JP7052456B2 - 差厚板材の製造方法、タンデム圧延機、及び圧延設備 - Google Patents

差厚板材の製造方法、タンデム圧延機、及び圧延設備 Download PDF

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Description

本発明は、板幅方向に板厚分布を有する差厚板材を製造するための、差厚板材の製造方法、タンデム圧延機、及び圧延設備に関する。
近年、自動車においては、燃費の向上のために、軽量化が推進されている。軽量化のための1つの方法として、面内において板厚分布を有する鋼板(差厚鋼板)を用いる方法が検討されている。差厚鋼板を用いて、部品の強度が必要な部位についてのみ板厚を厚くすることにより、剛性や衝突時の安全性等を確保しつつ、当該部品の軽量化を図ることが可能となる。
差厚鋼板を製造する方法としては、圧延による方法、又は複数枚の板材を重ね合わせて接合する方法等が考えられている。しかしながら、複数枚の板材を接合する方法では、これら複数枚の板材をそれぞれ作製する工程、及びそれらを貼り合わせる工程等、数多くの工程が必要となるため、生産性を増加させることが難しく、製造コストが増加する恐れがある。また、当該方法によって製造された板材では、多大な荷重が負荷された際に、板材が剥離してしまい、高い強度を得られない場合が生じ得る。そこで、信頼性向上、及び生産性向上等の観点から、差厚鋼板を製造する方法としては、圧延により一体的な部材として当該差厚鋼板を製造する方法が注目されている。
圧延により差厚鋼板を製造する方法としては、様々な方法が提案されている。例えば、特許文献1には、圧下量を変更しながら圧延を行うことにより、長手方向に差厚を有する差厚鋼板を製造する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ワークロールの圧下位置を短い時間間隔で頻繁に変更することは難しいため、板厚の薄い部分(薄肉部)と板厚の厚い部分(厚肉部)の長手方向の長さを所定の長さ以上短くすることが困難である。また、圧下位置を変更している間にも鋼板は長手方向に送られるため、薄肉部と厚肉部との境界では、階段状に急峻に板厚が変化するのではなく、当該境界には、板厚が徐々に変化する所定の長さを有する領域が形成されることとなる。このように、特許文献1に記載の方法では、薄肉部と厚肉部を短いピッチで形成することが困難である。部品によっては、薄肉部と厚肉部が短ピッチで設けられた差厚鋼板が求められることもあるため、特許文献1に記載の技術では、多様な部品に対応することができない恐れがある。
そこで、圧延によって差厚鋼板を製造する他の方法として、特許文献2、3に記載の方法が提案されている。具体的には、特許文献2、3には、熱間タンデム圧延機の最終スタンドにおいて、胴長方向に径差を有するワークロール(孔型ワークロール)を用いて圧延を行うことにより、板幅方向に差厚を有する差厚鋼板を製造する方法が開示されている。なお、板幅方向に差厚を有する差厚鋼板は、縦縞鋼板とも呼ばれる。また、孔型ワークロールを用いた圧延は、孔型圧延とも呼ばれる。
特開平3-281010号公報 特許第5076707号公報 特開2014-180676号公報
「板圧延の理論と実際(改訂版)」、日本鉄鋼協会、平成22年、p.96」 「鉄鋼便覧(第2巻)圧延・二次加工」、第5版、日本鉄鋼協会、2014年8月、p.32 芝原ほか、「熱間張力圧延時における板幅変化挙動」、塑性加工学会講演論文集、1984年、第35回、p.277
ここで、本発明者らが、特許文献2、3に記載の方法と同様に孔型圧延を行い、その製造された差厚鋼板について詳細に検討を行った結果、差厚鋼板の形状によっては、薄肉部に波打ちが生じ得ることが判明した。しかしながら、特許文献2、3では、このような薄肉部における平坦度不良については言及されていない。つまり、特許文献2、3に記載の方法では、差厚鋼板の形状によっては、高品質な差厚鋼板を製造することが困難となる恐れがあった。ここでは、一例として、鋼板について説明したが、他の金属材料からなる板材についても、板幅方向に板厚分布を有する差厚板材を孔型圧延によって製造する場合には、同様の問題が生じ得る。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、平坦度不良が低減されたより高品質な差厚板材を製造することが可能な、新規かつ改良された差厚板材の製造方法、タンデム圧延機、及び圧延設備を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、金属材料からなる板材に対して胴長方向に径差を有する孔型ワークロールを用いた孔型圧延を行い、前記板材に板幅方向に板厚分布を付与する工程と、前記板材に板幅方向に板厚分布を付与する工程の後に行われ、前記板材の厚肉部に伸びひずみを付与する工程と、を含み、前記孔型圧延実行後の前記板材の薄肉部の厚みをt1、前記孔型圧延実行後の前記板材の薄肉部の板幅方向の幅をW1とした場合に、前記薄肉部の厚みt1、及び前記薄肉部の板幅方向の幅W1が、W1/t1≧15を満たし、前記厚肉部に伸びひずみを付与する工程は、前記孔型圧延実行後の板材に対して軽圧下圧延または張力付与を行うことにより実行され、前記軽圧下圧延を行う場合には、前記孔型圧延実行前に、前記孔型圧延の圧延条件に基づいて、前記孔型圧延実行後の薄肉部の急峻度を予測し、予測した前記薄肉部の急峻度に基づいて、前記薄肉部の平坦度不良を矯正可能な軽圧下圧延の圧下率を算出し、算出した前記圧下率で、前記孔型圧延実行後の板材の厚肉部に対して軽圧下圧延を実行し、前記張力付与を行う場合には、前記孔型圧延実行前に、前記孔型圧延の圧延条件に基づいて、前記孔型圧延実行後の薄肉部の急峻度を予測し、予測された前記薄肉部の急峻度に基づいて、前記薄肉部の平坦度不良の解消に必要な伸びひずみ量を算出し、算出した前記伸びひずみ量と、タンデム圧延機の出側温度と、張力を付与可能な時間とに基づいて、前記薄肉部の平坦度不良の解消に必要な張力を算出し、前記薄肉部の平坦度不良の解消に必要な張力から、前記薄肉部の幅に基づき予測される残留応力を除いて、付与張力を算出し、算出した前記付与張力を、前記孔型圧延実行後の板材に付与する、差厚板材の製造方法が提供される。
また、当該差厚板材の製造方法においては、前記厚肉部に伸びひずみを付与する工程において、前記軽圧下圧延を行う場合、前記孔型圧延では、最終的な所望の前記厚肉部の厚みに対して、前記軽圧下圧延での前記厚肉部の減厚分を足し合わせた厚みを、前記孔型圧延実行後の前記厚肉部が有するように、圧延条件が設定されてもよい。
また、当該差厚板材の製造方法においては、前記厚肉部に伸びひずみを付与する工程において、前記軽圧下圧延を行う場合、前記軽圧下圧延では、ロールプロフィルが1次、2次、3次、若しくは4次の関数、又はこれらに相当する低次の関数によって近似されるワークロールを用いて、圧延が行われてもよい。
また、当該差厚板材の製造方法においては、前記厚肉部に伸びひずみを付与する工程において、前記軽圧下圧延を行う場合、前記タンデム圧延機の最終スタンド以外のいずれかのスタンドで前記孔型圧延を行い、前記タンデム圧延機の前記孔型圧延を行うスタンドよりも下流のいずれかのスタンドで前記軽圧下圧延を行ってもよい。
また、当該差厚板材の製造方法においては、前記厚肉部に伸びひずみを付与する工程は、前記孔型圧延とは異なる製造ラインで実行されてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数のスタンドと、前記スタンドの圧延条件を演算する情報処理装置と、を備え、最終スタンド以外のいずれかのスタンドのワークロールが、金属材料からなる板材に対して板幅方向に板厚分布を付与する孔型圧延を行うための、胴長方向に径差を有する孔型ワークロールであり、前記孔型ワークロールが設けられるスタンドよりも下流のいずれかのスタンドのワークロールが、板厚分布が付与された前記板材の厚肉部を軽圧下圧延するための、ロールプロフィルが1次、2次、3次、若しくは4次の関数、又はこれらに相当する低次の関数によって近似されるワークロールであり、前記孔型圧延実行後の前記板材の薄肉部の厚みをt1、前記孔型圧延実行後の前記板材の薄肉部の板幅方向の幅をW1とした場合に、前記薄肉部の厚みt1、及び前記薄肉部の板幅方向の幅W1が、W1/t1≧15を満たすように、前記孔型ワークロールが構成され、前記情報処理装置は、前記孔型ワークロールを有するスタンドによる前記孔型圧延実行前に、前記孔型圧延の圧延条件に基づいて、前記孔型圧延実行後の薄肉部の急峻度を予測し、予測した前記薄肉部の急峻度に基づいて、前記軽圧下圧延を実施するスタンドにおける、前記薄肉部の平坦度不良を矯正可能な軽圧下圧延の圧下率を算出する、タンデム圧延機が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、熱間圧延によって仕上圧延を行うタンデム圧延機と、前記タンデム圧延機の圧延方向下流側に配置され、金属材料からなる板材を冷却する冷却装置と、前記タンデム圧延機と前記冷却装置との間に配置される一対のピンチロールと、前記タンデム圧延機の圧延条件を演算する情報処理装置と、を備え、前記タンデム圧延機の最終スタンドのワークロールが、前記板材に対して板幅方向に板厚分布を付与する孔型圧延を行うための、胴長方向に径差を有する孔型ワークロールであり、前記孔型圧延実行後の前記板材の薄肉部の厚みをt1、前記孔型圧延実行後の前記板材の薄肉部の板幅方向の幅をW1とした場合に、前記薄肉部の厚みt1、及び前記薄肉部の板幅方向の幅W1が、W1/t1≧15を満たし、前記情報処理装置は、前記最終スタンドによる前記孔型圧延実行前に、前記孔型圧延の圧延条件に基づいて、前記孔型圧延実行後の薄肉部の急峻度を予測し、予測された前記薄肉部の急峻度に基づいて、前記薄肉部の平坦度不良の解消に必要な伸びひずみ量を算出し、算出した前記伸びひずみ量と、タンデム圧延機の出側温度と、張力を付与可能な時間とに基づいて、前記薄肉部の平坦度不良の解消に必要な張力を算出し、前記薄肉部の平坦度不良の解消に必要な張力から、前記薄肉部の幅に基づき予測される残留応力を除いて、付与張力を算出し、算出した前記付与張力を、前記最終スタンドの前記ワークロールと前記一対のピンチロールとにより付与する、圧延設備が提供される。
以上説明したように本発明によれば、平坦度不良が低減されたより高品質な差厚板材を製造することが可能になる。
孔型圧延による差厚鋼板の製造方法について説明するための図である。 差厚鋼板の形状を表すパラメータについて説明するための図である。 薄肉部の平坦度不良と、薄肉部厚t1及び薄肉部幅W1と、の関係を示すグラフ図である。 本発明の一実施形態に係る差厚鋼板の製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。 張力付与による伸びひずみ付与を行う差厚鋼板の製造方法を実施するための圧延設備の一例を示した図である。 孔型圧延後の差厚鋼板の薄肉部幅W1と薄肉部及び厚肉部の残留応力との関係を示すグラフ図である。 張力付与を行う差厚鋼板の製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。 実施例(1)で取得した、薄肉部幅W1と、孔型圧延実行後の薄肉部の急峻度λと、の関係を示す図である。 実施例(1)で取得した、軽圧下圧延実行前の急峻度λと、軽圧下圧延の圧下率と、軽圧下圧延実行後の急峻度λと、の関係を示す図である。 実施例(2)で取得した、張力付与実行前の急峻度λと、付与張力と、張力付与実行後の急峻度λと、の関係を示す図である。 実施例(3)で取得した、レベラー矯正実行前の急峻度λと、レベラー伸び率と、レベラー矯正実行後の急峻度λと、の関係を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、以下では、製造する対象である差厚板材が鋼板である場合を例に挙げて説明を行う。ただし、本発明はかかる例に限定されず、本発明は、他の金属材料の差厚板材の製造にも好適に適用可能である。
(1.本発明に想到した背景)
本発明の一実施形態について詳細に説明するに先立ち、本発明をより明確なものとするために、本発明者らが本発明に想到した背景について説明する。
(1-1.孔型圧延による差厚鋼板(縦縞鋼板)の製造方法について)
上述したように、差厚鋼板の製造方法としては、従来、孔型圧延を行うことにより、板幅方向に板厚差を付与する方法が提案されている。図1は、孔型圧延による差厚鋼板の製造方法について説明するための図である。図1に示すように、当該製造方法では、一対のワークロール101、102(上ワークロール101、下ワークロール102)を用いて鋼板201を圧延する際に、上ワークロール101として、孔型ワークロールが用いられる。孔型ワークロールは、図示するように、その胴長方向に径差を有するロールである。かかる孔型ワークロールを用いて圧延を行うことにより、鋼板201には、その板幅方向に板厚差が付与されることとなる。つまり、板幅方向に厚肉部203と薄肉部205が分布する差厚鋼板201が形成され得る。
なお、図示する例では、上ワークロール101として孔型ワークロールが用いられているが、差厚鋼板の製造方法はかかる例に限定されない。差厚鋼板の製造方法としては、下ワークロール102として孔型ワークロールが用いられてもよいし、上ワークロール101及び下ワークロール102の双方が孔型ワークロールであってもよい。また、孔型圧延は、通常、熱間圧延で行われるが、冷間圧延であってもよい。
ここで、図2は、差厚鋼板201の形状を表すパラメータについて説明するための図である。図2では、差厚鋼板201の板幅方向における断面の形状を概略的に示している。本明細書では、図2に示すように、差厚鋼板201の形状を表すパラメータを以下のように定義する。なお、P=W1+W2である。
薄肉部厚t1:薄肉部205の板厚
厚肉部厚t2:厚肉部203の板厚
差厚h:厚肉部203の板厚と薄肉部205の板厚との差厚
薄肉部幅W1:薄肉部205の板幅方向における長さ
厚肉部幅W2:厚肉部203の板幅方向における長さ
厚肉部ピッチP:厚肉部203のピッチ(厚肉部203の板幅方向の中心から、隣り合う厚肉部203の板幅方向の中心までの長さ)。
板厚変化部角度θ:板厚変化部(薄肉部205及び厚肉部203と薄肉部205との境界)における水平方向に対する角度
(1-2.薄肉部における平坦度不良についての検討)
ここで、例えば特許文献2に係る技術では、建材用の鋼柱管用の差厚鋼板201の製造を目的としており、当該差厚鋼板201の薄肉部厚t1は9mm~22mm程度、厚肉部ピッチPは30mm~40mm程度である。一方、自動車用の部材においては、高い強度と軽量化をともに実現するために、例えば鋼板をハット状に曲げ加工した場合における角部や、鋼板から角型鋼管を形成した場合における稜線(角部)等のみを厚肉化し、その他の部分をより薄くしたいという要望があると考えられる。このような部材を差厚鋼板201で形成しようとする場合には、例えば薄肉部厚t1が約0.8mm~約4.0mm、及び厚肉部ピッチPが約50mm以上の、薄肉部厚t1がより薄く、厚肉部ピッチPがより長い差厚鋼板201(以下、便宜的に、薄肉長ピッチの差厚鋼板201とも呼称する)を製造する必要が生じる。
そこで、本発明者らは、上述したような孔型圧延を用いて、このような薄肉長ピッチの差厚鋼板201を製造することを試みた。その結果、薄肉長ピッチの差厚鋼板201においては、薄肉部205に波打ち(すなわち、平坦度不良)が発生する場合があることが判明した。かかる平坦度不良は、特許文献2に係る技術で対象としているような、薄肉部厚t1が比較的厚く、厚肉部ピッチPが比較的短い差厚鋼板201ではほとんど発生しておらず、今回、本発明者らが新たに発見した現象である。なお、本明細書において、単に「平坦度不良」と記載した場合には、特に断りがない限り、かかる差厚鋼板201における薄肉部の平坦度不良のことを指すこととする。
本発明者らは、このような平坦度不良が発生する理由及び条件について、有限要素法(FEM:Finite Element Method)を用いて解析を行った。当該有限要素法では、3次元の計算モデルを用いて、孔型圧延を行った際の鋼板の変形の様子、並びに孔型圧延を行った際に鋼板に生じる応力及びひずみを解析した。このとき、鋼板は弾塑性体として扱い、孔型ワークロールは剛体として扱った。また、孔型圧延については、熱間圧延で想定される物性値(例えば、材料の変形抵抗、流動応力及びヤング率、並びにロールと材料との間の摩擦抵抗等)を用いて計算を行うことで、当該孔型圧延を熱間圧延として扱った。様々な形状の差厚鋼板に対する孔型圧延を模擬して、鋼板の板厚及び孔型ワークロールの形状を様々に変更しながら、解析を繰り返し行った結果、以下の事実が判明した。
孔型圧延においては、薄肉部205については、圧下率が大きいため、圧延後の差厚鋼板201において長手方向に大きな伸びひずみが生じる。一方、厚肉部203については、圧下率が小さいため、圧延後の差厚鋼板201において長手方向の伸びひずみは小さい。このように、差厚鋼板201では、厚肉部203と薄肉部205との長手方向の伸びひずみの差が大きい。従って、薄肉部205には、長手方向に大きな圧縮応力が生じることとなり、例えば薄肉部厚t1が薄い場合等、薄肉部205の強度が不足する場合には、当該薄肉部205が座屈変形し、平坦度不良が生じるのだと考えられる。
また、薄肉部205における塑性ひずみについて詳細に解析したところ、板幅方向の塑性ひずみについては、厚肉部203との境界近傍においては大きな塑性ひずみが生じており、当該境界から板幅方向に遠ざかるにつれて、当該塑性ひずみの値が小さくなることが分かった。また、薄肉部205における長手方向の塑性ひずみは、厚肉部203との境界から板幅方向に遠ざかるにつれて大きくなっていることが分かった。その結果、厚肉部203と薄肉部205との長手方向の塑性ひずみの差も、当該境界から板幅方向に遠ざかるにつれて大きくなる。
薄肉部205において厚肉部203との境界近傍において板幅方向の塑性ひずみが大きいことは、当該境界近傍において、薄肉部205から厚肉部203へのメタルフローが好適に生じていることを意味している。かかるメタルフローによって厚肉部203にメタルが充満されることにより、厚肉部203と薄肉部205の差厚が形成され得る。
一方、当該境界から板幅方向に遠ざかるにつれて薄肉部205の板幅方向の塑性ひずみが小さくなることは、当該境界から板幅方向に遠ざかるにつれて薄肉部205から厚肉部203へのメタルフローが生じ難くなることを意味している。そのために、薄肉部205における長手方向の塑性ひずみも、当該境界から板幅方向に遠ざかるにつれて大きくなると考えられる。つまり、薄肉部幅W1が大きいほど、薄肉部205において長手方向の塑性ひずみが大きい領域が存在する可能性が高まる。
また、本発明者らによる解析の結果、薄肉部205の板幅方向において、当該薄肉部205から厚肉部203に向かってメタルフローが生じる範囲は、薄肉部厚t1でほぼ決定され、薄肉部幅W1にかかわらず一定であることが分かっている。薄肉部厚t1が薄い場合には、薄肉部205の板幅方向において、厚肉部203に向かってメタルフローが生じる範囲は小さい。つまり、薄肉部厚t1が薄いほど、薄肉部205において長手方向の塑性ひずみが大きい領域が存在する可能性が高まる。
このように、薄肉部幅W1が大きいほど、及び薄肉部厚t1が薄いほど、薄肉部205において、厚肉部203へのメタルフローが生じ難く長手方向の塑性ひずみが大きい領域(すなわち、厚肉部203と薄肉部205との長手方向の伸びひずみの差が大きい領域)が生じやすくなる。従って、薄肉長ピッチの差厚鋼板201においては、平坦度不良が生じやすくなるのだと考えられる。
まとめると、本発明者らによる解析の結果、薄肉長ピッチの差厚鋼板201において薄肉部205に平坦度不良が発生する原因は、圧下率の違いによる厚肉部203と薄肉部205との長手方向の伸びひずみの差によって、当該薄肉部205が座屈変形を起こすことであることが判明した。薄肉部厚t1が小さい場合には、薄肉部205の強度が小さくなること、及び、薄肉部205から厚肉部203へのメタルフローが生じ難くなり厚肉部203と薄肉部205との長手方向の伸びひずみの差が大きくなること等の理由により、座屈変形が生じやすくなり、平坦度不良が生じやすくなる。また、厚肉部ピッチPが大きい場合には、例えば薄肉部幅W1と厚肉部幅W2が同程度であるとすれば、当該薄肉部幅W1も大きくなる。従って、薄肉部205においては、厚肉部203との境界から離れた部位に、厚肉部203との長手方向の伸びひずみの差が大きい領域が存在する可能性が高まり、平坦度不良が生じやすくなる。よって、薄肉長ピッチの差厚鋼板201においては、薄肉部205に平坦度不良が発生しやすくなるのだと考えられる。
上記のように、本発明者らによる解析の結果、薄肉部205の平坦度不良は、薄肉部厚t1が小さく、厚肉部ピッチPが大きい場合(すなわち、薄肉部幅W1が大きい場合)に顕著に生じ得ることが確認された。そこで、本発明者らは、当該平坦度不良の発生有無を、薄肉部厚t1及び薄肉部幅W1をパラメータとして整理し、当該平坦度不良が生じる具体的な条件について検討した。結果を図3に示す。図3は、薄肉部205の平坦度不良と、薄肉部厚t1及び薄肉部幅W1と、の関係を示すグラフ図である。
図3では、横軸に薄肉部幅W1を取り、縦軸に薄肉部厚t1を取り、FEM計算を行った差厚鋼板201の形状に対応する点に、マーカーをプロットしている。白抜きのマーカーは平坦度不良が発生しなかったことを示しており、塗り潰しているマーカーは平坦度不良が発生したことを示している。平坦度不良の発生を判断する基準(例えば急峻度λのしきい値)は製品によって異なるが、ここでは、薄肉部205の急峻度λがλ>2%の場合に平坦度不良が発生していると判断した。なお、図3に示すデータは、いずれも、板厚比t2/t1=2.0であり、W1=W2で厚肉部203と薄肉部205が板幅方向に規則的に並んでいる差厚鋼板201についてFEM計算を行った結果である。
図3を参照すると、平坦度不良の発生有無を示す境界が、直線Tで表されることが分かる。当該直線Tの傾きを具体的に計算したところ、W1/t1=約15であった。また、板厚比t2/t1が異なる差厚鋼板201についても、同様に、薄肉部厚t1及び薄肉部幅W1を変更しながらFEM計算を行い、平坦度不良の発生有無を示す境界について考察したところ、同様の結果が得られた。
このように、本発明者らは、平坦度不良が発生する条件について検討した結果、少なくとも厚肉部203と薄肉部205が板幅方向に所定のピッチで規則的に並んだ差厚鋼板201においては、W1/t1≧約15の場合に、薄肉部205において平坦度不良が顕在化し得るという知見を得た。縦縞鋼板である差厚鋼板201において、平坦度不良が発生する条件については、これまで十分に検討されておらず、上記のように平坦度不良が発生する条件を具体的に数値によって規定することは、今回本発明者らが新たになしえたことである。
上記条件から、平坦度不良を発生させないためには、差厚鋼板201の形状がW1/t1<約15を満たせばよいこととなる。従って、例えば、薄肉部厚t1が2mmであれば、平坦度不良を発生させずに圧延可能な薄肉部幅W1の最大値は30mm程度ということになる。このように、孔型圧延における差厚鋼板の製造の自由度は小さい。つまり、何ら対策を講じなければ、上述したような薄肉長ピッチの差厚鋼板201を、孔型圧延によって、平坦度不良を発生させることなく製造しようとすることは、困難であると言える。
(1-3.平坦度不良に対する対策)
そこで、本発明者らは、W1/t1≧約15を満たすような、平坦度不良が顕在化し得る薄肉長ピッチの差厚鋼板201について、当該平坦度不良を改善し得る対策について検討を行った。
上述したように、薄肉部205における平坦度不良は、厚肉部203と薄肉部205との長手方向の伸びひずみの差によって生じると考えられる。従って、平坦度不良の発生を抑制するためには、当該長手方向の伸びひずみの差をより小さくするように、孔型圧延を行えばよい。そのためには、薄肉部205から厚肉部203へのメタルフローを促進することが有効である。薄肉部205から厚肉部203へのメタルフローが促進されれば、薄肉部205における板幅方向の塑性ひずみが増加するため、当該薄肉部205における長手方向の塑性ひずみは減少することとなり、結果的に、上記長手方向の伸びひずみの差をより小さくすることが可能になる。
薄肉部205から厚肉部203へのメタルフローを促進するためには、具体的には、ワークロールを大径化し、鋼板201とワークロール101、102との接触長さをより長くすることや、鋼板201とワークロール101、102との間の摩擦係数を大きくして鋼板201の伸びを拘束することが、有効な手段となる。しかし、ワークロール101、102を大径化したり、摩擦係数を増大させたりした場合には、圧延荷重が増加することとなる。従って、設備上、平坦度不良の改善代には限界があり、上記の手段は根本的な解決策とはなり得ない。また、上述したように、薄肉部厚t1が薄くなるほど、及び薄肉部幅W1が長くなるほど、薄肉部205から厚肉部203へのメタルフローは生じ難くなる。従って、メタルフローを促進することにより上記長手方向の伸びひずみの差を小さくする方法には、そもそも限界があると考えられる。
また、平坦度不良の発生を抑制するための他の方法として、同一あるいは形状を変化させた孔型ワークロールで複数パスの孔型圧延を行い、平坦度不良が顕在化しない条件で少しずつ鋼板201に圧下変形を加える方法が考えられる。しかしながら、同じく複数パスの孔型圧延によって製造される形鋼や軌条と比べて、鋼板201のようないわゆる薄板は、薄物であり、かつその板厚差(差厚h)が小さく、寸法精度も厳しい。薄板である差厚鋼板201を複数パスの孔型圧延によって製造する場合には、鋼板201の幅方向への動きを拘束することが難しく、鋼板201の蛇行等による板幅方向の位置ずれや、噛み出しの発生等が予想されるため、安定製造、寸法精度の確保が困難であると考えられる。
以上説明したように、W1/t1≧約15を満たすような、平坦度不良が顕在化し得る薄肉長ピッチの差厚鋼板201については、これまで、その好適な製造方法が確立されていなかったと言える。本発明者らは、このような薄肉長ピッチの差厚鋼板201において、平坦度不良をより低減し得る製造方法について鋭意検討した結果、本発明に想到した。本発明によれば、W1/t1≧約15を満たすような薄肉長ピッチの差厚鋼板201においても、平坦度不良が低減されたより高品質な差厚鋼板201を製造することが可能になる。以下、本発明者らが想到した本発明の好適な一実施形態について、詳細に説明する。
(2.差厚鋼板の製造方法)
本発明の一実施形態に係る差厚鋼板201の製造方法について説明する。なお、本実施形態に係る製造方法は、W1/t1≧約15を満たすような、平坦度不良が顕在化し得る差厚鋼板201の製造方法に関するものである。本実施形態の対象となる差厚鋼板201の薄肉部厚t1は、例えば約0.8mm~約4.0mmである。
上述したように、薄肉部205における平坦度不良は、厚肉部203と薄肉部205との長手方向の伸びひずみの差によって生じると考えられる。従って、平坦度不良の発生を低減するためには、当該長手方向の伸びひずみの差をより小さくすればよい。そこで、本発明者らは、孔型圧延によって差厚鋼板201を形成する工程を行った後に、その形成された差厚鋼板201の厚肉部203に対して長手方向の伸びひずみを付与する工程を更に行う方法に想到した。
孔型圧延が終了した段階では、厚肉部203における長手方向の伸びひずみは小さく、薄肉部205における長手方向の伸びひずみは大きい状態であり、W1/t1≧約15を満たす場合には、薄肉部205に平坦度不良が生じている。この状態において、厚肉部203に対して長手方向の伸びひずみを付与することにより、厚肉部203と薄肉部205との長手方向の伸びひずみの差が低減され、薄肉部205の平坦度不良が矯正されることとなる。
厚肉部203に対して長手方向の伸びひずみを付与する方法としては、例えば、孔型圧延が終了した後に、差厚鋼板に対して軽圧下圧延を行う方法、張力を付与する方法等がある。以下、これらの厚肉部203に対して長手方向の伸びひずみを付与する方法について説明を行う。
(2-1.軽圧下圧延による伸びひずみ付与)
まず、軽圧下圧延により厚肉部203に対して長手方向の伸びひずみを付与する方法を説明する。例えばストレートなロールプロフィル(1次関数で近似されるロールプロフィル)を有するワークロールで差厚鋼板201を軽圧下する。かかる軽圧下圧延を行うことにより、孔型圧延実行後において伸びひずみが小さい厚肉部203についてのみ選択的に圧延を行うことができ、伸びひずみを与えることができるため、厚肉部203と薄肉部205との長手方向の伸びひずみの差を効率的に低減することが可能である。
ここで、孔型圧延実行後、平坦度不良が発生している状態における、厚肉部203と薄肉部205との伸びひずみ差をΔεとし、薄肉部205の急峻度をλとすると、伸びひずみ差Δεと急峻度λとの間には、下記数式(1)に示す関係があることが知られている(詳細については、非特許文献1を参照)。
Figure 0007052456000001
なお、伸びひずみ差Δεは、波打ち形状が生じている状態での薄肉部205の長手方向の長さをl、当該波打ち形状を平坦な形状に矯正した状態での薄肉部205の長手方向の長さをl+Δlとした場合に、Δε=Δl/lで求められる。また、急峻度λは、波打ち形状が生じている状態での薄肉部205の長手方向側面視での外形を波形に見たてた場合における、波高さδと波ピッチLとの比であり、λ=δ/Lで求められる。かかる伸びひずみ差Δεに相当する伸びひずみを、厚肉部203に付与すれば、薄肉部205における平坦度不良が矯正され得ることとなる。
上記数式(1)から、例えば、λ=5(%)の場合にはΔε=約0.006であり、λ=10(%)の場合にはΔε=約0.025であり、λ=15(%)の場合にはΔε=約0.056である。仮に、厚肉部203に付与した板厚ひずみ(圧下ひずみ)が、全て伸びひずみに変換されたとすると、高々零コンマ数%から数%程度の圧下率で、上記の急峻度λ(5%、10%、15%)に対応する伸びひずみ差Δεと同等の伸びひずみが得られる。つまり、上記方法において、薄肉部205の平坦度不良を矯正し得るような軽圧下圧延の圧下率は、最大でも数%程度ということになる。仮に数%程度の圧下率で軽圧下圧延を行ったとしても、板厚の変化は小さく、孔型圧延後の差厚鋼板201の断面形状が大きく変化することはない。つまり、上記方法によれば、軽圧下圧延を行った後でも、孔型圧延後の差厚鋼板201の断面形状がほぼ維持され得るため、所望の形状の差厚鋼板201を得ることが可能である。
また、軽圧下圧延においては、上記のように、ロールプロフィルがストレートなワークロールを用いることが可能である。従って、当該軽圧下圧延においては、差厚鋼板201の形状に応じてその板幅方向の位置を考慮する必要がない。よって、先に述べた複数パスでの圧延を行い板厚差を段階的に付与する場合のような、差厚鋼板201の板幅方向の位置ずれによる不都合は生じない。
以下、軽圧下圧延による伸びひずみ付与を行う差厚鋼板201の製造方法の具体的な手順について、詳細に説明する。
図4は、軽圧下圧延による伸びひずみ付与を行う差厚鋼板201の製造方法の手順の一例を示すフロー図である。図4を参照すると、軽圧下圧延による伸びひずみ付与を行う差厚鋼板201の製造方法では、まず、孔型圧延実行前に、当該孔型圧延の圧延条件に基づいて、当該孔型圧延実行後の薄肉部205の急峻度λが予測される(ステップS101)。ここで、孔型圧延の圧延条件には、入側板厚t0、孔型圧延実行後の狙い値としての差厚鋼板201の形状(薄肉部厚t1、厚肉部厚t2、薄肉部幅W1、厚肉部ピッチP(なお、薄肉部幅W1及び厚肉部ピッチPが定まれば、結果的に厚肉部幅W2も決定される)、及び板厚変化部角度θ等)、並びに孔型ワークロールのワークロール径等が含まれ得る。当該圧延条件は、最終的に製造したい所望の差厚鋼板201の形状に応じて、事前に決定されている。具体的には、例えば、板厚変化部角度θは、約30°≦θ<90°程度であり得る。なお、上述した図1に示す例では、孔型圧延によって形成される板厚変化部の角部は直線によって構成されているが、本実施形態では、応力集中を避けるために、当該角部は曲線によって構成されてもよい。
ステップS101では、例えば、上記圧延条件に従って孔型圧延を実行した際の、差厚鋼板201の形状変化をFEM計算によって求めることにより、急峻度λが求められる。この際、孔型圧延を実行する度にFEM計算を実行して急峻度λを求めてもよい。あるいは、想定され得る様々な差厚鋼板201の形状に対応する孔型圧延の複数の圧延条件に応じたFEM計算を予め実行し、圧延条件と薄肉部205の急峻度λとの関係についてのデータベースを作成しておいて、当該データベースを用いて、これから行う孔型圧延の圧延条件に応じた急峻度λを求めてもよい。上述したように、薄肉部205の急峻度λ(すなわち、平坦度)は、薄肉部厚t1及び薄肉部幅W1と相関があるため、当該データベースでは、例えば、これらのパラメータと薄肉部205の急峻度λとの関係が保存され得る。
ただし、本実施形態はかかる例に限定されず、薄肉部205の急峻度λを予測する方法としては、各種の方法が用いられてよい。例えば、上述した圧延条件と薄肉部205の急峻度λとの関係についてのデータベースは、過去に孔型圧延を実行した際の操業実績データに基づいて作成されてもよい。
次に、予測された薄肉部205の急峻度λに基づいて、薄肉部205の平坦度不良を矯正可能な軽圧下圧延の圧下率が算出される(ステップS103)。ステップS103では、例えば、孔型圧延実行後の薄肉部205に波打ちが発生している差厚鋼板201に対して軽圧下圧延を行った際の、当該差厚鋼板201の形状変化をFEM計算によって求めることにより、当該圧下率が算出され得る。このとき、ステップS101で行われるFEM計算と同様に、軽圧下圧延が実行される度にかかるFEM計算が行われて圧下率が算出されてもよい。あるいは、想定され得る様々な様態の急峻度λに応じたFEM計算を予め実行し、軽圧下圧延実行前の急峻度λと、軽圧下圧延の圧下率と、軽圧下圧延実行後の急峻度λ(すなわち、軽圧下圧延による薄肉部205の急峻度λの改善度合い)と、の関係についてのデータベースを作成しておいて、当該データベースを用いて、これから行う軽圧下圧延の対象となる差厚鋼板201の急峻度λに応じた、平坦度不良を矯正し得る圧下率を求めてもよい。なお、かかる圧下率を求めるためのFEM計算は、ステップS101で行われ得る急峻度λを求めるFEM計算に続いて、連続的に実行することができる。
ただし、軽圧下圧延の圧下率を算出する方法はかかる例に限定されず、各種の方法が用いられてよい。例えば、上述した軽圧下圧延実行前の急峻度λと、軽圧下圧延の圧下率と、軽圧下圧延実行後の急峻度λと、の関係についてのデータベースは、過去に軽圧下圧延を実行した際の操業実績データに基づいて作成されてもよい。
次に、所望の差厚鋼板201の形状に応じた圧延条件(すなわち、ステップS101で算出した急峻度λに対応する圧延条件)に従って、孔型圧延が実行される(ステップS105)。ここでは、孔型圧延を熱間圧延で実行する。ただし、軽圧下圧延による伸びひずみ付与は熱間圧延工程以外で実施することも可能であり、加工が可能な範囲であれば、孔型圧延を冷間圧延で実行してもよい。
そして、孔型圧延後の差厚鋼板201の厚肉部203に対して、ステップS103で算出された圧下率で軽圧下圧延が実行される(ステップS107)。ステップS107では、ロールプロフィルがストレートなワークロールを用いて軽圧下圧延が行われる。これにより、厚肉部203のみが軽圧下され、当該厚肉部203に伸びひずみが付与されることなる。このとき、上述したように、軽圧下圧延の圧下率は微小であり得るため、当該軽圧下圧延によって差厚鋼板201の形状が大きく変形することはない。また、ロールプロフィルがストレートなワークロールを用いることにより、差厚鋼板201の形状精度を保つために孔型圧延と軽圧下圧延とで板幅方向の位置合わせを行う必要もない。
なお、ステップS105における孔型圧延、及びステップS107における軽圧下圧延は、異なる2つの圧延機によって別個の製造ラインで実行されてもよいし、タンデム圧延機を用いて連続的に実行されてもよい。タンデム圧延機を用いる場合には、例えば最終スタンド以外のいずれかのスタンドにおいて孔型ワークロールを用いた孔型圧延が行われ、当該孔型圧延を行うスタンドよりも下流のいずれかのスタンド(例えば、最終スタンド)においてロールプロフィルがストレートなワークロールを用いて軽圧下圧延が行われ得る。なお、タンデム圧延機を用いる場合には、薄肉部205の平坦度不良が矯正された後に差厚鋼板201が冷却されることとなるため、冷却むらの発生が抑制される効果も期待できる。
以上、軽圧下圧延による伸びひずみ付与を行う差厚鋼板201の製造方法について説明した。かかる方法では、孔型圧延を実行した後に、厚肉部203について軽圧下圧延を実行する。孔型圧延が終了した段階では、差厚鋼板201の薄肉部205に平坦度不良が生じている状態であり得るが、当該孔型圧延後に厚肉部203について軽圧下圧延を行うことにより、厚肉部203と薄肉部205との長手方向の伸びひずみの差が低減され、薄肉部205の平坦度不良を矯正することができる。このように、W1/t1≧約15を満たす、薄肉部205において平坦度不良が顕在化し得るような差厚鋼板201においても、当該平坦度不良が低減された、高品質な差厚鋼板201を製造することが可能となる。
なお、以上説明した手順において、ステップS101及びステップS103における処理は、PC(Personal Computer)等の情報処理装置において実行することが可能である。情報処理装置のプロセッサが所定のプログラムに従って演算処理を実行することにより、ステップS101及びステップS103における処理が実行され得る。
また、ステップS101及びステップS103における処理を情報処理装置に実行させるためのコンピュータプログラムを作製することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。当該記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
なお、上記説明では、軽圧下圧延においてロールプロフィルがストレートなワークロールを用いていたが、当該軽圧下圧延では、厚肉部203に伸びひずみを付与することができればよく、そのワークロールの形状は任意であってよい。例えば、ロールプロフィルが、2次~4次の関数、又はこれらに相当する低次の関数によって近似され得るワークロールを用いて、軽圧下圧延が行われてもよい。
また、上記説明では、ステップS101においては、孔型圧延の後に行われる軽圧下圧延での厚肉部203の減肉分も考慮して、当該孔型圧延の圧延条件が決定されてもよい。つまり、軽圧下圧延によって厚肉部203が軽圧下されることにより、微量ではあるが厚肉部厚t2は減少するため、最終的に得たい所望の差厚鋼板201の厚肉部厚t2に対してその軽圧下圧延での減少分だけ増加させた厚肉部厚t2を、ステップS101における孔型圧延の圧延条件として採用してもよい。このとき、この軽圧下圧延での減少分だけ増加させた厚肉部厚t2を、孔型圧延に先立つ孔型ワークロールの設計に反映してもよい。これにより、軽圧下圧延後に所望の厚肉部厚t2がより精度良く得られることとなるため、差厚鋼板201の形状精度を更に向上させることができる。
また、上記説明では、孔型圧延後の薄肉部205の急峻度λを予め予測し、その予測結果に基づいて軽圧下圧延の圧下率を算出していたが、軽圧下圧延の圧下率の算出方法はかかる例に限定されない。例えば、孔型圧延を実行した後、薄肉部205の急峻度λを実測し、その実測結果に基づいて軽圧下圧延の圧下率を算出してもよい。この場合には、図4に示す手順において、ステップS103における処理とステップS105における処理を行う順番が逆になる。
(2-2.張力付与による伸びひずみ付与)
次に、張力付与により厚肉部203に対して長手方向の伸びひずみを付与する方法について説明する。
(2-2-1.設備構成)
まず、図5を参照して張力付与による伸びひずみ付与を行う差厚鋼板201の製造方法を実施するための設備構成を説明する。図5は、張力付与により伸びひずみ付与を行う差厚鋼板201の製造方法を実施するための圧延設備の一例を示した図である。圧延設備1は、熱間圧延工程の設備であって、タンデム圧延機100と、冷却装置120と、巻取装置140とにより構成されている。
タンデム圧延機100は、複数スタンドからなる熱間仕上圧延を行う圧延機である。タンデム圧延機100の各スタンドは、例えば4重圧延機であり、それぞれ一対のワークロールとワークロールを支持する一対のバックアップロールとを備える。張力付与による伸びひずみ付与を行い差厚鋼板201を製造する圧延設備1では、タンデム圧延機100の最終スタンドの上ワークロール101aまたは下ワークロール102aのうち少なくともいずれか一方に孔型ワークロールが用いられる。以下の説明では、タンデム圧延機100の最終スタンドの上ワークロール101aに孔型ワークロールが用いられる一例を説明する。
冷却装置120は、タンデム圧延機100の圧延方向下流側に配置され、孔型圧延後の差厚鋼板201を冷却する。冷却装置120は、例えば差厚鋼板201へ冷却水を噴射することにより差厚鋼板201を冷却する。
タンデム圧延機100と冷却装置120との間には、上ピンチロール111と下ピンチロール112とからなるピンチロール110が設置されている。ピンチロール110は、タンデム圧延機100の最終スタンドのワークロールである孔型ワークロール101a、102aとピンチロール110との間で、差厚鋼板201に張力を付与するために設置されている。なお、張力は、ピンチロール110を駆動するモータのモータ電流値をトルクに換算することで検出することができる。なお、タンデム圧延機100の出側から冷却装置120に到達するまで、タンデム圧延機100の最終スタンドにて孔型圧延された差厚鋼板201は空冷されている。
冷却装置120の圧延方向下流には、デフレクタロール130と巻取装置140が設けられている。巻取装置140は、冷却装置120の圧延方向下流に配置され、デフレクタロール130を介して搬送されてきた差厚鋼板201をコイル状に巻き取る。
(2-2-2.引張張力による薄肉部の平坦度不良の解消)
このような圧延設備1において、タンデム圧延機100での孔型圧延により形成された差厚鋼板201には、図1に示したように厚肉部203と薄肉部205が存在する。このとき、厚肉部203と薄肉部205が板幅方向に所定のピッチで規則的に並んだ差厚鋼板201において、薄肉部幅W1と薄肉部厚t1とがW1/t1≧約15を満たす場合、薄肉部205において平坦度不良が顕在化し得る。
ここで、孔型圧延後の差厚鋼板201に関して、薄肉部幅W1と薄肉部及び厚肉部の残留応力との関係を解析した結果を図6に示す。図6において、残留応力を示す圧延方向応力は、圧縮応力であるときマイナス値で示し、引張応力であるときプラス値で示している。図6を参照すると、孔型圧延後の差厚鋼板201の薄肉部205には、圧延により圧延方向の圧縮応力が残留していることが分かる。一方、厚肉部203には、引張応力が残留している。これは、急峻度が大きくなるほど薄肉部の圧縮応力が大きくなり、それに対応して鋼板内の板幅方向でのつり合いから厚肉部では引張応力が増大することによる。なお、図6において、薄肉部は、薄肉部幅W1が40mm以上では座屈変形のため圧縮応力は飽和する傾向があることがわかる。
以上より、厚肉部203に圧延方向の引張残留応力が生じているため、差厚鋼板201に比較的低い張力を付与することで厚肉部203を延伸させ、変形させることができる。一方、薄肉部205には圧縮応力が残留していることから、差厚鋼板201に張力を付与しても、薄肉部205を変形させるに足る引張張力とはならないため、厚肉部203が優先的に延伸される。
よって、差厚鋼板201に引張張力を付与することで、厚肉部203を延伸して、薄肉部205の平坦度不良を解消することができる。ここで、厚肉部203を延伸するタイミングに関して、説明する。
熱間圧延後の差厚鋼板201は、厚肉部203及び薄肉部205を有する。熱間圧延により熱を帯びた差厚鋼板201は、後の工程にて温度が低下していく。厚肉部203及び薄肉部205では、薄肉部205の方がより早く温度が低下し冷却されやすい。これにより、薄肉部205よりも厚肉部203が、引張張力による影響を受けやすい。そのため、差厚鋼板201に対して熱間圧延による孔型圧延が行われた後に張力を付与することで、厚肉部203を優先的に延伸できる。
例えば、図5に記載した圧延設備1においては、タンデム圧延機100の最終スタンドにて、孔型圧延された後の差厚鋼板201に対して、張力を付与すればよい。そして、該差厚鋼板201は、空冷された後に、冷却装置120に搬送され、水冷が行われる。冷却装置120により、温度を低下させる前であれば、厚肉部203を優先的に延伸できるため、タンデム圧延機100の最終スタンドから冷却装置120までの空冷区間において張力を付与してもよい。
(張力の与え方)
図5に示したように、タンデム圧延機100の最終スタンドにて孔型圧延して形成された差厚鋼板201は、ランアウトテーブルで空冷および冷却装置120による水冷後、巻取装置140によりコイル状に巻き取られる。この際、上述の観点に基づき差厚鋼板201の薄肉部205の平坦度不良を解消するために、圧延設備1には、孔型ワークロールが設けられた最終スタンドから所定の距離だけ圧延方向下流側に離れた位置にピンチロール110が設置されている。これにより、最終スタンドとピンチロール110との間において、差厚鋼板201に張力を付与することができる。ピンチロール110は、後述するように、クリープ特性により生じる材料の伸びを抑制するため、冷却装置120よりも圧延方向上流側に設けられるのがよい。
薄肉部205の平坦度不良の解消に必要な張力σは、厚肉部203の引張残留応力と材料のクリープ特性とから算出される。熱間圧延工程において仕上圧延を行うタンデム圧延機のスタンド間あるいはランアウトテーブルでは、降伏応力未満の圧延方向張力の作用により、鋼板には幅縮みが生じることが知られている(詳細については、非特許文献2を参照)。この現象をクリープ現象ともいう。この張力による幅縮みは、一定張力条件下における鋼板が有する伸びひずみの時間変化により定式化が可能であり、該伸びひずみ量は、張力の絶対値及び温度に依存するとされている。
具体的に説明すると、差厚鋼板201の平坦度不良の解消に必要な張力σは、応力及び伸びひずみの時間依存特性、例えば、下記数式(2)で表されるひずみ速度依存性を考慮した降伏応力式に基づき、温度、空冷時間、目標の伸びひずみより算出することができる(詳細については、非特許文献3を参照)。ここでは、式(2)を用いて、平坦不良を解消するのに必要な伸びひずみ量εを求める一例を説明するが、平坦不良を解消するのに必要な伸びひずみ量εの算出方法は、式(2)に限られない。
Figure 0007052456000002
なお、係数A、n、mは低ひずみ速度の引張試験の結果等より導出される。ここでは係数Aは差厚鋼板201の炭素含有量と温度の関数としている。εは平坦不良の解消に必要な伸びひずみ量、εdotはひずみ速度であり、ひずみ速度εdotは近似的に単位時間あたりの伸びひずみ量(ε/Δt)で表すことができることから、数式(2)はさらに、下記の数式(3)で表すことができる。
Figure 0007052456000003
数式(3)において、平坦不良の解消に必要な伸びひずみ量εは、予測された急峻度λを用いて数式(1)より求めることができる。単位時間Δtは、張力σを付与可能な時間を表す。例えば、図5に示される圧延設備1では、タンデム圧延機100の最終スタンドからピンチロール110までの空冷距離lと差厚鋼板201の通板速度とから求めることができる。すなわち、差厚鋼板201の平坦度不良の解消に必要な張力σは、タンデム圧延機100の出側温度、差厚鋼板201の通板速度、及び、空冷距離lを用いて算出することができる。
また、孔型圧延実行後の薄肉部205の幅より、過去の実験データ等を蓄積したデータベース等を用いて、厚肉部203及び薄肉部205の残留応力を予測することができる。例えば、図6を参照して孔型圧延実行後の薄肉部205の幅から厚肉部203の残留応力の値を取得する。そして、上記数式(3)を用いて算出した薄肉部の平坦度不良の解消に必要な張力σから該厚肉部の残留応力を除いた値が、タンデム圧延機100の最終スタンドとピンチロール110との間で付与すべき付与張力の値となる。
(2-2-3.張力付与を行う差厚鋼板の製造フロー)
このように付与張力を求め、差厚鋼板201に張力を付与するまでの圧延設備1での処理を図7に示す。図7は、張力付与を行う差厚鋼板の製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。
図7を参照すると、張力付与を行う差厚鋼板201の製造方法では、図4に示した軽圧下圧延を行う場合の差厚鋼板201の製造方法と同様に、まず、孔型圧延実行前に、当該孔型圧延の圧延条件に基づいて、当該孔型圧延実行後の薄肉部205の急峻度λが予測される(ステップS201)。急峻度λの予測は、図4のステップS101と同様であるため、詳細な説明は省略する。
次に、予測された薄肉部205の急峻度λに基づいて、薄肉部の平坦度不良の解消に必要な伸びひずみ量が算出される(ステップS203)。ステップS203では、例えば数式(1)を用いて、必要な伸びひずみ量が算出される。なお、シミュレーションで平坦不良を解消するために必要な伸びひずみ量は、式(1)の急峻度から換算された伸びひずみ量よりも大きい結果であった。この結果より、平坦不良を解消するために必要な伸びひずみ量は、鋼板の平坦不良を確実に解消するため、式(1)の急峻度から換算された伸びひずみ量よりも大きく設定する。また、平坦度不良の解消に必要な伸びひずみ量Δεを算出する際には、伸びひずみ量を求める際にFEM計算で算出される急峻度λと、実際の圧延において生じる急峻度λとの相関を予め取得し、かかる相関から、最終的な張力付与後の急峻度λの目標値、及び当該目標値を達成し得る伸びひずみ量Δεを設定すればよい。
さらに、ステップS203にて算出された伸びひずみ量、及び、タンデム圧延機の出側温度と材料のクリープ特性による伸びひずみと、張力を付与する時間との関係から、薄肉部の平坦度不良の解消に必要な張力を算出する(ステップS205)。薄肉部の平坦度不良の解消に必要な張力は、例えば上記数式(3)を用いて算出することができる。
また、差厚鋼板201の薄肉部205の幅W1から、厚肉部203の残留応力を予測する(ステップS207)。厚肉部203の残留応力は、例えば、過去の実験データ等を蓄積したデータベース等から得られた図6に示す関係を予め取得しておき、当該関係に基づき予測してもよい。
そして、ステップS207にて予測した厚肉部203の残留応力を、ステップS205にて算出された薄肉部の平坦度不良の解消に必要な張力から除いた値を、付与張力とする(ステップS209)。付与張力は、例えば図5に示した圧延設備1において、タンデム圧延機100の最終スタンドに設置された孔型ワークロール101a、102aとピンチロール110との間で付与することができる。
その後、ステップS209にて算出した付与張力が付与されるように、ピンチロール111、112を回転駆動するモータを制御し、差厚鋼板201に対して張力を付与する(ステップS211)。
以上、張力付与を行う場合の差厚鋼板の製造方法について説明した。なお、上記説明では、タンデム圧延機100の最終スタンドの孔型ワークロールとピンチロール110との間で差厚鋼板201に対して張力を付与したが、差厚鋼板201への張力を付与する方法はかかる例に限定されない。
例えば、図5に示した圧延設備1において、巻取装置140によって鋼板を巻き取る力を利用して、孔型ワークロールと巻取装置140との間で差厚鋼板201に対して張力を付与してもよい。この場合も、孔型ワークロール101a、102aから冷却装置120入側までの距離(空冷距離)と通板速度に応じて、上記数式(3)より算出された付与張力を、孔型ワークロール101a、101bと巻取装置140との間で付与してもよい。差厚鋼板201は、温度が低下するほど張力クリープ特性による鋼板の伸びが生じにくくなる。そのため、冷却装置120で冷却される差厚鋼板201には付与張力による伸びが生じないと仮定して、数式(3)により算出された張力を付与すればよい。
以上までで、差厚鋼板201の厚肉部203に伸びひずみを付与する方法として、軽圧下圧延または、孔型ワークロール及びピンチロール間の張力付与に関して説明を行った。差厚鋼板201の厚肉部203に伸びひずみを与える方法は、かかる例に限定されない。厚肉部203に伸びひずみを付与する方法は、軽圧下圧延または孔型ワークロール及びピンチロール間の張力付与に限定されず、他の方法であってもよい。例えば、軽圧下圧延または孔型ワークロール及びピンチロール間の張力付与の代わりに、テンションレベラー等のレベラー装置を用いた、レベラー矯正が行われてもよい。この場合には、孔型圧延を実行した後、レベラー矯正が行われることとなる。
以上説明した本実施形態に係る製造方法を計算機上で実行した実施例について説明する。実施例では、差厚鋼板201の平坦度解消の方法として、実施例(1)では孔型圧延後に軽圧下圧延を行う場合を説明し、実施例(2)では張力付与を行う場合を説明する。また、実施例(3)では、レベラー矯正を行った場合を説明する。
(実施例(1))
本実施例では、計算機上で、孔型圧延、及び軽圧下圧延を模擬したFEM計算をこの順に実行し、その結果を確認した。なお、孔型圧延の圧延条件は、下記表1に示す通りである。
Figure 0007052456000004
まず、孔型圧延についてFEM計算を行った結果について説明する。本実施例では、上記表1に示す圧延条件だけでなく、参考のため、上記表1に示す条件から薄肉部幅W1だけを様々に変更させた場合についても、それぞれFEM計算を行い、薄肉部幅W1と、孔型圧延実行後の薄肉部205の急峻度λと、の関係を取得した。
図8は、本実施例で取得した、薄肉部幅W1と、孔型圧延実行後の薄肉部205の急峻度λと、の関係を示す図である。図8に示すように、薄肉部幅W1と、孔型圧延実行後の薄肉部205の急峻度λと、の間には、薄肉部幅W1が大きくなるにつれて、当該急峻度λも線形に大きくなる関係が存在することが分かる。かかる結果は、薄肉部幅W1が大きくなるほど薄肉部205における平坦度不良が顕在化しやすいという、本発明者らの考察を裏付けるものである。
実際に図4に示す手順で差厚鋼板201を製造する場合においては、ステップS101では、例えば、今回の孔型圧延の条件である薄肉部幅W1=40(mm)に対応する条件についてのみFEM計算を行い、その急峻度λを算出すればよい。あるいは、ステップS101で、圧延条件と、孔型圧延実行後の薄肉部205の急峻度λと、の関係についてのデータベースを用いる場合には、図8に示すような圧延条件に含まれるパラメータと、孔型圧延実行後の薄肉部205の急峻度λと、の関係をデータベース化しておき、かかるデータベースを用いて、急峻度λを求めればよい。
図8に示す結果から、今回の孔型圧延の条件である薄肉部幅W1=40(mm)の場合における、孔型圧延実行後の薄肉部205の急峻度λは、λ=約8.7(%)であった。
次に、軽圧下圧延についてFEM計算を行った結果について説明する。上述した孔型圧延についてFEM計算の結果から、本実施例では、軽圧下圧延前の薄肉部205の急峻度λを8.7%として、軽圧下圧延に係るFEM計算を行った。
結果を図9に示す。図9は、本実施例で取得した、軽圧下圧延実行前の急峻度λと、軽圧下圧延の圧下率と、軽圧下圧延実行後の急峻度λと、の関係を示す図である。図9に示す例では、当該関係を、横軸に軽圧下圧延の圧下率r(設定値)を取り、縦軸に軽圧下圧延実行後の薄肉部205の急峻度λの値を取ったグラフ図によって表現している。横軸の圧下率rがゼロの点に対応する急峻度λが、軽圧下圧延を行わない場合における急峻度λ、すなわち軽圧下圧延実行前の急峻度λに対応している。なお、図9の横軸に示す圧下率rは、入側板厚である厚肉部厚t2と、軽圧下圧延のロールギャップgから、下記数式(4)に従って算出された圧下率である。
Figure 0007052456000005
図9に示す結果から、孔型圧延後の差厚鋼板201の厚肉部203に対して軽圧下圧延を実行することにより、確かに、薄肉部205の急峻度λが低減することが確認できる。また、圧下率rを大きくするほど、その低減代は大きいことが分かる。かかる結果は、厚肉部203に伸びひずみを付与することによって、薄肉部205の平坦度不良が矯正され得るという、本発明者らの考察を裏付けるものである。
実際に図4に示す手順で差厚鋼板201を製造する場合においては、ステップS103では、例えば、図9に示すようなデータをFEM計算によって取得し、その結果に基づいて、軽圧下圧延後の急峻度λを製品として問題のない範囲まで低減させることが可能な、好ましい圧下率rを求めればよい。あるいは、ステップS103で、軽圧下圧延実行前の急峻度λと、軽圧下圧延の圧下率と、軽圧下圧延実行後の急峻度λと、の関係についてのデータベースを用いる場合には、図9に示すような関係をデータベース化しておき、かかるデータベースを用いて、好ましい圧下率rを求めればよい。
なお、本実施例で用いたFEM計算では、当該FEM計算の特性上、急峻度λが大きめに算出される傾向があることが分かっている。つまり、図8及び図9に示す急峻度λの値は、その対応する条件で実際に圧延を実行した際に生じる急峻度λよりも大きい。従って、実際には、FEM計算で算出される急峻度λと、実際の圧延において生じる急峻度λとの相関を予め取得し、かかる相関から、最終的な矯正後の急峻度λの目標値、及び当該目標値を達成し得る圧下率rを設定すればよい。例えば、当該相関から、FEM計算上での急峻度λが2%以下であれば、実際に圧延を行った際に製品として問題のない水準にまで急峻度λを低下させることができることが分かっているとすれば、図9に示す関係から、軽圧下圧延実行後の急峻度λを2%以下にすることを目的として、軽圧下圧延の圧下率rを5%とすればよい。
(実施例(2))
本実施例では、上記数式(3)を用いて、差厚鋼板に与えるひずみ低減の効果を確認した。数式(3)における係数A、n、mは、低ひずみ速度の引張試験の結果より導出し、本実施例では、炭素含有量0.04%、タンデム圧延機の出側温度を900℃、タンデム圧延機出側の通板速度240m/min(4m/s)、タンデム圧延機の最終スタンドに配置される孔型ワークロールからピンチロールまでの距離を10mとした。このとき、空冷時間と同等である張力を付与可能な時間Δtは2.5秒であった。
本実施例では、実施例(1)と同様の孔型ワークロールを用いるものとしてFEM計算を行った。図8に示す結果から、孔型圧延の条件である薄肉部幅W1=40(mm)の場合における、孔型圧延実行後の薄肉部205の急峻度λは、λ=約8.7(%)であった。結果を図10に示す。図10は、本実施例で取得した、張力付与実行前の急峻度λと、付与張力と、張力付与実行後の急峻度λと、の関係を示す図である。
伸びひずみ差Δεに換算すると、Δε=(π/2×λ)が1.9%となったが、平坦不良の解消には、より大きな伸びひずみを鋼板に付与する必要があり、検討の結果、Δεが3%の伸びひずみが必要であることが分かったため、必要な伸びひずみ量Δεを3%とした。
低ひずみ速度の引張試験の結果より、係数Aは149MPa、n=0.153、m=0.101であった。この時、数式(3)にて算出される薄肉部の平坦度不良の解消に必要な張力は、55.6MPaであった。
ここで、図6に示した薄肉部幅と残留応力との関係より、薄肉部幅が40mmのとき厚肉部の残留応力は24.5MPaである。これより、付与張力は、必要な張力から厚肉部の残留応力を除いて、31.1MPaとなった。
図10に、付与張力と付与張力により改善される急峻度λとの関係を示す。当該相関から、FEM計算上での急峻度λが2%以下であれば、実際に圧延を行った際に製品として問題のない水準にまで急峻度λを低下させることができることが分かっているとした時に、図10に示す関係から、張力付与後の急峻度λを2%以下にすることを目的として、孔型ワークロールとピンチロールとの間で、鋼板に対して31.1MPaの張力を付与すればよいことを確認した。
(実施例(3))
本実施例では、テンションレベラーが差厚鋼板に与えるひずみ低減の効果を確認した。本実施例では、孔型圧延後の差厚鋼板に対して、テンションレベラーによるレベラー矯正を行う場合のFEM計算の結果について説明する。本実施例では、実施例(1)及び(2)と同様の孔型ワークロールを用いた場合にて、同様にFEM計算を行い、急峻度λを求めた。なお、図8に示す結果から、孔型圧延の条件である薄肉部幅W1=40(mm)の場合における、孔型圧延実行後の薄肉部205の急峻度λは、上述の他の実施例と同様にλ=約8.7(%)であった。FEM計算の結果を図11に示す。図11は、本実施例で取得した、レベラー矯正実行前の急峻度λと、レベラー伸び率と、レベラー矯正実行後の急峻度λと、の関係を示す図である。
本実施例におけるテンションレベラーでは、伸び率を与えることにより、鋼板に曲げ及び引張を付与し、鋼板の形状矯正を行う。このように、テンションレベラーにて差厚鋼板に曲げ及び引張を付与することで、厚肉部に対して伸びひずみを付与することによって、薄肉部の平坦度不良が矯正される。図11を参照すると、レベラーの伸び率を上昇させると、急峻度λが低下することがわかる。当該相関から、FEM計算上での急峻度λが2%以下であれば、実際に圧延を行った際に製品として問題のない水準にまで急峻度λを低下させることができることが分かっているとした時に、図11に示す関係から、レベラー矯正後の急峻度λを2%以下にすることを目的として、レベラー伸び率を3%以上とすれば急峻度λを2%以下に低減できることを確認した。
(4.補足)
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、差厚鋼板201において平坦度不良が顕在化する条件を「W1/T1≧15」としていたが、当該条件は、薄肉部205における急峻度λがλ>2%のときに平坦度不良が発生していると判断する場合において得られた条件である。平坦度不良が発生していると判断するための急峻度λのしきい値は、製品によって異なるため、本発明が適用され得る製品に応じて、当該しきい値は変更されてよく、それに伴い上記条件も変更され得る。あるいは、急峻度λ以外の他の指標によって平坦度不良の発生が判断され、その結果に応じて上記条件が求められてもよい。
また、上記実施形態では、製造する対象である差厚板材が鋼板である場合を例に挙げて説明を行ったが、本発明はかかる例に限定されない。厚肉部と薄肉部との長手方向の伸びひずみの差によって当該薄肉部に平坦度不良が生じ得るという原理は、鋼以外の金属材料でも同様であるため、本発明は、他の金属材料からなる差厚板材の製造にも好適に適用可能である。ただし、上記実施形態における平坦度不良が顕在化する条件である「W1/T1≧15」は、鋼、及び鋼と同等の縦弾性係数(ヤング率)を有する金属材料において成り立つ条件であり、ヤング率が異なる他の金属材料では、平坦度不良が顕在化する条件は異なる。σ=Eε(σ:応力、ε:ひずみ、E:ヤング率)の関係からも明らかなように、厚肉部と薄肉部との長手方向の伸びひずみの差が同じであっても、それによって生じる長手方向の応力はヤング率によって異なるため、薄肉部における座屈(すなわち、平坦度不良)が顕在化する条件も異なるからである。具体的には、一般的な金属材料(例えば、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ニッケル、及び銅等)では、鋼よりもヤング率が低いため、平坦度不良はより発生しやすくなると考えられ、平坦度不良が顕在化するW1/T1のしきい値は、上記実施形態における「15」よりも小さくなることが予想される。本発明を、鋼、及び鋼と同等のヤング率を有する金属材料以外の金属材料からなる差厚板材に適用する場合には、その金属材料におけるヤング率を考慮して、平坦度不良が顕在化する条件を適宜決定すればよい。
100 タンデム圧延機
101a 上ワークロール
102a 下ワークロール
110 ピンチロール
120 冷却装置
130 デフレクタロール
140 巻取装置
201 差厚鋼板(鋼板)
203 厚肉部
205 薄肉部

Claims (7)

  1. 金属材料からなる板材に対して胴長方向に径差を有する孔型ワークロールを用いた孔型圧延を行い、前記板材に板幅方向に板厚分布を付与する工程と、
    前記板材に板幅方向に板厚分布を付与する工程の後に行われ、前記板材の厚肉部に伸びひずみを付与する工程と、
    を含み、
    前記孔型圧延実行後の前記板材の薄肉部の厚みをt1、前記孔型圧延実行後の前記板材の薄肉部の板幅方向の幅をW1とした場合に、前記薄肉部の厚みt1、及び前記薄肉部の板幅方向の幅W1が、W1/t1≧15を満たし、
    前記厚肉部に伸びひずみを付与する工程は、前記孔型圧延実行後の板材に対して軽圧下圧延または張力付与を行うことにより実行され、
    前記軽圧下圧延を行う場合には、
    前記孔型圧延実行前に、前記孔型圧延の圧延条件に基づいて、前記孔型圧延実行後の薄肉部の急峻度を予測し、
    予測した前記薄肉部の急峻度に基づいて、前記薄肉部の平坦度不良を矯正可能な軽圧下圧延の圧下率を算出し、
    算出した前記圧下率で、前記孔型圧延実行後の板材の厚肉部に対して軽圧下圧延を実行し、
    前記張力付与を行う場合には、
    前記孔型圧延実行前に、前記孔型圧延の圧延条件に基づいて、前記孔型圧延実行後の薄肉部の急峻度を予測し、予測された前記薄肉部の急峻度に基づいて、前記薄肉部の平坦度不良の解消に必要な伸びひずみ量を算出し、
    算出した前記伸びひずみ量と、タンデム圧延機の出側温度と、張力を付与可能な時間とに基づいて、前記薄肉部の平坦度不良の解消に必要な張力を算出し、
    前記薄肉部の平坦度不良の解消に必要な張力から、前記薄肉部の幅に基づき予測される残留応力を除いて、付与張力を算出し、
    算出した前記付与張力を、前記孔型圧延実行後の板材に付与する
    差厚板材の製造方法。
  2. 前記厚肉部に伸びひずみを付与する工程において、前記軽圧下圧延を行う場合、
    前記孔型圧延では、最終的な所望の前記厚肉部の厚みに対して、前記軽圧下圧延での前記厚肉部の減厚分を足し合わせた厚みを、前記孔型圧延実行後の前記厚肉部が有するように、圧延条件が設定される、
    請求項に記載の差厚板材の製造方法。
  3. 前記厚肉部に伸びひずみを付与する工程において、前記軽圧下圧延を行う場合、
    前記軽圧下圧延では、ロールプロフィルが1次、2次、3次、若しくは4次の関数、又はこれらに相当する低次の関数によって近似されるワークロールを用いて、圧延が行われる、
    請求項又はに記載の差厚板材の製造方法。
  4. 前記厚肉部に伸びひずみを付与する工程において、前記軽圧下圧延を行う場合、
    前記タンデム圧延機の最終スタンド以外のいずれかのスタンドで前記孔型圧延を行い、
    前記タンデム圧延機の前記孔型圧延を行うスタンドよりも下流のいずれかのスタンドで前記軽圧下圧延を行う、
    請求項のいずれか1項に記載の差厚板材の製造方法。
  5. 前記厚肉部に伸びひずみを付与する工程は、前記孔型圧延とは異なる製造ラインで実行される、
    請求項1~のいずれか1項に記載の差厚板材の製造方法。
  6. 複数のスタンドと、
    前記スタンドの圧延条件を演算する情報処理装置と、
    を備え、
    最終スタンド以外のいずれかのスタンドのワークロールが、金属材料からなる板材に対して板幅方向に板厚分布を付与する孔型圧延を行うための、胴長方向に径差を有する孔型ワークロールであり、
    前記孔型ワークロールが設けられるスタンドよりも下流のいずれかのスタンドのワークロールが、板厚分布が付与された前記板材の厚肉部を軽圧下圧延するための、ロールプロフィルが1次、2次、3次、若しくは4次の関数、又はこれらに相当する低次の関数によって近似されるワークロールであり、
    前記孔型圧延実行後の前記板材の薄肉部の厚みをt1、前記孔型圧延実行後の前記板材の薄肉部の板幅方向の幅をW1とした場合に、前記薄肉部の厚みt1、及び前記薄肉部の板幅方向の幅W1が、W1/t1≧15を満たすように、前記孔型ワークロールが構成され
    前記情報処理装置は、
    前記孔型ワークロールを有するスタンドによる前記孔型圧延実行前に、前記孔型圧延の圧延条件に基づいて、前記孔型圧延実行後の薄肉部の急峻度を予測し、
    予測した前記薄肉部の急峻度に基づいて、前記軽圧下圧延を実施するスタンドにおける、前記薄肉部の平坦度不良を矯正可能な軽圧下圧延の圧下率を算出する、
    タンデム圧延機。
  7. 熱間圧延によって仕上圧延を行うタンデム圧延機と、
    前記タンデム圧延機の圧延方向下流側に配置され、金属材料からなる板材を冷却する冷却装置と、
    前記タンデム圧延機と前記冷却装置との間に配置される一対のピンチロールと、
    前記タンデム圧延機の圧延条件を演算する情報処理装置と、
    を備え、
    前記タンデム圧延機の最終スタンドのワークロールが、前記板材に対して板幅方向に板厚分布を付与する孔型圧延を行うための、胴長方向に径差を有する孔型ワークロールであり、
    前記孔型圧延実行後の前記板材の薄肉部の厚みをt1、前記孔型圧延実行後の前記板材の薄肉部の板幅方向の幅をW1とした場合に、前記薄肉部の厚みt1、及び前記薄肉部の板幅方向の幅W1が、W1/t1≧15を満たし、
    前記情報処理装置は、
    前記最終スタンドによる前記孔型圧延実行前に、前記孔型圧延の圧延条件に基づいて、前記孔型圧延実行後の薄肉部の急峻度を予測し、予測された前記薄肉部の急峻度に基づいて、前記薄肉部の平坦度不良の解消に必要な伸びひずみ量を算出し、
    算出した前記伸びひずみ量と、タンデム圧延機の出側温度と、張力を付与可能な時間とに基づいて、前記薄肉部の平坦度不良の解消に必要な張力を算出し、
    前記薄肉部の平坦度不良の解消に必要な張力から、前記薄肉部の幅に基づき予測される残留応力を除いて、付与張力を算出し、
    算出した前記付与張力を、前記最終スタンドの前記ワークロールと前記一対のピンチロールとにより付与する、圧延設備。
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