JP7057533B2 - はんだペースト及びはんだペースト用フラックス - Google Patents

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Description

本発明は、はんだペースト及びはんだペースト用フラックスに関する。本願は、2019年5月27日に日本に出願された特願2019-098934号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、CPU(Central Processing Unit)等のはんだ継手を有する電子デバイスは、小型化、高性能化が要求されている。これに伴い、プリント基板と電子デバイスの電極の小型化が必要になる。電子デバイスは電極を介してプリント基板と接続されるため、電極の小型化に伴い、両者を接続するはんだ継手も小さくなる。
電子デバイスとプリント基板をこのような微細な電極を介して接続するためには、一般にはんだペーストが使用されている。
はんだペーストは、プリント基板の電極上に印刷等によって供給される。はんだペーストの印刷は、開口部が設けられたメタルマスクをプリント基板上に置き、スキージをメタルマスクに押し付けながら移動させ、メタルマスクの開口部からはんだペーストをプリント基板上の電極に一括塗布することにより行われる。
また、はんだペーストを購入した場合、通常では1回の印刷で全量を使い切ることはない。このように、はんだペーストは、基板への印刷性能を損なわないように、製造当初の適度な粘度が維持されなければならない。
しかし、近年、電極の小型化が進むにつれて、はんだペーストの印刷面積も狭小化が進んでいることから、購入したはんだペーストを使い切るまでの時間は長期化している。はんだペーストは、はんだ粉末とフラックスとを混練したものであり、保管期間が長期に渡る場合には、保管状況によってははんだペーストの粘度が上がってしまい、購入当初の印刷性能を発揮することができないことがある。
そこで、例えば特許文献1には、はんだペーストの経時変化を抑制するため、Snと、Ag、Bi、Sb、Zn、In及びCuからなる群から選択される1種又は2種以上と、を含み、かつ、所定量のAsを含むはんだ合金が開示されている。同文献には、25℃で2週間後の粘度が作製当初の粘度と比較して140%未満である結果が示されている。
一方、はんだ付けに用いられるフラックスは、はんだ及びはんだ付けの対象となる接合対象物の金属表面に存在する金属酸化物を化学的に除去し、両者の境界で金属元素の移動を可能にする効能を持つ。このため、フラックスを使用してはんだ付けを行うことで、はんだと接合対象物の金属表面との間に金属間化合物が形成できるようになり、強固な接合が得られる。
このようなはんだ付け用フラックスと、はんだ粉末と、を含むはんだペーストでは、フラックスに含まれるチキソ剤によってチキソ性が付与される。チキソ剤は、フラックス中でネットワークを構築し、チキソ性を付与する。
特開2015-98052号公報
上述のように、特許文献1に記載の発明は、Sn及びAsの他に6種類の元素を選択的に含有し得るはんだ合金である。また、同文献には、As含有量が多いと、溶融性が劣る結果が示されている。
ここで、特許文献1で評価されている溶融性は、溶融はんだの濡れ性に相当すると考えられる。同文献で開示されている溶融性は、溶融物の外観を顕微鏡で観察し、溶融しきれないはんだ粉末の有無により評価されている。溶融はんだの濡れ性が高ければ、溶融しきれないはんだ粉末が残存し難くなるためである。
一般に、溶融はんだの濡れ性を向上させるためには高活性のフラックスを用いる必要がある。特許文献1に記載のフラックスにおいて、Asによる濡れ性の劣化が抑制されるためには、高活性のフラックスを用いればよいと考えられる。しかし、高活性のフラックスを用いると、はんだ合金と活性剤との反応が進むためにペーストの粘度が上がってしまう。また、特許文献1の記載を鑑みると、粘度の上昇を抑えるためには、As含有量を増加させる必要がある。特許文献1に記載のはんだペーストが更に低い粘度上昇率と、優れた濡れ性とを示すためには、フラックスの活性力とAs含有量を増加し続ける必要があり、悪循環を招くことになる。
最近では、はんだペーストは、使用環境や保管環境によらず長期間安定した性能を維持することが求められており、また、はんだ継手の微細化により更に高い濡れ性も要求されている。特許文献1に記載のはんだペーストを用いて最近の要求に対応しようとすると、前述のように悪循環が避けられない。
更に、微細な電極を接合するためには、はんだ継手の機械的特性等を向上させる必要がある。元素によっては、含有量が多くなると、液相線温度が上昇して液相線温度と固相線温度が広がり、凝固時に偏析して不均一な合金組織が形成されてしまう。はんだ合金がこのような合金組織を有すると、はんだ継手は引張強度などの機械的特性が劣り、外部からの応力により容易に破断してしまう。この問題は、近年の電極の小型化に伴い顕著になってきている。
加えて、はんだペーストにおいては、その使用条件や用途等に応じて、はんだの濡れ速度の向上、接合対象物の金属表面(例えば銅板)の腐食抑制、印刷性の向上、ボイド抑制などの種々の特性が要求される。
本発明は、上述した課題を解決するためなされたものであり、粘度上昇等の経時変化が起きにくく、濡れ性に優れ、高い機械的特性を有する他、種々の特性をより高めることができる、はんだペーストを提供することを目的とする。
はんだペーストの経時変化の抑制と優れた濡れ性とが同時に改善される際、高い活性力を有するフラックスの使用、及びAs含有量の増加による悪循環を避ける必要がある。本発明者らは、はんだ粉末の合金組成に着目し、はんだペーストの経時変化の抑制と優れた濡れ性との両立を図るために鋭意検討を行った。
まず、本発明者らは、はんだ合金として従来から使用されているSn、SnCu、SnAgCuはんだ合金を基本組成として、これにAsを含有するはんだ粉末について検討した。そして、このはんだ粉末を用いた場合に、はんだペーストの経時変化を抑制する理由に着目し、As含有量を検討した。
はんだペーストの粘度が経時的に上昇する理由は、はんだ粉末とフラックスとが反応するためであると考えられる。そして、特許文献1の表1実施例4及び比較例2の結果を比較すると、As含有量が100質量ppmを超えた方が、粘度上昇率が低い結果を示している。これらを鑑みると、はんだペーストの経時変化を抑制する効果(以下、適宜「増粘抑制効果」と称する。)に着目した場合、As含有量を更に増加させてもよいとも思われる。ただ、As含有量を増加した場合、As含有量に伴い増粘抑制効果がわずかに増加するものの、As含有量が増加した分に応じた増粘抑制効果が得られるわけではない。これは、はんだ合金の表面に濃化するAs量には限度があり、Asを所定量以上含有したとしても、はんだ合金内部のAs量が多くなり、増粘抑制効果が発揮され難いためであると考えられる。また、As含有量が多すぎると、はんだ合金の濡れ性が悪化することが確認された。
そこで、本発明者らは、従来ではAs含有量が少なく増粘抑制効果が発揮されない範囲までAs含有量の範囲を広げた上で、Asの他に増粘抑制効果が発揮される元素を添加する必要があることに思い至り、種々の元素を検討した。その結果、偶然にも、BiおよびPbがAsと同様の効果を発揮する知見が得られた。この理由は定かではないが、以下のように推察される。
増粘抑制効果は、フラックスとの反応を抑制することにより発揮されることから、フラックスとの反応性が低い元素として、イオン化傾向が低い元素が挙げられる。一般に、合金のイオン化は、合金組成としてのイオン化傾向、すなわち標準電極電位で考える。例えば、Snに対して貴なAgを含むSnAg合金は、Snよりもイオン化し難い。このため、Snよりも貴な元素を含有する合金は、イオン化し難いことになり、はんだペーストの増粘抑制効果が高いと推察される。
ここで、特許文献1では、Sn、Ag、Cuの他に、Bi、Sb、Zn及びInが等価な元素として掲げられているが、イオン化傾向としては、これらの元素の中でZnが最も卑な元素であり、Snより卑な元素である。つまり、特許文献1には、卑な元素であるZnを添加しても増粘抑制効果が得られることが記載されていることになる。このため、イオン化傾向に則して選定された元素を含有するはんだ合金は、特許文献1に記載のはんだ合金と比較して同等以上の増粘抑制効果が得られると考えられる。また、前述のように、As含有量が増加すると濡れ性が劣化してしまう。
本発明者らは、増粘抑制効果を発揮するBi及びPbについて詳細に検討した。Bi及びPbは、はんだ合金の液相線温度を下げるため、はんだ合金の加熱温度が一定である場合、はんだ合金の濡れ性を向上させる。しかし、その含有量によっては固相線温度が著しく低下するため、液相線温度と固相線温度との温度差であるΔTが広くなりすぎる。ΔTが広くなりすぎると、凝固時に偏析が生じてしまい、機械的強度等の機械的特性の低下に繋がってしまう。ΔTが広がる現象は、Bi及びPbを同時に添加した場合に顕著に現われることから、厳密な管理が必要であることも知見した。
Sn、SnCuはんだ合金、およびSnAgCuはんだ合金において、増粘抑制効果、優れた濡れ性、およびΔTの狭窄化、のすべてが優れた結果を示すためには、As、Bi、およびPbの含有量を個々に管理するのではなく、これらの元素の含有量を総合的に管理する必要があると考えた。そこで、本発明者らは、これらの3元素の含有量に関して種々の検討を行った結果、偶然にも、各元素の含有量が所定量の範囲内において所定の関係式を満たす場合に、増粘抑制効果、濡れ性、およびΔTの狭窄化のすべてが優れた結果を示す知見を得た。
更に、上述したはんだ合金と併用するフラックスに配合する成分、例えば樹脂成分、活性成分または溶剤の種類を選択することで、はんだの濡れ速度の向上、接合対象物の金属表面(例えば銅板)の腐食抑制、印刷性の向上、ボイド抑制などの種々の特性もより高められることを見出した。
これらの知見により得られた本発明は次の通りである。
[1]はんだ粉末と、フラックスと、を含有する、はんだペーストであって、前記はんだ粉末は、As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:0~25000質量ppmおよびPb:0~8000質量ppmの少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金を含む、はんだペースト。
300≦3As+Bi+Pb (1)
0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
[2]はんだ粉末と、フラックスと、を含有する、はんだペーストであって、前記はんだ粉末は、As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:0質量ppm超え25000質量ppm以下およびPb:0質量ppm超え8000質量ppm以下の少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金を含む、はんだペースト。
300≦3As+Bi+Pb (1)
0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
[3]はんだ粉末と、フラックスと、を含有する、はんだペーストであって、前記はんだ粉末は、As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:50~25000質量ppmおよびPb:0質量ppm超え8000質量ppm以下の少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金を含む、はんだペースト。
300≦3As+Bi+Pb (1)
0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
[4]はんだ粉末と、フラックスと、を含有する、はんだペーストであって、前記はんだ粉末は、As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:0質量ppm超え25000質量ppm以下およびPb:50~8000質量ppmの少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金を含む、はんだペースト。
300≦3As+Bi+Pb (1)
0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
[5]はんだ粉末と、フラックスと、を含有する、はんだペーストであって、前記はんだ粉末は、As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:50~25000質量ppmおよびPb:50~8000質量ppmの少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金を含む、はんだペースト。
300≦3As+Bi+Pb (1)
0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
[6]前記フラックスは、樹脂成分と活性成分と溶剤とを含む、上記の[1]から[5]のいずれか1項に記載のはんだペースト。
[7]前記フラックスは、ヒンダードフェノール系化合物を含む、上記[6]に記載のはんだペースト。
[8]前記フラックスは、窒素化合物である金属不活性化剤を含む、上記[6]に記載のはんだペースト。
[9]前記フラックスは、酸変性ロジンを含む、上記[6]に記載のはんだペースト。
[10]前記フラックスは、アクリル系樹脂を含む、上記[6]に記載のはんだペースト。
[11]前記フラックスは、モノカルボン酸の反応物で2量体であるダイマー酸、ダイマー酸に水素を添加した水添ダイマー酸、モノカルボン酸の反応物で3量体であるトリマー酸、およびトリマー酸に水素を添加した水添トリマー酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸を含む、上記[6]に記載のはんだペースト。
[12]前記フラックスは、下記一般式(1)で表される化合物を含む、上記[6]に記載のはんだペースト。
Figure 0007057533000001
[式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を示す。]
[13]前記フラックスは、アゾール類を含む、上記[6]に記載のはんだペースト。
[14]前記フラックスは、芳香族グアニジン化合物を含む、上記[6]に記載のはんだペースト。
[15]前記フラックスは、アミド化合物であるアミド系チキソ剤を含む、上記[6]に記載のはんだペースト。
[16]前記フラックスは、ソルビトール化合物であるソルビトール系チキソ剤を含む、上記[6]に記載のはんだペースト。
[17]前記フラックスは、グリコール系溶剤と有機酸エステルとを併有する、上記[6]に記載のはんだペースト。
[18]前記フラックスは、グリコール系溶剤と、炭素数が16~18の一価のアルコールとを併有する、上記[6]に記載のはんだペースト。
[19]更に、酸化ジルコニウム粉末を含有する、上記の[1]から[18]のいずれか1項に記載のはんだペースト。
[20]はんだペーストに用いられるフラックスであって、前記はんだペーストは、As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:0~25000質量ppmおよびPb:0~8000質量ppmの少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金を含むはんだ粉末を含有する、はんだペースト用フラックス。
300≦3As+Bi+Pb (1)
0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
[21]はんだペーストに用いられるフラックスであって、前記はんだペーストは、As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:0質量ppm超え25000質量ppm以下およびPb:0質量ppm超え8000質量ppm以下の少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金を含むはんだ粉末を含有する、はんだペースト用フラックス。
300≦3As+Bi+Pb (1)
0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
本発明によれば、粘度上昇等の経時変化が起きにくく、濡れ性に優れ、高い機械的特性を有する他、種々の特性をより高めることができる、はんだペースト及びはんだペースト用フラックスを提供できる。
本発明を以下により詳しく説明する。
本明細書において、はんだ合金組成に関する「ppm」は、特に指定しない限り「質量ppm」である。「%」は、特に指定しない限り「質量%」である。
<はんだペースト>
本実施形態のはんだペーストは、特定のはんだ粉末と、フラックスと、を含有する。
≪はんだ粉末≫
本実施形態のはんだペーストに用いられるはんだ粉末は、As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:0~25000質量ppmおよびPb:0~8000質量ppmの少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金を含む。
300≦3As+Bi+Pb (1)
0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
1.合金組成
(1)As:10質量ppm以上40質量ppm未満
Asは、はんだペーストの粘度の経時変化を抑制することができる元素である。
Asは、フラックスとの反応性が低く、また、Snに対して貴な元素であるために増粘抑制効果を発揮することができると推察される。Asが10質量ppm未満であると、増粘抑制効果を十分に発揮することができない。As含有量の下限は10質量ppm以上であり、好ましくは14質量ppm以上である。
一方、Asが多すぎると、フラックスの活性によってははんだ合金の濡れ性が劣化する。As含有量の上限は40質量ppm未満であり、好ましくは38質量ppm以下であり、より好ましくは25質量ppm未満であり、さらに好ましくは24質量ppm以下であり、特に好ましくは18質量ppm以下である。
(2)Bi:0~25000質量ppmおよびPb:0~8000質量ppmの少なくとも1種
BiおよびPbは、フラックスとの反応性が低く増粘抑制効果を示す元素である。また、これらの元素は、はんだ合金の液相線温度を下げるとともに、溶融はんだの粘性を低減させるため、Asによる濡れ性の劣化を抑えることができる元素である。BiおよびPbの少なくとも1種が存在すれば、Asによる濡れ性の劣化を抑えることができる。
本発明におけるはんだ合金がBiを含有する場合、Bi含有量の下限は0質量ppm以上であり、0質量ppm超えであってもよく、50質量ppm以上であってもよい。Bi含有量は、好ましくは123質量ppm以上であり、より好ましくは150質量ppm以上であり、さらに好ましくは246質量ppm以上である。
本発明におけるはんだ合金がPbを含有する場合、Pb含有量の下限は0質量ppm以上であり、0質量ppm超えであってもよく、50質量ppm以上であってもよい。Pb含有量は、好ましくは123質量ppm以上であり、より好ましくは246質量ppm以上である。
一方、これらの元素の含有量が多すぎると、固相線温度が著しく低下するため、液相線温度と固相線温度との温度差であるΔTが広くなりすぎる。ΔTが広すぎると、溶融はんだの凝固過程において、BiやPbの含有量が少ない高融点の結晶相が析出するために、液相のBiやPbが濃縮される。その後、さらに溶融はんだの温度が低下すると、BiやPbの濃度が高い低融点の結晶相が偏析してしまう。このため、はんだ合金の機械的強度等が劣化することになる。特に、Bi濃度が高い結晶相は硬くて脆いため、はんだ合金中で偏析すると、機械的強度等が著しく低下する。
このような観点から、本発明におけるはんだ合金がBiを含有する場合、Bi含有量の上限は25000質量ppm以下であり、好ましくは10000質量ppm以下であり、より好ましくは1000質量ppm以下であり、さらに好ましくは300質量ppm以下である。
本発明におけるはんだ合金がPbを含有する場合、Pb含有量の上限値は8000質量ppm以下であり、好ましくは5100質量ppm以下であり、より好ましくは1000質量ppm以下であり、さらに好ましくは300質量ppm以下である。
(3) (1)式
本発明におけるはんだ合金は、下記(1)式を満たす必要がある。
300≦3As+Bi+Pb (1)
上記(1)式中、As、BiおよびPbは各々合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
As、BiおよびPbは、いずれも増粘抑制効果を示す元素であり、これらの合計は300質量ppm以上である必要がある。
(1)式中、As含有量を3倍にしたのは、BiおよびPbの少なくとも1種を含有する場合に、As含有量がこれらの含有量より少なく、また、AsがBiやPbと比較して増粘抑制効果が高いためである。
(1)式が300未満であると、増粘抑制効果が十分に発揮されない。(1)式の下限は300以上であり、好ましくは480以上であり、より好ましくは496以上であり、さらに好ましくは504以上であり、特に好ましくは522以上であり、最も好ましくは564以上である。一方、(1)式の上限は、増粘抑制効果の観点では特に限定されることはないが、ΔTを適した範囲にする観点から、好ましくは25114以下であり、より好ましくは25042以下であり、さらに好ましくは15214以下であり、特に好ましくは15172以下であり、最も好ましくは15142以下である。
なお、As含有量の上限は40質量ppm未満であるため、本発明におけるはんだ合金は、BiおよびPbの少なくとも1種を合計で180質量ppmより多く含有することになる。このように、本発明ではAs含有量が少ないものの、BiおよびPbの含有量が多めに設定されており、十分な増粘抑制効果が発揮される。BiおよびPbのすべてを含有しない場合には、はんだペーストの粘度がすぐに増加してしまう。
上記好ましい態様の中から上限を適宜選択したものが、下記(1a)式である。
300≦3As+Bi+Pb≦25114 (1a)
上記(1a)式中、As、BiおよびPbは各々合金組成での含有量(ppm)を表す。
(4) (2)式
本発明におけるはんだ合金は、下記(2)式を満たす必要がある。
0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
上記(2)式中、BiおよびPbは各々合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
BiおよびPbは、Asを含有することによる濡れ性の劣化を抑制するが、含有量が多すぎると、ΔTが上昇してしまうため、厳密な管理が必要である。特に、BiおよびPbを同時に含有する合金組成では、ΔTが上昇しやすい。本発明では、BiとPbの含有量に所定の係数を乗じた値の合計を規定することにより、ΔTの上昇を抑制することができる。(2)式では、Pbの係数が、Biの係数より大きい。PbはBiと比較してΔTへの寄与度が大きく、含有量が少し増加しただけで、ΔTが大幅に上昇してしまうためである。
(2)式が0であるはんだ合金は、BiおよびPbの両元素を含有しないことになり、Asを含有したことによる濡れ性の劣化を抑制することができない。
(2)式の下限は0超えであり、好ましくは0.06以上であり、より好ましくは0.13以上であり、さらに好ましくは0.20以上であり、特に好ましくは0.28以上であり、最も好ましくは0.32以上である。
一方、(2)式が7を超えると、ΔTの温度域が広くなりすぎるため、溶融はんだの凝固時に、BiやPbの濃度が高い結晶相が偏析して機械的強度等が劣化する。
(2)の上限は7以下であり、好ましくは6.56以下であり、より好ましくは6.48以下であり、さらに好ましくは5.75以下であり、さらにより好ましくは1.05以下であり、特に好ましくは0.89以下であり、最も好ましくは0.48以下である。
上記好ましい態様の中から上限および下限を適宜選択したものが、下記(2a)式である。
0.06≦2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦6.56 (2a)
上記(2a)式中、BiおよびPbは各々合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
(5) Ni:0~600質量ppm、Fe:0~100質量ppm
FeとNiは、金属間化合物の成長を抑制することができる任意元素である。
Niは、本発明におけるはんだ合金がCu電極を接合する場合や、後述するようにCuを含有する場合には、接合界面に形成されるCuSn層を(Cu、Ni)Sn層にして金属間化合物層の膜厚を薄くすることができる。また、Feは、溶融はんだの凝固時に結晶核の生成を促進し、CuSn、CuSn、AgSnなどの金属間化合物相の成長を抑制することができる。これらの元素の含有量が所定の範囲内であれば、液相線温度が上昇し過ぎず、ΔTが許容範囲に収まり、高い機械的特性を維持することができる。
本発明におけるはんだ合金がNiを含有する場合には、Ni含有量の上限は、好ましくは600質量ppm以下であり、より好ましくは500質量ppm以下であり、さらに好ましくは100質量ppm以下であり、特に好ましくは50質量ppm以下である。
本発明におけるはんだ合金がFeを含有する場合には、Fe含有量の上限は、好ましくは100質量ppm以下であり、より好ましくは80質量ppm以下であり、さらに好ましくは50質量ppm以下である。
NiとFeの含有量の下限は、特に限定されないが、金属間化合物の成長を抑制する効果が十分に発揮されるため、Ni含有量の下限は、好ましくは10質量ppm以上であり、より好ましくは40質量ppm以上である。Fe含有量の下限は、好ましくは10質量ppm以上であり、より好ましくは20質量ppm以上である。
(6) In:0~1200質量ppm
Inは、Snの固溶強化型元素体であるために、高い機械的特性を維持することができる任意元素である。In含有量が所定の範囲内であれば、ΔTが許容範囲に収まり、高い機械的特性を維持することができる。
本発明におけるはんだ合金がInを含有する場合には、In含有量の上限は、好ましくは1200質量ppm以下であり、より好ましくは100質量ppm以下である。
In含有量の下限は、特に限定されないが、十分に固溶体が形成されるようにするため、好ましくは20質量ppm以上であり、より好ましくは30質量ppm以上であり、さらに好ましくは50質量ppm以上である。
(7) Ni:0~600質量ppm、Fe:0~100質量ppm、およびIn:0~1200質量ppmの少なくとも2種
Ni、FeおよびInは、各々の含有量が所定の範囲内であれば、ΔTが許容範囲に収まりやすく、高い機械的特性を維持することができる。本発明では、これらの中から少なくとも2種以上を所定の範囲内で含有してもよく、3種を同時に含有してもよい。
(8) Ni:0~600質量ppmおよびFe:0~100質量ppm、ならびに(3)式
本発明におけるはんだ合金は、NiおよびFeを所定量含有するとともに、下記(3)式を満たすことが好ましい。
0≦Ni/Fe≦50 (3)
(3)式中、NiおよびFeは各々合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
FeとNiは、金属間化合物の成長を抑制することができるが、Niは、接合界面の金属間化合物層の成長を抑制し、Feは、はんだ合金中の金属間化合物相の成長を抑制することができる。はんだ継手全体として金属間化合物の成長が抑制されるようにするため、両元素の含有量は、ある程度のバランスを有することが望ましい。
本発明におけるはんだ合金は、NiおよびFeを所定量含有した上で、(3)式を満たすことが好ましい。このような効果を発揮するため、(3)式の下限は、好ましくは0以上であり、より好ましくは0.1以上であり、さらに好ましくは2以上であり、特に好ましくは7.5以上である。(3)式の上限は、好ましくは50以下であり、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは8.0以下である。
本発明におけるはんだ合金は、金属間化合物の成長を抑制するとともに、液相線温度が上昇し過ぎず、ΔTが許容範囲に収まり、高い機械的特性を維持するため、更に下記(4)式を満たすことが好ましい。
0≦Ni+Fe≦680 (4)
(4)式中、NiおよびFeは各々合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
金属間化合物の成長が抑制されるようにするため、(4)式の下限は、好ましくは0質量ppm以上であり、より好ましくは20質量ppm以上であり、さらに好ましくは40質量ppm以上であり、特に好ましくは50質量ppm以上であり、最も好ましくは60質量ppm以上である。
また、液相線温度が上昇し過ぎないようにするため、(4)式の上限は、好ましくは680質量ppm以下であり、より好ましくは500質量ppm以下であり、さらに好ましくは200質量ppm以下であり、特に好ましくは150質量ppm以下であり、最も好ましくは110質量ppm以下である。
(9) Ag:0~4質量%およびCu:0~0.9質量%の少なくとも1種
Agは、結晶界面にAgSnを形成して、はんだ合金の機械的強度等を向上させることができる任意元素である。また、Agは、イオン化傾向がSnに対して貴な元素であり、As、PbおよびBiと共存することにより、これらの増粘抑制効果を助長する。
Ag含有量の下限は、好ましくは0質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1.0質量%以上である。Ag含有量の上限は、好ましくは4質量%以下であり、より好ましくは3.5質量%以下であり、さらに好ましくは3.0質量%以下である。
Cuは、はんだ継手の接合強度を向上させることができる任意元素である。また、Cuはイオン化傾向がSnに対して貴な元素であり、As、PbおよびBiと共存することにより、これらの増粘抑制効果を助長する。
Cu含有量の下限は、好ましくは0質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.2質量%以上である。Cu含有量の上限は、好ましくは0.9質量%以下であり、より好ましくは0.8質量%以下であり、さらに好ましくは0.7質量%以下である。
(10)残部:Sn
本発明におけるはんだ合金の残部はSnである。前述の元素の他に不可避的不純物を含有してもよい。不可避的不純物を含有する場合であっても、前述の効果に影響することはない。また、後述するように、本発明では含有しない元素が不可避的不純物として含有されても、前述の効果に影響することはない。
2.はんだ粉末
本発明におけるはんだ粉末は、後述するはんだペーストに使用され、球状粉末であることが好ましい。球状粉末であることによりはんだ合金の流動性が向上する。本発明におけるはんだ粉末は、JIS Z 3284-1:2014における粉末サイズの分類(表2)において記号1~8を満たすサイズ(粒度分布)を満たしていることが好ましく、より好ましくは記号4~8を満たすサイズ(粒度分布)であり、さらに好ましくは記号5~8を満たすサイズ(粒度分布)である。粒径がこの条件を満たすと、粉末の表面積が大きすぎず粘度の上昇が抑制され、また、微細粉末の凝集が抑制されて粘度の上昇が抑えられることがある。このため、より微細な部品へのはんだ付けが可能となる。
はんだ粉末の真球度は0.90以上が好ましく、0.95以上がより好ましく、0.99以上が最も好ましい。本発明において、球状粉末の真球度は、最小領域中心法(MZC法)を用いるCNC画像測定システム(ミツトヨ社製のウルトラクイックビジョンULTRA QV350-PRO測定装置)を使用して測定する。
本発明において、真球度とは、真球からのずれを表し、例えば500個の各ボールの直径を長径で割った際に算出される算術平均値であり、値が上限である1.00に近いほど真球に近いことを表す。
≪フラックス≫
本実施形態のはんだペーストに用いられるフラックスは、例えば、樹脂成分と活性成分と溶剤とを含むものが挙げられる。
樹脂成分としては、例えば、ロジン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノキシ樹脂、ビニルエーテル系樹脂、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂(例えば、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、水添芳香族変性テルペン樹脂等)、テルペンフェノール樹脂、変性テルペンフェノール樹脂(例えば、水添テルペンフェノール樹脂等)、スチレン樹脂、変性スチレン樹脂(例えば、スチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン樹脂等)、キシレン樹脂、変性キシレン樹脂(例えば、フェノール変性キシレン樹脂、アルキルフェノール変性キシレン樹脂、フェノール変性レゾール型キシレン樹脂、ポリオール変性キシレン樹脂、ポリオキシエチレン付加キシレン樹脂等)等が挙げられる。
ここでいう「アクリル系樹脂」とは、アクリル樹脂に加えてメタクリル樹脂、これらのエステルその他の誘導体を包含する概念をいう。
ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等の原料ロジン、並びに該原料ロジンから得られる誘導体が挙げられる。該誘導体としては、例えば、精製ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン及びα,β不飽和カルボン酸変性物(アクリル化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン等)、並びに該重合ロジンの精製物、水素化物及び不均化物、並びに該α,β不飽和カルボン酸変性物の精製物、水素化物及び不均化物等が挙げられる。
活性成分としては、例えば、有機酸、アミン、アミンハロゲン化水素酸塩、有機ハロゲン化合物、チキソ剤、金属不活性化剤、界面活性剤、酸化防止剤、シランカップリング剤、着色剤等が挙げられる。
有機酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、エイコサン二酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、サリチル酸、ジグリコール酸、ジピコリン酸、ジブチルアニリンジグリコール酸、スベリン酸、セバシン酸、チオグリコール酸、テレフタル酸、ドデカン二酸、パラヒドロキシフェニル酢酸、ピコリン酸、フェニルコハク酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、ラウリン酸、安息香酸、酒石酸、イソシアヌル酸トリス(2-カルボキシエチル)、グリシン、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,3-ジヒドロキシ安息香酸、2,4-ジエチルグルタル酸、2-キノリンカルボン酸、3-ヒドロキシ安息香酸、リンゴ酸、p-アニス酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ダイマー酸、トリマー酸、ダイマー酸に水素を添加した水添物である水添ダイマー酸、トリマー酸に水素を添加した水添物である水添トリマー酸等が挙げられる。
アミンとしては、例えば、エチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン、2,4-ジアミノ-6-ビニル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ビニル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-s-トリアジン、エポキシ-イミダゾールアダクト、2-メチルベンゾイミダゾール、2-オクチルベンゾイミダゾール、2-ペンチルベンゾイミダゾール、2-(1-エチルペンチル)ベンゾイミダゾール、2-ノニルベンゾイミダゾール、2-(4-チアゾリル)ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、6-(2-ベンゾトリアゾリル)-4-tert-オクチル-6’-tert-ブチル-4’-メチル-2,2’-メチレンビスフェノール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2’-[[(メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、1-(1’,2’-ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1-(2,3-ジカルボキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1-[(2-エチルヘキシルアミノ)メチル]ベンゾトリアゾール、2,6-ビス[(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]-4-メチルフェノール、5-メチルベンゾトリアゾール、5-フェニルテトラゾール等が挙げられる。
アミンハロゲン化水素酸塩は、アミンとハロゲン化水素とを反応させた化合物である。アミンハロゲン化水素酸塩におけるアミンとしては、エチルアミン、エチレンジアミン、トリエチルアミン、ジフェニルグアニジン、ジトリルグアニジン、メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール等が挙げられ、ハロゲン化水素としては、塩素、臭素、ヨウ素の水素化物が挙げられる。
有機ハロゲン化合物としては、例えば、trans-2,3-ジブロモ-2-ブテン-1,4-ジオール、トリアリルイソシアヌレート6臭化物、1-ブロモ-2-ブタノール、1-ブロモ-2-プロパノール、3-ブロモ-1-プロパノール、3-ブロモ-1,2-プロパンジオール、1,4-ジブロモ-2-ブタノール、1,3-ジブロモ-2-プロパノール、2,3-ジブロモ-1-プロパノール、2,3-ジブロモ-1,4-ブタンジオール、2,3-ジブロモ-2-ブテン-1,4-ジオール等が挙げられる。
チキソ剤としては、例えば、ワックス系チキソ剤、アミド系チキソ剤、ソルビトール系チキソ剤等が挙げられる。
ワックス系チキソ剤としては、例えばエステル化合物が挙げられ、具体的にはヒマシ硬化油等が挙げられる。
アミド系チキソ剤としては、例えば、モノアミド系チキソ剤、ビスアミド系チキソ剤、ポリアミド系チキソ剤が挙げられ、具体的には、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、飽和脂肪酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、p-トルアミド、p-トルエンメタンアミド、芳香族アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、置換アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールアミド、脂肪酸エステルアミド等のモノアミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシ脂肪酸(脂肪酸の炭素数C6~24)アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、飽和脂肪酸ビスアミド、メチレンビスオレイン酸アミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、芳香族ビスアミド等のビスアミド;飽和脂肪酸ポリアミド、不飽和脂肪酸ポリアミド、芳香族ポリアミド、1,2,3-プロパントリカルボン酸トリス(2-メチルシクロヘキシルアミド)、環状アミドオリゴマー、非環状アミドオリゴマー等のポリアミドが挙げられる。
前記環状アミドオリゴマーは、ジカルボン酸とジアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、トリカルボン酸とジアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸とトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、トリカルボン酸とトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及びトリカルボン酸とジアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及びトリカルボン酸とトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸とジアミン及びトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、トリカルボン酸とジアミン及びトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及びトリカルボン酸とジアミン及びトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー等が挙げられる。
また、前記非環状アミドオリゴマーは、モノカルボン酸とジアミン及び/又はトリアミンとが非環状に重縮合したアミドオリゴマーである場合、ジカルボン酸及び/又はトリカルボン酸とモノアミンとが非環状に重縮合したアミドオリゴマーである場合等が挙げられる。モノカルボン酸又はモノアミンを含むアミドオリゴマーであると、モノカルボン酸、モノアミンがターミナル分子(terminal molecules)として機能し、分子量を小さくした非環状アミドオリゴマーとなる。また、非環状アミドオリゴマーは、ジカルボン酸及び/又はトリカルボン酸と、ジアミン及び/又はトリアミンとが非環状に重縮合したアミド化合物である場合、非環状高分子系アミドポリマーとなる。更に、非環状アミドオリゴマーは、モノカルボン酸とモノアミンとが非環状に縮合したアミドオリゴマーも含まれる。
ソルビトール系チキソ剤としては、例えば、ジベンジリデン-D-ソルビトール、ビス(4-メチルベンジリデン)-D-ソルビトール、(D-)ソルビトール、モノベンジリデン(-D-)ソルビトール、モノ(4-メチルベンジリデン)-(D-)ソルビトール等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、ヒドラジド系窒素化合物、アミド系窒素化合物、トリアゾール系窒素化合物、メラミン系窒素化合物等の窒素化合物;ヒンダードフェノール系化合物等が挙げられる。
ここでいう「金属不活性化剤」とは、ある種の化合物との接触により金属が劣化することを防止する性能を有する化合物をいう。
界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、弱カチオン系界面活性剤等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアセチレングリコール類、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンエステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミド、脂肪族アルコールポリオキシエチレン付加体、芳香族アルコールポリオキシエチレン付加体、多価アルコールポリオキシエチレン付加体等が挙げられる。
弱カチオン系界面活性剤としては、末端ジアミンポリエチレングリコール、末端ジアミンポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体、脂肪族アミンポリオキシエチレン付加体、芳香族アミンポリオキシエチレン付加体、多価アミンポリオキシエチレン付加体等が挙げられる。
溶剤としては、例えば、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、有機酸エステル系溶剤、テルピネオール類、炭化水素類等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、イソプロピルアルコール、1,2-ブタンジオール、イソボルニルシクロヘキサノール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン、2-エチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2,2’-オキシビス(メチレン)ビス(2-エチル-1,3-プロパンジオール)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、1,2,6-トリヒドロキシヘキサン、ビス[2,2,2-トリス(ヒドロキシメチル)エチル]エーテル、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、エリトリトール、トレイトール、グアヤコールグリセロールエーテル、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、1-ヘキサデカノール、2-ヘキシルデカノール、イソヘキサデカノール、1-ヘプタデカノール、1-オクタデカノール、イソステアリルアルコール等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶剤としては、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
有機酸エステル系溶剤としては、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジイソプロピル、マレイン酸ジブチル、セバシン酸ジメチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル等が挙げられる。
炭化水素類としては、トルエン、キシレン、n-ヘキサン等が挙げられる。
本実施形態のはんだペーストに用いられるフラックスにおいて、例えば、樹脂成分の含有量は、フラックスの全質量に対して20質量%以上70質量%以下が好ましく、35質量%以上60質量%以下がより好ましい。
例えば、有機酸の含有量は、フラックスの全質量に対して0質量%超え、15質量%以下が好ましく、0.2質量%以上10質量%以下がより好ましい。
例えば、アミンの含有量は、フラックスの全質量に対して0質量%以上8質量%以下が好ましく、1質量%以上6質量%以下がより好ましい。
例えば、アミンハロゲン化水素酸塩の含有量は、フラックスの全質量に対して0質量%以上8質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましい。
例えば、有機ハロゲン化合物の含有量は、フラックスの全質量に対して0質量%以上8質量%以下が好ましく、0.5質量%以上6質量%以下がより好ましい。
例えば、酸化防止剤の含有量は、フラックスの全質量に対して0質量%以上8質量%以下が好ましく、1質量%以上6質量%以下がより好ましい。
フラックスの含有量:
はんだペースト中のフラックスの含有量は、はんだペーストの全質量に対して5~95質量%であることが好ましく、5~15質量%であることがより好ましい。
はんだペースト中のフラックスの含有量がこの範囲であると、はんだ粉末に起因する増粘抑制効果が十分に発揮される。加えて、フラックスに配合する成分の効果、例えば、その使用条件や用途等に応じて、はんだの濡れ速度の向上、接合対象物の金属表面(例えば銅板)の腐食抑制、印刷性の向上、ボイド抑制などの種々の特性の向上が図られやすくなる。
はんだペーストの製造方法:
本実施形態のはんだペーストは、当業界で一般的な方法により製造される。
まず、はんだ粉末の製造は、溶融させたはんだ材料を滴下して粒子を得る滴下法や、遠心噴霧する噴霧法、バルクのはんだ材料を粉砕する方法等、公知の方法を採用することができる。滴下法や噴霧法において、滴下や噴霧は、粒子状とするために不活性雰囲気や溶媒中で行うことが好ましい。そして、上記各成分を加熱混合してフラックスを調製し、フラックス中に上記はんだ粉末を導入し、場合によっては酸化ジルコニウム粉末を導入し、撹拌、混合して製造することができる。
<本実施の形態のはんだペーストの作用効果例>
本実施の形態のはんだペーストにおいては、Snとともに特定の元素(Bi及びPbの少なくとも一種並びにAs)を特定の割合で併用した合金組成を有するはんだ合金、を含むはんだ粉末を採用する。
かかるはんだ粉末と、フラックスとを組み合わせたはんだペーストでは、粘度上昇等の経時変化が起きにくく、濡れ性に優れ、高い機械的特性を示す。
更には、このはんだペーストによれば、フラックスに配合する成分を選択することで、はんだの濡れ速度の向上、接合対象物の金属表面(例えば銅板)の腐食抑制、印刷性の向上、ボイド抑制などの種々の特性をより高めることができる。
上述したように、本実施の形態のはんだペーストは、特定のはんだ粉末と、フラックスとを含有する。
特定のはんだ粉末は、以下に示す、はんだ合金(S1)からはんだ合金(S5)のいずれか1つを含むはんだ粉末、が好適な実施形態として挙げられる。
はんだ合金(S1):
As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:0~25000質量ppmおよびPb:0~8000質量ppmの少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金。
300≦3As+Bi+Pb (1)
0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
はんだ合金(S2):
As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:0質量ppm超え25000質量ppm以下およびPb:0質量ppm超え8000質量ppm以下の少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金。
300≦3As+Bi+Pb (1)
0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
はんだ合金(S3):
As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:50~25000質量ppmおよびPb:0質量ppm超え8000質量ppm以下の少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金。
300≦3As+Bi+Pb (1)
0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
はんだ合金(S4):
As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:0質量ppm超え25000質量ppm以下およびPb:50~8000質量ppmの少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金。
300≦3As+Bi+Pb (1)
0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
はんだ合金(S5):
As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:50~25000質量ppmおよびPb:50~8000質量ppmの少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金。
300≦3As+Bi+Pb (1)
0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
本実施の形態のはんだペーストにおけるフラックスは、特に限定されないが、例えば、樹脂成分と活性成分と溶剤とを含むものが用いられる。
かかるフラックスは、以下に示す、フラックス(F1)からフラックス(F12)の各組成物、が好適な実施形態として挙げられる。
フラックス(F1):
フラックス(F1)は、酸変性ロジンを含む組成物であり、例えば、酸変性ロジンとチキソ剤と溶剤とを含むものが挙げられる。
酸変性ロジンは、はんだ付けで想定される温度域での耐熱性を有し、はんだ付け時に活性剤として機能する。
フラックス(F1)が含有する酸変性ロジンは、アクリル酸変性ロジン、アクリル酸変性水添ロジン、マレイン酸変性ロジンおよびマレイン酸変性水添ロジンからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
酸変性ロジンの含有量は、フラックス(F1)全体の総量に対して、3.0質量%以上60.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上50.0質量%以下であることがより好ましく、10.0質量%以上50.0質量%以下であることが更に好ましい。
フラックス(F1)で用いられるチキソ剤としては、例えば、アミド系チキソ剤、ソルビトール系チキソ剤、ワックス系チキソ剤(エステル化合物)等が挙げられる。
かかるチキソ剤の含有量は、フラックス(F1)の全質量に対して0.1~15.0質量%が好ましく、0.2質量%以上10.0質量%以下がより好ましい。
フラックス(F1)で用いられる溶剤としては、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等が挙げられる。
フラックス(F1)は、酸変性ロジン以外のロジン(その他ロジン)を含有してもよい。その他ロジンとしては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等の原料ロジン、並びに該原料ロジンから得られる誘導体が挙げられる。該誘導体としては、例えば、精製ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、フェノール変性ロジン、並びに該重合ロジンの精製物、水素化物及び不均化物が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
フラックス(F1)は、その他ロジンを0質量%超60.0質量%以下含むことが好ましく、0質量%超45質量%以下含むことがより好ましい。
フラックス(F1)は、酸変性ロジンとその他ロジンとを、合計で20質量%以上70質量%以下含むことが好ましく、合計で35質量%以上60質量%以下含むことがより好ましい。
フラックス(F1)は、有機酸、アミン、ハロゲン系活性剤、酸化防止剤を含有してもよい。フラックス(F1)は、更に、界面活性剤を含有してもよい。
上述したフラックス(F1)を、はんだ合金(S1)からはんだ合金(S5)のいずれか1つを含むはんだ粉末と組み合わせることにより、粘度上昇等の経時変化が起きにくく、濡れ性に優れ、高い機械的特性を有し、かつ、はんだの濡れ速度が向上したはんだペーストを提供することができる。
また、フラックス(F1)によれば、熱負荷の大きい条件下でも良好な濡れ速度を得ることができる、はんだペースト用フラックスを提供することができる。
フラックス(F2):
フラックス(F2)は、アクリル系樹脂を含む組成物であり、例えば、アクリル系樹脂と有機酸と溶剤とを含むものが挙げられる。
アクリル系樹脂は、はんだ付けで想定される温度域での耐熱性を有し、加熱後に硬化したフラックス残渣中に残存することで、フラックス残渣が軟残渣となる。これにより、温度の変化があってもフラックス残渣が割れることが抑制され、温度サイクル信頼性が向上する。
フラックス(F2)が含有するアクリル系樹脂は、アクリル酸、アクリル酸とアルコールとの反応物であるアクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸とアルコールとの反応物であるメタクリル酸エステルをモノマーとして、アクリル酸の重合体、アクリル酸エステルの重合体、アクリル酸とアクリル酸エステルとの重合体等が挙げられる。
また、メタクリル酸の重合体、メタクリル酸エステルの重合体、メタクリル酸とメタクリル酸エステルとの重合体等が挙げられる。
さらに、アクリル酸とメタクリル酸との重合体、アクリル酸とメタクリル酸エステルとの重合体、メタクリル酸とアクリル酸エステルとの重合体、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの重合体、アクリル酸とメタクリル酸とアクリル酸エステルとの重合体、アクリル酸とメタクリル酸とメタクリル酸エステルとの重合体、アクリル酸とメタクリル酸とアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの重合体、アクリル酸とアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの重合体、メタクリル酸とアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの重合体等が挙げられる。
アクリル酸エステルとして、例えばアクリル酸ブチルエステルが挙げられ、アクリル酸ブチルエステルをモノマーとしたアクリル系樹脂としては、アクリル酸ブチルエステルの重合体、アクリル酸ブチルエステル以外のアクリル酸エステルとアクリル酸ブチルエステルとの重合体、アクリル酸とアクリル酸ブチルエステルとの重合体、アクリル酸とアクリル酸ブチルエステル以外のアクリル酸エステルとアクリル酸ブチルエステルとの重合体等が挙げられる。
また、メタクリル酸エステルとして、例えばメタクリル酸ブチルエステルが挙げられ、メタクリル酸ブチルエステルをモノマーとしたアクリル系樹脂としては、メタクリル酸ブチルエステルの重合体、メタクリル酸ブチルエステル以外のメタクリル酸エステルとメタクリル酸ブチルエステルとの重合体、メタクリル酸とメタクリル酸ブチルエステルとの重合体、メタクリル酸とメタクリル酸ブチルエステル以外のメタクリル酸エステルとメタクリル酸ブチルエステルとの重合体等が挙げられる。
さらに、アクリル酸とメタクリル酸ブチルエステルとの重合体、アクリル酸とメタクリル酸ブチルエステル以外のメタクリル酸エステルとメタクリル酸ブチルエステルとの重合体、メタクリル酸とアクリル酸ブチルエステルとの重合体、メタクリル酸とアクリル酸ブチルエステル以外のアクリル酸エステルとアクリル酸ブチルエステルとの重合体、アクリル酸ブチルエステルとメタクリル酸ブチルエステルとの重合体、アクリル酸ブチルエステル以外のアクリル酸エステルとメタクリル酸ブチルエステルとの重合体、アクリル酸ブチルエステルとメタクリル酸ブチルエステル以外のメタクリル酸エステルとの重合体等が挙げられる。
重合反応は、ランダム共重合でもブロック共重合等でもよい。
また、上述したアルコールは、炭素鎖が直鎖状である炭素数が1~24のアルコール、あるいは、炭素鎖が分岐状である炭素数が3~24のアルコールであり、上述したアルコールとしては、炭素数1のメタノール、炭素数2のエタノール、炭素数3の1-プロパノール、炭素数3の2-プロパノール、炭素数3のエチレングリコールモノメチルエーテル、炭素数4の1-ブタノール、炭素数4の2-ブタノール、炭素数4のイソブタノール、炭素数6の1-ヘキサノール、炭素数6のジエチレングリコールモノエチルエーテル、炭素数7のベンジルアルコール、炭素数8の1-オクタノール、炭素数8の2-エチルヘキサノール、炭素数8のフェニルグリコール、炭素数9の1-デカノール、炭素数12のラウリルアルコール、炭素数16のセチルアルコール、炭素数18のステアリルアルコール、炭素数18のオレイルアルコール、炭素数22のベヘニルアルコール等が挙げられる。
アクリル系樹脂の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が5000~30000であることが好ましく、重量平均分子量(Mw)が6000~15000であることがより好ましい。
このようなアクリル系樹脂としては、ポリ2-エチルヘキシルアクリレート(Mw=8300)、分子量が異なるポリ2-エチルヘキシルアクリレート(Mw=11700)、ポリラウリルメタクリレート(Mw=10080)等が挙げられる。
また、アクリル系樹脂としては、上述したアクリル系樹脂と他の樹脂との重合体でもよく、例えば、上述した各アクリル系樹脂とポリエチレンとの共重合体でもよい。このようなアクリル・ポリエチレン共重合樹脂としてポリ2-エチルヘキシルアクリレート-ポリエチレン(Mw=12300)等が挙げられる。
アクリル系樹脂の含有量は、フラックス(F2)の全質量に対して5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上30質量%以下であることが更に好ましい。
フラックス(F2)で用いられる有機酸の含有量は、フラックス(F2)の全質量に対して0質量%超え、15質量%以下が好ましく、0.2質量%以上13質量%以下がより好ましい。
フラックス(F2)で用いられる溶剤としては、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等が挙げられる。
フラックス(F2)は、ロジンを0質量%以上45.0質量%以下含むものでもよい。 ロジンを含む場合、1種のロジンまたは2種以上のロジンと、1種のアクリル系樹脂または2種以上のアクリル系樹脂との合計の含有量は、35.0質量%以上60.0質量%以下であることが好ましい。
また、ロジンを含む場合、1種のロジンまたは2種以上のロジンの合計の含有量と、1種のアクリル系樹脂または2種以上のアクリル系樹脂の合計の含有量との比率(ロジン合計量/アクリル樹脂合計量)は、0.1以上9.0以下であることが好ましい。
フラックス(F2)は、アクリル系樹脂とロジン系樹脂以外の他の樹脂を含んでもよく、他の樹脂を0質量%以上10.0質量%以下含む。
フラックス(F2)は、さらに、アミン、ハロゲンを含んでもよい。
アミンを、フラックス(F2)の全質量に対して、好ましくは0質量%以上20.0質量%以下、より好ましくは0質量%以上5.0質量%以下、ハロゲンとしてアミンハロゲン化水素酸塩を、フラックス(F2)の全質量に対して、好ましくは0質量%以上2.0質量%以下、より好ましくは0質量%以上5.0質量%以下含む。
フラックス(F2)は、チキソ剤を含んでもよく、チキソ剤を、フラックス(F2)の全質量に対して、好ましくは0質量%以上10.0質量%以下含む。
チキソ剤としては、アミド系チキソ剤を含んでもよく、アミド系チキソ剤を、フラックス(F2)の全質量に対して、好ましくは0質量%以上10.0質量%以下、より好ましくは0質量%以上6.0質量%以下含む。
また、フラックス(F2)は、チキソ剤としてはエステル化合物を含んでもよく、エステル化合物を、フラックス(F2)の全質量に対して、好ましくは0質量%以上8.0質量%以下、より好ましくは0質量%以上4.0質量%以下含む。
さらに、フラックス(F2)は、チキソ剤としてはソルビトール系チキソ剤を含んでもよく、ソルビトール系チキソ剤を、フラックス(F2)の全質量に対して、好ましくは0質量%以上10.0質量%以下、より好ましくは0質量%以上6.0質量%以下含む。
複数のチキソ剤の合計の含有量は、フラックス(F2)の全質量に対して、好ましくは10.0質量%以下である。
フラックス(F2)は、さらに、酸化防止剤を含んでもよく、酸化防止剤を、フラックス(F2)の全質量に対して、好ましくは0質量%以上5.0質量%以下含む。
上述したフラックス(F2)を、はんだ合金(S1)からはんだ合金(S5)のいずれか1つを含むはんだ粉末と組み合わせることにより、粘度上昇等の経時変化が起きにくく、濡れ性に優れ、高い機械的特性を有し、かつ、フラックス残渣の温度サイクル信頼性に優れたはんだペーストを提供することができる。
また、フラックス(F2)によれば、残渣に柔軟性を持たせ、残渣が割れることを抑制でき、温度サイクル信頼性に優れる効果が得られる、はんだペースト用フラックスを提供することができる。
フラックス(F3):
フラックス(F3)は、モノカルボン酸の反応物で2量体であるダイマー酸、ダイマー酸に水素を添加した水添ダイマー酸、モノカルボン酸の反応物で3量体であるトリマー酸、およびトリマー酸に水素を添加した水添トリマー酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸を含む組成物である。
フラックス(F3)としては、例えば、前記ダイマー酸、前記水添ダイマー酸、前記トリマー酸および前記水添トリマー酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸と、ロジンと、チキソ剤と、溶剤と、を含むものが挙げられる。
ダイマー酸及びトリマー酸は、はんだ付けで想定される温度域での耐熱性を有し、はんだ付け時に活性剤として機能する。
フラックス(F3)が含有するダイマー酸、トリマー酸としては、オレイン酸とリノール酸との反応物であるダイマー酸、オレイン酸とリノール酸との反応物であるトリマー酸、アクリル酸の反応物であるダイマー酸、アクリル酸の反応物であるトリマー酸、メタクリル酸の反応物であるダイマー酸、メタクリル酸の反応物であるトリマー酸、アクリル酸とメタクリル酸との反応物であるダイマー酸、アクリル酸とメタクリル酸との反応物であるトリマー酸、オレイン酸の反応物であるダイマー酸、オレイン酸の反応物であるトリマー酸、リノール酸の反応物であるダイマー酸、リノール酸の反応物であるトリマー酸、リノレン酸の反応物であるダイマー酸、リノレン酸の反応物であるトリマー酸、アクリル酸とオレイン酸との反応物であるダイマー酸、アクリル酸とオレイン酸との反応物であるトリマー酸、アクリル酸とリノール酸との反応物であるダイマー酸、アクリル酸とリノール酸との反応物であるトリマー酸、アクリル酸とリノレン酸との反応物であるダイマー酸、アクリル酸とリノレン酸との反応物であるトリマー酸、メタクリル酸とオレイン酸との反応物であるダイマー酸、メタクリル酸とオレイン酸との反応物であるトリマー酸、メタクリル酸とリノール酸との反応物であるダイマー酸、メタクリル酸とリノール酸との反応物であるトリマー酸、メタクリル酸とリノレン酸との反応物であるダイマー酸、メタクリル酸とリノレン酸との反応物であるトリマー酸、オレイン酸とリノレン酸との反応物であるダイマー酸、オレイン酸とリノレン酸との反応物であるトリマー酸、リノール酸とリノレン酸との反応物であるダイマー酸、リノール酸とリノレン酸との反応物であるトリマー酸、上述した各ダイマー酸の水添物である水添ダイマー酸、上述した各トリマー酸の水添物である水添トリマー酸等が挙げられる。
例えば、オレイン酸とリノール酸との反応物であるダイマー酸は、炭素数が36の2量体である。また、オレイン酸とリノール酸との反応物であるトリマー酸は、炭素数が54の3量体である。
フラックス(F3)は、ダイマー酸、水添ダイマー酸、トリマー酸及び水添トリマー酸からなる群より選択される少なくとも一種を、フラックスの全質量に対して0.5質量%以上20質量%以下含むことが好ましく、2質量%以上10質量%以下含むことがより好ましい。
ダイマー酸、水添ダイマー酸、トリマー酸及び水添トリマー酸からなる群より選択される少なくとも一種の含有量が、0.5質量%以上であると、はんだの濡れ広がり性、はんだの濡れ不良(ディウェット)の抑制の効果がより得られやすくなる。
フラックス(F3)は、ダイマー酸、水添ダイマー酸、トリマー酸及び水添トリマー酸からなる群より選択される少なくとも一種に加えて、更に、これら以外の有機酸を併用してもよい。
これら以外の有機酸としては、コハク酸、グルタル酸及びアジピン酸からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。コハク酸、グルタル酸及びアジピン酸からなる群より選択される少なくとも一種の含有量は、フラックスの全質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下が好ましい。
ダイマー酸、水添ダイマー酸、トリマー酸及び水添トリマー酸からなる群より選択される少なくとも一種と、これら以外の有機酸との総含有量は、フラックスの全質量に対して、0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、3質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上10質量%以下であることが更に好ましい。
フラックス(F3)で用いられるロジンとしては、例えば、天然ロジン、該天然ロジンから得られる誘導体等が挙げられる。天然ロジンとしては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等が挙げられる。該誘導体としては、例えば、精製ロジン、変性ロジン等が挙げられる。変性ロジンとしては、水添ロジン、重合ロジン、不均化ロジン、酸変性ロジン、ロジンエステル、フェノール変性ロジン及びα,β不飽和カルボン酸変性物(アクリル化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン、アクリル酸変性水添ロジン等)、並びに該重合ロジンの精製物、水素化物及び不均化物、並びに該α,β不飽和カルボン酸変性物の精製物、水素化物及び不均化物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
フラックス(F3)は、ロジンを15質量%以上70質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは、ロジンを35質量%以上60質量%以下含む。
フラックス(F3)で用いられるチキソ剤としては、例えば、アミド系チキソ剤、ソルビトール系チキソ剤、ワックス系チキソ剤(エステル化合物)等が挙げられる。かかるチキソ剤の含有量は、フラックス(F3)の全質量に対して0.1~15.0質量%が好ましく、0.2質量%以上10.0質量%以下がより好ましい。
フラックス(F3)で用いられる溶剤としては、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等が挙げられる。
フラックス(F3)は、有機酸、ロジン、チキソ剤及び溶剤以外の成分を含有してもよく、例えば、アミン、ハロゲン系活性剤、酸化防止剤、ロジン以外の樹脂成分、界面活性剤などが挙げられる。
上述したフラックス(F3)を、はんだ合金(S1)からはんだ合金(S5)のいずれか1つを含むはんだ粉末と組み合わせることにより、粘度上昇等の経時変化が起きにくく、濡れ性に優れ、高い機械的特性を有し、かつ、はんだの濡れ広がり性が良好であり、ディウェットの発生が抑制されたはんだペーストを提供することができる。
また、フラックス(F3)によれば、熱負荷の大きい条件下でも良好な濡れ広がりを示し、かつ、ディウェットの発生を抑制することができる、はんだペースト用フラックスを提供することができる。
フラックス(F4):
フラックス(F4)は、下記一般式(1)で表される化合物を含む組成物である。
フラックス(F4)としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物と、ロジンと、溶剤と、を含むものが挙げられる。
Figure 0007057533000002
[式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を示す。]
前記一般式(1)において、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、シクロブチル基が挙げられる。中でも、R、R、RおよびRは、水素原子、メチル基、エチル基、シクロプロピル基であることが好ましく、水素原子、メチル基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。R、R、RおよびRは、同一でもよいし、異なっていてもよい。
前記一般式(1)で表される化合物としては、ピコリン酸、6-メチルピコリン酸、6-エチルピコリン酸、3-シクロプロピルピコリン酸、4-シクロプロピルピコリン酸、6-シクロプロピルピコリン酸、5-ブチルピコリン酸、6-シクロブチルピコリン酸などが挙げられる。これらの中でも、ピコリン酸が特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
フラックス(F4)は、一般式(1)で表される化合物を、フラックス(F4)の全質量に対して0.5質量%以上7質量%以下含むことが好ましく、一般式(1)で表される化合物を1.0質量%以上7.0質量%以下含むことがより好ましく、3.0質量%以上7.0質量%以下含むことがさらに好ましく、3.0質量%以上5.0質量%以下含むことが特に好ましい。
フラックス(F4)で用いられるロジンとしては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等の原料ロジン、並びに該原料ロジンから得られる誘導体が挙げられる。該誘導体としては、例えば、精製ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、酸変性ロジン、フェノール変性ロジン及びα,β不飽和カルボン酸変性物(アクリル化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン等)、並びに該重合ロジンの精製物、水素化物及び不均化物、並びに該α,β不飽和カルボン酸変性物の精製物、水素化物及び不均化物等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
フラックス(F4)は、ロジンを、フラックス(F4)の全質量に対して30質量%以上60質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは、フラックス(F4)の全質量に対して35質量%以上60質量%以下含む。
フラックス(F4)で用いられる溶剤としては、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等が挙げられる。
フラックス(F4)は、さらに、有機酸(一般式(1)で表される化合物を除く)を併用してもよい。有機酸としては、上記で例示したものを特に制限なく用いることができ、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸及び水添ダイマー酸からなる群より選択される少なくとも一種が好適なものとして挙げられる。
フラックス(F4)において、一般式(1)で表される化合物と有機酸(一般式(1)で表される化合物を除く)とを併用しない場合、一般式(1)で表される化合物を、フラックス(F4)の全質量に対して1質量%以上7質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは、一般式(1)で表される化合物を2質量%以上7質量%以下含み、さらに好ましくは、一般式(1)で表される化合物を3質量%以上7質量%以下含み、特に好ましくは、一般式(1)で表される化合物を3質量%以上5質量%以下含む。
フラックス(F4)において、一般式(1)で表される化合物と有機酸(一般式(1)で表される化合物を除く)とを併用する場合、一般式(1)で表される化合物を、フラックス(F4)の全質量に対して0.5質量%以上7質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは、一般式(1)で表される化合物を0.5質量%以上5質量%以下含み、さらに好ましくは、一般式(1)で表される化合物を1質量%以上5質量%以下含む。
フラックス(F4)は、有機酸を、フラックス(F4)の全質量に対して0質量%以上10質量%以下含むことが好ましく、0.2質量%以上10質量%以下含むことがより好ましく、0.5質量%以上8質量%以下含むことがさらに好ましく、1質量%以上6質量%以下含むことが特に好ましい。
また、フラックス(F4)の全質量に対して、一般式(1)で表される化合物と前記有機酸(一般式(1)で表される化合物を除く)とを、合計で3質量%以上含むことが好ましく、合計で5質量%以上がより好ましく、合計で6質量%以上がさらに好ましく、合計で6.5質量%以上15質量%以下含むことが特に好ましい。
フラックス(F4)は、さらに、アミン、有機ハロゲン化合物、アミンハロゲン化水素酸塩を含んでもよい。
また、フラックス(F4)は、さらにチキソ剤を含んでいてもよい。フラックス(F4)で用いられるチキソ剤としては、例えば、アミド系チキソ剤、ソルビトール系チキソ剤、ワックス系チキソ剤(エステル化合物)等が挙げられる。
かかるチキソ剤の含有量は、フラックス(F4)の全質量に対して0.1~15.0質量%が好ましく、0.2質量%以上10.0質量%以下がより好ましい。
また、フラックス(F4)は、例えば、ロジン以外の樹脂成分、界面活性剤、酸化防止剤などをさらに含んでもよい。
上述したフラックス(F4)を、はんだ合金(S1)からはんだ合金(S5)のいずれか1つを含むはんだ粉末と組み合わせることにより、粘度上昇等の経時変化が起きにくく、濡れ性に優れ、高い機械的特性を有し、かつ、はんだの濡れ性が高められたはんだペーストを提供することができる。
また、フラックス(F4)によれば、増粘抑制効果を向上できるとともに、接合対象物の金属表面のはんだの濡れ性を高めることができる、はんだペースト用フラックスを提供することができる。
フラックス(F5):
フラックス(F5)は、アゾール類を含む組成物である。
フラックス(F5)としては、例えば、アゾール類と有機酸とロジンと溶剤とを含むものが挙げられ、この形態によれば、接合対象物の金属表面(例えば銅板)の腐食抑制性を向上させることができる。
ここでいう「アゾール類」とは、窒素原子を1つ以上含む複素5員環構造を有する化合物を意味し、当該複素5員環構造と他の環構造との縮合環も包含する。
アゾール類としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、エポキシ-イミダゾールアダクト、2-メチルベンゾイミダゾール、2-オクチルベンゾイミダゾール、2-ペンチルベンゾイミダゾール、2-(1-エチルペンチル)ベンゾイミダゾール、2-ノニルベンゾイミダゾール、2-(4-チアゾリル)ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2’-[[(メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、1-(1’,2’-ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1-(2,3-ジカルボキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1-[(2-エチルヘキシルアミノ)メチル]ベンゾトリアゾール、2,6-ビス[(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]-4-メチルフェノール、5-メチルベンゾトリアゾール、5-フェニルテトラゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン、6-(2-ベンゾトリアゾリル)-4-tert-オクチル-6’-tert-ブチル-4’-メチル-2,2’-メチレンビスフェノール等が挙げられる。
アゾール類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
アゾール類は、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、ベンゾイミダゾール及び2-オクチルベンゾイミダゾールからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましく、2-フェニルイミダゾールを含むものがより好ましい。
フラックス(F5)は、アゾール類を、フラックス(F5)の全質量に対して0.1質量%以上10質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは、フラックス(F5)の全質量に対して0.5質量%以上5.0質量%以下含む。
フラックス(F5)で用いられる有機酸の含有量は、フラックス(F5)の全質量に対して0.5質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上18質量%以下がより好ましい。
フラックス(F5)において、有機酸の含有量と、アゾール類の含有量との比率は、有機酸の含有量/アゾール類の含有量で表される質量比として、0.5以上10以下が好ましく、1以上9以下がより好ましい。この質量比が前記の好ましい範囲内であれば、接合対象物の金属表面(例えば銅板)の腐食抑制性がより高められやすくなる。
フラックス(F5)において、有機酸の含有量と、アゾール類の含有量との合計量は、フラックス(F5)の全質量に対して3質量%以上25質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましく、5質量%以上18質量%以下がさらに好ましく、5質量%以上15質量%以下が特に好ましい。
フラックス(F5)で用いられるロジンとしては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等の原料ロジン、並びに該原料ロジンから得られる誘導体が挙げられる。該誘導体としては、例えば、精製ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、酸変性ロジン、フェノール変性ロジン及びα,β不飽和カルボン酸変性物(アクリル化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン等)、並びに該重合ロジンの精製物、水素化物及び不均化物、並びに該α,β不飽和カルボン酸変性物の精製物、水素化物及び不均化物等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
フラックス(F5)は、ロジンを、フラックス(F5)の全質量に対して30質量%以上60質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは、フラックス(F5)の全質量に対して35質量%以上60質量%以下含む。
フラックス(F5)で用いられる溶剤としては、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等が挙げられる。
フラックス(F5)は、さらに、アミン、有機ハロゲン化合物、アミンハロゲン化水素酸塩を含んでもよい。
また、フラックス(F5)は、さらにチキソ剤を含んでいてもよい。フラックス(F5)で用いられるチキソ剤としては、例えば、アミド系チキソ剤、ソルビトール系チキソ剤、ワックス系チキソ剤(エステル化合物)等が挙げられる。
かかるチキソ剤の含有量は、フラックス(F5)の全質量に対して0.1~15.0質量%が好ましく、0.2質量%以上10.0質量%以下がより好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下がさらに好ましく、2.0質量%以上8.3質量%以下が特に好ましい。
また、フラックス(F5)は、例えば、ロジン以外の樹脂成分、界面活性剤、酸化防止剤などをさらに含んでもよい。
上述したフラックス(F5)を、はんだ合金(S1)からはんだ合金(S5)のいずれか1つを含むはんだ粉末と組み合わせることにより、粘度上昇等の経時変化が起きにくく、濡れ性に優れ、高い機械的特性を有し、かつ、接合対象物の金属表面(例えば銅板)の腐食抑制能が高められたはんだペーストを提供することができる。
また、フラックス(F5)によれば、接合対象物の金属表面(例えば銅板)の腐食抑制性を高めることができる、はんだペースト用フラックスを提供することができる。
フラックス(F6):
フラックス(F6)は、芳香族グアニジン化合物を含む組成物である。
フラックス(F6)としては、例えば、芳香族グアニジン化合物と、ロジンと、有機酸と、溶剤と、を含むものが挙げられる。
芳香族グアニジン化合物としては、例えば、ジフェニルグアニジン、ジトリルグアニジン等が挙げられる。
芳香族グアニジン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記芳香族グアニジン化合物は、ジフェニルグアニジン及びジトリルグアニジンからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましく、ジフェニルグアニジンを含むものがより好ましい。
フラックス(F6)は、芳香族グアニジン化合物を、フラックス(F6)の全質量に対して0.2質量%以上15質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは、芳香族グアニジン化合物を0.5質量%以上7.0質量%以下含む。
フラックス(F6)で用いられるロジンとしては、例えば、天然ロジン、該天然ロジンから得られる誘導体等が挙げられる。天然ロジンとしては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等が挙げられる。該誘導体としては、例えば、精製ロジン、変性ロジン等が挙げられる。変性ロジンとしては、水添ロジン、重合ロジン、不均化ロジン、酸変性ロジン、ロジンエステル、フェノール変性ロジン及びα,β不飽和カルボン酸変性物(アクリル化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン、アクリル酸変性水添ロジン等)、並びに該重合ロジンの精製物、水素化物及び不均化物、並びに該α,β不飽和カルボン酸変性物の精製物、水素化物及び不均化物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
フラックス(F6)は、ロジンを、フラックス(F6)の全質量に対して15質量%以上70質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは、フラックス(F6)の全質量に対して35質量%以上60質量%以下含む。
フラックス(F6)で用いられる有機酸の含有量は、フラックス(F6)の全質量に対して0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、0.2質量%以上10質量%以下がより好ましい。
フラックス(F6)において、有機酸と、芳香族グアニジン化合物とを、フラックス(F6)の全質量に対して、合計で2質量%以上18質量%以下含むことが好ましく、合計で3質量%以上18質量%以下含むことがより好ましい。
フラックス(F6)で用いられる溶剤としては、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等が挙げられる。
フラックス(F6)は、さらに、チキソ剤を含んでもよい。
フラックス(F6)で用いられるチキソ剤としては、例えば、アミド系チキソ剤、ソルビトール系チキソ剤、ワックス系チキソ剤(エステル化合物)等が挙げられる。
かかるチキソ剤の含有量は、フラックス(F6)の全質量に対して0.1~15.0質量%が好ましく、0.2質量%以上10.0質量%以下がより好ましい。
フラックス(F6)は、さらに、アミン、有機ハロゲン化合物、アミンハロゲン化水素酸塩を含んでもよい。
また、フラックス(F6)は、例えば、ロジン以外の樹脂成分、界面活性剤、酸化防止剤などをさらに含んでもよい。
上述したフラックス(F6)を、はんだ合金(S1)からはんだ合金(S5)のいずれか1つを含むはんだ粉末と組み合わせることにより、粘度上昇等の経時変化が起きにくく、濡れ性に優れ、高い機械的特性を有し、かつ、接合対象物の金属表面に対するはんだの濡れ速度が高められたはんだペーストを提供することができる。
また、フラックス(F6)によれば、接合対象物の金属表面に対する、はんだの濡れ速度が高く、はんだ濡れ性の良好なはんだペースト用フラックスを提供することができる。
フラックス(F7):
フラックス(F7)は、アミド化合物であるアミド系チキソ剤を含む組成物である。
フラックス(F7)としては、例えば、前記のアミド化合物であるアミド系チキソ剤と、有機酸と、ロジン系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種である樹脂成分と、溶剤と、を含むものが挙げられる。
アミド系チキソ剤(アミド化合物)としては、ポリアミド、ビスアミド、モノアミドが挙げられる。
例えば、かかるアミド系チキソ剤(アミド化合物)は、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、飽和脂肪酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、p-トルアミド、p-トルエンメタンアミド、芳香族アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、置換アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールアミド、脂肪酸エステルアミド等のモノアミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシ脂肪酸(脂肪酸の炭素数C6~24)アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、飽和脂肪酸ビスアミド、メチレンビスオレイン酸アミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、芳香族ビスアミド等のビスアミド;飽和脂肪酸ポリアミド、不飽和脂肪酸ポリアミド、芳香族ポリアミド、1,2,3-プロパントリカルボン酸トリス(2-メチルシクロヘキシルアミド)、環状アミドオリゴマー、非環状アミドオリゴマー等のポリアミドが挙げられる。
前記環状アミドオリゴマーは、ジカルボン酸とジアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、トリカルボン酸とジアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸とトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、トリカルボン酸とトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及びトリカルボン酸とジアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及びトリカルボン酸とトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸とジアミン及びトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、トリカルボン酸とジアミン及びトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及びトリカルボン酸とジアミン及びトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー等が挙げられる。
また、前記非環状アミドオリゴマーは、モノカルボン酸とジアミン及び/又はトリアミンとが非環状に重縮合したアミドオリゴマーである場合、ジカルボン酸及び/又はトリカルボン酸とモノアミンとが非環状に重縮合したアミドオリゴマーである場合等が挙げられる。モノカルボン酸又はモノアミンを含むアミドオリゴマーであると、モノカルボン酸、モノアミンがターミナル分子(terminal molecules)として機能し、分子量を小さくした非環状アミドオリゴマーとなる。また、非環状アミドオリゴマーは、ジカルボン酸及び/又はトリカルボン酸と、ジアミン及び/又はトリアミンとが非環状に重縮合したアミド化合物である場合、非環状高分子系アミドポリマーとなる。更に、非環状アミドオリゴマーは、モノカルボン酸とモノアミンとが非環状に縮合したアミドオリゴマーも含まれる。
本実施形態のフラックス(F7)に含まれるアミド系チキソ剤(アミド化合物)は、ポリアミド、ビスアミド及びモノアミドからなる群より選択される少なくとも一種を含むものを用いることが好ましい。その中でも、p-トルアミド、エチレンビスヒドロキシ脂肪酸(C6~24)アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、1,2,3-プロパントリカルボン酸トリス(2-メチルシクロヘキシルアミド)、ポリアミド及び環状アミドオリゴマーからなる群より選択される少なくとも一種を用いることがより好ましい。
本実施形態のフラックス(F7)は、アミド系チキソ剤の含有量が、前記フラックス(F7)の全質量に対して0質量%を超え、15質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
アミド化合物以外のチキソ剤としては、ワックス系チキソ剤が挙げられる。ワックス系チキソ剤としては、例えばエステル化合物が挙げられ、具体的にはヒマシ硬化油等が挙げられる。本実施の形態のフラックスは、エステル化合物を、前記フラックス(F7)の全質量に対して0質量%以上15質量%以下含むことが好ましく、0質量%超12.0質量%以下含むことがより好ましい。
本実施形態のフラックスは、チキソ剤であるアミド化合物と、エステル化合物とを合計で、前記フラックス(F7)の全質量に対して3.0質量%以上15.0質量%以下含むことが好ましく、5.0質量%以上10.0質量%以下含むことがより好ましい。
フラックス(F7)で用いられる有機酸の含有量は、フラックス(F7)の全質量に対して0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、0.2質量%以上10質量%以下がより好ましい。
フラックス(F7)は、ロジン系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種である樹脂成分を、フラックス(F7)の全質量に対して15質量%以上70質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは、フラックス(F7)の全質量に対して35質量%以上60質量%以下含む。
フラックス(F7)で用いられる溶剤としては、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等が挙げられる。
フラックス(F7)は、さらに、ロジン系樹脂及びアクリル系樹脂以外の樹脂成分、アミン、ハロゲン系活性剤、界面活性剤、酸化防止剤を含んでもよい。
上述したフラックス(F7)を、はんだ合金(S1)からはんだ合金(S5)のいずれか1つを含むはんだ粉末と組み合わせることにより、粘度上昇等の経時変化が起きにくく、濡れ性に優れ、高い機械的特性を有し、かつ、印刷ダレ及び加熱ダレを生じにくいはんだペーストを提供することができる。
また、フラックス(F7)によれば、印刷ダレと称する印刷後のはんだペーストのダレや、加熱ダレと称する加熱により溶融する際のはんだペーストのダレを生じにくい、はんだペースト用フラックスを提供することができる。
フラックス(F8):
フラックス(F8)は、ソルビトール化合物であるソルビトール系チキソ剤を含む組成物である。
フラックス(F8)としては、例えば、前記のソルビトール化合物であるソルビトール系チキソ剤と、ロジン系樹脂と、溶剤と、を含むものが挙げられる。
ソルビトール系チキソ剤(ソルビトール化合物)としては、ジベンジリデンソルビトール、ビス(4-メチルベンジリデン)ソルビトール等が挙げられる。
このソルビトール系チキソ剤の含有量は、フラックス(F8)の全質量に対して0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上5.0質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以上3.5質量%以下が特に好ましい。
本実施の形態のフラックス(F8)で用いられるチキソ剤は、前記のソルビトール系チキソ剤以外のチキソ剤を併用してもよい。
ソルビトール系チキソ剤以外のチキソ剤としては、例えば、ソルビトール系添加剤、その他チキソ剤等が挙げられる。
ソルビトール系添加剤としては、(D-)ソルビトール、モノベンジリデン(-D-)ソルビトール、モノ(4-メチルベンジリデン)-(D-)ソルビトール等が挙げられる。
このソルビトール系添加剤の含有量は、フラックス(F8)の全質量に対して0質量%超え0.035質量%以下が好ましく、0.00025質量%以上0.035質量%以下がより好ましい。
その他チキソ剤としては、ワックス系チキソ剤及びアミド系チキソ剤(アミド化合物)からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。
その他チキソ剤であるワックス系チキソ剤としては、例えばエステル化合物が挙げられ、具体的にはヒマシ硬化油等が挙げられる。
その他チキソ剤であるアミド系チキソ剤(アミド化合物)としては、例えば、前記のポリアミド、ビスアミド、モノアミドが挙げられる。
かかるその他チキソ剤の含有量は、フラックス(F8)の全質量に対して0.5~15.0質量%が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
本実施の形態のフラックス(F8)は、ソルビトール系チキソ剤とその他チキソ剤とを、フラックス(F8)の全質量に対して合計で2質量%以上15質量%以下含むことが好ましく、フラックス(F8)の全質量に対して合計で2.5質量%以上11.5質量%以下含むことがより好ましい。
本実施の形態のフラックス(F8)は、チキソ剤の総量が、フラックス(F8)の全質量に対して2質量%以上15質量%以下含むことが好ましく、フラックス(F8)の全質量に対して2.5質量%以上11.5質量%以下含むことがより好ましい。
本実施の形態のフラックス(F8)の全質量に対するチキソ剤は、ジベンジリデンソルビトール及びビス(4-メチルベンジリデン)ソルビトールからなる群より選択される少なくとも一種であるソルビトール系チキソ剤と、これ以外のチキソ剤と、を組み合わせて用いることが好ましい。これにより、チキソ性の付与に加えて、フラックス及びこれを用いたはんだペースト中における結晶の析出、ダマの発生が抑制されやすくなる。
本実施の形態のフラックス(F8)のチキソ剤は、前記ソルビトール系チキソ剤と、前記ソルビトール系添加剤とを併用することが好ましい。
より好ましいチキソ剤は、前記ソルビトール系チキソ剤と、(D-)ソルビトール、モノベンジリデン(-D-)ソルビトール及びモノ(4-メチルベンジリデン)-(D-)ソルビトールからなる群より選択される少なくとも一種であるソルビトール系添加剤と、を含む。
前記ソルビトール系チキソ剤に対する、前記ソルビトール系添加剤の割合(質量比)が、0.03~1.50であることが好ましく、0.05~1.00であることがより好ましい。
また、本実施の形態のフラックス(F8)のチキソ剤は、前記ソルビトール系チキソ剤と、前記ソルビトール系添加剤と、前記その他チキソ剤と、を併用することが好ましい。
フラックス(F8)は、ロジン系樹脂を、フラックス(F8)の全質量に対して15質量%以上70質量%以下含むことが好ましく、フラックス(F8)の全質量に対して35質量%以上60質量%以下含むことがより好ましい。
フラックス(F8)で用いられる溶剤としては、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等が挙げられる。
フラックス(F8)は、さらに、チキソ剤、ロジン系樹脂及び溶剤以外の成分を含有してもよく、例えば、有機酸、アミン、ハロゲン系活性剤、界面活性剤、酸化防止剤などが挙げられる。
上述したフラックス(F8)を、はんだ合金(S1)からはんだ合金(S5)のいずれか1つを含むはんだ粉末と組み合わせることにより、粘度上昇等の経時変化が起きにくく、濡れ性に優れ、高い機械的特性を有し、かつ、流動性及び保形性が良好なはんだペーストを提供することができる。
また、フラックス(F8)によれば、充分なチキソ性を付与することができ、好ましくは結晶の析出が抑制され、ダマを生じにくい、はんだペースト用フラックスを提供することができる。
尚、はんだペーストのプリント基板の電極上への供給は、通常はディスペンサ吐出やスクリーン印刷により行われる。このため、はんだペーストには吐出性、版抜け等の印刷性が求められ、更には、供給された後はその形状が保たれることが必要とされる。はんだペーストにおいて、吐出・印刷時の流動性(低粘性)と、供給後の保形性(高粘性)とを併せ持つ流動特性(チキソ性)は、近年の高密度化が進む基板表面実装におけるファインピッチ印刷の際に重要な要素となる。
フラックス(F9):
フラックス(F9)は、グリコール系溶剤と有機酸エステルとを併有する組成物である。
フラックス(F9)としては、樹脂成分と、溶剤と、各種活性成分と、を含むものが挙げられる。好ましいフラックス(F9)としては、ロジン系樹脂と、有機酸と、溶剤としてグリコール系溶剤及び有機酸エステルと、を含むものが挙げられる。
フラックス(F9)で用いることができるロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン等の天然ロジンや、その誘導体(重合ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、酸変性ロジン、ロジンエステル等)が挙げられる。
フラックス(F9)中のロジン系樹脂の含有量は、特に限定はなく、例えば、フラックス(F9)の全質量に対して10~80質量%の範囲内が好ましく、20~70質量%の範囲内がより好ましく、30~60質量%の範囲内がさらに好ましい。
フラックス(F9)中の有機酸の含有量は、特に限定はなく、例えば、フラックス(F9)の全質量に対して1~15質量%の範囲内が好ましく、3~10質量%の範囲内がより好ましい。
本実施形態のフラックス(F9)においては、溶剤として、少なくともグリコール系溶剤と有機酸エステルとを併有する。このような有機酸エステルは沸点が適度な範囲にあり、一般的なはんだ付けで採用される接合温度においては、接合初期にはフラックス中に残存してフラックスの溶融粘度を低く保ち、分解ガス等の解放を容易にしつつ、接合後期にはある程度揮発する。
ここでいう「グリコール系溶剤」とは、グリコール(脂肪族又は脂環式炭化水素の2つの相異なる炭素原子に1つずつ水酸基が結合している構造を有する化合物)又はその誘導体からなる溶剤をいう。
本実施形態のフラックス(F9)において、グリコール系溶剤の種類に限定はなく、例えば、はんだ付け用フラックスに一般的に使用されているものを用いることができる。グリコール系溶剤の具体例としては、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、フェニルグリコール、ヘキシルジグリコール、2-エチルヘキシルジグリコールに加え、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルカルビトール)、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル類が挙げられる。
これらのうち、炭素数2~24のアルコールのグリコールエーテル(具体的には、モノグリコールエーテル(炭素数:4~26)、ジグリコールエーテル(炭素数:6~28)、オリゴグリコールエーテル(炭素数:2+2×n~24+2×n))が好ましく、炭素数4~16のアルコールのグリコールエーテルがより好ましく、炭素数6~8のアルコールのグリコールエーテルが特に好ましい。
グリコール系溶剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
フラックス(F9)中のグリコール系溶剤の含有量(複数種類のグリコール系溶剤を用いる場合はその総含有量)は、特に限定はなく、例えば、フラックス(F9)の全質量に対して10~60質量%の範囲内が好ましく、15~50質量%の範囲内がより好ましく、20~45質量%の範囲内がさらに好ましい。
本実施形態においては、溶剤として、上記グリコール系溶剤に加えて有機酸エステルを併用する。これにより、はんだ付け時において溶融粘度の低いフラックスを実現することができる。
有機酸エステルを含むフラックスは、はんだペーストの保管中におけるはんだ合金粉末と活性剤との反応を抑制し得るため、活性剤の活性度や配合量を調整せずともその活性力は残存され、はんだ付け時における良好なぬれ性を確保し、ボイドの発生を抑制することができる。
有機酸エステルとしては、例えば、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジイソプロピル、マレイン酸ジブチル、セバシン酸ジメチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル等が挙げられる。これらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
フラックス(F9)中の有機酸エステルの含有量(複数種類の有機酸エステルを用いる場合はその総含有量)は、特に限定はないが、フラックス(F9)の全質量に対して0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。一方、フラックスやはんだペーストの乾燥不良をなくし、べたつきを抑えるという点からは含有量は少ない方が好ましく、例えば、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、15質量%以下が特に好ましい。
また、グリコール系溶剤の含有量(質量%)に対する、有機酸エステルの含有量(質量%)(複数種類用いる場合はその総量)の質量比(有機酸エステル含有量/グリコール系溶剤の含有量)は、特に限定はないが、ボイド発生の防止の点からは、0.01~1.25であることが好ましく、0.10~1.0であることがより好ましく、0.15~0.75であることがさらに好ましく、0.15~0.50であることが特に好ましい。
本実施形態のフラックス(F9)においては、グリコール系溶剤及び有機酸エステルに加えて、さらに、他の公知の溶剤を併用することもできる。
このような溶剤としては、例えば、ベンジルアルコール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、1,5-ペンタンジオール、オクタンジオール、テルピネオール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類;トルエン、キシレン、n-ヘキサン等の炭化水素類が挙げられ、これらの一種又は二種以上用いることができる。
本実施形態のフラックス(F9)中の溶剤の合計の含有量は、フラックス(F9)の全質量に対して20~70質量%の範囲内が好ましく、25~60質量%の範囲内がより好ましく、30~60質量%の範囲内がさらに好ましい。
本実施形態のフラックス(F9)は、ロジン系樹脂以外の樹脂成分、チキソ剤、アミン、ハロゲン系活性剤、界面活性剤、酸化防止剤を含んでもよい。
上述したフラックス(F9)を、はんだ合金(S1)からはんだ合金(S5)のいずれか1つを含むはんだ粉末と組み合わせることにより、粘度上昇等の経時変化が起きにくく、濡れ性に優れ、高い機械的特性を有し、かつ、製造効率や保存安定性を損なうことなく、ボイドの発生の少ないはんだ付けを実現できる、はんだペーストを提供することができる。
また、フラックス(F9)によれば、製造効率や保存安定性を損なうことなく、ボイドの発生の少ないはんだ付けを実現できる、はんだペースト用フラックスを提供することができる。
フラックス(F10):
フラックス(F10)は、グリコール系溶剤と、炭素数が16~18の一価のアルコールとを併有する組成物である。
フラックス(F10)としては、樹脂成分と、溶剤と、各種活性成分と、を含むものが挙げられる。好ましいフラックス(F10)としては、ロジン系樹脂と、有機酸と、溶剤としてグリコール系溶剤及び炭素数16~18の一価のアルコールと、を含むものが挙げられる。
フラックス(F10)で用いることができるロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン等の天然ロジンや、その誘導体(重合ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、酸変性ロジン、ロジンエステル等)が挙げられる。
フラックス(F10)中のロジン系樹脂の含有量は、特に限定はなく、例えば、フラックス(F10)の全質量に対して10~80質量%の範囲内が好ましく、20~70質量%の範囲内がより好ましく、30~60質量%の範囲内がさらに好ましい。
フラックス(F10)中の有機酸の含有量は、特に限定はなく、例えば、フラックス(F10)の全質量に対して1~15質量%の範囲内が好ましく、3~10質量%の範囲内がより好ましい。
本実施形態のフラックス(F10)においては、溶剤として、少なくともグリコール系溶剤と炭素数16~18の一価のアルコールとを併有する。このような炭素数の一価のアルコールは、沸点が適度な範囲にあり、一般的なはんだ付けで採用される接合温度においては、接合初期にはフラックス中に残存して、フラックスの溶融粘度を低く保ち、分解ガス等の解放を容易にしつつ、接合後期にはある程度揮発する。
ここでいうグリコール系溶剤とは、グリコール(脂肪族又は脂環式炭化水素の2つの相異なる炭素原子に1つずつ水酸基が結合している構造を有する化合物)又はその誘導体からなる溶剤をいう。
本実施形態のフラックス(F10)において、グリコール系溶剤の種類に限定はなく、例えば、はんだ付け用フラックスに一般的に使用されているものを用いることができる。グリコール系溶剤の具体例としては、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、フェニルグリコール、ヘキシルジグリコール、2-エチルヘキシルジグリコールに加え、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルカルビトール)、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル類が挙げられる。
これらのうち、炭素数2~24のアルコールのグリコールエーテル(具体的には、モノグリコールエーテル(炭素数:4~26)、ジグリコールエーテル(炭素数:6~28)、オリゴグリコールエーテル(炭素数:2+2×n~24+2×n))が好ましく、炭素数4~16のアルコールのグリコールエーテルがより好ましく、炭素数6~8のアルコールのグリコールエーテルが特に好ましい。
グリコール系溶剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
フラックス(F10)中のグリコール系溶剤の含有量(複数種類のグリコール系溶剤を用いる場合はその総含有量)は、特に限定はなく、例えば、フラックス(F10)の全質量に対して10~60質量%の範囲内が好ましく、15~50質量%の範囲内がより好ましく、20~45質量%の範囲内がさらに好ましい。
本実施形態のフラックス(F10)においては、溶剤として、上記グリコール系溶剤に加えて、炭素数16~18の一価のアルコールを併用する。これにより、はんだ付け時において、溶融粘度の低いフラックスを実現することができる。
炭素数16~18の一価のアルコールとしては、1-ヘキサデカノール(炭素数16)、2-ヘキシルデカノール(炭素数16)、イソヘキサデカノール(炭素数16)、1-ヘプタデカノール(炭素数17)、1-オクタデカノール(炭素数18)、イソステアリルアルコール(炭素数18)等が挙げられ、一種のみ用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
この中でも、炭素数16のものが好ましく、とりわけ、2-ヘキシルデカノール(CAS番号:2425-77-6)は、ベタツキが少なく好ましい。2-ヘキシルデカノールとしては、例えば、ファインオキソコール1600(日産化学工業株式会社製、登録商標)などを使用することができる。
フラックス(F10)中の炭素数16~18の一価のアルコールの含有量は、特に限定はなく、フラックス(F10)中に炭素数16~18の一価のアルコールが含まれていればよい。
フラックスやはんだペーストのはんだ付け時の溶融粘度を低くするという点からは、フラックス(F10)中の炭素数16~18の一価のアルコールの含有量は多い方が好ましく、例えば、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。
一方、フラックスやはんだペーストの乾燥不良を無くし、べたつきを抑えるという点からは、フラックス(F10)中の炭素数16~18の一価のアルコールの含有量は少ない方が好ましく例えば、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
また、グリコール系溶剤の含有量(質量%)に対する、炭素数16~18の一価のアルコールの含有量(質量%)(複数種類用いる場合はその総量)の質量比(炭素数16~18の一価のアルコール含有量/グリコール系溶剤の含有量)は、特に限定はないが、ボイド発生の防止と乾燥のバランスとの点からは、0.01~1.25であることが好ましく、0.15~1.25であることがより好ましく、0.15~0.72であることがさらに好ましい。
本実施形態のフラックス(F10)においては、グリコール系溶剤及び炭素数16~18の一価のアルコールに加えて、さらに、他の公知の溶剤を併用することもできる。
このような溶剤としては、例えば、ベンジルアルコール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、1,5-ペンタンジオール、オクタンジオール、テルピネオール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類;トルエン、キシレン、n-ヘキサン等の炭化水素類;酢酸イソプロピル、安息香酸ブチル等のエステル類が挙げられ、これらの一種又は二種以上用いることができる。
本実施形態のフラックス(F10)中の溶剤の合計の含有量は、フラックス(F10)の全質量に対して20~70質量%の範囲内が好ましく、25~60質量%の範囲内がより好ましく、30~55質量%の範囲内がさらに好ましい。
本実施形態のフラックス(F10)は、ロジン系樹脂以外の樹脂成分、チキソ剤、アミン、ハロゲン系活性剤、界面活性剤、酸化防止剤を含んでもよい。
上述したフラックス(F10)を、はんだ合金(S1)からはんだ合金(S5)のいずれか1つを含むはんだ粉末と組み合わせることにより、粘度上昇等の経時変化が起きにくく、濡れ性に優れ、高い機械的特性を有し、かつ、製造効率や保存安定性を損なうことなく、ボイドの発生の少ないはんだ付けを実現できる、はんだペーストを提供することができる。
また、フラックス(F10)によれば、製造効率や保存安定性を損なうことなく、ボイドの発生の少ないはんだ付けを実現できる、はんだペースト用フラックスを提供することができる。
フラックス(F11):
フラックス(F11)は、ヒンダードフェノール系化合物を含む組成物である。
フラックス(F11)としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物と、有機酸と、ロジン系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種である樹脂成分と、溶剤と、を含むものが挙げられる。
フラックス(F11)は、金属不活性化剤としてヒンダードフェノール系化合物を含有する。フラックスがヒンダードフェノール系化合物を含有することにより、はんだペーストにおいて増粘抑制効果を奏する。
ヒンダードフェノール系化合物とは、フェノールのオルト位の少なくとも一方に嵩高い置換基(例えばt-ブチル基等の分岐状又は環状アルキル基)を有するフェノール系化合物をいう。
ヒンダードフェノール系化合物としては、特に限定されず、例えば、ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]、N,N’-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、2,2’-メチレンビス[6-(1-メチルシクロヘキシル)-p-クレゾール]、2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-p-クレゾール)、2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス〔3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6-ヘキサンジオール-ビス-〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルフォスフォネート-ジエチルエステル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N’-ビス[2-[2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)エチルカルボニルオキシ]エチル]オキサミド、下記式(2)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0007057533000003
[式中、Zは、置換されてもよいアルキレン基である。R及びRは、それぞれ独立して、置換されてもよい、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基である。R及びRは、それぞれ独立して、置換されてもよいアルキル基である。]
上記のヒンダードフェノール系化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ヒンダードフェノール系化合物の含有量は、フラックス(F11)の全質量に対して0.5~10質量%であることが好ましい。含有量が0.5質量%以上であることにより、はんだペーストは、増粘抑制効果を一層向上できる。含有量が10質量%以下であることにより、はんだペーストは、はんだ濡れ性を一層向上できる。同様の観点から、含有量は、フラックス(F11)の全質量に対して1.0~5.0質量%であることがより好ましく、フラックス(F11)の全質量に対して2.0~4.0質量%であることが更に好ましい。
フラックス(F11)で用いられる有機酸の含有量は、フラックス(F11)の全質量に対して0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、フラックス(F11)の全質量に対して0.2質量%以上10質量%以下がより好ましい。
フラックス(F11)は、ロジン系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種である樹脂成分を、フラックス(F11)の全質量に対して15質量%以上70質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは、フラックス(F11)の全質量に対して20質量%以上60質量%以下含む。
フラックス(F11)で用いられる溶剤としては、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等が挙げられる。
フラックス(F11)は、さらに、ロジン系樹脂及びアクリル系樹脂以外の樹脂成分、チキソ剤、アミン、ハロゲン系活性剤、界面活性剤、酸化防止剤を含んでもよい。
上述したフラックス(F11)を、はんだ合金(S1)からはんだ合金(S5)のいずれか1つを含むはんだ粉末と組み合わせることにより、粘度上昇等の経時変化が起きにくく、濡れ性に優れ、高い機械的特性を有し、かつ、信頼性を高められるはんだペーストを提供することができる。
また、フラックス(F11)によれば、はんだペーストの増粘抑制効果、信頼性及び濡れ性をバランス良く両立可能とする、はんだペースト用フラックスを提供することができる。
フラックス(F12):
フラックス(F12)は、窒素化合物である金属不活性化剤、を含む組成物である。
フラックス(F12)としては、例えば、窒素化合物である金属不活性化剤と、ロジン系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種である樹脂成分と、溶剤と、を含むものが挙げられる。
フラックス(F12)は、金属不活性化剤として窒素化合物を含有する。フラックスが、窒素化合物である金属不活性化剤を含有することにより、はんだペーストにおいて増粘抑制効果を奏する。
かかる窒素化合物としては、窒素原子を含有し、金属不活性化剤として用いられる化合物であれば特に限定されない。ここでの窒素化合物は、増粘抑制効果に優れる観点から、ヒドラジド系窒素化合物、アミド系窒素化合物、トリアゾール系窒素化合物およびメラミン系窒素化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ヒドラジド系窒素化合物及びトリアゾール系窒素化合物からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
ヒドラジド系窒素化合物としては、ヒドラジド骨格を有する窒素化合物であればよく、ドデカン二酸ビス[N2-(2ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド]、N,N’-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、デカンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、N-サリチリデン-N’-サリチルヒドラジド、m-ニトロベンズヒドラジド、3-アミノフタルヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド、オキザロビス(2-ヒドロキシ-5-オクチルベンジリデンヒドラジド)、N’-ベンゾイルピロリドンカルボン酸ヒドラジド、N,N’-ビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン等が挙げられる。
アミド系窒素化合物としては、アミド骨格を有する窒素化合物であればよく、N,N’-ビス{2-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシル]エチル}オキサミド等が挙げられる。
トリアゾール系窒素化合物としては、トリアゾール骨格を有する窒素化合物であればよく、N-(2H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)サリチルアミド、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3-(N-サリチロイル)アミノ-1,2,4-トリアゾール等が挙げられる。
メラミン系窒素化合物としては、メラミン骨格を有する窒素化合物であればよく、メラミン、メラミン誘導体等が挙げられる。
より具体的には、例えば、トリスアミノトリアジン、アルキル化トリスアミノトリアジン、アルコキシアルキル化トリスアミノトリアジン、メラミン、アルキル化メラミン、アルコキシアルキル化メラミン、N2-ブチルメラミン、N2,N2-ジエチルメラミン、N,N,N’,N’,N’’,N’’-ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン等が挙げられる。
また、メラミン系窒素化合物としては市販品を用いてもよく、例えば、ADEKA社製 アデカスタブZS-27、ZS-90が挙げられ、アデカスタブZS-27がより好ましい。これらの具体的な市販品は、増粘抑制効果がより顕著となる観点から好ましい。
上記の窒素化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
窒素化合物の含有量は、フラックス(F12)の全質量に対して0質量%を超え、10質量%以下であることが好ましく、0.05~5.0質量%であることがより好ましく、0.10~2.0質量%であることが更に好ましく、0.10~1.0質量%であることが特に好ましい。含有量が0質量%を超えることにより、はんだペーストは、増粘抑制効果に優れる。
フラックス(F12)においては、金属不活性化剤として、上記の窒素化合物に加え、さらにヒンダードフェノール系化合物を併用してもよい。
金属不活性化剤として、ヒンダードフェノール系化合物をさらに用いることにより、はんだペーストは、増粘抑制効果がより優れる。
ヒンダードフェノール系化合物としては、特に限定されず、例えば上記フラックス(F11)についての説明の中で例示したヒンダードフェノール系化合物と同様のものが挙げられる。
ヒンダードフェノール系化合物の含有量は、フラックス(F12)の全質量に対して、例えば0~10質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましく、2~10質量%がさらに好ましい。
フラックス(F12)は、ロジン系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種である樹脂成分を、フラックス(F12)の全質量に対して15質量%以上70質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは、フラックス(F12)の全質量に対して35質量%以上60質量%以下含む。
フラックス(F12)で用いられる溶剤としては、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等が挙げられる。
フラックス(F12)は、さらに、有機酸を含んでもよい。
フラックス(F12)で用いられる有機酸の含有量は、フラックス(F12)の全質量に対して0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、フラックス(F12)の全質量に対して0.2質量%以上10質量%以下がより好ましく、1質量%以上8質量%以下がさらに好ましい。
フラックス(F12)は、さらに、ロジン系樹脂及びアクリル系樹脂以外の樹脂成分、チキソ剤、アミン、ハロゲン系活性剤、界面活性剤、酸化防止剤を含んでもよい。
上述したフラックス(F12)を、はんだ合金(S1)からはんだ合金(S5)のいずれか1つを含むはんだ粉末と組み合わせることにより、粘度上昇等の経時変化が起きにくく、濡れ性に優れ、高い機械的特性を有し、かつ、信頼性を高められるはんだペーストを提供することができる。
また、フラックス(F12)によれば、はんだペーストの増粘抑制効果、信頼性及び濡れ性をバランス良く両立可能とする、はんだペースト用フラックスを提供することができる。
以上説明した、本発明に係るはんだペーストは、半導体パッケージにおけるICチップとその基板(インターポーザ)との接合、あるいは半導体パッケージとプリント配線板との接合に使用するのに適している。
本発明に係るはんだペーストを用いた接合方法は、例えば、リフロー法を用いて常法に従って行えばよい。フローソルダリングを行う場合のはんだ合金の溶融温度は、概ね液相線温度から20℃程度高い温度でよい。また、本実施の形態におけるはんだ合金を用いて接合する場合には、凝固時の冷却速度を考慮した方が組織の微細化の観点から好ましい。例えば2~3℃/s以上の冷却速度で、はんだ継手を冷却する。この他の接合条件は、はんだ合金の合金組成に応じて適宜調整することができる。
本実施の形態におけるはんだ合金は、その原材料として低α線量材を使用することにより低α線量合金を製造することができる。このような低α線量合金は、メモリ周辺のはんだバンプの形成に用いられるとソフトエラーを抑制することが可能となる。
本実施形態のはんだペーストは、更に、酸化ジルコニウム粉末を含有することが好ましい。酸化ジルコニウムを含有することにより、経時変化に伴うペーストの粘度上昇を抑制することができる。これは、酸化ジルコニウムを含有することにより、はんだ粉末表面の酸化膜厚がフラックス中に投入する前の状態を維持するためと推測される。この詳細は不明であるが、以下のように推察される。通常、フラックスの活性成分は常温でもわずかに活性を持っているため、はんだ粉末の表面酸化膜が還元により薄くなり、粉末同士が凝集する原因になっている。そこで、はんだペーストに酸化ジルコニウム粉末を添加することで、フラックスの活性成分が酸化ジルコニウム粉末と優先的に反応し、はんだ粉末表面の酸化膜が凝集しない程度に維持されると推察される。
このような作用効果を十分に発揮するために、はんだペースト中の酸化ジルコニウム粉末の含有量は、はんだペーストの全質量に対して0.05~20.0質量%であることが好ましい。0.05質量%以上であると、上記作用効果を発揮することができ、20.0質量%以下であると、金属粉末の含有量を確保することができ、増粘防止効果を発揮することができる。酸化ジルコニウム粉末の含有量は、より好ましくは0.05~10.0質量%であり、更に好ましい含有量は0.1~3質量%である。
はんだペースト中の酸化ジルコニウム粉末の粒径は、5μm以下であることが好ましい。粒径が5μm以下であると、ペーストの印刷性を維持することができる。粒径の下限は、特に限定されることはないが、0.5μm以上であればよい。
上記酸化ジルコニウム粉末の粒径は、酸化ジルコニウム粉末のSEM写真を撮影し、0.1μm以上の各粉末について画像解析により投影円相当径を求め、その平均値とする。
酸化ジルコニウムの形状は、特に限定されないが、異形状であればフラックスとの接触面積が大きく増粘抑制効果がある。球形であると、良好な流動性が得られるためにペーストとしての優れた印刷性が得られる。所望の特性に応じて適宜形状を選択すればよい。
<はんだペースト用フラックス>
本実施の形態のはんだペースト用フラックスは、上述した特定のはんだ粉末を採用したはんだペーストに用いられる。かかるフラックスとして、好ましくは、樹脂成分と活性成分と溶剤とを含有する。
本実施の形態のはんだペースト用フラックスは、特定のはんだ粉末、すなわち、As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:0~25000質量ppmおよびPb:0~8000質量ppmの少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金を含むはんだ粉末を採用した、はんだペーストに好適なフラックスである。
300≦3As+Bi+Pb (1)
0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
また、本実施の形態のはんだペースト用フラックスは、特定のはんだ粉末、すなわち、As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:0質量ppm超え25000質量ppm以下およびPb:0質量ppm超え8000質量ppm以下の少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金を含むはんだ粉末を採用した、はんだペーストに好適なフラックスである。
300≦3As+Bi+Pb (1)
0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
本実施の形態のはんだペースト用フラックスを、上述した特定のはんだ粉末と組み合わせたはんだペーストでは、粘度上昇等の経時変化が起きにくく、濡れ性に優れ、高い機械的特性を示す。更に、このはんだペースト用フラックスを、前記特定のはんだ粉末と組み合わせたはんだペーストによれば、当該フラックスに配合する成分を選択することで、はんだの濡れ速度の向上、接合対象物の金属表面(例えば銅板)の腐食抑制、印刷性の向上、ボイド抑制などの種々の特性をより高めることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
はんだ粉末の作製:
まず、表1~14に示す合金組成を有し、JIS Z 3284-1:2014における粉末サイズの分類(表2)において記号4を満たすサイズ(粒度分布)のはんだ粉末(試験例1~258、試験例301~354)を作製した。
フラックス(F0)の調製:
樹脂成分としてロジンを用いた。
活性成分としてチキソ剤、有機酸、アミンおよびハロゲン系活性剤を用いた。
溶剤としてグリコール系溶剤を用いた。
ロジン42質量部と、グリコール系溶剤35質量部と、チキソ剤8質量部と、有機酸10質量部と、アミン2質量部と、ハロゲン系活性剤3質量部と、を混合してフラックス(F0)を調製した。
前記で調製したフラックス(F0)と、表1~14に示す各例の合金組成を有するはんだ粉末と、を混合して、はんだペーストを作製した。フラックス(F0)とはんだ粉末との質量比は、フラックス(F0):はんだ粉末=11:89とした。
各例のはんだ粉末を用いた場合について、はんだペーストにおける粘度の経時変化を測定した。また、はんだ粉末の液相線温度及び固相線温度を測定した。更に、作製直後のはんだペーストを用いて濡れ性の評価を行った。詳細は以下のとおりである。
<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>
(1)検証方法
作製直後の各はんだペーストについて、株式会社マルコム社製:PCU-205を用い、回転数:10rpm、25℃、大気中で12時間粘度を測定した。
(2)判定基準
A:12時間後の粘度が、はんだペーストを作製後30分経過した時の粘度と比較して1.2倍以下である。
B:12時間後の粘度が、はんだペーストを作製後30分経過した時の粘度と比較して1.2倍を超える。
<ΔTの評価>
(1)検証方法
フラックス(F0)と混合する前のはんだ粉末について、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、型番:EXSTAR DSC7020を用い、サンプル量:約30mg、昇温速度:15℃/minにてDSC測定を行い、固相線温度及び液相線温度を得た。得られた液相線温度から固相線温度を引いてΔTを求めた。
(2)判定基準
A:ΔTが10℃以下である。
B:ΔTが10℃を超える。
<濡れ性の評価>
(1)検証方法
作製直後の各はんだペーストをCu板上に印刷し、リフロー炉でN雰囲気中、1℃/sの昇温速度で25℃から260℃まで加熱した後、室温まで冷却した。冷却後のはんだバンプの外観を光学顕微鏡で観察することで濡れ性を評価した。
(2)判定基準
A:溶融しきれていないはんだ粉末が観察されない場合。
B:溶融しきれていないはんだ粉末が観察された場合。
<総合評価>
A:表1~14において、経時変化、ΔT、濡れ性の各評価が、いずれもAである。
B:表1~14において、経時変化、ΔT、濡れ性の各評価のうち、少なくとも1つがBである。
評価した結果を表1~14に示す。表12~14中、下線は、本発明の範囲外であることを表す。
Figure 0007057533000004
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表1~14に示すように、試験例1~258の合金組成を有するはんだ粉末と、フラックス(F0)とを含有するはんだペーストの場合においては、いずれの合金組成においても本発明の要件をすべて満たすため、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性を示すことが確認された。
これらの、試験例1~258の合金組成を有するはんだ粉末と、フラックス(F0)とを含有するはんだペーストは、本発明を適用した実施例のはんだペーストである。
一方、試験例301~354の合金組成を有するはんだ粉末と、フラックス(F0)とを含有するはんだペーストの場合は、いずれの合金組成においても本発明の要件の少なくとも1つを満たさないため、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性の少なくとも1つが劣る結果を示した。
[フラックス(F1)を含有するはんだペーストの評価]
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表15~23に示す配合例(F1-1)~(F1-55)の各フラックスを用いた場合について、上記<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>を行った。また、はんだ粉末の液相線温度及び固相線温度を測定して上記<ΔTの評価>を行った。更に、作製直後のはんだペーストを用いて上記<濡れ性の評価>を行った。
これらの結果、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F1-1)~(F1-55)の各フラックスを用いた場合のはんだペーストは、いずれも、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、及び優れた濡れ性を示すことが確認された。
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表15~23に示す配合例(F1-1)~(F1-55)の各フラックスを用いた場合について、はんだの濡れ速度(はんだ濡れ性)の評価を行った。
<はんだの濡れ速度(はんだ濡れ性)の評価>
(1)検証方法
はんだの濡れ速度(はんだ濡れ性)の評価試験を以下のようにして行った。
メニスコグラフ試験の方法に準拠し、幅5mm×長さ25mm×厚さ0.5mmの銅板を150℃で1時間酸化処理し、試験板である酸化銅板を得て、試験装置としてSolder Checker SAT-5200(RHESCA社製)を用い、はんだとして試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末を用いて、次のように評価した。
まず、ビーカーに測り取った、配合例(F1-1)~(F1-55)の各フラックスに対して、試験板を3mm浸漬させ、試験板にフラックスを塗布した。続いて、フラックスを塗布後、速やかにフラックスが塗布された試験板を、試験例1に示す合金組成のはんだ槽に浸漬させ、ゼロクロスタイム(sec)を得た。
続いて、各配合例のフラックスにつき5回の測定を行い、得られた5個のゼロクロスタイム(sec)の平均値を算出した。試験条件を以下のように設定した。
はんだ槽への浸漬速度:5mm/sec(JIS Z 3198-4:2003)
はんだ槽への浸漬深さ:2mm(JIS Z 3198-4:2003)
はんだ槽への浸漬時間:10sec(JIS Z 3198-4:2003)
はんだ槽温度:245℃(JIS C 60068-2-69:2019 附属書B) ゼロクロスタイム(sec)の平均値が短いほど、濡れ速度は高くなり、はんだ濡れ性が良いことを意味する。
(2)判定基準
A:ゼロクロスタイム(sec)の平均値が2.5秒以下であった。
B:ゼロクロスタイム(sec)の平均値が2.5秒超であった。
評価した結果を表15~23に示す。
表中、ポリアミドとして脂肪族ポリアミドを用い、ビスアミドとしてヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドを用い、モノアミドとしてp-トルアミドを用いた。
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試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F1-1)~(F1-54)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F1-55)のフラックスを用いた場合に比べて、はんだの濡れ速度が高くなり、はんだ濡れ性がより良好であることが確認された。このうち、試験例1の合金組成を有するはんだ粉末と、配合例(F1-1)~(F1-54)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F1)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
次に、試験例2~258、試験例301~354に示す各合金組成を有するはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F1-1)~(F1-55)の各フラックスを用いた場合について、上記の<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>、<ΔTの評価>及び<濡れ性の評価>、並びに<濡れ速度の評価>を行った。
かかる評価の結果、試験例2~258の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性を示すことが確認された。これらのうち、試験例2~258の合金組成を有する各はんだ粉末と、配合例(F1-1)~(F1-54)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F1)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
一方、試験例301~354の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性の少なくとも1つが劣る結果を示した。
また、試験例2~258のはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F1-1)~(F1-54)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F1-55)のフラックスを用いた場合に比べて、はんだの濡れ速度が高くなり、はんだ濡れ性がより良好であることが確認された。
[フラックス(F2)を含有するはんだペーストの評価]
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表24~36に示す配合例(F2-1)~(F2-62)の各フラックスを用いた場合について、上記<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>を行った。また、はんだ粉末の液相線温度及び固相線温度を測定して上記<ΔTの評価>を行った。更に、作製直後のはんだペーストを用いて上記<濡れ性の評価>を行った。
これらの結果、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F2-1)~(F2-62)の各フラックスを用いた場合のはんだペーストは、いずれも、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、及び優れた濡れ性を示すことが確認された。
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表24~36に示す配合例(F2-1)~(F2-62)の各フラックスを用いた場合について、フラックスの温度サイクル信頼性の評価を行った。
<温度サイクル信頼性の評価>
(1)検証方法
温度サイクル信頼性の評価は、配合例(F2-1)~(F2-62)の各フラックスをCu板上に塗布し、Cu板上に残渣を形成した。このCu板上に形成された残渣を、-30℃と+110℃でそれぞれ30分ずつ保持する処理を繰り返す試験を500サイクル行った際の残渣の割れの有無を目視で評価した。
(2)判定基準
A:残渣に亀裂の発生が見られず、温度サイクル信頼性に優れる。
B:残渣に亀裂の発生が見られ、温度サイクル信頼性に劣る。
評価した結果を表24~36に示す。
なお、表24~36における組成率は、フラックスの全量を100とした場合のwt(質量)%である。
各表において、アクリル樹脂Aは、ポリ2-エチルヘキシルアクリレート(Mw=8300)である。アクリル樹脂Bは、分子量が異なるポリ2-エチルヘキシルアクリレート(Mw=11700)である。アクリル樹脂Cは、ポリラウリルメタクリレート(Mw=10080)である。アクリル樹脂Dは、ポリ2-エチルヘキシルアクリレート-ポリエチレン(Mw=12300)である。
各表において、ポリアミドとして脂肪族ポリアミドを用い、ビスアミドとしてヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドを用い、モノアミドとしてp-トルアミドを用いた。
Figure 0007057533000027
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Figure 0007057533000038
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試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F2-1)~(F2-60)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F2-61)~(F2-62)の各フラックスを用いた場合に比べて、残渣における亀裂の発生が抑制され、温度サイクル信頼性が高められることが確認された。このうち、試験例1の合金組成を有するはんだ粉末と、配合例(F2-1)~(F2-60)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F2)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
次に、試験例2~258、試験例301~354に示す各合金組成を有するはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F2-1)~(F2-62)の各フラックスを用いた場合について、上記の<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>、<ΔTの評価>及び<濡れ性の評価>、並びに<温度サイクル信頼性の評価>を行った。
かかる評価の結果、試験例2~258の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性を示すことが確認された。これらのうち、試験例2~258の合金組成を有する各はんだ粉末と、配合例(F2-1)~(F2-60)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F2)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
一方、試験例301~354の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性の少なくとも1つが劣る結果を示した。
また、試験例2~258のはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F2-1)~(F2-60)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F2-61)~(F2-62)のフラックスを用いた場合に比べて、残渣における亀裂の発生が抑制され、温度サイクル信頼性が高められることが確認された。
[フラックス(F3)を含有するはんだペーストの評価]
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表37~44に示す配合例(F3-1)~(F3-51)の各フラックスを用いた場合について、上記<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>を行った。また、はんだ粉末の液相線温度及び固相線温度を測定して上記<ΔTの評価>を行った。更に、作製直後のはんだペーストを用いて上記<濡れ性の評価>を行った。
これらの結果、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F3-1)~(F3-51)の各フラックスを用いた場合のはんだペーストは、いずれも、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、及び優れた濡れ性を示すことが確認された。
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表37~44に示す配合例(F3-1)~(F3-51)の各フラックスを用いた場合のはんだペースト(フラックス:はんだ粉末=11:89の質量比)について、はんだの濡れ広がり性、はんだのディウェット抑制能の評価をそれぞれ行った。
<はんだの濡れ広がり性の評価>
(1)検証方法
はんだの濡れ広がりの評価試験を以下のようにして行った。
各はんだペーストを、JIS Z 3284-3:2014に記載の所定のパターンで、はんだペーストの印刷部が形成されたステンレス製のマスクを使用して、縦50mm×横50mm×厚さ0.5mmのBare-Cu板に印刷した。
マスクに形成された印刷部は四角形の開口で、大きさは3.0mm×1.5mmとなっている。印刷部は、同じ大きさの複数の開口が間隔を異ならせて並び、開口の間隔は0.2-0.3-0.4-0.5-0.6-0.7-0.8-0.9-1.0-1.1-1.2mmとなっている。
はんだペーストの印刷後、マスクを取り除き、リフロー前に、並列する印刷部の最小間隔である0.2mmの箇所で、はんだペーストが接触していないことを確認し、リフローを行った。リフローの条件は、大気雰囲気下に190℃で120秒間の予備加熱を行った後、昇温速度を1℃/秒として190℃から260℃まで温度を上昇させて本加熱を行った。
(2)判定基準
上述した所定の間隔で印刷されたはんだペーストが、リフロー後に、濡れ広がって接触して融合された箇所の間隔を確認した(N=4)。
A:間隔Lが0.8mm以下の箇所が全て融合している。
B:1箇所でも間隔Lが0.8mm以下の箇所で融合していない。
<はんだのディウェット抑制能の評価>
(1)検証方法
はんだのディウェット抑制能の評価試験を以下のようにして行った。
各はんだペーストを、縦0.8mm×横0.8mmのCu-OSPランド上に印刷し、リフローを実施した。はんだペーストの印刷厚さは0.12mmとした。リフローの条件は、大気雰囲気下に190℃で120秒間の予備加熱を行った後、昇温速度を1℃/秒とし、190℃から260℃まで温度を上昇させて本加熱を行った。
(2)判定基準
リフロー後における、濡れ不良(ディウェット)の発生の有無について、光学顕微鏡を用いて観察した(N=12)。
A:はんだペーストを塗布した部分はすべて、はんだで濡れた状態である。
B:はんだペーストを塗布した部分の大半は、はんだで濡れた状態(ディウェッティングも含まれる。)であるが、濡れ不良も発生している。又は、はんだで濡れた様子はなく、溶融したはんだは一つもしくは複数のはんだボールとなった状態(ノンウェッティング)である。
<総合評価>
A:表37~44において、はんだの濡れ広がり性、ディウェット抑制能の各評価が、いずれもAである。
B:表37~44において、はんだの濡れ広がり性、ディウェット抑制能の各評価のうち、少なくとも1つがBである。
評価した結果を表37~44に示す。
表中、ポリアミドとして脂肪族ポリアミドを用い、ビスアミドとしてヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドを用い、モノアミドとしてp-トルアミドを用いた。
Figure 0007057533000040
Figure 0007057533000041
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試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F3-1)~(F3-50)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F3-51)のフラックスを用いた場合に比べて、はんだの濡れ広がり性がより良好であり、ディウェット抑制能が高くなることが確認された。このうち、試験例1の合金組成を有するはんだ粉末と、配合例(F3-1)~(F3-50)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F3)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
次に、試験例2~258、試験例301~354に示す各合金組成を有するはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F3-1)~(F3-51)の各フラックスを用いた場合について、上記の<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>、<ΔTの評価>及び<濡れ性の評価>、並びに、<はんだの濡れ広がり性の評価>及び<はんだのディウェット抑制能の評価>を行った。
かかる評価の結果、試験例2~258の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性を示すことが確認された。これらのうち、試験例2~258の合金組成を有する各はんだ粉末と、配合例(F3-1)~(F3-50)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F3)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
一方、試験例301~354の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性の少なくとも1つが劣る結果を示した。
また、試験例2~258のはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F3-1)~(F3-50)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F3-51)のフラックスを用いた場合に比べて、はんだの濡れ広がり性がより良好であり、ディウェット抑制能が高くなることが確認された。
[フラックス(F4)を含有するはんだペーストの評価]
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表45~56に示す配合例(F4-1)~(F4-58)の各フラックスを用いた場合について、上記<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>を行った。また、はんだ粉末の液相線温度及び固相線温度を測定して上記<ΔTの評価>を行った。更に、作製直後のはんだペーストを用いて上記<濡れ性の評価>を行った。
これらの結果、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F4-1)~(F4-58)の各フラックスを用いた場合のはんだペーストは、いずれも、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、及び優れた濡れ性を示すことが確認された。
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表45~56に示す配合例(F4-1)~(F4-58)の各フラックスを用いた場合について、はんだの濡れ速度(はんだ濡れ性)の評価を行った。
<はんだ濡れ性(濡れ速度)の評価>
(1)検証方法
フラックスの濡れ速度は、メニスコグラフ試験の方法に準拠し、幅5mm×長さ25mm×厚さ0.5mmの銅板を、150℃で1時間酸化処理し、試験板である酸化銅板を得て、試験装置としてSolder Checker SAT-5200(RHESCA社製)を用い、はんだとして試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末を用いて、次のように評価した。
まず、ビーカーに測り取った配合例(F4-1)~(F4-58)の各フラックスに対して、試験板を5mm浸漬させ、試験板に各フラックスを塗布した。続いて、フラックスを塗布後、速やかにフラックスが塗布された試験板をはんだ槽に浸漬させ、ゼロクロスタイム(sec)を得た。続いて、配合例(F4-1)~(F4-58)の各フラックスにつき5回の測定を行い、得られた5個のゼロクロスタイム(sec)の平均値を算出した。試験条件を以下のように設定した。
はんだ槽への浸漬速度:5mm/sec(JIS Z 3198-4:2003)
はんだ槽への浸漬深さ:2mm(JIS Z 3198-4:2003)
はんだ槽への浸漬時間:10sec(JIS Z 3198-4:2003)
はんだ槽温度:245℃(JIS C 60068-2-69:2019 附属書B) ゼロクロスタイム(sec)の平均値が短いほど、濡れ速度は高くなり、はんだ濡れ性が良いことを意味する。
(2)判定基準
A:ゼロクロスタイム(sec)の平均値が6秒以下である。
B:ゼロクロスタイム(sec)の平均値が6秒を超える。
評価した結果を表45~56に示す。
表中、ポリアミドとして脂肪族ポリアミドを用い、ビスアミドとしてヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドを用い、モノアミドとしてp-トルアミドを用いた。
Figure 0007057533000048
Figure 0007057533000049
Figure 0007057533000050
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Figure 0007057533000052
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Figure 0007057533000054
Figure 0007057533000055
Figure 0007057533000056
Figure 0007057533000057
Figure 0007057533000058
Figure 0007057533000059
試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F4-1)~(F4-57)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F4-58)のフラックスを用いた場合に比べて、はんだの濡れ速度が高くなり、はんだ濡れ性を高めることが確認された。このうち、試験例1の合金組成を有するはんだ粉末と、配合例(F4-1)~(F4-57)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F4)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
次に、試験例2~258、試験例301~354に示す各合金組成を有するはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F4-1)~(F4-58)の各フラックスを用いた場合について、上記の<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>、<ΔTの評価>及び<濡れ性の評価>、並びに<はんだ濡れ性(濡れ速度)の評価>を行った。
かかる評価の結果、試験例2~258の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性を示すことが確認された。これらのうち、試験例2~258の合金組成を有する各はんだ粉末と、配合例(F4-1)~(F4-57)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F4)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
一方、試験例301~354の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性の少なくとも1つが劣る結果を示した。
また、試験例2~258のはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F4-1)~(F4-57)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F4-58)のフラックスを用いた場合に比べて、はんだの濡れ速度が高くなり、はんだ濡れ性を高めることが確認された。
[フラックス(F5)を含有するはんだペーストの評価]
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表57~68に示す配合例(F5-1)~(F5-62)の各フラックスを用いた場合について、上記<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>を行った。また、はんだ粉末の液相線温度及び固相線温度を測定して上記<ΔTの評価>を行った。更に、作製直後のはんだペーストを用いて上記<濡れ性の評価>を行った。
これらの結果、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F5-1)~(F5-62)の各フラックスを用いた場合のはんだペーストは、いずれも、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、及び優れた濡れ性を示すことが確認された。
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表57~68に示す配合例(F5-1)~(F5-62)の各フラックスを用いた場合について、銅板腐食抑制能の評価を行った。
<銅板腐食抑制能の評価>
(1)検証方法
銅板腐食抑制能の評価は、JIS Z 3197:2012 8.4.1に準拠し、下記の銅板腐食試験により行った。
試験銅板の作製:寸法50mm×50mm×0.5mmのりん脱酸銅板の中央に直径20mmの鋼球で深さ3mmのくぼみを作って試験片とした。試験片は、アセトンで脱脂後、65℃の硫酸に1分間浸漬して表面の酸化被膜等を除去した。次に、20℃の過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬した後、精製水で洗浄し、乾燥させて試験銅板とした。
各例のフラックスの固形分含有量を、JIS Z 3197:2012 8.1.3に規定する方法を用いて測定し、その固形分として0.035~0.040gを含有する適量のフラックスを、前記試験銅板中央のくぼみに加えた。
次に、温度40℃、相対湿度90%の加湿条件に設定した恒温恒湿槽中に試験銅板を投入し、槽内に72時間放置した。各例のフラックスごとに、試験銅板を2個とし、1個のブランクを加えた。
槽内に96時間放置した後、恒温恒湿槽から取り出し、30倍の顕微鏡で腐食の跡をブランクと比較した。以下に示す判定基準に基づき、銅板腐食抑制能を評価した。
(2)判定基準
A:変色なし
B:変色がある
評価した結果を表57~68に示す。
表中、ポリアミドとして脂肪族ポリアミドを用い、ビスアミドとしてヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドを用い、モノアミドとしてp-トルアミドを用いた。
Figure 0007057533000060
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Figure 0007057533000070
Figure 0007057533000071
試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F5-1)~(F5-61)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F5-62)のフラックスを用いた場合に比べて、銅板腐食抑制性が高められることが確認された。このうち、試験例1の合金組成を有するはんだ粉末と、配合例(F5-1)~(F5-61)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F5)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
次に、試験例2~258、試験例301~354に示す各合金組成を有するはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F5-1)~(F5-62)の各フラックスを用いた場合について、上記の<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>、<ΔTの評価>及び<濡れ性の評価>、並びに<銅板腐食抑制能の評価>を行った。
かかる評価の結果、試験例2~258の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性を示すことが確認された。これらのうち、試験例2~258の合金組成を有する各はんだ粉末と、配合例(F5-1)~(F5-61)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F5)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
一方、試験例301~354の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性の少なくとも1つが劣る結果を示した。
また、試験例2~258のはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F5-1)~(F5-61)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F5-62)のフラックスを用いた場合に比べて、銅板腐食抑制性が高められることが確認された。
[フラックス(F6)を含有するはんだペーストの評価]
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表69~77に示す配合例(F6-1)~(F6-60)の各フラックスを用いた場合について、上記<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>を行った。また、はんだ粉末の液相線温度及び固相線温度を測定して上記<ΔTの評価>を行った。更に、作製直後のはんだペーストを用いて上記<濡れ性の評価>を行った。
これらの結果、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F6-1)~(F6-60)の各フラックスを用いた場合のはんだペーストは、いずれも、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、及び優れた濡れ性を示すことが確認された。
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表69~77に示す配合例(F6-1)~(F6-60)の各フラックスを用いた場合について、はんだの濡れ速度(はんだ濡れ性)の評価を行った。
<はんだの濡れ速度(はんだ濡れ性)の評価>
(1)検証方法
はんだの濡れ速度(はんだ濡れ性)の評価試験を以下のようにして行った。
メニスコグラフ試験の方法に準拠し、幅5mm×長さ25mm×厚さ0.5mmの銅板を150℃で1時間酸化処理し、試験板である酸化銅板を得て、試験装置としてSolder Checker SAT-5200(RHESCA社製)を用い、はんだとして試験例1に示す合金組成からなるはんだ粉末を用いて、次のように評価した。
まず、ビーカーに測り取った、各例のフラックスに対して、試験板を5mm浸漬させ、試験板にフラックスを塗布した。続いて、フラックスを塗布後、速やかにフラックスが塗布された試験板を、試験例1に示す合金組成のはんだ槽に浸漬させ、ゼロクロスタイム(sec)を得た。
続いて、各例のフラックスにつき5回の測定を行い、得られた5個のゼロクロスタイム(sec)の平均値を算出した。試験条件を以下のように設定した。
はんだ槽への浸漬速度:5mm/sec(JIS Z 3198-4:2003)
はんだ槽への浸漬深さ:2mm(JIS Z 3198-4:2003)
はんだ槽への浸漬時間:10sec(JIS Z 3198-4:2003)
はんだ槽温度:245℃(JIS C 60068-2-69:2019 附属書B) ゼロクロスタイム(sec)の平均値が短いほど、濡れ速度は高くなり、はんだ濡れ性が良いことを意味する。
(2)判定基準
A:ゼロクロスタイム(sec)の平均値が6秒以下である。
B:ゼロクロスタイム(sec)の平均値が6秒を超える。
評価した結果を表69~77に示す。
表中、ポリアミドとして脂肪族ポリアミドを用い、ビスアミドとしてヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドを用い、モノアミドとしてp-トルアミドを用いた。
Figure 0007057533000072
Figure 0007057533000073
Figure 0007057533000074
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Figure 0007057533000079
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試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F6-1)~(F6-59)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F6-60)のフラックスを用いた場合に比べて、はんだの濡れ速度が高くなり、はんだ濡れ性がより良好であることが確認された。このうち、試験例1の合金組成を有するはんだ粉末と、配合例(F6-1)~(F6-59)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F6)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
次に、試験例2~258、試験例301~354に示す各合金組成を有するはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F6-1)~(F6-60)の各フラックスを用いた場合について、上記の<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>、<ΔTの評価>及び<濡れ性の評価>、並びに<はんだの濡れ速度(はんだ濡れ性)の評価>を行った。
かかる評価の結果、試験例2~258の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性を示すことが確認された。これらのうち、試験例2~258の合金組成を有する各はんだ粉末と、配合例(F6-1)~(F6-59)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F6)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
一方、試験例301~354の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性の少なくとも1つが劣る結果を示した。
また、試験例2~258のはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F6-1)~(F6-59)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F6-60)のフラックスを用いた場合に比べて、はんだの濡れ速度が高くなり、はんだ濡れ性がより良好であることが確認された。
[フラックス(F7)を含有するはんだペーストの評価]
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表78~85に示す配合例(F7-1)~(F7-54)の各フラックスを用いた場合について、上記<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>を行った。また、はんだ粉末の液相線温度及び固相線温度を測定して上記<ΔTの評価>を行った。更に、作製直後のはんだペーストを用いて上記<濡れ性の評価>を行った。
これらの結果、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F7-1)~(F7-54)の各フラックスを用いた場合のはんだペーストは、いずれも、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、及び優れた濡れ性を示すことが確認された。
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表78~85に示す配合例(F7-1)~(F7-54)の各フラックスを用いた場合について、フラックスのチキソ性、はんだペーストの印刷ダレ抑制能、はんだペーストの加熱ダレ抑制能の評価を行った。
<フラックスのチキソ性の評価>
(1)検証方法
チキソ性の評価は、JIS Z3284-3:2014 4.2に準拠し、スパイラル方式粘度計を用いて行った。粘度計の回転速度を3rpmと30rpmに設定し、所定時間回転後の粘度を読み取ってチキソ比を算出した。
(2)判定基準
A:チキソ比が0.30以上
B:チキソ比が0.30未満
<はんだペーストの印刷ダレ抑制能の評価>
(1)検証方法
はんだペースト(フラックス:はんだ粉末=11:89の質量比)の印刷ダレ抑制能の評価は、JIS Z3284-3:2014 4.3に準拠し、所定のパターンではんだペースト印刷部が形成されたステンレス製メタルマスクを使用して銅板にはんだペーストを印刷し、メタルマスクを取り除いた後、室温25±5℃、相対湿度50±10%で10~20分間保管し、印刷された各パターンのうち、印刷されたはんだペースト全てが一体にならない最小間隔を目視により確認した。メタルマスクの厚みは0.2mm、はんだペースト印刷部は四角形の開口で、大きさは3.0×1.5mmとなっている。はんだペースト印刷部は、同じ大きさの複数の開口が間隔を異ならせて並び、開口の間隔Lは0.2-0.3-0.4-0.5-0.6-0.7-0.8-0.9-1.0-1.1-1.2mmとなっている。
(2)判定基準
A:印刷後、一体にならない最小間隔が0.2mm以下
B:印刷後、一体にならない最小間隔が0.2mm超
<はんだペーストの加熱ダレ抑制能の評価>
(1)検証方法
はんだペースト(フラックス:はんだ粉末=11:89の質量比)の加熱ダレ抑制能の評価は、JIS Z3284-3:2014 4.4に準拠し、所定のパターンではんだペースト印刷部が形成されたステンレス製メタルマスクを使用して銅板にはんだペーストを印刷し、メタルマスクを取り除いた後、150±10℃にて10分間加熱を行い、印刷された各パターンのうち、印刷されたはんだペースト全てが一体にならない最小間隔を目視により確認した。メタルマスクの厚みは0.2mm、はんだペースト印刷部は四角形の開口で、大きさは3.0×1.5mmとなっている。はんだペースト印刷部は、同じ大きさの複数の開口が間隔を異ならせて並び、開口の間隔Lは0.2-0.3-0.4-0.5-0.6-0.7-0.8-0.9-1.0-1.1-1.2mmとなっている。
(2)判定基準
A:一体にならない最小間隔が1.0mm以下
B:一体にならない最小間隔が1.0mm超
<総合評価>
A:表78~85において、フラックスのチキソ性、はんだペーストの印刷ダレ抑制能、はんだペーストの加熱ダレ抑制能の各評価が、いずれもAである。
B:表78~85において、フラックスのチキソ性、はんだペーストの印刷ダレ抑制能、はんだペーストの加熱ダレ抑制能の各評価のうち、少なくとも1つがBである。
評価した結果を表78~85に示す。
表中、ポリアミドとして、脂肪族ポリアミドを用いた。
表中、環状アミドオリゴマーとして、下記化学式(3)で表される化合物の混合物(分子量300~1500)を用いた。この化学式(3)中、m1、m2、m3、m4はメチレン基(CH)の繰り返し数を表す。pは、ユニットの繰り返し数を表す。
Figure 0007057533000081
Figure 0007057533000082
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Figure 0007057533000088
Figure 0007057533000089
試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F7-1)~(F7-52)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F7-53)のフラックスを用いた場合に比べて、フラックスのチキソ性が向上すること、印刷後のはんだペーストが流れる印刷ダレが抑制されること、更に、はんだ付け時の加熱によるはんだペーストの加熱ダレが抑制されること、が確認された。
また、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F7-1)~(F7-52)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F7-54)のフラックスを用いた場合に比べて、はんだ付け時の加熱によるはんだペーストの加熱ダレが抑制されること、が確認された。
これらのうち、試験例1の合金組成を有するはんだ粉末と、配合例(F7-1)~(F7-52)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F7)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
次に、試験例2~258、試験例301~354に示す各合金組成を有するはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F7-1)~(F7-54)の各フラックスを用いた場合について、上記の<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>、<ΔTの評価>及び<濡れ性の評価>、並びに、<フラックスのチキソ性の評価>、<はんだペーストの印刷ダレ抑制能の評価>及び<はんだペーストの加熱ダレ抑制能の評価>を行った。
かかる評価の結果、試験例2~258の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性を示すことが確認された。これらのうち、試験例2~258の合金組成を有する各はんだ粉末と、配合例(F7-1)~(F7-52)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F7)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
一方、試験例301~354の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性の少なくとも1つが劣る結果を示した。
また、試験例2~258のはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F7-1)~(F7-52)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F7-53)のフラックスを用いた場合に比べて、フラックスのチキソ性が向上すること、印刷後のはんだペーストが流れる印刷ダレが抑制されること、更に、はんだ付け時の加熱によるはんだペーストの加熱ダレが抑制されること、が確認された。
また、試験例2~258のはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F7-1)~(F7-52)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F7-54)のフラックスを用いた場合に比べて、はんだ付け時の加熱によるはんだペーストの加熱ダレが抑制されること、が確認された。
[フラックス(F8)を含有するはんだペーストの評価]
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表86~94に示す配合例(F8-1)~(F8-54)の各フラックスを用いた場合について、上記<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>を行った。また、はんだ粉末の液相線温度及び固相線温度を測定して上記<ΔTの評価>を行った。更に、作製直後のはんだペーストを用いて上記<濡れ性の評価>を行った。
これらの結果、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F8-1)~(F8-54)の各フラックスを用いた場合のはんだペーストは、いずれも、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、及び優れた濡れ性を示すことが確認された。
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表86~94に示す配合例(F8-1)~(F8-54)の各フラックスを用いた場合について、チキソ性の評価を行った。
また、試験例1に示す合金組成からなるはんだ粉末に対し、表87~94に示す配合例(F8-8)~(F8-54)の各フラックスを用いた場合について、さらに、フラックス及びはんだペースト中の結晶の析出・ダマの発生の評価を行った。
<チキソ性の評価>
(1)検証方法
チキソ性の評価は、二重円筒管型回転粘度計Malcom Viscometer PCU-205(マルコム社製)を用いて行った。
各はんだペーストについて、前記二重円筒管型回転粘度計を用い、25℃の条件下で、以下に示す回転数(rpm)及び計測時間(min)で順次、粘度を測定した。
粘度計の回転速度を、10rpmで3分間、3rpmで6分間、4rpmで3分間、5rpmで3分間、10rpmで3分間、20rpmで2分間、30rpmで2分間、10rpmで1分間と順に変化させた。
そして、3回転(3rpm)時と30回転(30rpm)時との粘度から、下式に基づいてチキソ比を求めた。
チキソ比=Log(3回転時の粘度/30回転時の粘度)
そして、以下の判定基準に沿って評価を行った。
(2)判定基準
A:チキソ比が0.40以上
B:チキソ比が0.40未満
<結晶の析出・ダマの発生>
(1)検証方法
表87~94に示す各例のフラックス、及びこれらを用いたはんだペースト(フラックス:はんだ粉末=11:89の質量比)のそれぞれについて、以下に示す方法により、結晶の析出・ダマの発生の評価を行った。そして、以下の判定基準に沿って評価を行った。 表86に示す各例のフラックス、及びこれらを用いたはんだペーストについては、結晶の析出・ダマの発生の評価を行っていない。
フラックスについての評価:
それぞれのフラックス100mLを採取し、200mL容量のガラスビーカー容器に入れ、薬さじで10回撹拌し、目視観察用の試料を作製した。同様の操作を行い、各フラックスについて、目視観察用の試料3個を用意した。
各試料について、10回撹拌した後の外観を目視観察し、結晶の析出・ダマの発生の状態を評価した。
はんだペーストについての評価:
それぞれのはんだペーストに対し、グラインドメーターGS-2256M(太佑機材株式会社製、測定レンジ:0~100μm)を用いて3回測定を行った。そして、3回の測定値の平均値を算出し、この平均値を、はんだペーストに含まれる凝集物の大きさ(粒度)とした。
尚、グラインドメーターの表面には、一端の0から他端の最大値まで一定の値で深さが増加する溝が設けられており、最大深さ側から、はんだペーストの試料をスクレーバーによりスキージングすると、凝集物の大きさに応じた深さの箇所に、線状痕や粒状痕が残る。線状痕や粒状痕のできた位置の深さにより、はんだペーストの試料中における結晶の析出・ダマの発生を評価することができる。
(2)判定基準
A:フラックス中に結晶及びダマが目視で確認されず、かつ、はんだペースト中に結晶及びダマが目視で確認されない。
B:フラックス中に結晶及びダマが目視で確認されず、かつ、はんだペースト中に50μm以上の結晶又はダマはないが、50μm未満の結晶又はダマがある。
C:フラックスの試料3個のいずれかに結晶及びダマが目視で確認され、又は、はんだペースト中に50μm以上の結晶又はダマがある。
<総合評価>
A:表87~94において、チキソ性の評価がAであり、かつ、結晶の析出・ダマの発生の評価がAである。
B:表87~94において、チキソ性の評価がAであり、かつ、結晶の析出・ダマの発生の評価がBである。
C:表87~94において、チキソ性の評価が少なくともBである。
評価した結果を表86~94に示す。
Figure 0007057533000090
Figure 0007057533000091
Figure 0007057533000092
Figure 0007057533000093
Figure 0007057533000094
Figure 0007057533000095
Figure 0007057533000096
Figure 0007057533000097
Figure 0007057533000098
試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F8-1)~(F8-52)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F8-53)、配合例(F8-54)のフラックスを用いた場合に比べて、はんだペーストのチキソ性が高められること、すなわち、かかるはんだペーストは流動性及び保形性が良好なものであること、が確認された。
また、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F8-8)~(F8-54)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、フラックス及びはんだペーストにおける結晶の析出・ダマの発生が抑制されること、が確認された。
これらのうち、試験例1の合金組成を有するはんだ粉末と、配合例(F8-1)~(F8-52)、(F8-54)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F8)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
次に、試験例2~258、試験例301~354に示す各合金組成を有するはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F8-1)~(F8-54)の各フラックスを用いた場合について、上記の<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>、<ΔTの評価>及び<濡れ性の評価>、並びに、<チキソ性の評価>及び<結晶の析出・ダマの発生>を行った。
かかる評価の結果、試験例2~258の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性を示すことが確認された。これらのうち、試験例2~258の合金組成を有する各はんだ粉末と、配合例(F8-1)~(F8-52)、(F8-54)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F8)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
一方、試験例301~354の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性の少なくとも1つが劣る結果を示した。
また、試験例2~258のはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F8-1)~(F8-52)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F8-53)、配合例(F8-54)のフラックスを用いた場合に比べて、はんだペーストのチキソ性が高められること、すなわち、かかるはんだペーストは流動性及び保形性が良好なものであること、が確認された。
また、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F8-8)~(F8-54)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、フラックス及びはんだペーストにおける結晶の析出・ダマの発生が抑制されること、が確認された。
[フラックス(F9)を含有するはんだペーストの評価]
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表95~109に示す配合例(F9-1)~(F9-76)の各フラックスを用いた場合について、上記<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>を行った。また、はんだ粉末の液相線温度及び固相線温度を測定して上記<ΔTの評価>を行った。更に、作製直後のはんだペーストを用いて上記<濡れ性の評価>を行った。
これらの結果、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F9-1)~(F9-76)の各フラックスを用いた場合のはんだペーストは、いずれも、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、及び優れた濡れ性を示すことが確認された。
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表95~109に示す配合例(F9-1)~(F9-76)の各フラックスを用いた場合のはんだペースト(フラックス:はんだ粉末=11:89の質量比)について、ボイド発生及びはんだの濡れ速度(はんだ濡れ性)の評価を行った。
<ボイド発生の評価>
(1)ボイド発生率
はんだペーストを、8mm×8mmのCu-OSP電極(N=15)の上にメタルマスクを用いて120μm高さに印刷した。その後、大気雰囲気下にてリフローした。リフロープロファイルは、190℃で2分保持し、その後260℃まで1.5℃/秒で昇温、とした。
リフロー後のはんだ付け部(はんだバンプ)の透過画像をUNi-HiTE SYSTEM社製Microfocus X-ray System XVR-160を用いて観察し、ボイド発生率を求めた。
具体的には、はんだバンプについて上部から下部に向かって透過観察を行い、円形のはんだバンプ透過画像を得、その色調のコントラストに基づき金属充填部とボイド部を識別して自動解析によりボイド面積率を算出し、これをボイド発生率とした。このようにして求めたボイド発生率を用いて、以下の基準でボイドの発生しにくさを評価した。
A:15個のはんだ付け部全てにおいてボイド発生率が15%以下である場合
B:15個のはんだ付け部中にボイド発生率が15%超のものが含まれるが、いずれも20%以下である場合
C:15個のはんだ付け部中にボイド発生率が20%超のものが含まれる場合
<はんだの濡れ速度(はんだ濡れ性)の評価>
JIS Z 3198-4:2003に準じて、フラックスのはんだ濡れ性を評価した。
具体的には、150℃で1時間焼成した幅5mm×長さ25mm×厚み0.5mmの銅板の表面の長さ方向の下端から3mmまでの部分に各配合例のフラックスを針先で塗布し、下記の条件ではんだ槽に浸せきし、ゼロクロスタイムを測定した。
<浸せき条件>
はんだ槽への浸漬速度:5mm/sec(JIS Z 3198-4:2003)
はんだ槽への浸漬深さ:2mm(JIS Z 3198-4:2003)
はんだ槽への浸漬時間:10sec(JIS Z 3198-4:2003)
はんだ槽温度:250℃(JIS C 60068-2-69:2019 附属書B)
はんだ濡れ性は以下の基準で評価した。
A:ゼロクロスタイムが5.5秒以下
B:ゼロクロスタイムが5.5秒超
<総合評価>
A:ボイド発生の評価がAもしくはBであるか、及びはんだの濡れ速度(はんだ濡れ性)の評価がAである場合
B:ボイド発生の評価がCであるか、又ははんだの濡れ速度(はんだ濡れ性)の評価がBであるか、の少なくとも一方の場合
評価した結果を表95~109に示す。
表中、ポリアミドとして脂肪族ポリアミドを用い、ビスアミドとしてヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドを用い、モノアミドとしてp-トルアミドを用いた。
Figure 0007057533000099
Figure 0007057533000100
Figure 0007057533000101
Figure 0007057533000102
Figure 0007057533000103
Figure 0007057533000104
Figure 0007057533000105
Figure 0007057533000106
Figure 0007057533000107
Figure 0007057533000108
Figure 0007057533000109
Figure 0007057533000110
Figure 0007057533000111
Figure 0007057533000112
Figure 0007057533000113
試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F9-1)~(F9-74)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F9-75)のフラックスを用いた場合に比べて、はんだ濡れ性がより良好であること、が確認された。
また、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F9-1)~(F9-74)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F9-76)のフラックスを用いた場合に比べて、ボイドの発生が抑制されること、が確認された。
これらのうち、試験例1の合金組成を有するはんだ粉末と、配合例(F9-1)~(F9-74)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F9)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
次に、試験例2~258、試験例301~354に示す各合金組成を有するはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F9-1)~(F9-76)の各フラックスを用いた場合について、上記の<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>、<ΔTの評価>及び<濡れ性の評価>、並びに、<ボイド発生の評価>及び<はんだの濡れ速度(はんだ濡れ性)の評価>を行った。
かかる評価の結果、試験例2~258の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性を示すことが確認された。これらのうち、試験例2~258の合金組成を有する各はんだ粉末と、配合例(F9-1)~(F9-74)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F9)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
一方、試験例301~354の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性の少なくとも1つが劣る結果を示した。
また、試験例2~258のはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F9-1)~(F9-74)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F9-75)のフラックスを用いた場合に比べて、はんだ濡れ性がより良好であること、が確認された。
また、試験例2~258のはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F9-1)~(F9-74)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F9-76)のフラックスを用いた場合に比べて、ボイドの発生が抑制されること、が確認された。
[フラックス(F10)を含有するはんだペーストの評価]
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表110~115に示す配合例(F10-1)~(F10-30)の各フラックスを用いた場合について、上記<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>を行った。また、はんだ粉末の液相線温度及び固相線温度を測定して上記<ΔTの評価>を行った。更に、作製直後のはんだペーストを用いて上記<濡れ性の評価>を行った。
これらの結果、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F10-1)~(F10-30)の各フラックスを用いた場合のはんだペーストは、いずれも、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、及び優れた濡れ性を示すことが確認された。
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表110~115に示す配合例(F10-1)~(F10-30)の各フラックスを用いた場合のはんだペースト(フラックス:はんだ粉末=11:89の質量比)について、乾燥度、ボイド発生及びはんだの濡れ速度(はんだ濡れ性)の評価を行った。
<乾燥度の評価>
JIS Z 3197: 2012, 8.5.1乾燥度試験に準拠して、フラックスの乾燥度を評価した。
具体的には、配合例(F10-1)~(F10-30)の各フラックスと、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末(平均粒子径φ:21μm)と、をフラックス:はんだ粉末=11:89の質量比で混合したはんだペーストを作製した。
次いで、上記JIS試験方法に従って試験片を作製し、試験を行い、フラックスの乾燥度(フラックスの乾燥のしやすさ、具体的にはフラックス残渣の粘着性)を、試験片上のフラックス残渣表面に振りかけた粉末タルクの付着度合いで評価した。
評価は、粉末タルクがブラッシングで除去できた場合をA、除去できなかった場合をBとした。
<ボイド発生の評価>
乾燥度試験と同様にして作製したはんだペーストを、8mm×8mmのCu-OSP電極(N=15)の上にメタルマスクを用いて120μm高さに印刷した。その後、大気雰囲気下にてリフローした。リフロープロファイルは、190℃で2分保持し、その後260℃まで1.5℃/秒で昇温、とした。
リフロー後のはんだ付け部(はんだバンプ)の透過画像をUNi-HiTE SYSTEM社製Microfocus X-ray System XVR-160を用いて観察し、ボイド発生率を求めた。
具体的には、はんだバンプについて上部から下部に向かって透過観察を行い、円形のはんだバンプ透過画像を得、その色調のコントラストに基づき金属充填部とボイド部を識別して自動解析によりボイド面積率を算出し、これをボイド発生率とした。このようにして求めたボイド発生率を用いて、以下の基準でボイドの発生しにくさを評価した。
A:15個のはんだ付け部全てにおいてボイド発生率が15%以下である場合
B:15個のはんだ付け部中にボイド発生率が15%超のものが含まれるが、いずれも20%以下である場合
C:15個のはんだ付け部中にボイド発生率が20%超のものが含まれる場合
<はんだの濡れ速度(はんだ濡れ性)の評価>
JIS Z 3198-4:2003に準じて、フラックスのはんだ濡れ性を評価した。
具体的には、150℃で1時間焼成した幅5mm×長さ25mm×厚み0.5mmの銅板の表面の長さ方向の下端から3mmまでの部分に各配合例のフラックスを針先で塗布し、下記の条件ではんだ槽に浸せきし、ゼロクロスタイムを測定した。
<浸せき条件>
はんだ槽への浸漬速度:5mm/sec(JIS Z 3198-4:2003)
はんだ槽への浸漬深さ:2mm(JIS Z 3198-4:2003)
はんだ槽への浸漬時間:10sec(JIS Z 3198-4:2003)
はんだ槽温度:250℃(JIS C 60068-2-69:2019 附属書B)
はんだ濡れ性は以下の基準で評価した。
A:ゼロクロスタイムが5.5秒以下
B:ゼロクロスタイムが5.5秒超
<総合評価>
A:ボイド発生の評価がAもしくはBであるか、並びに、乾燥度及びはんだの濡れ速度(はんだ濡れ性)の評価がAである場合
B:ボイド発生の評価がCであるか、又は、
乾燥度もしくははんだの濡れ速度(はんだ濡れ性)の評価がBであるか、の少なくとも一つの場合
評価した結果を表110~115に示す。
表中、ビスアミドとして、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドを用いた。
Figure 0007057533000114
Figure 0007057533000115
Figure 0007057533000116
Figure 0007057533000117
Figure 0007057533000118
Figure 0007057533000119
試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F10-1)~(F10-28)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F10-29)のフラックスを用いた場合に比べて、良好な乾燥性を有し、はんだ濡れ性がより良好であることが確認された。
また、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F10-1)~(F10-28)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F10-30)のフラックスを用いた場合に比べて、ボイドの発生がより抑制されること、が確認された。 これらのうち、試験例1の合金組成を有するはんだ粉末と、配合例(F10-1)~(F10-28)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F10)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
次に、試験例2~258、試験例301~354に示す各合金組成を有するはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F10-1)~(F10-30)の各フラックスを用いた場合について、上記の<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>、<ΔTの評価>及び<濡れ性の評価>、並びに、<乾燥度の評価>、<ボイド発生の評価>及び<はんだの濡れ速度(はんだ濡れ性)の評価>を行った。
かかる評価の結果、試験例2~258の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性を示すことが確認された。これらのうち、試験例2~258の合金組成を有する各はんだ粉末と、配合例(F10-1)~(F10-28)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F10)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
一方、試験例301~354の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性の少なくとも1つが劣る結果を示した。
また、試験例2~258のはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F10-1)~(F10-28)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F10-29)のフラックスを用いた場合に比べて、良好な乾燥性を有し、はんだ濡れ性がより良好であることが確認された。
また、試験例2~258はんだ粉末に対し、配合例(F10-1)~(F10-28)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F10-30)のフラックスを用いた場合に比べて、ボイドの発生がより抑制されること、が確認された。
[フラックス(F11)を含有するはんだペーストの評価]
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表116~118に示す配合例(F11-1)~(F11-18)の各フラックスを用いた場合について、上記<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>を行った。また、はんだ粉末の液相線温度及び固相線温度を測定して上記<ΔTの評価>を行った。更に、作製直後のはんだペーストを用いて上記<濡れ性の評価>を行った。
これらの結果、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F11-1)~(F11-18)の各フラックスを用いた場合のはんだペーストは、いずれも、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、及び優れた濡れ性を示すことが確認された。
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表116~118に示す配合例(F11-1)~(F11-18)の各フラックスを用いた場合のはんだペースト(フラックス:はんだ粉末=11:89の質量比)について、増粘抑制評価、及び濡れ性の評価をそれぞれ行った。
<増粘抑制評価>
得られたはんだペーストについて、JIS Z 3284-3:2014の「4.2 粘度特性試験」に記載された方法に従って、回転粘度計(PCU-205、株式会社マルコム製)を用い、回転数:10rpm、測定温度:25℃にて、粘度を12時間測定し続けた。そして、初期粘度(撹拌30分後の粘度)と13時間後の粘度とを比較し、以下の基準に基づいて増粘抑制効果の評価を行った。
13時間後の粘度 ≦ 初期粘度×1.2 :経時での粘度上昇が小さく良好(A)
13時間後の粘度 > 初期粘度×1.2 :経時での粘度上昇が大きく不良(B)
<濡れ性の評価>
上記の<増粘抑制評価>と同様にして、配合例(F11-1)~(F11-18)の各フラックスを、Cu板上に開口径6.5mm、開口数4個、マスク厚0.2mmのメタルマスクを用いて印刷し、リフロー炉において、N雰囲気下、昇温速度1℃/secで25℃から260℃まで加熱した後、室温(25℃)まで空冷し、4個のはんだバンプを形成した。光学顕微鏡(倍率:100倍)を用いて、得られたはんだバンプの外観を観察し、以下の基準に基づいて評価を行った。
4個のはんだバンプの全てにおいて溶融しきれないはんだ粒子が観察されなかった:はんだ濡れ性が良好(A)
4個のはんだバンプのうちの1個以上において溶融しきれないはんだ粒子が観察された:はんだ濡れ性が不良(B)
評価した結果を表117~119に示す。
各表中、ヒンダードフェノール系金属不活性化剤として、以下に示す金属不活性化剤A~Hを用いた。
・「金属不活性化剤A」
試薬名:ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)];CAS No.36443-68-2。
・「金属不活性化剤B」
試薬名:N,N’-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド];CAS No.23128-74-7。
・「金属不活性化剤C」
試薬名:1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート];CAS No.35074-77-2。
・「金属不活性化剤D」
試薬名:2,2’-メチレンビス[6-(1-メチルシクロヘキシル)-p-クレゾール];CAS No.77-62-3。
・「金属不活性化剤E」
試薬名:2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-p-クレゾール);CAS No.119-47-1。
・「金属不活性化剤F」
試薬名:2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール);CAS No.88-24-4。
・「金属不活性化剤G」
試薬名:N-(2H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)サリチルアミド;CAS No.36411-52-6。
・「金属不活性化剤H」
試薬名:N,N’-ビス[2-[2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)エチルカルボニルオキシ]エチル]オキサミド;CAS No.70331-94-1。
Figure 0007057533000120
Figure 0007057533000121
Figure 0007057533000122
試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F11-1)~(F11-17)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F11-18)のフラックスを用いた場合に比べて、増粘抑制の効果が高められていることが確認された。
このうち、試験例1の合金組成を有するはんだ粉末と、配合例(F11-1)~(F11-17)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F11)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
次に、試験例2~258、試験例301~354に示す各合金組成を有するはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F11-1)~(F11-18)の各フラックスを用いた場合について、上記の<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>、<ΔTの評価>及び<濡れ性の評価>、並びに、<増粘抑制評価>及び<濡れ性の評価>を行った。
かかる評価の結果、試験例2~258の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性を示すことが確認された。これらのうち、試験例2~258の合金組成を有する各はんだ粉末と、配合例(F11-1)~(F11-17)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F11)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
一方、試験例301~354の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性の少なくとも1つが劣る結果を示した。
また、試験例2~258のはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F11-1)~(F11-17)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F11-18)のフラックスを用いた場合に比べて、増粘抑制の効果が高められていることが確認された。
[フラックス(F12)を含有するはんだペーストの評価]
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表119に示す配合例(F12-1)~(F12-8)の各フラックスを用いた場合について、上記<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>を行った。また、はんだ粉末の液相線温度及び固相線温度を測定して上記<ΔTの評価>を行った。更に、作製直後のはんだペーストを用いて上記<濡れ性の評価>を行った。
これらの結果、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F12-1)~(F12-8)の各フラックスを用いた場合のはんだペーストは、いずれも、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、及び優れた濡れ性を示すことが確認された。
次に、試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、表119に示す配合例(F12-1)~(F12-8)の各フラックスを用いた場合のはんだペースト(フラックス:はんだ粉末=11:89の質量比)について、増粘抑制評価、及び濡れ性の評価をそれぞれ行った。
<増粘抑制評価>
得られたはんだペーストについて、JIS Z 3284-3:2014の「4.2 粘度特性試験」に記載された方法に従って、回転粘度計(PCU-205、株式会社マルコム製)を用い、回転数:10rpm、測定温度:25℃にて、粘度を12時間測定し続けた。そして、初期粘度(撹拌30分後の粘度)と13時間後の粘度とを比較し、以下の基準に基づいて増粘抑制効果の評価を行った。
13時間後の粘度 ≦ 初期粘度×1.2 :経時での粘度上昇が小さく良好(A)
13時間後の粘度 > 初期粘度×1.2 :経時での粘度上昇が大きく不良(B)
<濡れ性の評価>
上記の<増粘抑制評価>と同様にして、配合例(F12-1)~(F12-8)の各フラックスを、Cu板上に開口径6.5mm、開口数4個、マスク厚0.2mmのメタルマスクを用いて印刷し、リフロー炉において、N雰囲気下、昇温速度1℃/secで25℃から260℃まで加熱した後、室温(25℃)まで空冷し、4個のはんだバンプを形成した。光学顕微鏡(倍率:100倍)を用いて、得られたはんだバンプの外観を観察し、以下の基準に基づいて評価を行った。
4個のはんだバンプの全てにおいて溶融しきれないはんだ粒子が観察されなかった:はんだ濡れ性が良好(A)
4個のはんだバンプのうちの1個以上において溶融しきれないはんだ粒子が観察された:はんだ濡れ性が不良(B)
評価した結果を表119に示す。
各表中、含窒素化合物系金属不活性化剤として、以下に示す金属不活性化剤A~Eを用いた。
・「金属不活性化剤A」
試薬名:N-(2H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)サリチルアミド;CAS No.36411-52-6
・「金属不活性化剤B」
試薬名:ドデカン二酸ビス[N2-(2-ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド];CAS No.63245-38-5
・「金属不活性化剤C」
試薬名:メラミン
・「金属不活性化剤D」
試薬名:ADEKA社製 商品名「アデカスタブZS-27」
・「金属不活性化剤E」
試薬名:ADEKA社製 商品名「アデカスタブZS-90」
各表中、ヒンダードフェノール系金属不活性化剤として、以下に示す金属不活性化剤Fを用いた。
・「金属不活性化剤F」
試薬名:ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)];CAS No.36443-68-2
Figure 0007057533000123
試験例1に示す合金組成を有するはんだ粉末に対し、配合例(F12-1)~(F12-7)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F12-8)のフラックスを用いた場合に比べて、増粘抑制の効果が高められていることが確認された。
このうち、試験例1の合金組成を有するはんだ粉末と、配合例(F12-1)~(F12-7)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F12)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
次に、試験例2~258、試験例301~354に示す各合金組成を有するはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F12-1)~(F12-8)の各フラックスを用いた場合について、上記の<はんだペーストにおける粘度の経時変化の評価>、<ΔTの評価>及び<濡れ性の評価>、並びに、<増粘抑制評価>及び<濡れ性の評価>を行った。
かかる評価の結果、試験例2~258の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性を示すことが確認された。これらのうち、試験例2~258の合金組成を有する各はんだ粉末と、配合例(F12-1)~(F12-7)の各フラックスとを含有するはんだペーストは、フラックス(F12)を含有する実施形態に係るはんだペーストである。
一方、試験例301~354の合金組成を有するはんだ粉末を含有するはんだペーストの場合においては、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および優れた濡れ性の少なくとも1つが劣る結果を示した。
また、試験例2~258のはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F12-1)~(F12-7)の各フラックスを用いた場合には、いずれも、配合例(F12-8)のフラックスを用いた場合に比べて、増粘抑制の効果が高められていることが確認された。
また、試験例2~258のはんだ粉末のそれぞれに対し、配合例(F12-1)~(F12-7)の各フラックスを用いたはんだペーストに、更に、粒径1μmの酸化ジルコニウム粉末をはんだペーストの全質量に対して0.1質量%含有させたところ、増粘抑制効果の向上を確認できた。
本発明によれば、粘度上昇等の経時変化が起きにくく、濡れ性に優れ、高い機械的特性を有する他、種々の特性をより高めることができる、はんだペーストを提供することができる。
また、本発明によれば、特定のはんだ粉末と組み合わせるとともに、配合する成分を選択することにより、はんだの濡れ速度の向上、接合対象物の金属表面(例えば銅板)の腐食抑制、印刷性の向上、ボイド抑制などの種々の特性をより高めることができる、はんだペースト用フラックスを提供することができる。

Claims (45)

  1. はんだ粉末と、フラックスと、を含有する、はんだペーストであって、
    前記はんだ粉末は、As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:0~25000質量ppmおよびPb:0~8000質量ppmの少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金を含む、はんだペースト。
    300≦3As+Bi+Pb (1)
    0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
    上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
  2. はんだ粉末と、フラックスと、を含有する、はんだペーストであって、
    前記はんだ粉末は、As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:0質量ppm超え25000質量ppm以下およびPb:0質量ppm超え8000質量ppm以下の少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金を含む、はんだペースト。
    300≦3As+Bi+Pb (1)
    0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
    上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
  3. はんだ粉末と、フラックスと、を含有する、はんだペーストであって、
    前記はんだ粉末は、As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:50~25000質量ppmおよびPb:0質量ppm超え8000質量ppm以下の少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金を含む、はんだペースト。
    300≦3As+Bi+Pb (1)
    0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
    上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
  4. はんだ粉末と、フラックスと、を含有する、はんだペーストであって、
    前記はんだ粉末は、As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:0質量ppm超え25000質量ppm以下およびPb:50~8000質量ppmの少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金を含む、はんだペースト。
    300≦3As+Bi+Pb (1)
    0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
    上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
  5. はんだ粉末と、フラックスと、を含有する、はんだペーストであって、
    前記はんだ粉末は、As:10質量ppm以上40質量ppm未満、並びにBi:50~25000質量ppmおよびPb:50~8000質量ppmの少なくとも1種、並びに残部がSnからなる合金組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たすはんだ合金を含む、はんだペースト。
    300≦3As+Bi+Pb (1)
    0<2.3×10-4×Bi+8.2×10-4×Pb≦7 (2)
    上記(1)式および(2)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
  6. 更に、前記合金組成は、Ni:0~600質量ppmを含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のはんだペースト。
  7. 更に、前記合金組成は、Fe:0~100質量ppmを含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のはんだペースト。
  8. 更に、前記合金組成は、In:0~1200質量ppmを含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のはんだペースト。
  9. 更に、前記合金組成は、Ni:0~600質量ppm、Fe:0~100質量ppm、およびIn:0~1200質量ppmの少なくとも2種を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のはんだペースト。
  10. 更に、前記合金組成は、Ni:0~600質量ppmおよびFe:0~100質量ppmを含有し、下記(3)式を満たす、請求項1~5のいずれか1項に記載のはんだペースト。
    0≦Ni/Fe≦50 (3)
    上記(3)式中、NiおよびFeは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
  11. 更に、前記合金組成は、下記(1a)式を満たす、請求項1~10のいずれか1項に記載のはんだペースト。
    300≦3As+Bi+Pb≦25114 (1a)
    上記(1a)式中、As、BiおよびPbは各々前記合金組成での含有量(質量ppm)を表す。
  12. 更に、前記合金組成は、Ag:0~4質量%およびCu:0~0.9質量%の少なくとも1種を含有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のはんだペースト。
  13. 前記合金組成におけるAsが、10質量ppm以上25質量ppm未満である、請求項1~12のいずれか1項に記載のはんだペースト。
  14. 前記フラックスは、樹脂成分と活性成分と溶剤とを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のはんだペースト。
  15. 前記フラックスは、ヒンダードフェノール系化合物を含む、請求項14に記載のはんだペースト。
  16. 前記ヒンダードフェノール系化合物の含有量が、前記フラックスの全質量に対して0.5質量%以上10質量%以下である、請求項15に記載のはんだペースト。
  17. 前記フラックスは、窒素化合物である金属不活性化剤を含有する、請求項14に記載のはんだペースト。
  18. 前記金属不活性化剤が、ヒドラジド系窒素化合物、アミド系窒素化合物、トリアゾール系窒素化合物およびメラミン系窒素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の窒素化合物である、請求項17に記載のはんだペースト。
  19. 前記金属不活性化剤の含有量が、前記フラックスの全質量に対して0質量%を超え、10質量%以下である、請求項17または18に記載のはんだペースト。
  20. 前記フラックスは、酸変性ロジンを含む、請求項14に記載のはんだペースト。
  21. 前記酸変性ロジンが、アクリル酸変性ロジン、アクリル酸変性水添ロジン、マレイン酸変性ロジンおよびマレイン酸変性水添ロジンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項20に記載のはんだペースト。
  22. 前記酸変性ロジンの含有量が、前記フラックスの全質量に対して3質量%以上60質量%以下である、請求項20または21に記載のはんだペースト。
  23. 前記フラックスは、アクリル系樹脂を含む、請求項14に記載のはんだペースト。
  24. 前記アクリル系樹脂の含有量が、前記フラックスの全質量に対して5質量%以上50質量%以下である、請求項23に記載のはんだペースト。
  25. 前記フラックスは、モノカルボン酸の反応物で2量体であるダイマー酸、ダイマー酸に水素を添加した水添ダイマー酸、モノカルボン酸の反応物で3量体であるトリマー酸、およびトリマー酸に水素を添加した水添トリマー酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸を含む、請求項14に記載のはんだペースト。
  26. 前記ダイマー酸、前記水添ダイマー酸、前記トリマー酸および前記水添トリマー酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸の含有量が、前記フラックスの全質量に対して0.5質量%以上20質量%以下である、請求項25に記載のはんだペースト。
  27. 前記フラックスは、下記一般式(1)で表される化合物を含む、請求項14に記載のはんだペースト。
    Figure 0007057533000124
    [式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を示す。]
  28. 前記一般式(1)で表される化合物が、ピコリン酸である、請求項27に記載のはんだペースト。
  29. 前記一般式(1)で表される化合物の含有量が、前記フラックスの全質量に対して0.5質量%以上7質量%以下である、請求項27または28に記載のはんだペースト。
  30. 前記フラックスは、アゾール類を含む、請求項14に記載のはんだペースト。
  31. 前記アゾール類が、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、ベンゾイミダゾールおよび2-オクチルベンゾイミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項30に記載のはんだペースト。
  32. 前記アゾール類の含有量が、前記フラックスの全質量に対して0.1質量%以上10質量%以下である、請求項30または31に記載のはんだペースト。
  33. 前記フラックスは、芳香族グアニジン化合物を含む、請求項14に記載のはんだペースト。
  34. 前記芳香族グアニジン化合物が、ジフェニルグアニジンおよびジトリルグアニジンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項33に記載のはんだペースト。
  35. 前記芳香族グアニジン化合物の含有量が、前記フラックスの全質量に対して0.2質量%以上15質量%以下である、請求項33または34に記載のはんだペースト。
  36. 前記フラックスは、アミド化合物であるアミド系チキソ剤を含む、請求項14に記載のはんだペースト。
  37. 前記アミド系チキソ剤が、ポリアミド、ビスアミドおよびモノアミドからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項36に記載のはんだペースト。
  38. 前記アミド系チキソ剤の含有量が、前記フラックスの全質量に対して0質量%を超え、15質量%以下である、請求項36または37に記載のはんだペースト。
  39. 前記フラックスは、ソルビトール化合物であるソルビトール系チキソ剤を含む、請求項14に記載のはんだペースト。
  40. 前記ソルビトール系チキソ剤が、ジベンジリデンソルビトールおよびビス(4-メチルベンジリデン)ソルビトールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項39に記載のはんだペースト。
  41. 前記ソルビトール系チキソ剤の含有量が、前記フラックスの全質量に対して0.2質量%以上5質量%以下である、請求項39または40に記載のはんだペースト。
  42. 前記フラックスは、グリコール系溶剤と有機酸エステルとを併有する、請求項14に記載のはんだペースト。
  43. 前記フラックスは、グリコール系溶剤と、炭素数が16~18の一価のアルコールとを併有する、請求項14に記載のはんだペースト。
  44. 更に、酸化ジルコニウム粉末を含有する、請求項1~43のいずれか1項に記載のはんだペースト。
  45. 前記酸化ジルコニウム粉末の含有量が、前記はんだペーストの全質量に対して0.05~20.0質量%である、請求項44に記載のはんだペースト。
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