JP7062377B2 - 位相シフトマスクの製造方法および位相シフトマスク - Google Patents

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Description

本発明は、微細かつ高精度な露光パターンを形成することが可能な位相シフトマスクの製造方法および位相シフトマスクに関し、特にフラットパネルディスプレイの製造に用いて好適な技術に関する。
半導体において、高密度実装を行うため、長い期間にかけてパターンの微細化が行われてきている。そのために、露光波長を短波長化するとともに、露光方法の改善など様々な手法が検討されてきた。
フォトマスクにおいてもパターン微細化を行うために、複合波長を用いる遮光膜パターン形成フォトマスクから、パターン縁において光干渉を用いて、単波長を用い、より微細なパターン形成可能な位相シフトマスクが使用されるに至っている。
上記に示す、半導体用位相シフトマスクでは、特許文献1に示すようにi線単波長を用いたエッジ強調型の位相シフトマスクが使用されていたが、更なる微細化のために、特許文献2に示すようにArF単波長まで露光波長を短くし、かつ、半透過型の位相シフトマスクが使用されてきている。
一方、フラットパネルディスプレイでは、低価格化を実現するために、高いスループットにて生産を行う必要があり、露光波長もg線、h線、i線の複合波長での露光にてパターン形成が行われている。
最近、上記フラットパネルディスプレイでも高精細な画面を形成するためにパターンプロファイルがより微細化されてきており、従来より使用されてきている、遮光膜をパターン化したフォトマスクではなく、特許文献3に示すようにエッジ強調型の位相シフトマスクが使用されるに至っている。
然し、上記従来例のものでは、透明基板上に遮光層を成膜し、この遮光層をエッチングおよびパターニングし、パターニングした遮光層を覆うように位相シフト層を成膜し、この位相シフト層をエッチングしてパターニングすることにより位相シフトマスクが製造される。このように成膜とパターニングとを交互に行うと、装置間の搬送時間や処理待ち時間が長くなり生産効率が著しく低下する。しかも、所定の開口パターンを持つ単一のマスク越しに、位相シフト層と遮光層とを連続してエッチングすることができず、マスク(レジストパターン)を2回形成する必要があり、製造工程数が多くなる。従って、高い量産性で位相シフトマスクを製造できないという問題があった。
上記の点に鑑み、透明基板表面に位相シフト層とエッチングストッパー層と遮光層とをこの順に設けた位相シフトマスクが考えられる。このような構成であると、位相シフトマスクをフォトリソ法で製造した場合、位相シフトパターンの開口幅に対して遮光層に形成されたパターンの開口幅が広くなったエッジ強調型の位相シフトマスク、つまり、位相シフトマスクを平面視した際、遮光パターンが位相シフトパターンから後退したエッジ強調型の位相シフトマスクが得られる。
特許文献4に、示すようにエッジ強調型の位相シフトマスク(ハーフトーンマスク)を製造する際には、位相シフト層と遮光層とを連続してエッチングすることで、遮光層をサイドエッチして、位相シフトパターンよりも遮光パターンが後退したエッジ強調型の位相シフトマスクを形成する必要がある。
特開平8-272071号公報 特開2006-78953号公報 特開2011-13283号公報 特開2013-134435号公報
しかし、特許文献4に記載された技術では、位相シフトマスクとなるハーフトーンマスクにおいて、遮光層のサイドエッチングの速度が不足する可能性があり、位相シフトパターンから遮光パターンが後退する寸法が所定の幅寸法に設定できない場合があるという問題があった。または、遮光層のサイドエッチングの速度が不足する状態のままエッチング量を増加した場合には、エッチング時間が長くなりすぎて、欠陥発生等、線幅の均一性が劣化する可能性があった。
このため、遮光層におけるサイドエッチング量を増大させることによって、フォトリソ工程数を削減して、製造時間を削減し、製造コストを低減したいという要求があった。
同時に、線幅均一性の劣化や遮光性などの膜特性悪化を防止することが望まれていた。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.遮光層におけるサイドエッチングのエッチング速度の増大を可能とすること。
2.ハーフトーンマスとしての特性悪化を防止すること。
本発明において製造するハーフトーンマスクは、図8(a)(b)に示すように、透明基板110上に積層された位相シフトパターン120と遮光パターン130とから形成された転写用パターンとを有するが、この転写用パターンの形状、すなわち遮光パターンと位相シフトパターンの形状は、ハーフトーンマスクの用途に応じて設定される。例えば、図8(a)(b)に示すホールパターンや、ラインアンドスペースパターンを転写用パターンとして備えることができる。
ここで、図8(c)に示すハーフトーンマスク100の光強度分布は、図9(c)に示すように、単層の位相シフトパターン120における光強度分布によって設定される転写寸法に対して、この転写寸法をより正確に形成可能とするために、単独では図10(c)に示す光強度分布を有す得る遮光パターン130を、位相シフトパターン120のエッジから後退させた位置に積層している。このため、遮光パターン130のエッジが、位相シフトパターン120のエッジから後退する寸法、すなわち、露出した位相シフトパターン120の幅寸法の設定が極めて重要となる。
遮光パターン130を、位相シフトパターン120のエッジから後退させるために、クロムからなる遮光層をサイドエッチングで処理をおこなう。
一般的なクロム膜のサイドエッチングレートは、開口パターン幅方向の両側位置におけるパターン線幅として、0.05μm~0.15μm/10sec程度であり、目的とする幅寸法を小さくする、つまりパターン開口片側で0.5~2.0μm細くするには、短くても66sec~200sec、長ければ、267sec~800secのオーバーエッチング時間が必要ということになる。
たとえば、細くしたい線幅(片側)が1.5μmの場合には、200sec~600secのオーバーエッチング時間が必要となる。
このような長いオーバーエッチング時間は、欠陥発生が増加し、線幅の均一性(パターンエッジがギザつく)が劣ってくるために現実的ではない。そこで、本願発明者らは、サイドエッチングレートの極端に大きいクロム膜を実現することとした。
本発明の位相シフトマスクの製造方法は、透明基板と、
該透明基板の表面に形成された位相シフト層と、
前記位相シフト層に積層されたCrを主成分とする遮光層と、を備え、
前記位相シフト層に形成された位相シフトパターンのエッジよりも前記遮光層に形成された遮光パターンのエッジが平面視して後退した位置に配置される位相シフトマスクを製造する方法であって、
前記透明基板に、前記位相シフト層と前記遮光層とを形成する工程と、
前記遮光層上に所定の開口パターンを有するマスクを形成する工程と、
この形成したマスク越しに前記遮光層をエッチングして遮光パターンを形成する工程と、
前記マスク越しに前記位相シフト層をウェットエッチングして位相シフトパターンを形成するとともに、前記遮光層をサイドエッチする工程と、
を有し、
Oを含有せずにNおよびCOを含有して酸化窒化炭化クロムを主成分とした層を成膜に、成膜厚さの増大に従って成膜ガス組成を変化させ、前記遮光層中の炭素を減少させて、ほとんど含有しない状態とするとともに、前記遮光層中における含有する窒素量を増大させて、COを含有せずにNおよびNOを含有して窒素成分の比率を高い酸化窒化クロムを主成分とした層を成膜し前記遮光層を複数層として成膜し、
前記遮光層を成膜する際に、成膜ガスとしてメタンを含有しないとともに窒素ガス(N )を含有する成膜雰囲気を有することにより上記課題を解決した。
本発明において、前記遮光層を成膜する際に、酸化窒化クロムを主成分とした層を成膜する成膜条件を前半と後半で変化させて膜構成の異なる2層とし、
前記遮光層を前記酸化窒化炭化クロム層と前記膜構成の異なる2層の酸化窒化クロム層との3層の膜で構成することがより好ましい。
本発明は、前記位相シフトマスクが、Ni-Ti-Nb-Mo膜からなるエッチングストッパー層を有することが可能である。
また、本発明において、前記遮光層をウェットエッチングする際に、硝酸セリウム第2アンモニウムを含むエッチング液を用いる手段を採用することもできる
本発明の位相シフトマスクの製造方法は、透明基板と、
該透明基板の表面に形成された位相シフト層と、
前記位相シフト層に積層されたCrを主成分とする遮光層と、を備え、
前記位相シフト層に形成された位相シフトパターンのエッジよりも前記遮光層に形成された遮光パターンのエッジが平面視して後退した位置に配置される位相シフトマスクを製造する方法であって、
前記透明基板に、前記位相シフト層と前記遮光層とを形成する工程と、
前記遮光層上に所定の開口パターンを有するマスクを形成する工程と、
この形成したマスク越しに前記遮光層をエッチングして遮光パターンを形成する工程と、
前記マスク越しに前記位相シフト層をウェットエッチングして位相シフトパターンを形成するとともに、前記遮光層をサイドエッチする工程と、
を有し、
前記遮光層を成膜する際に、成膜ガスとして窒素を含有する成膜雰囲気を有することにより、サイドエッチング量が従来よりも1桁大きな遮光層を成膜することができる。
これにより、位相シフト層と遮光層とをエッチングする時間を短縮して、膜特性が悪化してしまうことを防止しつつ、所定形状だけ位相シフトパターンから遮光パターンが後退したハーフトーンマスクを製造することが可能となる。
なお、本発明において、前記位相シフト層に形成された位相シフトパターンのエッジよりも前記遮光層に形成された遮光パターンのエッジが平面視して後退した位置に配置されるとは、位相シフトマスクにおいて、透明基板の露出したパターンの配置されていない透光領域と、透明基板に位相シフト層のみが積層された位相シフト領域と、透明基板に位相シフト層および遮光層が積層された遮光領域と、が順に隣接して配置された際に、透光領域と位相シフト領域との境界である位相シフトパターンのエッジから、位相シフト領域と遮光領域との境界である遮光パターンのエッジまでの距離、すなわち、位相シフト領域の幅寸法が、ハーフトーンマスクとして露光時に位相シフトパターンが被露光物に正確に転写可能な光強度となるように設定されていることを意味する。
本発明において、前記遮光層を成膜する成膜ガスとして、メタンを含有しないことにより、サイドエッチング量が従来よりも1桁大きな遮光層を成膜することができる。
本発明は、前記遮光層を複数層として成膜することにより、従来と同程度の膜特性を有する位相シフトマスクとすることができる。具体的には、ガラス基板(透明基板)との密着性、光学特性として、十分な光学濃度(O.D.(Optical Density)2.4以上)、膜面反射率10±5%を有することが可能である。 また、エッチング時間を短くしたことにより、エッチングによってパターン幅を大きく細らせても、パターンエッジのギザつきを発生させないことが可能である。
また、本発明において、前記遮光層をウェットエッチングする際に、硝酸セリウム第2アンモニウムを含むエッチング液を用いることにより、遮光層として従来よりも1桁大きなサイドエッチング量を実現することができる。
また、本発明の位相シフトマスクは、上記のいずれか記載の製造方法によって製造された位相シフトマスクであって、前記遮光層におけるウェットエッチングのサイドエッチング量が、メタンを含んだ成膜ガスによって成膜された遮光層に比べて大きく設定されることにより、遮光層として従来よりも1桁大きなサイドエッチング量を実現することができる。
また、前記遮光層におけるウェットエッチングのサイドエッチング量が、メタンを含んだ成膜ガスによって成膜された遮光層に比べて1桁大きく設定されることができる。
本発明においては、前記遮光層が、窒素を30%以上含むことにより、上記のサイドエッチング量を実現することができる。
本発明においては、前記遮光層が、窒素を40%以上含むことにより、上記のサイドエッチング量を実現することができる。
さらに、本発明においては、前記透明基板から離間する側の前記位相シフト層表面に、Ni、Co、Fe、Ti、Si、Al、Nb、Mo、WおよびHfから選択された少なくとも1種の金属を主成分とするエッチングストッパー層が形成され、前記エッチングストッパー層上に前記遮光層が形成される位相シフトマスクを製造する方法であって、前記エッチングストッパー層を形成する工程と、前記マスク越しに前記遮光層と前記エッチングストッパー層とを順次エッチングして遮光パターンとエッチングストッパーパターンとを形成する工程と、前記エッチングストッパー層を更にエッチングする工程と、を有することができる。
または、本発明において、前記位相シフト層が、Ni、Co、Fe、Ti、Si、Al、Nb、Mo、WおよびHfから選択された少なくとも1種の金属を主成分とすることができる。
また、本発明においては、前記位相シフト層におけるエッチングレートの前記透明基板側と前記エッチングストッパー層側とにおける比を設定し、エッチング処理時間を制御することで、前記位相シフト層の厚さ寸法に対する平面視した側面の幅寸法の比を所定の範囲に設定することができる。
本発明によれば、従来と同程度の膜特性を維持しながら、従来よりも1桁大きなサイドエッチング量を有する遮光層を実現して、膜特性を低下させることなく所望のサイドエッチ量を確保しながら、エッチング工程に必要な時間を削減し、製造コストを削減することができるという効果を奏することが可能となる。
本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の第1実施形態を示す工程図である。 本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の第1実施形態における工程を示す断面図である。 本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の第1実施形態における遮光層のサイドエッチ量を示すグラフである。 本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の実験例を示すSEM写真である。 本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の実験例を示すSEM写真である。 本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の実験例を示すSEM写真である。 本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の実験例を示すSEM写真である。 位相シフトマスクを説明するための模式平面図(a)、断面図(b)、光強度分布を示す図(c)である。 位相シフトマスクを説明するための模式平面図(a)、断面図(b)、光強度分布を示す図(c)である。 位相シフトマスクを説明するための模式平面図(a)、断面図(b)、光強度分布を示す図(c)である。
以下、本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における位相シフトマスクの製造方法を模式的に示す工程図であり、図において、符号MBは位相シフトマスクブランクスである。
本発明の位相シフトマスクブランクスMBは、図1(a)に示すように、透明基板Sと、この透明基板S上に形成された位相シフト層11と、位相シフト層11上に形成されたエッチングストッパー層12と、このエッチングストッパー層12上に形成された遮光層13とで構成される。
透明基板Sとしては、透明性および光学的等方性に優れた材料が用いられ、例えば、石英ガラス基板を用いることができる。透明基板Sの大きさは特に制限されず、当該マスクを用いて露光する基板(例えばFPD用基板、半導体基板)に応じて適宜選定される。本実施形態では、径寸法100mm程度の基板や、一辺50~100mm程度から、一辺300mm以上の矩形基板に適用可能であり、更に、縦450mm、横550mm、厚み8mmの石英基板や、最大辺寸法1000mm以上で、厚み10mm以上の基板も用いることができる。
また、透明基板Sの表面を研磨することで、透明基板Sのフラットネスを低減するようにしてもよい。透明基板Sのフラットネスは、例えば、20μm以下とすることができる。これにより、マスクの焦点深度が深くなり、微細かつ高精度なパターン形成に大きく貢献することが可能となる。さらにフラットネスは10μm以下と、小さい方が良好である。
位相シフト層11は、Crを主成分とするものであり、具体的には、Cr単体、並びにCrの酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、炭化窒化物および酸化炭化窒化物から選択される1つで構成することができ、また、これらの中から選択される2種以上を積層して構成することもできる。
位相シフト層11は、300nm以上500nm以下の波長領域の何れかの光(例えば、波長365nmのi線)に対して略180°の位相差をもたせることが可能な厚さ(例えば、90~170nm)で形成される。
エッチングストッパー層12としては、Ni、Co、Fe、Ti、Si、Al、Nb、Mo、WおよびHfから選択された少なくとも1種の金属を主成分とするものを用いることができ、例えば、Ni-Ti-Nb-Mo膜を用いることができる。
これら位相シフト層11、エッチングストッパー層12は、例えば、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、レーザ蒸着法、ALD法等により成膜できる。
遮光層13は、Crを主成分とするものであり、具体的には、Crおよび窒素を含むものとされる。さらに、遮光層13が厚み方向に異なる組成を有することもでき、この場合、遮光層13として、Cr単体、並びにCrの酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、炭化窒化物および酸化炭化窒化物から選択される1つ、または、2種以上を積層して構成することもできる。
遮光層13は、所定の光学特性が得られる厚み(例えば、80nm~200nm)で形成される。
本実施形態の位相シフトマスクMは、たとえば、180°の位相差をもたせることが可能な位相シフト層(位相シフトパターン)11を有し、この位相シフト層11に形成された位相シフトパターン11aの開口幅よりも遮光層13に形成された遮光パターン13bの開口幅が広く設定される。
当該位相シフトマスクMによれば、上記波長領域の光、特にg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)を含む複合波長を露光光として用いることで、位相の反転作用により光強度が最小となる領域を形成して、露光パターンをより鮮明にすることができる。このような位相シフト効果により、パターン精度が大幅に向上し、微細かつ高精度なパターン形成が可能となる。位相シフト層は酸化クロム、酸化窒化クロム、酸化窒化炭化クロムなどで形成することができ、さらにSiを含んだ酸化系膜でも窒化系膜でも酸窒化系膜でも形成することが可能である。また、上記位相シフト層の厚みは、i線に対して略180°の位相差をもたせる厚みとすることができる。さらに、h線またはg線に対して略180°の位相差をもたせることが可能な厚みで上記位相シフト層を形成してもよい。ここで「略180°」とは、180°又は180°近傍を意味し、例えば、180°±10°以下である。この位相シフトマスクによれば、上記波長領域の光を用いることで位相シフト効果に基づくパターン精度の向上を図ることができ、微細かつ高精度なパターン形成が可能となる。これにより、高画質のフラットパネルディスプレイを製造することができる。
本実施形態の位相シフトマスクは、例えばFPD用ガラス基板に対するパターニング用マスクとして構成することができる。後述するように、当該マスクを用いたガラス基板のパターニングには、露光光にi線、h線およびg線の複合波長が用いられる。
以下、本実施形態の位相シフトマスクブランクスMBから位相シフトマスクMを製造する位相シフトマスクの製造方法について説明する。
本実施形態の位相シフトマスクブランクスMBは、図1(a)に示すように、まず、ガラス基板S上に、DCスパッタリング法などを用いて、Crを主成分とする位相シフト層11、Niを主成分とするエッチングストッパー層12を順に成膜する。
次に、Crを主成分とする遮光層13をエッチングストッパー層12上に成膜する。
このときき、成膜条件として、クロムをターゲットとしたDCスパッタリングにより、スパッタリングガスとして、アルゴン、窒素(N)を含む状態で、スパッタリングがおこなわれる。このとき、メタン等の炭素を含有するガスは極力低減することが好ましい。
これにより、遮光層13は、窒素をリッチに含有する状態として成膜されて、後工程となるウェットエッチング時に、高いサイドエッチレートを有する。
次に、図1(b)に示すように、位相シフトマスクブランクスMBの最上層である遮光層13の上にフォトレジスト層PR1aが形成される。フォトレジスト層PR1aは、ポジ型でもよいしネガ型でもよい。フォトレジスト層PR1aとしては、液状レジストが用いられる。
続いて、図1(c)に示すように、フォトレジスト層PR1aを露光するとともに、図1(d)に示すように、現像することで、遮光層13の上にレジストパターンPR1が形成される。レジストパターンPR1は、遮光層13のエッチングマスクとして機能し、遮光層13のエッチングパターンに応じて適宜形状が定められる。一例として、位相シフト領域PSにおいては、形成する位相シフトパターンの開口幅寸法に対応した開口幅を有する形状に設定される。
次いで、図1(e)に示すように、このレジストパターンPR1越しに第1エッチング液を用いて遮光層13をウェットエッチングする。第1エッチング液としては、硝酸セリウム第2アンモニウムを含むエッチング液を用いることができ、例えば、硝酸や過塩素酸等の酸を含有する硝酸セリウム第2アンモニウムを用いることが好ましい。ここで、エッチングストッパー層12は第1エッチング液に対して高い耐性を有するため、遮光層13のみがパターニングされて遮光パターン13aが形成される。遮光パターン13aは、レジストパターンPR1に対応した開口幅を有する形状とされる。さらに、図1(f)に示すように、デスカム処理をおこなう。なおデスカム処理とは、Oプラズマ照射処理をすることにより、現像時の残渣を除去することをいう。このデスカム処理をすることにより膜表面の濡れ性を親水性へと変え、その後のエッチング工程において均一にエッチングが可能となる。
次いで、図1(g)に示すように、上記レジストパターンPR1越しに第2エッチング液を用いてエッチングストッパー層12をウェットエッチングする。第2エッチング液としては、硝酸に酢酸、過塩素酸、過酸化水素水および塩酸から選択した少なくとも1種を添加したものを好適に用いることができる。ここで、遮光層13および位相シフト層11は第2エッチング液に対して高い耐性を有するため、エッチングストッパー層12のみがパターニングされてエッチングストッパーパターン12aが形成される。エッチングストッパーパターン12aは、遮光パターン13aおよびレジストパターンPR1の開口幅寸法に対応した開口幅を有する形状とされる。
次いで、図1(h)に示すように、レジストパターンPR1越しに、つまり、レジストパターンPR1を除去しない状態で、第1エッチング液を用いて位相シフト層11をウェットエッチングする。ここで、遮光パターン13aは位相シフト層11と同じCr系材料で構成され、遮光パターン13aの側面は露出しているため、位相シフト層11がパターニングされて位相シフトパターン11aが形成される。位相シフトパターン11aは所定の開口幅寸法を有する形状とされる。同時に、遮光パターン13aは高いサイドエッチ量を有するように形成されているために、位相シフトパターン11aよりもさらにサイドエッチングされて、位相シフトパターン11aの開口幅寸法よりも大きな開口幅を有する形状の遮光パターン13bが形成される。
このとき、遮光層13あるいは遮光パターン13aは、高いサイドエッチ量を有することにより、エッチング処理時間を短縮して、位相シフト層11あるいは位相シフトパターン11aに対するダメージを減少することができる。
次いで、図1(j)に示すように、第2エッチング液を用いて遮光パターン13bの側面から露出しているエッチングストッパー層12aをウェットエッチングして、遮光パターン13bに対応した開口幅を有するエッチングストッパーパターン12bとして、レジストパターンPR1を除去する。レジストパターンPR1の除去には、公知のレジスト剥離液を用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。尚、レジストパターンの除去は遮光パターン13b形成後でも良好である。
以上により、図1(k)に示すように、位相シフトパターン11aの開口幅よりも遮光パターン13b(およびエッチングストッパーパターン12b)の開口幅が広いエッジ強調型の位相シフトマスクMが得られる。
位相シフトパターン11aは、図2に示すように、均一厚さ領域B1aにおける厚さT11が、この境界部分B1以外における位相シフトパターン11aの厚さと等しくされるとともに、この厚さは、g線に対応した光強度がゼロになる厚さTg(例えば、145nm)に対応した値とされている。あるいは、h線、i線に対応した厚さTh(例えば、133nm)、Ti(例えば、120nm)とすることもできる。あるいは、位相シフト層11の厚さはTgよりも大きな値とすることができる。
図1においては、位相シフトパターン11aおよび遮光パターン13bの側面が垂直に形成されているように示しているが、実際には、図2に示すように、エッチングレートの差を起因とする凹凸が生じている。
なお、図2は、位相シフト層11のエッチングが終了し、エッチングストッパーパターン12aの剥離を行っていない状態を示す。
本実施形態によれば、遮光パターン13bの外側に露出する位相シフトパターン11aの幅は、位相シフト層11をウェットエッチングするときの位相シフト層11の厚さ方向におけるエッチングレートと、そのときの遮光パターン13bの横方向におけるエッチングレートとの差と、そのときの遮光パターン13bのエッチング状態によって設定できる。
ここで、遮光パターン13bにおける横方向のエッチングレートは、エッチングストッパー層12表面に遮光層13を成膜する際に、雰囲気ガスとして窒素を含有させるとともに、成膜厚さの増大に従って成膜ガス組成を変化させる等の膜特性の調整により、サイドエッチング速度を設定できる。特に、遮光層13中の炭素を減少させて、ほとんど含有しない状態とするとともに、遮光層13中における含有する窒素量を増大することによって、サイドエッチング速度が増加するように設定することが可能である。
特に、後述するように、遮光層13におけるサイドエッチング速度を増加させるためには、窒素を30%以上含有することが好ましく、より好ましくは、窒素を40%以上含有することができる。ここで、含有窒素の割合は、オージェ電子分光法(AES)による元素分析のパーセンテージとして表現することができる。
さらに、遮光パターン13bにおける厚さ方向およびこれに交差する方向のエッチングレートは、遮光層13の組成やエッチングストッパー層12と遮光層13との界面状態の影響を受けるのでこれも考慮することができる。
ここで、図2に示すように、レジスト層PR1の幅寸法PR1に対して、遮光パターン13bにおける平面視してレジストPR1側とエッチングストッパー層12b側との間の幅寸法B2a(遮光パターン13b側目の傾斜状態)、位相シフトパターン11aの均一厚さ領域の幅寸法B1a、平面視したエッチングストッパー層12aと位相シフトパターン11aとが離間する幅寸法B12、位相シフトパターン11aの厚さが減少するダレ幅B1b(位相シフトパターン11a側面の傾斜状態)、とされる各寸法が所定の値となるように各層の成膜条件およびエッチング条件を所望の状態に設定する。
このとき、遮光パターン13bの幅寸法B2aが負の値となること、つまり、遮光パターン13bが、平面視してレジストPR1側よりもエッチングストッパー層12b側が基板露出領域C側に位置する傾斜状態と平面視してエッチングストッパー層12b側よりもレジストPR1側が基板露出領域C側に位置する傾斜状態とが選択可能である。
さらに、遮光パターン13aのエッチング速度は、遮光層13の厚さ方向の組成状態の影響を受ける。例えば遮光層13を、酸化窒化クロムを主成分とした層と酸化窒化炭化クロムを主成分とした層との2層の膜で構成した場合に、酸化窒化クロムを主成分とした層の窒素成分の比率を高くすればエッチング速度を高くできる一方で、酸化窒化炭化クロムを主成分とした層の炭素成分の比率を高くすればエッチング速度を低くできる。遮光パターン13aのエッチング量としては、例えば、200nm~1000nmの範囲内で設定できる。
このとき、遮光層13において、酸化窒化クロムを主成分とした層を成膜する際、さらに、成膜条件を前半と後半で変化させ、膜構成の異なる2層とし、酸化窒化炭化クロムを主成分とした層との3層の膜で構成することもできる。
あるいは、酸化窒化クロムを主成分とし、膜構成の異なる2層の膜で構成することもできる。
さらに、酸化窒化炭化クロムを主成分とし、膜構成の異なる2層の膜で構成することもできる。
このとき、成膜条件として、雰囲気ガス以外の条件として、ガス圧力、印加電圧、などを設定することが好ましい。特に、遮光層13とエッチストッパー層12との密着を向上させるため、成膜時の基板温度は120℃以上といった条件を設定することができる。
これに対し、位相シフトパターン11bにおける厚さ方向のエッチングレートは、位相シフト層11の組成やエッチングストッパー層12と位相シフト層11との界面状態の影響を受けるため、遮光層13のサイドエッチングレートに対して所定値となるように設定する。
位相シフトパターン11bにおける厚さ方向のエッチングレートは、ガラス基板S表面に位相シフト層11を成膜する際に、成膜厚さの増大に従ってクロム粒のグレインサイズを大きくする等の膜特性の調整により、ガラス基板S表面よりエッチングストッパー層12側のエッチング速度を低くすることができる。グレインサイズをエッチングストッパー層と位相シフト層で異なり、エッチングストッパー層の方が10%以上小さいことによって設定することができる。さらに、20%以上で小さければ、さらなる効果を得ることができる。
さらに、位相シフトパターン11bにおける厚さ方向のエッチングレートは、上述した位相シフト層11におけるサイドエッチングレートの比を、エッチングストッパー層12側のエッチング速度に対するガラス基板S側のエッチング速度の比の値が
(エッチングストッパー層12側のエッチング速度)/(ガラス基板S側のエッチング速度)=7.10~21.78となるように設定してもよい。
このようにエッチングレートを設定した状態で、位相シフト層11におけるエッチング処理時間を制御することで、図2にB1bで示すように、位相シフトパターン11aに形成された斜面の傾斜状態である位相シフトパターン11aのダレ幅B1bを制御すること、つまり、位相シフトパターン11aのダレ幅(B1bに対応)が減少してエッジが立ってゆくこと、およびその逆の状態まで設定することが可能となる。
上記のように位相シフト層11におけるエッチング速度に対する遮光層13におけるサイドエッチングレートを設定することで、遮光層13のエッチング量が基板面内方向(横方向)に変化することになる。エッチング処理時間を増加させた場合、位相シフト層11のエッチング量が増加する割合に比べて、遮光層13のエッチング量が増加する割合が大きいため、これらのエッチング量の変化に付随して、位相シフトパターン11aに対して遮光パターン13bが交代する幅寸法、つまり、遮光パターン13bに対して位相シフトパターン11aの露出する幅寸法を変化させることができる。
この際、エッチングストッパーパターン12aの端部に対する位相シフトパターン11aの上端の幅方向位置と位相シフトパターン11aの下端の幅方向位置も変化する。したがって、これらを勘案してエッチング処理時間を設定する。
これにより、図2にB1aで示す遮光パターン13bに対する平面視した位相シフトパターン11aの幅寸法を、所定の範囲に設定することができる。
本実施形態によれば、透明基板S上に、位相シフト層11、エッチングストッパー層12および遮光層13をこの順で積層して位相シフトマスクブランクスMBを構成した。この位相シフトマスクブランクスMBの遮光層13上にレジストパターンPR1を形成し、遮光層13のサイドエッチングレートと、他の層の厚さ方向エッチングレートと各層におけるウェットエッチング処理時間を制御することで、エッジ強調型の位相シフトマスクMを製造できる。従って、高精細な視認性の高い位相シフトマスクMを短時間で製造できる。
また、遮光層13は、Crの酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、炭化窒化物および酸化炭化窒化物から選択される何れか1種以上で構成され、遮光効果が十分に発揮される膜厚を有する。このような遮光効果が十分に発揮される膜厚を有することで、位相シフト層11のエッチング時間に対して遮光層13のエッチング時間が長くなってしまうが、遮光層13のサイドエッチング速度が十分大きいことから、遮光層13と位相シフト層11とのエッチングレートを好適な範囲に設定することでエッチング量を制御して、位相シフト層11および遮光層13のラインラフネスが概直線状であり、かつ、これらのパターン断面が概垂直となる、フォトマスクとして良好なパターンの形成を行い、形成される遮光パターン13b、位相シフトパターン11aのCD精度を高めることができ、かつ、膜の断面形状をフォトマスクにとって良好な垂直に近い形状とすることができる。
また、エッチングストッパー層12としてNiを含む膜を使用することで、Crを含む遮光層13およびCrを含む位相シフト層11との付着強度を十分高めることができる。 このため、ウェットエッチング液にて遮光層13、エッチングストッパー層12および位相シフト層11をエッチングするときに、遮光層13とエッチングストッパー層12の界面や、エッチングストッパー層12と位相シフト層11の界面からエッチング液がしみ込まないので、形成される遮光パターン13b、位相シフトパターン11aのCD精度を高めることができ、かつ、膜の断面形状をフォトマスクにとって良好な垂直に近い形状とすることができる。
本実施形態によれば、位相シフトマスクMは、300nm以上500nm以下の波長領域の例えばg線、h線、i線とされるいずれかの光に対して180°の位相差をもたせることが可能な位相シフトパターン11aを有する。ここで、遮光パターン13bのエッジに隣接して形成された位相シフトパターン11aの幅寸法を0.5μm~2.0μm程度として設定することができる。
なお、上記の実施形態においては、位相シフト層11のエッチングレート設定において、グレインサイズの制御により設定するとして説明したが、成膜条件、膜組成等、他の要因によって設定することも可能である。
さらに、上記の実施形態の位相シフトマスクMにおいては、位相シフト層11としてクロムを含む層としたが、MoSi系からなるもの、あるいは、クロムからなる層にMoSi層を積層したもの、といった膜構成とすることもできる。これに加えて、位相シフトマスクMとして、クロム系の位相シフト層に対して、MoSi系のエッチングストッパー層12とすることも可能である。
これらの層構成を採用した場合でも、窒素および炭素の含有量を制御することで、遮光層13のサイドエッチング量を制御して、短時間に位相シフトマスクを製造することが可能となる。
なお、本実施形態において、位相シフト層11が、Ni、Co、Fe、Ti、Si、Al、Nb、Mo、WおよびHfから選択された少なくとも1種の金属を主成分とすることができ、この場合、エッチングストッパー層12を設けないことも可能である。特に、位相シフト層11をモリブデンシリサイド(MoSi)とすることもできる。
以下、本発明にかかる実施例を説明する。
<実験例>
上記効果を確認するため、次の実験を行った。即ち、ガラス基板S上に、スパッタリング法により、位相シフト層11たるクロムの酸化窒化炭化膜を120nmの厚さで成膜し、エッチングストッパー層12たるNi-Ti-Nb-Mo膜を30nmの厚さで成膜し、遮光層13たる酸化窒化クロム主成分の層と酸化窒化炭化クロム主成分の層とで構成される膜を100nm程度の合計厚さで成膜して、位相シフトマスクブランクスMBを得た。
この際、遮光層13が窒素を含むように、スパッタガスとして窒素ガス(N)を含有する条件とした。
この位相シフトマスクブランクスMB上にレジストパターンPR1を形成し、このレジストパターンPR1越しに硝酸セリウム第2アンモニウムと過塩素酸との混合エッチング液を用いて遮光層13をエッチングして遮光パターン13aを形成し、さらに硝酸と過塩素酸との混合エッチング液を用いてエッチングストッパー層12をエッチングしてエッチングストッパーパターン12aを形成した。次いで、硝酸セリウム第2アンモニウムと過塩素酸との混合エッチング液を用いて位相シフト層11をエッチングして位相シフトパターン11aを形成することで、エッジ強調型の位相シフトマスクMを得た。
エッチング液の重量比は、
硝酸セリウム第2アンモニウム:過塩素酸:純水=13~18:3~5:77~84
とした。
さらに、遮光層13を成膜する際のスパッタガスを変化させて、実験例1~4を製造した。
これらの実験例において、遮光膜13の層構成、および、遮光層13の成膜にかかる条件として、スパッタガス、ガス圧力、印加電圧を表1に記載する。
Figure 0007062377000001
上記の製造工程において、遮光層13のエッチング時間を変化させて複数の位相シフトマスクを製造した。
さらに、これらの実験例において遮光層13のエッチング時間に対するサイドエッチング速度、および、遮光層としての光学濃度を測定した。
ここで、LRエッチング時とは、図1(e)で示すレジストパターンPR1越しに第1エッチング液を用いて遮光層13のウェットエッチングを行った際に形成される遮光層13aの横方向(基板面内方向)におけるサイドエッチングであり、
PSMエッチング時とは、図1(h)で示すレジストパターンPR1越しに第1エッチング液を用いて位相シフト層11のウェットエッチングを行った際に形成される遮光層13bの横方向(基板面内方向)におけるサイドエッチングである。
また、光学濃度は、O.D.(Optical Density)=2.4以上、膜面反射率10±5%として測定した。
これらの結果を表1および図3に示す。
なお、図3において、オーバーエッチングタイムとは、基準のエッチング時間に対して、超過したエッチング時間を示している。
さらに、これらの実験例において、アルバック・ファイ社製オージェ分析装置SAM680を用いて、遮光層13のオージェ電子分光法(AES)による元素分析のパーセンテージを分析した。
この結果を表2に示す。
Figure 0007062377000002
さらに、各実験例において、オーバーエッチング時間を120secとし、エッチストッパー層除去前のSEM写真として、実験例1を図4に、実験例4を図5に示す。図4では、エッチストッパー層を挟んで、位相シフトパターンエッジから0.385μmサイドエッチにより遮光膜パターンが細っている(後退している)ことがわかる。図5では、エッチストッパー層を挟んで、位相シフトパターンエッジから2.98μmサイドエッチにより遮光膜パターンが細っている(後退している)ことがわかる。
また、同様に、実験例2を図6に示す。また、エッチストッパー層除去後のSEM写真を図7に示す。図6では、エッチストッパー層を挟んで、位相シフトパターンエッジから0.679μmサイドエッチにより遮光膜パターンが細っている(後退している)ことがわかる。
これらの結果から、窒素を含むスパッタガスによって遮光層内の窒素含有量を増加させることで、サイドエッチング量を増大し、実験例4におけるエッチング速度を実験例1におけるエッチング速度の10倍程度にまで増大することが可能であることがわかる。
これに対し、メタンを含むスパッタガスとして製造方法で形成された実験例1におけるクロム膜のサイドエッチレートは、0.01μm/10sec程度であり、1.0μmサイドエッチングでクロム膜をエッチングするには、1,000sec(17分弱)処理することになり、欠陥発生等予想され、実際的なプロセスではないことがわかる。
本発明の活用例として、特にTFTコンタクトホールパターン作製時に適応する位相シフト効果を持った下置き型ハーフトーンマスクで、サイドエッチレートの大きい遮光膜を成膜可能とし、製造プロセスを短縮可能とすることを挙げることができる。
MB…位相シフトマスクブランクス
M…位相シフトマスク
S…ガラス基板(透明基板)
PR1a…フォトレジスト層
PR1b…露光および現像領域
PR1…レジストパターン
11…位相シフト層
11a…位相シフトパターン
12…エッチングストッパー層
12a,12b…エッチングストッパーパターン
13…遮光層
13a,13b…遮光パターン

Claims (4)

  1. 透明基板と、
    該透明基板の表面に形成された位相シフト層と、
    前記位相シフト層に積層されたCrを主成分とする遮光層と、を備え、
    前記位相シフト層に形成された位相シフトパターンのエッジよりも前記遮光層に形成された遮光パターンのエッジが平面視して後退した位置に配置される位相シフトマスクを製造する方法であって、
    前記透明基板に、前記位相シフト層と前記遮光層とを形成する工程と、
    前記遮光層上に所定の開口パターンを有するマスクを形成する工程と、
    この形成したマスク越しに前記遮光層をエッチングして遮光パターンを形成する工程と、
    前記マスク越しに前記位相シフト層をウェットエッチングして位相シフトパターンを形成するとともに、前記遮光層をサイドエッチする工程と、
    を有し、
    Oを含有せずにNおよびCOを含有して酸化窒化炭化クロムを主成分とした層を成膜に、成膜厚さの増大に従って成膜ガス組成を変化させ、前記遮光層中の炭素を減少させて、ほとんど含有しない状態とするとともに、前記遮光層中における含有する窒素量を増大させて、COを含有せずにNおよびNOを含有して窒素成分の比率を高い酸化窒化クロムを主成分とした層を成膜し前記遮光層を複数層として成膜し、
    前記遮光層を成膜する際に、成膜ガスとしてメタンを含有しないとともに窒素ガス(N )を含有する成膜雰囲気を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
  2. 前記遮光層を成膜する際に、酸化窒化クロムを主成分とした層を成膜する成膜条件を前半と後半で変化させて膜構成の異なる2層とし、
    前記遮光層を前記酸化窒化炭化クロム層と前記膜構成の異なる2層の酸化窒化クロム層との3層の膜で構成することを特徴とする請求項1記載の位相シフトマスクの製造方法。
  3. 前記位相シフトマスクが、Ni-Ti-Nb-Mo膜からなるエッチングストッパー層を有することを特徴とする請求項1または2記載の位相シフトマスクの製造方法。
  4. 前記遮光層をウェットエッチングする際に、硝酸セリウム第2アンモニウムを含むエッチング液を用いることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の位相シフトマスクの製造方法。
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