウスモノクローナル抗体、Covance社;及び、抗ヒト非リン酸化NFH抗体、型式「SMI32」、マウスモノクローナル抗体、Covance社)で染色した結果を示す蛍光顕微鏡写真である。また、DAPIで核を染色した。
図16(f)は、図16(d)及び図16(e)の写真をマージしたものである。スケールバーは100μmを示す。
その結果、Plexin D1は、NFH陽性の有髄後根神経節ニューロンとは全く共局在しないことが明らかとなった。また、脊髄の背側において、NFHは後柱(PC)及び後角深層(DDH;脊髄後角第III層~第V層)に主に存在しており、後角浅層(SDH)ではより少なく存在していた。
以上の結果は、Plexin D1が無髄後根神経節ニューロン及び後角浅層に位置するその軸索末端に存在していることを示し、この局在パターンは患者由来の自己抗体の結合パターンに類似していた。
[実験例9]
(患者由来の自己抗体のPlexin D1に対する反応性の検討1)
《siRNAによるPLXND1遺伝子発現の抑制》
Plexin D1を発現するHeLa細胞(ヒト子宮頸癌由来細胞株)に、Plexin D1タンパク質をコードする遺伝子である、PLXND1遺伝子に対するsiRNA(型式「s23094」、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)及び対照siRNA(型式「#4390843」、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を導入し、定量的リアルタイムPCRによりPLXND1遺伝子のmRNA発現量を定量した。また、ウエスタンブロッティングによりタンパク質レベルでPlexin D1タンパク質の発現量を検討した。
定量的リアルタイムPCRにおいては、陽性コントロールとしてKIF11遺伝子のmRNAを増幅した。また、リファレンス遺伝子としてGAPDH遺伝子のmRNAを増幅した。定量的リアルタイムPCRにはFast SYBR Green Master Mix(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用い、StepOnePlus リアルタイムPCRシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)でPCRを実施した。
PLXND1特異的プライマーとして、PLXND1 Fwd(5'-AATGGGCGGAACATCGTCAAG-3'、配列番号2)及びPLXND1 Rev(5'-CGAGACTGGTTGGAAACACAG-3'、配列番号3)を用いた。また、KIF11特異的プライマーとして、KIF11 Fwd(5'-TGTTTGATGATCCCCGTAACAAG-3'、配列番号4)及びKIF11 Rev(5'-CTGAGTGGGAACGACTAGAGT-3'、配列番号5)を用いた。また、GAPDH特異的プライマーとして、GAPDH Fwd(5'-ACCCACTCCTCCACCTTTGAC-3'、配列番号6)及びGAPDH Rev(5'-TGTTGCTGTAGCCAAATTCGTT-3'、配列番号7)を用いた。
図17(a)は定量的リアルタイムPCRの結果を示すグラフである。図17(a)中、「Scrambled siRNA」は対照siRNAを導入した結果であることを示し、「PLXND1 siRNA」はPLXND1遺伝子に対するsiRNAを導入した結果であることを示す。その結果、PLXND1遺伝子に対するsiRNAの導入により、PLXND1遺伝子のmRNA発現量を平均87%低下させることができたことが確認された。
また、図17(b)はウエスタンブロッティングによりPlexin D1タンパク質の発現を検討した結果を示す写真である。ローディングコントロールとしてβアクチンタンパク質を検出した。
図17(b)中、「Scramble siRNA」は対照siRNAを導入した結果であることを示し、「PLXND1 siRNA」はPLXND1遺伝子に対するsiRNAを導入した結果であることを示す。その結果、PLXND1遺伝子に対するsiRNAの導入により、Plexin D1タンパク質の発現量を82%低下させることができたことが確認された。
《自己抗体の反応性の検討》
HeLa細胞にPLXND1遺伝子に対するsiRNAを導入し、神経障害性疼痛を有する患者由来の自己抗体を反応させた。また、比較のために、siRNAを導入しなかったHeLa細胞も用意した。
まず、BioCoatコラーゲンI カルチャースライド8ウェル(コーニング社)に、1ウェル当たり終濃度7.5nMのsiRNAと0.45μLのLipofectamine RNAiMAX(インビトロジェン社)を含む調製液を加えてウェル表面全体を覆い、15分間室温で静置した。
続いて、HeLa細胞を8×10個/ウェルで播種し、37℃、5%COの条件下で培養し、リバーストランスフェクションを行った。続いて、48時間後に培地交換を行った。続いて、リバーストランスフェクションから96時間後に培地を除去し、4%パラホルムアルデヒド・リン酸緩衝液(和光純薬)を加えて室温で10分間静置した後、氷冷PBS(-)で細胞を3回洗浄した。
続いて、各ウェルに0.1%Tween20(シグマ-アルドリッチ社)を含むPBS(-)を加え、10分間室温静置して膜透過処理を行った後、PBS(-)で2回洗浄した。続いて、各ウェルに1%ゼラチンを含むPBS(-)を加え室温で1時間静置してブロッキングした。
続いて、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むPBS(-)中に1,000倍希釈した患者由来の血清IgG、及び、200倍希釈した抗Plexin D1抗体(ヤギポリクローナル抗体、R&Dシステムズ社)を含む、1次抗体反応液を加えて室温で1時間静置し1次抗体反応を行った後、PBS(-)で3回洗浄した。また、比較のために、患者由来の血清IgGの代わりに対照の血清IgGを反応させた試料も用意した。
続いて、1,000倍希釈したAlexa Fluor 488標識ヤギ抗ヒトIgG(H+L)抗体(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)、1,000倍希釈したAlexa Fluor 594標識ウサギ抗ヤギIgG(H+L)抗体(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)、及び0.1μg/mLのDAPIを含む、2次抗体反応液を加えて室温で1時間、遮光下で静置し2次抗体反応を行った後、PBS(-)で3回洗浄した。続いて、蛍光顕微鏡(型式「BZ-X710」、キーエンス社)で観察した。
図18(a)はsiRNAを導入していないHeLa細胞に結合した対照IgGを検出した結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図18(b)は、図18(a)と同一の視野において、抗Plexin D1抗体の結合を検出した結果を示す蛍光顕微鏡写真である。図18(c)は、図18(a)及び図18(b)の写真をマージしたものである。スケールバーは100μmを示す。
また、図18(d)はsiRNAを導入していないHeLa細胞に結合した患者由来自己抗体を検出した結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図18(e)は、図18(d)と同一の視野において、抗Plexin D1抗体の結合を検出した結果を示す蛍光顕微鏡写真である。図18(f)は、図18(d)及び図18(e)の写真をマージしたものである。スケールバーは100μmを示す。
その結果、患者由来自己抗体はHeLa細胞に結合したのに対し、対照IgGはHeLa細胞に結合しないことが明らかとなった。また、患者由来自己抗体は、抗Plexin D1抗体と共局在したことが明らかとなった。
図19(a)は対照siRNAを導入したHeLa細胞を明視野観察した顕微鏡写真である。図19(b)は、図19(a)と同一の視野において、患者由来自己抗体(症例5)の結合を検出した結果を示す蛍光顕微鏡写真である。図19(c)は、図19(a)と同一の視野において、抗Plexin D1抗体の結合を検出した結果を示す蛍光顕微鏡写真である。図19(d)は、図19(a)、図19(b)及び図19(c)の写真をマージしたものである。スケールバーは25μmを示す。
図19(e)はPLXND1遺伝子に対するsiRNAを導入したHeLa細胞を明視野観察した顕微鏡写真である。図19(f)は、図19(e)と同一の視野において、患者由来自己抗体(症例5)の結合を検出した結果を示す蛍光顕微鏡写真である。図19(g)は、図19(e)と同一の視野において、抗Plexin D1抗体の結合を検出した結果を示す蛍光顕微鏡写真である。図19(h)は、図19(e)、図19(f)及び図19(g)の写真をマージしたものである。スケールバーは25μmを示す。
その結果、PLXND1遺伝子に対するsiRNAを導入することにより、患者由来自己抗体のHeLa細胞に対する結合が顕著に減少したことが明らかとなった。この結果は、神経障害性疼痛を有する患者由来自己抗体が認識する自己抗原がPlexin D1であることを示す。
[実験例10]
(患者由来の自己抗体のPlexin D1に対する反応性の検討2)
マウス後根神経節の組織切片に反応する自己抗体を含んでいた11名の患者由来の血清を用いて、実験例9と同様の検討を行った。
図20(a)は、対照siRNAを導入したHeLa細胞に結合した患者由来自己抗体(症例5)を検出した結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図20(a)では、DAPIで核が染色されている。スケールバーは50μmを示す。図20(b)は、PLXND1遺伝子に対するsiRNAを導入したHeLa細胞に結合した患者由来自己抗体(症例5)を検出した結果を示す代表的な蛍光顕微鏡写真である。図20(b)においても、DAPIで核が染色されている。スケールバーは50μmを示す。
図20(c)は、図20(a)及び(b)の結果を数値化したグラフである。その結果、PLXND1遺伝子に対するsiRNAを導入したHeLa細胞では、症例5の患者由来自己抗体の結合が有意に減少したことが明らかとなった。
同様の検討を、症例5以外の患者由来自己抗体についても行った。その結果、11名の患者由来自己抗体のうち9名の患者由来自己抗体について同様の結果が得られた。この結果は、神経障害性疼痛を有する患者由来自己抗体が認識する自己抗原がPlexin D1であることを更に支持するものである。
[実験例11]
(患者由来の自己抗体のPlexin D1に対する反応性の検討3)
免疫吸収実験を行い、患者由来の自己抗体のPlexin D1に対する反応性を検討した。具体的には、患者由来自己抗体に、PLXND1遺伝子の細胞外ドメイン部分を発現させた組換えヒトPlexin D1タンパク質(型式「4160-PD」、R&Dシステムズ社、アミノ酸配列を配列番号8に示す。)を混合し、プレインキュベートした。続いて、マウス後根神経節の組織切片及びマウス脊髄の組織切片を用いた蛍光間接抗体法を行った。
図21(a)は、患者由来自己抗体(症例5)を、マウス後根神経節の組織切片に反応させた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは50μmを示す。
図21(b)は、0.5μg/mLのPlexin D1タンパク質とプレインキュベートした患者由来自己抗体(症例5)をマウス後根神経節の組織切片に反応させた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは50μmを示す。
図21(c)は、2μg/mLのPlexin D1タンパク質とプレインキュベートした患者由来自己抗体(症例5)をマウス後根神経節の組織切片に反応させた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは50μmを示す。
図21(d)は、患者由来自己抗体(症例5)を、マウス脊髄の組織切片に反応させた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは50μmを示す。矢印の部分に患者由来自己抗体の結合が認められた。
図21(e)は、0.5μg/mLのPlexin D1タンパク質とプレインキュベートした患者由来自己抗体(症例5)をマウス脊髄の組織切片に反応させた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは50μmを示す。また、図21(d)と同じ位置に矢印を示す。
図21(f)は、2μg/mLのPlexin D1タンパク質とプレインキュベートした患者由来自己抗体(症例5)をマウス脊髄の組織切片に反応させた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは50μmを示す。また、図21(d)と同じ位置に矢印を示す。
その結果、Plexin D1タンパク質とプレインキュベートすることにより、Plexin D1タンパク質の容量依存的に患者由来自己抗体(症例5)の後根神経節ニューロンに対する染色性が低下したことが確認された。同様の結果が11名の患者由来自己抗体の全てで認められた。
この結果は、神経障害性疼痛を有する患者由来の自己抗体が、Plexin D1タンパク質に対する特異性を有すること、及び病原性を有することを更に支持するものである。
[実験例12]
(患者由来の自己抗体のPlexin D1に対する反応性の検討4)
免疫吸収実験を行い、患者由来の自己抗体のPlexin D1に対する反応性を検討した。具体的には、患者由来自己抗体に、PLXND1遺伝子の細胞外ドメイン部分を発現させた組換えヒトPlexin D1タンパク質(型式「4160-PD」、R&Dシステムズ社、アミノ酸配列を配列番号8に示す。)を混合し、プレインキュベートした。続いて、実験例7と同様にして調製したマウス後根神経節由来タンパク質抽出液をウエスタンブロッティングに供し、患者由来自己抗体で検出した。
図22(a)は、患者由来自己抗体(症例1)を反応させて自己抗原を検出した結果を示す写真である。図22(b)は、0.5μg/mLのPlexin D1タンパク質とプレインキュベートした患者由来自己抗体(症例1)を反応させて自己抗原を検出した結果を示す写真である。
図22(c)は、患者由来自己抗体(症例2)を反応させて自己抗原を検出した結果を示す写真である。図22(d)は、0.5μg/mLのPlexin D1タンパク質とプレインキュベートした患者由来自己抗体(症例2)を反応させて自己抗原を検出した結果を示す写真である。
その結果、Plexin D1タンパク質とプレインキュベートすることにより、220kDa付近のバンドが消失したことが確認された。同様の結果が11名の患者由来自己抗体の全てで認められた。
この結果は、神経障害性疼痛を有する患者由来の自己抗体が、Plexin D1タンパク質に対する特異性を有すること、及び病原性を有することを更に支持するものである。
[実験例13]
(患者由来の自己抗体のPlexin D1に対する反応性の検討5)
組換えヒトPlexin D1タンパク質をウエスタンブロッティングに供し、患者由来自己抗体で検出することにより、患者由来の自己抗体のPlexin D1に対する反応性を検討した。
組換えヒトPlexin D1タンパク質として、PLXND1遺伝子の細胞外ドメイン部分を発現させたタンパク質(型式「4160-PD」、R&Dシステムズ社、アミノ酸配列を配列番号8に示す。)を用いた。このタンパク質のバンドサイズは165kDa~175kDaと予測された。
図23は、蛍光間接抗体法による結果が陽性であった神経障害性疼痛患者由来自己抗体(症例1、2、5)、蛍光間接抗体法による結果が陰性であった神経障害性疼痛患者由来血清、健常人由来血清、及び、市販の抗ヒトPlexin D1抗体を用いて、組換えヒトPlexin D1タンパク質を検出した結果を示す写真である。
その結果、蛍光間接抗体法による結果が陽性であった神経障害性疼痛患者由来自己抗体、及び、市販の抗ヒトPlexin D1抗体により、150kDaと250kDaの間のサイズである単一のバンドが検出されたことが明らかとなった。
一方、蛍光間接抗体法による結果が陰性であった神経障害性疼痛患者由来血清、及び、健常人由来血清では、バンドが検出されなかった。
以上の結果は、蛍光間接抗体法による結果が陽性であった神経障害性疼痛患者由来自己抗体が結合したタンパク質がPlexin D1であることを更に支持するものである。
本発明により、神経障害性疼痛を検出する技術を提供することができる。

Claims (15)

  1. 神経障害性疼痛マーカーとしての小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体の使用。
  2. 前記自己抗体が抗Plexin D1抗体である、請求項1に記載の使用。
  3. 神経障害性疼痛の検出方法であって、患者由来の血液試料中の、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体を検出することを備え、前記自己抗体が検出されることが、前記患者が神経障害性疼痛に罹患していることを示す、方法。
  4. 小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体を検出することが、
    ヒト又は非ヒト動物由来の後根神経節組織又は脊髄後角組織に患者由来の血液試料を接触させ、前記後根神経節組織又は前記脊髄後角組織に結合したヒトIgG抗体を検出することと、
    前記後根神経節組織又は前記脊髄後角組織における有髄後根神経節ニューロン又はその神経線維を検出することと、
    を含み、前記ヒトIgG抗体が前記有髄後根神経節ニューロン以外のニューロンに結合したことが、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体が検出されたことを示す、請求項3に記載の方法。
  5. 有髄後根神経節ニューロンを検出することが、
    前記後根神経節組織を抗S100β抗体で免疫染色することを含み、
    前記抗S100β抗体で免疫染色されたニューロンが有髄後根神経節ニューロンである、請求項4に記載の方法。
  6. 小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体を検出することが、
    ヒト又は非ヒト動物由来の後根神経節組織又は脊髄後角組織に患者由来の血液試料を接触させ、前記後根神経節組織又は前記脊髄後角組織に結合したヒトIgG抗体を検出することと、
    前記後根神経節組織又は前記脊髄後角組織における無髄後根神経節ニューロン又はその神経線維を検出することと、
    を含み、前記ヒトIgG抗体が前記無髄後根神経節ニューロンに結合したことが、小型無髄後根神経節ニューロンに対する自己抗体が検出されたことを示す、請求項3に記載の方法。
  7. 無髄後根神経節ニューロンを検出することが、
    前記後根神経節組織にイソレクチンB4を接触させることを含み、
    前記イソレクチンB4が結合したニューロンが無髄後根神経節ニューロンである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記ヒトIgG抗体がIgG2抗体である、請求項~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記自己抗体が抗Plexin D1抗体である、請求項3~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 神経障害性疼痛の検出方法であって、Plexin D1を発現するヒト細胞又は非ヒト動物細胞に患者由来の血液試料を接触させ、前記細胞に結合したヒトIgG抗体を検出することを含み、
    検出された前記ヒトIgG抗体の量が、Plexin D1を発現しない細胞に前記血液試料を接触させた場合に、当該細胞に結合するヒトIgG抗体の量と比較して多いことが、前記患者が神経障害性疼痛に罹患していることを示す、方法。
  11. 抗ヒトIgG抗体と、
    髄後根神経節ニューロンの検出薬と、
    を備える、神経障害性疼痛の診断キット。
  12. 前記抗ヒトIgG抗体が、抗ヒトIgG2抗体である、請求項11に記載の診断キット。
  13. 前記無髄後根神経節ニューロンの検出薬が、イソレクチンB4である、請求項11又は12に記載の診断キット。
  14. 抗ヒトIgG抗体と、Plexin D1タンパク質と、を備える、神経障害性疼痛の診断キット。
  15. 前記抗ヒトIgG抗体が、抗ヒトIgG2抗体である、請求項14に記載の診断キット。
JP2019512547A 2017-04-12 2018-04-11 神経障害性疼痛マーカー及びその使用 Active JP7067800B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201762484406P 2017-04-12 2017-04-12
US62/484,406 2017-04-12
PCT/JP2018/015200 WO2018190365A1 (ja) 2017-04-12 2018-04-11 神経障害性疼痛マーカー及びその使用

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2018190365A1 JPWO2018190365A1 (ja) 2020-05-14
JP7067800B2 true JP7067800B2 (ja) 2022-05-16

Family

ID=63792506

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019512547A Active JP7067800B2 (ja) 2017-04-12 2018-04-11 神経障害性疼痛マーカー及びその使用

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7067800B2 (ja)
WO (1) WO2018190365A1 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006519983A (ja) 2003-02-04 2006-08-31 ミレニアム・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド 16386、15402、21165、1423、636、12303、21425、27410、38554、38555、55063、57145、59914、94921、16852、33260、58573、30911、85913、14303、16816、17827、または32620を使用する、疼痛および疼痛障害を処置する方法および組成物
JP2007518068A (ja) 2003-11-25 2007-07-05 マヨ ファウンデーション フォー メディカル エデュケーション アンド リサーチ 視神経脊髄炎用マーカー
JP2009506985A (ja) 2005-07-21 2009-02-19 ステイヒテイング・カソリーケ・ユニベルシタイト 腫瘍の診断及び治療のための標的としてのプレキシンd1
JP2013504331A (ja) 2009-09-14 2013-02-07 バンヤン・バイオマーカーズ・インコーポレーテッド ニューロン損傷診断のためのマイクロrna、自己抗体およびタンパク質マーカー
JP2013047259A (ja) 2006-01-10 2013-03-07 Zymogenetics Inc Il−31アンタゴニストを用いて神経組織における疼痛及び炎症を治療する方法
JP2013524220A (ja) 2010-04-01 2013-06-17 バンヤン・バイオマーカーズ・インコーポレイテッド 神経毒性を検出するためのマーカーおよびアッセイ
US20160349254A1 (en) 2014-01-20 2016-12-01 Pad 4 Di Maria Adele Silvia Denegri S.A.S. In vitro method for predicting, diagnosing and monitoring in therapeutic follow up lupus nephritis

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FI100556B (fi) * 1995-03-01 1997-12-31 Biohit Oyj Menetelmä anti-DNA-vasta-aineiden toteamiseksi, diagnostinen menetelmä , reagenssipakkaus ja lääkeaine autoimmuunisairauksia varten
EP2816354B1 (en) * 2013-06-19 2016-09-28 Medizinische Hochschule Hannover Biomarker for complex regional pain syndrome (CRPS)

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006519983A (ja) 2003-02-04 2006-08-31 ミレニアム・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド 16386、15402、21165、1423、636、12303、21425、27410、38554、38555、55063、57145、59914、94921、16852、33260、58573、30911、85913、14303、16816、17827、または32620を使用する、疼痛および疼痛障害を処置する方法および組成物
JP2007518068A (ja) 2003-11-25 2007-07-05 マヨ ファウンデーション フォー メディカル エデュケーション アンド リサーチ 視神経脊髄炎用マーカー
JP2009506985A (ja) 2005-07-21 2009-02-19 ステイヒテイング・カソリーケ・ユニベルシタイト 腫瘍の診断及び治療のための標的としてのプレキシンd1
JP2013047259A (ja) 2006-01-10 2013-03-07 Zymogenetics Inc Il−31アンタゴニストを用いて神経組織における疼痛及び炎症を治療する方法
JP2013504331A (ja) 2009-09-14 2013-02-07 バンヤン・バイオマーカーズ・インコーポレーテッド ニューロン損傷診断のためのマイクロrna、自己抗体およびタンパク質マーカー
JP2013524220A (ja) 2010-04-01 2013-06-17 バンヤン・バイオマーカーズ・インコーポレイテッド 神経毒性を検出するためのマーカーおよびアッセイ
US20160349254A1 (en) 2014-01-20 2016-12-01 Pad 4 Di Maria Adele Silvia Denegri S.A.S. In vitro method for predicting, diagnosing and monitoring in therapeutic follow up lupus nephritis

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
CHOI, Y et al.,Dynamic control of β1 integrin adhesion by the plexinD1-sema3E axis,PNAS,2014年01月07日,vol.111, no.1,pp.379-384

Also Published As

Publication number Publication date
WO2018190365A1 (ja) 2018-10-18
JPWO2018190365A1 (ja) 2020-05-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Dalmau et al. Autoantibodies to synaptic receptors and neuronal cell surface proteins in autoimmune diseases of the central nervous system
Petratos et al. Limiting multiple sclerosis related axonopathy by blocking Nogo receptor and CRMP-2 phosphorylation
Bruneteau et al. Endplate denervation correlates with Nogo‐A muscle expression in amyotrophic lateral sclerosis patients
Vincent et al. Autoimmune channelopathies and related neurological disorders
RU2668159C2 (ru) Антитела против тау
US10138285B2 (en) Diagnosis of a neuroautoimmune disease comprising measuring autoantibodies to flotillin1 and/or flotillin2
US8354236B2 (en) Detection of neurodegenerative disease
Greenlee et al. Neuronal uptake of anti-Hu antibody, but not anti-Ri antibody, leads to cell death in brain slice cultures
Doppler et al. Anti-CNTN1 IgG3 induces acute conduction block and motor deficits in a passive transfer rat model
US9188587B2 (en) Neurological autoimmune disorders
US20150355177A1 (en) Diagnosis of a neurological disease
JP2020529473A (ja) 活性型α−シヌクレインに結合する抗体
Ding et al. Anti-NMDAR encephalitis induced in mice by active immunization with a peptide from the amino-terminal domain of the GluN1 subunit
DE102018004759A1 (de) Diagnose einer Neuroautoimmunkrankheit
US20190194324A1 (en) THERAPEUTIC USES OF LAG3 THE (alpha)-SYNUCLEIN TRANSMISSION RECEPTOR
US20200041505A1 (en) Materials and methods for evaluating and treating cancer
WO2008042190A2 (en) Detection of neurodegenerative disease
JP7067800B2 (ja) 神経障害性疼痛マーカー及びその使用
Erdağ et al. Effects of in vivo and in vitro administration of neuro-Behcet’s disease IgG
Capuz et al. The antibody dependant neurite outgrowth modulation response involvement in spinal cord injury
EP3644061A1 (de) Diagnose blasenbildender autoimmunkrankheiten
US11493513B2 (en) Assessing and treating autoimmune ataxia
Larsson et al. Distribution of transmembrane AMPA receptor regulatory protein (TARP) isoforms in the rat spinal cord
US11835519B2 (en) Autoantibodies to Septin-7 and diagnosis of neurological disease
JPWO2009020058A1 (ja) 脱髄病変へのドラッグデリバリーシステム及び脱髄病変の生化学的マーカー

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210310

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211109

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220111

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220405

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220421

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7067800

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150