JP7065661B2 - 給湯システム - Google Patents
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Description
<システム構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係る給湯システム1000の構成例を概略的に示す概略構成図である。図1に基づいて、給湯システム1000のシステム構成について説明する。給湯システム1000は、給湯装置100、湯張り給湯端末30、及び、一般給湯端末40を有し、給湯装置100を用いて給湯運転を実行し、ユーザが所望する温度の湯水を湯張り給湯端末30及び一般給湯端末40に供給するものである。
一般給湯端末40は、一般給湯配管Dに接続され、貯湯タンク10に貯湯されている湯水が供給されるものである。一般給湯端末40は、例えばシャワーヘッドなどとして利用される。なお、一般給湯端末40は、他に、調理場又は風呂場等に設定される蛇口等としても利用される。また、湯張り給湯端末30及び一般給湯端末40を図示している個数に限定するものではない。
また、貯湯タンク10は、下部において給水端80への配管が接続され、給水端80を介して下部から低温水が供給される。また、貯湯タンク10は、下部においてヒートポンプユニット20に沸き上げ配管Bで接続され、上部においてヒートポンプユニット20に沸き上げ配管Bで接続される。
なお、以下の説明において、下部温度センサー1a、中部温度センサー1b、上部温度センサー1c、及び、給湯温度センサー1dを単に温度センサーと称する場合がある。
また、リモートコントローラ70は、給湯システム1000の運転モード、給湯設定温度、及び、給湯設定湯量などの運転情報の指示を受け付けるものである。リモートコントローラ70は、給湯システム1000に付属の装置であってもよく、スマートフォン、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、パソコン、又は、タブレット等であってもよい。
(沸き上げ時の冷凍サイクル効率について)
図2及び図3を用いて、給湯システム1000の給湯制御を説明する。図2は、給湯システム1000のヒートポンプユニット20における冷凍サイクルの動作を示すモリエル線図である。図3は、図2のモリエル線図に、出湯目標温度を追加したモリエル線図である。まず、給湯システム1000の沸き上げ時の冷凍サイクル効率について説明する。
なお、図2及び図3では、状態(1)が「冷媒の吸入状態」を示し、状態(2)が「冷媒の吐出状態」を示し、状態(3)が「冷媒の凝縮状態」を示し、状態(4)が「冷媒の膨張状態」を示している。
「状態(2)」は、圧縮機によって冷媒が圧縮された冷媒が圧縮機から吐出した際の冷媒の状態を表している。
「状態(3)」は、第1の熱交換器によって冷媒が凝縮した際の冷媒の状態を表している。
「状態(4)」は、膨張弁を通過して膨張した冷媒が第2の熱交換器に流入する際の冷媒の状態を表している。
深夜沸き上げでは、昼間に使用する湯水を貯湯タンク10に貯湯しておく。その際、深夜沸き上げ運転にて沸き上げられた湯水は昼間の未使用時間に放熱されるため、ユーザの使用設定温度よりも高温に沸き上げる必要がある。例えば、湯水の設定温度は40℃前後であることが多く、また浴槽50内の湯水を加熱する際には、第1の熱交換器にてふろ戻り温度は50度程度まで加熱されるため、深夜沸き上げ温度は少なくとも50℃以上は必要となる。
一方、昼間に沸き上げる場合は温度の制約は少なくなる。まず、放熱によるエネルギーロスを考える必要がないため、深夜沸き上げ温度よりも沸き上げ温度目標は低く設定することが可能である。また、深夜沸き上げの状態、及び、ユーザ使用状況によってさらに低温化が可能となる。例えば、ユーザが追い焚きを使用しないことが分かっていれば、沸き上げ温度は40℃前後まで低下することが可能である。さらに、深夜沸き上げによる高温水が貯湯タンク10の上部に貯湯されている場合には効率を優先して、ヒートポンプの効率が最高となる、例えば最低周波数状態で運転し、高温水と混合して出湯することができる。こうすることで、ヒートポンプを最大限高効率化することも可能となる。
深夜沸き上げ温度の制約の一つに衛生面の課題が挙げられる。貯湯式タンクを用いて給湯システムの課題の一つとして、貯湯タンク内で繁殖したレジオネラ菌などの対策が挙げられる。つまり、貯湯タンク内においてレジオネラ菌などの繁殖を抑制する必要があり、一般的には沸き上げ温度を60℃以上とすることで対策している。沸き上げ温度を60℃以上とすることで、レジオネラ菌などの繁殖を抑制できるとされているからである。
ここで、「昼間沸き上げ温度が低い場合」の定義は、「第一の目標温度となる昼間沸き上げ温度」が、第二の目標である給湯温度、つまり40℃以下の場合であるとする。「昼間沸き上げ温度が高い場合」の定義は、「第一の目標温度となる昼間沸き上げ温度」が、第二の目標温度である追い焚きに使用可能な給湯温度、つまり55℃以上の場合であるとする。なお、いずれの場合であっても基準となる給湯温度は、厳密にその温度値である必要はなく、多少の幅があってもよい。また、給湯温度とは、湯張り給湯端末30に供給される湯水の温度のことを意味している。
昼間沸き上げ温度が低い場合は、昼間沸き上げ時のヒートポンプ効率が改善される一方で、追い焚き用の高温熱源が昼間に確保できない。そのため、夜間の沸き上げで追い焚き熱源を確保する必要がある。結果、放熱によるエネルギーロスを見込んだ沸き上げ温度設定及び熱量確保が必要となり、図5の実線で示すように沸き上げ熱量が増加する傾向にある。
昼間沸き上げ温度が高い場合は、昼間沸き上げ時のヒートポンプ効率は制御1と比較して低くなるため、昼間沸き上げでの消費電力は多くなる。一方で、追い焚き用の高温熱源が昼間に確保できる。そのため、制御1と比較すると放熱によるエネルギーロスが低減され、深夜の沸き上げ熱量を低下させることが可能となり、図5の点線で示すように制御1と比較すると沸き上げ熱量の総量は少なくできる。また、追い焚き熱源を昼間に確保することで、深夜の沸き上げ目標温度を低く設定が可能であり、効率が高くなる。
沸き上げ時に外気温度が与える給湯装置100のヒートポンプ効率の影響を説明する。給湯装置100では常に温水を生成するため、室外機は放熱器あるいは蒸発器として機能し、外気を冷却して再び外気に放出する。したがって、外気温度が高いほど、交換熱量に必要な蒸発温度が高くできる。そのため、冷凍サイクルから見ると、圧縮機の仕事率が低下し、効率が上昇する結果、消費電力は低下する。
外気温度が変化することによる給湯装置100への影響を説明する。一般に、外気温度は昼間上昇し、夜間低下する。冷凍サイクルの特性から、同じ沸き上げ温度目標であっても、外気温度の高い昼間沸き上げの方が冷凍サイクルの高効率化となる。そのため、消費電力は昼間沸き上げの方が低減する。
一般には、深夜時間帯、例えば午後11:00~午前7:00までの時間帯の使用電力を増加し、電力供給の負荷平準化を目的として、深夜電力料金は昼間よりも安価な場合が多くなることが多い。したがって、深夜沸き上げでは、効率が昼間沸き上げよりも低い場合でも、コストは深夜沸き上げの方が安価となる可能性がある。このことから、深夜電気料金が安価な場合は、深夜の沸き上げ熱量、及び、目標温度が高くなる制御1に優位性がある。
タンク断熱性能が高いと貯湯タンク10からの放熱量が低減するため、放熱によるエネルギーロスが低減する。特に深夜沸き上げの場合は、貯湯タンク10内で貯湯する時間が長く、断熱性能によって大きく放熱量が変化する。貯湯タンク10の断熱性能が高いほど、深夜沸き上げによって放熱によるエネルギーロスが低減されるため、深夜沸き上げ温度が高くなる制御1の優位性が高くなる。
生活パターンの給湯装置100への影響をJIS試験規格のように夜に湯張り運転をする場合と、朝に湯張り運転をする場合とで比較して説明する。夜間に湯張り運転する場合には、貯湯タンク10内に深夜に沸き上げた熱量を蓄熱する時間が長くなるため、放熱によるエネルギーロスが発生する時間が長くなる。つまり、制御2に優位性が発生する。一方で、朝に湯張り運転をする場合には、蓄熱時間が短く、放熱によるエネルギーロスの発生時間が短くなる。つまり、制御1に優位性が発生する。
ステップS1では、制御1での運転を一定期間行い、1日ごとの沸き上げ熱量、消費電力量、及び、電力コストを取得する。一定期間とは、制御1での運転を少なくとも1日以上継続した期間であるものとする。また、制御1での運転で得られた1日ごとの沸き上げ熱量、消費電力量、及び、電力コストのデータは、運転履歴データとして書き換え可能に制御装置60に記憶される。
ステップS2では、制御1でのエネルギー効率及びコスト効率を計算する。具体的には、ステップS1で取得した値を用いてエネルギー効率E1及びコスト効率C1を算出する。エネルギー効率E1は沸き上げ熱量を消費電力量で割った値とし、コスト効率C1は沸き上げ熱量を電力コストで割った値とする。
ステップS3では、制御2での運転を一定期間行い、1日ごとの沸き上げ熱量、消費電力量、及び、電力コストを取得する。この時、初期の沸き上げ量などは、ステップS1における制御1での運転履歴データを参照する。一定期間とは、制御2での運転を少なくとも1日以上継続した期間であるものとする。また、制御2での運転で得られた1日ごとの沸き上げ熱量、消費電力量、及び、電力コストのデータは、運転履歴データとして書き換え可能に制御装置60に記憶される。さらに、制御2は、制御1の後に実行される。
ステップS4では、制御2でのエネルギー効率及びコスト効率を計算する。具体的には、ステップS3で取得した値を用いてエネルギー効率E2及びコスト効率C2を算出する。エネルギー効率E2は沸き上げ熱量を消費電力量で割った値とし、コスト効率C2は沸き上げ熱量を電力コストで割った値とする。
ステップS5は、制御判定ステップであり、エネルギー効率E1とエネルギー効率E2とを比較、もしくは、コスト効率C1とコスト効率C2とを比較して、制御1のステップS6へ進むか、制御2のステップS7に進むかを判断する。
具体的には、エネルギー効率E1がエネルギー効率E2よりも大きいもしくはコスト効率C1がコスト効率C2よりも大きい場合はステップS6に進み、逆の場合はステップS7へ進む。また、コスト効率C1とコスト効率C2もしくはエネルギー効率E1とエネルギー効率E2が、同等の値をとった場合は、制御1を優先し、ステップS6に進むようにする。こうすると、時間当たりの蓄熱量及びタンク内の高温水の量が多く確保できるため、湯切れ体力を向上させることができる。
ステップS6では、制御1での運転に切り換えて、昼間沸き上げ温度が低い運転を継続する。
ステップS7では、制御2での運転に切り換えて、昼間沸き上げ温度が高い運転を継続する。
外気環境、ユーザ使用状況、及び、電力料金体系によって、昼間沸き上げ温度の最適値が変わるが、給湯システム1000によれば、実際の運転から制御を判断するため、適宜、最適化が可能となり、エネルギー消費の低減及びコストの低減が達成可能となる。
実施の形態2では実施の形態1との相違点を中心に説明する。また、実施の形態2に係る給湯システムの基本構成は、実施の形態1に係る給湯システム1000と同じであるため、システムの基本的な構成について説明は省略するものとする。
実施の形態2に係る給湯システムは、殺菌デバイス及び昼間沸き上げ温度最適化制御2を備えている点で、実施の形態1に係る給湯システム1000と相違している。
実施の形態2に係る給湯システムでは、紫外線などの殺菌作用のあるデバイスを出湯配管に組み込むことによって、出湯配管内を通過する湯水に含まれているレジオネラ菌などの雑菌を殺菌することを可能としている。こうすることで、実施の形態2に係る給湯システムでは、一度加熱後に繁殖した雑菌を殺菌することが可能となる。
図7は、本発明の実施の形態2に係る給湯システムが実行する制御判定の際の処理の流れを示すフローチャートである。図7に基づいて、実施の形態2に係る給湯システムが実行する昼間沸き上げ温度最適化制御2について説明する。なお、図7に示す各ステップは、制御装置60により実行される。
ステップS3Aでは、沸き上げ必要熱量及び追い焚き必要熱量を計算する。具体的には、ステップS2Aで得た情報を元に、沸き上げ運転及び追い焚き運転に必要な熱量を計算する。計算結果は、ステップS4Aにて使用する。
ステップS4Aでは、制御2における深夜沸き上げ必要温度Tnを計算する。具体的には、ステップS3Aで得られた沸き上げ必要熱量及び追い焚き必要熱量を元に、深夜沸き上げ必要温度Tnを計算する。深夜沸き上げ必要温度Tnは、貯湯タンク10の容量、必要熱量、出湯温度、及び、追い焚き時の熱源温度から算出する。
ステップS5Aでは、殺菌デバイスの有無を判定して確認する。殺菌デバイスが配置されている場合にはステップS6Aに進み、殺菌デバイスが配置されていない場合にはステップS7Aへ進む。
ステップS6Aでは、深夜沸き上げ温度下限値Tmin1を設定する。つまり、殺菌デバイスが配置されているため、湯水をレジオネラ菌などの繁殖を抑制する温度、例えば60℃程度まで加熱する必要がなく、下限温度を予め定めた基準値よりも低くすることが可能となる。ここでは、追い焚きが可能である温度を深夜沸き上げ温度下限値Tmin1、例えば55℃程度と設定することで、制御2の深夜沸き上げをさらに高効率化している。
ステップS7Aでは、深夜沸き上げ温度下限値Tmin2を設定する。つまり、殺菌デバイスが配置されていないため、下限温度を予め定めた基準値よりも低くすることができず、湯水をレジオネラ菌などの繁殖を抑制する温度、例えば、60℃程度まで加熱する必要がある。したがって、深夜沸き上げ温度下限値Tmin2は、60℃程度に設定される。なお、深夜沸き上げ温度下限値Tmin2は、厳密に60℃である必要はなく、レジオネラ菌を殺菌できる温度であればよい。
ステップS8Aでは、深夜沸き上げ温度の判定を行う。具体的には、ステップS4Aで計算された深夜沸き上げ必要温度Tnと、ステップS6Aで設定された深夜沸き上げ温度下限値Tmin1もしくはステップS7Aで設定された深夜沸き上げ温度下限値Tmin2と、を比較する。TnがTmin1もしくはTmin2以下の場合はステップS9Aへ進み、nがTmin1もしくはTmin2よりも高い場合はステップS10Aへ進む。
ステップS9Aでは、沸き上げ温度を修正して設定する。TnがTmin1又はTmin2よりも低い場合に、Tn=Tmin1もしくはTmin2に修正する。これにより、追い焚きに必要な温度を担保しながら深夜沸き上げ温度の低温化、つまり予め定めた基準値よりも温度を低くすることが可能となる。
ステップS10Aでは、深夜沸き上げ温度設定をTnとして制御2の状態を一定期間運転する。
実施の形態2に係る給湯システムによれば、制御2での深夜沸き上げ温度を低下させることが可能であり、制御2の深夜沸き上げ制御を高効率化し、追い焚き熱源を確保することが可能となる。そのため、実施の形態2に係る給湯システムでは、エネルギー消費の低減もしくはコストの低減が可能となる。また、実施の形態2に係る給湯システムによれば、殺菌デバイスの配置によって、さらに沸き上げ温度下限値を低下させることができ、さらにエネルギー消費の低減もしくはコストの低減が可能となる。
Claims (8)
- 貯湯タンクと、
前記貯湯タンクに貯留された湯水が供給される給湯端末と、
前記貯湯タンクに貯留する湯水を沸き上げる熱交換器を備えたヒートポンプと、
前記ヒートポンプを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
昼間に行う沸き上げ運転での第一の目標温度が、前記給湯端末での第二の目標温度よりも低い第一の沸き上げ制御と、
昼間に行う沸き上げ運転での第一の目標温度が、前記給湯端末での第二の目標温度よりも高い第二の沸き上げ制御と、を有し、
前記第一の沸き上げ制御の実行で得られた運転履歴及び前記第二の沸き上げ制御の実行で得られた運転履歴から前記ヒートポンプのエネルギー効率及びコスト効率を計算し、
前記ヒートポンプのエネルギー効率の比較もしくは前記コスト効率の比較から前記第一の沸き上げ制御または前記第二の沸き上げ制御を選択する
給湯システム。 - 前記制御装置は、
前記第一の沸き上げ制御及び前記第二の沸き上げ制御を一日以上実行させて、それぞれの前記運転履歴を得る
請求項1に記載の給湯システム。 - 前記制御装置は、
前記運転履歴を得る際に、
前記第一の沸き上げ制御を実行した後に、前記第二の沸き上げ制御を実行する
請求項1又は2に記載の給湯システム。 - 前記制御装置は、
前記ヒートポンプのエネルギー効率の比較もしくは前記コスト効率の比較から、前記ヒートポンプのエネルギー効率の差もしくは前記コスト効率の差が予め定めた基準値以下であった場合には、前記第一の沸き上げ制御を選択する
請求項1~3のいずれか一項に記載の給湯システム。 - 前記制御装置は、
前記第一の沸き上げ制御で得られた沸き上げ熱量に基づき、前記第二の沸き上げ制御での深夜における沸き上げ温度を予め定めた基準値よりも低く設定する
請求項1~4のいずれか一項に記載の給湯システム。 - 前記制御装置は、
前記貯湯タンクと前記給湯端末とを接続している給湯配管に殺菌デバイスが設置されているか否かによって、前記第二の沸き上げ制御での深夜における沸き上げ温度の下限値を変化させる
請求項1~5のいずれか一項に記載の給湯システム。 - 前記制御装置は、
前記殺菌デバイスが設置されている場合には、前記下限値を予め定めた基準値よりも低く設定する
請求項6に記載の給湯システム。 - 前記制御装置は、
前記殺菌デバイスが設置されていない場合には、前記下限値を60℃に設定する
請求項6に記載の給湯システム。
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