JP7050920B2 - ガイドワイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ガイドワイヤに関する。
血管にカテーテル等を挿入する際に用いられるガイドワイヤが知られている。このようなガイドワイヤにおいて、血管選択性を向上させて血管内の目的部位までスムーズにガイドワイヤを導くために、ガイドワイヤの先端部分に小さな湾曲等の形状を付す場合がある。例えば、特許文献1~3には、ニッケルチタン合金により形成された長尺状シャフト(コア)の先端に、ステンレス鋼により形成された先端側シャフト(リボン)を連結することによって、先端部への形状付けを容易にしたガイドワイヤが開示されている。
特表2007-503957号公報 特表2006-511304号公報 特表2006-519069号公報
しかし、特許文献1~3に記載のガイドワイヤでは、ニッケルチタン合金により形成された長尺状シャフトとステンレス鋼により形成された先端側シャフトとの間における可塑性の相違によって、長尺状シャフトと先端側シャフトとの連結部分における形状付けが未だ容易ではないという課題があった。また、特許文献1~3に記載のガイドワイヤでは、長尺状シャフトと先端側シャフトとの剛性の相違によって、例えば長尺状シャフトと先端側シャフトとの連結部分の近傍等、局所的に変形しやすい部分が生じてしまうという課題があった。
なお、このような課題は、血管系に限らず、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官等、人体内の各器官に挿入されるガイドワイヤに共通する。また、このような課題は、ニッケルチタン合金により形成されたシャフトとステンレス鋼により形成されたシャフトとを備えるガイドワイヤに限らず、特性の異なる材料により形成された複数のコアシャフトを接合して作成されたガイドワイヤに共通する。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、先端部分の形状付けが容易であり、かつ、耐久性を向上させたガイドワイヤを提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、ガイドワイヤが提供される。ガイドワイヤは、超弾性材料で形成された第1コアシャフトと、前記第1コアシャフトよりも塑性変形しやすい材料で形成され、基端側において、前記第1コアシャフトの先端側に接合されている第2コアシャフトと、前記第1コアシャフトと前記第2コアシャフトの接合部と、前記第2コアシャフトのうち、前記接合部よりも先端側の少なくとも一部分と、を覆う被覆部と、を備え、前記ガイドワイヤの先端側から基端側に向かって、前記接合部よりも先端側の前記第2コアシャフトが前記被覆部に覆われている第1領域と、前記第1領域に隣接し、前記接合部が前記被覆部に覆われている第2領域と、が配置されており、前記第1領域は、前記第2領域よりも塑性変形しやすい。
この構成によれば、ガイドワイヤの先端側には、基端側に隣接した第2領域と比較して塑性変形しやすい第1領域が配置されているため、ガイドワイヤの先端部分の形状付けを容易にできる。また、第1領域と第2領域の両方には、第1及び第2コアシャフトの接合部と、第2コアシャフトのうち接合部よりも先端側の少なくとも一部分とを覆う被覆部が配置されている。この被覆部によって、剛性が異なる第1及び第2コアシャフト間の剛性ギャップを緩和することができるため、第1及び第2コアシャフトの接合部に対する形状付けを容易にできると共に、接合部の近傍等、局所的に変形しやすい部分を保護して第1及び第2コアシャフトの破損を抑制することで、ガイドワイヤの耐久性を向上させることができる。
(2)上記形態のガイドワイヤでは、さらに、前記第2コアシャフトの先端部を固定する先端側固定部を備え、前記被覆部の先端部は、前記先端側固定部によって固定されていてもよい。この構成によれば、被覆部の先端部は第2コアシャフトの先端部を固定する先端側固定部によって固定されている、すなわち、被覆部が第2コアシャフトの先端まで配置される。このため、塑性変形しやすい材料で形成された第2コアシャフトを先端まで保護して、第2コアシャフトの破損を抑制することができ、ガイドワイヤの耐久性をさらに向上させることができる。
(3)上記形態のガイドワイヤにおいて、前記第1領域の先端側には、前記第2コアシャフトが前記被覆部から露出した先端領域が配置されており、前記先端領域は、前記第1領域よりも塑性変形しやすくてもよい。この構成によれば、第1領域の先端側には、第1領域と比較してさらに塑性変形しやすい先端領域が配置されているため、ガイドワイヤの先端部分の形状付けをより一層容易にできる。また、ガイドワイヤの各領域における塑性変形のしやすさは、基端側の第2領域から先端側の先端領域に向かうにつれて段階的に大きくなるため、基端側では第1及び第2コアシャフトの破損を抑制しつつ、先端側では形状付けを容易としたガイドワイヤを提供できる。
(4)上記形態のガイドワイヤにおいて、前記被覆部は、さらに、前記第1コアシャフトのうち、前記接合部よりも基端側の少なくとも一部分を覆っており、前記第2領域の基端側には、前記第1コアシャフトが前記被覆部に覆われた第3領域が配置されており、前記第3領域は、前記第2領域よりも塑性変形しにくくてもよい。この構成によれば、第2領域の基端側には、第2領域と比較して塑性変形しにくい第3領域が配置されている。このため、第1及び第2コアシャフトの接合部の基端側における第1コアシャフトを保護して、第1コアシャフトの破損を抑制することができ、ガイドワイヤの耐久性をさらに向上させることができる。
(5)上記形態のガイドワイヤにおいて、前記第3領域の基端側には、前記第1コアシャフトが前記被覆部から露出した第4領域が配置されており、前記第4領域は、前記第3領域よりも塑性変形しにくくてもよい。この構成によれば、第3領域の基端側には、第3領域と比較してさらに塑性変形しにくい第4領域が配置されているため、第1コアシャフトの破損を抑制することができ、ガイドワイヤの耐久性をさらに向上させることができる。また、第4領域では、第1コアシャフトが被覆部から露出しているため、ガイドワイヤの製造コストを低減できる。
(6)上記形態のガイドワイヤにおいて、前記接合部における前記第1コアシャフトの横断面の形状と、前記接合部における前記第2コアシャフトの横断面の形状とが異なっていてもよい。この構成によれば、第1及び第2コアシャフトの接合部における第1コアシャフトの横断面の形状と、第2コアシャフトの横断面の形状とが相違するため、同一形状の場合と比較して、接合部において隣接する第1及び第2コアシャフトの間では、第1及び第2コアシャフトの接触面が増加する。この接触面を接合面として接合剤で埋めることにより、本構成のガイドワイヤによれば、第1及び第2コアシャフトの接合強度を向上させることができる。
(7)上記形態のガイドワイヤにおいて、前記接合部における前記第1コアシャフトの横断面の形状は略矩形形状であり、前記接合部における前記第2コアシャフトの横断面の形状は略楕円形形状であってもよい。この構成によれば、第1及び第2コアシャフトの接合部における第1コアシャフトの横断面の形状を略矩形形状とし、第2コアシャフトの横断面の形状を略楕円形形状とすることで、第1及び第2コアシャフトの接合強度を向上させることができる。
(8)上記形態のガイドワイヤにおいて、前記第1コアシャフトの先端側には、基端側から先端側に向かって前記第1コアシャフトの外径が縮径した縮径部が形成され、前記接合部は、前記縮径部に設けられていてもよい。この構成のように、第1コアシャフトの先端側には外径が縮径した縮径部が形成され、この縮径部に対して第2コアシャフトが接合される(接合部が設けられる)と、第1のコアシャフトの径の太い部分での接合を含むことから、ガイドワイヤの耐久性を向上させることができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、ガイドワイヤに用いられる複数のコアシャフトからなるコアシャフト製品、ガイドワイヤの製造方法などの形態で実現することができる。
第1実施形態のガイドワイヤの全体構成を示す部分断面図である。 ガイドワイヤの先端側の部分断面図である。 ガイドワイヤのA-A線(図1)における断面図である。 被覆部の概略構成を示す斜視図である。 第2実施形態のガイドワイヤの先端側の部分断面図である。 第2実施形態のガイドワイヤのB-B線(図5)における断面図である。 第3実施形態のガイドワイヤの先端側の部分断面図である。 第4実施形態のガイドワイヤの先端側の部分断面図である。 第5実施形態のガイドワイヤの全体構成を示す部分断面図である。 第6実施形態のガイドワイヤのA-A線(図1)における断面図である。 第7実施形態のガイドワイヤの先端側の部分断面図である。 第8実施形態のガイドワイヤの先端側の部分断面図である。 第9実施形態のガイドワイヤの先端側の部分断面図である。 第10実施形態のガイドワイヤの先端側の部分断面図である。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のガイドワイヤ1の全体構成を示す部分断面図である。ガイドワイヤ1は、例えば血管にカテーテルを挿入する際に用いられる医療器具であり、第1コアシャフト10と、コイル体20と、第2コアシャフト30と、被覆部40と、先端側固定部51と、基端側固定部52と、中間固定部61とを備えている。図1では、ガイドワイヤ1の中心に通る軸を軸線O(一点鎖線)で表す。以降の例では、第1太径部15より基端側の第1コアシャフト10の中心を通る軸と、コイル体20の中心を通る軸と、被覆部40の中心を通る軸は、いずれも軸線Oと一致する。しかし、第1コアシャフト10の中心を通る軸と、コイル体20の中心を通る軸と、被覆部40の中心を通る軸は、それぞれ軸線Oとは相違していてもよい。
また、図1には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。X軸は、ガイドワイヤ1の軸線方向に対応し、Y軸は、ガイドワイヤ1の高さ方向に対応し、Z軸は、ガイドワイヤ1の幅方向に対応する。図1の左側(-X軸方向)をガイドワイヤ1及び各構成部材の「先端側」と呼び、図1の右側(+X軸方向)をガイドワイヤ1及び各構成部材の「基端側」と呼ぶ。また、ガイドワイヤ1及び各構成部材について、先端側に位置する端部を「先端部」または単に「先端」と呼び、基端側に位置する端部を「基端部」または単に「基端」と呼ぶ。本実施形態において、先端側は「遠位側」に相当し、基端側は「近位側」に相当する。これらの点は、図1以降の全体構成を示す図においても共通する。
第1コアシャフト10は、基端側が太径で先端側が細径とされた、先細りした長尺状の部材である。第1コアシャフト10は超弾性材料、例えば、NiTi(ニッケルチタン)合金や、NiTiと他の金属との合金により形成されている。第1コアシャフト10は、先端側から基端側に向かって順に、細径部11、第1縮径部12、第1太径部15、第2縮径部16、第2太径部17を有している。各部の外径や長さは任意に決定できる。
図2は、ガイドワイヤ1の先端側の部分断面図である。図3は、ガイドワイヤ1のA-A線(図1)における断面図である。図3では、上段にA-A線における断面図を図示し、下段に接合部JP近傍の部分拡大図を図示する。図2及び図3に示すXYZ軸は、図1のXYZ軸にそれぞれ対応する。この点は、図3以降のXYZ軸を付した図についても同様である。
第1コアシャフト10の細径部11は、第1コアシャフト10の先端側に配置されている。細径部11は、第1コアシャフト10の外径が最小の部分であり、図3に示すように、横断面の形状が略矩形形状である。図3では、細径部11の横断面の形状を、Y軸方向とZ軸方向との長さが略同一の略正方形として例示する。なお、細径部11の横断面の形状は、長軸と短軸とを有する略長方形であってもよく、角部にR面取り加工やC面取り加工を施した略矩形形状であってもよい。
第1縮径部12は、細径部11と第1太径部15との間に配置されている。第1縮径部12は、基端側から先端側に向かって外径が縮径した略円錐台形状である。第1太径部15は、第1縮径部12と第2縮径部16との間に配置されている。第1太径部15は、細径部11の外径よりも大きな一定の外径を有する略円柱形状である。第2縮径部16は、第1太径部15と第2太径部17との間に配置されている。第2縮径部16は、基端側から先端側に向かって外径が縮径した略円錐台形状である。第2太径部17は、第1コアシャフト10の基端側に配置されている。第2太径部17は、第1コアシャフト10の外径が最大の部分であり、一定の外径を有する略円柱形状である。
細径部11、第1縮径部12、及び第1太径部15の外側面は、後述するコイル体20によって覆われている。一方、第2縮径部16及び第2太径部17は、コイル体20によって覆われておらず、コイル体20から露出している。第2太径部17は、術者がガイドワイヤ1を把持する際に使用される。
コイル体20は、第1コアシャフト10及び第2コアシャフト30に対して、素線21を螺旋状に巻回して形成される略円筒形状である。コイル体20を形成する素線21は、1本の素線からなる単線でもよいし、複数の素線を撚り合せた撚線でもよい。素線21を単線とした場合、コイル体20は単コイルとして構成され、素線21を撚線とした場合、コイル体20は中空撚線コイルとして構成される。また、単コイルと中空撚線コイルとを組み合わせてコイル体20を構成してもよい。素線21の線径と、コイル体20におけるコイル平均径(コイル体20の外径と内径の平均径)とは、任意に決定できる。
素線21は、例えば、SUS304、SUS316等のステンレス合金、NiTi合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル-クロム系合金、コバルト合金等の放射線透過性合金、金、白金、タングステン、これらの元素を含む合金(例えば、白金-ニッケル合金)等の放射線不透過性合金で形成することができる。なお、素線21は、上記以外の公知の材料によって形成されてもよい。
第2コアシャフト30は、基端側から先端側に向かって一定の外径を有する長尺状の部材であり、図3に示すように、横断面の形状は、長軸と短軸とを有する略楕円形形状とされている。第2コアシャフト30は、Y軸方向に長軸を、Z軸方向に短軸を向けた状態で第1コアシャフト10の細径部11と隣接して配置されている。第2コアシャフト30は第1コアシャフト10よりも塑性変形しやすい材料、例えば、SUS304、SUS316等のステンレス合金により形成されている。第2コアシャフト30は「リボン」とも呼ばれる。なお、第2コアシャフト30は、接合部JPに対応する基端側の一部分に限って横断面の形状が図3に示す略楕円形形状とされ、接合部JPより先端側の一部分は、横断面形状が略楕円形形状とは異なる形状(例えば、略円形形状)とされてもよい。また、第2コアシャフト30は、図3とは異なる向き、例えば、Y軸方向に短軸を向け、Z軸方向に長軸を向けた状態で配置されてもよい。
図2に示すように、第2コアシャフト30の基端側は、第1コアシャフト10の先端側にある細径部11と接合されている。この接合は、図3に示すように、隣接して配置された第1コアシャフト10(細径部11)と第2コアシャフト30との間の隙間を接合剤90で埋め固めることにより実施できる。接合剤90には、例えば、銀ロウ、金ロウ、亜鉛、Sn-Ag合金、Au-Sn合金等の金属はんだや、エポキシ系接着剤などの接着剤を使用できる。図2及び図3では、第1コアシャフト10と第2コアシャフト30との接合部を「接合部JP」と表す。第2コアシャフト30の先端側は、後述する先端側固定部51によって固定されている。
なお、図2の例では、第2コアシャフト30は、軸線O(X軸)方向において、第2コアシャフト30の基端部の位置と、細径部11の基端部の位置とを合わせた状態で、第1コアシャフト10に接合されている。しかし、軸線O方向における第2コアシャフト30の基端部の位置と、細径部11の基端部の位置とは相違していてもよい。例えば、第2コアシャフト30の基端部は、細径部11の基端部よりも-X軸方向に位置してもよい。
図4は、被覆部40の概略構成を示す斜視図である。本実施形態の被覆部40は、8本の素線41を多条巻きにした多条コイルであり、第2コアシャフト30よりも塑性変形しにくく、第1コアシャフト10よりも塑性変形しやすい構成とされている。被覆部40は、例えば、芯金上に8本の素線41を互いに接触するように密に撚り合せた後、公知の熱処理方法を用いて残留応力を除去し、芯金を抜き取ることで形成できる。このようにして形成された被覆部40は、図4に示すように、内腔40h(図4:破線)を有する多条コイルとなる。素線41の材料は、素線21と同じであってもよく、異なっていてもよい。
なお、被覆部40は、第2コアシャフト30よりも塑性変形しにくく、第1コアシャフト10よりも塑性変形しやすい構成である限りにおいて、任意の態様を採用できる。例えば、被覆部40を構成する素線の本数は8本に限らず、任意に決定できる。被覆部40は多条コイルに限らず、1本の素線を用いて形成された単条コイルであってもよく、チューブ状に形成された樹脂や金属からなる管状部材であってもよく、疎水性を有する樹脂材料、親水性を有する樹脂材料、またはこれらの混合物によってコーティングされていてもよい。
図2及び図3に示すように、被覆部40は、コイル体20の内側において、第1コアシャフト10の先端側の一部分と、接合部JPと、第2コアシャフト30とを覆うように配置されている。換言すれば、接合された第1コアシャフト10と第2コアシャフト30とは、被覆部40の内腔40hを通過して、軸線O方向に延伸している。被覆部40の先端部は、後述する先端側固定部51によって固定されている。被覆部40の基端部は、第1コアシャフト10の第1縮径部12の中央近傍に配置されている(図2)。なお、被覆部40の基端部は、第1コアシャフト10の第1縮径部12に対して、任意の接合剤を用いて固定されていてもよく、固定されていなくてもよい。
先端側固定部51は、ガイドワイヤ1の先端部に配置され、第2コアシャフト30の先端部と、コイル体20の先端部と、被覆部40の先端部とを一体的に保持している。先端側固定部51は、任意の接合剤、例えば、銀ロウ、金ロウ、亜鉛、Sn-Ag合金、Au-Sn合金等の金属はんだや、エポキシ系接着剤などの接着剤によって形成できる。基端側固定部52は、第1コアシャフト10の第1太径部15の基端部に配置され、第1コアシャフト10と、コイル体20の基端部とを一体的に保持している。基端側固定部52は、先端側固定部51と同様に任意の接合剤によって形成できる。基端側固定部52と先端側固定部51とは、同じ接合剤を用いてもよく、異なる接合剤を用いてもよい。
中間固定部61は、コイル体20の軸線O方向の中間部近傍において、コイル体20と、第1コアシャフト10とを一体的に保持している。中間固定部61は、先端側固定部51と同様に任意の接合剤によって形成できる。中間固定部61と先端側固定部51とは、同じ接合剤を用いてもよく、異なる接合剤を用いてもよい。図1では、1つの中間固定部61について例示したが、ガイドワイヤ1には複数の中間固定部61を設けてもよい。
ここで、図2に示すように、第1コアシャフト10と第2コアシャフト30との接合部JPが被覆部40に覆われている部分を「第2領域R2」と呼び、接合部JPよりも先端側にある第2コアシャフト30が被覆部40に覆われている部分を「第1領域R1」と呼び、接合部JPよりも基端側にある第1コアシャフト10(第1縮径部12)が被覆部40に覆われている部分を「第3領域R3」と呼び、第1コアシャフト10が被覆部40から露出した部分を「第4領域R4」と呼ぶ。すなわち本実施形態では、ガイドワイヤ1の先端側から基端側に向かって、第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3、第4領域R4との配置となる。換言すれば、第1領域R1が最も先端側に位置し、第2領域R2は第1領域R1の基端側に位置し、第3領域R3は第2領域R2の基端側に位置し、第4領域R4は第3領域R3の基端側(最も基端側)に位置する。
上述の通り、第1コアシャフト10は超弾性材料で形成されており、第2コアシャフト30は第1コアシャフト10よりも塑性変形しやすい材料で形成されている。被覆部40は、第2コアシャフト30よりも塑性変形しにくく、第1コアシャフト10よりも塑性変形しやすい構成とされている。このため、各部材における塑性変形のしやすさは、「第2コアシャフト30>被覆部40>第1コアシャフト10」の関係となる。また、図1に示すように、被覆部40から露出した第1コアシャフト10(第1縮径部12)は、先端側から基端側に向かって拡径し、第1太径部15との境界近傍では、被覆部40の外径と略同一の外径となる。この結果、上述したガイドワイヤ1の各領域における塑性変形のしやすさは、第1領域R1から第4領域R4に向かって徐々に小さくなる「第1領域R1>第2領域R2>第3領域R3>第4領域R4」の関係となる。
以上のように、本実施形態のガイドワイヤ1では、ガイドワイヤ1の先端側(-X軸方向)には、基端側(+X軸方向)に隣接した第2領域R2と比較して塑性変形しやすい第1領域R1が配置されている(図2)。このため、ガイドワイヤ1の先端部分を、例えば指先や注射針の先端でしごくことによって、ガイドワイヤ1の先端部分への形状付けを容易に行うことができる。また、第1領域R1と第2領域R2との両方には、第1コアシャフト10(細径部11)及び第2コアシャフト30の接合部JPと、第2コアシャフト30のうち接合部JPよりも先端側の少なくとも一部分と、を覆う被覆部40が配置されている(図2:第1領域R1、第2領域R2)。この被覆部40によって、剛性が異なる第1及び第2コアシャフト10,30間の剛性ギャップを緩和することができるため、被覆部40を有さない構成と比較して、第1及び第2コアシャフト10,30の接合部JPに対する形状付けを容易にできる。さらに、被覆部40において第1及び第2コアシャフト10,30間の剛性ギャップを緩和することにより、例えば、接合部JPの先端側の第2コアシャフトの一部分30s(図2)や、接合部JPの基端側の第1コアシャフト10の一部分10s(図2)等、接合部JPの近傍に生じる局所的に変形しやすい部分を保護して、第1及び第2コアシャフト10,30の破損を抑制することで、ガイドワイヤ1の耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態のガイドワイヤ1では、被覆部40の先端部は、第2コアシャフト30の先端部を固定する先端側固定部51によって固定されている(図1、図2)。すなわち、本実施形態のガイドワイヤ1では、被覆部40が第2コアシャフト30の先端まで配置される。このように、塑性変形しやすい材料で形成された第2コアシャフト30を先端まで保護することにより、形状付けや使用に伴う第2コアシャフト30の破損を抑制することができ、ガイドワイヤ1の耐久性をさらに向上させることができる。
さらに、本実施形態のガイドワイヤ1では、第2領域R2の基端側には、第2領域R2と比較して塑性変形しにくい第3領域R3が配置されている(図2:第3領域R3)。このため、第1及び第2コアシャフト10,30の接合部JPの基端側に位置する第1コアシャフト10を保護して、形状付けや使用に伴う第1コアシャフト10の破損を抑制することができ、ガイドワイヤ1の耐久性をさらに向上させることができる。さらに、第3領域R3の基端側には、第3領域R3と比較してさらに塑性変形しにくい第4領域R4が配置されている(図2:第4領域R4)。このため、第1コアシャフト10の破損をより一層抑制することができ、ガイドワイヤ1の耐久性をさらに向上させることができる。また、第4領域R4では、第1コアシャフト10が被覆部40から露出している。このため、例えば、被覆部40をコイル体20の基端部まで設ける構成と比較して、ガイドワイヤ1の製造コストを低減できる。
さらに、本実施形態のガイドワイヤ1では、第1及び第2コアシャフト10,30の接合部JPにおける第1コアシャフト10の横断面の形状(図3:細径部11)は略矩形形状であり、第2コアシャフト30の横断面の形状(図3:第2コアシャフト30)は略楕円形状であり、両者の形状は相違している。このため、細径部11と第2コアシャフト30との形状が同一形状(例えば、両方円形や、両方矩形等)の場合と比較して、図3に示すように、接合部JPにおいて隣接する第1及び第2コアシャフト10,30の間では、第1及び第2コアシャフト10,30の接触面が増加する。この接触面を接合面L1(図3)として、接合剤90で埋めることにより、本構成のガイドワイヤ1によれば、第1及び第2コアシャフト10,30の接合強度を向上させることができる。
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態のガイドワイヤ1Aの先端側の部分断面図である。図6は、第2実施形態のガイドワイヤ1AのB-B線(図5)における断面図である。図5では、上段にガイドワイヤ1Aの先端側の部分拡大図を図示し、下段に接合部JPA近傍の部分拡大図を図示する。第2実施形態のガイドワイヤ1Aでは、第1及び第2コアシャフト10,30の接合部JPAが、第1コアシャフト10の第1縮径部12と、第2コアシャフト30の基端部との間に設けられている。第1縮径部12は、基端側から先端側に向かって外径が縮径しており(図5下段)、横断面の形状は略円形形状である(図6)。図5の下段に示すように、接合部JPAは、隣接して配置された第1縮径部12と第2コアシャフト30との間の隙間を、接合剤90で埋め固めることにより形成できる。接合剤90には、第1実施形態で例示した金属はんだや接着剤を使用できる。第2実施形態の接合剤90は、第1実施形態と同じであってもよく、異なっていてもよい。
なお、図5下段の例では、第1コアシャフト10の細径部11と、第2コアシャフト30との間の隙間は、接合剤90で埋めない空隙としている。しかし、この隙間を接合剤90で埋め固めることによって、細径部11と第2コアシャフト30との間の空隙を無くしてもよい。このように第2実施形態では、接合部JPAには、細径部11と第2コアシャフト30とが隣接して配置されている部分を含むものとし、第2領域R2には、細径部11と第2コアシャフト30とが隣接して配置されている部分を含む(図5上段:第2領域R2)。
以上のように、第2実施形態のガイドワイヤ1Aにおいても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第2実施形態のガイドワイヤ1Aでは、第1コアシャフト10の先端側には、外径が縮径した第1縮径部12が形成され、この第1縮径部12に対して第2コアシャフト30が接合された接合部JPAが設けられる。このため、図5下段に示すように、接合部JPAにおいて隣接する第1及び第2コアシャフト10,30の横断面形状が同一の場合(図6)であっても、第1コアシャフト10の径の太い部分での接合を含むことからガイドワイヤ1Aの耐久性を向上させることができる。
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態のガイドワイヤ1Bの先端側の部分断面図である。第3実施形態のガイドワイヤ1Bでは、第1領域R1の先端側に、先端領域R0が配置されている。先端領域R0では、第2コアシャフト30が被覆部40Bに覆われておらず、被覆部40Bから露出している。具体的には、第3実施形態の被覆部40Bは、第1実施形態の被覆部40と比較して軸線O方向(X軸方向)の長さが短く、第2コアシャフト30の全体ではなく、第2コアシャフト30の基端側の一部分を覆うように配置されている。被覆部40Bの基端部は、第1コアシャフト10の第1縮径部12に対して任意の接合剤を用いて固定されている。被覆部40Bの先端部は、先端側固定部51Bには固定されておらず、図7の例では開放している。なお、被覆部40Bの先端部は、第2コアシャフト30に対して任意の接合剤を用いて固定されていてもよい。
このような第3実施形態では、ガイドワイヤ1Bの先端側から基端側に向かって、先端領域R0、第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3、第4領域R4との配置となる。上述の通り、各部材における塑性変形のしやすさは、「第2コアシャフト30>被覆部40B>第1コアシャフト10」の関係となるため、被覆部40Bに覆われていない先端領域R0は、被覆部40Bに覆われた第1領域R1よりも塑性変形しやすい。すなわち、ガイドワイヤ1Bの各領域における塑性変形のしやすさは、先端領域R0から第4領域R4に向かって徐々に小さくなる「先端領域R0>第1領域R1>第2領域R2>第3領域R3>第4領域R4」の関係となる。
以上のように、第3実施形態のガイドワイヤ1Bにおいても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第3実施形態のガイドワイヤ1Bでは、第1領域の先端側には、第1領域R1と比較してさらに塑性変形しやすい先端領域R0が配置されている。このため、ガイドワイヤ1Bの先端部分の形状付けをより一層容易にできる。また、ガイドワイヤ1Bの各領域における塑性変形のしやすさは、基端側の第4領域R4から先端側の先端領域R0に向かうにつれて段階的に大きくなるため、基端側では第1及び第2コアシャフト10,30の破損を抑制しつつ、先端側では形状付けを容易としたガイドワイヤ1Bを提供できる。
<第4実施形態>
図8は、第4実施形態のガイドワイヤ1Cの先端側の部分断面図である。第4実施形態のガイドワイヤ1Cでは、第3領域R3が形成されていない。具体的には、第4実施形態の被覆部40Cは、第1実施形態の被覆部40と比較して軸線O方向(X軸方向)の長さが短く、第1及び第2コアシャフト10,30の接合部JPよりも基端側にある第1コアシャフト10(第1縮径部12)を覆っていない。換言すれば、接合部JPよりも基端側にある第1コアシャフト10(第1縮径部12)は、被覆部40Cに覆われずに露出した状態である。なお、被覆部40Cの基端部は、第1コアシャフト10の細径部11と、第2コアシャフト30との少なくとも一方に対して任意の接合剤を用いて固定されていてもよい。
このような第4実施形態では、ガイドワイヤ1Cの先端側から基端側に向かって、第1領域R1、第2領域R2、第4領域R4との配置となり、各領域における塑性変形のしやすさは、第1領域R1から第4領域R4に向かって徐々に小さくなる「第1領域R1>第2領域R2>第4領域R4」の関係となる。このため、第4実施形態のガイドワイヤ1Cにおいても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第5実施形態>
図9は、第5実施形態のガイドワイヤ1Dの全体構成を示す部分断面図である。第5実施形態のガイドワイヤ1Dでは、第4領域R4が形成されていない。具体的には、第5実施形態の第1コアシャフト10Dは、第2縮径部16及び第2太径部17を備えていない。また、被覆部40Dは、第1実施形態の被覆部40と比較して軸線O方向(X軸方向)の長さが長く、コイル体20の内側に位置する第1コアシャフト10Dの全体を覆うように配置されている。被覆部40Dの先端部は、第1実施形態と同様に、先端側固定部51によって固定されている。また、被覆部40Dの基端部は、コイル体20及び第1コアシャフト10Dの基端部と共に、基端側固定部52Dによって固定されている。
このような第5実施形態では、ガイドワイヤ1Dの先端側から基端側に向かって、第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3との配置となり、各領域における塑性変形のしやすさは、第1領域R1から第3領域R3に向かって徐々に小さくなる「第1領域R1>第2領域R2>第3領域R3」の関係となる。このため、第5実施形態のガイドワイヤ1Dにおいても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第6実施形態>
図10は、第6実施形態のガイドワイヤ1EのA-A線(図1)における断面図である。図10では、上段にA-A線における断面図を図示し、下段に接合部JPE近傍の部分拡大図を図示する。第6実施形態のガイドワイヤ1Eでは、接合部JPEに対応する第1コアシャフト10E(細径部11E)の横断面の形状が略楕円形形状であり、接合部JPEに対応する第2コアシャフト30Eの横断面の形状が略矩形形状である。第6実施形態の接合部JPEは、隣接して配置された細径部11Eと第2コアシャフト30Eの基端部との間の隙間を、接合剤90で埋めることにより形成されている。接合剤90には、第1実施形態で例示した金属はんだや接着剤を使用できる。第6実施形態の接合剤90は、第1実施形態と同じであってもよく、異なっていてもよい。
このような第6実施形態においても、接合部JPEにおける第1コアシャフト10Eの横断面の形状(図10:細径部11E)と第2コアシャフト30Eの横断面の形状(図10:第2コアシャフト30E)とが相違するため、接合部JPEにおいて隣接する第1及び第2コアシャフト10E,30Eの接触面を接合面L3(図10)とすることで、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、第6実施形態で例示した接合部JPEにおける第1コアシャフト10Eの横断面形状と、第2コアシャフト30Eの横断面形状とは、略矩形形状や略楕円形形状に限らず、例えば、略円形形状、多角形形状、略円形や楕円形において溝部を有する形状等、種々の形状を採用できる。
<第7実施形態>
図11は、第7実施形態のガイドワイヤ1Fの先端側の部分断面図である。第7実施形態のガイドワイヤ1Fでは、第1コアシャフト10Fについて、第1実施形態の細径部11と比較して軸線O方向(X軸方向)の長さが長い細径部11Fを備えている。第1コアシャフト10Fは第1縮径部12を備えておらず、細径部11Fの基端側には第1太径部15(図1)が接続されている。細径部11Fの先端側には、第1及び第2コアシャフト10F,30の接合部JPFが設けられている。なお、細径部11Fは、接合部JPFに対応する先端側の一部分に限って横断面の形状が図3に示す略矩形形状とされ、接合部JPFより基端側の一部分は、横断面形状が略矩形形状とは異なる形状(例えば略円形形状)とされてもよい。
このような第7実施形態では、接合部JPFよりも基端側の第1コアシャフト10F(細径部11F)が被覆部40に覆われている部分が第3領域R3に相当する(図11:第3領域R3)。また、第1コアシャフト10Fの細径部11Fと第1太径部15とが被覆部40から露出した部分が第4領域R4に相当する(図11:第4領域R4)。第7実施形態のガイドワイヤ1Dにおいても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第8実施形態>
図12は、第8実施形態のガイドワイヤ1Gの先端側の部分断面図である。第8実施形態のガイドワイヤ1Gは、第1実施形態の第2コアシャフト30とは形状の異なる第2コアシャフト30Gを備えている。第2コアシャフト30Gは、先端側から基端側に向かって順に、細径部31、縮径部32、太径部33を有している。各部の外径や長さは任意に決定できる。
細径部31は、第2コアシャフト30Gの先端側に配置されており、第2コアシャフト30Gの外径が最小の略円柱形状である。細径部31の先端側は、先端側固定部51Gによって固定され、コイル体20及び被覆部40と固定されている。縮径部32は、細径部31と太径部33との間に配置されており、基端側から先端側に向かって外径が縮径した略円錐台形状である。太径部33は、第2コアシャフト30Gの基端側に配置されており、第2コアシャフト30Gの外径が最大の略円柱形状である。図12に示すように、太径部33の基端側は、第1コアシャフト10の先端側にある細径部11と接合されている。太径部33のうち、接合部JPGに対応する少なくとも一部分は、横断面の形状が、長軸と短軸とを有する略楕円形形状とされている(図3と同様)。
このような第8実施形態のガイドワイヤ1Gにおいても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第8実施形態のガイドワイヤ1Gでは、第1領域R1に位置する第2コアシャフト30Gが、先端側に向けて縮径した縮径部32と、外径が最小の細径部31とを備えるため、ガイドワイヤ1Gの先端部分に対する形状付けをより一層容易にすることができる。なお、第8実施形態の第2コアシャフト30Gの構成は、種々の変形が可能である。例えば、細径部31に代えて平たい横断面形状を有する偏平部31を備える構成とすれば、略円柱形状の材料の先端側をプレス加工することで偏平部31を形成することができる。また、太径部33の横断面についても、プレス加工により略楕円形形状とできる。
<第9実施形態>
図13は、第9実施形態のガイドワイヤ1Hの先端側の部分断面図である。第9実施形態のガイドワイヤ1Hは、第1コアシャフト10と第2コアシャフト30とが直接接合されておらず、被覆部40を介して間接的に接合されている。具体的には、第2コアシャフト30の外側面と被覆部40の内側面とが、軸線O方向の少なくとも一部分において接合され、接合部JP1を形成している。また、第1コアシャフト10(第1縮径部12)の外側面と被覆部40の内側面とが、軸線O方向の少なくとも一部分において接合され、接合部JP2を形成している。
被覆部40は、第1及び第2コアシャフト10,30を覆い、かつ、先端側固定部51に固定されている。このため、上述した接合部JP1と接合部JP2とを設けることによって、第1コアシャフト10と第2コアシャフト30とを、被覆部40を介して間接的に接合することができる。このような第9実施形態のガイドワイヤ1Hにおいても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第10実施形態>
図14は、第10実施形態のガイドワイヤ1Jの先端側の部分断面図である。第10実施形態のガイドワイヤ1Jは、コイル体20に代えて、樹脂体50を備えている。樹脂体50は、被覆部40の外側と、被覆部40に覆われていない(被覆部40から露出した)第1コアシャフト10とを覆うように配置されている。このような第10実施形態のガイドワイヤ1Jにおいても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
[変形例1]
上記第1~10実施形態では、ガイドワイヤ1,1A~1Jの構成を例示した。しかし、ガイドワイヤの構成は種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態のガイドワイヤは、血管にカテーテルを挿入する際に使用される医療器具として説明したが、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官等、人体内の各器官に挿入されるガイドワイヤとして構成することもできる。例えば、ガイドワイヤは、第2縮径部及び第2太径部を備えず、第1コアシャフトの全体がコイル体に覆われた構成であってもよい。例えば、ガイドワイヤは、先端側が予め湾曲された状態で製品化されてもよい。
[変形例2]
上記第1~10実施形態では、第1及び第2コアシャフト10,10E,10F,30,30E,30Gの構成を例示した。しかし、第1コアシャフト及び第2コアシャフトの構成は種々の変更が可能である。例えば、第1コアシャフトは、第1縮径部や第2縮径部を備えず、軸線Oの全体にわたって同じ径で構成されていてもよい。例えば、接合部JP(図3)において、Z軸方向における第1コアシャフトと第2コアシャフトとの配置は逆にしてもよい。また、接合部JP(図3)において、第1コアシャフトと第2コアシャフトとをY軸方向に隣接させて配置してもよい。例えば、第1コアシャフトは、接合された複数のコアシャフト部材によって構成されてもよい。この場合、各コアシャフト部材は同じ材料で形成されてもよく、異なる材料で形成されてもよい。
[変形例3]
上記第1~10実施形態では、コイル体20の構成の一例を示した。しかし、コイル体の構成は種々の変更が可能である。例えば、コイル体は、隣接する素線の間に隙間を有さない密巻きに構成されてもよく、隣接する素線の間に隙間を有する疎巻きに形成されてもよく、密巻きと疎巻きとが混合された構成であってもよい。また、コイル体は、例えば、疎水性を有する樹脂材料、親水性を有する樹脂材料、またはこれらの混合物によってコーティングされた樹脂層を備えていてもよい。例えば、コイル体の素線の横断面形状は、略円形でなくてもよい。
[変形例4]
上記第1~10実施形態のガイドワイヤ1,1A~1Jの構成、及び上記変形例1~3のガイドワイヤの構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、第2実施形態のガイドワイヤ1A(接合部JPAが第1縮径部に設けられた構成)において、接合部に対応する第1コアシャフト(第1縮径部)の横断面の形状と、第2コアシャフトの横断面の形状とを相違させてもよい。また、第2実施形態のガイドワイヤ1Aにおいて、先端領域を備える構成(第3実施形態)を採用してもよく、第3領域を備えない構成(第4実施形態)を採用してもよく、第4領域を備えない構成(第5実施形態)を採用してもよく、コイル体に代えて樹脂体を備える構成(第10実施形態)を採用してもよい。また、第9実施形態のガイドワイヤ1H(第1及び第2コアシャフトが間接的に接合される構成)において、先端領域を備える構成(第3実施形態)を採用してもよく、第3領域を備えない構成(第4実施形態)を採用してもよく、第4領域を備えない構成(第5実施形態)を採用してもよく、コイル体に代えて樹脂体を備える構成(第10実施形態)を採用してもよい。
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
1,1A~1J…ガイドワイヤ
10,10D,10E,10F…第1コアシャフト
11,11E,11F…細径部
12…第1縮径部
15…第1太径部
16…第2縮径部
17…第2太径部
20…コイル体
21…素線
30,30E,30G…第2コアシャフト
31…細径部
32…縮径部
33…太径部
40,40B,40C,40D…被覆部
40h…内腔
41…素線
50…樹脂体
51,51B,51G…先端側固定部
52,52D…基端側固定部
61…中間固定部
90…接合剤

Claims (5)

  1. ガイドワイヤであって、
    超弾性材料で形成された第1コアシャフトと、
    前記第1コアシャフトよりも塑性変形しやすい材料で形成され、基端側において、前記第1コアシャフトの先端側に接合されている第2コアシャフトと、
    前記第1コアシャフトと前記第2コアシャフトの接合部と、前記第2コアシャフトのうち、前記接合部よりも先端側の少なくとも一部分と、を覆う被覆部と、
    を備え、
    前記被覆部は、前記第2コアシャフトよりも塑性変形しにくく、前記第1コアシャフトよりも塑性変形しやすい構成とされており、
    前記ガイドワイヤの先端側から基端側に向かって、
    前記接合部よりも先端側の前記第2コアシャフトが前記被覆部に覆われている第1領域と、
    前記第1領域に隣接し、前記接合部が前記被覆部に覆われている第2領域と、が配置されており、
    前記第1領域は、前記第2領域よりも塑性変形しやすい、ガイドワイヤ。
  2. 請求項1記載のガイドワイヤであって、
    前記第2コアシャフトは、基端側から先端側に向かって延びる長尺状の部材である、ガイドワイヤ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のガイドワイヤであって、
    前記第1コアシャフトの先端側には、基端側から先端側に向かって前記第1コアシャフトの外径が縮径した縮径部が形成され、
    前記接合部は、前記縮径部に設けられている、ガイドワイヤ。
  4. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載のガイドワイヤであって、
    前記ガイドワイヤは、前記第2コアシャフトと、前記第1コアシャフトの先端側の一部分と、の周囲に設けられたコイル体を備え、
    前記ガイドワイヤの先端側から基端側に向かって、
    前記第1領域と、前記第2領域とは、前記コイル体の内側に配置されている、ガイドワイヤ。
  5. 請求項1から請求項のいずれかに記載のガイドワイヤであって、
    前記第2コアシャフトは、先端側から基端側に向かって順に、細径部と、基端側から先端側に向かって外径が縮径した縮径部と、太径部と、を有している、ガイドワイヤ。
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