JP7061894B2 - 判定装置、及び判定方法 - Google Patents
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Description
すなわち、施工環境の異なる現場の各々に対応して、オペレータがシールド掘削機の制御を適切に行わなければ、掘削されたトンネルの設計に対する精度や安全性が低下する。
熟練したオペレータは、掘削中の現場におけるシールド掘削機の制御を行う際、現在の現場の施工環境に対応した制御を、過去の似たような施工環境における制御の知識を応用して行っている。しかし、施工した現場の数の少ないオペレータの場合、経験したことのない施工環境においては、乏しい経験と基礎的な操作知識では、その施工環境における適切なシールド掘削機の制御を行うことができない。
この問題を解決するため、掘削の際におけるシールド掘削機のカッターの回転状態及び推進ジャッキの推進状態を示す計測データにより、シールド掘削機を自動運転させる構成がある(例えば、特許文献1参照)。
そのため、熟練したオペレータの操作を教師データとして機械学習によりシールド掘削機の操作を学習させた機械学習モデル(以下、学習モデルという)を用いることで、より熟練したオペレータに近い操作を行う設定値を推定することが考えられる。
さらに、掘削が進むにつれシールド掘削機から得られる測定値が膨大となることから、測定値の時系列変化を可視化する等して、目視により測定値を「良いデータ」と「悪いデータ」とを判定するのは現実的ではない。
図1(a)に示すように、シールド掘削機10は、円筒形のスキンプレート11の後部において、エレクタ(不図示)によりセグメントを組み立てて、一次覆工Sを施工しつつ、地山を掘削するための機構である。シールド掘削機10においては、カッタービット15を備えた環状かつ面板型のカッター16の後部にチャンバー12が設けられている。チャンバー12内の側壁には複数の土圧計Dが設置される。土圧計Dは、チャンバー12における泥土の圧力(制御土圧)を測定する。
チャンバー12には作泥土材注入管13から作泥土材14が注入される。チャンバー12内に堆積された掘削土は、練混ぜ翼(不図示)により、作泥土材14と撹拌することで練混ぜられ、泥土に変換される。
スクリューコンベア17は、チャンバー12の泥土を、排土ゲートGを介してコンベア18に排土する。そして、コンベア18は、スクリューコンベア17より排出された泥土を、コンベア19を介してトンネルの外部に搬出する。架台Mは、スクリューコンベア17と、コンベア18、及び19とを支持している。
判定装置30は、操作実績データ取得部31と、状況測定データ取得部32と、指示値補正部33と、学習データ判定部34と、操作測定データ記憶部35とを備える。
なお、学習データ判定部34は、乖離度合として、分散や標準偏差などを用いてもよい。
こうすることで、学習データ判定部34は、掘削開始から終了までの間の時系列毎の指示値と状況測定データとの差分に基づいて、リング単位の状況測定データにおける指示値との乖離度合を算出する。学習データ判定部34は算出した乖離度合を操作測定データ記憶部35に記憶させる。
図3は、実施形態の指示値と状況測定データの例を示す図である。図3のグラフはシールド掘削機10におけるリング毎の指示方位と実際に掘進した方位との作業日時ごとの変化を示すグラフであり、縦軸は方位、横軸は作業日時を示す。また、図3のグラフの下には、グラフの横軸の作業日時に対応するリング番号と作業日を示す。
図4は、実施形態の指示値と状況測定データの例を示す図である。図4は、図3に示すグラフに、指示値補正部33により補正された補正後の指示値をプロットした例を示す。
図3に示すように、指示値は、リング番号80の指示値(符号X)、リング番号81の指示値(符号Y)、リング番号82の指示値(符号Z)、というように、リング毎に、そのリングの掘削を開始する時点における目標値として指示される。
学習データ判定部34は、リング毎の指示値を線形補間することにより、掘削を開始させてから終了させるまでの間の指示値を導出する。具体的には、学習データ判定部34は、リング番号80の指示値(符号X)、リング番号81の指示値(符号Y)を直線で接続させ、接続させた直線XY上の値を、リング番号80の掘削開始から終了までの時間に対応する指示値とする。同様に、学習データ判定部34は、リング番号81の指示値(符号Y)、リング番号82の指示値(符号Z)を直線で接続させ、接続させた直線YZ上の値を、リング番号81の掘削開始から終了までの時間に対応する指示値とする。
図3の例では、9月1日の17:00にリング番号79の掘削が終了し、翌9月2日の09:00からリング番号80の掘削が開始されている。また、9月1日の作業終了時(17:00)には状況測定データは、リング番号79の指示値とほぼ一致した値(符号A)を示していたが、翌9月2日の作業開始時(09:00)には、状況測定データは、リング番号79の指示値から乖離した値(符号B)を示している。これは、リング番号79の掘削が終了してから翌9月2日の掘削が開始されるまでの16時間の間に、山からの土圧によりシールド掘削機10が押され、方向を示す状況測定データが変動したことを示している。
指示値補正部33は、図4の例では、9月2日の作業開始時(09:00)の指示値を補正し、補正後の指示値(符号#X)とする。ここで、指示値補正部33は、補正後の指示値(符号#X)とその時点の状況測定データ(符号B)との差分(符号AX)は、前日の9月1日の作業終了時の指示値(符号X)と状況測定データ(符号A)との差分(符号B#X)と等しくなるように補正後の指示値を決定する。指示値補正部33は、現リング掘削開始時における乖離を、前リング掘削終了時における乖離とする補正を行うことで、シールド掘削機10の操作の良し悪しとは異なる原因(例えば、シールド掘削機10を長時間停止させた場合における土圧の影響)による状況測定データの変動を排除する。
まず、判定装置30の指示値補正部33は、リング単位で状況測定データを取得する(ステップS10)。指示値補正部33は、操作測定データ記憶部35を参照し、リング単位で、状況測定データを取得する。
指示値補正部33は、取得した状況測定データについて、掘削開始時の状況測定データが変動しているか否かを判定する(ステップS11)。指示値補正部33は、操作測定データ記憶部35を参照し、前リングの掘削終了時の状況測定データを取得して、取得した掘削終了時の状況測定データと現リングの掘削開始時の状況測定データとを比較することにより、掘削開始時の状況測定データが変動しているか否かを判定する。
指示値補正部33は、掘削開始時の状況測定データが変動していると判定した場合、掘削開始時の指示値を補正する(ステップS12)。指示値補正部33は、現リングの掘削開始時の状況測定データと指示値との差分が、前リングの掘削終了時における状況測定データと指示値との差分と等しくなるように、掘削開始時の指示値を補正する。
ステップS11において、掘削開始時の状況測定データが変動していない場合、指示値補正部33は、指示値を補正することなく、ステップS13に示す処理を行う。
学習データ判定部34は、全てのリングについて乖離度合を算出したか否かを判定する(ステップS15)。例えば、学習データ判定部は、操作測定データ記憶部35を参照し、リング毎の状況測定データの乖離度合が記憶されているか否かを確認することで、全てのリングについて乖離度合を算出したか否かを判定する。
ステップS15において、全てのリングについて乖離度合を算出していない場合、判定装置30は、ステップS10に示す処理を行う。
ここで、実施形態の変形例について説明する。本変形例では、指示値補正部33が指示値を補正する場合に、上述した実施形態とは異なる処理を行う。
指示値補正部33は、指示値と状況測定データとが乖離してしまった場合に、指示値を補正し、状況測定データを補正後の指示値とする。つまり、指示値補正部33は、図4の例で、補正後の指示値(符号#X)とその時点の状況測定データ(符号B)との差分(符号AX)が0(ゼロ)となるようにする。指示値補正部33は、シールド掘削機10の操作の良し悪しとは異なる原因(例えば、シールド掘削機10を長時間停止させた場合における土圧の影響等)により、指示値と状況測定データとが乖離してしまった場合に、その乖離を解消させ、乖離がない状態で掘削を開始させることで、シールド掘削機10に対する操作の良し悪しを判定し易くする。
Claims (6)
- シールド掘削機に対する操作の実績である操作実績データを取得する操作実績データ取得部と、
前記シールド掘削機が掘削した状況を測定したデータである状況測定データを取得する状況測定データ取得部と、
掘削の目標である指示値と前記状況測定データとの乖離度合に基づいて、前記操作実績データと前記状況測定データとを含む判定対象データを、シールド掘削機の操作の設定値を推定する学習モデルの学習データとするか否かを判定する学習データ判定部
を有する
ことを特徴とする判定装置。 - 前記状況測定データに基づいて、前記指示値を補正する指示値補正部を更に備え、
前記指示値補正部は、前記状況測定データが、前記シールド掘削機の操作とは異なる要因により変動した場合に前記指示値を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の判定装置。 - 前記指示値補正部は、前記状況測定データと補正後の指示値との差分が、前記シールド掘削機の操作とは異なる要因により変動する前の前記状況測定データと補正前の前記指示値との差分と等しくなるように、前記指示値を補正する
ことを特徴とする請求項2に記載の判定装置。 - 前記状況測定データは、前記シールド掘削機のチャンバー内の土圧を示す制御土圧であり、
前記状況測定データに対応する前記指示値は、地山から前記シールド掘削機に作用する圧力を示す指示土圧である
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の判定装置。 - 前記状況測定データは、前記シールド掘削機が掘削した方向として測定された測定方位、及び測定ピッチであり、
前記状況測定データに対応する前記指示値は、前記シールド掘削機が掘削する方向の目標値として指示される指示方位、及び指示ピッチである
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の判定装置。 - 操作実績データ取得部が、シールド掘削機に対する操作の実績である操作実績データを取得し、
状況測定データ取得部が、前記シールド掘削機が掘削した状況を測定したデータである状況測定データを取得し、
学習データ判定部が、掘削の目標である指示値と前記状況測定データとの乖離度合に基づいて、前記操作実績データと前記状況測定データとを含む判定対象データを、シールド掘削機の操作の設定値を推定する学習モデルの学習データとするか否かを判定する
ことを特徴とする判定方法。
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