JP7052894B2 - 判定装置及びプログラム - Google Patents
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Description
[基本原理]
まず、本実施形態による判定方法の基本原理について説明する。本実施形態の判定装置は、例えば身分証明書などの判定対象となる物(以下、「対象物」と呼ぶ。)の印刷箇所が面積諧調方式によるものであるか否かを判定し、身分証明書などの真贋判定を行う。本物の身分証明書は昇華転写方式により印刷される。これに対し、偽物の身分証明書は、本物の身分証明書をカラースキャナにより撮像して得られた撮像データを用いて、いわゆる面積諧調方式の印刷により製造されることが多い。そこで、本実施形態の判定装置は、身分証明書などの対象物の印刷面が面積諧調方式の印刷によるものであるか否かを判定し、印刷面が面積諧調方式により形成されている場合に、その対象物を偽物と判定する。なお、面積諧調方式の印刷には、例えばドットマトリクス方式の印刷、レーザプリンタ又はインクジェットプリンタによる印刷などが含まれる。
図2は、本実施形態に係る判定装置の構成を示すブロック図である。判定装置100は、処理部1と、スキャナ2と、記憶部3と、操作部4と、表示部5と、インタフェース(I/F)6とを備える。判定装置100は、対象物の一例である身分証明書Cの印刷面の画像を読み取って面積諧調方式による印刷が施されているか否かを判定し、その結果に基づいて身分証明書が本物であるか偽物であるかの判定(真贋判定)を行う。
次に、平坦度判定部12により行われる色差平坦度判定について詳しく説明する。色差平坦度判定は、以下のいずれかの方法により行うことができる。
(1)平均値差分による色差平坦度判定
1つの方法では、平坦度判定部12は、色差成分U、Vの画像におけるm×n画素の領域(以下、「判定画素ブロック」とも呼ぶ。)について、各画素の画素値と判定画素ブロックにおける全画素の画素値の平均値との差分値を色差平坦度判定値とする。具体的に、色差平坦度判定値としては、平均偏差、分散、標準偏差などを使用することができる。この場合、色差平坦度が高いほど色差平坦度判定値は小さくなる。
別の方法では、m×n画素の判定画素ブロックに対して、DCT(離散コサイン変換)、アダマール変換などの周波数分解を行い、DC値以外の値から色差平坦度判定値を求める。例えば判定画素ブロックを4×4画素の領域とし、アダマール変換を使用する場合、図3(A)に示す変換式を使用すると、図3(B)に示すような変換結果が得られる。図3(B)に示す行列において、(1,1)の位置にはDC成分(4×4画素の平均値の4倍の値)が示され、それ以外の位置には各周波数成分の係数が示される。平坦度判定部12は、DC成分以外の係数の2乗平均を色差平坦度判定値とする。身分証明書Cの判定画素ブロックにおける色のばらつきが大きい場合には、DC成分以外の各係数の値が大きくなるため、それらの2乗平均の値は大きくなり、色差平坦度判定値は大きくなる。一方、身分証明書Cの判定画素ブロックにおける色のばらつきが小さい場合には、DC成分以外の各係数の値が小さくなるため、それらの2乗平均の値は小さくなり、色差平坦度判定値は小さくなる。よって、色差平坦度が高いほど色差平坦度判定値は小さくなる。
次に、対象物において撮像データを生成する範囲である判定領域について説明する。上記の説明では、判定領域は基本的に単一色であることを前提としているが、単一色でない領域を判定領域とすることもできる。例えば、図4(A)に示すように、身分証明書Cの一例である運転免許証において、破線で示す領域ARを判定領域とし、スキャナ2でこの判定領域の撮像データを生成する。処理部1は、上記の平均値差分又は周波数解析を利用して判定画素ブロック又はそれより大きい所定の画素ブロック毎に色差平坦度判定値を求め、得られた複数の色差平坦度判定値から代表値を決定し、この代表値を用いて真贋判定を行う。
身分証明書の一例である運転免許証では、有効期限の部分が緑、青又は金の単一色となっているが、その部分には有効期限を示す文字列が印刷されている。文字列の部分は、スキャナなどのセンサの構造上、読取時に色ノイズが発生しやすい。このため、文字の部分をマスクして、背景色の部分について色差平坦度判定を行うのが好ましい。
真贋判定部13は、色差平坦度判定値又は代表値に基づいて、対象物が本物であるか偽物であるかの真贋判定を行う。真贋判定の方法として、最も単純な方法は、得られた色差平坦度判定値又は代表値を予め決められた閾値と比較し、閾値より小さい場合にその対象物を本物と判定する。
文献「MT法におけるしきい値設定法の提案と比較,安部将成,松田眞一」(「http://www.seto.nanzan-u.ac.jp/msie/nas/academia/vol_013pdf/13-023-033.pdf」等)
などが挙げられる。
次に、判定装置100による判定処理の全体の流れを説明する。図7は、判定処理のフローチャートである。この処理は、主として判定装置100の処理部1が予め用意されたプログラムを実行することにより実施される。
(変形例1)
上記の判定処理では、判定領域としてカラー印刷された領域を使用する。本実施形態では、インクなどの着色領域を利用して判定を行うため、インクなどが塗布されていない非着色領域、即ち、白地(基材面)については判定を行わない。具体的に、判定領域を写真の部分とする場合において、写真の背景が白である場合には、所定の閾値を用いて白領域を検出し、その領域については判定を行わない。また、黒色の濃い部分についても、色差の違いが出にくいため、判定の対象としないことが好ましい。具体的には、黒領域についても閾値を設け、ある程度以上に暗い領域については、判定を行わない。これにより、判定精度の低下を防止することができる。
上記の実施形態では、撮像データを明るさ成分と色成分に分離する例として、撮像データのRGBデータをYUV変換して輝度成分Yと色差成分U、Vを生成しているが、本発明の適用はこれには限られない。例えばRGBデータを輝度成分Yと色差成分Cb、Crに変換しても良い。また、上記の実施形態では、撮像データの色成分として色差を使用しているが、他の色成分を示すパラメータを使用してもよい。即ち、撮像データから、色成分を示すパラメータとして、色差以外のパラメータを抽出し、それに基づいて色成分の平坦度を求めても良い。なお、本発明における「色平坦度」は、色差平坦度のみならず、上記のような色差以外の色成分を示すパラメータに基づいて算出された平坦度をも含む概念である。
上記の実施形態では、スキャナ2が身分証明書Cに記憶されている種別データを読み取って判定領域を特定し、その判定領域において身分証明書Cを読み取って撮像データを生成している。その代わりに、スキャナ2は身分証明書Cの全面を撮像して全面の撮像データを作成し、処理部1が全面の撮像データの画像認識により身分証明書Cの種類と判定領域とを特定して必要な部分のみを撮像データとして切り出してもよい。この方法では、身分証明書Cから種別データを読み取る必要が無くなるため、スキャナ2に付属するリーダなどが不要となり、システムの低コスト化が可能となる。
上記の実施形態では、単一色でない判定領域を使用する場合に限り、複数の判定画素ブロックの色差平坦度判定値から代表値を決定し、代表値を用いて真贋判定を行うこととしているが、単一色の判定領域を使用する場合においても、複数の判定画素ブロックの色差平坦度判定値から代表値を決定し、代表値を用いて真贋判定を行うこととしてもよい。これにより、身分証明書Cの券面の傷、汚れなどの影響を軽減し、より正確な判定が可能となる。
2 スキャナ
3 記憶部
4 操作部
5 表示部
11 変換部
12 平坦度判定部
13 真贋判定部
100 判定装置
Claims (10)
- 対象物の一部の撮影画像の撮像データを取得する取得手段と、
前記撮像データを明るさ成分と色成分とに分け、前記色成分を生成する色成分生成手段と、
前記色成分に基づいて、前記撮影画像の色平坦度を判定する色平坦度算出手段と、
決定された色平坦度に基づいて、前記対象物の一部に面積諧調方式の印刷が施されているか否かを判定する印刷判定手段と、
前記撮像データに含まれる文字領域における文字の部分に対してマスク処理を行うマスク処理手段と、を備え、
前記色成分生成手段は、前記マスク処理によりマスクされた領域以外の領域について前記色成分を生成することを特徴とする判定装置。 - 前記色平坦度算出手段は、前記撮影画像を構成する複数の画素領域における色成分の平均偏差、分散及び標準偏差のいずれかに基づいて前記色平坦度を算出することを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
- 前記色平坦度算出手段は、前記撮影画像を構成する複数の画素領域における色成分の周波数解析を行い、DC成分以外の周波数成分の大きさに基づいて前記色平坦度を算出することを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
- 前記色平坦度算出手段は、前記撮影画像を構成する複数の画素領域毎に前記色平坦度を算出し、得られた複数の色平坦度の代表値を決定し、
前記印刷判定手段は、前記代表値に基づいて、前記対象物の一部に面積諧調方式の印刷が施されているか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の判定装置。 - 前記色平坦度算出手段は、前記複数の色平坦度の平均値、前記複数の色平坦度のヒストグラムにおけるピーク値、及び、前記複数の色平坦度の平均値を基準とした標準偏差の範囲内における色平坦度の平均値のうちのいずれかを前記代表値とすることを特徴とする請求項4に記載の判定装置。
- 前記マスク処理手段は、前記撮影画像に含まれる複数の画素のうち、明るさ成分が第1所定値以上である画素及び第2所定値以下である画素を検出し、当該画素及び当該画素の周辺画素の領域を前記文字領域としてマスクすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の判定装置。
- 前記撮像データはRGBデータであり、
前記色成分生成手段は、前記RGBデータから色差成分を生成して前記色成分とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の判定装置。 - 前記対象物の一部に面積諧調方式の印刷が施されている場合に、当該対象物を偽物であると判定する真贋判定手段を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の判定装置。
- 前記マスク処理手段は、前記文字領域における文字を構成する線分部分に対してマスク処理を行うことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の判定装置。
- コンピュータを備える判定装置により実行されるプログラムであって、
対象物の一部の撮影画像の撮像データを取得する取得手段、
前記撮像データを明るさ成分と色成分とに分け、前記撮影画像の色成分を生成する色成分生成手段、
前記色成分に基づいて、前記撮影画像の色平坦度を判定する色平坦度算出手段、
決定された色平坦度に基づいて、前記対象物の一部に面積諧調方式の印刷が施されているか否かを判定する印刷判定手段、
前記撮像データに含まれる文字領域における文字の部分に対してマスク処理を行うマスク処理手段、
として前記コンピュータを機能させ、
前記色成分生成手段は、前記マスク処理によりマスクされた領域以外の領域について前記色成分を生成することを特徴とするプログラム。
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