JP7066355B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法およびトナージェット法のような画像形成方法に用いられるトナーに関する。
複写機、プリンター、ファクシミリの受信装置などに用いられる電子写真技術は、装置の発展とともに利用者からの要求も年々厳しくなっている。近年の動向では、多数枚印刷が可能であることが強く求められるようになっている。さらに、近年の環境意識の高まりから、省エネルギー化は必須の課題として認識されており、省エネルギーの観点から、定着に必要とするエネルギーの削減要求はよりいっそう高まっている。そのために用いられるトナーとしては、耐久性に優れ、且つ低温定着性に優れていることが必要とされる。
高耐久なトナーを実現するために、トナーの結着樹脂に強靭性を付与することが求められている。強靭性に欠ける樹脂を用いた場合には、現像プロセスにおける接触ストレスに対してトナーが割れたり欠けたりする。欠けて発生したトナー微粉は、現像ローラ上への静電的/もしくは非静電的付着力が大きいために残留し、トナー微粉により汚染された現像ローラはトナーを帯電する能力が低下するため、結果として、トナーが白紙部分に印字される、いわゆる地汚れが発生する。また、トナーが割れた場合、トナー内部の低融点ワックス成分が露出してしまう。ワックスが露出したトナーが規制ブレードを通過するときに、規制ブレードに付着し、それが契機となりトナーや外添剤などが規制ブレードに堆積していく、いわゆるトナー固着と呼ばれる現象が発生する。規制ブレード上にトナー固着が起きると、現像ローラ上にトナーの搬送されないスジが発生し、印字画像には、印字されるべき部分にスジ状に白い線が現れる。
上記要求を満足させるために、耐久性に優れ、且つ低温定着性に優れているトナーが従来以上に必要とされ、前記課題を解決すべく数多く改良が行われている。
例えば、マクロモノマーの存在下で懸濁重合を行うことにより得られるトナーが開示されている(特許文献1)。このトナーにおいては、トナー粒子中にグラフトポリマーが生成され、グラフトポリマーの側鎖同士の物理的な絡み合いが生じることにより、低温定着設計トナーにおいても耐ホットオフセット性を達成可能とされている。また、前記物理的な絡み合いによりトナーの結着樹脂の強靭性を向上させることが可能である。しかしながら、より高度なレベルでの強靭性という観点においてはまだ改善の余地がある。
また、高耐久なトナーを得るために、懸濁重合法トナーにおいて、重合性単量体に脂肪酸金属塩を含有せしめて重合するトナーの製造方法が開示されている(特許文献2)。この方法によれば、製造したトナー自身が優れたクリーニング性を有するためクリーニング不良を起こさず多数枚印刷しても画像不良が起きないとされている。しかしながら、この技術ではトナーの割れ・欠けを抑制することはできず、強靭性という観点においては改善の余地があった。
特開平3-136065号公報 特開平1-167764号公報
本発明は、上記背景技術を解決したトナーを提供することである。すなわち、耐久性および定着性に優れたトナーを提供することにある。
上記目的は、以下の本発明によって達成される。
すなわち、結着樹脂、グラフトポリマー、および脂肪酸金属塩を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記グラフトポリマーは、前記結着樹脂に対し、相溶度が70%以上であり、
前記グラフトポリマーの主鎖が、スチレンアクリル系樹脂であり、
前記グラフトポリマーの側鎖が、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、またはスチレンアクリロニトリル共重合体であり、
前記結着樹脂が、スチレン-アクリル酸ブチル二元共重合体である
ことを特徴とするトナー。
また、結着樹脂、グラフトポリマー、および脂肪酸金属塩を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記グラフトポリマーは、前記結着樹脂に対し、相溶度が70%以上であり、
前記グラフトポリマーの主鎖が、スチレンアクリル系樹脂であり、
前記グラフトポリマーの側鎖が、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、またはスチレンアクリロニトリル共重合体であり、
前記結着樹脂が、スチレンおよびn-ブチルアクリレートのみから得られる共重合体である
ことを特徴とするトナー。
また、結着樹脂(ただしグラフトポリマーである場合を除く)、グラフトポリマー、および脂肪酸金属塩を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記グラフトポリマーは、前記結着樹脂に対し、相溶度が70%以上であり、
前記グラフトポリマーの主鎖が、スチレンアクリル系樹脂であり、
前記グラフトポリマーの側鎖が、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、またはスチレンアクリロニトリル共重合体である
ことを特徴とするトナー。
以上説明したように、本発明によれば、耐久性および定着性に優れたトナーを提供することができる。
具体的には定着性を良好に保ちつつ、強靭性が向上して割れ・欠けを低減し耐久性を向上させることができる。
本発明者らは、前記の従来技術の課題を解決すべく鋭意検討の結果、結着樹脂、グラフトポリマー、および脂肪酸金属塩を含有するトナー粒子を有するトナーであって、前記グラフトポリマーは前記結着樹脂に対し、相溶度が70%以上とすることで耐久性および定着性に優れたトナーが得られることを見出した。
詳細なメカニズムに関しては明らかとなっていないが、本発明者らは下記作用により本発明の効果が得られていると考えている。すなわち、特定のグラフトポリマーと脂肪酸金属塩が、従来におけるグラフトポリマー鎖同士の絡み合いの力よりも強い力で相互作用を起こしていると考えられる。このことにより、従来よりも強靭性が向上して割れ・欠けを低減し耐久性を向上したと考えている。
また、定着性に関しては、一般的にはトナーの結着樹脂中に樹脂の架橋点を増やすとトナーのTgが上昇して定着性が低下してしまう。ところが本発明のトナーは定着性が低下しないことが分かった。本発明におけるグラフトポリマーと脂肪酸金属塩の相互作用は結合を有する化学的な架橋ではなく、可逆的な物理的架橋であると考えられる。この物理的架橋は耐久性の点では従来よりも十分に強い相互作用であったが、定着時(つまり加熱時)には容易に相互作用が解消しトナーTgが低下するため定着性が良好となったと考えている。
<グラフトポリマー>
グラフトポリマーは結着樹脂に対し十分な相溶性が無いと本発明の効果は乏しい。十分なグラフトポリマーの溶け広がりが無いと結着樹脂中で上記の相互作用が局所的にしか存在せず効果が低減してしまう。結着樹脂全体にわたり上記の相互作用を存在させるためにグラフトポリマーの必要な相溶度は結着樹脂に対し70%以上であることが分かった。より高度な耐久性を得るためには相溶度は80%以上であることがより好ましい。
また、グラフトポリマーと脂肪酸金属塩は適度な相互作用を生じる組み合わせが良い。具体的には、脂肪酸金属塩のグラフトポリマーの側鎖に対する相溶度が5.0%以上15.0%以下であることが耐久性と定着性を高度に両立する上で好適である。
グラフトポリマーは結着樹脂に対する相溶度が70%以上であれば限定されるものではないが、グラフトポリマーの主鎖は、用いる結着樹脂と構造が近いものを用いることが好ましい。構造が近い程相溶性が向上するからである。例えば、結着樹脂がスチレンアクリル系樹脂であれば、グラフトポリマーもスチレンアクリル樹脂を用いれば相溶性が良くなる。
また、グラフトポリマーの側鎖は、脂肪酸金属塩と相互作用可能なものであれば特に限定されない。例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、エポキシ樹脂等の極性が比較的高い樹脂を用いることができる。また、必要に応じてこれらの樹脂を構成する極性モノマーとスチレン等の非極性モノマーとの共重合体も用いることができる。これらの中でも脂肪酸金属塩との相互作用の観点でポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、スチレンアクリロニトリル共重合体を好適に用いることができる。
グラフトポリマーの数平均分子量(Mn)は5000乃至50000の範囲内であることが好ましい。数平均分子量(Mn)が上記の範囲内にある場合、脂肪酸金属塩との相互作用が適度であり、また、結着樹脂に対する相溶性も適度となる。
また、グラフトポリマーの側鎖の数平均分子量(Mn)は500乃至40000の範囲内であり、好ましくは2000乃至8000である。数平均分子量(Mn)が上記の範囲内である場合、脂肪酸金属塩との相互作用が特に適正となり、結着樹脂との相溶性も特に適度になる。
グラフトポリマーにおいては、主鎖に対する側鎖の割合が、10質量%乃至50質量%の範囲内であることが好ましい。側鎖の割合が上記の範囲内である場合には、グラフトポリマーの添加量を抑えつつ、グラフトポリマーと脂肪酸金属塩の相互作用点を増やすことができ、また、グラフトポリマー自体の結着樹脂に対する相溶性を良好に維持できるため、好適である。
グラフトポリマーの添加量は、結着樹脂100質量部に対し10質量部以上であることが、適度な相互作用が得られる点で好ましい。
<脂肪酸金属塩>
本発明で用いる脂肪酸金属塩は2価以上の多価金属と脂肪酸からなる難水溶性の脂肪酸金属塩であればよく、従来公知の脂肪酸金属塩を用いることができる。具体的には、脂肪酸としては、ノナン酸やラウリン酸、ステアリン酸、セロチン酸などの直鎖飽和脂肪酸や、オレイン酸やリノール酸などの直鎖不飽和脂肪酸、15-メチルヘキサデカン酸などの分岐構造をもった脂肪酸、2-ヒドロキシドデカン酸、12-ヒドロキシステアリン酸のように他の官能基を有する脂肪酸など、公知のものを使用できる。脂肪酸はグラフトポリマーとの相互作用および入手容易性の観点で、炭素数8以上28以下であることが好ましく、12以上22以下がより好ましい。
金属としては、2価以上で公知のものを使用できる。典型元素においては価数が高く、イオン半径が小さいものがグラフトポリマーとの相互作用力が高いと考えられ、Al、Ba、Ca、Mg、Znが好ましい。また、Fe、Ti、Co、Zrなどの遷移元素は、d軌道において安定な不対電子をもつことができ、グラフトポリマーとの相互作用力が高いと考えられるため好ましい。この中でも特に、Al、Mg、Zn、Fe、Coが特に好ましい。
また、本発明のトナーにおける脂肪酸金属塩の添加量は、グラフトポリマーに対して、0.2質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。0.2質量%以上である場合、グラフトポリマーと脂肪酸金属塩の相互作用量が十分であり、50.0質量%以下である場合、脂肪酸金属塩同士の相互作用が低減できる。より好ましくは、0.5質量%以上20.0質量%以下である。
<結着樹脂>
本発明のトナーは、公知の結着樹脂を用いることができる。結着樹脂としては、例えば、以下の樹脂を用いることができる。ポリスチレン、ポリビニルトルエンのようなスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-アクリル酸オクチル共重合体、スチレン-アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン-メタクリ酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体のようなスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂。これらは単独又は混合して使用できる。
<顔料>
トナーには、公知の顔料を含有させることができる。
黄色顔料としては、黄色酸化鉄、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が用いられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー180。
橙色顔料としては以下のものが挙げられる。パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色顔料としては、ベンガラ、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドC、レーキッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリラントカーミン3B、エオキシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキなどの縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254。
青色顔料としては、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBGなどの銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
緑色顔料としては、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛が挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト、上記黄色系顔料、赤色系顔料及び青色系顔料を用い黒色に調色されたものが挙げられる。これらの顔料は、単独又は混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。
なお、非磁性トナーとして用いる場合には、顔料の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100質量部に対して3.0質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。磁性トナーとして用いる場合には、顔料(マグネタイト)の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100質量部に対して30質量部以上150質量部以下であることが好ましい。
<荷電制御剤>
トナーは、荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等に代表される芳香族カルボン酸の金属化合物;アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体;ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。また、正帯電制御剤として以下の、四級アンモニウム塩、四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;ニグロシン系化合物;イミダゾール化合物が挙げられる。帯電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではない。
<離型剤>
トナーは、離型剤としてワックスを含有してもよい。ワックスの種類としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸;酸アミドワックス;エステルワックス;硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス;動物性ワックス等が挙げられる。この中で特に、離型性に優れるという観点からパラフィンワックス、エステルワックス及び炭化水素ワックスが好ましい。
<外添剤>
トナーは、流動性を向上させる目的で、流動性向上剤が外添されていてもよい。流動性向上剤の種類としては、フッ化ビニリデン微粉未、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素系樹脂粉末;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩;酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化亜鉛粉末等の金属酸化物または、上記金属酸化物を疎水化処理した粉末;及び湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等のシリカ微粉末または、それらシリカにシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルの如き処理剤により表面処理を施した表面処理シリカ微粉末等が挙げられる。
<トナーの製造方法>
本発明のトナーは、公知のいずれの方法で製造されたものであってもよく、例えば、懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化凝集法、粉砕法で製造することができる。
懸濁重合法による製造の一例を以下に記載する。懸濁重合法においては、重合性単量体、グラフトポリマー(もしくはマクロモノマー)、脂肪酸金属塩を含有する重合性単量体組成物を、水系媒体中にて造粒し、造粒された粒子中に含有される重合性単量体を重合することによってトナー粒子を得る。
懸濁重合法で用いる重合性単量体は、モノビニル系単量体が好ましい。具体的に、重合性単量体として、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリル酸、メタクリル酸などのα,β-不飽和カルボン酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボニル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリル酸またはメタクリル酸の誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン;2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、N-ビニルピロリドン等の含窒素ビニル化合物;などが挙げられる。重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。モノビニル系単量体の中でも、芳香族ビニル単量体と、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとを併用するのが好適である。
重合開始剤としては、油溶性開始剤及び/又は水溶性開始剤が用いられる。好ましくは、重合反応時の反応温度における半減期が0.5乃至30時間のものがよい。また重合性単量体100.0質量部に対し0.5乃至20.0質量部の添加量で重合反応を行うと、通常、ピーク分子量10000乃至100000の重合体が得られ、適当な強度と溶融特性を有するトナーを得ることができる。
具体的な重合開始剤としては、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシピバレ-ト、t-ブチルパーオキシイソブチレ-ト、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。また、重合性単量体の重合度を制御する為に、公知の連鎖移動剤、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
また、トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合に際して、架橋剤を添加してもよい。架橋性単量体としては、以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、ビス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA 日本化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに変えたもの。
多官能の架橋性単量体としては以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリロキシ・ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデート。好ましい添加量としては、重合性単量体に対して0.001質量%以上15.000質量%以下である。
水系媒体には、無機または有機の分散安定剤を添加することがよい。分散安定剤として使用する無機化合物の種類としては、ヒドロキシアパタイト、第三リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナなどが挙げられる。分散安定剤として使用する有機化合物の種類としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプンなどが挙げられる。また、これら分散安定剤の微細な分散のために、界面活性剤を使用してもよい。分散安定剤の初期の作用を促進するためのものである。界面活性剤の種類としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどが挙げられる。分散安定剤として、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、より細かい粒子を得るために、水系媒体中にて上記無機化合物を生成させて用いてもよい。例えば、ヒドロキシアパタイトや第三リン酸カルシウムなどのリン酸カルシウム類の場合、高撹拌下において、リン酸塩水溶液とカルシウム塩水溶液を混合するとよい。
以下、本発明に関係する各種測定方法を述べる。
<グラフトポリマーの結着樹脂に対する相溶度試験(S1)>
結着樹脂10gをガラス容器に取り、ホットプレートを用いて180℃に加熱する。そこにグラフトポリマーを攪拌しながら少しずつ添加して溶かしていき、白濁した(相溶性を失った)時点でのグラフトポリマーの総添加量をW1(g)として下記計算式により求める。
相溶度S1(%)=W1(g)/10(g)×100
尚、結着樹脂を入手できる場合には、そのまま結着樹脂を試料として用いればよいが、入手できない場合には、同様の組成であり、重量平均分子量が±10%の範囲内にあるような試験用樹脂を用意して、その樹脂に対する相溶度を測定すればよい。
<脂肪酸金属塩のグラフトポリマー側鎖に対する相溶度試験(S2)>
グラフトポリマーの側鎖と同種の樹脂(マクロモノマーも含む)10gをガラス容器に取り、ホットプレートを用いて180℃に加熱する。そこに脂肪酸金属塩を攪拌しながら少しずつ添加して溶かしていき、白濁した(相溶性を失った)時点での脂肪酸金属塩の総添加量をW2(g)として下記計算式により求める。
相溶度S2(%)=W2(g)/10(g)×100
尚、グラフトポリマーの側鎖と同種の樹脂としては、同様の組成を有する試験用樹脂を用意して、それに対する相溶度を測定すればよい。あるいは、グラフトポリマーを合成する際に用いたマクロモノマーを、試験用樹脂として用いてもよい。
<樹脂の分子量測定>
樹脂の分子量及び分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算で算出される。GPCによる分子量の測定は、以下の様にして行う。上記樹脂をTHF(テトラヒドロフラン)に加え、室温で24時間静置した溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液とし、以下の条件で測定する。尚、サンプル溶液調製は、樹脂の濃度が0.8質量%になるようにTHFの量を調整する。なお、樹脂がTHFに溶解しにくい場合には、DMFなどの塩基性溶媒を用いることも可能である。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料の分子量の算出にあたっては、以下に列挙する標準ポリスチレン樹脂カラムを用いて作成した分子量校正曲線を使用する。具体的には、東ソ-社製の商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」である。
以下、具体的な製造方法、実施例、比較例をもって本発明をさらに詳細に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。なお、以下の配合における部数は全て質量部である。
<グラフトポリマーG-1の合成例>
・スチレン:70.0部
・アクリル酸ブチル:30.0部
・末端基がメタクリロイル基であるポリメタクリル酸メチル(東亜合成社製、商品名:AA-6、Mn=6000):30.0部
・アゾビスイソブチロニトリル:2.0部
を混合し攪拌しながら窒素置換を30分間行った後、内温60℃になるように加熱してそのまま15時間保持して樹脂固形物を得た。そして、該樹脂固形物をテトラヒドロフランに溶解し、メタノールで再沈殿させて析出した固体を濾別することでグラフトポリマーG-1を得た。グラフトポリマーG-1の分子量(Mn)は10600であった。
<グラフトポリマーG-2の合成例>
アゾビスイソブチロニトリルを0.50部に変更した以外は、前記グラフトポリマーG-1の合成例と同様の操作を行って、グラフトポリマーG-2を得た。グラフトポリマーG-2の分子量(Mn)は42000であった。
<グラフトポリマーG-3の合成例>
・スチレン:90.0部
・アクリロニトリル:10.0部
・末端基がメタクリロイル基であるポリメタクリル酸メチル(東亜合成社製、商品名:AA-6、Mn=6000):30.0部
・アゾビスイソブチロニトリル:2.0部
を混合し攪拌しながら窒素置換を30分間行った後、内温60℃になるように加熱してそのまま15時間保持して樹脂固形物を得た。そして、該樹脂固形物をテトラヒドロフランに溶解し、メタノールで再沈殿させて析出した固体を濾別することでグラフトポリマーG-3を得た。グラフトポリマーG-3の分子量(Mn)は10500であった。
<グラフトポリマーG-4の合成例>
・スチレン:70.0部
・アクリル酸ブチル:30.0部
・末端基がメタクリロイル基であるスチレンとアクリロニトリルの共重合体の51%トルエン溶液(東亜合成社製、商品名:AN-6S、Mn=6000):20.0部
・アゾビスイソブチロニトリル:2.0部
を混合し攪拌しながら窒素置換を30分間行った後、内温60℃になるように加熱してそのまま15時間保持して樹脂固形物を得た。そして、該樹脂固形物をテトラヒドロフランに溶解し、メタノールで再沈殿させて析出した固体を濾別することでグラフトポリマーG-4を得た。グラフトポリマーG-4の分子量(Mn)は9000であった。
<グラフトポリマーG-5の合成例>
スチレンの添加量を50.0部、アクリロニトリルの添加量を50.0部に変更した以外は、前記グラフトポリマーG-3の合成例と同様の操作を行って、グラフトポリマーG-5を得た。グラフトポリマーG-5の分子量(Mn)は10200であった。
<トナー1の製造>
(水系媒体の調製)
温度60℃に加温したイオン交換水1300.0質量部に、リン酸三カルシウム9.0質量部を添加し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、撹拌速度15,000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。
(重合性単量体組成物の調製)
以下の原料を用いて、重合性単量体組成物を作製した。
・スチレン:70.0質量部
・n-ブチルアクリレート:30.0質量部
・カーボンブラック:7.5質量部
・ポリエステル(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとフタル酸の重縮合物、Tg=75.9℃、Mw=11000、Mn=4200、酸価=11mgKOH/g):5.0質量部
・炭化水素ワックス(Tm=78℃):9.0質量部
・3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸の亜鉛化合物〔ボントロンE84(オリエント化学工業社製)〕:3.0質量部
・グラフトポリマーG-1:30.0質量部
・ステアリン酸アルミニウム(商品名SA-1000、堺化学工業株式会社製):1.0質量部
上記原料をアトライタ(日本コークス工業株式会社製)で3時間溶解・分散させ、重合性単量体組成物とした。
(トナー粒子1の製造)
上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、さらに、重合開始剤として、9.0質量部のパーブチルPV[10時間半減期温度54.6℃(日本油脂製)]を加えた。温度60℃にて、高速撹拌装置T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、撹拌速度10,000rpmで20分間攪拌し、造粒した。
その後、プロペラ式攪拌装置に移して100rpmで攪拌しつつ、温度70℃で5時間反応させた後、温度80℃まで昇温し、更に2時間反応を行った。
次に、イオン交換水を200.0質量部添加して、還流管を取り外し、蒸留装置を取り付けた。容器内の温度が100℃の蒸留を5時間行った。蒸留留分は700.0質量部であった。蒸留終了後、30℃まで冷却し、容器内に希塩酸を添加してpHを1.5まで下げて、分散安定剤を溶解させた。さらに、濾別、洗浄、乾燥をして、トナー粒子1を得た。
(外添処理)
上記トナー粒子1を100.0質量部に対し、ジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粒子(一次粒子の数平均径:7nm)1.0質量部を、FMミキサ(日本コークス工業株式会社製)を用いて10分間外添し、トナー1を得た。
<トナー2および3の製造>
グラフトポリマーG-1を、グラフトポリマーG-2、G-3に各々変更した以外は、上記トナー1の製造と同様の操作を行って、トナー2および3を得た。
<トナー4乃至12の製造>
脂肪酸金属塩であるステアリン酸アルミニウムを、表1に記載のものに各々変更した以外は、上記トナー1の製造と同様の操作を行って、トナー4乃至12を得た。
<トナー13の製造>
・スチレン-アクリル樹脂(スチレン:n-ブチルアクリレート=70:30(質量比))(Mw=30,000):100.0質量部
・カーボンブラック:7.5質量部
・3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸の亜鉛化合物〔ボントロンE84(オリエント化学工業社製)〕:3.0質量部
・グラフトポリマーG-1:30.0質量部
・ステアリン酸アルミニウム(商品名SA-1000、堺化学工業株式会社製):1.0質量部
上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合し、二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミルで粉砕した。その後、乾式気流分級機で分級して、トナー粒子13を得た。
得られたトナー粒子13を用いる以外は、トナー1の製造と同様にして、トナー13を得た。
<比較トナー1の製造>
グラフトポリマーG-1、およびステアリン酸アルミニウムを加えなかったこと以外は、上記トナー1の製造と同様の操作を行って、比較トナー1を得た。
<比較トナー2の製造>
ステアリン酸アルミニウムを加えなかったこと以外は、上記トナー1の製造と同様の操作を行って、比較トナー2を得た。
<比較トナー3の製造>
グラフトポリマーG-1を加えなかったこと以外は、上記トナー1の製造と同様の操作を行って、比較トナー3を得た。
<比較トナー4の製造>
グラフトポリマーG-1を、グラフトポリマーG-5に変更したこと以外は、上記トナー1の製造と同様の操作を行って、比較トナー4を得た。
<比較トナー5の製造>
グラフトポリマーG-1、およびステアリン酸アルミニウムを加えなかったこと以外は、上記トナー13の製造と同様の操作を行って、比較トナー5を得た。
<相溶度測定試験(S1およびS2)>
上記合成例で得られたグラフトポリマーの結着樹脂に対する相溶度を測定した。トナー1~12、比較トナー1~4においては、結着樹脂として、スチレン-アクリル樹脂(スチレン:n-ブチルアクリレート=70:30(質量比)、Mw=100,000)を用いた。尚、トナー1~12、比較トナー1~4は、THF可溶分のMwを測定したところ、いずれもMw100,000の±10%の範囲内であった。また、トナー13、比較トナー5においては、結着樹脂として、原料の樹脂をそのまま用いた。結果を下記表1に示す。
また、各脂肪酸金属塩のグラフトポリマーの側鎖に対する相溶度を測定した。グラフトポリマーの側鎖としては、グラフトポリマーG-1、G-2、G-3、G-5を用いたトナーにおいては、“末端基がメタクリロイル基であるポリメタクリル酸メチル”を用い、グラフトポリマーG-4を用いたトナーにおいては、“末端基がメタクリロイル基であるスチレンとアクリロニトリルの共重合体”を用いた。結果を下記表1に示す。
〔実施例1乃至13、および比較例1乃至5〕
上記トナー1乃至13、および比較トナー1乃至5を用いて、下記に記載の評価を行った。表2に結果を記す。
<耐久性の評価>
キヤノン製フルカラー複写機CLC5000改造機(像担持体を変更し、レーザースポット径を絞り、600dpiでの出力を可能とし、定着ユニットの定着ローラの表層をシリコーンチューブに変え、オイル塗布機構を取り外した改造をCLC5000に施した機器)を用いて、常温常湿(25℃/50%RH)環境下にて、耐久画出し評価(A4横、5%印字比率、10万枚)を行った。10万枚通紙後の現像スジの評価方法と評価基準を以下に示す。
〔現像スジ〕
CLC用紙(キヤノン社製、80g/m)にハーフトーン画像(トナーの載り量:0.6mg/cm)をプリントアウトし、発生した現像スジの数で評価した。
(評価基準)
A:未発生
B:1個所以上、3個所以下
C:4個所以上、6個所以下
D:7個所以上、あるいは幅0.5mm以上のスジが発生
<定着性の評価>
〔低温定着性〕
キヤノン製レーザービームプリンタLBP9600Cの定着ユニットを定着温度が調整できるように改造した。この改造後のLBP9600Cを用いて、常温常湿(25℃/50%RH)環境下にて、プロセススピード300mm/secで、0.40mg/cmの未定着トナー画像を形成した。この未定着トナー画像を、オイルレスで加熱加圧し、受像紙に定着画像を形成した。この際、定着温度を5℃刻みで変更して、定着画像の形成を行った。キムワイプ〔S-200(株式会社クレシア)〕用い、75g/cmの荷重をかけて得られた定着画像を10回こすり、こすり前後の濃度低下率が5%未満になる温度をもって定着性を評価した。尚、この温度が低いほど、低温定着性に優れているといえる。
(評価基準)
A:130℃以下
B:135℃
C:140℃
D:145℃以上
Figure 0007066355000001
Figure 0007066355000002
比較例1に対する実施例1乃至8、および実施例10乃至13の結果より、グラフトポリマーと脂肪酸金属塩の組み合わせにより耐久性と定着性を両立できることが分かった。特に、相溶度S1が80%以上且つ相溶度S2が5乃至15%の範囲内であれば、より高度に耐久性と定着性を両立できることが分かった。また比較例4より相溶度S1が低いと、結着樹脂全体にグラフトポリマーの側鎖と脂肪酸金属塩の相互作用が行き渡らないため耐久性がほとんど向上しないことが分かった。
実施例9において耐久性は向上したが、相溶度S2が20%を超えると(グラフトポリマーの側鎖と脂肪酸金属塩の相互作用が強すぎると)、定着性がやや阻害されてしまうことが分かった。
比較例1に対する比較例2の結果より、耐久性は多少向上するが満足できるレベルには至らなかった。また、比較例1に対する比較例3の結果より、本発明のような効果は得られていない。よって、グラフトポリマー単独でも、脂肪酸金属塩単独でも本発明のような効果(耐久性と定着性の高度な両立)が得られないことが分かった。

Claims (6)

  1. 結着樹脂、グラフトポリマー、および脂肪酸金属塩を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記グラフトポリマーは、前記結着樹脂に対し、相溶度が70%以上であり、
    前記グラフトポリマーの主鎖が、スチレンアクリル系樹脂であり、
    前記グラフトポリマーの側鎖が、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、またはスチレンアクリロニトリル共重合体であり、
    前記結着樹脂が、スチレン-アクリル酸ブチル二元共重合体である
    ことを特徴とするトナー。
  2. 結着樹脂、グラフトポリマー、および脂肪酸金属塩を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記グラフトポリマーは、前記結着樹脂に対し、相溶度が70%以上であり、
    前記グラフトポリマーの主鎖が、スチレンアクリル系樹脂であり、
    前記グラフトポリマーの側鎖が、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、またはスチレンアクリロニトリル共重合体であり、
    前記結着樹脂が、スチレンおよびn-ブチルアクリレートのみから得られる共重合体である
    ことを特徴とするトナー。
  3. 結着樹脂(ただしグラフトポリマーである場合を除く)、グラフトポリマー、および脂肪酸金属塩を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記グラフトポリマーは、前記結着樹脂に対し、相溶度が70%以上であり、
    前記グラフトポリマーの主鎖が、スチレンアクリル系樹脂であり、
    前記グラフトポリマーの側鎖が、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、またはスチレンアクリロニトリル共重合体である
    ことを特徴とするトナー。
  4. 前記脂肪酸金属塩の前記グラフトポリマーの側鎖に対する相溶度が5.0%以上15.0%以下である請求項1~のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記脂肪酸金属塩が、Al、Ba、Ca、Mg、Zn、Fe、Ti、Co、Zrからなる群より選ばれる金属と脂肪酸との金属塩である請求項1~のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記脂肪酸が、炭素数8以上28以下の脂肪酸である請求項に記載のトナー。
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