以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を、図1~図5を参照して説明する。
<構成>
図1,2には、第1実施形態に係るロボットハンド100Aの外観図が示されている。図1,2における座標系(X,Y,Z)は、図示の通りに定義されている。ここで、図1は、ロボットハンド100Aを、図1に示した座標系で表した斜視図である。また、図2は、ロボットハンド100Aを、-Y方向側から視た外観図(XZ平面視図)である。第1実施形態では、ロボットハンド100Aは、不図示の支持装置に取り付けられ、当該支持装置により、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能になっているものとする。
図1,2により総合的に示されるように、ロボットハンド100Aは、ハンド部110Aを備えている。また、ロボットハンド100Aは、調整制御部280Aを備えている。
《ハンド部110Aの構成》
上記のハンド部110Aの構成について、説明する。ハンド部110Aは、図1,2により総合的に示されるように、ベース部材120Aと、取付部材130Aと、指部140A1,140A2,140A3,140A4とを備えている。また、ハンド部110Aは、吸着部180Aを備えている。なお、以下の説明では、指部140A1,140A2,140A3,140A4を総称して、指部140Aj(j=1,…,4)とも記す。
上記のベース部材120Aは、例えば、鋼鉄製の部材であり、XY平面と平行な円盤状の部材である。ベース部材120Aの中央には、吸着部180Aを取り付けるための円状の開口が形成されている。また、ベース部材120Aにおける+Z方向側の面には、取付部材130A、及び、指部140Ajが取り付けられている。
上記の取付部材130Aは、例えば、鋼鉄製の板状部材であり、ベース部材120Aにおける+Z方向側の面に固定して取り付けられる。第1実施形態では、当該取付部材130Aには、指部140Ajが固定されている。また、取付部材130Aには、ベース部材120Aと同様に、吸着部180Aを取り付けるための開口が形成されている。
上記の指部140Aj(j=1,…,4)は、第1実施形態では、取付部材130Aに固定されている。すなわち、指部140Aは、取付部材130Aを介して、ベース部材120Aに取り付けられている。ここで、指部140A1は、伸展状態時に、+X方向に延び、指部140A2は、伸展状態時に、-Y方向に延びている。また、指部140A3は、伸展状態時に、-X方向に延び、指部140A4は、伸展状態時に、+Y方向に延びている。
ここで、図2には、指部140A1の構成図が示されている。第1実施形態では、指部140A2,140A3,140A4についても、指部140A1と同様に構成されている。
指部140Aj(j=1,…,4)のそれぞれは、図1,2により総合的に示されるように、第1リンク部221jと、指基部222jと、指先部223jとを備えている。また、指部140Ajのそれぞれは、ベローズ241j,242jと、配管251j,252jとを備えている。ここで、指基部222j及び指先部223jは、第2リンク部に対応している。
上記の第1リンク部221jは、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。当該長板部には、他方側(図2における「+X方向側」)の端部に略直立して+Z方向に沿って延びる環状の接続部が形成されている。第1リンク部221jの長板部の他方側の端部には、軸部材AX1jにより、指基部222jが接続されている。そして、第1リンク部221jの他方側の端部の接続部は、ベローズ241jの一方側端部に接続されている。
また、第1リンク部221jの長板部の一方側(図2における「-X方向側」)の端部には、取付部材130Aが固定されている。当該第1リンク部221jの長板部は、ベース部材120Aに取付けられている。
上記の指基部222jは、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。当該長板部の両端部には、略直立して延びる環状の接続部が形成されている。指基部222jの長板部の一方側の端部には、第1リンク部221jが接続されている。そして、指基部222jの一方側の端部の接続部は、ベローズ241jの他方側端部に接続されている。ここで、指基部222jの長板部の一方側の端部は、軸部材AX1j(第1の関節部の関節軸に相当)を軸にして、回転可能に第1リンク部221jに接続されるようになっている。
このように、第1リンク部221jの他方側の端部、及び、指基部222jの一方側の端部は、軸部AX1jを軸にして、回転可能に接続され、当該接続部分により第1の関節部JT1が形成されている。
また、指基部222jの長板部の他方側の端部には、軸部材AX2jにより、指先部223jが接続されている。そして、指基部222jの他方側の端部側の接続部は、ベローズ242jの一方側端部に接続されている。
上記の指先部223jは、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。当該長板部には、一方側の端部に略直立して延びる環状の接続部が形成されている。指先部223jの長板部の一方側の端部には、指基部222jが接続されている。そして、指先部223jの一方側の端部の接続部は、ベローズ242jの他方側端部に接続されている。ここで、指先部223jの長板部の一方側の端部は、軸部材AX2j(第2の関節部の関節軸に相当)を軸にして、回転可能に指基部222jに接続されるようになっている。
このように、指基部222jの他方側の端部、及び、指先部223jの一方側の端部は、軸部AX2jを軸にして、回転可能に接続され、当該接続部分により第2の関節部JT2が形成されている。
上記のベローズ241jは、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材であり、軸部材AX1j(第1の関節部の関節軸)の周りに沿って、関節部の伸展側(+Z方向側)に配置される。ベローズ241jの一方側端部は、第1リンク部221jの他方側(ベローズ241j側)の端部側に形成された接続部に接続されるとともに、ベローズ241jの他方側端部は、指基部222jの一方側(ベローズ241j側)の端部側に形成された接続部に接続される。こうして配置されたベローズ241jは、第1の関節部の関節運動を行う力を発生する。
上記のベローズ242jは、ベローズ241jと同様に、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材であり、軸部材AX2j(第2の関節部の関節軸)の周りに沿って、関節部の伸展側に配置される。ベローズ242jの一方側端部は、指基部222jの他方側(ベローズ242j側)の端部側に形成された接続部に接続されるとともに、ベローズ242jの他方側端部は、指先部223jの一方側(ベローズ242j側)の端部側に形成された接続部に接続される。こうして配置されたベローズ242jは、第2の関節部の関節運動を行う力を発生する。
ここで、ベローズ241jには、可撓性を有する樹脂製の配管251jが取り付けられ、当該ベローズ241jは、配管251jを介して調整制御部280Aと接続している(不図示)。そして、ベローズ241j内の空気圧が変化すると、当該ベローズ241jが膨縮する。この結果、ベローズ241jが上述した関節運動を行う力を発生させる。
また、ベローズ242jには、可撓性を有する樹脂製の配管252jが取り付けられ、当該ベローズ242jは、配管252jを介して調整制御部280Aと接続している(不図示)。そして、ベローズ242j内の空気圧が変化すると、当該ベローズ242jが膨縮する。この結果、ベローズ242jが上述した関節運動を行う力を発生させる。
上記の吸着部180Aは、第1実施形態では、伸縮自在かつ可撓性を有する樹脂製のベローズであり、-Z方向側の端部に開口が形成されている。そして、吸着部180Aの-Z方向側の端部には、輪状の吸着ゴムが取り付けられている。当該吸着部180Aは、ベース部材120A及び取付部材130Aに形成された開口に設けられている。ここで、吸着部180Aの+Z方向側の端部には、可撓性を有する樹脂製の配管253が取り付けられ、当該吸着部180Aは、配管253を介して調整制御部280Aと接続している(不図示)。そして、吸着部180Aは、調整制御部280Aによる制御のもとで、対象物を吸着する。
《調整制御部280Aの構成》
上記の調整制御部280Aの構成について、説明する。調整制御部280Aは、配管251jを介して指部140Ajのベローズ241jと接続している。また、調整制御部280Aは、配管252jを介し指部140Ajのベローズ242jと接続している。以下の説明においては、これらのベローズを総称して、単に「ベローズ」とも記す。また、調整制御部280Aは、配管253を介して吸着部180Aと接続している。
かかる接続関係を有する調整制御部280Aは、図3に示されるように、加圧ポンプ281と、減圧ポンプ282と、電気-空気圧制御弁283と、制御部284とを備えている。また、調整制御部280Aは、配管285,286を備えている。
上記の加圧ポンプ281は、配管285を介して、電気-空気圧制御弁283のポンプ側接続口の一方側に接続されている。この加圧ポンプ281は、ベローズへの空気の強制的供給を行う際に利用される。上記の減圧ポンプ282は、配管286を介して、電気-空気圧制御弁283のポンプ側接続口の他方側に接続されている。この減圧ポンプ282は、ベローズからの空気の強制的排出を行う際に、利用される。また、減圧ポンプ282は、吸着部180Aを利用した対象物の吸着を行う際に、利用される。
上記の電気-空気圧制御弁283は、流路切換弁と、圧力制御弁(比例ソレノイドバルブ)とを備えて構成されている。この流路切換弁の入口側の一方が加圧ポンプ281に接続されているとともに、入口側の他方が減圧ポンプ282に接続されている。
そして、流路切換弁は、制御部284による制御のもとで、ベローズへの空気の強制的供給を行う際には、加圧ポンプ281に接続されている配管285と指定されたベローズと連通している配管とを接続して流路を形成する。また、流路切換弁は、制御部284による制御のもとで、ベローズからの空気の強制的排出を行う際には、減圧ポンプ282に接続されている配管286と指定されたベローズと連通している配管とを接続して流路を形成する。
例えば、指部140Ajのベローズ241jへの空気の強制的供給を行う際には、流路切換弁は、配管285と配管251jとを接続して流路を形成する。また、ベローズ241jからの空気の強制的排出を行う際には、流路切換弁は、配管286と配管251jとを接続して流路を形成する。さらに、指部140Ajのベローズ242jへの空気の強制的供給を行う際には、流路切換弁は、配管285と配管252jとを接続して流路を形成する。また、ベローズ242jからの空気の強制的排出を行う際には、流路切換弁は、配管286と配管252jとを接続して流路を形成する。
また、吸着部180Aを使用して対象物を吸着する際には、流路切替弁は、配管286と配管253とを接続して流路を形成する。
上記の制御部284は、ベローズからの空気の強制的排出、及び、ベローズへの空気の強制的供給の切り換え、並びに、ベローズ内の空気圧の制御を行う。また、制御部284は、吸着部180Aを使用して対象物を吸着する際に、吸着制御を行う。かかる制御に際して、ベローズへの空気の強制的供給を行う場合には、制御部284は、電気-空気圧制御弁283が加圧ポンプ281と関節運動を行うベローズとを接続する流路を形成し、ベローズ内の空気圧力を調整するように、制御する。また、ベローズからの空気の強制的排出を行う場合には、制御部284は、電気-空気圧制御弁283が減圧ポンプ282と関節運動を行うベローズとを接続する流路を形成し、ベローズ内の空気圧力を調整するように、制御する。また、吸着部180Aを使用して対象物を吸着する場合には、制御部284は、電気-空気圧制御弁283が減圧ポンプ282と吸着部180Aとを接続する流路を形成するように、制御する。
こうした制御は、不図示の入力部を利用して行われる利用者による入力結果に基づき、行われるようになっている。
<動作>
以上のようにして構成されたロボットハンド100Aの動作について、指部140Ajの対象物の把持動作を説明する。
当初においては、ロボットハンド100Aでは、調整制御部280Aによるベローズ241j,242j内の空気圧調整は行われていないものとする。また、調整制御部280Aによる吸着部180Aを使用した吸着処理動作は行われていないものとする。
対象物の把持を行うに際して、調整制御部280Aが、まず、ベローズ241j,242jからの空気の強制的排出を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、ベローズ241j,242j内の空気圧が下降する。そして、ベローズ241j,242j内の空気圧が下降すると、ベローズ241j,242jが収縮する。
こうしてベローズ241jが収縮すると、ベローズ241jが、第1の関節部を伸展状態にする回転方向の力を発生する。当該力により、指基部222jが、軸部材AX1jを回転軸にして、第1リンク部221jに対して回転する。また、こうしてベローズ242jが収縮すると、ベローズ242jが、第2の関節部を伸展状態にする回転方向の力を発生する。当該力により、指先部223jが、軸部材AX2jを回転軸にして、指基部222jに対して回転する。
こうして第1の関節部及び第2の関節部が伸展状態となったときのロボットハンド100Aの状態が、図1,2に示されている。第1及び第2の関節部が伸展状態になると、支持装置により、ロボットハンド100Aが、対象物の近傍に位置するように移動する。
こうしてロボットハンド100Aが、対象物の近傍の上方に移動すると、調整制御部280Aが、吸着部180Aを使用して、対象物を吸着するための制御を行う。かかる制御を行うと、吸着部180Aが、ロボットハンド100Aの近傍の位置に存在する対象物を吸着する。
こうして対象物を吸着すると、吸着部180Aは対象物を吸着した状態で収縮して、対象物をベース部材120Aの中央近傍まで引き寄せて引き上げる。引き続き、調整制御部280Aが、ベローズ241j,242jへの空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、ベローズ241j,242j内の空気圧が上昇する。そして、ベローズ241j,242j内の空気圧が上昇すると、ベローズ241j,242jが膨張する。
こうしてベローズ241jが膨張すると、ベローズ241jが、第1の関節部を屈曲状態にする回転方向の力を発生する。当該力により、指基部222jが、軸部材AX1jを回転軸にして、第1リンク部221jに対して回転する。また、こうしてベローズ242jが膨張すると、ベローズ242jが、第2の関節部を屈曲状態にする回転方向の力を発生する。当該力により、指先部223jが、軸部材AX2jを回転軸にして、指基部222jに対して回転する。
こうして第1の関節部及び第2の関節部が屈曲状態となったときのロボットハンド100Aの状態が、図4及び図5に示されている。ここで、図4は、ロボットハンド100Aを、上述した図1に示した座標系で表した斜視図である。また、図5は、ハンド部110Aを、指部140A1及び指部140A2が前面となる方向から視た平面視図である。
この結果、吸着部180Aが吸着して引き寄せて、引き上げた対象物を、4本の指部140A1,140A2,140A3,140A4が把持する。なお、図4及び図5では、対象物の図示を省略している。
以上説明したように、第1実施形態では、対象物の把持に際して、まず、調整制御部280Aが、指部140Aj(j=1,…,4)のベローズ241j,242jからの空気の強制的排出を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、ベローズ241jが収縮して、第1の関節部を伸展状態にする回転方向の力を発生し、指基部222jが、軸部材AX1jを回転軸にして、第1リンク部221jに対して回転する。また、かかる制御を行うと、ベローズ242jが収縮して、第2の関節部を伸展状態にする回転方向の力を発生し、指先部223jが、軸部材AX2jを回転軸にして、指基部222jに対して回転する。
第1及び第2の関節部が伸展状態になると、支持装置により、ロボットハンド100Aは、対象物の近傍に位置するように移動する。
こうしてロボットハンド100Aが対象物の近傍の上方に移動すると、調整制御部280Aは、ベローズ241j,242jへの空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、ベローズ241jが膨張して、第1の関節部を屈曲状態にする回転方向の力を発生し、指基部222jが、軸部材AX1jを回転軸にして、第1リンク部221jに対して回転する。また、かかる制御を行うと、ベローズ242jが膨張して、第2の関節部を屈曲状態にする回転方向の力を発生し、指先部223jが、軸部材AX2jを回転軸にして、指基部222jに対して回転する。これにより、屈曲した指部140Ajが対象物を把持する。
このため、蝶番構造の第1及び第2の関節部を有するロボットハンド100Aの運動によって、対象物を把持することができる。
また、第1実施形態では、吸着部180Aが対象物を吸着して収縮し、当該対象物をベース部材120Aの中央近傍まで引き寄せ、引き上げた後に、指部140Ajが対象物を把持する。このため、把持した対象物が落下する可能性を低減することができる。また、吸着部180Aが対象物を吸着して収縮し、当該対象物をベース部材120Aの中央近傍まで引き寄せ、引き上げるので、ロボットハンド100Aは、安定した姿勢で対象物を把持することができる。
したがって、第1実施形態によれば、対象物の把持に際して、指部が適切に運動を行うことができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を、図6~図10を主に参照して説明する。
<構成>
図6,7には、第2実施形態に係るロボットハンド100Bの外観図が示されている。ここで、図6は、ロボットハンド100Bを、図6に示した座標系で表した斜視図である。また、図7は、ロボットハンド100Bを、+Z方向側から視た外観図(XY平面視図)である。第2実施形態についても、ロボットハンド100Bは、不図示の支持装置に取り付けられ、当該支持装置により、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能になっているものとする。
図6,7により総合的に示されるように、ロボットハンド100Bは、上述した第1実施形態のロボットハンド100Aと比べて、ハンド部110Aに代えてハンド部110Bを備える点、及び、調整制御部280Aに代えて調整制御部280Bを備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
《ハンド部110Bの構成》
上記のハンド部110Bの構成について、説明する。ハンド部110Bは、図6,7により総合的に示されるように、上述した第1実施形態のハンド部110Aと比べて、ベース部材120Aに代えてベース部材120Bを備える点、取付部材130Aに代えて取付部材130Bを備える点、指部140Aj(j=1,…,4)に代えて指部140Bjを備える点、及び、吸着部180Aを備えていない点が異なっている。また、ハンド部110Bは、上述した第1実施形態のハンド部110Aと比べて、開閉用ベローズ151,152を更に備える点が異なっている。ここで、取付部材130Bは、規制部材に対応している。
上記のベース部材120Bは、上述した第1実施形態のベース部材120Aと比べて、中央に開口が形成されていない点が異なっている。当該ベース部材120Bにおける+Z方向側の面には、取付部材130B及び指部140Bjが取り付けられている。
上記の取付部材130Bは、例えば、鋼鉄製の部材であり、図6,7及び図8により総合的に示されるように、X軸方向に沿って延びる略長方形状の板部を含み、Y方向側から視たときにU字状に形成された部材である。取付部材130Bの中央部には、指部140Bjに取り付けられた軸部141Bjを挿入する4個の挿入穴が形成され、指部140Bjが当該取付部材130Bに対して回転可能に取り付けられている。そして、当該軸部141Bjが取り付けられた取付部材130Bの+X方向側の端部及び-X方向側の端部は、ベース部材120Bにおける+Z方向側の面に固定して取り付けられる。
図6,7に戻り、上記の指部140Bj(j=1,…,4)は、上述した第1実施形態の指部140Ajと比べて、第1リンク部221j(図2参照)の一方側の端部に、軸部141Bjが固定されている点が異なっている。ここで、指部140B1は、取付部材130Bの-Y方向側における+X方向側に配置され、軸部141B1が取付部材130Bに形成された挿入穴に挿入されて、ベース部材120B及び取付部材130Bに対して回転可能に取り付けられる。また、指部140B2は、取付部材130Bの-Y方向側における-X方向側に配置され、軸部141B2が取付部材130Bに形成された挿入穴に挿入されて、ベース部材120B及び取付部材130Bに対して回転可能に取り付けられる。
このように、指部140B1及び指部140B2は、取付部材130Bの-Y方向側に配置される。このため、指部140B1及び指部140B2の回転範囲は、取付部材130Bの-Y方向側となっている。
また、指部140B3は、取付部材130Bの+Y方向側における-X方向側に配置され、軸部141B3が取付部材130Bに形成された挿入穴に挿入されて、ベース部材120B及び取付部材130Bに対して回転可能に取り付けられる。また、指部140B4は、取付部材130Bの+Y方向側における+X方向側に配置され、軸部141B4が取付部材130Bに形成された挿入穴に挿入されて、ベース部材120B及び取付部材130Bに対して回転可能に取り付けられる。
このように、指部140B3及び指部140B4は、取付部材130Bの+Y方向側に配置される。このため、指部140B3及び指部140B4の回転範囲は、取付部材130Bの+Y方向側となっている。
上記の開閉用ベローズ151は、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材である。開閉用ベローズ151の一方側端部は、指部140B1における第1リンク部2211の指部140B2側に接続されるとともに、開閉用ベローズ151の他方側端部は、指部140B2における第1リンク部2212の指部140B1側に接続される。こうして接続された開閉用ベローズ151は、指部対である指部140B1及び指部140B2の開閉運動を行う力を発生させる。
上記の開閉用ベローズ152は、開閉用ベローズ151と同様に、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材である。開閉用ベローズ152の一方側端部は、指部140B3における第1リンク部2213の指部140B4側に接続されるとともに、開閉用ベローズ152の他方側端部は、指部140B4における第1リンク部2214の指部140B3側に接続される。こうして接続された開閉用ベローズ152は、指部対である指部140B3及び指部140B4の開閉運動を行う力を発生させる。
ここで、開閉用ベローズ151には、可撓性を有する樹脂製の配管261が取り付けられ、当該開閉用ベローズ151は、配管261を介して調整制御部280Bと接続している(不図示)。そして、開閉用ベローズ151内の空気圧が変化すると、当該開閉用ベローズ151が膨縮する。この結果、開閉用ベローズ151が上述した開閉運動を行う力を発生させる。
また、開閉用ベローズ152には、可撓性を有する樹脂製の配管262が取り付けられ、当該開閉用ベローズ152は、配管262を介して調整制御部280Bと接続している(不図示)。そして、開閉用ベローズ152内の空気圧が変化すると、当該開閉用ベローズ152が膨縮する。この結果、開閉用ベローズ152が上述した開閉運動を行う力を発生させる。
《調整制御部280B》
上記の調整制御部280Bについて説明する。調整制御部280Bは、上述した第1実施形態の調整制御部280Aと比べて、第2実施形態のロボットハンド100Bが、吸着部180Aを備えていないことに対応して、吸着部180Aを使用した吸着処理を行わないことが異なっている。また、調整制御部280Bは、上述した第1実施形態の調整制御部280Aと比べて、開閉用ベローズ151,152を更に備えることに対応して、開閉用ベローズ151,152への空気の強制的供給、及び、開閉用ベローズ151,152からの空気の強制的排出を更に行う点が異なっている。
<動作>
以上のようにして構成されたロボットハンド100Bの動作について、指部140Bjの開閉運動の動作に主に着目して説明する。
当初においては、ロボットハンド100Bでは、調整制御部280Bによるベローズ241j,242j、及び、開閉用ベローズ151,152内の空気圧調整は行われていないものとする。
《指部140Bjの関節の伸展運動の動作》
指部140Bjの関節の伸展運動の動作は、上述した第1実施形態におけるロボットハンド100Aの伸展運動の動作と同様に行われる。
《指部140Bjの開閉運動の動作》
第1及び第2の関節部が伸展状態になった指部140Bjを開閉させるには、調整制御部280Bが、開閉用ベローズ151,152内の空気圧を変化させる制御を行う。例えば、一の指部対である指部140B1及び指部140B2を開いた状態(以下、「開状態」とも記す)にし、他の指部対である指部140B3及び指部140B4を開状態にする際には、調整制御部280Bは、開閉用ベローズ151への空気の強制的供給を行うための制御を行い、開閉用ベローズ152への空気の強制的供給を行うための制御を行う。
かかる開閉用ベローズ151に空気を供給する制御を行うと、開閉用ベローズ151内の空気圧が上昇する。そして、開閉用ベローズ151内の空気圧が上昇すると、開閉用ベローズ151が膨張する。こうして開閉用ベローズ151が膨張すると、開閉用ベローズ151が、指部140B1及び指部140B2を開状態にする力を発生させる。当該力により、指部140B1と指部140B2とのなす角が広がり、指部140B1及び指部140B2が開状態になる。
また、かかる開閉用ベローズ152に空気を供給する制御を行うと、開閉用ベローズ152内の空気圧が上昇する。そして、開閉用ベローズ152内の空気圧が上昇すると、開閉用ベローズ152が膨張する。こうして開閉用ベローズ152が膨張すると、開閉用ベローズ152が、指部140B3及び指部140B4を開状態にする力を発生させる。当該力により、指部140B3と指部140B4とのなす角が広がり、指部140B3及び指部140B4が開状態になる。
こうして指部140B1及び指部140B2が開状態となり、指部140B3及び指部140B4が開状態となったときのロボットハンド100Bの状態が、図6,7に示されている。
また、例えば、一の指部対である指部140B1及び指部140B2を開状態にし、他の指部対である指部140B3及び指部140B4を閉じた状態(以下、「閉状態」とも記す)にする際には、調整制御部280Bは、開閉用ベローズ151への空気の強制的供給を行うための制御を行い、開閉用ベローズ152からの空気の強制的排出を行うための制御を行う。
かかる開閉用ベローズ151に空気を供給する制御を行うと、上述したように、指部140B1及び指部140B2が開状態になる。また、かかる開閉用ベローズ152から空気を排出する制御を行うと、開閉用ベローズ152内の空気圧が下降する。そして、開閉用ベローズ152内の空気圧が下降すると、開閉用ベローズ152が収縮する。こうして開閉用ベローズ152が収縮すると、開閉用ベローズ152が、指部140B3及び指部140B4を閉状態にする力を発生させる。当該力により、指部140B3と指部140B4とが平行となり、指部140B3及び指部140B4が閉状態になる。
こうして指部140B1及び指部140B2が開状態となり、指部140B3及び指部140B4が閉状態となったときのロボットハンド100Bにおけるハンド部110Bの状態が、図9に示されている。ここで、図9は、ハンド部110Bを、+Z方向側から視た外観図(XY平面視図)である。
また、例えば、一の指部対である指部140B1及び指部140B2を閉状態にし、他の指部対である指部140B3及び指部140B4を開状態にする際には、調整制御部280Bは、開閉用ベローズ151からの空気の強制的排出を行うための制御を行い、開閉用ベローズ152への空気の強制的供給を行うための制御を行う。
かかる開閉用ベローズ151から空気を排出する制御を行うと、開閉用ベローズ151内の空気圧が下降する。そして、開閉用ベローズ151内の空気圧が下降すると、開閉用ベローズ151が収縮する。こうして開閉用ベローズ151が収縮すると、開閉用ベローズ151が、指部140B1及び指部140B2を閉状態にする力を発生させる。当該力により、指部140B1と指部140B2とが平行となり、指部140B1及び指部140B2が閉状態になる。また、かかる開閉用ベローズ152に空気を供給する制御を行うと、上述したように、指部140B3及び指部140B4が開状態になる。
また、例えば、一の指部対である指部140B1及び指部140B2を閉状態にし、他の指部対である指部140B3及び指部140B4を閉状態にする際には、調整制御部280Bは、開閉用ベローズ151からの空気の強制的排出を行うための制御を行い、開閉用ベローズ152からの空気の強制的排出を行うための制御を行う。
かかる開閉用ベローズ151から空気を排出する制御を行うと、上述したように、指部140B1及び指部140B2が閉状態になる。また、かかる開閉用ベローズ152から空気を排出する制御を行うと、上述したように、指部140B3及び指部140B4が閉状態になる。こうして指部140B1及び指部140B2が閉状態となり、指部140B3及び指部140B4が閉状態となったときのロボットハンド100Bにおけるハンド部110Bの状態が、図10に示されている。ここで、図10は、ハンド部110Bを、+Z方向側から視た外観図(XY平面視図)である。
《指部140Bjの関節の屈曲運動の動作》
指部140Bjの開閉運動処理を行ったロボットハンド100Bにおいて、対象物の近傍への移動動作、及び、指部140Bjの関節の屈曲運動の動作は、上述した第1実施形態におけるロボットハンド100Aの移動動作及び屈曲運動の動作と同様に行われる。この結果、4本の指部140B1,140B2,140B3,140B4が、対象物を把持する。
以上説明したように、第2実施形態では、対象物の把持に際して、まず、調整制御部280Bが、指部140Bj(j=1,…,4)のベローズ241j,242jからの空気の強制的排出を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、第1及び第2の関節部が伸展状態となる。第1及び第2の関節部が伸展状態になると、不図示の支持装置により、ロボットハンド100Bにおけるハンド部110Bは、対象物の近傍に移動する。
こうしてハンド部110Bが対象物の近傍の上方に移動すると、調整制御部280Bは、入力部を利用して行われる利用者による入力結果に基づき、指部140Bjを開閉させる。かかる指部140Bjの開閉に際して、一の指部対である指部140B1及び指部140B2を開状態にするには、調整制御部280Bは、開閉用ベローズ151への空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、開閉用ベローズ151が膨張して、指部140B1及び指部140B2を開状態にする力を発生し、指部140B1及び指部140B2が開状態になる。また、一の指部対である指部140B1及び指部140B2を閉状態にするには、調整制御部280Bは、開閉用ベローズ151からの空気の強制的排出を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、開閉用ベローズ151が収縮して、指部140B1及び指部140B2を閉状態にする力を発生し、指部140B1及び指部140B2が平行になり、閉状態になる。
したがって、2本の指部140B1,140B2について、開閉角度を変化させて2本の指部として使用したり、あたかも太い1本の指にして使用することができる。
また、他の指部対である指部140B3及び指部140B4を開状態にするには、調整制御部280Bは、開閉用ベローズ152への空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、開閉用ベローズ152が膨張して、指部140B3及び指部140B4を開状態にする力を発生し、指部140B3及び指部140B4が開状態になる。また、他の指部対である指部140B3及び指部140B4を閉状態にするには、調整制御部280Bは、開閉用ベローズ152からの空気の強制的排出を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、開閉用ベローズ152が収縮して、指部140B3及び指部140B4を閉状態にする力を発生し、指部140B3及び指部140B4が平行になり、閉状態になる。
したがって、2本の指部140B3,140B4について、開閉角度を変化させて2本の指部として使用したり、あたかも太い1本の指にして使用することができる。
このため、様々な用途に応じて、4本の指部のロボットハンド100Bとして使用したり、あたかも3本の指のロボットハンド100Bとして使用したり、また、あたかも太い2本の指のロボットハンド100Bとして使用することができる。
また、第2実施形態では、2つの開閉用ベローズ151,152を使用して、指部140B1と指部140B2との間、及び、指部140B3と指部140B4との間の開閉角度を、独立に制御している。このため、指部140B1と指部140B2との間、及び、指部140B3と指部140B4との間の開閉角度を異ならせることができる。
また、第2実施形態では、指部の開閉角度を指定された角度に調整した後、調整制御部280Bは、指部140Bjのベローズ241j,242jへの空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、第1及び第2の関節部が屈曲状態となる。このため、関節が屈曲した指部140Bjが対象物を把持することができる。
したがって、第2実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様に、対象物の把持に際して、指部が適切に運動を行うことができる。
[第3実施形態]
次いで、本発明の第3実施形態を、図11~図13を主に参照して説明する。
<構成>
図11,12には、第3実施形態に係るロボットハンド100Cの外観図が示されている。図11は、ロボットハンド100Cを、図11に示した座標系で表した斜視図である。また、図12は、ロボットハンド100Cを、+Z方向側から視た外観図(XY平面視図)である。第3実施形態についても、ロボットハンド100Cは、不図示の支持装置に取り付けられ、当該支持装置により、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能になっているものとする。
図11,12により総合的に示されるように、ロボットハンド100Cは、上述した第2実施形態のロボットハンド100Bと比べて、ハンド部110Bに代えてハンド部110Cを備える点、及び、調整制御部280Bに代えて調整制御部280Cを備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
《ハンド部110Cの構成》
上記のハンド部110Cの構成について、説明する。ハンド部110Cは、図11,12により総合的に示されるように、上述した第2実施形態のハンド部110Bと比べて、ベース部材120Bに代えてベース部材120Cを備える点、指部140Bj(j=1,…,4)に代えて指部140Cjを備える点、及び、取付部材130Bを備えていない点が異なっている。また、ハンド部110Bは、上述した第2実施形態のハンド部110Bと比べて、開閉用ベローズ151,152に代えて開閉用ベローズ153を備える点が異なっている。
上記のベース部材120Cは、上述した第2実施形態のベース部材120Bと比べて、+Z方向側の面の中央部分に、4個の軸部121Cjが設けられている点が異なっている。
上記の指部140Cj(j=1,…,4)は、上述した第2実施形態の指部140Bjと比べて、第1リンク部221jの一方側の端部に、歯車部142Cjが固定されている点が異なっている。当該歯車部142Cjの中央には、軸部121Cjに挿入される挿入穴が形成されている。
ここで、指部140C1は、ベース部材120Cの-Y方向側における+X方向側に配置され、歯車部142C1が軸部121C1を軸にして、ベース部材120Cに対して回転可能に取り付けられる。また、指部140C2は、ベース部材120Cの-Y方向側における-X方向側に配置され、歯車部142C2が軸部121C2を軸にして、ベース部材120Cに対して回転可能に取り付けられる。
また、指部140C3は、ベース部材120Cの+Y方向側における-X方向側に配置され、歯車部142C3が軸部121C3を軸にして、ベース部材120Cに対して回転可能に取り付けられる。また、指部140B4は、ベース部材120Cの+Y方向側における+X方向側に配置され、歯車部142C4が軸部121C4を軸にして、ベース部材120Cに対して回転可能に取り付けられる。なお、図11,12及び後述する図13において不図示であるが、歯車部142C1,142C2,142C3,142C4の+Z方向側に、当該歯車部142Cjを覆う蓋部が取り付けられ、歯車部142Cjが軸部121Cjから外れないようになっている。
ここで、歯車部142C1の歯車は、歯車部142C2の歯車及び歯車部142C4の歯車と噛合している。また、歯車部142C2の歯車は、歯車部142C1の歯車及び歯車部142C3の歯車と噛合している。さらに、歯車部142C3の歯車は、歯車部142C2の歯車及び歯車部142C4の歯車と噛合している。また、歯車部142C4の歯車は、歯車部142C1の歯車及び歯車部142C3の歯車と噛合している。このため、歯車部142C1,142C2,142C3,142C4は、連動して回転するようになっている。
上記の開閉用ベローズ153は、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材である。第3実施形態では、開閉用ベローズ153の一方側端部は、指部140C1における第1リンク部2211の指部140C2側に接続されるとともに、開閉用ベローズ153の他方側端部は、指部140C2における第1リンク部2212の指部140C1側に接続される。こうして接続された開閉用ベローズ153は、指部140C1,140C2,140C3,140C4の開閉運動を行う力を発生させる。
ここで、開閉用ベローズ153には、可撓性を有する樹脂製の配管263が取り付けられ、当該開閉用ベローズ153は、配管263を介して調整制御部280Cと接続している(不図示)。そして、開閉用ベローズ153内の空気圧が変化すると、当該開閉用ベローズ153が膨縮する。この結果、開閉用ベローズ153が上述した指部の開閉運動を行う力を発生させる。
《調整制御部280C》
上記の調整制御部280Cについて説明する。調整制御部280Cは、上述した第2実施形態の調整制御部280Bと比べて、第3実施形態のロボットハンド100Cが、開閉用ベローズ151,152に代えて開閉用ベローズ153を備えることに対応して、開閉用ベローズ151,152に対する空気圧調整を行わずに、開閉用ベローズ153への空気の強制的供給、及び、開閉用ベローズ153からの空気の強制的排出を更に行う点が異なっている。
<動作>
以上のようにして構成されたロボットハンド100Cの動作について、指部140Cjの開閉運動の動作に主に着目して説明する。
当初においては、ロボットハンド100Cでは、調整制御部280Cによるベローズ241j,242j、及び、開閉用ベローズ153内の空気圧調整は行われていないものとする。
《指部140Cjの関節の伸展運動の動作》
指部140Cjの関節の伸展運動の動作は、上述した第1実施形態におけるロボットハンド100Aの伸展運動の動作と同様に行われる。
《指部140Cjの開閉運動の動作》
第1及び第2の関節部が伸展状態になった指部140Cjを開閉させるには、調整制御部280Cが、開閉用ベローズ153内の空気圧を変化させる制御を行う。例えば、指部140C1及び指部140C2を開状態にし、指部140C3及び指部140C4を開状態にする際には、調整制御部280Cは、開閉用ベローズ153への空気の強制的供給を行うための制御を行う。
かかる開閉用ベローズ153に空気を供給する制御を行うと、開閉用ベローズ153内の空気圧が上昇する。そして、開閉用ベローズ153内の空気圧が上昇すると、開閉用ベローズ153が膨張する。こうして開閉用ベローズ153が膨張すると、開閉用ベローズ153が、指部140C1及び指部140C2を開状態にする力を発生させる。当該力により、指部140C1に固定された歯車部142C1と指部140C2に固定された歯車部142C2と噛み合い位置が変化して、指部140C1と指部140C2とのなす角が広がり、指部140C1及び指部140C2が開状態になる。ここで、歯車部142C1は、-Z方向を視線方向としたXY平面視で反時計回り(以下、単に「反時計回り」とも記す)に回転し、歯車部142C2は、時計回りに回転する。
また、歯車部142C1が反時計回りに回転すると、当該歯車部142C1に噛合している歯車部142C4が、歯車部142C1の回転と逆方向である時計回りに回転する。そして、歯車部142C2及び歯車部142C4が時計回りに回転すると、当該歯車部142C2及び歯車部142C4に噛合している歯車部142C3が、歯車部142C2及び歯車部142C4の回転と逆方向である反時計回りに回転する。この結果、指部140C3に固定された歯車部142C3と指部140C4に固定された歯車部142C4と噛み合い位置が変化して、指部140C3と指部140C4とのなす角が広がり、指部140C3及び指部140C4が開状態になる。
こうして指部140C1及び指部140C2が開状態となり、指部140C3及び指部140C4が開状態となったときのロボットハンド100Cの状態が、図11,12に示されている。
また、例えば、指部140C1及び指部140C2を閉状態にし、指部140C3及び指部140C4を閉状態にする際には、調整制御部280Cは、開閉用ベローズ153からの空気の強制的排出を行うための制御を行う。
かかる開閉用ベローズ153から空気を排出する制御を行うと、開閉用ベローズ153内の空気圧が下降する。そして、開閉用ベローズ153内の空気圧が下降すると、開閉用ベローズ153が収縮する。こうして開閉用ベローズ153が収縮すると、開閉用ベローズ153が、指部140C1及び指部140C2を閉状態にする力を発生させる。当該力により、指部140C1に固定された歯車部142C1と指部140C2に固定された歯車部1422と噛み合い位置が変化して、指部140C1と指部140C2とが平行となり、指部140C1及び指部140C2が閉状態になる。ここで、歯車部142C1は、時計回りに回転し、歯車部142C2は、反時計回りに回転する。
歯車部142C1が時計回りに回転すると、当該歯車部142C1に噛合している歯車部142C4が、歯車部142C1の回転と逆方向である反時計回りに回転する。また、歯車部142C2及び歯車部142C4が反時計回りに回転すると、当該歯車部142C2及び歯車部142C4に噛合している歯車部142C3が、歯車部142C2及び歯車部142C4の回転と逆方向である時計回りに回転する。この結果、指部140C3に固定された歯車部142C3と指部140C4に固定された歯車部142C4と噛み合い位置が変化して、指部140C3と指部140C4とが平行となり、指部140C3及び指部140C4が閉状態になる。
こうして指部140C1及び指部140C2が閉状態となり、指部140C3及び指部140C4が閉状態となったときのロボットハンド100Cにおけるハンド部110Cの状態が、図13に示されている。ここで、図13は、ハンド部110Cを、+Z方向側から視た外観図(XY平面視図)である。
《指部140Cjの関節の屈曲運動の動作》
指部140Cjの開閉運動処理を行ったロボットハンド100Cにおけるハンド部110Cにおいて、対象物の近傍への移動動作、及び、指部140Cjの関節の屈曲運動の動作は、上述した第1実施形態におけるハンド部110Aの移動運動及び屈曲運動の動作と同様に行われる。この結果、4本の指部140C1,140C2,140C3,140C4が、対象物を把持する。
以上説明したように、第3実施形態では、対象物の把持に際して、まず、調整制御部280Cが、指部140Cj(j=1,…,4)のベローズ241j,242jからの空気の強制的排出を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、第1及び第2の関節部が伸展状態となる。第1及び第2の関節部が伸展状態になると、支持装置により、ロボットハンド100Cにおけるハンド部110Cは、対象物の近傍に位置するように移動する。
こうしてハンド部100Cが対象物の近傍の上方に移動すると、調整制御部280Cは、入力部を利用して行われる利用者による入力結果に基づき、指部140Cjを開閉させる。かかる指部140Cjの開閉に際して、指部140C1及び指部140C2を開状態にし、指部140C3及び指部140C4を開状態するには、調整制御部280Cは、開閉用ベローズ153への空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、開閉用ベローズ153が膨張して、指部140C1及び指部140C2を開状態にする力を発生し、指部140C1及び指部140C2が開状態になる。こうして指部140C1及び指部140C2が開状態になると、指部140C3及び指部140C4が連動して開状態になる。
したがって、4本の指部140C1,140C2,140C3,140C4について、開閉角度を変化させて4本の指部として使用することができる。
また、指部140C1及び指部140C2を閉状態にし、指部140C3及び指部140C4を閉状態するには、調整制御部280Cは、開閉用ベローズ153からの空気の強制的排出を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、開閉用ベローズ153が収縮して、指部140C1及び指部140C2を閉状態にする力を発生し、指部140C1及び指部140C2が閉状態になる。こうして指部140C1及び指部140C2が閉状態になると、指部140C3及び指部140C4が連動して閉状態になる。
したがって、4本の指部140C1,140C2,140C3,140C4について、2本の指部140C1,140C2をあたかも太い1本の指にして使用し、2本の指部140C3,140C4をあたかも太い1本の指にして使用することができる。
このため、様々な用途に応じて、4本の指部のロボットハンド100Cとして使用したり、また、あたかも太い2本の指のロボットハンド100Cとして使用することができる。
また、第3実施形態では、1つの開閉用ベローズ153を使用して、指部140C1と指部140C2との間、及び、指部140C3と指部140C4との間の開閉角度を、同時に制御している。このため、指部140C1と指部140C2との間、及び、指部140C3と指部140C4との間の開閉角度を同じにすることができる。また、指部間の開閉制御を簡易にすることができる。
また、第3実施形態では、指部の開閉角度を指定された角度に調整した後、調整制御部280Cは、指部140Cjのベローズ241j,242jへの空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、第1及び第2の関節部が屈曲状態となる。このため、関節が屈曲した指部140Cjが対象物を把持することができる。
したがって、第3実施形態によれば、上述した第1及び第2実施形態と同様に、対象物の把持に際して、指部が適切に運動を行うことができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を、図14~図16を主に参照して説明する。
<構成>
図14,15には、第4実施形態に係るロボットハンド100Dの外観図が示されている。図14は、ロボットハンド100Dを、図14に示した座標系で表した斜視図である。また、図15は、ロボットハンド100Dを、+Z方向側から視た外観図(XY平面視図)である。第4実施形態についても、ロボットハンド100Dは、不図示の支持装置に取り付けられ、当該支持装置により、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能になっているものとする。ここで、図14では、指部140D1と指部140D2との間、及び、指部140D3と指部140D4との間の開閉角度は、約40度となっている。
図14,15により総合的に示されるように、ロボットハンド100Dは、上述した第2実施形態のロボットハンド100Bと比べて、ハンド部110Bに代えてハンド部110Dを備える点、及び、調整制御部280Bに代えて調整制御部280Dを備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
《ハンド部110Dの構成》
上記のハンド部110Dの構成について、説明する。ハンド部110Dは、図14,15により総合的に示されるように、上述した第2実施形態のハンド部110Bと比べて、ベース部材120Bに代えてベース部材120Dを備える点、指部140Bj(j=1,…,4)に代えて指部140Djを備える点、及び、取付部材130Bに代えて取付部材131D,132Dを備えている点が異なっている。また、ハンド部110Dは、上述した第2実施形態のハンド部110Bと比べて、開閉用ベローズ151,152に代えて開閉用ベローズ154を備える点が異なっている。ここで、取付部材131Dは第1接続部材に対応し、取付部材132Dは第2接続部材に対応している。
上記のベース部材120Dは、上述した第2実施形態のベース部材120Bと比べて、+Z方向側の面における中央に、軸部AXDが設けられている点が異なっている。
上記の取付部材131Dは、例えば、鋼鉄製の部材であり、XY平面に垂直な2つの面部と、当該2つの面部を連結する連結部を含む部材である。当該2つの面部は互いにYZ平面と平行であり、かつ、同一直線上とならないように配置され、連結部には、軸部AXDを通す穴が形成されている。取付部材131Dは、ベース部材120Bの中心点を対称点とする点対称の形状となっている。当該取付部材131Dは、ベース部材120Dにおける+Z方向側の面の中心部分に固定して取り付けられる。なお、第4実施形態では、取付部材131Dについては、連結部のZ方向の長さは、2つの面部のZ方向の長さより短くなっている。
取付部材131Dの一方側(図14,15における「-Y方向側」)の面部には、指部140D1の第1リンク部2211の一方側の端部が固定されている。また、取付部材131Dの他方側(図14,15における「+Y方向側」)の面部には、指部140D3の第1リンク部2213の一方側の端部が固定されている。ここで、指部140D1及び指部140D3は、互いに延びる方向が逆向きとなり、かつ、同一直線上とならないように配置され、取付部材131Dに固定されている。
上記の取付部材132Dは、例えば、鋼鉄製の部材であり、XY平面に垂直な2つの面部と、当該2つの面部を連結する連結部を含む部材である。当該2つの面部は互いに平行であり、かつ、同一直線上とならないように配置され、連結部には、軸部AXDを通す穴が形成されている。取付部材132Dは、ベース部材120Bの中心点を対称点とする点対称の形状となっている。当該取付部材132Dは、ベース部材120Dにおける+Z方向側の面の中心部分であり、取付部材131Dの+Z方向側に、軸部AXDを軸にして、回転可能に取り付けられる。
取付部材132Dの一方側(図14,15における「-X方向側」)の面部には、指部140D2の第1リンク部2212の一方側の端部が固定されている。また、取付部材132Dの他方側(図14,15における「+X方向側」)の面部には、指部140D4の第1リンク部2214の一方側の端部が固定されている。ここで、指部140D2及び指部140D4は、互いに延びる方向が逆向きとなり、かつ、同一直線上とならないように配置され、取付部材132Dに固定されている。
ここで、取付部材131Dと、取付部材132Dとは、+Z方向側から視たときに、互いに交差し、取付部材131Dに対して取付部材132Dが、軸部AXDを回転軸にして回転するように配置されている。
上記の指部140D1は、上述した第2実施形態の指部140B1と比べて、第1リンク部2211の一方側の端部に、取付部材131Dの一方側の面部が固定されている点が異なっている。また、上記の指部140D2は、上述した第2実施形態の指部140B2と比べて、第1リンク部2212の一方側の端部に、取付部材132Dの一方側の面部が固定されている点が異なっている。
上記の指部140D3は、上述した第2実施形態の指部140B3と比べて、第1リンク部2213の一方側の端部に、取付部材131Dの他方側の面部が固定されている点が異なっている。また、上記の指部140D4は、上述した第2実施形態の指部140B4と比べて、第1リンク部2214の一方側の端部に、取付部材132Dの他方側の面部が固定されている点が異なっている。
上記の開閉用ベローズ154は、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材である。第4実施形態では、開閉用ベローズ154の一方側端部は、指部140D1における第1リンク部2211の指部140D2側の取付部材131Dの一方の面部に接続されるとともに、開閉用ベローズ154の他方側端部は、指部140D2における第1リンク部2212の指部140D1側の取付部材132Dの一方の面部に接続される。こうして接続された開閉用ベローズ154は、指部140D1,140D2,140D3,140D4の開閉運動を行う力を発生させる。
ここで、開閉用ベローズ154には、可撓性を有する樹脂製の配管264が取り付けられ、当該開閉用ベローズ154は、配管264を介して調整制御部280Dと接続している(不図示)。そして、開閉用ベローズ154内の空気圧が変化すると、当該開閉用ベローズ154が膨縮する。この結果、開閉用ベローズ154が上述した開閉運動を行う力を発生させる。
《調整制御部280D》
上記の調整制御部280Dについて説明する。調整制御部280Dは、上述した第2実施形態の調整制御部280Bと比べて、第4実施形態のロボットハンド100Dが、開閉用ベローズ151,152に代えて開閉用ベローズ154を備えることに対応して、開閉用ベローズ151,152に対する空気圧調整を行わずに、開閉用ベローズ154への空気の強制的供給、及び、開閉用ベローズ154からの空気の強制的排出を更に行う点が異なっている。
<動作>
以上のようにして構成されたロボットハンド100Dの動作について、指部140Djの開閉運動の動作に主に着目して説明する。
当初においては、ロボットハンド100Dでは、調整制御部280Dによるベローズ241j,242j、及び、開閉用ベローズ154内の空気圧調整は行われていないものとする。
《指部140Djの関節の伸展運動の動作》
指部140Djの関節の伸展運動の動作は、上述した第1実施形態におけるロボットハンド100Aの伸展運動の動作と同様に行われる。
《指部140Djの開閉運動の動作》
第1及び第2の関節部が伸展状態になった指部140Djを開閉させるには、調整制御部280Dが、開閉用ベローズ154内の空気圧を変化させる制御を行う。例えば、指部140D1及び指部140D2を開状態にし、指部140D3及び指部140D4を開状態にする際には、調整制御部280Dは、開閉用ベローズ154への空気の強制的供給を行うための制御を行う。
かかる開閉用ベローズ154に空気を供給する制御を行うと、開閉用ベローズ154内の空気圧が上昇する。そして、開閉用ベローズ154内の空気圧が上昇すると、開閉用ベローズ154が膨張する。こうして開閉用ベローズ154が膨張すると、開閉用ベローズ154が、指部140D1及び指部140D2を開状態にする力を発生させる。当該力により、指部140D2が回転して、指部140D1と指部140D2とのなす角が広がり、指部140D1及び指部140D2が開状態になる。
指部140D2が回転すると、取付部材132Dが回転し、当該取付部材132Dに固定されている指部140D4が指部140D2の回転に連動して同じ方向に回転する。この結果、指部140D3と指部140D4とのなす角が広がり、指部140D3及び指部140D4が開状態になる。
こうして指部140D1及び指部140D2が開状態となり、指部140D3及び指部140D4が開状態となったときのロボットハンド100Dの状態が、図14,15に示されている。
また、例えば、指部140D1及び指部140D2を閉状態にし、指部140D3及び指部140D4を閉状態にする際には、調整制御部280Dは、開閉用ベローズ154からの空気の強制的排出を行うための制御を行う。
かかる開閉用ベローズ154から空気を排出する制御を行うと、開閉用ベローズ154内の空気圧が下降する。そして、開閉用ベローズ154内の空気圧が下降すると、開閉用ベローズ154が収縮する。こうして開閉用ベローズ154が収縮すると、開閉用ベローズ154が、指部140D1及び指部140D2を閉状態にする力を発生させる。当該力により、指部140D2が回転して、指部140D1と指部140D2とが平行となり、指部140D1及び指部140D2が閉状態になる。
指部140D2が回転すると、取付部材132Dが回転し、当該取付部材132Dに固定されている指部140D4が指部140D2の回転に連動して同じ方向に回転する。この結果、指部140D3と指部140D4とが平行となり、指部140D3及び指部140D4が閉状態になる。
こうして指部140D1及び指部140D2が閉状態となり、指部140D3及び指部140D4が閉状態となったときのロボットハンド100Dにおけるハンド部110Dの状態が、図16に示されている。ここで、図16は、ハンド部110Dを、+Z方向側から視た外観図(XY平面視図)である。
《指部140Djの関節の屈曲運動の動作》
指部140Djの開閉運動処理を行ったロボットハンド100Dにおけるハンド部110Dにおいて、対象物の近傍への移動動作、及び、指部140Djの関節の屈曲運動の動作は、上述した第1実施形態におけるロボットハンド100Aの移動動作及び屈曲運動の動作と同様に行われる。この結果、4本の指部140D1,140D2,140D3,140D4が、対象物を把持する。
以上説明したように、第4実施形態では、対象物の把持に際して、まず、調整制御部280Dが、指部140Dj(j=1,…,4)のベローズ241j,242jからの空気の強制的排出を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、第1及び第2の関節部が伸展状態となる。第1及び第2の関節部が伸展状態になると、支持装置により、ロボットハンド100Dにおけるハンド部110Dは、対象物の近傍に位置するように移動する。
こうしてハンド部110Dが対象物の近傍の上方に移動すると、調整制御部280Dは、入力部を利用して行われる利用者による入力結果に基づき、指部140Djを開閉させる。かかる指部140Djの開閉に際して、指部140D1及び指部140D2を開状態にし、指部140D3及び指部140D4を開状態するには、調整制御部280Dは、開閉用ベローズ154への空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、開閉用ベローズ154が膨張して、指部140D1及び指部140D2を開状態にする力を発生し、指部140D1及び指部140D2が開状態になる。こうして指部140D1及び指部140D2が開状態になると、指部140D3及び指部140D4が連動して開状態になる。
したがって、4本の指部140D1,140D2,140D3,140D4について、開閉角度を変化させて4本の指部として使用することができる。
また、指部140D1及び指部140D2を閉状態にし、指部140D3及び指部140D4を閉状態するには、調整制御部280Dは、開閉用ベローズ154からの空気の強制的排出を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、開閉用ベローズ154が収縮して、指部140D1及び指部140D2を閉状態にする力を発生し、指部140D1及び指部140D2が閉状態になる。こうして指部140D1及び指部140D2が閉状態になると、指部140D3及び指部140D4が連動して閉状態になる。
したがって、4本の指部140D1,140D2,140D3,140D4について、2本の指部140D1,140D2をあたかも太い1本の指にして使用し、2本の指部140D3,140D4をあたかも太い1本の指にして使用することができる。
このため、様々な用途に応じて、4本の指部のロボットハンド100Dとして使用したり、また、あたかも太い2本の指のロボットハンド100Dとして使用することができる。
また、第4実施形態では、1つの開閉用ベローズ154を使用して、指部140D1と指部140D2との間、及び、指部140D3と指部140D4との間の開閉角度を、同時に制御している。このため、指部140D1と指部140D2との間、及び、指部140D3と指部140D4との間の開閉角度を同じにすることができる。また、指部間の開閉制御を簡易にすることができる。
また、第4実施形態では、指部の開閉角度を指定された角度に調整した後、調整制御部280Dは、指部140Djのベローズ241j,242jへの空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、第1及び第2の関節部が屈曲状態となる。このため、関節が屈曲した指部140Djが対象物を把持することができる。
したがって、第4実施形態によれば、上述した第1~第3実施形態と同様に、対象物の把持に際して、指部が適切に運動を行うことができる。
[第5実施形態]
次いで、本発明の第5実施形態を、図17~図19を主に参照して説明する。
<構成>
図17,18には、第5実施形態に係るロボットハンド100Eの外観図が示されている。図17は、ロボットハンド100Eを、図17に示した座標系で表した斜視図である。また、図18は、ロボットハンド100Eを、+Z方向側から視た外観図(XY平面視図)である。第5実施形態についても、ロボットハンド100Eは、不図示の支持装置に取り付けられ、当該支持装置により、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能になっているものとする。
図17,18により総合的に示されるように、ロボットハンド100Eは、上述した第2実施形態のロボットハンド100Bと比べて、ハンド部110Bに代えてハンド部110Eを備える点、及び、調整制御部280Bに代えて調整制御部280Eを備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
《ハンド部110Eの構成》
上記のハンド部110Eの構成について、説明する。ハンド部110Eは、図17,18より総合的に示されるように、上述した第2実施形態のハンド部110Bと比べて、取付部材130Bに代えて取付部材130Eを備えている点が異なっている。また、ハンド部110Eは、上述した第2実施形態のハンド部110Bと比べて、固定軸部材AXEを更に備える点、回転用ベローズ155を更に備える点が異なっている。ここで、取付部材130Eは、規制部材に対応している。
上記の取付部材130Eは、上述した第2実施形態の取付部材130Bと比べて、中央に、固定軸部材AXEが挿入される挿入穴が形成されている点、固定軸部材AXEを軸にしてベース部材120Bに対して回転可能に、当該ベース部材120Bに取り付けられている点が異なっている。また、取付部材130Eには、+Z方向側に沿って延びるXY平面に垂直な接続部RBAが形成されている。当該接続部RBAは、回転用ベローズ155の一方側端部に接続されている。
上記の固定軸部材AXEは、ベース部材120Bの+Z方向側の面における中央に、固定される。また、固定軸部材AXEには、XY平面に垂直な接続部ABAが形成されている。当該接続部ABAは、回転用ベローズ155の他方側端部に接続されている。
上記の回転用ベローズ155は、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材である。第5実施形態では、回転用ベローズ155の一方側端部は、取付部材130Eに形成された接続部RBAに接続されるとともに、回転用ベローズ155の他方側端部は、固定軸部材AXEに形成された接続部ABAに接続される。こうして接続された回転用ベローズ155は、指部140B1,140B2,140B3,140B4の回転運動を行う力を発生させる。
ここで、回転用ベローズ155には、可撓性を有する樹脂製の配管265が取り付けられ、当該開閉用ベローズ155は、配管265を介して調整制御部280Eと接続している(不図示)。そして、回転用ベローズ155内の空気圧が変化すると、当該開閉用ベローズ155が膨縮する。この結果、回転用ベローズ155が上述した回転運動を行う力を発生させる。
《調整制御部280E》
上記の調整制御部280Eについて説明する。調整制御部280Eは、上述した第2実施形態の調整制御部280Bと比べて、第5実施形態のロボットハンド100Eが、回転用ベローズ155を更に備えることに対応して、回転用ベローズ155への空気の強制的供給、及び、回転用ベローズ155からの空気の強制的排出を更に行う点が異なっている。
<動作>
以上のようにして構成されたロボットハンド100Eの動作について、指部140Bjの回転運動の動作に主に着目して説明する。
当初においては、ロボットハンド100Eでは、調整制御部280Eによるベローズ241j,242j、開閉用ベローズ151,152、及び、回転用ベローズ155内の空気圧調整は行われていないものとする。
第5実施形態では、ロボットハンド100Eが把持する対象物は、開口が形成された収納部、及び、蓋部を有しているものとする(例えば、瓶)。そして、当該対象物における蓋部と収納部の開口とにネジ山が切ってあり、ネジ式で、収納部に蓋部が閉められているものとする。ここで、収納部は、所定位置に固定されているものとする。なお、ロボットハンド100Eが把持する対象物は、収納部と蓋部と有する物以外であってもよいことは勿論である。
《指部140Bjの関節の伸展運動の動作》
指部140Bjの関節の伸展運動の動作は、上述した第1実施形態におけるロボットハンド100Aの伸展運動の動作と同様に行われる。
《指部140Bjの開閉運動の動作》
第1及び第2の関節部が伸展状態になった指部140Bjの開閉運動は、上述した第2実施形態におけるロボットハンド100Bの開閉運動の動作と同様に行われる。
《指部140Bjの関節の屈曲運動の動作》
指部140Bjの開閉運動処理を行ったロボットハンド100Eにおいて、対象物の近傍への移動動作、及び、指部140Bjの関節の屈曲運動の動作は、上述した第1実施形態におけるロボットハンド100Aの移動動作及び屈曲運動の動作と同様に行われる。この結果、4本の指部140B1,140B2,140B3,140B4が、対象物の蓋部を把持する。
《指部140Bjの回転運動の動作》
対称物の蓋部を把持した指部140Bjを回転させるには、調整制御部280Eが、回転用ベローズ155内の空気圧を変化させる制御を行う。例えば、指部140Bjを、-Z方向を視線方向としたXY平面視で反時計回り(以下、単に「反時計回り」とも記す)に回転させる際には、調整制御部280Eは、回転用ベローズ155への空気の強制的供給を行うための制御を行う。
かかる回転用ベローズ155に空気を供給する制御を行うと、回転用ベローズ155内の空気圧が上昇する。そして、回転用ベローズ155内の空気圧が上昇すると、回転用ベローズ155が膨張する。こうして回転用ベローズ155が膨張すると、回転用ベローズ155が、指部140Bjを反時計回りに回転させる力を発生させる。当該力により、回転用ベローズ155の一方側端部が接続された取付部材130Eが、回転用ベローズ155の他方側端部が接続された固定軸部材AXEを回転軸として、反時計回りに回転する。ここで、固定軸部材AXEはベース部材120Bに固定されている。また、指部140Bjは、取付部材130Eに、当該取付部材130Eに対して回転可能に取り付けられている。この結果、指部140Bjがベース部材120Bに対して、反時計回りに回転する。
図17,18に示される状態から、指部140Bjがベース部材120Bに対して、反時計回りに回転したときのロボットハンド100Eにおけるハンド部110Eの状態が、図19に示されている。ここで、図19は、ハンド部110Eを、+Z方向側から視た外観図(XY平面視図)である。
ここで、図17,18及び図19では、指部140Bjの関節が伸展状態となっている。なお、屈曲状態の指部140Bjを反時計回りに回転させることで、把持した対象物の蓋部を反時計回りに回転させて、蓋部を収納部から取り外すことができる。
また、例えば、指部140Bjを、-Z方向を視線方向としたXY平面視で時計回り(以下、単に「時計回り」とも記す)に回転させる際には、調整制御部280Eは、回転用ベローズ155からの空気の強制的排出を行うための制御を行う。
かかる回転用ベローズ155から空気を排出する制御を行うと、回転用ベローズ155内の空気圧が下降する。そして、回転用ベローズ155内の空気圧が下降すると、回転用ベローズ155が収縮する。こうして回転用ベローズ155が収縮すると、回転用ベローズ155が、指部140Bjを時計回りに回転させる力を発生させる。当該力により、取付部材130Eが固定軸部材AXEを回転軸として、時計回りに回転する。ここで、固定軸部材AXEはベース部材120Bに固定されている。また、指部140Bjは、取付部材130Eに、当該取付部材130Eに対して回転可能に取り付けられている。この結果、指部140Bjがベース部材120Bに対して、時計回りに回転する。
図19に示される状態から、指部140Bjがベース部材120Bに対して、反時計回りに回転したときのロボットハンド100Eの状態が、図17,18に示されている。なお、例えば、関節が屈曲状態の指部140Bjを時計回りに回転させることで、把持した対象物の蓋部を時計回りに回転させて、蓋部を収納部に取り付けることができる。
以上説明したように、第5実施形態では、対象物の把持に際して、まず、調整制御部280Eが、指部140Bj(j=1,…,4)のベローズ241j,242jからの空気の強制的排出を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、第1及び第2の関節部が伸展状態となる。第1及び第2の関節部が伸展状態になると、支持装置により、ロボットハンド100Eは、対象物の近傍に位置するように移動する。
こうしてロボットハンド100Eが対象物の近傍の上方に移動すると、調整制御部280Eは、入力部を利用して行われる利用者による入力結果に基づき、指部140Bjを開閉させる。したがって、様々な用途に応じて、4本の指部のロボットハンド100Eとして使用したり、あたかも3本の指のロボットハンド100Eとして使用したり、また、あたかも太い2本の指のロボットハンド100Eとして使用することができる。
また、第5実施形態では、指部の開閉角度を指定された角度に調整した後、調整制御部280Eは、指部140Bjのベローズ241j,242jへの空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、第1及び第2の関節部が屈曲状態となる。このため、関節が屈曲した指部140Bjが対象物を把持することができる。
また、第5実施形態では、蓋部と収納部とを有する対象物の蓋部を把持した後、調整制御部280Eは、入力部を利用して行われる利用者による入力結果に基づき、指部140Bjを回転させる。かかる指部140Bjの回転に際して、指部140Bjを反時計回りに回転させるには、調整制御部280Eは、回転用ベローズ155への空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、回転用ベローズ155が膨張して、指部140Bjを反時計回りに回転させる力を発生し、指部140Bjがベース部材120Bに対して反時計回りに回転する。このため、形状を変形させずに指部を回転させることができる。
したがって、指部140Bjにより対象物(例えば、瓶)の蓋部を把持した状態で、指部140Bjを反時計回りに回転させて、蓋部を収納部から取り外すことができる。
また、指部140Bjを時計回りに回転させるには、調整制御部280Eは、回転用ベローズ155からの空気の強制的排出を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、回転用ベローズ155が収縮して、指部140Bjを時計回りに回転させる力を発生し、指部140Bjがベース部材120Bに対して時計回りに回転する。
したがって、指部140Bjにより対象物の蓋部を把持した状態で、指部140Bjを時計回りに回転させて、蓋部を収納部に取り付けることができる。
したがって、第5実施形態によれば、上述した第1~第4実施形態と同様に、対象物の把持に際して、指部が適切に運動を行うことができる。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態を、図20~図23を主に参照して説明する。
<構成>
図20には、第6実施形態に係るロボットハンド100Fの外観図が示されている。図20は、ロボットハンド100Fを、図20に示した座標系で表した斜視図である。第6実施形態についても、ロボットハンド100Fは、不図示の支持装置に取り付けられ、当該支持装置により、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能になっているものとする。
図20に示されるように、ロボットハンド100Eは、上述した第1実施形態のロボットハンド100Aと比べて、ハンド部110Aに代えてハンド部110Fを備える点、及び、調整制御部280Aに代えて調整制御部280Fを備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
《ハンド部110Fの構成》
上記のハンド部110Fの構成について、説明する。ハンド部110Fは、図20及び図21より総合的に示されるように、上述した第1実施形態のハンド部110Aと比べて、吸着部180Aに代えて吸着部180Fを備える点、及び、吸着部変形駆動部160を更に備える点が異なっている。ここで、図21は、指部140A2及び指部140A3が前面となる方向から視た平面視図である。
上記の吸着部変形駆動部160は、取付部材130A及び指部140Ajにおける第1リンク部221jに固定されている。
図22(A),(B)には、吸着部変形駆動部160の構成図が示されている。ここで、図22(A)は、吸着部変形駆動部160を、図22(A)に示した座標系で表した斜視図である。また、図22(B)は、吸着部変形駆動部160を、+Z方向側から視た外観図(XY平面視図)である。
吸着部変形駆動部160は、図20、図21及び図22(A),(B)により総合的に示されるように、固定部材165と、駆動用ベローズ161,162,163とを備えている。また、吸着部変形駆動部160は、紐状部材171,172,173を備えている。
上記の固定部材165は、例えば、鋼鉄製の部材であり、底部と、当該底部に接続されたZ方向に沿って延びる3つの長板部166,167,168とを含む部材である。底部は、取付部材130A及び第1リンク部221jに固定されている。当該底部には、紐状部材171,172,173を通す穴が形成されている。また、第6実施形態では、取付部材130A及び第1リンク部221jにおいても、紐状部材171,172,173を通す穴が形成されている。
長板部166,167,168の+Z方向側には、XY平面と平行な面を有する接続部が形成されている。そして、長板部166,167,168の接続部は、それぞれ、駆動用ベローズ161,162,163の一方側端部に接続されている。第6実施形態では、長板部166は、ベース部材120Aの中央の+X方向側かつ+Y方向側に配置される。また、長板部167は、ベース部材120Aの中央の-Y方向側に配置される。また、長板部168は、ベース部材120Aの中央の-X方向側に配置される。
上記の駆動用ベローズ161は、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材である。駆動用ベローズ161の一方側端部は、長板部166の接続部に接続される。また、駆動用ベローズ161の他方側端部は、紐状部材171の一方の端部に接続される。当該駆動用ベローズ161は、ベース部材120Aの中央の+X方向側かつ+Y方向側に配置され、吸着部180Fを変形させる力を発生させる。
上記の駆動用ベローズ162は、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材である。駆動用ベローズ162の一方側端部は、長板部167の接続部に接続される。また、駆動用ベローズ162の他方側端部は、紐状部材172の一方の端部に接続される。当該駆動用ベローズ162は、ベース部材120Aの中央の-Y方向側に配置され、吸着部180Fを変形させる力を発生させる。
上記の駆動用ベローズ163は、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材である。駆動用ベローズ163の一方側端部は、長板部168の接続部に接続される。また、駆動用ベローズ163の他方側端部は、紐状部材178の一方の端部に接続される。当該駆動用ベローズ163は、ベース部材120Aの中央の-X方向側に配置され、吸着部180Fを変形させる力を発生させる。
ここで、駆動用ベローズ161には、可撓性を有する樹脂製の配管271が取り付けられ、当該駆動用ベローズ161は、配管271を介して調整制御部280Fと接続している(不図示)。そして、駆動用ベローズ161内の空気圧が変化すると、当該駆動用ベローズ161が膨縮する。この結果、駆動用ベローズ162が吸着部180Fを変形させる力を発生させる。
また、駆動用ベローズ162には、可撓性を有する樹脂製の配管272が取り付けられ、当該駆動用ベローズ162は、配管272を介して調整制御部280Fと接続している(不図示)。そして、駆動用ベローズ162内の空気圧が変化すると、当該駆動用ベローズ162が膨縮する。また、駆動用ベローズ163には、可撓性を有する樹脂製の配管273が取り付けられ、当該駆動用ベローズ163は、配管273を介して調整制御部280Fと接続している(不図示)。そして、駆動用ベローズ163内の空気圧が変化すると、当該駆動用ベローズ163が膨縮する。この結果、駆動用ベローズ162,163が吸着部180Fを変形させる力を発生させる。
上記の紐状部材171は、可撓性を有する非伸縮性の部材である。紐状部材171の一方の端部は、駆動用ベローズ161の他方側端部に接続されている。また、紐状部材171は、駆動用ベローズ161の-Z方向側に形成された固定部材165の穴及びベース部材120Aの穴に通される。そして、紐状部材171の他方の端部は、吸着部180Fの-Z方向側の端部の+X方向側かつ+Y方向側に接続されている。
上記の紐状部材172は、可撓性を有する非伸縮性の部材である。紐状部材172の一方の端部は、駆動用ベローズ162の他方側端部に接続されている。また、紐状部材172は、駆動用ベローズ162の-Z方向側に形成された固定部材165、第1リンク部2212及びベース部材120Aの穴に通される。そして、紐状部材172の他方の端部は、吸着部180Fの-Z方向側の端部の-Y方向側に接続されている。
上記の紐状部材173は、可撓性を有する非伸縮性の部材である。紐状部材173の一方の端部は、駆動用ベローズ163の他方側端部に接続されている。また、紐状部材173は、駆動用ベローズ163の-Z方向側に形成された固定部材165の穴、第1リンク部2213の穴及びベース部材120Aの穴に通される。そして、紐状部材173の他方の端部は、吸着部180Fの-Z方向側の端部の-X方向側に接続されている。
上記の吸着部180Fは、伸縮自在かつ可撓性を有する樹脂製のベローズであり、上述した第1実施形態の吸着部180Aと比べて、-Z方向側の端部に輪状の吸着ゴムが取り付けられている。また、吸着部180Fの-Z方向側の端部には、紐状部材171,172,173の他方の端部が接続されている。
《調整制御部280F》
上記の調整制御部280Fについて説明する。調整制御部280Fは、上述した第1実施形態の調整制御部280Aと比べて、第6実施形態のロボットハンド100Fが、駆動用ベローズ161,162,163を更に備えることに対応して、駆動用ベローズ161,162,163への空気の強制的供給、及び、駆動用ベローズ161,162,163からの空気の強制的排出を更に行う点が異なっている。
<動作>
以上のようにして構成されたロボットハンド100Fの動作について、対象物の把持動作を説明する。
当初においては、ロボットハンド100Fでは、調整制御部280Fによるベローズ241j,242j、及び、駆動用ベローズ161,162,163内の空気圧調整は行われていないものとする。また、調整制御部280Fによる吸着部180Fを使用した吸着処理は行われていないものとする。
《指部140Ajの関節の伸展運動の動作》
指部140Ajの関節の伸展運動の動作は、上述した第1実施形態におけるロボットハンド100Aの伸展運動の動作と同様に行われる。
《吸着部180Fの変形の動作》
第1及び第2の関節部が伸展状態になると、支持装置により、ロボットハンド100Fが、対象物の近傍に位置するように移動する。こうしてロボットハンド100Fが、対象物の近傍に移動すると、調整制御部280Fは、入力部を利用して行われる利用者による入力結果に基づき、対象物が存在する方向へ吸着部180を変形させる制御を行う。吸着部180を変形させるには、調整制御部280Fが、駆動用ベローズ161,162,163内の空気圧を変化させる制御を行う。
例えば、対象物が、ベース部材120Aの中心から+X方向側かつ+Y方向側にある場合には、調整制御部280Fは、吸着部180の-Z方向側の端部が+X方向側かつ+Y方向側に向くように変形させる制御を行う。かかる制御を行うには、調整制御部280Fは、駆動用ベローズ161からの空気の強制的排出を行い、駆動用ベローズ162,163への空気の強制的供給を行うための制御を行う。
これにより、駆動用ベローズ161内の空気圧が下降して、駆動用ベローズ161が収縮し、駆動用ベローズ162,163内の空気圧が上昇して、駆動用ベローズ162,163が膨張する。こうした状態になると、図23に示されるように、駆動用ベローズ161に接続された紐状部材171が、吸着部材180Fの-Z方向側の端部を、+X方向側かつ+Y方向側に引っ張り、当該端部が+X方向側かつ+Y方向側に変形する。ここで、図23は、ハンド部110Fを、指部140A1及び指部140A2が前面となる方向から視た平面視図である。
また、例えば、対象物が、ベース部材120Aの中心から-Y方向側にある場合には、調整制御部280Fは、吸着部180の-Z方向側の端部が-Y方向側に向くように変形させる制御を行う。かかる制御を行うには、調整制御部280Fは、駆動用ベローズ162からの空気の強制的排出を行い、駆動用ベローズ161,163への空気の強制的供給を行うための制御を行う。これにより、駆動用ベローズ162が収縮し、駆動用ベローズ161,163が膨張する。こうした状態になると、駆動用ベローズ162に接続された紐状部材172が、吸着部材180Fの-Z方向側の端部を、-Y方向側に引っ張り、当該端部が-Y方向側に変形する。
また、例えば、対象物が、ベース部材120Aの中心から-X方向側にある場合には、調整制御部280Fは、吸着部180の-Z方向側の端部が-X方向側に向くように変形させる制御を行う。かかる制御を行うには、調整制御部280Fは、駆動用ベローズ163からの空気の強制的排出を行い、駆動用ベローズ161,162への空気の強制的供給を行うための制御を行う。これにより、駆動用ベローズ163が収縮し、駆動用ベローズ161,162が膨張する。こうした状態になると、駆動用ベローズ163に接続された紐状部材173が、吸着部材180Fの-Z方向側の端部を、-X方向側に引っ張り、当該端部が-X方向側に変形する。
こうしてロボットハンド100Fの吸着部180Fが、対象物の方向を向くと、調整制御部280Fが、吸着部180Fを使用して、対象物を吸着するための制御を行う。かかる制御を行うと、吸着部180Fが、対象物を吸着する。こうして吸着部180Fが対象物を吸着すると、吸着部180Fが収縮して対象物を引き寄せて、引き上げる。
《指部140Ajの関節の屈曲運動の動作》
こうして対象物を吸着して引き寄せ、引き上げると、対象物を引き上げた状態で、調整制御部280Fが、指部140Ajの関節を屈曲運動させる制御を行う。かかる制御は、上述した第1実施形態におけるロボットハンド100Aの屈曲運動の動作と同様に行われる。この結果、4本の指部140A1,140A2,140A3,140A4が、対象物を把持する。
以上説明したように、第6実施形態では、対象物の把持に際して、まず、調整制御部280Fが、指部140Aj(j=1,…,4)のベローズ241j,242jからの空気の強制的排出を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、第1及び第2の関節部が伸展状態となる。第1及び第2の関節部が伸展状態になると、支持装置により、ロボットハンド100Fは、対象物の近傍に位置するように移動する。
こうしてロボットハンド100Fが対象物の近傍に移動すると、調整制御部280Fは、入力部を利用して行われる利用者による入力結果に基づき、吸着部180Fの端部が対象物の吸着に適した当該対象物の表面に対向するように変形させる。かかる吸着部180Fの変形に際して、吸着部180Fの端部を+X方向かつ+Y方向側を向くように変形させる際には、調整制御部280Fは、駆動用ベローズ161からの空気の強制的排出を行い、駆動用ベローズ162,163へ空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御により、駆動用ベローズ161が膨張して、吸着部180Fの-Z方向側の端部が+X方向かつ+Y方向側に引っ張られる。
また、かかる吸着部180Fの変形に際して、吸着部180Fの端部を-Y方向側を向くように変形させる際には、調整制御部280Fは、駆動用ベローズ162からの空気の強制的排出を行い、駆動用ベローズ161,163へ空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御により、駆動用ベローズ162が収縮して、吸着部180Fの-Z方向側の端部が-Y方向側に引っ張られる。
また、かかる吸着部180Fの変形に際して、吸着部180Fの端部を-X方向側を向くように変形させる際には、調整制御部280Fは、駆動用ベローズ163からの空気の強制的排出を行い、駆動用ベローズ161,162へ空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御により、駆動用ベローズ163が収縮して、吸着部180Fの-Z方向側の端部が-X方向側に引っ張られる。
したがって、吸着部180Fの-Z方向側の端部が、対象物が存在する方向を向いて、当該対象物の吸着に適するように、吸着部180Fを変形させることができる。
そして、吸着部180Fが対象物を吸着すると、吸着部180Fが収縮して、対象物を引き寄せ、引き上げる。引き続き、調整制御部280Fは、指部140Ajのベローズ241j,242jへの空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、第1及び第2の関節部が屈曲状態となる。このため、関節が屈曲した指部140Ajが対象物を把持することができる。
したがって、第6実施形態によれば、上述した第1~第5実施形態と同様に、対象物の把持に際して、指部が適切に運動を行うことができる。
[第7実施形態]
次いで、本発明の第7実施形態を、図24~図29を主に参照して説明する。
<構成>
図24,25には、第7実施形態に係るロボットハンド100Gの外観図が示されている。図24は、ロボットハンド100Gを、図24に示した座標系で表した斜視図である。また、図25は、ロボットハンド100Gを、+Z方向側から視た外観図(XY平面視図)である。第7実施形態についても、ロボットハンド100Gは、不図示の支持装置に取り付けられ、当該支持装置により、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能になっているものとする。
図24,25により総合的に示されるように、ロボットハンド100Gは、上述した第1実施形態のロボットハンド100Aと比べて、ハンド部110Aに代えてハンド部110Gを備える点、及び、調整制御部280Aに代えて調整制御部280Gを備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
《ハンド部110Gの構成》
上記のハンド部110Gの構成について、説明する。ハンド部110Gは、図24,25及び図26により総合的に示されるように、上述した第1実施形態のハンド部110Aと比べて、ベース部材120Aに代えてベース部材120Gを備える点、取付部材130Aに代えて取付部材130Gを備える点、指部140Aj(j=1,…,4)に代えて指部140Gk(k=1,…,3)を備える点、回転駆動部190kを更に備える点、及び、吸着部180Aを備えていない点が異なっている。ここで、図26は、ハンド部110Gを、+X方向側から視た外観図(YZ平面視図)である。
上記のベース部材120Gは、上述した第1実施形態のベース部材120Aと比べて、中央に開口が形成されていない点が異なっている。当該ベース部材120Gにおける+Z方向側の面には、取付部材130G及び指部140Gkが取り付けられている。
上記の取付部材130Gは、例えば、鋼鉄製の板状部材であり、ベース部材120Gにおける+Z方向側の面に固定して取り付けられる。第7実施形態では、当該取付部材130Gには、指部140Gkが固定されている。
上記の指部140Gk(k=1,…,3)は、第7実施形態では、取付部材130Gに固定されて、ベース部材120Gに取り付けられている。ここで、図26には、指部140G1の構成図が示されている。第7実施形態では、指部140G2,140G3についても、指部140G1と同様に構成されている。
指部140Gk(k=1,…,3)のそれぞれは、図24~図26により総合的に示されるように、第1リンク部221Gkと、第2リンク部222Gkとを備えている。また、指部140Gkのそれぞれは、ベローズ241kと、配管251kとを備えている。
上記の第1リンク部221Gkは、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。当該長板部には、他方側(図26における「+Y方向側」)の端部に略直立して+Z方向に沿って延びる環状の接続部が形成されている(図27参照)。第1リンク部221Gkの長板部の他方側の端部には、軸部材AX6kにより、第1板部材226kが接続されている(図27参照)。そして、第1リンク部221Gkの他方側の端部の接続部は、ベローズ241kの一方側端部に接続されている。ここで、第1リンク部221Gkの接続部及び第1板部材226kは、第1の関節部JTV1kの一部となっている。第1の関節部JTV1kの構成については、後述する。
また、第1リンク部221Gkの長板部の一方側(図26における「-Y方向側」)の端部には、取付部材130Gが固定されている。当該第1リンク部221Gkの長板部は、ベース部材120Gに取付けられている。
上記の第2リンク部222Gkは、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。当該長板部には、一方側の端部に略直立して延びる環状の接続部が形成されている(図27参照)。第2リンク部222Gkの長板部の一方側の端部には、軸部材AX7kにより、第2板部材227kが接続されている(図27参照)。そして、第2リンク部222Gkの一方側の端部の接続部は、ベローズ241kの他方側端部に接続されている。ここで、第2リンク部222Gkの接続部及び第2板部材227kは、第1の関節部JTV1kの一部となっている。
((第1の関節部JTV1kの構成))
上記の第1の関節部JTV1kは、図27に示されるように、上述した第1リンク部221Gkの接続部と、第1板部材226kと、第2リンク部222Gkの接続部と、第2板部材227kとから構成されている。ここで、第1リンク部221Gkの接続部、及び、第1板部材226kは、軸部材AX6kにより、回転可能に接続されている。また、第2リンク部222Gkの接続部、及び、第2板部材227kは、軸部材AX7kにより、回転可能に接続されている。そして、第1板部材226k及び第2板部材227kが、軸部材AX8により、回転可能に接続されている。
すなわち、第1の関節部JTV1kは、図27の(A)~(C)及び(a)~(c)により総合的に示されるように、3軸性の関節運動を行えるようになっている。なお、図27では、不図示であるが、第1の関節部JTV1kの両側には、紐状部材を通す貫通穴が形成されている。
(回転駆動部190kの構成)
上記の回転駆動部190k(k=1,…,3)について、説明する。図28(A),(B)には、回転駆動部1901の構成図が示されている。第7実施形態では、回転駆動部1902,1903についても、回転駆動部1901と同様に構成されている。
回転駆動部190k(k=1,…,3)のそれぞれは、図24~図26及び図28(A),(B)により総合的に示されるように、固定部材193kと、回転駆動用ベローズ191Lk,191Rkとを備えている。また、回転駆動部190kは、紐状部材195Lk,195Rkを備えている。
上記の固定部材193kは、例えば、鋼鉄製の部材であり、底部と、当該底部に接続されたZ方向に沿って延びる長板部とを含む部材である。底部は、第1リンク部221Gkに固定されている。長板部は、回転駆動用ベローズ191Lk,191Rkの一方側端部に接続されている。
上記の回転駆動用ベローズ191Lk,191Rkは、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材である。回転駆動用ベローズ191Lk,191Rkの一方側端部は、固定部材193kの長板部に接続される。また、回転駆動用ベローズ191Lk,191Rkの他方側端部は、紐状部材195Lk,195Rkの一方の端部に接続される。こうして接続された回転駆動用ベローズ191Lk,191Rkは、第1の関節部JTV1kの運動を行う力を発生させる。
ここで、回転駆動用ベローズ191Lkは、+Z方向側から視て、ベース部材120Gの中心から第1リンク部221Gkが伸びる方向に沿って左側(以下、単に「左側」という)に配置されている。また、回転駆動用ベローズ191Rkは、+Z方向側から視て、ベース部材120Gの中心から第1リンク部221Gkが伸びる方向に沿って右側(以下、単に「右側」という)に配置されている。
また、回転駆動用ベローズ191Lk,191Rkには、可撓性を有する樹脂製の配管290Lk,290Rkが取り付けられ、当該回転駆動用ベローズ191Lk,191Rkは、配管290Lk,290Rkを介して調整制御部280Gと接続している(不図示)。そして、回転駆動用ベローズ191Lk,191Rk内の空気圧が変化すると、当該ベローズが膨縮する。この結果、回転駆動用ベローズ191Lk,191Rkが第1の関節部JTV1kを運動させる力を発生させる。
上記の紐状部材195Lkは、可撓性を有する非伸縮性の部材である。紐状部材195Lkの一方の端部は、回転駆動用ベローズ191Lkの他方側端部に接続されている。また、紐状部材195Lkは、第1の関節部JTV1kの左側に設けられた貫通穴に通される。そして、紐状部材195Lkの他方の端部は、第1の関節部JTV1kを構成する第2リンク部222Gkの一方側の端部の左側に接続されている。
上記の紐状部材195Rkは、可撓性を有する非伸縮性の部材である。紐状部材195Rkの一方の端部は、回転駆動用ベローズ191Rkの他方側端部に接続されている。また、紐状部材195Rkは、第1の関節部JTV1kの右側に設けられた貫通穴に通される。そして、紐状部材195Rkの他方の端部は、第1の関節部JTV1kを構成する第2リンク部222Gkの一方側の端部の右側に接続されている。
《調整制御部280G》
上記の調整制御部280Gについて説明する。調整制御部280Gは、上述した第1実施形態の調整制御部280Aと比べて、第7実施形態のロボットハンド100Gが、指部140Aj(j=1,…,4)に代えて指部140Gk(k=1,…,3)を備えることに対応して、ベローズ241kへの空気の強制的供給、及び、ベローズ241kからの空気の強制的排出を行う点が異なっている。また、調整制御部280Gは、第7実施形態のロボットハンド100Gが、回転駆動用ベローズ191Lk,191Rkを更に備えることに対応して、回転駆動用ベローズ191Lk,191Rkへの空気の強制的供給、及び、回転駆動用ベローズ191Lk,191Rkからの空気の強制的排出を更に行う点が異なっている。また、調整制御部280Gは、第7実施形態のロボットハンド100Gが、吸着部180Aを備えていないことに対応して、吸着部180Aを使用した吸着処理を行わないことが異なっている。
<動作>
以上のようにして構成されたロボットハンド100Gの動作について、第1の関節部JTV1kの関節運動の動作に主に着目して説明する。
当初においては、ロボットハンド100Gでは、調整制御部280Gによるベローズ241k、及び、回転駆動用ベローズ191Lk,191Rk内の空気圧調整は行われていないものとする。
《指部140Gkの関節の伸展運動の動作》
指部140Gkの第1の関節部JTV1kの伸展運動の動作は、調整制御部280Gが、ベローズ241kからの空気の強制的排出を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、ベローズ241k内の空気圧が下降して、ベローズ241kが収縮する。
こうしてベローズ241kが収縮すると、ベローズ241kが、第1の関節部JTV1kを伸展状態にする力を発生する。当該力により、第2リンク部222Gkが、軸部材AX6j,AX7jを回転軸にして、指部140Gkが伸展状態となるように第1リンク部221Gkに対して回転する。
《指部140Gkの関節の屈曲運動の動作》
指部140Gkの第1の関節部JTV1kの屈曲運動の動作は、調整制御部280Gが、ベローズ241kへの空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、ベローズ241k内の空気圧が上昇して、ベローズ241kが膨張する。
こうしてベローズ241kが膨張すると、ベローズ241kが、第1の関節部JTV1kを屈曲状態にする力を発生する。当該力により、第2リンク部222Gkが、軸部材AX6j,AX7jを回転軸にして、第1リンク部221Gkに対して、指部140Gkが屈曲状態となるように回転する。
《指部140Gkの関節の伸展屈曲運動以外の運動の動作》
指部140Gの伸展屈曲運動以外の運動、すなわち、軸部材AX8k(図27参照)を回転軸にした運動について、説明する。第2リンク部222Gkを、第1リンク部221Gkに対して左側に回転させるには、調整制御部280Gが、回転駆動用ベローズ191Lkからの空気の強制的排出を行い、回転駆動用ベローズ191Rkへ空気の強制的供給を行うための制御を行う。
かかる制御により、回転駆動用ベローズ191Lk内の空気圧が下降して、回転駆動用ベローズ191Lkが収縮し、回転駆動用ベローズ191Rk内の空気圧が上昇して、回転駆動用ベローズ191Rkが膨張する。こうした状態になると、図29(A),(B)に示されるように、回転駆動用ベローズ191Lkに接続された紐状部材195Lkが、第2リンク部222Gkの端部の左側を引っ張り、回転駆動用ベローズ191Rkに接続された紐状部材195Rkが、第2リンク部222Gkの端部の右側を引っ張らない状態になる。この結果、第2リンク部222Gkが、軸部材AX8kを回転軸にして、左側に回転する。
ここで、図29(A),(B)は、ハンド部110Gを、図29(A),(B)に示した座標系で表した斜視図である。なお、図29(B)では、ベローズ241kでの図示を省略している。
また、第2リンク部222Gkを、第1リンク部221Gkに対して右側に回転させるには、調整制御部280Gが、回転駆動用ベローズ191Rkからの空気の強制的排出を行い、回転駆動用ベローズ191Lkへ空気の強制的供給を行うための制御を行う。
かかる制御により、回転駆動用ベローズ191Rk内の空気圧が下降して、回転駆動用ベローズ191Rkが収縮し、回転駆動用ベローズ191Lk内の空気圧が上昇して、回転駆動用ベローズ191Lkが膨張する。こうした状態になると、回転駆動用ベローズ191Rkに接続された紐状部材195Rkが、第2リンク部222Gkの端部の右側を引っ張り、回転駆動用ベローズ191Lkに接続された紐状部材195Lkが、第2リンク部222Gkの端部の左側を引っ張らない状態になる。この結果、第2リンク部222Gkが、軸部材AX8kを回転軸にして、右側に回転する。
また、第2リンク部222Gkが延びる方向を、第1リンク部221Gkが延びる方向と同じにするには、調整制御部280Gが、回転駆動用ベローズ191Lkからの空気の強制的排出を行い、回転駆動用ベローズ191Rkからの空気の強制的排出を行うための制御を行う。
かかる制御により、回転駆動用ベローズ191Lk内の空気圧が下降して、回転駆動用ベローズ191Lkが収縮し、回転駆動用ベローズ191Rk内の空気圧が下降して、回転駆動用ベローズ191Rkが収縮する。こうした状態になると、図24~図26に示されるように、回転駆動用ベローズ191Lkに接続された紐状部材195Lkが、第2リンク部222Gkの端部の左側を引っ張り、回転駆動用ベローズ191Rkに接続された紐状部材195Rkが、第2リンク部222Gkの端部の右側を引っ張る。この結果、第2リンク部222Gkが延びる方向が、第1リンク部221Gkが延びる方向と同じになる。
第1の関節部JTV1kの関節運動の動作は、上述した「指部140Gkの関節の伸展運動の動作」、「指部140Gkの関節の屈曲運動の動作」及び「指部140Gkの関節の屈伸運動以外の運動の動作」を適宜組み合せて、ロボットハンド110Gは、対象物を把持する。
以上説明したように、第7実施形態では、対象物の把持は、指部140Gkの第1の関節部JTV1kの伸展屈曲運動、当該屈曲伸展運動以外の関節運動を適宜、組み合せて実行される。第1の関節部JTV1kの伸展運動に際しては、調整制御部280Gは、指部140Gk(k=1,…,3)のベローズ241kからの空気の強制的排出を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、第1の関節部が伸展状態となる。また、第1の関節部JTV1kの屈曲運動に際しては、調整制御部280Gは、ベローズ241kへの空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、第1の関節部が屈曲状態となる。
また、第1の関節部JTV1kの軸部材AX8kを回転軸にした運動について、第2リンク部222Gkを、第1リンク部221Gkに対して左側に回転させるには、調整制御部280Gは、回転駆動用ベローズ191Lkからの空気の強制的排出を行い、回転駆動用ベローズ191Rkへ空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、回転駆動用ベローズ191Lkが収縮して、紐状部材195Lkが第2リンク部222Gkの端部の左側を引っ張り、回転駆動用ベローズ191Rkが膨張して、紐状部材195Rkが第2リンク部222Gkの端部の右側を引っ張らない。この結果、第2リンク部222Gkが、軸部材AX8kを回転軸にして、左側に回転する。
また、第2リンク部222Gkを、第1リンク部221Gkに対して右側に回転させるには、調整制御部280Gは、回転駆動用ベローズ191Rkからの空気の強制的排出を行い、回転駆動用ベローズ191Lkへ空気の強制的供給を行うための制御を行う。かかる制御を行うと、回転駆動用ベローズ191Rkが収縮して、紐状部材195Rkが第2リンク部222Gkの端部の右側を引っ張り、回転駆動用ベローズ191Lkが膨張して、紐状部材195Lkが第2リンク部222Gkの端部の左側を引っ張らない。この結果、第2リンク部222Gkが、軸部材AX8kを回転軸にして、右側に回転する。
したがって、第7実施形態によれば、上述した第1~第6実施形態と同様に、対象物の把持に際して、指部が適切に運動を行うことができる。
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
例えば、上記の第1~第6実施形態では、第2リンク部は、指基部及び指先部の2つのリンクから構成されるとした。これに対し、第2リンク部は、1つのリンクから構成されるようにしてもよいし、3つ以上のリンクから構成されるようにしてもよい。
また、上記の第7実施形態では、第2リンク部は、1つのリンクから構成されるとしたが、2つ以上のリンクから構成されるようにしてもよい。
また、上記の第1及び第6実施形態では、4本の指部を備えるようにしたが、指部の数は1本~3本であってもよいし、5本以上であってもよい。
また、上記の第2~5実施形態では、4本の指部を備えるようにしたが、指部の数は2本または3本であってもよいし、5本以上であってもよい。
また、上記の第7実施形態では、3本の指部を備えるようにしたが、指部の数は1本または2本であってもよいし、4本以上であってもよい。
また、上記の第1及び第6実施形態では、ロボットハンドが吸着部を備える吸着機構を備えるようにした。これに対し、第2~第5及び第7実施形態のロボットハンドについても、第1又は第6実施形態の場合と同様に、吸着機構を更に備える機構にしてもよい。
特に、第5実施形態に係る指部の回転機構を有するロボットハンドが、第1又は第6実施形態の場合と同様の吸着機構を備える場合には、以下の動作により、収納部にネジ式で取り付けられた蓋部を、収納部から取り外すことができる。かかる取り外しに際して、まず、吸着部(ベローズ)が蓋部を吸着する。次いで、指部140Bjが収納部を保持する。そして、収納部を保持した状態で、指部140Bjを、収納部から蓋部を取り外す方向に回転させることによって(すなわち収納部を回転させることによって)、蓋部を収納部から取り外すことができる。この場合には、第5実施形態の場合のように、収納部が所定位置に固定されている必要はない。
また、第5実施形態に係る指部の回転機構を有するロボットハンドが、第1又は第6実施形態の場合と同様の吸着機構を備える場合には、以下の動作により、収納部に蓋部を取り付けることができる。かかる取り付けに際して、まず、吸着部(ベローズ)が蓋部を吸い寄せて吸着する。次いで、指部140Bjが、収納部の開口が+Z方向を向くようにして当該収納部を保持する。そして、収納部を保持した状態で、指部140Bjを、収納部に蓋部を取り付ける方向に回転させることによって(すなわち収納部を回転させることによって)、収納部に蓋部を取り付けることができる。この場合にも、第5実施形態の場合のように、収納部が所定位置に固定されている必要はない。
また、上記の第5実施形態のロボットハンド100Fは、第2実施形態のロボットハンド100Bの指部を回転することができる構成とした。これに対し、第5実施形態のロボットハンド100Fの指部の回転機構を、第1~第4及び第6、第7実施形態のロボットハンドに組み込んで、指部を回転させるようにしてもよい。
また、上記の第6実施形態では、吸着部変形駆動部は、駆動用ベローズ及び紐状部材を3組備えるようにしたが、駆動用ベローズ及び紐状部材の組は、1組または2組であってもよいし、4組以上であってもよい。
また、上記の第7実施形態では、回転駆動部は、回転駆動用ベローズ及び紐状部材を2組備えるようにしたが、回転駆動用ベローズ及び紐状部材の組は、1組であってもよい。この場合には、左側又は右側のいずれかに回転駆動用ベローズ及び紐状部材を配置する。
また、上記の第7実施形態では、第1の関節部は、第1リンク部における第1の関節部側に蝶番構造で取り付けられる第1板部材と;第2リンク部における第1の関節部側に蝶番構造で取り付けられる第2板部材と;第1板部材と第2板部材とが平行な状態で、第1板部材及び第2板部材を互いに同一平面上で回転可能に取り付ける軸部材と;を備えた構造を有することとした。これに対し、第1の関節部の構造を、第1リンク部に対する第2リンク部の運動として、屈曲及び伸展運動、並びに、屈曲及び伸展運動を行う面と垂直な面での回転運動を含む運動を行うことができる可撓性の材質で成形された構造としてもよい。
また、第1、第6及び第7実施形態に係るロボットハンドについて、各指部における第1リンク部と、取付部材とが一体成形されていてもよい。また、各指部における第1リンク部と、取付部材と、ベース部材とが一体成形されていてもよい。