JP3550336B2 - 冷暖房システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の負荷状態の変動に応じて最適な冷暖房用の熱媒供給を行う冷暖房システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は従来の冷暖房システムの一例を示す構成説明図であり、図10、図11はそれぞれ従来の冷暖房システムにおける台数制御動作、変流量制御動作を示すフローチャートである。
【0003】
図9の冷暖房システムにおいて、熱源側装置として冷温水発生機11、熱源側冷温水搬送装置として冷温水一次ポンプ12が並列して複数台設けられ、負荷側装置として空調機13、負荷側冷温水搬送装置として冷温水二次ポンプ14が設けられる。冷温水一次ポンプ12および冷温水二次ポンプ14には、吐出量を可変にするポンプ可変流量制御装置15が設けられる。16、17はそれぞれ冷温水発生機11からの冷水または温水を混合させる往一次ヘッダ、往二次ヘッダであり、18は冷温水発生機11へ戻る冷水または温水を混合させる還ヘッダである。バイパス管19は送水管20および還水管21を連結するように、望ましくは往一次ヘッダ16および還水管21、または、往一次ヘッダ16および還ヘッダ18を連結するように設けられる。22は空調機13への送水温度を測定する送水温度センサー、23は空調機13からの還水温度を測定する還水温度センサー、24、25はそれぞれ負荷流量、バイパス流量を測定する流量計である。10は負荷側における送水圧力を測定する圧力センサーである。
【0004】
冷温水発生機11によって作られた冷水または温水は、冷温水一次ポンプ12により往一次ヘッダ16へ圧送され、さらに、冷温水二次ポンプ14により往二次ヘッダ17および送水管20を経由して空調機13へ圧送される。空調機13に送られた冷水または温水は、空調機13で熱交換をした後、還ヘッダ18および還水管21を経由して再び冷温水発生機11に戻ってくる。冷温水発生機11に搬送された冷暖房負荷は冷却水回路の冷却水ポンプおよび冷却塔(図示せず)を介して外界へ排出される。このとき、冷温水一次ポンプ12によって搬送される冷水または温水の流量と、冷温水二次ポンプ14によって搬送される冷水または温水の流量が平衡すると、バイパス管19の流量は0となるが、前者が後者よりも大きい場合は、バイパス管19には往一次ヘッダ16から還水管21へ向かう流れが形成され、反対に後者が前者よりも大きい場合は、バイパス管19には還水管21から往一次ヘッダ16へ向かう流れが形成される。省エネルギーの観点からは、バイパス管流量が0となるような運転が望ましい。
【0005】
26は空調機13の負荷状態の変動に応じて冷温水発生機11、冷温水一次ポンプ12、冷温水二次ポンプ14の最適な制御を行う熱源制御装置である。熱源制御装置26には、現在の負荷状態を計測する負荷計測部27と、現在のバイパス管流量を計測するバイパス管流量計測部28と、冷温水発生機11や冷温水二次ポンプ14の運転台数および冷温水一次ポンプ12や冷温水二次ポンプ14の制御信号を演算する台数制御・変流量制御演算部29と、冷温水発生機11や冷温水一次ポンプ12や冷温水二次ポンプ14に対する制御信号を出力する制御出力部30が実装される。必要に応じて、熱源制御装置26に将来の負荷状態の変動を予測する負荷予測部31を実装することもある。
【0006】
冷暖房システムの台数制御は図10に示すフローチャートのように実施される。すなわち、例えば負荷状態を表す指標を負荷熱量とする場合は、熱源制御装置26の負荷計測部27では、送水温度センサー22、還水温度センサー23、流量計24による計測値である送水温度、還水温度、負荷流量を用いて冷暖房システムの運転状態を取得し、現在の負荷熱量(負荷熱量=負荷流量×往還水温度差)を計算するとともに、必要に応じて、負荷予測部31にて、現在から指定時間前まで(回帰範囲)の負荷熱量を直線回帰し、これに基づいて現在から指定時間後(予測対象)の負荷熱量を予測する。そして、計測された負荷熱量または予測された負荷熱量と冷温水発生機運転台数の対応関係を規定する各増減段要求の判断式を照合することによって、負荷状態に見合った冷温水発生機11の運転台数を決定する。現在の運転台数と比較し、決定された運転台数と現在の運転台数が異なるとき、熱源制御装置26は台数制御・変流量制御演算部29および制御出力部30を介して冷温水発生機11の増段または減段を実施する。また、台数制御・変流量制御演算部29では、冷温水発生機11の場合と同様に負荷状態に応じた冷温水二次ポンプ14の運転台数を演算し、制御出力部30を介して冷温水二次ポンプ14の制御を実施する。
【0007】
冷暖房システムの変流量制御は台数制御・変流量制御演算部29において図11に示すフローチャートのように実施される。すなわち、冷温水一次ポンプ12の変流量制御演算を行う場合は、流量計25による計測値を用いてバイパス管流量を計測するとともに、予め設定したバイパス管流量目標値を取得し、この目標値に基づくPID制御によるポンプ操作量の演算およびその上下限チェックを行った後にポンプ操作量を決定する。この演算処理では、通常、バイパス管流量が0となるように冷温水一次ポンプ12の制御出力が演算される。また、冷温水二次ポンプ14の変流量制御演算を行う場合は、圧力センサー10による計測値を用いて送水圧力を計測するとともに、予め設定した送水圧力目標値を取得し、この目標値に基づくPID制御による冷温水二次ポンプ操作量の演算およびその上下限チェックを行った後にポンプ操作量を決定する。この演算処理では、通常、送水圧力が負荷状態の変動に対応して定まる値となるように冷温水二次ポンプ14の制御出力が演算される。そして、演算されたこれらの制御出力に基づき、制御出力部30およびポンプ可変流量制御装置15を介して冷温水一次ポンプ12や冷温水二次ポンプ14の変流量制御が実施される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の冷暖房システムでは、負荷側の冷暖房負荷に応じた冷温水の供給を行うことによって、負荷側冷温水搬送装置のみならず、熱源側冷温水搬送装置の動力削減を図ることが可能となる反面、冷温水発生機内を通過する冷温水流量が過小になると冷凍サイクルが不安定となって冷温水発生機に異常をきたすため、冷温水発生機が稼働している間は所定の最低流量を確保するように熱源側冷温水搬送装置を制御する必要があった。このため、負荷側が低負荷になるとき、すなわち、負荷側で必要とする流量が冷温水発生機の最低流量を下回るような負荷状態のときは、熱源側冷温水搬送装置の吐出量が負荷側冷温水搬送装置の吐出量よりも大きくなるためにバイパス管を経由して冷温水発生機に戻る無駄な冷温水が生じ、搬送動力の削減が十分に達成されないという問題点があった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、建物の負荷状態の変動に応じて最適な冷暖房用の熱媒供給を行うことにより、経済性と省エネルギー性に優れた冷暖房システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、冷温水を循環供給させて建物の冷暖房を行う冷暖房システムであって、冷暖房負荷を処理する負荷側装置および負荷側冷温水搬送装置と、前記負荷側装置および負荷側冷温水搬送装置に冷温水を供給する第1の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置と、送水側管路および還水側管路を連結するバイパス管と、負荷側の送水側管路または還水側管路に設けられた熱交換器を介して、前記負荷側装置および負荷側冷温水搬送装置に冷温水を供給する第2の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置と、冷温水を循環供給させるように制御を行う熱源制御装置とを備え、前記熱源制御装置は、前記冷暖房負荷が第1の熱源側装置1台分の許容最低流量時の製造熱量に基づいて設定される下限値を下回るときに第1の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置を停止させるとともに第2の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置を稼動させ、前記バイパス管を送水側管路または還水側管路の一部として使用することによって冷温水を循環供給させて建物の冷暖房を行うことを特徴とするものである。
【0013】
また本発明は、前記冷暖房システムにおいて、前記熱源制御装置は、さらに、前記冷暖房負荷が第1の熱源側装置n台分の定格運転時の製造熱量に基づいて設定される上限値を上回るときに第1の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置、ならびに、第2の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置を稼動させることを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。図中、同一部分は同一符号を付してその説明を省略する。
【0017】
図1は本発明の第一の実施形態例に係る冷暖房システムを示す構成説明図であり、図2、図3、図4はそれぞれ本発明の第一の実施形態例に係る冷暖房システムの台数制御動作、変流量制御動作、低負荷制御動作を説明するフローチャートである。
【0018】
図1において、11は冷温水発生機、12は冷温水一次ポンプ、13は空調機、14は冷温水二次ポンプである。冷温水発生機11は複数台が並列して設けられ、それぞれに冷温水一次ポンプ12が対応して設けられる。16、17はそれぞれ冷温水発生機11からの冷水または温水を混合させる往一次ヘッダ、往二次ヘッダであり、18は冷温水発生機11へ戻る冷水または温水を混合させる還ヘッダである。バイパス管19は、往一次ヘッダ16および還水管21、または、往一次ヘッダ16および還ヘッダ18を連結するように設けられる。負荷側の還水管21には熱交換器33が設けられ、この熱交換器33を介して蓄熱槽34および放熱ポンプ35が設けられる。15はポンプ可変流量制御装置であり、冷温水一次ポンプ12および冷温水二次ポンプ14および放熱ポンプ35に対応して設けられる。22は空調機13への送水温度を測定する送水温度センサー、23は空調機13からの還水温度を測定する還水温度センサー、24、25はそれぞれ負荷流量、バイパス流量を測定する流量計である。10は負荷側における送水圧力を測定する圧力センサーである。
【0019】
本実施形態例において、第1の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置は冷温水発生機11および冷温水一次ポンプ12であり、第2の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置は蓄熱槽34および放熱ポンプ35である。これらの装置のうち、冷暖房負荷が低負荷でないときは冷温水発生機11および冷温水一次ポンプ12が稼動し、冷暖房負荷が低負荷であるときは蓄熱槽34および放熱ポンプ35が稼動する。
【0020】
第1の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置である冷温水発生機11および冷温水一次ポンプ12を運転させる場合の冷暖房システムの動作は次のようになる。すなわち、冷温水発生機11によって作られた冷水または温水は、冷温水一次ポンプ12により往一次ヘッダ16へ圧送され、さらに、冷温水二次ポンプ14により往二次ヘッダ17および送水管20を経由して空調機13へ圧送される。空調機13に送られた冷水または温水は、空調機13と熱交換をした後、還ヘッダ18および還水管21を経由して再び冷温水発生機11に戻ってくる。冷温水発生機11に搬送された冷暖房負荷は冷却水回路の冷却水ポンプおよび冷却塔(図示せず)を介して外界へ排出される。このとき、冷温水一次ポンプ12によって搬送される冷水または温水の流量と、冷温水二次ポンプ14によって搬送される冷水または温水の流量が平衡すると、バイパス管19の流量は0となるが、前者が後者よりも大きい場合は、バイパス管19には往一次ヘッダ16から還水管21へ向かう流れが形成され、反対に後者が前者よりも大きい場合は、バイパス管19には還水管21から往一次ヘッダ16へ向かう流れが形成される。
【0021】
一方、第2の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置である蓄熱槽34および放熱ポンプ35を運転させる場合の冷暖房システムの動作は次のようになる。すなわち、蓄熱槽34に蓄えられた冷水または温水は、放熱ポンプ35により熱交換器33へ送られ、還水管21を流れる冷水または温水と熱交換した後、再び蓄熱槽34に戻ってくる。熱交換器33を介して還水管21側で作られた冷水または温水はバイパス管19を経由して往一次ヘッダ16へ送られ、さらに、冷温水二次ポンプ14により往二次ヘッダ17および送水管20を経由して空調機13へ圧送される。空調機13に送られた冷水または温水は、空調機13と熱交換した後、再び熱交換器33に戻ってくる。このとき、熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置として冷温水発生機11および冷温水一次ポンプ12を運転させる場合と異なり、バイパス管19には還水管21から往一次ヘッダ16へ向かう流れが常に形成される。すなわち、バイパス管19は送水管の一部として機能することになる。
【0022】
26は空調機13の負荷状態の変動に応じて冷温水発生機11、冷温水一次ポンプ12、冷温水二次ポンプ14、放熱ポンプ35の最適な制御を行う熱源制御装置である。熱源制御装置26には、現在の負荷状態を計測する負荷計測部27と、現在のバイパス管流量を計測するバイパス管流量計測部28と、冷温水発生機11や冷温水二次ポンプ14の運転台数および冷温水一次ポンプ12や冷温水二次ポンプ14の制御信号を演算する台数制御・変流量制御演算部29と、負荷状態が低負荷である場合の冷温水発生機11、冷温水一次ポンプ12、冷温水二次ポンプ14、放熱ポンプ35の制御信号を演算する低負荷制御演算部32と、冷温水発生機11や冷温水一次ポンプ12や冷温水二次ポンプ14や放熱ポンプ35に対する制御信号を出力する制御出力部30が実装される。必要に応じて、熱源制御装置26に将来の負荷状態の変動を予測する負荷予測部31を実装しても良い。
【0023】
負荷計測部27および負荷予測部31では、負荷状態を表す指標として負荷熱量や送水圧力を用い、現在および将来の負荷状態を検知する。検知された負荷状態は、バイパス管流量計測部28によって計測されたバイパス管流量値とともに、台数制御・変流量制御演算部29および低負荷制御演算部32へ入力される。台数制御・変流量制御演算部29ではこれらの負荷情報に基づいて冷温水発生機11や冷温水二次ポンプ14の適切な運転台数を決定するとともに、冷温水一次ポンプ12および冷温水二次ポンプ14の適切な変流量制御出力を決定する。低負荷制御演算部32ではこれらの負荷情報に基づいて冷温水発生機11および冷温水一次ポンプ12による冷温水供給を行うか、蓄熱槽34および放熱ポンプ35による冷温水供給を行うかを選択するとともに、冷温水二次ポンプ14の適切な運転台数、冷温水二次ポンプ14および放熱ポンプ35の適切な変流量制御出力をそれぞれ決定する。台数制御・変流量制御演算部29または低負荷制御演算部32によって決定された最新の運転情報は制御出力部30へ出力され、制御出力部30は冷温水発生機11、冷温水一次ポンプ12、冷温水二次ポンプ14、放熱ポンプ35に対する適切な制御信号をポンプ可変流量制御装置15に出力する。
【0024】
冷暖房システムの台数制御は図2に示すフローチャートのように実施される。すなわち、例えば負荷状態を表す指標を負荷熱量とする場合は、熱源制御装置26の負荷計測部27では、送水温度センサー22、還水温度センサー23、流量計24による計測値である送水温度、還水温度、負荷流量を用いて冷暖房システムの運転状態を取得し、現在の負荷熱量(負荷熱量=負荷流量×往還水温度差)を計算するとともに、必要に応じて、負荷予測部31にて、現在から指定時間前まで(回帰範囲)の負荷熱量を直線回帰し、これに基づいて現在から指定時間後(予測対象)の負荷熱量を予測する。そして、低負荷制御中でなく、かつ、低負荷制御が可能でない場合には、計測された負荷熱量または予測された負荷熱量と冷温水発生機運転台数の対応関係を規定する各増減段要求の判断式を照合することによって、負荷状態に見合った冷温水発生機11の運転台数を決定する。現在の運転台数と比較し、決定された運転台数と現在の運転台数が異なるとき、熱源制御装置26は台数制御・変流量制御演算部29および制御出力部30を介して冷温水発生機11の増段または減段を実施する。また、台数制御・変流量制御演算部29では、冷温水発生機11の場合と同様に負荷状態に応じた冷温水二次ポンプ14の運転台数を演算し、制御出力部30を介して冷温水二次ポンプ14の制御を実施する。一方、低負荷制御中であるか又は低負荷制御が可能である場合には、熱源制御装置26の低負荷制御演算部32は第2の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置である蓄熱槽34および放熱ポンプ35により熱交換器33に冷温水供給を行うように冷暖房システムを動作させて低負荷制御を実施する。
【0025】
冷暖房システムの変流量制御は台数制御・変流量制御演算部29において図3に示すフローチャートのように実施される。すなわち、冷温水一次ポンプ12の変流量制御演算を行う場合は、流量計25による計測値を用いてバイパス管流量を計測するとともに、予め設定したバイパス管流量目標値を取得し、この目標値に基づくPID制御によるポンプ操作量の演算およびその上下限チェックを行った後にポンプ操作量を決定する。この演算処理では、通常、バイパス管流量が0となるように冷温水一次ポンプ12の制御出力が演算される。また、冷温水二次ポンプ14の変流量制御演算を行う場合は、圧力センサー10による計測値を用いて送水圧力を計測するとともに、予め設定した送水圧力目標値を取得し、この目標値に基づくPID制御によるポンプ操作量の演算およびその上下限チェックを行った後にポンプ操作量を決定する。この演算処理では、例えば送水圧力が負荷状態の変動に対応して定まる値になるように冷温水二次ポンプ14の制御出力が演算される。さらに、放熱ポンプ35の変流量制御演算を行う場合は、送水温度センサー22による計測値を用いて送水温度を計測するとともに、予め設定した送水温度目標値を取得し、この目標値に基づくPID制御によるポンプ操作量の演算およびその上下限チェックを行った後にポンプ操作量を決定する。この演算処理では、例えば送水温度が7℃となるように放熱ポンプ35の制御出力が演算される。そして、演算されたこれらの制御出力に基づき、制御出力部30およびポンプ可変流量制御装置15を介して冷温水一次ポンプ12や冷温水二次ポンプ14や放熱ポンプ35の変流量制御が実施される。
【0026】
冷暖房システムの低負荷制御は図4に示すフローチャートのように実施される。すなわち、低負荷制御中であり、低負荷制御が可能である場合には、図3の中央部に示すように、放熱ポンプ35の変流量制御を実施する。また、低負荷制御中であり、低負荷制御が可能でない場合には、冷温水発生機11および補機(冷温水一次ポンプ12、冷却水ポンプ)を起動し、放熱ポンプ35を停止する。また、低負荷制御中でなく、低負荷制御が可能である場合には、冷温水発生機11および補機(冷温水一次ポンプ12、冷却水ポンプ)を停止し、放熱ポンプ35を起動する。ここで、低負荷制御実施の可否は、計測された負荷熱量または予測された負荷熱量が、予め設定した所定の下限値を下回るか否かに基づいて決定することができる。この下限値は、冷温水発生機1台分の許容最低流量時の製造熱量を基準として設定すると良い。例えば、冷温水発生機11稼動時の許容最低流量が定格運転時の流量の60%ならば、定格運転時の製造熱量の60%の値を下限値として採用する。
【0027】
図5は本発明の第二の実施形態例に係る冷暖房システムを示す構成説明図である。図中、同一部分は同一符号を付してその説明を省略する。図5では図1と比較すると、図1の蓄熱槽34に代えてヒートポンプ36を設け、図1の放熱ポンプ35に代えて循環ポンプ37を設け、熱交換器38を還水管21の一部に並設された負荷側サブ配管39に設け、還水管21または負荷側サブ配管39に流路を切り替えるバルブ401,402,403を設ける。すなわち、本実施形態例において、第1の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置は冷温水発生機11および冷温水一次ポンプ12であり、第2の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置はヒートポンプ36および循環ポンプ37である。これらの装置のうち、冷暖房負荷が低負荷でないときはバルブ401,403を閉じ、バルブ402を開いて冷温水発生機11および冷温水一次ポンプ12が稼動し、冷暖房負荷が低負荷であるときはバルブ401,403を開き、バルブ402を閉じてヒートポンプ36および循環ポンプ37が稼動する。
【0028】
第2の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置であるヒートポンプ36および循環ポンプ37を運転させる場合の冷暖房システムの動作は次のようになる。すなわち、ヒートポンプ36によって作られた冷水または温水は、循環ポンプ37により熱交換器38へ送られ、負荷側サブ配管39を流れる冷水または温水と熱交換される。熱交換器38を介して負荷側サブ配管39側で作られた冷水または温水はバイパス管19を経由して往一次ヘッダ16へ送られ、さらに、冷温水二次ポンプ14により往二次ヘッダ17および送水管20を経由して空調機13へ圧送される。空調機13に送られた冷水または温水は、空調機13と熱交換した後、再び熱交換器38に戻ってくる。このとき、熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置として冷温水発生機11および冷温水一次ポンプ12を運転させる場合と異なり、バイパス管19には還水管21から往一次ヘッダ16へ向かう流れが常に形成される。すなわち、バイパス管19は送水管の一部として機能することになる。
【0029】
26は空調機13の負荷状態の変動に応じて冷温水発生機11、冷温水一次ポンプ12、冷温水二次ポンプ14、循環ポンプ37の最適な制御を行う熱源制御装置である。熱源制御装置26には、現在の負荷状態を計測する負荷計測部27と、現在のバイパス管流量を計測するバイパス管流量計測部28と、冷温水発生機11や冷温水二次ポンプ14の運転台数および冷温水一次ポンプ12や冷温水二次ポンプ14の制御信号を演算する台数制御・変流量制御演算部29と、負荷状態が低負荷である場合の冷温水発生機11、冷温水一次ポンプ12、冷温水二次ポンプ14、循環ポンプ37の制御信号を演算する低負荷制御演算部32と、冷温水発生機11や冷温水一次ポンプ12や冷温水二次ポンプ14や循環ポンプ37に対する制御信号を出力する制御出力部30が実装される。必要に応じて、熱源制御装置26に将来の負荷状態の変動を予測する負荷予測部31を実装しても良い。
【0030】
負荷計測部27および負荷予測部31では、負荷状態を表す指標として負荷熱量や送水圧力を用い、現在および将来の負荷状態を検知する。検知された負荷状態は、バイパス管流量計測部28によって計測されたバイパス管流量値とともに、台数制御・変流量制御演算部29および低負荷制御演算部32へ入力される。台数制御・変流量制御演算部29ではこれらの負荷情報に基づいて冷温水発生機11や冷温水二次ポンプ14の適切な運転台数を決定するとともに、冷温水一次ポンプ12および冷温水二次ポンプ14の適切な変流量制御出力を決定する。低負荷制御演算部32ではこれらの負荷情報に基づいて冷温水発生機11および冷温水一次ポンプ12による冷温水供給を行うか、ヒートポンプ36および循環ポンプ37による冷温水供給を行うかを選択するとともに、冷温水二次ポンプ14の適切な運転台数、冷温水二次ポンプ14および循環ポンプ37の適切な変流量制御出力をそれぞれ決定する。台数制御・変流量制御演算部29または低負荷制御演算部32によって決定された最新の運転情報は制御出力部30へ出力され、制御出力部30は冷温水発生機11、冷温水一次ポンプ12、冷温水二次ポンプ14、循環ポンプ37に対する適切な制御信号をポンプ可変流量制御装置15に出力する。
【0031】
図6は本発明の第三の実施形態例に係る冷暖房システムを示す構成説明図である。図中、同一部分は同一符号を付してその説明を省略する。図6では図1と比較すると、図1の蓄熱槽34に代えて冷温水発生機11の冷却塔41を熱源とし、図1の放熱ポンプ35に代えて冷却水ポンプ42を使用し、熱交換器43を還水管21の一部に並設された負荷側サブ配管44に設け、還水管21または負荷側サブ配管44に流路を切り替えるバルブ461,462,463と、冷却塔側サブ配管45または冷却水配管47に流路を切り替えるバルブ464,465,466,467をそれぞれ設ける。すなわち、本実施形態例において、第1の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置は冷温水発生機11および冷温水一次ポンプ12であり、第2の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置は冷却塔41および冷却水ポンプ42である。これらの装置のうち、冷房負荷が低負荷でないときはバルブ462,463,464,465を閉じ、バルブ461,466,467を開いて冷却水の流路を冷温水発生機11側に切り替え、冷温水発生機11および冷温水一次ポンプ12が稼動し、冷房負荷が低負荷であるときはバルブ462,463,464,465を開き、バルブ461,466,467を閉じて冷却水の流路を熱交換器43側に切り替え、冷却塔41、冷却水ポンプ42および熱交換器43が稼動する。
【0032】
第2の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置である冷却塔41および冷却水ポンプ42を運転させる場合の冷暖房システムの動作は次のようになる。すなわち、冷却塔41によって作られた冷水は、冷却水ポンプ42により熱交換器43へ送られ、負荷側サブ配管44を流れる冷水と熱交換される。熱交換器43を介して負荷側サブ配管44側で作られた冷水はバイパス管19を経由して往一次ヘッダ16へ送られ、さらに、冷温水二次ポンプ14により往二次ヘッダ17および送水管20を経由して空調機13へ圧送される。空調機13に送られた冷水は、空調機13と熱交換した後、再び熱交換器43に戻ってくる。このとき、熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置として冷温水発生機11および冷温水一次ポンプ12を運転させる場合と異なり、バイパス管19には還水管21から往一次ヘッダ16へ向かう流れが常に形成される。すなわち、バイパス管19は送水管の一部として機能することになる。
【0033】
26は空調機13の負荷状態の変動に応じて冷温水発生機11、冷温水一次ポンプ12、冷温水二次ポンプ14、冷却水ポンプ42の最適な制御を行う熱源制御装置である。熱源制御装置26には、現在の負荷状態を計測する負荷計測部27と、現在のバイパス管流量を計測するバイパス管流量計測部28と、冷温水発生機11や冷温水二次ポンプ14の運転台数および冷温水一次ポンプ12や冷温水二次ポンプ14の制御信号を演算する台数制御・変流量制御演算部29と、負荷状態が低負荷である場合の冷温水発生機11、冷温水一次ポンプ12、冷温水二次ポンプ14、冷却水ポンプ42の制御信号を演算する低負荷制御演算部32と、冷温水発生機11や冷温水一次ポンプ12や冷温水二次ポンプ14や冷却水ポンプ42に対する制御信号を出力する制御出力部30が実装される。必要に応じて、熱源制御装置26に将来の負荷状態の変動を予測する負荷予測部31を実装しても良い。
【0034】
負荷計測部27および負荷予測部31では、負荷状態を表す指標として負荷熱量や送水圧力を用い、現在および将来の負荷状態を検知する。検知された負荷状態は、バイパス管流量計測部28によって計測されたバイパス管流量値とともに、台数制御・変流量制御演算部29および低負荷制御演算部32へ入力される。台数制御・変流量制御演算部29ではこれらの負荷情報に基づいて冷温水発生機11や冷温水二次ポンプ14の適切な運転台数を決定するとともに、冷温水一次ポンプ12および冷温水二次ポンプ14の適切な変流量制御出力を決定する。低負荷制御演算部32ではこれらの負荷情報に基づいて冷温水発生機11および冷温水一次ポンプ12による冷温水供給を行うか、冷却塔41および冷却水ポンプ42による冷水供給を行うかを選択するとともに、冷温水二次ポンプ14の適切な運転台数、冷温水二次ポンプ14および冷却水ポンプ42の適切な変流量制御出力をそれぞれ決定する。台数制御・変流量制御演算部29または低負荷制御演算部32によって決定された最新の運転情報は制御出力部30へ出力され、制御出力部30は冷温水発生機11、冷温水一次ポンプ12、冷温水二次ポンプ14、冷却水ポンプ42に対する適切な制御信号をポンプ可変流量制御装置15に出力する。
【0035】
なお、本発明の冷暖房システムを低負荷対応用途のみならず、冷暖房負荷が全ての冷温水発生機11によって作られた冷水または温水のみで賄えないときのピーク負荷対応用途として運用することも可能である。一般に、ピーク負荷対応として新たな熱源側装置を増設する場合、増設による経済的負担や既設制御系への影響に加えて設備稼動率が低下するという問題が生じるが、本発明の冷暖房システムを低負荷対応およびピーク負荷対応として効率的に運用することにより、それらの問題は解消される。図7、図8はそれぞれ本発明の第一の実施形態例に係る冷暖房システムの他の台数制御動作、ピーク負荷制御動作を説明するフローチャートである。この場合、ピーク負荷対応用途として運用することができる冷暖房システムの構成は、図1の低負荷制御演算部32をピーク負荷制御演算部に置き換えることにより構成される。
【0036】
冷暖房システムの台数制御は図7に示すフローチャートのように実施される。すなわち、例えば負荷状態を表す指標を負荷熱量とする場合は、熱源制御装置26の負荷計測部27では、送水温度センサー22、還水温度センサー23、流量計24による計測値である送水温度、還水温度、負荷流量を用いて冷暖房システムの運転状態を取得し、現在の負荷熱量(負荷熱量=負荷流量×往還水温度差)を計算するとともに、必要に応じて、負荷予測部31にて、現在から指定時間前まで(回帰範囲)の負荷熱量を直線回帰し、これに基づいて現在から指定時間後(予測対象)の負荷熱量を予測する。そして、ピーク負荷制御中でなく、かつ、ピーク負荷制御が必要でない場合には、計測された負荷熱量または予測された負荷熱量と冷温水発生機運転台数の対応関係を規定する各増減段要求の判断式を照合することによって、負荷状態に見合った冷温水発生機11の運転台数を決定する。現在の運転台数と比較し、決定された運転台数と現在の運転台数が異なるとき、熱源制御装置26は台数制御・変流量制御演算部29および制御出力部30を介して冷温水発生機11の増段または減段を実施する。また、台数制御・変流量制御演算部29では、冷温水発生機11の場合と同様に負荷状態に応じた冷温水二次ポンプ14の運転台数を演算し、制御出力部30を介して冷温水二次ポンプ14の制御を実施する。一方、ピーク負荷制御中であるか又はピーク負荷制御が必要である場合には、熱源制御装置26は、台数制御・変流量制御演算部29で全ての冷温水発生機11および冷温水一次ポンプ12を稼動させると共に、低負荷制御演算部32に換えて設けるピーク負荷制御演算部は蓄熱槽34および放熱ポンプ35により熱交換器33に冷温水供給を行うように冷暖房システムを動作させてピーク負荷制御を実施する。
【0037】
冷暖房システムのピーク負荷制御は図8に示すフローチャートのように実施される。すなわち、ピーク負荷制御中であり、ピーク負荷制御が必要である場合には、図3の中央部に示すように、放熱ポンプ35の変流量制御を実施する。また、ピーク負荷制御中であり、ピーク負荷制御が必要でない場合には、冷温水発生機11および補機(冷温水一次ポンプ12、冷却水ポンプ)を起動し、放熱ポンプ35を停止する。また、ピーク負荷制御中でなく、ピーク負荷制御が必要である場合には、冷温水発生機11および補機(冷温水一次ポンプ12、冷却水ポンプ)の動作を継続すると共に、放熱ポンプ35を起動して蓄熱槽34および放熱ポンプ35により熱交換器33に冷温水供給を行う冷暖房システムを動作させるピーク負荷制御を実施する。ここで、ピーク負荷制御実施の可否は、計測された負荷熱量または予測された負荷熱量が、予め設定した所定の上限値を上回るか否かに基づいて決定することができる。この上限値は、例えば、冷温水発生機全台数分の定格運転時の製造熱量を基準として設定しても良いし、また、冷暖房負荷の増加に伴って稼動させる冷温水発生機を2台から3台に増段する必要がある場合に、直ちに3台目の冷温水発生機が起動することを防止する目的で、冷温水発生機2台分の定格運転時の製造熱量を基準として設定しても良い。
【0038】
なお、冷暖房システムの実施態様は前述した実施形態例に限定されるものではなく、例えば、熱交換器や負荷側サブ配管を送水管20側に設けても良いし、また、第2の熱源側装置としてボイラーやコージェネレーションシステムを設けて温水供給のみを行う熱源としても良い。さらに、熱源制御装置26に低負荷制御演算部32とピーク負荷制御演算部の双方を実装して、低負荷対応およびピーク負荷対応をいずれも実施できるようにしても良い。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、2組の熱源側装置および熱源側搬送装置を設けることにより、低負荷対応に起因する熱源側装置の最低流量制約や、ピーク負荷対応に起因する低稼動率問題に縛られることなく、建物の負荷状態の変動に応じた最適な冷暖房用の熱媒供給を行うことが可能となり、経済性と省エネルギー性に優れた冷暖房システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態例に係る冷暖房システムを示す構成説明図である。
【図2】本発明の第一の実施形態例に係る冷暖房システムの台数制御動作を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の第一の実施形態例に係る冷暖房システムの変流量制御動作を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の第一の実施形態例に係る冷暖房システムの低負荷制御動作を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第二の実施形態例に係る冷暖房システムを示す構成説明図である。
【図6】本発明の第三の実施形態例に係る冷暖房システムを示す構成説明図である。
【図7】本発明の第四の実施形態例に係る冷暖房システムの台数制御動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第四の実施形態例に係る冷暖房システムのピーク負荷制御動作を説明するフローチャートである。
【図9】従来の冷暖房システムを示す構成説明図である。
【図10】従来の冷暖房システムの台数制御動作を説明するフローチャートである。
【図11】従来の冷暖房システムの変流量制御動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
11 冷温水発生機
12 冷温水一次ポンプ
13 空調機
14 冷温水二次ポンプ
15 ポンプ可変流量制御装置
16 往一次ヘッダ
17 往二次ヘッダ
18 還ヘッダ
19 バイパス管
20 送水管
21 還水管
22 送水温度センサー
23 還水温度センサー
24 流量計
25 流量計
26 熱源制御装置
27 負荷計測部
28 バイパス管流量計測部
29 台数制御・変流量制御演算部
30 制御出力部
31 負荷予測部
32 低負荷制御演算部
33 熱交換器
34 蓄熱槽
35 放熱ポンプ

Claims (2)

  1. 冷温水を循環供給させて建物の冷暖房を行う冷暖房システムであって、
    冷暖房負荷を処理する負荷側装置および負荷側冷温水搬送装置と、
    前記負荷側装置および負荷側冷温水搬送装置に冷温水を供給する第1の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置と、
    送水側管路および還水側管路を連結するバイパス管と、
    負荷側の送水側管路または還水側管路に設けられた熱交換器を介して、前記負荷側装置および負荷側冷温水搬送装置に冷温水を供給する第2の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置と、
    冷温水を循環供給させるように制御を行う熱源制御装置とを備え、
    前記熱源制御装置は、前記冷暖房負荷が第1の熱源側装置1台分の許容最低流量時の製造熱量に基づいて設定される下限値を下回るときに第1の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置を停止させるとともに第2の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置を稼動させ、前記バイパス管を送水側管路または還水側管路の一部として使用することによって冷温水を循環供給させて建物の冷暖房を行うことを特徴とする冷暖房システム。
  2. 前記熱源制御装置は、さらに、前記冷暖房負荷が第1の熱源側装置n台分の定格運転時の製造熱量に基づいて設定される上限値を上回るときに第1の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置、ならびに、第2の熱源側装置および熱源側冷温水搬送装置を稼動させることを特徴とする請求項1記載の冷暖房システム。
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