JP7056908B2 - 塗布具 - Google Patents
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Description
すなわち、特許文献1の筆記具には、通気溝と、突出部の中空部分と、突出部の溝を経て、軸筒の内部空間に連なる一連の空気流路が形成されている。
すなわち、特許文献1の筆記具は、塗布液吸蔵体が突出部に押し付けられていることで、塗布液吸蔵体から漏れ出したインキがリブで区切られた空間に流入せず、突出部に形成された溝から空気流路に侵入してしまうという問題があった。
すなわち、空気流路を経てインキが外部に流出したり、空気流路がインキで閉塞されて筆記不良が生じたりするというという問題があった。
つまり、リブで仕切られた小さな空間にインキを収容するため、必然的にインキの貯留可能量(漏れ出しを確実に防止可能な状態とする貯留量)が少なくなってしまうという問題があった。
しかしながら、空気流路と連なる部分と塗布液吸蔵体の間隔を大きくしすぎてしまうと、塗布液吸蔵体が短くなりすぎてしまい、塗布具におけるインキの収納量が少なくなってしまうという問題がある。この場合、塗布液吸蔵体を頻繁に交換したり、塗布具を買い替えたりする必要が生じ、使用者にインキ切れが早い塗布具であるという印象を与えてしまうおそれがある。そこで、本発明者らが様々な人を対象として官能試験を繰り返した結果、空気流路と連なる部分と塗布液吸蔵体の距離が一定の長さ(6.0mm)を越えたとき、多くの人がインキ切れの早い塗布具であると感じることが判明した。
すなわち、一の小貯留空間に流入するインキが少量である場合は、一の小貯留空間に塗布液を貯留し、多量である場合は、複数の小貯留空間にインキを貯留する構造となっている。このため、多量の塗布液が流入した場合であってもインキの漏れ出しを確実に防止可能な状態を維持しつつインキの貯留が可能となっている。
1.5×(X2/6.1)≦X1≦6.0×(X2/6.1)・・・・(1)
なお、ここでいう「略円形」とは、完全な円形の他、外周部分に実質的に無視できる程度の微細な凹凸がある場合も含む実質的な円形とする。また、以下における「略」の記載も同様とし、縁部分に僅かな突起や窪み(欠落部分)があるものを含むものとする。
前記内側小筒部の内孔径と前記筒内配置部の断面径の差が0.08mmより大きく1mm以下であることを特徴とする塗布具である。
この塗布具1は、軸筒部2の内部にインキ吸蔵体4が内蔵されており、軸筒部2の内外に亘って延びるペン先部材3がインキ吸蔵体4と接触する構造となっている。そして、ペン先部材3が、毛細管現象によってインキ吸蔵体4に含浸されたインキ(塗布液)を吸い込むものとなっており、インキを吸い込んだペン先部材3を紙等の塗布対象物に接触させることで、インキを塗布するものとなっている。
この軸筒部2は、本体筒部10と、ペン先部材3を保持するための取付用筒部11(内側小筒部)とを有しており、これらが一体となっている。
この本体筒部10の内部空間(収容空間)は、図1で示されるように、インキ吸蔵体4を収容可能な空間となっている。そして、インキ吸蔵体4を収納した状態では、本体筒部10の内周面とインキ吸蔵体4の間に空隙が形成されるものとなっている。
つまり、図2で示されるように、本体筒部10の内周面と取付用筒部11の外周面の間に位置する空間が、連結板部15によって軸筒部2の長手方向で分断されている。
このため、前側筒部11aの内孔の大部分と内筒部11bの内孔の間には、ゆるやかな段差が形成されている。つまり、取付用筒部11の内部では、前端側に位置する比較的径が大きい部分と、後端側に位置する比較的径の小さい部分とが、ゆるやかな段差を介して連続している。
本実施形態では、2つの前端側欠落部18が前側筒部11aの径方向で離れた位置にそれぞれ形成されており、いずれも前側筒部11aの径方向における内側部分が連通溝17の前端部分と連続している。そして、これらの前端側欠落部18は、連通溝17と共に一連の溝状部分を形成している。
欠落部20は、内筒部11bの後端部分の一部を欠落させて形成される部分であり、内筒部11bの後端から前方へ向かって延びると共に、内筒部11bの側壁面を貫通する部分である。言い換えると、欠落部20は、内筒部11bの外周面から内周面までを貫通し、内筒部11bの径方向外側に隣接する空間と、内筒部11bの内部空間を連通している。
すなわち、複数の欠落部20が、平面視(視線方向を軸筒部2の長手方向とした平面視)で回転対称となるようにそれぞれ形成されている。
さらに、本体筒部10の内部空間には、軸筒部2の外部へのインキの漏出を防止すべく、インキ吸蔵体4から漏れ出たインキを貯留するインキ貯留部25(塗布液貯留部)が形成されている。
この第一リブ部23は、図2、図4で示されるように、本体筒部10の内周面と一体に形成され、同内周面から径方向内側へ突出する突起状部分である。
第一リブ部23の突出端面のうち、後端側に位置する部分には、図4で示されるように、後端側に向かうにつれて本体筒部10の径方向外側へ向かう傾斜面が形成されている。言い換えると、第一リブ部23の後端側部分は、後端側へ向かうにつれて突出長さが短くなるように形成されている。
つまり、この第一リブ部23の前端側の大部分は、断面形状が四角形状で本体筒部10の長手方向に延びた形状となっている。そして、後端側の一部は、後端側へ向かうにつれて断面積が小さくなるように延びている。
ここで、本体筒部10から尾栓5を取り外し、インキ吸蔵体4を後方側から挿入して前方側へ移動させていく場合について説明する。このとき、仮にインキ吸蔵体4が規定位置から本体筒部10の径方向外側へ位置ずれしていた場合、インキ吸蔵体4を前方側へ移動させていくことで、インキ吸蔵体4の前端側部分が第一リブ部23の後端側の傾斜面と接触する。この状態で、インキ吸蔵体4を前方へ押し込むことで、インキ吸蔵体4の前端側部分は、傾斜面に沿って本体筒部10の径方向中心側へと移動する。このように、第一リブ部23がインキ吸蔵体4の導入ガイドとして機能することで、本体筒部10の内部に収納するインキ吸蔵体4の位置ずれを防止できる。
つまり、インキ貯留部25は、内筒部11bの径方向外側に隣接する空間であり、内筒部11bの周方向で連続する空間を仕切壁部30で複数(4つ)に区画することで形成されている。
先端側部30bは、基端側部30aの突出端(本体筒部10の径方向における内側端部)からさらに突出する部分である。そして、断面形状が四角形状で本体筒部10の長手方向(図6の奥行き方向)に延びており、幅方向の長さが基端側部30aよりも短くなっている。
なお、ここでいう「幅方向の長さ」とは、前後方向(本体筒部10の延び方向)及び先端側部30bの突出方向と直交する方向の長さである。すなわち、本体筒部10の径方向と直交する方向で離間する2つの側壁面間の距離となっている。
なお、ここでいう「欠落部20の外側」とは、内筒部11bの径方向における外側であり、言い換えると、内筒部11b(本体筒部10、取付用筒部11)の横断面の広がり方向における外側である。そして、内筒部11bの周方向における欠落部20の長さは、その外側に位置する先端側部30bの同方向における長さよりも長くなっている。
このことから、先端側部30bの後端側の一部を除いた大部分は、内筒部11bの側壁面と連続して一体となっている。つまり、仕切壁部30の前端側部分は、本体筒部10の内周面と、内筒部11bの外周面と、連結板部15の後端面のそれぞれと連続しており、3面に跨るように形成されている。
これに対し、仕切壁部30の後側部分(図5では上側部分)では、本体筒部10の内周面と、内筒部11bよりも本体筒部10の径方向で外側に離れた位置の間で延びている。このことから、仕切壁部30を挟んで両側に位置する2つの空間(貯留部)の後側部分同士(図5では上側部分同士)は、大部分が分断された状態となっており、他の一部が連通した状態となっている。
補助当接リブ部33もまた、図5、図6で示されるように、本体筒部10の内周面及び連結板部15の後端面と一体に形成されており、連結板部15の後端面から後方側へ向かって延びている。
そして、補助当接リブ部33のうち、本体筒部10の径方向で最も内側に位置する部分は、内筒部11bの外周面と離間した位置にある。すなわち、補助当接リブ部33と内筒部11bの外周面の間には空間が形成されている。
つまり、本体筒部10の周方向において、仕切壁部30、第一リブ部23、補助当接リブ部33、第一リブ部23、仕切壁部30・・・の順となるように間隔を空けて並列している。
なお、「本体筒部10の径方向における内側」とは、本体筒部10の横断面の広がり方向における内側でもある。
そして、先端側部30bのうち、2つの先端側部30bは、本体筒部10の径方向で離れた位置にそれぞれ形成されており、この2つの先端側部30bの離間方向とは直交する方向で離れた位置のそれぞれに、他の2つの先端側部30bが形成されている。
つまり、2つの先端側部30bの離間方向と、他の2つの先端側部30bの離間方向は、いずれも本体筒部10の径方向であり、互いに直交する方向となっている。
このペン先部材3は、繊維束の熱融着加工体、繊維束の樹脂加工体、フェルトの樹脂加工体といった適宜の繊維束を接合した素材で形成されている。そして、軸筒部2に取り付けられた状態では、ペン先形成部3aの前端側部分が、前側筒部11aの前端よりも前方に位置して外部に露出する部分となる。そして、後方軸部3bの後端側の一部は、内筒部11bの後端よりも後方側に位置し、インキ吸蔵体4の中綿36(詳しくは後述する)に差し込まれた状態となる。つまり、ペン先部材3の後方側部分は、内筒部11bの内側から後方側へ突出し、インキ吸蔵体4に接触した状態となっている。
中綿36は、インキが含浸される繊維収束体である。特に限定されるものではないが、中綿36には、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等の合成繊維、綿、麻、パルプ等の植物繊維、羊毛、生糸等動物繊維等を好適に採用可能となっている。
なお、ここでいう「程度」とは、数パーセントの誤差(公差)を含むものとし、以下の記載においても同様とする。また、インキ吸蔵体4の径を大きくした場合、軸筒部2等の他の部分もまた、それに応じて適宜大きくしてもよい。
具体的に説明すると、ペン先部材3は、ペン先形成部3aの後側部分が前側筒部11aに内嵌されることで、軸筒部2に保持される部材となっている。このとき、前側筒部11aの内側では、前側筒部11aの内周面のうちで連通溝17(図3参照)が形成されていない部分と、ペン先形成部3aの外周面が密着した状態となっている。
したがって、空気流通路38は、前端側欠落部18と連通溝17によって形成される一連の溝状部分や、連通溝17によって形成される溝状部分と、内筒部11bの内側の空隙とが連続して形成される一連の流路となっている。
すなわち、このような開口面として、図6で示されるように、内筒部11bの後端部分に位置する後端側開口面38a(開口部分、対向開口面)と、内筒部11bの外周面に形成される側方側開口面38b(開口部分)とが空気流通路38の流路端に位置している。
側方側開口面38bは、欠落部20と本体筒部10の内部空間の境界部分に位置する開口面であり、欠落部20のうちで内筒部11bの横断面の広がり方向において外側端部に位置する部分となっている。
すなわち、空気流通路38は、複数箇所で本体筒部10の内部空間と連続しており、本体筒部10の内部空間に面する開口を複数有している。
この距離L1は、より好ましくは、1.8mm以上4.0mm以下であり、さらに好ましくは2.0mm以上2.5mm以下である。また、本実施形態では、この距離L1を2.0mm程度としている。
このことから、落下時の衝撃等の理由により、中綿36が前方へずれてしまっても、これらが中綿36の広範囲に亘る部分に接触するので、中綿36のそれ以上の前方への移動を阻止(又は抑制)できる。このことから、内筒部11bの後端側部分、すなわち、欠落部20が形成されている部分が中綿36に埋め込まれたような状態となるようなことがなく、空気流通路38の閉塞をより確実に阻止できる。
そして、インキ貯留部25を構成する4つの貯留部(第1貯留部25a乃至第4貯留部25d)のそれぞれが個別にインキを貯留可能である一方で、一の貯留部に偏って大量にインキが流入した場合には、隣接する貯留部と共にインキを貯留する構造となっている。
すなわち、仕切壁部30では、後端面(図7では上端)の大部分が欠落部20の前端よりも後方に位置しているが、液連通溝部31が形成された部分においては、後端面(液連通溝部31の前端面)が欠落部20の前端よりもさらに前方に位置している。
このとき、欠落部20の前端から液連通溝部31の前端までの長さは、予め実験等で定められる十分に長い長さであり、インキが液連通溝部31を通過するとき(図8参照)、インキが欠落部20に流入しない長さとなっている。
このことから、インキ貯留部25が、インキ吸蔵体4のうちでペン先部材3が差し込まれた部分よりも軸筒部2の横断面の広がり方向で外側に位置する部分と、軸筒部2の長手方向で離間対向している。
つまり、本実施形態のインキ貯留部25は、比較的インキが流出し易い部分と軸筒部2の長手方向で重なる位置に形成されている。
しかしながら、本発明はこれに限るものではなく、これらの少なくとも一方の後端面が内筒部11bの後端面よりも後方に位置する構造であってもよい。例えば、図9、図10で示されるように、補助当接リブ部133の後端面が内筒部11bの後端面よりも後方に位置する軸筒部102を採用してもよい。
例えば、液連通溝部31に替わって、仕切壁部を貫通する貫通孔を設けてもよい。しかしながら、軸筒部の成形を容易化するという観点から、上端から後方へ延びる溝状部分や窪み部分を形成することが好ましい。また、液連通溝部31を形成する位置は、内筒部11bと隣接する位置に限らず、内筒部11bから軸筒部の横断面の広がり方向における外側に離れた位置に形成してもよく、例えば、本体筒部の内周面と隣接する位置であっても構わない。
ここで、外郭部材35の厚さ(外周面から内周面までの長さ)を変更せず、外郭部材35の径を大きくしてインキ吸蔵体4を大きくした場合について考える。
この場合、外郭部材の内部空間の体積が大きくなり、収容される中綿36の量が多くなる。このことから、インキの収容量を大きくすることができる。その一方で、中綿36の全体量に占める熱融着された部分の割合が小さくなってしまい、中綿36が前方へずれてしまう際にずれが大きくなり易い。
例えば、上記した例では、インキ吸蔵体4の径を6.1mm程度とし、距離L1を2.0mm程度としたが、インキ吸蔵体4の径を15.0mm程度としたとき、距離L1を3.0mm程度としてもよい。
すなわち、距離L1をX1とし、インキ吸蔵体の直径をX2としたとき、下記式(1)の関係をみたすように大きくすることが好ましい。
1.5×(X2/6.1)≦X1≦6.0×(X2/6.1)・・・・(1)
なお、距離L1のさらに好ましい値もまた、上記式(1)に応じて可変する。
ここで、インキ漏れをより確実に防止するという観点から、図11で示されるように、軸筒部2の径方向における隙間部分の長さ(最大長さ)L2が、0.04mmより大きく0.5mm以下となることが好ましい。より詳細には、隙間部分の長さL2は、0.45以上0.5mm以下であることがより好ましく、0.05mm以上0.5mm以下となることがさらに好ましい。なお、本実施形態では0.05mmとしている。
言い換えると、内筒部11bの内径L3と、後方軸部3bの径方向長さL4の差が、0.08mmより大きく1mm以下であることが好ましい。より詳細には、このL3とL4の差は、0.09mm以上1mm以下であることがより好ましく、0.1mm以上1mm以下となることがさらに好ましい。なお本実施形態では1mmとしている。
また、ここでいう「後方軸部3bの径方向長さ」とは、内筒部11bの内側に位置する部分(以下、筒内配置部とも称す)の直径である。
しかしながら、この隙間部分を必要以上に大きくしてしまうと、上記したインキ貯留部25の容積が必然的に狭くなり、インキ貯留部25に多くのインキを貯留できなくなるので、インキ貯留部25の貯留量を一定以上確保するという観点から好ましくない。
そこで、本実施形態の塗布具1では、隙間部分の長さL2を上記した範囲とすることで、空気流通路38の閉塞を防止し、且つ、インキ貯留部25の十分な貯留量を確保している。
同様に、内筒部11bの内径L3と、後方軸部3bの筒内配置部の径方向長さ(直径)L4の差は、L5の4パーセント以上50パーセント以下となる長さであることが好ましい。より詳細には、4.5パーセント以上50パーセント以下がより好ましく、5パーセント以上50パーセント以下であることがさらに好ましい。
このとき、平面視において、内筒部211bの内孔部分を含むことが可能な仮想円のうちで面積が最小となる円C1(最小包含円C1)の径L7と、後方軸部3bの筒内配置部の径方向長さ(直径)L8の差が、上記したL3とL4の差と同様の範囲となっている。
言い換えると、内孔部分の断面形状を含むことが可能な最小包含円C1の径L7と、筒内配置部の断面径L8(筒内配置部の断面形状を含むことが可能な最小円の直径)の差が、上記したL3とL4の差と同様の範囲となっている。
さらに、平面視において、内筒部311bの内孔部分を含む最小包含円C2の径方向長さ(直径)L10と、後方軸部303bを含む最小包含円C3の径方向長さ(直径)L11との差が、上記したL3とL4の差と同様の範囲となっている。言い換えると、内孔部分の断面形状を含むことが可能な最小包含円C2の径L10と、筒内配置部の断面形状を含むことが可能な最小包含円C3の径L11の差が、上記したL3とL4の差と同様の範囲となっている。
上記した塗布具1に準じる塗布具を300本作成し、内100本を第1群に属するものとし、他の100本を第2群に属するものとし、残りの100本を第3群に属するものとした。
第1群に属する塗布具は、後方軸部の筒内配置部に相当する部分の径方向長さが1.74mm~1.85mmとなるものとした。
第2群に属する塗布具は、後方軸部の筒内配置部に相当する部分の径方向長さが1.95mm~2.01mmとなるものとした。
第3群に属する塗布具は、後方軸部の筒内配置部に相当する部分の径方向長さが2.01mm~2.09mmとなるものとした。
これら300本の塗布具は、後方軸部を除いた他の部分の構造を実質的に同一とし、同一のインキを使用した。また、内筒部に相当する部分の内径を2.1mmプラスマイナス0.05mmとした。
その結果、図14のグラフで示される結果が得られた。
また、第2群に属する塗布具では、7本でインキの漏れが確認され、他の23本でインキの漏れが確認されなかった。
さらに、第3群に属する塗布具では、全ての塗布具でインキの漏れが確認された。
また、筒内配置部に相当する部分の径方向長さが一定以上長くなると(内筒部と後方軸部の間の隙間が一定以上狭くなると)、インキの漏れが発生することが確認された。このとき、インキの漏れが確認された塗布具の中で、筒内配置部に相当する部分の径方向長さが最小のものは、同部分の長さが1.95mmとなるものであることが判明した。
そして、この推察を確認すべく、下記の実験2を行った。
上記した塗布具1に準じる塗布具を100本作成し、筒内配置部に相当する部分の径方向長さを1.7プラスマイナス0.2mmとした。また、上記と同様に、後方軸部を除いた他の部分の構造を実質的に同一とし、同一のインキを使用した。また、内筒部に相当する部分の内径を2.1mmプラスマイナス0.05mmとした。
そして、上記と同様のインキ漏れの有無を確認するための試験を行った。
また、これらの塗布具から無作為に所定数の塗布具を抽出し、内筒部と後方軸部の間に形成される隙間部分の長さ(上記実施形態のL2に相当する長さ)をそれぞれ測定したところ、その最小値が0.05mmであった。
上記した塗布具1に準じる塗布具を100本作成し、筒内配置部に相当する部分の径方向長さを1.9プラスマイナス0.2mmとした。すなわち、上記実験1の結果を受け、一部にインキ漏れが生じ、一部にインキ漏れが生じないことが予測される複数の塗布具を作成した。この実験3においても、上記と同様に、後方軸部を除いた他の部分の構造を実質的に同一とし、同一のインキを使用した。また、内筒部に相当する部分の内径を2.1mmプラスマイナス0.05mmとした。
そして、上記と同様のインキ漏れの有無を確認するための試験を行った。
上記した塗布具1に準じる塗布具を90本作成し、上記と同様のインキ漏れの有無を確認するための試験を行った。
そして、内筒部と後方軸部の間に形成される隙間部分の長さ(上記実施形態のL2に相当する長さ)が異なる塗布具について、それぞれインキ漏れの有無を確認した。
対して、同隙間部分の長さが0.05mm~0.07mmとなる塗布具では、全ての塗布具でインキ漏れが確認されず、さらに同隙間部分の長さが0.11mm~0.17mmとなる塗布具でもまたインキ漏れが確認されなかった。
2 軸筒部
3 ペン先部材(塗布体)
4 インキ吸蔵体(塗布液吸蔵体)
10 本体筒部
11 取付用筒部(内側小筒部)
15 連結板部(分断壁部)
25 インキ貯留部(塗布液貯留部)
25a 第1貯留部(小貯留空間)
25b 第2貯留部(小貯留空間)
25c 第3貯留部(小貯留空間)
25d 第4貯留部(小貯留空間)
30 仕切壁部(仕切壁部、突起状部)
31 液連通溝部(液流通孔部)
33 補助当接リブ部(突起状部)
38 空気流通路
38a 後端側開口面(開口部分、対向開口面)
38b 側方側開口面(開口部分)
Claims (11)
- 軸筒部と、前記軸筒部内に収容される塗布液吸蔵体と、塗布液を塗布するための塗布体とを有し、前記塗布液吸蔵体に含浸させた塗布液を前記塗布体へ供給する塗布具であって、
前記軸筒部は、前記塗布液吸蔵体を収容する収容空間を有し、
前記収容空間と外部を連通する空気流通路が形成されており、
前記空気流通路は、前記収容空間に面する開口部分を有しており、
前記開口部分の少なくとも一部は、前記塗布液吸蔵体と前記軸筒部の長手方向で重なる位置に形成されて前記塗布液吸蔵体と対向しており、
前記開口部分のうちで前記塗布液吸蔵体と対向する部分を対向開口面としたとき、前記塗布液吸蔵体と前記対向開口面の距離が1.5mm以上6.0mm以下であることを特徴とする塗布具。 - 前記軸筒部は、本体筒部と内側小筒部を有し、
前記本体筒部の内部に前記収容空間が形成され、
前記内側小筒部の少なくとも一部は、前記収容空間の内部に位置しており、
前記塗布体は、前記軸筒部の前端側に保持され、一部が前記内側小筒部の内側に位置し、より後側の一部が前記内側小筒部の内部から前記塗布液吸蔵体に突出し、後端側の部分が前記塗布液吸蔵体と接触するものであり、
前記空気流通路は、前記軸筒部の外部から前記内側小筒部の内部空間を経て、前記収容空間と連なるように形成され、その一部が、前記内側小筒部と前記塗布体の間に形成される隙間部分となっており、
前記内側小筒部の後端部分に前記対向開口面が位置することを特徴とする請求項1に記載の塗布具。 - 前記本体筒部には、突起状部が形成されており、
前記突起状部は、前記内側小筒部よりも前記軸筒部の横断面の広がり方向で外側となる位置に配されており、
前記突起状部の後端面は、前記内側小筒部の後端面と同一平面上に位置する、又は、前記内側小筒部の後端面よりも後方に位置するものであり、且つ、前記塗布液吸蔵体よりも前方に位置しており、さらに前記軸筒部の長手方向で前記塗布液吸蔵体と重なる位置にあることを特徴とする請求項2に記載の塗布具。 - 前記塗布体は、前記軸筒部の前端側に保持されるものであり、
前記軸筒部の内部には、前記塗布液吸蔵体よりも前方側となる位置に前記塗布液を貯留可能な塗布液貯留部が形成され、
前記塗布液貯留部は、仕切壁部によって区画された複数の小貯留空間を有し、
前記仕切壁部は、後端側よりの一部に液流通孔部が形成されており、
前記液流通孔部は、隣接する2つの前記小貯留空間を連通しており、
それぞれの前記小貯留空間は、個別に所定量の前記塗布液を貯留可能であり、
一の前記小貯留空間に所定量以上の前記塗布液が流入することで、一の前記小貯留空間と隣接する他の前記小貯留空間に対し、一の前記小貯留空間から前記液流通孔部を介して前記塗布液が流入することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の塗布具。 - 前記軸筒部は、本体筒部と内側小筒部を有し、
前記本体筒部の内部では、前記本体筒部の内周面と前記内側小筒部の外周面とが前記軸筒部の横断面の広がり方向で離間しており、
前記塗布液貯留部は、前記本体筒部の内周面と前記内側小筒部の外周面の間に形成され、前記仕切壁部は、少なくとも前端側の部分が前記本体筒部の内周面と前記内側小筒部の外周面のそれぞれと連続していることを特徴とする請求項4に記載の塗布具。 - 前記本体筒部の内周面と前記内側小筒部の外周面の間に形成される空間を前後方向で分断する分断壁部を有しており、
前記分断壁部は、前記小貯留空間の前方側を閉塞して底部分を形成するものであり、
前記本体筒部と、前記内側小筒部と、前記仕切壁部と、前記分断壁部が一体成形されていることを特徴とする請求項5に記載の塗布具。 - 軸筒部と、前記軸筒部内に収容される塗布液吸蔵体と、塗布液を塗布するための塗布体とを有し、前記塗布液吸蔵体に含浸させた塗布液を前記塗布体へ供給する塗布具であって、
前記塗布液吸蔵体は、円筒状の外郭部材の内部に繊維収束体を収容して形成されており、
前記軸筒部は、前記塗布液吸蔵体を収容する収容空間を有し、
前記収容空間と外部を連通する空気流通路が形成されており、
前記空気流通路は、前記収容空間に面する開口部分を有しており、
前記開口部分の少なくとも一部は、前記塗布液吸蔵体と前記軸筒部の長手方向で重なる位置に形成されて前記塗布液吸蔵体と対向しており、
前記開口部分のうちで前記塗布液吸蔵体と対向する部分を対向開口面としたときの記塗布液吸蔵体と前記対向開口面の距離をX1とし、前記塗布液吸蔵体の直径をX2としたとき、下記式(1)の関係をみたすことを特徴とする塗布具。
1.5×(X2/6.1)≦X1≦6.0×(X2/6.1)・・・・(1) - 前記軸筒部は、本体筒部と内側小筒部を有し、
前記塗布体は、一部が前記内側小筒部の内部に位置するものであり、
前記空気流通路は、前記軸筒部の外部から前記内側小筒部の内部空間を経て、前記収容空間と連なるように形成され、その一部が、前記内側小筒部と前記塗布体の間に形成される隙間部分となっており、
前記隙間部分の前記軸筒部の径方向長さが0.04mmより大きく0.5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の塗布具。 - 前記本体筒部の内周面と前記内側小筒部の外周面の間に形成される空間を前後方向で分断する分断壁部を有しており、
前記分断壁部は、前記収容空間の前方側を閉塞することを特徴とする請求項8に記載の塗布具。 - 前記軸筒部の内部には、前記塗布液吸蔵体よりも前方側となる位置に前記塗布液を貯留可能な塗布液貯留部が形成され、
前記塗布液貯留部は、仕切壁部によって区画された複数の小貯留空間を有し、
前記分断壁部は、前記小貯留空間の前方側を閉塞して底部分を形成するものであり、
前記本体筒部と、前記内側小筒部と、前記仕切壁部と、前記分断壁部が一体成形されていることを特徴とする請求項9に記載の塗布具。 - 前記内側小筒部の内孔は、断面形状が略円形となる孔であり、
前記塗布体は、前記内側小筒部の内側に位置する筒内配置部を有しており、前記筒内配置部の断面形状が略円形となる形状であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の塗布具。
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