しかしながら、上記特許文献1に示されたプラズマ生成装置においては、ヘリウムに比べてアルゴンガス、窒素または酸素などの安価で入手が容易なプラズマガスで長さの長い主プラズマを生成することが困難であるという問題がある。
<第1実施形態>
以下、本発明に係るプラズマ生成装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るプラズマ生成装置100の構成の概略を模式的に示した正面断面図である。また、図2は、図1に示すプラズマ生成装置100におけるプラズマ噴射体101の外観構成の概略を図1の下方から見た状態を示した底面図である。
なお、本明細書において参照する図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。このプラズマ生成装置100は、標準大気圧の大気に開放された環境下で拡大プラズマPEを生成して食品からなる被処理物WKに照射して殺菌する機械装置である。
(プラズマ生成装置100の構成)
プラズマ生成装置100は、プラズマ噴射体101を備えている。プラズマ噴射体101は、図3に示すように、プラズマPを発生させるための部品であり、平面視で長方形状に延びる板状体で構成されている。このプラズマ噴射体101は、主として、噴射体本体102、露出電極104および非露出電極106をそれぞれ備えて構成されている。なお、図3においては、プラズマPを薄いハッチングで示している。
噴射体本体102は、露出電極104と非露出電極106とを互いに電気的に絶縁した状態で保持するとともに露出電極104と非露出電極106との間に生じたプラズマPを外部に噴出させるための部品であり、露出電極104と非露出電極106との間を介しつつ非露出電極106の両面を覆う大きさの不導体で構成されている。本実施形態においては、噴射体本体102は、アルミナなどのセラミック材を長さが400mm、幅が84mmおよび厚さが3.2mmの平面視で長方形状の板状に成形して構成されている。なお、噴射体本体102は、不導電体であれば良く、例えば、アルミナ以外のセラミック材、樹脂材またはゴム材などで構成することもできる。
この噴射体本体102には、プラズマ噴出孔103が形成されている。プラズマ噴出孔103は、露出電極104と非露出電極106との間でプラズマPを発生させるとともに発生させたプラズマPを成長させて外部に噴出させるための部分であり、噴射体本体102の厚さ方向に貫通する貫通孔で構成されている。この場合、プラズマ噴出孔103は、露出電極104側から非露出電極106側に向かって孔径が連続的に拡大するテーパ状に形成されている。
本実施形態においては、プラズマ噴出孔103は、露出電極104側の孔径が0.1mm、非露出電極106側の孔径が0.5mmの大きさにそれぞれ形成されている。そして、このプラズマ噴出孔103は、噴射体本体102の長手方向に沿って7つ形成した列と8つ形成した列とが噴射体本体102の幅方向に沿って交互に2列ずつ形成されている。
露出電極104は、非露出電極106との間でプラズマPを発生させるための電極であり、導電性を有する材料を板状に形成して構成されている。本実施形態においては、露出電極104は、銅材を長さが400mm、幅が84mmおよび厚さが0.1mmの平面視で長方形状のシート状に成形して構成されている。
なお、露出電極104は、導電性を有する材料であれば良く、例えば、銀、金、チタン、モリブデンまたはアルミニウムなど銅以外の材料で構成することもできる。また、露出電極104は、断面形状が方形のシート状以外にシート状よりも厚く剛性を有する板状、シート状よりも薄くより柔軟なフィルム状に形成することができる。また、露出電極104は、板状の他に、例えば、断面形状が円形(楕円形を含む)または多角形(三角形状、五角形、六角形など)の筒状に形成することもできる。
この露出電極104は、噴射体本体102の両面における一方の表面(図示上面)に不導体のセラミック接着剤(図示せず)などの接合材を用いて貼り付けられている。そして、露出電極104は、後述するプラズマ生成用電源150に電気的に接続されている。また、この露出電極104には、噴射体本体102のプラズマ噴出孔103に対向する位置に露出孔105が形成されている。
露出孔105は、露出電極104をプラズマ噴出孔103内にて露出させるための部分であり、露出電極104の厚さ方向に貫通する貫通孔で構成されている。この露出孔105は、プラズマ噴出孔103に重なる位置にプラズマ噴出孔103と同じ大きさで形成されている。これにより、露出電極104は、プラズマ噴出孔103内に露出している。
非露出電極106は、露出電極104との間でプラズマPを発生させるための電極であり、導電性を有する材料を板状に形成して構成されている。本実施形態においては、非露出電極106は、銅材を長さが400mm、幅が84mmおよび厚さが0.1mmの平面視で長方形状のシート状に成形して構成されている。なお、非露出電極106は、露出電極104と同様に、導電性を有する材料であれば他の材料で構成できる。また、非露出電極106は、シート状以外にシート状よりも厚く剛性を有する板状またはシート状よりも薄くより柔軟なフィルム状に形成することができる。また、非露出電極106は、板状の他に、例えば、断面形状が円形(楕円形を含む)または多角形(三角形状、五角形、六角形など)の筒状に形成することもできる。
この非露出電極106は、噴射体本体102の両面における他方の表面(図示下面)側に埋設されている。この場合、非露出電極106の端面は噴射体本体102の端面から露出しておりプラズマ生成用電源150が電気的に接続されている。また、この非露出電極106には、噴射体本体102のプラズマ噴出孔103に対応する位置に非露出孔107が形成されている。
非露出孔107は、非露出電極106をプラズマ噴出孔103内で露出させないための部分であり、非露出電極106の厚さ方向に貫通する貫通孔で構成されている。この非露出孔107は、プラズマ噴出孔103に重なる位置にプラズマ噴出孔103よりも大きな孔径で形成されている。この非露出孔107は、プラズマ噴出孔103に対して半径で1mm以上かつ5mm以下の範囲で大きく形成するとよい。これにより、非露出電極106は、プラズマ噴出孔103内に露出しないように構成される。また、露出電極104と非露出電極106との間の間隔は、生成するプラズマPに応じて適宜設定されるものであるが、0.2mm以上かつ3mm以下が好ましい。
第1拡大放電電極110は、図4に示すように、プラズマガスを供給しつつプラズマ噴射体101を支持するとともに第2拡大放電電極120と対を構成して拡大プラズマPEを発生させるための部品であり、導電性を有する材料を長尺に延ばして形成されている。より具体的には、第1拡大放電電極110は、プラズマ噴射体101に沿って長尺に延びるとともに第2拡大放電電極120に対して対向する板状体で構成されている。
本実施形態においては、第1拡大放電電極110は、アルミニウム材を長さが400mm、幅が84mmおよび厚さが15mmの板状体に図示下方に向かって開口する凹部を形成して構成されている。この第1拡大放電電極110は、保持部111と電極部116とで構成されている。なお、図4においては、拡大プラズマPEを濃いハッチングで示している。
保持部111は、主として、プラズマ噴射体101を支持する部分であり、平面視で長方形の枠状に形成されている。この保持部111は、第2拡大放電電極120に対向する側が内側に屈曲して方形枠状の平面部が形成されており、この方形枠状の平面部にプラズマ噴射体101が接着剤(図示せず)を介して固着されている。この場合、保持部111は、プラズマ噴射体101の露出電極104に対して電気的に接続された状態で固着されている。
また、保持部111には、前記方形枠状の平面部の内側に開口部111aが形成されるとともに、保持部111における電極部116側にプラズマガスジャケット112が形成されている。開口部111aは、プラズマガスジャケット112内に導かれたプラズマガスをプラズマ噴射体101におけるプラズマ噴出孔103に導くために開口した部分である。
プラズマガスジャケット112は、電極部116のプラズマガス供給路117から導かれるプラズマガスを一時的に貯留してプラズマ噴射体101に導くための部分であり、保持部111を貫通する空洞部で構成されている。本実施形態においては、プラズマガスジャケット112は、保持部111の裏面側から見た平面視で略長方形状に形成されている。このプラズマガスジャケット112内には、多孔体113,114およびスペーサ115がそれぞれ設けられている。
多孔体113,114は、プラズマガスジャケット112内に導入されたプラズマガスの流れを緩衝するための部品であり、金属製、樹脂製またはセラミック製の板状体でそれぞれ構成されている。これらの多孔体113,114は、板面の全体に多数の貫通孔113a,114aが形成された所謂パンチングプレートである。
この場合、多孔体113の貫通孔113aと多孔体114の貫通孔114aとは、多孔体113と多孔体114とが図示上下方向に互いに対向配置された際に貫通孔113aと貫通孔114aとが互いに重ならないように互いにずれた位置に形成されている。これらの多孔体113,114は、互いの板面が隙間を介して対向するように重ねられてプラズマガスジャケット112内に配置されている。
スペーサ115は、多孔体113,114が互いに密着して重なること防止するとともに、多孔体113,114の各板面がプラズマガスジャケット112および電極部116にそれぞれ密着することを防止してこれらの各間に隙間を形成するための部品である。このスペーサ115は、金属材、樹脂材またはセラミック材を平板リング状に形成して構成されている。本実施形態においては、スペーサ115は、プラズマガスジャケット112の底部部分と多孔体113との間、多孔体113と多孔体114との間、多孔体114と電極部116の図示上面との間にそれぞれ配置されている。
電極部116は、第1拡大放電電極110において主として電極として機能しつつプラズマガスジャケット112における図示上方側の開口部を覆ってプラズマガスジャケット112内を密閉するとともにプラズマガスジャケット112内にプラズマガスを導くための部品であり、導電性を有する金属材料を平面視で保持部111と同じ大きさの方形の板状に形成して構成されている。この電極部116は、第2拡大放電電極120に対向する第2拡大放電電極対向面116aは平面状に形成されているとともに、この第2拡大放電電極対向面116aに開口した状態でプラズマガス供給路117が形成されている。
プラズマガス供給路117は、プラズマガス供給設備(図示せず)から供給されるプラズマガスをプラズマガスジャケット112に導くための流路であり、電極部116の厚み方向に貫通する貫通孔で構成されている。このプラズマガス供給路117は、プラズマガスジャケット112に対向する複数(本実施形態においては6つ)の位置に略均等に配置されて形成されている。そして、各プラズマガス供給路117は、プラズマガス供給設備に対して図示しない配管を介して接続されている。
ここで、プラズマガスは、プラズマPを発生させ易くするとともに生成されたプラズマPを第2拡大放電電極120側に導いて拡大プラズマPEを発生および維持させるための気体であり、窒素、アルゴンおよびヘリウムなどの空気よりも電離電圧の低い気体を単体でまたはこれらを混合して、さらには、これらに水蒸気またはアンモニアなどのガスを添加して構成されている。このプラズマガスは、ポンプまたはタンクからなるプラズマガス供給設備からプラズマガスジャケット112を介してプラズマ噴出孔103に供給される。
この第1拡大放電電極110は、プラズマ生成用電源150に電気的に接続された状態で第2拡大放電電極120に対して所定の距離を介した位置に電極支持体130によって支持されている。なお、第1拡大放電電極110は、導電性を有する材料であれば良く、例えば、銀、金、チタン、モリブデンまたは銅などアルミニウム以外の材料で構成することもできる。
第2拡大放電電極120は、第1拡大放電電極110と対を構成して拡大プラズマPEを発生させるための部品であり、導電性を有する材料を長尺に延ばして形成されている。より具体的には、第2拡大放電電極120は、第1拡大放電電極110に保持されたプラズマ噴射体101に拡大放電用誘電体140を介して対向する第1拡大放電電極対向面120aを有した板状体で構成されている。本実施形態においては、第2拡大放電電極120は、アルミニウム材を長さが400mm、幅が84mmおよび厚さが10mmの板状体に形成して構成されている。この第2拡大放電電極120は、プラズマ噴射体101および第1拡大放電電極110に対して所定の距離を介した位置に電極支持体130によって支持された状態で拡大プラズマ生成用電源152に電気的に接続されている。
第1拡大放電電極対向面120aは、第1拡大放電電極110に保持されたプラズマ噴射体101の露出電極104との間で拡大プラズマPEを発生させるための部分であり、露出電極104と平行な平面に形成されている。この場合、第1拡大放電電極対向面120aは、第2拡大放電電極120の長手方向および同長手方向に直交する幅方向の各端部がそれぞれ丸みを帯びた曲面形状に形成されて局所的な放電が発生すること防止している。なお、第2拡大放電電極120は、導電性を有する材料であれば良く、例えば、銀、金、チタン、モリブデンまたは銅などアルミニウム以外の材料で構成することもできる。
電極支持体130は、第1拡大放電電極110と第2拡大放電電極120とを互いに所定の距離を介した離隔した位置にそれぞれ保持する部品であり、第1拡大放電電極110と第2拡大放電電極120をこれら以外の物品から電気的に絶縁する不導体で構成されている。本実施形態においては、電極支持体130は、フッ素樹脂材で構成されている。この電極支持体130は、主として、第1電極支持体131、第2電極支持体132および支柱133をそれぞれ備えて構成されている。
第1電極支持体131は、第1拡大放電電極110を図示上方から支持する部品であり、平面視で第1拡大放電電極110よりも大きな面積の方形の板状体で構成されている。この場合、第1電極支持体131には、第1拡大放電電極110の各プラズマガス供給路117にそれぞれ連結されるプラズマガスの配管(図示せず)が貫通する貫通孔131aが形成されている。この第1電極支持体131は、図示しないボルトが第1拡大放電電極110にネジ嵌合することで第1拡大放電電極110を図示上方から固定的に支持している。
第2電極支持体132は、第2拡大放電電極120を第1拡大放電電極110に対向した状態で図示下方から支持する部品であり、平面視で第2拡大放電電極120よりも大きな面積の方形の板状体で構成されている。この第2電極支持体132は、図示しないボルトを介して第2拡大放電電極120を図示下方から固定的に支持している。
支柱133は、第2電極支持体132に対して所定の距離を介して対向した状態で第1電極支持体131を支持することで第1拡大放電電極110を第2拡大放電電極120に対して所定の空隙を介した位置に対向配置するための部品であり、丸棒状に形成されている。この支柱133は、第1電極支持体131および第2電極支持体132の各四隅に設けられた図示しないボルトを介して第1電極支持体131および第2電極支持体132にそれぞれ固定的に連結されている。なお、図1、図3および図4においては、支柱133の中央部分の図示を省略している(図7~図11における支柱231も同様)。
本実施形態においては、支柱133は、第2拡大放電電極120の第1拡大放電電極対向面120aに対して第1拡大放電電極110が支持するプラズマ噴射体101の図示下面を10mmだけ離隔した位置に対向配置する長さに形成されている。なお、この電極支持体130は、第1拡大放電電極110と第2拡大放電電極120とを互いに所定の距離を介した位置で互いに電気的に絶縁した状態で支持することができれば本実施形態に限定されるものでないことは当然である。また、図1、図3および図4においては、電極支持体130を二点鎖線で示している(図7~図11における電極支持体230も同様)。
拡大放電用誘電体140は、第1拡大放電電極110と第2拡大放電電極120との間で両者を電気的に絶縁するとともに被処理物WKを支持するための部品であり、プラズマ噴射体101と第2拡大放電電極120の第1拡大放電電極対向面120aとの間で両者を覆う大きさの不導体で構成されている。より具体的には、拡大放電用誘電体140は、プラズマ噴射体101および第1拡大放電電極対向面120aの各長手方向および各幅方向の長さよりも長い長さのフッ素樹脂製のシート材を環状の無端ベルト状に形成して構成されている。本実施形態においては、拡大放電用誘電体140は、厚さが1mmのフッ素樹脂製のシートを用いている。
この拡大放電用誘電体140は、図示しない駆動ローラと従動ローラとの間に水平方向に張られた状態で架設されて駆動ローラの回転駆動によって無限軌道状に送られる。すなわち、拡大放電用誘電体140は、ベルトコンベアにおける搬送ベルトを構成している。なお、本実施形態における拡大放電用誘電体140は、無端ベルトの周方向に沿って柔軟に屈曲する不導体で構成されていればよく、フッ素樹脂材以外の樹脂材(例えば、ポリアミド樹脂材など)からなるシート材であってもよい。
プラズマ生成用電源150は、プラズマ噴射体101にプラズマPを発生させるとともに第1拡大放電電極110と第2拡大放電電極120との間で拡大プラズマPEを発生させるための電気機器である。このプラズマ生成用電源150は、プラズマ噴射体101が備える2つの電極である露出電極104と非露出電極106とに対して交流電圧を印加するための電気機器である。この場合、プラズマ生成用電源150は、第1拡大放電電極110に接続されており、この第1拡大放電電極110を介して露出電極104に電気的に接続されている。
本実施形態においては、プラズマ生成用電源150は、一般家庭用電源(100Vまたは200V)から電力供給を受けて露出電極104および非露出電極106に対して電圧が±1kV~±20kVの範囲でかつ周波数が100Hz~30kHzの範囲で所望の電圧および周波数の交流電圧を印加することができる。
この場合、プラズマ生成用電源150は、出力電圧の位相を変化させる図示しない移相器を備えている。また、プラズマ生成用電源150は、矩形波、正弦波、台形波および三角波のうちのいずれの交流電圧を連続的または間欠的に出力するものであってもよい。また、このプラズマ生成用電源150は、アース151を介して接地されている。
拡大プラズマ生成用電源152は、第1拡大放電電極110と第2拡大放電電極120との間で拡大プラズマPEを発生させるための電気機器であり、本発明に係る拡大プラズマ生成用電源に相当する。本実施形態においては、拡大プラズマ生成用電源152は、前記プラズマ生成用電源150と同様に、一般家庭用電源(100Vまたは200V)から電力供給を受けて第1拡大放電電極110および第2拡大放電電極120に対して電圧が±1kV~±20kVの範囲でかつ周波数が100Hz~30kHzの範囲で所望の電圧および周波数の交流電圧を印加することができる。
この場合、拡大プラズマ生成用電源152は、出力電圧の位相を変化させる図示しない移相器を備えている。また、拡大プラズマ生成用電源152は、矩形波、正弦波、台形波および三角波のうちのいずれの交流電圧を連続的または間欠的に出力するものであってもよい。また、この拡大プラズマ生成用電源152は、アース151を介して接地されている。
なお、これらのプラズマ生成用電源150および拡大プラズマ生成用電源152の出力電圧および周波数は、生成するプラズマPおよび拡大プラズマPEに応じて適宜設定されるものであって本実施形態に限定されるものでないことは当然である。また、このプラズマ生成装置100は、被処理物WKにプラズマを照射する作業を行う屋内または屋外の作業台上に直接載置または取り付けて設けられるほか、被処理物WKにプラズマを照射する作業を含む被処理物WKの加工装置や搬送装置の一部に組み込んで設けられる。
(プラズマ生成装置100の作動)
次に、上記のように構成したプラズマ生成装置100の作動について説明する。本第1実施形態においては、プラズマ生成装置100は、豆、小麦、ゴマ、胡椒または茶葉(碾茶や抹茶を含む)などの粉状または粒状の食品の製造加工ラインに組み込まれてこれらを被処理物WKとして殺菌消毒処理を行う場合について説明する。この場合、プラズマ生成装置100は、標準大気圧の大気中に直接露出した状態で設置される。
プラズマ生成装置100を使用して被処理物WKにプラズマ照射を行う作業者は、まず、プラズマ処理に関する初期設定を行う。具体的には、作業者は、プラズマ生成装置100におけるプラズマ生成用電源150および拡大プラズマ生成用電源152をそれぞれ操作して各電源が出力する電圧、電流、周波数および位相をそれぞれ設定する。この場合、作業者は、プラズマ生成用電源150が出力する交流の出力電圧と拡大プラズマ生成用電源152が出力する交流の出力電圧とが互いに同じ周波数でかつ位相が互いに180°だけずれた逆位相となるように設定する。
また、プラズマ生成用電源150および拡大プラズマ生成用電源152をそれぞれ操作して各電源が出力する電圧、電流および周波数は、拡大プラズマPEを発生させるための電圧、電流および周波数であり、プラズマ処理内容に応じて予め実験的に求められる。本実施形態においては、作業者は、プラズマ生成用電源150に対して電圧が1~9kV(例えば、±2kV)、電流が20mAおよび周波数が10kHzの正弦波の交流電圧を設定するとともに拡大プラズマ生成用電源152に対して電圧が5kV~20kV(例えば、±10kV)、電流が20mAおよび周波数が10kHzの正弦波の交流電圧を設定する。
この場合、作業者は、プラズマ生成用電源150および拡大プラズマ生成用電源152に対して互いに逆位相の交流電圧を設定する。なお、プラズマ生成用電源150および拡大プラズマ生成用電源152の各出力電圧の振幅を互いに異なる値に設定してもよいが、互いに同じ振幅の値に設定することもできる。
次に、作業者は、第1拡大放電電極110と第2拡大放電電極120との間に拡大プラズマPEを発生させる。具体的には、作業者は、プラズマ生成用電源150および拡大プラズマ生成用電源152をそれぞれ操作して交流電圧を出力させるとともに、プラズマガス供給装置(図示せず)を操作してプラズマガスジャケット112内にプラズマガスの供給を開始させる。
これにより、プラズマ噴射体101においては、図3に示すように、露出電極104と非露出電極106との間に印加された交流電圧によってプラズマ噴出孔103内の大気の一部が電離するとともに活性化されて小規模なプラズマPが発生する。すなわち、プラズマPは、大気圧下における誘電体バリア放電によって生成される。
一方、プラズマガスジャケット112内に導入されたプラズマガスは、2つの多孔体113,114に遮られながら通過して蛇行しながらプラズマ噴出孔103に進入する。これにより、プラズマ噴出孔103内においては、小規模なプラズマPの生成が促進される。そして、プラズマ噴出孔103内で生成されたに小規模なプラズマPは、プラズマ噴出孔103内に連続的に供給されるプラズマガスによってプラズマ噴射体101から第2拡大放電電極120に向かって噴出する。
この場合、プラズマ噴出孔103は、露出電極104側から非露出電極106側に向かって孔径が連続的に拡大するテーパ状に形成されているため、小規模なプラズマPを円滑により大きなプラズマPに成長させることができる。また、プラズマ噴出孔103から噴出したプラズマガスは、拡大放電用誘電体140に衝突することで拡大放電用誘電体140上におけるプラズマガスの濃度が向上する。
これにより、第1拡大放電電極110と第2拡大放電電極120との間においては、図4に示すように、第1拡大放電電極110と第2拡大放電電極120との間に印加された交流電圧によって第1拡大放電電極110と第2拡大放電電極120との間に存在する大気およびプラズマ噴出孔103内から噴出したプラズマガスの各一部がプラズマPによって発生した電子または活性種をトリガとして電離するとともに活性化されて拡大プラズマPEが発生する。
この場合、拡大プラズマPEは、30個のプラズマ噴出孔103の外縁に対応する略方形の平面状の領域内でプラズマが柱状に延びて形成される。すなわち、本発明に係るプラズマ生成装置100は、第1拡大放電電極110と第2拡大放電電極120との間で均一で電極面に垂直な方向(プラズマガスの流通方向)に長さの長い柱状の拡大プラズマPEを形成することができる。この場合、作業者は、プラズマガス供給設備(図示せず)を操作してプラズマガスの供給量を増加または減少させることで拡大プラズマPEの生成を促進または減退させて拡大プラズマPEが生成される領域を広げまたは狭めることができる。
なお、図1、図3および図4においては、プラズマガスの流れを破線矢印で示している。また、プラズマ噴射体101と第2拡大放電電極120との間で均一な放電が面状に広がって柱状に立ち上る拡大プラズマPEとは、少なくとも人が目視で均一と確認できるレベルである。
次に、作業者は、拡大放電用誘電体140を回転駆動させる。具体的には、作業者は、図示しないベルトコンベアの制御装置を操作することで拡大放電用誘電体140を回転駆動させる(図1および図4における破線矢印参照)。
次に、作業者は、被処理物WKへのプラズマ照射処理を行う。具体的には、作業者は、拡大放電用誘電体140上に被処理物WKを連続的に供給する供給装置(図示せず)の作動を開始させることによって拡大放電用誘電体140上に被処理物WKを連続的に供給する。これにより、拡大放電用誘電体140上に載置された被処理物WKは、プラズマ噴射体101と第2拡大放電電極120との間に形成された拡大プラズマPE中を通過することでプラズマ照射されて殺菌処理が行なわれる。そして、拡大プラズマPEが照射された被処理物WKは、図示しない被処理物WKの回収装置によって回収される。
なお、本発明者らは、プラズマ生成装置100を用いて豆に大腸菌を付着させた被処理物WKに対して拡大プラズマPEを照射する実験を行ったところ、拡大放電用誘電体140の載置場所に因らず均一な殺菌効果が発揮されたことを確認した。また、本発明者らは、セルロースの繊維でできた短冊に菌個数約4000の芽胞菌(例えば、Geobacillus Stearothermophilus)を浸み込ませたものをグラシン紙で包装したバイオロジカルインディケータに対してプラズマ生成装置100を用いて約30秒~約60秒の範囲のプラズマ照射したところ、この芽胞菌を死滅させることができることを確認した。
次に、作業者は、被処理物WKへのプラズマ照射処理を終了する場合には、被処理物WKを拡大放電用誘電体140上に供給するワーク供給装置の作動を停止させた後、プラズマ生成用電源150および拡大プラズマ生成用電源152の各作動を停止させてプラズマ噴射体101、第1拡大放電電極110および第2拡大放電電極120への交流電圧の印加を停止させる。これにより、プラズマ生成装置100は、プラズマPおよび拡大プラズマPEが消滅するため、被処理物WKへのプラズマ照射処理を終了することができる。この場合、作業者は、プラズマPおよび拡大プラズマPEの消滅とともに、プラズマガス供給設備(図示せず)を操作してプラズマガスの供給を停止させる
なお、作業者は、プラズマガス供給設備(図示せず)を操作してプラズマガスの供給を停止させることによってもプラズマPおよび拡大プラズマPEを消滅させることができる。これの場合、作業者は、プラズマPおよび拡大プラズマPEの消滅とともに、プラズマ生成用電源150および拡大プラズマ生成用電源152の各作動を停止させる。
上記作動説明からも理解できるように、上記第1実施形態によれば、プラズマ生成装置100は、プラズマ噴出孔103に露出電極104と非露出電極106を設けるとともに、このプラズマ噴出孔103の孔径を露出電極104側よりも非露出電極106側が広がって形成することで安価で入手が容易なプラズマガスで長さの長い拡大プラズマPEを簡単な構成で容易に生成することができる。本発明者らの実験によれば、放電が困難とされる大気圧下で窒素をプラズマガスとして上記従来技術よりも低電圧で長さの長いプラズマPおよび拡大プラズマPEをそれぞれ生成することを確認した。
また、プラズマ生成装置100は、プラズマ噴射体101が一対の拡大放電電極を構成する第1拡大放電電極110に隣接して設けられているため、第1拡大放電電極110と第2拡大放電電極120との間においてプラズマ噴射体101から噴射されたプラズマPを予備的なプラズマとしてこの予備的なプラズマPを起因としてより大きな拡大プラズマPEを発生させることができる。この場合、プラズマ生成装置100は、予備的なプラズマPを生成することなく直接拡大プラズマPEを生成する場合に比べて拡大プラズマ生成用電源152による印加電圧を下げることができる。すなわち、本発明に係るプラズマ生成装置100は、拡大プラズマPEの生成電圧を低電圧化することができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記第1実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、各変形例の説明においては、上記実施形態と同様の部分については同じ符号を付している。
例えば、上記第1実施形態においては、プラズマ噴出孔103は、露出電極104側の孔径が0.1mm、非露出電極106側の孔径が0.5mmの大きさにそれぞれ形成した。しかし、プラズマ噴出孔103の孔径は、小規模なプラズマPを生成することができれば特に限定されるものではない。この場合、プラズマ噴出孔103は、露出電極104側の孔径が0.1mm以上かつ0.2mm以下、非露出電極106側の孔径が0.5mm以上かつ1mm以下に形成するとよい。
また、上記第1実施形態においては、プラズマ噴出孔103は、露出電極104側から非露出電極106側に向かって孔径が連続的に拡大するテーパ状に形成した。しかし、プラズマ噴出孔103は、プラズマ噴出孔103内にて露出する誘電体の部分の内径が露出電極104側より非露出電極106側が大径に形成されていればよい。したがって、プラズマ噴出孔103は、例えば、図5に示すように、露出電極104側に形成された孔径が一定の小径部103aと非露出電極106側に形成された孔径が一定の大径部103bとが段部103cを介して繋がった形状で構成することもできる。この場合、プラズマ噴出孔103は、段部103cを介してまたは図6に示すように、段部103cを省略して大径部103bをテーパ状に形成することもできる。
また、上記第1実施形態においては、プラズマ生成装置100は、第1拡大放電電極110および第2拡大放電電極120を備えて構成した。しかし、プラズマ生成装置100は、後述する第2実施形態のように、第2拡大放電電極120を省略して構成することもできる。また、プラズマ生成装置100は、プラズマ噴射体101を第2拡大放電電極120にのみ設けてもよい。
また、プラズマ生成装置100は、図7に示すように、プラズマ噴射体101を第1拡大放電電極110および第2拡大放電電極120の両方に備えて構成することもできる。この場合、第2拡大放電電極120は、第1拡大放電電極110と同様に構成することができる。すなわち、第2拡大放電電極120は、保持部111、開口部111a、プラズマガスジャケット112、多孔体113,114、貫通孔113a,114a、スペーサ115、電極部116、第2拡大放電電極対向面116aおよびプラズマガス供給路117に相当する保持部121、開口部121a、プラズマガスジャケット122、多孔体123,124、貫通孔123a,124a、スペーサ125、電極部126、第2拡大放電電極対向面126aおよびプラズマガス供給路127を備えて構成することができる。
この場合、第2拡大放電電極120およびこの第2拡大放電電極120に設けられたプラズマ噴射体101には、上記プラズマ生成用電源150と同じ電源で構成された拡大プラズマ生成用電源152が接続されている。そして、この拡大プラズマ生成用電源152は、プラズマ生成用電源150は逆位相の交流電圧を第2拡大放電電極120およびこの第2拡大放電電極120にそれぞれ印加する。なお、第2拡大放電電極120は、上記貫通孔131aを有した第1電極支持体131と同様に構成された貫通孔132aを有した第2電極支持体132によって支持されている。
また、この場合、図7においては、プラズマ生成装置100は、第1拡大放電電極110に設けたプラズマ噴射体101と第2拡大放電電極120に設けたプラズマ噴射体101とで、互いのプラズマ噴出孔103が互いに対向し合うように各プラズマ噴射体101を配置して構成した。しかし、プラズマ生成装置100は、第1拡大放電電極110に設けたプラズマ噴射体101と第2拡大放電電極120に設けたプラズマ噴射体101とで、互いのプラズマ噴出孔103が互いに対向し合わないようにずれた位置に配置することができる。これによれば、プラズマ生成装置100は、拡大放電用誘電体140上におけるプラズマPの生成ムラを抑えることができる。
また、上記第1実施形態においては、拡大放電用誘電体140は、無端ベルト状に形成した。しかし、拡大放電用誘電体140は、第1拡大放電電極110と第2拡大放電電極120との間に配置されて第1拡大放電電極110および第2拡大放電電極120に沿って延びる誘電体で構成されていればよい。したがって、拡大放電用誘電体140は、例えば、ガラスを含むセラミック材、樹脂材またはゴム材などの不導体を環状に形成されていない単なる平面状のシート状または板状に形成して構成することができる。この場合、拡大放電用誘電体140は、支柱133で支持することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明に係るプラズマ生成装置の第2実施形態について図8~図10を参照しながら説明する。この第2実施形態におけるプラズマ生成装置200を構成するプラズマ噴射体201の構成が異なるとともに、上記第1実施形態における第1拡大放電電極110および第2拡大放電電極120を備えない点において上記第1実施形態と異なる。したがって、この第2実施形態におけるプラズマ生成装置200においては、上記第1実施形態と異なる部分を中心に説明して、両実施形態において共通する部分や対応する部分については適宜説明を省略する。
(プラズマ生成装置200の構成)
プラズマ噴射体201は、プラズマPを発生させるための部品であり、平面視で長方形状に延びる板状体で構成されている。このプラズマ噴射体201は、主として、噴射体本体202、露出電極204、非露出電極206および中間電極208をそれぞれ備えて構成されている。
噴射体本体202は、露出電極204、中間電極208および非露出電極206を互いに電気的に絶縁した状態で保持するとともに中間電極208と非露出電極206との間に生じたプラズマPを外部に噴出させるための部品であり、露出電極204と中間電極208との間および露出電極204と非露出電極206との間をそれぞれ介しつつ中間電極208および非露出電極206の各両面を覆う大きさの不導体で構成されている。
本実施形態においては、噴射体本体202は、アルミナなどのセラミック材を長さが400mm、幅が84mmおよび厚さが3.2mmの平面視で長方形状の板状に成形して構成されている。なお、噴射体本体202は、不導電体であれば良く、例えば、アルミナ以外のセラミック材、樹脂材またはゴム材などで構成することもできる。
この噴射体本体202には、プラズマ噴出孔203が形成されている。プラズマ噴出孔203は、露出電極204と中間電極208との間でプラズマPを発生させるとともに中間電極208と非露出電極206との間でプラズマPを成長させて外部に噴出させるための部分であり、噴射体本体202の厚さ方向に貫通する貫通孔で構成されている。この場合、プラズマ噴出孔203は、露出電極204側に対して非露出電極206側の孔径が大きく形成されている。
より具体的には、プラズマ噴出孔203は、小径部203aと大径部203bとが段部203cを介して繋がって形成されている。小径部203aは、図9に示すように、露出電極204と中間電極208との間に形成されてプラズマPを発生させる部分であり円筒状に形成されている。なお、図9においては、小径部203a内で生成されるプラズマPを薄いハッチングで示している。
大径部203bは、図10に示すように、中間電極208と非露出電極206との間に形成されてプラズマPを成長させる部分であり小径部203aよりも大径の円筒状に形成されている。段部203cは、小径部203aにおける大径部203b側の端部が径方向外側に広がった環状の部分である。なお、図10においては、大径部203b内で生成されて噴出するプラズマPを濃いハッチングで示している。
本実施形態においては、プラズマ噴出孔203は、小径部203aの孔径が0.1mm、長さが0.2mm、大径部203bの孔径が0.5mm、長さが2mmにそれぞれ形成されている。そして、このプラズマ噴出孔103は、噴射体本体102の長手方向に沿って7つ形成した列と8つ形成した列とが噴射体本体202の幅方向に沿って交互に2列ずつ形成されている。
露出電極204は、中間電極208との間でプラズマPを発生させるための電極であり、導電性を有する材料を板状に形成して構成されている。本実施形態においては、露出電極204は、銅材を長さが400mm、幅が84mmおよび厚さが0.1mmの平面視で長方形状のシート状に成形して構成されている。なお、露出電極204の材質および形状のバリエーションについては露出電極104と同様に種々採用することができる。
この露出電極204は、噴射体本体202の両面における一方の表面(図示上面)に不導体のセラミック接着剤(図示せず)などの接合材を用いて貼り付けられている。そして、露出電極204には、後述する第1プラズマ生成用電源220に電気的に接続されている。また、露出電極204には、噴射体本体202のプラズマ噴出孔203に対応する位置に露出孔205が形成されている。
露出孔205は、露出電極204をプラズマ噴出孔203内にて露出させるための部分であり、露出電極204の厚さ方向に貫通する貫通孔で構成されている。この露出孔205は、プラズマ噴出孔203に重なる位置にプラズマ噴出孔203と同じ大きさで形成されている。これにより、露出電極204は、プラズマ噴出孔203内に露出している。
非露出電極206は、中間電極208との間でプラズマPを成長させるための電極であり、導電性を有する材料を板状に形成して構成されている。本実施形態においては、非露出電極206は、銅材を長さが400mm、幅が84mmおよび厚さが0.1mmの平面視で長方形状のシート状に成形して構成されている。なお、非露出電極206の材質および形状のバリエーションについては非露出電極106と同様に種々採用することができる。
この非露出電極206は、噴射体本体202の両面における他方の表面(図示下面)側に埋設されている。この場合、非露出電極206の端面は噴射体本体202の端面から露出しており第2プラズマ生成用電源222が電気的に接続されている。また、この非露出電極206には、噴射体本体202のプラズマ噴出孔203に対応する位置に非露出孔207が形成されている。
非露出孔207は、非露出電極206をプラズマ噴出孔203内で露出させないための部分であり、非露出電極206の厚さ方向に貫通する貫通孔で構成されている。この非露出孔207は、プラズマ噴出孔203の大径部203bに重なる位置に大径部203bよりも大きな孔径で形成されている。この非露出孔207は、大径部203bに対して半径で1mm以上かつ5mm以下の範囲で大きく形成するとよい。これにより、非露出電極206は、プラズマ噴出孔203内に露出しないように構成される。
中間電極208は、露出電極204との間でプラズマPを発生させるとともに非露出電極206との間でプラズマPを成長させるための電極であり、導電性を有する材料を板状に形成して構成されている。本実施形態においては、非露出電極206は、銅材を長さが400mm、幅が84mmおよび厚さが0.1mmの平面視で長方形状のシート状に成形して構成されている。なお、中間電極208の材質および形状のバリエーションについては非露出電極206と同様に種々採用することができる。
この中間電極208は、噴射体本体202における露出電極204と非露出電極206との間に埋設されている。本実施形態においては、中間電極208は、段部203cに隣接する小径部203aの端部に配置されている。この場合、中間電極208の端面は噴射体本体202の端面から露出しており第2プラズマ生成用電源222が電気的に接続されている。また、この中間電極208には、噴射体本体202のプラズマ噴出孔203に対応する位置に非露出孔209が形成されている。
非露出孔209は、中間電極208をプラズマ噴出孔203内で露出させないための部分であり、中間電極208の厚さ方向に貫通する貫通孔で構成されている。この非露出孔209は、プラズマ噴出孔203の小径部203aに重なる位置に小径部203aよりも大きな孔径で形成されている。この非露出孔209は、小径部203aに対して半径で1mm以上かつ5mm以下の範囲で大きく形成するとよい。これにより、中間電極208は、プラズマ噴出孔203内に露出しないように構成される。
そして、これらの場合、露出電極204と中間電極208との間の間隔は、生成するプラズマPに応じて適宜設定されるものであるが、0.2mm以上かつ0.3mm以下が好ましい。また、中間電極208と非露出電極206との間の間隔は、生成するプラズマPに応じて適宜設定されるものであるが、2mm以上かつ3mm以下が好ましい。
ジャケット形成体210は、プラズマガスを供給しつつプラズマ噴射体201を支持するとともに露出電極204に電気を導くための部品であり、平面視でプラズマ噴射体201と同等以上の大きさのブロック状に形成されている。より具体的には、ジャケット形成体210は、プラズマ噴射体201に沿って長尺に延びる板状体で構成されている。本実施形態においては、ジャケット形成体210は、上記第1実施形態における第1拡大放電電極110と全く同一に形成されている。すなわち、ジャケット形成体210は、アルミニウム材を長さが400mm、幅が84mmおよび厚さが15mmの板状体に図示下方に向かって開口する凹部を形成して構成されている。このジャケット形成体210は、保持部211と閉塞部216とで構成されている。
保持部211は、プラズマ噴射体201を支持する部分であり、上記実施形態における保持部111と同様に、平面視で長方形の枠状に形成されている。この保持部211は、プラズマ噴射体201に対向する側が内側に屈曲して方形枠状の平面部が形成されており、この方形枠状の平面部にプラズマ噴射体201が絶縁性のセラミック接着剤(図示せず)で固着されている。
また、保持部211には、前記方形枠状の平面部の内側に開口部211aが形成されるとともに、保持部211における閉塞部216側にプラズマガスジャケット212が形成されている。開口部211aは、プラズマガスジャケット212内に導かれたプラズマガスをプラズマ噴射体201におけるプラズマ噴出孔203に導くために開口した部分である。
プラズマガスジャケット212は、閉塞部216のプラズマガス供給路217から導かれるプラズマガスを一時的に貯留してプラズマ噴射体201に導くための部分であり、保持部211を貫通する空洞部で構成されている。本実施形態においては、プラズマガスジャケット212は、保持部211の裏面側から見た平面視で略長方形状に形成されている。このプラズマガスジャケット212内には、多孔体213,214およびスペーサ215がそれぞれ設けられている。
多孔体213,214は、上記実施形態における多孔体113,114と同様に、板面の全体に多数の貫通孔213a,214aが形成された所謂パンチングプレートである。また、スペーサ215は、上記実施形態におけるスペーサ115と同様に、多孔体213,214が互いに密着して重なること防止するとともに、多孔体213,214の各板面がプラズマガスジャケット212および閉塞部216にそれぞれ密着することを防止してこれらの各間に隙間を形成するための部品である。
閉塞部216は、プラズマガスジャケット212における図示上方側の開口部を覆ってプラズマガスジャケット212内を密閉するとともにプラズマガスジャケット212内にプラズマガスを導くための部品であり、平面視で保持部211と同じ大きさの方形の板状体で構成されている。この閉塞部216は、上記第1実施形態における電極部116と同様に、プラズマガスジャケット212に対向するプラズマガスジャケット対向面216aが平面状に形成されているとともに、このプラズマガスジャケット対向面216aに開口した状態でプラズマガス供給路217が形成されている。
プラズマガス供給路217は、上記第1実施形態におけるプラズマガス供給路117と同様に、プラズマガス供給設備から供給されるプラズマガスをプラズマガスジャケット212に導くための流路であり、閉塞部216の厚み方向に貫通する貫通孔で構成されている。このプラズマガス供給路217は、プラズマガスジャケット212に対向する複数(本実施形態においては6つ)の位置に略均等に配置されて形成されている。そして、各プラズマガス供給路217は、プラズマガス供給設備(図示せず)に対して配管(図示せず)を介して接続されている。
第1プラズマ生成用電源220は、露出電極204と中間電極208との間に交流電圧を印加することで両者間にプラズマPを発生させるための電気機器である。本実施形態においては、第1プラズマ生成用電源220は、上記第1実施形態におけるプラズマ生成用電源150と同様に、一般家庭用電源(100Vまたは200V)から電力供給を受けて露出電極204および中間電極208に対して電圧が±1kV~±20kVの範囲でかつ周波数が100Hz~30kHzの範囲で所望の電圧および周波数の交流電圧を印加することができる。
この場合、第1プラズマ生成用電源220は、出力電圧の位相を変化させる図示しない移相器を備えている。また、第1プラズマ生成用電源220は、矩形波、正弦波、台形波および三角波のうちのいずれの交流電圧を連続的または間欠的に出力するものであってもよい。また、この第1プラズマ生成用電源220は、アース221を介して接地されている。
第2プラズマ生成用電源222は、中間電極208と非露出電極206との間に交流電圧を印加することで両者間でプラズマPを成長させるための電気機器である。本実施形態においては、第2プラズマ生成用電源222は、上記第1実施形態におけるプラズマ生成用電源150と同様に、一般家庭用電源(100Vまたは200V)から電力供給を受けて中間電極208と非露出電極206に対して電圧が±1kV~±20kVの範囲でかつ周波数が100Hz~30kHzの範囲で所望の電圧および周波数の交流電圧を印加することができる。
この場合、第2プラズマ生成用電源222は、出力電圧の位相を変化させる図示しない移相器を備えている。また、第2プラズマ生成用電源222は、矩形波、正弦波、台形波および三角波のうちのいずれの交流電圧を連続的または間欠的に出力するものであってもよい。また、この第2プラズマ生成用電源222は、アース221を介して接地されている。
電極支持体230は、ワーク支持体240に対してプラズマ噴射体201をジャケット形成体210を介して所定の距離を介した位置に保持する部品であり、絶縁性の材料で構成されている。本実施形態においては、電極支持体230は、第1電極支持体131と同様に、ジャケット形成体210よりも大きな面積の方形の板状のフッ素樹脂材体で構成されている。また、電極支持体230は、プラズマガス供給装置(図示せず)から延びる配管(図示せず)が貫通する貫通孔230aが形成されるとともに、電極支持体230自身を所定の高さ位置に保持するための4つの支柱231(支柱133と同様の部品)を備えている。なお、電極支持体230は、導体で構成することもできる。
ワーク支持体240は、被処理物WKを支持するための部品であり、被処理物WKを載置可能な大きさの不導体で構成されている。より具体的には、ワーク支持体240は、上記実施形態における拡大放電用誘電体140と同様に、フッ素樹脂製のシート材を環状の無端ベルト状に形成して構成されている。すなわち、ワーク支持体240は、拡大放電用誘電体140と同様に、図示しない駆動ローラと従動ローラとの間に水平方向に張られた状態で架設されて駆動ローラの回転駆動によって無限軌道状に送られるベルトコンベアにおける搬送ベルトを構成している。
(プラズマ生成装置200の作動)
次に、上記のように構成したプラズマ生成装置200の作動について説明する。まず、作業者は、プラズマ処理に関する初期設定を行う。具体的には、作業者は、第1プラズマ生成用電源220および第2プラズマ生成用電源222がそれぞれ出力する電圧、電流、周波数および位相をそれぞれ設定する。この場合、第1プラズマ生成用電源220が出力する電圧、電流および周波数は、プラズマPを発生させるための電圧、電流および周波数であり、プラズマ処理内容に応じて予め実験的に求められる。本実施形態においては、作業者は、第1プラズマ生成用電源220に対して、例えば、電圧が1kV~9kV(例えば、±2kV)、電流が20mAおよび周波数が10kHzの交流電圧を設定する。
また、第2プラズマ生成用電源222が出力する電圧、電流および周波数は、プラズマPを成長させるための電圧、電流および周波数であり、プラズマ処理内容に応じて予め実験的に求められる。本実施形態においては、作業者は、第2プラズマ生成用電源222に対して、例えば、電圧が1kV~9kV(例えば、±5kV)、電流が20mAおよび周波数が10kHzの交流電圧を設定する。
この場合、作業者は、第1プラズマ生成用電源220が出力する交流の出力電圧と第2プラズマ生成用電源222が出力する交流の出力電圧とが互いに同じ周波数でかつ位相が同相となるように設定する。なお、第1プラズマ生成用電源220および第2プラズマ生成用電源222の交流電圧の位相を180°だけずれた逆相に設定することができるとともに各出力電圧を互いに出力電圧値(振幅の値)に設定することもできる。
次に、作業者は、プラズマ噴射体201からプラズマPを発生させる。具体的には、作業者は、第1プラズマ生成用電源220および第2プラズマ生成用電源222をそれぞれ操作して交流電圧を出力させるとともに、プラズマガス供給装置(図示せず)を操作してプラズマガスジャケット112内にプラズマガスの供給を開始させる。この場合、作業者は、第1プラズマ生成用電源220および第2プラズマ生成用電源222を同時に作動させてもよいが、第1プラズマ生成用電源220を作動させた後に第2プラズマ生成用電源222を作動させるとよい。
これにより、プラズマ噴射体201においては、図9に示すように、露出電極204と中間電極208との間に印加された交流電圧によって小径部203a内の大気の一部が電離するとともに活性化されて小規模なプラズマPが発生する。すなわち、プラズマPは、大気圧下における誘電体バリア放電によって生成される。
一方、プラズマガスジャケット212内に導入されたプラズマガスは、2つの多孔体213,214に遮られながら通過して蛇行しながらプラズマ噴出孔203に進入する。これにより、プラズマ噴出孔203内にいては、小径部203a内で小規模なプラズマPの生成が促進される。そして、小径部203a内にて生成された小規模なプラズマPは、プラズマガスによって大径部203b内に押し流される。
大径部203b内においては、図10に示すように、中間電極208と非露出電極206との間に印加された交流電圧によって大径部203b内の大気および小径部203aから流入したプラズマガスの各一部がプラズマPによって発生した電子または活性種をトリガとして電離するとともに活性化されてプラズマPが発達する。すなわち、プラズマPは、大気圧下における誘電体バリア放電によって生成される。この場合、大径部203bは、小径部203aよりも大きく形成されているため、プラズマPは外形的にも大きく発達する。
そして、大径部203b内で生成されたにプラズマPは、プラズマ噴出孔203内に連続的に供給されるプラズマガスによってプラズマ噴射体201からワーク支持体240に向かって噴出する。この場合、プラズマ噴出孔103から噴出したプラズマガスは、ワーク支持体240に衝突することでワーク支持体240上におけるプラズマガスの濃度が向上する。
この場合、プラズマPは、30個のプラズマ噴出孔203外縁に対応する略方形の平面状の領域内でプラズマが電極面に垂直な方向(プラズマガスの流通方向)に長さの長い柱状に延びて形成される。すなわち、本発明に係るプラズマ生成装置200は、プラズマ噴射体201から図示下方に向かって均一な柱状のプラズマPを形成することができる。この場合、作業者は、プラズマガス供給設備(図示せず)を操作してプラズマガスの供給量を増加または減少させることでプラズマPの生成を促進または減退させてプラズマPが生成される領域を広げまたは狭めることができる。
なお、図8および図10においては、プラズマガスの流れを破線矢印で示している。また、プラズマ噴射体201から図示下方に向かって均一な放電が面状に広がって柱状に立ち上るプラズマPとは、少なくとも人が目視で均一と確認できるレベルである。また、図10に示すプラズマPは、プラズマ噴出孔203ごとに柱状に描かれた部分があるが、実際は、プラズマ噴出孔203の孔径が小さくプラズマ噴出孔203が密集しているためプラズマPは全体として柱状に形成される。また、プラズマPは、プラズマ噴出孔203の孔径または形成密度を調整することによってプラズマ噴出孔203ごとに柱状に形成することもできる。
次に、作業者は、ワーク支持体240を回転駆動させる。具体的には、作業者は、図示しないベルトコンベアの制御装置を操作することでワーク支持体240を回転駆動させる。
次に、作業者は、被処理物WKへのプラズマ照射処理を行う。具体的には、作業者は、ワーク支持体240上に被処理物WKを連続的に供給する供給装置(図示せず)の作動を開始させることによってワーク支持体240上に被処理物WKを連続的に供給する。これにより、ワーク支持体240上に載置された被処理物WKは、プラズマ噴射体201から噴出するプラズマP中を通過することでプラズマ照射されて殺菌処理が行なわれる。そして、プラズマPが照射された被処理物WKは、図示しない被処理物WKの回収装置によって回収される。
次に、作業者は、被処理物WKへのプラズマ照射処理を終了する場合には、被処理物WKをワーク支持体240上に供給するワーク供給装置の作動を停止させた後、第1プラズマ生成用電源220および第2プラズマ生成用電源222の各作動をそれぞれ停止させてプラズマ噴射体201への交流電圧の印加を停止させる。これにより、プラズマ生成装置200は、プラズマPが消滅するため、被処理物WKへのプラズマ照射処理を終了することができる。この場合、作業者は、プラズマPの消滅とともに、プラズマガス供給設備(図示せず)を操作してプラズマガスの供給を停止させる
なお、作業者は、プラズマガス供給設備(図示せず)を操作してプラズマガスの供給を停止させることによってもプラズマPを消滅させることができる。これの場合、作業者は、プラズマPの消滅とともに、第1プラズマ生成用電源220および第2プラズマ生成用電源222の各作動をそれぞれ停止させる。
上記作動説明からも理解できるように、上記第2実施形態によれば、プラズマ生成装置200は、プラズマ噴出孔203内における露出電極204と非露出電極206との間の孔内に中間電極208を設けているため、露出電極204と中間電極208との間でプラズマガスを電離または活性化させて小規模なプラズマPを高密度で発生させることでこの小規模なプラズマPを起因として非露出電極206との間で長さの長い大規模なプラズマPを発生させることができる。この場合、プラズマ生成装置200は、小規模なプラズマPを生成することなく直接大規模なプラズマPを生成する場合に比べて第2プラズマ生成用電源222による印加電圧を下げることができる。すなわち、本発明に係るプラズマ生成装置200は、プラズマ生成装置200の生成電圧を低電圧化することができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、各変形例の説明においては、上記実施形態と同様の部分については同じ符号を付している。
例えば、上記第2実施形態においては、プラズマ生成装置200は、露出電極204と中間電極208との間に第1プラズマ生成用電源220によって交流電圧を印加するように構成した。しかし、図11に示したプラズマ生成装置300のように、露出電極204と中間電極208との間に直流電圧を印加するように構成することもできる。
具体的には、プラズマ生成装置300は、露出電極204および中間電極301に直流電圧を印加する第1プラズマ生成用電源303を電気的に接続する。この場合、中間電極301は、露出電極204と同様に構成されており、プラズマ噴出孔203内の内周面に露出孔302を介して露出するようにプラズマ噴射体201内に設ける。また、第1プラズマ生成用電源303は、露出電極204および中間電極301のうちの一方をプラス電極として接続するとともに他方をマイナス電極として接続される直流電源である。
この場合、第1プラズマ生成用電源303は、電圧が1kV~9kV、電流が20mAを出力する電源を用いることができる。この第1プラズマ生成用電源303は、露出電極204と中間電極301との間の直流回路上に抵抗器304が設けられており、第1プラズマ生成用電源303の保護が図られている。また、第2プラズマ生成用電源222は、中間電極301と非露出電極206との間の交流回路上にコンデンサ305が設けられており、第1プラズマ生成用電源303からの直流電流がカットされている。
このように構成したプラズマ生成装置300は、上記したプラズマ生成装置200と同様に操作することでプラズマPを発生させることができる。この場合、第1プラズマ生成用電源303は、出力電圧を1kV以上かつ9kV以下の電圧(例えば、2kV)に設定することでプラズマPを生成することができる。
また、上記第2実施形態およびその変形例においては、プラズマ噴出孔203は、小径部203a、大径部203bおよび段部203cを有した段付き孔で構成した。しかし、プラズマ噴出孔203は、上記第1実施形態およびその変形例のようにテーパ形状に形成して構成することもできる。なお、プラズマ噴出孔103,203を段付き孔で構成する場合、大径部103b,203bの長さを小径部103a,203aの長さよりも長く形成することで規模の大きなプラズマPを安定的に生成することができるが、大径部103b,203bの長さを小径部103a,203aの長さよりも短く形成することを排除するものではない。
また、上記第2実施形態およびその変形例においては、プラズマ噴射体201は、露出電極204と中間電極208,301との間の間隔を中間電極208,301と非露出電極206との間の間隔よりも狭く形成した。これにより、小規模のプラズマPを効果的に生成して大規模なプラズマPを早期かつ長尺に生成することができる。しかし、プラズマ噴射体201は、露出電極204と中間電極208,301との間の間隔を中間電極208,301と非露出電極206との間の間隔よりも広く形成することもできる。
また、上記第2実施形態およびその変形例においては、ワーク支持体240は、無端ベルト状に形成した。しかし、ワーク支持体240は、被処理物WKを載置できればよい。したがって、ワーク支持体240は、固定的な台状に形成することもできる。
また、上記第2実施形態およびその変形例においては、プラズマガスジャケット212は、露出電極204に電気を導くために導電性を有して構成した。しかし、プラズマガスジャケット212は、露出電極204に電気を導く必要がない場合、すなわち、第1プラズマ生成用電源220,303を露出電極204に直接接続する場合には、導体以外の材料、例えば、樹脂材、セラミック材、木材またはゴム材で構成することもできる。また、ジャケット形成体210は、プラズマガスを供給しつつプラズマ噴射体201を支持することができれば本実施形態以外の形状や形態であってもよいことは当然である。
また、上記各実施形態およびこれらの変形例においては、プラズマ生成装置100,200,300は、プラズマガスジャケット112,212を備えて構成した。しかし、プラズマ生成装置100,200,300は、プラズマガスジャケット112,212を省略して構成することもできる。この場合、プラズマ生成装置100,200,300は、プラズマ噴出孔103,203に対してプラズマガス供給設備(図示せず)から延びる配管を直接接続することができる。また、この場合、プラズマ生成装置100,200,300は、プラズマガスジャケット112,212内に配置した多孔体113,114,213,214は不要である。なお、プラズマ生成装置100,200,300は、プラズマガスジャケット112,212を備えつつ多孔体113,114,213,214を省略して構成することもできる。
また、上記各実施形態およびこれらの各変形例においては、露出電極104,204,は、第1拡大放電電極110またはジャケット形成体210を介してプラズマ生成用電源150または第1プラズマ生成用電源220,303を接続した。しかし、露出電極104,204は、直接プラズマ生成用電源150または第1プラズマ生成用電源220,303を接続することもできる。
また、上記各実施形態およびこれらの各変形例においては、プラズマ噴射体101,201は、複数のプラズマ噴出孔103,203を備えて構成した。しかし、プラズマ噴射体101,201は、少なくとも1つのプラズマ噴出孔103,203を備えて構成されていればよく、必ずしも、複数または複数列形成されている必要もない。また、プラズマ噴出孔103,203は、円筒形(だ円を含む)以外の筒状、例えば、断面形状が、長孔状、方形、多角形または不規則な異形であってもよい。
また、上記各実施形態およびこれらの各変形例においては、プラズマ噴出孔103,203は、プラズマ噴射体101,201の幅方向(図2において上下方向)に互いに隣接するプラズマ噴出孔103,203を構成する各貫通孔が幅方向において互いに隣接し合わないようにプラズマ噴射体101,201の長手方向(図2において左右方向)にずれて配置(千鳥状に配置)されている。これにより、プラズマ生成装置100,200,300は、噴出されたプラズマガスのムラを抑制して均一なプラズマPを生成することができる。しかし、プラズマ噴出孔103,203は、プラズマ噴射体101,201の幅方向に互いに隣接する一列のプラズマ噴出孔103,203を構成する各貫通孔が幅方向において互いに隣接し合うように配置することもできる。
また、上記各実施形態およびこれらの各変形例においては、露出電極104,204、非露出電極106,206および中間電極208、301は、それぞれシート状に形成した。しかし、露出電極104,204および中間電極301は、プラズマ噴出孔103,203内に露出するように形成されていればよいとともに、非露出電極106,206および中間電極208はプラズマ噴出孔103,203内における露出電極104,204に対してプラズマガスの下流側の孔内に露出することなく同孔内の内周面に隣接配置されていればよい。したがって、露出電極104,204、非露出電極106,206および中間電極208、301は、例えば、円筒状などの筒状に形成することもできる。
また、上記各実施形態およびこれらの各変形例においては、プラズマ噴射体101,201、第1拡大放電電極110、第2拡大放電電極120、拡大放電用誘電体140、ジャケット形成体210およびワーク支持体240をそれぞれ標準大気圧の大気中に直接配置した。しかし、プラズマ噴射体101,201、第1拡大放電電極110、第2拡大放電電極120、拡大放電用誘電体140、ジャケット形成体210およびワーク支持体240は、それぞれ標準大気圧と同じ気圧に調整された閉ざされたチャンバ空間内(例えば、室内やケース内)に配置することもできる。また、プラズマ噴射体101,201、第1拡大放電電極110、第2拡大放電電極120、拡大放電用誘電体140、ジャケット形成体210およびワーク支持体240は、標準大気圧よりも低圧の気圧または真空に調整された閉ざされたチャンバ空間内(例えば、室内やケース内)に配置することもできる。
このように、プラズマ噴射体101,201、第1拡大放電電極110、第2拡大放電電極120、拡大放電用誘電体140、ジャケット形成体210およびワーク支持体240を大気と遮断したチャンバ空間内に配置した場合、このチャンバ空間内を空気以外の気体、例えば、窒素、アルゴンおよびヘリウムなどのプラズマガスを単体でまたは混合した気体で満たすこともできる。
また、上記実施形態においては、プラズマ生成装置100,200,300は、食品からなる被処理物WKに対してプラズマPまたは拡大プラズマPEを照射して殺菌消毒するように構成した。しかし、プラズマ生成装置100,200,300は、食品以外の被処理物WK(例えば、医療器具など)に対してプラズマPまたは拡大プラズマPEを照射して殺菌消毒するように構成してもよいし、殺菌挿毒以外の目的で被処理物WKに対してプラズマPまたは拡大プラズマPEを照射してもよい。プラズマ生成装置100,200,300は、例えば、アッシング、エッチングまたは被膜形成などの表面処理、接着性や濡れ性の改善または表面硬化などの表面改質に用いることができる。