JP4469015B1 - 歯槽骨再生装置 - Google Patents

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【課題】歯周組織を減菌し、骨芽細胞を活性化させることによって、歯槽骨の再生治療が可能な歯槽骨再生器具および歯槽骨再生装置を提供する。
【解決手段】通電により発熱する金属製の電極からなる能動針電極1と、能動針電極1の基部に取付けたハンドル部3とからなり、能動針電極1は、長さが25.0〜41.0mm、直径が0.08〜0.47mmであり、能動針電極1には、剥離可能なシリコン樹脂で被覆2が形成されている。能動針電極1は、基部が太く先端が細いテーパ状であり、先端の直径が0.08〜0.15mmである。この能動針電極1に通電すると直径が細いことから高い温度で発熱し、この高温および電気エネルギーで歯根周囲の細菌を死滅し、骨芽細胞を活性化させることができ、歯槽骨を再生させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、歯槽骨再生装置に関する。さらに詳しくは、吸収された歯槽骨を健全な状態に再生させる治療器具に関する。
人の歯の構造は、歯牙の根元が歯槽骨にとり囲まれ、歯槽骨によって支持され、顎骨の骨体部に結合されている。また、歯肉は歯槽骨の上部で歯牙をとり囲んでいる。人の歯が虫歯を病み、歯の神経に到達した細菌が根管を通って歯根周囲に到達すると、歯槽骨に病原因子を放出して、骨を溶かし吸収する。これを根尖病変という。
根尖病変により歯槽骨が吸収されていくと、歯は歯槽骨による支持力を失って動揺する。そして、歯槽骨が歯根の2/3まで、あるいは骨吸収が8mmまで吸収されると、抜歯となるのが、現状の治療法である。
しかしながら、いったん抜歯すると、二度と歯を再生できないので、抜歯しないで治療できれば、その方が好ましい。
上記のような根尖病変を治療する従来技術として、特許文献1の技術がある。
この装置は、図7に示すように、病んだ歯の脈管神経束を治療して失活させるための装置(10)であり、歯に在る開口に挿入する針の形状を成す第1電極(100)と、患者の身体に取付けるための第2電極(64)及びこの第2電極(64)に電気的接続する手握用ニュートラルハンドル(60)との間に電気的に接続する電気回路からなる。この電気回路は、第1の電極(100)に接触する脈管神経束を破壊あるいは凝集させる高周波パルスを生成するRFパルサ部とを備え、第2電極(64)を患者の唇に取付けて、歯の歯根尖に繋がる根管で案内される第1電極(100)の先端位置の計測をして、高周波パルスを前記RFパルサ部から第1電極(100)に送出するものである。
しかるに、上記従来技術では、歯髄を失活させるだけで、根尖病変を治癒することはできない。つまり、病んだ歯槽骨を再生治療することはできない。
特許第4041165号公報
本発明は上記事情に鑑み、歯周組織を減菌し、骨芽細胞を活性化させることによって、歯槽骨の再生治療が可能な歯槽骨再生装置を提供することを目的とする。
第1発明の歯槽骨再生装置は、歯槽骨再生器具と、該歯槽骨再生器具に通電する通電制御器からなり、前記歯槽骨再生器具は、通電により発熱する金属製の電極からなる能動針電極と、該能動針電極の基部に取付けたハンドル部とからなり、前記能動針電極は、長さが25.0〜41.0mm、直径が0.08〜0.47mmであり、前記能動針電極には、任意の部位を剥がし取ることが可能なシリコン樹脂で被覆が形成されており、前記通電制御器が、トーンバースト波の電流を供給するものであることを特徴とする。
第2発明の歯槽骨再生装置は、第1発明において、前記能動針電極は、スパイラル状に形成されていることを特徴とする。
第3発明の歯槽骨再生装置は、第1または第2発明において、前記能動針電極は、基部が太く先端が細いテーパ状であることを特徴とする。
第4発明の歯槽骨再生装置は、第1、2または第3発明において、前記能動針電極の先端の直径が0.08〜0.15mmであることを特徴とする
第1発明によれば、つぎの効果を奏する。
a)能動針電極の直径が0.08〜0.47mmであるので、歯の根管に通すことができ、長さが25.0〜41.0mmであるので能動針電極の先端を歯根周囲に届かすことができる。そして、この能動針電極に通電すると直径が細いことから高い温度で発熱し、この高温および電気エネルギーで歯根周囲の細菌を死滅し、骨芽細胞を活性化させることができる。このように細菌を死滅させ、骨芽細胞を活性化させると根尖病変が治癒機転を起こし、歯槽骨を再生させることができる。
b)能動針電極の被覆の破り取る部位を少しづづ変えて、病変部の違う部位に加熱治療を施すことができる。
c)通電制御器から供給する電流がトーンバースト波であって、波形間が断続しているので、病変組織を切開することなく熱凝固させることができる。
第2発明によれば、能動針電極がスパイラル状なので被覆が密着しやすく、被覆が勝手に剥がれるのを防止できる。
第3発明によれば、能動針電極がテーパ状であって先端が細いので歯の根管内に挿入しやすく、しかも基部は太いので損傷なども生じにくくなっている。
第4発明によれば、能動針電極の先端が、0.08〜0.15mmと非常に細いので、歯の根管内に無理なく通すことができる。
本発明の歯槽骨再生装置を構成する歯槽骨再生器具Aの説明図である。 本発明の歯槽骨再生器具Aを用いた治療法の説明図である。 本発明の歯槽骨再生器具Aを用いた治療法の説明図である。 本発明の歯槽骨再生器具Aを用いた治療法の説明図である。 発明の歯槽骨再生装置を用いた治療結果を示す表である。 本発明の歯槽骨再生装置を用いた治療結果を示す写真である。 従来の根尖病変治療装置の説明図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する
発明の歯槽骨再生装置は、歯槽骨再生器具Aと、これに通電する通電制御器からなる。歯槽骨再生器具Aは、病変し骨吸収が生じている歯槽骨を再生させるための治療器具である。
図1に基づき本発明の一実施形態に係る歯槽骨再生器具Aを説明する。1は能動針電極、2は被覆、3はハンドル部である。
能動針電極1は、通電により発熱する金属であって、腐食せず生体適合性の高いものが用いられる。そのような金属としては、ステンレススチールやニッケルチタンなどがある。
能動針電極1の長さは、25.0〜41.0mmの範囲が好ましく、31.0mm位が最も好ましい。この長さであると、歯の根管を通し、歯根周囲まで深く、能動針電極1の先端を届かすことができる。一方、25.0mmより短いと歯根周囲まで届かず歯の再生治療を行うことができない。逆に41.0mmより長いと、能動針電極の湾曲、破折などの問題を生じ、扱いにくくなる。
能動針電極1の直径は、0.08〜0.47mmが好ましく、0.10mm位が最も好ましい。この直径であると、歯の根管に無理なく通すことができ、治療に必要な発熱もさせやすい。0.08mmより外径が小さいと剛性が低くなり、折れやすく、扱いにくくなる。逆に0.47mmより大きいと、根管を通しにくかったり、充分な発熱量が得られない。
能動針電極1は、基部が太く先端が細いテーパ状にすると、先端ほどしなりやすくなって歯の根管に通しやすくなる。テーパは、1/100〜6/100が好ましく、とくに2/100位が適当である。
能動針電極1は、基部から先端まで断面が円形のままの針状であってもよいが、スパイラル状のものであってもよい。スパイラル状のものとしては、針状部材の外周に溝をスパイラル状に形成したものでもよく、さらに薄帯板をスパイラル状に巻き付けたものでもよい。
スパイラル状に形状した場合は、後述する被覆2が密着しやすく、被覆2が勝手に剥がれるのを防止できるメリットがある。
被覆2は、前記能動針電極1の外面を被覆している。
その材料はめくり取れる材料であることが好ましく、たとえば、シリコン樹脂などが用いられ、被覆2の形成には、塗布や噴霧などが用いられる。
この被覆2は、同時に根尖病変部内で焼成する場所を特定する役目を負っている。つまり、被覆2を1.0mm程度破り取り能動針電極1を露出させると、その部位のみ周囲の病変部に熱を伝達させることができる。通常は、能動針電極1の先端部の被覆2のみを、1mm位剥がして、先端から発熱させるようにし、能動針電極1自体の差し込み位置を深くしたり浅くしたりして、治療部位を変えていく。しかし、被覆2の破り取る部位を少しづづ変えて、能動針電極1を差し込んで通電しても病変部の違う部位に加熱治療を施すことができる。
このように加熱部位を狭い範囲に限定することで、一時に多くの電流を流すことなく、病変部を治療することができる。ちなみに、能動針電極1の先端を5mm以上露出させると、発熱は生じない。
ハンドル部3は能動針電極1の基部に形成されている。
通電時に手に熱を伝えない材料が用いられ、たとえばシリコンなどで、指先で持ちやすいように形成される。
つぎに、歯槽骨再生器具Aに通電する通電制御器の使用法を説明する。
通電制御器は、直流または交流の電源(たとえば、家庭用100V電源)に接続して、歯槽骨再生器具Aに通電する機器であって、公知の電気回路で構成されている。また、この通電制御器は、歯槽骨再生器具Aに対し面積あるいは体積の大きい対極板とセットで用いられる。通電制御器に、歯槽骨再生器具Aと対極板を接続して通電すると、断面積の小さい能動針電極1で発熱し、その熱が被覆2を破り取った小さな部分から病変部に伝えられる。
治療時には、能動針電極1の発熱温度は40〜80℃位にするのが好ましく、そのため、ステンレス製で上記寸法の能動針電極1であると、80mAの電流を流せばよいが、これは家庭用100V電源で実現できる。
通電波形については、連続波よりトーンバースト波を用いるのが好ましい。連続波の電流を流すと組織は切開されるが、断続波形であるトーンバースト波を流すと組織は熱凝固するからである。本明細書にいうトーンバースト波とは、半波方形型の波形であり、各波形が断続したものをいい、アーク放電が発生しやすく放電個所近辺に蓄積されるという特徴がある。
たとえば、ワット数は20W±10%で、10パルス/0.1sの条件で1秒間通電すると(本明細書では、このような通電をワンショット通電という)、病変部の温度が40〜120℃位まで上昇するが、温度および電気エネルギーによって殺菌され、骨芽細胞が活性化される。それが骨再生につながると思われる。
本発明の歯槽骨再生器具Aの使用法を、図2〜図4に基づき説明する。
図2において、Tは歯、Pは根管、Sは病変部である。図示のごとく、歯槽骨再生器具Aの能動針電極1は歯Tの根管Pを通して病変部Sまで差し込まれている。つまり、能動針電極1の先端は病変部Sに届いている。本発明の能動針電極1は長く細いので、このように病変部Sまで届くのが、大きな特徴である。
図3に示すように、根管Pが曲っていても、能動針電極1が細く湾曲しやすいことから根管Pの奥深く差し込むことができ、図4に示すように病変部Sまでの根管Pの長さが長くても、能動針電極1自体が充分な長さを有しているので、能動針電極1の先端を病変部Sに届かせることができる。
図2に戻って説明すると、能動針電極1の先端部における1mm位の部分から被覆を剥がし取ると、その部分のみ発熱した熱を病変部Sに伝え、病変部Sを凝固させることができる。
上記のワンショット通電は、病変部(骨吸収部)に対して、2mm間隔で行う。つまり、病変部が深さ18mmあるとすると、その部分に2.0mm間隔位を離して、次々とワンショット通電するので、6〜7ショットの通電が行われる。病変部が8mm位の深さであると、4回のワンショット通電を行い、病変部が2mm直径であると、1回のワンショット通電を行う。
この治療法は、1回〜数回の通電を行うと、それで終了し、通電治療後は、詰め物で根管を封鎖する。よって、何日も通院する必要はなく、1回の通院で済む。
本発明の能動針電極1を用いた治療では、下記の2つの理由により、早期に骨再生が可能となる。
1)殺菌作用
根尖病変内の細菌を死滅させることにより、骨の吸収を抑制させる。
2)骨芽細胞の活性化
骨芽細胞ともうしまして、骨を作る細胞の増殖を促進する。
つぎに、本発明の歯槽骨再生装置を用いた治療例に基づき、骨再生効果を説明する。
(治療条件)
通法の歯内療法によっては、臨床症状が寛解されない難治性根尖病変を有する歯および歯槽骨吸収が著明で咬合力負担が不可能な歯を有する患者に対し、本発明の歯槽骨再生器具Aを用いて治療した。
(結果)
その治療結果を図5の表に示す。
表の氏名欄には、治験者42名の氏名をアルファベットの頭文字で示した。「Lesion」とは、歯根の周囲の骨が溶けてできた空洞を意味し、その分類の意味は下表のとおりである。また、図5の表で、「M」は経過月数を示す。通電は、いずれも500kHz×1秒の条件で行い、ショット数は(Lesion最大径÷2)である。
図5の表に示すように、42名の全ての治験者が空洞(Lesion)が小さくなっており、治療効果が有効であることが分る。
図6は、図5のNo.38の患者の歯槽骨を示す写真であり、左側は術前、右側は術後3カ月を示す。同図から明らかなように、歯槽骨の再生が根尖を中心に1.82mmの骨再生のあったことが認められる。
1 能動針電極
2 被覆
3 ハンドル部
A 歯槽骨再生器具

Claims (4)

  1. 歯槽骨再生器具と、該歯槽骨再生器具に通電する通電制御器からなり、
    前記歯槽骨再生器具は、通電により発熱する金属製の電極からなる能動針電極と、
    該能動針電極の基部に取付けたハンドル部とからなり、
    前記能動針電極は、長さが25.0〜41.0mm、直径が0.08〜0.47mmであり、
    前記能動針電極には、任意の部位を剥がし取ることが可能なシリコン樹脂で被覆が形成されており、
    前記通電制御器が、トーンバースト波の電流を供給するものである
    ことを特徴とする歯槽骨再生装置
  2. 前記能動針電極は、スパイラル状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の歯槽骨再生装置
  3. 前記能動針電極は、基部が太く先端が細いテーパ状である
    ことを特徴とする請求項1または2記載の歯槽骨再生装置
  4. 前記能動針電極の先端の直径が0.08〜0.15mmである
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の歯槽骨再生装置。
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