JP7059700B2 - オレフィン重合触媒及びオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン重合触媒及びオレフィン重合体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7059700B2
JP7059700B2 JP2018041632A JP2018041632A JP7059700B2 JP 7059700 B2 JP7059700 B2 JP 7059700B2 JP 2018041632 A JP2018041632 A JP 2018041632A JP 2018041632 A JP2018041632 A JP 2018041632A JP 7059700 B2 JP7059700 B2 JP 7059700B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
carbon atoms
general formula
olefin polymerization
polymerization catalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018041632A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019156897A (ja
Inventor
和弘 山本
正人 中野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Polyethylene Corp
Original Assignee
Japan Polyethylene Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Polyethylene Corp filed Critical Japan Polyethylene Corp
Priority to JP2018041632A priority Critical patent/JP7059700B2/ja
Publication of JP2019156897A publication Critical patent/JP2019156897A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7059700B2 publication Critical patent/JP7059700B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、新規なオレフィン重合触媒及びオレフィン重合体の製造方法に関する。
オレフィン重合体は、樹脂材料の中でも物性や成形性などの諸性質に優れ、経済性や環境問題適合性も高く、非常に汎用されかつ重要な産業資材である。
オレフィン重合用触媒としては、メタロセン触媒が用いられている。メタロセン触媒は、メタロセン錯体とそれを活性化することが可能な助触媒により構成される。助触媒としては、メチルアルモキサン(MAO)に代表される有機アルミニウム化合物や、テトラキスペンタフルオロフェニルボレートを含有する化合物に代表されるホウ素化合物が広く用いられている(非特許文献1)。
メチルアルモキサンは、多くのメタロセン錯体を活性化することができ、良好な重合活性を与える助触媒であるが、良好な重合活性を得るためには、メタロセン錯体に対して非常に多量のメチルアルモキサンを用いる必要がある。また、保管中に構造変化が生じるなどの問題がある。一方、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートに代表されるボレート化合物は、メタロセン錯体に対して等モル使用するだけで良好な重合活性を得ることが出来るが、ヘキサン、ヘプタン、トルエンなど、通常用いられる有機溶媒に対する溶解度が極端に低いため、ボレート化合物を均一に溶解させるために多量の有機溶媒を用いる必要があった。
そこでMAOやテトラキスペンタフルオロフェニルボレートに代わる、助触媒の設計が試みられている。ボレート化合物と類似した作用を有する化合物として、トリスペンタフルオロフェニルボランに代表されるボラン化合物がある(非特許文献1)。また、メタロセン触媒に不飽和炭化水素化合物を組み合わせる検討が行われている。あらかじめエチレンやプロプレンで予備重合を行った触媒を、実際の重合プロセスへ適用する技術は広く用いられている。メタロセン触媒と特定構造の不飽和炭化水素化合物を組み合わせることで、得られるポリマーの分子量が変化する技術の開示がある(特許文献1)。メタロセン錯体とボレート化合物を組み合わせた触媒系に1-ヘキセンなどのα-オレフィンを添加して、有機溶媒に対する触媒成分の溶解度を向上させる試みも行われている(特許文献2)。
特表2007-284629 特表2001-525002
Chemical Reviews, 2000年, 100巻, 1431頁
このように、触媒系の構築のために様々な試みがなされているが、非特許文献1のボラン化合物は前述の有機溶媒に対する溶解度は向上するものの、メタロセン錯体をカチオン化する能力が低いという問題がある。そのため、メタロセン錯体とボラン化合物を組み合わせた触媒をオレフィン重合に適用した場合、重合活性が低く実用的ではなかった。また、特許文献1や特許文献2記載の方法でも、重合活性を向上させる効果、特にメタロセン錯体とボラン化合物を組み合わせた系での活性向上効果は見られていない。
ボラン化合物は、有機溶媒に対する溶解度の観点では、ボレート化合物より優れているものの、メタロセン錯体/ボラン化合物を組み合わせた触媒系は重合活性が低く、重合活性を向上させる技術が求められている。
本発明の目的は、オレフィン重合触媒としてより有効に機能する触媒を創出することである。本発明者らは、上記の課題の解決を目指して鋭意検討した結果、特定構造のC=C二重結合を有する化合物を添加することで重合活性が向上することを見出し、本発明を創出するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、成分(A):チタン、ジルコニウム又はハフニウムを中心金属に有するメタロセン化合物、成分(B):一般式(1)としてBRで表される化合物、成分(C):下記一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物;
Figure 0007059700000001

Figure 0007059700000002

(ここで一般式(1)~(3)において、R~R10は、後述のとおりである)を含む、オレフィン重合触媒が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、一般式(2)におけるR、Rが、各々独立して、水素原子又は炭素数1~10の1級アルキル基であることを特徴とする、オレフィン重合触媒が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は第2の発明において、一般式(2)におけるR、Rが、水素原子であることを特徴とする、オレフィン重合触媒が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1~第3のいずれかの発明において、一般式(2)で表される化合物が、ノルボルネン骨格を有することを特徴とする、オレフィン重合触媒が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、一般式(3)におけるAが、水素又は炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基であることを特徴とする、オレフィン重合触媒が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、前記第1又は第5の発明において、一般式(3)におけるR、R、R10が、それぞれ水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基で置換された炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であることを特徴とする、オレフィン重合触媒が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、前記第5又は第6の発明において、一般式(3)におけるR、R、R10が、それぞれ水素原子であることを特徴とする、オレフィン重合触媒が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、前記第1~第7のいずれかの発明において、前記一般(1)におけるR、R、Rの少なくとも1つが炭素数6~20のフッ素化アリール基であることを特徴とする、オレフィン重合触媒が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、前記第8の発明において、前記一般(1)におけるR、R、Rが炭素数6~20のフッ素化アリール基であることを特徴とする、オレフィン重合触媒が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、前記第1~第9の発明のいずれかに記載のオレフィン重合触媒を用いることを特徴とする、オレフィン重合体の製造方法が提供される。
本発明のオレフィン重合触媒は、より高い重合活性を有しており、より効率的なオレフィン重合を達成することができる。
本発明は、成分(A):チタン、ジルコニウム又はハフニウムを中心金属に有するメタロセン化合物、成分(B):一般式(1)で表される化合物、成分(C):一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物(ここで一般式(1)~(3)において、R~R10は、後述のとおりである)を含む、オレフィン重合触媒に係るものである。本明細書の以下の説明において、「エチレン重合体」は、製造方法に特に断りがない限り、本発明の触媒で製造されたポリエチレンを指し、「ポリエチレン組成物」は、該エチレン重合体を含有する組成物を指す。以下、本発明を項目ごとに説明する。
[I]成分(A)
本発明のオレフィン重合触媒は、成分(A)として、チタン、ジルコニウム又はハフニウムを中心金属に有するメタロセン化合物を含有する。
メタロセン化合物は、一般的には、シクロペンタジエニルアニオン(C )を含む構造が金属原子にπ結合した構造を有する化合物である。成分(A)のメタロセン化合物には、シクロペンタジエニル基を2つ有する金属錯体のほか、シクロペンタジエニル基を1つだけ有するハーフメタロセンと呼ばれる錯体も包含される。本発明における成分(A)としては、好ましい構造の例として、化学式:CpMXで表される化合物が含まれる。
ここで、Cpは、各々独立して、Mに対してπ結合する、置換又は非置換のシクロペンタジエニル基をその構造中に含む配位子であり、一つのCp上に存在する2つの置換基は共に結合して環を形成していてもよく、2つのCpは2価の置換基Qによって互いに連結されていてもよく、
Mはチタン、ジルコニウム又はハフニウムであり、
Xは、各々独立して、炭素数1~20の炭化水素基、酸素若しくは窒素を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数6~20のアリーロキシ基、炭素数2~10のエステル基、アミノ基、炭素数1~12の置換アミノ基、及びハロゲンからなる群より選択される置換基である。なお、本明細書において「炭化水素基」というとき、「炭化水素基」は、指定された範囲の炭素数を有する炭素及び水素からなる構造の基を指し、直鎖状でも分岐鎖状であってもよく、芳香環を含む環構造を有していてもよい。また当該「炭化水素基」の価数は、その文脈に応じて適切な価数をとることが理解される。
上記化学式:CpMXにおいて、Cp上の置換基は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~30の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2~30の炭化水素基、及び炭素数1~30の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選択される。そのような置換基を有するシクロペンタジエニル環の構造としては、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-若しくはペンタメチルシクロペンタジエニル、tert-ブチルシクロペンタジエニル、アダマンチルシクロペンタジエニルなどが挙げられる。また同一のCp上の2つの置換基は、互いに結合して環を形成していてもよく、そのような構造としては、非置換又は置換のインデニル基(C)、アズレニル基(C10)、フルオレニル基(C13)が挙げられる。
2つの基Cpを互いに連結する2価の置換基Qとしては、炭素数1~30の2価の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~30の2価の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2~30の2価の炭化水素基、及び炭素数1~30の炭化水素基で置換された2価のシリル基からなる群より選択される。そのような置換基Qの例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ジメチルシリレンなどが挙げられる。
成分(A)のメタロセン化合物が有する配位子の例としては、シクロペンタジエニル基を含む配位子として、シクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、n-ブチルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、インデニル、2-メチルインデニル、4-フェニルインデニル、アズレニルなどが挙げられる。また、これらの配位子が2つ、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ジメチルシリレンなど2価の基により結合した化合物も同様に挙げることができる。ここで、2価の基により結合される2つの配位子は、シクロペンタジエニルとインデニルとの組合せのように、互いに異なっていてもよい。
成分(A)のメタロセン化合物は、4族元素であるチタン、ジルコニウム又はハフニウムを中心金属として有する金属錯体であるが、中心金属は、触媒活性などの点から、ジルコニウム、ハフニウムであることが好ましく、ハフニウムがさらに好ましい。
メタロセン化合物の例としては、エチレン重合に用いられる公知の各種触媒を用いることができる。一例としては、特開昭58-19309号、特開昭59-95292号、特開昭60-35006号、特開平3-163088号の各公報などに記載されているメタロセン触媒のうち、中心金属がチタン、ジルコニウム又はハフニウムであるものが例示される。より具体的な化合物を例示すると、以下のものが挙げられる。
ビスシクロペンタジエニルハフニウムジクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(2-メチルインデニル)ハフニウムジクロリド、ビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)ハフニウムジクロリド、ビスフルオレニルハフニウムジクロリド、ビス(4H-アズレニル)ハフニウムジクロリド、ビス(2-メチル-4H-アズレニル)シクロペンタジエニルハフニウムジクロリド、ビス(2-メチルビスシクロペンタジエニルハフニウムジクロリド、ビス(2-メチル-4-フェニル-4H-アズレニル)ハフニウムジクロリド、ビス(2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4H-アズレニル)ハフニウムジクロリド、ビス(2-フリルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(2-フリルインデニル)ハフニウムジクロリド、ビス(2-フリル-4,5-ベンゾインデニル)ハフニウムジクロリド;
ジメチルシリレンビス(1,1’-シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’-(2-メチルインデニル)]ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(1,1’-シクロペンタジエニル)ジメチルハフニウム、ジメチルシリレンビス(1,1’-インデニル)ジメチルハフニウム、ジメチルシリレンビス[1,1’-(2-メチルインデニル)]ジメチルハフニウム、ジメチルシリレンビス(4-フェニル-1-インデニル)ジメチルハフニウム、ジメチルシリレンビス[1,1’-(2-メチル-4-フェニル-インデニル)]ハフニウムジクロリド、エチレンビス[1,1’-(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)]ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’-(2-メチル-4H-アズレニル)]ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’-(2-メチル-4-フェニル-4H-アズレニル)]ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’-[2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4H-アズレニル]}ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’-(2-エチル-4-フェニル-4H-アズレニル)]ハフニウムジクロリド、エチレンビス[1,1’-(2-メチル-4H-アズレニル)]ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリド。
これら錯体の中心金属をチタン、ジルコニウム又はハフニウムで相互に置き換えたものもまた、成分(A)として用いることができる。
[II]成分(B)
本発明のオレフィン重合触媒は、成分(B)として、下記一般式(1)で表されるボラン化合物を含有する。
BR (1)
[上記一般式(1)中、Bはホウ素原子であり、R~Rは同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、フッ素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のハロゲン化アリール基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基又は炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基で置換された炭素数1~20のアルキル基である]
ここで、本明細書において、「ハロゲン化」とは、対象となる構造が有する水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)で置換されていることを指す。ある構造が「ハロゲン化」されているときの、ハロゲン原子の置換数は、1つから対象となる構造で置換可能な最大数までの任意の値をとることができ、ハロゲンでの置換位置を含めて特に制限されない。
また、本明細書において「シリル基」とは、ケイ素で他の化学構造に結合する官能基を指す。シリル基の非限定的例としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリブチルシリル、トリヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルなどが挙げられる。これらのシリル基が置換基としてアルキル基に結合している場合、同一又は異なる複数のシリル基が単一の炭素骨格中に含まれていてもよい。
アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デカニルなどの、直鎖状又は分岐鎖状脂肪族炭化水素、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、ノルボルニルなどの環状炭化水素が挙げられる。「アルコキシ基」というときは、これらアルキル基の結合手を有する炭素原子に酸素が結合し、酸素で他の化学構造に結合する官能基を指す。ハロゲン化アルキルの例としては、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルなどの、アルキル基の水素が全てハロゲンで置換された基、フルオロメチル、2,2-ジクロロエチル、3,3,3-トリフルオロプロピルなどの一部がハロゲンで置換された基が挙げられる。これらのアルキル基及びそこから誘導される基については、後述する一般式(2)又は(3)で表される化合物など他の一般式で表される化合物における置換基としても、同様のものを例示することができる。
アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニルなどが挙げられる。ハロゲン化アリール基の非限定的例としては、4-フルオロフェニル又はその異性体;4-クロロフェニル又はその異性体;4-ブロモフェニル又はその異性体;2,6-ジフルオロフェニル又はその異性体;2,6-ジクロロフェニル又はその異性体;2,6-ジブロモフェニル又はその異性体;2,4,6-トリフルオロフェニル又はその異性体;2,4,6-トリクロロフェニル又はその異性体;2,4,6-トリブロモフェニル又はその異性体;2,3,4,6-テトラフルオロフェニル又はその異性体;ペンタフルオロフェニル;2-フルオロナフチル又はその異性体;ヘプタフルオロナフチル;ヘキサフルオロナフチル;4,4’-ジフルオロビフェニル;デカフルオロジフェニルが挙げられる。これらのアリール基及びそこから誘導される基については、後述する一般式(2)又は(3)で表される化合物など他の一般式で表される化合物における置換基としても、同様のものを例示することができる。
一般式(1)で表されるボラン化合物においては、R、R、Rの少なくとも1つが、炭素数6~20のハロゲン化アリール基であることが好ましく、R、R、Rの少なくとも1つが、炭素数6~20のフッ素化アリール基であることがより好ましい。また、R、R、Rが、いずれも炭素数6~20のフッ素化アリール基であることがさらに好ましい。R、R、Rとして特に好ましい基は、ペンタフルオロフェニルである。
成分(B)の非限定的な例としては、以下のような化合物が挙げられる。
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン;トリス(へプタフルオロナフチル)ボラン;トリス(2,3,5,6,7,8-ヘキサフルオロナフチル)ボラン及びその異性体;トリス(2,3,5,6,7,8-ヘキサフルオロ-4-メチルナフチル)ボラン及びその異性体;トリス(ノナフルオロビフェニル)ボラン;トリス(2,2’,3,3’,5,5’,6,6’-オクタフルオロビフェニル)ボラン及びその異性体;トリス(2,2’,3,3’,4,4’,6,6’-オクタフルオロ-5,5’-メチルビフェニル)ボラン及びその異性体;トリス(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラン及びその異性体;トリス(2,3,5-トリフルオロフェニル)ボラン及びその異性体;トリス(2,6-ジフルオロフェニル)ボラン及びその異性体;トリス(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-メチルフェニル)ボラン及びその異性体;トリス[2,4-ジ(トリフルオロメチル)フェニル]ボラン及びその異性体、トリス[2,4、6-トリ(トリフルオロメチル)フェニル]ボラン及びその異性体、トリス(2,6-ジフルオロ-4-メチルフェニル)ボラン及びその異性体;フルオロビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン;クロロビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン;ジクロロ(ペンタフルオロフェニル)ボラン;ジフルオロ(ペンタフルオロフェニル)ボラン;9-クロロ-9-ボロペルフルオロフルオレン;9-メチル-9-ボロペルフルオロフルオレン;9-ペンタフルオロフェニル-9-ボロペルフルオロフルオレン;9-ブロモ-9-ボロペルフルオロフルオレン;トリス(3,5-ジ〔トリフルオロメチル〕フェニル)ボラン;トリメチルボラン;トリエチルボラン;トリブチルボラン;トリヘキシルボラン;トリス(トリフルオロメチル)ボラン;トリス(トリメチルシリル)ボラン;トリス(4-トリメチルシリルフェニル)ボラン。
[III]成分(C)
本発明のエチレン重合用触媒組成物は、成分(C)として、下記一般式(2)又は(3)で表される化合物を含有する。
Figure 0007059700000003

[一般式(2)中、R、Rは同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基又は炭素数1~6の炭化水素基を有するシリル基で置換された炭素数1~20のアルキル基であり、R、Rは、一緒になって、1つ以上のハロゲン、炭素数1~10の炭化水素基若しくは炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基で置換されていてもよい炭素数1~20のアルキレン基であって、該アルキレン基は不飽和結合を有していてもよく、該アルキレン基の炭素原子は炭素数6~20のアリーレン基で置き換えられていてもよく、該アルキレン基中、任意の二つの炭素原子は、直接結合若しくは炭素数1~10の炭化水素基によって架橋され環状構造を形成してもよい];
Figure 0007059700000004

[一般式(3)中、R、R、R10は同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基で置換された炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である。R、R、R10は各置換基の任意の位置で架橋した環状構造を形成していてもよい。Aは水素、炭素数1~10のアルコキシ基又は炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基である]
<一般式(2)で表される化合物>
一般式(2)で表される化合物は、C=C二重結合を環構造の中に有する環状化合物である。一般式(2)におけるC=C二重結合と基R、Rから構成される環構造の中には、当該環構造の任意の二点が架橋されていることが好ましい。特に、ノルボルネン骨格を有することが好ましい。
前記一般式(2)におけるR、Rは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であることが好ましい。前記一般式(2)におけるR、Rは、共に水素であることがより好ましい。
一般式(2)において環構造の一部をなす基R、Rは、上記要件を満足するものであれば、任意の構造をとることができる。基R、Rが一緒になって形成する構造の例としては、エチレン(-CHCH-)、プロピレン(-(CH-)、ブテン(-(CH-)、ペンテン(-(CH-)、ヘキセン(-(CH-)、並びに上記構造のCHのうち任意の二点が、直接結合又は炭素数1~10の炭化水素基で架橋された構造などが挙げられる。また、上記構造のうち1点以上のCHが、シクロヘキシレン(-C10-)、フェニレン(-C-)、ナフチレン(-C-)などのアリーレン基を含む2価の環構造で置き換わった構造及び上記環構造を含む任意の二点が、直接結合又は炭素数1~10の炭化水素基で架橋された構造も同様に、基R、Rが一緒になって形成する構造の例として挙げることができる。
一般式(2)で表される化合物の非限定的な例としては、以下のような化合物が挙げられる。
ノルボルネン:1,2-ジメチルノルボルネン;7,7-ジメチルノルボルネン;2,5-ノルボルナジエン;シクロヘキセン;1,3-シクロヘキサジエン;シクロヘプテン;フルベン;シクロオクタテトラエン;ビシクロ[2,2,2]オクタ-2-エン;ビシクロ[3,2,1]オクタ-2-エン;ジシクロペンタジエン;2a,3,4,5-テトラヒドロアセナフチレン;3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロインデン;1,2-ジヒドロナフタレン;1,2,3,4,4a,5,6,8a-オクタヒドロナフタレン;1,3a,4,5,6,7,8,8a-オクタヒドロアズレン;α-ピネン、δ-3-カレン、ツジェンなどの複環式モノテルペン。なお、入手の容易性などから、ノルボルネン又はその誘導体を用いることが好ましく、ノルボルネンがより好ましい。
<一般式(3)で表される化合物>
一般式(3)で表される化合物は、ビニルシランの構造を有する化合物である。シリル基としては、先に説明した種類のものであれば特にその種類に制限はない。シリル基に対応する前記一般式(3)におけるAが、炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基であることが好ましい。
前記一般式(3)におけるR、R、R10は、それぞれ水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基で置換された炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である。より好ましくは、前記一般式(3)におけるR、R、R10は、それぞれ水素原子である。また、R、R、R10は、その任意の2点以上において結合して環を形成していてもよく、架橋結合を有していてもよい。R、R、R10のいずれか2つにより環を形成する場合、環を構成する元素には上記一般式(3)の規定を満足する限り酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子が含まれていてもよく、環はC=C二重結合と合わせて芳香環を形成していてもよい。
一般式(3)で表される化合物の非限定的な例としては、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリエチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニルシラン;trans-1-トリメチルシリル-1-ヘキセン、trans-3-トリメチルシリル-3-ヘキセンなどのアルケン誘導体;1-トリメチルシリルシクロヘキセン、1-トリメチルシリルシクロオクテン、1-トリメチルシリルノルボルネンなどの環状オレフィン;ならびにこれらの幾何異性体が挙げられる。入手・調製の容易性から、トリメチルビニルシランのようなビニルシラン又はその誘導体を用いることが好ましい。
本発明は、前記一般式(2)又は(3)で表されるC=C二重結合含有化合物を添加することにより、メタロセン触媒の活性が向上することを見出したことに、少なくとも部分的に基づく。
上記成分(A)、(B)又は(C)に包含される化合物が光学中心を有している場合、或いは(B)又は(C)に包含される化合物が軸不斉を有している場合、それら化合物は、異性体のうちどれか単一の1種であってもよく、ラセミ体など複数種の異性体の混合物であってもよい。
本発明のオレフィン重合触媒における、上記成分(A)、(B)及び(C)について、その配合量は、メタロセン触媒系として機能することができる量比であれば特に制限されないが、成分(A)1molに対して成分(B)は、好ましくは0.05~100mol、さらに好ましくは0.1~50mol、さらに好ましくは0.2~20molである。成分(A)1molに対して成分(C)は、好ましくは1~10000mol、さらに好ましくは10~5000molである。
[IV]オレフィン重合触媒に含有可能な任意成分
本発明のオレフィン重合触媒は、上記成分(A)~(C)以外に、担体、有機アルミニウム化合物など、従来のメタロセン触媒に含有される成分を、本発明の効果を損なわない範囲において任意に含有していてもよい。
1.担体
担体は、オレフィン重合触媒をその表面に担持する役割を有する固体である。担体として、無機酸化物担体、例えば周期律表第2、4、13又は14族の金属の酸化物を用いることができる。具体的には、チタニア、ジルコニア、アルミナ、シリカ、マグネシア、トリア、シリカ-チタニア、シリカ-ジルコニア、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア又はこれらの混合物が挙げられる。
担体の物性は、従来のメタロセン触媒に用いられるものであれば特に制限されないが、比表面積が100~1000m/gであるものが例示される。無機酸化物担体の比表面積は、より好ましくは100~500m/g、さらに好ましくは150~450m/gとなるように選択される。担体は、その表面に細孔を有している物を用いることが好ましい。担体の細孔体積としては、一般的なメタロセン触媒に用いられる担体を用いている限り特に制限されないが、好ましくは0.5~5.0mL/g、より好ましくは1.0~3.0mL/g、さらに好ましくは1.2~2.5mL/gの範囲のものを例示することができる。また、担体の平均粒径としては、10~200μm、好ましくは20~150μm、さらに好ましくは30~100μmの範囲のものが例示される。
2.アルミニウム化合物
アルミニウム化合物としては、オレフィン重合触媒において従来用いられるものを含有することができる。添加されるアルミニウム化合物の例としては、有機アルミニウム化合物であり、アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムアルコキシドなどが挙げられる。
上記有機アルミニウム化合物は、2種以上混合して使用することもできる。
トリアルキルアルミニウムのアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のいずれも使用することができる。
アルキルアルミニウムアルコキシドは、アルキル基及びアルコキシ基を有する有機アルミニウム化合物である。ジアルキルアルミニウムアルコキシド、アルキルアルミニウムジアルコキシド又はトリアルキルアルミニウムから選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、アルキルアルミニウムアルコキシド化合物がより好ましい。
アルキルアルミニウムアルコキシド化合物は、例えば一般式:R16 Al(OR173-n(式中、R16、R17は、同一であっても異なってもよく、各々炭素数1~20のアルキル基を表す。ここで、R16、R17のアルキル基は、シクロアルキル基も含む。nは、1又は2である)で示される化合物である。
その中でも、上記一般式においてnが2の場合である、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物が好ましい。特に、二つのR16が、同一であっても異なってもよく、各々炭素原子数1~20のアルキル基を表し、R17が、炭素数2以上のアルキル基である(ここで、R16、R17のアルキル基は、シクロアルキル基も含む)、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物が好ましい。さらに、触媒活性の点において、R17がメチレン基(-CH-)で酸素と結合しているアルキル基である(ここで、R17のメチレン基において酸素の逆側の結合は、シクロアルキル基と結合していてもよい)である、ジアルキルアルミニウムアルコキシドであることが特に好ましい。
さらに、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物としては、これらの中でも、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムn-ブトキシド、ジn-ブチルアルミニウムエトキシド、ジn-ブチルアルミニウムn-ブトキシド、ジエチルアルミニウムi-ブトキシド、ジi-ブチルアルミニウムエトキシド、ジi-ブチルアルミニウムi-ブトキシドが好適である。
ジアルキルアルミニウムアルコキシドは、(i)トリアルキルアルミニウムとアルコールを反応させる方法、(ii)ジアルキルアルミニウムハライドと金属アルコキシドを反応させる方法により、簡単に合成することができる。
[V]オレフィン重合触媒の製法
本発明のオレフィン重合触媒は、例えば前記成分(A)、(B)及び(C)を場合により任意に追加可能な担体やアルミニウム化合物と一緒に混合する方法により製造される。混合に際して各成分の少なくとも1種を、ヘキサンやトルエンなど不活性な溶媒に溶解させて均一になるように混合してもよい。また、前記成分(A)、(B)及び(C)を個別又はまとめて、オレフィン重合用の反応器に加えることで、重合反応系の中で触媒をなすようにしてもよい。混合する温度や時間などの諸条件は、使用する各成分の溶解度、安定性などに応じて、当業者が適宜設定することができる。
混合する温度や時間などの諸条件は、使用する各成分の溶解度、安定性などに応じて、当業者が適宜設定することができる。通常、混合する温度は、-20℃~溶媒の沸点以下で行われる。また、接触時間は、好ましくは1分~24時間、さらに好ましくは2分~12時間である。
[VI]オレフィン重合体
1.オレフィンの重合方法
本発明のオレフィン重合触媒を用いてオレフィン重合体の製造を行うに際しては、スラリー重合、溶液重合のような液相重合法或いは気相重合法等、いずれの方法を採用することもできる。オレフィン重合反応において用いられるモノマーは、C=C二重結合を有している炭化水素であれば特に制限されないが、主要なモノマーとしてエチレンが好ましく用いられる。エチレンは、通常は気体状のエチレンガスであるが、エチレン重合において当業者が通常用いるものであれば、前記重合法や最終的な用途に合わせて、エチレンのグレードなどは適宜選択することができる。以下、エチレン重合を例にして説明するが、プロピレンやヘキセンなど他のオレフィンを主要なモノマーとする場合にも、同様の条件をモノマーに応じて適宜設定して利用することができる。
液相重合法は、通常炭化水素溶媒中で行う。炭化水素溶媒としては、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素、又はこれらのうち2種以上の混合物が用いられる。
また、気相重合法は、不活性ガス共存下にて、流動床、撹拌床等の通常知られる重合法を採用することができ、場合により重合熱除去の媒体を共存させる、いわゆるコンデンシングモードを採用することもできる。本触媒は、液相重合に適用することが好ましい。
液相重合法における重合温度は、一般的には0~300℃であり、実用的には20~250℃である。
オレフィン重合を行う際の、本発明の触媒の使用量は、当業者によって適宜設定することができ、オレフィン重合を行う場合に適用される量であれば、特に制限されない。
エチレンの重合を行うに際し、コモノマーとして、エチレン以外のα-オレフィンを共重合することもできる。α-オレフィンとしては、炭素数3~8のα-オレフィンであることがより好ましく、具体例としては、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等を単独又は2種類以上反応器に導入して共重合を行うことができる。特に好ましくは1-ブテン、1-ヘキセン、さらに好ましくは1-ヘキセンがコモノマーとして好適に用いられる。
重合方法としては、反応器を一つ用いてポリエチレンを製造する単段重合だけでなく、分子量分布を広げるために少なくとも二つの反応器を連結させて多段重合を行うこともできる。多段重合の場合、二つの反応器を連結させ、第一段の反応器で重合して得られた反応混合物を続いて第二段の反応器に連続して供給する二段重合が好ましい。第一段の反応器から第二段の反応器への移送は、差圧により連結管を通して、第一段反応器からの重合反応混合物の連続的排出により行われる。
重合時には、被毒防止剤として、前述の有機アルミニウム化合物を添加することが出来る。その中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどのトリルキルアルミニウム化合物が好ましい。
また、重合時には、ポリマーの分子量調節のため、水素を添加して重合することもできる。
以下に於いては、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明し、本発明の卓越性と本発明の構成による優位性を実証するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
参考例1]
(1-1).成分(A):ジメチルシリレンビス(4-フェニル-1-インデニル)ジメチルハフニウムの合成
Figure 0007059700000005

(i)ジメチルビス(4-フェニルインデン-1-イル)シランの合成
文献(Organometallics,1994年,13巻,p.954-963)記載の方法に従って合成した。
(ii)ラセミ-ジメチルシリレンビス(4-フェニル-1-インデニル)ハフニウムジクロリドの合成
200mLのガラス製反応容器に、ジメチルビス(4-フェニルインデン-1-イル)シラン4.90g(11.1mmol)、ジエチルエーテル110mLを加え、ドライアイス-ヘプタン浴で-70℃まで冷却した。ここに1.62mol/Lのn-ブチルリチウム-n-ヘキサン溶液14.0mL(22.7mmol)を滴下し、室温で3.5時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、トルエン100mLを加え、ドライアイス-ヘプタン浴で-70℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム3.56g(11.1mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら17時間撹拌した。このときのラセミ体とメソ体の生成比率は55:45であった。
ジクロロメタンを200mL加え、セライトろ過した後、トルエン中で再結晶を行うことで、ジメチルシリレンビス(4-フェニル-1-インデニル)ハフニウムジクロリドのラセミ体を橙色固体として2.23g得た(収率29%)。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.63(d,4H),7.53(d,2H),7.42(t,4H),7.38-7.31(m,4H),7.16(dd,2H),7.01(d,2H),6.10(d,2H),1.18(s,6H).
(iii)ラセミ-ジメチルシリレンビス(4-フェニル-1-インデニル)ジメチルハフニウムの合成
100mLのガラス製反応容器に、ジメチルシリレンビス(4-フェニル-1-インデニル)ハフニウムジクロリド1.20g(1.56mmol)、トルエン50mLを加えた、ここに3.0mol/Lの臭化メチルマグネシウム-ジエチルエーテル溶液3.6mL(10.8mmol)を室温で滴下した後、80℃で1時間撹拌した。反応液を氷浴で0℃に冷却した後、クロロトリメチルシラン0.98mL(7.76mmol)を加え、室温で30分攪拌し、続けて1,4-ジオキサン2.0mL(23.4mmol)を加え、室温でさらに30分攪拌した。懸濁液をセライトろ過した後、溶媒を減圧で留去した。得られた黄色固体をヘキサン10mLで懸濁し、ガラスフリットでろ過し、固体をさらに5mLのヘキサンで3回洗浄することで、ジメチルシリレンビス(4-フェニル-1-インデニル)ジメチルハフニウムのラセミ体を黄色固体として837mg得た(収率85%)。
H-NMR(400MHz,C):δ7.70(dd,4H),7.27-7.18(m,8H),7.15-7.07(m,4H),6.90(dd,2H),5.63(d,2H),0.60(s,6H),-1.07(s,6H).
(1-2).オレフィン重合触媒の調製
窒素置換したフラスコに、ラセミ-ジメチルシリレンビス(4-フェニル-1-インデニル)ジメチルハフニウム(成分(A))のトルエン溶液(1.0μmol/mL)を2mL、B(C(成分(B))のトルエン溶液(2.0μmol/mL)を5mL、トリメチルビニルシラン(成分(C))のトルエン溶液(0.20mmol/mL)を1mL分取した。混合溶液を室温で2時間撹拌しオレフィン重合触媒を得た。
(1-3).エチレン/1-ヘキセン共重合
十分に乾燥し、窒素で置換した2.4Lのステンレス製反応器(撹拌装置付)にトルエンを1000mL、1-ヘキセン60mLを添加し、さらにトリ(n-オクチル)アルミニウム/ヘプタン溶液(0.1mmol/mL)を0.3mL添加し、100℃に昇温した。エチレンで2.0MPaまで昇圧した。(1-2)で調製したオレフィン重合触媒を全量分取し、反応器に窒素で圧入することで重合を開始した。重合中、エチレンは分圧が2.0MPaを維持するように供給した。重合開始から10分後、エタノールを圧入して重合反応を停止し、反応器内温を60℃まで下げてから反応器を開放した。このとき、生成したポリマーは溶媒のトルエンに溶けた状態であり、アセトン1Lを添加し、ポリマーを析出させてから回収した。回収したポリマーを70℃に加熱した乾燥器で減圧乾燥し、24.6gのポリマーを得た。成分(A)あたりの活性は、6.2gPE/μmol-成分(A)/MPa-エチレンであった。
[実施例2及び比較例1~3]
参考例1(1-2)オレフィン重合触媒の調製において、成分(C)として表1に記載の化合物を用い、各成分の添加量が表1に記載されている量になるように混合し、室温で2時間撹拌することでオレフィン重合触媒を得た。
エチレン/1-ヘキセン共重合評価は、表1に記載されている量の触媒成分を用いる以外は、参考例1(1-3)に記載された条件に従って重合評価をおこなった。結果は以下の表1に記載した。なお、下記表1の「実施例1」とあるのは「参考例1」と読み替える。
Figure 0007059700000006
表1に示されるように、前記一般式(2)又は(3)で表される化合物を添加した触媒組成物によって、当該成分の添加のない系(比較例1)では重合反応が進行しなかったのに対し、重合反応が進行しエチレン-ヘキセンの共重合体が得られた。また、前記一般式(2)又は(3)で表される化合物以外のオレフィン系化合物を添加した場合(比較例2)と比較しても、高い重合活性が得られており、本発明のオレフィン重合触媒がオレフィンの重合において非常に有効であることが示された。

Claims (7)

  1. 下記の成分(A)、(B)及び(C)を含む、オレフィン重合触媒。
    成分(A):チタン、ジルコニウム又はハフニウムを中心金属に有するメタロセン化合物
    成分(B):下記一般式(1)で表される化合物
    成分(C):下記一般式(2)で表される化合物
    一般式(1):BR
    [上記一般式(1)中、Bはホウ素原子であり、R~Rは同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、フッ素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のハロゲン化アリール基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基又は炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基で置換された炭素数1~20のアルキル基である];
    一般式(2):
    Figure 0007059700000007

    [一般式(2)中、R、Rは同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基又は炭素数1~6の炭化水素基を有するシリル基で置換された炭素数1~20のアルキル基であり、R、Rは、一緒になって環構造を形成し、1つ以上のハロゲン、炭素数1~10の炭化水素基若しくは炭素数1~10の炭化水素基を有するシリル基で置換されていてもよい炭素数1~20のアルキレン基であって、該アルキレン基は不飽和結合を有していてもよく、該アルキレン基の炭素原子は炭素数6~20のアリーレン基で置き換えられていてもよく、該アルキレン基中、任意の二つの炭素原子は、直接結合若しくは炭素数1~10の炭化水素基によって架橋され環状構造を形成してもよい]。
  2. 前記一般式(2)におけるR、Rが水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合触媒。
  3. 前記一般式(2)におけるR、Rが水素原子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のオレフィン重合触媒。
  4. 一般式(2)で表される化合物が、ノルボルネン骨格を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のオレフィン重合触媒。
  5. 前記一般式(1)におけるR,R,Rの少なくとも1つが炭素数6~20のフッ素化アリール基であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のオレフィン重合触媒。
  6. 前記一般式(1)におけるR,R,Rが、いずれも炭素数6~20のフッ素化アリール基であることを特徴とする、請求項に記載のオレフィン重合触媒。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載のオレフィン重合触媒を用いてオレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
JP2018041632A 2018-03-08 2018-03-08 オレフィン重合触媒及びオレフィン重合体の製造方法 Active JP7059700B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018041632A JP7059700B2 (ja) 2018-03-08 2018-03-08 オレフィン重合触媒及びオレフィン重合体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018041632A JP7059700B2 (ja) 2018-03-08 2018-03-08 オレフィン重合触媒及びオレフィン重合体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019156897A JP2019156897A (ja) 2019-09-19
JP7059700B2 true JP7059700B2 (ja) 2022-04-26

Family

ID=67992431

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018041632A Active JP7059700B2 (ja) 2018-03-08 2018-03-08 オレフィン重合触媒及びオレフィン重合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7059700B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113880977B (zh) * 2021-10-18 2023-07-11 万华化学集团股份有限公司 一种烯烃聚合催化剂、制备方法与应用

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004528421A (ja) 2001-03-06 2004-09-16 エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク フィルム用プロピレンポリマー

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1993011172A1 (en) * 1991-11-25 1993-06-10 Exxon Chemical Patents Inc. Polyonic transition metal catalyst composition

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004528421A (ja) 2001-03-06 2004-09-16 エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク フィルム用プロピレンポリマー

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019156897A (ja) 2019-09-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2279515C (en) Polymerization catalyst systems comprising heterocyclic fused cyclopentadienide ligands
JP6420911B2 (ja) 混成担持触媒およびこれを用いるオレフィン系重合体の製造方法
JP2989512B2 (ja) ポリオレフィン製造において用いるためのスプレー乾燥され、充填されるメタロセン触媒組成物
KR101738139B1 (ko) 폴리프로필렌
JPH05502906A (ja) オレフィン重合用の担持イオン性メタロセン触媒
JP2016532685A (ja) メタロセン化合物、これを含む触媒組成物およびこれを用いるオレフィン系重合体の製造方法
JP2016516019A (ja) ビス(2−インデニル)メタロセン錯体
JP2017537172A (ja) メタロセン担持触媒およびこれを用いるポリオレフィンの製造方法
JP7059700B2 (ja) オレフィン重合触媒及びオレフィン重合体の製造方法
WO1997042232A1 (en) Process for the polymerisation of alpha-olefins
CN111690082B (zh) 用于生产聚烯烃树脂的新型茂金属催化剂化合物或其制备方法
JP4860837B2 (ja) 遷移金属化合物、α−オレフィン製造用触媒及びα−オレフィンの製造方法
KR102024327B1 (ko) 메탈로센 화합물, 이를 포함하는 촉매 조성물 및 이를 이용한 올레핀 중합체의 제조방법
JP6453483B2 (ja) メタロセン担持触媒およびこれを用いるポリオレフィンの製造方法
JP2019156896A (ja) オレフィン重合触媒及びオレフィン重合体の製造方法
KR102022686B1 (ko) 메탈로센 화합물, 이를 포함하는 촉매 조성물 및 이를 이용한 올레핀 중합체의 제조방법
JP2022553796A (ja) チタンビフェニルフェノール重合触媒
JP2022543753A (ja) オレフィン重合触媒用遷移金属化合物、これを含むオレフィン重合用触媒およびそれを用いて重合されたポリオレフィン
KR100615460B1 (ko) 메탈로센 촉매 및 이를 이용한 폴리올레핀 왁스의 제조방법
JP2021516284A (ja) オレフィン重合触媒用遷移金属化合物、それを含むオレフィン重合触媒およびそれを用いて重合されたポリオレフィン
KR20190060317A (ko) 분자량 분포가 넓은 고밀도 폴리올레핀 제조용 메탈로센 촉매 시스템 및 이를 이용한 폴리올레핀의 제조방법
KR20190053659A (ko) 올레핀 중합 촉매용 전이금속 화합물, 이를 포함하는 올레핀 중합 촉매 및 이를 이용하여 중합된 폴리올레핀
KR102412551B1 (ko) 비대칭 메탈로센 촉매 및 이의 용도
WO1994004578A1 (en) Process for producing polyolefin
JP2023008959A (ja) メタロセン化合物、オレフィン重合用触媒、オレフィン重合用触媒の製造方法、及び、オレフィン重合体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200904

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210907

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211104

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220315

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220328

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7059700

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150