JP7051456B2 - 防曇性を有する反応性ポリマー及びその製造方法、防曇用樹脂組成物 - Google Patents

防曇性を有する反応性ポリマー及びその製造方法、防曇用樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、防曇性を有する反応性ポリマー及びその製造方法、防曇用樹脂組成物に関する。
透明合成樹脂は、透明性、成形性、力学特性に優れ、窓ガラス、レンズ、ミラー、光学センサー等、多くの分野で利用されている。しかし、合成樹脂成形品等の表面では、その表面温度が露点温度以下になると、大気中の水分が細かい水滴となって結露し、曇りが生じることで、光の透過性を低下させ、視界不良、センサー等の誤作動を引き起こすという問題がある。このような曇りを防止するため、合成樹脂成形品等の表面に種々の処理を施すことにより、防曇性能を付与している。
例えば、防曇性能を付与するための樹脂組成物では、親水性ポリマーを利用することがあるが、このような親水性ポリマーは、触媒又はイソシアネート等を利用して熱硬化にて塗膜として用いられる(例えば、特許文献1及び2等)。
また、親水性ポリマーとアルキレングリコール骨格を有する多官能(メタ)アクリレートと、反応性界面活性剤等とを組み合わせた活性エネルギー線硬化型の防曇組成物も提案されている(例えば、特許文献3等)。
特開2014-117839号公報 特開2017-8217号公報 特開2012-131913号公報
しかし、親水性ポリマー自体には反応性がないために、塗膜中において化学的に固定されているわけではない。従って、親水性ポリマーが洗い流され、長期の使用により防曇効果が失効することがある。また、防曇性を付与する物質がブリードアウトし、耐久性に劣ることもある。
このような状況下、強力で持続性のある防曇手段が求められている。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、実用レベルの防曇作用を持続的に有するとともに、ブリードアウトすることなく、耐久性にも優れた防曇性を有する反応性ポリマー等を提供することを目的とする。
本願は以下の発明を含む。
〔1〕水酸基含有親水性ポリマー(X)と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)との反応物であり、
前記水酸基含有親水性ポリマー(X)は、
水酸基含有(メタ)アクリレート(A)に由来する構造単位と、
式(B)で表される化合物に由来する構造単位及び/又は平均付加モル数1~10のオキシアルキレン基を有するオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(C)に由来する構造単位とを含むことを特徴とする防曇性を有する反応性ポリマー。
Figure 0007051456000001
(式(B)中、
は、水素原子又はメチル基を表す。
は、単結合、炭素数1~10のアルカンジイル基又は*-O-炭素数1~10のアルカンジイル基を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数1~10のアルコキシ基を表す。)
〔2〕前記水酸基含有(メタ)アクリレート(A)が2-ヒドロキシエチルメタクリレート、
式(B)で表される化合物がジメチルアクリルアミド及び/又はジメチルアミノエチルメタクリレート、
前記平均付加モル数1~10のオキシエチレン基を有するメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(C)がメトキシジエチレングリコールメタクリレートである上記の反応性ポリマー。
〔3〕前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)が、2-イソシアネートエチルアクリレート及び/又は1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートである上記の反応性ポリマー。
〔4〕前記水酸基含有親水性ポリマー(X)は、前記水酸基含有(メタ)アクリレート(A)、前記式(B)で表される化合物及び/又は平均付加モル数1~10のオキシアルキレン基を有するオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(C)と共重合可能なモノマー(D)に由来する構造単位をさらに含む上記の反応性ポリマー。
〔5〕前記共重合可能なモノマー(D)が、メチルメタクリレート及び/又はt-ブチルメタクリレートである上記の反応性ポリマー。
〔6〕水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と
式(B)で表される化合物及び/又は平均付加モル数1~10のオキシアルキレン基を有するオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(C)とを、水酸基を非含有有機溶剤中で反応させることにより、水酸基含有親水性ポリマー(X)を得、
その後、得られた水酸基含有親水性ポリマー(X)と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)とを反応させることを特徴とする反応性ポリマーの製造方法。
Figure 0007051456000002
(式(B)中、
は、水素原子又はメチル基を表す。
は、単結合、炭素数1~10のアルカンジイル基又は*-O-炭素数1~10のアルカンジイル基を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数1~10のアルコキシ基を表す。)
〔7〕前記有機溶剤中に、さらに、前記水酸基含有(メタ)アクリレート(A)、前記式(B)で表される化合物及び/又は平均付加モル数1~10のオキシアルキレン基を有するオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(C)と共重合可能なモノマー(D)を添加して、水酸基含有親水性ポリマー(X)を製造する上記の反応性ポリマーの製造方法。
〔8〕上記の反応性ポリマー及び重合開始剤を含む防曇用樹脂組成物。
〔9〕さらに、反応性界面活性剤(E)と
多官能(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(F)及びこれらに由来する構造単位の少なくとも1種を含む上記の防曇用樹脂組成物。
〔10〕被塗物と、
該被塗物の表面に形成された、上記の防曇用樹脂組成物の塗布膜の活性エネルギー線での硬化膜とを備える塗装物品。
本発明によれば、実用レベルの防曇作用を持続的に有するとともに、ブリードアウトすることなく、耐久性にも優れた防曇性を有する反応性ポリマー等を提供することができる。
この反応性ポリマーを用いることにより、持続した防曇効果及び耐久性を備える防曇用樹脂組成物及びこの組成物による塗装物品を提供することができる。
本明細書においては、「(メタ)アクリル」は「メタクリル」及び/又は「アクリル」、「(メタ)アクリレート」は「メタクリレート」及び/又は「アクリレート」を表す。
また、本願における「(メタ)アクリロイル基」とは、「CH=CH-CO-」及び/又は「CH=C(CH)-CO-」を指す。
さらに、具体的に例示されたモノマー又は化合物等は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔反応性ポリマー〕
本発明の反応性ポリマーは、水酸基含有親水性ポリマー(X)と(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)との反応物である。
ここで反応物とは、主に、水酸基含有親水性ポリマー(X)中の水酸基と(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)中のイソシアネート基との重付加により得られる生成物を指す。ただし、ここでの反応物において、(メタ)アクリロイル基が残存する限り、水酸基含有親水性ポリマー(X)及び(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)中に存在する他の反応性基による反応が行われていてもよい。
また、本願における「反応性ポリマー」とは、(メタ)アクリロイル基を含有するポリマーを指す。つまり、この反応性ポリマー又は後述する防曇用樹脂組成物に活性エネルギー線を照射させることによって硬化させることができる反応性を有するポリマーを指す。なお、本願において、この反応性ポリマー又は防曇用樹脂組成物は、触媒及び多官能のイソシアネート化合物を用いた熱硬化させることができる反応性を有していてもよい。しかし、上述したような活性エネルギー線による硬化は、より簡便かつ短時間で硬化が進行することから、(メタ)アクリロイル含有ポリマーを含有し、それを利用した硬化によって、実用レベルでの防曇性を発現させることが可能となる。
言い換えると、水酸基含有親水性ポリマー(X)と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)との反応物は(メタ)アクリロイル基を残存させることができ、その反応後に、活性エネルギー線によって硬化させることができる。
この反応性ポリマーの重量平均分子量は、例えば、1,000~100,000が挙げられ、5,000~50,000が好ましい。ここでの重量平均分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した値(ポリスチレン換算)を意味する。
水酸基含有親水性ポリマー(X)は、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)に由来する構造単位と、式(B)で表される化合物に由来する構造単位及び/又は平均付加モル数1~10のオキシアルキレン基を有するオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(C)に由来する構造単位とを含む。また、水酸基含有親水性ポリマー(X)は、これら水酸基含有(メタ)アクリレート(A)、式(B)で表される化合物、平均付加モル数1~10のオキシアルキレン基を有するオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(C)のいずれか又は全部と共重合可能なモノマー(D)に由来する構造単位をさらに含んでいてもよい。
(A成分)
水酸基含有(メタ)アクリレート(A)は、水酸基及び(メタ)アクリロイル基をそれぞれ1以上含む限り、水酸基及び/又は(メタ)アクリロイル基をさらに1以上含んでいてもよいし、これらとは異なる基(例えば、連結基)を含んでいてもよい。例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ポリオール(メタ)アクリレート類等が挙げられる。なかでも、一方の末端に水酸基、他方の末端に(メタ)アクリロイル基を含有しているものが好ましい。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ポリオール(メタ)アクリレート類は、例えば、炭素数2~10程度の2~4価のポリオール(メタ)アクリレート類、具体的には、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なかでも、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、2-ヒドロキシエチルメタクリレートがより好ましい。
水酸基含有親水性ポリマー(X)において、水酸基含有(メタ)アクリレート(A)は、水酸基含有親水性ポリマー(X)を構成するモノマー100重量部に対して、水酸基含有(メタ)アクリレートが1~20重量部であることが好ましく、5~10重量部であることがより好ましい。
(B成分)
式(B)で表される化合物(以下、「化合物(B)」と記載することがある)は、以下の式で表される。
Figure 0007051456000003
(式(B)中、
は、水素原子又はメチル基を表す。
は、単結合、炭素数1~10のアルカンジイル基又は*-O-炭素数1~10のアルカンジイル基を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数1~10のアルコキシ基を表す。)
ただし、B成分は、A成分とは異なる化合物である。
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基、ペンタデカン-1,15-ジイル基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ペンタン-2,4-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,2-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、2-メチルブタン-1,4-ジイル基等が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基等が挙げられる。
化合物(B)としては、例えば、メチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、プロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピル(メタ)アクリルアミド、メチルエチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル(メタ)アクリルアミド;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N-メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。なかでも、化合物(B)として、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましく、ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレートがより好ましい。
水酸基含有親水性ポリマー(X)が式(B)で表される化合物に由来する構造単位を含む場合、式(B)で表される化合物は、水酸基含有親水性ポリマー(X)を構成するモノマー100重量部に対して、30~75重量部であることが好ましく、35~70重量部であることがより好ましい。
(C成分)
平均付加モル数1~10のオキシアルキレン基を有するオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(C)は、メトキシジメチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジプロプレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、平均付加モル数1~6のオキシアルキレン基を有するオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが好ましく、平均付加モル数1~4のオキシアルキレン基を有するオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートがより好ましい。特に、メトキシジエチレングリコールメタクリレートがさらに好ましい。
水酸基含有親水性ポリマー(X)が平均付加モル数1~10のオキシアルキレン基を有するオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(C)に由来する構造単位を含む場合、このオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートは、水酸基含有親水性ポリマー(X)を構成するモノマー100重量部に対して、0~40重量部であることが好ましく、10~30重量部であることがより好ましい。
(D成分)
共重合可能なモノマー(D)は、上述した成分(A)~(C)のいずれか又は全部に対して重合性基を有するものであればよく、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基等を有するものが挙げられる。なかでも、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基を有するものが好ましい。
共重合可能なモノマーとしては、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数3~15の脂環式炭化水素基、ポリアルキレングリコール(付加モル数1~10)骨格等の1以上を含むものが挙げられ、なかでも、アルキル基が好ましく、炭素数1~6のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、t-ブチルアクリレート、t-ブチルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。このような共重合可能なモノマーを導入することにより、耐水性を付与することができる。
水酸基含有親水性ポリマー(X)が共重合可能なモノマー(D)に由来する構造単位を含む場合、この共重合可能なモノマーは、水酸基含有親水性ポリマー(X)を構成するモノマー100重量部に対して、0~40重量部であることが好ましく、10~30重量部であることがより好ましい。
特に、水酸基含有親水性ポリマー(X)は、ジメチル(メタ)アクリルアミド/メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート/ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレートの共重合体が好ましく、ジメチルアクリルアミド/メトキシジエチレングリコールメタリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレートの重量比が30~40/10~30/10~30/5~10/10~30であるものがより好ましい。
〔反応性ポリマーの製造方法〕
反応性ポリマーは、まず、水酸基含有親水性ポリマー(X)を製造した後、得られた水酸基含有親水性ポリマー(X)と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)とを反応、例えば、ウレタン化反応等させることにより製造することができる。
水酸基含有親水性ポリマー(X)は、上述した水酸基含有(メタ)アクリレート(A)、式(B)で表される化合物及び/又は平均付加モル数1~10のオキシアルキレン基を有するオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(C)、任意に共重合可能なモノマー(D)を上述した範囲で反応させることにより得ることができる。ここでの反応は、例えば、60~100℃の温度範囲で、3~8時間、溶剤中で反応させることが好ましい。
溶剤は、通常、樹脂組成物に使用されるものを適宜選択して使用することができる。例えば、アルコール類、グリコール類、脂肪族環状ケトン類、酢酸エステル類等を用いることができる。なかでも、アルコール類以外の溶剤を用いることが好ましい。つまり、水酸基を有していない溶剤を用いることが好ましい。
グリコール類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。
脂肪族環状ケトン類としては、例えば、シクロヘキサノン、オルト、メタ、パラ-メチルシクロヘキサノン等が挙げられる。
酢酸エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチルが挙げられる。
さらに、ソルベントナフサ、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、n-オクタン、イソオクタン等の飽和炭化水素溶剤、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等を用いてもよい。
イソプロピルアルコール(IPA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)などの水酸基を含有している溶剤を用いないことにより、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)が残存する溶剤の水酸基と反応することを回避して、水酸基含有親水性ポリマー(X)と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)との反応を確実かつ十分に行わせることができる。
溶剤は、上述した成分(A)、(B)、(C)、任意に(D)の合計100重量部に対して、通常、10~2000重量部で用いることが好ましく、50~500重量部で用いることがより好ましい。
(Y成分)
(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)は、(メタ)アクリロイル基とイソシアネートとを含有するものであればよく、これらはそれぞれ1以上含んでいてもよいし、2以上含んでいてもよい。
例えば、(メタ)アクリロイルイソシアネート、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、2-(0-[1'-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有モノイソシアネート;2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-ジメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジメチレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート及びノルボルナンジイソシアネート等のジイソシアネートの一方のイソシアネート基と水酸基含有(メタ)アクリレートとがウレタン結合したもの(ウレタン化反応したもの)等が挙げられる。なかでも、2-イソシネートエチル(メタ)アクリレート、1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートが好ましく、2-イソシネートエチルアクリレート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートがより好ましい。
水酸基含有親水性ポリマー(X)と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)との反応は、例えば、60℃~80℃の温度範囲で、1~4時間、溶剤中で反応させることが好ましい。
溶剤は、上述したもののなかから適宜選択して用いることができる。また、水酸基含有親水性ポリマー(X)と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)との反応の際には(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)の(メタ)アクリロイル基を重合させないことが好ましい。このために、重合禁止剤等を添加してもよい。
(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)は、水酸基含有親水性ポリマー(X)を合成する際に用いた水酸基含有(メタ)アクリレート由来の水酸基のモル数より少ないイソシアネートのモル数で、水酸基含有親水性ポリマー(X)と反応させることが好ましい。なかでも(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)由来のイソシアネートのモル数が、水酸基含有親水性ポリマー(X)を合成する際に用いた水酸基含有(メタ)アクリレート由来の水酸基のモル数の75~95%であることがより好ましい。
水酸基含有親水性ポリマー(X)と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)とを水酸基含有親水性ポリマー(X)の側鎖に、水酸基とイソシアネート基とによるウレタン結合を形成する(ウレタン化反応する)ような反応物とすることにより、(メタ)アクリロイル基を十分に残存させることができる。このことは、後述する実施例における反応物のGPCの測定結果から、水酸基含有親水性ポリマー(X)の主鎖に(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)が組み込まれて、さらにこれが、水酸基と反応して3次元架橋が起きているような分子量の増加は認められないことからも確認される。このような基の残存によって、この反応の後に、さらに、この反応性ポリマーに活性エネルギー線を照射することによる硬化を可能とすることができる。これによって、適所に、容易にかつ簡便にこのような反応性ポリマーを用いた高性能の防曇膜を形成することが可能となる。
また、水酸基含有親水性ポリマー(X)を構成するモノマーと、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートとの多元の共重合体では、(メタ)アクリロイル基の重合反応に加えて、例えば、モノマーに存在する他の官能基同士の反応、例えば、水酸基とイソシアネートとによるウレタン化反応等も起こるため、共重合体中で架橋が起こり、3次元化して、溶剤を抱き込んでのゲル化が生じることとなる。
一方、本願発明のように、水酸基含有親水性ポリマー(X)と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)とを反応させた反応物とすることにより、これら架橋、ゲル化を回避することができ、コーティング用途の材料として、つまり、防曇用樹脂組成物として、好適に使用することを可能とする。
〔防曇用樹脂組成物〕
本願における防曇用樹脂組成物は、上述した反応性ポリマーと、重合開始剤とを含む。防曇用樹脂組成物は、さらに、反応性界面活性剤(E)、多官能(メタ)アクリレート及び/又はウレタン(メタ)アクリレート(F)、多官能(メタ)アクリレート及び/又はウレタン(メタ)アクリレートに由来する構造単位の少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
重合開始剤としては、例えば、活性エネルギー線によりラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。例えば、ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、1-フェニル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、2-メチル[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、4-(2-メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン}、1-[4-(4-ベンゾイルフェニルスルフォニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルフォニル)プロパン-1-オンが挙げられる。
ここでの活性化エネルギー線とは、例えば、可視光線、紫外線、放射線、赤外線、X線、α線、β線、γ線、電子線等が挙げられる。その照射量は、用いる組成物の構成材料によって適宜調製することができる。
重合開始剤は、防曇用樹脂組成物の固形分(溶剤以外の全成分の合計重量)100重量部に対して、0.3~20重量部用いることが好ましく、0.4~8重量部用いることがより好ましい。
(E成分)
反応性界面活性剤は、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を1個以上有する界面活性剤である。ここで、ラジカル重合可能な不飽和二重結合としては、例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等を挙げることができる。反応性界面活性剤としては、当該分野で公知の反応性界面活性剤を用いることができるが、エチレン性不飽和結合を有する界面活性剤が好適に用いられる。例えば、アデカリアソープER-10(ノニオン性)、アデカリアソープSE-20N(アニオン性)、アデカリアソープSE-10N(アニオン性)、アデカリアソープNE-10(ノニオン性)、アデカリアソープNE-20(ノニオン性)、アデカリアソープNE-30(ノニオン性)、アデカリアソープNE-40(ノニオン性)、アデカリアソープSDX-730(アニオン性)、アデカリアソープSDX-731(アニオン性)〔以上、旭電化工業(株)製〕、エレミノールJS-2(アニオン性)、エレミノールRS-30(アニオン性)〔以上、三洋化成工業(株)製〕、ラテムルS-180A(アニオン性)、ラテムルS-180(アニオン性)〔以上、花王(株)製〕、アクアロンBC-05(アニオン性)、アクアロンBC-10(アニオン性)、アクアロンBC-20(アニオン性)、アクアロンHS-05(アニオン性)、アクアロンHS-10(アニオン性)、アクアロンHS-20(アニオン性)、アクアロンKH-10(アニオン性)、アクアロンKN-10(ノニオン性)、アクアロンRN-10(ノニオン性)、アクアロンRN-20(ノニオン性)、アクアロンRN-30(ノニオン性)、アクアロンRN-50(ノニオン性)、ニューフロンティアS-510(アニオン)〔以上、第一工業製薬(株)製〕、フォスフィノ-ルTX(アニオン性)〔東邦化学工業(株)製〕)等の市販品が挙げられる。
反応性界面活性剤は、防曇用樹脂組成物の固形分(溶剤以外の全成分の合計重量)100重量部に対して、0.01~15重量部用いることが好ましく、0.1~10重量部用いることがより好ましい。
(F成分)
多官能(メタ)アクリレート及び/又はウレタン(メタ)アクリレート(F)としては、水酸基含有親水性ポリマー(X)を構成するモノマー以外のものを指す。1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物であることが好ましい。
例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(エチレンオキサイド付加体)トリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリンエチレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのジアクリレート、多価アルコールと多塩基酸を縮合して得られる化合物の(メタ)アクリレート及び上述したポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応によって得られる化合物、水酸基含有ポリマーと水酸基含有(メタ)アクリレートがイソシアネートによるウレタン化反応によって得られる化合物等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート及び/又はウレタン(メタ)アクリレートの合計量は、上述した反応性ポリマー100重量部に対して、10~500重量部、10~200重量部、20~300重量部、20~200重量部、20~100重量部、20~80重量部、20~50重量部等で用いることが好ましい。このような範囲で用いることにより、他の成分と相まって、硬化収縮率を効果的に調整することができる。
本発明の防曇用樹脂組成物は、さらに他の成分を含んでいてもよい。例えば、他の成分としては、慣用の添加剤[例えば、顔料、着色剤、増粘剤、増感剤、消泡剤、レベリング剤、塗布性改良剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、光安定剤など)、紫外線吸収剤、可塑剤、界面活性剤、充填剤、帯電防止剤等]などが挙げられる。
〔塗装物品〕
本発明の防曇用樹脂組成物は、上述したように活性エネルギー線を照射すること等により硬化させることが可能である。従って、塗装物品は、被塗物と、この樹脂組成物による、被塗物に塗布された塗膜の活性エネルギー線での硬化膜とによって構成される。
ここでの成形品は、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AN樹脂等の汎用樹脂からなるプラスチック成形品に限られず、木材、ガラス、金属、セラミック、紙、セメント、これらの複合品等の種々の材料で成形されたものを包含する。また、本発明の組成物自体で成形品を構成してもよい。この成形品としては、本発明の防曇用樹脂組成物が防曇膜を構成するフィルム、転写箔等の形態であってもよい。
従って、例えば、透明基材の上に本発明の防曇用樹脂組成物を適用してフィルム形状とし、防曇用転写箔及び防曇用フィルムとしたものでもよいし、これらの転写箔又はフィルムを成形品等の表面に適用したものでもよい。成形品がプラスチックからなる場合は、そのプラスチック成形品の意図する特性に影響を及ぼさない限り、成形品を構成するプラスチックに、本発明の防曇用樹脂組成物を混合して、防曇層としてもよい。
透明基材としては、ポリウレタン樹脂、ポリエピスルフィド樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のような(メタ)アクリル系重合体、アリル系重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、ポリカーボネート、MS樹脂、環状ポリオレフィン等各種合成樹脂からなる基材が挙げられる。基材は、平板状、曲板状、フィルム状等のいずれの形状であってもよい。
塗布は、例えば、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、スピンコート法、ロールコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、はけ塗り法等により行うことができる。
塗布の厚みは、硬化後に0.01~100μm程度とすることが適している。
活性エネルギー線の照射は、例えば、紫外線等の場合、100~1,500mJ/cm程度が挙げられる。
なお、防曇層の密着性等を向上させるために、あらかじめ透明基材又は成形品の表面にプライマー層を設けたり、アルカリ処理、酸処理、プラズマ処理、コロナ処理、火炎処理等の前処理を行ってもよい。
プライマー層としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂が挙げられる。プライマー層の厚みは2~50nm程度が適している。プライマー層は、これらの樹脂溶液を、ディッピング法、スプレー法、フローコート法、ロールコート法、スピンコート法などいずれかの方法で塗布することにより形成することができる。
以下に、本発明の防曇性を有する反応性ポリマーの実施例を詳細に説明する。
実施例1
(水酸基含有親水性ポリマーの合成)
四つ口フラスコにメチルエチルケトン(MEK)186重量部を仕込み、窒素を吹き込みながら加温し、68℃に達した時点で、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製、商品名:V-65)2重量部を添加した。そこに、ジメチルアクリルアミド(kJケミカルズ株式会社製、商品名:DMAA)35重量部、メトキシジエチレングリコールメタクリレート(東京化成工業株式会社製)30重量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名:ライトアクリレートHO-250(N))5重量部、メチルメタクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名:ライトエステルM)30重量部の混合物を、68~72℃の間で約1時間かけて滴下した。滴下終了から3時間後80℃に昇温して2時間熟成を行い、水酸基含有親水ポリマーを得た。
(防曇性を有する(メタ)アクリロイル基含有ポリマーの合成)
四つ口フラスコに合成された水酸基含有親水性ポリマー288重量部、2-イソシアナトエチルアクリラート(昭和電工株式会社製、商品名:カレンズAOI)4.4重量部、ジオクチル錫、メトキノン、ジブチルヒドロキシトルエンを仕込み赤外線吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収スペクトル(2280cm-1)が消失するまで60~65℃で反応を行い、防曇性を有する(メタ)アクリロイル基を含有するポリマーを得た。
(実施例2~12及び比較例)
表1~2に示す各成分を用いて、実施例1と同様の方法により、水酸基含有親水性ポリマー及び防曇性を有する(メタ)アクリロイル基を含有する反応性ポリマーを得た。また、得られたポリマーと表3に示す各成分を用いて固形分が100重量部になるように混合し、樹脂組成物を得た。
Figure 0007051456000004
Figure 0007051456000005
Figure 0007051456000006
表1における記号は以下のとおりである。
MEK:メチルエチルケトン
PGME:プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート
ライトエステルH0-250(N):2-ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社化学株式会社製)
DMAA:ジメチルアクリルアミド(kJケミカルズ株式会社製)
メトキシジエチレングリコールメタクリレート:(東京化成工業株式会社製)
N-メチロールアクリルアミド:(笠野興産株式会社社製)
ライトアクリレートP-200A:フェノキシポリエチレングリコールアクリレート(共栄社化学株式会社製)
ライトエステルDM:ジメチルアミノエチルメタクリレート(共栄社化学株式会社製)
ライトエステルM:メチルメタクリレート(共栄社化学株式会社製)
ライトエステルTB:ter-ブチルメタクリレート(共栄社化学株式会社製)
カレンズAOI:2-イソシアネートエチルアクリレート(昭和電工株式会社製)
カレンズBEI:1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(昭和電工株式会社製)
アクアロンKH-10:反応性界面活性剤(第一工業製薬株式会社)
ライトアクリレートPE-3A:ペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学株式会社製)
得られた反応性ポリマー及び樹脂組成物の固形分(溶剤以外の成分)100重量部に対して、光重合開始剤として、イルガキュア184を5重量部添加した。これに、溶剤としてMEKを添加し、活性エネルギー線硬化が可能な樹脂組成物を約35重量%に調製した。
得られた樹脂組成物を、バーコーターによって、易接着PETに乾燥後の厚みが10±2μmとなるように塗工し、その後80℃にて、2分乾燥した。続いて、400mJ/cmの紫外線を照射して防曇性の硬化膜を得た。なお、比較例における反応性の無いポリマーは、上記と同様に溶剤を加えて、そのまま塗工して、80℃にて2分乾燥して塗膜を得た。
得られた塗膜について、以下の評価を行った。
<タック性>
塗膜の表面を指で押さえ、塗膜のベタつきの有無を観察した。
ベタつきがないものを○、
若干ベトつきがあるものを△とした。
<呼気防曇性>
塗膜の表面に常温で呼気を吹きかけ、曇りの有無を目視で評価した。
曇りが認められないものを○、
曇りが認められるものを×とした。
<スチーム防曇性A>
60℃の温水面から5cmの高さのところに塗膜面が下になるように設置し、1分後の塗膜の曇りの有無を目視で評価した。
曇りが認められないものを○、
実験終了後スチームから外すと曇りが解消するものを△とした。
<耐水性>
塗膜を25℃の水中に24時間浸漬後、常温乾燥し、塗膜の外観を目視で評価した。
変化がないものを〇、
ヘイズが生じているものを△、
白化及び/又は剥離が生じているものを×とした。
<スチーム防曇性B>
上述した耐水性を確認した後、スチーム防曇性Aと同じ操作を行い、確認した。評価基準はスチーム防曇性Aに従った。
<スチーム防曇性C>
60℃の温水面から5cmの高さのところに塗膜面が下になる様に設置し、1時間後の塗膜の曇りの有無及び膜外観を目視で評価した。
曇りが認められず平坦な水膜が形成されているものを◎、
曇りが認められず大きな水滴が形成されているものを○、
塗膜に白化及び/又は剥離が生じているものを×とした。
<密着性>
JIS K5600-5-6に記載の方法に従い、クロスカット1mm碁盤目試験による密着性を確認した。XX/100中のXXは密着試験後に密着している枡目(100/100の場合は100個密着している)を表す。
本発明の反応性ポリマーを用いた防曇用樹脂組成物で塗膜を形成した場合、防曇作用を示す成分が、水中への浸漬等によって流動して、洗い流されたりせず、塗膜表面に強固に固定されていることが分かる。従って、長期の使用により防曇効果が失効することなく、また、防曇性を付与する成分がブリードアウトすることもなく、高い耐久性を得ることができることが確認された。

Claims (10)

  1. 水酸基含有親水性ポリマー(X)と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)との反応物であり、
    前記水酸基含有親水性ポリマー(X)は、
    水酸基含有(メタ)アクリレート(A)に由来する構造単位と、
    式(B)で表される化合物に由来する構造単位と、
    均付加モル数1~10のオキシアルキレン基を有するオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(C)に由来する構造単位とを含み、
    前記水酸基含有親水性ポリマー(X)を構成するモノマー100重量部に対して、式(B)で表される化合物が30~75重量部、平均付加モル数1~10のオキシアルキレン基を有するオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(C)が10~30重量部含有されることを特徴とする防曇性を有する反応性ポリマー。
    Figure 0007051456000007
    (式(B)中、
    は、水素原子又はメチル基を表す。
    は、単結合、炭素数1~10のアルカンジイル基又は*-O-炭素数1~10のアルカンジイル基を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
    及びRは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数1~10のアルコキシ基を表す。)
  2. 前記水酸基含有(メタ)アクリレート(A)が2-ヒドロキシエチルメタクリレート、
    式(B)で表される化合物がジメチルアクリルアミド及び/又はジメチルアミノエチルメタクリレート、
    前記平均付加モル数1~10のオキシアルキレン基を有するオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(C)がメトキシジエチレングリコールメタクリレートである請求項1に記載の反応性ポリマー。
  3. 前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)が、2-イソシアネートエチルアクリレート及び/又は1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートである請求項1又は2に記載の反応性ポリマー。
  4. 前記水酸基含有親水性ポリマー(X)は、前記水酸基含有(メタ)アクリレート(A)、前記式(B)で表される化合物及び平均付加モル数1~10のオキシアルキレン基を有するオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(C)と共重合可能なモノマー(D)に由来する構造単位をさらに含む請求項1~3のいずれか1項に記載の反応性ポリマー。
  5. 前記共重合可能なモノマー(D)が、メチルメタクリレート及び/又はt-ブチルメタクリレートである請求項4に記載の反応性ポリマー。
  6. 水酸基含有(メタ)アクリレート(A)と
    式(B)で表される化合物と、
    均付加モル数1~10のオキシアルキレン基を有するオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(C)とを、水酸基非含有有機溶剤中で反応させることにより、水酸基含有親水性ポリマー(X)を得
    その後、得られた水酸基含有親水性ポリマー(X)と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(Y)とを反応させることを特徴とする反応性ポリマーの製造方法。
    Figure 0007051456000008
    (式(B)中、
    は、水素原子又はメチル基を表す。
    は、単結合、炭素数1~10のアルカンジイル基又は*-O-炭素数1~10のアルカンジイル基を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
    及びRは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数1~10のアルコキシ基を表す。)
  7. 前記有機溶剤中に、さらに、前記水酸基含有(メタ)アクリレート(A)、前記式(B)で表される化合物及び平均付加モル数1~10のオキシアルキレン基を有するオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(C)と共重合可能なモノマー(D)を添加して、水酸基含有親水性ポリマー(X)を製造する請求項6に記載の反応性ポリマーの製造方法。
  8. 請求項1~5の何れか1項に記載の反応性ポリマー及び重合開始剤を含む防曇用樹脂組成物。
  9. さらに、反応性界面活性剤(E)と
    多官能(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(F)及びこれらに由来する構造単位の少なくとも1種を含む請求項8に記載の防曇用樹脂組成物。
  10. 被塗物と、
    該被塗物の表面に形成された、請求項8又は9に記載の防曇用樹脂組成物の塗布膜の活性エネルギー線での硬化膜とを備える塗装物品。
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