JP7063770B2 - 廃水処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、微生物を利用した廃水処理装置に関する。より具体的には、本発明は、生物学的な硝化および脱窒を同一槽内で効率的に行う廃水処理装置に関する。
我が国では、廃水中の窒素を処理する方法として、生物学的な硝化および脱窒を行う方法が多く採用されている。この生物学的な硝化および脱窒方法では、好気性微生物である硝化菌を用いてアンモニア性窒素を硝化した後、通性嫌気性微生物である脱窒菌を用いて、亜硝酸や硝酸性窒素を窒素ガスに還元する。しかしながらこの方法では、硝化のために多くのばっ気動力が必要になるという問題や、好気性の硝化槽と無酸素の脱窒槽とを分ける必要があるために槽の容積が大きくなるという問題があった。
特許文献1には、気体透過膜を利用してばっ気動力を不要とし、かつ廃水中の溶存酸素濃度の偏りを利用して、好気性部分と無酸素部分とを形成し、同一槽内で窒素を処理する方法が開示されている。
特許第3743771号明細書
しかしながら、特許文献1に開示されている方法では、好気性微生物は気体透過膜上に増殖できるのに対し、通性嫌気性微生物は、気体透過膜から離れた廃水中に浮遊状態で増殖するしかないため、微生物濃度が不足または変動し、脱窒性能が安定せず非効率であるという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、生物学的な硝化および脱窒を同一槽内で効率的に行う廃水処理装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は次の項に記載の主題を包含する。
(項1)
廃水処理槽の内部に貯留する廃水に含まれる好気性微生物および通性嫌気性微生物の作用により、窒素の硝化および脱窒を行う廃水処理装置であって、
前記廃水処理槽内に設けられ、前記廃水の水面から突出する開口から大気中の酸素を含む気体を取り込み、主に前記好気性微生物が増殖する表面と、主に前記好気性微生物が増殖する表面の下方に位置する、主に前記通性嫌気性微生物が増殖する表面とを有する、袋状の気体透過膜を備える廃水処理装置。
(項2)
前記廃水処理槽内に設けられ、主に前記通性嫌気性微生物が増殖する表面を有する接触材をさらに備える、項1に記載の廃水処理装置。
(項3)
前記接触材は、前記気体透過膜の下方に配置されている、項2に記載の廃水処理装置。
(項4)
処理水を循環する配管をさらに備える、項1から3のいずれかに記載の廃水処理装置。
(項5)
前記気体透過膜の前記開口へ送気する送風機をさらに備える、項1から4のいずれかに記載の廃水処理装置。
本発明によると、生物学的な硝化および脱窒を同一槽内で効率的に行う廃水処理装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る廃水処理装置の鉛直断面図である。 廃水処理装置に配置される気体供給体の鉛直断面図である。 廃水処理装置に配置される気体供給体の水平断面図である。 気体透過膜から形成された袋の内部に気体通過層を挿入する様子を示す模式図である。 図2の気体供給体を構成する気体通過層を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る廃水処理装置の鉛直断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る廃水処理装置の鉛直断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る廃水処理装置の鉛直断面図である。 本発明の第5の実施形態に係る廃水処理装置の鉛直断面図である。 本発明の第6の実施形態に係る廃水処理装置の鉛直断面図である。 本発明の第7の実施形態に係る廃水処理装置の鉛直断面図である。 本発明の第8の実施形態に係る廃水処理装置の鉛直断面図である。
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明および図面において、同じ符号は同じまたは類似の構成要素を示すこととし、よって、同じまたは類似の構成要素に関する重複した説明を省略する。
本発明に係る廃水処理装置は、廃水処理槽の内部に貯留する廃水に含まれる好気性微生物および通性嫌気性微生物の作用により、廃水に含まれる窒素の硝化および脱窒を行う。好気性微生物は、気体透過膜の表面に増殖する。通性嫌気性微生物は、好気性微生物が増殖する気体透過膜の表面の下方に位置する気体透過膜の表面に、または接触材の表面に増殖する。
好気性微生物が増殖する表面近傍での酸素濃度は、好ましくは、1.0mg/L以上であり、より好ましくは、2.0mg/L以上である。また、通性嫌気性微生物が亜硝酸性窒素又は硝酸性窒素ガスに置き換える表面近傍での酸素濃度は、好ましくは、0.5mg/L以上~1.0mg/L以下である。
[第1の実施形態]
(廃水処理装置50)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る廃水処理装置の鉛直断面図である。
本発明の第1の実施形態では、気体透過膜21の表面の異なる場所に、好気性微生物と通性嫌気性微生物とを増殖させる。具体的には、気体通過層12の内部空間Sにおける、水深方向での酸素濃度の勾配を利用する。
図1に示すように、本実施形態の廃水処理装置50(50A)は、袋状の気体透過膜21を備えている。気体透過膜21は、開口21bを除く部分が廃水Wに浸かるように、廃水処理槽51内に設けられている。
気体透過膜21は、水面から突出する開口21bから大気中の酸素を含む気体(例えば、空気)を取り込む。窒素の硝化に必要な酸素は、気体通過層12の上部側(気体透過膜21の上部表面)から取り入れられる。開口21bは気体透過膜21の一端に設けられており、廃水W中に位置する他端は閉塞されている。
気体透過膜21は、好ましくは、気体通過層12を備える気体供給体10に設けられている。気体通過層12は、任意の構成であり、気体供給体10の内部に設置され、空気を取り入れる内部空間Sを保持する。
ここで、酸素が気体通過層12の底部まで拡散する速度が、微生物が廃水を硝化するために酸素を消費する速度よりも遅い場合には、気体通過層12の内部空間Sの酸素濃度に勾配が発生する。例示的には、酸素濃度は、例えば上部側(気体透過膜21の全長に対する深さ方向の長さの割合が30%以下の場合)において15~20%であり底部側において1~3%以下である。
このような酸素濃度の勾配の発生に伴い、気体透過膜21の表面の異なる場所に、好気性微生物と通性嫌気性微生物とが増殖する。気体通過層12の内部空間Sの上部側に位置する、酸素濃度が高い部分の気体透過膜21の表面には、主に(9割以上)好気性微生物である硝化菌が増殖する。気体通過層12の内部空間Sの下部側に位置する、酸素濃度がほとんどない部分の気体透過膜21の表面には、主に(9割以上)通性嫌気性微生物である脱窒菌が増殖する。
廃水Wは、本実施形態では廃水処理槽51の上部から供給され、下部から処理水Tとして放出される。まず、廃水処理槽51の上部では、酸素濃度が高い部分の気体透過膜21の表面に増殖する硝化菌の働きにより、廃水W中のアンモニア性窒素を亜硝酸、更には硝酸性窒素に硝化する。次に、廃水処理槽51の下部では、酸素濃度がほとんどない部分の気体透過膜21の表面に増殖する脱窒菌の働きにより、亜硝酸または硝酸性窒素を窒素ガスに還元する。これにより、廃水に含まれる窒素の硝化および脱窒が行われる。
なお、亜硝酸または硝酸性窒素を窒素ガスに還元する際には、廃水処理槽51の底部に沈殿した汚泥32の自己分解により生成される、BODとして表される有機物を水素供与体として利用することができる。汚泥32は、気体透過膜21から剥離した生物膜の残渣である。
酸素濃度勾配の具体的な測定例として、MABR(Membrane Aerated Biofilm Reactor)試験水槽に設置した気体供給体10における気体通過層12中の酸素濃度を測定した。測定は、有効水深が1.8mの試験水槽において行った。測定結果を表1に示す。廃水のBOD(Biochemical oxygen demand)濃度は、約2000mg/Lである。
Figure 0007063770000001
有効水深1.8mの試験水槽では、水面からの深さが735mmにおいて酸素濃度が1.2%まで低下している。酸素濃度が1~3%以下の環境では、好気性微生物は増殖することが困難である一方、通性嫌気性微生物は増殖することが可能である。よって、表1の測定例によると、水深約750mmを境に、気体透過膜21の表面の上方側では硝化菌が増殖することができ、気体透過膜21の表面の下方側では、脱窒菌が増殖することができる。
以下、廃水処理装置50の構成についてより具体的に説明する。
(廃水処理槽51)
図1に示すように、廃水処理槽51は、廃水Wを貯留可能な有底の容器であって、廃水Wを流入させる流入口51aと、廃水Wを流出させる流出口51bとを有している。
本実施形態では、流入口51aと流出口51bとは常時開放されている。廃水Wは、流入口51aから、当該流入口51aに対向する位置に配置された流出口51bに向かって、連続的、もしくは、断続的に供給される。
廃水処理槽51の容積については、特に限定されないが、例えば、1m以上10,000m以下の容積であればよい。例示的に、本実施形態では、廃水処理槽51の有効水深は約3mである。
(気体供給体10)
図1に示すように、廃水処理装置50の使用時には、廃水処理槽51の内部に複数の気体供給体10が並設される。各気体供給体10は、上端部分を除いた部分が廃水処理槽51の廃水W中に浸漬された状態で、開口21bから供給された気体を、廃水W中に供給する構造体である。気体供給体10を介して廃水W中に供給される気体は、酸素を含む気体(例えば空気)である。本実施形態では、開口21b付近の空気を開口21bに取り入れることで、ばっ気装置を使用せずに廃水W中に空気が供給される。これにより、気体透過膜21の表面には、好機性微生物が増殖し、水中に溶解、もしくは分散している汚泥物質が、上記微生物の活動で分解されて、廃水が浄化される。
各気体供給体10は、中空の平板状部材である。各気体供給体10は、廃水Wとの接触面積を効率的に確保するために、上下方向(深さ方向)と横方向(水平方向)とに沿って面が展開されるように配置される。
図2は、気体供給体10の鉛直断面図であり、図3は、気体供給体の水平断面図である。図4は、気体透過膜から形成された袋の内部に気体通過層を挿入する様子を示す模式図である。
気体供給体10は、気体通過層12と、気体透過膜21とを備えている。気体通過層12は、気体透過膜21によって構成される袋の中21aに配置されている。前記袋は、2枚の気体透過膜21,21を重ね合わせて、これら気体透過膜21,21の周縁の3方の端部21cを接着したものであり、上端部(気体通過層12における気体供給側の端部)に開口21bを有している。当該開口21bから気体通過層12が袋の内部に挿入されることで、気体通過層12の外周は気体透過膜21で覆われる。なお開口21bの位置あるいは形状は限定されず、例えば袋の各端(袋の上辺、底辺、横辺(縦のライン)も含む)の一部が開口とされてもよい。
各気体供給体10は、これらの側面が略平行になるように配置されることが好ましい。廃水処理槽51に流入口51aや流出口51bが設けられることで、廃水Wの流れが生じる場合には、各気体供給体10は、廃水Wの流れを遮断しない方向に配列されることがさらに好ましい。特に、流入口51aと流出口51bとが対向して配置される場合には、流入口51aと流出口51bとを結ぶ直線に対して各気体供給体10の側面が平行になるように、各気体供給体10が配置されることが好ましい。このようにすることで、流入口51aから廃水処理槽51内に供給される廃水Wは、流出口51bに向けて円滑に流れる。
気体供給体10の間隔を、気体供給体10の厚みを含まない、隣り合う2つの気体供給体10の外面の間の間隔と定義すると、気体供給体10の間隔の下限は、5mm以上であることが好ましい。また気体供給体10の間隔の上限は、200mm以下であることが好ましい。気体供給体10の間隔が5mm未満である場合には、気体透過膜21上に増殖する微生物によって目詰まりを起こす恐れがある。気体供給体10の間隔が200mmを超える場合には、廃水との接触が悪くなる可能性がある。なお上記問題を確実に回避するために、気体供給体10の間隔の下限は15mm以上であることがより好ましく、気体供給体10の間隔の上限は50mm以下であることがより好ましい。
気体供給体10の上下方向(浸漬時の深さ方向)における長さは、0.6m以上4m以下であることが好ましい。気体供給体10の上下方向の長さが0.2m以上であることは、廃水処理槽51の設置面積当たりの気体供給体10の設置面積向上による廃水処理能向上効果をより良好に得る点で好ましい。なお当該観点において、より好ましくは、気体供給体10の上下方向の長さは0.8m以上とされ、さらに好ましくは1.2m以上とされる。また気体供給体10の上下方向の長さが4m以下であることは、気体供給体10への換気による廃水処理能向上効果をより良好に得る点、および設置容易性の点などで好ましい。また当該観点において、より好ましくは、気体供給体10の上下方向の長さは3m以下とされる。
気体供給体10の上下方向に直交する横方向の長さは、0.2m以上3.6m以下であることが好ましい。上記気体供給体10の上下方向に直交する横方向の長さが0.2m以上であることは、廃水Wとの接触面積を効率的に確保して廃水処理効率を向上させる点で好ましい。上記気体流路Sの横方向の長さが3.6m以下であることは、気体供給体10全体の強度維持容易性および気体供給体10の設置容易性の点などで好ましい。なお上記の観点において、上記気体供給体10の上下方向に直交する横方向の長さは、より好ましくは0.4m以上1.8m以下とされる。
(気体通過層12)
図5は、気体通過層12を示す斜視図である。気体通過層12は、中空板状部材であり、紙、樹脂、金属、無機材料のいずれかから形成される。気体通過層12は、第1端部から供給された気体が第1方向(図5の二点鎖線で示す方向)に沿って通過する気体流路Sを有する構造体である。開口21b近傍にある空気は、開口21b(図2)を介して気体通過層12の上端部に供給される。気体通過層12は、上端部に供給された気体が第1方向に通過する気体流路Sを有しており、側面の気体通過孔13から気体を放出する。
より具体的には図5に示すように、気体通過層12は、複数の芯材12aと、表ライナ12bと、裏ライナ12cと、を有している。気体通過層12の表裏面は、板状の部材である表ライナ12bや裏ライナ12cによって構成される。
複数の芯材12aは、それぞれ第1方向に延びるものであって、第1方向と直交する方向に所定の間隔をあけて配列される。これら複数の芯材12aが表ライナ12bと裏ライナ12cとの間に挟み込まれることで、表ライナ12bと裏ライナ12cとの間の空間が、芯材12aによって区画されて、複数の気体流路Sが形成される。
各芯材12aは、表ライナ12bおよび裏ライナ12c側から押圧された際に、表ライナ12bと裏ライナ12cとの間の空間が縮小しないように支持する支持部として機能する。図1に示すように気体供給体10が廃水W中に浸漬された状態では、芯材12aによって表ライナ12bと裏ライナ12cとの間の空間が保持されることで、気体流路Sの断面積が水圧によって縮小することが防止される。これにより、気体通過層12(気体流路S)における気体通過量が十分に確保される。
表ライナ12bおよび裏ライナ12cには、それぞれ複数の気体通過孔13が形成されている。気体通過孔13は、表ライナ12bおよび裏ライナ12cに形成された貫通孔である。当該気体通過孔13が気体流路Sと気体透過膜21とを連通させることで、気体流路Sを流れる気体は、気体透過膜21を介して廃水W中に供給される。
なお例えば、気体通過孔13は、気体通過層12の成形時に形成される。或いは気体通過層12の成形後に表ライナ12bや裏ライナ12cの加工が行われることで、気体通過孔13が形成されてもよい。また、表ライナ12bや裏ライナ12cとして多孔性シートが用いられてもよい。また十分な気体供給性能が得られれば、気体通過層12として多孔性シートが用いられてもよい。更に、気体流路Sに交差する方向(廃水Wの水面に対して水平方向)に気体透過孔13が形成されていても良い(図示せず)。この場合、各芯材12aに気体透過孔13を形成し、水平方向に気体を通過させる流路を設けることも可能である。
気体通過層12を構成する各部材の素材としては、紙、セラミック、アルミニウム、鉄、プラスチック(ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、メチルセルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂及びポリビニルブチラール樹脂)等が挙げられる。
なお強度面が優れることから、気体通過層12の素材は、紙、アルミニウム、鉄、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩ビ樹脂、ポリエステル樹脂であることが好ましい。
また材料コストを安価に抑える観点では、気体通過層12の素材として、例えば、紙、ポリオレフィン、ポリスチレン、塩ビ、ポリエステル等の樹脂、アルミニウム等の金属等を使用することが好ましい。また、気体流路Sが第1方向(図5中の二点鎖線参照)に延びるように形成された段ボールを気体通過層12として使用することでも、気体通過層12の材料コストを安価に抑えることができる。
当該気体通過層12の気体通過孔13の形状は、円形状、多角形状(ハニカム構造を含む)など様々な形状にすることができる。なお、気体通過孔13の形状を、多角形状にすることが好ましく、長方形もしくは正方形にすることがより好ましい。
気体通過層12内に形成される気体流路Sの上下方向(浸漬時の深さ方向)における長さは、0.2m以上6m以下であることが好ましい。気体流路Sの上下方向の長さが0.2m以上であることは、気体流路Sの維持を容易かつ気体流路Sの換気を容易にして廃水処理能を向上させる点で好ましい。なお当該観点において、より好ましくは、気体流路Sの上下方向の長さは、0.8m以上とされる。また気体流路Sの上下方向の長さが4m以下であることは、気体流路Sの換気による廃水処理能向上効果をより良好に得る点、および設置容易性の点などで好ましい。また当該観点において、より好ましくは、気体流路Sの上下方向の長さは2.5m以下とされる。
気体流路Sの上下方向に直交する横方向の長さは、0.2m以上3.6m以下であることが好ましい。上記気体流路Sの横方向の長さが0.2m以上であることは、廃水Wとの接触面積を効率的に確保して廃水処理効率を向上させる点で好ましい。上記気体流路Sの横方向の長さが3.6m以下であることは、気体供給体10全体の強度維持容易性および気体供給体10の設置容易性の点などで好ましい。なお上記の観点において、上記気体流路Sの横方向の長さは、より好ましくは0.4m以上1.8m以下とされる。
気体流路Sの長さLsに対する廃水Wへの接水長さLwの割合は、例えば、80%以上、95%以下であればよい(長さLs,Lwについては図1参照)。上記長さLsに対する接水長さLwの割合が上記下限値以上であることは、気体流路Sから供給される酸素量を良好に確保し廃水処理効率を向上させる点で好ましい。上記長さLsに対する接水長さLwの割合が上記上限値以下であることは、気体流路Sへの廃水Wの侵入を防ぐ点で好ましい。
あるいは、気体流路Sへの廃水Wの侵入を防ぐ点では、廃水Wの水面が気体供給体10(気体透過膜21)の開口21bから2cm以上離間するように接水長さLwが設定されてもよい。
(気体透過膜21)
気体透過膜21は、最外側層が液体(廃水W)に接触するように液体中(廃水W中)に浸漬された状態で、内側(気体通過層12)から外側(廃水W)へ酸素を透過させ、かつ外側(廃水W)から内側(気体通過層12)へ廃水を透過させない特性を有する。
図2に示すように、気体透過膜21は、基材211と、気体透過性無孔層212と、微生物支持層213とを含む。図示の例では、気体透過膜21は、微生物支持層213、基材211、気体透過性無孔層212の順に積層されており、基材211が気体透過性無孔層212で覆われるとともに、廃水Wに接触する最外側層が微生物支持層213によって構成されている。なお気体透過膜21は、基材211、気体透過性無孔層212、微生物支持層213の順に積層されたものであってもよい(図示の例とは逆に、基材211が、気体透過性無孔層212の内側に位置してもよい)。このようにしても、基材211を気体透過性無孔層212で覆い、廃水Wに接触する最外側層を微生物支持層213によって構成できる。
(基材211)
基材211は、熱可塑性樹脂から形成される微多孔膜である(前記微多孔膜とは、微細な貫通孔を多数設けた膜である)。基材211の素材として、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリメチルペンテン、ポリテトラフルオロエチレン、及びポリフッ化ビニリデンを含めたフッ素樹脂、ポリブタジエン、ポリ(ジメチルシロキサン)を含めたシリコーンベースのポリマー、およびこれらの材料のコポリマーから選ばれるポリマー材料を含む等を含んでもよい。
微多孔膜である基材211の製造方法は、特に限定されないが、例えば、相分離法、延伸開孔法、溶解再結晶法、粉末焼結法、発泡法、溶剤抽出のいずれかによって、基材211を製造できる。また基材211は、自己組織化ハニカム微多孔膜であってもよい。
基材211の厚みは、10μm以上500μm以下であることが好ましく、50μm以上200μm以下であることがより好ましい。基材211の厚さは、JIS1913:2010一般不織布試験方法6.1厚さの測定方法で測定される値である。
基材211の細孔径は、気体透過膜の欠陥を防止する観点から、0.01μm以上50μm以下であることが好ましく、高い強度と気体透過性を保持する観点から、0.1μm以上30μm以下であることがより好ましい。前記細孔径は、表面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、その観察像から以下に示す方法により求めた細孔径である。観察倍率は、観察する対象物の細孔径が適切に算出できる倍率であれば、任意の倍率で観察することができる。
<細孔径を求める方法>
SEM観察で得られた像について、2値化処理を行い、画像解析的に、細孔径を算出する。算出の際には、細孔径は楕円近似を行い、楕円の長軸の長さを細孔径として、その平均値を評価する。
(気体透過性無孔層212)
気体透過性無孔層212とは、前記基材の孔より径の小さい細孔径の孔を有するか、もしくは、目視では孔の径を検出できず、かつ、気体を透過可能な層である。気体透過性無孔層212の細孔径は、基材211の細孔径と同様の方法で測定できる。
気体透過性無孔層212は、酸素、二酸化炭素、窒素、水素、メタノール、エタノール等のアルコール類や有機溶剤、もしくはそれらの混合ガスを、透過可能な層である。当該層212の気体透過性はJIS K 7126に定めた方法で測定できる。
気体透過性無孔層212は、熱可塑性樹脂でもよく、熱硬化性樹脂でもよい。当該熱硬化性樹脂は、熱硬化する樹脂であってもよく、紫外線の照射で硬化する樹脂であってもよい。また、有機過酸化物架橋、付加反応架橋、縮合架橋により硬化する樹脂であってもよい。
気体透過性無孔層212の素材としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂および、これらの材料のコポリマーから選ばれる熱硬化性ポリマーを含んでもよい。また、(Si-O-Si)n(n=整数)のシロキサン骨格を有するポリマー(ジメチルシロキサン)などのシリコーンベースのシリコーン樹脂を用いることができる。これらの中でも、特に、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂を用いることが好ましい。
上記のポリウレタン樹脂としては、「アサフレックス 825」(旭化成社製)、「ペレセン 2363-80A」、「ペレセン 2363-80AE」、「ペレセン 2363-90A」、「ペレセン 2363-90AE」、(以上、ダウ・ケミカル社製)、「ハイムレンY-237NS」(大日精化工業社製)を用いることができる。
上記のシリコーン樹脂としては、「シラシール3FW」、「シラシールDC738RTV」、「DC3145」、及び「DC3140」(以上、ダウコーニング社製)、「ELASTOSIL RT707W」、「ELASTOSIL EL4300」、「NC1910」(旭化成ワッカーシリコーン社製)、「SD4584PSA」、「KS-847T」、「KF-2005」、「X-40-3237」、「KNS-3002」(信越化学社製)を用いることができる。シリコーン樹脂にはさらに、触媒を添加してもよい。触媒としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄、コバルト、錫などの有機酸塩、アミン系の触媒を用いることができる。また、有機錫化合物、有機チタン化合物、白金化合物も用いることができる。触媒としては、例えば、「CAT-PL-50T」(信越化学社製)を用いることができる。また、塗布の際には、トルエンやキシレン等の溶剤を添加してもよい。
気体透過性無孔層212の製造方法は、特に限定されず、リバースロールコーター、正回転ロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、ロッドコーター、スロットオリフィスコーター、エアドクタコーター、キスコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スプレーコーター、スピンコーター、押出コーター、ホットメルトコーター等を用いる方法で気体透過性無孔層212を製造できる。また、粉体コーティング、電着コーティング等の方法でも気体透過性無孔層212を製造できる。基材を気体透過膜の原料液に浸漬することでコーティングしてもよい。基材はシート状でも中空糸状でもよい。塗布の前工程において、プライマー塗布、コロナ処理等の前処理を行ってもよい。
気体透過性無孔層212の目付量は、10g/m2以上、500g/m2以下であることが好ましく、20g/m2以上200g/m2以下であることがより好ましい。気体透過性無孔層212の目付量は、気体透過性無孔層212が積層される前の基材の目付量E(g/m2)と、気体透過膜が積層された後の気体透過性無孔層212と基材の目付量F(g/m2)の差であるD(g/m2)として、以下の関係式(1)により求められる。
D=F-E (式1)
気体透過性無孔層212や基材の目付量はJIS1913:2010一般不織布試験方法6.2単位面積当たりの質量で測定される値である。
気体透過性無孔層212の厚みは、10μm以上、500μm以下であることが好ましく、20μm以上200μm以下であることがより好ましい。上記の気体透過性無孔層212の厚さはJIS1913:2010一般不織布試験方法6.1厚さの測定方法で測定される値である。
(微生物支持層213)
微生物支持層213は、その表面もしくは内部に微生物を保持する層であり、内部に微生物が生育可能な空間を有し、水中の有機物が通過可能である。微生物支持層213の素材としては、例えば、メッシュ、織布、不織布、発泡体、又は微多孔膜等の多孔性シートが挙げられる。多孔性シートの素材は、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、メチルセルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、パラ系およびメタ系アラミド、ポリアリレート、炭素繊維、ガラス繊維、アルミニウム繊維、スチール繊維、セラミック等が挙げられる。微生物付着性と加工性を考慮すると、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、炭素繊維が好ましい。
微生物支持層213の目付量は2g/m2以上、500g/ m2以下であることが好ましく、10g/m2以上200g/m2以下であることがより好ましい。微生物支持層213の目付量はJIS1913:2010一般不織布試験方法6.2単位面積当たりの質量で測定される値である。
微生物支持層213の厚みは、5μm以上、2000μm以下であることが好ましく、20μm以上500μm以下であることがより好ましい。微生物支持層213の厚さはJIS1913:2010一般不織布試験方法6.1厚さの測定方法で測定される値である。
なお、基材211の表面処理によって微生物支持層213が形成されてもよい。このようにすれば、上記の表面処理で基材211表面の粗さと膜電位を上げられるので、微生物付着性が向上する。例えば上記の表面処理として、グリシジルメタクリレートをグラフト重合し、さらに、ジエチルアミン、もしくは、亜硫酸ナトリウムを反応させることが行われ得る。或いは上記の表面処理として、グリシジルメタクリレートをグラフト重合した後に、アンモニア、もしくは、エチルアミンを反応させることが行われてもよい。
以上、本発明の廃水処理装置50によると、気体透過膜21を用いることにより、好気性微生物が増殖できる場所と通性嫌気性微生物が増殖できる場所とを一つの廃水処理槽51の中に設けることができる。これにより、廃水に含まれる窒素の効率的な硝化・脱窒処理が可能となる。廃水処理槽の設置スペースを削減することもできる。
通性嫌気性微生物は、廃水中に浮遊状態で増殖するのではなく、気体通過層12の内部空間Sの下部側に位置する、酸素濃度がほとんどない部分の気体透過膜21の表面に増殖する。これにより、脱窒性能を安定化することができる。
また、気体透過膜21を使用して、ばっ気をすることなく好気性処理を行うことにより、電力費を低減することができる。
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態に係る廃水処理装置の鉛直断面図である。
第2の実施形態に係る廃水処理装置50(50B)は、処理水Tの循環配管53をさらに備える点において、第1の実施形態に係る廃水処理装置50Aと異なっている。循環配管53は、流出口51bから排出される処理水Tの一部を取水し、循環水Cとして流入口51aの上流に導入する配管である。循環配管53によると、廃水中のBODを利用して更に脱窒効率を向上させることが可能となる。
第1の実施形態では、流入口51aは廃水処理槽51の上部に設けられ、流出口51bは廃水処理槽51の下部に設けられている。これに対し、第2の実施形態では、流入口51aは廃水処理槽51の下部に設けられ、流出口51bは廃水処理槽51の上部に設けられる。
処理水Tの循環配管53を備える第2の実施形態では、廃水Wは廃水処理槽51の下部に供給される。循環水Cは、廃水処理槽51の上部から取水され、廃水処理槽51の下部に再び供給される。これにより、循環水C中に含まれる亜硝酸・硝酸性窒素は、再び廃水W中の有機炭素源を利用して、無酸素雰囲気下で脱窒菌の働きにより窒素ガスに還元される。
(循環水の循環量)
循環配管53が供給する循環水Cの適切な循環量nQは、廃水のBOD/N比により異なる。一般的には、硝酸性窒素1mg/Lを脱窒するためには、BOD3mg/Lが必要である。廃水のBOD/N比が3以上の場合、廃水のアンモニア窒素が全て硝酸性窒素まで硝化されているとすると、窒素除去率αは以下の関係式(2)により求められる。
α=n/(1+n)×100 ・・・(式2) n:処理量に対する循環比
ここで、例えば循環比を3とすれば、窒素除去率は75%となる。
なお、廃水のBOD/N比が3より低い場合には、循環量を増やしても除去率には限界がある。例えば廃水のBOD/N比が2の場合には、除去率は67%が限界となるため、循環比を2以上に上げる意味はない。
原水のBODに加え、底部に沈殿した汚泥32の自己分解により発生するBODを窒素除去に利用することができるため、窒素除去率は更に向上できる。
[第3の実施形態]
図7は、本発明の第3の実施形態に係る廃水処理装置の鉛直断面図である。
第3の実施形態に係る廃水処理装置50(50C)は、袋状の気体透過膜21を廃水処理槽51内の上部側に備え、接触材31を、全体が廃水Wに浸かるように、廃水処理槽内51内の下部側に(すなわち、気体透過膜21の下方に)さらに備える点において、第1の実施形態に係る廃水処理装置50Aと異なっている。
第1の実施形態では、気体透過膜21の表面の異なる場所に、好気性微生物と通性嫌気性微生物とを増殖させている。これに対し、第3の実施形態では、好気性微生物である亜硝酸菌や硝化菌を、気体透過膜21の表面に増殖させ、通性嫌気性微生物である脱窒菌を、接触材31の表面に増殖させている。
廃水処理槽51内はばっ気していないため、気体透過膜21から離れた場所では酸素濃度が低下した状態となる。このような、廃水処理槽51内の酸素濃度が低下する場所に接触材31を設置することにより、接触材31に通性嫌気性微生物である脱窒菌を増殖させ、脱窒反応を促進することができる。
気体透過膜21から剥離し沈殿した汚泥32は、接触材31の上部にて捕捉され堆積し、接触材31表面の通性嫌気性微生物の働きにより分解される。これにより、脱窒反応に必要なBOD源が生成され、さらに脱窒効率が向上する。汚泥の発生量も削減される。
(接触材31)
接触材31は、表面に嫌気性微生物を増殖させるための構成である。接触材31の材質には、プラスチック、セラミック、ゴム、活性炭、木材、布、紙等を用いることができる。耐腐食性の点では、接触材31の材質は、プラスチックまたはセラミックが望ましい。微生物が付着しやすい点では、接触材31は、発泡体、または不織布等が望ましい。
なお、図中、接触材31は廃水処理槽51の底面から所定の距離離隔して配置されているが、接触材31は廃水処理槽51の底面に接して配置されてもよい。
[第4の実施形態]
図8は、本発明の第4の実施形態に係る廃水処理装置の鉛直断面図である。
第4の実施形態に係る廃水処理装置50(50D)は、処理水Tの循環配管53をさらに備える点において、第3の実施形態に係る廃水処理装置50Cと異なっている。循環配管53によると、廃水中のBODを利用して更に脱窒効率を向上させることが可能となる。
第4の実施形態においても、処理水Tの循環配管53を備える第2の実施形態と同様に、流入口51aは廃水処理槽51の下部に設けられ、流出口51bは廃水処理槽51の上部に設けられる。これにより、循環水C中に含まれる亜硝酸・硝酸性窒素は、再び廃水W中の有機炭素源を利用して、無酸素雰囲気下で脱窒菌の働きにより窒素ガスに還元される。
[第5の実施形態]
図9は、本発明の第5の実施形態に係る廃水処理装置の鉛直断面図である。
第5の実施形態に係る廃水処理装置50(50E)は、接触材31を気体透過膜21の下流側(後工程)に配置する点において、第3の実施形態に係る廃水処理装置50Cと異なっている。気体透過膜21と接触材31とは、略水平方向に並列に配置される。すなわち接触材31は気体透過膜21の側方に配置される。例示的に、本実施形態では、廃水処理槽51の有効水深は約2.0mである。
気体透過膜21から剥離し沈殿した汚泥32は、気体透過膜21の下方の廃水処理槽51の底部に堆積する。汚泥32は、接触材31表面の通性嫌気性微生物の働きにより分解される。
好ましくは、通性嫌気性微生物の働きを促進するために、廃水処理槽51の底部に傾斜面を設け、気体透過膜21の下方に位置する廃水処理槽51の底部を接触材31に向けて傾斜させてもよい。これにより、気体透過膜21から剥離し沈殿した汚泥32は、重力の作用により接触材31に供給される。これにより、脱窒反応に必要なBOD源が生成され、さらに脱窒効率が向上する。汚泥の発生量も削減される。傾斜面の勾配は、15度~60度の範囲が望ましく、30度~45度の範囲がより望ましい。
なお、傾斜面の設け方は、例示した廃水処理槽51の底面自体を傾斜させる態様に限られず、例えば廃水処理槽51の底部に傾斜部材(図示せず)を設けることにより、傾斜面を設けてもよい。
[第6の実施形態]
図10は、本発明の第6の実施形態に係る廃水処理装置の鉛直断面図である。
第6の実施形態に係る廃水処理装置50(50F)は、接触材31を気体透過膜21の上流側(前工程)に配置する点と、処理水Tの循環配管53を備える点とにおいて、第5の実施形態に係る廃水処理装置50Eと異なっている。気体透過膜21と接触材31とは、略水平方向に並列に配置される。すなわち接触材31は気体透過膜21の側方に配置される。例示的に、本実施形態では、廃水処理槽51の有効水深は約0.8mである。
循環配管53を備えることにより、廃水中のBODを利用して更に脱窒効率を向上させることが可能となる。循環水C中に含まれる亜硝酸・硝酸性窒素は、再び廃水W中の有機炭素源を利用して、無酸素雰囲気下で脱窒菌の働きにより窒素ガスに還元される。
[第7の実施形態]
図11は、本発明の第7の実施形態に係る廃水処理装置の鉛直断面図である。
第7の実施形態に係る廃水処理装置50(50G)は、気体透過膜21の開口21b付近に空気を送風する送風機41(またはファン41)をさらに備える点において、第1の実施形態に係る廃水処理装置50Aと異なっている。送風機41は、気体透過膜21の開口21bに向けて空気を送風し、気体透過膜21が開口21bから空気を取り込む能力を補助することができる。送風機41の例えば回転速度を制御することにより、送風機41の送気能力を制御し、気体透過膜21表面の酸素濃度を制御することもできる。
送風機41は、好ましくは、羽根車の回転運動によって気体にエネルギーを与える機械であり、気体に与える単位質量あたりのエネルギーが25kNm/kg(kJ/kg)未満の性能を有するものを使用することができる。このような性能を有する送風機41は、接触ばっ気工程に必要とされる強力な吐き出し圧力を有するブロワーと比較して、必要とされる電力は低く、よって電力費は低減される。なお、送風機とブロワーとはJIS B0132において区別して規定されている。ブロワーは、圧縮機のうち、有効吐出し圧力が200kPa以下のものである。
[第8の実施形態]
図12は、本発明の第8の実施形態に係る廃水処理装置の鉛直断面図である。
第8の実施形態に係る廃水処理装置50(50H)は、廃水処理槽51内の下部側に(すなわち、気体透過膜21の下方に)接触材31をさらに備える点において、第1の実施形態に係る廃水処理装置50Aと異なっている。
第1の実施形態では、気体透過膜21の表面の異なる場所に、好気性微生物と通性嫌気性微生物とを増殖させている。好気性微生物は、気体透過膜21の表面の上方側に増殖し、通性嫌気性微生物は、気体透過膜21の表面の下方側に増殖している。これに対し、第8の実施形態では、気体透過膜21の表面の下方側だけではなく、気体透過膜21の下方に配置された接触材31の表面にも、通性嫌気性微生物が増殖する。
このような、廃水処理槽51内の酸素濃度が低下する場所に接触材31を設置することにより、接触材31に通性嫌気性微生物である脱窒菌を増殖させ、脱窒反応を促進することができ、脱窒性能をより安定化することができる。
各実施形態の廃水処理装置について予想される定性的な性能を比較する。比較結果を表2に示す。
Figure 0007063770000002
[その他の形態]
以上、本発明を特定の実施形態によって説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
例えば上記実施形態では、平面状の気体供給体10を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、気体供給体10は巻回されていてもよいし、筒状に成型された気体供給体を用いてもよい。
上記実施形態では、第7の実施形態において、第1の実施形態に係る廃水処理装置50Aの構成にさらに送風機41を設けているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2の実施形態に係る廃水処理装置50Bの構成に、送風機41をさらに設けてもよい。他の実施形態に係る廃水処理装置50(50C,50D,50E,50F,50H)についても同様に、送風機41をさらに設けてもよい。
10 気体供給体
12 気体通過層
12a 芯材
12b 表ライナ
12c 裏ライナ
13 気体通過孔
21 気体透過膜
21a 袋の中
21b 開口
21c 袋の周縁の端部
31 接触材
32 汚泥41 送風機(ファン)
50(50A~50H) 廃水処理装置
51 廃水処理槽
51a 流入口
51b 流出口
53 循環配管
211 基材
212 気体透過性無孔層
213 微生物支持層
S 気体流路
T 処理水
W 廃水
C 循環水

Claims (5)

  1. 廃水処理槽の内部に貯留する廃水に含まれる好気性微生物および通性嫌気性微生物の作用により、窒素の硝化および脱窒を行う廃水処理装置であって、
    前記廃水処理槽内に設けられ、前記廃水の水面から突出する開口から大気中の酸素を含む気体を取り込み、主に前記好気性微生物が増殖する表面と、主に前記好気性微生物が増殖する表面の下方に位置する、主に前記通性嫌気性微生物が増殖する表面とを有する、袋状の気体透過膜を備える廃水処理装置。
  2. 前記廃水処理槽内に設けられ、主に前記通性嫌気性微生物が増殖する表面を有する接触材をさらに備える、請求項1に記載の廃水処理装置。
  3. 前記接触材は、前記気体透過膜の下方に配置されている、請求項2に記載の廃水処理装置。
  4. 処理水を循環する配管をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の廃水処理装置。
  5. 前記気体透過膜の前記開口へ送気する送風機をさらに備える、請求項1から4のいずれかに記載の廃水処理装置。
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