JP7051166B1 - 撹拌脱泡装置及び流体処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】撹拌容器の自転及び公転に伴う遠心力によって撹拌及び脱泡処理の効率を高めると共に、撹拌容器の下方に生じる余分なスペースを減少させたり、又は、撹拌容器の下方のスペースを有効に利用する。【解決手段】撹拌脱泡装置は、同軸状に配置されたピニオンギアと共に第1の軸を中心として回転可能な中央回転軸と、中央回転軸の周囲において回転可能なローターと、ローターの複数の位置にそれぞれ固定された複数の容器ホルダー外周部と、複数の容器ホルダー外周部にそれぞれ挿入され、上端部にピニオンギアに噛合するリングギアが同軸状に配置されて、第2の軸を中心として回転可能な複数の容器ホルダー内周部と、中央回転軸を回転させることにより複数の容器ホルダー内周部を自転させると共に、ローターを回転させることにより複数の容器ホルダー内周部を公転させる回転駆動機構とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、主剤と硬化剤等の混合物や金属粉と液体等の混合物等のように、液状又はペースト状の流体の撹拌及び脱泡処理等を行う撹拌脱泡装置及び流体処理方法等に関する。
例えば、エポキシ樹脂等の流体を基板に塗布する際には、撹拌容器内において原料組成分を撹拌混合してペースト状の流体とし、流体中の気泡を除去する脱泡処理を施した後に、撹拌及び脱泡処理された流体をシリンジ等の被充填容器内に移送充填して使用に供している。一例として、まず、撹拌脱泡装置を用いて、撹拌容器内において原料組成分の撹拌混合と気泡の除去が行われ、次に、撹拌及び脱泡処理された流体を別の圧送用容器に移送し、圧送用ピストンによって流体を圧送して被充填容器内への充填が行われる。
関連する技術として、特許文献1には、被処理物を収容した容器を公転及び自転させて撹拌及び脱泡を行う撹拌脱泡装置が開示されている。この撹拌脱泡装置は、自転軸を備えた容器ホルダーと、軸受けを介して自転軸が回転可能に接する回転ユニットと、回転ユニットに連結された公転軸と、公転軸に第1の回転運動伝達手段により連結された公転駆動モーターと、容器ホルダーに第2の回転運動伝達手段により連結された自転駆動軸と、自転駆動軸に第3の回転運動伝達手段により連結された自転駆動モーターとを備えている。
特開2017-80645公報(段落0001、0022-0023、0033、図1)
特許文献1の撹拌脱泡装置によれば、容器ホルダーを公転させると共に、所定の処理順序で2種の異なる回転速度で自転させて、被処理物を高精度に撹拌及び脱泡することが可能となる。なお、特許文献1には開示されていないが、撹拌及び脱泡処理の効率を高めるためには、撹拌容器の周囲の空間を密閉して減圧することが効果的である。
しかしながら、特許文献1の図1に示されている撹拌脱泡装置においては、容器1の下方に歯車11や軸受4が設けられているので、容器1と固定ベース19との間に歯車11や軸受4を収納するための余分なスペースが必要となり、撹拌及び脱泡処理の効率を高める場合に密閉すべき空間のサイズが大きくなってしまう。また、撹拌及び脱泡処理された流体をシリンジ等の被充填容器に充填するためには、撹拌脱泡装置とは別の流体充填装置が必要になってしまう。
そこで、上記の点に鑑み、本発明の第1の目的は、撹拌容器に収容された流体の撹拌及び脱泡処理を行う際に、撹拌容器の自転及び公転に伴う遠心力によって撹拌及び脱泡処理の効率を高めると共に、撹拌容器の下方に生じる余分なスペースを減少させたり、又は、撹拌容器の下方のスペースを有効に利用することである。また、本発明の第2の目的は、1つの撹拌脱泡装置を用いて、撹拌容器に収容された流体の撹拌及び脱泡処理を行うと共に、撹拌及び脱泡処理された流体を被充填容器に充填することである。
上記課題の少なくとも1つを解決するため、本発明の第1の観点に係る撹拌脱泡装置は、同軸状に配置されたピニオンギアと共に、第1の軸を中心として回転可能な中央回転軸と、前記中央回転軸の周囲において、前記第1の軸を中心として回転可能なローターと、前記ローターの複数の位置にそれぞれ固定された複数の容器ホルダー外周部と、前記複数の容器ホルダー外周部にそれぞれ挿入された複数の容器ホルダー内周部であって、各々の容器ホルダー内周部の上部及び下部の外側と前記容器ホルダー外周部の内側との間にそれぞれベアリングが配置され、各々の容器ホルダー内周部の上端部に前記ピニオンギアに噛合するリングギアが同軸状に配置されて、前記第1の軸に対して傾斜した第2の軸を中心として回転可能な前記複数の容器ホルダー内周部と、前記中央回転軸を回転させることにより前記複数の容器ホルダー内周部を自転させると共に、前記ローターを回転させることにより前記複数の容器ホルダー内周部を公転させる回転駆動機構と、前記複数の容器ホルダー外周部及び内周部を含む空間を密閉するための密閉構造体とを備える撹拌脱泡装置であって、複数の撹拌容器に収容された流体の撹拌及び脱泡処理を遠心力によって行う第1のモードにおいて、前記複数の撹拌容器が前記複数の容器ホルダー内周部に保持された際に、前記密閉構造体の内部において前記複数の容器ホルダー外周部及び内周部の下方に空きスペースが生じ、撹拌及び脱泡処理された流体を複数の撹拌容器から複数の被充填容器に遠心力によって充填する第2のモードにおいて、前記複数の被充填容器が装着された前記複数の撹拌容器が前記複数の容器ホルダー内周部に保持された際に、前記複数の容器ホルダー外周部及び内周部の底部に設けられた開口から下方のスペースに前記複数の被充填容器が突出する
また、本発明の第2の観点に係る流体処理方法は、第1の軸を中心として回転可能なローターの複数の位置にそれぞれ固定された複数の容器ホルダー外周部に第2の軸を中心として回転可能に挿入された複数の容器ホルダー内周部に、流体を収容する複数の撹拌容器を保持させるステップ(S1)と、前記複数の撹拌容器を保持する前記複数の容器ホルダー内周部を含む空間を密閉して減圧するステップ(S2)と、各々の容器ホルダー内周部の上端部に同軸状に配置されたリングギアに噛合するピニオンギアに接続された中央回転軸を回転させることにより前記複数の容器ホルダー内周部を自転させると共に、前記ローターを回転させることにより前記複数の容器ホルダー内周部を公転させて、前記複数の撹拌容器に収容された流体の撹拌及び脱泡処理を遠心力によって行うステップ(S3)と、前記複数の容器ホルダー内周部に、複数の被充填容器が装着された複数の撹拌容器を保持させて、前記複数の容器ホルダー外周部及び内周部の底部に設けられた開口から下方のスペースに前記複数の被充填容器を突出させると共に、撹拌及び脱泡処理された流体を前記複数の撹拌容器に収容するステップ(S4)と、前記複数の被充填容器が装着された前記複数の撹拌容器を保持する前記複数の容器ホルダー内周部を含む空間を密閉して減圧するステップ(S5)と、前記中央回転軸を回転させることにより前記複数の容器ホルダー内周部を自転させると共に、前記ローターを回転させることにより前記複数の容器ホルダー内周部を公転させて、前記複数の撹拌容器に収容された流体を前記複数の被充填容器に遠心力によって充填するステップ(S6)とを備える。
本発明の第1の観点によれば、複数の撹拌容器をそれぞれ保持する複数の容器ホルダー内周部を自転させると共に公転させて、撹拌容器の自転及び公転に伴う遠心力によって撹拌及び脱泡処理の効率を高めることができる。また、各々の容器ホルダー内周部の上部及び下部の外側と容器ホルダー外周部の内側との間にそれぞれベアリングが配置され、各々の容器ホルダー内周部の上端部にリングギアが配置されることにより、撹拌容器の下方に生じる余分なスペースを減少させたり、又は、撹拌容器の下方のスペースを有効に利用することができる。
さらに、本発明の第1又は第2の観点によれば、撹拌容器の下方のスペースを有効に利用しながら、1つの撹拌脱泡装置を用いて、撹拌容器に収容された流体の撹拌及び脱泡処理を行うと共に、撹拌及び脱泡処理された流体を被充填容器に充填することができる。
本発明の一実施形態に係る撹拌脱泡装置の構成例を示す一部断面図。 図1に示す左側の容器ホルダーを拡大して示す一部断面図。 4個の容器ホルダーを搭載する撹拌脱泡装置におけるピニオンギアと4個のリングギアとの位置関係を示す平面図。 8個の容器ホルダーを搭載する撹拌脱泡装置におけるピニオンギアと8個のリングギアとの位置関係を示す平面図。 本発明の一実施形態に係る流体処理方法を示すフローチャート。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
<撹拌脱泡装置>
図1は、本発明の一実施形態に係る撹拌脱泡装置の構成例を示す一部断面図である。この撹拌脱泡装置は、中央回転軸10と、ローター20と、複数の容器ホルダー外周部30と、複数の容器ホルダー内周部40と、ベアリング51及び52と、回転駆動機構60と、制御回路70とを含み、エポキシ樹脂等の液状又はペースト状の材料(以下、「流体」という)の撹拌及び脱泡処理等を行うために用いられる。
ここで、撹拌及び脱泡処理の効率を高めるために、複数の撹拌容器をそれぞれ保持する複数の容器ホルダー内周部40が、第1の軸(公転軸)Aを中心として公転すると共に、第2の軸(自転軸)B1、B2、・・・を中心として自転するように構成されている。なお、図1に示す構成要素の一部を省略又は変更しても良いし、あるいは、図1に示す構成要素に他の構成要素を付加しても良い。
中央回転軸10は、その上端部に同軸状に配置されたピニオンギア11と共に、公転軸Aを中心として回転可能であり、ローター20は、中央回転軸10の周囲において、公転軸Aを中心として回転可能である。一般的に、ピニオンギアとは、駆動側の歯車を意味する。中央回転軸10及びローター20は、例えば、ベース板80等に設けられた複数の回転軸受部によって、回転可能に支持されている。
複数の容器ホルダー外周部30は、ローター20の複数の位置にそれぞれ固定されている。例えば、各々の容器ホルダー外周部30が、2枚の側板31及び32によって中央ブロック33に固着され、さらに、中央ブロック33が、ローター20に固着されても良い。あるいは、複数の容器ホルダー外周部30と、それぞれの側板31及び32と、中央ブロック33とが、鋳物等で一体成型されても良い。
容器ホルダー外周部30は、例えば、円筒形状を有している。また、複数の容器ホルダー内周部40が、複数の容器ホルダー外周部30にそれぞれ挿入されている。各々の容器ホルダー内周部40の上部及び下部の外側と容器ホルダー外周部30の内側との間には、それぞれベアリング51及び52が配置されている。例えば、ベアリング51及び52の各々は、環状のボール軸受(ボールベアリング)を含んでも良い。
また、各々の容器ホルダー内周部40の上端部には、中央回転軸10に接続されたピニオンギア11に噛合するリングギア41が同軸状に配置されている。例えば、1.5リットルの撹拌容器を用いる場合に、ピニオンギア11の歯数が25枚でリングギア41の歯数が48枚のギア群(例えば、モジュール4)を使用することができる。
撹拌及び脱泡処理等の効率を高めるために、容器ホルダー内周部40の自転軸B1、B2、・・・は、公転軸Aに対して傾斜している。公転軸Aと自転軸B1、B2、・・・とがなす角度は、略30°から略60°までの範囲内であることが望ましい。その結果、複数の容器ホルダー内周部40の上部と公転軸Aとの間の距離が、複数の容器ホルダー内周部40の下部と公転軸Aとの間の距離よりも短くなっている。
また、リングギア41が容器ホルダー内周部40の上端部に配置されることにより、ピニオンギア11も中央回転軸10の上端部に配置されている。それにより、ピニオンギア11の直径をできる限り小さくして容器ホルダー外周部30をコンパクトに構成することによって、特許文献1のようにリングギア41が容器ホルダー内周部40の下部に配置される場合に撹拌容器の下方に生じる余分なスペースを減少させることができる。なお、一般に、「下方」とは、重力が働く方向を意味するが、容器ホルダー外周部30及び容器ホルダー内周部40に関しては、自転軸B1、B2、・・・が鉛直方向に対して傾いているので、自転軸B1、B2、・・・の方向に沿って「上方」と「下方」が定義される。
回転駆動機構60は、中央回転軸10を回転させることにより複数の容器ホルダー内周部40を自転させると共に、ローター20を回転させることにより複数の容器ホルダー内周部40を公転させる。
例えば、回転駆動機構60は、中央回転軸10の下端部に同軸状に配置された第1のプーリー61と、第1のプーリー61にタイミングベルト65で連結された第2のプーリー62と、第2のプーリー62を回転させる第1のモーターM1とを含んでいる。第1のモーターM1が回転することにより、中央回転軸10を回転させて、複数の容器ホルダー内周部40を自転させることができる。
また、回転駆動機構60は、ローター20の下端部に同軸状に配置された第3のプーリー63と、第3のプーリー63にタイミングベルト66で連結された第4のプーリー64と、第4のプーリー64を回転させる第2のモーターM2とを含んでいる。第2のモーターM2が回転することにより、ローター20を回転させて、複数の容器ホルダー内周部40を公転させることができる。
あるいは、図1に示すようなベルトドライブ方式以外のドライブ方式、例えば、アイドラードライブ方式又はダイレクトドライブ方式を用いても良い。何れにしても、回転駆動機構60は、ACサーボモーター等で構成される第1のモーターM1及び第2のモーターM2を含み、それらのモーターの回転数を独立に設定することにより、容器ホルダー内周部40の自転速度と公転速度とを独立に設定できるように構成されている。
あるいは、1つのモーターが容器ホルダー内周部40を自転及び公転させるように回転駆動機構60が構成されても良い。例えば、第2のモーターM2を省略して、ローター20を中央回転軸10に連動させれば、第1のモーターM1が容器ホルダー内周部40を自転及び公転させることができる。制御回路70は、複数の操作ボタン等を有しており、オペレーターの操作に従って、少なくとも回転駆動機構60を制御する。
また、本実施形態に係る撹拌脱泡装置は、複数の容器ホルダー外周部30及び複数の容器ホルダー内周部40を含む空間を密閉するための密閉構造体(例えば、密閉可能なチャンバ)をさらに含んでも良い。その場合には、流体を収容する撹拌容器の周囲の空間を密閉して減圧し、撹拌及び脱泡処理等の効率を高めることが可能になる。
上記の密閉構造体を構成するために、例えば、図1に示す撹拌脱泡装置は、中央回転軸10~複数の容器ホルダー内周部40等のメカニズムを支えるベース板80と、ベース板80を囲み、それらのメカニズムを収納する円筒タンク等のキャビネット81と、キャビネット81の上部に開閉可能に設けられた蓋82とを含んでいる。さらに、キャビネット81の外部に真空ポンプ90を設けて、真空ポンプ90のダクトをキャビネット81に接続することにより、キャビネット81の内部空間を減圧することができる。
本実施形態によれば、複数の撹拌容器をそれぞれ保持する複数の容器ホルダー内周部40を自転させると共に公転させて、撹拌容器の自転及び公転に伴う遠心力によって撹拌及び脱泡処理の効率を高めることができる。また、各々の容器ホルダー内周部40の上部及び下部の外側と容器ホルダー外周部30の内側との間にそれぞれベアリング51及び52が配置され、各々の容器ホルダー内周部40の上端部にリングギア41が配置されることにより、撹拌容器の下方に生じる余分なスペースを減少させたり、又は、撹拌容器の下方のスペースを有効に利用することができる。
<容器ホルダーの構成>
容器ホルダー外周部30と容器ホルダー内周部40とが組み合わされて、全体として容器ホルダーを構成している。容器ホルダー外周部30及び容器ホルダー内周部40の材料としては、例えば、金属類(ステンレス又はアルミニウム等)、セラミック類、又は、それらを組み合わせた素材を用いることができる。
本実施形態において、各々の容器ホルダー内周部40は、汎用撹拌容器100を保持することが可能であると共に、汎用撹拌容器100の替わりに、所定数の被充填容器(例えば、シリンジ103)が装着されたノズル付き撹拌容器101を保持することも可能である。
図1には、図中右側の容器ホルダー内周部40が汎用撹拌容器100を保持し、図中左側の容器ホルダー内周部40がノズル付き撹拌容器101を保持している状態が示されているが、全ての容器ホルダー内周部40が汎用撹拌容器100を保持しても良いし、全ての容器ホルダー内周部40がノズル付き撹拌容器101を保持しても良い。
汎用撹拌容器100、ノズル付き撹拌容器101、及び、シリンジ103の材料としては、例えば、樹脂類、ガラス類、セラミック類、金属類、又は、それらの内の幾つかを組み合わせた素材を用いることができる。さらに、汎用撹拌容器100又はノズル付き撹拌容器101の上部に蓋が設けられても良い。
汎用撹拌容器100として、汎用の1.5リットルの樹脂容器(胴径:114.5mm、セット全高:160mm)を用いる場合には、容器ホルダー内周部40の内径Cを約120mm、深さL1を約165mmとする必要がある。また、左右の容器ホルダー内周部40に対して治具類を楽に出し入れするためには、公転軸Aから測定した容器ホルダー内周部40の深さ、即ち、容器ホルダー内周部40の内側面の延長が公転軸Aと交わる点Yから測定した容器ホルダー内周部40の深さL2は、容器相互の挿抜時の干渉を無くすために約250mm以上とすることが望ましい。
例えば、複数の汎用撹拌容器100に収容された流体の撹拌及び脱泡処理を遠心力によって行う第1のモードにおいて、複数の汎用撹拌容器100が、複数の容器ホルダー内周部40に保持される。その際に、密閉構造体の内部において複数の容器ホルダー30及び40の下方に空きスペースが生じる。
また、撹拌及び脱泡処理された流体を複数のノズル付き撹拌容器101から複数のシリンジ103に遠心力によって充填する第2のモードにおいて、複数のシリンジ103が装着された複数のノズル付き撹拌容器101が、複数の容器ホルダー内周部40に保持される。
図2は、図1に示す左側の容器ホルダーを拡大して示す一部断面図である。図1及び図2において、容器ホルダー外周部30の底面の位置が、X-Xで示されている。この例においては、1つのノズル付き撹拌容器101に対し、分配器102を介して複数のシリンジ103が装着されている。分配器102は、ノズル付き撹拌容器101から供給される流体を複数のシリンジ103に分配して充填するための流路を有している。
1つのノズル付き撹拌容器101に装着されるシリンジの本数は、シリンジのサイズにもよる。例えば、1本の大きいシリンジ103をノズル付き撹拌容器101の下方において自転軸B2上に配置しても良い。あるいは、2本~16本のシリンジ103をノズル付き撹拌容器101の下方において自転軸B2の周りに均等な間隔で配置しても良い。その場合に、分配器102として、流体を複数のシリンジ103に分配して充填するための2方向分配器又は多方向分配器が用いられる。
第2のモードにおいて、ノズル付き撹拌容器101及びシリンジ103の容量が所定の値以下である場合には、ノズル付き撹拌容器101~複数のシリンジ103を、自転軸B2上における公転軸Aから容器ホルダー外周部30の底面までの距離L3内に配置することができる。一方、ノズル付き撹拌容器101及びシリンジ103の容量が所定の値を超える場合には、複数のシリンジ103を、複数の容器ホルダー30及び40の底部に設けられた開口から下方のスペースに突出させることができる。
図1及び図2に示すように、複数のシリンジ103は、複数の容器ホルダー30及び40の底部に設けられた開口から底面の位置(X-X)よりも下方のスペースに突出している。それにより、汎用撹拌容器100を容器ホルダー内周部40に取り付けた場合に汎用撹拌容器100とベース板80との間に生じる平面視で略3角形の余分なスペースを有効に利用することができる。
<容器ホルダーの配置>
図1には、公転軸Aを対称軸として180°間隔で配置された2個の容器ホルダーが示されているが、容器ホルダーの個数は、4個、6個、又は、8個等でも良い。ただし、ピニオンギア11に噛合するように配置された複数のリングギア41が互いに干渉しない範囲内で、撹拌脱泡装置に搭載される容器ホルダーの個数が選択される。逆に言えば、撹拌脱泡装置に搭載される容器ホルダーの個数に応じて、ピニオンギア11の直径とリングギア41の直径との適切な関係が求められる。
図3は、4個の容器ホルダーを搭載する撹拌脱泡装置におけるピニオンギアと4個のリングギアとの位置関係を示す平面図である。ここで、ピニオンギア11に噛合するように配置された複数のリングギア41が互いに干渉しないようにするためには、ピニオンギア11の直径dとリングギア41の直径Dとの間に、次式で示す関係が求められる。
D/2<(D/2+d/2)×sin45°
∴(21/2-1)×D<d
∴D<d/(21/2-1)≒2.4×d
従って、リングギア41の直径Dをピニオンギア11の直径dの約2.4倍よりも小さくすれば、ピニオンギア11に噛合するように配置された複数のリングギア41が互いに干渉しないようにしながら、撹拌脱泡装置に搭載される容器ホルダーの個数を4個とすることが可能になる。
図4は、8個の容器ホルダーを搭載する撹拌脱泡装置におけるピニオンギアと8個のリングギアとの位置関係を示す平面図である。ここで、ピニオンギア11に噛合するように配置された複数のリングギア41が互いに干渉しないようにするためには、ピニオンギア11の直径dとリングギア41の直径Dとの間に、次式で示す関係が求められる。
D/2<(D/2+d/2)×sin(45°/2)
∴D<(D+d)×sin22.5°
ここで、sin22.5°=(2-21/21/2/2≒0.38と近似する。
D<(D+d)×0.38
∴(1/0.38-1)×D≒1.63×D<d
∴D<d/1.63≒0.61×d
従って、リングギア41の直径Dをピニオンギア11の直径dの約0.61倍よりも小さくすれば、ピニオンギア11に噛合するように配置された複数のリングギア41が互いに干渉しないようにしながら、撹拌脱泡装置に搭載される容器ホルダーの個数を8個とすることが可能になる。
また、6個の容器ホルダーを搭載する撹拌脱泡装置において、ピニオンギア11に噛合するように配置された複数のリングギア41が互いに干渉しないようにするためには、ピニオンギア11の直径dとリングギア41の直径Dとの間に、次式で示す関係が求められる。
D<d
従って、リングギア41の直径Dをピニオンギア11の直径dよりも小さくすれば、ピニオンギア11に噛合するように配置された複数のリングギア41が互いに干渉しないようにしながら、撹拌脱泡装置に搭載される容器ホルダーの個数を6個とすることが可能になる。
一方、リングギア41の直径Dをピニオンギア11の直径d以上にする場合には、撹拌脱泡装置に搭載される容器ホルダーの個数を5個以下、偶数の場合には4個以下とする必要がある。このように、撹拌脱泡装置に搭載される容器ホルダーの個数は、ピニオンギア11に噛合するように配置された複数のリングギア41が互いに干渉しない範囲内で選択される。
<流体処理方法>
次に、図1~図4に示す撹拌脱泡装置を用いる流体処理方法の一例について説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る流体処理方法を示すフローチャートである。図5において、ステップS1~ステップS3は、複数の汎用撹拌容器100に収容された流体の撹拌及び脱泡処理を遠心力によって行う第1のモードに対応しており、ステップS4~ステップS6は、撹拌及び脱泡処理された流体を複数のノズル付き撹拌容器101から複数のシリンジ103に遠心力によって充填する第2のモードに対応している。
図5のステップS1において、公転軸Aを中心として回転可能なローター20の複数の位置にそれぞれ固定された複数の容器ホルダー外周部30に第2の軸を中心として回転可能に挿入された複数の容器ホルダー内周部40に、オペレーターが、流体を収容する複数の汎用撹拌容器100を保持させる。
例えば、オペレーターは、事前に複数の汎用撹拌容器100内に流体を注入して汎用撹拌容器100の上部に蓋を取り付けてから、複数の汎用撹拌容器100を複数の容器ホルダー内周部40にセットしても良い。あるいは、オペレーターは、複数の汎用撹拌容器100を複数の容器ホルダー内周部40にセットしてから、複数の汎用撹拌容器100内に流体を注入して汎用撹拌容器100の上部に蓋を取り付けても良い。その後、オペレーターは、キャビネット81の上部に設けられた蓋82を閉める。
ステップS2において、オペレーターが、制御回路70を操作することにより、真空ポンプ90を動作させて、複数の汎用撹拌容器100を保持する複数の容器ホルダー内周部40を含む空間(例えば、チャンバ内の空間)を密閉して減圧する。所定の時間が経過するか、又は、真空度が所定の値に到達したら、制御回路70は、真空ポンプ90を停止させても良い。
ステップS3において、オペレーターが、制御回路70を操作して、各々の容器ホルダー内周部40の上端部に同軸状に配置されたリングギア41に噛合するピニオンギア11に接続された中央回転軸10を回転させることにより、複数の容器ホルダー内周部40を自転させる。それと共に、制御回路70は、ローター20を回転させることにより、複数の容器ホルダー内周部40を公転させる。その結果、撹拌脱泡装置は、汎用撹拌容器100の自転及び公転で発生する遠心力によって、複数の汎用撹拌容器100に収容された流体の撹拌及び脱泡処理を行う。
ステップS4において、オペレーターが、複数の容器ホルダー内周部40に、複数のシリンジ103が装着された複数のノズル付き撹拌容器101を保持させて、複数の容器ホルダー30及び40の底部に設けられた開口から下方のスペースに複数のシリンジ103を突出させる。また、オペレーターが、撹拌及び脱泡処理された流体を複数のノズル付き撹拌容器101に収容する。
例えば、オペレーターは、複数のシリンジ103が装着された状態で、複数のノズル付き撹拌容器101を複数の容器ホルダー内周部40に保持させても良い。あるいは、オペレーターは、複数のノズル付き撹拌容器101を複数の容器ホルダー内周部40に保持させてから、複数のシリンジ103を複数のノズル付き撹拌容器101に装着しても良い。その後、オペレーターは、流体を複数のノズル付き撹拌容器101に収容して、キャビネット81の上部に設けられた蓋82を閉める。
ステップS5において、オペレーターが、制御回路70を操作することにより、真空ポンプ90を動作させて、複数のシリンジ103が装着された複数のノズル付き撹拌容器101を保持する複数の容器ホルダー内周部40を含む空間(例えば、チャンバ内の空間)を密閉して減圧する。所定の時間が経過するか、又は、真空度が所定の値に到達したら、制御回路70は、真空ポンプ90を停止させても良い。
ステップS6において、オペレーターが、制御回路70を操作して、中央回転軸10を回転させることにより複数の容器ホルダー内周部40を自転させると共に、ローター20を回転させることにより複数の容器ホルダー内周部40を公転させる。その結果、撹拌脱泡装置は、ノズル付き撹拌容器101の自転及び公転で発生する遠心力によって、複数のノズル付き撹拌容器101に収容された流体を複数のシリンジ103に充填する。
以上の構成によれば、汎用撹拌容器100の下方のスペースを有効に利用しながら、1つの撹拌脱泡装置を用いて、複数の汎用撹拌容器100に収容された流体の撹拌及び脱泡処理を行うと共に、撹拌及び脱泡処理された流体をノズル付き撹拌容器101からシリンジ103に充填することができる。
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、当該技術分野において通常の知識を有する者によって、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。
本発明は、液状又はペースト状の流体の撹拌及び脱泡処理を行う撹拌脱泡装置及び流体処理方法等において利用することが可能である。
10…中央回転軸、11…ピニオンギア、20…ローター、30…容器ホルダー外周部、31~32…側板、33…中央ブロック、40…容器ホルダー内周部、41…リングギア、51~52…ベアリング、60…回転駆動機構、61~64…第1~第4のプーリー、65~66…タイミングベルト、M1~M2…モーター、70…制御回路、80…ベース板、81…キャビネット、82…蓋、90…真空ポンプ、100…汎用撹拌容器、101…ノズル付き撹拌容器、102…分配器、103…シリンジ

Claims (4)

  1. 同軸状に配置されたピニオンギアと共に、第1の軸を中心として回転可能な中央回転軸と、
    前記中央回転軸の周囲において、前記第1の軸を中心として回転可能なローターと、
    前記ローターの複数の位置にそれぞれ固定された複数の容器ホルダー外周部と、
    前記複数の容器ホルダー外周部にそれぞれ挿入された複数の容器ホルダー内周部であって、各々の容器ホルダー内周部の上部及び下部の外側と前記容器ホルダー外周部の内側との間にそれぞれベアリングが配置され、各々の容器ホルダー内周部の上端部に前記ピニオンギアに噛合するリングギアが同軸状に配置されて、前記第1の軸に対して傾斜した第2の軸を中心として回転可能な前記複数の容器ホルダー内周部と、
    前記中央回転軸を回転させることにより前記複数の容器ホルダー内周部を自転させると共に、前記ローターを回転させることにより前記複数の容器ホルダー内周部を公転させる回転駆動機構と、
    前記複数の容器ホルダー外周部及び内周部を含む空間を密閉するための密閉構造体と、を備える撹拌脱泡装置であって、複数の撹拌容器に収容された流体の撹拌及び脱泡処理を遠心力によって行う第1のモードにおいて、前記複数の撹拌容器が前記複数の容器ホルダー内周部に保持された際に、前記密閉構造体の内部において前記複数の容器ホルダー外周部及び内周部の下方に空きスペースが生じ、撹拌及び脱泡処理された流体を複数の撹拌容器から複数の被充填容器に遠心力によって充填する第2のモードにおいて、前記複数の被充填容器が装着された前記複数の撹拌容器が前記複数の容器ホルダー内周部に保持された際に、前記複数の容器ホルダー外周部及び内周部の底部に設けられた開口から下方のスペースに前記複数の被充填容器が突出する前記撹拌脱泡装置
  2. 前記ピニオンギアに噛合するように配置された複数の前記リングギアが互いに干渉しない範囲内で選択された個数の前記容器ホルダー外周部及び内周部を備える、請求項1記載の撹拌脱泡装置。
  3. 前記複数の容器ホルダー内周部の上部と前記第1の軸との間の距離が、前記複数の容器ホルダー内周部の下部と前記第1の軸との間の距離よりも短い、請求項1又は2記載の撹拌脱泡装置。
  4. 第1の軸を中心として回転可能なローターの複数の位置にそれぞれ固定された複数の容器ホルダー外周部に第2の軸を中心として回転可能に挿入された複数の容器ホルダー内周部に、流体を収容する複数の撹拌容器を保持させるステップ(S1)と、
    前記複数の撹拌容器を保持する前記複数の容器ホルダー内周部を含む空間を密閉して減圧するステップ(S2)と、
    各々の容器ホルダー内周部の上端部に同軸状に配置されたリングギアに噛合するピニオンギアに接続された中央回転軸を回転させることにより前記複数の容器ホルダー内周部を自転させると共に、前記ローターを回転させることにより前記複数の容器ホルダー内周部を公転させて、前記複数の撹拌容器に収容された流体の撹拌及び脱泡処理を遠心力によって行うステップ(S3)と、
    前記複数の容器ホルダー内周部に、複数の被充填容器が装着された複数の撹拌容器を保持させて、前記複数の容器ホルダー外周部及び内周部の底部に設けられた開口から下方のスペースに前記複数の被充填容器を突出させると共に、撹拌及び脱泡処理された流体を前記複数の撹拌容器に収容するステップ(S4)と、
    前記複数の被充填容器が装着された前記複数の撹拌容器を保持する前記複数の容器ホルダー内周部を含む空間を密閉して減圧するステップ(S5)と、
    前記中央回転軸を回転させることにより前記複数の容器ホルダー内周部を自転させると共に、前記ローターを回転させることにより前記複数の容器ホルダー内周部を公転させて、前記複数の撹拌容器に収容された流体を前記複数の被充填容器に遠心力によって充填するステップ(S6)と、
    を備える流体処理方法。
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