以下、添付図面を参照して、X線診断装置の実施形態を詳細に説明する。なお、本願に係るX線診断装置は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係るX線診断装置100のおけるX線管について、図1A及び図1Bを用いて説明する。図1Aは、第1の実施形態に係るX線診断装置100の外観を示す斜視図である。また、図1Bは、第1の実施形態に係るX線管12の構成の一例を示す断面図である。なお、図1Aでは、X線診断装置100の外観として、X線管12とX線検出器16とを支持するCアーム15を含む支持器及び天板14のみを示しているが、実際には、天板14を支持する寝台装置や、ディスプレイなどがX線診断装置100に含まれる。また、図1Aでは、床置き型のCアームを示しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、Cアーム15は、天吊り型のCアームであってもよい。
例えば、X線診断装置100は、図1Aに示すように、一端にX線管12を保持し、他端にX線検出器16を保持するCアーム15を含む支持器を備える。例えば、Cアーム15は、天板14を挟んで対向する位置にX線管12とX線検出器16とをそれぞれ支持する。そして、Cアーム15は、図1Aに示すように、水平方向を回転軸として矢印31の方向に回転可能に軸支される。すなわち、Cアーム15が矢印31の方向に回転することで、X線管12及びX線検出器16が矢印34の方向に回転することとなる。ここで、支持器は、鉛直方向を回転軸として矢印32の方向に回転可能に構成される。すなわち、Cアーム15は、支持器によって、鉛直方向を回転軸として矢印32の方向に回転可能に軸支される。さらに、Cアーム15は、図1Aに示すように、矢印33の方向にスライド移動することができる。さらに、支持器は、矢印35に沿って床回転可能に構成される。
また、天板14は、図1Aに示すように、長手方向、短手方向、及び、上下方向にそれぞれ移動可能に構成される。このように、X線診断装置100は、支持器及び天板14が種々の方向に移動することができる。これにより、X線診断装置100は、天板14上に横臥する被検体に対して様々な角度からX線を曝射させることができ、様々な角度のX線画像を収集することができる。
このようなX線診断装置100において、本実施形態に係るX線管12は、回転陽極型X線管である。具体的には、X線管12は、液体金属軸受式の回転陽極型X線管である。例えば、X線管12は、図1Bに示すように、真空外囲器内に、熱電子を放出する陰極121、傘状の陽極122、回転部123等が配置されている。陽極122は軸部を介して回転部123に連結され、回転部123によって回転可能に軸支されている。回転部123は、シリンダ1231と、回転軸1232とを有し、シリンダ1231と回転軸1232との間隙に液体金属が充填される。
ここで、例えば、回転軸1232は、図1Bに示すように、らせん溝が形成される。液体金属は、ガリウム(Ga)、又は、ガリウム、インジウム(In)及び錫(Sn)の合金などであり、回転軸1232の回転によりシリンダ1231と回転軸1232との間隙を循環する。X線管12においては、この液体金属の循環によってシリンダ1231と回転軸1232とを接触させずに、陽極122を回転させる。なお、図1Bに示すX線管は、あくまでも一例であり、X線管12の構成は図示のものに限られない。すなわち、X線管12は、液体金属軸受式であれば、どのような構成のものであってもよい。
第1の実施形態に係るX線診断装置100は、上述したような液体金属軸受式のX線管12を備え、X線管における制約を満たしつつ、消費電力の低減を実現する。具体的には、X線診断装置100は、装置のスリープ状態(待機状態)において、液体金属軸受式のX線管における制約を満たしつつ、X線管12の陽極122の回転を停止させることで、消費電力を低減する。なお、以下では、陽極の回転を陽極回転と記載する場合がある。
液体金属軸受式のX線管には、例えば、「支持器の移動は最小限に留める」、「陽極の起動・停止は、回転軸を水平・垂直(鉛直)姿勢にて実施する」、「頻繁な起動・停止の繰り返しをしない」などの制約がある。これは、液体金属軸受式のX線管の場合、回転軸が水平・垂直ではない状態で陽極回転を完全に停止させると、回転部(軸受け)が衝撃に弱くなるためである。すなわち、液体金属軸受式のX線管では、回転軸が水平・垂直ではない状態で陽極回転を完全に停止させると、スリープ状態が解除されて支持器が移動した際に、回転軸が水平・垂直ではなく、かつ、陽極回転が停止した状態で衝撃が加えられることとなり、回転部が劣化・損傷するおそれがあるため、上記したような制約が設けられている。
そこで、本実施形態に係るX線診断装置100では、装置のスリープ状態において、このような制約を満たしつつ、陽極回転を停止させることで、消費電力を低減させる。以下、X線診断装置100の詳細について説明する。図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置100の構成の一例を示す図である。図2に示すように、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、X線高電圧装置11と、X線管(管球)12と、X線絞り13と、天板14と、Cアーム15と、X線検出器16と、Cアーム回転・移動機構17と、天板移動機構18と、Cアーム・天板機構制御回路19と、絞り制御回路20と、処理回路21と、入力インターフェース22と、ディスプレイ23と、画像データ生成回路24と、記憶回路25とを有する。
図2に示すX線診断装置100においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路25へ記憶されている。Cアーム・天板機構制御回路19、絞り制御回路20、処理回路21、及び、画像データ生成回路24は、記憶回路25からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の各回路は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
X線高電圧装置11は、処理回路21による制御の下、高電圧を発生し、発生した高電圧をX線管12に供給する高電圧電源である。例えば、X線高電圧装置11は、インバータ回路、高電圧を生成する高電圧トランス、及び高圧整流回路などにより構成される。X線管12は、X線高電圧装置11から供給される高電圧を用いて、X線を発生する。具体的には、X線管12は、上述したように、液体金属軸受式の回転陽極型X線管である。
X線絞り13は、絞り制御回路20による制御の下、X線管12が発生したX線を、被検体Pの関心領域に対して選択的に照射されるように絞り込む。例えば、X線絞り13は、スライド可能な4枚の絞り羽根を有する。X線絞り13は、絞り制御回路20による制御の下、これらの絞り羽根をスライドさせることで、開口の形状、サイズ、位置を任意に変化させる。このように、X線絞り13によって開口のサイズ及び位置が調整されることで、X線検出器16の検出面へのX線照射領域のサイズ及び位置が調整される。すなわち、X線管12が発生したX線が、X線絞り13の開口によって絞り込まれ、被検体Pに照射される。なお、X線絞り13の絞り羽根は、例えば、操作者によって設定されたROIのみにX線が照射されるようにスライド移動される。また、X線絞り13は、線質を調整するための付加フィルタを備えることができる。付加フィルタは、例えば、検査に応じて設定される。
天板14は、被検体Pを載せるベッドであり、図示しない寝台装置の上に配置される。なお、被検体Pは、X線診断装置100に含まれない。
X線検出器16は、被検体Pを透過したX線を検出する。例えば、X線検出器16は、マトリックス状に配列された検出素子を有する。各検出素子は、被検体Pを透過したX線を電気信号に変換して蓄積し、蓄積した電気信号を画像データ生成回路24に送信する。
Cアーム15は、X線管12、X線絞り13及びX線検出器16を保持する。Cアーム15は、支持器に設けられたモータなどのアクチュエータにより、複数の軸で個別に回転する。
Cアーム回転・移動機構17は、支持器に設けられたモータなどを駆動することによって、Cアーム15を回転及び移動させるための機構である。天板移動機構18は、天板14を移動させるための機構である。例えば、天板移動機構18は、アクチュエータが発生させた動力を用いて、天板14を移動させる。
Cアーム・天板機構制御回路19は、処理回路21による制御の下、Cアーム回転・移動機構17及び天板移動機構18を制御することで、Cアーム15の回転や移動、天板14の移動を調整する。絞り制御回路20は、処理回路21による制御の下、X線絞り13が有する絞り羽根の開度を調整することで開口の形状、サイズ、位置を変化させ、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。
画像データ生成回路24は、X線検出器16によってX線から変換された電気信号を用いて投影データを生成し、生成した投影データを記憶回路25に格納する。例えば、画像データ生成回路24は、X線検出器16から受信した電気信号に対して、電流・電圧変換やA(Analog)/D(Digital)変換、パラレル・シリアル変換を行い、投影データを生成する。そして、画像データ生成回路24は、生成した投影データを記憶回路25に格納する。
記憶回路25は、画像データ生成回路24によって生成された投影データを受け付けて記憶する。また、記憶回路25は、図1に示す各回路によって読み出されて実行される各種機能に対応するプログラムを記憶する。一例を挙げると、記憶回路25は、処理回路21によって読み出されて実行される制御機能211に対応するプログラム、検出機能212に対応するプログラム及び判定機能213に対応するプログラムを記憶する。なお、図2においては単一の記憶回路25が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路が分散して配置され、処理回路21などの各種回路が個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
入力インターフェース22は、所定の領域(例えば、部分透視におけるROI)などの設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等や、X線の照射などを行うためのフットスイッチ等によって実現される。
入力インターフェース22は、処理回路21に接続されており、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換し処理回路21へと出力する。なお、本明細書において入力インターフェース22は、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
ディスプレイ23は、操作者の指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、処理回路21によって生成された種々の画像を表示する。また、ディスプレイ23は、処理回路21による種々の処理結果を表示する。
処理回路21は、制御機能211、検出機能212及び判定機能213を実行することで、X線診断装置100全体の動作を制御する。具体的には、処理回路21は、装置全体を制御するための制御機能211に対応するプログラムを記憶回路25から読み出して実行することにより、種々の処理を実行する。例えば、制御機能211は、入力インターフェース22から転送された操作者の指示に従ってX線高電圧装置11を制御し、X線管12に供給する電圧を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量やON/OFFを制御する。また、例えば、制御機能211は、操作者の指示に従ってCアーム・天板機構制御回路19を制御し、Cアーム15の回転や移動、天板14の移動を調整する。
また、例えば、制御機能211は、操作者の指示に従って絞り制御回路20を制御し、X線絞り13が有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。また、制御機能211は、X線管12の陽極122の回転を制御する。具体的には、制御機能211は、装置の状態に応じた回転速度での陽極回転を制御する。ここで、制御機能211は、検出機能212及び判定機能213による処理結果に応じて、陽極122の回転を制御する。なお、この点については、後に詳述する。
また、制御機能211は、操作者の指示に従って、画像データ生成回路24による投影データ生成処理を制御する。また、制御機能211は、投影データに対する画像処理や、解析処理などを制御する。例えば、制御機能211は、記憶回路25が記憶する投影データに対して各種画像処理を行うことでX線画像を生成する。或いは、制御機能211は、画像データ生成回路24から直接投影データを取得し、取得した投影データに対して各種画像処理を行うことでX線画像を生成する。なお、制御機能211は、画像処理後のX線画像を、記憶回路25に格納することも可能である。例えば、制御機能211は、移動平均(平滑化)フィルタ、ガウシアンフィルタ、メディアンフィルタ、リカーシブフィルタ、バンドパスフィルタなどの画像処理フィルタによる各種処理を実行することが可能である。
また、制御機能211は、回転撮影によって収集された投影データから再構成データ(ボリュームデータ)を再構成して、再構成したボリュームデータを記憶回路25に格納することもできる。さらに、画像処理回路26は、ボリュームデータから3次元画像を生成することも可能である。
また、制御機能211は、操作者の指示を受け付けるためのGUIや記憶回路25が記憶する画像、処理回路21による処理結果などを、ディスプレイ23に表示するように制御する。
検出機能212は、X線管12の姿勢を検出する。また、判定機能213は、入力インターフェース22を介して入力された操作に基づいて、X線管12の姿勢の変化の有無を判定する。なお、検出機能212及び判定機能213については、後に詳述する。ここで、制御機能211は、特許請求の範囲における制御部の一例である。また、検出機能212は、特許請求の範囲における検出部の一例である。また、判定機能213は、特許請求の範囲における判定部の一例である。
以上、X線診断装置100の全体構成について説明した。かかる構成のもと、本実施形態に係るX線診断装置100は、X線管における制約を満たしつつ、消費電力の低減を実現する。上述したように、液体金属軸受式のX線管は、陽極回転の停止について種々の制約がある。そこで、第1の実施形態に係るX線診断装置100では、スリープ状態において陽極122の回転軸1232の軸方向が水平又は垂直の場合に陽極回転を停止し、陽極122の回転軸1232の軸方向が水平又は垂直ではない場合に陽極を低速で回転させることで、液体金属軸受式のX線管の制約を満たしつつ、消費電力を低減する。
以下、X線診断装置100における詳細について説明する。まず、第1の実施形態に係る制御機能211は、自装置をスリープモードに遷移させることができる。例えば、制御機能211は、入力インターフェース22を介した操作を一定時間受け付けなかった場合や、入力インターフェース22を介してスリープモードへの遷移指示を受け付けた場合に、自装置をスリープモードに遷移させる。ここで、スリープモードとは、消費電力を抑えて待機している状態であり、入力インターフェース22を介した操作に応じて即座に処理が開始できるように、一定の電力が供給された状態である。また、制御機能211は、判定機能213による判定結果に応じて、スリープモードを解除することもできる。この点については、後述する。
検出機能212は、待機状態の開始時のX線管12の姿勢を検出する。具体的には、検出機能212は、制御機能211の制御によって装置がスリープモードに遷移した場合のX線管12の陽極122における回転軸1232の軸方向を検出する。より具体的には、検出機能212は、スリープモードに遷移した時点での、鉛直方向(重力方向)に対する回転軸1232の軸方向を検出する。
例えば、検出機能212は、Cアーム15を含む支持器のログ情報等から、スリープモードが開始された時点での支持器の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、回転軸1232の軸方向を検出する。ここで、Cアーム15の位置(角度)ごとの回転軸1232の軸方向を対応付けた対応情報が予め記憶回路25に記憶される。すなわち、検出機能212は、対応情報を参照することにより、取得した位置情報から回転軸1232の軸方向を検出する。
なお、Cアーム15の位置と回転軸1232の軸方向とが対応付けられた対応情報は、Cアーム15に対するX線管12の配置の情報(例えば、Cアーム15に対するX線管12の取り付け角度の情報等)に基づいて予め生成され、記憶回路25に格納される。
制御機能211は、検出機能212の検出結果に基づいて、X線管12における陽極回転を制御する。具体的には、制御機能211は、待機状態の開始時におけるX線管12の姿勢が条件を満たすか否かを判定し、X線管12の姿勢が条件を満たす場合に陽極122の回転を停止させ、X線管12の姿勢が条件を満たしていない場合に、X線管12においてX線を発生させる準備状態における陽極122の回転速度よりも遅い回転速度で陽極122を回転させるように制御する。
より具体的には、制御機能211は、鉛直方向に対する陽極122の回転軸1232の軸方向が条件を満たしているか否かを判定して、判定結果に応じて陽極回転を制御する。例えば、制御機能211は、陽極の回転軸の軸方向が、鉛直方向又は鉛直方向と直交する方向であるか否かを判定して、判定結果に応じて陽極回転を制御する。すなわち、制御機能211は、検出機能212の検出結果に基づいて、回転軸1232の軸方向が、鉛直方向(重力方向)に対してどのようになっているかを判定して、判定結果に基づいて、陽極122の回転を停止させる、或いは、陽極122を低速で回転させる。
図3A及び図3Bは、第1の実施形態に係る制御機能211による判定処理の例を説明するための図である。例えば、検出機能212による検出結果に基づく判定において、X線管12の軸方向が、図3Aの左図に示すように水平方向(鉛直方向に直交する方向)である場合、制御機能211は、陽極回転を停止させるように制御する。また、例えば、検出機能212による検出結果に基づく判定において、X線管12の軸方向が、図3Aの右図に示すように鉛直方向である場合、制御機能211は、陽極回転を停止させるように制御する。
このように、スリープモードを開始した際の陽極122の回転軸1232の軸方向が鉛直方向又は水平方向である場合に陽極回転を停止するように制御することで、X線診断装置100は、液体金属軸受式のX線管の制約を満たしつつ、消費電力を低減することができる。すなわち、スリープモードが解除されて支持器が移動され、回転部に衝撃が加えられた場合であっても、回転軸が鉛直方向又は水平方向となっているため、回転部が劣化・損傷するおそれがない。
また、例えば、検出機能212による検出結果に基づく判定において、回転軸1232の軸方向が、図3Bに示すように水平方向及び鉛直方向ではない場合、制御機能211は、陽極122を低速で回転させるように制御する。ここで、液体金属軸受式のX線管では、回転軸が水平・垂直ではなく、かつ、陽極回転が停止した状態で衝撃が加えられると、回転部が劣化・損傷するおそれがある。そこで、制御機能211は、スリープモードを開始した際の回転軸1232の軸方向が水平方向及び鉛直方向ではない場合、衝撃に対して弱くならず、かつ、消費電力を低減することができる回転速度で陽極122を回転させる。
図4は、第1の実施形態に係る制御機能211による陽極回転の回転速度を説明するための図である。上述したように、制御機能211は、装置の状態に応じてX線管12の陽極回転を制御する。例えば、制御機能211は、装置の電源がオフの状態や、上述したスリープモードで回転軸1232の軸方向が鉛直方向又は水平方向となっている状態では、図4の「停止状態」で示すように、陽極回転を停止させる(回転速度を「0」とする)。
また、制御機能211は、X線画像を収集する場合には、図4の「収集状態」で示すように、回転速度「b」で陽極122を回転させる。ここで、図4においては、収集状態の回転速度を「b」のみ示しているが、制御機能211は、透視時と、撮影時とで異なる回転速度で陽極回転させることができる。例えば、透視時の回転速度を図4に示す回転速度「b」とした場合、制御機能211は、撮影時には、回転速度「b」よりも速い回転速度で陽極回転させる。
さらに、制御機能211は、X線管12から即座にX線を発生させることができる状態である準備状態では、図4の「アイドル状態」で示すように、「収集状態」における回転速度「b」よりも遅い回転速度「a」で陽極122を回転させる。「アイドル状態」における回転速度「a」は、入力インターフェース22を介したX線曝射の指示に応じて、即座に回転速度を「b」まで上げられる速度である。
そして、制御機能211は、スリープモードを開始した際の回転軸1232の軸方向が水平方向及び鉛直方向ではない場合には、衝撃に対して弱くならず、かつ、消費電力を低減することができる回転速度(「アイドル状態」の回転速度「a」よりも低速)で陽極122を回転させる。すなわち、制御機能211は、図4における回転速度「0」~「a」の範囲に含まれる回転速度で陽極122を回転させる。ここで、制御機能211は、回転速度「0」~「a」の範囲において、衝撃に対して弱くならず、かつ、できるだけ低速となる回転速度で陽極122を回転させる。なお、この回転速度は、例えば、X線管12として適用される液体金属軸受式の回転陽極型X線管の種類ごとに予め設定される。
このように、スリープモードを開始した際の陽極122の回転軸1232の軸方向が鉛直方向及び水平方向ではない場合には、「アイドル状態」の回転速度よりも低速で陽極回転させることで、X線診断装置100は、液体金属軸受式のX線管の制約を満たしつつ、消費電力を低減することができる。すなわち、スリープモードが解除されて支持器が移動され、回転部に衝撃が加えられた場合であっても、衝撃に対して弱くならない回転速度で陽極回転されているため、回転部が劣化・損傷するおそれがない。
そして、制御機能211は、スリープモードが解除されると、陽極122を「アイドル状態」の回転速度(例えば、回転速度「a」)で回転させる。ここで、制御機能211は、入力インターフェースを介したスリープモードの解除だけではなく、X線診断装置100の状況に応じて、陽極122の回転開始を制御することができる。具体的には、制御機能211は、X線診断装置100の使用状況に応じて、停止状態の陽極122を、「アイドル状態」の回転速度、或いは、「アイドル状態」よりも低速の回転速度で回転を開始させることもできる。
かかる場合には、判定機能213が、X線診断装置100の使用状況を判定する。具体的には、判定機能213は、陽極の回転が停止された状態において、X線管12の姿勢が変化するか否かを判定する。例えば、判定機能213は、X線診断装置100による検査情報を取得し、取得した検査情報に含まれる検査開始の予定時刻を、X線管12の姿勢が変化する時刻として判定する。制御機能211は、X線管12の姿勢が変化すると判定された検査開始の予定時刻に、陽極122が「アイドル状態」の回転速度で回転しているように陽極122の回転開始を制御する。
また、例えば、X線診断装置100に対して、X線の曝射を伴わずに支持器を移動させるモードが設定されている場合、判定機能213は、モードに基づいてX線管12の姿勢が変化するか否かを判定することができる。すなわち、判定機能213は、X線診断装置100がX線の曝射を伴わずに支持器を移動させるモードに遷移したか否かを判定する。制御機能211は、X線診断装置100がX線の曝射を伴わずに支持器を移動させるモードに遷移したと判定された場合に、「アイドル状態」よりも低速の回転速度で陽極を回転させる。
次に、図5を用いて、第1の実施形態に係るX線診断装置100の処理について説明する。図5は、第1の実施形態に係るX線診断装置100の処理手順を示すフローチャートである。図5に示すステップS101~103、106~108、111は、処理回路21が記憶回路25から制御機能211に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。また、ステップS104、105は、処理回路21が記憶回路25から検出機能212に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。また、ステップS109、110は、処理回路21が記憶回路25から判定機能213に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。
例えば、図5に示すように、処理回路21は、陽極122を「アイドル状態」で回転させている間(ステップS101)、一定時間、操作を受け付けていないか否かを判定する(ステップS102)。ここで、一定時間、操作を受け付けていない場合(ステップS102肯定)、処理回路21は、スリープモードを開始する(ステップS103)。なお、ステップS102において、操作を受け付けた場合には(ステップS102否定)、処理回路21は、操作に応じた処理を実行する。例えば、処理回路21は、X線画像を収集するための処理を実行する。
ステップS103においてスリープモードに遷移すると、処理回路21は、X線管12の姿勢を示す情報を取得して(ステップS104)、X線管12の現在の姿勢を検出する(ステップS105)。そして、処理回路21は、検出した姿勢が条件を満たすか否かを判定する(ステップS106)。具体的には、処理回路21は、陽極122の回転軸1232の軸方向が鉛直方向又は水平方向となっているか否かを判定する。
ここで、条件を満たす場合には(ステップS106肯定)、処理回路21は、X線管12の陽極回転を停止する(ステップS107)。一方、条件を満たしていない場合には(ステップS106否定)、処理回路21は、「アイドル状態」よりも低速で陽極122を回転させる(ステップS108)。
ステップS107又はステップS108において、陽極回転を制御すると、処理回路21は、操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS109、S110)。具体的には、処理回路21は、スリープモードを解除する操作を受け付けたか否かを判定する。ここで、ステップS109又はS110において、操作を受け付けた場合(ステップS109、S110肯定)、処理回路21は、スリープモードを解除する(ステップS111)。
一方、ステップS109又はS110において、操作を受け付けていない場合(ステップS109、S110否定)、処理回路21は、それまでの状態を維持する。すなわち、処理回路21は、陽極回転を停止した状態で判定した場合には、陽極回転の停止を継続する。また、低速で陽極を回転させた状態で判定した場合には、処理回路21は、低速での陽極回転を継続する。
上述したように、第1の実施形態によれば、X線管12は、回転する陽極に対して陰極で発生した熱電子を衝突させてX線を発生させる。検出機能212は、スリープ状態の開始時のX線管12の姿勢を検出する。制御機能211は、スリープ状態の開始時におけるX線管12の姿勢が条件を満たすか否かを判定し、X線管12の姿勢が条件を満たす場合に陽極122の回転を停止させ、X線管12の姿勢が条件を満たしていない場合に、X線管12においてX線を発生させるアイドル状態における陽極122の回転速度よりも遅い回転速度で陽極122を回転させるように制御する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、X線管における制約を満たしつつ、消費電力の低減を実現することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、制御機能211は、鉛直方向に対する陽極122の回転軸の軸方向が条件を満たしているか否かを判定する。また、制御機能211は、陽極122の回転軸1232の軸方向が、鉛直方向又は鉛直方向と直交する方向であるか否かを判定する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、液体金属軸受式の回転陽極型X線管における制約を満たすことを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、X線管12においてX線を発生させるアイドル状態における陽極122の回転速度は、X線の発生時における陽極122の回転速度よりも遅い回転速度である。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、収集状態における回転速度よりも遅いアイドル状態における回転速度よりもさらに遅い回転速度で陽極回転させることで、スリープ状態における消費電力をより低減することができる。
また、第1の実施形態によれば、判定機能213は、陽極122の回転が停止された状態において、X線管12の姿勢が変化するか否かを判定する。制御機能211は、X線管12の姿勢が変化すると判定された場合に、陽極122の回転を開始させる。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、X線管12の姿勢の変化に応じて陽極122を回転させることを可能にする。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、スリープモードが開始された際の回転軸1232の軸方向が、鉛直方向又は水平方向ではない場合に、アイドル状態よりも低速で陽極回転する場合について説明した。第2の実施形態では、スリープモードが開始された際の回転軸1232の軸方向が、鉛直方向又は水平方向ではない場合に、軸方向を鉛直方向又は水平方向に移動させる場合について説明する。なお、以下、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
第2の実施形態に係る制御機能211は、待機状態の開始時におけるX線管12の姿勢が条件を満たすか否かを判定し、X線管12の姿勢が条件を満たす場合に陽極122の回転を停止させ、X線管12の姿勢が条件を満たしていない場合に、X線管12の姿勢が条件を満たすようにX線管12を支持する支持器を移動させた後に陽極122を停止させるように制御する。
具体的には、制御機能211は、鉛直方向に対する陽極122の回転軸1232の軸方向が条件を満たしているか否かを判定して、判定結果に応じてX線管12の姿勢を制御する。例えば、制御機能211は、陽極122の回転軸1232の軸方向が、鉛直方向又は鉛直方向と直交する方向であるか否かを判定して、判定結果に応じてX線管12の姿勢を制御する。すなわち、制御機能211は、検出機能212の検出結果に基づいて、回転軸1232の軸方向が、鉛直方向(重力方向)に対してどのようになっているかを判定して、判定結果に基づいて、陽極122の回転を停止させる、或いは、回転軸1232の軸方向を制御した後に陽極122の回転を停止させる。
図6は、第2の実施形態に係る制御機能211による処理の例を説明するための図である。例えば、検出機能212による検出結果に基づく判定において、X線管12における陽極122の回転軸1232の軸方向が、図6の左図に示すように水平方向及び鉛直方向ではない場合、制御機能211は、回転軸1232の軸方向が水平方向又は鉛直方向となるように、支持器を移動させる。一例を挙げると、制御機能211は、回転軸1232の軸方向が水平方向及び鉛直方向ではない場合、図6の右図に示すように、回転軸1232の軸方向が鉛直方向となるようにCアーム15を移動させる。
ここで、制御機能211は、Cアーム15の移動に際して、移動距離が最短となるようにCアーム15を移動させることができる。すなわち、制御機能211は、回転軸1232の軸方向を水平方向にするための移動距離と、回転軸1232の軸方向を鉛直方向にするための移動距離とを算出する。そして、制御機能211は、移動距離が短い方向を選択し、回転軸1232の軸方向が選択した方向となるように、Cアーム15を移動させる。
そして、制御機能211は、回転軸1232の軸方向を水平方向又は鉛直方向とした後、陽極回転を停止させる。これにより、スリープモード中は常に陽極回転を停止させることができ、より消費電力を低減させることを可能にする。
なお、検出機能212による検出結果に基づく判定において、X線管12の軸方向が、水平方向又は鉛直方向である場合、制御機能211は、第1の実施形態と同様に、陽極回転を停止させるように制御する。
次に、図7を用いて、第2の実施形態に係るX線診断装置100の処理について説明する。図7は、第2の実施形態に係るX線診断装置100の処理手順を示すフローチャートである。なお、図7においては、第1の実施形態での処理と同一の処理に同一の符号を付している。図7に示すステップS201は、処理回路21が記憶回路25から制御機能211に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。
例えば、図7に示すように、処理回路21は、陽極122を「アイドル状態」で回転させている間(ステップS101)、一定時間、操作を受け付けていないか否かを判定する(ステップS102)。ここで、一定時間、操作を受け付けていない場合(ステップS102肯定)、処理回路21は、スリープモードを開始する(ステップS103)。
ステップS103においてスリープモードに遷移すると、処理回路21は、X線管12の姿勢を示す情報を取得して(ステップS104)、X線管12の現在の姿勢を検出する(ステップS105)。そして、処理回路21は、検出した姿勢が条件を満たすか否かを判定する(ステップS106)。
ここで、条件を満たす場合には(ステップS106肯定)、処理回路21は、X線管12の陽極回転を停止する(ステップS107)。一方、条件を満たしていない場合には(ステップS106否定)、処理回路21は、回転軸1232の軸方向が水平状態又は垂直状態となるように、支持器を移動させて(ステップS201)、陽極回転を停止する(ステップS107)。
ステップS107において、陽極回転を停止すると、処理回路21は、操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS109)。ここで、操作を受け付けた場合(ステップS109肯定)、処理回路21は、スリープモードを解除する(ステップS111)。一方、操作を受け付けていない場合(ステップS109否定)、処理回路21は、陽極回転の停止を継続する。
上述したように、第2の実施形態によれば、X線管12は、回転する陽極に対して陰極で発生した熱電子を衝突させてX線を発生させる。検出機能212は、スリープ状態の開始時のX線管12の姿勢を検出する。制御機能211は、スリープ状態の開始時におけるX線管12の姿勢が条件を満たすか否かを判定し、X線管12の姿勢が条件を満たす場合に陽極122の回転を停止させ、X線管12の姿勢が条件を満たしていない場合に、X線管12の姿勢が条件を満たすようにX線管12を支持する支持器を移動させた後に陽極122を停止させるように制御する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、スリープモード中にX線管における制約を満たしつつ、常に陽極回転を停止させることができ、消費電力をより低減することを可能にする。
(第3の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態について説明したが、上述した第1及び第2の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した第1及び第2の実施形態では、シングルプレーンのX線診断装置100を一例に挙げて説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、バイプレーンのX線診断装置100に適用される場合であってもよい。
図8は、第3の実施形態に係るX線診断装置の外観を示す斜視図である。例えば、第3の実施形態に係るX線診断装置100は、図8に示すように、一端にX線管12aを保持し、他端にX線検出器16aを保持するCアーム15aを含む第1の支持器と、一端にX線管12bを保持し、他端にX線検出器16bを保持するΩアーム15bを含む第2の支持器とを備える。例えば、Cアーム15aは、天板14を挟んで対向する位置にX線管12aとX線検出器16aとをそれぞれ支持する。そして、Cアーム15aは、図8に示すように、水平方向を回転軸として矢印31の方向に回転可能に軸支される。すなわち、Cアーム15aが矢印31の方向に回転することで、X線管12a及びX線検出器16aが矢印34の方向に回転することとなる。ここで、第1の支持器は、鉛直方向を回転軸として矢印32の方向に回転可能に構成される。すなわち、Cアーム15aは、第1の支持器によって、鉛直方向を回転軸として矢印32の方向に回転可能に軸支される。さらに、Cアーム15aは、図8に示すように、矢印33の方向にスライド移動することができる。さらに、第1の支持器は、矢印35に沿って床回転可能に構成される。
また、例えば、Ωアーム15bは、円弧状を成す天井吊り式で形成され、天板14を挟んで対向する位置にX線管12bとX線検出器16bとをそれぞれ支持する。そして、Ωアーム15bは、図8に示すように、鉛直方向を回転軸として矢印36の方向に回転可能に構成される。また、Ωアーム15bは、図8に示すように、矢印37の方向にスライド移動することができる。さらに、Ωアーム15bは、X線管12b側及びX線検出器16b側のそれぞれに昇降機構を有する。そして、Ωアーム15bは、X線管12b側が矢印38の方向に沿って伸縮し、X線検出器16b側が矢印39の方向に沿って伸縮する。
このように、第3の実施形態に係るX線診断装置では、X線管とX線検出器を支持する支持器を2つ備える。第3の実施形態に係る処理回路21は、各支持器について、上述した各処理をそれぞれ実施することができる。すなわち、処理回路21は、スリープモード開始時のX線管12a及びX線管12bの姿勢を検出し、検出した姿勢に応じて上述した処理をそれぞれ実行する。
ここで、処理回路21は、X線管12a及びX線管12bの姿勢が共に条件を満たさず、Cアーム15a及びΩアーム15bを移動させる場合に、2つの支持器が干渉するか否かを判定し、干渉すると判定した場合に、どちらか一方の支持器のみを移動させるように制御することもできる。例えば、制御機能211は、X線管12a及びX線管12bの姿勢が共に条件を満たさず、Cアーム15a及びΩアーム15bを移動させる場合に、それぞれの移動方向及び距離をそれぞれ算出し、Cアーム15aとΩアーム15bが干渉するか否かを判定する。ここで、Cアーム15aとΩアーム15bが干渉する場合、制御機能211は、どちら一方のアームを移動させた後、当該アームによって支持されたX線管の陽極回転を停止する。そして、制御機能211は、移動させなかったアームによって支持されたX線管の陽極をアイドル状態よりも低速で回転させる。なお、上記した場合、例えば、2つのアームのうち、移動距離が短い方のアームを移動させるようにしてもよい。
上述した実施形態では、単一の処理回路(処理回路21)によって各処理機能が実現される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、処理回路21は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路21が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路25に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路25にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶部等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、後述する各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
また、上述した実施形態で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
なお、本願において、「X線診断装置」とは、X線管と、当該X線管の陽極の回転を制御する処理回路とを含んでいればよく、必ずしも、上述の実施形態のようにX線検出器、入力インターフェース、ディスプレイ等を含んでいなくてもよい。例えば、院内回診用のX線診断装置のように、X線検出器がX線診断装置とは別装置であってもよい。この例において、X線診断装置とX線検出器とは、「X線診断システム」を構成する。また、例えば、入力インターフェース、ディスプレイ等がX線診断装置から遠く離れた場所に設けられており、入力インターフェース、ディスプレイ等とX線診断装置との間の通信がインターネット回線を介して行われてもよい。この例において、X線診断装置と入力インターフェースとディスプレイとは、「X線診断システム」を構成する。
以上説明したとおり、少なくとも1つの実施形態によれば、X線管における制約を満たしつつ、消費電力の低減を実現することを可能にする。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。