JP7059794B2 - ガラス基板およびガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フツリン酸塩ガラスからなるガラス基板およびその製造方法に関する。
近年、様々な用途に、可視波長領域の光は十分に透過するが、近赤外線波長領域の光は遮蔽する光学フィルタが使用されている。
例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオ等の撮像装置には、固体撮像素子(CCD、CMOS等)が使用されている。固体撮像素子の感度を人間の視感度に近づけるため、撮像レンズと固体撮像素子との間に光学フィルタを配置している。
これらのうちでも撮像装置用の光学フィルタとしては、近赤外線波長領域の光を選択的に吸収するように、フツリン酸塩系ガラスやリン酸塩系ガラスにCuO等を添加した近赤外線吸収ガラスやそれを用いたガラスフィルタが知られている(特許文献1参照)。
ところで、フツリン酸塩系ガラスは、そもそも材料特性として硬度が低く、傷付き易い。そして、上記のような板状のガラス基板の用途(特に、光学部材としての赤外線カットフィルタ等の用途)としては、厚み精度の要求が厳しいため、ガラス基板の厚みが薄くなり強度が低下してしまう問題があった。
このようにフツリン酸塩系ガラス製のガラス基板の強度を改善するものとして、面取り加工した後や研磨加工(ラッピング)した後に、エッチング処理を行うことで強度を改善した板状光学ガラス及びその製造方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許第4169545号公報 特開2010-168262号公報
しかしながら、このような光学ガラスにおいては、上記エッチング処理や研磨処理後に、最終的にポリッシングと呼ばれる微細な砥粒を用いた研磨加工により鏡面仕上げを行うため、このときに生じる研磨傷によってもガラス基板の強度が低下してしまうことが本発明者らの検討によりわかった。
このポリッシング後には、通常アルカリ洗浄液により洗浄して研磨剤等を洗い流していたが、本発明者らは、このアルカリ洗浄液によりガラス基板表面がエッチングされ、ガラス基板表面の凹凸が深くなることも発見した。
そこで、本発明は、硬度の低いフツリン酸塩系ガラス製のガラス基板であっても、強度を改善して、取り扱いの容易なガラス基板およびその製造方法の提供を目的とする。
本発明は、以下の構成を有するガラス基板およびその製造方法を提供する。
[1]Pを5質量%以上有するフツリン酸塩ガラスからなるガラス基板であって、前記ガラス基板の表面特性として、表面歪度(Ssk)が次の式(1)を満たし、前記ガラス基板の最表面から深さ5nm~55nmの領域における平均水素濃度(A)と前記ガラス基板のバルク部分である深さ500nm~550nmの領域における平均水素濃度(B)の比が、次の式(6)を満たすことを特徴とするガラス基板。
sk ≧ -1.0 ・・・(1)
(A)/(B) ≦ 10 ・・・(6)
[2]Pを5質量%以上有するフツリン酸塩ガラスからなるガラス基板であって、前記ガラス基板の表面特性として、表面尖度(Sku)が次の式(2)を満たし、前記ガラス基板の最表面から深さ5nm~55nmの領域における平均水素濃度(A)と前記ガラス基板のバルク部分である深さ500nm~550nmの領域における平均水素濃度(B)の比が、次の式(6)を満たすことを特徴とするガラス基板。
ku ≦ 10 ・・・(2)
(A)/(B) ≦ 10 ・・・(6)
[3]前記ガラス基板の表面特性として、バレー溶液保持インデックス(Svi)が次の式(4)を満たすことを特徴とする[1]または[2]のいずれかに記載のガラス基板。
vi ≦ 0.14 ・・・(4)
[4]前記ガラス基板の表面特性として、コア溶液保持インデックス(Sci)が次の式(5)を満たすことを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載のガラス基板。
ci ≧ 1.40 ・・・(5)
[5]を5質量%以上有するフツリン酸塩ガラス製の板状ガラスを準備する工程と、前記板状ガラスの主面を精密研磨する研磨工程と、前記研磨工程後に、pHが0.5~3であって温度が20~50℃の酸溶液で、前記板状ガラスの研磨表面を酸洗浄する酸洗浄工程と、を有することを特徴とするガラス基板の製造方法。
[6]前記酸洗浄工程が、pHが0.5~3であって温度が20~50℃の硝酸水溶液又は塩酸水溶液の中に、前記板状ガラスを0.5~30分間浸漬処理する[5]に記載のガラス基板の製造方法。
本発明のガラス基板およびその製造方法によれば、フツリン酸塩ガラス製のガラス基板において、その表面特性を所定の範囲を満たすようにすることで、基板強度を改善したガラス基板を提供することができる。
パラメータを説明するための、表面ベアリング面積比曲線を示した図である。 ボールオンリング(BoR)試験の測定方法を説明するための図である。 実施例で得られたガラス基板の表面歪度(Ssk)とBoR強度との関係を示した図である。 実施例で得られたガラス基板の表面尖度(Sku)とBoR強度との関係を示した図である。 実施例で得られたガラス基板の最大谷深さ(S)とBoR強度との関係を示した図である。 実施例で得られたガラス基板のバレー溶液保持インデックス(Svi)とBoR強度との関係を示した図である。 実施例で得られたガラス基板のコア溶液保持インデックス(Sci)とBoR強度との関係を示した図である。 実施例で得られたガラス基板の表面粗さ(Ra)とBoR強度との関係を示した図である。
以下、本発明について、実施形態を参照しながら説明する。なお、本発明は、下記説明に限定して解釈されるものではない。
本発明の一実施形態であるガラス基板は、その表面特性が所定のものとなるフツリン酸塩ガラス製のガラス基板である。このガラス基板は、その表面特性を以下に説明するように所定の条件を満たすものとし、このような構成とすることでガラス基板の強度を良好なものとできる。
<ガラス基板>
本実施形態において用いられるガラス基板は、フツリン酸塩ガラスで形成された基板である。ガラス基板の材料となるフツリン酸塩ガラスとしては、公知のフツリン酸塩ガラスを用いることができ、特に限定されない。
このフツリン酸塩ガラス製のガラス基板は、その表面特性に特徴を有し、次のような所定の関係を満たす表面特性を有するものである。このような関係を満たすことで、フツリン酸塩ガラス製のガラス基板の強度を向上させることができ、且つ、ガラス基板上に光学膜を有した場合も同様な効果が得られる。
なお、本実施形態で用いられる表面特性としては、表面形状に関するパラメータであり、具体的には、表面歪度(Ssk)、表面尖度(Sku)、最大谷深さ(S)、バレー溶液保持インデックス(Svi)、コア溶液保持インデックス(Sci)が挙げられる。これらのパラメータは、原子間力顕微鏡(AFM)にて測定した表面分析データを、画像解析ソフト(例えば、イメージメトロジー製SPIP6.2.6)を用いて、レベリング処理を行い、ラフネス解析を行うことで計算されるパラメータである。
これらの表面特性のうち少なくとも1つについて、以下の関係式を満たすことが好ましく、2つ以上満たすことがより好ましく、3つ以上満たすことがさらに好ましく、4つ以上満たすことが特に好ましく、全て満たすことが最も好ましい。
なお、表面特性を2つ以上満たす場合、表面歪度(Ssk)と表面尖度(Sku)の少なくとも一つと、バレー溶液保持インデックス(Svi)とコア溶液保持インデックス(Sci)の少なくとも一つと、を満たすことが好ましい。
本実施形態において表面歪度(Ssk)とは、原子間力顕微鏡を使った表面分析データを、画像解析ソフト(例えば、イメージメトロジー製SPIP6.2.6)を用いて、レベリング処理を行ったデータの、各座標の高さデータの分布のヒストグラムの歪みを表す指標である。この表面歪度(Ssk)は、次の式(I)
Figure 0007059794000001
(式中、MはX軸方向の測定点数を、NはY軸方向の測定点数を、Sは二乗平均平方根粗さを、z(x,y)は座標(x,y)における高さ(ここで、xはk番目のx座標、yはl番目のy座標を表す)を、μは平均高さを表す。)で定義される。
ここで、Sは次の式(II)、μは次の式(III)
Figure 0007059794000002
(式中、M,N,z(x,y)およびμは上記と同一である。)
Figure 0007059794000003
(式中、M,Nおよびz(x,y)は上記と同一である。)で定義される。
ここで、Ssk=0ならば、例えばガウシアン分布のように、原子間力顕微鏡を使った表面分析データを、画像解析ソフト(例えば、イメージメトロジー製SPIP6.2.6)を用いて、レベリング処理を行ったデータの、各座標の高さデータの分布が望ましいものであることを示している。Ssk<0であると、高さ分布ヒストグラムは左にすそが長い曲線であることを示し、例えば平坦な表面に深い穴が点在しているイメージとなり、Ssk>0であると、高さ分布ヒストグラムは右にすそが長い曲線であることを示し、例えばピークのある平坦なイメージとなる。言い換えると、Ssk>0であると、細かい山が多い表面であり、Ssk<0であると細かい谷が多い表面であることを意味している。また、|Ssk|>1.0であると、極端な穴やピークが表面に存在することが示唆される。
本実施形態において、この表面歪度(Ssk)が次の式(1)を満たすことが好ましい。
sk ≧ -1.0 …(1)
この関係式を満たすことで、ガラス基板の強度を向上させたものとできる。さらに、Sskは、-0.7以上がより好ましく、-0.5以上がさらに好ましく、-0.3以上が特に好ましい。
また、Sskの上限値としては、1.0以下が好ましく、0.7以下がより好ましく、0.5以下がさらに好ましく、0.3以下が特に好ましい。
本実施形態において表面尖度(Sku)とは、高さ分布ヒストグラムの鋭さを表す指標である。この表面尖度(Sku)は、次の式(IV)
Figure 0007059794000004
(式中、MはX軸方向の測定点数を、NはY軸方向の測定点数を、Sは二乗平均平方根高さを、z(xk,)は座標(xk,)における高さ(ここで、xはk番目のx座標、yはl番目のy座標を表す)を、μは平均高さを、表す。)で定義される。
ここでガウシアン分布の場合、Skuはピクセル数が大きくなるにしたがって3.0に近づき、Sku<3.0であると、なだらかな曲線を描く分布であり、Sku>3.0であると、鋭い分布であることを示す。言い換えると、Sku<3.0であると、平坦な表面であることを意味し、Sku>3.0であると、凹凸の多い表面であることを意味している。
本実施形態において、この表面尖度(Sku)が次の式(2)を満たすことが好ましい。
ku ≦ 10 …(2)
この関係式を満たすと、ガラス基板の強度を向上させたものとできる。さらに、Skuは、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましく、5以下が特に好ましく、4以下が最も好ましい。
本実施形態において最大谷深さ(S)は、基板上に発生する研磨傷や圧痕傷などによってできる凹部分の最大値の指標である。この最大谷深さ(S)は測定データのZ値のなかで最も小さいものの絶対値が選ばれる。
本実施形態において、この最大谷深さ(S)が次の式(3)を満たすことが好ましい。
≦ 9 …(3)
この関係式を満たすと、ガラス基板の強度を向上させたものとできる。さらに、Sは、7以下がより好ましく、5以下がさらに好ましく、4以下が特に好ましい。
本実施形態においてバレー溶液保持インデックス(Svi)は、凹部分の底に近い部分の体積を示す指標である。このバレー溶液保持インデックス(Svi)は、面強度を支配する深い凹部分の頻度を表している。このバレー溶液保持インデックス(Svi)は、次の式(V)
Figure 0007059794000005
(式中、MはX軸方向の測定点数を、NはY軸方向の測定点数を、Sは二乗平均平方根高さを、V(h0.80)は表面ベアリング面積比曲線より上で水平線h0.80より下の領域を表す。)で定義される。
図1には、表面ベアリング面積比曲線、水平線h0.80、水平線h0.05を説明するための図を示した。表面ベアリング面積比曲線は、アボット曲線とも呼ばれ、高さ分布のヒストグラムを積分した値を表す曲線である。また、水平線h0.80は、べアリング面積比曲線の80%の値における水平線であり、このときの高さがZ0.80、水平線h0.05は、べアリング面積比曲線の5%の値における水平線であり、このときの高さがZ0.05である。すなわち、上記式(V)のV(h0.80)は、図1中の“Air in valley zone”の領域を指す。
本実施形態において、このバレー溶液保持インデックス(Svi)が次の式(4)を満たすことが好ましい。
vi ≦ 0.14 …(4)
この関係式を満たすと、ガラス基板の強度を向上させたものとできる。さらに、Sviは、0.13以下がより好ましく、0.12以下がさらに好ましい。
また、このSviは、0,11に近づく関数であるため、その下限値は0.11超が好ましく、0.11に近いほど好ましい。
本実施形態においてコア溶液保持インデックス(Sci)は、面内の均一性を示す指標である。このコア溶液保持インデックス(Sci)は、高さ分布がガウス分布であれば、1.56に近づく値である。このコア溶液保持インデックス(Sci)は、次の式(VI)
Figure 0007059794000006
(式中、MはX軸方向の測定点数を、NはY軸方向の測定点数を、Sは二乗平均平方根高さを、V(h0.05)は表面ベアリング面積比曲線より上で水平線h0.05より下の領域を、V(h0.80)は表面ベアリング面積比曲線より上で水平線h0.80より下の領域を表す。)を、表す。)で定義される。
このパラメータも、図1に示した表面ベアリング面積比曲線で説明され、上記式(VI)のV(h0.05)-V(h0.80)は、図1中の“Air in core zone”の領域を指す。
本実施形態において、このコア溶液保持インデックス(Sci)が次の式(5)を満たすことが好ましい。
ci ≧ 1.40 …(5)
この関係式を満たすと、ガラス基板の強度を向上させたものとできる。さらに、Sciは、1.45以上がより好ましく、1.50以上がさらに好ましく、1.53以上が特に好ましい。
なお、一般的によく用いられる表面粗さ(Ra)については、その表面粗さ(Ra)の数値とガラス基板の強度との間には明確な相関関係が確認できなかった。なお、本明細書における表面粗さ(Ra)は、JIS B 0601:2001に準じるものである。
上記のような表面形状に関するパラメータは、走査型プローブ顕微鏡、例えば、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscpe;AFM)等、によりガラス基板の表面形状について測定して得られたデータに基づいて、所定の処理を行うことで得られる。
この表面形状パラメータは、より具体的には、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)としてサイファーS(オックスフォード インスツルメンツ社製、商品名)を用い、1μm×1μmの範囲について、X方向に256点、Y方向に256点、合計で65536点のデータから、ガラス基板の表面形状データを取得した後、画像解析ソフト(例えば、イメージメトロロジー社製、商品名:SPIP)により取得できる。画像解析ソフトにおいてレベリング処理を実施し、ラフネス解析を行うことで、表面形状の特徴を示す様々なデータを所得することが出来る。
[水素濃度]
本実施形態に係るガラス基板は、ガラス基板の最表面から深さ5nm~55nmの領域における平均水素濃度(A)とガラスのバルク部分である深さ500nm~550nmの領域における平均水素濃度(B)の比が、次の式(6)を満たすことが好ましい。このような範囲を満たすことにより、ガラス基板の面強度を向上したものとできる。
(A)/(B) ≦ 10 …(6)
ガラス基板の面強度に関し、ガラス基板の表層における水素(水分)の存在によってガラスの面強度が低下することは知られている。種々の検討の結果、その主原因は雰囲気中の水分がガラス基板内部に侵入することにより化学的欠陥が生成するためであると推定される。
すなわち、ガラス基板の表層における水素濃度が高いと、ガラスのP-O-Pの結合ネットワークの中に水素がP-OHの形で入り、P-O-Pの結合が切れることがあり、水素濃度が高いとP-O-Pの結合が切れる部分が多くなるため、化学的欠陥が生成され易くなり、面強度が低下すると考えられる。
平均水素濃度は、ガラス基板の最表面からの深さが5nm~55nmの領域において特定するものである。水素濃度は、最表面が最も高く、深部(バルク部)にかけて徐々に低下する。本実施形態のガラス基板においては、精密研磨後に酸洗浄によりエッチングするものであり、精密研磨および酸洗浄処理前の板状ガラスの表面に比較的多く存在している水分が除去され、その面強度が良好に維持できるものと考えられる。
ここで、ガラス基板の最表面から深さ5nm~55nmの領域における平均水素濃度(A)とガラスのバルク部分である深さ500nm~550nmの領域における平均水素濃度(B)の比は、例えば、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometory:SIMS)を用いて取得したガラス基板の水素強度(H/F)のデプスプロファイルより求められる。以下に、算出手順を記す。
まず、測定対象のガラス基板をSIMS装置内へ搬送し、測定を行い、所定の深さ領域におけるHおよびF強度(counts/sec)のデプスプロファイルを同時に取得する。
その後、HデプスプロファイルからFデプスプロファイルを除して、縦軸をH/Fの強度比としたデプスプロファイルを作成する。ここでは、このデプスプロファイルを水素強度(H/F)のデプスプロファイルと呼ぶ。水素強度(H/F)のデプスプロファイルより、ガラス基板の最表面から深さ5nm~55nmの領域の平均水素強度(I)と深さ500nm~550nmの領域の平均水素強度(I)を求める。ここで、SIMSで求めた平均水素強度は、相対感度係数(K)を導入することで、平均水素濃度へ変換することができる。すなわち、(A)と(I)、(B)と(I)にはそれぞれ以下の関係が成り立つ。

(A)=(K)×(I
(B)=(K)×(I

さらに、(I)から(I)を除して、(K)を削除すれば、以下の関係が成り立つ。

(A)/(B)=(I)/(I

すなわち、ガラス基板の最表面から深さ5nm~55nmの領域の平均水素強度(I)と深さ500nm~550nmの領域の平均水素強度(I)の比を求めることで、直接的に、ガラス基板の最表面から深さ5nm~55nmの領域の平均水素濃度(A)と深さ500nm~550nmの領域の平均水素濃度(B)の比を求めることが可能となる。
なお、SIMSの測定条件は以下の通りである。
〔SIMSの測定条件〕
装置:アルバック・ファイ社製 ADEPT1010
一次イオン種:Cs
一次イオンの入射角:試料面の法線に対して60°
二次イオンの極性:マイナス
中和銃の使用:有
測定室内の到達真空度:5×10-9Torr以下
水素強度(H/F)のデプスプロファイルの横軸をスパッタ時間から深さへ変換する方法:SIMSによりガラス基板に形成された分析クレータの深さを触針式表面形状測定器(Veeco社製Dektak150など)によって測定し、一次イオンのスパッタレートを求める。このスパッタレートを用いて、水素強度(H/F)のデプスプロファイルの横軸をスパッタ時間から深さへ変換する。
検出時のField Axis Potential:装置ごとに最適値が変化する可能性がある。バックグラウンドが十分にカットされるように測定者が注意しながら値を設定する。
また、膜付き測定対象のガラス基板の水素強度(H/F)のデプスプロファイルを得る場合には、ガラス基板の裏面を研磨し、研磨面から膜の下におけるガラス表面へ向かって、SIMSにより測定、分析を行い、HおよびFの強度(counts/sec)のデプスプロファイルを取得する。
その後、HデプスプロファイルからFデプスプロファイルを除して、水素強度(H/F)のデプスプロファイルを得る。膜の下におけるガラス基板の表面から、深さ5nm~55nmの領域の平均水素強度(I)と深さ500nm~550nmの領域の平均水素強度(I)をそれぞれ算出する。なお、研磨面から膜の下におけるガラス表面へ向かってSIMS測定を行う場合、得られるFデプスプロファイルの強度は膜の下におけるガラス基板の表面付近で降下する。ここでの膜の下におけるガラス基板の表面とは、Fプロファイルの強度が降下開始する地点を指す。また、研磨面からSIMSにより測定、分析を行う方法をバックサイドSIMSという。
バックサイドSIMSを行うために、ガラス基板を研磨する必要がある。研磨は測定面の着目層が適切に残る深さまで裏面側から行う。
バックサイドSIMSでは、2か所の異なる位置において測定が必要である。1か所は、膜の下におけるガラス表面を超えるまで測定を行い、水素強度(H/F)のデプスプロファイルを取得する。もう1か所は、膜の下におけるガラス表面に到達する前に測定を停止する。膜の下におけるガラス表面に到達する前に測定を停止させることで形成された分析クレータについて、その深さを触針式表面形状測定器(Veeco社製Dektak150など)によって測定し、一次イオンのスパッタレートを求める。このスパッタレートを用いて、水素強度(H/F)のデプスプロファイルの横軸をスパッタ時間から深さへ変換する。
ここで、本実施形態のガラス基板の厚さは、装置の小型化、薄型化、および取り扱い時の破損を抑制する点から0.03~5mmの範囲が好ましく、軽量化および強度の点から0.05~1mmの範囲がより好ましく、0.07~0.5mmの範囲がさらに好ましい。
また、本実施形態で用いられるフツリン酸ガラスとしては、その組成を例示するとすれば、以下の組成のものが挙げられる。これらのフツリン酸ガラスはCuOを含有し、特に、近赤外線カットガラスとして有用である。
(1)質量%表示で、P 46~70%、AlF 0.2~20%、LiF+NaF+KF 0~25%、MgF+CaF+SrF+BaF+PbF 1~50%、ただし、F 0.5~32%、O 26~54%を含む基礎ガラス100質量部に対し、外割でCuO 0.5~7質量部を含むガラス。
(2)質量%表示で、P 25~60%、AlOF 1~13%、MgO 1~10%、CaO 1~16%、BaO 1~26%、SrO 0~16%、ZnO 0~16%、LiO 0~13%、NaO 0~10%、KO 0~11%、CuO 1~7%、ΣRO(R=Mg、Ca、Sr、Ba) 15~40%、ΣR’O(R’=Li、Na、K) 3~18%(ただし、39%モル量までのO2-イオンがFイオンで置換されている)からなるガラス。
(3)質量%表示で、P 5~45%、AlF 1~35%、RF(RはLi、Na、K) 0~40%、R’F(R’はMg、Ca、Sr、Ba、Pb、Zn) 10~75%、R”F(R”はLa、Y、Cd、Si、B、Zr、Ta、mはR”の原子価に相当する数) 0~15%(ただし、フッ化物総合計量の70%までを酸化物に置換可能)、およびCuO 0.2~15%を含むガラス。
(4)カチオン%表示で、P5+ 11~43%、Al3+ 1~29%、Rカチオン(Mg、Ca、Sr、Ba、Pb、Znイオンの合量) 14~50%、R’カチオン(Li、Na、Kイオンの合量) 0~43%、R”カチオン(La、Y、Gd、Si、B、Zr、Taイオンの合量) 0~8%、およびCu2+ 0.5~13%を含み、さらにアニオン%でF 17~80%を含有するガラス。
(5)カチオン%表示で、P5+ 23~41%、Al3+ 4~16%、Li 11~40%、Na 3~13%、R2+(Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+の合量) 12~53%、およびCu2+ 2.6~4.7%を含み、さらにアニオン%でF 25~48%、およびO2- 52~75%を含むガラス。
上記のようなガラスとして市販品を例示すると、例えば、(1)のガラスとしては、NF50-E、NF50-EX(旭硝子社製、商品名)等、(2)のガラスとしては、BG-60、BG-61(以上、ショット社製、商品名)等、(5)のガラスとしては、CD5000(HOYA社製、商品名)等が挙げられる。
また、上記したフツリン酸塩ガラスには、さらに金属酸化物を含有してもよい。金属酸化物として、例えば、Fe、MoO、WO、CeO、Sb、V等が挙げられ、これらの1種または2種以上を含有させると、紫外線吸収特性を有するようにできる。該金属酸化物の含有量は、上記フツリン酸塩ガラス 100質量部に対して、Fe、MoO、WOおよびCeOからなる群から選択される少なくとも1種を、Fe 0.6~5質量部、MoO 0.5~5質量部、WO 1~6質量部、CeO 2.5~6質量部、またはFeとSbの2種をFe 0.6~5質量部+Sb 0.1~5質量部、もしくはVとCeOの2種をV 0.01~0.5質量部+CeO 1~6質量部とすることが好ましい。
[ボールオンリング試験]
図2に、ボールオンリング試験を説明するための概略図を示す。ボールオンリング(Ball on Ring;BoR)試験では、ガラス基板1を水平に載置した状態で、SUS304製の加圧治具(焼入れ鋼、直径10mm、鏡面仕上げ)を用いてガラス基板1を加圧し、ガラス基板1の面強度を測定する。
図1において、SUS304製の受け治具2(直径30mm、接触部の曲率R2.5mm、接触部は焼入れ鋼、鏡面仕上げ)の上に、サンプルとなるガラス基板1が水平に設置されている。ガラス基板1の上方には、ガラス基板1を加圧するための、加圧治具3が設置されている。
ガラス基板1の上方から、ガラス基板1の中央領域を加圧する。なお、試験条件は下記の通りである。
加圧治具3の下降速度:0.5(mm/min)
この時、ガラス基板が破壊された際の、破壊荷重(単位N)をBoR面強度とし、9回以上の測定の平均値をBoR平均面強度とする。ただし、ガラス基板の破壊起点がボール押しつけ位置より2mm以上離れている場合は、平均値算出のためのデータより除外する。
<ガラス基板の製造方法>
本実施形態のガラス基板の製造方法は、公知のフツリン酸塩ガラス製のガラス基板の製造操作において、板状に形成した板状ガラスに対し、精密研磨を行い、その後、所定の表面処理を行うことを特徴とする。ここで行う表面処理は、酸洗浄を含む処理である。以下、各工程について詳細に説明する。
[準備工程]
まず、ガラス基板の基本形状が形成された板状ガラスを用意する。
本実施形態における準備工程は、次に説明する精密研磨に供する板状ガラスを得るための工程であり、ここで得られる板状ガラスは、後述する研磨工程の前段の工程を全て含む。すなわち、従来のガラス基板の製造方法においては、成形、外形加工、ラッピング、エッチング、強化処理等の各工程を有してよい。
より具体的には、例えば、用意した板状ガラスを、切断、穴あけ、切り欠き、研磨又は糸面取りなどの工程を経て、最終的に仕上げる所望の大きさ、形状に成形する。この時、後の工程のハンドリングの向上及びプロセスコストを削減するために、最終的に仕上げる所望の大きさよりも大きい大きさに切断しておき、全ての加工工程が終了した後に、所望の大きさ、形状に成形してもよい。
以上のように成形されたガラスを、本実施形態の研磨工程に付す板状ガラスとする。
[研磨工程]
本実施形態に係るガラス基板の製造方法では、フツリン酸塩ガラスを材料として上記のように板状ガラスを形成した後、そのガラス表面を研磨する研磨工程(ポリッシング工程)を行う。この研磨工程は、研磨スラリーを供給しながら研磨パッドでガラスを研磨する工程である。研磨条件は、所望の表面粗さとなる条件で行うものであれば特に制限されずに行うことができる。板状ガラスの表面を研磨することで、その表面のマクロな傷が除去される。このとき所望の表面粗さは、表面粗さ(Ra)が1nm以下となるようにする。
この研磨工程の操作は公知の方法により行えばよく、例えば、平均粒径約0.7μmの酸化セリウムを水に分散させて比重0.9のスラリーを作製し、不織布タイプ、又はスウェードタイプの研磨パッドを用いて、研磨圧50~100g/cmの条件で、片面あたり0.5μm以上表面を研磨する等の一般的な方法で行うことができる。
酸化セリウムの平均粒子直径(d50)が通常0.5~1.5μmの研磨砥粒を用いてガラス基板表面を研磨すると良く、その研磨による研磨傷がガラス基板表面に残るとガラス基板の強度が低下するおそれがあるが、研磨工程後に後述する表面処理工程を行うことにより、該研磨傷を薄くして強度を向上することができる。
[酸洗浄工程]
本実施形態に係るガラス基板の製造方法では、上記研磨処理後に、酸洗浄処理を行うものである。
ここで行う酸洗浄処理は、研磨処理された板状ガラスの表面を酸によりエッチングするものである。ここで用いる酸としては、酸性の溶液であればよく、酸としては有機酸および無機酸が挙げられる。有機酸としては、酢酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸等が挙げられ、無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、炭酸等が挙げられ、水溶液であることが好ましい。この酸としては、無機酸が好ましく、中でも塩酸、硝酸が好ましい。また、これらの酸を2種類以上混ぜて使用することも可能である。
なお、この酸洗浄に用いる酸としては、フッ酸等のフッ素化合物は含まない。一般に、フッ素化合物はガラスの溶解性に富むため、本実施形態のように研磨傷を浅くし、ガラス基板の表面形状を上記した範囲とすることが難しい。
ここで用いる酸性の溶液としては、pHが4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、2以下であることがさらに好ましい。
また、この酸洗浄工程では、板状ガラスの表面に対して、500nm以上エッチング処理できればよく、エッチング量が500~3000nmが好ましく、500~2000nmがより好ましく、1000~2000nmがさらに好ましい。
エッチング量を500nm以上とすることにより、上記研磨工程により生じた研磨傷による凹凸を小さくでき、面強度の高いガラス基板を製造できる。エッチング量は、ガラス基板のガラス組成、表面処理に用いる溶液の温度又は濃度等を適宜調整することにより調整することができる。
上記のような酸洗浄を行うためには、酸溶液を貯留した酸洗浄槽を用意し、該酸洗浄槽に洗浄対象の板状ガラスを浸漬させればよい。
このとき、上記のエッチング量となるように、酸溶液の濃度や温度、浸漬時間等を適宜調整すればよい。酸溶液の濃度は、例えば、pHが0.1~4が好ましく、0.5~3がより好ましく、0.5~1がさらに好ましい。また、酸溶液の温度は、20~80℃が好ましく、30~60℃がより好ましく、30~50℃が特に好ましい。また、酸溶液への浸漬時間は、1~30分が好ましく、1~20分がより好ましく、1~10分がさらに好ましい。
また、硝酸水溶液を用いる場合、例えば、pH 0.5~2.5、30~50℃とし、板状ガラスの浸漬時間を3~30分とすることが好ましく、pH 0.5~1、30~50℃とし、板状ガラスの浸漬時間を3~10分とすることがより好ましく、pH 0.5~1、30~50℃とし、板状ガラスの浸漬時間を3~5分とすることがさらに好ましい。
なお、この酸洗浄工程を行うにあたっては、酸洗浄工程の前に、上記研磨工程で研磨された表面に残留するスラリーを除去するために、水またはアルカリ溶液で板状ガラスの表面を洗浄することが好ましい。
また、この酸洗浄工程を行った後においても、表面に残留する酸溶液を除去するために、水またはアルカリ溶液でガラス基板を洗浄することが好ましい。
なお、特に、酸洗浄後の洗浄における、これらの水またはアルカリ溶液での洗浄は、ガラス基板の表面の性状がなるべく変化しないように注意する。例えば、水洗浄の場合には、ガラス基板表面での水分の増加量が不必要に大きくならないように、室温で、洗浄時間が30分以下となるように、またアルカリ溶液洗浄の場合には、ガラス基板表面のエッチング量が不必要に大きくならないように、室温で、pHが9~13程度のアルカリ水溶液を用い、洗浄時間を15分以下となるようにする。
なお、ここで用いるアルカリ(塩基)としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア又は有機アミン等の塩基が挙げられ、これらの塩基は単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。また、キレート剤として、有機酸塩などを添加してもよい。また、界面活性剤としてポリアクリル酸塩などのアニオン系界面活性剤、アルキルアミン塩酸塩などのカチオン系界面活性剤、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテルなどのノニオン系界面活性剤を添加してもよい。また、ビルダーとして、ゼオライトなどを添加してもよい。
このようにして得られたガラス基板は、さらに表面処理、例えば、印刷、反射防止コーティング、機能性フイルムの貼り合わせなどが行なわれ、所定の機能を有するガラス基板とできる。本実施形態のガラス基板は、携帯電話、デジタルカメラ等のイメージセンサ用のブルーフィルタとして好適に用いることができる。また、ブルーフィルタとして使用する場合、入射光の反射損失を抑制する為の反射防止膜や近赤外線カット膜を真空蒸着法やスパッタリング法で成膜してもよい。
以下に本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<評価方法>
本実施例における各種評価は以下に示す分析方法により行った。
[表面歪度(Ssk)]
初めに、Atomic Force Microscope(オックスフォードインスツルメント社製、サイファーS)、測定プローブ:Si-DF40Plus、測定エリア:1μm×1μm、測定点数:X:256point,Y:256point、スキャン速度:2Hz、により形状像を取得した。その後、画像解析ソフト(イメージメトロロジー社製SPIPイメージ解析ソフトウェア バージョン6.4.3)を用い、形状像のレべリング処理を実施し、ラフネス解析により表面歪度(Ssk)を求めた。
[表面尖度(Sku)]
初めに、Atomic Force Microscope(オックスフォードインスツルメント社製、サイファーS)、測定プローブ:Si-DF40Plus、測定エリア:1μm×1μm、測定点数:X:256point,Y:256point、スキャン速度:2Hz、により形状像を取得した。その後、画像解析ソフト(イメージメトロロジー社製SPIPイメージ解析ソフトウェア バージョン6.4.3)を用い、形状像のレべリング処理を実施し、ラフネス解析により表面尖度(Sku)を求めた。
[最大谷深さ(S)]
初めに、Atomic Force Microscope(オックスフォードインスツルメント社製、サイファーS)、測定プローブ:Si-DF40Plus、測定エリア:1μm×1μm、測定点数:X:256point,Y:256point、スキャン速度:2Hz、により形状像を取得した。その後、画像解析ソフト(イメージメトロロジー社製SPIPイメージ解析ソフトウェア バージョン6.4.3)を用い、形状像のレべリング処理を実施し、ラフネス解析により最大谷深さ(S)を求めた。
[バレー溶液保持インデックス(Svi)]
初めに、Atomic Force Microscope(オックスフォードインスツルメント社製、サイファーS)、測定プローブ:Si-DF40Plus、測定エリア:1μm×1μm、測定点数:X:256point,Y:256point、スキャン速度:2Hz、により形状像を取得した。その後、画像解析ソフト(イメージメトロロジー社製SPIPイメージ解析ソフトウェア バージョン6.4.3)を用い、形状像のレべリング処理を実施し、ベアリング曲線によりバレー溶液保持インデックス(Svi)を求めた。
[コア溶液保持インデックス(Sci)]
初めに、Atomic Force Microscope(オックスフォードインスツルメント社製、サイファーS)、測定プローブ:Si-DF40Plus、測定エリア:1μm×1μm、測定点数:X:256point,Y:256point、スキャン速度:2Hz、により形状像を取得した。その後、画像解析ソフト(イメージメトロロジー社製SPIPイメージ解析ソフトウェア バージョン6.4.3)を用い、形状像のレべリング処理を実施し、ベアリング曲線によりコア溶液保持インデックス(Sci)を求めた。
[表面粗さ(Ra)]
表面粗さ(Ra)は、Atomic Force Microscope(オックスフォードインスツルメント社製、サイファーS)、測定プローブ:Si-DF40Plus、測定エリア:1μm×1μm、測定点数:X:256point,Y:256point、スキャン速度:2Hz、により形状像を取得した。その後、画像解析ソフト(イメージメトロロジー社製SPIPイメージ解析ソフトウェア バージョン6.4.3)を用い、形状像のレべリング処理を実施し、Raを求めた。
[面強度]
ガラス基板の面強度はボールオンリング(Ball on Ring;BoR)試験により測定した。図2に、本実施例で用いたボールオンリング試験を説明するための概略図を示す。ガラス基板1を、SUS304製の受け治具2(直径30mm、接触部の曲率R2.5mm、接触部は焼入れ鋼、鏡面仕上げ)の上に、水平に載置した状態で、SUS304製の加圧治具3(焼入れ鋼、直径10mm、鏡面仕上げ)を用いてガラス基板1を加圧し、ガラス基板1の面強度を測定した。
本実施の形態においては、実施例及び比較例後に得られたガラス基板1の上方から、ガラス基板1の中央領域を加圧した。なお、試験条件は下記の通りである。
加圧治具2の下降速度:0.5(mm/min)
この時、ガラス基板1が破壊された際の、破壊荷重(単位:N)をBoR面強度とし、9回の測定の平均値をBoR平均面強度とした。ただし、ガラス基板の破壊起点がボール押しつけ位置より2mm以上離れていた場合は、平均値算出のためのデータより除外した。
[水素濃度比]
上記の〔水素濃度〕にて記載した方法に従い、平均水素濃度(A)と平均水素濃度(B)を測定し、それらの比を算出した。
[例1]
以下の組成となるようにガラス原料を溶解し、成形、Lap研磨工程を行い、0.7mmの板状ガラスを作成した。組成は、酸化物基準の質量%表示で、P 46.2%、MgF 1.9%、CaF 8.4%、SrF 18.3%、NaF 9.0%、AlF 9.9%、MgO 2.2%、CuO 6.2%、を含有するものとした。
研磨スラリーとして、平均粒子直径(d50)が0.8μmの酸化セリウムを水に分散させてスラリーを作製し、得られた板状ガラスの表面を、該スラリーを用いて研磨レート(片面)0.2μm/分で研磨パッド(スエードタイプ)により研磨した。
次いで、研磨した板状ガラスを、pH 13の水酸化ナトリウム水溶液中に5分間浸漬させて、研磨した表面を洗浄した(第一の洗浄)。その後、純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥し、ガラス基板1を得た。
[例2~6]
pH 2の硝酸水溶液またはpH 2の塩酸溶液を貯留した酸洗浄槽を用意し、例1で得られたガラス基板1を、酸溶液中に所定の時間浸漬させて、ガラス基板1の表面を洗浄した(第二の洗浄)。その後、純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。
酸洗浄に用いた薬液の種類、酸洗浄の時間は表1に示した条件とし、それぞれガラス基板2~6を得た。
[例7~8]
pH 2の硝酸水溶液を貯留した酸洗浄槽を用意し、例1で得られたガラス基板1を、酸溶液中に20分間浸漬させて、ガラス基板1の表面を洗浄した(第二の洗浄)。その後、純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。
さらに、pH 9の水酸化ナトリウム水溶液を貯留したアルカリ洗浄槽を用意し、酸洗浄したガラス基板を、5分または10分浸漬させて、ガラス基板の表面を洗浄した(第三の洗浄)。その後、純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥し、ガラス基板7~8を得た。
[例9~11]
pH 0.77の硝酸水溶液を貯留した酸洗浄槽を用意し、例1で得られたガラス基板1を、酸溶液中に所定の時間浸漬させて、ガラス基板1の表面を洗浄した(第二の洗浄)。その後、純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。
酸洗浄の時間は表1に示した条件とし、それぞれガラス基板9~11を得た。
Figure 0007059794000007
[表面特性]
表2に、上記方法により得られたガラス基板1~11について、BoR強度、表面特性として表面形状パラメータSsk、Sku、S、Svi、Sci、を測定した結果を示す。例1は比較例、例2~11は実施例である。また、表2に示した表面形状パラメータについて、BoR強度との関係をプロットしたグラフを図3~8に示した。
Figure 0007059794000008
表2および図3~8に示すように、上記した表面形状パラメータと面強度との間には相関関係が認められる。
一方、一般に表面形状を表す指標として用いられるRaの測定値からは、面強度との間に明確な相関関係は認められなかった。
また、表3に、上記例1~4で得られたガラス基板1~4について、測定した水素濃度比を示す。
この水素濃度比として、H/Fは、ガラス基板の最表層から深さ5nm~55nmにおけるガラス成分であるフッ素に対する水素強度と、深さ500nm~550nmにおけるガラス成分であるフッ素に対する水素強度に基づいて算出した平均水素濃度(A)と平均水素濃度(B)の比である。なお、各平均水素濃度は、サンプル毎に測定した値から算術平均を求め、それら平均値として算出した。
Figure 0007059794000009
表3に示すように、上記した水素濃度と面強度との間にも相関関係があると考えられる。
1…ガラス基板、2…受け治具、3…加圧治具

Claims (6)

  1. を5質量%以上有するフツリン酸塩ガラスからなるガラス基板であって、
    前記ガラス基板の表面特性として、表面歪度(Ssk)が次の式(1)を満たし、
    前記ガラス基板の最表面から深さ5nm~55nmの領域における平均水素濃度(A)と前記ガラス基板のバルク部分である深さ500nm~550nmの領域における平均水素濃度(B)の比が、次の式(6)を満たすことを特徴とするガラス基板。
    sk ≧ -1.0 ・・・(1)
    (A)/(B) ≦ 10 ・・・(6)
  2. を5質量%以上有するフツリン酸塩ガラスからなるガラス基板であって、
    前記ガラス基板の表面特性として、表面尖度(Sku)が次の式(2)を満たし、
    前記ガラス基板の最表面から深さ5nm~55nmの領域における平均水素濃度(A)と前記ガラス基板のバルク部分である深さ500nm~550nmの領域における平均水素濃度(B)の比が、次の式(6)を満たすことを特徴とするガラス基板。
    ku ≦ 10 ・・・(2)
    (A)/(B) ≦ 10 ・・・(6)
  3. 前記ガラス基板の表面特性として、バレー溶液保持インデックス(Svi)が次の式(4)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のガラス基板。
    vi ≦ 0.14 ・・・(4)
  4. 前記ガラス基板の表面特性として、コア溶液保持インデックス(Sci)が次の式(5)を満たすことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のガラス基板。
    ci ≧ 1.40 ・・・(5)
  5. を5質量%以上有するフツリン酸塩ガラス製の板状ガラスを準備する工程と、
    前記板状ガラスの主面を精密研磨する研磨工程と、
    前記研磨工程後に、pHが0.5~3であって温度が20~50℃の酸溶液で、前記板状ガラスの研磨表面を酸洗浄する酸洗浄工程と、
    を有することを特徴とするガラス基板の製造方法。
  6. 前記酸洗浄工程が、pHが0.5~3であって温度が20~50℃の硝酸水溶液又は塩酸水溶液の中に、前記板状ガラスを0.5~30分間浸漬処理する請求項に記載のガラス基板の製造方法。
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