JP7063934B2 - 歯科用治療器 - Google Patents
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Description
人の歯が虫歯を病み、歯の神経b8に到達した細菌が根管b9を通って歯根周囲に到達すると、歯槽骨b6に病原因子を放出して、骨を溶かし吸収する。これを根尖病変という。図6において、太点線は根尖病変部Cを示している。
しかしながら、いったん抜歯すると、二度と歯を再生できないので、抜歯しないで治療できれば、その方が好ましい。
この従来技術は、通電により発熱する金属製の電極をもつ能動針電極を用いるもので、歯の根管に電極を差し込んで病変部に届かせ加熱する。病変部は加熱されると熱凝固され、歯根周辺の細菌も死滅させることができる。したがって、病変組織を切開する必要がない点で優れている。
第2発明の歯科治療器は、第1発明において、前記電極は、基部が太く先端が細いテーパー形状であることを特徴とする。
第3発明の歯科治療器は、第1発明において、前記電極は、基部と先端が同径のストレート形状であることを特徴とする。
第4発明の歯科治療器は、第2または第3発明において、前記電極は、スパイラル形状に形成されていることを特徴とする。
a)能動針電極を歯の歯根に差し込み、対極を人の口に取付け通電制御器から通電すると、能動針電極と対極との間に電流が流れる。それにより電極における絶縁被覆層の無い先端部のみを発熱させることができ、根尖病変部の治療をすることができる。
b)電極の先端部が根尖部から突き抜けて病変部に届くと、電極の先端部が無負荷状態になるので、根尖を貫いた電極の先端部が湾曲して根尖部の外面に接触する。この状態で、電極を回転させると根尖部外面にこびりついた細菌をそぎ落とすことができる。そのうえで通電を続けば細菌を死滅させ根尖病変部を凝固・殺菌させることができる。
第2発明によれば、電極がテーパー形状であって先端がしなりやすいので歯の根管内に挿入しやすく、しかも基部が太いので折損なども生じにくい。
第3発明によれば、ストレート形状であると、全長にわたって強度が高いので折損などの不具合が生じにくい。
第4発明によれば、電極がスパイラル状であると、柔軟性が高いので真直ぐでない根管内への挿入が容易に行える。
まず、本発明の一実施形態に係る歯科治療器を構成する能動針電極Aを説明する。図において、1は電極、2はハンドル部、3は絶縁被覆層であり、この3部材で能動針電極Aが構成されている。
電極1は、通電により発熱する金属針であって、無負荷で先端部1aが湾曲した形状の超弾性合金からなる。
ハンドル部2は、医療従事者が能動針電極Aを取り扱いしやすくするために電極1の基部に形成されている。このハンドル部2は、通電時に手に熱を伝えない材料、たとえばシリコンなどで、指先で持ちやすい大きさと形に形成されている。
絶縁被覆層3は絶縁剤を用いた被覆層であって電極1の大部分(先端部1aを除いた部分)の外面を被覆している。
電極1の先端部1aは外力を加えない状態では、図1の点線で示すように、湾曲している。ただし、外力を加えると真直ぐになる。真直ぐにする外力は小さい力でよく、たとえば歯の根管内を通すときに根管の内壁から受ける力で真直ぐに曲げられる程度でよい。なお、ここでいう「真直ぐ」とは、幾何学的な真直を意味するものではなく、多少湾曲していても根管内を通せる程度に直線に近い形状を含む意味である。
電極1の長さL1は、10.0~40.0mmの範囲が好ましく、30.0mm位が最も好ましい。この長さであると、歯の根管を通し、歯根周囲まで深く、電極1の先端部1aを届かすことができる。一方、10.0mmより短いと歯根周囲まで届かず歯の再生治療を行うことができない。逆に40.0mmより長いと、電極1の湾曲、破折などの問題を生じ、扱いにくくなる。
このように加熱部位を狭い範囲に限定することで、歯根上方を不要に加熱することなく、小さな電力で根尖病変部を加熱し、病原因子を加熱凝固・殺菌させることができる。
さらに、各針状は、同(C)図に示すようにスパイラル形状にしてもよい。スパイラル形状はテーパー針にもストレート針にも適用できる。スパイラル状のものとしては、針状部材の外周に溝をスパイラル状に形成したものでもよく、さらに薄帯板をスパイラル状に巻き付けたものでもよい。電極1がスパイラル形状であると、柔軟性が高くなり曲がった根管用でも挿入が容易となる。
ストレート形状の電極1は、全長にわたって強度が高いので折損などの不具合が生じにくい。
絶縁被覆層3を構成する絶縁剤は市販の絶縁コーティング剤をとくに制限なく使用できる。代表的には、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、シリコン、パリレン(日本パリレン合同会社の登録商標)などの各樹脂がある。
図3において、10は対極であって電極1との間で電流を流すために使用される。対極10の形状は任意であって、板状や棒状のものが特に制約なく使用される。対極10を治療する歯と同側の口角に引っ掛けるためフック11が用いられるが、フック11の形状も任意である。また、フック以外の任意の器具を用いてもよい。
一方、電極1の根元には、通電線を固定するクリップ12が止められる。
そして、対極10とクリップ12との間には通電線を介して通電制御器13が接続されている。
治療時には、電極1における先端部1aの発熱温度は100℃以上にするのが好ましい。
図4において、Tは歯、b9は根管、Cは根尖病変部である。図示のごとく、能動針電極Aの電極1は歯Tの根管b9を通して病変部Cまで差し込まれる。なお、歯冠aには必要に応じ歯科治療器具で突孔される。
電極1の先端部1aは常態では湾曲している(図では根管内壁と区別しやすいように、電極1を真直に描いている)が、根管b9への挿入中は根管b9の内壁に当たって湾曲具合は矯正される。そして、電極1が細く湾曲しやすいことから、根管b9が曲がっていても、根管b9の奥深く差し込むことができ、また、電極1自体が充分な長さを有しているので、電極1の先端部1aを根尖部より先に届かせることができる。
なお、電極1の根管b9への挿入には、筒状のスリーブをガイドとして用いてもよく、その実施形態も本発明に含まれる。スリーブを根管b9に差し込み、そのスリーブに電極1を挿入するようにすると、先端部1aが湾曲していても挿入が容易に行える。
(治療条件)
治療条件と治療結果を表1に示す。
表の氏名欄には、治験者14名の氏名をアルファベットの頭文字で示した。
治療日数は1日1回である。電極1への通電は、電流値が50mAから150mA位の範囲のトーンバースト波を用いた。通電時間と通電回数は表1のとおりであり、電極1の温度は100℃以上となった。なお、電極温度が治療に効果的な100℃以上になるなら、電流は前記範囲に限られない。
表1に示すように、14名の全ての治験者の根尖病変は6例が消滅し、8例が縮小している。病変部が縮小した8例も更に長期に経過観察すれば消滅したと考えられる。以上の結果から、治療が有効であることが分かる。
1 電極
2 ハンドル部
3 絶縁被覆層
13 通電制御器
B 歯科治療器
Claims (4)
- 能動針電極と、該能動針電極との間で電流を通すための対極と、前記能動針電極および前記対極との間での通電を制御する通電制御器とからなり、
前記能動針電極は、細長い形状の電極と、該電極の基部に取付けたハンドル部と、該電極の先端部を除く部位に形成された絶縁被覆層とからなり、
前記電極は、通電により発熱し、かつ先端部は無負荷で湾曲した形状となる超弾性合金で形成されている
ことを特徴とする歯科治療器。 - 前記電極は、基部が太く先端が細いテーパー形状である
ことを特徴とする請求項1記載の歯科治療器。 - 前記電極は、基部と先端が同径のストレート形状である
ことを特徴とする請求項1記載の歯科治療器。 - 前記電極は、スパイラル形状に形成されている
ことを特徴とする請求項2または3記載の歯科治療器。
Priority Applications (1)
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JP2020081687A JP7063934B2 (ja) | 2020-05-07 | 2020-05-07 | 歯科用治療器 |
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JP2021176346A JP2021176346A (ja) | 2021-11-11 |
JP7063934B2 true JP7063934B2 (ja) | 2022-05-09 |
Family
ID=78408989
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2020081687A Active JP7063934B2 (ja) | 2020-05-07 | 2020-05-07 | 歯科用治療器 |
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Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2000515398A (ja) | 1996-06-07 | 2000-11-21 | ペルドミーニ,エンリコ | 高周波電流を使用して歯を蘇生する装置 |
JP2009515640A (ja) | 2005-11-18 | 2009-04-16 | アペクサム リミテッド | 歯根尖病巣の除去のために特に有用な切除装置 |
JP2010252997A (ja) | 2009-04-24 | 2010-11-11 | Toshihiko Tominaga | 歯槽骨再生装置 |
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2020
- 2020-05-07 JP JP2020081687A patent/JP7063934B2/ja active Active
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