JP7062258B2 - 溶解度の差を利用した、置換2h-クロメン-3-カルボン酸の不斉変換方法 - Google Patents

溶解度の差を利用した、置換2h-クロメン-3-カルボン酸の不斉変換方法 Download PDF

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Description

本発明は、置換2H-クロメン-3-カルボン酸の異性体の混合物を、高いエナンチオマー過剰率および優れた化学収率で目的の光学異性体に変換する方法に関するものである。本発明は、典型的には、ジアステレオマーの関係にあるキラルなアミン塩の分別結晶化に続いて、母液がラセミ体カルボン酸のジアステレオマー塩に達するまで、特定波長の紫外光を照射して光エピマー化を行うことで達成されるものであり、それにより、目的の光学異性体が固体として高い光学収率および高い化学収率で得られる。さらに、本発明は、好ましくは、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の目的の異性体を製造する方法に関するものである。
置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸およびその誘導体は、米国特許第6,034,256号(EP0977748、JP4577534、CN1196692、またはKR100538258)に記載されている。置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸は、2H-クロメン(2H-1-ベンゾピラン)の2位にキラル中心を有する。キラル中心の環炭素原子は、4つの官能基と結合している。この4つの官能基のうち2つは、水素原子とトリフルオロメチル(「CF3」)基である。また、4つの官能基の残りの2つは、酸素原子と2H-クロメン3位のsp2炭素原子である。
キラルな置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸には、キラル中心の炭素原子に結合している4つの官能基が(S)-配置をとるエナンチオマーまたは(R)-配置をとるエナンチオマーが含まれる。(S)-配置および(R)-配置は、キラル中心の炭素原子の周りの4つの官能基の立体配向を表すものである。本明細書では、2-トリフルオロメチル基と結合しているキラル中心の炭素原子の周りの置換基が(S)-配置をとるエナンチオマーおよび(R)-配置をとるエナンチオマーを、それぞれ(2S)-エナンチオマーおよび(2R)-エナンチオマーと表記する。(2S)-エナンチオマーは、(2R)-エナンチオマーの対掌体(すなわち、重ね合わせられない鏡像体)であり、その逆も同様である。
一般に、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の(2S)-エナンチオマーおよび(2R)-エナンチオマーは、平面偏光をどのように回転させるかという点と、生体酵素や受容体などの他のキラル分子とどのように相互作用するかという点を除いては、物理的にも化学的にも同一である。置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の(2S)-エナンチオマーおよび(2R)-エナンチオマーは、シクロオキシゲナーゼ-1(以下「COX-1」)よりもシクロオキシゲナーゼ-2(以下、「COX-2」)に対してより強力な作用を有する酵素阻害剤である。これらのエナンチオマーは、第3世代の「COX-2阻害剤」である。
通常、個々の化合物において、(2S)-エナンチオマーと(2R)-エナンチオマーは、(a)いずれか一方がCOX-2に対してより強力な作用を示すか、(b)いずれか一方がCOX-1よりもCOX-2に対してより高い選択性を示すか、または(c)肝ミクロソーム調製物においてそれぞれ異なる代謝プロファイルを示す。個々の化合物によって異なるが、より強力なもしくはより選択的な阻害活性またはより優れた代謝プロファイルを有するエナンチオマーが、(2S)-エナンチオマーの場合もあれば、(2R)-エナンチオマーの場合もある。個々の化合物の阻害活性の強度もしくは選択性、代謝プロファイル、またはその他の生物学的活性によって、(2S)-エナンチオマーが薬剤開発に好ましい場合もあれば、(2R)エナンチオマーが好ましい場合もある。
置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸は、商業的に実現可能である直接的なエナンチオ選択的合成法がまだ考案されていないため、ラセミ混合物として合成される。置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の特定のエナンチオマーを治療薬として数キログラム規模で製造するためには、エナンチオマーとその対掌体の混合物から、キラル補助剤を用いたエナンチオ選択的な分別結晶化および/またはキラル固定相上でのエナンチオ選択的なマルチカラムクロマトグラフィーによる分離が必要な場合がある(特許文献1:米国特許公開番号US2006/0020022 A1の「エナンチオ選択的分離法」および特許文献3:米国特許公開番号US2006/0016683 A1参照)。
これらのエナンチオ選択的分離法の目的は、最終的に目的のエナンチオマーを高い(好ましくは99.0%より高い)エナンチオマー過剰率(「e.e.」)で製造することである。しかし、残りは利用できない対掌体であるため、理論上の最大収率は50%となる。したがって、エナンチオ選択的な分離は経済的に不利である。実際、特定の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のラセミ混合物から、キラル補助剤を用いてエナンチオ選択的に分別結晶化する例は、当該化合物の(2S)-エナンチオマーを製造することを目的として、特許文献2:米国特許第6,034,256号の実施例66および67に記載されている。結晶化と抽出を複数回繰り返した後の対応する(2S)-カルボン酸からの収率(理論収率)はそれぞれ45%と59%であるが、対応するラセミ体のカルボン酸からの収率(実収率)はそれぞれ23%と29%であった。
本発明の(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の化合物の場合、光学分割による理想的な収率は最大で50%であるが、従来公知の光学分割法を用いた場合の実際の収率は約20%である。
したがって、エナンチオマー、好ましくは置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のエナンチオマーを高い(例えば、70%より高い)収率かつ高いエナンチオマー過剰率(例えば、少なくとも95%e.e.)で効率的に製造できる費用対効果の高い方法が必要とされている。好ましい方のエナンチオマーを製造するための方法は、エナンチオ選択的な分別結晶化、エナンチオ選択的なクロマトグラフィー、および/または、任意選択可能な工程として、好ましくない方のエナンチオマーを新たなエナンチオマー混合物に変換する工程と、その後、この新たなエナンチオマー混合物を分離することにより、好ましくない方のエナンチオマーから好ましい方のエナンチオマーをさらに製造することができるリサイクル工程を含む。一般に、分別結晶化はクロマトグラフィーよりもはるかに経済的で環境に優しい手法である。
本発明は、異性体混合物、好ましくは置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の異性体混合物を目的の異性体に変換する、費用対効果の高い新たな方法を提供する。この方法は、エピマー化(ラセミ化)に影響を及ぼす紫外光の照射下で、所与の溶媒系におけるジアステレオマー塩の溶解度の違いを利用して、キラルなアミン塩の動的分割を行うというものである。一般的に「結晶化誘導不斉変換(crystallization-induced asymmetric transformation:CIAT)」と呼ばれるこの方法では、両方の異性体、すなわち2つのエナンチオマーのエピマー化またはラセミ化が分割プロセス中に進行する。理論的には、すべてのラセミ体が、対応する目的のエナンチオマーに変換される。
米国特許公開番号US2006/0020022 A1 米国特許第6,034,256号 米国特許公開番号US2006/0016683 A1
本発明は、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の目的の光学異性体を調製するための効率的なプロセスを提供するものである。
本発明の方法は、光照射と溶解度差を利用した不斉変換により、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の目的の異性体を、目的外の異性体に対して富化する不斉変換に関するものである。
本発明の一部として記載されているプロセスは、米国特許第6,034,256号に開示されているシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤の製造に使用することができる。COX-2阻害剤は、炎症、炎症関連疾患、疼痛、がん、発熱、変形性関節症、関節リウマチ、片頭痛、神経変性疾患、心血管疾患、骨粗鬆症、喘息、狼瘡や乾癬、月経困難症、早産、痛風、強直性脊椎炎、滑液包炎、熱傷、捻挫、挫傷などのCOX-2を介する疾患の治療に有用であると考えられる。
本発明は、以下のものを提供する。
[1] 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の目的の異性体を調製する方法であって、
(a) 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と接触させた際に形成される目的外の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度が、同様に形成される目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度より高くなるように選ばれたキラルなアミンに、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を接触させて塩を形成させる工程;および
(b) 前記工程で得られた混合物に紫外(UV)光を照射して、該混合物に含まれる置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のキラルなアミン塩のうち溶解度の低い方のアミン塩の量を増加させる工程を含む方法。
[2] (a) 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と接触させた際に形成される目的外の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度が、同様に形成される目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度より、選択された反応条件下において高くなるように選ばれたキラルなアミンに、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を単一溶媒中または混合溶媒中で接触させて、前記選択された反応条件下で部分的に不溶性の塩を混合物中に形成させる工程;
(b) 前記混合物に、前記選択された条件下で紫外(UV)光を照射して、該混合物に含まれる置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のキラルなアミン塩のうち溶解度の低い方のアミン塩の量を増加させる工程;
(c) 目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸異性体のキラルなアミン塩の量を増加させるのに有効な時間にわたって前記光照射を継続する工程;
(d) 析出物をろ過することにより、目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のキラルなアミン塩を分離する工程;および
(e) 前記キラルなアミン塩を酸で処理することにより、目的のキラルな置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の遊離体を分離する工程
を含む、前記[1]に記載の方法。
[3] 前記置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸が、下記式I:
Figure 0007062258000001
(式中、R1、ハロゲン、C1-C6アルキルまたは重水素化C1-C6アルキル、C2-C6アルケニルまたは重水素化C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニルまたは重水素化C2-C6アルキニル、C1-C6アルコキシまたは重水素化C1-C6アルコキシ、C3-C6シクロアルキル、C1-C6アルコキシC1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、およびシアノからなる群から独立して選択される1つ以上である)で表される、前記[1]または[2]に記載の方法。
[4] 前記置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸が、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-クロロ-8-エチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6,8-ジクロロ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-ブロモ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、および6-ブロモ-8-(メチル-D3)-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸からなる群から選択される、前記[1]~[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5] 前記置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸が、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸である、前記[1]~[4]のいずれか1項に記載の方法。
[6] 前記キラルなアミンが、(S)-(-)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノール、(R)-(+)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノール、L-フェニルアラニノール、D-フェニルアラニノール、(1R,2R)-(-)-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、(1S,2S)-(+)-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、(S)-(-)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン、(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン、(R)-(+)-1-(1-ナフチル)エチルアミン、(S)-(-)-1-(1-ナフチル)エチルアミン、(R)-(-)-2-ピロリジンメタノール、(S)-(+)-2-ピロリジンメタノール、L-フェニルアラニンアミド、D-フェニルアラニンアミド、(+)-シンコニン、(-)-シンコニン、(-)-シンコニジン、および(+)-シンコニジンからなる群から選択される、前記[1]~[5]のいずれか1項に記載の方法。
[7] 前記変換混合物の温度が、約-30℃~約160℃の範囲である、前記[1]~[6]のいずれか1項に記載の方法。
[8] 前記紫外光照射が、約210nm~約450nmの波長の紫外光によって行われる、前記[1]~[7]のいずれか1項に記載の方法。
[9] 前記紫外光照射が、約330nm~約390nmの波長の紫外光によって行われる、前記[1]~[8]のいずれか1項に記載の方法。
[10] 前記目的外のエナンチオマーの塩の溶解度が、前記目的のエナンチオマーの塩の溶解度の1.2倍以上である、前記[1]~[9]のいずれか1項に記載の方法。
[11] 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の目的の異性体を富化する不斉変換方法であって、
(a) 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と接触させた際に形成される目的外の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度が、同様に形成される目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度より高くなるように選ばれたキラルなアミンに、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を接触させて塩を形成させる工程;および
(b) 前記工程で得られた変換混合物に紫外(UV)光を照射して、該混合物に含まれる置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のキラルなアミン塩のうち溶解度の低い方のアミン塩の量を増加させる工程を含む不斉変換方法。
[12] (a) 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と接触させた際に形成される目的外の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度が、同様に形成される目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度より、選択された反応条件下において高くなるように選ばれたキラルなアミンに、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を単一溶媒中または混合溶媒中で接触させて、前記選択された反応条件下で部分的に不溶性の塩を変換混合物中に形成させる工程;
(b) 前記変換混合物に、前記選択された条件下で紫外(UV)光を照射して、該混合物に含まれる置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のキラルなアミン塩のうち溶解度の低い方のアミン塩の量を増加させる工程;
(c) 目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸異性体のキラルなアミン塩の量を増加させるのに有効な時間にわたって前記光照射を継続する工程;
(d) 析出物をろ過することにより、目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のキラルなアミン塩を分離する工程;および
(e) 前記キラルなアミン塩を酸で処理することにより、目的のキラルな置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の遊離体を分離する工程
を含む、前記[11]に記載の方法。
[13] 前記置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸が、下記式I:
Figure 0007062258000002
(式中、R1、ハロゲン、C1-C6アルキルまたは重水素化C1-C6アルキル、C2-C6アルケニルまたは重水素化C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニルまたは重水素化C2-C6アルキニル、C1-C6アルコキシまたは重水素化C1-C6アルコキシ、C3-C6シクロアルキル、C1-C6アルコキシC1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、およびシアノからなる群から独立して選択される1つ以上である)で表される、前記[11]または[12]に記載の方法。
[14] 前記置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸が、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-クロロ-8-エチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6,8-ジクロロ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-ブロモ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、および6-ブロモ-8-(メチル-D3)-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸からなる群から選択される、前記[11]~[13]のいずれか1項に記載の方法。
[15] 前記置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸が、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸である、前記[11]~[14]のいずれか1項に記載の方法。
[16] 前記キラルなアミンが、(S)-(-)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノール、(R)-(+)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノール、L-フェニルアラニノール、D-フェニルアラニノール、(1R,2R)-(-)-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、(1S,2S)-(+)-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、(S)-(-)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン、(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン、(R)-(+)-1-(1-ナフチル)エチルアミン、(S)-(-)-1-(1-ナフチル)エチルアミン、(R)-(-)-2-ピロリジンメタノール、(S)-(+)-2-ピロリジンメタノール、L-フェニルアラニンアミド、D-フェニルアラニンアミド、(+)-シンコニン、(-)-シンコニン、(-)-シンコニジン、および(+)-シンコニジンからなる群から選択される、前記[11]~[15]のいずれか1項に記載の方法。
[17] 前記変換混合物の温度が、約-30℃~約160℃の範囲である、前記[11]~[16]のいずれか1項に記載の方法。
[18] 前記紫外光照射が、約210nm~約450nmの波長の紫外光によって行われる、前記[11]~[17]のいずれか1項に記載の方法。
[19] 前記紫外光照射が、約330nm~約390nmの波長の紫外光によって行われる、前記[11]~[18]のいずれか1項に記載の方法。
[20] 前記目的外のエナンチオマーの塩の溶解度が、前記目的のエナンチオマーの塩の溶解度の1.2倍以上である、前記[11]~[19]のいずれか1項に記載の方法。
図1は、ジアステレオマー分割(a)と本発明の不斉変換(b)をそれぞれ段階ごとに模式的に示したものである。
図2は、結晶化誘導不斉変換(CIAT)を模式的に示したものである。(a)結晶化誘導エナンチオマー変換(CIET)、RおよびSはエナンチオマーを表す。(b)結晶化誘導ジアステレオマー変換(CIDT)、AおよびBはジアステレオマーを表す。
図3は、結晶化誘導不斉変換を模式的に示したものである。
図4は、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の目的の異性体を富化する不斉変換を模式的に示したものである。
図5は、メタノール-d4(すなわちCD3OD)中の6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と(S)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノールとの塩の1H-NMRスペクトルである。
図6は、メタノール-d4(すなわちCD3OD)中の6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と(S)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノールとの塩の19F-NMRスペクトルである。
本発明は、光学分割を行わず、エピマー化に影響を及ぼす紫外光照射下で、ラセミ体のカルボン酸と光学活性アミンから構成される1対のジアステレオマー塩の溶解度の差を利用して、該ラセミ体のカルボン酸から高い収率で光学純度の高い光学活性カルボン酸を調製する方法を提供する。さらに、前記光学活性アミンのもう一方のエナンチオマーを代わりに用いることで、カルボン酸のもう一方のエナンチオマーを調製することも可能である。本方法の好ましい特徴は、ラセミ体から単一の光学活性物質を80%以上の高い収率で得ることができることである。これは、最大収率が50%以下である、従来公知の光学分割とは著しい対比をなすものである。
エナンチオマーとは、重ね合わせることができない鏡像関係にある立体異性体のことをいう。エナンチオマー同士は、偏光面の回転角度が同じで回転方向が逆であるという光学回転に関する性質を除いては、アキラルな環境下においてあらゆる化学的・物理的特性が同じである。一方、ジアステレオマーは、融点、沸点、密度、溶解度、生成熱、ギブス自由エネルギーなどの化学的・物理的特性がそれぞれ特徴的に異なる。
本発明の(我々の)方法では、ラセミ体のカルボン酸を、光学的に純粋なアミンを用いて、1対のジアステレオマー塩に変換する。したがって、形成された2つの塩は、もはやエナンチオマー同士ではなくなり、ジアステレオマー同士になる。これらジアステレオマー塩の溶解度の違いを利用して、光学活性物質を調製する。この方法で得られたキラルな塩は、適当な強さの酸、すなわち変換される酸よりも強い酸で処理することにより分解され、遊離のカルボン酸が得られる。この塩の分解には、一般的に、塩酸(HCl)、硫酸(H2SO4)、リン酸(H3PO4)、臭化水素酸(HBr)、過塩素酸(HClO4)、p-トルエンスルホン酸(TsOH)、メタンスルホン酸(MsOHまたはCH3SO3H)、トリフルオロメタンスルホン酸(CF3SO3H)などの鉱酸を常法に従って使用する。
このように、本発明の方法は、光異性化することが知られている、式Iで表されるラセミ体の任意のカルボン酸に適用することができる。以下、理論的背景およびいくつかのラセミ体の例を用いて説明する。
2H-1-ベンゾピラン誘導体の光異性化
光異性化とは、光の作用により、化合物がある異性体から別の異性体に変換される、光異性体の形成反応のことを言う。2H-1-ベンゾピラン(2H-クロメン)のフォトクロミック反応は当技術分野で公知であり(例えば、J. Am. Chem. Soc., 1966, 88 (24), pp 5931-5933およびJ. Phys. Chem., 1967, 71 (12), pp 4045-4048)、概説すると以下の通りである。すなわち、紫外光照射(hν1)によりベンゾピラン環を開環して対応するジエノン中間体を得た後、スキーム1に記載されているように、可視光照射(hν2)または加熱(Δ)によりジエノンを閉環することによりベンゾピラン環が得られる。このように、ベンゾピランの光異性化には、開環とそれに続く閉環という2つの工程が必要である。
Figure 0007062258000003
スキーム1:ベンゾピランのフォトクロミック反応
本発明の(我々の)光異性化、すなわち本発明の置換2H-クロメン-3-カルボン酸の光ラセミ化は、スキーム2に示したものと同じメカニズムで進行すると考えられる。スキーム2のジエノン中間体により、C-2を中心とするキラリティーが消失していることがよくわかる。その後、閉環すると、この閉環工程は立体選択性のない反応であるため、ラセミ体が形成される。しかし、今回の研究の過程では、このジエノン中間体は単離も検出もされなかった。この種の構造では、開環工程よりも閉環工程の方がはるかに速い速度で起こる可能性が高い。このメカニズムは、(S)-異性体または(R)-異性体から(RS)ラセミ体を調製する際に適用される。
Figure 0007062258000004
スキーム2:置換2H-クロメン-3-カルボン酸の光ラセミ化
ジアステレオマーの分割とその不斉変換
通常のジアステレオマー形成による光学分割の原理は、図1に示すように、Top Curr Chem (2007) 269:83-132で開示されている通り、ラセミ体((RS)-CpdA)を溶媒中で分割剤(例えば、(S)-CpdB)と反応させると、(R)-CpdA・(S)-CpdBおよび(S)-CpdA・(S)-CpdBという1対のジアステレオマーが生じ、次いで、分別結晶化により、最も溶解度の低いジアステレオマー(例えば、(S)-CpdA・(S)-CpdB)が分割液から分離されるというものである(図1(a))。この場合、目的物((S)-CpdA)の最大収率は、理論的には対応するラセミ体((RS)-CpdA)のせいぜい半量である。
一方、本発明のジアステレオマーの不斉変換は、図1(b)に示すように、(RS)-CpdAを溶液中で分割剤(S)-CpdBとエピマー化条件の下で反応させると、溶液中で溶解度の低い(S)-CpdA・(S)-CpdBの分別結晶化と、溶解度の高い(R)-CpdA・(S)-CpdBのエピマー化が同時に進行し、その結果、当該不斉変換混合物におけるジアステレオマー組成が、全体として結晶性の(S)-CpdA・(S)-CpdBへと大きくシフトすることが特徴である。また、反応中に溶媒を徐々に除去することで、より良好な収率が得られる。この場合、理論的には、(RS)-CpdA・(S)-CpdBのほぼすべてを目的の結晶性の(S)-CpdA・(S)-CpdBに変換することができる。
結晶化誘導ジアステレオマー変換(CIDT)、すなわちエピマー化を伴うジアステレオマー混合物の動的結晶化
本発明で用いる結晶化誘導不斉変換(CIAT)は、Advances in Organic Crystal Chemistry Comprehensive Reviews 2015およびChemical Reviews, 2006, 106 (7), 2711に開示されているように、1)動的な立体異性化と2)優先的結晶化の2つの方法論を組み合わせたものである(図2に概要を示す)。これは、系内で結晶化と立体異性化を同時に行うことで、立体異性体の混合物から単一の立体異性体へと動的に収束させる実用的な方法論である。
CIATは2つのカテゴリーに分類される。1つは、動的結晶化によりラセミ体から各エナンチオマーを分離する結晶化誘導エナンチオマー変換(CIET)であり(図2(a))、もう1つは、エピマー化を伴うジアステレオマー混合物の動的結晶化である結晶化誘導ジアステレオマー変換(CIDT)である(図2(b))。
さらに、本発明の好ましい方法を図3に示す。
本発明の特徴
本発明により、実用的な方法で、キラルな置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を高いエナンチオマー過剰率かつ高い収率で調製することができる。このプロセスでは、ラセミ体の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を、エナンチオマーとして富化された、または、エナンチオマーとして純粋な、キラルな置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸に変換する。このプロセスで得られる生成物は、医薬品有効成分(API)そのものにもなりうるが、APIを製造するための有用な中間体にもなりうる。このプロセスは、簡便で、キラル基(キラル補助剤)の共有結合を必要としないものであり、また、ワンポット変換で好適に実行できる。さらに、生成物は、高い収率(例えば、70%より高い収率、好ましくは80%より高い収率、より好ましくは90%より高い収率、特に好ましくは95%より高い収率)かつ高いエナンチオマー過剰率(例えば、95%より高いe.e.、好ましくは96%より高いe.e.、より好ましくは97%より高いe.e.、特に好ましくは98%より高いe.e.)で得られる。さらに、化学試薬の使用量を最小限に抑えたワンポットプロセスであるため、経済的でもある。このプロセスは、ラセミ体のカルボン酸を利用することで、完成度を高めることができる。塩を分解して目的のキラルなカルボン酸を再生する際に、得られる酸性水溶液からキラル補助剤であるアミンを回収できる。これにより、本発明は、コストを最小限に抑えるとともに、廃棄物を減らすことができる。
置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のラセミ体を変換して、エナンチオマー純度が高い、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の目的の1つの異性体を得るには、まず、ラセミ体の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸とキラルなアミンから構成される1対のジアステレオマー塩(2S-および2R-)を調製する。図4を参照のこと。
図4で「RLおよびRS」で示されている置換基は、それぞれ大きい置換基と小さい置換基を表している。全ての原料、すなわちラセミ体のカルボン酸と分割剤であるキラルなアミンを、まず通常、約10℃~約160℃、好ましくは約10℃~約120℃、より好ましくは約20℃~約85℃の温度で溶媒に完全に溶解する。上記の原料と溶媒の混合物を、通常、約-10℃から約50℃、好ましくは約-5℃から約45℃、より好ましくは約0℃から約40℃の温度で冷却して塩の固体が完全に析出したら、スラリー状の混合物を、適切な温度(例えば、約-10℃から約160℃、好ましくは約-10℃から約100℃、より好ましくは約0℃から約80℃、特に好ましくは約0℃から約50℃)で攪拌しながら紫外光を照射して、エピマー化プロセスを行う。このような条件下では、目的の異性体(図4の例では(2S)-塩)は、目的外の異性体である(2R)-塩よりも、当該プロセスの溶媒系に溶解しにくい。
本発明のプロセスは柔軟に対応可能であり、ジアステレオマー塩の溶解性が対応する酸やキラルなアミンのいずれよりも低く、所与の溶媒中で対となるジアステレオマー塩にある程度の溶解度の差があるような、広範囲の化合物に適用できる。また、本発明において、所与の溶媒中、ラセミ体の酸に、紫外光照射下、室温でキラルなアミンをゆっくりと添加することで、ジアステレオマー塩の混合物を、高い化学収率で目的の単一のエナンチオマーの塩に変換できることも確認されている。
ジアステレオマー塩の溶解度に差があるため、析出物には目的のジアステレオマーである(2S)-塩が多く含まれ、上澄み液には目的外のジアステレオマーである(2R)-塩が多く含まれる。目的外のエナンチオマーのアミン塩の溶解度は、目的とするエナンチオマーのアミン塩の溶解度の、通常1.2倍以上、好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上である。当該析出物における富化の程度は比較的小さい場合もあるが、本発明のプロセスにより、有用な程度に異性体を富化することは可能である。上澄み液では、紫外光照射により、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のエピマー化が進行し、組成は徐々に(S)-酸と(R)-酸の等量混合物に近づいていく。この光エピマー化により、溶解度の高いジアステレオマーである(2R)-塩が、溶解度の低いジアステレオマーである(2S)-塩に変換される。過剰になった目的のジアステレオマーである(2S)-塩の析出と、減少した目的外のジアステレオマーである(2R)-塩の再溶媒和は、ジアステレオマー混合物が熱力学的平衡状態に達するまで続く。このようにして、単一の反応容器を用いて、ラセミ体の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を、ジアステレオマーとして富化された、またはジアステレオマーとして純粋な塩に変換する。この塩を、酸、好ましくはHCl、H2SO4、H3PO4、HBr、HClO4、TsOH、CH3SO3H、CF3SO3Hなどで例示される鉱酸などの強酸と接触させることで、該塩から純粋でキラルな、またはエナンチオマーとして富化された置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を遊離させることができ、またキラルなアミンを回収して再利用することができる。このプロセスの生成物は、その後、他の合成変換に使用することができる。このプロセスの生成物は、エナンチオマーとして十分に富化されているため、この生成物またはその後の合成工程で得られる生成物を結晶化させることで、エナンチオマー過剰率をさらに高めることができる。
紫外光照射の特徴
通常、本発明の光エピマー化法は、約-30℃~約200℃の温度で実施される。反応混合物の温度は、紫外光源からの熱伝達により、光エピマー化の工程中に上昇することがある。反応混合物の温度は、通常、重要ではない。なお、光エピマー化の工程は、-30℃から室温またはそれより高い温度で実施することもできる。室温は、通常10~45℃である。通常、反応温度は、約-30℃~約150℃の範囲、約0℃~約100℃の範囲、約5℃~約100℃の範囲、約15℃~約100℃の範囲、約25℃~約100℃の範囲、約35℃~約100℃の範囲、約40℃~約100℃の範囲、約50℃~約100℃の範囲、または約60℃~約100℃の範囲である。
また、紫外光は、約210nm~約450nm、好ましくは約250nm~410nm、より好ましくは約330nm~約390nm、特に好ましくは350nmまたは370nmの波長を有する光のスペクトルである。照射に使用されるこのような特定の好ましい紫外光の波長を吸収しない範囲であれば、光変換工程の実施中において、紫外域に吸収を持つ溶媒などの紫外吸収を有する物質が存在していてもよい。さらに、紫外光源の強度は、少なくとも約0.01ワット/平方センチメートル(W/cm2)、好ましくは少なくとも約0.1W/cm2であり、またはエナンチオマーの光エピマー化混合物を生成するのに十分な強度である。光エピマー化の速度は、使用した各高輝度紫外光源の紫外光強度、または使用した紫外光源の数に比例し、紫外光源と上記の成分との距離に反比例する。紫外光源は、LEDライトであることが好ましい。また、紫外光源の総出力は、最大で約120Wであることが好ましい。より好ましくは、紫外光の総出力は、約10W~約200Wである。
さらに、紫外光源としては、紫外光スポットランプ、紫外線光源による光反応装置、紫外線フォトリアクターフロースルーセル(紫外線光源によるフロースルー型光反応装置)などが挙げられる。使用する高輝度紫外光源の個数は、全部で1個、2個、4個、6個、8個、12個、20個、50個、100個、200個またはそれ以上の個数であってもよい。本発明の方法で紫外線フォトリアクターフロースルーセルを使用する場合、e.e.の減少率はセルを通過する混合物の流量に反比例する。使用するフロースルーフォトリアクターセルの個数は、全部で1個、2個、4個、6個、8個、12個、またはそれ以上の個数であってもよい。
紫外光源は、商業的供給源から容易に入手可能であり、本発明の光エピマー化法を実施するためのものである。使用する紫外光源の種類またはブランドは問わない。
本発明の方法による光エピマー化の速度は、反応混合物中の(2S)-または(2R)-エナンチオマーの濃度に反比例すると考えられている。
反応混合物中の(2S)-または(2R)-エナンチオマーの濃度は、通常、溶液1リットルあたりのグラム数(g/L)として、1g/Lより高い濃度、好ましくは10g/Lより高い濃度、より好ましくは20g/Lより高い濃度、特に好ましくは30g/Lより高い濃度であるが、それより低濃度であってもよい。
本発明の化合物:カルボン酸
本発明で使用する化合物は、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を対象とする。本発明の化合物は、好ましくは、下記式I:
Figure 0007062258000005
(式中、R1、ハロゲン、C1-C6アルキルまたは重水素化C1-C6アルキル、C2-C6アルケニルまたは重水素化C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニルまたは重水素化C2-C6アルキニル、C1-C6アルコキシまたは重水素化C1-C6アルコキシ、C3-C6シクロアルキル、C1-C6アルコキシC1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、アミン、ニトロ、およびシアノから独立して選択される1つ以上である)で表される。R1の数は、好ましくは1つ、2つ、3つまたは4つであり、より好ましくは、1つまたは2つであり、特に好ましくは1つである。
置換基としてまたはアルコキシやヒドロキシアルキルなどの一部としての「アルキル」は、すべての異性体において、直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。
「C1-C6アルキル」は、式Iの化合物の置換基R1として、少なくとも1個、最大で6個の炭素原子を含むアルキル基を意味する。このようなアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどが挙げられる。
「C2-C6アルケニル」は、式Iの化合物の置換基R1として、少なくとも2個、最大で6個の炭素原子を含むアルケニル基を意味する。このようなアルケニル基の例としては、ビニル、1-プロペニル、アリル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなどが挙げられる。
「C2-C6アルキニル」は、式Iの化合物の置換基R1として、少なくとも2個、最大で6個の炭素原子を含むアルキニル基を意味する。このようなアルキニル基の例としては、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、3-ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどが挙げられる。
「C1-C6アルコキシ」は、少なくとも1個、最大で6個の炭素原子を含むアルコキシ基を意味する。このようなアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、セカンダリーブトキシ基、ターシャリーブトキシ基、ノルマルペンチル基、イソペンチル基、ターシャリーペンチル基、ネオペンチル基、2,3-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、1-メチルブチロキシ基、ノルマルヘキシロキシ基、イソヘキシロキシ基、1,1,2-トリメチルプロピロキシ基などが挙げられる。
「ハロゲン」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I)を意味し、「ハロ」は、置換基としてのハロゲン、すなわち、フッ素(-F)、塩素(-Cl)、臭素(-Br)およびヨウ素(-I)を意味する。
本発明の好ましい化合物は、例えば、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-クロロ-8-エチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6,8-ジクロロ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-ブロモ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、または6-ブロモ-8-(メチル-D3)-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸である。
本発明のより好ましい化合物は、例えば、(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、(S)-6,8-ジクロロ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、(R)-6,8-ジクロロ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、(S)-6-ブロモ-8-(メチル-D3)-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、または(R)-6-ブロモ-8-(メチル-D3)-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸である。
式(I)で表される化合物は、例えば、米国特許第6,034,256号(EP0977748、JP4577534、CN1196692、またはKR10-0538258)などに記載されている。式(I)の化合物またはその塩は、公知の方法またはそれ自体公知の方法で容易に調製することができる。
同位体標識化合物
本発明には、本発明の化合物の1個以上の原子が、原子番号が同じで、自然界で通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子で置換された、すべての薬学的に許容される同位体標識化合物が含まれる。本発明の化合物に含まれる適当な同位体の例としては、2Hおよび3Hなどの水素同位体、11C、13Cおよび14Cなどの炭素同位体、38Clなどの塩素同位体、18Fなどのフッ素同位体、123Iおよび125Iなどのヨウ素同位体、13Nおよび15Nなどの窒素同位体、15O、17Oおよび18Oなどの酸素同位体、32Pなどのリン同位体、ならびに35Sなどの硫黄同位体が挙げられる。
本発明の特定の同位体標識化合物、例えば、放射性同位体が組み込まれた化合物は、診断、症状の緩和、QOLの向上、予防を含むがん治療に関連した、薬物および/または基質の組織分布研究に有用である。このような目的には、放射性同位体であるトリチウム、すなわち3Hと、炭素14、すなわち14Cは、組み込みが容易で、検出法が整っているため、特に有用である。
重水素、すなわち2Hのような重い同位体で置換すると、代謝安定性の向上に伴い、例えば生体内での半減期の延長や、必要な投与量の低減などの治療上の利点が得られる場合があるため、このような置換も状況により好ましい場合がある。
11C、18F、15O、13Nなどのポジトロン放出同位体による置換は、ポジトロン放出断層撮影(PET)研究で基質の受容体占有率(substrate receptor occupancy)を調べる上で有用である。
本発明で使用するキラルアミン(=分割剤)
本発明の別の態様は、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のエナンチオマーをエナンチオ選択的な分別結晶化により分離する上記の方法であって、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸をキラルなアミンと接触させて塩を形成することを含む方法である。このようなキラルなアミンは、例えば、下記の表1~表3に記載の通りである。
Figure 0007062258000006
さらに、より好ましいキラルなアミンは、例えば、下記の表2に記載の通りである。
Figure 0007062258000007
さらに、特に好ましいキラルなアミンは、例えば、下記の表3に記載の通りである。
Figure 0007062258000008
本発明では、対応するアミンのキラリティーを選択することにより、ラセミ体から光学的に純粋な(S)体または(R)体のカルボン酸を得ることができる。
本発明で使用する溶媒
本発明で使用する溶媒は、C5-C10脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンなど)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、C1-C6アルコール(例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール、ヘキサノールなど)、C2-C8エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、C3-C8ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、C2-C8エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなど)、C1-C6ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなど)、ニトリル(例えば、アセトニトリルなど)、酸アミド(例えば、N,N-ジメチルホルムアミドなど)、ラクタム(例えば、N-メチルピロリドンなど)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、水、およびこれらの2種以上の混合物からなる群から選択してもよい。
特に好ましい溶媒の例としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、エタノール、2-プロパノール、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、水、およびこれらの2種類以上の混合溶媒が挙げられる。
塩の形成に適したキラルなアミンおよび/または溶媒は、スクリーニング法により決定することができる。一次スクリーニングでは、キラルなアミンと溶媒を独自に様々に組み合わせて、それぞれ、所与の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸が入った容器に加える。所与の時間と温度でインキュベーションしてエピマー化反応を進行させた後、析出物として、塩の存在を目視で確認することができる。析出した塩をキラルHPLCで分析して、エナンチオマー過剰率を求める。一次スクリーニングの結果、最も有望な候補の組み合わせに対しては、続いて二次スクリーニングとしてスケールを大きくして反応を行い、析出物の回収率、変換率、および純度を求める。これは、当業者であれば容易に実施できるものである。
化合物、キラルアミン、および溶媒の好ましい組み合わせ
化合物と溶媒の特に好ましい組み合わせの例としては、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸とアセトニトリル、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸とtert-ブチルメチルエーテル、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と2-プロパノール、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸とヘプタン、または6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と、エタノールと水の約1:1(v/v)の混合溶媒が挙げられる。
化合物とキラルなアミンの特に好ましい組み合わせの例としては、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と(S)-(-)-もしくは(R)-(+)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノール、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸とL-もしくはD-フェニルアラニノール、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と(1R,2R)-(-)-もしくは(1S,2S)-(+)-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と(S)-(-)-もしくは(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と(R)-(+)-もしくは(S)-(-)-1-(1-ナフチル)エチルアミン、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と(R)-(-)-もしくは(S)-(+)-2-ピロリジンメタノール、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸とL-もしくはD-フェニルアラニンアミド、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と(+)-もしくは(-)-シンコニン、または6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と(-)-もしくは(+)-シンコニジンが挙げられる。
化合物と、キラルアミンと、溶媒の特に好ましい組み合わせの例としては、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と、(S)-(-)-もしくは(R)-(+)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノールと、アセトニトリルの組み合わせ、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と、(S)-(-)-もしくは(R)-(+)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノールと、tert-ブチルメチルエーテルの組み合わせ、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と、(S)-(-)-もしくは(R)-(+)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノールと、ヘプタンの組み合わせ、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と、L-もしくはD-フェニルアラニノールと、アセトニトリルの組み合わせ、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と、L-もしくはD-フェニルアラニノールと、tert-ブチルメチルエーテルの組み合わせ、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と、L-もしくはD-フェニルアラニノールと、ヘプタンの組み合わせ、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と、L-もしくはD-フェニルアラニンアミドと、2-プロパノールの組み合わせ、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と、(S)-(-)-もしくは(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミンと、エタノールと水の1:1(v/v)混合溶媒の組み合わせ、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と、(1R,2R)-(-)-もしくは(1S,2S)-(+)-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオールと、アセトニトリルの組み合わせ、または6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と、(R)-(+)-もしくは(S)-(-)-1-(1-ナフチル)エチルアミンと、アセトニトリルの組み合わせが挙げられる。
変換の進行をモニターすることで、当該プロセスが十分に完了しているかどうかを判断することができる。実験担当者が設定した基準を満たすエナンチオマー比が得られた時点で、当該プロセスが完了したと判断される。好ましい一実施形態において、この基準は、反応混合物が熱力学的平衡状態の混合物に変換されたときに満たされる。HPLC分析法としては、キラルカラムを使用してエナンチオマーを分離する方法が好ましい。エナンチオマー過剰率(%e.e.)の計算式は、通常、下記の通りである。
[数1]
エナンチオマー過剰率(%e.e.) = 100×([主要エナンチオマー] - [少量エナンチオマー])/([主要エナンチオマー] + [少量エナンチオマー])
本発明の使用
一般に、本発明の化合物は、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤として有用であることが知られている(米国特許第6,034,256号)。したがって、本発明の化合物は、シクロオキシゲナーゼ-2を介する疾患、例えば、炎症、疼痛、がん、発熱、変形性関節症、関節リウマチ、片頭痛、神経変性疾患、心血管疾患、骨粗鬆症、喘息、狼瘡や乾癬、月経困難症、早産、痛風、強直性脊椎炎、滑液包炎、熱傷、捻挫、挫傷などの治療に有効である(Inflamm Res 2000, 49, 367-92)。特に、本発明の化合物の1つである(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸は、(1)強力な非麻薬性鎮痛作用を有する点、(2)優れた即効性と持続性を有する点、(3)神経傷害性疼痛への新たな適応が期待される点、(4)既存薬で問題となる消化器系、腎臓、循環器系に対する安全性に問題がない点で有用である。
投与
本発明の化合物は、経口または非経口で投与することができる。投与方法の例としては、経口投与、眼科外用、静脈内投与、経皮投与などが挙げられる。本発明の化合物は、必要に応じて薬学的に許容される添加剤を適切に選択して使用し、このような投与方法に適した製剤に製剤化することができる。
剤形の例としては、経口製剤の場合、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などが挙げられ、非経口製剤の場合、注射剤、点眼剤、眼軟膏剤、挿入剤、眼内インプラントなどが挙げられる。
本発明の化合物の投与量は、剤形、症状、患者の年齢や体重などに応じて適切に選択することができる。例えば、経口投与の場合、1日あたり約0.01mg~約5,000mg、好ましくは約0.1mg~約2,500mg、特に好ましくは約0.5mg~約1,000mgの量を単回または数回に分けて投与することができる。注射剤の場合は、1日あたり約0.00001mg~約2,000mg、好ましくは約0.0001mg~約1,500mg、特に好ましくは約0.001mg~約500mgの量を、単回または数回に分けて投与することができる。
医薬組成物
本発明の化合物は、炎症または疼痛などを治療するための医薬組成物の形態で投与することが好都合である。このような組成物は、1種以上の薬学的に許容される担体または添加剤と混合された、慣用の方法で使用される組成物であることが好都合かもしれない。
本発明の化合物は、原薬としてそのまま投与することも可能であるが、医薬組成物として製剤の形態であることが好ましい。製剤は、本発明の化合物とともに、1種以上の許容される担体または希釈剤を含み、さらに他の治療成分を含んでいてもよい。担体は、製剤の他の成分と混合可能であり、かつ投与される人に対して悪影響を及ぼさないという意味で、「許容される」ものでなければならない。
前記医薬組成物は、望ましい投与経路に合う形態に製剤化される。投与経路としては、例えば、非経口(例えば、静脈内、皮内、皮下)投与、経口(例えば、服用または吸入)投与、経皮(局所)投与、粘膜投与、直腸投与、局所(経皮、経口、舌下を含む)投与などが挙げられる。液剤または懸濁剤の形態の医薬組成物は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed, Gennaro, ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, (1990)に記載されている方法、または当該分野における技術常識に従って調製することができる。
以下、本発明の方法の代表的な例について説明する。実施例1~15のエナンチオマー過剰率(例えば、キラル純度)は、後述のキラルHPLC分析に記載のエナンチオ選択的高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定した。以下に記載されている絶対立体化学は、エナンチオ選択的HPLCの保持時間を、同一化合物の標準品と比較することにより決定した。
分析装置および分析条件
Figure 0007062258000009
Figure 0007062258000010
Figure 0007062258000011
実施例1~12の実験手順
以下に示す化合物は、下記の手順で調製した。消灯した状態のドラフトチャンバー内に設置した反応器に、(+/-)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸(1.0eq)と、単一溶媒または混合溶媒を加え、この懸濁液を磁気撹拌し、これに分割剤としてキラルなアミン(1.0eq)を加えた。この混合物を加熱し、透明な溶液を得た。冷却後、懸濁液のサンプリングを行い、固体とろ液をキラルHPLCで分析した。
この反応器を、8個のLED(波長370nm、総出力約120W)光源が設置された箱に入れ、この箱の中で懸濁液への光照射を20℃(実施例1~6および8~12)または0℃(実施例7)で行った。この照射は、ろ液が実質的にラセミ混合物になるまで継続して行った。固体をろ過して回収し、必要に応じて、このろ塊を単一溶媒または混合溶媒を用いて再結晶または洗浄した。この固体を真空下で乾燥させ、目的の塩を得た。
実施例1
Figure 0007062258000012
Figure 0007062258000013
実施例2
Figure 0007062258000014
Figure 0007062258000015
実施例3
Figure 0007062258000016
Figure 0007062258000017
実施例4
Figure 0007062258000018
Figure 0007062258000019
実施例5
Figure 0007062258000020
Figure 0007062258000021
実施例6
Figure 0007062258000022
Figure 0007062258000023
実施例7
Figure 0007062258000024
Figure 0007062258000025
実施例8
Figure 0007062258000026
Figure 0007062258000027
実施例9
Figure 0007062258000028
Figure 0007062258000029
実施例10
Figure 0007062258000030
Figure 0007062258000031
実施例11
Figure 0007062258000032
Figure 0007062258000033
実施例12
Figure 0007062258000034
Figure 0007062258000035
実施例13
(S)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノールを用いた6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の不斉変換(キラルなアミンの緩徐な添加)
消灯した状態のドラフトチャンバー内に設置した反応器に、(+/-)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸(5.00g, 14.9mmol)とアセトニトリル(100mL)を加え、この懸濁液を磁気撹拌した。この混合物を、(S)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノール(904mg, 0.4eq, 5.98mmol)で処理し、加熱して透明な溶液を得た。冷却後、懸濁液のサンプリングを行い、固体とろ液をキラルHPLCで分析した(13a)。
この反応器を、8個のLED(波長370nm、総出力約120W)光源が設置された箱に入れ、この箱の中で懸濁液への光照射を20℃で行った。30分後、懸濁液のサンプリングを行い、固体とろ液をキラルHPLCで分析した(13b)後、アセトニトリル(200mL)に溶解した(S)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノール(1.36g, 0.6eq, 8.96mmol)の溶液を、光照射下で10時間かけてゆっくりと反応混合物に加えた(添加速度:約333μL/分)。懸濁液のサンプリングを2回(緩徐な添加の開始から2時間30分後(13c)と5時間40分後(13d))行い、固体とろ液をキラルHPLCで分析した。
12時間30分後(13e)、光照射を停止し、固体をろ過して回収し、アセトニトリル(10mL)で洗浄した。この固体を真空下で乾燥させ、目的の塩を得た(5.88g, 収率81%, 99.0% e.e.)。
Figure 0007062258000036
実施例14
(S)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノールを用いた6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の不斉変換
消灯した状態のドラフトチャンバー内に設置した350mL容量のガラスジャケット付き恒温(20℃)反応器に、(+/-)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸(5.00g, 14.9mmol)とアセトニトリル(150mL, Fischer Scientific社, コード:A/0627/17, CAS:75-05-8)を加え、この懸濁液を磁気撹拌した。この混合物に、(S)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノール(2.26g, 1.0eq, 14.9mmol, Combi-blocks, コード:OR-1076, CAS:3182-95-4)を加えた。得られた混合物は、透明な溶液となった。5分後、濃い白色の懸濁液が観察されたが、長時間攪拌すると色が薄くなった。一晩撹拌した後、懸濁液のサンプリングを行った。サンプルをろ過し、固体とろ液をキラルHPLCで分析した(方法:30123 PDR)。この反応器を、8個のLED(波長370nm、総出力約120W、ノーブランド品)光源が設置された箱に入れ、この箱の中で懸濁液への光照射を行った。不斉変換の進行を、ろ液が本質的にラセミ混合物になるまで経時的に追跡した。
Figure 0007062258000037
18時間15分後に光照射を停止し、懸濁液を20℃で一晩撹拌した。固体をろ過して回収し、アセトニトリル(10mL, Fischer Scientific社, コード:A/0627/17)で洗浄した。この固体を、ロータリーエバポレーター(10mBar, 45℃)を用いて、約30分間、真空下で乾燥し、目的の塩を白色固体として得た(6.19g, 収率85%)。
HPLC-MS(方法:30123 TFA LCMS-5 C8)で分析した固体中の不純物の総量は、下記の通りである:0.00%(215nm)、0.22%(238nm)。HPLC-MS(方法:30123 TFA LCMS-5 C8)で分析したろ液中の不純物の総量は、下記の通りである:35.17%(215nm)、9.87%(238nm)。固体の光学純度は98.9%e.e.(S)であった(方法:30123 PDR)。1H-NMRでは、残留溶媒は検出されなかった。1H-NMR(methanol-d4):図5、19F-NMR(methanol-d4):図6。
実施例15
塩の分解による(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の調製
(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と(S)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノールから構成される固体の塩(3.00g, 6.17mmol)を酢酸エチル(100mL)に溶解し、1N塩酸(50mL)と飽和食塩水(2×50mL)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮して、表題化合物を白色固体として得た(2.00g, 97%)。
融点175.0~176.0℃; 1H-NMR (acetone-d6) δ 7.86 (s, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.12 (s, 1H), 5.83 (q, 1H, J = 7.1 Hz), 1.48 (s, 9H), COOHのピークは観測されなかった。この化合物の光学純度は99%であることが確認された。
産業上の利用の可能性
本発明は、光学分割を行わず、エピマー化に影響を及ぼす紫外光照射下で、ラセミ体のカルボン酸と光学活性アミンから構成される1対のジアステレオマー塩の溶解度の差を利用して、該ラセミ体のカルボン酸から高い収率で光学純度の高い光学活性カルボン酸を調製する方法を提供する。また、本発明の方法は、ラセミ体から単一の光学活性物質を80%以上の高い収率で得ることができることを特徴とする。これは、最大収率が50%以下である、従来公知の光学分割とは著しい対比をなすものである。本発明の方法のさらなる利点は、キラル補助剤としてのアミンがそれ自体は反応せず、目的の光学活性カルボン酸を単離した後に回収できることである。さらに、キラルなアミンの両鏡像体が利用可能であれば、使用するキラルなアミン((+)または(-))以外は同じ反応条件に設定することにより、該カルボン酸のいずれの鏡像異性体も得ることが可能である。

Claims (22)

  1. 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の目的の異性体を調製する方法であって、
    (a) 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と接触させた際に形成される目的外の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度が、同様に形成される目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度より高くなるように選ばれたキラルなアミンに、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を単一溶媒中または混合溶媒中で接触させて塩を形成させる工程;および
    (b) 前記工程で得られた混合物に紫外(UV)光を照射して、該混合物に含まれる置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のキラルなアミン塩のうち溶解度の低い方のアミン塩の量を増加させる工程を含み、
    前記キラルなアミンが、(S)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン、(1R,2R)-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、(R)-1-(1-ナフチル)エチルアミン、(S)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノール、およびL-フェニルアラニンアミドからなる群から選択されること、ならびに
    前記溶媒が、C5-C10脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、C1-C6アルコール、C2-C8エーテル、C2-C8エステル、C3-C8ケトン、ニトリル、水、およびこれらの2種類以上の混合溶媒からなる群から選択されることを特徴とする方法。
  2. 前記キラルなアミンと前記溶媒の組み合わせが、
    (a) (S)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミンと、エタノールと水の混合溶媒の組み合わせ;
    (b) (1R,2R)-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオールとアセトニトリルの組み合わせ;
    (c) (R)-1-(1-ナフチル)エチルアミンとアセトニトリルの組み合わせ;
    (d) L-フェニルアラニンアミドとイソプロピルアルコールの組み合わせ;
    (e) (S)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノールとアセトニトリルの組み合わせ;ならびに
    (f) (S)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノールと、C5-C10脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、C1-C6アルコール、C2-C8エーテル、C2-C8エステル、C3-C8ケトン、ニトリル、水、およびこれらの2種類以上の混合溶媒からなる群から選択される有機溶媒とアセトニトリルの混合溶媒の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記キラルなアミンと前記溶媒の組み合わせが、
    (a) (S)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミンと、エタノールと水の混合溶媒の組み合わせ;
    (b) (1R,2R)-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオールとアセトニトリルの組み合わせ;
    (c) (R)-1-(1-ナフチル)エチルアミンとアセトニトリルの組み合わせ;
    (d) L-フェニルアラニンアミドとイソプロピルアルコールの組み合わせ;
    (e) (S)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノールとアセトニトリルの組み合わせ;
    (f) (S)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノールと、アセトニトリルとtert-ブチルメチルエーテルの混合溶媒の組み合わせ;および
    (g) (S)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノールと、アセトニトリルと水の混合溶媒の組み合わせ
    からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の目的の異性体を調製する方法であって、
    (a) 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と接触させた際に形成される目的外の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度が、同様に形成される目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度より高くなるように選ばれたキラルなアミンに、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を単一溶媒中または混合溶媒中で接触させて塩を形成させる工程;
    (b) 前記工程で得られた混合物に紫外(UV)光を照射して、該混合物に含まれる置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のキラルなアミン塩のうち溶解度の低い方のアミン塩の量を増加させる工程;
    (c) 目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸異性体のキラルなアミン塩の量を増加させるのに有効な時間にわたって前記光照射を継続する工程;
    (d) 前記混合物から、目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のキラルなアミン塩を分離する工程;および
    (e) 前記キラルなアミン塩を酸で処理することにより、目的のキラルな置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の遊離体を分離する工程を含み、
    前記キラルなアミンが、(S)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン、(1R,2R)-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、(R)-1-(1-ナフチル)エチルアミン、(S)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノール、およびL-フェニルアラニンアミドからなる群から選択されること、ならびに
    前記溶媒が、C5-C10脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、C1-C6アルコール、C2-C8エーテル、C2-C8エステル、C3-C8ケトン、ニトリル、水、およびこれらの2種類以上の混合溶媒からなる群から選択されることを特徴とする方法。
  5. (a) 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と接触させた際に形成される目的外の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度が、同様に形成される目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度より、選択された反応条件下において高くなるように選ばれたキラルなアミンに、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を単一溶媒中または混合溶媒中で接触させて、前記選択された反応条件下で部分的に不溶性の塩を混合物中に形成させる工程;
    (b) 前記混合物に、前記選択された条件下で紫外(UV)光を照射して、該混合物に含まれる置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のキラルなアミン塩のうち溶解度の低い方のアミン塩の量を増加させる工程;
    (c) 目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸異性体のキラルなアミン塩の量を増加させるのに有効な時間にわたって前記光照射を継続する工程;
    (d) 前記混合物から、目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のキラルなアミン塩を分離する工程;および
    (e) 前記キラルなアミン塩を酸で処理することにより、目的のキラルな置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の遊離体を分離する工程
    を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸が、下記式I:
    Figure 0007062258000038
    (式中、R1は、ハロゲン、C1-C6アルキルまたは重水素化C1-C6アルキル、C2-C6アルケニルまたは重水素化C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニルまたは重水素化C2-C6アルキニル、C1-C6アルコキシまたは重水素化C1-C6アルコキシ、C3-C6シクロアルキル、C1-C6アルコキシC1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、およびシアノからなる群から独立して選択される1つ以上である)で表される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸が、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-クロロ-8-エチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6,8-ジクロロ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-ブロモ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、および6-ブロモ-8-(メチル-D3)-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸が、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記変換混合物の温度が、-30℃~160℃の範囲である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記紫外光照射が、210nm~450nmの波長の紫外光によって行われる、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記紫外光照射が、330nm~390nmの波長の紫外光によって行われる、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記目的外のエナンチオマーの塩の溶解度が、前記目的のエナンチオマーの塩の溶解度の1.2倍以上である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の目的の異性体を富化する不斉変換方法であって、
    (a) 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と接触させた際に形成される目的外の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度が、同様に形成される目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度より高くなるように選ばれたキラルなアミンに、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を単一溶媒中または混合溶媒中で接触させて塩を形成させる工程;および
    (b) 前記工程で得られた変換混合物に紫外(UV)光を照射して、該混合物に含まれる置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のキラルなアミン塩のうち溶解度の低い方のアミン塩の量を増加させる工程を含み、
    前記キラルなアミンが、(S)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン、(1R,2R)-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、(R)-1-(1-ナフチル)エチルアミン、(S)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノール、およびL-フェニルアラニンアミドからなる群から選択されること、ならびに
    前記溶媒が、C5-C10脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、C1-C6アルコール、C2-C8エーテル、C2-C8エステル、C3-C8ケトン、ニトリル、水、およびこれらの2種類以上の混合溶媒からなる群から選択されることを特徴とする不斉変換方法。
  14. 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の目的の異性体を富化する不斉変換方法であって、
    (a) 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と接触させた際に形成される目的外の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度が、同様に形成される目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度より高くなるように選ばれたキラルなアミンに、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を単一溶媒中または混合溶媒中で接触させて塩を形成させる工程;
    (b) 前記工程で得られた変換混合物に紫外(UV)光を照射して、該混合物に含まれる置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のキラルなアミン塩のうち溶解度の低い方のアミン塩の量を増加させる工程;
    (c) 目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸異性体のキラルなアミン塩の量を増加させるのに有効な時間にわたって前記光照射を継続する工程;
    (d) 前記混合物から、目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のキラルなアミン塩を分離する工程;および
    (e) 前記キラルなアミン塩を酸で処理することにより、目的のキラルな置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の遊離体を分離する工程を含み、
    前記キラルなアミンが、(S)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン、(1R,2R)-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、(R)-1-(1-ナフチル)エチルアミン、(S)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノール、およびL-フェニルアラニンアミドからなる群から選択されること、ならびに
    前記溶媒が、C5-C10脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、C1-C6アルコール、C2-C8エーテル、C2-C8エステル、C3-C8ケトン、ニトリル、水、およびこれらの2種類以上の混合溶媒からなる群から選択されることを特徴とする不斉変換方法。
  15. (a) 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸と接触させた際に形成される目的外の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度が、同様に形成される目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸アミン塩の溶解度より、選択された反応条件下において高くなるように選ばれたキラルなアミンに、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を単一溶媒中または混合溶媒中で接触させて、前記選択された反応条件下で部分的に不溶性の塩を変換混合物中に形成させる工程;
    (b) 前記変換混合物に、前記選択された条件下で紫外(UV)光を照射して、該混合物に含まれる置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のキラルなアミン塩のうち溶解度の低い方のアミン塩の量を増加させる工程;
    (c) 目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸異性体のキラルなアミン塩の量を増加させるのに有効な時間にわたって前記光照射を継続する工程;
    (d) 前記混合物から、目的の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のキラルなアミン塩を分離する工程;および
    (e) 前記キラルなアミン塩を酸で処理することにより、目的のキラルな置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の遊離体を分離する工程
    を含む、請求項13に記載の方法。
  16. 前記置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸が、下記式I:
    Figure 0007062258000039
    (式中、R1は、ハロゲン、C1-C6アルキルまたは重水素化C1-C6アルキル、C2-C6アルケニルまたは重水素化C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニルまたは重水素化C2-C6アルキニル、C1-C6アルコキシまたは重水素化C1-C6アルコキシ、C3-C6シクロアルキル、C1-C6アルコキシC1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、およびシアノからなる群から独立して選択される1つ以上である)で表される、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸が、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-クロロ-8-エチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6,8-ジクロロ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、6-ブロモ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、および6-ブロモ-8-(メチル-D3)-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸からなる群から選択される、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸が、6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸である、請求項13~17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記変換混合物の温度が、-30℃~160℃の範囲である、請求項13~18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記紫外光照射が、210nm~450nmの波長の紫外光によって行われる、請求項13~19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記紫外光照射が、330nm~390nmの波長の紫外光によって行われる、請求項13~20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記目的外のエナンチオマーの塩の溶解度が、前記目的のエナンチオマーの塩の溶解度の1.2倍以上である、請求項13~21のいずれか1項に記載の方法。
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