JP7049356B2 - 新規な免疫刺激マクロライド - Google Patents

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Description

本発明は、免疫系を刺激することができる新規なマクロライド化合物を提供する。本発明は、医薬、特にHIVなどのウイルス性疾患の治療、および慢性炎症状態の治療、および免疫系の刺激が有益ながんで使用するための新規な化合物に関する。該化合物は、ワクチン接種における免疫調節アジュバントとしても使用され得る。新規なマクロライドは、免疫系の調節効果を最大化しながら、治療上望ましくない直接的な抗菌効果を最小化する。本発明はまた、本発明の化合物を調製する方法、および医薬に化合物を使用する方法を提供する。
エリスロマイシンおよびアジスロマイシンなどのマクロライドは、細菌感染症の治療に長年使用されてきた。エリスロマイシンは、放線菌サッカロポリスポラ・エリスラエア(Saccharopolyspora erythraea)の発酵によって産生されるポリケチド天然産物マクロライドである。アジスロマイシンは、エリスロマイシンの半合成アザライド誘導体である。エリスロマイシンなどのマクロライドの抗菌活性を記載する多くの参考文献が存在する。この抗菌機構は、細菌50S細菌リボソームのP部位への分子の結合、よってtRNA結合の妨害を通して達成される。
多くの参考文献は、半合成および生合成工学によるエリスロマイシンの類似体の生成を記載している。特に、エリスロマイシン、デソサミンおよびマイカロース(mycarose)のグリコシル基の半合成除去の方法が記載されている。代替グリコシル基をエリスロマイシンアグリコンに付加するための生体内変換のさらなる方法が記載されている(例えば、Gaisser et al.2000,Schell et al.2008および国際公開第2001079520号パンフレット参照)。しかし、この公開された研究の主な焦点は、抗菌性エリスロマイシン類似体を生成することであった。
直接的な抗菌活性を欠くマクロライドからの免疫刺激活性は以前に報告されていない。驚くべきことに、本発明の化合物(化合物1、図1)が、免疫系のいくつかの細胞型に対して強力な免疫刺激効果を有することが分かった。1μM化合物1(図1)による末梢血単核細胞(PBMC)の24~48時間のインビトロ刺激後、CD4 T細胞およびB細胞で活性化マーカーCD69が上方制御された(図2)。また、T細胞およびB細胞でのMHCクラスI分子(HLA-ABC)の上方制御も観察され(図3)、ウイルス抗原の抗原提示への効果を示した。化合物1によるPBMC集団内の単球の刺激は、共刺激分子CD80ならびに抗原提示分子MHCクラスII(HLA-DR)の上方制御をもたらした(図4)。マクロファージに分化した単球も、化合物1による刺激に応答してCD80を上方制御した(図5)。さらに、化合物1で刺激したPBMCは、一定の条件下での免疫抑制効果を示す、免疫抑制性サイトカインIL-10の産生増加を伴う変化したサイトカインプロファイルを発現した。化合物1の免疫学的効果をさらに分析すると、フローサイトメトリーで測定される、6日間の刺激後のT細胞のサイトカイン駆動増殖プロファイルの変化が明らかになった(図7)。さらに、ウイルス特異的T細胞増殖は化合物1の影響を受けた。CMV抗原および化合物1の存在下で培養したサイトメガロウイルス(CMV)感染ドナーのPBMCは、IL-7受容体α(CD127)の発現が増加した活性化CMV特異的CD8+T細胞の表現型の変化を示した(図8)。CD127はT細胞の恒常性、分化および機能にとって重要であり、発現低下はHIVおよび他の慢性ウイルス性疾患の疾患重症度と相関している(Crawley et al Sem Imm 2012)。要約すると、化合物1は、抗原提示、同時刺激ならびにT細胞の活性化および増殖に影響を及ぼすことによって、免疫応答を特異的に活性化および修飾する驚くべき能力を有する。これらの試験の多くでは、アッセイでほとんどまたは全く活性を示さなかったので、化合物2、(化合物20として)Schell et al.2008で以前公開されたグリコシル化が変化した別の関連マクロライドエリスロマイシン類似体を含めた。
したがって、本発明の一態様では、式(I)の非抗菌性免疫刺激マクロライド、化合物1:
Figure 0007049356000001

が提供される。
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、エナンチオマーもしくはジアステレオマーも本発明の範囲内である。
化合物は、本明細書で定義される実質的な抗菌活性がない。
本発明の別の態様では、式IIのアグリコンを3-ヒドロキシル位でグリコシル化する生体内変換株の培養物に添加することを含む、式(I)の化合物を製造する方法が提供される。
Figure 0007049356000002
本発明の好ましい実施形態では、生体内変換株が、AngMII(配列番号1)またはAngMIIIと70%以上の相同性を有する、または95%以上の相同性、例えば100%の相同性を有するグリコシルトランスフェラーゼを発現する。
2つのアミノ酸配列間または2つの核酸配列間の相同性は、パラメータ「同一性」によって記載される。配列のアライメントおよび相同性スコアの計算は、例えばタンパク質とDNAの両方のアライメントに有用な、完全なSmith-Watermanアライメントを使用して行われ得る。デフォルトスコアリングマトリックスBLOSUM50および単位行列が、それぞれタンパク質およびDNAのアライメントに使用される。ギャップの最初の残基のペナルティは、タンパク質では-12、DNAでは-16である一方、ギャップの追加の残基のペナルティは、タンパク質では-2、DNAでは-4である。アライメントは、FASTAパッケージバージョンv20u6で作成され得る。タンパク質配列の複数のアライメントは、「ClustalW」を使用して作成され得る。DNA配列の複数のアライメントは、タンパク質アライメントを鋳型として使用し、DNA配列の対応するコドンでアミノ酸を置き換えて作成され得る。あるいは、アミノ酸配列とDNA配列の整列に異なるソフトウェアを使用することができる。2つのアミノ酸配列のアライメントは、例えばEMBOSSパッケージ(http://emboss.org)バージョン2.8.0のNeedleプログラムを使用して決定される。使用される置換行列はBLOSUM62、ギャップ開始ペナルティは10、ギャップ伸長ペナルティは0.5である。
一般的化学方法
当業者であれば、本発明の化合物が、種々の方法で公知の様式で調製され得ることを認識するであろう。以下の経路は、式(I)の化合物の合成に使用することができるいくつかの方法の単なる例示である。
1つの一般的経路では、エリスロマイシンAを半合成操作に供してアジスロマイシンを生成する。この変換の方法が公知であるが(米国特許第3 478 014号明細書;米国特許第4 328 334号明細書;米国特許第4 474 768号明細書、Glansdorpら、2008)、これらの経路の変形またはほかの経路を同じ目的に使用することができる。マイカロース/クラジノースおよび/またはデソサミンは、グリコシド切断などのさらなる化学的方法によって除去される。手短に言えば、ある方法では、酸で処理することによって糖を除去することができる。アミノ糖の除去を促進するために、ジメチルアミンを酸化してN-オキシドを形成し、次いで、これを熱分解によって除去することが最初に必要である。得られた5-O糖および3-O糖を、酸性分解によって除去することができる。適切な方法は、LeMahieu(1974)およびDjokic,S.,et al.,1988によって教示されている。最後に、化合物を、アミノ糖を付加する細菌株を使用して生体内変換する。
本発明の化合物の一般的使用
本明細書に記載される化合物は、医薬、医療研究、またはこのような使用のための組成物の製造に使用することができる。したがって、以下で、「本発明の化合物」という用語が医療用途または医薬組成物に関連して使用される場合、この化合物がこのような用途について知られていない限り、この用語が式1の化合物を含むことを意図している。
本発明の化合物は、直接的な抗菌効果を最小化し、むしろ免疫活性化特性に焦点を合わせるよう設計されている。化合物1を細菌である大腸菌(E.coli)、S.サリバリウス(S.salivarius)、L.カゼイ(L.casei)、B.ロンガム(B.longum)またはM.ルテウス(M.luteus)の培養物に添加した場合、抗菌効果が全くまたはほとんど認められない。宿主細胞に影響を及ぼす単離免疫刺激特性を有する化合物を有することの利点は、細菌耐性の発達が回避されることである。さらに、下痢および偽膜性大腸炎を引き起こすクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)の過剰増殖のリスクを含む、腸内細菌叢に影響を及ぼすマクロライドの周知の副作用が回避される。多くのウイルスおよびがんは、免疫認識を回避する機構、すなわちHLA発現を下方制御して、T細胞による検出を回避することによる機構を開発している。介入の化合物の機構は、感染細胞でのHLA分子の活性化および発現増加に依存している。HLA分子は、感染細胞の排除を可能にするT細胞の認識シグナルを提示するために、細胞内感染因子に由来するペプチドを搭載および提示する。
本明細書に開示される本発明の化合物は、免疫応答刺激が有用な疾患、障害、状態および症状を治療するため、例えば、ウイルス作用因子またはウイルス性疾患、例えばHIV、アデノウイルス、アルファウイルス、アルボウイルス、ボルナ病、ブニヤウイルス、カリシウイルス、尖圭コンジローマ、コロナウイルス、コクサッキーウイルス、サイトメガロウイルス、デング熱ウイルス、伝染性膿瘡、エプスタイン-バーウイルス、伝染性紅斑、ハンタウイルス、ウイルス性出血熱、ウイルス性肝炎、単純ヘルペスウイルス、帯状疱疹ウイルス、伝染性単核球症、インフルエンザ、ラッサ熱ウイルス、麻疹、おたふく風邪、伝染性軟属腫、パラミクソウイルス、サシチョウバエ熱、ポリオーマウイルス、リフトバレー熱、風疹、スロー病ウイルス、天然痘、亜急性硬化性全脳炎、腫瘍ウイルス感染症、西ナイルウイルス、黄熱病ウイルス、狂犬病ウイルスおよび呼吸器合胞体ウイルスに感染した患者の治療に使用され得る。特に、本発明の化合物は、HIV/AIDSの治療に使用することができる。
さらに、化合物はがんの治療に使用するのに適していると考えられる。特に、副腎がん、肛門がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳/CNS腫瘍、乳がん、キャッスルマン病、子宮頸がん、結腸/直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、眼がん、胆嚢がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、妊娠性絨毛性疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎臓がん、咽頭および下咽頭がん、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、肝がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、肺カルチノイド腫瘍、リンパ腫、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔および副鼻腔がん、上咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔および中咽頭肺がん、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、陰茎がん、下垂体腫瘍、前立腺がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、基底および扁平上皮がん、黒色腫、メルケル細胞皮膚がん、小腸がん、胃がん、精巣がん、胸腺がん、甲状腺がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍。
したがって、先行技術のマクロライドよりも有利な本発明の化合物の特性には、以下の1つまたは複数が含まれ得る:
-直接的な抗菌活性の低下
-MHCクラスI刺激の改善
-免疫調節の改善
-抗原提示細胞の活性化の改善
-T細胞応答の改善
-抗ウイルス活性の改善
-MHCクラスII抗原提示の改善
本発明の化合物を含む医薬組成物
本発明はまた、本発明の化合物を1種または複数の薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む医薬組成物を提供する。同様に、本発明はまた、本発明の化合物を1種または複数の薬学的に許容される賦形剤と共に含む少なくとも1種の医薬組成物を含む医薬キットを提供する。本発明はまた、本発明の化合物を1種または複数の美容的にまたは獣医学的に許容される賦形剤と共に含む化粧用または獣医用組成物に関する。
本発明の化合物または本発明の化合物を含む医薬、化粧用もしくは獣医用組成物は、例えば限定されないが、非経口的、経口的、局所的、または粘膜(頬、舌下、経皮、膣、直腸、鼻、眼等を含む)を介して、医療機器(例えば、ステント)を介して、または吸入によってなどの任意の慣用的な経路によって投与され得る。治療は、単回投与またはある期間にわたる複数回投与からなり得る。
治療は、治療する具体的な疾患ならびに治療する患者の体重および年齢に応じて、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回等の投与により得る。治療はまた、例えば適剤を介した注入による静脈内投与などの連続投与によってもよい。
本発明の化合物をそのまま投与することは可能であるが、1種または複数の許容される担体と共に医薬製剤として提供することが好ましい。担体は、本発明の化合物と適合性があり、そのレシピエントに有害ではないという意味で「許容可能」でなければならない。適切な担体の例を、以下でさらに詳細に説明する。
製剤は、都合よく単位剤形を含む適切な剤形で提供してもよく、薬学の分野で周知の方法のいずれかによって調製してもよい。このような方法は、有効成分(本発明の化合物)を1種または複数の補助成分を構成する担体と会合させるステップを含む。一般に、製剤は、有効成分を液体担体もしくは細かく分割された固体担体または両方と均一かつ密接に会合させ、次いで、必要に応じて生成物を成形することによって調製される。
本発明の化合物は通常、経口または任意の非経口経路による任意の慣用的な投与経路によって、有効成分を含む医薬製剤の形態で、場合により非毒性の有機または無機の酸または塩基、付加塩の形態で、薬学的に許容される剤形で投与される。治療される障害および患者、ならびに投与経路に応じて、組成物を、様々な用量および/または頻度で投与することができる。
医薬組成物は、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、よって、必要に応じて、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されるべきである。液剤、分散剤、乳剤および懸濁剤などの液体製剤の場合、担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、植物油およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であってもよい。
例えば、本発明の化合物は、香味剤または着色剤を含有し得る錠剤、カプセル剤、フィルム、オビュール(ovule)、エリキシル、液剤、乳剤または懸濁剤の形態で、経口、頬側または舌下投与され得る。
経口投与に適した本発明による製剤は、各々が所定量の有効成分を含有するカプセル剤、カシェ剤もしくは錠剤などの別個の単位として;例えば錠剤もしくはカプセル剤の形態で複数単位として;散剤もしくは顆粒剤として;水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として;または水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンとして提供することができる。有効成分は、ボーラス、舐剤、またはペーストとして提供されてもよい。
経口投与に適した本発明の化合物の溶液または懸濁液はまた、水、アルコール、ポリオール等を含む1種または複数の溶媒、ならびにpH調整剤、安定剤、界面活性剤、可溶化剤、分散剤、保存剤、香料等などの1種または複数の賦形剤を含有し得る。具体例としては、例えばN,N-ジメチルアセトアミド、分散剤、例えばポリソルベート80、界面活性剤および可溶化剤、例えばポリエチレングリコール、Phosal 50 PG(ホスファチジルコリン、大豆脂肪酸、エタノール、モノ/ジグリセリド、プロピレングリコールおよびパルミチン酸アスコルビルからなる)が挙げられる。本発明による製剤はエマルジョンの形態であってもよく、式(I)による化合物が水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョンなどのエマルジョンで提供されてもよい。油は、天然もしくは合成油、または任意の油様物質、例えば、大豆油もしくはベニバナ油またはこれらの組み合わせであり得る。
錠剤は、賦形剤、例えば微結晶セルロース、ラクトース(例えば、ラクトース一水和物または無水ラクトース)、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウムおよびグリシン、ブチル化ヒドロキシトルエン(E321)、クロスポビドン、ヒプロメロース、崩壊剤、例えばデンプン(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、および一定の複合ケイ酸塩、および造粒用バインダー、例えばポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、マクロゴール8000、スクロース、ゼラチンおよびアカシアを含有し得る。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびタルクなどの潤滑剤を含めてもよい。
錠剤は、場合により1種または複数の副成分を用いて、圧縮または成形によって調製することができる。圧縮錠剤は、適切な機械で有効成分を粉末または顆粒などの自由流動形態に圧縮し、場合によりバインダー(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤と混合することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を適切な機械で成形することによって作製することができる。錠剤は、場合によりコーティングするまたは刻み目を入れることができ、所望の放出プロファイルを提供するために、例えば、様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用して中の有効成分の徐放または制御放出を提供するように製剤化することができる。
同様の種類の固体組成物を、ゼラチンカプセルの充填剤として使用することもできる。これに関して好ましい賦形剤には、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。水性懸濁液および/またはエリキシルの場合、本発明の化合物を、種々の甘味剤または香味剤、着色料または色素、乳化剤および/または懸濁剤、ならびに水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンなどの希釈剤、ならびにこれらの組み合わせと組み合わせることができる。
口への局所投与に適した製剤には、フレーバーベース、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に有効成分を含むロゼンジ;ゼラチンおよびグリセリンなどの不活性ベース、またはスクロースおよびアカシア中に有効成分を含むトローチ;ならびに適切な液体担体中に有効成分を含む洗口液が含まれる。
局所投与に適した医薬組成物は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、散剤、溶液、ペースト、ゲル、含浸包帯、スプレー、エアゾールまたはオイル、経皮デバイス、散粉剤などとして製剤化することができる。これらの組成物は、活性剤を含有する慣用的な方法を介して調製することができる。したがって、これらはまた、保存剤、薬物浸透を助けるための溶媒、クリームまたは軟膏の皮膚軟化剤ならびにローションのためのエタノールまたはオレイルアルコールなどの適合性の慣用的な担体および添加剤を含んでもよい。このような担体は、組成物の約1%~最大約98%として存在し得る。より一般的には、これらは組成物の最大約80%を形成する。単なる例示として、クリームまたは軟膏は、所望の粘稠度を有するクリームまたは軟膏を製造するのに十分な量の約5~10重量%の化合物を含有する、十分な量の親水性材料および水を混合することによって調製される。
経皮投与に適した医薬組成物は、長期間にわたりレシピエントの表皮と緊密に接触したままであることを意図された別個のパッチとして提供され得る。例えば、活性剤をイオン泳動によってパッチからすることができる。
外部組織、例えば口および皮膚への施用のために、組成物は、好ましくは、局所軟膏またはクリームとして施用される。軟膏に製剤化する場合、活性剤をパラフィン系または水混和性の軟膏基剤のいずれかと共に使用することができる。
あるいは、活性剤を、水中油型クリーム基剤または油中水型基剤を含むクリームに製剤化することができる。
非経口投与の場合、有効成分と、無菌ビヒクル、例えば限定されないが、水、アルコール、ポリオール、グリセリンおよび植物油とを利用して液体単位剤形が調製され、水が好ましい。有効成分は、使用されるビヒクルおよび濃度に応じて、ビヒクル中にコロイド状であり得る、懸濁され得る、または溶解され得る。溶液の調製では、有効成分を注射用水に溶解し、適切なバイアルまたはアンプルに充填して密封する前に濾過滅菌することができる。
有利には、局所麻酔薬、保存剤および緩衝剤などの薬剤をビヒクルに溶解することができる。安定性を高めるために、組成物を、バイアルに充填した後、凍結し、真空下で水を除去することができる。次いで、乾燥凍結乾燥粉末をバイアルに密封し、使用する前に付随する注射用水バイアルを供給して液体を再構成することができる。
注射用途に適した本発明の医薬組成物は無菌水溶液または分散液を含む。さらに、組成物は、このような無菌注射溶液または分散液の即時調製用の無菌粉末の形態であり得る。全ての場合で、最終注射形態は無菌でなければならず、容易な注射可能性のために有効に流動性でなければならない。
非経口懸濁液は、有効成分を溶解する代わりにビヒクルに懸濁し、滅菌が濾過によって達成できないことを除いて、溶液と実質的に同じように調製される。有効成分は、無菌ビヒクルに懸濁する前にエチレンオキシドに曝露することによって滅菌することができる。有利には、有効成分の均一な分布を促進するために、界面活性剤または湿潤剤を組成物に含める。
上で特に言及される成分に加えて、本発明の製剤は、当の製剤型を考慮して、当技術分野で慣用的な他の薬剤を含んでもよく、例えば経口投与に適したものには香味剤が含まれ得ることを理解すべきである。当業者であれば、適切な製剤を選択する方法およびこれを調製する方法を知るだろう(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Remingtonの医薬科学)18 Ed.またはそれ以降参照)。当業者はまた、適切な投与経路および投与量を選択する方法を知っているだろう。
本発明の化合物の個々の投与量の最適な量および間隔は、治療している状態の性質および程度、投与の形態、経路および部位、治療している特定の対象の年齢および状態によって決定され、医師が使用される適切な投与量を最終的に決定することが当業者によって認識されるだろう。この投与量は、適宜繰り返すことができる。副作用が発生する場合、投与の量および/または頻度を、正常な臨床診療に従って、変更または減少させることができる。
文脈上別段の要求がない限り、本明細書で言及される全ての%値は%w/wである。
定義
冠詞「a」および「an」は、本明細書において、1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)の冠詞の文法的対象を指すために使用される。例として、「類似体(an analogue)」は、1つの類似体または2つ以上の類似体を意味する。
本明細書で使用される場合、「本発明の化合物」という用語は式(I)の化合物と互換的に使用され、式(I)の化合物を指す。
本明細書で使用される場合、「直接的な抗菌効果」という用語は、細菌のrRNA複合体への結合を通して生じるエリスロマイシンおよび類似体の抗菌活性を指す。この効果は、宿主免疫系成分の存在を必要としないため、インビトロ最小阻害濃度(MIC)アッセイおよびディスク阻害アッセイなどの標準的な抗菌アッセイで明らかである。
本明細書で使用される場合、「実質的な抗菌活性がない」という用語は、本明細書の例2に従って大腸菌(E.coli)、S.サリバリウス(S.salivarius)、L.カゼイ(L.casei)およびB.ロンガム(B.longum)でその抗菌活性について試験した場合に、本発明の化合物が64μg/ml超のMIC値を有することを意味することを意図している。
本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される無機または有機の酸または塩基から形成される慣用的な塩、ならびに第四級アンモニウム酸付加塩を含む。適切な酸塩のより具体的な例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ギ酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、パルモイック(palmoic)酸、マロン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸ヒドロキシナフトエ酸、ヨウ化水素酸、リンゴ酸、ステロイック(steroic)酸、タンニンなどの塩が挙げられる。シュウ酸などの他の酸は、それ自体は薬学的に許容されないが、本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩を得る際の中間体として有用な塩の調製に有用であり得る。適切な塩基性塩のより具体的な例としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミンおよびプロカインの塩が挙げられる。
マクロライドエリスロマイシンA、化合物1、化合物2、化合物3およびEM703の構造を示す図である。 T細胞およびB細胞のCD69上方制御を示す図である。PBMCを化合物1、化合物2および活性化対照LPSおよびIFN-γで24時間処理した。初期活性化マーカーCD69の発現を、フローサイトメトリーによってCD4+T細胞集団(左)およびCD19+B細胞集団(右)で測定した。値は、3組の試料の平均蛍光強度、MFIおよびエラーバー標準偏差を表す。 T細胞およびB細胞のHLA-A、B、C上方制御を示す図である。PBMCを化合物1または化合物2および活性化対照LPSおよびIFN-γで24時間処理した。HLA-A、B、Cの発現を、フローサイトメトリーによってCD4+T細胞集団(左)およびCD19+B細胞集団(右)で測定した。値は、3組の試料の平均蛍光強度、MFIおよびエラーバー標準偏差を表す。 血液単球のCD80およびHLA-DR上方制御を示す図である。PBMCを化合物1または化合物2ならびに活性化対照LPSおよびIFN-γで24時間処理した。CD80およびHLA-DRの発現を、フローサイトメトリーによって単球細胞集団で測定した。値は、3組の試料の平均蛍光強度、MFIおよびエラーバー標準偏差を表す。 血液単球のCD80上方制御を示す図である。PBMCを化合物1または化合物2ならびに活性化対照IFN-γで24時間処理した。CD80の発現を、フローサイトメトリーによって単球細胞集団で測定した。値は、3組の試料の平均蛍光強度、MFIおよびエラーバー標準偏差を表す。 ELISAで測定した、化合物1による48時間または1週間の刺激後のPBMCからのIL-10の産生を示す図である。 増殖色素Celltraceバイオレット(Invitrogen)およびフローサイトメトリーで測定した、化合物1による6日間の刺激後のCD4 T細胞増殖を示す図である。未処理細胞(UNT)または化合物2を対照として使用した。 フローサイトメトリーで測定した、化合物1とのインキュベーション後のCMV特異的CD8 T細胞上のIL-7受容体α(CD127)の上方制御を示す図である。 化合物1または2の存在下または非存在下で5日間、CMVペプチドにより増殖させたPBMC(CMV+ドナー由来)からのインターフェロン-γ分泌(サイトメトリービーズアッセイによって測定される)を示す図である。 指示される化合物で48時間刺激したマクロファージからのインターフェロン-γ分泌(サイトメトリービーズアッセイによって測定される)を示す図である。 指示される化合物で48時間刺激したPBMCまたはマクロファージからのケモカインRANTES分泌(サイトメトリービーズアッセイによって測定される)を示す図である。 指示される化合物で48時間刺激したPBMCまたはマクロファージからのIL12p70分泌(サイトメトリービーズアッセイによって測定される)を示す図である。 指示される化合物で48時間刺激したPBMC、マクロファージまたはCD4 T細胞からのIL1b分泌(サイトメトリービーズアッセイによって測定される)を示す図である。 指示される用量の化合物1を24時間前に注射したC57bl/6マウスの血液中のCD25高細胞%を示す図である。CD25の発現を、フローサイトメトリーによって測定した。 指示される化合物を24時間前に注射した3匹の個々のC57bl/6マウスの脾臓におけるMHCクラスI高CD11b+細胞%を示す図である。MHCクラスIおよびCD11bの発現を、フローサイトメトリーによって測定した。
実験
材料
特に指示しない限り、以下の例で使用される全ての試薬は商業的供給源から得た。
抗体
抗CD80 V450、抗CD69 PE、抗HLA-DR APC-R700、抗CD127-APCおよび抗-抗HLA-A、B、C FITCはBD Biosciencesから購入した。T細胞増殖アッセイ用のCelltraceバイオレットは、Invitrogenから購入した。ELISA抗体はBD Biosciencesから購入した。
培地
25mM HEPES、L-グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、10%ウシ胎児血清(Gibco)、100μg/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンを補足したRPMI-1640(Invitrogen)
一般的生物学的方法
免疫刺激に対する本発明の化合物の効果を、以下に記載される方法の1つまたは複数を使用して試験することができる:
一般的化合物方法
化合物分析-溶液中の溶解度および安定性
発酵ブロスおよび化合物の分析
以下に記載されるように得られた発酵ブロスのアリコートを、等体積の酢酸エチルと30分間激しく振盪し、次いで、遠心分離によって分離する、または既に単離された化合物をメタノール:水(9:1、0.1mg/ml)に溶解し、次いで、遠心分離によって分離した。上清をLC-MSおよびLC-MS/MSによって分析し、40℃に加熱したLuna HPLCカラム(250×4.6mm;Phenomenex(マクルズフィールド、英国)を使用して、塩基不活性化Luna C18逆相シリカ(粒径5ミクロン)でクロマトグラフィーを行った。クォータナリポンプ、オートサンプラー、カラムオーブンおよびBruker EsquireイオントラップMSに連結されたダイオードアレイ検出器で構成されるAgilent 1100 HPLCシステム。
移動相A=水中0.1%ギ酸
移動相B=アセトニトリル中0.1%ギ酸
勾配:T=0分、B=50%;T=4.5分、B=50%;T=7分、B=100%;T=10.5分、B=100%;T=10.75分、B=50%;T=13分、B=50%。
化合物をLC-MSおよびLC-MS/MSによって同定し、LC-MS/MSによって内部標準に対して定量化した。
フローサイトメトリーによるマーカー発現の分析
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、Ficoll-Paque密度遠心分離で健康なドナーから精製した。細胞を、25mM HEPES、L-グルタミン、ピルビン酸ナトリウム(Sigma)、10%ウシ胎児血清、100μg/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン(Hyclone)を補足した完全RPMI-1640培地(Invitrogen)で、37℃、5%COで24~72時間培養し、増加する濃度の化合物1および2で刺激した。次いで、細胞をPBSで洗浄し、細胞表面マーカーに特異的なモノクローナル抗体(BD Pharmingen)で染色し、BD FACS Canto IIフローサイトメーターを使用してフローサイトメトリーで分析した。全ての試料を2連で試験した。
サイトメガロウイルス(CMV)培養
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、Ficoll-Paque密度遠心分離で健康なCMV陽性ドナーから精製した。PBMCを、PBS中5μM Celltraceバイオレット(Invitrogen)で15分間標識し、次いで、完全細胞培養培地で洗浄した。標識PBMCを、L-グルタミン、ピルビン酸ナトリウム(Sigma)、10%ウシ胎児血清、100μg/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン(Hyclone)を補足したAIM-V培地(Invitrogen)中、CMV pp65タンパク質(1μg/ペプチド/ml、JPT)にまたがるペプチドライブラリーの存在下で、37℃、5%COで6~8日間培養した。BD FACS Canto IIフローサイトメーターを使用して、フローサイトメトリーで細胞増殖を評価した。
ELISA
完全RPMI培地、37℃、5%COで、2.5μMの化合物1および100U/mL IL-2(Miltenyi Biotechnologies)と48時間および7日間インキュベートした後、標準サンドイッチELISA(全抗体がBD Biosciences製)で上清IL-10を測定した。
TLR2アッセイ
試料および対照を、標準アッセイ条件を使用して、Invivogenの細胞レポーターアッセイを使用して、組換えHEK-293-TLR細胞株で2連で試験した。これらの細胞株は、ヒトTLR2タンパク質ならびに分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)であるレポーター遺伝子を機能的に過剰発現する。このレポーター遺伝子の産生は、NFkB誘導性プロモーターによって駆動される。TLRレポーター細胞株活性化の結果を、光学濃度値(OD)として示す。
20μlの各試験物を使用して、200μlの最終反応体積でhTLR2レポーター細胞株を刺激した。20uMと10uMの少なくとも2つの濃度で試験して、試料を2連で試験した。
細胞透過性(双方向)の評価
10μMの試験物を、Caco-2細胞単層の頂端膜(A)表面(37℃の0.3%DMSOおよび5μM LYを含むHBSS緩衝液中)に添加し、90分間のインキュベーション後に基底膜(B)コンパートメントへの化合物の透過を測定した。これを、能動輸送を調べるために逆方向(基底膜から頂端膜へ)でも行った。LC-MS/MSを使用して、試験化合物と標準対照化合物の両方のレベルを定量化する。BからAへの透過性をBからAへの透過性で割ることによって流出比を計算した。
薬物透過性:Papp=(VA/(面積×時間))×([薬物]受容体/(([薬物]初期、ドナー)×希釈因子)。
代謝安定性の評価(ミクロソーム安定性アッセイ)
ミクロソームでの代謝速度を以下のように試験した:
ヒト肝ミクロソームを緩衝液C(0.1Mリン酸カリウム緩衝液、1.0mM EDTA、pH7.4)で2.5mg/mLの濃度に希釈した。30μLの1.5μM化合物添加溶液をウェルに添加することによって、ミクロソーム安定性試験を行った(1.5μLの500μM添加溶液(10μLの10mM DMSOストック溶液を190μL ACN中に入れて最終試験濃度1μMを最終的に生成する)および479.75μLの緩衝液C中18.75μLの20mg/mLの肝ミクロソーム)。全ての試料を37℃でおよそ15分間プレインキュベートした。この後、穏やかに混合しながら15μLのNADPH溶液(6mM)を添加することによって、反応を開始した。アリコート(40μL)を0、5、15、30および45分で取り出し、内部標準(135μL)を含有するACNでクエンチした。タンパク質を遠心分離(4000rpm、15分)によって除去し、試料プレートをLC-MS/MSによって化合物濃度について分析した。次いで、半減期を標準的な方法によって計算し、分析物の濃度を元々存在する量と比較した。

例1-化合物1の生成
az-AGの生成
文献(Djokic,S.,et al.,1988)に記載されている方法を使用して、アジスロマイシンアグリコンを生成した。手短に言えば、アジスロマイシンを3-Oおよび5-O糖の酸性除去によってアジスロマイシンアグリコンに変換する。5-Oアミノ糖を最初に酸化し、熱分解して切断を促進する。
エリスロマイシンアグリコン(エリスロノリド)をグリコシル化することができる生体内変換株の作製
S.エリスラエア(S.erythraea)18A1(pAES52)の作製
actII-ORF4 pactI/III発現系(Rowe et al.1998)と共に、angAI、angAII、angCVI、ang-orf14、angMIII、angB、angMIおよびangMIIからなる発現プラスミドであるpAES52を、以下の通り作製した。
アンゴラマイシン糖生合成遺伝子を、American Type Culture Collection(マナサス、バージニア州、米国)から得たS.エウリテルムス(S.eurythermus)ATCC23956株のコスミドライブラリーから増幅した。生合成遺伝子クラスター配列は、EU038272、EU220288およびEU232693として寄託された(Schell,2008)。
生合成遺伝子カセットを前記のようにベクターpSG144にアセンブルし(Schell,2008,ESI)、糖生合成に必要な8つが得られるまで連続遺伝子を付加し、プラスミドpAES52を作製した。
pAES52を18A1株に形質転換した(国際公開第2005054265号パンフレット)。
pAES52のS.エリスラエア(S.erythraea)18A1への形質転換
pAES52を、標準的な方法(Kieser et al 2000、Gaisser et al.1997)を使用してプロトプラストによりS.エリスラエア(S.erythraea)18A1に形質転換した。得られた菌株はISOM-4522と命名され、これは2017年1月24日にNCIMBに寄託番号:NCIMB 42718で寄託されている。
S.エリスラエア(S.erythraea)SGT2(pAES54)の作製
actII-ORF4 pactI/III発現系(Rowe et al.1998)と共に、angAI、angAII、angCVI、ang-orf14、angMIII、angB、angMIおよびangMIIからなる発現プラスミドであるpAES54を、以下の通り作製した。
アンゴラマイシン糖生合成遺伝子を、American Type Culture Collection(マナサス、バージニア州、米国)から得たS.エウリテルムス(S.eurythermus)ATCC23956株のコスミドライブラリーから増幅した。生合成遺伝子クラスター配列は、EU038272、EU220288およびEU232693として寄託された(Schell,2008)。
生合成遺伝子カセットを前記のようにベクターpSG144にアセンブルし(Schell,2008,ESI)、糖生合成に必要な8つが得られるまで連続遺伝子を付加し、プラスミドpAES52を作製した。
actII-ORF4 pactI/IIIプロモーター系を含む11541bp SpeI-NheIフラグメントを連結することによってプラスミドpAES54を作製し、8 ang遺伝子を、ストレプトマイセスに導入するためのアプラマイシン耐性遺伝子、oriC、oriT、および組込み形質転換のためのattP部位を有するphiBT1インテグラーゼを含む、pGP9からの5087bp Xbal-Spelフラグメントを有するpAES52から切除した。(適合性のNheIおよびXbaI部位を、ライゲーション中に排除した。)
次いで、pAES54をS.エリスラエア(S.erythraea)SGT2に形質転換した(Gaisserら 2000、国際公開第2005054265号パンフレット)。
pAES54のS.エリスラエア(S.erythraea)SGT2への形質転換
pAES54を、標準的な方法を使用してS.エリスラエア(S.erythraea)SGT2への連結によって移した。手短に言えば、大腸菌(E.coli)ET12567 pUZ8002を標準的手順を介してpAES54で形質転換し、アプラマイシン(50μg/mL)、カナマイシン(50μg/mL)およびクロラムフェニコール(33μg/mL)選択により2TY上に広げた。このプレートを37℃で一晩インキュベートした。これからのコロニーを使用して、新鮮な液体2TY培養物を設定し、後期の対数期に達するまで37℃でインキュベートした。細胞を収穫し、洗浄し、S.エリスラエア(S.erythraea)SGT2の胞子と混合し、R6のプレートに広げ、28℃でインキュベートした。24時間後、これらのプレートを、3mgのアプラマイシンおよび2.5mgのナリジクス酸を含有する1mLの滅菌水で覆い、28℃でさらに5~7日間インキュベートした。このプレート上の接合完了体を、アプラマイシン(100μg/mL)を含有するR6の新しいプレートに移した。
代替生体内変換株
あるいは、これはアンゴロサミンをエリスロノリドに追加するが、BIOT-2945(Schell et al.,2008)を生体内変換株として使用することもできる。
アジスロマイシンアグリコンの生体内変換
SV2培地(40mL)および8μLのチオストレプトン(25mg/mL)を含有するErlenmeyerフラスコ(250mL)に、0.2mLの菌株ISOM-4522の胞子ストックを接種し、30℃でインキュベートし、2.5cm行程で300rpmで48時間振盪した。
Figure 0007049356000003
EryPP培地(7mL)を含有する栓をした滅菌ファルコンチューブ(50mL)を準備し、抗生物質を用いないで種フラスコの培養物を(ファルコンチューブ1本あたり0.5mL)を接種した。ファルコンを30℃でインキュベートし、2.5cm行程で300rpmで24時間振盪した。
Figure 0007049356000004
24時間後、アジスロマイシンアグリコン(DMSO中0.5mM、50μL)を各ファルコンチューブに添加し、2.5cm行程で300rpmでさらに6日間インキュベーションを続けた。
化合物1の単離
全ブロスをpH9.5に調整し、1容量の酢酸エチルで2回抽出した。遠心分離(3500rpm、25分)後、吸引によって有機層を回収した。有機層を合わせ、真空下で減量すると、化合物1を含有する茶色ゴムが現れた。この抽出物を酢酸エチル(200ml)と塩化アンモニウム水溶液(20mlの50%濃縮溶液)に分配した。分離後、有機層をさらなる容量(200ml)の塩化アンモニウム水溶液で抽出した。次いで、合わせた水層を水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0に調整し、1容量当量の酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせ、真空下で減量すると、茶色固体になった。次いで、この抽出物をシリカカラムにアプライし、以下により段階的に(500mlロットで)溶出した:
Figure 0007049356000005
化合物1は主にFおよびG中にあった。これらの溶媒を合わせ、真空中で減量させると、化合物1を含有する茶色固体が得られた。次いで、この物質を分取HPLC(20mM酢酸アンモニウムおよびアセトニトリルを溶媒として使用したC18 Gemini NXカラム、Phenomenex)によって精製した。標的化合物を含有する画分をプールし、乾燥させ、引き続いて、C18 SPEカートリッジで脱塩した。
例2-直接的な抗菌活性の評価
一般的な腸内細菌4菌株(大腸菌(Escherichia coli)、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)亜種サリバリウス(salivarius)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)亜種インファンティス(infantis))および一般的な哺乳動物皮膚分離菌ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)に対するマクロライド化合物の生理活性を、最小阻害濃度(MIC)アッセイを使用して評価した。NCIMBから得たM.ルテウス(M.luteus)を除いて、細菌株をDSMZ(ブランズウィック、ドイツ)から購入し、-80℃で20%グリセロールに保存した。陽性対照(アジスロマイシンおよびエリスロマイシン)ならびに試験化合物1および2のストック溶液(100%DMSO)を、ブロスに希釈して、256μg/mlの使用ストック濃度(最終アッセイ試験濃度範囲128μg/ml~0.00391μg/ml)にした。他の全ての化合物のストック溶液をブロスに希釈して、128μg/mlの使用ストック濃度にした(最終アッセイ試験濃度範囲64μg/ml~0.00195μg/ml)。細菌株を、37℃で好気的に培養したM.ルテウス(M.luteus)を除いて、37℃で嫌気性チャンバー内の適切なブロスで培養した。18時間培養物をブロスに希釈してOD595を0.1にし、次いで、1:10にさらに希釈した。96ウェルプレートで、2連で、200μlの試験化合物の使用ストックをウェル1に移し、ブロスで連続希釈(1:2)した。100μlの細菌懸濁液を各ウェルに分注し、完全に混合した。適切な無菌対照を含め、プレートを嫌気性チャンバー内で、または好気的(M.ルテウス(M.luteus))に37℃で18時間インキュベートした。MICを、目に見える増殖がない最初のウェルの試験化合物の濃度であると決定した。
Figure 0007049356000006
表1に提示されるデータから分かるように、化合物1は、試験した細菌株のいずれに対しても抗菌活性を示さない一方で、エリスロマイシンおよびアジスロマイシンはいくつかの菌株に対して強力な活性を示す。
例3-免疫刺激活性の評価
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、Ficoll-Paque密度遠心分離で健康なドナーから精製した。細胞を、25mM HEPES、L-グルタミン、ピルビン酸ナトリウム(Sigma)、10%ウシ胎児血清、100μg/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン(Hyclone)を補足した完全RPMI-1640培地(Invitrogen)で培養した。細胞を、組織培養プレート中増加する濃度の化合物1および2で、37℃、5%COで24時間(試験1~4)または48時間~1週間(試験5)刺激した。細胞をプレートから取り出し、PBSで洗浄し、BD Pharmingen製のモノクローナル抗体およびFACS Canto IIフローサイトメーターを使用したフローサイトメトリーで、細胞特異的表面マーカーおよびMHCクラスIの発現を分析した。
完全RPMI培地、37℃、5%COで、2.5μMの化合物1および100U/mL IL-2(Miltenyi Biotechnologies)と48時間および7日間インキュベートした後、標準サンドイッチELISA(全抗体がBD Biosciences製)で上清IL-10を測定した。
試験1:1μM化合物1(図1)による末梢血単核細胞(PBMC)の24時間のインビトロ刺激後、CD4+T細胞およびB細胞で活性化マーカーCD69が上方制御された(図2)。
試験2:また、T細胞およびB細胞での分子MHCクラスI(HLA-ABC)の上方制御も観察され(図3)、ウイルス抗原の抗原提示への効果を示した。
試験3:化合物1によるPBMCの刺激は、単球上の共刺激分子CD80ならびに抗原提示分子MHCクラスII(HLA-DR)の上方制御をもたらした(図4)。
試験4:マクロファージに分化した単球も、化合物1による刺激に応答してCD80を上方制御した(図5)。
試験5:化合物1で48時間および7日間刺激したPBMCは、サンドイッチELISAで測定される、免疫抑制性サイトカインIL-10の産生増加を伴う変化したサイトカインプロファイルを発現した。これは、一定の条件下での免疫抑制効果を示している(図6)。
試験6:PBMCを化合物1で刺激し、IL-2(Miltenyi Biotechnologies)およびCell Traceバイオレット色素(Invitrogen)の存在下で6日間、RPMI培地で培養した。増殖をフローサイトメトリーで測定した。化合物1の免疫学的効果を分析すると、T細胞のサイトカイン駆動増殖プロファイルの変化が明らかになった(図7)。
試験7:ウイルス特異的T細胞増殖も化合物1によって影響された。CMV抗原および化合物1の存在下で6日間培養したサイトメガロウイルス(CMV)感染ドナーのPBMCは、フローサイトメトリーで測定される、IL-7受容体α(CD127)の発現が増加した活性化CMV特異的CD8+T細胞の表現型の変化を示した(図7)。CD127はT細胞の恒常性、分化および機能にとって重要であり、発現低下はHIVおよび他の慢性ウイルス性疾患の疾患重症度と相関している(Crawley et al Sem Imm 2012)。
分かるように、化合物1は、抗原提示、同時刺激ならびにT細胞の活性化および増殖に影響を及ぼすことによって、免疫応答を特異的に活性化および修飾する驚くべき能力を有する。これらの試験の多くでは、化合物2、(化合物20として)Schell et al.2008で以前公開されたグリコシル化が変化した別の関連マクロライドエリスロマイシン類似体を含めたが、アッセイでほとんどまたは全く活性を示さなかった。
試験8:未処理または化合物1もしくは化合物2に3日間曝露した、CMV感染ドナーからのPBMCをCMV抗原の存在下で培養した。化合物1への曝露は、高レベルのIFN-γの分泌を誘導したが、抗原培養単独または抗原と化合物2は、IFN-γ分泌を誘導しなかった(図9)。
試験9:化合物1または2に48時間曝露した健康なドナーのマクロファージ。化合物1に曝露したマクロファージのみがIFN-γを分泌したが、未処理マクロファージおよび化合物2に曝露したマクロファージはIFN-γを分泌しなかった(図10)。したがって、化合物1は、健康なドナーのマクロファージにおいてIFN-γ分泌を誘導することができる。
試験10:化合物1または2に2日間曝露したPBMCおよびマクロファージ(図11)。PBMCでのRANTESの基底発現は、化合物2によって影響を受けなかったが、化合物1は発現の2倍の上方制御を誘導した。RANTESの発現はマクロファージでは非常に小さく、化合物1は高い発現を誘導した。
試験11:化合物1および2に2日間曝露したPBMCおよびマクロファージ。PBMCおよびマクロファージは化合物1に応答してIL-12p70を分泌したが、化合物2は未処理細胞に対して分泌を誘導できなかった(図12)。
試験12:化合物1および2に2日間曝露したPBMC、マクロファージおよびCD4+T細胞。IL-1βの分泌はマクロファージでは化合物1により、PBMCではわずかに増加したが、CD4+T細胞ではIL-1βは誘導されなかった(図13)。
試験13:化合物1を0.165mg/kg~5mg/kgでC57bl/6マウスに静脈内投与した。最高用量の5mg/kgを投与された動物では、同群の体重(示さず)と同様に、CD25+細胞存在量が増加した(図14)。
試験14:化合物1または2をC57bl/6マウスに静脈内投与した。24時間後、脾臓を取り出し、CD11b+脾細胞でのMHCクラスI発現を評価したところ、化合物1は、高いMHC I発現を伴う脾細胞の増加を誘導したが、化合物2を注射したマウスの脾細胞では効果は観察されなかった。
例4-TLR2に対する活性の評価
TLR2受容体の刺激を測定するTLR2レポーターアッセイ(一般的方法参照)を使用して、化合物を試験した。刺激効果を、分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)の放出による陰性対照と比較した光学濃度(OD)の増加として測定し、これを表2に示す。
Figure 0007049356000007
分かるように、化合物1は5μMまでの濃度でTLR2を刺激したが、エリスロマイシンA、アジスロマイシン、EM703(例えば、欧州特許第1350510号明細書参照)ならびに化合物2および3、(化合物17および20として)Schell et al,2008で以前公開されたグリコシル化が変化した関連マクロライドエリスロマイシン類似体は、最大20μMの濃度でほとんどまたは全く刺激を示さなかった。
例5-caco-2透過性の評価
標準的なcaco-2双方向透過性アッセイを使用して、化合物を試験した(一般的方法参照)。生成されたデータを表3に示す。
Figure 0007049356000008
表3のデータから分かるように、化合物1はより細胞透過性であり、アジスロマイシンとEM703の両方よりも低い流出比を有する(例えば、欧州特許第1350510号明細書参照)。
例6-代謝安定性の評価
本発明の化合物の代謝安定性を、標準的なヒトミクロソーム安定性アッセイで評価した(一般的方法参照)。半減期が長い化合物は、投与後の半減期が長くなると予想され、これは少ない投与頻度を可能にするのに有用となり得る。半減期が短い化合物は、活性実体が患者の系に入ると急速に分解する「ソフトドラッグ」としての使用に有用となり得るだろう。評価した化合物の半減期を、以下の表4に示す:
Figure 0007049356000009
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特許および特許出願を含む本出願で言及される全ての参考文献は、可能な限り最大限に参照により本明細書に組み込まれる。
NCIMB 42718
配列番号:1<223>AngMII
配列番号:2<223>AngMIII
Figure 0007049356000010

Claims (6)

  1. 式(I)の化合物
    Figure 0007049356000011

    またはその薬学的に許容される塩。
  2. 求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬
  3. 請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
  4. ウイルス感染症またはがんの治療ための請求項2または3に記載の医薬または医薬組成物
  5. 治療上有効量の請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とするヒト以外の動物対象に投与するステップを含む、ウイルス感染症によって引き起こされる疾患を治療または予防する方法。
  6. 式(II)
    Figure 0007049356000012

    のアグリコンを3-ヒドロキシル位でグリコシル化する生体内変換株の培養物に添加することを含む、請求項1に定義される化合物を調製する方法であって、前記生体内変換株が配列番号1(AngMII)または配列番号2(AngMIII)と95%以上または100%の相同性を有するグリコシルトランスフェラーゼを発現する、上記方法。
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