JP7063428B1 - 転舵装置のエンド位置の検出装置、検出方法、およびプログラム - Google Patents

転舵装置のエンド位置の検出装置、検出方法、およびプログラム Download PDF

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Abstract

転舵装置の機構部のエンド位置の検出方法は、アクチュエータによる駆動力および前記機構部への操舵トルクの少なくとも一方により負荷される前記機構部のトルク値が第1の閾値を超えた際に、当該トルク値の方向における操舵角の限界位置の検出を開始し、前記機構部のトルク値が、前記第1の閾値と第2の閾値との間にある間、前記機構部における操舵角のピーク値を限界位置として記憶して前記限界位置の検出を継続し、前記第2の閾値を超えた際に、記憶されている限界位置を当該トルク値が示すエンド位置とする。

Description

本願発明は、転舵装置のエンド位置の検出装置、検出方法、およびプログラムに関する。
従来、電動パワーステアリング装置では、舵角情報を用いて、先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver-Assistance Systems)の機能を実現している。このとき、直進状態での舵角を基準点(中点)とした舵角情報を用いることが行われている。ラックのセンター位置から基準点までのオフセット量が既知であれば、ラックのセンター位置を特定することで基準点を求めることができる。ラックのセンター位置は、ラックの左右のエンド位置から算出可能であるが、この場合に、ラックのエンド位置の検出精度が基準点の算出精度に大きく影響する。
例えば、特許文献1では、操舵角の相対舵角の最大値と最小値に基づいて、一方のラックエンドから他方のラックエンドまでの全舵角範囲を求めている。
日本国特許第5401875号公報
特許文献1に示す方法では、機構部の捩じれやガタに起因して、検出結果に誤差が生じ得る。また、特許文献1に示す方法では、搭載されたラックが規格外品であった場合に、ラックの状態を適切に検出することができない。
上記課題を鑑み、本願発明は、転舵装置における左右のエンド位置をより高い精度にて検出する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本願発明は以下の構成を有する。すなわち、転舵装置が備える機構部の左右の操舵方向それぞれのエンド位置の検出装置であって、
前記機構部における操舵角を検出する操舵角検出手段と、
前記機構部を駆動するアクチュエータと、
前記機構部への操舵トルクを検出するトルク検出手段と、
前記機構部における左右の操舵方向それぞれの限界位置を検出する限界位置検出手段と
を有し、
前記限界位置検出手段は、
前記アクチュエータによる駆動力および前記トルク検出手段にて検出された操舵トルクの少なくとも一方により負荷される前記機構部のトルク値が第1の閾値を超えた際に、当該トルク値の方向における操舵角の限界位置の検出を開始し、
前記機構部のトルク値が、前記第1の閾値と、前記第1の閾値よりも大きな第2の閾値との間にある間、前記操舵角検出手段により検出された操舵角のピーク値を限界位置として記憶することで前記限界位置の検出を継続し、
前記機構部のトルク値が、前記第2の閾値を超えた際に、記憶されている限界位置を当該トルク値が示す操舵方向におけるエンド位置として、前記限界位置の検出を終了する、
ことを特徴とする検出装置。
また、本願発明の別の形態は以下の構成を有する。すなわち、転舵装置が備える機構部の左右の操舵方向それぞれのエンド位置の検出装置であって、
前記機構部における操舵角を検出する操舵角検出手段と、
前記機構部を駆動するアクチュエータと、
前記機構部への操舵トルクを検出するトルク検出手段と、
前記機構部における左右の操舵方向それぞれの限界位置を検出する限界位置検出手段と
を有し、
前記限界位置検出手段は、
前記アクチュエータによる駆動力および前記トルク検出手段にて検出された操舵トルクの少なくとも一方により負荷される前記機構部のトルク値が第1の閾値を超えた際に、当該トルク値の方向における操舵角の限界位置の検出を開始し、
前記機構部のトルク値が、前記第1の閾値と、前記第1の閾値よりも小さな第2の閾値との間にある間、前記操舵角検出手段により検出された操舵角を限界位置として記憶することで前記限界位置の検出を継続し、
前記機構部のトルク値が、前記第2の閾値未満となった際に、記憶されている限界位置を当該トルク値が示す操舵方向におけるエンド位置として、前記限界位置の検出を終了する、
ことを特徴とする検出装置。
また、本願発明の別の形態は以下の構成を有する。すなわち、転舵装置が備える機構部の左右の操舵方向それぞれのエンド位置の検出方法であって、
前記機構部を駆動するアクチュエータによる駆動力および前記機構部への操舵トルクの少なくとも一方により負荷される前記機構部のトルク値が第1の閾値を超えた際に、当該トルク値の方向における操舵角の限界位置の検出を開始し、
前記機構部のトルク値が、前記第1の閾値と、前記第1の閾値よりも大きな第2の閾値との間にある間、前記機構部における操舵角のピーク値を限界位置として記憶することで前記限界位置の検出を継続し、
前記機構部のトルク値が、前記第2の閾値を超えた際に、記憶されている限界位置を当該トルク値が示す操舵方向におけるエンド位置として、前記限界位置の検出を終了する、
ことを特徴とする検出方法。
また、本願発明の別の形態は以下の構成を有する。すなわち、コンピュータに、転舵装置が備える機構部の左右の操舵方向それぞれのエンド位置の検出方法を実行させるためのプログラムであって、
前記検出方法は、
前記機構部を駆動するアクチュエータによる駆動力および前記機構部への操舵トルクの少なくとも一方により負荷される前記機構部のトルク値が第1の閾値を超えた際に、当該トルク値の方向における操舵角の限界位置の検出を開始し、
前記機構部のトルク値が、前記第1の閾値と、前記第1の閾値よりも大きな第2の閾値との間にある間、前記機構部における操舵角のピーク値を限界位置として記憶することで前記限界位置の検出を継続し、
前記機構部のトルク値が、前記第2の閾値を超えた際に、記憶されている限界位置を当該トルク値が示す操舵方向におけるエンド位置として、前記限界位置の検出を終了する、
ことを特徴とするプログラム。
本願発明により、転舵装置における左右のエンド位置をより高い精度にて検出することが可能となる。
本願発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の概要構成の例を示す構成図。 本願発明の一実施形態に係る機能構成の例を示す図。 本願発明の一実施形態に係るラックエンド位置を特定する際に用いる閾値を説明するための図。 本願発明の一実施形態に係る全体処理のフローチャート。 本願発明の一実施形態に係るラックエンド位置学習処理のフローチャート。 本願発明の第1の実施形態に係る限界値学習処理のフローチャート。 本願発明の第2の実施形態に係る限界値学習処理のフローチャート。
以下、本願発明を実施するための形態について図面などを参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本願発明を説明するための一実施形態であり、本願発明を限定して解釈されることを意図するものではなく、また、各実施形態で説明されている全ての構成が本願発明の課題を解決するために必須の構成であるとは限らない。また、各図面において、同じ構成要素については、同じ参照番号を付すことにより対応関係を示す。
<第1の実施形態>
以下、本願発明の第1の実施形態について説明を行う。なお、以下に示す電動パワーステアリング装置の構成は一例であり、本願発明は、転舵装置を含むステアリングシステム全般に適用可能である。
[構成概要]
本実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成例を図1に示す。ステアリングホイール1は、ドライバが転舵操作を行うための転舵輪である。ステアリングホイール1の操舵軸2は、減速機構を構成する減速ギア(ウォームギア)3、ユニバーサルジョイント4a、4b、ピニオンラック機構5、タイロッド6a、6bを経て、更にハブユニット7a、7bを介して操向車輪8L、8Rに連結されている。
操舵軸2は、トーションバー9を介して、ステアリングホイール1側の入力軸と、ピニオンラック機構5側の出力軸とが連結して構成される。ピニオンラック機構5は、ユニバーサルジョイント4bから操舵力が伝達されるピニオンシャフト(不図示)に連結されたピニオン5aと、ピニオン5aに噛合するラック5bとを有する。ピニオン5aに伝達された回転運動が、ラック5bで車幅方向の直進運動に変換される。以下の説明において、ラック5bの左右の端部に対応する操舵限界をラックエンドと称し、その位置をラックエンド位置として説明する。
操舵軸2には、トーションバー9に対して加えられる操舵トルクTdctを検出するトルクセンサ10が設けられている。また、操舵軸2には、操舵軸2のステアリングホイール1側(入力軸側)の軸周りの回転角を示す操舵角θを検出する操舵角センサ14が設けられている。また、操舵軸2には、操舵軸2のピニオンラック機構5側(出力軸側)の軸周りの回転角を示す出力軸角θを検出する出力軸角センサ15が設けられている。つまり、操舵角センサ14はトーションバー9に対する入力軸側の回転角を操舵角θとして検出し、出力軸角センサ15はトーションバー9に対する出力軸側の回転角を出力軸角θとして検出する。トルクセンサ10は、操舵角θと出力軸角θの差によって生じるトーションバー9のねじれに基づき、操舵トルクTdctを検出する。更に、トルクセンサ10を介して、または、操舵角センサ14や出力軸角センサ15から直接、EPS-ECU30に対して、操舵角θや出力軸角θの情報が通知される。
なお、操舵角センサ14と出力軸角センサ15は、一体となって構成されたセンサであってもよい。また、図1では、説明を容易にするために、操舵軸2とトルクセンサ10を分けて示しているが、これらが一体となった構成であってもよい。トルクセンサ10の構成は特に限定するものではなく、例えば、トーションバー9のねじれからトルクを検出するスリーブタイプやリングタイプなどが用いられてよい。また、上記の構成では、操舵トルクTdctは、操舵角θと出力軸角θの差によって生じるトーションバー9のねじれに基づいて検出されているが、これに限定するものではない。例えば、トーションバー9のステアリングホイール1側の角度信号と、ピニオンラック機構5側の角度信号の差を用いて、操舵トルクTdctを検出してもよい。以下の説明において、操舵軸2のステアリングホイール1側を上流側、ピニオンラック機構5側を下流側とも称する。
トルクセンサ10にて検出される操舵トルクTdctには、ドライバによるステアリングホイール1に対する操作に基づくドライバトルクの他、下流側からの入力(外乱等)により生じたトルクが含まれる。操舵トルクTdctに基づくアシスト指令値を、下流側の入力に起因する振動を抑制するように補正する。ここでの抑制方法は特に限定するものではなく、任意の手法が用いられてよい。
ステアリングホイール1に対する操舵力を補助する操舵補助モータ20が減速ギア3を介して操舵軸2に連結されている。電動パワーステアリング(EPS:Electric Power Steering)装置を制御するコントローラであるEPS-ECU(Electronic Control Unit)30には、バッテリ13から電力が供給されるとともに、イグニッション(IGN)キー11を経てイグニッションキー信号が入力される。なお、操舵軸2に対して操舵補助力を付与する手段は、モータに限るものではなく、様々な種類のアクチュエータを利用可能であってよい。
EPS-ECU30は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクTdct、および車速センサ12で検出された車速Vに基づいてアシスト指令値としての電流指令値の演算を行う。さらに、EPS-ECU30は、操舵トルクTdctに基づく電流指令値と、運転支援機能に基づく電流指令値とに応じた出力電圧Vrefによって操舵補助モータ20に供給する電力を制御する。操舵補助モータ20は、EPS-ECU30からの出力電圧Vrefに基づき、減速ギア3を動作させ、ステアリングホイール1に対するアシスト制御を行う。また、出力電圧Vrefに応じて操舵補助モータ20に印加されたモータ電流Iが、モータ電流検出部(不図示)により検出され、EPS-ECU30に通知される。また、操舵補助モータ20のモータ角θが、エンコーダやレゾルバなどにて構成されるモータ角センサ(不図示)により検出され、EPS-ECU30に通知される。
本実施形態に係る電動パワーステアリング装置は、例えば、自動運転(AD:Autonomous Driving)やADASにより走行制御が可能な車両(不図示)に搭載可能である。運転支援機能としては、ADAS機能によるレーン維持機能や車線変更機能などが挙げられるが、その種類は特に限定するものではない。電動パワーステアリング装置が備えるステアリングホイール1の保持状態に応じて、運転支援機能にて提供される内容を切り替え可能であってもよい。EPS-ECU30は、車両にて提供される運転支援機能に応じた電流指令値の演算も行う。
EPS-ECU30は、例えば、プロセッサと、記憶装置等の周辺部品とを含むコンピュータを備えてよい。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)であってよい。記憶装置は、半導体記憶装置、磁気記憶装置及び光学記憶装置のいずれかを備えてよい。記憶装置は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを含んでよい。以下に説明するEPS-ECU30の機能は、例えばEPS-ECU30のプロセッサが、記憶装置に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
なお、EPS-ECU30は、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより形成されてもよい。例えば、EPS-ECU30は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えば、EPS-ECU30は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD:Programmable Logic Device)等を有していてもよい。
本実施形態では、ステアリングホイール1、操舵軸2、減速ギア3、ユニバーサルジョイント4a、4b、ピニオンラック機構5、およびトーションバー9をまとめて機構部と称して説明するが、他の部位を機構部に含めて扱ってもよい。
[機能構成]
図2は、本実施形態に係るラックエンド位置の検出装置として機能するEPS-ECU30における機能構成の例を示すブロック図である。図2において、矢印はデータの流れの例を示すが、ここで示す流れに限定するものではなく、部位間が連携する場合に他のデータの送受信が更に行われてもよい。また、図2では、本実施形態に係る機能のみを示すが、EPS-ECU30は他の機能を実現するための構成を更に備えていてよい。例えば、アシスト指令値を算出するための部位や、ADAS機能などの運転支援機能のための部位が更に備えられてよい。
EPS-ECU30は、ラックエンド位置学習部201、中点算出部202、ラックストローク算出部203、閾値保持部204、および規格逸脱判定部205を含んで構成される。ラックエンド位置学習部201は、ラックエンド位置を特定するための各種情報を取得し、左右のラックエンド位置を学習する処理を行う。ラックエンド位置学習部201には、トルクセンサ10により検出された操舵トルクTdct、操舵角速度ω、車速センサ12により検出された車速V、実q軸電流I、相対舵角θが入力される。操舵角速度ωは、操舵角センサ14により検出された操舵角θに基づいて、操舵角速度算出部(不図示)により算出される。実q軸電流Iは、モータ電流検出部(不図示)にて検出されるモータ電流Iにより導出され、ここでは、トルク軸電流(d-q軸座標系におけるq軸)に相当する。なお、操舵補助モータ20により規定されるd-q軸座標系において、d軸は操舵補助モータ20が備える回転子(不図示)の磁束の方向を示す。また、q軸は、d軸に直交した方向を示す。操舵補助モータ20の構成に応じて、実q軸電流Iの導出方法は異なっていてよい。相対舵角θは、モータ角センサ(不図示)にて検出されるモータ角θに基づいて、相対舵角導出部(不図示)によりノコギリ波状に変化するモータ角θを連続且つ線形に変化する信号に変換され導出される。そして、ラックエンド位置学習部201は、学習により得られた左右のラックエンド位置、および、ラックエンド位置の学習状態に関する情報を出力する。ここでの学習状態に関する情報としては、例えば、学習済み、学習中、未学習などの値が設定され、詳細については、フローチャートと併せて後述する。
中点算出部202は、ラックエンド位置学習部201にて得られた各情報を用いて、ラック5bの中点を算出する。ラックストローク算出部203は、ラックエンド位置学習部201にて得られた各情報を用いて、ラック5bのストローク(ラックストローク)を算出する。閾値保持部204は、規格逸脱判定部205にて用いる各種閾値を保持し、要求に応じて閾値の情報を提供する。閾値は、具体的には、ラックストロークの規格値、判定許容値(上限、下限)を含む。各種閾値は、電動パワーステアリング装置の構成に合わせて、予め規定される。
規格逸脱判定部205は、閾値保持部204にて保持されている各種閾値を用いて、ラックストローク算出部203にて算出されたラックストロークが、規格の範囲に収まっているか否かを判定する。規格逸脱判定部205は、判定結果を示す値を出力する。
[学習処理における閾値]
図3は、本実施形態に係る学習処理にて用いる閾値を説明するための図である。ここでは、ステアリングホイール1に対する操舵の結果として検出されるトルクと操舵角の値との関係を用いて説明する。図3において、横軸は操舵角[deg]を示し、縦軸はトルク[Nm]を示す。なお、図3の実線は、操舵角とトルクの関係の例を模擬的に示しており、この実線にて示す対応関係に限定することを意図するものではない。本実施形態では、操舵角は操舵角θに対応し、トルクは操舵トルクTdctに対応する。操舵角を示す横軸において、0を基準として、右方向はステアリングホイール1の時計回りの回転に対応し、左方向はステアリングホイール1の反時計回りの回転に対応する。また、トルクを示す縦軸において、0を基準として上方向はステアリングホイール1の時計回り方向のトルク値を示し、下方向はステアリングホイール1の反時計回り方向のトルク値を示す。ステアリングホイール1の各回転方向に対して、上限の閾値と下限の閾値とが設定される。具体的には、右方向の上限の閾値Thur、右方向の下限の閾値Thlr、左方向の上限の閾値Thul、左方向の下限の閾値Thllが設定される。
本実施形態において、電動パワーステアリング装置の駆動部に負荷される軸周りのトルクは、アクチュエータ(本例では、操舵補助モータ20)による駆動力と、ドライバによるステアリングホイール1に対する操舵トルクの総和となる。図3の縦軸は、アクチュエータによる駆動力またはアクチュエータによる駆動力と操舵トルクとの総和であってよい。
本実施形態では、トルク値が下限の閾値Thll、Thlrを超えた際に、その方向に対応する学習を開始する。学習中においては、その際の操舵角に対するピーク値を適時記憶する。ピーク値として得られた操舵角に対応するラックエンド位置を導出することで、ラック5bの構成(ラックの中点やラックストロークなど)を特定することができる。
本実施形態において、トルクの値が左右それぞれの上限の閾値Thul、Thurを超えた場合には、それに応じて検出値の補正を行う。つまり、所定値以上のトルクが負荷された場合、ラック5bのラックエンドに当接した状態で、更に力が加わってしまい、電動パワーステアリング装置の軸に変形(例えば、歪みや捩じれ)が生じてしまう。その変形分の補正を行うことで、より精度の高いラックエンド位置の検出を行う。図3の破線301は、右方向のトルクが閾値Thurに達した位置を示し、この位置よりも高いトルクが検出されると、変形に応じた補正が行われる。変形を補正した位置は、図3にてラックエンド位置(ここでは、右側)として示す点線のようになる。
[処理フロー]
図4は、本実施形態に係るEPS-ECU30による全体処理のフローチャートである。上述したように、本処理フローは、例えば、記憶装置(不図示)に記憶されたプログラムをEPS-ECU30が備えるCPU(不図示)にて読み出して実行することにより、図2に示した各部位の機能として実現される。
S401にて、EPS-ECU30は、ラックエンド位置学習処理を行う。本工程の詳細は、図5、図6を用いて後述する。
S402にて、EPS-ECU30は、S401のラックエンド位置学習処理にて算出された左右のラックエンド位置に応じて、ラック5bの中点を算出する。ここでは、左右のラックエンド位置の中央の値を仮の中点として算出する。
S403にて、EPS-ECU30は、S401のラックエンド位置学習処理にて算出された左右のラックエンド位置に応じて、ラック5bのラックストロークを算出する。
S404にて、EPS-ECU30は、S403にて算出したラックストロークの値が所定の規格の範囲内に収まっているか否かを判定する。具体的には、まず、EPS-ECU30は、S403にて算出したラックストロークと、閾値保持部204が保持する規格値との差分を算出する。そして、EPS-ECU30は、この差分が、閾値保持部204が保持する判定許容値(上限、下限)が示す範囲に含まれるか否かにより、ラックストロークの妥当性を判定する。妥当であると判定した場合には、EPS-ECU30は、ラックストローク判定フラグを「妥当」である値に設定する。一方、不当である、すなわち、算出したラックストロークが所定の規格に収まっていない場合は、EPS-ECU30は、ラックストローク判定フラグを「不当」である値に設定する。
S405にて、EPS-ECU30は、S404の判定処理の結果に基づいて、S403にて算出したラックストロークが妥当であるか否かを判定する。ここでは、上記のラックストローク判定フラグの値を参照して判定してよい。妥当であると判定した場合(S405にてYES)、EPS-ECU30の処理はS410へ進む。一方、妥当でないと判定した場合(S405にてNO)、EPS-ECU30の処理はS406へ進む。
S406にて、EPS-ECU30は、異常判定カウンタの値が閾値以上であるか否かを判定する。ここでの閾値は、予め規定され、記憶部等に保持されているものとする。閾値は、例えば、「2」が設定されてよい。異常判定カウンタは、検出したラックエンドに基づいて算出したラックストロークの値が妥当でないと判定された回数を示す。所定の回数以上、ラックストロークの値が妥当でないと判定された場合、ラック5bそのものに異常が発生していたり、不適合なラック5bが装着されていたりしている可能性がある。そのほか、機構部を構成する他の部位に何らかの異常が発生している場合がある。異常判定カウンタの値が閾値以上である場合(S406にてYES)、EPS-ECU30の処理はS409へ進む。一方、異常判定カウンタの値が閾値より小さい場合(S406にてNO)、EPS-ECU30の処理はS407へ進む。
S407にて、EPS-ECU30は、現在学習したラックエンド位置の限界値を破棄する。そして、EPS-ECU30の処理はS408へ進む。
S408にて、EPS-ECU30は、異常判定カウンタの値を1インクリメントする。そして、EPS-ECU30の処理はS401へ戻り、再度のラックエンド位置学習処理を実行する。
S409にて、EPS-ECU30は、ラックが規格から逸脱していることを示す異常通知を行う。ここでの通知方法は特に限定するものではなく、例えば、画面(不図示)上にて視覚的に通知してもよいし、音声等により聴覚的に通知してもよい。または、EPS-ECU30が連携する各種部位に信号通知を行うような構成であってもよい。そして、本処理フローを終了する。
S410にて、EPS-ECU30は、S402にて算出した仮の中点に基づき、舵角基準点を算出する。具体的には、EPS-ECU30は、S402にて算出した仮の中点と、直進状態におけるラック5bの位置との差分に基づき、正の中点を特定する。直進状態におけるラック5bの位置は、予め規定されていてもよい。または、図6を用いて後述する限界値学習処理の中で、車両が直進している際にラック5bの位置を特定し、その値を用いてもよい。そして、その正の中点を基準として、ラック5bにおける絶対位置(絶対舵角)を設定する。そして、本処理フローを終了する。
(ラックエンド学習処理)
図5は、本実施形態に係るラックエンド学習処理のフローチャートである。本処理フローは、図4のS401の工程に対応する。
S501にて、EPS-ECU30は、初期化処理を行う。ここでの初期化処理では、例えば、左右のラックエンド位置を学習する際に用いる記憶領域や、ラックストローク判定フラグの初期化であってよい。また、ラックエンド位置の学習状態を示す情報を未学習であることを示すように初期化してもよい。また、算出したラック中点やラックストロークを保持する記憶領域を初期化するような処理であってもよい。また、ラックエンド位置学習処理の実行が初回である場合には、異常判定カウンタの値を初期化する処理を含んでよい。
S502にて、EPS-ECU30は、ラック5bの左右のラックエンド位置の学習が終了したか否かを判定する。左右のラックエンド位置の学習が終了した場合(S502にてYES)、本処理フローを終了し、EPS-ECU30は、図4のS402の処理へ進む。一方、左右の少なくとも一方のラックエンド位置の学習が終了していない場合(S502にてNO)、EPS-ECU30は、S503へ進む。
S503にて、EPS-ECU30は、図2にて示したようなラックエンド位置の学習のための各種信号を、各種検出部や算出部から取得する。
S504にて、EPS-ECU30は、S503にて取得した信号が正常値か否かを判定する。ここでの判定は、例えば、各種信号に対して正常値であると判定する範囲を予め設定し、その範囲との比較により行われてよい。また、各種信号のうちのいずれかの信号が取得できない場合には、正常値で無いと判定してもよい。正常値であると判定した場合(S504にてYES)、EPS-ECU30の処理は、S505へ進む。一方、正常値で無いと判定した場合(S504にてNO)、EPS-ECU30の処理は、S509へ進む。
S505にて、EPS-ECU30は、ステアリングホイール1に対して行われた操舵方向が右であるか否かを判定する。操舵方向が右である場合(S505にてYES)、EPS-ECU30の処理は、S506へ進む。一方、操舵方向が右でない(すなわち、操舵方向が左である)場合(S505にてNO)、EPS-ECU30の処理は、S507へ進む。
S506にて、EPS-ECU30は、学習方向を右に設定する。例えば、ラックエンド位置の学習状態(右)を示す情報を「学習中」に設定する。そして、EPS-ECU30の処理は、S508へ進む。
S507にて、EPS-ECU30は、学習方向を左に設定する。例えば、ラックエンド位置の学習状態(左)を示す情報を「学習中」に設定する。そして、EPS-ECU30の処理は、S508へ進む。
S508にて、EPS-ECU30は、設定した学習方向に対応して限界値学習処理を行う。本工程の詳細は、図6を用いて後述する。本処理が終了した後、EPS-ECU30の処理はS502へ戻り、処理を繰り返す。
S509にて、EPS-ECU30は、ラックストロークが未確定状態であるとして設定する。未確定状態である場合には、例えば、操舵に対する一部の機能を制限するような構成であってもよい。そして、EPS-ECU30の処理はS502へ戻り、処理を繰り返す。ここでは、所定期間、待機した上でS502へ戻るような構成であってもよい。つまり、正常な信号が取得可能な状態になるまで待機してよい。また、図4のS409と同様な手法で取得した信号が正常値でないことを通知してよい。
(限界値学習処理)
図6は、本実施形態に係る限界値学習処理のフローチャートである。本処理フローは、図5のS508の工程に対応する。ここでの処理は、図5の処理フローにて設定された学習方向に応じて左右が入れ替わるが、基本的な処理の流れは同じである。
S601にて、EPS-ECU30は、設定した学習方向の限界値の学習が完了したか否かを判定する。例えば、対応する学習方向のラックエンド位置の学習状態を示す情報が「学習済み」であるか否かに基づいて判定してよい。学習完了である場合(S601にてYES)、本処理フローは終了し、EPS-ECU30の処理は図5のS502へ進む。一方、学習完了でない場合(S601にてNO)、EPS-ECU30の処理はS602へ進む。
S602にて、EPS-ECU30は、学習処理が一時停止中か否かを判定する。一時停止中である場合(S602にてYES)、EPS-ECU30の処理はS605へ進む。一方、一時停止中でない場合(S602にてNO)、EPS-ECU30の処理はS603へ進む。
S603にて、EPS-ECU30は、所定の条件を逸脱したか否かを判定する。ここでの所定の条件としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。なお、所定の条件は1つに限定するものではなく、複数の条件を組み合わせて用いられてもよい。
・転舵力(アクチュエータ(本例では、操舵補助モータ20)の駆動力と操舵トルクとの総和)の最大値と、現在の転舵力の大きさとの差が所定の閾値を超えるか否か。
・機構部の移動速度(すなわち、操舵角速度)の大きさが所定の閾値を超えるか否か。
・機構部が搭載された車両の速度が所定の閾値を超えるか否か。
上記の例の場合、各値が所定の閾値を超えた場合には、条件から逸脱したものとして判定する。所定の条件を逸脱したと判定した場合(S603にてYES)、EPS-ECU30の処理はS604へ進む。一方、所定の条件を逸脱していないと判定した場合(S603にてNO)、EPS-ECU30の処理はS608へ進む。
S604にて、EPS-ECU30は、限界値学習処理を一時停止とする。この場合、例えば、ラックエンド位置の学習状態を示す情報を「一時停止」と設定してよい。そして、本処理フローは終了し、EPS-ECU30の処理は図5のS502へ進む。
S605にて、EPS-ECU30は、ステアリングホイール1に対する操舵方向が、学習方向と逆になったか否かを判定する。例えば、学習方向が右に設定されている場合に、操舵方向が左になったか否かを判定する。操舵方向が逆になった場合(S605にてYES)、EPS-ECU30の処理はS607へ進む。一方、操舵方向が逆になっていない場合(S605にてNO)、EPS-ECU30の処理はS606へ進む。
S606にて、EPS-ECU30は、操舵トルクの絶対値(図6中において、|X|は、Xの絶対値を示す記号である)が閾値Thよりも小さいか否かを判定する。閾値Thは学習方向が左右のいずれでも同じ値が設定されてもよいし、異なる値が設定されてもよい。また、閾値Thは予め規定された値が用いられてもよいし、学習状態に応じて変化するような値であってもよい。操舵トルクの絶対値が閾値Th以上の場合(S606にてNO)、本処理フローは終了し、EPS-ECU30の処理は図5のS502へ進む。一方、操舵トルクの絶対値が閾値Th未満である場合(S606にてYES)、EPS-ECU30の処理はS607へ進む。
S607にて、EPS-ECU30は、限界値学習処理の一時停止状態を解除する。この場合、ラックエンド位置の学習状態を示す情報を「学習中」と設定してよい。
S608にて、EPS-ECU30は、操舵トルクの絶対値が閾値Th以上か否かを判定する。学習方向が右の場合、図3に示す閾値Thlrに対応する値が設定され、学習方向が左の場合、図3に示す閾値Thllに対応する値が設定される。操舵トルクの絶対値が閾値Th以上である場合(S608にてYES)、EPS-ECU30の処理はS609へ進む。一方、操舵トルクの絶対値が閾値Th未満である場合(S608にてNO)、本処理フローは終了し、EPS-ECU30の処理は図5のS502へ進む。
S609にて、EPS-ECU30は、取得した操舵角(相対舵角)に基づいて、ラックエンド位置のピーク値を限界位置として更新する。また、ピーク値が更新された時点における各種信号(情報)を保持してよい。また、機構部に加えられる転舵力の最大値を保持してよい。
S610にて、EPS-ECU30は、操舵トルクの絶対値が閾値Th以上か否かを判定する。学習方向が右の場合、図3に示す閾値Thurに対応する値が設定され、学習方向が左の場合、図3に示す閾値Thulに対応する値が設定される。操舵トルクの絶対値が閾値Th以上である場合(S610にてYES)、EPS-ECU30の処理はS611へ進む。一方、操舵トルクの絶対値が閾値Th未満である場合(S610にてNO)、本処理フローは終了し、EPS-ECU30の処理は図5のS502へ進む。この場合は、設定方向の学習処理は継続される。
S611にて、EPS-ECU30は、取得した転舵力に基づいて、取得した操舵角の補正処理を行う。ここでの補正処理は、過度なトルクにより生じた機構部の変形の分を補正するための処理である。例えば、機構部における軸周りの剛性と、転舵力の値とにより定義される補正量のテーブルを用いて補正を行ってもよい。または、予め規定された算出を用いて補正を行ってもよい。補正を行う際の算出式としては、例えば、以下のような式が用いられてもよい。
(補正式)
補正後の限界位置=限界位置-変形量
変形量=(実q軸電流×トルク定数×減速比+操舵トルク)/機構部の剛性値
上記の式においては、実q軸電流Iを用いた例を示したが、これに代えて、トルク軸電流指令値を用いてもよい。また、これらの一部の項が省略された式を用いてもよい。また、角速度に応じた粘性力や角加速度に応じた慣性力を考慮してもよい。補正処理の後、EPS-ECU30の処理はS612へ進む。
S612にて、EPS-ECU30は、取得した操舵角に基づいて更新されたピーク値を学習方向の限界値として記憶する。この限界値が、学習方向のラックエンド位置に対応する。そして、EPS-ECU30は、ラックエンド位置の学習状態を示す情報を「学習済み」に設定し、本処理フローを終了する。その後、EPS-ECU30の処理は図5のS502へ進む。
以上、本実施形態により、転舵装置における左右のラックエンド位置をより高い精度にて検出することが可能となる。
<第2の実施形態>
以下、本願発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と重複する箇所については説明を省略し、ここでは差分に着目して説明する。第1の実施形態との差分は、図6を用いて述べた限界値学習処理の内容が異なる。
(限界値学習処理)
図7は、第2の実施形態に係る限界値学習処理のフローチャートである。本処理フローは、図5のS508の工程に対応する。ここでの処理は、図5の処理フローにて設定された学習方向に応じて左右が入れ替わるが、基本的な処理の流れは同じである。
図7におけるS701~S707の工程は、第1の実施形態にて述べた図6のS601~S607の工程と同じであるため、ここでは、S701~S707の処理の内容の説明を省略する。S703の処理にて条件を逸脱していないと判定された場合(S703にてNO)、または、S707の処理の後、EPS-ECU30の処理はS708へ進む。
S708にて、EPS-ECU30は、操舵トルクの絶対値が閾値Th以上か否かを判定する。学習方向が右の場合、図3に示す閾値Thurに対応する値が設定され、学習方向が左の場合、図3に示す閾値Thulに対応する値が設定される。操舵トルクの絶対値が閾値Th以上である場合(S708にてYES)、EPS-ECU30の処理はS709へ進む。一方、操舵トルクの絶対値が閾値Th未満である場合(S708にてNO)、EPS-ECU30の処理はS710へ進む。
S709にて、EPS-ECU30は、操舵トルクの絶対値が閾値Th以上になったことを示すフラグをONにする。閾値Thは操舵角がラックエンドに到達したことを示す値に設定されており、ラックエンドに到達したことを、フラグをONすることにより記憶しておく。その後、EPS-ECU30の処理はS711へ進む。
S710にて、EPS-ECU30は、フラグがONであるか否かを判定する。フラグがONである場合(S710にてYES)、EPS-ECU30の処理はS711へ進む。一方、フラグがONでない場合(S710にてNO)、本処理フローを終了し、図5のS502へ進む。
S711にて、EPS-ECU30は、その時点での舵角を記憶する。そして、EPS-ECU30の処理はS712へ進む。
S712にて、EPS-ECU30は、操舵トルクの絶対値が閾値Th未満か否かを判定する。学習方向が右の場合、図3に示す閾値Thlrに対応する値が設定され、学習方向が左の場合、図3に示す閾値Thllに対応する値が設定される。閾値Thは、機構部の変形が十分に解消される程度に操舵トルクやアクチュエータによる駆動力が小さくなる値に設定されてよい。操舵トルクの絶対値が閾値Th未満である場合(S712にてYES)、EPS-ECU30の処理はS713へ進む。一方、操舵トルクの絶対値が閾値Th以上である場合(S712にてNO)、本処理フローは終了し、EPS-ECU30の処理は図5のS502へ進む。この場合は、設定方向の学習処理は継続される。
S713にて、EPS-ECU30は、S711にて記憶した操舵角を学習方向の限界値として記憶する。この限界値が、学習方向のラックエンド位置に対応する。そして、EPS-ECU30は、ラックエンド位置の学習状態を示す情報を「学習済み」に設定し、本処理フローを終了する。その後、EPS-ECU30の処理は図5のS502へ進む。
以上、説明したように、本実施形態の限界値学習処理では、一度ラックエンドに到達したことをS708で判定し、機構部の変形が解消されたことをS712で判定する。このようにすることで、転舵装置における左右のラックエンド位置をより高い精度にて検出することが可能となる。
<その他の実施形態>
また、電動パワーステアリング装置の構成は、図1に示した構成に限定するものではない。例えば、電動パワーステアリング装置は、ステアリングホイール1側と、ピニオンラック機構5側とが機械的に切り離されたステアバイワイヤ(SBW:Steer-By-Wire)機構により構成されていてもよい。
また、電動パワーステアリング装置の構成は、コラム軸アシストであってもよいし、ラック軸アシストであってもよく、本願発明に係る手法はいずれにも適用可能である。
上記の実施形態では、ドライバがステアリングホイール1を操作する前提で説明を行った。しかし、この構成に限定するものではなく、例えば、運転支援機能の一環として、車両側で舵角操作を行ってラックエンド位置を検出してもよい。この場合、ドライバによる操舵トルクの情報は利用できないため、これに代えて制御偏差を用いることが考えられる。制御偏差は、例えば、目標角と実操舵角との差分であってよい。そして、制御偏差の大きさが第1の所定値(第1の実施形態の閾値Thに対応)を超えた場合に学習を開始し、第2の所定値(第1の実施形態の閾値Thに対応)に達した場合に学習を完了するような構成であってよい。あるいは、制御偏差に代えてアクチュエータによる駆動力を用いてもよい。これら場合には、変形量の計算や電動パワーステアリング装置の軸周りの転舵力の計算には、アクチュエータによる駆動力のみを考慮すればよい。
なお、車両側で舵角操作を行ってラックエンド位置を検出する際には、制御偏差が過度に大きくならないように、目標角に制限をかけるような制御を行ってもよい。同様に、機構部へのラックエンドへの押し付け(当接)の過負荷を防ぐように、アクチュエータへの指令電圧を制限するような構成であってよい。
また、第1の実施形態では、補正処理(図6のS611)を限界値学習処理(図6)のフローの中で行う構成を示したが、これに限定するものではない。例えば、左右のラックエンド位置の学習処理が完了した後に、補正処理を実行するような構成であってもよい(例えば、図4のS401とS402の間)。この場合、限界値学習処理において、変形量を算出するための情報を履歴として保持しておき、その情報を用いて補正処理を行ってよい。
また、第2の実施形態では、図7の処理フローにおいて、第1の実施形態にて示した補正処理(図6のS611)を行っていない構成を示したが、この処理をさらに行うような構成であってもよい。
また、第1の実施形態では、図6のS603の逸脱条件として、転舵力の最大値と現在の転舵力の大きさとの差が所定の閾値を超えるか否かを判定したが、これに限定するものではない。例えば、転舵力による変形量の最大値と現在の変形量との差が所定の閾値を超えるか否かで判定してよい。あるいは、操舵トルクの最大値と現在の操舵トルクとの差が所定の閾値を超えるか否かで判定してもよい。これは、第2の実施形態の図7のS703でも同様である。
また、操舵トルクを用いて学習開始および完了を判定したが、操舵トルクと等価であるトーションバーの上流側角度と下流側角度の差を用いて学習開始および完了を判定してもよい。このとき、アクチュエータによる駆動力およびトルク検出手段にて検出された操舵トルクに対してそれぞれ閾値を設定し、それぞれの比較結果の論理和により判定してよい。また、アクチュエータによる駆動力および前記トルク検出手段にて検出された操舵トルクの加算値あるいはアクチュエータによる駆動力を用いて学習開始および完了を判定してもよい。または、これらの対象を組み合わせて、学習開始および完了を判定してもよい。
また、本願発明において、上述した1以上の実施形態の機能を実現するためのプログラムやアプリケーションを、ネットワーク又は記憶媒体等を用いてシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 転舵装置が備える機構部の左右の操舵方向それぞれのエンド位置の検出装置であって、
前記機構部における操舵角を検出する操舵角検出手段と、
前記機構部を駆動するアクチュエータと、
前記機構部への操舵トルクを検出するトルク検出手段と、
前記機構部における左右の操舵方向それぞれの限界位置を検出する限界位置検出手段とを有し、
前記限界位置検出手段は、
前記アクチュエータによる駆動力および前記トルク検出手段にて検出された操舵トルクの少なくとも一方により負荷される前記機構部のトルク値が第1の閾値を超えた際に、当該トルク値の方向における操舵角の限界位置の検出を開始し、
前記機構部のトルク値が、前記第1の閾値と、前記第1の閾値よりも大きな第2の閾値との間にある間、前記操舵角検出手段により検出された操舵角のピーク値を限界位置として記憶することで前記限界位置の検出を継続し、
前記機構部のトルク値が、前記第2の閾値を超えた際に、記憶されている限界位置を当該トルク値が示す操舵方向におけるエンド位置として、前記限界位置の検出を終了する、
ことを特徴とする検出装置。
この構成によれば、転舵装置における左右のラックエンド位置をより高い精度にて検出することが可能となる。
(2) 前記限界位置検出手段にて検出された左右のエンド位置に基づいて、前記機構部における操舵のストロークを算出する第1の算出手段を更に有することを特徴とする(1)に記載の検出装置。
この構成によれば、精度高く検出されたラックエンド位置に基づいて、ラックストロークを算出することができる。
(3) 前記限界位置検出手段は、前記第1の算出手段が算出したストロークが、所定の範囲に含まれない場合、検出したエンド位置を破棄し、再度、前記限界位置の検出を行うことを特徴とする(2)に記載の検出装置。
この構成によれば、ラックストロークを誤検出したと想定される場合には、再度、ラックエンド位置を検出することで、ラックエンド位置、およびラックストロークをより精度高く検出することが可能となる。
(4) 前記第1の算出手段にて算出したストロークが前記所定の範囲に含まれてないとして、前記限界位置の検出を行った回数が所定の回数を超えた場合、規格外の機構部が設置されているものと判定する判定手段を更に有する(3)に記載の検出装置。
この構成によれば、規格外の機構部が設置されていた場合であっても、そのことを検出することが可能となる。
(5) 前記限界位置検出手段にて検出された左右のエンド位置に基づいて、前記機構部における操舵角の基準点となる中点を算出する第2の算出手段を更に有することを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の検出装置。
この構成によれば、精度高く検出されたラックエンド位置に基づいて、ラックの中点を算出することができる。
(6) 前記第2の算出手段にて算出された中点と、前記転舵装置が搭載された車両が直進状態の際の前記機構部における操舵角との差分をずれ量とし、
前記ずれ量にて前記中点の位置を補正した位置が、前記機構部の絶対位置の基準として用いられることを特徴とする(6)に記載の検出装置。
この構成によれば、精度高く、ラックの絶対位置を導出することが可能となる。
(7) 前記限界位置検出手段にて検出されたエンド位置を補正する補正手段を更に有し、
前記補正手段は、前記限界位置の検出を行っている間の、前記機構部への負荷により生じる前記機構部の変形量に基づいて、前記エンド位置を補正する(1)~(6)のいずれかに記載の検出装置。
この構成によれば、機構部に対する過負荷により生じる機構部の変形(例えば、捩じれ)を考慮してラックエンド位置を検出することが可能となる。
(8) 前記機構部の変形量は、前記機構部のトルク軸電流またはトルク軸電流指令値、前記機構部のトルク定数、前記アクチュエータの減速比、および、前記機構部の剛性の少なくとも1つに基づいて導出される(7)に記載の検出装置。
この構成によれば、機構部のトルク軸電流またはトルク軸電流指令値、機構部のトルク定数、アクチュエータの減速比、および、機構部の剛性の少なくとも1つに基づいて、過負荷時の変形量を算出することができる。
(9) 前記限界位置検出手段は、前記操舵角検出手段にて検出された操舵角に基づいて導出される角速度が所定の閾値を超えた場合、前記限界位置の検出を一時停止することを特徴とする(1)~(8)のいずれかに記載の検出装置。
この構成によれば、操舵が安定した状態の際にラックエンド位置の検出を行うことで、より精度の高い検出が可能となる。
(10) 前記限界位置検出手段は、前記転舵装置が搭載された車両の速度が所定の閾値を超えた場合、前記限界位置の検出を一時停止することを特徴とする(1)~(9)のいずれかに記載の検出装置。
この構成によれば、車両の走行が安定した状態の際にラックエンド位置の検出を行うことで、より精度の高い検出が可能となる。
(11) 前記限界位置検出手段は、前記限界位置の検出において、前記トルク値の最大値と、現時点での前記トルク値との差異が所定の閾値を超えた場合、前記限界位置の検出を一時停止することを特徴とする(1)~(10)のいずれかに記載の検出装置。
この構成によれば、操舵トルクが安定した状態の際にラックエンド位置の検出を行うことで、より精度の高い検出が可能となる。
(12) 前記限界位置検出手段は、前記限界位置の検出を一時停止している際に、前記機構部における操舵方向が逆になった場合、または、トルク値が所定の閾値を下回った場合に、一時停止を解除することを特徴とする(9)~(11)のいずれかに記載の検出装置。
この構成によれば、所定の条件を満たした場合に、限界位置の検出を再開させることが可能となる。
(13) 転舵装置が備える機構部の左右の操舵方向それぞれのエンド位置の検出装置であって、
前記機構部における操舵角を検出する操舵角検出手段と、
前記機構部を駆動するアクチュエータと、
前記機構部への操舵トルクを検出するトルク検出手段と、
前記機構部における左右の操舵方向それぞれの限界位置を検出する限界位置検出手段と
を有し、
前記限界位置検出手段は、
前記アクチュエータによる駆動力および前記トルク検出手段にて検出された操舵トルクの少なくとも一方により負荷される前記機構部のトルク値が第1の閾値を超えた際に、当該トルク値の方向における操舵角の限界位置の検出を開始し、
前記機構部のトルク値が、前記第1の閾値と、前記第1の閾値よりも小さな第2の閾値との間にある間、前記操舵角検出手段により検出された操舵角を限界位置として記憶することで前記限界位置の検出を継続し、
前記機構部のトルク値が、前記第2の閾値未満となった際に、記憶されている限界位置を当該トルク値が示す操舵方向におけるエンド位置として、前記限界位置の検出を終了する、
ことを特徴とする検出装置。
この構成によれば、転舵装置における左右のラックエンド位置をより高い精度にて検出することが可能となる。
(14) 転舵装置が備える機構部の左右の操舵方向それぞれのエンド位置の検出方法であって、
前記機構部を駆動するアクチュエータによる駆動力および前記機構部への操舵トルクの少なくとも一方により負荷される前記機構部のトルク値が第1の閾値を超えた際に、当該トルク値の方向における操舵角の限界位置の検出を開始し、
前記機構部のトルク値が、前記第1の閾値と、前記第1の閾値よりも大きな第2の閾値との間にある間、前記機構部における操舵角のピーク値を限界位置として記憶することで前記限界位置の検出を継続し、
前記機構部のトルク値が、前記第2の閾値を超えた際に、記憶されている限界位置を当該トルク値が示す操舵方向におけるエンド位置として、前記限界位置の検出を終了する、
ことを特徴とする検出方法。
この構成によれば、転舵装置における左右のラックエンド位置をより高い精度にて検出することが可能となる。
(15) コンピュータに、転舵装置が備える機構部の左右の操舵方向それぞれのエンド位置の検出方法を実行させるためのプログラムであって、
前記検出方法は、
前記機構部を駆動するアクチュエータによる駆動力および前記機構部への操舵トルクの少なくとも一方により負荷される前記機構部のトルク値が第1の閾値を超えた際に、当該トルク値の方向における操舵角の限界位置の検出を開始し、
前記機構部のトルク値が、前記第1の閾値と、前記第1の閾値よりも大きな第2の閾値との間にある間、前記機構部における操舵角のピーク値を限界位置として記憶することで前記限界位置の検出を継続し、
前記機構部のトルク値が、前記第2の閾値を超えた際に、記憶されている限界位置を当該トルク値が示す操舵方向におけるエンド位置として、前記限界位置の検出を終了する、
ことを特徴とするプログラム。
この構成によれば、転舵装置における左右のラックエンド位置をより高い精度にて検出することが可能となる。
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
なお、本出願は、2021年3月12日出願の日本特許出願(特願2021-040398)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
1 ステアリングホイール
2 操舵軸
3 減速ギア
4a,4b ユニバーサルジョイント
5 ピニオンラック機構
6a,6b タイロッド
7a,7b ハブユニット
8L,8R 操向車輪
9 トーションバー
10 トルクセンサ
11 イグニッション(IGN)キー
12 車速センサ
13 バッテリ
14 操舵角センサ
20 操舵補助モータ
30 EPS(Electric Power Steering)-ECU(Electronic Control Unit))
201 ラックエンド位置学習部
202 中点算出部
203 ラックストローク算出部
204 閾値保持部
205 規格逸脱判定部

Claims (15)

  1. 転舵装置が備える機構部の左右の操舵方向それぞれのエンド位置の検出装置であって、
    前記機構部における操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    前記機構部を駆動するアクチュエータと、
    前記機構部への操舵トルクを検出するトルク検出手段と、
    前記機構部における左右の操舵方向それぞれの限界位置を検出する限界位置検出手段と
    を有し、
    前記限界位置検出手段は、
    前記アクチュエータによる駆動力および前記トルク検出手段にて検出された操舵トルクの少なくとも一方により負荷される前記機構部のトルク値が第1の閾値を超えた際に、当該トルク値の方向における操舵角の限界位置の検出を開始し、
    前記機構部のトルク値が、前記第1の閾値と、前記第1の閾値よりも大きな第2の閾値との間にある間、前記操舵角検出手段により検出された操舵角のピーク値を限界位置として記憶することで前記限界位置の検出を継続し、
    前記機構部のトルク値が、前記第2の閾値を超えた際に、記憶されている限界位置を当該トルク値が示す操舵方向におけるエンド位置として、前記限界位置の検出を終了する、
    ことを特徴とする検出装置。
  2. 前記限界位置検出手段にて検出された左右のエンド位置に基づいて、前記機構部における操舵のストロークを算出する第1の算出手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
  3. 前記限界位置検出手段は、前記第1の算出手段が算出したストロークが、所定の範囲に含まれない場合、検出したエンド位置を破棄し、再度、前記限界位置の検出を行うことを特徴とする請求項2に記載の検出装置。
  4. 前記第1の算出手段にて算出したストロークが前記所定の範囲に含まれてないとして、前記限界位置の検出を行った回数が所定の回数を超えた場合、規格外の機構部が設置されているものと判定する判定手段を更に有する請求項3に記載の検出装置。
  5. 前記限界位置検出手段にて検出された左右のエンド位置に基づいて、前記機構部における操舵角の基準点となる中点を算出する第2の算出手段を更に有することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の検出装置。
  6. 前記第2の算出手段にて算出された中点と、前記転舵装置が搭載された車両が直進状態の際の前記機構部における操舵角との差分をずれ量とし、
    前記ずれ量にて前記中点の位置を補正した位置が、前記機構部の絶対位置の基準として用いられることを特徴とする請求項5に記載の検出装置。
  7. 前記限界位置検出手段にて検出されたエンド位置を補正する補正手段を更に有し、
    前記補正手段は、前記限界位置の検出を行っている間の、前記機構部への負荷により生じる前記機構部の変形量に基づいて、前記エンド位置を補正する請求項1~6のいずれか一項に記載の検出装置。
  8. 前記機構部の変形量は、前記機構部のトルク軸電流またはトルク軸電流指令値、前記機構部のトルク定数、前記アクチュエータの減速比、および、前記機構部の剛性の少なくとも1つに基づいて導出される請求項7に記載の検出装置。
  9. 前記限界位置検出手段は、前記操舵角検出手段にて検出された操舵角に基づいて導出される角速度が所定の閾値を超えた場合、前記限界位置の検出を一時停止することを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の検出装置。
  10. 前記限界位置検出手段は、前記転舵装置が搭載された車両の速度が所定の閾値を超えた場合、前記限界位置の検出を一時停止することを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の検出装置。
  11. 前記限界位置検出手段は、前記限界位置の検出において、前記トルク値の最大値と、現時点での前記トルク値との差異が所定の閾値を超えた場合、前記限界位置の検出を一時停止することを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の検出装置。
  12. 前記限界位置検出手段は、前記限界位置の検出を一時停止している際に、前記機構部における操舵方向が逆になった場合、または、トルク値が所定の閾値を下回った場合に、一時停止を解除することを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載の検出装置。
  13. 転舵装置が備える機構部の左右の操舵方向それぞれのエンド位置の検出装置であって、
    前記機構部における操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    前記機構部を駆動するアクチュエータと、
    前記機構部への操舵トルクを検出するトルク検出手段と、
    前記機構部における左右の操舵方向それぞれの限界位置を検出する限界位置検出手段と
    を有し、
    前記限界位置検出手段は、
    前記アクチュエータによる駆動力および前記トルク検出手段にて検出された操舵トルクの少なくとも一方により負荷される前記機構部のトルク値が第1の閾値を超えた際に、当該トルク値の方向における操舵角の限界位置の検出を開始し、
    前記機構部のトルク値が、前記第1の閾値と、前記第1の閾値よりも小さな第2の閾値との間にある間、前記操舵角検出手段により検出された操舵角を限界位置として記憶することで前記限界位置の検出を継続し、
    前記機構部のトルク値が、前記第2の閾値未満となった際に、記憶されている限界位置を当該トルク値が示す操舵方向におけるエンド位置として、前記限界位置の検出を終了する、
    ことを特徴とする検出装置。
  14. 転舵装置が備える機構部の左右の操舵方向それぞれのエンド位置の検出方法であって、
    前記機構部を駆動するアクチュエータによる駆動力および前記機構部への操舵トルクの少なくとも一方により負荷される前記機構部のトルク値が第1の閾値を超えた際に、当該トルク値の方向における操舵角の限界位置の検出を開始し、
    前記機構部のトルク値が、前記第1の閾値と、前記第1の閾値よりも大きな第2の閾値との間にある間、前記機構部における操舵角のピーク値を限界位置として記憶することで前記限界位置の検出を継続し、
    前記機構部のトルク値が、前記第2の閾値を超えた際に、記憶されている限界位置を当該トルク値が示す操舵方向におけるエンド位置として、前記限界位置の検出を終了する、
    ことを特徴とする検出方法。
  15. コンピュータに、転舵装置が備える機構部の左右の操舵方向それぞれのエンド位置の検出方法を実行させるためのプログラムであって、
    前記検出方法は、
    前記機構部を駆動するアクチュエータによる駆動力および前記機構部への操舵トルクの少なくとも一方により負荷される前記機構部のトルク値が第1の閾値を超えた際に、当該トルク値の方向における操舵角の限界位置の検出を開始し、
    前記機構部のトルク値が、前記第1の閾値と、前記第1の閾値よりも大きな第2の閾値との間にある間、前記機構部における操舵角のピーク値を限界位置として記憶することで前記限界位置の検出を継続し、
    前記機構部のトルク値が、前記第2の閾値を超えた際に、記憶されている限界位置を当該トルク値が示す操舵方向におけるエンド位置として、前記限界位置の検出を終了する、
    ことを特徴とするプログラム。
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