JP7059700B2 - オレフィン重合触媒及びオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
オレフィン重合用触媒としては、メタロセン触媒が用いられている。メタロセン触媒は、メタロセン錯体とそれを活性化することが可能な助触媒により構成される。助触媒としては、メチルアルモキサン(MAO)に代表される有機アルミニウム化合物や、テトラキスペンタフルオロフェニルボレートを含有する化合物に代表されるホウ素化合物が広く用いられている(非特許文献1)。
メチルアルモキサンは、多くのメタロセン錯体を活性化することができ、良好な重合活性を与える助触媒であるが、良好な重合活性を得るためには、メタロセン錯体に対して非常に多量のメチルアルモキサンを用いる必要がある。また、保管中に構造変化が生じるなどの問題がある。一方、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートに代表されるボレート化合物は、メタロセン錯体に対して等モル使用するだけで良好な重合活性を得ることが出来るが、ヘキサン、ヘプタン、トルエンなど、通常用いられる有機溶媒に対する溶解度が極端に低いため、ボレート化合物を均一に溶解させるために多量の有機溶媒を用いる必要があった。
ボラン化合物は、有機溶媒に対する溶解度の観点では、ボレート化合物より優れているものの、メタロセン錯体/ボラン化合物を組み合わせた触媒系は重合活性が低く、重合活性を向上させる技術が求められている。
(ここで一般式(1)~(3)において、R1~R10は、後述のとおりである)を含む、オレフィン重合触媒が提供される。
本発明のオレフィン重合触媒は、成分(A)として、チタン、ジルコニウム又はハフニウムを中心金属に有するメタロセン化合物を含有する。
ここで、Cpは、各々独立して、Mに対してπ結合する、置換又は非置換のシクロペンタジエニル基をその構造中に含む配位子であり、一つのCp上に存在する2つの置換基は共に結合して環を形成していてもよく、2つのCpは2価の置換基Qによって互いに連結されていてもよく、
Mはチタン、ジルコニウム又はハフニウムであり、
Xは、各々独立して、炭素数1~20の炭化水素基、酸素若しくは窒素を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数6~20のアリーロキシ基、炭素数2~10のエステル基、アミノ基、炭素数1~12の置換アミノ基、及びハロゲンからなる群より選択される置換基である。なお、本明細書において「炭化水素基」というとき、「炭化水素基」は、指定された範囲の炭素数を有する炭素及び水素からなる構造の基を指し、直鎖状でも分岐鎖状であってもよく、芳香環を含む環構造を有していてもよい。また当該「炭化水素基」の価数は、その文脈に応じて適切な価数をとることが理解される。
2つの基Cpを互いに連結する2価の置換基Qとしては、炭素数1~30の2価の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~30の2価の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2~30の2価の炭化水素基、及び炭素数1~30の炭化水素基で置換された2価のシリル基からなる群より選択される。そのような置換基Qの例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ジメチルシリレンなどが挙げられる。
ビスシクロペンタジエニルハフニウムジクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(2-メチルインデニル)ハフニウムジクロリド、ビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)ハフニウムジクロリド、ビスフルオレニルハフニウムジクロリド、ビス(4H-アズレニル)ハフニウムジクロリド、ビス(2-メチル-4H-アズレニル)シクロペンタジエニルハフニウムジクロリド、ビス(2-メチルビスシクロペンタジエニルハフニウムジクロリド、ビス(2-メチル-4-フェニル-4H-アズレニル)ハフニウムジクロリド、ビス(2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4H-アズレニル)ハフニウムジクロリド、ビス(2-フリルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(2-フリルインデニル)ハフニウムジクロリド、ビス(2-フリル-4,5-ベンゾインデニル)ハフニウムジクロリド;
ジメチルシリレンビス(1,1’-シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’-(2-メチルインデニル)]ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(1,1’-シクロペンタジエニル)ジメチルハフニウム、ジメチルシリレンビス(1,1’-インデニル)ジメチルハフニウム、ジメチルシリレンビス[1,1’-(2-メチルインデニル)]ジメチルハフニウム、ジメチルシリレンビス(4-フェニル-1-インデニル)ジメチルハフニウム、ジメチルシリレンビス[1,1’-(2-メチル-4-フェニル-インデニル)]ハフニウムジクロリド、エチレンビス[1,1’-(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)]ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’-(2-メチル-4H-アズレニル)]ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’-(2-メチル-4-フェニル-4H-アズレニル)]ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’-[2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4H-アズレニル]}ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’-(2-エチル-4-フェニル-4H-アズレニル)]ハフニウムジクロリド、エチレンビス[1,1’-(2-メチル-4H-アズレニル)]ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリド。
これら錯体の中心金属をチタン、ジルコニウム又はハフニウムで相互に置き換えたものもまた、成分(A)として用いることができる。
本発明のオレフィン重合触媒は、成分(B)として、下記一般式(1)で表されるボラン化合物を含有する。
BR1R2R3 (1)
[上記一般式(1)中、Bはホウ素原子であり、R1~R3は同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、フッ素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のハロゲン化アリール基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基又は炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基で置換された炭素数1~20のアルキル基である]
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン;トリス(へプタフルオロナフチル)ボラン;トリス(2,3,5,6,7,8-ヘキサフルオロナフチル)ボラン及びその異性体;トリス(2,3,5,6,7,8-ヘキサフルオロ-4-メチルナフチル)ボラン及びその異性体;トリス(ノナフルオロビフェニル)ボラン;トリス(2,2’,3,3’,5,5’,6,6’-オクタフルオロビフェニル)ボラン及びその異性体;トリス(2,2’,3,3’,4,4’,6,6’-オクタフルオロ-5,5’-メチルビフェニル)ボラン及びその異性体;トリス(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラン及びその異性体;トリス(2,3,5-トリフルオロフェニル)ボラン及びその異性体;トリス(2,6-ジフルオロフェニル)ボラン及びその異性体;トリス(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-メチルフェニル)ボラン及びその異性体;トリス[2,4-ジ(トリフルオロメチル)フェニル]ボラン及びその異性体、トリス[2,4、6-トリ(トリフルオロメチル)フェニル]ボラン及びその異性体、トリス(2,6-ジフルオロ-4-メチルフェニル)ボラン及びその異性体;フルオロビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン;クロロビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン;ジクロロ(ペンタフルオロフェニル)ボラン;ジフルオロ(ペンタフルオロフェニル)ボラン;9-クロロ-9-ボロペルフルオロフルオレン;9-メチル-9-ボロペルフルオロフルオレン;9-ペンタフルオロフェニル-9-ボロペルフルオロフルオレン;9-ブロモ-9-ボロペルフルオロフルオレン;トリス(3,5-ジ〔トリフルオロメチル〕フェニル)ボラン;トリメチルボラン;トリエチルボラン;トリブチルボラン;トリヘキシルボラン;トリス(トリフルオロメチル)ボラン;トリス(トリメチルシリル)ボラン;トリス(4-トリメチルシリルフェニル)ボラン。
本発明のエチレン重合用触媒組成物は、成分(C)として、下記一般式(2)又は(3)で表される化合物を含有する。
[一般式(2)中、R4、R5は同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基又は炭素数1~6の炭化水素基を有するシリル基で置換された炭素数1~20のアルキル基であり、R6、R7は、一緒になって、1つ以上のハロゲン、炭素数1~10の炭化水素基若しくは炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基で置換されていてもよい炭素数1~20のアルキレン基であって、該アルキレン基は不飽和結合を有していてもよく、該アルキレン基の炭素原子は炭素数6~20のアリーレン基で置き換えられていてもよく、該アルキレン基中、任意の二つの炭素原子は、直接結合若しくは炭素数1~10の炭化水素基によって架橋され環状構造を形成してもよい];
[一般式(3)中、R8、R9、R10は同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基で置換された炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である。R8、R9、R10は各置換基の任意の位置で架橋した環状構造を形成していてもよい。Aは水素、炭素数1~10のアルコキシ基又は炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基である]
一般式(2)で表される化合物は、C=C二重結合を環構造の中に有する環状化合物である。一般式(2)におけるC=C二重結合と基R6、R7から構成される環構造の中には、当該環構造の任意の二点が架橋されていることが好ましい。特に、ノルボルネン骨格を有することが好ましい。
前記一般式(2)におけるR4、R5は、各々独立して、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であることが好ましい。前記一般式(2)におけるR4、R5は、共に水素であることがより好ましい。
ノルボルネン:1,2-ジメチルノルボルネン;7,7-ジメチルノルボルネン;2,5-ノルボルナジエン;シクロヘキセン;1,3-シクロヘキサジエン;シクロヘプテン;フルベン;シクロオクタテトラエン;ビシクロ[2,2,2]オクタ-2-エン;ビシクロ[3,2,1]オクタ-2-エン;ジシクロペンタジエン;2a,3,4,5-テトラヒドロアセナフチレン;3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロインデン;1,2-ジヒドロナフタレン;1,2,3,4,4a,5,6,8a-オクタヒドロナフタレン;1,3a,4,5,6,7,8,8a-オクタヒドロアズレン;α-ピネン、δ-3-カレン、ツジェンなどの複環式モノテルペン。なお、入手の容易性などから、ノルボルネン又はその誘導体を用いることが好ましく、ノルボルネンがより好ましい。
一般式(3)で表される化合物は、ビニルシランの構造を有する化合物である。シリル基としては、先に説明した種類のものであれば特にその種類に制限はない。シリル基に対応する前記一般式(3)におけるAが、炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基であることが好ましい。
前記一般式(3)におけるR8、R9、R10は、それぞれ水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基で置換された炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である。より好ましくは、前記一般式(3)におけるR8、R9、R10は、それぞれ水素原子である。また、R8、R9、R10は、その任意の2点以上において結合して環を形成していてもよく、架橋結合を有していてもよい。R8、R9、R10のいずれか2つにより環を形成する場合、環を構成する元素には上記一般式(3)の規定を満足する限り酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子が含まれていてもよく、環はC=C二重結合と合わせて芳香環を形成していてもよい。
本発明のオレフィン重合触媒は、上記成分(A)~(C)以外に、担体、有機アルミニウム化合物など、従来のメタロセン触媒に含有される成分を、本発明の効果を損なわない範囲において任意に含有していてもよい。
担体は、オレフィン重合触媒をその表面に担持する役割を有する固体である。担体として、無機酸化物担体、例えば周期律表第2、4、13又は14族の金属の酸化物を用いることができる。具体的には、チタニア、ジルコニア、アルミナ、シリカ、マグネシア、トリア、シリカ-チタニア、シリカ-ジルコニア、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア又はこれらの混合物が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、オレフィン重合触媒において従来用いられるものを含有することができる。添加されるアルミニウム化合物の例としては、有機アルミニウム化合物であり、アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムアルコキシドなどが挙げられる。
上記有機アルミニウム化合物は、2種以上混合して使用することもできる。
アルキルアルミニウムアルコキシドは、アルキル基及びアルコキシ基を有する有機アルミニウム化合物である。ジアルキルアルミニウムアルコキシド、アルキルアルミニウムジアルコキシド又はトリアルキルアルミニウムから選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、アルキルアルミニウムアルコキシド化合物がより好ましい。
アルキルアルミニウムアルコキシド化合物は、例えば一般式:R16 nAl(OR17)3-n(式中、R16、R17は、同一であっても異なってもよく、各々炭素数1~20のアルキル基を表す。ここで、R16、R17のアルキル基は、シクロアルキル基も含む。nは、1又は2である)で示される化合物である。
本発明のオレフィン重合触媒は、例えば前記成分(A)、(B)及び(C)を場合により任意に追加可能な担体やアルミニウム化合物と一緒に混合する方法により製造される。混合に際して各成分の少なくとも1種を、ヘキサンやトルエンなど不活性な溶媒に溶解させて均一になるように混合してもよい。また、前記成分(A)、(B)及び(C)を個別又はまとめて、オレフィン重合用の反応器に加えることで、重合反応系の中で触媒をなすようにしてもよい。混合する温度や時間などの諸条件は、使用する各成分の溶解度、安定性などに応じて、当業者が適宜設定することができる。
混合する温度や時間などの諸条件は、使用する各成分の溶解度、安定性などに応じて、当業者が適宜設定することができる。通常、混合する温度は、-20℃~溶媒の沸点以下で行われる。また、接触時間は、好ましくは1分~24時間、さらに好ましくは2分~12時間である。
1.オレフィンの重合方法
本発明のオレフィン重合触媒を用いてオレフィン重合体の製造を行うに際しては、スラリー重合、溶液重合のような液相重合法或いは気相重合法等、いずれの方法を採用することもできる。オレフィン重合反応において用いられるモノマーは、C=C二重結合を有している炭化水素であれば特に制限されないが、主要なモノマーとしてエチレンが好ましく用いられる。エチレンは、通常は気体状のエチレンガスであるが、エチレン重合において当業者が通常用いるものであれば、前記重合法や最終的な用途に合わせて、エチレンのグレードなどは適宜選択することができる。以下、エチレン重合を例にして説明するが、プロピレンやヘキセンなど他のオレフィンを主要なモノマーとする場合にも、同様の条件をモノマーに応じて適宜設定して利用することができる。
また、気相重合法は、不活性ガス共存下にて、流動床、撹拌床等の通常知られる重合法を採用することができ、場合により重合熱除去の媒体を共存させる、いわゆるコンデンシングモードを採用することもできる。本触媒は、液相重合に適用することが好ましい。
重合時には、被毒防止剤として、前述の有機アルミニウム化合物を添加することが出来る。その中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどのトリルキルアルミニウム化合物が好ましい。
また、重合時には、ポリマーの分子量調節のため、水素を添加して重合することもできる。
(1-1).成分(A):ジメチルシリレンビス(4-フェニル-1-インデニル)ジメチルハフニウムの合成
(i)ジメチルビス(4-フェニルインデン-1-イル)シランの合成
文献(Organometallics,1994年,13巻,p.954-963)記載の方法に従って合成した。
200mLのガラス製反応容器に、ジメチルビス(4-フェニルインデン-1-イル)シラン4.90g(11.1mmol)、ジエチルエーテル110mLを加え、ドライアイス-ヘプタン浴で-70℃まで冷却した。ここに1.62mol/Lのn-ブチルリチウム-n-ヘキサン溶液14.0mL(22.7mmol)を滴下し、室温で3.5時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、トルエン100mLを加え、ドライアイス-ヘプタン浴で-70℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム3.56g(11.1mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら17時間撹拌した。このときのラセミ体とメソ体の生成比率は55:45であった。
ジクロロメタンを200mL加え、セライトろ過した後、トルエン中で再結晶を行うことで、ジメチルシリレンビス(4-フェニル-1-インデニル)ハフニウムジクロリドのラセミ体を橙色固体として2.23g得た(収率29%)。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ7.63(d,4H),7.53(d,2H),7.42(t,4H),7.38-7.31(m,4H),7.16(dd,2H),7.01(d,2H),6.10(d,2H),1.18(s,6H).
100mLのガラス製反応容器に、ジメチルシリレンビス(4-フェニル-1-インデニル)ハフニウムジクロリド1.20g(1.56mmol)、トルエン50mLを加えた、ここに3.0mol/Lの臭化メチルマグネシウム-ジエチルエーテル溶液3.6mL(10.8mmol)を室温で滴下した後、80℃で1時間撹拌した。反応液を氷浴で0℃に冷却した後、クロロトリメチルシラン0.98mL(7.76mmol)を加え、室温で30分攪拌し、続けて1,4-ジオキサン2.0mL(23.4mmol)を加え、室温でさらに30分攪拌した。懸濁液をセライトろ過した後、溶媒を減圧で留去した。得られた黄色固体をヘキサン10mLで懸濁し、ガラスフリットでろ過し、固体をさらに5mLのヘキサンで3回洗浄することで、ジメチルシリレンビス(4-フェニル-1-インデニル)ジメチルハフニウムのラセミ体を黄色固体として837mg得た(収率85%)。
1H-NMR(400MHz,C6D6):δ7.70(dd,4H),7.27-7.18(m,8H),7.15-7.07(m,4H),6.90(dd,2H),5.63(d,2H),0.60(s,6H),-1.07(s,6H).
窒素置換したフラスコに、ラセミ-ジメチルシリレンビス(4-フェニル-1-インデニル)ジメチルハフニウム(成分(A))のトルエン溶液(1.0μmol/mL)を2mL、B(C6F5)3(成分(B))のトルエン溶液(2.0μmol/mL)を5mL、トリメチルビニルシラン(成分(C))のトルエン溶液(0.20mmol/mL)を1mL分取した。混合溶液を室温で2時間撹拌しオレフィン重合触媒を得た。
十分に乾燥し、窒素で置換した2.4Lのステンレス製反応器(撹拌装置付)にトルエンを1000mL、1-ヘキセン60mLを添加し、さらにトリ(n-オクチル)アルミニウム/ヘプタン溶液(0.1mmol/mL)を0.3mL添加し、100℃に昇温した。エチレンで2.0MPaまで昇圧した。(1-2)で調製したオレフィン重合触媒を全量分取し、反応器に窒素で圧入することで重合を開始した。重合中、エチレンは分圧が2.0MPaを維持するように供給した。重合開始から10分後、エタノールを圧入して重合反応を停止し、反応器内温を60℃まで下げてから反応器を開放した。このとき、生成したポリマーは溶媒のトルエンに溶けた状態であり、アセトン1Lを添加し、ポリマーを析出させてから回収した。回収したポリマーを70℃に加熱した乾燥器で減圧乾燥し、24.6gのポリマーを得た。成分(A)あたりの活性は、6.2gPE/μmol-成分(A)/MPa-エチレンであった。
参考例1(1-2)オレフィン重合触媒の調製において、成分(C)として表1に記載の化合物を用い、各成分の添加量が表1に記載されている量になるように混合し、室温で2時間撹拌することでオレフィン重合触媒を得た。
エチレン/1-ヘキセン共重合評価は、表1に記載されている量の触媒成分を用いる以外は、参考例1(1-3)に記載された条件に従って重合評価をおこなった。結果は以下の表1に記載した。なお、下記表1の「実施例1」とあるのは「参考例1」と読み替える。
Claims (7)
- 下記の成分(A)、(B)及び(C)を含む、オレフィン重合触媒。
成分(A):チタン、ジルコニウム又はハフニウムを中心金属に有するメタロセン化合物
成分(B):下記一般式(1)で表される化合物
成分(C):下記一般式(2)で表される化合物
一般式(1):BR1R2R3
[上記一般式(1)中、Bはホウ素原子であり、R1~R3は同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、フッ素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のハロゲン化アリール基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基又は炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基で置換された炭素数1~20のアルキル基である];
一般式(2):
[一般式(2)中、R4、R5は同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基又は炭素数1~6の炭化水素基を有するシリル基で置換された炭素数1~20のアルキル基であり、R6、R7は、一緒になって環構造を形成し、1つ以上のハロゲン、炭素数1~10の炭化水素基若しくは炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基で置換されていてもよい炭素数1~20のアルキレン基であって、該アルキレン基は不飽和結合を有していてもよく、該アルキレン基の炭素原子は炭素数6~20のアリーレン基で置き換えられていてもよく、該アルキレン基中、任意の二つの炭素原子は、直接結合若しくは炭素数1~10の炭化水素基によって架橋され環状構造を形成してもよい]。 - 前記一般式(2)におけるR4、R5が水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合触媒。
- 前記一般式(2)におけるR4、R5が水素原子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のオレフィン重合触媒。
- 一般式(2)で表される化合物が、ノルボルネン骨格を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のオレフィン重合触媒。
- 前記一般式(1)におけるR1,R2,R3の少なくとも1つが炭素数6~20のフッ素化アリール基であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のオレフィン重合触媒。
- 前記一般式(1)におけるR1,R2,R3が、いずれも炭素数6~20のフッ素化アリール基であることを特徴とする、請求項5に記載のオレフィン重合触媒。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載のオレフィン重合触媒を用いてオレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
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