JP2023096407A - ステアリング制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車線維持支援制御による舵角制御の作動中に車線逸脱警報の認知性低下を防止するステアリング制御装置を提供する。【解決手段】アシスト制御部20は、操舵トルクTsに基づきアシストトルク指令Ta*を演算する。舵角制御部30は、舵角θを、LKA-ECU(車線維持支援装置)16から指令される目標舵角θ*に追従させるようにサーボ制御器34により舵角制御トルク指令Tθ*を演算する。振動付与制御部50は、LDW-ECU(車線逸脱警報装置)17からLDW作動要求が通知されたとき、アシストトルクに振動を付与するようにLDW制御トルク指令Tv*を演算する。モータ駆動制御部65は、各トルク指令Ta*、Tθ*、Tv*の加算値Tm*に基づきモータ80の駆動を制御する。舵角制御部30は、LDW作動時に、非作動時に比べサーボ制御器34の応答性を低下させるように舵角制御ゲインを補正するサーボ応答補正部38を有する。【選択図】図2
Description
本発明は、ステアリング制御装置に関する。
従来、車線維持支援装置が搭載された車両において、モータが出力するアシストトルクによりドライバの操舵をアシストするステアリング制御装置が知られている。
例えば特許文献1に開示された車両用操舵装置は、車線逸脱警報の振動トルクをアシストトルクに重畳させ、ドライバの操舵状態に応じて振動トルクの大きさを変更する。
特許文献2に開示されたモータ制御装置において、目標追従制御演算部は、車線維持支援装置から指令される目標舵角に舵角を追従させる追従制御、すなわち自動操舵により舵角操舵トルク指令を演算する。モータ制御装置は、操舵負荷を低減するアシストトルク指令と自動操舵の舵角操舵トルク指令との加算値に従ってモータを駆動し、ドライバによる介入を検知したとき、自動操舵の応答性を低下させる。
自動操舵による舵角制御の作動中には、車線逸脱警報の振動トルクを付与してモータを駆動した際に生じたモータ角に基づく舵角が目標舵角となるように修正される。舵角制御の振動が車線逸脱警報の振動を打ち消すため、通常アシスト時に比べて車線逸脱警報の作動時にハンドルに現れる振動が小さくなり、ドライバは警報を認知しづらくなる。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、車線維持支援制御による舵角制御の作動中に車線逸脱警報の認知性低下を防止するステアリング制御装置を提供することにある。
本発明は、車線維持支援装置(16)及び車線逸脱警報装置(17)が搭載された車両において、モータ(80)が出力するアシストトルクによりドライバの操舵をアシストするステアリング制御装置である。このステアリング制御装置は、アシスト制御部(20)と、舵角制御部(30)と、振動付与制御部(50)と、モータ駆動制御部(65)と、を備える。
アシスト制御部は、操舵トルク(Ts)に基づきアシストトルク指令(Ta*)を演算する。舵角制御部は、モータの出力に応じて決まる舵角(θ)を、車線維持支援装置から指令される目標舵角(θ*)に追従させるようにサーボ制御器(34)により舵角制御トルク指令(Tθ*)を演算する。
振動付与制御部は、車線逸脱警報装置から車線逸脱警報の作動要求が通知されたとき、アシストトルクに振動を付与するように車線逸脱警報制御トルク指令(Tv*)を演算する。
モータ駆動制御部は、アシストトルク指令、舵角制御トルク指令、及び車線逸脱警報制御トルク指令の加算値(Tm*)に基づきモータの駆動を制御する。
舵角制御部は、所定の適用除外要件に該当する場合を除き、車線逸脱警報の作動時に、非作動時に比べサーボ制御器の応答性を低下させるように舵角制御ゲインを補正するサーボ応答補正部(38)を有する。
本発明では、車線維持支援制御による舵角制御が作動しているときに舵角制御トルク指令の応答性を低下させることで、車線逸脱警報の振動を打ち消しにくくする。よって、車線維持支援制御が作動中でもドライバは警報を認知することができるようになる。
以下、ステアリング制御装置の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。複数の実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。第1、第2実施形態を包括して「本実施形態」という。本実施形態のステアリング制御装置は、車線維持支援装置及び車線逸脱警報装置が搭載された車両の電動パワーステアリングシステムに適用される。各実施形態では、EPS-ECUが「ステアリング制御装置」に相当する。また、LKA(レーンキープアシスト)-ECUが「車線維持支援装置」に相当し、LDW(レーンデパーチャウォーニング)-ECUが「車線逸脱警報装置」に相当する。LKAは車線維持支援を意味し、LDWは車線逸脱警報を意味する。
LKA-ECUは、自動操舵において車両が走行する車線を維持するように目標舵角を指令する。LDW-ECUは、ドライバ操舵又は自動操舵において車両が車線を逸脱しそうになるとドライバへの警報を発する。警報音やディスプレイ表示に代えて又は加えて、本実施形態ではEPS-ECUと協働してハンドルを振動させる。EPS-ECUは、モータが出力するアシストトルクによりドライバの操舵をアシストする。
[電動パワーステアリングシステムの構成]
図1に示すように、基本的に電動パワーステアリングシステム1は、モータ80の駆動トルクにより、ドライバによるハンドル91の操作をアシストするシステムである。ステアリングシャフト92の一端にはハンドル91が固定されており、ステアリングシャフト92の他端側にはインターミディエイトシャフト93が設けられている。ステアリングシャフト92とインターミディエイトシャフト93とは、トルクセンサ94のトーションバーにより接続されており、これらにより操舵軸95が構成される。トルクセンサ94は、トーションバーの捩れ角に基づいて操舵トルクTsを検出する。
図1に示すように、基本的に電動パワーステアリングシステム1は、モータ80の駆動トルクにより、ドライバによるハンドル91の操作をアシストするシステムである。ステアリングシャフト92の一端にはハンドル91が固定されており、ステアリングシャフト92の他端側にはインターミディエイトシャフト93が設けられている。ステアリングシャフト92とインターミディエイトシャフト93とは、トルクセンサ94のトーションバーにより接続されており、これらにより操舵軸95が構成される。トルクセンサ94は、トーションバーの捩れ角に基づいて操舵トルクTsを検出する。
インターミディエイトシャフト93のトルクセンサ94と反対側の端部には、ピニオンギア961及びラック962を含むギアボックス96が設けられている。ドライバがハンドル91を回すと、インターミディエイトシャフト93とともにピニオンギア961が回転し、ピニオンギア961の回転に伴って、ラック962が左右に移動する。ラック962の両端に設けられたタイロッド97は、ナックルアーム98を介してタイヤ99と接続されている。タイロッド97が左右に往復運動し、ナックルアーム98を引っ張ったり押したりすることで、タイヤ99の向きが変わる。
モータ80は、例えば3相交流ブラシレスモータであり、EPS-ECU15から出力された駆動電圧Vdに応じて、駆動トルクを出力する。3相交流モータの場合、駆動電圧Vdは、U相、V相、W相の各相電圧を意味する。モータ80の回転は、ウォームギア86及びウォームホイール87等により構成される減速機構85を経由して、インターミディエイトシャフト93に伝達される。また、ハンドル91の操舵や、路面からの反力によるインターミディエイトシャフト93の回転は、減速機構85を経由してモータ80に伝達される。
なお、図1に示す電動パワーステアリングシステム1は、モータ80の回転が操舵軸95に伝達されるコラムアシスト式であるが、本実施形態のEPS-ECU15は、ラックアシスト式の電動パワーステアリングシステム、或いは、ハンドルと操舵輪とが機械的に切り離されたステアバイワイヤシステムにも適用可能である。また、他の実施形態では、モータとして3相以外の多相交流モータやブラシ付DCモータが用いられてもよい。
ここで、ハンドル91からタイヤ99に至る、ハンドル91の操舵力が伝達される機構全体を「操舵系メカ100」という。EPS-ECU15は、モータ80が操舵系メカ100に出力する駆動トルクを制御することにより、操舵系メカ100が発生する操舵トルクTsを制御する。EPS-ECU15は、操舵系メカ100から操舵トルクTs及び舵角θを取得する。また、EPS-ECU15は、車両の所定の部位に設けられた車速センサ11が検出した車速Vを取得する。
また、EPS-ECU15は、LKA-ECU16から目標舵角θ*及び舵角制御要求フラグF1を取得し、LDW-ECU17からLDW作動要求フラグF2を取得する。自動操舵中、LKA-ECU16は、EPS-ECU15に舵角制御要求フラグF1を出力する。特許文献2(特開2015-33942号公報)等に参照されるように、LKA-ECU16は、車載カメラの映像から検出した走行レーンや自車両の位置に基づいて目標コースを設定し、目標コースに沿って走行するための目標舵角θ*をEPS-ECU15に出力する。
LDW-ECU17は、特許文献1(特開2017-65587号公報)等に参照されるように、舵角、車速、車載カメラの映像、ヨーレート、横加速度等に基づいて、車線を逸脱したり障害物に衝突したりする可能性があるか否か判定する。車線逸脱や障害物との衝突の可能性があると判定したとき、LDW-ECU17は、EPS-ECU15にLDW作動要求フラグF2を出力する。
EPS-ECU15は、図示しない車載バッテリからの電力によって動作し、取得した情報に基づいて、後述する各トルク指令を演算する。EPS-ECU15は、演算した各トルク指令の加算値に従って駆動電圧Vdをモータ80へ印加することにより、モータ80を駆動する。なお、EPS-ECU15における各種演算処理は、ROM等の実体的なメモリ装置に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。
[EPS-ECUの構成]
続いて、各実施形態のEPS-ECU15の構成について順に説明する。各実施形態のEPS-ECUの符号は、「15」に続く3桁目に実施形態の番号を付す。
続いて、各実施形態のEPS-ECU15の構成について順に説明する。各実施形態のEPS-ECUの符号は、「15」に続く3桁目に実施形態の番号を付す。
(第1実施形態)
図2~図6を参照し、第1実施形態について説明する。図2に示すように、第1実施形態のEPS-ECU151は、アシスト制御部20、振動付与制御部50、舵角制御部30、及びモータ駆動制御部65を備える。なお、説明の都合により、舵角制御部30の前に振動付与制御部50について記す。
図2~図6を参照し、第1実施形態について説明する。図2に示すように、第1実施形態のEPS-ECU151は、アシスト制御部20、振動付与制御部50、舵角制御部30、及びモータ駆動制御部65を備える。なお、説明の都合により、舵角制御部30の前に振動付与制御部50について記す。
アシスト制御部20は、ドライバの操舵トルクTsに応じてアシストトルク指令Ta*を演算する。具体的には、アシスト制御部20は、操舵トルクTs及び車速Vに基づき、路面反力(或いは路面負荷)に応じた伝達感や、操舵状態に応じたフィールが実現されるようにアシストトルク指令Ta*を演算する。振動付与制御部50は、LDW-ECU17からフラグF2によりLDW作動要求が通知されたとき、アシストトルクに振動を付与してドライバに気づかせるようにLDW制御トルク指令Tv*を演算する。
舵角制御部30は、舵角偏差算出器33、サーボ制御器34及びサーボ応答補正部38を有する。舵角偏差算出器33は、LKA-ECU16から指令される目標舵角θ*と舵角θとの舵角偏差Δθ(=θ*-θ)を算出する。サーボ制御器34は、目標舵角θ*に舵角θを追従させるように、すなわち舵角偏差Δθを0に近づけるように、PID制御により舵角制御トルク指令Tθ*を演算する。
サーボ応答補正部38は、LDW-ECU17からフラグF2によりLDW作動要求が通知されたとき、すなわちLDW作動時に、原則として、非作動時に比べサーボ制御器34の応答性を低下させるように舵角制御ゲインを補正する。ここで「原則として」とは、所定の適用除外要件に該当する場合を例外として除外する意味である。所定の適用除外要件に該当する場合については第2実施形態にて後述する。サーボ応答補正部38によるこの処理を「サーボ応答補正処理」という。
各トルク指令Ta*、Tθ*、Tv*、Tm*の正負は、トルクが印加される回転方向に応じて定義される。例えば左回転方向に印加されるトルクが正、右回転方向に印加されるトルクが負と定義される。舵角θの正負は、例えば中立位置に対し左側の角度が正、中立位置に対し右側の角度が負と定義される。
指令加算器60は、アシストトルク指令Ta*、舵角制御トルク指令Tθ*、及びLDW制御トルク指令Tv*の加算値である最終アシストトルク指令Tm*を算出してモータ駆動制御部65に出力する。モータ駆動制御部65は、最終アシストトルク指令Tm*に従ってモータ80へ駆動電圧Vdを印加することでモータ80を駆動する。これによりモータ80は、最終アシストトルク指令Tm*に対応したアシストトルクTaを出力する。モータの出力に応じて決まる舵角θは、舵角制御部30にフィードバックされる。
図3のフローチャートを参照し、第1実施形態によるサーボ応答補正処理について説明する。以下のフローチャートの説明で、記号「S」はステップを意味する。S1では、LDW-ECU17からのフラグF2によりLDWの作動中であるか否か判断される。
LDWの作動中にはS1でYESと判定され、S3でサーボ制御の応答性を低下させるように舵角制御ゲインが小さく補正される。例えばK=0.3に設定される。LDWの非作動中にはS1でNOと判定され、S4で、舵角制御ゲインは基準値であるK=1に設定される。このルーチンは、所定の演算周期で繰り返し実行される。
図4に、舵角制御ゲイン毎の舵角θと操舵トルク振動振幅との関係を示す。ここでは、0≦θ≦25[deg]とする。LKAの作動中に舵角制御ゲインがK=1のとき、二点鎖線で示すように、中立位置(θ=0)から舵角θが大きくなるほど操舵トルク振動振幅は減少する。LKAが非作動、すなわちドライバ操舵のとき、舵角制御ゲインがK=0に相当する。このとき破線で示すように、操舵トルク振動振幅の特性線はK=1の特性線に比べて全体に大きくなる。その差は、舵角θが小さい領域ほど大きい。
サーボ応答補正処理により舵角制御ゲインをK=1からK=0.3に補正すると、実線で示すように、操舵トルク振動振幅の特性線はK=0の特性線に近づく。つまり、舵角制御によるLDW振幅への影響が抑制される。なお、舵角制御ゲインをK=0.3とK=1との間の値(例えばK=0.5)に設定した場合、それらの特性線の間の特性が得られると推定される。
図5、図6のタイムチャートを参照し、比較例及び第1実施形態での舵角制御によるLDW振幅への影響について説明する。各図には上から順に、LKAの作動、目標舵角θ*及び舵角θ、舵角制御ゲインK、舵角制御トルク指令Tθ*、LDWの作動、LDW制御トルク指令Tv*、最終アシストトルク指令Tm*、操舵トルク振動振幅を示す。舵角の次元は角度([deg])であり、各トルク指令の次元はトルク([Nm])である。
このタイムチャートにおいてLDWが2回作動する。1回目のLDW作動期間W1及び2回目のLDW作動期間W2にLDW制御トルク指令Tv*の振動が生成される。1回目のLDW作動期間W1にはLKAは作動していなため、LDW制御トルク指令Tv*は舵角制御の影響を受けることなく、そのまま最終アシストトルク指令Tm*の振動成分となり、操舵トルク振動振幅に反映される。
1回目のLDW作動期間W1の後、時刻t1にLKAの作動が開始する。時刻t2に目標舵角θ*が変化すると、舵角θは目標舵角θ*に追従して変化し、時刻t3に目標舵角θ*に到達する。その後、LKAの作動中にLDW作動期間W2が発生する。このとき、LDW振動により振動した舵角θを目標舵角θ*に近づけるように舵角制御が働き、舵角制御トルク指令Tθ*に舵角θの振動と反対方向の振動成分が付与される。
図5に示す比較例では、LKAの作動に関係なく舵角制御ゲインはK=1である。そのため、(*Z1)で示すように、2回目のLDW作動期間W2における舵角制御トルク指令Tθ*の振幅は大きい。すると、(*Z2)で示すように、舵角制御トルク指令Tθ*の振動がLDW制御トルク指令Tv*の振動成分を打ち消してしまう。したがって、LKAが作動していない通常アシスト時に比べてLDW作動時にハンドルに現れる振動が小さくなり、ドライバは警報を認知しづらくなる。
図6に示す第1実施形態では、LDW作動期間W1、W2に、サーボ応答補正部38により舵角制御ゲインがK=1からK=0.3に補正され、舵角制御トルク指令Tθ*の応答性が低下する。そのため、(*A1)で示すように、2回目のLDW作動期間W2における舵角制御トルク指令Tθ*の振幅は図5に比べて小さくなる。すると、(*A2)で示すように、舵角制御トルク指令Tθ*の振動がLDW制御トルク指令Tv*の振動成分を打ち消しにくくなる。よって、LKA作動中でもドライバは警報を認知することができるようになる。
(第2実施形態)
次に図7~図10を参照し、第2実施形態について説明する。図7に示すように、第2実施形態のEPS-ECU152では、舵角偏差算出器33が算出した舵角偏差Δθがサーボ制御器34の他にサーボ応答補正部38に出力される。それ以外の構成は第1実施形態のEPS-ECU151と同じであるため、説明を省略する。
次に図7~図10を参照し、第2実施形態について説明する。図7に示すように、第2実施形態のEPS-ECU152では、舵角偏差算出器33が算出した舵角偏差Δθがサーボ制御器34の他にサーボ応答補正部38に出力される。それ以外の構成は第1実施形態のEPS-ECU151と同じであるため、説明を省略する。
サーボ応答補正部38は、原則としてLDW作動時、第1実施形態と同様にサーボ応答補正処理を実行する。しかし、舵角偏差Δθの絶対値が所定の舵角偏差閾値Δθthより大きいとき、「所定の適用除外要件に該当する場合」として、サーボ応答補正部38は、サーボ応答補正処理を実行しない。
図8に第2実施形態によるサーボ応答補正処理のフローチャートを示す。第1実施形態の図3と実質的に同一のステップには同一のステップ番号を付して説明を省略する。LDWの作動中にS1でYESと判定されると、S2では、舵角偏差Δθの絶対値が舵角偏差閾値Δθthと比較される。
舵角偏差Δθの絶対値が舵角偏差閾値Δθth以下のとき、S2でYESと判定される。この場合、第1実施形態と同様に、S3でサーボ制御の応答性を低下させるように舵角制御ゲインが小さく補正される。例えばK=0.3に設定される。舵角偏差Δθの絶対値が舵角偏差閾値Δθthより大きいとき、S2でNoと判定される。この場合、S4で、舵角制御ゲインはK=1に設定される。つまり、LDW非作動時と同じ舵角制御ゲインが用いられる。
図9、図10のタイムチャートを参照し、目標舵角変化時における第1及び第2実施形態によるサーボ応答補正処理の違いを説明する。各図には上から順に、LKAの作動、目標舵角θ*及び舵角θ、舵角偏差Δθ、舵角制御ゲインK、舵角制御トルク指令Tθ*、LDWの作動を示す。
図5、図6と同様に時刻t1にLKAの作動が開始する。時刻t2に目標舵角θ*が変化すると、舵角偏差Δθの絶対値が増加する。目標舵角θ*に対する舵角θの追従に伴って舵角偏差Δθは次第に小さくなり、時刻t3に0に収束する。
図9に示す第1実施形態は第2実施形態に対する比較例に相当する。第1実施形態では、LDWの作動中、常に舵角制御ゲインが小さく補正される。時刻t1以前の1回目のLDW作動期間W1にはLKAが作動しておらず、舵角制御に影響しない。
一方、2回目のLDW作動期間W2には、LKAの作動中に舵角制御ゲインが小さく補正される。図6を参照して説明した通り、(*A1)で示すように、舵角制御トルク指令Tθ*の応答性を低下させることで、警報認知性の低下を防止することができる。ただし、舵角制御の応答性を低下させることの背反として、(*A3)で示すように、舵角θの目標舵角θ*に対する追従性が低下する。つまり、LDW作動期間W2における舵角θの変化勾配が小さくなり、時刻t2~t3の応答時間Tresが長くなる。
図10に示す第2実施形態では、舵角θが変化して舵角偏差Δθの絶対値が舵角偏差閾値Δθthより大きくなったとき、警報認知性の低下防止よりも舵角制御の追従性を優先する。つまり、適用除外要件に該当する場合として、サーボ制御器34の応答性を低下させる処理を実行しない。LDW作動期間W2には舵角偏差Δθの絶対値が舵角偏差閾値Δθthより大きいため、サーボ制御器34は、LDW非作動時と同じ舵角制御ゲイン(すなわちK=1)を用いる。
その結果、(*B1)で示すように、LDW作動期間W2においても目標舵角θ*に対する舵角θの追従性が低下しない。舵角偏差Δθの絶対値が舵角偏差閾値Δθthより小さくなると、適用除外要件は解除される。時刻t3以後にLDWが作動した場合、舵角偏差Δθの絶対値が舵角偏差閾値Δθth以下であれば、サーボ応答補正部38は、原則通りサーボ制御器34の応答性を低下させる。このように第2実施形態では、舵角θの変化に応じて、警報認知性と舵角制御の追従性との優先度を切り替えることができる。
(その他の実施形態)
サーボ応答補正処理の適用除外要件は、舵角偏差Δθすなわち舵角θの一階微分値の他に、例えば舵角θの二階微分値に相当する「舵角変化の加速度」等をパラメータとして設定されてもよい。
サーボ応答補正処理の適用除外要件は、舵角偏差Δθすなわち舵角θの一階微分値の他に、例えば舵角θの二階微分値に相当する「舵角変化の加速度」等をパラメータとして設定されてもよい。
本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
15・・・EPS-ECU(ステアリング制御装置)、
16・・・LKA-ECU(車線維持支援装置)、
17・・・LDW-ECU(車線逸脱警報装置)、
20・・・アシスト制御部、
34・・・サーボ制御器、
38・・・サーボ応答補正部、
50・・・振動付与制御部、
65・・・モータ駆動制御部、
80・・・モータ。
16・・・LKA-ECU(車線維持支援装置)、
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20・・・アシスト制御部、
34・・・サーボ制御器、
38・・・サーボ応答補正部、
50・・・振動付与制御部、
65・・・モータ駆動制御部、
80・・・モータ。
Claims (2)
- 車線維持支援装置(16)及び車線逸脱警報装置(17)が搭載された車両において、モータ(80)が出力するアシストトルクによりドライバの操舵をアシストするステアリング制御装置であって、
操舵トルク(Ts)に基づきアシストトルク指令(Ta*)を演算するアシスト制御部(20)と、
前記モータの出力に応じて決まる舵角(θ)を、前記車線維持支援装置から指令される目標舵角(θ*)に追従させるように、サーボ制御器(34)により舵角制御トルク指令(Tθ*)を演算する舵角制御部(30)と、
前記車線逸脱警報装置から車線逸脱警報の作動要求が通知されたとき、アシストトルクに振動を付与するように車線逸脱警報制御トルク指令(Tv*)を演算する振動付与制御部(50)と、
前記アシストトルク指令、前記舵角制御トルク指令、及び前記車線逸脱警報制御トルク指令の加算値(Tm*)に基づき前記モータの駆動を制御するモータ駆動制御部(65)と、
を備え、
前記舵角制御部は、所定の適用除外要件に該当する場合を除き、前記車線逸脱警報の作動時に、非作動時に比べ前記サーボ制御器の応答性を低下させるように舵角制御ゲインを補正するサーボ応答補正部(38)を有するステアリング制御装置。 - 前記適用除外要件に該当する場合として、舵角と前記目標舵角との差分である舵角偏差(Δθ)の絶対値が所定の舵角偏差閾値より大きいとき、
前記サーボ制御器は、前記車線逸脱警報の作動時に非作動時と同じ舵角制御ゲインを用いる請求項1に記載のステアリング制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021212152A JP2023096407A (ja) | 2021-12-27 | 2021-12-27 | ステアリング制御装置 |
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2021
- 2021-12-27 JP JP2021212152A patent/JP2023096407A/ja active Pending
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Legal Events
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A621 | Written request for application examination |
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