以下、添付図面を参照して、実施形態に係るX線CT装置を詳細に説明する。なお、X線CT装置には、X線管とX線検出器とが一体として被検体の周囲を回転するRotate/Rotateタイプ、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管のみが被検体の周囲を回転するStationary/Rotateタイプ等様々なタイプがあるが、いずれのタイプでも本実施形態は適用可能である。さらに、近年では、X線管とX線検出器との複数のペアを回転フレームに搭載したいわゆる多管球型のX線CT装置の製品化が進み、その周辺技術の開発が進んでいる。本実施形態においては、従来からの一管球型のX線CT装置であっても、多管球型のX線CT装置であってもいずれも適用可能である。以下の実施形態では、一管球型でかつ、Rotate/RotateタイプのX線CT装置を一例として説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係るX線CT装置の各部分について、図1〜図5を用いて、概略を説明する。図1〜図5は、実施形態に係るX線CT装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、実施形態に係るX線CT装置は、架台装置10と寝台装置20と架台装置側インターフェース50と、コンソール装置30とを有する。架台装置10、架台装置側インターフェース50及び寝台装置20は、検査室(Scan Room)側に設けられ、コンソール装置30(端末装置)は、操作室(Operation Room)側に設けられる。なお、架台装置側インターフェース50は、架台装置10の傍に設置されても良いし、架台装置10と一体となって架台装置10の中に組み込まれても良い。
図2に、架台装置10の概略が示されている。架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線の検出データから投影データを収集する装置であり、X線照射制御回路11と、X線発生装置12と、X線検出器13と、収集回路14と、回転フレーム15と、架台駆動回路16とを有する。
回転フレーム15は、後述するX線管12aを有するX線発生装置12とX線検出器13とを被検体Pの周囲で回転可能に支持する。回転フレーム15は、X線発生装置12とX線検出器13とを被検体Pを挟んで対向支持し、後述する架台駆動回路16によって被検体Pを中心とした円軌道にて高速に回転する円環状のフレームである。
X線発生装置12は、X線を発生し、発生したX線を被検体Pへ照射する装置であり、X線管12aと、ウェッジ12bと、コリメータ12cとを有する。
X線管12aは、X線を照射する。具体的には、X線管12aは、後述するX線照射制御回路11により供給される高電圧により被検体PにX線ビームを発生する真空管である。X線管12aは、回転フレーム15の回転にともない、X線ビームを被検体Pに対して照射する。X線管12aは、ファン角及びコーン角を持って広がるX線ビームを発生する。
ウェッジ12bは、X線管12aから照射されたX線のX線量を調節するためのX線フィルタである。コリメータ12cは、後述するX線照射制御回路11の制御により、ウェッジ12bによってX線量が調節されたX線の照射範囲を絞り込むためのスリットである。
X線照射制御回路11は、高電圧発生部として、X線管12aに高電圧を供給する装置であり、X線管12aは、X線照射制御回路11から供給される高電圧を用いてX線を発生する。X線照射制御回路11は、X線管12aに供給する管電圧や管電流を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量を調整する。また、X線照射制御回路11は、コリメータ12cの開口度を調整することにより、X線の照射範囲(ファン角やコーン角)を調整する。
架台駆動回路16は、回転フレーム15を回転駆動させることによって、被検体Pを中心とした円軌道上でX線発生装置12とX線検出器13とを旋回させる。
X線検出器13は、X線管12aから照射され被検体Pを透過したX線を検出する。具体的には、X線検出器13は、2次元状に配列されたX線検出素子により、X線管12aから照射されて被検体Pを透過したX線を検出する。図2に示すX線検出器13は、被検体Pを透過したX線の強度分布を示すX線強度分布データを出力する2次元アレイ型検出器(面検出器)である。X線検出器13には、チャネル方向(図2に示すY軸方向)に配列された複数のX線検出素子(検出素子列)が、被検体Pの体軸方向(図2に示すZ軸方向)に沿って複数列配列される。例えば、X線検出器13は、被検体Pの体軸方向に沿って320列に配列された検出素子列を有し、被検体Pを透過したX線強度分布データを広範囲に検出する。
収集回路14は、DAS(Data Acqusition System)であり、X線検出器13が検出したX線の検出データから、投影データを収集する。例えば、収集回路14は、X線検出器13により検出されたX線強度分布データに対して、増幅処理やA/D変換処理、チャネル間の感度補正処理等を行なって投影データを生成し、生成した投影データを後述するコンソール装置30に送信する。
例えば、回転フレーム15の回転中に、X線管12aからX線が連続照射されている場合、収集回路14は、全周囲分(360度分)の投影データ群を収集する。また、収集回路14は、収集した各投影データに管球位置を対応付けて、後述するコンソール装置30に送信する。管球位置は、投影データの投影方向を示す情報となる。なお、チャネル間の感度補正処理は、後述する処理回路40Bが、前処理機能34により行なっても良い。
図3に、架台装置側インターフェース50の概略が示されている。架台装置側インターフェース50は、検査室側で、ユーザからX線CT装置の操作を受け付けるための装置である。架台装置側インターフェース50は、例えば、ディスプレイ32Aと、記憶回路37Aと、入力装置31Aと、処理回路40Aを備える。処理回路40Aは、例えば、スキャン制御機能33Aと、制御機能36Aと、選択機能39Aと、第1設定機能42とを有する。
実施形態では、構成要素であるスキャン制御機能33Aと制御機能36Aと選択機能39Aと第1設定機能42にて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路37Aへ記憶されている。処理回路40Aはプログラムを記憶回路37Aから読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読みだした状態の処理回路40Aは、図3の処理回路40A内に示された各機能を有することになる。
なお、図3においては単一の処理回路40Aにて、スキャン制御機能33Aと、制御機能36Aと、選択機能39Aと、第1設定機能42にて行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路40Aを構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。換言すると、上述のそれぞれの機能がプログラムとして構成され、1つの処理回路が各プログラムを実行する場合であってもよいし、特定の機能が専用の独立したプログラム実行回路に実装される場合であってもよい。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路37Aに保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路37Aにプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。第1設定機能42、選択機能39A、制御機能36Aは、第1設定部、選択部及び制御部の一例である。
入力装置31Aは、X線CT装置のユーザが各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード、ボタン、ペダル(フットスイッチ)等を有し、ユーザから受け付けた指示や設定の情報を、処理回路40Aに転送し、制御機能36Aの処理の用に供する。
ディスプレイ32Aは、ユーザが参照するモニタであり、処理回路40Aの有する制御機能36Aによる制御のもと、X線CT画像データ等をユーザに表示したり、入力装置31Aを介してユーザから各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。例えば、ユーザは、検査情報登録用のGUIに、図5に示す天板22に載置された被検体Pの撮影時における体位等の検査情報を、入力装置31Aを用いて入力する。
処理回路40Aは、スキャン制御機能33Aにより、後述する制御機能36Aによる制御のもと、X線照射制御回路11、架台駆動回路16、収集回路14及び後述する寝台駆動装置21の動作を制御することで、架台装置10における投影データの収集処理を制御する。
記憶回路37Aは、処理回路40Aの有する各処理機能を実行するためのプログラムを記憶する。また、記憶回路37Aは、処理回路40Aの有する各処理機能を実行するためのプログラムを実行するのに必要なデータを記憶する。また、記憶回路37Aは、ユーザからのX線CT装置の操作履歴をデータとして記憶する。
処理回路40Aは、制御機能36Aにより、架台装置10、寝台装置20及び架台装置側インターフェース50の動作を制御することによって、X線CT装置の全体制御を行う。具体的には、処理回路40Aは、制御機能36Aにより、スキャン制御機能33Aを制御することで、架台装置10で行なわれる撮影を制御する。また、処理回路40Aは、制御機能36Aにより、記憶回路37Aが記憶する各種画像データを、ディスプレイ32Aに表示するように制御する。また、処理回路40Aは、制御機能36Aにより、コンソール装置30と通信を行い、コンソール装置30に対してデータを送信したり、又はコンソール装置30からデータを取得する。
処理回路40Aは、選択機能39A及び第1設定機能42を備える。これらの処理については後述する。
図4には、コンソール装置30の概略が示されている。コンソール装置30は、架台装置側インターフェース50と同様の装置であるが、操作室(Operation Room)側に設置される。すなわち、コンソール装置30は、操作室において、ユーザによるX線CT装置の操作を受け付ける装置である。加えて、コンソール装置30は、例えば、架台装置10によって収集されたX線検出データからX線CT画像データを再構成する。コンソール装置30は、ディスプレイ32Bと、記憶回路37Bと、入力装置31Bと、処理回路40Bを備える。処理回路40Bは、例えば、スキャン制御機能33Bと制御機能36Bと、第2設定機能38と、前処理機能34と、画像生成機能35とを有する。また、実施形態によっては、処理回路40Bは、選択機能39Bを有する。
架台装置側インターフェース50の場合において説明したのと同様に、構成要素であるスキャン制御機能33Bと、制御機能36Bと、選択機能39Bと、第2設定機能38と、前処理機能34と、画像生成機能35にて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路37Bへ記憶されている。同様に、処理回路40Bはプログラムを記憶回路37Bから読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読みだした状態の処理回路40Bは、図4の処理回路40B内に示された各機能を有することになる。なお、同様に、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路40Bを構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
また、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、架台装置側インターフェース50の説明において例示した構成と同様の構成を含む。プロセッサは記憶回路37Bに保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路37Bにプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。第2設定機能38、選択機能39B、制御機能36Bは、それぞれ第2設定部、選択部、制御部の一例である。
ディスプレイ32Bは、ユーザが参照するモニタである。ディスプレイ32Bは、例えばディスプレイ32Aと同様の構成を有し、処理回路40Bの有する制御機能36Bによる制御のもと、X線CT画像データ等をユーザに表示したり、入力装置31Bを介してユーザから各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUIを表示したりする。
記憶回路37Bは、処理回路40Bが前処理機能34により生成した再構成用投影データを記憶する。また、記憶回路37Bは、収集回路14により収集された投影データそのものも記憶する。ここで、記憶回路37Bは、処理回路40Bが前処理機能34により生成した投影データや、収集回路14により生成した投影データに対応付けて、管球位置を記憶する。
入力装置31Bは、例えば入力装置31Aと同様の構成を有し、ユーザから受け付けた指示や設定の情報を、処理回路40Bに転送し、制御機能36Bの処理の用に供する。
処理回路40Bは、スキャン制御機能33Bにより、後述する制御機能36Bによる制御のもと、X線照射制御回路11、架台駆動回路16、収集回路14及び寝台駆動装置21の動作を制御することで、架台装置10における投影データの収集処理を制御する。
処理回路40Bは、制御機能36Bにより、架台装置10、寝台装置20及びコンソール装置30の動作を制御することによって、X線CT装置の全体制御を行う。具体的には、処理回路40Bは、制御機能36Bにより、スキャン制御機能33Bを制御することで、架台装置10で行なわれる撮影を制御する。また、処理回路40Bは、制御機能36Bにより、前処理機能34や、画像生成機能35を制御することで、コンソール装置30における画像再構成処理や画像生成処理を制御する。また、処理回路40Bは、制御機能36Bにより、記憶回路37Bが記憶する各種画像データを、ディスプレイ32Bに表示するように制御する。また、処理回路40Bは、制御機能36Bにより、架台装置側インターフェース50と通信を行い、架台装置側インターフェース50に対してデータを送信したり、又は架台装置側インターフェース50からデータを取得したりする。
実施形態によっては、処理回路40Bは、選択機能39Bを備える。また、処理回路40Bは、第2設定機能38を備える。これらの処理については後述する。
処理回路40Bは、前処理機能34により、本撮影時に収集回路14によって生成された投影データに対して、対数変換処理と、オフセット補正、感度補正及びビームハードニング補正等の補正処理とを行なって、補正済みの投影データを生成する。以下では、処理回路40Bが、前処理機能34により生成する本撮影に関する補正済みの投影データを再構成用投影データと記載する。
処理回路40Bは、画像生成機能35により、記憶回路37Bが記憶する投影データを用いて各種画像データを生成する処理部であり、画像再構成機能を有する。
処理回路40Bは、画像生成機能35により、記憶回路37Bが記憶する再構成用投影データを用いてX線CT画像データを再構成する。再構成方法としては、種々の方法があり、例えば、逆投影処理が挙げられる。また、逆投影処理としては、例えば、FBP(Filtered Back Projection)法による逆投影処理が挙げられる。或いは、処理回路40Bは、画像生成機能において、逐次近似法を用いて、X線CT画像データを再構成しても良い。
処理回路40Bは、画像生成機能35により、ヘリカルスキャンや、面検出器であるX線検出器13を用いたコンベンショナルスキャン、ステップアンドシュート方式のコンベンショナルスキャンにより収集された投影データを用いて、3次元X線CT画像データを再構成することができる。例えば、処理回路40Bは、画像生成機能35により、複数のアキシャル面の断層像データとして3次元X線CT画像データを再構成する。断層像データは、表示用の2次元X線CT画像データとして用いることができる。また、処理回路40Bは、画像生成機能35により、3次元X線CT画像データから、各種レンダリング処理を行なって、表示用の2次元X線CT画像データを生成する。レンダリング処理としては、断面再構成法(MPR:Multi Planar Reconstruction)により、3次元X線CT画像データから任意の断面のMPR画像データを再構成する処理がある。また、レンダリング処理としては、ボリュームレンダリング(Volume Rendering)処理や、最大値投影法(MIP:Maximum Intensity Projection)により、3次元X線CT画像データから3次元の情報を反映したVR画像データやMIP画像データを生成する処理がある。
図5には、寝台装置20の概略が示されている。寝台装置20は、被検体Pを載せる装置であり、天板22と、寝台駆動装置21とを有する。天板22は、被検体Pが載置される板である。寝台駆動装置21は、制御機能36Aを実行する処理回路40Aの制御のもと、又は制御機能36Bを実行する処理回路40Bの制御のもと、天板22をZ軸方向へ移動することにより、被検体Pを回転フレーム15内(撮影空間内)に移動させる。
架台装置10は、本撮影時において、例えば、天板22を移動させながら回転フレーム15を回転させて被検体Pをらせん状にスキャンするヘリカルスキャンを実行する。又は、架台装置10は、本撮影時において、天板22を移動させた後に被検体Pの位置を固定したままで回転フレーム15を回転させて被検体Pを円軌道にてスキャンするコンベンショナルスキャンを実行する。又は、架台装置10は、本撮影時において、天板22の位置を一定間隔で移動させてコンベンショナルスキャンを複数のスキャンエリアで行なうステップアンドシュート方式を実行する。
エリア表示投光器60は、被検体Pに光を照射することで、撮影範囲がおおよそどのくらいの大きさであるかを、ユーザが確認するための装置である。一例として、エリア表示投光器60は、エリア表示投光器60に取り付けられた絞りを調節することにより、所定の領域の範囲で、光を照射する。ユーザは、被検体Pの体表面に重ねて照射された光を確認することにより、撮影範囲の中心位置がずれていないか、撮影範囲が小さすぎたり大きすぎたりしないかを確認することができる。ここで、撮影範囲とは、例えばX線の曝射範囲を意味しても良いし、或いは再構成範囲を意味しても良い。エリア表示投光器60として用いられる光源の例としては、例えば、LED投光器、水銀灯投光器、ハロゲンランプ、その他の投光器が挙げられる。
処理回路40Aは、制御機能36Aにより(或いは、処理回路40Bは、制御機能36Bにより)、エリア表示投光器60の光の照射範囲を、撮影条件設定と自動的に連動させることができる。この場合、処理回路40Aは、制御機能36Aにより、例えば現在の撮影条件設定のもとでのX線曝射範囲(或いは再構成範囲)に対応する照射範囲を、エリア表示投光器60の光の照射範囲に設定する。また、逆に、ユーザがエリア表示投光器60の光の照射範囲を変更した場合、処理回路40Aは、制御機能36Aにより、X線曝射範囲を、ユーザが変更後の光の照射範囲となるように変更する。これらの処理の詳細については後述する。
以上のように、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成要素の概略を説明したが、実施形態はこれに限られない。
例えば、図4の処理回路40Bが、前処理機能34及び画像生成機能35を備える場合、すなわちコンソール装置30において画像再構成を行う場合については、実施形態はこれに限られない。例えば、コンソール装置30は表示端末としての機能のみを有し、ネットワークに接続され架台装置10の収集回路14からデータを受信した計算機サーバーが画像再構成を行い、再構成後の出力画像をコンソール装置30に送信して出力画像を表示させてもよい。
また、架台装置側インターフェース50が、ディスプレイ32Aを備え、また入力装置31Aとしてキーボード等を備えた場合について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、架台装置側インターフェース50は、スイッチやボタン等、簡便なインターフェースであってもよい。
次に、実施形態に係るX線CT装置について、技術背景を簡単に説明する。
X線CT装置を用いた撮影においては、被検体Pの撮影範囲などの撮影条件の設定を、コンソール装置30側で行う方法と、架台装置10側で行う方法とがある。架台装置10側に備えられた架台装置側インターフェース50は、コンソール装置30と比較して通常は簡便なインターフェースであることが多いことから、撮影条件の設定は、通常、複雑な設定を行うのに適したコンソール装置30側で行われる。しかしながら、撮影条件の設定を、架台装置10側で行うのが望ましいケースも存在する。例えば、被検体Pの撮影範囲の調整にあたっては、被検体Pの寝台位置の調整を伴うことから、ユーザである放射線技師は、コンソール装置30(操作室)側ではなく、架台装置10(検査室)側にいることが多い。コンソール装置30と架台装置10が物理的に距離が離れている場合など、撮影条件の設定が、コンソール装置30側からしかできないとすると、撮影条件の設定をするため、操作室と検査室を往復しなくてはならずわずらわしさに堪えない。
従って、撮影においては、必要に応じて、架台装置10側の操作のみで、撮影条件の設定を完了できることが望ましい。もちろん、撮影においては、コンソール装置30側の操作のみでも、撮影条件の設定を完了できることも望ましい。
しかしながら、撮影条件の設定を、架台装置10側からもコンソール装置30側からもできるとした場合、架台装置10側とコンソール装置30側のどちらの情報を用いて撮影条件の設定を行うかを明確にしないと、ユーザの意図しない撮影条件で撮影が行われてしまう可能性が考えられる。例えば、架台装置10側とコンソール装置30側に技師がそれぞれ一人ずつ合計二人おり、協力して検査を行うようなケースにおいて、架台装置10側とコンソール装置30側両方から撮影条件の設定を行うことができるとすると、二人の技師の間のコミュニケーションが不全であると、意図しない撮影条件で撮影が行われてしまい、検査の失敗につながる。
かかる点に鑑みて、第1の実施形態に係るX線CT装置は、架台装置10側での撮影条件の入力と、コンソール装置30側での撮影条件の入力のどちらを用いて被検体Pの撮影を実行するかを選択する情報である選択情報の入力をユーザから受け付け、受け付けた選択情報に基づいて被検体Pの撮影を行う。換言すると、撮影計画の際、処理回路40Aは、選択機能39Aにより(又は、処理回路40Bは、選択機能39Bにより)、第1設定機能42又は第2設定機能38のいずれにより撮影条件を確定可能とするかを選択する選択情報の入力を受けつけ、選択機能により受け付けた選択情報に基づいて架台装置10に撮影を実行させる。これにより、コンソール装置30側だけではなく、架台装置10側のみから、撮影条件の設定を行うことができる。
かかる点について、必要に応じて図7を参照しながら、図6を用いて説明する。図6は、第1の実施形態に係るX線CT装置の行う処理の流れについて説明したフローチャートである。また、図7は、第1の実施形態に係るX線CT装置における、エリア表示投光器設定のための画面デザインの一例である。
図6のフローチャートにおいて、はじめに、コンソール装置30(端末装置)側で、患者登録が行われる。すなわち、コンソール装置30の有する処理回路40Bは、入力装置31Bを通じて、患者登録を行う(ステップS101)。具体的には、処理回路40Bは、入力装置31Bを通じて、ユーザから患者氏名、患者IDなどの入力を受け付ける。
続いて、処理回路40Bは、制御機能36Bにより、被検体Pの撮影に関するエキスパートプランの選択の入力をユーザから受け付ける(ステップS102)。ここで、エキスパートプランとは、例えば、撮影計画のプリセット条件としての様々な撮影条件のことを指す。ここで、撮影条件とは、撮影の際の条件である狭義の撮影条件と、再構成条件等の画像生成条件の両方を含み、具体例として、管電圧、管電流、回転フレーム15の回転速度、スライス厚、列数、種々の再構成条件が挙げられる。処理回路40Bは、ディスプレイ32Bを通じて、プリセット条件の候補を複数、ディスプレイ32Bに表示させ、ユーザにプリセット条件の候補を複数提示する。ユーザが入力装置31Bを通じて複数のプリセット条件のうちの一つのプリセット条件を選択すると、処理回路40Bは、制御機能36Bにより、選択された一つのプリセット条件を、被検体Pの撮影条件として設定する。
また、処理回路40Bは、ディスプレイ32Bを通じてユーザにプリセット条件の候補を複数提示するとともに、選択機能39Bにより、コンソール装置30側に設けられた入力装置31Bを通じて、選択情報(フラグ情報)の入力を受け付ける。ここで、選択情報とは、架台装置10側とコンソール装置30側(端末装置側)どちらで撮影条件の設定が行われるかを選択する情報である。換言すると、選択情報とは、架台装置10側でユーザから入力を受け付けた第1の撮影条件と、コンソール装置30側でユーザから入力を受け付けた第2の撮影条件とのうちいずれの撮影条件を用いて、架台装置10が被検体Pの撮影を実行するか(例えば、架台装置10側とコンソール装置30側のどちら側で、放射線曝射開始ボタンを有効化するか)を選択するための情報である。ユーザによって選択情報(フラグ情報)が入力されると、処理回路40Bは、撮影計画に選択可能な複数のプリセット条件のうち、一部のプリセット条件に、第1設定機能42又は第2設定機能38に係るフラグ情報を、選択情報として対応づける。なお、選択情報(フラグ情報)は、ユーザからの入力によって定められる場合に限られず、前述のプリセット条件の候補の中に、予め組み込まれて、プリセット条件のうちの一つとして設定されていてもよい。
例えば、選択情報が、架台装置10側で設定される第1の撮影条件を用いて被検体の撮影を実行する旨の情報である場合、後述のステップS123A等において、処理回路40Aは、制御機能36Aにより、選択情報に基づいて、架台装置10側で設定される第1の撮影条件を用いて架台装置10に被検体Pの撮影を実行させる。逆に、選択情報が、コンソール装置30側で設定される第2の撮影条件を用いて被検体Pの撮影を実行する旨の情報である場合、後述のステップS123Bにおいて、処理回路40Bは、制御機能36Bにより、選択情報に基づいて、コンソール装置30側で設定される第2の撮影条件を用いて架台装置10に被検体Pの撮影を実行させる。
また、選択情報は、撮影の開始すなわちX線の照射開始に関するユーザからの操作を、架台装置10側とコンソール装置30側どちらで受け付けるかを選択する情報でもある。例えば、選択情報が、架台装置10側で設定される第1の撮影条件を用いて被検体Pの撮影を実行する旨の情報である場合、架台装置10は、架台装置10側でのみユーザからの撮影の開始操作を受け付け、コンソール装置30側でのユーザからの撮影の開始操作は受け付けない(無効化する)。逆に、選択情報が、コンソール装置30側で設定される第2の撮影条件を用いて被検体Pの撮影を実行する旨の情報である場合、架台装置10は、コンソール装置30側でのみユーザからの撮影の開始操作を受け付け、架台装置10側でのユーザからの撮影の開始操作は受け付けない(無効化する)。
処理回路40Bは選択機能39Bにより、入力装置31Bを通じてユーザから選択情報の入力を受け付けると、制御機能36Bにより、引き続き入力装置31Bを通じてユーザから、更なる撮影条件の入力を受け付ける(ステップS102)。ここで、更なる撮影条件とは、被検体Pの撮影範囲以外の撮影条件、例えば、X線管12aに印加される電圧、X線管12aの管電流、回転フレーム15の回転速度、スライス厚、列数、種々の再構成条件等のさまざまな撮影条件を意味する。
第1の実施形態では、これらの様々な撮影条件の中でも、「被検体Pの撮影範囲」という撮影条件については、別個に取り扱われる。具体的には、「被検体Pの撮影範囲」については、選択情報に基づいて、架台装置10側とコンソール装置30側のうち、ユーザが選択した側において条件の設定が行われる。これに対して、「被検体Pの撮影範囲」以外の撮影条件については、ステップS102で、コンソール装置30側で、処理回路40Bの制御機能36Bにより条件の設定が行われる。
処理回路40Bが制御機能36Bにより、ステップS102において「被検体Pの撮影範囲」以外の撮影条件についてユーザからの入力の受け付けを完了すると、続いて、架台装置10は、ユーザから架台装置10の操作を受け付ける。架台装置10は、被検体Pの寝台装置20へのセッティングを行う(ステップS103)。具体的には、実施形態に係るX線CT装置を操作するユーザは、被検体Pを寝台装置20の天板22の上に載置する。処理回路40Aは、制御機能36Aにより、ユーザから寝台装置20の天板22の位置の移動操作を受け付ける。ユーザは、寝台装置20の天板22を操作して、被検体Pの撮影領域の中心が、X線の曝射領域の略中心となるように天板22を移動させる。
ステップS103の処理が完了すると、処理回路40Aは、選択機能39Aにより、処理回路40Bが選択機能39BによりステップS102において入力を受け付けた選択情報に基づいて、以降の処理を、架台装置10側で行うか、或いはコンソール装置30側で行うか、決定する(ステップS105)。選択情報が架台装置10側で設定される第1の撮影条件を用いて被検体Pの撮影を実行する旨の情報である場合、すなわち架台装置10側で処理を行う旨の情報である場合、以降のS104A〜S126Aの処理は架台装置10側で行われる。また、選択情報がコンソール装置30側で設定される第2の撮影条件を用いて被検体Pの撮影を実行する旨の情報である場合、すなわちコンソール装置30側で処理を行う旨の情報である場合、以降のS104B〜S126Bの処理はコンソール装置30側で行われる。
以下、まず、選択情報が、架台装置10側で処理を行う旨の情報である場合、すなわちステップS104A〜S126Aの処理について説明する。
架台装置10側に設けられた架台装置側インターフェース50の処理回路40Aは、被検体Pに対する架台装置10側で設定される第1の撮影条件の入力を受け付ける第1設定機能42により、架台装置10側に設けられたエリア表示投光器60に対する操作を受け付ける。
例えば、処理回路40Aは、第1設定機能42により、所定の操作ボタンを通じてエリア表示投光器60に対する操作を受け付けてもよい。また、別の例として、処理回路40Aは、第1設定機能42により、キーボード、マウスなどの入力装置31A及び、ディスプレイ32A等を備えるユーザインターフェースを通じて、エリア表示投光器60に対する操作を受け付けてもよい。
図7には、第1の実施形態に係るX線CT装置における、エリア表示投光器60設定のための画面デザインの一例が示されている。図7に示されている画面は、例えば、ディスプレイ32Aやディスプレイ32B上に表示される画面である。
処理回路40Aは、例えば、図7に示されているように、第1設定機能42により、図示しない光学カメラで天井方向から被検体Pをリアルタイム撮影したデータを、ディスプレイ32Aに表示させる。光学カメラが取得したデータから、ユーザは、エリア表示投光器60が照射した光の範囲を、被検体Pの体表面に重ねて、例えば領域90のように読み取ることができる。
処理回路40Aは、図7に示されているユーザインターフェースを通じて、ユーザからエリア表示投光器60が照射する光の範囲の変更を受け付ける。例えば、現在エリア表示投光器60が照射する光の範囲は、列方向に「80cm」、チャンネル方向に「80cm」となっている。ユーザがボタン91をクリックすると、例えば、エリア表示投光器60が照射する光の範囲は、列方向に「90cm」、チャンネル方向に「80cm」となる。処理回路40Aは、例えば、このような変更を受け付ける。
また、ユーザがボタン93をクリックすると、処理回路40Aは、第1設定機能42により、処理回路40Aが制御機能36AによりX線照射制御回路11を制御する撮影条件を取得し、エリア表示投光器60が照射する光の範囲の暫定値として、画面に反映させる。例えば、処理回路40Aが制御機能36Aにより、X線照射制御回路11に対して、X線曝射範囲が、列方向に「80cm」、チャンネル方向に「80cm」となるようなX線照射角度等になるような制御信号を送信している場合を考える。この場合、処理回路40Aは、現在の撮影条件では、X線曝射範囲が、列方向に「80cm」、チャンネル方向に「80cm」となると判定し、第1設定機能42により、エリア表示投光器60が照射する光の範囲の暫定値を、列方向に「80cm」、チャンネル方向に「80cm」に設定する。
また、ユーザがボタン95をクリックすると、処理回路40Aは、第1設定機能42により、エリア表示投光器60が照射する光の範囲の暫定値を、予めプリセットされた初期値に初期化する。
また、ユーザがラジオボタン92A及び92Bを操作すると、処理回路40Aは、第1設定機能42により、現在設定されている管電流、管電圧、照射角度等の下でのX線曝射範囲に基づいてエリア表示投光器60が照射する光の範囲の暫定値を定めるか、現在設定されている管電流、管電圧、照射角度等の下での画像再構成可能範囲の大きさに基づいてエリア表示投光器60が照射する光の範囲の暫定値を定めるかを互いに切り替えることができる。
また、ユーザがボタン94をクリックすると、処理回路40Aは、第1設定機能42により、エリア表示投光器60が照射する光の範囲を、図7のユーザインターフェースにより現在設定されている暫定値で確定させる。この時、処理回路40Aは、第1設定機能42により、確定した照射する光の範囲の大きさの値をエリア表示投光器60に送信する。エリア表示投光器60は、処理回路40Aから取得した値を基に、光を照射する。このようにしてエリア表示投光器60が照射した光は、前述の光学カメラに捕捉され、ユーザは、エリア表示投光器60が照射した光の範囲を被検体Pの体表面に重ねて読み取ることができる。
このように、処理回路40Aは、第1設定機能42により、エリア表示投光器60に対する操作を受け付けて被検体Pに対する撮影範囲を調整する(ステップ104A)。
処理回路40Aは、第1設定機能42により、ユーザから、撮影範囲の調整が終了し撮影条件(撮影範囲の大きさ)を確定させる旨のボタンであるボタン96(エリア表示投光器60の設定反映ボタン)のクリック入力を受け付ける。ユーザがエリア表示投光器60の設定反映ボタンであるボタン96をクリックすると(ステップS106A)、処理回路40Aは、第1設定機能42により、調整された撮影範囲を、第1の撮影条件に含まれる撮影条件として設定し、「被検体Pの撮影範囲」の大きさを確定させる。
続いて、処理回路40Aは、第1設定機能42により、ユーザから、撮影範囲以外の他の撮影条件の設定が終了し、すべての撮影条件を確定させる旨のボタンである「Confirm」ボタン(図示しない)のクリック入力を受け付ける。ユーザが「Confirm」ボタンをクリックすると(ステップS110A)、処理回路40Aは、第1設定機能42により、すべての撮影条件を確定させる。
なお、第1の実施形態では、「被検体Pの撮影範囲」以外の撮影条件については、ステップS102において既に定められ確定している。
ユーザが「Confirm」ボタンを押すと、処理回路40Aは、スキャン制御機能33Aにより、架台装置10側で撮影が可能になったと判定する(ステップS120A)。なお、これらの処理と並行して、ユーザが「Confirm」ボタンを押し、ユーザから第1の撮影条件の入力を受け付けると、処理回路40Aは、制御機能36Aにより、入力を受け付けた第1の撮影条件を、コンソール装置30に送信し、コンソール装置30に情報を反映させる(ステップS110Aから伸びる点線矢印)。コンソール装置30は、ディスプレイ32Bに、受信した情報を表示する。このように、処理回路40Aは、架台装置側インターフェース50にて行った設定情報をすみやかにコンソール装置30に送信し反映させることで、例えば複数の医療スタッフで撮影を行う場合に、情報共有をスムーズに行うことができる。
架台装置10側の処理に戻り、ステップS120Aに続いて、処理回路40Aは、制御機能36Aにより、ステップS106Aでエリア表示投光器60設定反映ボタンが押されてから、ユーザがエリア表示投光器60を操作したか否かを検出する(ステップS121A)。ユーザの操作を検出しない場合(ステップS121A No)、特に問題はないので、処理は次のステップに進む。ユーザの操作を検出した場合(ステップS121A Yes)、ユーザが撮影範囲を変更しようとしている可能性が高いため、処理回路40Aは、選択機能39Aにより、被検体Pに対する撮影条件をリセットし被検体Pに対する撮影条件の再設定を行う。この場合、処理はステップS104Aに戻り、処理回路40Aは、エリア表示投光器60の設定をやり直す。具体的には、処理回路40Aは、第1設定機能42により、撮影範囲が調整された後の架台装置10側におけるユーザの操作により調整された撮影範囲を、第1の撮影条件に含まれる撮影条件として設定する。
ステップS121A Noの場合に戻る。この場合、撮影の準備が完了したので、処理回路40Aは、撮影待ち状態となり(ステップS122A)、入力装置31Aを通じて、撮影開始指示の入力を受け付ける。ユーザから、撮影開始をする旨の入力を受け付けた場合、処理回路40Aは、制御機能36Aにより、X線照射制御回路11に、所定の信号を送信し、選択情報に基づいて、架台装置10に撮影を実行させる。この結果、撮影が開始される(ステップS123A)。処理回路40Aは、一つの撮影が終わると、再び撮影待ち状態となり、入力装置31Aを通じて、撮影開始指示の入力を受け付ける(ステップS124A)。また、処理回路40Aは、制御機能36Aにより、ユーザがエリア表示投光器60を操作したか否かを検出する(ステップS125A)。ユーザの操作を検出しない場合(ステップS125A No)、特に問題はないので、処理は次のステップに進み、撮影待ち状態となる(ステップS126A)。ユーザの操作を検出した場合(ステップS125A Yes)、処理はステップS104Aに戻る。このように、ステップS121A〜S126Aで、処理回路40Aは、一つの被検体Pに対して、一つの撮影計画に含まれる複数の撮影を、すべての撮影が終了するまで行う。
次に、ステップS105に戻り、選択情報が、コンソール装置30側で処理を行う旨の情報である場合、すなわちステップS104B〜S126Bの処理について説明する。ステップS104A〜S126Aと同様な処理については、詳細な説明は省略する。
ステップS104Bにおいては、ステップS104Aと同様な処理が行われる。すなわち、架台装置10と通信を行うコンソール装置30に設けられた処理回路40Bは、被検体Pに対する第2の撮影条件の入力を受け付ける第2設定機能38により、コンソール装置30を通じてユーザからの操作を受け付ける。ステップS104Aと同様に、処理回路40Bは、第2設定機能38により、例えば図7で説明したのと同様のユーザインターフェースを用いて、エリア表示投光器60に対する操作を受け付けて被検体Pに対する撮影範囲を調整する。なお、第2設定機能38を実行する処理回路40Bは、エリア表示投光器60に対する操作を経由せず、画面上で撮影範囲を調整してもよい。
同様に、ユーザがエリア表示投光器60の設定反映ボタンをクリックすると、(ステップS106B)、処理回路40Bは、第2設定機能38により、調整された撮影範囲を、第2の撮影条件に含まれる撮影条件として設定し、「被検体Pの撮影範囲」の大きさを確定させる。
ユーザが「Confirm」ボタンをクリックすると(ステップS110B)、処理回路40Bは、第2設定機能38により、すべての撮影条件を確定させる。このようにユーザから第2の撮影条件の入力を受け付けると、処理回路40Bは、制御機能36Bにより、第2の撮影条件を、架台装置10に送信し、架台装置側インターフェース50に情報を反映させ(ステップS110Bから伸びる点線矢印)、この結果、架台装置10側は撮影可能状態となる(ステップS120B)。架台装置側インターフェース50は、ディスプレイ32Aに、受信した情報を表示する。このように、処理回路40Bは、コンソール装置30にて行った設定情報をすみやかに架台装置側インターフェース50に送信し反映させることで、例えば複数の医療スタッフで撮影を行う場合に、情報共有をスムーズに行うことができる。
コンソール装置30側の処理に戻ると、続いて、処理回路40Bは、制御機能36Bにより、ステップS106Bでエリア表示投光器設定反映ボタンが押されてから、ユーザがエリア表示投光器60を操作したか否かを検出する(ステップS121B)。ユーザの操作を検出しない場合(ステップS121B No)、特に問題はないので、処理は次のステップに進む。ユーザの操作を検出した場合(ステップS121B Yes)、ユーザが撮影範囲を変更しようとしている可能性が高いため、処理回路40Bは、選択機能39Bにより、被検体Pに対する撮影条件をリセットし被検体Pに対する撮影条件の再設定を行う。この場合、処理はステップS104Bに戻り、処理回路40Bは、エリア表示投光器60の設定をやり直す。すなわち、実施形態に係るX線CT装置は、プリセット条件に対応づけられる第1設定機能42又は第2設定機能38に係るフラグ情報(選択情報)を変更するための変更部(図示しない)を備える。
ステップS121B Noの場合に戻る。この場合、撮影の準備が完了したので、処理回路40Bは、撮影待ち状態となり(ステップS122B)、入力装置31Bを通じて、撮影開始指示の入力を受け付ける。ユーザから撮影開始をする旨の入力を受け付けた場合、処理回路40Bは、制御機能36Bにより、X線照射制御回路11に、所定の信号を送信し、選択情報に基づいて、架台装置10に撮影を実行させる。この結果、撮影が開始される(ステップS123B)。
処理回路40Bは、一つの撮影が終わると、再び撮影待ち状態となり、入力装置31Bを通じて、撮影開始指示の入力を受け付ける(ステップS124B)。また、処理回路40Bは、制御機能36Bにより、ユーザがエリア表示投光器60を操作したか否かを検出する(ステップS125B)。ユーザの操作を検出しない場合(ステップS125B No)、特に問題はないので、処理は次のステップに進み、撮影待ち状態となる(ステップS126B)。ユーザの操作を検出した場合(ステップS125B Yes)、処理はステップS104Bに戻る。このように、ステップS121B〜S126Bで、処理回路40Bは、一つの被検体Pに対して、一つの撮影計画に含まれる複数の撮影を、すべての撮影が終了するまで行う。
次に、ステップS127B以降の処理について説明する。ユーザが「QuitExam」ボタンを押すと、すなわち現在のエキスパートプラン(所定のプリセット条件)の処理をいったん終了して新しいエキスパートプラン(所定のプリセット条件)を選択する旨の入力があると(ステップS127B Yes)、処理はステップS102に戻り、処理回路40Bは、入力装置31Bを通じて、所定のプリセット条件の再選択を行う。ユーザが「QuitExam」ボタンを押さないと(ステップS127B No)、処理は次のステップに進み、撮影待ち状態となる(ステップS130)。
ユーザが「Next Patient」ボタンを押すと、すなわちユーザから、現在撮影中の患者の撮影がすべて終了し次の患者の検査を開始する旨の入力があると、(ステップS131 Yes)、処理はステップS101に戻り次の患者の登録が行われる。ステップS131 Noの場合は、処理はステップS130に戻り、撮影待ち状態となる。
以上のように、第1の実施形態に係るX線CT装置の行う処理の流れについて説明したが、実施形態はこれに限られない。
実施形態において、処理回路40A及び処理回路40Bが、独立した処理回路として、それぞれ架台装置10側、コンソール装置30側に設けられる場合について説明したが、実施形態はこれに限られない。一例として、処理回路40A及び処理回路40Bとが、一つの処理回路として構成されてもよい。かかる場合、処理回路は、投光器に対する操作を受け付けて被検体Pに対する撮影範囲を調整し、調整された撮影範囲を、第1の撮影条件に含まれる撮影条件として設定する処理回路40A(第1の処理回路)と、端末装置を通じて操作者からの操作を受け付けて被検体Pに対する撮影範囲を調整し、調整された撮影範囲を、第2の撮影条件に含まれる撮影条件として設定する処理回路40B(第2の処理回路)とを含む。
ステップS101及びステップS102の操作を、コンソール装置30側(端末装置側)で行う場合について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、ステップS101及びステップS102の操作は、架台装置10側で行われても良い。また、ステップS105の操作を、架台装置10側で行う場合について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、ステップS105の操作は、コンソール装置30側で行われても良い。
エリア表示投光器60の設定(ステップS104A)で、処理回路40Aが、図7のようなインターフェースを備える場合について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、キーボードやマウスからの入力が可能であることは必須の構成要件ではなく、例えば入力装置31Aとして、ボタンやスイッチを用いても良い。また、ディスプレイ32Aは必須の構成要件ではなく、例えば、LEDランプの点灯状態を用いて出力装置としてもよい。
実施形態では、撮影開始指示について、処理回路40A及び処理回路40Bが選択情報により選択された側からの指示しか受け付けない場合について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、被検体Pの撮影範囲の変更については、処理回路40A及び処理回路40Bは、選択情報により選択された側からの指示しか受け付けないが、撮影開始指示については、コンソール装置30側と架台装置10側のいずれからの指示をも受け付ける、といったケースも考えられる。
また、実施形態では、例えば、ステップS121B、ステップS125Bにおいて、エリア表示投光器60の操作が実施されるか否か、について、エリア表示投光器60の操作として、処理が行われている側での操作のみが判定対象になる場合について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、ステップS121Bにおいて、架台装置10側で、ユーザによるエリア表示投光器60の操作が行われた場合にも、処理回路40Bは、ステップS121B Yesと判定してもよい。また、プリセット条件に対応付けられる第1設定機能42又は第2設定機能38に係るフラグ情報を変更するタイミングは、ステップS121B及びステップS125B等に限られず、任意のタイミングであってもよい。
また、このようなケースにおいて、ステップS121A Yesの場合、又はステップS125A Yesの場合、処理はS104Aに戻り、ステップS121B Yesの場合、又はステップS125B Yesの場合、処理はS104Bに戻る場合(すなわち、処理回路40A、40Bがユーザによるエリア表示投光器60の操作を検出した場合、選択情報は固定したまま撮影範囲の再設定を行う場合)について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、以下の場合が考えられる。処理回路40Aは、制御機能36Aにより、ユーザがエリア表示投光器60を操作したか否かを検出する。処理回路40Aは、ユーザの操作を検出した場合、選択機能39Aにより、選択情報の入力を再度受け付ける。再度受け付けた選択情報に基づいて、処理回路40Aは、制御機能36Aにより、また処理回路40Bは、制御機能36Bにより、架台装置10に撮影を実行させる。すなわち、図6のフローチャートにおいて、ステップS121A Yesの場合、又はステップS125A Yesの場合、処理はステップS102に戻り、処理回路40Bは、ユーザからの選択情報の入力を受け付けてもよい。この場合、ステップS103の処理については、二度目以降は省略可能である。また、処理回路40Aについて説明したが、処理回路40Bについても同様である。
以上のように、第1の実施形態に係るX線CT装置は、架台装置10側とコンソール装置30側のどちらで設定を行うかを選択する情報である選択情報の入力をユーザから受け付け、受け付けた選択情報に基づいて被検体Pの撮影を行う。これにより、架台装置10側とコンソール装置30側とのうち、いずれの側からでも撮影条件の設定を行うことができるX線CT装置を提供することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態に係るX線CT装置は、架台装置10側と、コンソール装置30側のどちらで撮影条件を設定するかを選択する選択情報の入力をユーザから受け付け、受け付けた選択情報に基づいて被検体Pの撮影を行う。ところで、第1の実施形態では、選択情報は被検体Pの撮影範囲であった。第2の実施形態では被検体Pの撮影範囲以外の撮影条件についても、選択情報を用いて設定を行う。
第2の実施形態では、架台装置側インターフェース50の有する処理回路40Aは、第1設定機能42により、管電流、管電圧、回転フレーム15の回転速度、スライス厚、列数の少なくとも一つを、架台装置10側で設定される撮影条件である第1の撮影条件に含まれる撮影条件として更に設定する。また、コンソール装置30は、第2設定機能38により、管電流、管電圧、回転フレーム15の回転速度、スライス厚、列数の少なくとも一つをコンソール装置30側で設定される撮影条件である第2の撮影条件に含まれる撮影条件として更に設定する。これにより、さらにユーザの利便性を向上することができる。
かかる点について、図8を用いて説明する。図8は、第2の実施形態に係るX線CT装置の行う処理の流れについて説明したフローチャートである。なお、図8において、ステップS102X、ステップS107A及びステップS107B以外の処理については、図6と同様の処理であるから、詳しい説明は省略する。
図8のフローチャートにおいて、はじめに、処理回路40Bは、第1の実施形態と同様に、入力装置31Bを通じて、患者登録を行う(ステップS101)。続いて、処理回路40Bは、制御機能36Bにより、被検体Pの撮影に関するエキスパートプランの選択の入力をユーザから受け付ける。また、処理回路40Bは、ディスプレイ32Bを通じてユーザにプリセット条件の候補を複数提示するとともに、選択機能39Bにより、コンソール装置30側に設けられた入力装置31Bを通じて、選択情報(フラグ情報)の入力を受け付ける(ステップS102X)。
第1の実施形態とは異なり、第2の実施形態では、ステップS102Xにおいては、処理回路40Bは、選択機能39Bにより、入力装置31Bを通じてユーザから選択情報の入力を受け付けた後は、それ以上更なる撮影条件の入力を受け付けない。代わりに、後述のステップS107A及びステップS107Bにおいて、選択情報により撮影条件の設定を受け付ける場所が、コンソール装置30側であるか架台装置10側であるかが決定したのち、それぞれの場所で更なる撮影条件の入力を受け付ける。
架台装置10は、被検体Pの寝台装置20へのセッティングを行う(ステップS103)。ステップS103の処理が完了すると、第1の実施形態と同様に、選択機能39Aを有する処理回路40Aは、選択機能39Bを有する処理回路40BがステップS102Xにおいて入力を受け付けた選択情報に基づいて、以降の処理を、架台装置10側で行うか、或いはコンソール装置30側で行うか、決定する。即ち、処理回路40Aは、撮影条件の設定を受け付ける場所が、架台装置10側であるか、コンソール装置30側であるかを決定する(ステップS105)。
以下、まず、選択情報が、架台装置10側で処理を行う旨の情報である場合、すなわちステップS104A〜S126Aの処理について説明する。
第1の実施形態と同様に、エリア表示投光器60の設定が行われる(ステップS104A)。換言すると、処理回路40Aは、第1設定機能42により、エリア表示投光器60に対する操作を受け付けて被検体Pに対する撮影範囲を調整する。処理回路40Aは、第1設定機能42により、ユーザから、エリア表示投光器60の設定反映ボタンの入力を受け付ける。ユーザがエリア表示投光器60の設定反映ボタンを押すと(ステップS106A)、処理回路40Aは、第1設定機能42により、調整された撮影範囲を、第1の撮影条件に含まれる撮影条件として設定し、「被検体Pの撮影範囲」の大きさを確定させる。
続いて、処理回路40Aは、第1設定機能42により、「被検体Pの撮影範囲」以外の撮影条件を、架台装置10側で設定される撮影条件である第1の撮影条件に含まれる撮影条件として設定する(ステップS107A)。具体的には、処理回路40Aは、第1設定機能42により、管電流、管電圧、回転フレーム15の回転速度、スライス厚、列数の少なくとも一つを、架台装置10側で設定される撮影条件である第1の撮影条件に含まれる撮影条件として更に設定する。
続いて、処理回路40Aは、第1設定機能42により、ユーザから、撮影範囲以外の他の撮影条件の設定が終了し、すべての撮影条件を確定させる旨のボタンである「Confirm」ボタン(図示しない)のクリック入力を受け付ける。ユーザが「Confirm」ボタンをクリックすると(ステップS110A)、処理回路40Aは、第1設定機能42により、ステップS106Aで設定した撮影条件である「被検体Pの撮影範囲」及び、ステップS107Aで設定したその他の撮影条件の両方の撮影条件を確定させる。
以下、ステップS110A〜S126Aにおいて、第2の実施形態に係るX線CT装置は、第1の実施形態に係るX線CT装置と同様の処理を行う。
次に、ステップS105に戻り、選択情報が、コンソール装置30側で処理を行う旨の情報である場合、すなわちステップS104B〜S126Bの処理について説明する。
第1の実施形態と同様に、架台装置10と通信を行うコンソール装置30に設けられた処理回路40Bは、被検体Pに対する第2の撮影条件の入力を受け付ける第2設定機能38により、コンソール装置30を通じてユーザからの操作を受け付ける(ステップS104B)。
続いて、処理回路40Bは、第2設定機能38により、「被検体Pの撮影範囲」以外の撮影条件を、コンソール装置30側で設定される撮影条件である第2の撮影条件に含まれる撮影条件として設定する(ステップS107B)。具体的には、処理回路40Bは、第2設定機能38により、管電流、管電圧、回転フレーム15の回転速度、スライス厚、列数等の少なくとも一つを、コンソール装置30側で設定される撮影条件である第2の撮影条件に含まれる撮影条件として更に設定する。
以下、ステップS110B〜S131において、第2の実施形態に係るX線CT装置は、第1の実施形態に係るX線CT装置と同様の処理を行う。
以上のように、第2の実施形態に係るX線CT装置の行う処理の流れについて説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、第1の実施形態で述べた様々な変形例が、第2の実施形態にも適用可能である。
また、ステップS102Xにおいて、制御機能36Bを有する処理回路40Bが、被検体Pの撮影に関するエキスパートプランの選択の入力をユーザから受け付ける例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、ステップS102Xではなく、ステップS
107Bにおいて、処理回路40Bは、制御機能36Bにより、エキスパートプランの選択の入力をユーザから受け付けてもよい。また、ステップS102Xで処理回路40Bが制御機能36Bによりエキスパートプランの選択の入力をユーザから受け付けるのではなく、ステップS107Aで処理回路40Aが、制御機能36Aによりエキスパートプランの選択の入力をユーザから受け付けてもよい。
以上のように、第2の実施形態に係るX線CT装置は、被検体Pの撮影範囲以外の様々な撮影条件についても、架台装置10側とコンソール装置30側のうち、選択情報により選択された側で設定を行う。これにより、架台装置10で設定することのできる撮影条件の幅が広くなり、ユーザの利便性が向上する。
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、図6のステップS102において、制御機能36Bを有する処理回路40Bは、被検体Pの撮影に関するエキスパートプラン(撮影計画のプリセット条件)の選択の入力を受け付けた。換言すると、ユーザが提示されるエキスパートプランは、撮影対象によらず予めプリセットされた条件であった。
これに対して、第3の実施形態では、ユーザは、予めプリセットされた条件を提示されて撮影条件を設定するのではなく、エリア表示投光器60を使用してユーザが撮影範囲の調整を行ったあとに、撮影範囲の調整の結果を基にして、プリセットされた撮影条件を提示されることができる。これにより、撮影対象に対してより適切な条件を、X線CT装置から提示されることが可能になる。
具体的には、第3の実施形態では、第1設定機能42を有する処理回路40Aは、エリア表示投光器60に対する操作を受け付けることにより撮影範囲を調整した後に、撮影計画のプリセット条件を複数の候補から選択することで、架台装置10側で設定される撮影条件である第1の撮影条件を設定する。また、第2設定機能38を有する処理回路40Bは、コンソール装置30(端末装置)を通じてユーザからの操作を受け付けることにより撮影範囲を調整した後に、撮影計画のプリセット条件を複数の候補から選択することで、コンソール装置30側で設定される撮影条件である第2の撮影条件を設定する。換言すると、処理回路40Aは、第1設定機能42により、エリア表示投光器60に対する操作を受け付けることにより撮影範囲を調整した後に、調整後の撮影範囲に基づいて撮影範囲の複数のプリセット条件から一部のプリセット条件を選択し操作者に提示する。又は、処理回路40Bは、第2設定機能38により、コンソール装置30(端末装置)を通じてユーザからの操作を受け付けることにより撮影範囲を調整した後に、撮影範囲に基づいて撮影計画の複数のプリセット条件から一部のプリセット条件を選択し操作者に提示する。提示された情報に基づいて、操作者は撮影条件の設定を行う。
かかる点について、図9を用いて説明する。図9は、第3の実施形態に係るX線CT装置の行う処理の流れについて説明したフローチャートである。なお、図9において、ステップS102Y、ステップS150、ステップS151A及びステップS151B以外の処理については、図8と同様の処理であるから、詳しい説明は省略する。
図9のフローチャートにおいて、はじめに、処理回路40Bは、今までの実施形態と同様に、入力装置31Bを通じて、患者登録を行う(ステップS101)。また、処理回路40Bは、ディスプレイ32Bを通じてユーザにプリセット条件の候補を複数提示するとともに、選択機能39Bにより、端末装置側に設けられた入力装置31Bを通じて、選択情報の入力を受け付ける(ステップS102Y)。
第1の実施形態及び第2の実施形態とは異なり、第3の実施形態では、ステップS102Yにおいては、処理回路40Bは、制御機能36Bにより、被検体Pの撮影に関するエキスパートプランの選択の入力を受け付けない。代わりに、後述のステップS151A及びステップS151Bにおいて、選択情報(フラグ情報)により撮影条件の設定を受け付ける場所が、コンソール装置30側であるか架台装置10側であるか決定したのち、決定した場所でエキスパートプランの選択の入力を受け付ける。
架台装置10は、被検体Pの寝台装置20へのセッティングを行う(ステップS103)。続いて、エリア表示投光器60を使用して、撮影範囲の設定が行われる(ステップS150)。換言すると、処理回路40Aは、第1設定機能42により、エリア表示投光器60に対する操作を受け付けることにより撮影範囲を調整する。また、図示していないが、処理回路40Bは、第2設定機能38により、コンソール装置30側(端末装置)を通じてユーザからの操作を受け付けることにより撮影範囲を調整してもよい。すなわち、ステップS150の処理は、第1の実施形態及び第2の実施形態におけるステップS104A及びステップS104Bと同様の処理である。
その後、ステップS150の処理が完了すると、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、選択機能39Aを有する処理回路40Aは、又は選択機能39Bを有する処理回路40Bは、ステップS102Yにおいて入力を受け付けた選択情報に基づいて、以降の処理を、架台装置10側で行うか、或いはコンソール装置30側で行うか、決定する(ステップS105)。
以下、まず、選択情報が、架台装置10側で処理を行う旨の情報である場合、すなわちステップS151A〜S126Aの処理について説明する。
処理回路40Aは、制御機能36Aにより、被検体Pの撮影に関するエキスパートプランの選択の入力をユーザから受け付ける(ステップS151A)。具体的には、処理回路40Aは、第1設定機能42により、撮影計画のプリセット条件を複数の候補から選択する。その後、処理回路40Aは、第1設定機能42により、ユーザから、エリア表示投光器60の設定反映ボタンの入力を受け付ける。ユーザがエリア表示投光器60の設定反映ボタンを押すと(ステップS106A)、処理回路40Aは、第1設定機能42により、調整された撮影範囲を、第1の撮影条件に含まれる撮影条件として設定し、「被検体Pの撮影範囲」の大きさを確定させる。これにより、処理回路40Aは、第1設定機能42により、架台装置10側で設定される撮影条件である第1の撮影条件を設定する(ステップS107A)。
ステップS110A〜ステップS126Aの処理は、第2の実施形態で説明したのと同様な処理であるので省略する。
次に、ステップS105に戻り、選択情報が、コンソール装置30側で処理を行う旨の情報である場合、すなわちステップS151B〜S126Bの処理について説明する。
処理回路40Bは、制御機能36Bにより被検体Pの撮影に関するエキスパートプランの選択をユーザから受け付ける(ステップS151B)。具体的には、処理回路40Bは、第2設定機能38により、撮影計画のプリセット条件を複数の候補から選択する。処理回路40Bは、第2設定機能38により、ユーザから、エリア表示投光器69の設定反映ボタンの入力を受け付ける。ユーザがエリア表示投光器60の設定反映ボタンを押すと(ステップS106B)、処理回路40Bは、第2設定機能38により、調整された撮影範囲を、第2の撮影範囲に含まれる撮影条件として設定し、「被検体Pの撮影範囲」の大きさを確定させる。これにより、処理回路40Bは、第2設定機能38により、コンソール装置30側で設定される撮影条件である第2の撮影条件を設定する(ステップS107B)。
ステップS110B〜ステップS131の処理は第2の実施形態で説明したのと同様な処理であるので省略する。
以上のように、第3の実施形態に係るX線CT装置の行う処理の流れについて説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、第1の実施形態で述べた様々な変形例が、第3の実施形態にも適用可能である。
以上のように、第3の実施形態に係るX線CT装置は、ユーザによるエリア表示投光器60を使用した撮影範囲の調整に基づいて、プリセット条件をユーザに選択させる。これにより、ユーザに対して、より適切なプリセット条件を、撮影条件として提示することができ、ユーザの利便性を向上することができる。
(プログラム)
上述した実施形態の中で示した処理手順に示された指示は、ソフトウェアであるプログラムに基づいて実行されることが可能である。汎用の計算機システムが、このプログラムを予め記憶しておき、このプログラムを読み込むことにより、上述した実施形態のX線CT装置による効果と同様な効果を得ることも可能である。上述した実施形態で記述された指示は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD±R、DVD±RW等)、半導体メモリ、又はこれに類する記録媒体に記録される。コンピュータ又は組み込みシステムが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。コンピュータは、この記録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させれば、上述した実施形態のX線CT装置と同様な動作を実現することができる。もちろん、コンピュータがプログラムを取得する場合又は読み込む場合はネットワークを通じて取得又は読み込んでもよい。
また、記憶媒体からコンピュータや組み込みシステムにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワーク等のMW(ミドルウェア)等が、上述した実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
更に、記憶媒体は、コンピュータあるいは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LAN(Local Area Network)やインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
また、記憶媒体は1つに限られず、複数の媒体から、上述した実施形態における処理が実行される場合も、実施形態における記憶媒体に含まれ、媒体の構成は何れの構成であってもよい。
なお、実施形態におけるコンピュータ又は組み込みシステムは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、上述した実施形態における各処理を実行するためのものであって、パソコン、マイコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。
また、実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
以上述べた少なくとも一つの実施形態によれば、架台装置10側とコンソール装置30(端末装置)側とのうち、いずれの側からでもユーザが意図する撮影条件の設定を行うことができるX線CT装置を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。