JP7048375B2 - 燃料ガス用脱硫器、燃料ガス脱硫システム及び燃料ガスの脱硫方法 - Google Patents

燃料ガス用脱硫器、燃料ガス脱硫システム及び燃料ガスの脱硫方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料ガス用脱硫器、燃料ガス脱硫システム及び燃料ガスの脱硫方法に関する。
都市ガス、液化石油(LP:liquefied petroleum)ガス、天然ガス等の燃料ガスは、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の低級炭化水素ガスを含むため、工業用燃料及び家庭用燃料として用いられるだけでなく、水素の製造用原料としても用いられる。
水素の工業的製造方法の1つである水蒸気改質法では、上記のような低級炭化水素ガスを、触媒の存在下で水蒸気を加えて改質することによって、水素を主成分とする改質ガスを生成させる。しかし、水蒸気改質法で用いられる触媒は、硫黄化合物によって被毒すると、触媒機能が低下する。
例えば、燃料電池システムの場合には、改質器の触媒だけでなく、発電セル内の電極触媒も硫黄化合物による被毒の影響を受けることから、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物は、予めできるだけ除去されることが望ましい。一般に、燃料電池システムでは、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物は、脱硫器を用いて除去される。
脱硫方式としては、常温吸着脱硫方式、水素化脱硫方式等が知られている。常温吸着脱硫方式は、常温下において、脱硫剤が充填された容器内にガスを流通させ、ガス中に含まれる硫黄化合物を脱硫剤の表面に物理的に又は化学的に吸着させる脱硫方式であり、水素化脱硫方式と比較して操作が簡易であることから多用されている。
常温吸着脱硫方式の脱硫技術としては、金属を担持したゼオライトを脱硫剤として利用する技術が多く報告されている。
例えば、都市ガス、LPガス、天然ガス等の燃料ガス中のサルファイド類及びメルカプタン類を同時に吸着除去する脱硫剤として、Y型ゼオライトに銀をイオン交換により担持させてなる硫黄化合物除去用吸着剤(所謂、銀担持ゼオライト)が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
また、吸着除去対象である硫黄化合物の一部を銀担持ゼオライトにより除去した後、残りの硫黄化合物を他の吸着剤(例えば、金属酸化物)により除去する複数段構成の脱硫方式が報告されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
特許第4026700号公報 特許第4749589号公報 特開2015-135789号公報
ところで、燃料ガス中には、様々な種類の硫黄化合物が含まれている。例えば、燃料ガス中には、漏洩の検知を目的として添加される付臭剤として、メチルメルカプタン(MM:methyl mercaptan)、エチルメルカプタン(EM:ethyl mercaptan)、tert-ブチルメルカプタン(TBM:tertiary-butyl mercaptan)等のメルカプタン類、ジメチルスルフィド(DMS:dimethyl sulfide)、ジエチルスルフィド(DES:diethyl sulfide)、ジメチルジスルフィド(DMDS):dimethyl disulfide)等のサルファイド類、テトラヒドロチオフェン(THT:tetrahydrothiophene)等のチオフェン類などの硫黄化合物が含まれている。
一般に添加される付臭剤は、TBM、DMS、及びTHTであり、例えば、都市ガスでは、TBM及びDMSの両方が使用されることが多い。燃料ガス中に含まれるこれらの付臭剤の濃度は、いずれも数ppm程度である。
なお、都市ガス中には、付臭剤以外の硫黄化合物として、硫化水素(HS)、硫化カルボニル(COS)等の原料由来のもの、導管を流れる間に混入したものなどが含まれることもある。
吸着対象である硫黄化合物が、メルカプタン類、サルファイド類、チオフェン類等、多岐にわたる場合、これらの硫黄化合物の全てを、特許文献1に記載された銀担持ゼオライトのみで吸着除去しようとすると、銀担持ゼオライトが多量に必要となる。銀担持ゼオライトは、原料が高価であるため、使用量が多くなると、脱硫コストが高くなる。
一方、特許文献2及び3に記載された複数段構成の脱硫方式では、銀担持ゼオライトと他の吸着剤とを組み合わせることで、特許文献1に記載された銀担持ゼオライトのみを使用する一段構成の脱硫方式よりも、銀担持ゼオライトの使用量を減らすことができる。しかし、燃料ガス中に複数種の硫黄化合物が含まれる場合には、銀担持ゼオライトの使用量をそれほど多く低減することはできない。
近年、家庭用燃料電池システムの普及が現実的なものとなっていることを考えると、燃料ガス用の脱硫器としては、より低コストに、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を吸着除去できること、また、小型化できることが必要であるといえる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができ、かつ、従来の銀担持ゼオライトを使用した脱硫器と比較して、銀担持ゼオライトの使用量を低減することができるともに、脱硫器の小型化を実現し得る燃料ガス用脱硫器、これを含む燃料ガス脱硫システム及びこれを用いた燃料ガスの脱硫方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部と、前記第1の脱硫部のガス流通方向下流に配置され、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部と、前記第2の脱硫部のガス流通方向下流に配置され、第3の脱硫剤を備える第3の脱硫部と、を備え、前記第1の脱硫剤及び前記第3の脱硫剤は、活性炭と、前記活性炭に添着された金属と、を含み、前記第1の脱硫剤に含まれる前記金属は、銅を含み、前記第3の脱硫剤に含まれる前記金属は、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、前記第2の脱硫剤は、銀が担持されたゼオライトを含む燃料ガス用脱硫器。
<2> 前記第1の脱硫剤及び前記第3の脱硫剤に含まれる前記金属は、それぞれ独立に、銅と、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含む<1>に記載の燃料ガス用脱硫器。
<3> 前記第1の脱硫剤及び前記第3の脱硫剤は、前記金属として、銅とニッケルとを含み、前記銅の添着量に対する前記ニッケルの添着量の割合が、それぞれ独立に、質量基準で0.20~2.70の範囲である<2>に記載の燃料ガス用脱硫器。
<4> 前記第1の脱硫剤及び前記第3の脱硫剤は、前記金属として、銅とタングステンとを含み、前記銅の添着量に対する前記タングステンの添着量の割合が、それぞれ独立に、質量基準で0.10~0.60の範囲である<2>に記載の燃料ガス用脱硫器。
<5> 前記第1の脱硫剤及び前記第3の脱硫剤は、前記金属として、銅とモリブデンとを含み、前記銅の添着量に対する前記モリブデンの添着量の割合が、それぞれ独立に、質量基準で0.15~2.00の範囲である<2>に記載の燃料ガス用脱硫器。
<6> 第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部と、前記第1の脱硫部のガス流通方向下流に配置され、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部と、前記第2の脱硫部のガス流通方向下流に配置され、第3の脱硫剤を備える第3の脱硫部と、を備え、前記第1の脱硫剤は、活性炭と、前記活性炭に添着された金属と、を含み、前記金属は、銅を含み、前記第2の脱硫剤は、銀が担持されたゼオライトを含み、前記第3の脱硫剤は、前記銀が担持されたゼオライトよりも硫化カルボニルの吸着性が高い燃料ガス用脱硫器。
<7> 前記金属は、銅と、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含む<6>に記載の燃料ガス用脱硫器。
<8> <1>~<7>のいずれか1つに記載の燃料ガス用脱硫器と、燃料ガスを前記燃料ガス用脱硫器に供給する燃料ガス供給源と、を備える燃料ガス脱硫システム。
<9> 前記燃料ガスは、都市ガス、液化石油ガス、天然ガス、消化ガス又は排ガスである<8>に記載の燃料ガス脱硫システム。
<10> 前記燃料ガス用脱硫器にて脱硫された前記燃料ガスを用いて発電を行う燃料電池、及び前記燃料ガス用脱硫器にて脱硫された前記燃料ガスを用いて水素を製造する水素製造装置の少なくとも一方を更に備える<8>又は<9>に記載の燃料ガス脱硫システム。
<11> <1>~<7>のいずれか1つに記載の燃料ガス用脱硫器に燃料ガスを供給して脱硫を行う燃料ガスの脱硫方法。
本発明によれば、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができ、かつ、従来の銀担持ゼオライトを使用した脱硫器と比較して、銀担持ゼオライトの使用量を低減することができるともに、脱硫器の小型化を実現し得る燃料ガス用脱硫器、これを含む燃料ガス脱硫システム及びこれを用いた燃料ガスの脱硫方法を提供することができる。
一実施形態の燃料ガス用脱硫器を示す概略構成図である。 一実施形態の燃料ガス脱硫システムを示す概略構成図である。 実施例1並びに比較例1及び2の評価試験に用いた脱硫器の概略図である。 実施例1並びに比較例1及び2の燃料ガス用脱硫器を用いたときの脱硫剤必要量を示すグラフである。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、脱硫剤中の各成分の量は、各成分に該当する物質が脱硫剤中に複数存在する場合には、特に断らない限り、脱硫剤中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
≪一実施形態の燃料ガス用脱硫器≫
[燃料ガス用脱硫器]
本発明の一実施形態の燃料ガス用脱硫器は、第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部と、前記第1の脱硫部のガス流通方向下流に配置され、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部と、前記第2の脱硫部のガス流通方向下流に配置され、第3の脱硫剤を備える第3の脱硫部と、を備え、前記第1の脱硫剤及び前記第3の脱硫剤は、活性炭と、前記活性炭に添着された金属と、を含み、前記第1の脱硫剤に含まれる前記金属は、銅を含み、前記第3の脱硫剤に含まれる前記金属は、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、前記第2の脱硫剤は、銀が担持されたゼオライト(銀担持ゼオライト)を含む。
一実施形態の燃料ガス用脱硫器によれば、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができ、かつ、従来の銀担持ゼオライトを使用した脱硫器と比較して、銀担持ゼオライトの使用量を低減することができるとともに、脱硫器の小型化を実現し得る。
一実施形態の燃料ガス用脱硫器が、このような効果を奏し得る理由について本発明者らは以下のように推測している。
一実施形態の燃料ガス用脱硫器は、ガス流通方向の下流に向かって、第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部と、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部と、第3の脱硫剤を備える第3の脱硫部と、をこの順で備えている。そのため、燃料ガス用脱硫器に供給された硫黄化合物を含む燃料ガスは、第1の脱硫部、第2の脱硫部及び第3の脱硫部の順に流通する。
第1の脱硫剤は、活性炭に、銅を添着させた脱硫剤であり、脱硫性能に優れ、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができる。例えば、第1の脱硫剤は、都市ガス、液化石油(LP)ガス等に含まれる主たる硫黄化合物であるメルカプタン類(例えば、TBM)の吸着能に特に優れる。
次に、第2の脱硫剤は、銀担持ゼオライトを含む脱硫剤であり、硫黄化合物の吸着能に優れ、例えば、都市ガス、液化石油(LP)ガス等に含まれる硫黄化合物であるサルファイド類(例えば、DMDS)の吸着能に特に優れる。
ところで、燃料ガス中に様々な種類の硫黄化合物が含まれており、これらを同時に吸着除去することは困難である。銀担持ゼオライトは、サルファイド類(例えば、DMDS)等の硫黄化合物の吸着能に優れているが、複数種の硫黄化合物の全てを吸着させるには、使用量を多くする必要がある。しかしながら、銀担持ゼオライトは、原料が高価であるため、その使用量はできるだけ低減することが好ましい。
一実施形態の燃料ガス用脱硫器は、第2の脱硫部のガス流通方向下流に、第3の脱硫剤を備える第3の脱硫部を備える。第3の脱硫剤は、活性炭に、特定の金属(即ち、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種)を添着させた脱硫剤であり、脱硫性能に優れ、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができる。例えば、第3の脱硫剤は、COS等の吸着能に優れる傾向にある。そのため、一実施形態の燃料ガス用脱硫器では、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部にて吸着されなかった硫黄化合物を第3の脱硫剤を備える第3の脱硫部にて吸着可能な構成となっている。したがって、第2の脱硫部における銀担持ゼオライトの使用量を削減しつつ、第3の脱硫部にて硫黄化合物の吸着が可能である。
すなわち、一実施形態の燃料ガス用脱硫器は、脱硫剤として、銅を添着させた活性炭と、特定の金属を添着させた活性炭と、銀担持ゼオライトと、を選択し、かつ、燃料ガスを、銅を添着させた活性炭に流通させた後、銀担持ゼオライトを流通させ、次いで、特定の金属を添着させた活性炭に流通させる複数段構成の脱硫方式の脱硫器である。この構成により、銀担持ゼオライトの使用量を低減しながらも、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができる。また、銅を添着させた活性炭と、特定の金属を添着させた活性炭との組み合わせは、硫黄化合物の吸着性能に優れることから、比較的少ない量で、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を吸着除去することができる。そのため、一実施形態の燃料ガス用脱硫器では、脱硫剤全体の使用量を低減することができる。その結果、脱硫器の小型化を実現し得る。
通常、燃料ガスとしてLPガスを用いる場合、都市ガスよりもLPガスの方が硫黄化合物を多く含み、また、脱硫を阻害する炭化水素成分を多く含むため、脱硫剤量を多く搭載しなければならず、銀担持ゼオライトについても多く必要となる。特に、銀担持ゼオライトは、都市ガスにおけるCOSの吸着能と比較してLPガスにおけるCOSの吸着能が大きく低下してしまうため、LPガスの脱硫を行う場合に、多量の銀担持ゼオライトが必要になるという問題がある。
一方、一実施形態の燃料ガス用脱硫器では、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部にて吸着されなかった硫黄化合物を第3の脱硫剤を備える第3の脱硫部にて吸着可能な構成となっているため、燃料ガスとしてLPガスを用いた場合であっても銀担持ゼオライトの使用量を大きく削減しつつ、効率的に硫黄化合物を除去することができる。
第1の脱硫剤及び第3の脱硫剤は、活性炭に、銅と、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、を添着させた脱硫剤であることが好ましい。これにより、第1の脱硫剤及び第3の脱硫剤は、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物をより効率良く吸着除去することができ、またCOS等の吸着能にも優れる傾向にある。
ところで、燃料ガス中には、硫黄化合物としてチオフェン類が含まれる場合がある。チオフェン類は、脱硫剤上で酸化され、吸着による除去が困難なチオフェンとなることがある。第1の脱硫剤が、活性炭に、銅と、特定の金属(即ち、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種)と、を添着させた脱硫剤である場合、燃料ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合であっても、チオフェンが生成し難い。
例えば、第1の脱硫剤が、活性炭に、銅とニッケルとを添着させた脱硫剤である場合には、銅の酸化力がニッケルによって抑制される結果、燃料ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合であっても、チオフェンの生成が抑制されると考えられる。
また、第1の脱硫剤では、金属の大部分が金属元素を含む化合物(酸化物、無機酸塩、有機酸塩等、特に酸化物)として活性炭に添着されていると考えられる。第1の脱硫剤が、活性炭に、銅とタングステンとの組み合わせ、又は、銅とモリブデンとの組み合わせを添着させた脱硫剤である場合、タングステンの酸化物及びモリブデンの酸化物は、酸素欠損が多いため、その欠損部にチオフェンを生成し得る硫黄化合物の硫黄が吸着することで、チオフェンの生成が抑制されると考えられる。
なお、酸化等の反応によってチオフェンを生成し得るチオフェン類としては、テトラヒドロチオフェン(THT)、2-メチルチオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、4-メチルジベンゾチオフェン、4,6-ジメチルジベンゾチオフェン等のチオフェン類が挙げられる。
以下、一実施形態の燃料ガス用脱硫器について、詳細に説明する。
まず、一実施形態の燃料ガス用脱硫器を、図を用いて説明する。
図1は、一実施形態の燃料ガス用脱硫器を示す概略構成図である。
一実施形態の燃料ガス用脱硫器1は、第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部10と、第1の脱硫部10のガス流通方向下流に配置され、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部20と、第2の脱硫部20のガス流通方向下流に配置され、第3の脱硫剤を備える第3の脱硫部30と、を備える。
第1の脱硫部10が備える第1の脱硫剤(図示せず)は、活性炭と、該活性炭に添着された金属と、を含んでおり、該金属は銅を含み、第3の脱硫剤30が備える第3の脱硫剤(図示せず)は、活性炭と、該活性炭に添着された金属と、を含んでおり、該金属はニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。
第1の脱硫剤及び第3の脱硫剤は、活性炭と、該活性炭に添着された金属と、を含んでおり、該金属は、銅と、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含んでいてもよい。このとき、第1の脱硫剤及び第3の脱硫剤に含まれる金属は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
第2の脱硫部20が備える第2の脱硫剤(図示せず)は、銀が担持されたゼオライト(銀担持ゼオライト)を含む。
一実施形態の燃料ガス用脱硫器1において、硫黄化合物を含む燃料ガスは、図1に示す矢印の方向に流れる。すなわち、燃料ガス用脱硫器1に供給された硫黄化合物を含む燃料ガスが、第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部10を流通した後、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部20を流通し、次いで、第3の脱硫剤を備える第3の脱硫部30を流通することで、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物が、第1の脱硫剤、第2の脱硫剤及び第3の脱硫剤に吸着され、除去される。
燃料ガス用脱硫器1に供給された硫黄化合物を含む燃料ガスは、まず第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部10を流通する。第1の脱硫剤は、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着することができるため、比較的少ない使用量で、優れた吸着能を発揮する。第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部10を流通した燃料ガス中の硫黄化合物は、その大部分が第1の脱硫剤によって除去された後、燃料ガスは、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部20を流通し、次いで、第3の脱硫剤を備える第3の脱硫部30を流通する。第3の脱硫剤にて、第1の脱硫剤にて除去されなかった硫黄化合物のうち、第2の脱硫剤では吸着しきれない硫黄化合物を除去できるため、第2の脱硫剤を多く使用する必要がない。その結果、従来の銀担持ゼオライトを使用した脱硫器と比較して、銀担持ゼオライトの使用量を低減しつつ、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができるとともに、脱硫器の小型化を実現することができる。
〔第1の脱硫部〕
第1の脱硫部は、第1の脱硫剤を備えている。
第1の脱硫部では、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物の大部分が第1の脱硫剤によって除去される。
<第1の脱硫剤>
第1の脱硫剤は、活性炭と、該活性炭に添着された金属と、を含み、前記金属は、銅を含む。また、金属としては、銅と、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、の組み合わせを含むことが好ましい。
第1の脱硫剤は、上記のような構成を有することで、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができる。
(活性炭)
第1の脱硫剤は、少なくとも1種の活性炭を含む。
活性炭としては、当該技術分野において、通常用いられる活性炭を特に制限なく用いることができる。
活性炭の原料としては、ヤシ殻、石炭(無煙炭、瀝青炭等)、木粉、ピート炭、竹炭などが挙げられる。
これらの中でも、活性炭の原料としては、平均細孔径が小さく、不純物の含有量が少ないという観点から、ヤシ殻が好ましい。
活性炭は、無機酸で処理された活性炭であることが好ましい。活性炭を無機酸で処理すると、不純物が除去され、比表面積が向上したり、活性炭の表面が親水化されたりするため、添着金属の分散度がより向上し得る。
活性炭を処理する無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸等が挙げられる。
活性炭の形状としては、特に制限されず、粒状、柱状(例えば、円柱状)、繊維状、ハニカム状、破砕状等が挙げられる。
これらの中でも、活性炭の形状としては、例えば、コスト面の観点から、粒状、柱状、及び破砕状からなる群より選ばれる少なくとも1種の形状が好ましく、また、密度が高く、かつ、微細粉を含まないという観点から、粒状及び柱状から選ばれる少なくとも1種の形状がより好ましい。
活性炭の形状が粒状である場合、活性炭の平均粒子径は、例えば、ガス流量が10L(リットル)/min以下では、ガスの偏流防止の観点及び脱硫剤の流出防止フィルターのメッシュ間隔との関係から、0.5mm以上5.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以上3.0mm以下であることがより好ましい。
本開示において、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径(Mv)をいい、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定される値である。
活性炭の比表面積は、例えば、添着金属の分散度を向上させる観点から、600m/g以上であることが好ましく、1300m/g以上であることがより好ましい。
本開示において、「比表面積」は、BET法により測定される値である。
活性炭の平均細孔径は、例えば、硫黄化合物の分子径に合った孔径であるという観点から、0.9nm以上2.0nm以下であることが好ましく、0.9nm以上1.5nm以下であることがより好ましい。
本開示において、「平均細孔径」は、窒素ガス吸着法により測定される値である。
(金属)
第1の脱硫剤は、上述した活性炭に添着された金属を含み、前記金属が、銅(Cu)を含み、好ましくは銅と、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、及びモリブデン(Mo)からなる群より選ばれる少なくとも1種と、の組み合わせを含む。
活性炭に添着された上記の金属の大部分は、金属元素を含む化合物(酸化物、無機酸塩、有機酸塩等)として含まれていると考えられるが、金属単体として含まれていてもよい。
金属として、銅と、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、の組み合わせを含む場合、銅と組み合わせる金属は、1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。金属としては、銅とニッケルとの組み合わせであってもよく、銅とタングステンとの組み合わせであってもよく、銅とモリブデンとの組み合わせであってもよい。
なお、金属としては、銅とニッケルとタングステンとの組み合わせであってもよく、銅とニッケルとモリブデンとの組み合わせであってもよく、銅とタングステンとモリブデンとの組み合わせであってもよく、銅とニッケルとタングステンとモリブデンとの組み合わせであってもよい。
銅の添着量は、例えば、第1の脱硫剤の全質量に対して、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であることが更に好ましい。
銅と組み合わせる金属がニッケルである場合、ニッケルの添着量は、例えば、第1の脱硫剤の全質量に対して、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であることが更に好ましい。
銅と組み合わせる金属がタングステンである場合、タングステンの添着量は、例えば、第1の脱硫剤の全質量に対して、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であることが更に好ましい。
銅と組み合わせる金属がモリブデンである場合、モリブデンの添着量は、例えば、第1の脱硫剤の全質量に対して、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であることが更に好ましい。
銅と組み合わせる金属がニッケルである場合、銅の添着量に対するニッケルの添着量の割合(ニッケルの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.20~2.70の範囲であることが好ましく、0.20~2.50の範囲であることがより好ましく、0.30~2.00の範囲であることが更に好ましく、0.30~1.00の範囲であることが特に好ましい。
銅の添着量に対するニッケルの添着量の割合が、上記範囲内であると、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物をより効率良く吸着除去することができ、かつ、燃料ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合には、チオフェンの生成をより抑制することができる。
銅と組み合わせる金属がタングステンである場合、銅の添着量に対するタングステンの添着量の割合(タングステンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.10~0.60の範囲であることが好ましく、0.15~0.60の範囲であることがより好ましい。
銅の添着量に対するタングステンの添着量の割合が、上記範囲内であると、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物をより効率良く吸着除去することができ、かつ、燃料ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合には、チオフェンの生成をより抑制することができる。
なお、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物をより効率良く吸着除去する観点からは、銅の添着量に対するタングステンの添着量の割合(タングステンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.15~0.55の範囲であることが更に好ましい。
また、チオフェンの生成をより抑制する観点からは、銅の添着量に対するタングステンの添着量の割合(タングステンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.25~0.60の範囲であることが更に好ましい。
銅と組み合わせる金属がモリブデンである場合、銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合(モリブデンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.15~2.00の範囲であることが好ましく、0.15~1.80の範囲であることがより好ましい。
銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合が、上記範囲内であると、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物をより効率良く吸着除去することができ、かつ、燃料ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合には、チオフェンの生成をより抑制することができる。
なお、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物をより効率良く吸着除去する観点からは、銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合(モリブデンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.15~1.60の範囲であることが更に好ましい。
また、チオフェンの生成をより抑制する観点からは、銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合(モリブデンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.20~1.60の範囲であることが更に好ましく、0.30~1.60の範囲であることが特に好ましい。
活性炭に添着された金属が銅及びニッケルを含む場合、銅の添着量は、例えば、活性炭に添着された金属の全質量に対して、20質量%以上80質量%以下であることが好ましく、30質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上80質量%以下であることが更に好ましく、40質量%以上65質量%以下であることが特に好ましい。
また、ニッケルの添着量は、例えば、活性炭に添着された金属の全質量に対して、20質量%以上80質量%以下であることが好ましく、20質量%以上70質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上60質量%以下であることが更に好ましく、35質量%以上60質量%以下であることが特に好ましい。
活性炭に添着された金属が銅及びタングステンを含む場合、銅の添着量は、例えば、活性炭に添着された金属の全質量に対して、50質量%以上85質量%以下であることが好ましく、50質量%以上75質量%以下であることがより好ましい。
また、タングステンの添着量は、例えば、活性炭に添着された金属の全質量に対して、15質量%以上50質量%以下であることが好ましく、25質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
活性炭に添着された金属が銅及びモリブデンを含む場合、銅の添着量は、例えば、活性炭に添着された金属の全質量に対して、30質量%以上85質量%以下であることが好ましく、35質量%以上85質量%以下であることがより好ましい。
また、モリブデンの添着量は、例えば、活性炭に添着された金属の全質量に対して、15質量%以上70質量%以下であることが好ましく、15質量%以上65質量%以下であることがより好ましい。
本開示において、活性炭に添着された金属の量(即ち、添着量)は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法により測定される値である。測定装置としては、例えば、Perkin-Elmer製のOptima 8000(製品名)を好適に用いることができる。但し、測定装置は、これに限定されない。
(他の成分)
第1の脱硫剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、活性炭、銅、並びに、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種以外の他の成分を含んでもよい。
第1の脱硫剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、不可避成分として、銅、ニッケル、タングステン、及びモリブデン以外の金属を含んでいてもよい。
~第1の脱硫剤の形状~
第1の脱硫剤の形状は、特に制限されず、目的に応じて、適宜選択することができる。
第1の脱硫剤の形状としては、粒状、柱状(例えば、円柱状)、繊維状、ハニカム状、破砕状等の形状が挙げられる。
これらの中でも、第1の脱硫剤の形状としては、例えば、コスト面の観点から、粒状、柱状、及び破砕状からなる群より選ばれる少なくとも1種の形状が好ましく、また、密度の高さ及び微細粉を含まないという観点から、粒状及び柱状から選ばれる少なくとも1種の形状がより好ましい。
~第1の脱硫剤の製造方法~
第1の脱硫剤の製造方法は、特に制限されず、活性炭に金属を添着させる方法として公知の方法を採用し、第1の脱硫剤を製造することができる。
第1の脱硫剤の製造方法の一例を説明する。第1の脱硫剤は、例えば、下記の方法により製造することができる。但し、第1の脱硫剤の製造方法は、これに限定されるものではない。
(1)活性炭に添着させる金属の元素を含む金属化合物を、溶媒に溶解又は分散させた溶液(含浸溶液)を調製する。
(2)含浸溶液に、活性炭を浸漬させる。
(3)含浸溶液に浸漬させた活性炭を乾燥させ、溶媒を除去する。
(4)乾燥した浸漬後の活性炭を焼成して、活性炭上に金属酸化物等を形成させて、金属添着炭(第1の脱硫剤)を得る。
以上の方法により、第1の脱硫剤を製造することができる。
含浸溶液を調製するための金属化合物としては、金属硝酸塩、金属酢酸塩、金属硫酸塩、金属塩化物、金属リン酸塩等の金属塩類が挙げられる。
具体的には、硝酸銅三水和物、酢酸銅一水和物、硝酸ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、12-タングストリン酸n水和物、モリブデン酸アンモニウム四水和物等が挙げられる。
含浸溶液を調製するための溶剤としては、特に制限されず、水、酸性水溶液(硝酸水溶液等)、塩基性水溶液(アンモニア水溶液等)、アルコール系溶剤(メタノール、エタノール、n-プロパノール等)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル系溶剤(ジエチルエーテル等)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素系溶剤(トルエン等)などが挙げられる。
これらの中でも、含浸溶液を調製するための溶媒としては、焼成後に残留しない等の観点から、水が好ましい。
含浸溶液の調製には、溶媒を1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
含浸溶液における金属化合物の濃度は、特に制限されず、例えば、金属化合物の種類、活性炭に添着させる金属の添着量、活性炭の種類等に応じて、適宜設定することができる。
浸漬温度は、特に制限されず、例えば、10℃~80℃の範囲とすることができる。
浸漬時間についても、特に制限されず、例えば、5分間~2時間の範囲とすることができる。
乾燥方法は、特に制限されず、例えば、加熱により乾燥させる方法が挙げられる。
加熱温度は、特に制限されず、例えば、50℃~150℃の範囲とすることができる。
焼成温度は、例えば、金属化合物の分解促進、及び金属添着炭の発火抑制の観点から、150℃~300℃の範囲であることが好ましい。
焼成時間は、特に制限されず、例えば、1時間~24時間の範囲とすることができる。
〔第2の脱硫部〕
第2の脱硫部は、既述の第1の脱硫部のガス流通方向下流に配置され、第2の脱硫剤を備えている。
第2の脱硫部では、第1の脱硫剤では吸着しきれない硫黄化合物及び第1の脱硫剤において生成し得る硫黄化合物(例えば、チオフェン)を第2の脱硫剤に吸着し、除去する。
第1の脱硫部を流通した燃料ガス中の硫黄化合物の種類及び量は、第1の脱硫剤によって低減されているため、第2の脱硫剤は、多くの使用量を必要としない。
<第2の脱硫剤>
第2の脱硫剤は、銀が担持されたゼオライト(銀担持ゼオライト)を含む。
第2の脱硫剤は、銀担持ゼオライトを含むことで、第1の脱硫剤では吸着しきれない硫黄化合物及び第1の脱硫剤において生成し得る硫黄化合物(例えば、チオフェン)を吸着除去することができる。
(銀担持ゼオライト)
銀ゼオライトは、ゼオライトに銀(Ag)が担持されたものであり、燃料ガス中の水分濃度にかかわらず、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができる。
ゼオライトとしては、特に制限されず、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、β型ゼオライト等が挙げられる。
これらの中でも、ゼオライトとしては、例えば、脱硫性能の観点から、Y型ゼオライトが好ましく、特に水分濃度が高い場合には、β型ゼオライトが好ましい。
銀の担持量は、例えば、脱硫性能の観点から、ゼオライトの全質量に対して、3質量%以上であることが好ましい。
銀の担持量の上限は、特に制限されず、例えば、20質量%以下とすることができる。
(他の成分)
第2の脱硫剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、ゼオライト、及び銀以外の他の成分を含んでもよい。
他の成分としては、成形材料としてのバインダーが挙げられる。バインダーとしては、アルミナ、シリカ、粘土鉱物等が挙げられる。
第2の脱硫剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、不可避成分として、銀以外の金属を含んでいてもよい。
~第2の脱硫剤の形状~
第2の脱硫剤の形状は、特に制限されず、目的に応じて、適宜選択することができる。
第2の脱硫剤の形状としては、粒状、柱状(例えば、円柱状)、ハニカム状、破砕状等の形状が挙げられる。
これらの中でも、第2の脱硫剤の形状としては、例えば、コスト面の観点から、粒状、柱状、及び破砕状からなる群より選ばれる少なくとも1種の形状が好ましく、また、密度の高さ及び微細粉を含まないという観点から、粒状及び柱状から選ばれる少なくとも1種の形状がより好ましい。
~第2の脱硫剤の製造方法~
第2の脱硫剤の製造方法は、特に制限されず、ゼオライトに銀を担持させる方法として公知の方法を採用し、第2の脱硫剤を製造することができる。ゼオライトに銀を担持させる方法としては、例えば、イオン交換法が挙げられる。
第2の脱硫剤としては、市販品を用いることができる。第2の脱硫剤の市販品の例としては、FKS-A(商品名、形状:粒状、ゼオライトの種類:Y型ゼオライト、銀の担持量:ゼオライトの全質量に対して14質量%、日揮触媒化成(株))が挙げられる。
〔第3の脱硫部〕
第3の脱硫部は、第3の脱硫剤を備えている。
第3の脱硫部では、第1の脱硫剤にて除去されなかった硫黄化合物のうち、第2の脱硫剤では吸着しきれない硫黄化合物が第3の脱硫剤によって除去される。
<第3の脱硫剤>
第3の脱硫剤は、活性炭と、該活性炭に添着された金属と、を含み、前記金属は、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。また、金属としては、銅と、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、の組み合わせを含むことが好ましい。
第3の脱硫剤は、上記のような構成を有することで、第1の脱硫剤にて除去されなかった硫黄化合物のうち、第2の脱硫剤では吸着しきれない硫黄化合物を効率良く吸着除去することができる。
なお、第3の脱硫剤の好ましい活性炭については、第1の脱硫剤の好ましい活性炭と同様であるため、その説明を省略する。また、第1の脱硫剤と共通する事項、例えば、銅と、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、の組み合わせを含む金属が添着された活性炭を脱硫剤として用いるときの好ましい構成については、その説明を省略する。
ニッケルの添着量は、例えば、第3の脱硫剤の全質量に対して、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であることが更に好ましい。
タングステンの添着量は、例えば、第3の脱硫剤の全質量に対して、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であることが更に好ましい。
モリブデンの添着量は、例えば、第3の脱硫剤の全質量に対して、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であることが更に好ましい。
≪他の実施形態の燃料ガス用脱硫器≫
[燃料ガス用脱硫器]
本発明の他の実施形態の燃料ガス用脱硫器は、第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部と、前記第1の脱硫部のガス流通方向下流に配置され、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部と、前記第2の脱硫部のガス流通方向下流に配置され、第3の脱硫剤を備える第3の脱硫部と、を備え、前記第1の脱硫剤は、活性炭と、前記活性炭に添着された金属と、を含み、前記金属は、銅を含み、前記第2の脱硫剤は、銀が担持されたゼオライトを含み、前記第3の脱硫剤は、前記銀が担持されたゼオライトよりも硫化カルボニルの吸着性が高い。
他の実施形態の燃料ガス用脱硫器によれば、前述の一実施形態の燃料ガス用脱硫器と同様、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができ、かつ、従来の銀担持ゼオライトを使用した脱硫器と比較して、銀担持ゼオライトの使用量を低減することができるとともに、脱硫器の小型化を実現し得る。特に、燃料ガスとしてLPガスを用いた場合であっても、硫化カルボニルの吸着性に優れる第3の脱硫剤を用いることにより、銀担持ゼオライトの使用量を大きく削減しつつ、効率的に硫黄化合物を除去することができる。
なお、他の実施形態における第1の脱硫部及び第2の脱硫部の好ましい構成は、前述の一実施形態における第1の脱硫部及び第2の脱硫部の好ましい構成と同様であるため、その説明を省略する。
〔第3の脱硫部〕
第3の脱硫部は、銀が担持されたゼオライトよりも硫化カルボニルの吸着性が高い第3の脱硫剤を備えている。
第3の脱硫部では、第1の脱硫剤にて除去されなかった硫黄化合物のうち、第2の脱硫剤では吸着しきれない硫化カルボニルを含む硫黄化合物が第3の脱硫剤によって除去される。
なお、ある特定の脱硫剤について銀が担持されたゼオライトよりも硫化カルボニルの吸着性が高いか否かは、例えば、後述する比較例2に示す「-第2の脱硫剤の量設定-」の条件にて試供ガスを流した際、ある特定の脱硫剤におけるCOSの吸着量と銀が担持されたゼオライトにおけるCOSの吸着量との大小で判断すればよい。
<第3の脱硫剤>
第3の脱硫剤としては、銀が担持されたゼオライトよりも硫化カルボニルの吸着性が高い脱硫剤であれば特に限定されない。
第3の脱硫剤としては、例えば、活性炭と、該活性炭に添着された金属と、を含み、該金属は、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよく、好ましくは、銅と、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、の組み合わせを含んでいてもよい。このとき、第3の脱硫剤の好ましい構成については、一実施形態における第1の脱硫剤の好ましい構成と同様であるため、その説明を省略する。
[燃料ガス用脱硫器の用途]
一実施形態、他の実施形態等(本実施形態)の燃料ガス用脱硫器は、燃料として使用される燃料ガス中に含まれる硫黄化合物を除去する用途に適用される脱硫器であり、例えば、0℃~60℃の温度範囲で硫黄化合物を含む燃料ガスと接触させ、脱硫剤の表面に物理的又は化学的に硫黄化合物を吸着させることによって、燃料ガス中の硫黄化合物を除去する、いわゆる常温吸着脱硫方式の脱硫に使用される脱硫器である。
硫黄化合物を含む燃料ガスとしては、都市ガス、LPガス、天然ガス、消化ガス、排ガス等が挙げられる。本発明の燃料ガス用脱硫器は、これらの燃料ガスのいずれに対しても適用することができる。特に、硫黄化合物を含むLPガスを用いた場合に、銀担持ゼオライトの使用量を好適に削減することができ、有用である。
本実施形態の燃料ガス用脱硫器は、燃料ガス中に含まれる硫化水素(HS)、硫化カルボニル(COS)、メルカプタン類〔メチルメルカプタン(MM)、エチルメルカプタン(EM)、tert-ブチルメルカプタン(TBM)等〕、サルファイド類〔ジメチルスルフィド(DMS)、ジエチルスルフィド(DES)、ジメチルジスルフィド(DMDS)等〕、チオフェン類〔テトラヒドロチオフェン(THT)等〕などの種々の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができ、かつ、従来の銀担持ゼオライトを使用した脱硫器と比較して、銀担持ゼオライトの使用量を低減することができるとともに、脱硫器の小型化を実現することができるため、例えば、都市ガス、LPガス、天然ガス、消化ガス、排ガス等の燃料ガスを利用した燃料電池システムにおける前処理段階の脱硫器(即ち、常温吸着脱硫器)として好適である。
なお、これら実施形態の燃料ガス用脱硫器は、銀担持ゼオライトの使用量を低減することができることから、特に、脱硫器の低コスト化及び小型化が求められる、家庭用燃料電池システムにおける脱硫器として、好適に用いられる。
[燃料ガス用脱硫器の製造方法]
本実施形態の燃料ガス用脱硫器は、例えば、第1の脱硫剤と第2の脱硫剤と第3の脱硫剤とを順に所定の容器に充填することで製造することができる。
容器の材料としては、ステンレス鋼(SUS)、樹脂等が挙げられる。
容器の形状としては、円筒状、角筒状等が挙げられる。
容器における第1の脱硫剤、第2の脱硫剤及び第3の脱硫剤の充填密度は、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物の吸着量、圧力損失等を考慮して、適宜設定することができる。
本実施形態の燃料ガス用脱硫器は、容器のガス流通方向下流側に、第3の脱硫剤の飛散を防止するためのフィルター等を備えていてもよい。
[燃料ガスの脱硫方法]
本発明の一実施形態の燃料ガスの脱硫方法は、本実施形態の燃料ガス用脱硫器に燃料ガスを供給して脱硫を行う方法である。例えば、0℃~60℃の温度範囲で硫黄化合物を含む燃料ガスと本実施形態の燃料ガス用脱硫器に含まれる各脱硫剤とを接触させ、各脱硫剤の表面に物理的又は化学的に硫黄化合物を吸着させることによって、燃料ガス中の硫黄化合物を除去してもよい。
[燃料ガス脱硫システム]
本発明の一実施形態の燃料ガス脱硫システムは、本実施形態の燃料ガス用脱硫器と、燃料ガスを前記燃料ガス用脱硫器に供給する燃料ガス供給源と、を備える。
〔燃料ガス供給源〕
燃料ガス供給源は、本実施形態の燃料ガス用脱硫器に燃料ガスを供給するガス供給源である。燃料ガスとしては、都市ガス、LPガス、天然ガス、消化ガス、排ガス等が挙げられる。
〔燃料電池〕
本実施形態の燃料ガス脱硫システムは、燃料ガス用脱硫器にて脱硫された燃料ガスを用いて発電を行う燃料電池を備えていてもよい。燃料ガス用脱硫器にて脱硫された燃料ガスは、水蒸気、二酸化炭素等によって改質された後に燃料電池に供給されて燃料ガスの改質により生じた水素、一酸化炭素等が発電に用いられる構成であってもよい。あるいは、燃料ガス用脱硫器にて脱硫された燃料ガス、及び水蒸気、二酸化炭素等が燃料電池(好ましくは、600℃~800℃程度で作動する高温型の燃料電池、より具体的には、固体酸化物形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池等)に直接供給され、燃料電池内にて当該燃料ガスが内部改質されて生じた水素、一酸化炭素等が発電に用いられる構成であってもよい。
〔水素製造装置〕
本実施形態の燃料ガス脱硫システムは、燃料ガス用脱硫器にて脱硫された燃料ガスを用いて水素を製造する水素製造装置を備えていてもよい。例えば、燃料ガス用脱硫器にて脱硫された燃料ガスは、水素製造装置にて水蒸気、二酸化炭素等によって改質されて水素が製造される構成であってもよい。
以下、本発明の燃料ガス脱硫システムの一例について、図を用いて説明する。
図2は、一実施形態の燃料ガス脱硫システムを示す概略構成図である。
一実施形態の燃料ガス脱硫システム50は、ガス流通方向の下流に向かって、前述の燃料ガス用脱硫器1と、水蒸気改質器2と、燃料電池3と、を備える。まず、燃料ガス供給源(図示せず)から燃料ガス用脱硫器1に燃料ガスが供給される。燃料ガス用脱硫器1に供給された燃料ガスは脱硫された後、水蒸気改質器2に供給される。
燃料ガス脱硫システム50は、燃料ガス用脱硫器1にて脱硫された燃料ガスを水蒸気改質して水素及び一酸化炭素を生成する水蒸気改質器2を備える。水蒸気改質器2には、燃料ガス用脱硫器1にて脱硫された燃料ガス、及び水蒸気(HO)が供給される。水蒸気改質器2は、水蒸気改質を効率よく行う観点から、例えば、改質用触媒を備え、かつ600℃~800℃に加熱される構成であってもよい。また、脱硫により硫黄化合物が除去された燃料ガスが水蒸気改質器2に供給されるため、水蒸気改質器2が改質用触媒を備える場合に硫黄化合物の被毒による触媒機能の低下が抑制される。
燃料ガス脱硫システム50は、水蒸気改質器2にて生成された水素(H)及び一酸化炭素(CO)、並びに酸素(O)が供給されて発電を行う燃料電池3を備える。より具体的には、水蒸気改質器2にて生成された水素及び一酸化炭素が燃料電池3のアノード(図示せず)に供給され、酸素が燃料電池3のカソード(図示せず)に供給されて発電が行われる。このとき、燃料ガス中の硫黄化合物が脱硫により除去されているため、燃料電池内の硫黄化合物の被毒による電極触媒の機能低下が抑制される。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例では、破過時間を早期に判断するために、試験時の濃度及び流量を加速させた条件で試験を行っており、試験条件が実使用条件とは異なっている。
以下の実施例では、tert-ブチルメルカプタンを「TBM」と表記し、ジメチルスルフィドを「DMS」と表記し、硫化水素を「HS」と表記し、メチルメルカプタンを「MM」と表記し、ジメチルジスルフィドを「DMDS」と表記し、テトラヒドロチオフェンを「THT」と表記し、硫化カルボニルを「COS」と表記する。
<比較例1>
[第1の脱硫剤の製造]
〔製造例1〕
硝酸銅三水和物19質量部と、硝酸ニッケル六水和物25質量部と、を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得た。得られた含浸溶液に、無機酸で処理したヤシ殻活性炭(商品名:粒状白鷺C2X、形状:円柱状、比表面積:1200m/g~1500m/g、大阪ガスケミカル(株)製)100質量部を、5分間浸漬した。浸漬後のヤシ殻活性炭を、ロータリーエバポレーター(型番:N1110型、東京理化器械(株)製)に備えられたフラスコに入れた。浸漬後のヤシ殻活性炭を、フラスコを回転させて撹拌しながら、突沸しないように、50℃の減圧下で120分間乾燥した。フラスコから乾燥処理した浸漬後のヤシ殻活性炭を取り出し、熱風循環乾燥器(型番:FS-60W、東京硝子器械(株)製)に入れ、空気流通下、焼成温度150℃にて15時間焼成し、ヤシ殻活性炭に銅及びニッケルが添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、メノウ乳鉢を用いて破砕した後、目開き0.35μm~0.75μmの篩にかけて整粒し、第1の脱硫剤とした。
なお、第1の脱硫剤における銅及びニッケルの添着量を、Perkin-Elmer製のOptima 8000(製品名)を用い、ICP発光分光分析法により測定したところ、第1の脱硫剤の全質量に対して、それぞれ3.3質量%及び3.1質量%であった。また、第1の脱硫剤における銅の添着量に対するニッケルの添着量の割合(ニッケルの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.94である。
[第1の脱硫剤の性能評価]
-評価試験用脱硫器の作製-
上記で得られた第1の脱硫剤を用いて、評価試験用脱硫器を作製した。図3に示すような、円筒管100(内径:8.0mm)内に、脱硫剤200を充填層高38mmとなるように充填した。脱硫剤の充填量としては、約2.0cmとなる。なお、円筒管100は、出口部に目皿300を有している。
-硫黄化合物の吸着量の測定-
上記で作製した評価試験用脱硫器を恒温槽内に配置し、槽内を25℃に保温した。そして、評価試験用脱硫器内に、脱硫済みの都市ガス13Aに下記の表1に示す組成の硫黄化合物を添加した供試ガスを1.0L/minの流量で流した。なお、供試ガスの露点温度は、-60℃である。供試ガスは、図3に示す矢印の方向に流れる。
Figure 0007048375000001
全ての硫黄化合物の破過点(破過基準:28.6mg/m)が確認されるまで、供試ガスを流した。そして、供試ガスを流してから各硫黄化合物の破過点が確認されるまでの時間、供試ガスの流量、及び供試ガスの組成から、各硫黄化合物の脱硫剤への吸着量を算出した。
なお、硫黄化合物の破過点は、3時間毎に、評価試験用脱硫器の出口から排出されたガスを採取し、ガスクロマトグラフィを用いて、各硫黄化合物に帰属されるピークの検出により確認した。
また、ガスクロマトグラフィの測定条件は、以下の通りである。
(測定条件)
ガスクロマトグラフィシステム:(株)島津アクセス製のGC-2014A(型番)
検出器:水素炎イオン化検出器
分析カラム:Shimalite 80/100 AW-AMDS-ST(商品名、4.1m×3.2mmI.D.、信和化工(株)製)
インジェクション量:3mL
カラム温度:170℃
代表として、TBM、DMDS及びCOSの吸着量の測定結果を下記の表2に示す。
なお、TBM、DMDS及びCOSの3種類合計の吸着量の値が高いほど、脱硫剤が硫黄化合物の吸着能に優れることを意味する。
Figure 0007048375000002
表2において、「吸着量」の値は、破過点までに第1の脱硫剤に吸着した硫黄化合物の量を、吸着前の第1の脱硫剤の質量で除し、得られた値を硫黄元素に換算した値(単位:質量%S)を示す(以下、同様である)。
[脱硫器の設計]
-第1の脱硫剤の量設定-
表2に示すTBMの吸着量の結果に基づき、第1の脱硫剤の量を設定した。
具体的には、脱硫済みの都市ガス13Aに、7.0mg/m~14.0mg/mのTBM、1.4mg/m~7.0mg/mのDMDS、及び0.2mg/m~0.7mg/mのCOSを添加した供試ガスを、流通ガス量が5000mとなるように流した場合に、供試ガスに含まれるTBMの全てを吸着することができる第1の脱硫剤の量を、表2に示したTBMの吸着量の結果に基づき、下記の式(1)に従って、算出した。
第1の脱硫剤の量[cm]=供試ガス中のTBMの濃度[mg/m]×供試ガスの流通ガス量[m]÷(表2に示すTBMの吸着量[質量%S]/100)÷1000÷第1の脱硫剤の比重[g/cm]・・・式(1)
上記にて設定した第1の脱硫剤の量では、吸着しきれないDMDS及びCOSの量を、それぞれ下記の式(2)及び式(3)に従って、算出した。なお、下記の式(2)及び式(3)では、上記にて算出した第1の脱硫剤の量[cm]を、g(グラム)単位に換算して用いた。換算式を式(1A)に示す。
第1の脱硫剤の量[g]=第1の脱硫剤の量[cm]×第1の脱硫剤の比重[g/cm]・・・式(1A)
DMDSの量[mg]=供試ガス中のDMDSの濃度[mg/m]×供試ガスの流通ガス量[m]-第1の脱硫剤の量[g]×1000×(表2に示すDMDSの吸着量[質量%S]/100)・・・式(2)
COSの量[mg]=供試ガス中のCOSの濃度[mg/m]×供試ガスの流通ガス量[m]-第1の脱硫剤の量[g]×1000×(表2に示すCOSの吸着量[質量%S]/100)・・・式(3)
-第2の脱硫剤の量設定-
第2の脱硫剤として、市販の銀担持ゼオライト(商品名:FKS-A、形状:粒状、ゼオライトの種類:Y型ゼオライト、銀の担持量:ゼオライトの全質量に対して14質量%、日揮触媒化成(株))を用いて、評価試験用脱硫器を作製した。図3に示すような、円筒管100(内径:8.0mm)内に、脱硫剤200を充填層高38mmとなるように充填した。脱硫剤の充填量としては、約2cmとなる。なお、円筒管100は、出口部に目皿300を有している。
上記で作製した評価試験用脱硫器を恒温槽内に配置し、槽内を25℃に保温した。そして、評価試験用脱硫器内に、脱硫済みの都市ガス13Aに、下記の表3に示す組成の硫黄化合物を添加した供試ガスを1.0L/minの流量で流した。なお、供試ガスの露点温度は、-60℃である。供試ガスは、図3に示す矢印の方向に流れる。
Figure 0007048375000003
全ての硫黄化合物の破過点(破過基準:28.6mg/m)が確認されるまで、供試ガスを流した。そして、供試ガスを流してから各硫黄化合物の破過点が確認されるまでの時間、供試ガスの流量、及び供試ガスの組成から、各硫黄化合物の第2の脱硫剤への吸着量を算出した。
なお、硫黄化合物の破過点は、3時間毎に、評価試験用脱硫器の出口から排出されたガスを採取し、ガスクロマトグラフィを用いて、各硫黄化合物に帰属されるピークの検出により確認した。ガスクロマトグラフィの測定条件は、上記の硫黄化合物の吸着量の測定における測定条件と同様である。
第2の脱硫剤におけるDMDS、及びCOSの吸着量の測定結果を下記の表4に示す。
Figure 0007048375000004
表4において、「吸着量」の値は、破過点までに第2の脱硫剤に吸着した硫黄化合物の量を、吸着前の脱硫剤の質量で除し、得られた値を硫黄元素に換算した値(単位:質量%S)を示す(以下、同様である)。
表4に示す第2の脱硫剤におけるDMDS、及びCOSの吸着量の結果と、上記にて算出した、表2に示す第1の脱硫剤におけるTBMの吸着量の結果に基づいて設定した量の第1の脱硫剤では吸着しきれないDMDS及びCOSの量に基づき、第2の脱硫剤の量設定を行った。具体的には、以下のようにして設定した。
まず、上記にて設定した量の第1の脱硫剤では吸着しきれないDMDS及びCOSの吸着に必要な第2の脱硫剤の量を、それぞれ下記の式(4)及び式(5)に従って、算出した。
DMDSの吸着に必要な第2の脱硫剤の量[cm]=式(2)により算出したDMDSの量[mg]÷(表4に示すDMDSの吸着量[質量%S]/100)÷1000÷第2の脱硫剤の比重[g/cm]・・・式(4)
COSの吸着に必要な第2の脱硫剤の量[cm]=式(3)により算出したCOSの量[mg]÷(表4に示すCOSの吸着量[質量%S]/100)÷1000÷第2の脱硫剤の比重[g/cm]・・・式(5)
式(4)及び式(5)により算出した第2の脱硫剤の量のうち、より多い量を第2の脱硫剤の量として設定した。
このようにして設定した第2の脱硫剤の量は、第1の脱硫剤で吸着しきれないDMDS及びCOSの全てを吸着することができる量である。
以上の結果に基づいて設計した比較例1の脱硫器の構成を下記の表9及び表10並びに図4に示す。
<比較例2>
比較例1と同様にして、第1の脱硫剤を製造し、かつ製造した第1の脱硫剤を用いて評価試験用脱硫器を作製した。
-硫黄化合物の吸着量の測定-
上記で作製した評価試験用脱硫器を恒温槽内に配置し、槽内を25℃に保温した。そして、評価試験用脱硫器内に、脱硫済みのLPガス(プロパン約95体積%、ブタン約5体積%)に下記の表5に示す組成の硫黄化合物を添加した供試ガスを1.0L/minの流量で流した。なお、供試ガスの露点温度は、-60℃である。供試ガスは、図3に示す矢印の方向に流れる。
Figure 0007048375000005
全ての硫黄化合物の破過点(破過基準:28.6mg/m)が確認されるまで、供試ガスを流した。そして、供試ガスを流してから各硫黄化合物の破過点が確認されるまでの時間、供試ガスの流量、及び供試ガスの組成から、各硫黄化合物の第1の脱硫剤への吸着量を算出した。
なお、硫黄化合物の破過点は、3時間毎に、評価試験用脱硫器の出口から排出されたガスを採取し、ガスクロマトグラフィを用いて、各硫黄化合物に帰属されるピークの検出により確認した。ガスクロマトグラフィの測定条件は、上記の硫黄化合物の吸着量の測定における測定条件と同様である。
第1の脱硫剤におけるTBM、DMDS、及びCOSの吸着量の測定結果を下記の表6に示す。
Figure 0007048375000006
[脱硫器の設計]
-第1の脱硫剤の量設定-
表6に示すTBMの吸着量の結果に基づき、第1の脱硫剤の量を設定した。
具体的には、脱硫済みのLPガスに、5.0mg/m~10.0mg/mのTBM、5.0mg/m~10.0mg/mのDMDS、及び5.0mg/m~10.0mg/mのCOSを添加した供試ガスを、流通ガス量が5000mとなるように流した場合に、供試ガスに含まれるTBMの全てを吸着することができる第1の脱硫剤の量を、表6に示したTBMの吸着量の結果に基づき、「表2に示すTBMの吸着量」を「表6に示すTBMの吸着量」に読み替えた上記の式(1)を用いて算出した。
上記にて設定した第1の脱硫剤の量では、吸着しきれないDMDS及びCOSの量を、それぞれ「表2に示すDMDSの吸着量」を「表6に示すDMDSの吸着量」に読み替えた上記の式(2)、及び、「表2に示すCOSの吸着量」を「表6に示すCOSの吸着量」に読み替えた上記の式(3)を用いて算出した。
-第2の脱硫剤の量設定-
第2の脱硫剤として、上記の銀担持ゼオライトを用いて、比較例1と同様にして評価試験用脱硫器を作製した。
上記で作製した評価試験用脱硫器を恒温槽内に配置し、槽内を25℃に保温した。そして、評価試験用脱硫器内に、脱硫済みのLPガスに、下記の表7に示す組成の硫黄化合物を添加した供試ガスを1.0L/minの流量で流した。なお、供試ガスの露点温度は、-60℃である。供試ガスは、図3に示す矢印の方向に流れる。
Figure 0007048375000007
全ての硫黄化合物の破過点(破過基準:28.6mg/m)が確認されるまで、供試ガスを流した。そして、供試ガスを流してから各硫黄化合物の破過点が確認されるまでの時間、供試ガスの流量、及び供試ガスの組成から、各硫黄化合物の第2の脱硫剤への吸着量を算出した。
なお、硫黄化合物の破過点は、3時間毎に、評価試験用脱硫器の出口から排出されたガスを採取し、ガスクロマトグラフィを用いて、各硫黄化合物に帰属されるピークの検出により確認した。ガスクロマトグラフィの測定条件は、上記の硫黄化合物の吸着量の測定における測定条件と同様である。
第2の脱硫剤におけるDMDS、及びCOSの吸着量の測定結果を下記の表8に示す。
Figure 0007048375000008
表8に示す第2の脱硫剤におけるDMDS、及びCOSの吸着量の結果と、上記にて算出した、表6に示す第1の脱硫剤におけるTBMの吸着量の結果に基づいて設定した量の第1の脱硫剤では吸着しきれないDMDS及びCOSの量に基づき、第2の脱硫剤の量設定を行った。具体的には、以下のようにして設定した。
まず、上記にて設定した量の第1の脱硫剤では吸着しきれないDMDS及びCOSの吸着に必要な第2の脱硫剤の量を、「表4に示すDMDSの吸着量」を「表8に示すDMDSの吸着量」に読み替えた上記の式(4)、及び、「表4に示すCOSの吸着量」を「表8に示すCOSの吸着量」に読み替えた上記の式(5)を用いて算出した。
式(4)及び式(5)により算出した第2の脱硫剤の量のうち、より多い量、すなわち式(5)により算出した第2の脱硫剤の量を、第2の脱硫剤の量として設定した。
このようにして設定した第2の脱硫剤の量は、第1の脱硫剤で吸着しきれないDMDS及びCOSの全てを吸着することができる量である。
以上の結果に基づいて設計した比較例2の脱硫器の構成を下記の表9及び表10並びに図4に示す。
<実施例1>
-第1の脱硫剤の量設定-
まず、比較例2と同様にして、第1の脱硫剤の量設定を行った。すなわち、比較例1に記載の供試ガスに含まれるTBMの全てを吸着することができる第1の脱硫剤の量を、実施例1における第1の脱硫剤の量とした。
-第2の脱硫剤の量設定-
次に、比較例2にて式(4)及び式(5)により算出した第2の脱硫剤の量のうち、より少ない量、すなわち式(4)により算出した第2の脱硫剤の量を、第2の脱硫剤の量として設定した。
このようにして設定した第2の脱硫剤の量は、第1の脱硫剤で吸着しきれないCOSの全てを吸着することができる量ではないが、第1の脱硫剤で吸着しきれないDMDSの全てを吸着することができる量である。
-第3の脱硫剤の量設定-
比較例1と同様にして、第1の脱硫剤を製造し、かつ製造した第1の脱硫剤を第3の脱硫剤として用いて評価試験用脱硫器を作製した。
上記で作製した評価試験用脱硫器を恒温槽内に配置し、槽内を25℃に保温した。そして、評価試験用脱硫器内に、脱硫済みのLPガスに、5.0mg/m~10.0mg/mのCOSを添加した供試ガスを1.0L/minの流量で流した。なお、供試ガスの露点温度は、-60℃である。供試ガスは、図3に示す矢印の方向に流れる。
硫黄化合物(COS)の破過点(破過基準:28.6mg/m)が確認されるまで、供試ガスを流した。そして、供試ガスを流してから硫黄化合物の破過点が確認されるまでの時間、供試ガスの流量、及び供試ガスの組成から、硫黄化合物の第3の脱硫剤への吸着量を算出した。
なお、硫黄化合物の破過点は、3時間毎に、評価試験用脱硫器の出口から排出されたガスを採取し、ガスクロマトグラフィを用いて、各硫黄化合物に帰属されるピークの検出により確認した。ガスクロマトグラフィの測定条件は、上記の硫黄化合物の吸着量の測定における測定条件と同様である。
第3の脱硫剤におけるCOSの吸着量は、0.58質量%Sであった。
第3の脱硫剤におけるCOSの吸着量の結果と、上記にて算出した、表6に示す第1の脱硫剤におけるTBMの吸着量の結果に基づいて設定した量の第1の脱硫剤、及び表8に示す第2の脱硫剤におけるDMDSの吸着量の結果に基づいて設定した量の第2の脱硫剤では吸着しきれないCOSの量に基づき、第3の脱硫剤の量設定を行った。具体的には、以下のようにして設定した。まず、上記にて設定した量の第1の脱硫剤及び第2の脱硫剤では、吸着しきれないCOSの量を、下記式(6)に従って、算出した。なお、下記の式(6)では、上記にて算出した第1の脱硫剤の量[cm]及び第2の脱硫剤の量[cm]をそれぞれ、g(グラム)単位に換算して用いた。換算式は、上記の式(1A)及び下記の式(1B)である。
第2の脱硫剤の量[g]=第2の脱硫剤の量[cm]×第2の脱硫剤の比重[g/cm]・・・式(2A)
COSの量[mg]=供試ガス中のCOSの濃度[mg/m]×供試ガスの流通ガス量[m]-第1の脱硫剤の量[g]×1000×(表6に示すCOSの吸着量[質量%S]/100)-第2の脱硫剤の量[g]×1000×(表8に示すCOSの吸着量[質量%S]/100)・・・式(6)
第3の脱硫剤におけるCOSの吸着量の結果と、上記にて設定した量の第1の脱硫剤及び第2の脱硫剤では、吸着しきれないCOSの量に基づき、第3の脱硫剤の量設定を行った。具体的には、以下のようにして設定した。
まず、上記にて設定した量の第1の脱硫剤及び第2の脱硫剤では吸着しきれないCOSの吸着に必要な第3の脱硫剤の量を、下記の式(7)に従って、算出した。
COSの吸着に必要な第3の脱硫剤の量[cm]=式(6)により算出したCOSの量[mg]÷(表8に示すCOSの吸着量[質量%S]/100)÷1000÷第3の脱硫剤(ここでは、第1の脱硫剤と同様)の比重[g/cm]・・・式(7)
式(7)により算出した第3の脱硫剤の量を第3の脱硫剤の量として設定した。
このようにして設定した第3の脱硫剤の量は、第1の脱硫剤及び第2の脱硫剤で吸着しきれないCOSの全てを吸着することができる量である。
以上の結果に基づいて設計した実施例1の脱硫器の構成を下記の表9及び表10並びに図4に示す。
Figure 0007048375000009
Figure 0007048375000010
表9及び表10並び図4に示すように、ガス種としてLPガスを供給した比較例2の脱硫器は、ガス種として都市ガス13Aを供給した比較例1の脱硫器と比較して、必要な脱硫剤の量が非常に多く、特に多量の銀担持ゼオライトが必要であった。
一方、脱硫器の構成を実施例1のような構成とすることにより、ガス種としてLPガスを供給した場合であっても、必要な脱硫剤の量を削減することができ、特に銀担持ゼオライトの使用量を大きく削減することができた。
これらの結果から、本発明によれば、高価な銀担持ゼオライトの使用量を低減することができるとともに、脱硫剤全体の使用量も低減することができるため、脱硫器の低コスト化及び小型化を実現することができると考えられ、特にLPガスのように硫黄化合物を多く含み、また、脱硫を阻害する炭化水素成分(炭素数の多い炭化水素成分)を含むガスを用いる場合に有用であると考えられる。
<実験例1>
[脱硫剤Aの製造]
〔製造例2〕
硝酸銅三水和物38質量部を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得たこと以外は、製造例1と同様にして、ヤシ殻活性炭に銅が添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、製造例1と同様にして、破砕し、整粒して、脱硫剤Aとした。
なお、脱硫剤Aにおける銅の添着量を、製造例1と同様の方法により測定したところ、脱硫剤の全質量に対して6.8質量%であった。
次に、比較例1と同様にして評価試験用脱硫器を作製し、かつ比較例1と同様の条件にて硫黄化合物の吸着量の測定を行った。代表として、TBM、DMDS及びCOSの吸着量の測定結果を下記の表11に示す。
<実験例2>
[脱硫剤Bの製造]
〔製造例3〕
硝酸ニッケル六水和物50質量部を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得たこと以外は、製造例1と同様にして、ヤシ殻活性炭にニッケルが添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、製造例1と同様にして、破砕し、整粒して、脱硫剤Bとした。
なお、脱硫剤Bにおけるニッケルの添着量を、製造例1と同様の方法により測定したところ、脱硫剤の全質量に対して6.7質量%であった。
次に、比較例1と同様にして評価試験用脱硫器を作製し、かつ比較例1と同様の条件にて硫黄化合物の吸着量の測定を行った。代表として、TBM、DMDS及びCOSの吸着量の測定結果を下記の表11に示す。
Figure 0007048375000011
表11に示すように、Cu添着活性炭はTBMの吸着量に特に優れ、かつ、Ni添着活性炭はCOSの吸着量に特に優れていた。
1・・・燃料ガス用脱硫器、2・・・水蒸気改質器、3・・・燃料電池、10・・・第1の脱硫部、20・・・第2の脱硫部、30・・・第3の脱硫部、50・・・燃料ガス脱硫システム

Claims (9)

  1. 第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部と、前記第1の脱硫部のガス流通方向下流に配置され、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部と、前記第2の脱硫部のガス流通方向下流に配置され、第3の脱硫剤を備える第3の脱硫部と、を備え、
    前記第1の脱硫剤及び前記第3の脱硫剤は、活性炭と、前記活性炭に添着された金属と、を含み
    前記第2の脱硫剤は、銀が担持されたゼオライトを含み、
    前記第1の脱硫剤及び前記第3の脱硫剤に含まれる前記金属は、それぞれ独立に、銅と、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含む燃料ガス用脱硫器。
  2. 前記第1の脱硫剤及び前記第3の脱硫剤は、前記金属として、銅とニッケルとを含み、
    前記銅の添着量に対する前記ニッケルの添着量の割合が、それぞれ独立に、質量基準で0.20~2.70の範囲である請求項に記載の燃料ガス用脱硫器。
  3. 前記第1の脱硫剤及び前記第3の脱硫剤は、前記金属として、銅とタングステンとを含み、
    前記銅の添着量に対する前記タングステンの添着量の割合が、それぞれ独立に、質量基準で0.10~0.60の範囲である請求項に記載の燃料ガス用脱硫器。
  4. 前記第1の脱硫剤及び前記第3の脱硫剤は、前記金属として、銅とモリブデンとを含み、
    前記銅の添着量に対する前記モリブデンの添着量の割合が、それぞれ独立に、質量基準で0.15~2.00の範囲である請求項に記載の燃料ガス用脱硫器。
  5. 第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部と、前記第1の脱硫部のガス流通方向下流に配置され、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部と、前記第2の脱硫部のガス流通方向下流に配置され、第3の脱硫剤を備える第3の脱硫部と、を備え、
    前記第1の脱硫剤は、活性炭と、前記活性炭に添着された金属と、を含み、
    前記第2の脱硫剤は、銀が担持されたゼオライトを含み、
    前記第3の脱硫剤は、前記銀が担持されたゼオライトよりも硫化カルボニルの吸着性が高く、
    前記第1の脱硫剤に含まれる前記金属は、銅と、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含み、
    前記第3の脱硫剤は、銅と、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含む燃料ガス用脱硫器。
  6. 請求項1~請求項のいずれか1項に記載の燃料ガス用脱硫器と、
    燃料ガスを前記燃料ガス用脱硫器に供給する燃料ガス供給源と、
    を備える燃料ガス脱硫システム。
  7. 前記燃料ガスは、都市ガス、液化石油ガス、天然ガス、消化ガス又は排ガスである請求項に記載の燃料ガス脱硫システム。
  8. 前記燃料ガス用脱硫器にて脱硫された前記燃料ガスを用いて発電を行う燃料電池、及び前記燃料ガス用脱硫器にて脱硫された前記燃料ガスを用いて水素を製造する水素製造装置の少なくとも一方を更に備える請求項又は請求項に記載の燃料ガス脱硫システム。
  9. 請求項1~請求項のいずれか1項に記載の燃料ガス用脱硫器に燃料ガスを供給して脱硫を行う燃料ガスの脱硫方法。
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